(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1乃至
図4を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0014】
なお、以下においては、油圧ショベルのブームを駆動する油圧回路に使用される方向切換弁について説明する。しかしながら、本実施の形態による方向切換弁は油圧ショベルで用いられるものに限定されない。例えば、油圧ショベル以外の建設機械や、建設機械以外の油圧駆動機器においても、本実施の形態による方向切換弁を用いることが可能である。
【0015】
図1は、油圧ショベル80の典型的な構成例の概略を示す外観図である。
【0016】
図1に示すように、油圧ショベル80は、一般に、クローラを有する下部フレーム81と、下部フレーム81に対して旋回可能に設けられる上部フレーム82と、上部フレーム82に取り付けられるブーム83と、ブーム83に取り付けられるアーム84と、アーム84に取り付けられるバケット85とを備えている。油圧シリンダ86、87、88は、ブーム用、アーム用及びバケット用のアクチュエータであり、それぞれブーム83、アーム84及びバケット85を駆動する。上部フレーム82を旋回させる場合、旋回モータ89からの回転駆動力が上部フレーム82に伝達される。また油圧ショベル80を走行させる場合には、走行モータ91からの回転駆動力が下部フレーム81のクローラに伝達される。
【0017】
図2乃至
図4は、本実施の形態による方向切換弁を示す部分断面図である。このうち
図2は、スプールが供給位置(第1の位置)にある場合を示し、
図3は、スプールが中立位置(第2の位置)にある場合を示し、
図4は、スプールが排出位置(第3の位置)にある場合を示している。
【0018】
本実施の形態による方向切換弁10は、ポンプからアクチュエータに供給する作動油及びアクチュエータから排出される作動油の流れを規制する弁である。
図2乃至
図4には、
図1に示すブーム83を駆動するためのアクチュエータである油圧シリンダ86とポンプPとの間に配置される方向切換弁10が示されている。なお、他のアクチュエータ(例えば、
図1に示すアーム84を駆動するための油圧シリンダ87及び/又はバケット85を駆動するための油圧シリンダ88)とポンプとの間に配置される方向切換弁が、
図2乃至
図4に示す方向切換弁10と同様の構成を有していてもよい。
【0019】
図2乃至
図4に示すように、方向切換弁10は、マニホールド20と、マニホールド20内にそれぞれ移動可能に配置されたスプール40、ポペット弁50、およびセレクタ弁60とを備えている。
【0020】
なお、本明細書において、「軸線方向」とはスプール40の中心軸が配置された方向(スプール40の長手方向、X方向)をいう。また、「軸線方向に垂直な方向」とはスプール40の径方向に平行な方向であって、セレクタ弁60の中心軸に平行な方向(Y方向)をいう。
【0021】
マニホールド20は、マニホールド本体部21と、マニホールド本体部21に連結されたセレクタ弁ブロック22とを有している。
【0022】
このうちマニホールド本体部21は、全体としてブロック状(塊状)の部材であり、スプール40が収容されるとともに軸線方向に延在するスプール収容孔23を有している。また、マニホールド本体部21は、供給通路24、第1アクチュエータ通路25、第2アクチュエータ通路26及びタンク通路27を有している。これらの通路24〜27にはそれぞれ作動油が流される。
【0023】
供給通路24は、ポンプPからの作動油を油圧シリンダ86に供給するための通路である。供給通路24は、スプール収容孔23に連通している。第1アクチュエータ通路25は、ポペット弁50の側面側(Y方向プラス側)に開口するとともに、ブーム83を駆動するためのアクチュエータとして機能する油圧シリンダ86に接続されている。また、第2アクチュエータ通路26は、ポペット弁50側(X方向プラス側)に開口するとともに、スプール収容孔23に連通している。具体的には、スプール40の配置状態に応じて、第2アクチュエータ通路26は、供給通路24に連通されたり、或いは供給通路24に連通されなかったりするようになっている。
【0024】
タンク通路27は、タンクTに接続される通路であり、油圧シリンダ86から排出された作動油をタンクTに戻すための通路である。具体的には、スプール40の配置状態に応じて、タンク通路27は、第2アクチュエータ通路26に連通されたり、或いは第2アクチュエータ通路26に連通されなかったりするようになっている。
