(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[実施形態]
図1に示すように、本実施形態のチェーンソー2は、手持ち式電動工具の一種であり、周囲にソーチェーン3が取り付けられたガイドバー6と、ガイドバー6が突設された本体4とを備える。
【0035】
ガイドバー6は、本体4内のスプロケット(図示せず)と共にソーチェーン3を周回可能に支持するためのものであり、本体4内には、スプロケットを回転させることによってソーチェーン3を周回駆動するモータ10(
図2参照)が収納されている。
【0036】
また、本体4には、使用者が左右の手でそれぞれ把持するための第1グリップ12及び第2グリップ14が設けられている。
第1グリップ12は、本体4からのガイドバー6の突出方向を前方としたとき、本体4の上方で、本体4の前方から後方にかけて、本体4との間に把持用の空間を形成するように架け渡されている。
【0037】
また、第2グリップ14は、一端が第1グリップ12の前方上方部分の側壁に連結され、他端が本体4の後端部分の側壁に連結されている。
このため使用者は、第1グリップ12を本体4の上方で把持し、第2グリップを本体4の側方(図では左側)で把持することができる。
【0038】
また、第1グリップ12の更に前方には、モータ10の緊急停止機構(図示せず)に接続されたハンドガード16が設けられており、本体4の後方下端部分には、バッテリパック8が着脱可能に装着されている。
【0039】
第1グリップ12において、本体4の上方で使用者が把持可能な把持部の前方下方には、使用者が第1グリップ12を把持した手で引き操作可能な駆動スイッチ(以下、駆動SWという)18が設けられている。
【0040】
駆動SW18は、使用者により引き操作されるとオン状態となる、所謂トリガスイッチであり、モータ10と共に本体4内に収納されたモータ駆動部30の制御回路36に接続されている(
図2参照)。
【0041】
また、第1グリップ12において、駆動SW18とは反対側の上方には、ロック解除レバー19が設けられている。
ロック解除レバー19は、第1グリップ12内で駆動SW18に係合されて、駆動SW18を非操作位置に固定(ロック)する。そして、ロック解除レバー19は、使用者により第1グリップ12側に押下されると、駆動SW18との係合が外れ、駆動SW18が操作可能となる。
【0042】
従って、本実施形態のチェーンソー2においては、上方からロック解除レバー19を押さえつつ第1グリップ12を把持すれば、駆動SW18を指先で操作できるが、ロック解除レバー19を押さえなければ、駆動SW18は操作できない。
【0043】
なお、こうしたロック解除レバー19については、電動工具において周知であるため、詳細な構成は説明を省略する。
次に、第1グリップ12の前方上方部分の上端面には、操作パネル20が設けられている。操作パネル20には、主電源スイッチ(以下、主電源SWという)21と、チェーンソー2の動作状態を表示するための状態表示部22が組み付けられている。
【0044】
そして、主電源SW21、及び、状態表示部22も、モータ駆動部30の制御回路36に接続されている(
図2参照)。
なお、本実施形態では、主電源SW21は、使用者が操作(押下)しているときにだけオン状態となるタクトスイッチにて構成されている。このため、制御回路36は、主電源SW21がオン状態となる度に、主電源のオン・オフ状態が切り替わったことを認識する。
【0045】
また、状態表示部22は、点灯色が異なる2つのLEDにて構成されており、制御回路36は、その2つのLEDの点灯状態を切り替えることにより、モータ10を制御する際の動作モードを識別可能に表示する。
【0046】
また、チェーンソー2には、オイルタンク内のオイルの量を検出するオイル検出部28が設けられており、このオイル検出部28も、モータ駆動部30の制御回路36に接続されている(
図2参照)。なお、オイルタンクは、チェーンの摩耗や摩擦を抑える潤滑油を蓄えるためのものである。
【0047】
次に、モータ駆動部30は、バッテリパック8内のバッテリ9から電力供給を受けてモータ10を駆動制御するためのものであり、
図2に示すように、駆動回路32、ゲート回路34、制御回路36、及び、レギュレータ40を備える。なお、モータ10は、本実施形態では3相ブラシレスモータである。
【0048】
駆動回路32は、バッテリ9から電力供給を受けて、モータ10の各相巻線に電流を流すためのものであり、本実施形態では、6つのスイッチング素子Q1〜Q6からなる3相フルブリッジ回路として構成されている。なお、各スイッチング素子Q1〜Q6は、本実施形態ではMOSFETである。
【0049】
駆動回路32において、3つのスイッチング素子Q1〜Q3は、モータ10の各端子U,V,Wと、バッテリ9の正極側に接続された電源ラインとの間に、いわゆるハイサイドスイッチとして設けられている。
【0050】
また、他の3つのスイッチング素子Q4〜Q6は、モータ10の各端子U,V,Wと、バッテリ9の負極側に接続されたグランドラインとの間に、いわゆるローサイドスイッチとして設けられている。
【0051】
また、ゲート回路34は、制御回路36から出力された制御信号に従い、駆動回路32内の各スイッチング素子Q1〜Q6をオン/オフさせることで、モータ10の各相巻線に電流を流し、モータ10を回転させるものである。
【0052】
次に、制御回路36は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータ(マイコン)にて構成されている。
また、制御回路36には、制御対象となるモータ10やバッテリ9の状態及び使用状態を履歴情報として記憶するための不揮発性のメモリ38も設けられている。
【0053】
このため、モータ駆動部30には、バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部42、モータ10に流れた電流を検出する電流検出回路44、及び、モータ駆動部30の温度(以下、コントローラ温度という)を検出する温度センサ48が設けられている。
【0054】
そして、これら各部は、上述した駆動SW18、主電源SW21、状態表示部22、及び、オイル検出部28と共に、制御回路36に接続されている。
また、モータ10には、モータ10の回転位置及び回転速度を検出するための回転センサ50、及び、モータ10の温度(以下、モータ温度という)を検出する温度センサ52が設けられており、これら各センサも、制御回路36に接続されている。
【0055】
また、バッテリパック8には、バッテリ9の状態(温度、セル電圧等)を監視し、異常時にバッテリ9からの放電を停止させる停止信号AS(auto stop)を出力する監視回路(図示せず)が設けられている。
【0056】
そして、モータ駆動部30には、バッテリパック8の監視回路と制御回路36との間の通信を中継するデータ通信部46が設けられている。このため、制御回路36は、データ通信部46を介して、バッテリパック8から停止信号ASを受けてモータの駆動を停止したり、バッテリ9の状態を取得したりすることができる。
【0057】
次に、レギュレータ40は、バッテリ9から電力供給を受けて、制御回路36を動作させるための電源電圧Vcc(直流定電圧)を生成し、制御回路36を始めとするモータ駆動部30の内部回路に電源供給を行うためのものである。
【0058】
レギュレータ40は、主電源SW21がオン状態になると起動し、制御回路36への電源供給を開始する。すると、制御回路36は起動して、駆動SW18の操作に応じてモータ10を駆動するための制御処理を実行する。
【0059】
また、制御回路36は、起動後、駆動SW18がオフされると、制御処理を終了し、その後、所定時間経過する間に駆動SW18がオンされなければ、レギュレータ40の動作を自動で停止させる。なお、レギュレータ40の動作を停止させると、制御回路36への電源供給が遮断されることから、制御回路36も動作を停止する。
