特許第6981821号(P6981821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981821
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】タイヤ情報取得装置及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20211206BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B60C23/04 110A
   B60C19/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-171423(P2017-171423)
(22)【出願日】2017年9月6日
(65)【公開番号】特開2019-43478(P2019-43478A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅彦
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−254044(JP,A)
【文献】 特開2017−105416(JP,A)
【文献】 特表2006−507495(JP,A)
【文献】 特開2007−182142(JP,A)
【文献】 特開2004−314924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの情報を取得するセンサを備えたセンサモジュールと、タイヤ内面に設置されて、前記センサモジュールを支持する支持躯体とを備えたタイヤ情報取得装置であって、
前記支持躯体不織布から構成され、前記センサモジュールは前記タイヤ内面に対して浮いた状態で前記支持躯体に取付けられていることを特徴とするタイヤ情報取得装置。
【請求項2】
前記センサを、前記タイヤの内面に取付けることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ情報取得装置。
【請求項3】
前記支持躯体のタイヤ内面側に、タイヤ内面に連通する空隙部を設けたことを特徴とす
る請求項1または請求項2に記載のタイヤ情報取得装置。
【請求項4】
前記支持躯体のタイヤ径方向に平行な面で切った断面において、
前記支持躯体のタイヤ内面との接触している部分の長さをLa、前記空隙部の支持躯体の
タイヤ内面側の長さをLbとしたとき、前記Laと前記Lbとが、下記の式(1)に示す関係を満たしていることを特徴とする請求項に記載のタイヤ情報取得装置。
0.2≦Lb/La≦2.0 ……(1)
【請求項5】
請求項1〜請求項のいずれかに記載のタイヤ情報取得装置を備えたタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの情報を取得するセンサを有するセンサモジュールと、前記センサモジュールを支持する支持躯体とを備え、タイヤの内面に取付けられるタイヤ情報取得装置とこのタイヤ情報取得装置を搭載したタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの内面にゴムから成る支持躯体を接着し、圧力センサ,温度センサ,加速度センサ等のタイヤの情報を取得するセンサと増幅器及び送信器が配置されたセンサモジュールをその支持躯体で支持する構成のタイヤ情報取得装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図6は、ゴム製の支持躯体51を有するタイヤ情報取得装置50の一例を示す図で、支持躯体51は、円錐台状の躯体本体52と、この躯体本体52のタイヤ30の内面側とは反対側である上部側に形成された円筒形の空洞部53とを備え、この空洞部53に、センサ54を備えたセンサモジュール55が収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−532551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記図6に示したタイヤ情報取得装置50では、タイヤ内部での重量が、タイヤ情報取得装置50が取付けられた箇所に集中するので、ユニフォミティーが低下し、その結果、乗り心地性能が悪化してしまうといった問題点があった。
