(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の第1の接続パッドが配列された第1縁と複数の第2の接続パッドが配列された第2縁とを有し、複数の第1のコンタクトを備えてマザーボードに搭載されたボード搭載コネクタに該第1縁が差し込まれて、該複数の第1の接続パッドの各々が該複数の第1のコンタクトの各々に接続されるドータボードと、
前記ドータボードの表裏の基板面の各々に対面して広がる一対の側板を有する金属シェルとを備え、
前記一対の側板の各々が、
前記ドータボードの前記基板面から離間して広がる基部と、
周囲に内外に開いた開口が形成されて前記基部から内向きに突き出た形状を有し、前記ドータボードの前記基板面を押える押え部とを有し、
前記一対の側板双方の前記押え部が前記ドータボードを両側から押さえて該一対の側板双方の前記基部を該ドータボードから離間した状態に支持することを特徴とするコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、コネクタにより中継される信号も益々高速化の傾向にある。信号の高速化が進むと、コネクタ内のドータボード(回路基板)でも盛んに発熱する。このため、コネクタの熱対策が重要な課題の1つとなってきている。
【0006】
ここで、上掲の特許文献1の電気コネクタ組立体の場合、ドータボード(回路基板)の周囲がハウジング等によりほぼ完全に覆われている。すなわち、上掲の特許文献1の電気コネクタ組立体は、内部と外部の空気の入れ替わりが極めて少ない構造となっている。このため、上掲の特許文献1の電気コネクタ組立体の場合、ドータボード(回路基板)の発熱による熱が内部に籠ってしまい、その電気コネクタ組立体が高温となってしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、放熱が良好なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコネクタ
のうちの第1のコネクタは、
複数の第1の接続パッドが配列された第1縁と複数の第2の接続パッドが配列された第2縁とを有し、複数の第1のコンタクトを備えてマザーボードに搭載されたボード搭載コネクタに上記の第1縁が差し込まれて、複数の第1の接続パッドの各々が複数の第1のコンタクトの各々に接続されるドータボードと、
ドータボードの表裏の基板面の各々に対面して広がる一対の側板を有する金属シェルとを備え、
上記一対の側板の各々が、
ドータボードの基板面から離間して広がる基部と、
周囲に内外に開いた開口が形成されて基部から内向きに突き出た形状を有し、ドータボードの基板面を押える押え部とを有
し、
一対の側板双方の押え部がドータボードを両側から押さえて一対の側板双方の基部をドータボードから離間した状態に支持することを特徴とする。
【0009】
本発明の
第1のコネクタは、上記の構造の金属シェルを備えている。この金属シェルの基部はドータボードから離れていて、ドータボードは、その基部から内向きに突き出た押え部により押えられている。また、押え部の周囲には、内外に開いた開口が形成されている。このように、この金属シェルは、ドータボードを、側板の全面ではなく側板のうちの押え部で押えている。したがって、本発明の
第1のコネクタの場合、押え部の周囲の開口に加え、金属シェルの、ドータボードの押えには使用していない領域に様々な開口を形成することも可能である。ドータボードの発熱により熱せられた空気は、それらの開口から外部に放出されて内部に熱が籠りにくい。また、上掲の特許文献1に開示された電気コネクタ組立体のハウジングは樹脂製と考えられるのに対し、本発明のコネクタでは、ドータボードを取り囲う部品とし金属シェルを使用している。このため、本発明の
第1のコネクタの場合、熱伝導率の高い金属シェルを経由する熱伝導によっても速やかに放熱される。
【0010】
また、特許文献1の電気コネクタ組立体に、例えば発熱によるドータボード(内蔵されている回路基板)の変形による不具合や外部回路との接続部の座屈による不具合などの何ら
かの不具合を生じた場合を考える。この電気コネクタ組立体には、マザーボード(印刷回路基板)に圧入で接続される弾性コンタクトが一体に組み込まれている。このため、マザーボード(印刷回路基板)に接続された電気コネクタ組立体に何らかの不具合を生じても、電気コネクタ組立体のみを交換することが極めて難しい。すなわち、一旦不具合を生じると、マザーボード(印刷回路基板)ごと交換する必要を生じるおそれがある。これに対し、本発明の
