特許第6981862号(P6981862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981862
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】調理器および調理器システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20211206BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H04L12/28 500G
   A47J27/00 109P
   A47J27/00 109Z
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-233760(P2017-233760)
(22)【出願日】2017年12月5日
(65)【公開番号】特開2019-101882(P2019-101882A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】諸田 博
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 俊秀
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−057028(JP,A)
【文献】 特開2006−309487(JP,A)
【文献】 特開2017−038124(JP,A)
【文献】 特開2014−085968(JP,A)
【文献】 特開2014−238717(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/125510(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
httpサーバ機能を有し、外部の機器のブラウザを使用して、中継器を経由した通信を行なう調理器において、
前記httpサーバ機能を有するhttpサーバ制御部と、
前記調理器の負荷を制御する負荷制御部と、
通信部と、をさらに備え、
前記httpサーバ制御部と前記負荷制御部とは別部品で構成されており、
前記httpサーバ制御部と前記負荷制御部は前記通信部で命令を交換し、かつ前記httpサーバ制御部から前記通信部への命令では、前記負荷制御部は前記負荷の動作を直接開始できないことを特徴とする調理器
【請求項2】
前記調理器は、親機、子機の両方のモードを備え、
前記親機のモードで動作させたとき、前記中継器のネットワーク情報を前記外部の機器から前記調理器に入力することを特徴とする請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記調理器は、ネットワーク接続における前記調理器のIPアドレスを、前記調理器の側に表示させる機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の調理器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の調理器の調理器システムにおいて、
前記外部の機器の表示部に表示させるデータの一部を外部のネットワークサーバから取得することを特徴とする調理器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば炊飯器などの、外部の機器との間で通信を可能にする調理器および調理器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の調理器として、例えば特許文献1には、携帯端末との赤外線通信機能を有する調理器であって、通信ネットワークを介してこの携帯端末に外部のネットワークサーバからアプリケーション(アプリ)をダウンロードし、このアプリを使用して、この携帯端末と通信を行なうものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−125286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示す調理器は、携帯端末と調理器とが赤外線で通信し、その通信はアプリを使用する構成を採用しているので、携帯端末のOS(Operating System)毎にアプリを開発する必要があり、開発費が高価になる虞があった。さらに、このOSのバージョンアップが携帯端末の会社で行なわれた時は、このバージョンアップに合わせてアプリを更新する必要があり、さらに開発費が高価になる虞があった。
【0005】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、携帯端末などの外部の機器で使用するアプリの開発費を抑制できる調理器および調理器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調理器は、httpサーバ機能を有し、外部の機器のブラウザを使用して、中継器を経由した通信を行なう構成としたことを特徴とする。
【0007】
また本発明の調理器システムは、前記外部の機器の表示部に表示させるデータの一部を外部のネットワークサーバから取得する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、外部の機器のOS毎にアプリを開発する必要が無く、またOSのバージョンアップでアプリを更新する必要もなくなるので、開発費を抑制することができる。また仮にマルウェア等の悪意のあるプログラムで外部からhttpサーバ制御部を操作されても、調理器の安全に影響を与える負荷は動作しないので安全が確保できる。
【0009】
