(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る接続構造を説明するための平面図である。
図2は
図1のA−A断面図である。実施形態に係る接続構造は、第1導電膜20及び第2導電膜40を有している。第1導電膜20及び第2導電膜40は、いずれも基板100の上に位置しており、互いに接合している。基板100に垂直な方向から見た場合において、第1導電膜20は第2導電膜40の少なくとも端部42に重なっている。また、第2導電膜40の端部42は凹部44を有している。そして、凹部44を通り、かつ第1導電膜20が延在する方向と平行な方向の第1断面(すなわち
図2に示す断面)において、第1導電膜20は第1部分22及び第2部分24を有している。第1部分22は第2導電膜40の上面に接する部分であり、第2部分24は第2導電膜40の側面に面する部分である。第2部分24は第2導電膜40の側面に接していてもよい。以下、接続構造について詳細に説明する。
【0010】
基板100は絶縁性の材料で形成されている。基板100は透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。基板100が透光性を有している場合、基板100は例えばガラスや透光性の樹脂などの透光性の材料で形成されている。また、基板100が透光性を有していない場合、基板100は例えば遮光性の樹脂材料を用いて形成されている。基板100は第1面100a及び第2面100bを有しており、第2面100bは第1面100aの反対側にある。
【0011】
基板100は可撓性を有していてもよい。基板100が可撓性を有している場合、基板100の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。特にガラスを有する基板100に可撓性を持たせる場合、基板100の厚さは、例えば200μm以下である。樹脂材料で形成された基板100に可撓性を持たせる場合、基板100の材料は、例えばPC(ポリカーボネート)、アクリル、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、及びポリイミドの少なくとも一つである。なお、基板100が樹脂材料で形成されている場合、水分が基板100を透過することを抑制するために、基板100の少なくとも発光面(好ましくは両面)に、SiN
xやSiONなどの無機バリア膜が形成されているのが好ましい。また、基板100は、少なくとも1層の樹脂層と少なくとも1層の無機層を有する基板(無機有機ハイブリッド基板)であってもよい。
【0012】
第1導電膜20は、スパッタリング法又は蒸着法を用いて形成されている。第1導電膜20は、例えば透明導電膜で形成されている。この透明導電膜は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。透明導電膜の材料の屈折率は、例えば1.5以上2.2以下である。透明導電膜の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。透明導電膜は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、透明導電膜は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよいし、薄い金属導電膜であってもよい。そして、第1導電膜20は第2導電膜40よりも薄い。
【0013】
第2導電膜40は、例えば第1導電膜20よりも導電性が高い材料、例えば金属又は合金を用いて形成されている。第2導電膜40は単層構造であってもよいし、複数の層を積層した積層構造であってもよい。
図2に示す例において、第2導電膜40は第1層402及び第2層404を有している。第1層402は、Al又はAl合金など、導電率が高い金属材料を用いて形成されている。第2層404は、Mo又はMo合金など、第1層402よりも硬くて耐食性のある材料を用いて形成されている。第1層402は第2層404よりも厚い。例えば、第1層402の厚さは20nm以上160nm以下であり、第2層404の厚さは300nm以上500nm以下である。
【0014】
第2導電膜40は、スパッタリング法又は蒸着法を用いて成膜された後、エッチング法、例えばウェットエッチングを用いて所定のパターンに加工される。また、上記したように、第2層404は第1層402よりも耐食性が高い。このため、
図2に示すように、第1層402の側面は、基板100から離れるにつれて幅広となる方向に傾斜している。言い換えると、第1層402は逆テーパ形状を有している。
【0015】
上記したように、第1導電膜20は第1部分22及び第2部分24を有している。第1部分22は第1導電膜20のうち第2導電膜40の上面に接している部分であり、第2部分24は第1導電膜20のうち第2導電膜40の側面に面している部分である。ここで、第2導電膜40の第1層402は逆テーパ形状を有している。また、第1導電膜20は第2導電膜40よりも薄い。このため、第1部分22と第2部分24は、互いに接続している場合もあるが、分離している場合が多い。
【0016】
また、