【0060】
次に、制御回路36にてモータ10の制御のために実行される制御処理について説明する。
図3に示すように、制御回路36は、起動後、まずS100にて、メモリ38に格納されている各種履歴情報を取得し、その後、S200〜S800の処理を繰り返し実行する。
【0061】
すなわち、S200では、上述したスイッチやセンサ、或いはバッテリパック8からの入力を確認する入力確認処理を実行し、S300では、主電源SW21がオン(操作)状態となったことを検出して、主電源のオン・オフ状態を切り替える主電源処理を実行する。
【0062】
また、S400では、バッテリパック8、モータ10及びモータ駆動部30を保護するために、これらの異常(エラー)を検出する、保護処理を実行する。
また、S500では、主電源SW21の操作によって、チェーンソー2のパワーモードでの使用が指令されたときに、チェーンソー2をパワーモードで駆動可能であるか否かを判断して、駆動可能である場合にパワーモードを設定する、モード設定処理を実行する。
【0063】
なお、パワーモードは、チェーンソー2の通常の動作モード(通常モード)に比べて、モータ10駆動時のエネルギが大きくなる動作モードであり、本実施形態では、モータ10の駆動時の出力制限を解除(換言すれば禁止)するように設定されている。
【0064】
つまり、通常モードで、バッテリ9等の保護のためにモータ10への出力電流の上限を制限しているのに対し、パワーモードでは、その出力電流の制限を解除することで、モータ10をより大きいエネルギで駆動できるようにするのである。
【0065】
そして、続くS600では、駆動スイッチ18がオン状態になって、モータ10の駆動指令が入力されたときに、S500にて設定された動作モード(パワーモード又は通常モード)でモータを駆動制御する。
【0066】
また続くS700では、主電源のオン・オフ状態、現在設定されている動作モード、エラー状態、等を表示する表示処理を実行する。なお、この表示は、状態表示部22に設けられた2つのLEDの一方又は両方を点灯又は点滅させることで、赤、緑又は黄色で状態表示を行う。
【0067】
そして、最後にS800にて各種履歴情報を更新し、S200に移行する。
以下、上記S100〜S800での処理動作について、順に詳しく説明する。
図4に示すように、S100の履歴情報の取得処理では、S110にて、当該チェーンソー2の出荷後のトータル使用時間をメモリ38から取得し、S120にて、これまでのパワーモードの使用回数をメモリ38から取得する。
【0068】
この使用回数は、バッテリパック8がチェーンソー2に装着されてからの使用回数であり、S120では、使用回数を取得すると、取得した使用回数を、以降の制御で使用する使用回数の初期値として設定する。
【0069】
また、S130では、前回の保護動作状況をメモリ38から取得し、S140では、前回のモータ温度及びコントローラ温度をメモリ38から取得し、S150では前回のバッテリ9のピーク電圧をメモリ38から取得する。
【0070】
そして、最後に、S160にて、前回のモード設定不許可情報をメモリから取得し、当該履歴情報の取得処理を終了する。なお、モード設定不許可情報は、パワーモードへの移行が禁止されているときにセットされるモード設定不許可フラグの前回値である。
【0071】
次に、
図5に示すように、S200の入力確認処理では、S210にて、データ通信部46を介して外部通信情報を取得する。
つまり、S210では、外部通信情報として、バッテリパック8から、バッテリ9の種類やシリアルコード、定格容量、定格電圧、等の固有情報、残容量、温度、電圧、等の現在情報、及び、過去の使用時間やエラー状況、等の履歴情報、を取得する。
【0072】
なお、バッテリ9の使用時間は、バッテリ9の劣化状態を判定するのに用いられる。このため、バッテリ9の使用時間に代えて、使用回数を取得するようにしてもよい。
次に、S220では、駆動SW18、主電源SW21等の各種スイッチから入力信号を取得し、S230では、温度センサ48、52からコントローラ温度及びモータ温度を取得する。
【0073】
また、S240では、電流検出回路44からモータ10に流れた電流(以下、負荷電流ともいう)を取得し、S250では、回転センサ50から検出信号に基づき、モータ10の回転数を取得し、当該入力確認処理を終了する。
【0074】
次に、
図6に示すように、S300の主電源処理では、S310にて主電源SW21がオン状態か否かを判断し、オン状態であれば、S320に移行し、オン状態でなければ、S370にて、主電源状態切替フラグをクリアした後、当該主電源処理を終了する。
【0075】
S320では、主電源SW21が操作(押下)されてオン状態となっている時間(以下、オン時間という)を計測し、続くS330にて、主電源SW21のオン時間が所定の閾値(例えば100ms)以上であるか否かを判断する。
【0076】
そして、主電源SW21のオン時間が閾値未満であれば、当該主電源処理を終了し、主電源SW21のオン時間が閾値以上であれば、主電源SW21が操作されていると判断して、S340に移行する。
【0077】
S340では、現在、主電源状態切替フラグがクリアされているか否かを判断し、主電源状態切替フラグがクリアされていれば、S350に移行し、主電源状態切替フラグがクリアされていなければ、当該主電源処理を終了する。
【0078】
S350では、主電源SW21の操作によって電源がオン又はオフされたと判断して、主電源のオン・オフ状態を切り替え(換言すれば反転させ)、S360にて、主電源状態切替フラグをセットし、当該主電源処理を終了する。
【0079】
なお、主電源状態切替フラグは、主電源SW21が操作されてから、S350にて主電源状態のオン・オフ状態が切り替えられるまでの間、クリアされることにより、主電源SW21が操作されてから主電源状態の切り替えを1回だけ行うのに利用される。
【0080】
次に、
図7に示すように、S400の保護処理では、S410にて、主電源がオンされているか否かを判断し、主電源がオンされていなければ、S420にて、エラー状態を「e0」にして、当該保護処理を終了する。なお、エラー状態「e0」は、エラー無しの状態を表しており、ここでは、制御回路36の起動後、主電源がオンに切り替えられるまでの間に、エラー状態を「e0」に初期化している。
【0081】
次に、S410にて主電源がオンされていると判断されると、S430に移行して、駆動SW18がオン状態であるか否か、を判断する。そして、駆動SW18がオン状態でなければ、S420の処理を実行した後、当該保護処理を終了し、駆動SW18がオン状態であれば、S440に移行して、バッテリ9がエラー状態であるか否かを判断する。なお、この判断は、バッテリパック8から取得したバッテリ情報に基づき行われる。
【0082】
S440にて、バッテリ9がエラー状態であると判断されると、S441にて、エラー状態を「e1」に設定することで、バッテリエラーを記憶し、当該保護処理を終了する。また、S440にて、バッテリ9がエラー状態ではないと判断されると、S450に移行し、バッテリ電圧は、保護閾値よりも低いか
否かを判断する。
【0083】
そして、バッテリ電圧が保護閾値よりも低い場合には、S451にて、エラー状態を「e2」に設定することで、バッテリ電圧の異常を記憶して、当該保護処理を終了し、バッテリ電圧が保護閾値以上であれば、S460に移行する。
【0084】
S460では、負荷電流が保護閾値を越えているか否かを判断する。そして、負荷電流が保護閾値を越えていれば、S461にて、エラー状態を「e3」に設定することで、負荷電流の異常を記憶して、当該保護処理を終了し、負荷電流が保護閾値を越えていなければ、S470に移行する。
【0085】
