(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定凹部と、前記受ネジ孔と、前記固定孔とは、(2)式および(3)式を満たすように配置されている
請求項3から請求項5のいずれか一つに記載の超音波内視鏡。
【数1】
amaxは、前記プローブ枠の、前記保持部から前記溝の操作部側の縁までの長さaの最大値である。
aminは、前記プローブ枠の、前記保持部から前記溝の操作部側の縁までの長さaの最小値である。
bmaxは、前記固定部材の、操作部側の縁から前記受ネジ孔の中心までの長さbの最大値である。
bminは、前記固定部材の、操作部側の縁から前記受ネジ孔の中心までの長さbの最小値である。
cmaxは、前記固定部材の、前記受ネジ孔の谷径の最大値である。
dmaxは、前記先端枠の、先端から前記固定孔の中心までの長さdの最大値である。
dminは、前記先端枠の、先端から前記固定孔の中心までの長さdの最小値である。
eminは、前記先端枠の、前記固定孔の直径の最小値である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1は、超音波内視鏡10の外観図である。本実施の形態の超音波内視鏡10は、上部消化管向けの軟性鏡である。超音波内視鏡10は、操作部20および挿入部30を有する。操作部20は、起上操作レバー21、チャンネル入口22、送水ボタン25、および、
図1の後側の面に配置された湾曲ノブを有する。操作部20は、第1チューブ41および第1コネクタ81を介して、図示しないビデオプロセッサ、光源装置および表示装置等に接続される。操作部20は、第1コネクタ81から延びる第2チューブ42および第2コネクタ82を介して、図示しない超音波診断装置にも接続される。
【0010】
挿入部30は、一端が操作部20に接続された長尺の軟性部12と、軟性部12の他端に湾曲部13および先端枠52を介して連結されたプローブ部組61とを有する。湾曲部13は、軟性部12の内部に挿通された湾曲ワイヤを介して湾曲ノブと連結されており、湾曲ノブの操作に応じて湾曲する。先端枠52の内部には、光学像による観察を行う際に使用する照明光学系および撮像光学系等が組み込まれる。先端枠52およびプローブ部組61の構成の詳細については後述する。
【0011】
超音波内視鏡10は、挿入部30をたとえば被験者の口から消化管に挿入して、光学像による観察、超音波による観察および各種処置を行う際に使用される。以後の説明では、挿入部30の長手方向を挿入方向と記載する。同様に、挿入方向に沿って操作部20に近い側を操作部側、操作部20から遠い側を先端側と記載する。超音波内視鏡10の組立を完了する前の部品の状態であっても、各部品を組み付けた後の向きに準じて、挿入方向、操作部側および先端側の表現を使用する。
【0012】
図2および
図3は、挿入部30の先端の斜視図である。
図2と
図3は、それぞれ異なる側から挿入部30の先端をみた図である。
【0013】
プローブ部組61は、プローブ枠62と、凸型の超音波送受波面63を有する、いわゆるコンベックス型の超音波プローブとを備える。超音波プローブの超音波送受波面63を除く部分は、プローブ枠62により覆われている。プローブ枠62は、超音波送受波面63よりも操作部側に、挿入方向に対して垂直に設けられた2本のバルーン給排水溝64を有する。
【0014】
先端枠52は略円筒形である。先端枠52は、先端側から操作部側に向けて延びる略U字型の起上台溝57により左右に別れており、先端側に軸方向に対して傾斜した傾斜面523を有する。挿入方向に対して、超音波送受波面63と、傾斜面523とは同じ側に設けられている。
【0015】
起上台溝57の内側に、起上台80が設けられている。傾斜面523の一方の側に、観察窓36および照明窓37が配置されている。観察窓36の先端側には、観察窓36に水および空気を噴射して清掃するノズル38が設けられている。傾斜面523の他方の側の内部には、起上台80を起上させる起上機構が設けられている。先端枠52の先端側の外周に、バルーン固定溝53が周設されている。
