(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、マフラの入口開口および出口開口の双方から、マフラ内部にパイプを突出させた排気消音装置が開示されている。この場合、マフラが傾斜して、凝縮水が、マフラの入口開口または出口開口に流れたとしても、当該入口開口および出口開口は、パイプにより閉塞されている。その結果、凝縮水の排気管への流出がある程度抑制される。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、パイプの周面に形成された開口部の位置について十分に検討されておらず、凝縮水の流出を十分に抑制できなかった。すなわち、特許文献1では、パイプの側面に複数の小孔を設けているが、この小孔の位置は、限定されていなかった。そのため、小孔の位置が低い場合には、マフラ内に溜まった凝縮水が、当該小孔を介してパイプ内に流入しやすく、ひいては、排気管の閉塞が生じやすかった。また、特許文献1では、パイプとして平板をパイプ状に巻いた巻きパイプを用いることは何ら示唆されておらず、その結果、当然ながら、引用文献1では、巻きパイプの巻き合わせ部分の位置についても何ら検討されていない。
【0006】
そこで、本明細書では、排気管の閉塞をより効果的に防止できる排気消音装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する排気消音装置は、車両の排気経路途中に設けられ、排気騒音を低減する排気消音装置であって、前記排気経路途中に設けられ、内部に膨張室が形成されたマフラと、前記マフラの入口開口に気密に挿通されて前記膨張室内に進入するインレットパイプであって、その周面に1以上の開口部を有するインレットパイプと、前記マフラの出口開口に気密に挿通されて前記膨張室内に進入するアウトレットパイプであって、その周面に1以上の開口部を有するアウトレットパイプと、を備え、前記インレットパイプおよび前記アウトレットパイプは、その上側半分の領域にのみ前記開口部が形成されており、その下側半分は、前記開口部がなく閉鎖されている、ことを特徴とする。
【0008】
かかる構成とした場合、入口開口および出口開口は、インレットパイプおよびアウトレットパイプで閉塞されているため、入口開口および出口開口を介して凝縮水が漏出することが防止される。また、各パイプは、その上側半分の領域にのみ開口部が形成されており、その下側半分は、開口部がなく閉鎖されている。そのため、サブマフラ内の凝縮水が開口部に到達しにくいため、当該開口部を介した漏液も効果的に防止される。結果として、排気管の閉塞が効果的に防止される。
【0009】
また、前記インレットパイプおよびアウトレットパイプの少なくとも一方は、平板をパイプ状に巻いた巻きパイプであり、前記巻きパイプの巻き合わせ部分には、前記平板の巻き終わりと巻き始めを接合した接合部と、接合していない非接合部が、交互に並んでおり、前記1以上の開口部は、前記非接合部を含んでもよい。
【0010】
インレットパイプおよびアウトレットパイプの少なくとも一方を巻きパイプとすることで、コストを低減できる。一方で、巻きパイプとした場合、その巻き合わせ部に開口部となる非接合部が存在するが、この非接合部(開口部、巻き合わせ部)を、パイプの上側半分の領域に位置させることで、当該非接合部を介した漏液も効果的に防止され、排気管の閉塞が効果的に防止される。
【0011】
また、前記インレットパイプおよびアウトレットパイプの少なくとも一方は、その周面にパイプの内外に連通する1以上の小孔を有しており、前記1以上の開口部は、前記1以上の小孔を含んでもよい。
【0012】
インレットパイプの周面に小孔を設けることで、消音性能を向上できる。また、アウトレットパイプの周面に小孔を設けることで、圧力損失を低減できる。そして、この小孔を含む開口部を、パイプの上側半分の領域にのみ設けることで、当該小孔を介した漏液も効果的に防止され、排気管の閉塞が効果的に防止される。
【0013】
前記インレットパイプおよびアウトレットパイプは、いずれも、前記1以上の小孔を有しており、前記アウトレットパイプの小孔は、前記インレットパイプの小孔よりも、大径であってもよい。
【0014】
アウトレットパイプの小孔をインレットパイプの小孔よりも大径とすることで、圧力損失をより効果的に低減できる。
【0015】
また、前記インレットパイプおよび前記アウトレットパイプの少なくとも一方は、前記膨張室を流れ方向に分割するべく前記膨張室内に配されたセパレータにより支持されていてもよい。
【0016】