S470では、コントローラ温度が保護閾値を越えているか否かを判断し、コントローラ温度が保護閾値を越えていれば、S471にて、エラー状態を「e4」に設定することで、コントローラ温度の異常を記憶して、当該保護処理を終了する。
【0086】
また、S470にてコントローラ温度は保護閾値を越えていないと判断されると、S480に移行して、モータ温度が保護閾値を越えているか否かを判断する。そして、モータ温度が保護閾値を越えていれば、S481にて、エラー状態を「e5」に設定することで、モータ温度の異常を記憶して、当該保護処理を終了し、モータ温度が保護閾値を越えていなければ、当該保護処理を終了する。
【0087】
この結果、保護処理では、主電源がオン状態となり、駆動SW18が操作されて、モータ10の駆動を開始する際に、上記各パラメータが全て正常であれば、エラー状態が「e0」に保持される。そして、上記各パラメータが保護閾値を越えるとエラー状態が「e1」〜「e5」の何れかに設定されることになる。
【0088】
次に、
図8に示すように、S500のモード設定処理では、S510にて主電源がオンされているか否かを判断し、主電源がオンされていなければ、S511、S512、S513の処理を実行した後、当該モード設定処理を終了する。
【0089】
S511、S512、S513の処理は、パワーモードフラグ、モード設定不許可表示フラグ、モード設定不許可フラグ、をそれぞれ初期化(クリア)するための処理である。
なお、パワーモードフラグは、現在の動作モードがパワーモードであるときにセットされるフラグである。また、モード設定不許可表示フラグは、動作モードのパワーモードへの切り替えが禁止されているときにセットされて、状態表示部22を介して不許可表示を行うのに用いられるフラグである。
【0090】
一方、S510にて、主電源がオンされていると判断されると、S520、S530、S570の処理を実行し、当該モード設定処理を終了する。
ここで、S520では、制御回路36の動作モードをパワーモードに設定可能か否かを判定して、モード設定不許可フラグをセット又はクリアする、モード設定判定処理を実行する。
【0091】
また、S530では、制御回路36の起動時の主電源SW21のオン時間から、制御回路36の動作モードをパワーモードにするか、通常モードにするかを判定して、パワーモードフラグをセット又はクリアする、モード設定変更処理を実行する。
【0092】
そして、S570では、S530の処理にてパワーモードが設定されているときに、パワーモードの継続時間や負荷電流、バッテリ9、モータ10等の状態を監視して、パワーモードの禁止条件が成立するとパワーモードの設定を解除する、モード設定自動切替処理を実行する。
【0093】
次に、S520、S530、S570にて実行されるモード設定判定処理、モード設定変更処理、及び、モード設定自動切替処理について説明する。
図9に示すように、モード設定判定処理では、S900にて、バッテリ9によるモード設定判定処理を実行し、S910にて、モータ温度によりモード判定処理を実行し、S920にて、コントローラ温度によるモード設定判定処理を実行する。
【0094】
また、S930では、履歴情報によるモード設定判定処理を実行し、S950では、パワーモードの使用回数によるモード設定判定処理を実行し、S960では、チェーンオイル量によるモード設定判定処理を実行する。
【0095】
そして、最後にS970にて、S900〜S960での判定結果に基づき、パワーモードの設定が可能か否かを判定し、モード設定不許可フラグをセット又はクリアする、全判定結果の反映処理を実行し、当該モード設定判定処理を終了する。
【0096】
ここで、S900のバッテリ9によるモード設定判定処理は、
図10に示す手順で実施される。
すなわち、この処理が開始されると、まずS901にて、バッテリ9の定格容量が閾値よりも少ないか否かを判断する。そして、定格容量が閾値よりも小さい場合、パワーモードではバッテリ9が直ぐに放電して劣化が進むことが考えられるので、S908にて、パワーモードの設定を禁止すべく、バッテリOKフラグをクリアし、当該モード設定判定処理を終了する。
【0097】
次に、S901にて、バッテリ9の定格容量は閾値以上であると判断されると、S902に移行して、バッテリ9の定格電圧が閾値よりも少ないか否かを判断する。そして、定格電圧が閾値よりも小さい場合にも、パワーモードではバッテリ9が直ぐに放電して劣化が進むことが考えられるので、S908に移行して、バッテリOKフラグをクリアし、当該モード設定判定処理を終了する。
【0098】
また、S902にて、バッテリ9の定格電圧は閾値以上であると判断されると、S903に移行して、現在のバッテリ9の残容量は閾値よりも少ないか否かを判断する。そして、バッテリ9の残容量が閾値よりも小さい場合にも、パワーモードではバッテリ9が直ぐに放電して劣化が進むことが考えられるので、S908に移行して、バッテリOKフラグをクリアし、当該モード設定判定処理を終了する。
【0099】
また、S903にて、バッテリ9の残容量は閾値以上であると判断されると、S904に移行して、現在のバッテリ温度は高く、閾値以上であるか否かを判断する。そして、バッテリ温度が閾値以上であれば、パワーモードでモータ10を駆動するとバッテリ9が過熱状態となって、劣化することが考えられるので、S908に移行して、バッテリOKフラグをクリアし、当該モード設定判定処理を終了する。
【0100】
また、S904にて、バッテリ温度が閾値よりも低いと判断されると、S905に移行して、バッテリ電圧が閾値よりも低いか否かを判断する。そして、バッテリ電圧が閾値よりも低い場合には、パワーモードでモータ10を駆動するとバッテリ9が過放電状態となって、劣化することが考えられるので、S908に移行して、バッテリOKフラグをクリアし、当該モード設定判定処理を終了する。
【0101】
また、S905にて、バッテリ電圧が閾値以上であると判断されると、S906に移行して、バッテリ9の使用時間が閾値よりも長いか否かを判断する。そして、バッテリ9の使用時間が閾値よりも長い場合には、パワーモードでモータ10を駆動するとバッテリ9が劣化することが考えられるので、S908に移行して、バッテリOKフラグをクリアし、当該モード設定判定処理を終了する。
【0102】
また、S906にて、バッテリ9の使用時間が閾値以下であると判断されると、バッテリ9はパワーモードで利用可能であるものと判断して、S907に移行し、バッテリOKフラグをセットした後、当該モード設定判定処理を終了する。
【0103】
なお、S906において、本実施形態では、バッテリ9の使用時間からバッテリ9の劣化状態を判定するようにしているが、バッテリ9の使用回数からバッテリ9の劣化状態を判定するようにしてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、S901にて、バッテリ9の定格容量から、バッテリ9をパワーモードで利用可能か否かを判断するようにしているが、定格容量に代えて、バッテリ9を構成するセルの並列数を利用するようにしてもよい。
【0105】
つまり、バッテリ9の定格容量はセルの並列数によって決まることから、S210では、バッテリパック8からセルの並列数を取得し、S901では、取得されたセルの並列数に基づき、バッテリ9をパワーモードで利用可能か否かを判断するようにしてもよい。
【0106】
次に、S910のモータ温度によるモード設定判定処理、及び、S920にて実行されるコントローラ温度によりモード判定処理においては、モータ温度若しくはコントローラ温度が、閾値を越えているか否かを判断する。
【0107】
そして、モータ温度若しくはコントローラ温度が閾値を越えている場合には、モータ温度OKフラグ若しくはコントローラ温度OKフラグをクリアすることで、パワーモードの設定を禁止する。
【0108】