また、支持躯体51がゴムなので、タイヤ30の転動時は、センサモジュール55との摩擦熱が発生するだけでなく、支持躯体51のゴムがセンサモジュール55の放熱を妨げるよう作用するので、センサモジュール55の貼付け部付近の温度が上昇する。この温度上昇は、タイヤの高速耐久性能を低下させる要因となる。
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、乗り心地性能やタイヤの高速耐久性能への影響を少なくできる構成のタイヤ情報取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タイヤの情報を取得するセンサを備えたセンサモジュールと、タイヤ内面に
設置されて、前記センサモジュールを支持する支持躯体とを備えたタイヤ情報取得装置で
あって、支持躯体不織布から構成され、センサモジュールはタイヤ内面に対して浮いた状態で支持躯体に取付けられていることを特徴とする。
このように、支持躯体を構成する材料を、ゴムに比べてはるかに軽量な不織布から構成したので、支持躯体の重量を大幅に低減できる。したがって、ユニフォミティーへの影響を少なくすることができ、乗り心地性能の低下を大幅に抑制することができる。
また、不織布は、変形による熱の発生や、蓄熱作用が殆どないので、センサモジュール
の貼付け部付近の温度上昇を抑制することができる。したがって、タイヤの高速耐久性能
の低下を抑制することができる。
また、不織布は吸音性能を有するので、タイヤ走行時における空洞共鳴音が吸収され、
その結果、乗り心地性能が向上する。
また、センサモジュールを、タイヤ内面に対して浮いた状態で前記支持躯体に取付けることで、タイヤ転動時における入力、特に、踏み込み時にセンサモジュールに作用する衝撃力を支持躯体の変形で吸収するようにしたので、電池やセンサ回路などのセンサモジュール内部の電子部品の劣化を抑制することができる。
【0007】
た、センサを、センサモジュールから分離して、タイヤの内面に取付けるようにしたので、タイヤに入力する振動やタイヤの変形状態を精度よく検出できる。
また、支持躯体のタイヤ内面側に、タイヤ内面に連通する空隙部を設けることで、タイヤにかかる重量を分散させるとともに、躯体を変形し易くしたので、乗り心地性能とタイヤの高速耐久性能への影響を更に少なくすることができる。
また、本発明は、支持躯体のタイヤ径方向に平行な面で切った断面において、支持躯体のタイヤ内面との接触している部分の長さをLa、前記空隙部の支持躯体のタイヤ内面側の長さをLbとしたとき、前記Laと前記Lbとが、下記の式(1)に示す関係を満たしていることを特徴とする。
0.2≦Lb/La≦2.0 ……(1)
このように、支持躯体の空隙部の長さをタイヤ内面との接触している部分の長さの1/
5以上2倍以下としたので、支持躯体を適度に変形させることができる。したがって、乗
り心地性能とタイヤの高速耐久性能への影響を確実に低減することができる。
また、このようなタイヤ情報取得装置を備えたタイヤでは、乗り心地性能を低下させる
ことなく、タイヤ内圧やタイヤ内温度或いはタイヤに入力する振動やタイヤの変形状態を
精度よく検出することができる。
【0008】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係るタイヤ情報取得装置を示す図である。
図2】実施例における支持躯体の仕様と、乗り心地性能及びタイヤの高速耐久性能の評価結果を示す表(表1)である。
図3】実施例における支持躯体の仕様と、乗り心地性能及びタイヤの高速耐久性能の評価結果を示す表(表2)である。
図4】本発明によるタイヤ情報取得装置の他の例を示す図である。
図5】本発明によるタイヤ情報取得装置の他の例を示す図である。
図6】ゴム製の支持躯体を有するタイヤ情報取得装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態