第1のコネクタは、マザーボードに先に搭載されているボード搭載コネクタに、内蔵のドータボードの第1縁を差し込む構造を有している。このため、本発明のコネクタに何らかの不具合が発生したときは、マザーボードはそのままにして、本発明の
第1のコネクタのみを容易に交換することができる。
【0011】
また、本発明のコネクタ
のうちの第2のコネクタは、
複数の第1の接続パッドが配列された第1縁と複数の第2の接続パッドが配列された第2縁とを有し、複数の第1のコンタクトを備えてマザーボードに搭載されたボード搭載コネクタに上記の第1縁が差し込まれて、複数の第1の接続パッドの各々が複数の第1のコンタクトの各々に接続されるドータボードと、
ドータボードの表裏の基板面の各々に対面して広がる一対の側板を有する金属シェルとを備え、
金属シェルが、上記の第1縁をボード搭載コネクタに差し込むにあたり、そのボード搭載コネクタに接して上記の第1縁を案内する
第1案内部を有
し、
ドータボードが、第1案内部に案内されながら差し込まれてきた第1縁の案内を第1案内部から引き継いでさらに案内する第2案内部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の
第2のコネクタの場合、その具体的な構造によっては、上記の第1縁が金属シェルに隠れていて外部からの視認が難しい場合もあり得る。
そこで、上記の第1案内部および第2案内部を備えると、第1縁の視認が難しい構造であっても、その第1縁をカード搭載コネクタに容易にかつ正確に差し込むことができる。
【0015】
また、本発明の
第3のコネクタ
は、
複数の第1の接続パッドが配列された第1縁と複数の第2の接続パッドが配列された第2縁とを有し、複数の第1のコンタクトを備えてマザーボードに搭載されたボード搭載コネクタに上記の第1縁が差し込まれて、複数の第1の接続パッドの各々が複数の第1のコンタクトの各々に接続されるドータボードと、
ドータボードの表裏の基板面の各々に対面して広がる一対の側板を有する金属シェルとを備え、
金属シェルが、締結部材によりマザーボードに締結する、一対の側板各々のマザーボード側の各端縁からマザーボードの表面に沿って外向きに広がる締結部を有し、それら一対の側板の各々から広がる締結部が、上記第1縁の延びる方向について互いの重なりを避けた位置に設けられている
ことを特徴とする。
【0016】
本発明の
第3のコネクタ
は、金属シェルに上記の締結部
が設
けられているため、締結部材を用いて、
この第3のコネクタをマザーボードに確実に固定することができる。また、一対の側板各々から広がる締結部、すなわち左右の締結部が、上記第1縁の延びる方向について互いの重なりを避けた位置に設けられている
ため、その方向について左右の締結部が重なる位置に設けられている場合と比較し、本発明の
第3のコネクタを複数個左右に密に配置することができる。
【0017】
さらに、本発明の
第4のコネクタは、
複数の第1の接続パッドが配列された第1縁と複数の第2の接続パッドが配列された第2縁とを有し、複数の第1のコンタクトを備えてマザーボードに搭載されたボード搭載コネクタに上記の第1縁が差し込まれて、複数の第1の接続パッドの各々が複数の第1のコンタクトの各々に接続されるドータボードと、
ドータボードの表裏の基板面の各々に対面して広がる一対の側板を有する金属シェルと、
上記第2縁が差し込まれ、さらに複数の第3の接続パッドが並ぶ第3縁を有する外部ボードの、その第3縁が差し込まれる内蔵コネクタであって、第2の接続パッドと第3の接続パッドとを接続する複数の第2のコンタクトを
有する内蔵コネクタ
とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明の
第4のコネクタ
は、上記の内蔵コネクタを備え
ているため、このコネクタを、マザーボードと、もう1枚の回路基板(外部ボード)との間で送受信される信号の中継用として使用することができる。
また、本発明の第1から第4のいずれのコネクタにおいても、金属シェルが、ボード搭載コネクタに係止されて第1縁がボード搭載コネクタに差し込まれた状態に、このコネクタをロックするロック部を有することが好ましい。
本発明のコネクタにおいて上記のロック部を備えると、このコネクタの、ボード搭載コネクタからの不用意な抜けが抑えられる。
