(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1容器が搬送される第1搬入路と、前記第1搬入路とは異なる経路で、第2容器が搬送される第2搬入路と、前記第1搬入路と前記第2搬入路から受け渡される前記第1容器と前記第2容器を下流に向けて供給する整列機と、を有する容器搬入部と、
前記容器搬入部から搬入される前記第1容器と前記第2容器に順番に液体を充填する充填部と、
前記第1容器と前記第2容器を分配する分配機と、前記分配機で分配された前記第1容器を下流に向けて搬出する第1搬出路と、前記分配機で分配された前記第2容器を下流に向けて搬出する第2搬出路と、を有する容器搬出部と、を備え、
前記容器搬入部は、
前記第1搬入路と前記第2搬入路のそれぞれを搬送される前記第1容器と前記第2容器が設定された間隔で受け渡されることで、前記整列機において前記第1容器と前記第2容器が所定の順番で一列に並ぶ、
ことを特徴とする液体充填システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体充填システムは、液体を充填する充填部に容器を搬入する搬入路、および、液体が充填された容器を下流に向けて搬出する搬出路を備えている。搬入路および搬出路を構成する部材の中には、容器の大きさに対応したものがあるために、従来のバッチ処理により複数種類の容器ごとに液体を充填する液体充填システムにおいては、切換作業としてこの搬入路および搬出路の部材を取り換える作業が必要である。
充填する液体の種類によっては、この切換作業の間に液体の劣化が生じうるため、切換作業の際に液体の廃棄を伴うこともある。
このように、従来の液体充填システムは、一度の運転で複数種類の容器に液体を充填する連続充填に対応していなかった。また、従来の液体充填システムにおいては、複数種類の容器に液体を充填する場合、切換作業により生産の歩留まりが低くなることがあった。
【0005】
以上より、本発明は、運転停止を伴う切換作業をすることなく、複数種類の容器に対して同一の液体を連続充填できる液体充填システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体充填システムは、容器搬入部と、充填部と、容器搬出部と、を備える。
容器搬入部は、第1容器が搬送される第1搬入路と、第1搬入路とは異なる経路で、第2容器が搬送される第2搬入路と、第1搬入路と第2搬入路から受け渡される第1容器と第2容器を下流に向けて供給する整列機と、を有する。
充填部は、容器搬入部から搬入される第1容器と第2容器に順番に液体を充填する。
容器搬出部は、第1容器と第2容器を分配する分配機と、分配機で分配された第1容器を下流に向けて搬出する第1搬出路と、分配機で分配された第2容器を下流に向けて搬出する第2搬出路と、を有する。
【0007】
本発明における容器搬入部は、第1搬入路と第2搬入路のそれぞれを搬送される第1容器と第2容器が設定された間隔で受け渡されることで、整列機において第1容器と第2容器を所定の順番で一列に並べることができる。
【0008】
本発明の容器搬入部における整列機は、第1容器と第2容器を把持する複数の第1把持具が外周に設けられる回転体を備え、第1容器と第2容器が交互に受け渡されることで、第1容器と第2容器を所定の順番で一列に並べることができる。
【0009】
本発明の容器搬出部における分配機は、第1容器と第2容器が受け渡され、かつ、第1容器を第1搬出路に払い出す第1分配機と、第2容器が受け渡され、かつ、第2搬出路に払い出す第2分配機と、を備える、ことができる。
この第1分配機は、円周上に設けられる複数の把持具で第1容器と第2容器を把持しながら搬送する第1回転体を有し、第1搬出路まで第1容器を搬送したならば把持を解除して第1搬出路に払い出す、ことができる。また、第2分配機は、円周上に設けられる複数の把持具で第2容器を把持しながら搬送する第2回転体を有し、第2搬出路まで第2容器を搬送したならば把持を解除して第2搬出路に払い出す、ことができる。
【0010】