また、モータ温度若しくはコントローラ温度が閾値以下であれば、モータ10若しくはモータ駆動部30は正常温度範囲内にあるので、モータ温度OKフラグ若しくはコントローラ温度OKフラグをセットすることで、パワーモードの設定を許可する。
【0109】
次に、S930の履歴情報によるモード設定判定処理においては、
図11に示すように、まずS931にて履歴情報があるか否かを判断する。そして、履歴情報があれば、S932に移行し、履歴情報が無ければ、S940に移行する。
【0110】
S932では、チェーンソー2のトータル使用時間が所定値以上か否かを判断し、トータル使用時間が所定値以上であれば、チェーンソー2は製品寿命に近づいていると判断して、S941に移行する。そして、S941では、パワーモードの設定を禁止すべく、履歴情報OKフラグをクリアし、当該モード設定判定処理を終了する。
【0111】
また、S932にて、トータル使用時間は所定値未満であると判断されると、S933に移行して、前回、パワーモードの設定が禁止されていたか否か、換言すれば、前回、モード設定不許可フラグがセットされていたか否かを判断する。
【0112】
そして、前回、モード設定不許可フラグがセットされていなければ、S940に移行し、前回、モード設定不許可フラグがセットされていれば、S934に移行する。
S934では、前回、バッテリ9がエラー状態「e1」であったか否かを判断し、前回、バッテリ9がエラー状態であった場合には、S935に移行し、そうでなければ、S936に移行する。
【0113】
S935では、現在のバッテリ電圧が、前回のバッテリ電圧に比べ、所定値以上電圧が上昇しているか否かを判断する。そして、バッテリ電圧が前回に比べて所定電圧以上上昇している場合には、バッテリ9が充電されたか、或いは、バッテリパック8が充電済みのものと交換されているので、S936に移行し、そうでなければ、S941に移行して、履歴情報OKフラグをクリアする。
【0114】
次に、S936では、前回、モータ温度がエラー状態「e5」であったか否かを判断し、前回、モータ温度がエラー状態であった場合には、S937に移行し、そうでなければ、S938に移行する。
【0115】
S937では、現在のモータ温度が、前回のモータ温度に比べ、所定値以上温度が減少しているか否かを判断する。そして、モータ温度が前回に比べて所定温度以上減少している場合には、モータ10が冷却されてモータ10をパワーモードで駆動可能であると判断して、S938に移行し、そうでなければ、S941に移行して、履歴情報OKフラグをクリアする。
【0116】
次にS938では、前回、コントローラ温度がエラー状態「e4」であったか否かを判断し、前回、コントローラ温度がエラー状態であった場合には、S939に移行し、そうでなければ、S940に移行する。
【0117】
S939では、現在のコントローラ温度が、前回のコントローラ温度に比べ、所定値以上温度が減少しているか否かを判断する。そして、コントローラ温度が前回に比べて所定温度以上減少している場合には、モータ駆動部30が冷却されてモータ10をパワーモードで駆動可能であると判断して、S940に移行し、そうでなければ、S941に移行して、履歴情報OKフラグをクリアする。
【0118】
そして、S940では、上記各履歴情報は正常であり、モータ10をパワーモードで駆動できることから、履歴OKフラグをセットし、パワーモードの設定を許可する。そして、S940にて履歴OKフラグをセットすると、当該モード設定処理を終了する。
【0119】
次に、S950におけるパワーモードの使用回数によるモード設定判定処理は、
図12に示す手順で実行される。
すなわち、このモード設定判定処理においては、S951にて、バッテリパック8から取得したバッテリ9の種類やシリアルコードから、バッテリ9は前回のものと同じか否かを判断する。また、バッテリ9は前回のものと同じであれば、S952に移行して、バッテリ9の充電状態(残容量、バッテリ電圧、等)は、前回と同じか否かを判断する。
【0120】
S951又はS952にて、バッテリ9若しくはその充電状態が前回のものと同じではないと判断されると、バッテリパック8が交換されたか、バッテリ9が充電されているので、S953に移行して、バッテリ9のパワーモードの使用回数を0回に変更する。
【0121】
そして、S952にて、バッテリ9の充電状態は前回と同じであると判断されるか、或いは、S953にて使用回数が初期値(0回)に設定されると、S954に移行して、バッテリ9のパワーモードでの使用回数が所定回(N回)以上であるか否かを判断する。
【0122】
S954にて、使用回数がN回以上であると判断されると、S956に移行し、バッテリ9が過放電状態となるのを防止するために、使用回数OKフラグをクリアして、パワーモードの設定を禁止し、当該モード設定判定処理を終了する。
【0123】
また、S954にて、使用回数はN回未満であると判断されると、S955に移行して、使用回数OKフラグをセットすることで、パワーモードの設定を許可し、当該モード設定判定処理を終了する。
【0124】
次に、S960のチェーンオイル量によるモード設定判定処理においては、オイル検出部28からチェーンオイル量を取得し、チェーンオイル量が閾値を越えているか否かを判断する。
【0125】
そして、チェーンオイル量が閾値を越えていれば、チェーンオイルは充分あるので、モータ10をパワーモードで駆動しても問題ないと判断して、オイルOKフラグをセットし、パワーモードの設定を許可する。
【0126】
また、チェーンオイル量が閾値以下であれば、パワーモードではオイル不足になる可能性があるので、オイルOKフラグをクリアし、パワーモードの設定を禁止する。
なお、本実施形態では、電動作業機がチェーンソー2であり、チェーンオイルが充分でないと、ロスが大きくなって本体の性能が出せないので、チェーンオイル量によるモード設定判定処理を実行している。
【0127】
これに対し、電動作業機が集塵機若しくは芝刈り機である場合には、集塵状態或いは集草状態に応じて、パワーモードの設定を禁止或いは許可するモード設定判定処理を実行するようにするとよい。
【0128】
つまり、集塵機若しくは芝刈り機においては、ゴミや草を蓄積する収納部が設けられており、この収納部にゴミや草が溜まると、集塵若しくは草刈の能力が低下する。
このため、この種の電動作業機においては、集塵状態或いは集草状態に応じて、パワーモードへの移行を禁止することで、モータ10をパワーモードで駆動することにより、電動作業機に加わる負荷が大きくなって、電動作業機が劣化するのを抑制できる。
【0129】
次に、S970の全判定結果の反映処理は、
図13に示す手順で実施される。すなわち、この判定処理では、S971〜S976にて、上述したバッテリOKフラグ、モータ温度OKフラグ、コントローラ温度OKフラグ、履歴OKフラグ、使用回数OKフラグ、オイルOKフラグがセットされているか否かを、順次判定する。
【0130】
そして、S971〜S976の何れかの処理で、フラグはクリアされていると判断されると、S978に移行して、モード設定不許可フラグをセットすることで、パワーモードでモータ10を駆動するのを禁止し、当該反映処理を終了する。
【0131】
また、S971〜S976の全ての処理で、フラグはセットされていると判断されると、S977に移行して、モード設定不許可フラグをクリアすることで、パワーモードでモータ10を駆動するのを許可し、当該反映処理を終了する。
【0132】
次に、S530のモード設定変更処理においては、
図14に示すように、まず、S531にて、主電源SW21がオン状態であるか否かを判断し、主電源SW21がオン状態でなければ、当該モード設定変更処理を終了する。
【0133】
一方、主電源SW21がオン状態であれば、S532に移行して、主電源SW21のオン時間を計測する。そして、続くS533では、主電源SW21のオン時間がパワーモード指令判定用の判定時間(例えば、2秒)以上に達したか否かを判断し、主電源SW21のオン時間が判定時間以上であれば、S534に移行し、判定時間未満であれば当該モード設定変更処理を終了する。