【発明の効果】
【0019】
以上の本発明によれば、良好な放熱特性を持ったコネクタが実現する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、互いに嵌合する信号中継コネクタおよびボード搭載コネクタの斜視図である。この
図1では、嵌合前の信号中継コネクタおよびボード搭載コネクタが示されている。ここで、
図1(a)および
図1(b)は、互いに異なる方向から見た時の斜視図である。
【0023】
ボード搭載コネクタ50は、この
図1には不図示(
図3等を参照)のマザーボード60上に搭載される。このボード搭載コネクタ50は、ハウジング51と、配列された複数の第1のコンタクト52とを備えている。
【0024】
この信号中継コネクタ10は、ボード搭載コネクタ50に嵌合した後、ねじ穴409に、本発明の締結部材の一例である不図示のねじが挿し込まれ、そのねじによりマザーボード60に固定される。この
図1に示す信号中継コネクタ10は、本発明のコネクタの一実施形態に相当する。
【0025】
図2は、
図1に外観を示した信号中継コネクタの組立工程図である。
【0026】
この信号中継コネクタ10は、ドータボード20、内蔵コネクタ30、および金属シェル40で構成されている。
【0027】
ここで、
図2(A)は、嵌合前のドータボード20と内蔵コネクタ30とを示した斜視図である。また、
図2(B)は、嵌合状態にあるドータボード20および内蔵コネクタ30と、金属シェル40とを示した斜視図である。さらに、
図2(C)は、
図1にも示した、組立後の信号中継コネクタ10の斜視図である。ここで、
図2(A),(B),(C)の各々の(a)および(b)は、
図1の(a)および(b)と同様、互いに異なる方向から見た時の斜視図である。
【0028】
ドータボード20には、複数の第1の接続パッド21が配列された下端縁201と、複数の第2の接続パッド22が配列された側端縁202とを有する。複数の第1の接続パッド21と複数の第2の接続パッド22は、ドータボード20上の不図示のプリント配線により、互いに対応するペアごとに電気的に接続されている。ドータボード20の下端縁201および側端縁202は、本発明にいう、それぞれ第1縁および第2縁の各一例に相当する。
【0029】
信号中継コネクタ10が
図1に示すボード搭載コネクタ50と嵌合するにあたっては、ドータボード20の下端縁201がボード搭載コネクタ50に差し込まれる。そして、その下端縁201に配列されている複数の第1の接続パッド21の各々が、ボード搭載コネクタ50の複数の第1のコンタクト52の各々に接続される。
【0030】
内蔵コネクタ30は、ハウジング31と、配列された複数の第2のコンタクト32とを備えている。この内蔵コネクタ30には、ドータボード20の側端縁202が差し込まれる。その後、側端縁202に配列された複数の第2の接続パッド22の各々が、内蔵コネクタ30の複数の第2のコンタクト32の各々に半田接続される。
【0031】
また、内蔵コネクタ30には外向きに開いた嵌合開口311が形成されている。この嵌合開口311には、不図示の外部ボードの1つの端縁が差し込まれる。その外部ボードの、内蔵コネクタ30に差し込まれる端縁には、例えばドータボード20の側端縁202に配列されている複数の第2の接続パッド22と同様な、複数の第3の接続パッドが配列されている。内蔵コネクタ30の嵌合開口311に外部ボードの端縁が差し込まれる。すると、ドータボード20の側端縁202に配列されている複数の第2の接続パッド22の各々と、外部ボードの、差し込まれた端縁に配列されている複数の第3の接続パッドの各々が接続される。
【0032】
ドータボード20を
図2(B)に示すように内蔵コネクタ30に差し込んだ後、それらのドータボード20および内蔵コネクタ30を金属シェル40で覆う。この金属シェル40は、ドータボード20の表裏の基板面203の各々に対面して広がる一対の側板401を有する。そして、それら一対の側板401の各々は、基部402と押え部403とを有する。基部402は、ドータボード20の基板面203から離間して基板面203と平行に広がっている。また、押え部403は、基部402から内向きに突き出た形状を有する。この押え部403は、ドータボード20の表裏の基板面203を押える役割を担っている。ドータボード20は、一対の側板401の押え部403により表裏両面から押えられ、両側の側板401の基部402の双方から離れた位置に支持される。また、押え部403の周りには、押え部403を形成したことに伴う、金属シェル40の内外に開いた開口404が形成されている。また、この金属シェル40には、ドータボード20の基板面203を押える押え部403の周囲以外の領域にも開口405が形成されている。