本発明における容器搬出部は、第1回転体と第2回転体の間には、第1回転体から受け渡される第2容器を第2回転体に受け渡すまで搬送する移送回転体が設けられ、この移送回転体は、第2容器を底面から支持しながら、第2容器を搬送する、ことができる。
また、本発明における容器搬出部は、第1回転体による第1容器と第2容器を把持する鉛直方向の位置と、第2回転体による第2容器を把持する鉛直方向の位置と、が一致し、第1搬出路と第2搬出路が、第1容器と第2容器の容器高さに応じた鉛直方向の位置に設けられる、ことができる。
【0011】
本発明の液体充填システムは、第1容器は第2容器よりも容器高さが高い場合、第1回転体により第1容器が先に第1搬出路に払い出された後に、第2回転体により第2容器が第2搬出路に払い出される、ことが好ましい。
本発明の液体充填システムにおける充填部は、回転体の円周上に複数の充填バルブを設けた回転式の液体充填装置を用いることができる。
また、本発明の液体充填システムに適用される第1容器および第2容器は、互いに容量が異なる樹脂製の容器である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体充填システムによれば、運転停止を伴う切換作業をすることなく、複数種類の容器に対して同一の液体を連続充填できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態の液体充填システム1は、容量の異なる複数種類の樹脂製容器、例えばペットボトルに、同一種類の液体を連続充填することができることを特徴とする。液体充填システム1が充填する液体は、例えば飲料水である。本実施形態は、
図2に示すように、300mL、500mL、2Lの容量が異なる3種類のペットボトル201,202,203に飲料水を充填する例について説明する。ペットボトル201,202,203はキャップが装着される口部205および首部207の形状および寸法が規格化されているために、同じグリッパでペットボトル201,202,203の首部207を把持できる。なお、ペットボトル201,202,203を区別する必要がない場合には、ペットボトル200と総称する。
【0015】
本実施形態の液体充填システムは、
図1に示すように、上流側から順に、ブロー成形機20と、容器搬入部10と、容器検査部30と、殺菌部40と、すすぎ部50と、充填部60と、キャッパ70と、容器搬出部80と、を有している。液体充填システム1の以上の各要素は、ペットボトル200の受け渡しを行うための搬送ホイールがさらに設けられていてもよい。なお、液体充填システムの各要素の動作は、制御部110によって制御される。
【0016】
[容器搬入部10]
容器搬入部10は、
図3に示すように、液体の充填されていない空のペットボトル200を液体充填システム1の所定の部位に向けて搬入する搬入路11を有する。また、容器搬入部10は、
図3に示すように、ペットボトル201,202,203を一列に並べる整列機17を有している。以下、搬入路11、整列機17の具体的な内容を順に説明する。
【0017】
[搬入路11]
搬入路11は、
図3に示すように、500mLのペットボトル202を供給する第1搬入路11Aと、300mLのペットボトル201を供給する第2搬入路11Bと、2Lのペットボトル203を供給する第3搬入路11Cと、有している。
第1搬入路11Aはブロー成形機20で成形されたペットボトル202を整列機17に向けて搬入する。第2搬入路11B、第3搬入路11Cは、それぞれが既に形成されたペットボトル202,203を整列機17に向けて搬入する。第1搬入路11A、第2搬入路11Bおよび第3搬入路11Cは、それぞれがペットボトル201,202,203を独立して搬送し、整列機17に搬入する。
【0018】
[第1搬入路11A]
第1搬入路11Aは、ブロー成形機20の最も下流側に位置する搬送ホイール12Aと、整列機17との間に設けられる3つの搬送ホイール13A,14A,15Aと、を有している。
第1搬入路11Aは、ブロー成形機20で成形された500mLの空のペットボトル202を、搬送ホイール12A,13A,14A,15Aを介して整列機17に搬入する。搬送ホイール12A〜15Aは円周上に複数のグリッパと称される把持具が設けられた回転体からなる搬送手段である。以下も同様である。