【0025】
さらに、マニホールド本体部21には、ポペット弁50を収容するとともに、ポペット弁50が軸線方向(X方向)に沿って摺動するポペット弁収容孔30が形成されている。ポペット弁収容孔30は、ポペット弁50の裏圧を形成するスプリング室51と連通しており、ポペット弁50のスプリング室51からの作動油が流される。
【0026】
セレクタ弁ブロック22は、全体としてブロック状(塊状)の部材であり、その内部において、セレクタ弁60が軸線方向に垂直な方向(Y方向)に延在している。この場合、セレクタ弁60は、セレクタ弁収容孔28の内部に移動自在に収容されている。また、セレクタ弁ブロック22には、スプール40が通過するスプール通過孔31と、セレクタ弁収容孔28とポペット弁50のスプリング室51とを互いに連通する連通路29とがそれぞれ形成されている。
【0027】
セレクタ弁収容孔28は、セレクタ弁60の先端部66が突出する先端側開口部32と、セレクタ弁60の基端側を収容する基端側開口部33とを有している。基端側開口部33は、先端側開口部32よりも径が大きくなっており、基端側開口部33と先端側開口部32との間にはシート部34が形成されている。このシート部34は、基端側開口部33から先端側開口部32に向けて徐々に縮径するすり鉢状に形成されている。また基端側開口部33の、スプール40から遠い側(Y方向プラス側)は、プラグ36によって閉鎖されている。
【0028】
さらに、基端側開口部33には圧縮スプリング35が内蔵されている。この圧縮スプリング35は、プラグ36とセレクタ弁60との間に配置されている。そして、圧縮スプリング35により、セレクタ弁60がスプール40側(Y方向マイナス側)に付勢されている。これにより、セレクタ弁60のショルダー部62(後述)がシート部34に押し付けられるようになっている。
【0029】
セレクタ弁ブロック22には、ドレンポート37が連結されている。このドレンポート37は、スプール通過孔31及び先端側開口部32に連通するとともに、油を貯留するタンクTに接続されている。
【0030】
スプール40は、スプール収容孔23に挿入されてその内部を摺動する略円柱状の部材である。このスプール40は、複数のランド部41と、複数のランド部41の間に設けられたスプール切欠部42とを有している。ランド部41の外周径は、スプール収容孔23の内周径とほぼ一致する。一方、スプール切欠部42の外周径は、スプール収容孔23の内周径よりも小さい。ランド部41は、スプール収容孔23に開口する通路間に配置された場合、これらの通路間のスプール収容孔23を塞いで作動油の流れを遮断する。一方、スプール切欠部42は、スプール収容孔23に開口する通路間に配置された場合、これらの通路同士をつなぐ圧油流路を形成し、作動油の流れを許容する。スプール40は、このように通路同士の接続及び遮断(すなわち接続の有無)を切り換えることができるだけでなく、通路間の流路開度(すなわち弁開度)を調整することもできる。
【0031】
具体的には、ランド部41が供給通路24と第2アクチュエータ通路26との間に配置された場合、供給通路24と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れを遮断する(
図3及び
図4)。一方、スプール切欠部42が供給通路24と第2アクチュエータ通路26との間に配置された場合、供給通路24と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れを許容する(
図2)。同様に、ランド部41がタンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間に配置された場合、タンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れを遮断する(
図2及び
図3)。一方、スプール切欠部42がタンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間に配置された場合、タンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れを許容する(
図4)。
【0032】
