特許第6981855号(P6981855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6981855内燃機関の可変吸気マニホルドの漏れ検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981855
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】内燃機関の可変吸気マニホルドの漏れ検査方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20211206BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20211206BHJP
   G01M 3/26 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   F02M35/104 R
   F02M35/104 N
   F02M35/10 311Z
   F02M35/104 Y
   G01M3/26 L
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-219645(P2017-219645)
(22)【出願日】2017年11月15日
(65)【公開番号】特開2019-90369(P2019-90369A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151209
【氏名又は名称】株式会社マーレ フィルターシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】立川 紀孝
【審査官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−299594(JP,A)
【文献】 特開2002−168153(JP,A)
【文献】 特開2010−001847(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/190883(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0017155(US,A1)
【文献】 独国特許発明第19504256(DE,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
G01M 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一端部に吸気入口を有するとともに、気筒列方向に沿って細長く形成されたコレクタと、このコレクタに一端が接続されるとともに、該コレクタの外周を囲むように巻回して形成され、かつ他端に取付フランジを備えた複数のブランチ部と、このブランチ部の中間位置と上記コレクタとの間に設けられた連通口を開閉する可変吸気弁と、を備えてなる内燃機関の可変吸気マニホルドの漏れ検査方法であって
上記ブランチ部の湾曲部から外側へ向けて突出するブラケットを備え、内燃機関に取り付けられていない状態で、上記取付フランジを下向きとした姿勢で該取付フランジと上記ブラケットとで床面上に自立するように構成されているとともに、
この自立姿勢において内部に液体を注入したときに上記吸気入口下縁によって規定される水平面に対して、上記可変吸気弁が相対的に上方に位置するとともに、上記ブランチ部の一端の上記コレクタとの連通部が相対的に下方に位置するように、各々の位置関係が設定されている可変吸気マニホルドに対して、
上記自立姿勢において上記吸気入口から溢れるまで内部に液体を注入し、
この可変吸気マニホルドを冷却して内部の液体を凍結させ、
上記吸気入口と上記ブランチ部の先端開口との間で一方から他方への気体の流量測定を行って、上記可変吸気弁での漏れを検査する、
内燃機関の可変吸気マニホルドの漏れ検査方法。
【請求項2】
上記自立姿勢において上記ブランチ部の一端が上記コレクタの最下部に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変吸気マニホルドの漏れ検査方法
【請求項3】