【0019】
第1搬入路11Aによるペットボトル202の搬入は、整列機17に対して2ピッチ毎(1ピッチおき)の間隔を前後するペットボトル202の間で設けて行われる。つまり、整列機17が第1搬入路11Aからペットボトル202を受けた段階では、整列機17においてペットボトル202を把持するグリッパと、ペットボトルを把持していない空きのグリッパとが交互に並ぶ。
【0020】
[第2搬入路11B]
第2搬入路11Bは、予め準備されていた300mLのペットボトル201を整列機17に向けて搬入する。
第2搬入路11Bは、一列に並んだペットボトル201を直線上に搬送するコンベア12Bと、コンベア12Bからペットボトル201を受け取る搬送ホイール13Cと、を備える。コンベア12Bには図示を省略するタイミングスクリュが設けられており、ペットボトル201を所定のピッチで搬送ホイール13Bに受け渡し、搬送ホイール13Bはこのピッチを維持したままで整列機17にペットボトル201を搬入する。
【0021】
第2搬入路11Bによるペットボトル201の搬入は、整列機17に対して4ピッチ毎(3ピッチおき)の間隔を前後するペットボトル201の間で設けて行われる。これにより、第2搬入路11Bは、整列機17において500mLのペットボトル202を把持していない空きのグリッパに、300mLのペットボトル201を3ピッチおきに把持させる。
【0022】
第3搬入路11Cは、予め準備されていた2Lのペットボトル203を整列機17に向けて搬入する。
第3搬入路11Cは、一列に並んだペットボトル203を直線上に搬送するコンベア12Cと、コンベア12Cからペットボトル203を受け取る搬送ホイール13Cと、を備える。コンベア12Cには図示を省略するタイミングスクリュが設けられており、ペットボトル203を所定のピッチで搬送ホイール13Cに受け渡し、搬送ホイール13Cはこのピッチを維持したままで整列機17にペットボトル203を搬入する。
【0023】
第3搬入路11Cによるペットボトル203の搬入は、整列機17に対して4ピッチ毎(3ピッチおき)の間隔を前後するペットボトル201の間で設けて行われる。このピッチは、第2搬入路11Bと同じであるが、第2搬入路11Bとは2ピッチ分だけ位相がずれている。これにより、第3搬入路11Cは、整列機17において300mL、500mLのペットボトル201,202のいずれも把持されていない空きのグリッパに、2Lのペットボトル203を3ピッチおきに把持させる。
【0024】
[整列機17]
容器搬入部10の整列機17は、第1搬入路11A、第2搬入路11B、第3搬入路11Cからそれぞれ所定の間隔でペットボトル201,202,203を受け取って一列に整列させる。整列機17で一列に整列されたペットボトル201,202,203は、下流工程に該当する容器検査部30に受け渡される。
【0025】
整列機17は、本実施形態においては搬送ホイールから構成され、円周上に設けられる複数の図示を省略するグリッパでペットボトル201,202,203を後述する順番で受け取ることで、独立して搬入されるペットボトル201,202,203を一列に整列させる。
整列機17は、第1搬入路11A、第2搬入路11Bおよび第3搬入路11Cにより搬入されるペットボトル201,202,203のピッチが前述した通りであるから、
図3に示すように、4つのグリッパごとに500mL(ペットボトル202)、2L(ペットボトル203)、500mL(ペットボトル202)、300mL(ペットボトル201)の順にペットボトル200が周期的に一列に整列される。つまり、本実施形態においては、300mL、500mL、2Lのペットボトルが1:2:1の比で下流側に供給される。
なお、ここでは第1搬入路11Aがブロー成形機20からペットボトル201の供給を受け、また、第2搬入路11Bおよび第3搬入路11Cが予め準備されていたペットボトル202,203の供給を受けることとしたが、あくまで一例である。
【0026】
[搬入路11と整列機17の関係]