図1(a),(b)は、本実施の形態に係るタイヤ情報取得装置1を示す図で、同図において、2はタイヤ30の内面に作用する加速度を検出する加速度センサ、3は前記検出された加速度のデータを処理して、図示しない車体側に送信するタイヤ情報処理手段、4は加速度センサ2とタイヤ情報処理手段3とを電気的に接続するための配線、5は本発明による支持躯体で、タイヤ情報処理手段3を、タイヤ内面に対して浮いた状態で支持する。
タイヤ情報処理手段3は、電池、演算装置、送信器等の電子部品を、接着性の樹脂などを用いて一体化したもので、本例では、その形状を円板状とした。
支持躯体5は、支持部5aと、支持部5aの両端側からタイヤ内面側に突出して支持部5aを支持する、互いに離隔した2本の脚部5f,5kとを備えた、タイヤ径方向に平行な面で切った断面(ここでは、タイヤ幅方向に垂直な断面)が略コの字状の部材で、支持部5aと2本の脚部5f,5kとにより、タイヤ内面側に、タイヤ30の内面に連通する空隙部5bを形成する。本例では、脚部5f,5kの断面形状を、タイヤ内面側の辺が底辺となる台形状とした。
なお、脚部5fは踏み込み側の脚部で、脚部5kは蹴り出し側の脚部である。
加速度センサ2は、空隙部5bのタイヤ30の内面側に貼り付けられ、タイヤ情報処理手段3は、支持部5aの上面側(タイヤ内面側とは反対側)に設置される。すなわち、加速度センサ2は、空隙部5bのタイヤ30の内面側に貼り付けられる。
なお、本例では、支持部5aをタイヤ径方向から見た時の形状が長方形の板状の部材とするとともに、支持躯体5を、支持部5aの長辺の方向がタイヤ周方向に、短辺の方向がタイヤ幅方向になるようにタイヤ30の内面に取付けることで、支持躯体5がタイヤ周方向に変形し易くしたので、タイヤ転動時における入力を効果的に緩和することができる。
【0011】
支持躯体5を構成する支持部5aと脚部5f,5kとは、芳香族ポリアミドやポリエステルなどの不織布をラミネートしたものを、それぞれの形状にカットした後、支持部5aに脚部5f,5kを接着して作製される。
本例では、目付が40〜200g/m2の不織布を用いた。これは、目付が200g/m2を超えるとタイヤ30からの振動が伝達しやすくなり、乗り心地性能が悪化し、目付が40g/m2未満であると、支持躯体5の変形が大きくなるため、高速耐久性が低下するだけでなく、乗り心地性能も悪化するからである。
なお、支持躯体5を作製する方法としては、不織布をラミネートして断面が台形状のブロックを作製した後、このブロックの底部側を削り取って、空隙部5bを形成するようにしてもよい。
あるいは、支持躯体5を、加熱プレス成型や真空成型などにより作製してもよい。
不織布は、ゴムに比べてはるかに軽量なので、支持躯体5の重量を大幅に低減することができる。したがって、ユニフォミティーへの影響を少なくすることができ、乗り心地性能の低下を大幅に抑制することができる。
また、材料が不織布であることに加え、支持躯体5に上記のような空隙部5bを設けたので、ゴムに比べて変形し易い。したがって、タイヤに作用する入力を変形により吸収することができる。また、変形による熱の発生が殆どないので、貼付け部である脚部5f,5kの底部付近の温度上昇を抑制できるので、タイヤ30の高速耐久性能の低下を抑制することができる。
【0012】
ところで、支持躯体5は、2本の脚部5f,5kのみでタイヤ内面と接触しているが、接触している部分の長さLaと接触していない部分の長さLbとを、下記の式(1)に示す関係を満たすように設定すれば、支持躯体5を適度に変形させることができる。
0.2≦Lb/La≦2.0 ……(1)
具体的には、図1(a),(b)に示すように、支持躯体5の長さをL1、踏み込み側の脚部5fの底辺の長さをLf、蹴り出し側の脚部5kの底辺の長さをLkとし、かつ、Lf=Lk=L3とすれば、La=2・L3、Lb=(L1−2・L3)である。したがって、上記式(1)は、上記のL1,L3を用いると、以下の式(2)のようになる。
0.4≦(L1−2・L3)/L3≦4.0 ……(2)
以下、(L1−2・L3)/L3を空隙比Kという。
空隙比Kが0.4未満であると、タイヤ内面と接触している面積が大きすぎるため、支持躯体5は変形しにくくなり、その結果、乗り心地性能が悪化する。一方、空隙比Kが4.0を超えると、タイヤ内面と接触している面積が小さくなるため、支持躯体5の変形が大きくなり、その結果、高速耐久性能が低下するだけでなく、乗り心地性能も悪化する。したがって、高速耐久性能と乗り心地性能とを確保するためには、0.4≦K≦4.0とすることが好ましい。