請求項2の発明によれば、中継器のネットワーク情報を入力するために、キーボードやドットLCD等のネットワーク情報入力機能、表示機能を調理器が備えていなくても、調理器が中継器にネットワーク接続できる。
【0010】
請求項3の発明によれば、中継器から動的に割り当てられる調理器のIPアドレスをこの調理器のユーザーが知ることができ、外部の機器のブラウザから調理器にアクセスできるようになる。
【0012】
請求項の発明によれば、調理器の通信負荷やデータ保存量などの負荷を減らし、調理器本体を安価なシステムで構築できる。また外部のネットワークサーバからデータの一部を取得するので、このネットワークサーバのデータを変更することにより、ユーザーに調理器が行き渡った後でもある程度データの更新ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態における調理器としての炊飯器の縦断面図である。
図2】同上、炊飯器の平面図である。
図3】本発明の一実施形態における調理器システムとしての炊飯器システムの電気的構成を示すブロック図である。
図4】同上、初期設定時の炊飯器システムの主要な電気的構成を示すブロック図である。
図5】同上、図4においてスマートフォンに表示させた、ルータの機器名およびパスワードの入力画面を示す図である。
図6】同上、通常使用時の炊飯器システムの主要な電気的構成を示すブロック図である。
図7A】同上、LCDが炊飯器のIPアドレスの1つ目の値を表示した状態の表示操作ユニットの平面図である。
図7B】同上、LCDが炊飯器のIPアドレスの2つ目の値を表示した状態の表示操作ユニットの平面図である。
図7C】同上、LCDが炊飯器のIPアドレスの3つ目の値を表示した状態の表示操作ユニットの平面図である。
図7D】同上、LCDが炊飯器のIPアドレスの4つ目の値を表示した状態の表示操作ユニットの平面図である。
図8】同上、LCDが炊飯器のIPアドレスの値を全部表示した状態の表示操作ユニットの平面図である。
図9】同上、LCDがhttpサーバのURLおよびQRコードを表示した状態の表示操作ユニットの平面図である。
図10】同上、図6においてスマートフォンに表示させた、こだわり炊飯の設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る調理器について、添付図面を参照しながら好ましい実施形態を説明する。
【0015】
図1図10は、本発明の調理器を家庭用の炊飯器に適用した実施形態を示している。先ず図1および図2に基づいて、炊飯器の全体構造を説明すると、1は炊飯器であり、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が開口された炊飯器1の本体2と、本体2の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体3とにより全体が構成される。本体2は上面を開口した鍋収容部4を有し、蓋体3を開けたときに、被調理物である水や米を収容する容器としての有底状の鍋5が、その鍋収容部4に着脱自在に収容される構成となっている。鍋収容部4は、椀状で樹脂製の内枠6や、金属製の内枠リング7などを組み合わせて構成され、全体が有底筒状に形成される。
【0016】
鍋5は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材8とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体9が、主材8の外面の側部下部から底部にかけて接合してある。鍋5の外側面に対向する内枠リング7の外面には、加熱手段の一例としてコードヒータを用いた胴ヒータ11を備えている。また、鍋5の側面下部から底面に対向する内枠6の外面には、鍋5の発熱体9を電磁誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル12を備えている。
【0017】
内枠6の底部中央部には、鍋温度検出手段としての鍋センサ14が、鍋5の外面底部と弾発的に接触するように配設される。本実施形態の鍋センサ14は、鍋5の温度を検知して加熱コイル12による鍋5の底部の加熱温度を主に温度管理する構成となっている。
【0018】
蓋体3の前方上面には、蓋開ボタン15が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン15を押すと、本体2と蓋体3との係合が解除され、本体2の上部後方に設けたヒンジバネ(図示せず)により、ヒンジ軸16を回転中心として蓋体3が自動的に開く構成となっている。また、蓋体3の後方上面には、鍋5内の被調理物から発生する蒸気を炊飯器1の外部に排出する蒸気口ユニット17が着脱可能に装着される。
【0019】
蓋体3は、その上面外殻をなす外観部品としての外蓋19と、蓋体3の下面を形成する放熱板20と、外蓋19および放熱板20を結合させて、蓋体3の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー21とを主たる構成要素としている。蓋体3の内部にあって、放熱板20の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ22が設けられる。この蓋ヒータ22は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
【0020】