【0016】
図4は、挿入部30の部分断面図である。
図5は、
図4のV−V線による挿入部30の部分断面図である。プローブ部組61は、プローブ枠62の操作部側に突出する筒部623を、先端枠52に設けられたプローブ枠孔54に差し込んで、取り付けられている。
【0017】
図6は、プローブ部組61の外観図である。プローブ部組61は、プローブ枠62と、超音波プローブとを含む。プローブ枠62は、保持部622と、筒部623とを備える。保持部622は、超音波送受波面63を外側にして、超音波プローブを保持する。保持部622は操作部側に平坦な第1当接面621を有する。第1当接面621から筒部623が垂直に突出する。筒部623には、信号線671を通す信号線通過孔67(
図7参照)が設けられている。
【0018】
信号線通過孔67を通って操作部側に伸びる信号線671は、プローブ枠62の内側で超音波プローブに接続されている。信号線671は、数十本のケーブルの束である。信号線671は、湾曲部13、軟性部12、操作部20、第1チューブ41、第1コネクタ81、第2チューブ42および第2コネクタ82の内部を通り、超音波診断装置に接続される。
【0019】
プローブ枠62は、筒部623を長手方向に貫通する2本のバルーン給排水孔65を備える。バルーン給排水孔65同士の間隔は、先端側、すなわち保持部622に近い側で拡がっている。バルーン給排水孔65は、バルーン給排水溝64内に開口部を有する貫通孔である。バルーン給排水孔65の操作部側の端部に、バルーンチューブ66が接続されている。バルーンチューブ66は、湾曲部13、軟性部12および操作部20の内部を通り、送水ボタン25を介して図示しないポンプに接続される。
【0020】
ユーザは、送水ボタン25の押し込み量を変える等の操作を行うことにより、バルーン給排水孔65の一方から水を出し、他方から水を吸引することができる。ユーザは、送水ボタン25の操作により、ノズル38から送気および送水を行うこともできる。送水ボタン25は従来から使用されているので、構造および動作の説明を省略する。
【0021】
図7は、プローブ枠62の外観図である。
図8は、
図7のVIII−VIII線によるプローブ枠62の断面図である。
【0022】
筒部623の断面形状は、
図8中の上側、すなわち超音波送受波面63が配置される側が直線である略D字型である。筒部623の中央部に、前述の信号線通過孔67が設けられている。
【0023】
固定凹部68は、前述の略D字型の曲面部分にあたる場所において、筒部623の表面の一部を、平坦に切り落とした窪みである。挿入方向に沿って固定凹部68の両端の縁は、筒部623の軸に対して垂直な面である。すなわち固定凹部68は、筒部623の表面に、挿入方向と交差する向きに設けられた、矩形断面の溝である。
【0024】
図9は、先端枠52の外観図である。
図10は、先端側からみた先端枠52の外観図である。
図11は、
図9のXI−XI線による先端枠52の断面図である。
【0025】
図9に示すように、先端枠52は、先端側に平坦な第2当接面522を有する。
図11に示すように、先端枠52は、挿入方向に貫通する略D字型断面のプローブ枠孔54を有する。
図10に示すように、プローブ枠孔54は第2当接面522の中央部に開口している。プローブ枠孔54の第2当接面522側の縁に、パッキン溝55が設けられている。
【0026】
図11に示すように、先端枠52の外側からプローブ枠孔54に向けて固定孔56が設けられている。固定孔56はストッパ部561を有し、ストッパ部561よりもプローブ枠孔54側が細くなっている。固定孔56の外側の縁は、固定孔56と同軸の円錐状に広がっている。
【0027】
図4に戻って説明を続ける。筒部623の根元とパッキン溝55との間に取り付けられたパッキン71により、プローブ枠62と先端枠52との間から超音波内視鏡10の内部への水等の浸入が防止される。