かかるセパレータを設けることで、インレットパイプおよび/またはアウトレットパイプの撓みを防ぎつつ、インレットパイプおよびアウトレットパイプの膨張室内での突出量を大きくできる。そして、突出量を大きくすることで、インレットパイプの下流端開口またはアウトレットパイプの上流端開口を介しての凝縮水の漏出がより確実に防止され、ひいては、排気管の閉塞がより確実に防止される。
【0017】
また、前記アウトレットパイプは、前記セパレータにより支持されており、前記セパレータは、前記アウトレットパイプの上流端に連なるとともに、前記アウトレットパイプの上流端から径方向外側に行くに従い、上流側に進む略漏斗状であってもよい。
【0018】
かかる構成とすることで、アウトレットパイプの上流端開口に向かう排気ガスの流れ抵抗を低減でき、圧力損失を低減できる。また、セパレータが、アウトレットパイプの延長部分のように機能するため、アウトレットパイプの長さを短縮することができ、コストを低減できる。
【0019】
また、前記アウトレットパイプの上流端は、ラッパ状に広がる、または、斜めにカットされていてもよい。
【0020】
かかる構成とすることで、アウトレットパイプの上流端開口の断面積が拡大し、圧力損失を低減できる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書で開示する排気消音装置によれば、マフラの入口開口および出口開口は、インレットパイプおよびアウトレットパイプで閉塞されているため、入口開口および出口開口を介して凝縮水が漏出することが防止される。また、各パイプは、その上側半分の領域にのみ開口部が形成されており、その下側半分は、開口部がなく閉鎖されている。そのため、サブマフラ内の凝縮水が開口部に到達しにくく、当該開口部を介した漏液も効果的に防止される。結果として、排気管の閉塞が効果的に防止される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、排気消音装置について図面を参照して説明する。
図1は、排気消音装置を有した排気構造を示す図である。この排気構造は、エンジン(図示せず)に接続されるとともに排気ガスを外部まで導く排気管16を有し、この排気管16の経路途中には、上流側(エンジン側)から順に、触媒コンバータ14、第一排気消音装置10、第二排気消音装置12が設けられている。
【0024】
触媒コンバータ14は、排気ガスを浄化するもので、例えば、酸化及び還元反応により排気ガス中の有害成分を除去する。第二排気消音装置12は、メインマフラ18を有しており、当該メインマフラ18に流入した排気ガスを膨張させたり、繰り返し圧力波を干渉させたりするなどの方法により、排気ガスの圧力と温度を下げて騒音を抑える。この触媒コンバータ14および第二排気消音装置12の構成は、公知の従来技術を用いることができるため、ここでの詳説は、省略する。
【0025】
図2は、第一排気消音装置10の概略構成を示す図である。
図2において、紙面左右方向が、排気ガスの流れ方向であり、紙面上下方向が、重力方向である。なお、ここでいう「重力方向」とは、車両を水平面に停車させた際の重力方向を意味する。第一排気消音装置10は、排気騒音を低減する装置である。この第一排気消音装置10は、サブマフラ20と、サブマフラ20の上流側からサブマフラ20の内部まで延びるインレットパイプ30と、サブマフラ20の下流側からサブマフラ20の内部まで延びるアウトレットパイプ40と、を備えている。
【0026】
サブマフラ20は、排気管16よりも大径の略円筒形部材であり、その内部は、排気ガスを急激に膨張させる膨張室22として機能する。また、サブマフラ20の上流端および下流端は、いずれも、端部に近づくにつれて徐々に縮径する円錐形状となっている。
【0027】
サブマフラ20の上流端および下流端には、それぞれ、入口開口24および出口開口26が形成されている。入口開口24には、後述するインレットパイプ30が挿通されている。インレットパイプ30の外周面は、入口開口24の内周面に気密に密着している。換言すれば、インレットパイプ30の外周面と、入口開口24の内周面との間には、シール部34が存在する。そのため、排気ガスは、インレットパイプ30を介することなく、膨張室22内に進入できないようになっている。また、後述するように、サブマフラ20に溜まった凝縮水も、このシール部34を通過できないようになっている。
【0028】
出口開口26には、後述するアウトレットパイプ40が挿通されている。アウトレットパイプ40の外周面は、出口開口26の内周面に気密に密着している。したがって、アウトレットパイプ40の外周面と、出口開口26の内周面との間にも、シール部44が存在する。そして、排気ガスおよび凝縮水のいずれも、当該シール部44を通過できないようになっている。