図1に示すように、基板100に垂直な方向から見た場合において、第2導電膜40の端部42は、凹部44を有している。凹部44は、端部42の端面の面積を増やすために設けられている。このため、第1導電膜20の第2部分24(第2導電膜40の側面に面する部分)は長くなり、その結果、第2部分24のうち凹部44に接触している部分の面積は大きくなる。
【0017】
図1に示す例において、凹部44の平面形状は矩形である。ただし、凹部44は曲線を有する形状であってもよい。また、
図3に示すように、凹部44は端部42の一方の側面につながる形状、言い換えると端部42の一つの角を含む領域を切り欠いた形状であってもよい。
【0018】
凹部44は、第2導電膜40を所定のパターンに加工する際に形成される。このため、凹部44の幅w
1は、5μm以上であるのが好ましい。また、凹部44の隣にある凸部46、48の幅w
2,w
3も5μm以上であるのが好ましい。
【0019】
次に、実施形態に係る接合構造の製造方法を説明する。まず、基板100の上に第2導電膜40となる膜を成膜する。次いで、マスク又はレジストパターンを用いたエッチング法により、この膜をパターニングする。これにより、第2導電膜40が形成される。この際、凹部44及び凸部46,48も形成される。次いで、基板100の上に第1導電膜20を形成する。第1導電膜20は、例えば成膜時にマスクを用いることにより、所定のパターンに成膜される。
【0020】
本実施形態において、第1導電膜20は少なくとも第2導電膜40の端部42において第2導電膜40と接続している。ここで、端部42には凹部44が形成されている。このため、端部42において第2導電膜40の側面の面積は増える。従って、第1導電膜20の成膜時に、第2導電膜40の側面において第1導電膜20が第2導電膜40に接続しやすくなり、また、接続抵抗も低くなる。このため、第1導電膜20と第2導電膜40の接続工程を簡略化できる。
【0021】
(変形例1)
図4は、変形例1に係る接続構造を説明するための断面図であり、実施形態の
図2に対応している。本変形例に係る接続構造は、第3導電膜60を有している点を除いて、実施形態に係る接続構造と同様の構成である。
【0022】
第3導電膜60は、第1導電膜20の上に形成されており、第2導電膜40の端部42を覆っている。第3導電膜60は端部42の周囲を除いて形成されていないのが好ましい。第3導電膜60は第1導電膜20より厚いため、第1導電膜20の第1部分22及び第2部分24に接しているとともに、第2導電膜40の端部42の側面にも接している。このため、第3導電膜60を設けることにより、第1導電膜20と第2導電膜40の接続抵抗は低くなる。
【0023】
第3導電膜60は例えばAlまたはAgなどの金属膜であり、例えば蒸着法を用いて形成されている。第3導電膜60の厚さは、例えば300nm以上500nm以下である。
【0024】
(変形例2)
図5は、変形例2に係る接続構造を説明するための断面図であり、実施形態の
図2に対応している。本変形例に係る接続構造は、第2導電膜40が第3層406を有している点を除いて、実施形態に係る接続構造と同様の構成である。第3層406は、第1層402の下に位置しており、第2層404と同様に、第1層402よりも薄く、かつ第1層402よりも硬くて耐食性が高い材料を用いて形成されている。第1層402を形成する材料は、例えばMo又はMo合金である。なお、変形例1の接続構造において、第2導電膜40は第3層406を有していてもよい。
【0025】
(実施例)
図6は、実施例に係る発光装置10の構成を示す平面図である。
図7は
図6のB−B断面図である。発光装置10は照明装置、画素型の表示装置、又はセグメント型の表示装置である。
図6に示す例において、発光装置10はセグメント型の表示装置であり、光透過性を有している。
【0026】
発光装置10は少なくとも一つの発光部140を有している。発光部140は、基板100を用いて形成されている。発光部140は例えばボトムエミッション型であるが、トップエミッション型や両面発光型であってもよい。非発光の状態において、発光部140は透光性を有している。
【0027】
発光部140は基板100の第1面100aに形成されており、第1面100a側から、第1電極110、有機層120、及び第2電極130をこの順に有している。第1電極110及び第2電極130は、いずれも透光性を有している。第1電極110は陽極である。発光装置10が複数の発光部140を有している場合、第1電極110は複数の発光部140のそれぞれに対して個別に形成されている。一方、第2電極130は陰極であり、複数の発光部140に共通の電極となっている。
【0028】
第1電極110は透明導電膜で形成されている。この透明導電膜は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。透明導電膜の材料の屈折率は、例えば1.5以上2.2以下である。透明導電膜の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。透明導電膜は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、透明導電膜は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよいし、薄い金属導電膜(例えばMgAg合金)であってもよい。
【0029】