【0134】
なお、パワーモード判定用の判定時間は、S330にて主電源SW21の操作判定に用いられる閾値に比べて充分長い時間に設定されている。
次に、S534では、現在、モード設定不許可フラグがセットされていて、パワーモードの設定が不許可状態であるか否かを判断する。
【0135】
S534において、モード設定不許可フラグがクリアされていて、パワーモードの設定が許可されていると判断されると、S535に移行して、パワーモードフラグをセットすることで、動作モードをパワーモードに設定し、S536に移行する。
【0136】
そして、S536では、パワーモードの使用回数に値1を加算することで、パワーモードの使用回数を更新し、当該モード設定変更処理を終了する。
また、S534において、モード設定不許可フラグがセットされていて、パワーモードの設定が禁止されていると判断されると、S537に移行して、モード設定不許可表示フラグをセットする。
【0137】
そして、続くS538にてパワーモードフラグをクリアし、当該モード設定変更処理を終了する。
つまり、本実施形態では、主電源SW21がオン状態となって、制御回路36が起動した際、主電源SW21のオン状態が所定の判定時間以上継続すると、モード設定不許可フラグがクリアされていることを条件として、パワーモードフラグがセットされる。
【0138】
このため、制御回路36の動作モードは、制御回路36の起動時に、主電源SW21が判定時間以上長押しされることによって、パワーモードに設定され、主電源SW21が判定時間よりも短い時間で短押しされて起動したときには、通常モードに設定されることになる。
【0139】
次に、S570のモード設定自動切替処理においては、
図15に示すように、S571にて、パワーモードフラグがセットされているか否かを判断することで、現在、動作モードがパワーモードに設定されているか否かを判断する。
【0140】
そして、現在、パワーモードに設定されていなければ、当該モード設定自動切替処理を終了し、現在、パワーモードに設定されていれば、S572に移行して、パワーモードに設定されてからの経過時間を、パワーモード時間として計測する。
【0141】
次に、
S573では、パワーモード時間が所定の許可時間(例えば、30秒)を越えたか否かを判断し、パワーモード時間が許可時間を越えていれば、S582に移行する。そして、S582では、パワーモードフラグをクリアすることで、制御回路36の動作モードをパワーモードから通常モードに戻し、S583にて、モード設定不許可フラグをセットした後、当該モード設定自動切換処理を終了する。
【0142】
次に、S573にて、パワーモード時間は許可時間を越えていないと判断されると、S574に移行し、負荷電流は所定の閾値を越えたか否かを判断する。そして、負荷電流が閾値を越えていれば、
S575に移行して、負荷電流の大きさに応じて、負荷電流が大きいほど大きい値に設定される電流加算値を使って電流カウンタを加算し、S576に移行する。また、
S574にて、負荷電流は閾値を越えていないと判断された場合にも、S576に移行する。
【0143】
電流カウンタは、負荷電流からモータ10の過負荷運転を判定するためのカウンタであり、S576では、その電流カウンタの値が、過負荷判定用の閾値を越えたか否かを判断することで、モータ10が過負荷運転されているか否かを判断する。
【0144】
そして、S576にて、電流カウンタの値が閾値を越えたと判断されると、S582に移行し、S576にて、電流カウンタの値が閾値未満であると判断されると、S577に移行する。
【0145】
S577では、モータ温度が閾値を越えたか否かを判断する。そして、モータ温度が閾値を越えている場合には、S582に移行し、モータ温度が閾値未満であれば、S578に移行する。
【0146】
S578では、コントローラ温度が閾値を越えたか否かを判断する。そして、コントローラ温度が閾値を越えている場合には、S582に移行し、コントローラ温度が閾値未満であれば、S579に移行する。
【0147】
S579では、バッテリ温度が閾値を越えたか否かを判断する。そして、バッテリ温度が閾値を越えている場合には、S582に移行し、バッテリ温度が閾値未満であれば、S580に移行する。
【0148】
S580では、バッテリ9の残容量が閾値
未満であるか否かを判断する。そして、バッテリ9の残容量が閾値
未満である場合には、S582に移行し、バッテリ9の残容量が閾値
以上である場合には、S581に移行する。
【0149】
S581では、エラー状態が、「e1」又は「e4」又は「e5」であるか否か、つまり、現在、バッテリエラー、コントローラ温度若しくはモータ温度の異常上昇、が検出されているか否かを判断する。
【0150】
そして、S581にて、エラー状態が、「e1」又は「e4」又は「e5」であると判断されると、S582に移行し、エラー状態が、「e1」、「e4」、「e5」の何れでもないと判断されると、当該モード設定自動切換処理を終了する。
【0151】
次に、S600のモータ制御処理は、
図16に示すように、S610にて、モータ10の駆動条件の確認処理を実行し、S620にて、モータ10の目標回転数を予め設定された回転数に設定する目標回転数の設定処理を実行する。
【0152】
また、S630では、出力電流の制限処理を実行する。そして、最後に、S640にて、モータ10を目標回転数にて駆動するための制御信号であるPWM信号のデューティ比を設定するPWM出力の演算処理を実行し、当該モータ制御処理を終了する。
【0153】
なお、この演算処理での演算結果は、ゲート回路34に出力されるPWM信号を生成するのに利用され、モータ10は、このPWM信号にて駆動制御される。
ここで、S610の駆動条件の確認処理では、主電源がオンされているか否か、駆動SW18がオン状態であるか否か、エラー状態が「e0」でエラー無しの状態であるか否か、を順次判定する。
【0154】
そして、主電源がオン、駆動SW18がオン状態、エラー状態が「e0」であれば、モータ駆動フラグをセットして、モータ10の駆動を許可し、これら各パラメータの何れかが他の状態であれば、モータ駆動フラグをクリアして、モータ10の駆動を禁止する。
【0155】
また、S630の出力電流の制限処理においては、
図17に示すように、まず、S631にてパワーモードフラグがセットされているか否かを判断する。そして、パワーモードフラグがセットされていれば、S632に移行して、出力制限値をクリアし、続くS633にて、出力制限フラグをクリアし、当該出力電流の制限処理を終了する。
【0156】
また、S631にて、パワーモードフラグはセットされていないと判断されると、S634に移行して、負荷電流は所定の閾値を越えたか否かを判断する。そして、負荷電流が閾値を越えていれば、S635にて、出力制限値に所定の加算値を加算し、続くS636にて、出力制限フラグをセットし、当該出力電流の制限処理を終了する。
【0157】
また、S634にて、負荷電流は所定の閾値を越えていないと判断されると、S637にて、出力制限値から所定の現在値を減算し、続くS638にて、出力制限フラグをクリアし、当該出力電流の制限処理を終了する。
【0158】
次に、S640のPWM出力の演算処理においては、
図18に示すように、まず、S641にて、現在モータ10を駆動中であるか否かを判断し、モータ10を駆動中でなければ、PWM出力をデューティ比:0%となるようにクリアし、S644に移行する。
【0159】
また、S641にて、現在、モータ10の駆動中であると判断されると、S642に移行して、出力制限フラグがセットされているか否かを判断することで、出力制限が必要であるか否かを判断する。
【0160】
そして、出力制限フラグがセットされていて、出力制限が必要であれば、S643にて、目標回転数を減少させることで出力を制限し、S644に移行し、出力制限フラグがクリアされていて、出力制限が不要であれば、そのままS644に移行する。