【0028】
起上台溝57の奥にチャンネル出口35が設けられている。チャンネル入口22とチャンネル出口35との間は、軟性部12および湾曲部13の内部を通るチューブ状のチャンネル34により接続されている。チャンネル入口22から図示しない処置具を挿入することにより、チャンネル出口35から処置具の先端を突出させることができる。
【0029】
また、起上操作レバー21を操作することにより、起上台80が
図4中に矢印で示す方向に回る。起上台80が回ることにより、チャンネル出口35から突出した処置具の先端が、操作部20側に屈曲する。起上台80を起上操作レバー21と連動して動作させる構造は、従来から使用されているので説明を省略する。
【0030】
図示しない超音波診断装置は、超音波送受波面63を介して
図4の紙面に平行な走査面の超音波走査を行い、略扇形の断層像を表示する。チャンネル出口35から
図4の紙面に沿って突出する処置具も、断層像に表示される。ユーザは、超音波断層像により処置具の先端の位置を確認することができる。
【0031】
図5を使用して説明を続ける。信号線通過孔67の中に、信号線671が通っている。プローブ枠孔54に筒部623が挿入されている。固定凹部68とプローブ枠孔54との間に配置された固定部材85と、先端枠52の外側から固定孔56に挿入された固定ネジ93とにより、先端枠52と筒部623とがねじ固定されている。
【0032】
固定ネジ93の頭部97は、たとえばシリコーン系接着剤により形成されたネジ被覆99により覆われている。これにより、
図3に示すように挿入部30の表面には固定ネジ93が露出しない。ネジ被覆99に、先端枠52と同色の接着剤を使用することにより、ネジ被覆99を目立たなくすることができる。また、ネジ被覆99により、固定ネジ93の緩みおよび脱落を防止できる。固定ネジ93の根元に配置されたOリング98により、固定孔56からプローブ枠孔54への水等の浸入が防止される。
【0033】
図12は、固定部材85の外観図である。固定部材85は、金属製の長方形板である。固定部材85は、一方の広面の両方の長辺に沿って、面取部87を有する。固定部材85は、広面の中央を厚さ方向に貫通する受ネジ孔86を有する。受ネジ孔86は内面に雌ねじが形成されたねじ孔である。固定部材85の長辺の長さは、固定凹部68の挿入方向に沿った長さと略同一である。
【0034】
図13は、固定ネジ93の外観図である。固定ネジ93は、頭部97、大径部95および小径部96を有する皿ねじである。大径部95の周囲に、Oリング溝94が設けられている。小径部96の外面に、固定部材85の受ネジ孔86と螺合可能な雄ねじが形成されている。
【0035】
図5から
図13を使用して、先端枠52とプローブ部組61との組み付け手順の概要を説明する。あらかじめ、プローブ枠62に超音波プローブおよびバルーンチューブ66が取り付けられて、
図6を使用して説明したプローブ部組61の状態に組み立てられている。
【0036】
先端枠52のパッキン溝55にパッキン71をはめこむ。プローブ枠62の筒部623を、先端枠52の第2当接面522側からプローブ枠孔54に差し込む。筒部623の先端がプローブ枠孔54に挿入された後に、固定凹部68に、固定部材85を当て付ける。この際、固定部材85は面取部87を外側に、かつ、筒部623の長手方向に向ける。
【0037】
固定部材85は、たとえば常温硬化型のシリコーン系接着剤、または、シアノアクリレート系接着剤等を用いてと固定凹部68に仮固定されても良い。固定部材85およびパッキン71は、あらかじめプローブ部組61に取り付けられていても良い。
【0038】
筒部623と共に、固定部材85をプローブ枠孔54にはめこむ。面取部87が設けられているので、
図5に示すように、固定部材85は固定凹部68とプローブ枠孔54の内面との間に収容可能である。第1当接面621と第2当接面522とを当接するまではめこむ。この際、固定孔56の奥に、受ネジ孔86が位置する。すなわち、固定孔56と受ネジ孔86とが連通した状態になる。