本実施の形態において、スプール40の先端(X方向プラス側)には、ランド部41よりも径が細いスプール小径部43が形成されている。また、スプール40の先端であって、スプール小径部43とランド部41との間には、段部44が形成されている。この段部44は、ランド部41からスプール小径部43に向けて徐々に縮径する傾斜面から構成されている。なお、スプール小径部43は必ずしも形成されていなくても良い。例えば、
図5の変形例に示すように、スプール40が段部44で終端していても良い。この場合、スプール40全体の長さを短く構成することができる。
【0033】
スプール40が供給位置(ブーム上昇)(
図2)及び中立位置(
図3)にある場合、セレクタ弁60の先端部66がスプール小径部43から径方向に離間する位置をとる。一方、スプール40が中立位置(
図3)から排出位置(ブーム下降)(
図4)に移動する間、スプール40の段部44がセレクタ弁60の先端部66に接触しかつ摺動する。そしてスプール40が排出位置(ブーム下降)(
図4)に達した際、セレクタ弁60の先端部66は、ランド部41に接触する。この排出位置において、スプール小径部43は、セレクタ弁60の先端部66よりもマニホールド本体部21から遠い側(X方向プラス側)に位置する。
【0034】
セレクタ弁60の先端部66のX方向の位置は適宜設定することが可能である。とりわけ、スプール40が中立位置にあるとき、スプール40の段部44をセレクタ弁60の先端部66に近づけて配置することが好ましい。例えば、
図6の変形例に示すように、スプール40が中立位置にある状態で、セレクタ弁60の先端部66とスプール40の段部44との間に隙間が形成され、かつY方向から見て先端部66と段部44とが互いに重なるように配置されていても良い。この場合、スプール40が中立位置から排出位置に移動したとき、セレクタ弁60が迅速に上昇するので、セレクタ弁60の応答時間を短くすることができる。
【0035】
ポペット弁50は、マニホールド本体部21内で、スプール40に通じる圧油流路(第1アクチュエータ通路25及び第2アクチュエータ通路26)を開放及び閉鎖可能な弁である。このポペット弁50は、略円筒状の胴部52と、胴部52内に形成され、ポペット弁50の裏圧を形成する空間からなるスプリング室51と、ポペット弁50の先端側に形成された表面53とを有している。なお、胴部52の最大の外周径はポペット弁収容孔30の内周径とほぼ一致する。また、胴部52と表面53との間には、環状のテーパー面54が形成されている。このテーパー面54は、胴部52から表面53に向けて徐々に縮径するように傾斜している。また、胴部52を貫通するようにオリフィス55が形成され、これにより、第1アクチュエータ通路25とスプリング室51との間が互いに連通している。
【0036】
ポペット弁50のスプリング室51には、圧縮スプリング56が内蔵されている。この圧縮スプリング56により、ポペット弁50のテーパー面54は、マニホールド本体部21のシート部21aに付勢され、押し付けられている。ポペット弁50のテーパー面54がシート部21aに押し付けられている場合、第1アクチュエータ通路25と第2アクチュエータ通路26との間が遮断され、これらの通路間を作動油が流れない。一方、圧縮スプリング56の付勢力に抗してポペット弁50がセレクタ弁ブロック22側(X方向プラス側)に移動した場合、ポペット弁50のテーパー面54がシート部21aから離間する。このとき、第1アクチュエータ通路25と第2アクチュエータ通路26との間が連通し、これらの通路間に作動油が流される。
【0037】
セレクタ弁60は、スプール40の移動に伴って移動し、ポペット弁50の裏圧を形成する圧油流路(スプリング室51及びポペット弁収容孔30)を密閉する密閉位置(
図2及び
図3)と、この圧油流路(スプリング室51及びポペット弁収容孔30)を開放する開放位置(
図4)とをとることが可能である。このセレクタ弁60は、セレクタ弁収容孔28に挿入されてその内部を摺動する略円柱状の部材である。セレクタ弁60は、基端側から先端側に向けて順番に、大径部61と、ショルダー部62と、基端側切欠部63と、中央部64と、先端側切欠部65と、先端部66とを有している。また、セレクタ弁60の径方向中心部には連通孔67が形成されている。
【0038】