上記コレクタの長手方向の一端部から円筒状に吸気入口管が延びており、該吸気入口管先端の円形の開口が上記吸気入口を構成し、その下縁の接線に沿って上記水平面が規定される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の可変吸気マニホルドの漏れ検査方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実質的な管長を長短に切り換える可変吸気弁を備えた内燃機関の可変吸気マニホルドおよびその漏れ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コレクタの周囲を囲むように巻回した複数のブランチ部を備え、このブランチ部の中間位置とコレクタとの間に可変吸気弁が設けられた可変吸気マニホルドが開示されている。この種の可変吸気マニホルドは、可変吸気弁が閉じている状態では、コレクタから内燃機関の吸気ポートに至るブランチ部の管長が長くなり、他方、可変吸気弁が開くと、コレクタがブランチ部の中間位置に連通するため、ブランチ部の管長が実質的に短くなる。従って、例えば内燃機関の回転速度等に応じて可変吸気弁を開閉制御することで、吸気系として最適な特性を得ることができる。
【0003】
また特許文献2には、可変吸気弁を具備しない巻回型の吸気マニホルドにおいて、内燃機関への取付を容易とするために、シリンダヘッド側面に取り付けられるブランチ部先端部を上方とした姿勢でもって床面上に自立するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−299594号公報
【特許文献2】特許第5928587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流路切換用の可変吸気弁を備えた特許文献1のような可変吸気マニホルドにあっては、可変吸気弁の閉位置において該可変吸気弁に過大な吸気の漏れがあると、本来の特性を得ることができない。そのため、例えば内燃機関への取付前に可変吸気マニホルドにおける可変吸気弁の漏れを検査することが望ましい。
【0006】
しかしながら、可変吸気弁は可変吸気マニホルドの内部に位置しており、しかも吸気の入口となるコレクタの吸気入口と吸気の出口となるブランチ部の先端開口とは、可変吸気弁の開位置および閉位置のいずれであっても互いに連通しているので、気体の通流により可変吸気弁の漏れを検査することは困難であった。
【0007】
なお、特許文献2はそもそも可変吸気弁を具備しておらず、可変吸気弁の漏れ検査に関する開示はない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る内燃機関の可変吸気マニホルドは、長手方向の一端部に吸気入口を有するとともに、気筒列方向に沿って細長く形成されたコレクタと、このコレクタに一端が接続されるとともに、該コレクタの外周を囲むように巻回して形成され、かつ他端に取付フランジを備えた複数のブランチ部と、このブランチ部の中間位置と上記コレクタとの間に設けられた連通口を開閉する可変吸気弁と、を備えている。
【0009】
そして、上記ブランチ部の湾曲部から外側へ向けて突出するブラケットを備え、内燃機関に取り付けられていない状態で、上記取付フランジを下向きとした姿勢で該取付フランジと上記ブラケットとで床面上に自立するように構成されているとともに、
この自立姿勢において内部に液体を注入したときに上記吸気入口下縁によって規定される水平面に対して、上記可変吸気弁が相対的に上方に位置するとともに、上記ブランチ部の一端の上記コレクタとの連通部が相対的に下方に位置するように、各々の位置関係が設定されている。
【0010】
この可変吸気マニホルドの好ましい一つの態様では、上記自立姿勢において上記ブランチ部の一端が上記コレクタの最下部に接続されている。
【0011】
また、可変吸気マニホルドの好ましい一つの態様では、上記コレクタの長手方向の一端部から円筒状に吸気入口管が延びており、該吸気入口管先端の円形の開口が上記吸気入口を構成し、その下縁の接線に沿って上記水平面が規定される。
【0012】
このように構成された可変吸気マニホルドにおいては、水平な床面上に自立させた状態において吸気入口から溢れ出るまで内部に水等の液体を注入すると、液体は、上記吸気入口の下縁によって規定される水平面まで溜まる。この状態では、ブランチ部とコレクタとの連通部が液中に没した状態となり、コレクタとブランチ部内の通路との連通が遮断される。他方、可変吸気弁は液面から上方へ露出した状態となる。