整列機17は、ペットボトル201,202,203の首部207を把持する。この首部207は、形状および寸法が規格化されているために、整列機17の同じグリッパで首部207を把持できる。
【0027】
把持されるペットボトル201,202,203は、容量が異なることに起因して容器の高さが異なり、具体的には容量の多い方が容器の高さが高くなる。この容器の高さが異なるペットボトル201,202,203を首部207で把持するので、
図6に示すように、把持されたペットボトル201,202,203のそれぞれの底面208の鉛直方向Vの位置が相違することになる。
【0028】
この容器の高さに基づく底面208の相違に対応するために、第1搬入路11A、第2搬入路11Bおよび第3搬入路11Cの鉛直方向の位置が以下のように調整される。
第1搬入路11Aは、搬送ホイール12A〜15Aで構成されるが、これらのペットボトル202をグリッパによる把持位置は整列機17と一致する。第2搬入路11Bの搬送ホイール13B、第3搬入路11Cの搬送ホイール13Cのグリッパによる把持位置も同様である。
【0029】
しかし、第2搬入路11Bのコンベア12Bは、300mLと容器高さの低いペットボトル201を搬送するから、鉛直方向の位置が高く設定される。また、第3搬入路11Cのコンベア12Cは、500mLと容器高さの高いペットボトル202であるから、鉛直方向の位置が低く設定される。もっとも、コンベア12Bを搬送されるペットボトル201の首部207とコンベア12Cを搬送されるペットボトル202の首部207の位置は、整列機17にペットボトル201,202を受け渡すために同じとされる。
【0030】
以上の通りであり、搬入路11は、第1搬入路11A、第2搬入路11Bおよび第3搬入路11Cにおけるペットボトル201,202,203の鉛直方向の位置が予め整列機17の鉛直方向の位置に整合されている。換言すれば、この整合がなされているので、液体充填システム1は、搬入路11について部材の取り換え作業をすることなく、3種類のペットボトル201,202,203に連続的な飲料の充填を可能とする。
【0031】
[容器検査部30,殺菌部40,すすぎ部50]
容器検査部30は、例えばペットボトル200の形状不良を判定し、不良と判定されたペットボトル200を排除する。
殺菌部40は、例えば過酢酸および過酸化水素を含む殺菌剤を供給し、ペットボトル200の少なくとも内面を殺菌処理する。
また、すすぎ50部は、すすぎ剤を供給し、殺菌部40で供給された殺菌剤をペットボトル200から洗い流す。
【0032】
[充填部60]
充填部60は、容器検査部30、殺菌部40およびすすぎ部50を経たペットボトル200が供給されるように、容器検査部30、殺菌部40およびすすぎ部50の下流側に設けられている。充填部60は、搬送ホイールでペットボトル200を把持しながら、搬送ホイールの円周上にグリッパに対応して設けられる複数の充填バルブからペットボトル200に向けて飲料水を吐出する回転式の液体充填装置である。
【0033】
充填部60は、すすぎ部50を通過したペットボトル200を順番に搬送ホイールで受け、搬送ホイールがほぼ1回転してペットボトル200が周方向に搬送される間に、充填バルブからペットボトル200に飲料水を充填する。
【0034】
本実施形態では、ペットボトル201,202,203において、グリッパによる把持部となる首部207が規格化されている。そのため、充填部60は、異なる種類のペットボトル201,202,203を同じグリッパで把持しながら、同一種類の飲料水を連続的に充填できる。
【0035】
容器搬入部10から搬入されるペットボトル201,202,203の種類と順番は既知であり、充填部60においてもこの既知情報は受け継がれる。制御部110は、この既知情報を取得することにより、個々の充填バルブの吐出量を各々のペットボトル201,202,203の容量に応じて設定する。これにより、充填部60は、容量の異なるペットボトル201,202,203にそれぞれ適正な量の飲料水を連続的に充填できる。
【0036】
[キャッパ70]