大径部61は、基端側開口部33に収容され、基端側開口部33の内部で圧縮スプリング35によってスプール40側(Y方向マイナス側)に押圧されている。この大径部61の外周径は、基端側開口部33の内周径よりもわずかに小さい。したがって、大径部61の外周と基端側開口部33の内周との間には、周方向に沿って作動油が通過可能な隙間(圧油流路)が形成されている。
【0039】
ショルダー部62は、大径部61と基端側切欠部63との間に形成され、大径部61側から基端側切欠部63側に向けて徐々に縮径する傾斜面からなっている。そして圧縮スプリング35により、セレクタ弁60がスプール40側(Y方向マイナス側)に付勢されることにより、ショルダー部62がシート部34に対して押し付けられるようになっている。ショルダー部62がシート部34に押し付けられている場合、セレクタ弁収容孔28と基端側開口部33との間が遮断され、これらの間を作動油が流れない。一方、圧縮スプリング35の付勢力に抗してセレクタ弁60がプラグ36側(Y方向プラス側)に移動した場合、セレクタ弁60のショルダー部62がシート部34から離間する。このとき、セレクタ弁収容孔28と基端側開口部33との間が連通して、これらの間に作動油が流される。
【0040】
基端側切欠部63は、セレクタ弁収容孔28内に位置しており、その外周径は、セレクタ弁収容孔28の内周径よりも小さい。したがって、基端側切欠部63とセレクタ弁収容孔28の間には、作動油が流れる圧油流路が形成される。また、基端側切欠部63は、連通路29に連通している。
【0041】
中央部64は、セレクタ弁収容孔28内に位置しており、その外周径は、セレクタ弁収容孔28の内周径とほぼ一致する。したがって、中央部64とセレクタ弁収容孔28の間は遮断され、これらの間には作動油が流れないようになっている。
【0042】
先端側切欠部65は、セレクタ弁収容孔28内に位置しており、中央部64よりも先端側に設けられている。先端側切欠部65の外周径は、セレクタ弁収容孔28の内周径よりも小さい。したがって、先端側切欠部65とセレクタ弁収容孔28の間には、作動油が流れる圧油流路が形成される。また、先端側切欠部65は、先端側開口部32及びスプール通過孔31と連通している。
【0043】
先端部66は、セレクタ弁60の最も先端に位置している。先端部66は、丸みを帯びた形状を有しており、この場合は略半球形状となっている。この先端部66は、スプール40が中立位置(
図3)から排出位置(ブーム下降)(
図4)に移動する間、スプール40の段部44に沿って摺動し、スプール40が排出位置(ブーム下降)(
図4)に達した際、ランド部41に接触するようになっている。
【0044】
連通孔67は、セレクタ弁60の内部においてその長手方向に沿って延び、スプール通過孔31と基端側開口部33とを互いに連通する孔である。この連通孔67は、セレクタ弁60の長手方向に延びる長手方向部分67aと、長手方向部分67aに接続されるとともにセレクタ弁60の径方向に延びる径方向部分67bとを有している。このうち長手方向部分67aは、大径部61において基端側開口部33側に開口するとともに、先端側切欠部65内で終端している。また、径方向部分67bは、先端側切欠部65において長手方向部分67aに連通するとともに、先端側切欠部65の側面側に開口している。
【0045】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0046】
(供給位置)
まず、
図2に示すように、スプール40がX方向マイナス側に引込んだ供給位置(第1の位置)にある場合について説明する。この場合、スプール40のランド部41がタンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間に配置され、タンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れを遮断する。一方、スプール40のスプール切欠部42は、供給通路24と第2アクチュエータ通路26との間に配置され、供給通路24と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れを許容する。このため、ポンプPからの作動油は、供給通路24から第2アクチュエータ通路26へと流れる。
【0047】