【0161】
S644では、モータ10の定回転制御するために、目標回転数とモータ10の実際の回転数との差に基づき、この差が零になるようにPWM出力の制御値(デューティ比)を演算し、S645に移行する。
【0162】
そして、S645では、PWM出力をS644での演算結果に更新し、当該PWM出力の演算処理を終了する。
次に、S700の表示処理について説明する。
【0163】
図19に示すように、表示処理においては、まず、S701にて、主電源がオンされているか否かを判断し、主電源がオンされていなければ、S711に移行して、操作パネル20の状態表示部22の表示をオフ(消灯)し、当該表示処理を終了する。
【0164】
次に、S701にて、主電源がオンされていると判断されると、S702に移行して、エラー状態が「e0」であるか否かを判断する。そして、エラー状態が「e0」でなければ、何らかの異常が検出されているので、S710に移行して、状態表示部22を赤色で点灯又は点滅させることで、エラー表示を行い、当該表示処理を終了する。
【0165】
また、S702で、エラー状態が「e0」(つまりエラー無し)であると判断されると、S703に移行し、モード設定不許可表示フラグがセットされているか否かを判断することにより、パワーモードの設定が不許可になっていることを表示するか否かを判断する。
【0166】
そして、パワーモードの設定不許可を表示すると判断すると、S704に移行して、例えば、状態表示部22を黄色で所定回(例えば3回)点滅させることで、その旨を表示し、S705に移行する。
【0167】
S705では、パワーモードの設定不許可の表示が完了したか否かを判断し、設定不許可の表示が完了していれば、S706に移行して、モード設定不許可表示フラグをクリアし、当該表示処理を終了する。また、S705にて、設定不許可の表示は完了していないと判断された場合には、そのまま当該表示処理を終了する。
【0168】
次に、S703において、モード設定不許可表示フラグがクリアされていて、パワーモードの設定不許可を表示しないと判断されると、S707に移行して、現在、パワーモード中であるか否かを判断する。
【0169】
そして、現在、パワーモード中であれば、S708に移行して、例えば、状態表示部22を黄色で点灯させることで、現在、パワーモードで動作していることを表示し、当該表示処理を終了する。
【0170】
また、現在、パワーモード中でなければ、S709に移行して、例えば、状態表示部22を緑色で点灯させることで、現在、通常モードで動作していることを表示し、当該表示処理を終了する。
【0171】
従って、使用者は、状態表示部22の点灯状態から、チェーンソー2がパワーモードで動作しているのか、通常モードで動作しているのかを識別でき、更に、製品保護のためにパワーモードでの使用が禁止されていることや、エラー状態であることも認識できる。
【0172】
次に、S800において実行される履歴情報の書込処理について説明する。
図20,
図21に示すように、この書込処理では、S801にて、現在、モータ10を駆動中であるか否かを判断し、駆動中であれば、S802にて、チェーンソー2のトータル使用時間を計測(更新)する。そして、続くS803では、モータ温度及びコントローラ温度のピーク値を更新し、続くS804にて、使用情報更新フラグをセットし、S810に移行する。
【0173】
一方、S801にて、現在、モータ10を駆動中でないと判断されると、S805に移行して、バッテリ電圧を検出してそのピーク値を更新する。そして、続くS806では、使用情報更新フラグがセットされているか否かを判断し、使用情報更新フラグがセットされていれば、S807に移行し、使用情報更新フラグがセットされていなければ、S810に移行する。
【0174】
また、S807では、S802、S803及びS805で更新した、トータル使用時間、モータ温度及びコントローラ温度のピーク値、及び、バッテリ電圧のピーク値を、チェーンソー2の使用情報(使用履歴)として、メモリ38に書き込む。そして、続くS808にて、使用情報更新フラグをクリアし、S810に移行する。
【0175】
また、S810では、パワーモード情報の書込用データと現在のモード設定不許可フラグとが異なるか、或いは、パワーモード情報の書き込みが1回もなされていないか否か、を判断する。
【0176】
そして、S810にて、パワーモード情報の書込用データと現在のモード設定不許可フラグとが異なると判断されるか、或いは、パワーモード情報の書き込みが1回もなされていないと判断されると、S811に移行し、そうでなければ、S813に移行する。
【0177】
S811では、パワーモード情報の書込用データを現在のモード設定不許可フラグにて更新する。そして、続くS812にて、パワーモード情報の書込用データをメモリ38に書き込み、S813に移行する。
【0178】
次に、S813では、パワーモードの使用回数は、前回値と異なるか否かを判断する。そして、パワーモードの使用回数が前回値と異なる場合には、S814に移行し、パワーモードの使用回数が前回値と同じである場合には、S820に移行する。
【0179】
S814では、今回の使用回数をメモリに書き込み、S815にて、使用回数の前回値を今回の使用回数に変更することで、以降の処理で、今回の使用回数をメモリに再度書き込まないようにし、S820に移行する。
【0180】
次に、S820では、エラー状態が「e0」であるか否かを判断することにより、今回検出されたエラー情報がないか否かを判断する。そして、エラー情報がある場合には、S821に移行して、そのエラー情報は、メモリ38に書き込まれているエラー情報と異なっていて、メモリ38のエラー情報を更新する必要があるか否かを判断する。
【0181】
そして、エラー情報の更新が必要であれば、S822に移行して、書き込み用のエラー情報を更新し、S823にて、その更新したエラー情報をメモリ38へ書き込み、当該履歴情報の書込処理を終了する。また、S821にて、エラー情報の更新は必要ではないと判断された場合には、当該履歴情報の書込処理を終了する。
【0182】
次に、S820にて、エラー情報はないと判断されると、S824に移行して、メモリ38には前回のエラー情報もないか否かを判断する。そして、メモリ38に前回のエラー情報が書き込まれている場合には、S825に移行して、書き込み用のエラー情報を更新し、S826にて、その更新したエラー情報をメモリ38へ書き込み、当該履歴情報の書込処理を終了する。また、S824にて、前回のエラー情報もないと判断されると、メモリ38のエラー情報を書き換える必要はないので、当該履歴情報の書込処理を終了する。
【0183】
以上説明したように、本実施形態のチェーンソー2においては、主電源SW21が操作されて、主電源をオフからオンに切り換える際に、主電源SW21が、所定時間(例えば、2秒)以上、長押しされると、制御回路36が、パワーモードが指令されたと判定する。
【0184】
また、制御回路36は、バッテリ9、モータ10及びモータ駆動部30の温度や、使用時間、動作履歴、等に基づき、通常モードに比べて負荷電流が大きくなるパワーモードで、これら各部の劣化を招くことなくモータ10を駆動し得る状態であるか否かを判断する。
【0185】
そして、上記各部がパワーモードで正常に動作し得る状態であれば、
図22に示すように、通常モードのように、出力制限値を設定して負荷電流の上限を制限するのではなく、出力制限値による電流制限をなくすことで、モータ10の駆動時のエネルギを増加させる。
【0186】
この結果、パワーモードでは、通常モードに比べて、モータ10の出力トルクを増加させて、チェーンソー2による木材等の切断能力を高めることができる。