キャッパ70は、充填部60から受け渡される液体が充填されたペットボトル200の口部205にキャップを装着し、ペットボトル200の口部を封止する。
【0037】
[容器搬出部80]
容器搬出部80は、キャッパ70から受け渡されるキャップ取り付け後のペットボトル201,202,203を種類ごとに分配して異なる搬出路に払い出す。
容器搬出部80は、
図4に示すように、ペットボトル201,202,203を分配する分配機81と、分配機81で分配されたペットボトル201,202,203のそれぞれを下流に向けて搬出する搬出路85と、を備える。以下、
図4および
図5を参照しながら分配機81、搬出路85の順に説明する。
【0038】
[分配機81]
分配機81は、搬送ホイール81A、搬送ホイール82Aおよび搬送ホイール83Aと、搬送ホイール81Bおよび搬送ホイール82Bと、を備える。搬送ホイール81Bは搬送ホイール81Aと搬送ホイール82Aの間に設けられ、搬送ホイール82Bは搬送ホイール82Aと搬送ホイール83Aの間に設けられる。
【0039】
分配機81は、キャッパ70から搬送ホイール81Aでペットボトル201,202,203を受け取る。その後、最も下流の搬送ホイール83Aに至る過程で、2Lのペットボトル203が第1搬出路85Aに分配され、次に、500mLのペットボトル202が第2搬出路85Bに分配され、最後に、300mLのペットボトル203に分配される。つまり、第1搬出路85Aが第3搬入路11Cに対応し、第2搬出路85Bが第2搬入路11Bに対応し、第3搬出路85Cが第1搬入路11Aに対応する。
【0040】
搬送ホイール81A,82A,83A,81B,82Bは、いずれも回転体から構成されるが、ペットボトル201,202,203を保持する形式が異なる。つまり、搬送ホイール81A、搬送ホイール82Aおよび搬送ホイール83Aは、ペットボトル201,202,203の底面208を下方から支持する。
【0041】
図5(a)に示すように、搬送ホイール81Aは、図示しない駆動装置によって図中R1方向に回転する回転軸91と、ペットボトル200の底面208が載せられる鉛直支持体92と、ペットボトル200の底面208の近辺を水平方向から支持する第1水平支持体93と、ペットボトル200のキャップ209の位置を水平方向から支持する第2水平支持体94と、を備えている。鉛直支持体92、第1水平支持体93および第2水平支持体94は、回転軸91とともに回転する。
搬送ホイール81Aは、3種類のペットボトル201,202,203を受け取るので、鉛直支持体92、第1水平支持体93および第2水平支持体94がペットボトル201,202,203に対応する位置に予め配置される。なお、
図5(a)は、2種類のペットボトル203,202に対応する鉛直支持体92、第1水平支持体93および第2水平支持体94だけが描かれている。なお、
図5(b)も同様である。
【0042】
搬送ホイール81Aは、鉛直支持体92および第1水平支持体93は、アーム95を介して昇降機構96に接続されている。例えばペットボトル201,202,203以外の容量のペットボトル200に飲料水を充填することになれば、昇降機構96を動作させることにより高さ方向(図中上下方向)に鉛直支持体92および第1水平支持体93を昇降運動させる。これにより、液体充填システム1は、ペットボトル200の高さに応じて、鉛直支持体92および第1水平支持体93が適切な鉛直方向Vの位置に調整される。
【0043】
なお、搬送ホイール82Aおよび搬送ホイール83Aは、搬送ホイール81Aと同じ構成を有しているので、構成の説明を省略する。ただし、搬送ホイール82Aは、2Lのペットボトル203を搬送せず、また、搬送ホイール83Aは、2Lのペットボトル203および500mLのペットボトル202を搬送しない。
【0044】
次に、搬送ホイール81Bについて説明する。
搬送ホイール81Bは、ペットボトル200の首部207を把持して搬送する。
図5(b)に示すように、搬送ホイール81Bは、回転軸101と、ペットボトル200の首部207を把持する複数のグリッパ105とを有している。回転軸101は、図示しない駆動装置によって図中R2方向に回転する。グリッパ105は、アーム103を介して回転軸101に接続されており、回転軸101とともに回転する。