有機層120は、第1電極110と第2電極130の間に位置しており、複数の層を有している。これら複数の層の一つは、発光層である。有機層120を構成する各層は、例えば蒸着法を用いて形成されるが、少なくとも一部の層が塗布法により形成されていてもよい。
【0030】
第2電極130は、第1電極110と同様に、透明導電膜で形成されている。この透明導電膜は、第1電極110を構成する透明導電膜として例示した構造のいずれか一つの構造を有している。例えば第2電極130は、MgAg合金などの薄い金属膜を用いて形成されている。
【0031】
第1電極110の上には絶縁膜150が形成されている。絶縁膜150は、第1電極110のうち発光部140となるべき領域に開口151を有している。言い換えると、絶縁膜150は発光部140を画定している。絶縁膜150は、無機材料、例えば酸化シリコン、酸窒化シリコン、及び窒化シリコンの少なくとも一つを含んでいる。絶縁膜150は、例えばスパッタリング法を用いて形成されている。
【0032】
発光装置10は透光部142を有している。透光部142は発光しないが、光を透過する領域である。透光部142は発光部140に隣接している。言い換えると、透光部142は発光部140の周囲に位置している。絶縁膜150は、少なくとも透光部142に形成されている。
【0033】
なお、発光装置10は発光部140を含む一定の領域(以下、可視領域12と記載)のみがユーザから視認可能になっており、可視領域12の外側の領域はユーザから視認できないようになっている。有機層120及び第2電極130は可視領域12の全域及びその外側の領域に形成されており、また、絶縁膜150は可視領域12のうち発光部140を除いた領域の全域及びその外側の領域に形成されている。なお、有機層120は第2電極130の全体を覆っており、かつ第2電極130よりも広い。また、絶縁膜150は有機層120の全体(ただし発光部140を除く)を覆っており、かつ有機層120よりも広い。
【0034】
発光装置10は、第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134を有している。第1端子112及び第2端子132は、発光部140を外部の制御回路に接続するための端子である。第1引出配線114は第1端子112を第1電極110に接続しており、第2引出配線134は第2端子132を第2電極130に接続している。
図6に示す例において、第1端子112は第1引出配線114の端部であり、第2端子132は第2引出配線134の端部である。第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134は、いずれも基板100の第1面100aに形成されている。発光装置10が複数の発光部140を有している場合、第1端子112及び第1引出配線114は複数の発光部140別に形成されている。一方、第2電極130は複数の発光部140に共通の電極になっているため、第2端子132及び第2引出配線134は少なくとも一つ設けられていればよい。
【0035】
なお、発光装置10は、封止部(図示せず)をさらに有していてもよい。この封止部は、例えば無機膜を積層した構成を有していてもよいし、アルミ箔などの金属層及び接着層を有していてもよいし、上記した積層膜の上に接着層を介して金属箔を取り付けた構成を有していてもよい。あるいは、封止部として、中央に凹部を設けたガラス板または樹脂板を用いてもよい。この場合、封止部は、接着層を介して取り付けられる。
【0036】
図8は、
図6のC−C断面図である。本実施例において、第1引出配線114は、第1配線114a及び第2配線114bを有している。第1配線114aは第1電極110と同じ導電膜(第1導電膜20)のみで形成されている部分であり、第2配線114bは第1導電膜20及び第2導電膜40の双方を含む部分である。本実施例において、第2配線114bは第2導電膜40の上に第1導電膜20を重ねた積層構造を有している。そして、第1配線114aと第2配線114bの境界は、実施形態に示した接続構造となっている。なお、第2配線114bの一部は絶縁膜150に覆われていてもよい。
【0037】
本実施例において、第2導電膜40は第1引出配線114の配線抵抗を下げるために設けられている。そして、第1引出配線114のうち第2導電膜40を有する部分(第2配線114b)と第2導電膜40を有さない部分(第1配線114a)の境界は、実施形態に示した接続構造を有している。このため、第1配線114aと第2配線114bの境界で配線抵抗が上昇することを抑制できる。
【0038】
本実施例において、第1配線114aと第2配線114bの接続部分は、可視領域12の外、かつ有機層120及び第2電極130が形成されていない領域に位置している。ただし、
図9の平面図及び
図10のC−C断面図に示すように、第1配線114aと第2配線114bの接続部分は、可視領域12の中、かつ有機層120及び第2電極130が形成されている領域に位置していてもよい。この場合、第1配線114aは実質的になくなり、第1電極110が第2配線114b(配線)に接続していることもある。あるいは、第1配線114aと第2配線114bの接続部分は、可視領域12の外、かつ有機層120及び第2電極130が形成されている領域に位置していてもよい。
【0039】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。