【0013】
従って、コレクタの吸気入口とブランチ部先端(取付フランジ側)の開口とは、可変吸気弁を介した管長の短い経路でのみ連通し得る状態となる。そのため、可変吸気弁を閉位置として両者間で気体の通流試験(例えば流量測定)を行うことで、可変吸気弁の閉位置における漏れを検査することができる。
【0014】
検査の際の可変吸気マニホルドの取り扱いを容易とするためには、内部に溜めた水等の液体を凍結させることが好ましい。可変吸気マニホルドは、床面上に所定の姿勢で自立するので、例えば冷凍庫内で液面位置を所定位置に保ったまま凍結させることができる。
【0015】
本発明の可変吸気マニホルドの漏れ検査方法は、
上記のような構成の可変吸気マニホルドに対して、
上記自立姿勢において上記吸気入口から溢れるまで内部に液体を注入し、
この可変吸気マニホルドを冷却して内部の液体を凍結させ、
上記吸気入口と上記ブランチ部の先端開口との間で一方から他方への気体の流量測定を行って、上記可変吸気弁での漏れを検査する。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、内部の可変吸気弁の閉位置における漏れ検査が可能な可変吸気マニホルドを提供することができ、内燃機関への取付前に可変吸気弁の漏れ検査を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明に係る可変吸気マニホルドの一実施例を示す斜視図。
図2】この可変吸気マニホルドを床面上に自立させた状態を示す正面図。
図3】同じく床面上に自立させた状態での断面図。
図4図3とは反対側の方向から示した断面図。
図5図2のA−A線に沿った縦断面図。
図6】内部に水を溜めて凍結させた状態を示す図3と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。この実施例の可変吸気マニホルド1は、直列4気筒内燃機関に用いられる合成樹脂製の可変吸気マニホルドであって、図1に示すように、気筒列方向に沿って細長い筒状に形成されたコレクタ2と、このコレクタ2に一端が接続されるとともに、コレクタ2の外周を囲むように巻回して形成された4本のブランチ部3と、を備えている。コレクタ2は、長手方向の一端部から円筒状に延びた吸気入口管4を有し、この吸気入口管4の先端が吸気入口5として円形に開口している。ブランチ部3の他端には、内燃機関のシリンダヘッド側面に取り付けられる板状の取付フランジ6が形成されている。図示例では、取付フランジ6は4つの気筒で一体に連続した細長い矩形の板状をなしており、複数のボルト貫通孔7を備えている。なお、取付フランジ6は気筒毎に分割された構成であってもよく、また、タンブル制御弁等のハウジングを挟んで取付フランジ6がシリンダヘッド側面に取り付けられる構成であっても本発明は適用可能である。
【0019】
図1は、内燃機関に取り付けられた状態での可変吸気マニホルド1の姿勢に概ね対応している。すなわち、コレクタ2の上方に取付フランジ6が位置し、コレクタ2から下方へ向かって延びたブランチ部3がコレクタ2の外側を回るように湾曲しつつコレクタ2外周を囲み、さらに、コレクタ2から離れて直線状に延びたブランチ部3の先端が取付フランジ6に達している。
【0020】
コレクタ2の一端部には上記吸気入口管4に隣接してアクチュエータ取付ボス部8が厚肉な台座状に形成されており、ここに、後述する可変吸気弁用の電動アクチュエータ9が取り付けられている。
【0021】
また、ブランチ部3の湾曲部から外側へ向けて突出するブラケット10がブランチ部3の外周側部分と一体に成形されている。吸気入口5に近い側の気筒が♯1気筒、吸気入口5から遠い側の気筒が♯4気筒であるとすると、ブラケット10は、♯1気筒用ブランチ部3と♯2気筒用ブランチ部3とに跨って設けられている。すなわち、ブラケット10は、軽量化しつつ剛性を確保するために、断面チャンネル状をなすように、気筒列方向に直交する2つの側壁10a,10aを気筒列方向に沿った中央壁10bで連結した構成をなしており、2つの側壁10a,10aの各々が♯1気筒用ブランチ部3および♯2気筒用ブランチ部3の外周面に接続されている。このブラケット10は、図示せぬホース類の支持に用いられるブラケットであって、円形の吸気入口5の半径線にほぼ沿った方向に直線状に突出しており、かつ、可変吸気マニホルド1が内燃機関に取り付けられていない状態で該可変吸気マニホルド1を床面上に自立させるために所定の突出長を有している。