【0039】
固定孔56を介して受ネジ孔86に固定ネジ93を挿入して締め込むことにより、小径部96の雄ネジと受ネジ孔86とが螺合する。小径部96は、大径部95とストッパ部561とが突き当たるまで固定ネジ93を締め込んだ場合に、小径部96の先端がプローブ枠62を傷つけない長さである。固定ネジ93を締め込んだ後、頭部97の上をネジ被覆99により覆い、硬化させる。以上により、プローブ部組61が先端枠52に固定される。
【0040】
なお、筒部623の表面に適量の接着剤を塗布してからプローブ枠孔54に嵌め込み、その後接着剤を硬化させても良い。固定ネジ93と接着剤との双方により、両者を強固に固定することができる。
【0041】
図14は、各部品の望ましい寸法の関係を説明する説明図である。固定ネジ93を締め込む前の段階において、固定部材85を操作部側に寄せた場合であっても、固定孔56よりも受ネジ孔86が先端側に若干寄っていることが望ましい。このようにした場合、固定ネジ93を締め込むことにより、固定部材85を介してプローブ部組61が操作部側に引き込まれる。これにより、第1当接面621が第2当接面522に押し付けられるので、両者の間の隙間の発生を防止できる。
図14を使用して、固定ネジ93の締め込みによりプローブ部組61を操作部側に引き込む構造を実現する、各部品の寸法関係について説明する。
【0042】
図14Aに示すように、長さaは、第1当接面621と固定凹部68の操作部側の縁との間の長さ、すなわち、保持部622から固定凹部68を形成する溝の操作部側の縁までの長さを示す。
図14Bに示すように、長さbは固定部材85の操作部側の短辺と、受ネジ孔86の中心との間の長さを示す。
図14Cに示すように、長さdは第2当接面522と固定孔56の中心との間の長さを示す。
【0043】
各部材の寸法が(1)式を満たす場合、固定ネジ93を締め込むことにより、固定部材85を介してプローブ部組61が操作部側に引き込まれる。
a − b ≦ d ‥‥‥ (1)
【0044】
さらに詳細に説明する。(1)式が満たされている場合には、固定部材85の操作部側の短辺と、固定凹部68の操作部側の縁とが接触している場合であっても、固定孔56の中心よりも受ネジ孔86の中心の方が先端側に位置する。固定孔56の外側の縁は、固定孔56と同軸の円錐状に広がっており、固定ネジ93は皿ネジであるので、固定ネジ93を締め込むことにより、固定ネジ93の中心軸は固定孔56の中心軸に一致する。
【0045】
そのため、固定ネジ93を締め込むことにより、固定孔56の中心と、受ネジ孔86の中心とが同軸になるように、固定部材85が操作部側に移動する。固定部材85の操作部側の短辺に、固定凹部68の操作部側の縁が押圧されて、プローブ枠62が操作部側に移動する。これにより、プローブ部組61が先端枠52に引き込まれる。
【0046】
以上に説明した手順により、先端枠52とプローブ部組61とを組み付けた後に、他の部材を組み付けて超音波内視鏡10を組み立てることができる。また、先端枠52に他の部材を組み付けた後に、プローブ部組61を組みつけても良い。超音波内視鏡10全体の組立は従来から行われているので、組立手順の説明は省略する。
【0047】
ところで、実際の部品においては、部品の形状には若干の歪み等が発生する。そのため、
図14を使用して説明した各部分の寸法は、測定を行う位置によって多少のばらつきが生じる。さらに製造誤差に伴い、部品の個体差に起因する寸法のばらつきも生じる。
【0048】
ばらつきを考慮した各部材の寸法が(2)式を満たすことにより、固定ネジ93を締め込んだ場合に、寸法ばらつきにかかわらず固定部材85を介してプローブ部組61が操作部側に引き込まれる。
【0049】
amax − bmin ≦ dmin ‥‥‥ (2)
amaxは、前述の長さaの最大値である。
bminは、前述の長さbの最小値である。