【0033】
ここで、ドータボード20は、動作中に発熱する。ドータボード20により中継される信号が高速化されると、その発熱量も増大する。
【0034】
本実施形態の信号中継コネクタ10の場合、金属シェル40の側板401の基部402をドータボード20の表裏の基板面203から離間させている。そして、側板401の押え部403でドータボード20の基板面203を押えている。また、この金属シェル40には、押え部403の周囲の開口404やその他の開口405が形成されている。この構造により、本実施形態の信号中継コネクタ10の場合、ドータボード20の発熱により熱せられた空気は、それらの開口404,405を通って外部に流れ出る。これにより、内部には熱が籠りにくく、ドータボード20での発熱による内部の温度上昇が抑えられる。
【0035】
また、本実施形態の信号中継コネクタ10では、ドータボード20を覆う部材として金属シェル40を採用している。金属シェル40は、例えば樹脂等と比べ高い熱伝導率を有する。このため、ドータボード20の発熱による熱は、この熱伝導率の高い金属シェル40を経由する熱伝導によっても、速やかに放熱される。
【0036】
この金属シェル40に関連して、さらに説明を続ける。
【0037】
内蔵コネクタ30のハウジング31には、その上下面に突部312が設けられている。ただし、図面上ではハウジング31の下面は現れておらず、上面の突部312のみが描かれている。これらの突部312に対応して、金属シェル40には、その上下面の、内蔵コネクタ30側の端部に、切欠き部406が形成されている。図面上では、上面側の切欠き部406のみが示されている。金属シェル40で、ドータボード20および内蔵コネクタ30を覆うにあたっては、金属シェル40を
図2(B)に示す矢印Sの向きにスライドさせるようにして嵌め込む。すると、内蔵コネクタ30の突部312が、金属シェル40の切欠き部406に圧入される。また、内蔵コネクタ30のハウジング31に側面には、凹部313が形成されている。これに対応して、金属シェル40には、その凹部313に入り込む切起し部407が形成されている。内蔵コネクタ30の突部312が金属シェル40の切欠き部406に圧入されると、それとともに、内蔵コネクタ30の凹部312に切起し部407が入り込む。このようにして、金属シェル40が内蔵コネクタ30に固定される。
【0038】
また、ドータボード20の上下の端面204は、金属シェル40の上下面に接し、これにより、ドータボード20の上下方向の位置が規制される。
【0039】
さらに、ドータボード20の、内蔵コネクタ30に差し込まれる側とは反対側の側端面205には、凹部206と、そのすぐ下の突部207が形成されている。そして、凹部206には、金属シェル40の突当部408が入り込んでその凹部206に突き当てられる。また、これとともに、その凹部206のすぐ下の突部207が、金属シェル40の立壁410に突き当てられる。このようにして、ドータボード20の
図2(B)に示す矢印S方向の位置も規制される。
【0040】
また、この金属シェル40には、その左右の側板401に、内向きに切り起されたロック片411が形成されている。それらのロック片411は、
図1に示すボード搭載コネクタ50へのロックを担っている。
【0041】
さらに、この金属シェル40には、一対の側板401各々の下端縁、すなわちマザーボード60(
図3等を参照)側の端縁からマザーボード60の表面に沿って外向きに広がる締結部412が形成されている。この締結部412にはねじ穴409が形成されている。前述したとおり、このねじ穴409には不図示のねじが挿し込まれ、そのねじにより、この信号中継コネクタ10がマザーボード60にねじ止め固定される。
【0042】
さらに、この金属シェル40には案内部413,414が設けられている。これらの案内部413、414は、信号中継コネクタ10をボード搭載コネクタ50に嵌合させる際の信号中継コネクタ10の案内用である。
【0043】