【0013】
[実施例]
以下の実施例1〜6と比較例1〜7とについて、高速耐久性能、乗り心地性能、及び、吸音効果について調べた結果を、図2及び図3の表に示す。なお、図2は、実施例1〜4と比較例1〜4の結果で、図3は、実施例1,5,6と比較例5〜7の結果である。
実施例1は、図1に示した構成のタイヤ情報取得装置で、支持躯体の材質を、目付が100g/m2、フィラメント径が12.5μmの芳香族ポリアミドから成る不織布(不織布A)としたものである。また、支持躯体の長さ寸法は、L1=6.0cm、L2=3.0cm、L3=2.0cm、L4=2.0cm、(L1−2・L3)/L3=1.0である。
実施例2は、支持躯体の材質をポリエステル(不織布B)とした以外は実施例1と同
実施例3は、目付を50g/m2とした以外は実施例1と同じである。
比較例2は、目付を30g/m2とした以外は実施例1と同じである。
実施例4は、目付を200g/m2とした以外は実施例1と同じである。
比較例3は、目付を300g/m2とした以外は実施例1と同じである。
比較例4は、図6に示した構成のタイヤ情報取得装置で、支持躯体の材質はゴムで、長さ寸法は、底面の直径L1=4.0cm、上面の直径L2=3.0cm、高さL4=2.0cm、である。
実施例5は、L3を2.5cm(K=0.4)とした以外は実施例1と同じである。
実施例6は、L3を1.0cm(K=4.)とした以外は実施例1と同じである。
比較例5は、L3を3.0cm(K=0.0)とした以外は実施例1と同じである。
比較例6は、L3を0.5cm(K=10.0)とした以外は実施例1と同じである。
比較例7は、図6に示した構成のタイヤ情報取得装置で、支持躯体の材質は実施例1と同じ、目付が100g/m2、フィラメント径が12.5μmの芳香族ポリアミドから成る不織布(不織布A)としたもので、長さ寸法は、比較例4と同じである。
【0014】
高速耐久性能は、155/55R14、195/45R16、215/40R17の3つのサイズのタイヤにそれぞれ、上記のタイヤ情報取得装置を搭載し、高速耐久ドラムテストを行った。試験タイヤの空気圧、負荷荷重は、JIS D4230に定められた高速耐久試験A条件に準じた。
ステップ1;停止状態から初期速度(30km/h)まで加速(10 min)、
ステップ2;初期速度にて走行(10 min)、
ステップ3;初期速度+10km/hまで加速し10 min走行、
ステップ4;初期速度+20km/hまで加速し20 min走行、
同様の条件で速度UPを実施した。
目視可能なセパレーション、チャンキング、コード切れ、コードに達するクラック、または、コードに達するオープンスプライスが認められた速度をそのタイヤの高速耐久性能とし、実施例1を100とした指数で表わした。数値が大きいほどタイヤの高速耐久性能が高い。
乗り心地性能は、専門のドライバー2名によるフィーリングテストにより評価した。
評価速度;60〜200km/h、
評価路面;アスファルト舗装路、
評価項目;振動、車内音、乗り心地全般、
評価は、タイヤ情報取得装置を搭載していないタイヤとの相対比較で、
0 ;変わらない
+(−)2;やや良い(やや悪い)
+(−)4;良い(悪い)
+(−)8;非常に良い(非常に悪い)とした。
吸音効果は、評価速度;60〜200km/h、評価路面;アスファルト舗装路、にて、一定速度で走行中の車内音を計測し、その実測値をFFT解析して、250Hz付近のピーク値を、タイヤ情報取得装置を搭載していないタイヤのピーク値を0dBとしてdB表示した。数値が小さいほど吸音効果が大きい。
【0015】
はじめに、図2について説明する。
実施例1,2と比較例1の評価結果から明らかなように、支持躯体として不織布を用いた方が、高速耐久性能、乗り心地性能、吸音効果の全てにおいて、支持躯体としてゴムを用いた場合に比較して優れていることが分かる。なお、不織布をポリエステルとすると、吸音効果が若干低下するが、高速耐久性能、及び、乗り心地性能は芳香族ポリアミドの場合と同等であった。
これにより、支持躯体として不織布を用いれば、高速耐久性能、乗り心地性能、吸音効果が向上することが確認された。