【0045】
搬送ホイール81Bは、ペットボトル200の首部207をグリッパ105で把持するので、ペットボトル200の容器高さを配慮した構成を有しない。
また、搬送ホイール81Bは搬送ホイール81Aと同じ構成を有しているので、構成の説明を省略する。
【0046】
また、搬送ホイール81A、搬送ホイール82Aおよび搬送ホイール83Aと、搬送ホイール81Bおよび搬送ホイール82Bとは、ペットボトル200の首部207を同じ高さで受け渡しできるように配置されている。搬送ホイール81A、搬送ホイール82Aおよび搬送ホイール83Aはペットボトル200を底面208で下方から支持して搬送し、搬送ホイール81Bおよび搬送ホイール82Bはペットボトル200の首部207を把持して搬送する。そのため、最も上流の搬送ホイール81Aから最も下流の搬送ホイール83Aまで液体が充填されたペットボトル200を上下動させることなく受け渡すことができる。
【0047】
[搬出路85]
搬出路85は、分配機81により分配されたペットボトル201,202,203のそれぞれを軸立して受け取って下流に向けて搬出する。
搬出路85は、2Lのペットボトル203を受け取る第1搬出路85Aと、500mLのペットボトル202を受け取る第2搬出路85Bと、300mLのペットボトル201を受け取る第3搬出路85Cと、を備える。第1搬出路85A,第2搬出路85B,第3搬出路85Cは、いずれもコンベア装置から構成できる。
【0048】
第1搬出路85Aは、搬送ホイール81Bに接続され、ペットボトル203が払い出される。第1搬出路85Aは、2Lのペットボトル203の容器高さを考慮して、ペットボトル203を搬送する鉛直方向Vの位置が設定されている。つまり、搬送ホイール81Bのグリッパ105による把持を解除することによりペットボトル203は第1搬出路85Aに移送されるが、ペットボトル203の底面208から第1搬出路85Aの搬送面までの距離を小さくすることで移送の衝撃が軽減されている。第2搬出路85B,第3搬出路85Cについても同様である。
【0049】
第2搬出路85Bは、搬送ホイール82Bに接続され、ペットボトル202が払い出されるが、500mLのペットボトル202の容器高さを考慮して、搬送面の鉛直方向Vにおける位置が設定されている。
【0050】
第3搬出路85Cは、最も下流側に配置される搬送ホイール83Aに接続され、ペットボトル201が払い出されるが、300mLのペットボトル201の容器高さを考慮して、搬送面の鉛直方向Vにおける位置が設定されている。
【0051】
ここで、2Lのペットボトル203は容器高さが最も高いので、
図6に示すように、その底面208の鉛直方向Vの位置は他のペットボトル202,203よりも低くなる。そのため、第1搬出路85Aは、第2搬出路85Bおよび第3搬出路85Cよりも低い位置に搬送面が配置される。なお、ペットボトル201,202,203の首部207の位置は同じであることが前提である。また、300mLのペットボトル201と比べると、500mLのペットボトル203は容器高さが高いので、第2搬出路85Bは第3搬出路85Cよりも搬送面の鉛直方向の位置が高い。つまり、搬出路85は、第1搬出路85A、第2搬出路85B、第3搬出路85Cの順に鉛直方向Vの位置が高くなるように設定される。
【0052】
[液体充填システム1の動作]
次に、液体充填システム1の動作を、容器搬入部10および容器搬出部80を中心にして説明する。
【0053】
[容器搬入部10]
第1搬入路11Aによりペットボトル202が、第2搬入路11Bによりペットボトル201が、また、第3搬入路11Cによりペットボトル203が、それぞれ独立の経路で整列機17に搬入される。ペットボトル202は2ピッチ毎、ペットボトル201は4ピッチ毎、ペットボトル203は4ピッチ毎で、かつ、位相を調整することで、整列機17において500mL(ペットボトル202)、2L(ペットボトル203)、500mL(ペットボトル202)、300mL(ペットボトル201)の順にペットボトル200が周期的に一列に整列される。一列に整列されたペットボトル200は、この整列状態を維持しながら、下流である容器検査部30、殺菌部40、すすぎ部50を通過して、充填部60に供給される。充填部60においては、整列状態に対応する容量の飲料水が充填される。