【0022】
図2図6は、内燃機関に取り付けられていない可変吸気マニホルド1を、水平な床面11上に置いて自立させた状態でもって示している。可変吸気マニホルド1は、取付フランジ6を下向きとした姿勢でもって床面11上に置かれる。このとき、取付フランジ6の内側の側縁(厳密にはボルト貫通孔7が配置された3箇所の膨出部6a(図1参照)先端)とブラケット10先端とが床面11に接地する。可変吸気マニホルド1の重心は、接地点である一方の側の3個の膨出部6aと他方の側のブラケット10先端との間の中央付近に位置するので、可変吸気マニホルド1は、図示するような姿勢で安定的に自立する。ブラケット10側では、該ブラケット10の1点のみが接地するので、全体として三角形の頂点で接地するような態様となり、例えば床面11に多少の凹凸があったような場合でも、がたつくことなく安定した自立状態が得られる。なお、本発明においては、必要に応じてブラケット10を複数(例えば2つ)設けるようにしてもよい。
【0023】
以下では、理解を容易にするために、可変吸気マニホルド1各部を説明するための「上」「下」の語を、図2図6に示す自立姿勢を基準にして用いることとする。
【0024】
図3図5の断面図に示すように、コレクタ2は、内部に内部空間となるコレクタ室15を有し、各ブランチ部3は、内部に吸気通路となるブランチ通路16を有している。ブランチ通路16は、自立姿勢における下部においてコレクタ室15に一端が連通し、他端が取付フランジ6において吸気出口17として開口している。
【0025】
詳しくは、コレクタ2は、図1にも示すように、自立姿勢における下方へ向かって断面台形状に張り出した台形部2aを有し、この台形部2aの側面にブランチ部3が接続されている。従って、ブランチ通路16の一端は、コレクタ室15内部から見ると、台形部2aの一方の側面を構成する壁部2bに、略矩形の開口部18として開口しており、この開口部18を介してブランチ通路16とコレクタ室15とが連通している。台形部2aは、自立姿勢においてコレクタ2の下側部分を構成しており、連通部となる開口部18は実質的にコレクタ2の最下部に位置している。
【0026】
図3図4に示すように、ブランチ部3をその流れの方向に沿って2分すると、上流側部分はコレクタ2外周に沿って該コレクタ2と一体化されており、下流側部分は、コレクタ2から離れて管状をなすように構成されている。すなわち、ブランチ部3の上流側部分では、ブランチ通路16とコレクタ室15とが互いに隣接し、両者に共通な隔壁19によって仕切られた構成となっている。そして、吸気入口5よりも上方となる位置において、この隔壁19に略矩形の連通口20が開口形成されている。すなわち、この連通口20は、ブランチ通路16の中間位置とコレクタ室15とを互いに連通している。この連通口20には、該連通口20を前述した電動アクチュエータ9の作動により開閉する可変吸気弁21が配置されている。可変吸気弁21は、隔壁19に沿うように僅かに湾曲した板状をなす弁体21aの中央部が回転軸21bに取り付けられた構成であり、図示するような閉位置では連通口20を閉塞し、隔壁19とほぼ直交する開位置では連通口20が開放されるようになっている。回転軸21bは、電動アクチュエータ9の駆動軸に接続されている。弁体21a周縁には、閉位置にあるときに連通口20周囲の開口縁との間をシールするゴム等からなるシールリップ21cが設けられている。
【0027】
このような可変吸気弁21を備えた可変吸気マニホルド1にあっては、可変吸気弁21が閉位置にあれば、コレクタ室15から開口部18を介して吸気出口17に至るまでの吸気通路の管長が長くなる。他方、可変吸気弁21が開位置にあれば、コレクタ室15が連通口20を介してブランチ通路16の中間位置に連通することから、実質的な管長が短くなる。
【0028】
ここで、上記実施例の可変吸気マニホルド1にあっては、図3等に示す自立姿勢において、吸気入口5(図3には対応位置を仮想線で示す)から溢れ出るまで液体例えば水を注入したときに、吸気入口5の下縁によって規定される水平面Lよりも上方に可変吸気弁21が位置し、かつ、水平面Lよりも下方にブランチ通路16の連通部となる開口部18が位置するような位置関係を有する。すなわち、水平な床面11上に可変吸気マニホルド1を自立させ、内部に水を十分に注入すれば、図3および図5に示すように、吸気入口5の下縁の接線に沿って液面つまり水平面Lが定まる。この水平面Lに対して、コレクタ室15とブランチ通路16との連通部となる開口部18は、相対的に下方に位置することから水中に没した状態となり、他方、可変吸気弁21は、液面Lに接することなく空気中に露出した状態となる。