ロック片411、締結部412、および案内部413,414については、さらに後で説明を加える。
【0044】
図3は、信号中継コネクタおよびボード搭載コネクタの側面図(A)および背面図(B)である。この
図3には、ボード搭載コネクタ50が搭載されるマザーボード60も示されている。マザーボード60は、もっと広い面積を有するボードであるが、ここには、ボード搭載コネクタ50が搭載された部分のみが示されている。
【0045】
図4は、ボード搭載コネクタに信号中継コネクタが嵌合される様子を順を追って示した、
図3(B)に示す矢印Y−Yに沿う断面図である。ここで、
図4(A)は嵌合の初期段階を示している。また、
図4(B)は、
図4(A)に示した初期段階よりも嵌合が進んだ段階を示している。さらに、
図4(C)は、嵌合完了の段階を示している。また、(a),(b)は、ボード搭載コネクタ50に対し、信号中継コネクタ10が、それぞれ、
図4(A)の(a),(b)に示す矢印F,Bの向きに少しずれた状態で嵌合が開始された場合の振る舞いを示している。
【0046】
また、
図5は、
図4に示す円R1〜R4の部分の拡大図である。
図5(A)の(a),(b)は、
図4(A)の(a),(b)にそれぞれ対応し、
図5(B)の(a),(b)は、
図4(A)の(a),(b)にそれぞれ対応している。
【0047】
信号中継コネクタ10の金属シェル40には、案内部413が設けられている。
【0048】
ここで、信号中継コネクタ10が、
図4(A)(a)に示す矢印Fの向きに少しずれた状態で嵌合が開始されたものとする。すると、
図4(A)(a)および
図5(A)(a)に示すように、金属シェル40の案内部413が、ボード搭載コネクタ50のハウジング51の外壁面に案内されて、信号中継コネクタ10の、矢印Fの向きへのずれが少し修正される。その後、さらに嵌合が進むと、
図4(B)(a)および
図5(B)(a)に示すように、今度はドータボード20の端面がボード搭載コネクタ50のハウジング51の内壁面に案内されて、矢印Fの向きへのずれがさらに修正される。こうして、最終的には、
図4(C)(a)に示すように、信号中継コネクタ1
0が矢印F?Bの向きについて正しい位置に案内されて、ドータボード20の下端縁201がボード搭載コネクタ50に正しく差し込まれる。
【0049】
一方、信号中継コネクタ10が、
図4(A)(b)に示す矢印Bの向きに少しずれた状態で嵌合が開始されたものとする。すると、
図4(A)(b)および
図5(A)(b)に示すように、ドータボード20の端縁が、ボード搭載コネクタ50のハウジング51の外壁面に案内されて、信号中継コネクタ10の、矢印Bの向きへのずれが少し修正される。その後、さらに嵌合が進むと、
図4(B)(b)および
図5(B)(b)に示すように、今度はドータボード20の端面がボード搭載コネクタ50のハウジング51の内壁面に案内されて、矢印Bの向きへのずれがさらに修正される。こうして、最終的には、
図4(C)(b)(
図4(C)(a)と同じ)に示すように、信号中継コネクタ10が矢印F―Bの向きについて正しい位置に案内されて、ドータボード20の下端縁201がボード搭載コネクタ50に正しく差し込まれる。
【0050】
ここで、本実施形態の場合、金属シェル40に案内部413を設けて、金属シェル40も嵌合の案内する機能を有する。これにより、嵌合開始時の信号中継コネクタ10の、ボード搭載コネクタ50に対する矢印F−B方向のずれの許容度を広げている。
【0051】
図6は、ボード搭載コネクタに信号中継コネクタが嵌合される様子を順を追って示した、
図3(A)に示す矢印X1−X1に沿う断面図である。ここで、
図6(A)は嵌合の初期段階を示している。また、
図6(B)は、
図6(A)に示した初期段階よりも嵌合が進んだ段階を示している。さらに、
図6(C)は、嵌合完了の段階を示している。また、(a),(b)は、ボード搭載コネクタ50に対し、信号中継コネクタ10が、それぞれ、
図6(A)の(a),(b)に示す矢印V,Wの向きに少しずれた状態で嵌合が開始された場合の振る舞いを示している。
【0052】
また、
図7は、
図6に示す円R5〜R8の部分の拡大図である。
図7(A)の(a),(b)は、
図6(A)の(a),(b)にそれぞれ対応し、
図7(B)の(a),(b)は、
図6(A)の(a),(b)にそれぞれ対応している。
【0053】