また、パワーモードでの連続動作時間は、所定時間(本実施形態では30秒)に制限されており、パワーモードの使用回数も同一バッテリ当たりN回に制限されている。このため、パワーモードが長時間、或いは、同一バッテリ当たりに何度も実施されることで、チェーンソー2やバッテリ9が劣化するのを抑制することができる。
【0187】
よって、本実施形態のチェーンソー2によれば、バッテリパック8を含むモータ10の駆動系を大型化することなく、従来のチェーンソーでは実施できなかった高負荷の作業を、実施できるようになり、チェーンソー2の使い勝手を向上することができる。
[変形例]
上記実施形態では、制御回路36の動作モードをパワーモードに設定する際には、起動時に主電源SW21を長押しするものとして説明したが、これは、使用者のスイッチ操作によってパワーモードへ簡単に移行できないようにするためである。
【0188】
つまり、上記実施形態では主電源SW21を操作して主電源を一旦オフ状態にし、その後、主電源SW21を長押しすることで、パワーモードを設定できるようにすることで、パワーモードへ移行し難くし、パワーモードの使用を制限している。
【0189】
これに対し、
図23A、
図23Bに示すように、操作パネル20にパワーモード設定用のパワーモード設定スイッチ(以下、パワーモード設定SWという)24を設け、パワーモード設定SW24の操作によってパワーモードを設定できるようにしてもよい。
【0190】
なお、
図23Aに示す操作パネル20は、上記実施形態の操作パネル20に、パワーモード設定SW24だけが追加されている。
また、
図23Bに示す操作パネル20は、パワーモード設定SW24に加えて、通常モードでのモータ10の回転数を高速又は低速に切り替える速度切替スイッチ(以下、速度切替SWという)25と、設定速度(高速又は低速)を表示する速度表示部26とが追加されている。
【0191】
また、
図23Cに示すように、
図23Bに記載の操作パネル20から速度切替SW25を除去し、パワーモード設定SW24に代えて、これら両SWの機能を有するモード変更スイッチ(以下、モード変更SWという)27を設けるようにしてもよい。
【0192】
操作パネル20を、
図23A又は
図23Cに示すように構成した場合、
図5のS220では、駆動SW18、主電源SW21、及び、パワーモード設定SW24又はモード変更SW27からの入力信号を取得するようにすればよい。
【0193】
また、操作パネル20を
図23Bに示すように構成した場合、
図5のS220では、駆動SW18、主電源SW21、パワーモード設定SW24、及び、速度切替SWからの入力信号を取得するようにすればよい。
【0194】
また、操作パネル20を
図23A又は
図23Bに示すように構成することで、パワーモード設定SW24を介して、パワーモードを設定できるようにした場合、
図8のS530にて実行されるモード設定変更処理は、
図24に示す手順で実行するようにすればよい。
【0195】
すなわち、
図24に示すモード設定変更処理においては、まず、S541にて、パワーモード設定SW24がオフからオンに切り替わったか否かを判断し、パワーモード設定SW24がオフからオンに切り替わっていなければ、当該モード設定変更処理を終了する。
【0196】
一方、パワーモード設定SW24がオフからオンに切り替わった場合には、S542に移行し、パワーモードフラグがセットされているか否かによって、現在、パワーモードが設定されているか否かを判断する。
【0197】
そして、パワーモードが設定されていれば、S547に移行して、パワーモードフラグをクリアし、当該モード設定変更処理を終了する。
また、パワーモードが設定されていなければ、S543に移行し、モード設定不許可フラグがセットされているか否かを判断することで、パワーモードの設定が不許可状態になっているかを判断する。そして、パワーモードの設定が不許可状態になっていれば、その旨を報知するため、S546にて、モード設定不許可表示フラグをセットし、S547に移行する。
【0198】
また、パワーモードの設定が不許可状態でなければ、S544に移行し、パワーモードフラグをセットすることで、動作モードをパワーモードに設定し、S545に移行する。
そして、S545では、パワーモードの使用回数に値1を加算することで、パワーモードの使用回数を更新し、当該モード設定変更処理を終了する。
【0199】
モード設定変更処理をこのように実行することで、パワーモード設定SW24を用いて制御回路36の動作モードを一時的にパワーモードに切り替えることができるようになる。
【0200】
次に、操作パネル20を
図23Cに示すように構成することで、モード変更SW27を介して、パワーモードの設定及び通常モードでの速度設定をできるようにした場合、モード設定変更処理は、
図25、
図26に示す手順で実行するようにすればよい。
【0201】
すなわち、
図25、
図26に示すモード設定変更処理においては、まず、S551にて、モード変更SW27がオン状態であるか否かを判断し、モード変更SW27がオン状態であれば、S552に移行して、モード変更SW27のオン時間を計測する。
【0202】
そして、続くS553では、モード変更SW27のオン時間が所定の判定時間(例えば、2秒)を越えたか否かを判断し、モード変更SW27のオン時間が判定時間を越えると、S554に移行し、判定時間以下であれば、S556に移行する。
【0203】
S554では、モード設定変更フラグをクリアし、続くS555にて、パワーモード設定要求フラグをセットして、当該モード設定変更処理を終了する。
また、S556では、モード設定変更フラグをセットし、続くS557にて、パワーモード設定要求フラグをクリアし、当該モード設定変更処理を終了する。
【0204】
次に、S551にて、モード変更SW27がオン状態ではないと判断されると、S558に移行し、モード設定変更フラグがセットされているか否かを判断する。
そして、モード設定変更フラグがセットされていれば、S559に移行して、現在の動作モード(通常モード)が高速モードであるか否かを判断し、現在の動作モードが高速モードであれば、
S560にて、動作モードを低速モードに変更して、S562に移行する。
【0205】
また、S559にて、現在の動作モードは高速モードではないと判断されると、S561に移行して、動作モードを高速モードに変更して、S562に移行する。
そして、S562では、モード設定変更フラグ及びパワーモード設定要求フラグをクリアし、当該モード設定変更処理を終了する。
【0206】
また次に、S558にて、モード設定変更フラグがクリアされていると判断されると、S563に移行して、パワーモード設定要求フラグがセットされているか否かを判断する。
【0207】
そして、パワーモード設定要求フラグがセットされていなければ、当該モード設定変更処理を終了し、パワーモード設定要求フラグがセットされていれば、S564に移行して、パワーモードフラグがクリアされているか否かを判断する。
【0208】
そして、パワーモードフラグがクリアされていなければ、つまり、現在パワーモードが設定されていれば、S569に移行して、パワーモードフラグをクリアし、当該モード設定変更処理を終了する。
【0209】
また、パワーモードフラグがクリアされていれば、S565に移行し、モード設定不許可フラグがセットされているか否かを判断することで、パワーモードの設定が不許可状態になっているかを判断する。
【0210】
そして、パワーモードの設定が不許可状態になっていれば、その旨を報知するため、S568にて、モード設定不許可表示フラグをセットし、S569に移行する。
また、パワーモードの設定が不許可状態でなければ、S566に移行し、パワーモードフラグをセットすることで、動作モードをパワーモードに設定し、S567に移行する。
【0211】
そして、S567では、パワーモードの使用回数に値1を加算することで、パワーモードの使用回数を更新し、当該モード設定変更処理を終了する。