dminは、前述の長さdの最小値である。
【0050】
固定孔56と受ネジ孔86との関係について説明する。
図14Dは、
図14CのD−D線による断面図を示す。各部材の寸法が(3)式を満たすことにより、固定孔56と受ネジ孔86とが連通し、固定ネジ93の先端を受ネジ孔86に螺合できる。これにより、固定孔56を介して固定ネジ93を締め込むことができる。
【0051】
【数1】
aminは、前述の長さaの最小値である。
bmaxは、前述の長さbの最大値である。
cmaxは、受ネジ孔86の谷径cの最大値である。
dmaxは、前述の長さdの最大値である。
eminは、固定孔56の直径eの最小値である。
【0052】
(3)式は、受ネジ孔86の先端側の縁が、固定孔56の先端側の縁よりも操作部側にあること、すなわち固定孔56の奥に受ネジ孔86の縁がみえる状態になる関係を示す。(3)式の関係を満足することにより、固定孔56を介して固定ネジ93の先端を受ネジ孔86に入れることができる。
【0053】
本実施の形態の超音波内視鏡10の使用方法の概要を説明する。超音波内視鏡10は、洗浄等を行った状態で保管されている。ユーザは、第1コネクタ81をビデオプロセッサ、光源装置および表示装置等に接続する。ユーザは第2コネクタ82を超音波診断装置に接続する。
【0054】
ユーザは、送水ボタン25を操作してバルーン給排水孔65から水を出し、バルーンチューブ66内に水が充満した状態にする。ユーザは、口元にOリングが付いたバルーン91を超音波内視鏡10の先端に被せ、バルーン91のOリングをバルーン固定溝53に嵌めて固定する。
【0055】
ユーザは、送水ボタン25を操作してバルーン給排水孔65から送水を行うことにより、
図4に二点鎖線で示すようにバルーン91を膨張させることができる。ユーザは、バルーン91を膨張させて、バルーン91が正しく取り付けられていることを確認する。その後、ユーザは送水ボタン25を操作してバルーン給排水孔65から排水を行うことにより、バルーン91を収縮させて、プローブ部組61に密着させる。
【0056】
ユーザは、挿入部30を検査対象者の口から挿入する。観察窓36を介して撮影した映像を観察しながら、ユーザは挿入部30の先端を目的部位に誘導する。ユーザは、目的部位にバルーン91を介して超音波送受波面63を当て付けて、超音波画像診断を行う。ユーザは、送水ボタン25を操作してバルーン91の大きさを適宜変更することにより、目的部位を超音波画像上の所望の位置に捉えることができる。
【0057】
ユーザは、たとえば穿刺針等の処置具をチャンネル出口35から突出させて使用する。処置具は、超音波走査面に沿って突出するので、ユーザは処置具の先端と病変部位等との位置関係を超音波画像で観察することができる。ユーザは、起上操作レバー21等を操作することにより、所望の位置に処置具の先端を誘導する。
【0058】
必要な処置等を行った後に、ユーザは処置具をチャンネル34から抜去する。ユーザは超音波内視鏡10を検査対象者から抜去して、検査または処置を終了する。ユーザは、バルーン91を取り外して、廃棄する。ユーザは、バルーン91を外した後の超音波内視鏡10に対して、次回の使用に備えて洗浄等の再処理を行う。
【0059】
プローブ部組61と先端枠52との間の水密は、パッキン71により維持される。先端枠52と固定ネジ93との間の水密はOリング98により維持される。その他の部分の水密については、従来から使用されている超音波内視鏡10の構造により、維持される。したがって、再処理中および使用中における超音波内視鏡10の内部への水等の浸入が防止される。
【0060】
プローブ部組61を固定する構造の水密を、接着材に頼らずに維持できるので、仮に接着材の劣化または剥離等が生じた場合であっても、水等の浸入による超音波内視鏡10の破損を予防することができる。
【0061】