このように、第2アクチュエータ通路26へ作動油が供給され、作動油の圧力がポペット弁50の表面53に作用することにより、ポペット弁50は、圧縮スプリング56の付勢力に抗してポペット弁収容孔30内でセレクタ弁ブロック22側(X方向プラス側)へ摺動する。これにより、ポペット弁50のテーパー面54がシート部21aから離間し、第1アクチュエータ通路25と第2アクチュエータ通路26とによって構成される圧油流路が開放される。その後、第2アクチュエータ通路26からの作動油は、第1アクチュエータ通路25からブーム83を駆動するための油圧シリンダ86へ送られ、ブーム83が上昇する。
【0048】
この間、セレクタ弁60の先端部66は、スプール40のスプール小径部43から離間している(非接触状態にある)。このため、セレクタ弁60は、圧縮スプリング35の付勢力によってスプール40側(Y方向マイナス側)に押し付けられ、セレクタ弁60のショルダー部62がシート部34に密着する。この場合、セレクタ弁収容孔28と基端側開口部33との間が遮断されるので、セレクタ弁収容孔28から基端側開口部33へ作動油が流れることはない。すなわち、セレクタ弁60は、ポペット弁50の裏圧を形成する圧油流路(スプリング室51及びポペット弁収容孔30)を密閉する密閉位置をとる。
【0049】
(中立位置)
次に、
図3に示すように、スプール40がX方向プラス側に移動し、供給位置と排出位置との間の中立位置(第2の位置)をとる場合について説明する。この場合、スプール40のランド部41がタンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間に配置され、タンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れを遮断する。また、スプール40のランド部41が供給通路24と第2アクチュエータ通路26との間に配置され、供給通路24と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れも遮断する。このため、ポンプPからの作動油が第2アクチュエータ通路26へと流れることはなく、また第2アクチュエータ通路26からの作動油がタンク通路27へ流されることもない。
【0050】
一方、油圧シリンダ86へ繋がる第1アクチュエータ通路25内の作動油は、ポペット弁50のオリフィス55からスプリング室51内に流入している。このため、スプリング室51内の作動油の圧力(X方向マイナス方向の力)が表面53側からの作動油の圧力(X方向プラス方向の力)よりも大きくなり、かつ圧縮スプリング56の付勢力が作用する。これにより、ポペット弁50のテーパー面54は、マニホールド本体部21のシート部21aに押し付けられる。この結果、ポペット弁50のテーパー面54がシート部21aに密着し、第1アクチュエータ通路25と第2アクチュエータ通路26との間が遮断され、第1アクチュエータ通路25から第2アクチュエータ通路26へ作動油が流れることがない。したがって、スプール40を中立位置にした状態でブーム83を所定高さで放置しても、油圧シリンダ86内の作動油の量が徐々に漏洩することが抑えられ、意図せずブーム83が降下することがない。このように、ポペット弁50は、ロック弁としての役割を果たす。
【0051】
この間、スプール40のスプール小径部43は、
図2(供給位置)の場合と同様に、セレクタ弁60の先端部66から離間している。このため、セレクタ弁60は、圧縮スプリング35の付勢力によってスプール40側(Y方向マイナス側)に押し付けられる。この場合、セレクタ弁60のショルダー部62がシート部34に密着し、セレクタ弁収容孔28と基端側開口部33との間が遮断される。このため、セレクタ弁収容孔28から基端側開口部33へ作動油が流れない。すなわち、セレクタ弁60は、ポペット弁50の裏圧を形成する圧油流路(スプリング室51及びポペット弁収容孔30)を密閉する密閉位置をとる。したがって、スプリング室51内の作動油が連通孔67から漏洩することがない。
【0052】
(排出位置)
次に、
図4に示すように、スプール40がX方向プラス側に更に移動し、排出位置(第3の位置)にある場合について説明する。この場合、スプール40のランド部41が供給通路24と第2アクチュエータ通路26との間に配置され、タンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れを遮断する。このため、ポンプPからの作動油が第2アクチュエータ通路26へと流れることはない。一方、スプール40のスプール切欠部42は、タンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間に配置され、タンク通路27と第2アクチュエータ通路26との間の作動油の流れを許容する。この場合、第2アクチュエータ通路26からの作動油はタンク通路27へ流され、タンクTへ排出される。