信号中継コネクタ10の金属シェル40には、案内部414が設けられている。この案内部414は、
図4および
図5に示す案内部413とはその向きが90°異なっている。
【0054】
ここで、信号中継コネクタ10が、
図6(A)(a)に示す矢印Vの向きに少しずれた状態で嵌合が開始されたものとする。すると、
図6(A)(a)および
図7(A)(a)に示すように、金属シェル40の案内部414が、ボード搭載コネクタ50のハウジング51の外壁面に案内されて、信号中継コネクタ10の、矢印Vの向きへのずれが少し修正される。その後、さらに嵌合が進むと、
図6(B)(a)および
図7(B)(a)に示すように、今度はドータボード20の基板面がボード搭載コネクタ50のハウジング51の内壁面に案内されて、矢印Vの向きへのずれがさらに修正される。こうして、最終的には、
図6(C)(a)に示すように、信号中継コネクタ10が矢印V−Wの向きについて正しい位置に案内されて、ドータボード20の下端縁201がボード搭載コネクタ50に正しく差し込まれる。
【0055】
一方、信号中継コネクタ10が、
図6(A)(b)に示す矢印Wの向きに少しずれた状態で嵌合が開始されたものとする。この場合も、矢印Vの向きに少しずれた状態で嵌合が開始された場合と比べ左右が異なるだけであって同様である。すなわち、
図6(A)(b)および
図7(A)(b)に示すように、金属シェル40の案内部414が、ボード搭載コネクタ50のハウジング51の外壁面に案内されて、信号中継コネクタ10の、矢印Wの向きへのずれが少し修正される。その後、さらに嵌合が進むと、
図6(B)(b)および
図7(B)(b)に示すように、今度はドータボード20の基板面がボード搭載コネクタ50のハウジング51の内壁面に案内されて、矢印Wの向きへのずれがさらに修正される。こうして、最終的には、
図6(C)(b)(
図6(C)(a)と同じ)に示すように、信号中継コネクタ10が矢印V−Wの向きについて正しい位置に案内されて、ドータボード20の下端縁201がボード搭載コネクタ50に正しく差し込まれる。
【0056】
このように、本実施形態の場合、金属シェル40に案内部414を設けて、金属シェル40も嵌合の案内する機能を有する。これにより、嵌合開始時の信号中継コネクタ10の、ボード搭載コネクタ50に対する矢印V−W方向のずれの許容度を広げている。
【0057】
図8は、嵌合完了状態にある信号中継コネクタおよびボード搭載コネクタの、
図3(A)に示す矢印X2−X2に沿う断面図(A)、および
図8(A)に示す円R9,R10の部分の拡大図(B),(C)である。
【0058】
図2にも示したように、信号中継コネクタ10の金属シェル40の両側板401には、ロック片411が形成されている。信号中継コネクタ10がボード搭載コネクタ50に嵌合すると、左右のロック片411がボード搭載コネクタ50のハウジング51の外壁面に設けられている段部511に係止される。これにより、信号中継コネクタ10がボード搭載コネクタ50から不用意に抜けてしまうことの一応の防止が図られている。本実施形態の信号中継コネクタ10は、この後さらに、マザーボード60にねじ止め固定される。
【0059】
図9は、信号中継コネクタおよびボード搭載コネクタをマザーボード上に複数並べた状態の平面図である。
【0060】
信号中継コネクタ10の金属シェル40には、
図2にも示すように、その一対の側板401の各々から広がる締結部412が設けられている。ここで、各信号中継コネクタ10において、その一対の側板401から左右に広がる2つの締結部412は、この
図9に示すように、ドータボード40の下端縁201の延びる方向、すなわち、この
図9の矢印F−B方向について、互いの重なりを避けた位置に設けられている。
【0061】
このように、2つの締結部412が矢印F−B方向について互いの重なりを避けた位置に設けられていると、その方向について2つの締結部412が重なる位置に設けられている場合と比較し、複数の信号中継コネクタ10を密に配置することができる。
【0062】
なお、ここでは、内蔵コネクタ30を備えた信号中継コネクタ10について説明した。
ただし、本発明のコネクタは、内蔵コネクタを備えていないタイプのコネクタであってもよい。その場合、ドータボード20の側端縁202も、下端縁201と同様にして、その側端縁202に配列されている第2の接続パッド22への接続を担うコンタクトが配列された外部のコネクタに差し込まれる。