【0029】
インレットパイプ30は、サブマフラ20よりも十分に小径のパイプである。このインレットパイプ30は、排気管16に接続されるパイプであり、サブマフラ20の上流側から、サブマフラ20の内部(膨張室22内)まで延びている。本例では、インレットパイプ30を、後述する通り、一枚の平板を筒状に巻いて成る巻きパイプで構成している。かかる巻きパイプは、シームレスパイプに比べて、安価に製造でき、また、周面への孔開け加工等が平板の状態で行えるので容易である。
【0030】
このインレットパイプ30の下流端には、下流端開口36が形成されている。インレットパイプ30を流れる排気ガスの一部は、このインレットパイプ30の下流端開口36から膨張室22内に噴出する。そして、この噴出の過程で、排気ガスが急激に膨張することで、排気騒音が軽減される。なお、入口開口24から下流端開口36までの距離、すなわち、インレットパイプ30の膨張室22内での突出量は、サブマフラ20の全長Lの1/3以上である。ただし、こうしたインレットパイプ30の突出量は、求められる消音性能や、後述する漏液防止機能等に応じて、適宜、変更されてもよい。
【0031】
インレットパイプ30の周面には、複数の小孔32が形成されている。インレットパイプ30を流れる排気ガスの一部は、この小孔32から噴出する過程で、急激に膨張する。そして、これにより、排気騒音が軽減される。なお、この小孔32の個数やサイズ、形状は、騒音性能に応じて、適宜、設定されればよい。
【0032】
アウトレットパイプ40も、排気管16に接続されるパイプであり、サブマフラ20の下流側から、サブマフラ20の内部(膨張室22内)まで延びている。また、アウトレットパイプ40は、インレットパイプ30と同様に、一枚の平板を筒状に巻いて成る巻きパイプで構成されている。
【0033】
このアウトレットパイプ40の上流端には、上流端開口46が形成されている。サブマフラ20内の排気ガスは、この上流端開口46からアウトレットパイプ40に流入し、サブマフラ20の外部に排出される。なお、出口開口26から上流端開口46までの距離、すなわち、アウトレットパイプ40の膨張室22内での突出量は、サブマフラ20の全長Lの1/3以上である。ただし、こうしたアウトレットパイプ40の突出量は、求められる消音性能や、後述する漏液防止機能等に応じて、適宜、変更されてもよい。
【0034】
また、アウトレットパイプ40の周面にも複数の小孔42が形成されている。当該小孔42は、アウトレットパイプ40への排気ガスの流入出を許容する孔である。かかる小孔42を設けることで、アウトレットパイプ40と膨張室22との圧力差が小さくなり、圧力損失が低減する。すなわち、インレットパイプ30の小孔32は、主に消音を目的として設けられているが、アウトレットパイプ40の小孔42は、主に、圧力損失低減を目的として設けられている。そのため、アウトレットパイプ40の小孔42は、インレットパイプ30の小孔32に比して、大径となっている。
【0035】
ここで、インレットパイプ30およびアウトレットパイプ40は、いずれも、巻きパイプで構成されており、その周面には、開口部の一種である非接合部が存在する。この非接合部について、
図3を参照して説明する。
図3は、アウトレットパイプ40の概略斜視図である。なお、
図3では、小孔42の図示は、省略している。
【0036】
アウトレットパイプ40を構成する巻きパイプは、平板を、その幅方向両端が重なる、または、近接するように、筒状に巻くととともに、その巻き合わせ部48において、巻き始めと巻き終わりとを互いに接合して成る。本例において、巻き合わせ部48における溶接部48aは、軸方向に連続しておらず、間欠的に並んでいる。換言すれば、巻き合わせ部48には、巻き始めと巻き終わりが溶接されていない非接合部48bが、間欠的に並んでいる。この非接合部48bは、パイプの内外を連通する開口部の一種となる。インレットパイプ30にも、同様に、開口部の一種となる非接合部(図示せず)が存在している。
【0037】
つまり、インレットパイプ30およびアウトレットパイプ40の周面には、パイプの内外を連通する開口部として、小孔32,42および非接合部48bが存在している。本例では、これら開口部(小孔32,42および非接合部48b)を、パイプ30,40の周面のうち、比較的、高めの領域にのみ形成することが望ましい。これについて
図4を参照して説明する。
図4は、アウトレットパイプ40の概略断面図である。
【0038】