【0053】
ところで、スプール40が中立位置(
図3)から排出位置(
図4)に向けてX方向プラス側に移動する間、セレクタ弁60の先端部66はスプール40の段部44に当接し、その後スプール40の段部44は、セレクタ弁60の先端部66に沿って摺動する。この間、セレクタ弁60は、圧縮スプリング35の付勢力に抗して、セレクタ弁収容孔28内でプラグ36側へ摺動する。すなわちセレクタ弁60が上昇(Y方向プラス側に移動)する。そしてスプール40が排出位置(
図4)に達した際、セレクタ弁60の先端部66はランド部41に接触する。これにより、セレクタ弁60は、上述した密閉位置から、ポペット弁50の裏圧を形成する圧油流路(スプリング室51及びポペット弁収容孔30)を開放する開放位置に達する。また、これに伴って、セレクタ弁60のショルダー部62がシート部34から離間するので、スプリング室51、ポペット弁収容孔30、連通路29、セレクタ弁収容孔28及び基端側開口部33によって構成される圧油流路が開放される。この際、スプリング室51内の作動油は、ポペット弁収容孔30、連通路29、セレクタ弁収容孔28、基端側開口部33、連通孔67及び先端側開口部32を順次介して、ドレンポート37からタンクTへ排出される。
【0054】
このように、スプリング室51内の作動油が排出されることにより、ポペット弁50の裏圧が低下するので、ポペット弁50は、圧縮スプリング56の付勢力に抗してセレクタ弁ブロック22側(X方向プラス側)に移動する。これにより、ポペット弁50のテーパー面54がシート部21aから離間し、第1アクチュエータ通路25と第2アクチュエータ通路26との間が連通する。このようにして、第1アクチュエータ通路25からの作動油は、第2アクチュエータ通路26からタンク通路27へ流され、タンクTへと排出される。この結果、油圧シリンダ86からの作動油が排出されてブーム83が下降する。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態によれば、セレクタ弁60が、スプール40の移動に伴って、ポペット弁50の裏圧を形成する圧油流路(スプリング室51及びポペット弁収容孔30)を密閉する密閉位置と、この圧油流路を開放する開放位置との間を移動する。すなわち、スプール40が中立位置(
図3)から排出位置(
図4)に移動することにより、スプール40がセレクタ弁60を押し上げ、セレクタ弁60が密閉位置(
図3)から開放位置(
図4)に移動する。逆に、スプール40が排出位置(
図4)から中立位置(
図3)に移動した場合には、セレクタ弁60がスプール40から離れ、圧縮スプリング35の弾性力により、セレクタ弁60が開放位置(
図4)から密閉位置(
図3)に移動する。このように、本実施の形態においては、セレクタ弁60を作動するためにパイロット圧油を用いることがなく、パイロット圧油を供給するパイロット流路をマニホールド20等に設ける必要がないので、方向切換弁10をコンパクトな構成とすることができる。
【0056】
また本実施の形態によれば、セレクタ弁60は、スプール40と接触することにより、密閉位置から開放位置へと移動する。これにより、スプール40の動作と連動してセレクタ弁60を作動させることができる。
【0057】
また本実施の形態によれば、スプール40の先端に段部44が形成されている。これにより、セレクタ弁60の先端部66がスプール40の段部44に摺動し、セレクタ弁60を密閉位置から開放位置へスムーズに移動させることができる。
【0058】
また本実施の形態によれば、セレクタ弁60が密閉位置にあるとき、セレクタ弁60がスプール40から離間しているので、スプール40が供給位置や中立位置にある間は、セレクタ弁60がスプール40に対して接触しない。これにより、セレクタ弁60の先端部66がスプール40上を摺動する距離を最小限に抑え、セレクタ弁60の移動をスムーズにすることができるとともに、セレクタ弁60およびスプール40の摩耗を軽減することができる。
【0059】
また本実施の形態によれば、スプール40の移動方向とセレクタ弁60の移動方向とが互いに直交するので、スプール40の移動を阻害しない箇所にセレクタ弁60を配置することができる。