【0054】
飲料水が充填されたペットボトル200は、キャッパ70で口部205にキャップが被された後に、容器搬出部80に移送される。
【0055】
[容器搬出部80]
容器搬出部80において、搬送ホイール81Aは、キャッパ70から受け渡されたペットボトル201,202,203を搬送ホイール81Bに受け渡す。搬送ホイール81Bは、搬送ホイール81Aから受け取ったペットボトル201,202,203のうち、2Lのペットボトル201を第1搬出路85Aに払い出す一方、他のペットボトル201,202を搬送ホイール82Aに受け渡す。
搬送ホイール82Aは、搬送ホイール81Bから受け取ったペットボトル201,202を搬送ホイール82Bに受け渡す。搬送ホイール82Bは、搬送ホイール82Aから受け取ったペットボトル201,202のうち、500mLのペットボトル202を第2搬出路85Bに払い出す一方、300mLのペットボトル201を搬送ホイール83Aに受け渡す。
搬送ホイール83Aは、搬送ホイール82Bから受け取った300mLのペットボトル201を第3搬出路85Cに払い出す。
【0056】
ここで、搬送ホイール83Aからペットボトル201を第3搬出路85Cに払い出すときには、例えば、第3搬出路85Cに設けた不図示のガイド部材によって、搬送ホイール83Aで搬送されるペットボトル201が第3搬出路85Cに押し出される。これにより、搬送ホイール83Aから第3搬出路85Cにペットボトル201が受け渡される。
なお、搬送ホイール83Aに鉛直支持体92を設ける代わりに、鉛直支持体92の高さに、搬送ホイール82Bで受け渡されたペットボトル201を第3搬出路85Cまで案内する円弧状の摺動板(不図示)を配置してもよい。このような構成によっても、搬送ホイール83Aで搬送されるペットボトル201が摺動板にガイドされて第3搬出路85Cに払い出される。
【0057】
[液体充填システム1の効果]
以下、本実施形態の液体充填システム1の効果を述べる。
本実施形態の液体充填システム1は、容器搬入部10が、ペットボトル201,202,203のそれぞれを搬入する第1搬入路11A、第2搬入路11Bおよび第3搬入路11Cを有しているので、第1搬入路11A、第2搬入路11Bおよび第3搬入路11Cのそれぞれを予めペットボトル201,202,203に対応する仕様にしておくことができる。したがって、液体充填システム1によれば、容量の異なるペットボトル201,202,203に同じ飲料水を連続充填するにあたって、第1搬入路11A、第2搬入路11Bおよび第3搬入路11Cについて部材類を取り換える必要がないので、運転停止を伴わない。
【0058】
また、容器搬入部10が、ペットボトル201,202,203を一列に並べて下流に向けて供給する整列機17を備えるので、回転式の充填部60を用いて無理なく連続充填を実現できる。
【0059】
加えて、液体充填システム1は、容器搬出部80がペットボトル201,202,203のそれぞれを下流に向けて搬出する第1搬出路85A、第2搬出路85Bおよび第3搬出路85Cを有しているので、第1搬出路85A、第2搬出路85Bおよび第3搬出路85Cそのそれぞれを予めペットボトル201,202,203に対応する仕様にしておくことができる。したがって、液体充填システム1によれば、容量の異なるペットボトル201,202,203に同じ飲料水を連続充填するにあたって、第1搬出路85A、第2搬出路85Bおよび第3搬出路85Cについて部材類を取り換える必要がないので、運転停止を伴わない。
【0060】
しかも、液体充填システム1は、一列に並んだペットボトル201,202,203をペットボトル203、ペットボトル202およびペットボトル201の順に分配する分配機81を備えている。したがって、液体充填システム1によれば、人手による分配作業を行うことなく、ペットボトル201,202,203のそれぞれを集合させることができる。