【0029】
従って、水平面Lまで水を溜めた状態とすることにより、コレクタ室15とブランチ通路16との連通が遮断される。他方、連通口20および可変吸気弁21を介した管長の短い流路は、内部に溜めた水に阻害されずに連通可能な状態となる。そのため、可変吸気弁21を閉位置に固定した上で、コレクタ2一端部の吸気入口5から加圧気体(例えば加圧空気)を導入し、各気筒の吸気出口17へ流れてくる流量を測定することで、閉位置における可変吸気弁21の漏れ検査を行うことができる。4本のブランチ通路16の開口部18は個々に閉塞されているので、4個の可変吸気弁21の漏れを個々に検査することが可能である。なお、漏れ検査のために内部に水を溜める際に、例えばコレクタ2から負圧を取り出すための負圧取り出し口等が水平面Lより下方に存在する場合には、ゴム等のプラグで閉塞すればよい。
【0030】
より実際的には、内部に溜めた水等の液体を凍結させた上で漏れ検査を行うことが好ましい。すなわち、上記のように吸気入口5から水を注入して水平面Lまで水を溜め、かつ冷凍庫で数時間程度放置して凍結させる。そして漏れ検査装置の流入側および流出側のダクトをそれぞれ吸気入口5と吸気出口17とに接続し、吸気入口5から加圧空気を導入したときに吸気出口17へ流れてくる流量を測定して、閉位置における可変吸気弁21の漏れ流量を求める。
【0031】
可変吸気マニホルド1は、上述したように水平な床面11上に安定的に自立するので、冷凍庫内の棚板等の上に並べて凍結作業を容易に行うことができる。また、所期の水平面Lに沿って確実に凍結させることができる。図6は、凍結作業を経て水平面Lまで氷25を形成した状態の可変吸気マニホルド1を示しており、コレクタ室15とブランチ通路16との連通部となる開口部18が氷25で閉塞されるとともに、可変吸気弁21は氷25から露出した状態となっている。このように可変吸気マニホルド1の内部で氷25として凍結させることにより、例えば漏れ検査に際して可変吸気マニホルド1を傾けても水平面Lが変動するようなことがなくなり、漏れ検査がより容易となる。つまり、冷凍庫からの搬出や移送を含めて可変吸気マニホルド1の取り扱いが容易となる。検査後は、水として解けた段階で可変吸気マニホルド1内部から簡単に排出することができる。
【0032】
なお、図3図6から明らかなように、水が最も多く溜まるコレクタ室15下部つまり台形部2aが、接地点となる取付フランジ6とブラケット10との間に位置するので、水を溜めた状態においても全体の重心は接地点となる取付フランジ6とブラケット10との間にあり、安定した自立姿勢が維持される。水の注入作業の際にも、最初に最下部である台形部2aに水が集まるので、重心位置が変化して不安定化するようなことがない。
【0033】
図示例の可変吸気マニホルド1は、図3等に明らかなように、合成樹脂材料を用いて複数の部材に分割して個々に射出成形した上で、順次に振動溶着により接合して一体化した構成となっている。どのような態様で複数の部材に分割構成するかは本発明の要部ではないので、その説明は省略する。振動溶着以外の手法により構成された可変吸気マニホルドにおいても本発明は適用が可能である。
【0034】
なお、図5に示すように、図示例では、吸気入口5を先端に備えた吸気入口管4が、コレクタ室15側から吸気入口5へ向かうに従って徐々に高くなるように僅かに傾斜して形成されている。そのため、吸気入口管4の中で最も高位置となる吸気入口5の下縁で水を溜めたときの水平面Lが定まる。仮に吸気入口管4が逆に下方へ向かって傾斜している場合には、最も高位置となるコレクタ室15端部の開口(吸気入口管4との境界となる開口)の下縁によって水平面Lが定まる。従って、この場合には、上記のコレクタ室15端部の開口が請求項における「吸気入口」に相当する。
【符号の説明】
【0035】
1…可変吸気マニホルド
2…コレクタ
3…ブランチ部
4…吸気入口管
5…吸気入口
6…取付フランジ
10…ブラケット
15…コレクタ室
16…ブランチ通路
17…吸気出口
18…開口部
20…連通口
21…可変吸気弁
25…氷
図1
図2
図3
図4
図5
図6