また、実施例1と実施例3及び比較例2とから、不織布の目付を小さくすると、吸音効果が低下することが分かる。そして、目付が40g/m2未満になると、高速耐久性能、乗り心地性能、吸音効果が全ていずれも低下してしまうことがわかる。一方、実施例1と実施例4及び比較例3とから、不織布の目付を大きくすると、吸音効果は高くなる。しかし、目付が200g/m2を超えると満になると、高速耐久性能と乗り心地性能が低下してしまうことがわかる。したがって、不織布の目付としては40〜200g/m2とすることが好ましいことが確認された。
また、実施例1と比較例4の評価結果から、従来構造でかつ支持躯体がゴムの場合も、高速耐久性能、乗り心地性能、吸音効果の全てにおいて、支持躯体として不織布を用いた場合に比較して低下していることが確認された。
【0016】
次に、図3について説明する。
実施例1と実施例5,及び比較例5の評価結果から、空隙比Kが0.4未満であると、吸音性能は良くなるが乗り心地性能が低下することが分かる。実施例1と実施例6及び比較例6の評価結果から、空隙比Kが4.0を超えると、高速耐久性能、乗り心地性能、吸音効果の全てにおいて、低下してしまうことが分かる。
したがって、空隙比Kを、0.4≦K≦4.0とすることが好ましいことが確認された。
また、実施例1と比較例7の評価結果から、従来構造のように、空隙がないと、支持躯体を不織布にしても、高速耐久性能、乗り心地性能、吸音効果の全てにおいて、実施例1よりも劣ることが確認された。なお、比較例4(図2)と比較例7とを比較して分かるように、従来構造であっても、支持躯体が不織布の場合の方が、支持躯体がゴムの場合よりも、高速耐久性能、乗り心地性能、及び、吸音効果の全てに優れていることが分かる。
このことからも、支持躯体の構造によらず、支持躯体をゴムから不織布にすることで、高速耐久性能、乗り心地性能、及び、吸音効果が改善されることが確認された。
【0017】
以上、本発明を実施の形態及び実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【0018】
例えば、前記実施の形態では、踏み込み側の脚部5fの底辺の長さLfと蹴り出し側の脚部5kの底辺の長さLkをともにL3としたが、LfとLkとを異なる値としてもよい。この場合、La=(Lf+Lk )、Lb={L1−(Lf+Lk)}であるので、上記式(1)は、上記のL1,Lf,Lkを用いると、以下の式(3)のようになる。
0.2≦{L1−(Lf+Lk)}/(Lf+Lk )≦2.0 ……(3)
また、前記実施の形態では、タイヤの情報を取得するセンサを加速度センサ2としたが、歪みセンサや圧力センサ、あるいは、温度センサなどの他のセンサであってもよい。
また、センサが、圧力センサや温度センサなどのように、タイヤに入力する振動やタイヤの変形状態を検出するセンサでない場合には、図4(a)に示すように、センサ2zをタイヤ情報処理手段3と一体化して支持部5aに取り付けるようにしてもよい。なお、加速度センサや歪みセンサのような、タイヤに入力する振動やタイヤの変形状態を検出するセンサについては、前記実施の形態のように、タイヤ30の内面側に張り付けてもよいし、タイヤ情報処理手段3と一体化してもよい。
タイヤ情報処理手段3の設置位置も、支持部5aの上面側に限定されるものではなく、例えば、図4(b)に示すように、支持部5aの下面側で空隙部5bのタイヤ30の内面側とは反対側に設置してもよい。
また、前記実施の形態では、支持躯体5の断面形状を略コの字状としたが、これに限るものではなく、図5(a),(b)に示すように、円錐台状の躯体本体7aのタイヤ内面側に円錐台状の空隙部7bを設けた支持躯体7など他の形状のものであってもよい。要は、タイヤ情報処理手段3を支持する支持躯体が不織布から構成されていればよく、更に、タイヤ情報処理手段3をタイヤ30の内面に対して浮いた状態で取付けることができれば、更に好ましい。
【符号の説明】
【0019】
1 タイヤ情報取得装置、2 加速度センサ、3 タイヤ情報処理手段、4 配線、
5 支持躯体、5a 支持部、5f,5k 脚部、5b 空隙部、30 タイヤ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6