【0061】
以上の通りであり、液体充填システム1によれば、複数種類のペットボトル200に対して同一の液体を連続充填することができる。しかも、液体充填システム1によれば、複数種類のペットボトル200に連続充填する際に運転停止を伴うことがなく、かつ、生産の歩留まりを落とすことがない。
【0062】
次に、液体充填システム1は、第1搬出路85A、第2搬出路85B、第3搬出路85Cが、払い出されるペットボトル201,202,203の底面208の鉛直方向の位置に応じてその位置がそれぞれ設定される。したがって、例えば、底面208の位置が低い2Lのペットボトル203を第2搬出路85Bと同じ鉛直方向の位置のコンベアに払い出そうとしても、ペットボトル203が当該コンベアと干渉してしまう。これに対し、本実施形態の容器搬出部80は、容器高さの高い順、換言すれば、ペットボトル201、ペットボトル202およびペットボトル203の底面208の位置が低い順に、第1搬出路85A、第2搬出路85B、第3搬出路85Cに払い出すため、ペットボトル200と搬出路85を構成するコンベアとの干渉を避けることができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択することや、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態においては、ペットボトル200に充填される液体が飲料水である例を説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、調味料、医薬品等の他の液体を充填の対象にできる。
また、上記実施形態においては、ペットボトル201,202,203について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の容器の種類の組み合わせを採用できる。
また、上記実施形態においては、ペットボトル201,202,203の供給比率を1:2:1としたが、本発明はこれに限定されず、例えば製品の販売実績に応じた他の供給比率を採用できる。
また、整列機17においてペットボトル201,202,203が一列に整列されるパターンはあくまで一例であり、他のパターン、例えば、2L(ペットボトル203)、300mL(ペットボトル201)、500mL(ペットボトル202)、2L(ペットボトル203)といった順序で整列してもよい。
【0065】
また、上記実施形態においては、3種類のペットボトル201,202,203に液体を連続充填するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、2種類の容器または4種類以上の容器に対して同一の液体を連続充填してもよい。
また、上記実施形態の液体充填システム1は、3種類のペットボトル201,202,203に液体を連続充填することを前提とするが、例えば、ペットボトル201だけに飲料水を充填することもでき、あるいはペットボトル201,202に飲料水を充填することもできる。前者の場合、第1搬入路11Aからペットボトル201を搬入するが、第2搬入路11Bおよび第3搬入路11Cからはペットボトル202,203を搬入しない。このとき、第1搬入路11Aおよび整列機17におけるペットボトル201のピッチを1ピッチごとに狭くしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態の容器搬出部80は、底面支持型の搬送ホイールと把持型の搬送ホイールとを交互に配置してペットボトル200を搬送する構成である。しかし、容器搬出部80は、把持型の搬送ホイールのみでペットボトル200を搬送する構成であってもよい。
【0067】
また、対象となる容器はペットボトルに限定されることはなく、把持できる部分の形状および寸法が一定の容器に広く適用できる。なお、典型的には当該部分が規格化されている容器が該当するが、必ずしも当該部分が規格化されていなくてもよい。例えば、ボトル形状のキャップ付缶が対象であってもよい。