開口部である小孔42および非接合部48b(巻き合わせ部48)は、アウトレットパイプ40の上側半分の範囲、すなわち、中心Oを通る鉛直線Lvの両側±90度の範囲αにのみ形成されることが望ましい。また、より望ましくは、小孔42および非接合部48bは、鉛直線Lvの両側±60度の範囲βにのみ形成されることが望ましい。別の言い方をすれば、アウトレットパイプ40の下側半分には、開口部(小孔42および非接合部48b)が無く、当該下側半分は、完全に閉じていることが望ましい。インレットパイプ30についても、同様であり、開口部(小孔32および非接合部)は、中心を通る鉛直線の両側±90度の範囲、より望ましくは±60度の範囲内にのみ形成されることが望ましい。かかる構成とするのは、凝縮水が、開口部に到達しにくくするためであるが、これについては、後に詳説する。
【0039】
インレットパイプ30およびアウトレットパイプ40は、いずれも、サブマフラ20内に、セパレータ50で保持されている。
図5は、セパレータ50の正面図である。セパレータ50は、膨張室22を流れ方向に分割するべく、膨張室22内に配置される隔壁である。セパレータ50の略中心には、インレットパイプ30またはアウトレットパイプ40が挿通される挿通孔52が形成されている。インレットパイプ30またはアウトレットパイプ40は、この挿通孔52を貫通して、セパレータ50により支持される。また、セパレータ50のうち、挿通孔52の周囲には、複数(図示例では8つ)の連通孔54が形成されている。この連通孔54は、膨張室22内での排気ガスの流れを許容する孔であり、その個数、サイズ、形状は、特に限定されない。いずれにしても、パイプ30,40を支持するセパレータ50を設けることにより、パイプ30,40の撓みを防ぎつつ、パイプ30,40の膨張室22内での突出量を増やすことができる。
【0040】
以上の通り、本明細書で開示する第一排気消音装置10では、サブマフラ20の入口開口24および出口開口26の双方に、パイプ30,40が気密に挿通されており、また、各パイプ30,40の開口部(小孔32,42および非接合部48b)は、当該パイプ30,40の周面のうち上側半分の範囲にのみ形成している。かかる構成とする理由を、従来技術と比較して説明する。
【0041】
エンジンからは、高温の排気ガスが排出されるが、この排気ガスは、排気経路を通過する過程で、徐々に低温化する。そして、この低温化に伴い、排気ガスに含まれていた水分が凝縮して、凝縮水となる。サブマフラ20の底部には、この凝縮水が溜まることがあった。そして、サブマフラ20の底部に凝縮水が多量に貯留すると、排気管16が閉塞することがあった。例えば、サブマフラ20の底部に凝縮水が、多量に貯留した状態で、車両が、後下がりの傾斜状態で停車した場合を考える。この場合、
図9に示すように、サブマフラ20内の凝縮水100が、出口開口26から、下流側の排気管16内に流出し、排気管16の一部が、凝縮水100で満たされてしまう。さらに、この状態で、凝縮水100が凍結すると、凍結膨張に伴う排気管16の損傷や、排気管16が完全閉塞することによってエンジンの再起動が困難になるといった問題も招く。また、
図9とは逆に、車両が、前下がりの傾斜状態で停車した場合には、凝縮水100は、入口開口24から上流側の排気管16内に流出し、排気管16の一部が、凝縮水100で満たされてしまう。
【0042】
こうした排気管16の閉塞を防止するためには、サブマフラ20内に貯留した凝縮水の漏出を防止することが望まれる。そこで、本明細書で開示する第一排気消音装置10では、インレットパイプ30およびアウトレットパイプ40で、入口開口24および出口開口26を閉塞している。
図6は、本明細書で開示する第一排気消音装置10が、後下がりに傾斜した様子を示す図である。この場合、サブマフラ20内に溜まった凝縮水100は、出口開口26に向かう。しかし、この場合、凝縮水100は、出口開口26とアウトレットパイプ40とのシール部44に阻まれ、サブマフラ20の外部に出ていくことができない。結果として、凝縮水100の排気管16への漏出、ひいては、排気管16の閉塞が効果的に防止される。
【0043】
ところで、
図6に示す通り、第一排気消音装置10が傾斜した場合、凝縮水100の一部は、アウトレットパイプ40の下部の周面に接触する。このとき、当該アウトレットパイプ40の下部周面に、小孔42または非接合部48bである開口部が存在していると、当該開口部を介して凝縮水100が、アウトレットパイプ40に流入し、サブマフラ20の外部に漏出する。そこで、本例では、既述した通り、開口部を、アウトレットパイプ40の周面のうち、比較的高めのエリア(上側半分の範囲内)にのみ設けている。その結果、凝縮水100が、開口部に到達しにくくなり、凝縮水100の漏出、ひいては、排気管16の閉塞が効果的に防止される。