モード設定変更処理をこのように実行することで、モード変更SW27の操作によって、制御回路36の動作モードを、パワーモード、高速モード、及び、低速モードの何れかに、順次切り替えることができるようになる。
【0212】
次に、操作パネル20を
図23B又は
図23Cに示すように構成し、通常モードでのモータ10の速度設定を高速又は低速に切り替えることができるようにした場合、
図16のS620にて実行される目標回転数の設定処理は、次の手順で動作するようにすればよい。
【0213】
すなわち、目標回転数の設定処理では、現在の動作モードが高速モードであるか、低速モードであるかを判定し、高速モードであれば、目標回転数を予め設定された高速回転数に設定し、低速モードであれば、目標回転数を予め設定された低速回転数に設定する。
【0214】
このようにすることで、低速モード及び高速モードでの目標回転数を「低速」又は「高速」に切り替え、モータ10を低速モード若しくは高速モードで駆動することができるようになる。
【0215】
また、このように通常モードでモータ10の回転を「高速」又は「低速」に設定できるようにした場合、操作パネル20の速度表示部26に、設定速度を表示させる必要がある。そして、このためには、
図3のS700にて実行される表示処理を、
図27に示す手順で実行するようにすればよい。
【0216】
すなわち、
図27に示した表示処理は、
図19に示した上記実施形態の表示処理と略同様の手順で実行され、上記実施形態の表示処理と異なる点は、S721〜S723の処理が追加されている点である。
【0217】
すなわち、本変形例の表示処理では、S705で否定判断されるか、或いは、S706、S708、S709の処理が実行されると、S721に移行して、現在の動作モード(通常モード)が高速モードであるか否かを判断する。
【0218】
そして、現在の動作モードが高速モードであれば、S722に移行して、速度表示部26の表示を高速モード表示に変更し、当該表示処理を終了する。また、現在の動作モードが低速モードであれば、S723に移行して、速度表示部26の表示を低速モード表示に変更し、当該表示処理を終了する。
【0219】
なお、速度表示部26への速度表示は、例えば、高速モードでは、速度表示部26の2箇所に設けられた表示部の両方を点灯させ、低速モードでは、速度表示部26の2箇所に設けられた表示部の一方を点灯させることで実施するようにすればよい。
【0220】
なお、
図23B,
図23Cに示した
操作パネル20には、状態表示部22と速度表示部26との複数の表示部が設けられている。このため、エラー状態を表示する際には、これら複数の表示部の表示状態(表示色や点灯・点滅状態)を変更することで、エラー内容を識別可能に表示するようにしてもよい。
【0221】
次に、上記実施形態では、パワーモードでは、通常モードで設定している出力制限値を無くし、モータ10の高負荷時に通常モードよりも大きい電流を流すことがきるようにすることで、モータ10を通常モードよりも大きいエネルギで駆動できるようにしている。
【0222】
これに対し、例えば、通常モードでも出力制限値による電流制限はなくし、保護処理において、バッテリ電圧、負荷電流、コントローラ温度、モータ温度のエラー判定を行う保護閾値を、通常モードとパワーモードとで異なる値に設定するようにしてもよい。
【0223】
つまり、
図28に示すように、保護処理において、S410にて、主電源がオン状態であると判断されると、S411にて、パワーモードフラグがセットされているか否かを判断することで、動作モードはパワーモードに設定されているか否かを判断する。
【0224】
そして、動作モードがパワーモードに設定されていない場合には、S413にて、上記各パラメータに対する保護閾値として、上記実施形態と同様の通常モード用の保護閾値を設定し、S430に移行するようにする。
【0225】
また、動作モードがパワーモードに設定されている場合には、S412にて、上記各パラメータに対する保護閾値として、通常モードに比べてエラーが判定され難くなるように設定されたパワーモード用の保護閾値を設定し、S430に移行するようにする。
【0226】
このようにすることで、パワーモードでは、通常モードに比べて、エラー判定基準が緩くなり、モータ10を通常モードよりも大きいエネルギで駆動しても、保護機能によってモータ10の駆動が停止されるのを抑制することができるようになる。
【0227】
また、上記実施形態では、パワーモードでは、出力制限値による電流制限を無くすようにしているが、出力制限値による電流制限は実施し、電流制限を行う負荷電流の閾値を、パワーモードと通常モードとで変更するようにしてもよい。
【0228】
そして、このためには、
図17に示した出力電流の制限処理を、
図29に示す手順で実行するようにするとよい。
つまり、
図29に示す出力電流の制限処理においては、S651にてパワーモードフラグがセットされているか否かを判断する。そして、パワーモードフラグがセットされていなければ、S653にて、負荷電流の閾値を、上記実施形態と同様の通常モードでの電流値(例えば、40A)に設定し、S654に移行する。
【0229】
また、パワーモードフラグがセットされていれば、S652にて、負荷電流の閾値を、通常モードでの電流値よりも大きい電流値(例えば、80A)に設定し、S654に移行する。
【0230】
そして、S654では、負荷電流が上記のように設定された閾値を越えたか否かを判断し、負荷電流が閾値を越えていれば、S655にて、出力制限値に所定の加算値を加算し、続くS656にて、出力制限フラグをセットし、当該出力電流の制限処理を終了する。
【0231】
また、S654にて、負荷電流は所定の閾値を越えていないと判断されると、S657にて、出力制限値から所定の現在値を減算し、続くS658にて、出力制限フラグをクリアし、当該出力電流の制限処理を終了する。
【0232】
このように出力電流の制限処理を実行することで、パワーモードでは、負荷電流の閾値(換言すれば電流制限値)を、通常モードよりも大きくして、モータ10を通常モードよりも大きいエネルギで駆動させることができるようになる。
【0233】
以上、本開示を実施するための実施形態及び変形例について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、本開示をバッテリパック8から電力供給を受けて動作するチェーンソー2に適用した場合について説明したが、本発明は、モータとモータを駆動制御する制御部を備えた電動作業機であれば、上記実施形態と同様に適用することができる。
【0234】
また、特に手持ち式電動作業機に適用すれば、電動作業機を大型化することなく、通常作業時よりもモータに大きな負荷が加わる特殊作業を実施できるようになるので、その効果をより有効に発揮することができる。
【0235】
なお、本開示において、パワーモードは、電動作業機や電源装置の保護のために使用が制限されるが、この制限は、上記実施形態のように通常モードよりも厳しくなるようにしてもよく、或いは、通常モードと同等の制限にしてもよい。つまり、パワーモードでの制限は、電動作業機や電源装置が故障若しくは劣化しない程度にすればよく、必ずしも、通常モードに比べて移行し難くする必要はない。
【0236】
また、上記実施形態において、動作モードは、主電源SW21が操作されて制御部である制御回路36が起動する際の主電源SW21の操作時間によって、パワーモード又は通常モードに設定されるものとして説明した。
【0237】
このように、制御部を起動させる際の起動スイッチの操作時間によって、制御部の動作モードを設定する技術は、制御部をパワーモード等の特殊モードで動作させるのに適していることから、本開示とは異なる技術分野に適用することもできる。
【0238】
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。