本実施の形態によると、水密状態を保つことができる超音波内視鏡10を提供できる。本実施の形態によると、プローブ部組61と先端枠52の操作部側に引き込んだ状態で固定するので、両者の間に隙間が生じることを防止した超音波内視鏡10を提供できる。
【0062】
筒部623が略D字断面であるため、プローブ部組61の回転を防止する部材を別途設ける必要がない。略D字断面の端の部分に2個のバルーン給排水孔65を設けるので、筒部623の空間を有効に活用することができる。そのため、超音波内視鏡10の先端部分を細くすることができる。
【0063】
超音波プローブは、挿入方向に対して垂直な面を走査する、いわゆるラジアル型であっても良い。超音波プローブは、いわゆるリニア型またはセクタ型でも良い。
【0064】
超音波内視鏡10は、下部消化管向け、または呼吸器向け等であっても良い。超音波内視鏡10は、硬性の挿入部30を備えるいわゆる硬性鏡でも良い。超音波内視鏡10は、エンジンおよび配管等の検査等に使用する、いわゆる工業用内視鏡でも良い。超音波内視鏡10は、観察窓36および照明窓37を備えなくても良い。
【0065】
[実施の形態2]
本実施の形態は、台形板状の固定部材85を使用する超音波内視鏡10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0066】
図15は、実施の形態2のプローブ枠62と固定部材85とを説明する説明図である。本実施の形態のプローブ枠62は、筒部623の側面に正面視が略台形の固定凹部68を有する。固定凹部68の底は、平面である。固定凹部68の筒部623の端部側の縁は、筒部623の軸に対して垂直な面である。固定凹部68の保持部622側の縁は、筒部623の軸に対して斜めに、かつ固定凹部68の底に対して垂直に立ち上がる面である。
【0067】
固定部材85は、金属製で、二つの直角を有する台形形状の板である。固定部材85は、一方の広面の上底および下底に沿って、面取部87を有する。固定部材85は、広面の中央部を厚さ方向に貫通する受ネジ孔86を有する。受ネジ孔86は内面に雌ねじが形成されたねじ孔である。固定部材85の広面の寸法は、固定凹部68にはめこみ可能な寸法である。
【0068】
固定ネジ93を締め込む際に先端枠52にプローブ部組61を引き込む力は、実施の形態1と同様に固定部材85の操作部側の縁に作用する。
【0069】
本実施の形態によると、固定部材85は裏返し、または、回転した向きでは固定凹部68に挿入することができない。したがって、固定部材85の向きを間違えることなく、容易に組み立てることが可能な超音波内視鏡10を提供できる。
【0070】
固定凹部68および固定部材85の先端側の形状は、任意に定めることができる。両者の形状が異なっていても良い。
【0071】
[実施の形態3]
本実施の形態は、固定部材85の端に寄った位置に受ネジ孔86を有する超音波内視鏡10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0072】
図16は、実施の形態3のプローブ枠62と固定部材85とを説明する説明図である。固定部材85は、中央よりも
図16中の右下に寄った位置に受ネジ孔86を有する。図示を省略するが、先端枠52は受ネジ孔86に対応する位置に固定孔56を有する。
【0073】
たとえば、固定部材85が裏返しになっている場合には、受ネジ孔86は右上または左下に寄った場所に位置する。受ネジ孔86は、面取部87に比べて視認しやすいので、ネジ受け85が裏返しになっていることを容易に判別できる。
【0074】
同様に、固定部材85が面内で180度回転している場合にも、容易に判別できる。したがって、固定部材85を固定凹部68に挿入する際の向きの識別が容易で、組み立てやすい超音波内視鏡10を提供できる。
【0075】
図16に示す受ネジ孔86の位置は、例示である。裏返し等を識別しやすい任意の位置に受ネジ孔86を設けることができる。
【0076】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。