【0044】
なお、開口部を高いエリアに形成したとしても、アウトレットパイプ40の膨張室22内での突出量が小さいと、凝縮水100は、アウトレットパイプ40の上流端開口46から漏出する恐れがある。そこで、アウトレットパイプ40の突出量は、かかる漏出を防止し得る程度に大きくすることが望ましい。このアウトレットパイプ40の突出量は、凝縮水100の予想貯留量や、車両の予想傾斜角度等に応じて設定されればよいが、例えば、サブマフラ20の全長Lの1/3以上であることが望ましい。
【0045】
同様の効果は、インレットパイプ30においても得られる。すなわち、インレットパイプ30と入口開口24との間にもシール部34が存在するため、車両が前下がりに傾斜したとしても、凝縮水100が、入口開口24を通過することはなく、排気管16の閉塞が効果的に防止される。また、インレットパイプ30においても、開口部は、基準線より高い領域にのみ設けられているため、凝縮水100が開口部に到達しにくい。結果として、排気管16の閉塞が効果的に防止される。さらに、インレットパイプ30の突出量も、サブマフラ20の全長Lの1/3以上とすれば、下流端開口36を介した凝縮水100の漏出も防止されやすくなる。
【0046】
なお、本例のように、入口開口24だけでなく、出口開口26も、パイプ(アウトレットパイプ40)で閉塞した場合、排気ガスの排出抵抗が高まり、サブマフラ20内の背圧の上昇、ひいては、圧力損失の増加が生じやすい。そこで、圧力損失の増加を抑制するために、アウトレットパイプ40の上流端開口46の断面積は、極力、大きくすることが望ましい。そこで、例えば、アウトレットパイプ40の上流端は、
図7(a)に示すように、上流端に近づくにつれラッパ状に広がる形状としてもよい。かかる構成とすることで、上流端開口46の断面積を大きくでき、圧力損失を低減できる。また、別の形態として、アウトレットパイプ40の上流端は、
図7(b)に示すように、斜めにカットしてもよい。かかる構成とした場合も、上流端開口46の断面積を大きくでき、圧力損失を低減できる。
【0047】
また、
図8に示すように、セパレータ50を、アウトレットパイプ40の上流端開口46に連なる漏斗状としてもよい。すなわち、セパレータ50を、挿通孔52から径方向外側に進むにつれて上流側に進むような形状とする。また、セパレータ50の挿通孔52内に、アウトレットパイプ40の上流端を配置する。かかる構成とすることで、セパレータ50に当たった排気ガスは、当該セパレータ50に沿って、アウトレットパイプ40の上流端開口46にスムーズに導かれる。その結果、排気ガスの流れ抵抗が低下し、圧力損失を低減できる。
【0048】
また、凝縮水の漏出を防止するためには、アウトレットパイプ40の突出量は、大きいほどよいが、その分、アウトレットパイプ40のコストが増加する。
図8に示すように、セパレータ50を、アウトレットパイプ40の上流端に連ならせた場合、セパレータ50を、アウトレットパイプ40の上流端を延長部分のように扱うことができる。換言すれば、セパレータ50を、アウトレットパイプ40の上流端に連ならせることで、アウトレットパイプ40を短くしても、長くした場合(延長させた場合)と同様の効果が得られるため、アウトレットパイプ40を短くでき、コストを低下できる。
【0049】
また、これまで説明した構成は、一例であり、インレットパイプ30およびアウトレットパイプ40において、上側半分の領域にのみ開口部が形成され、下側半分が閉鎖されているのであれば、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、これまでの説明では、開口部として、小孔32,42と非接合部48bと、を挙げたが、開口部は、小孔32,42および非接合部48bの少なくとも一方のみでもよいし、更に別の種類の開口部があってもよい。したがって、例えば、アウトレットパイプ40は、開口部として非接合部48bのみを有し、小孔42を有さない形態でもよい。この場合でも、開口部である非接合部48bを、アウトレットパイプ40の上側半分の領域にのみ形成すればよい。また、これまでの説明では、セパレータ50を設けているが、各パイプ30,40の撓みを防止できるのであれば、セパレータ50は、省略されてもよい。
【0050】
また、これまでは、第一排気消音装置10を例に挙げて説明したが、本明細書で開示の構成は、他の排気消音装置、例えば、第二排気消音装置12(メインマフラ)に適用されてもよい。