放熱板20の下側には、蓋体3の下部部材としての内蓋組立体23が着脱可能に設けられる。この内蓋組立体23は、鍋5の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有する金属製の内蓋24と、鍋5と内蓋24との間をシールするための弾性部材からなる蓋パッキン25と、蓋パッキン25を内蓋24の外側全周に装着するための内蓋リング26と、鍋5の内圧力を調整する調圧部27とを備えている。環状に形成された蓋パッキン25は、蓋体3を閉じた蓋閉時に鍋5の上面に当接して、鍋5と内蓋24との間の隙間を塞ぎ、鍋5から発生する蒸気を密閉するものである。
【0021】
蓋体3の略中央上面には、表示操作ユニット28が設けられる。表示操作ユニット28は、時間や時刻の他に、選択した炊飯コースや炊き分けを表示するLCD29や、現在の工程を表示するLED30(図3参照)や、炊飯を開始させたり、炊飯コースを選択させたりするスイッチ31を、蓋体3の内部に実装された基板32の上部に配設して構成される。
【0022】
33は、表示操作ユニット28の上方を覆うようにして設けられた操作パネルである。この操作パネル33はボタン名などが表示され、電子部品であるLCD29、LED30、スイッチ31や基板32に、埃や水が付着することを防止している。また、基板32上に設けたスイッチ31とは別に、LCD29上に後述するタッチセンサ49を設けた場合は、LCD29の表示に合わせて直接タッチ操作することが可能となっている。
【0023】
前記放熱板20には、蓋体3の特に内蓋24の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ22による内蓋24の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋センサ34が設けられている。また蓋体2の内部には、鍋5内で発生した蒸気を外部へ放出する通路として、蒸気口ユニット17と調圧部27とを連通する蒸気排出経路35が形成される。調圧部27には、鍋5の内部と蒸気口ユニット17との間の蒸気排出経路35を開閉する調圧弁36が設けられる。調圧弁36はボール状で、蓋体3の内部に設けたソレノイド37と連動し、鍋5内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気排出経路35を開放し、鍋5内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気排出経路35を閉塞するように、ソレノイド37が調圧弁36を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル12への高周波通電により鍋5内の被炊飯物が加熱され、鍋5の内圧が所定値に達すると、調圧弁36の自重に抗して蒸気排出経路35を開放することで、鍋5内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。
【0024】
38は、蓋3を本体2に閉じた状態で鍋5の内部を通常の大気圧よりも低くするための減圧手段である。減圧手段38は、鍋5を鍋収容体4に収容し、蓋3を閉じた後にソレノイド37を通電して、調圧弁36が蒸気排出経路35を塞いだ状態で、密閉した鍋5の内部圧力を低下させる。また、鍋5内部の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段38の動作源となる減圧ポンプ39の動作を停止し、鍋5内部を減圧状態に保っている。さらに、鍋5内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合には、減圧ポンプ39の動作を停止し、減圧ポンプ39と鍋5の内部との間を連通する図示しない経路を開放する。つまり減圧手段38は、鍋5内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す圧力戻し手段としての構成を兼用している。
【0025】
その他、本実施形態の炊飯器1では本体2の内部に、加熱制御手段40を含むユニット化された加熱基板組立41に加えて、通信モジュールとしてのhttpサーバ44が配設される。なお説明のために、httpサーバ44は炊飯器1とは別に図示しているが、実際には炊飯器1にhttpサーバ44が組み込まれて構成されている。
【0026】
加熱制御手段40は、基板32と組み合わせて炊飯器1の各部を電気的に制御するために、マイクロコンピュータ(マイコン)55(図3参照)などを含んで構成される。
【0027】
httpサーバ44は、アンテナ45を兼用する基板46に、通信機能としてのWi−Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)機能とマイコン機能を1つに纏めた多機能チップ47を実装してhttpサーバ(Webサーバ)機能を有するように構成され、炊飯器1内部に組み込まれて、後述するように、外部の機器としてのスマートフォンSの、インターネット閲覧ソフトとしてのブラウザBを使用して通信を行ない、また中継器としてのルータR経由で、スマートフォンSのブラウザBを使用して通信を可能にしている。
【0028】
httpサーバ44は、外部のスマートフォンSとの間で、データのやり取りを直接行ない、またはルータRを経由で間接的に行なうもので、特定の作業を行うために使用されるソフトウェアであるアプリケーション(アプリ)に関係なく使用でき、ここで利用するWi−Fi等の通信規格により、スマートフォンSや外部のネットワークサーバTHSとの双方向の通信を行なう機能を有している。こうした通信規格に適合する外部の機器として、本実施形態で説明されるスマートフォンSのような電話機能を備えた携帯電話の他に、パソコン、タブレット、あるいはゲーム機を使用できる。これらは何れも、利用者の多い無線通信が可能な外部の機器である。このように、炊飯器1では、httpサーバ44を備えてhttpサーバ機能を有し、スマートフォンS等の外部の機器のブラウザBを使用して、ルータRを経由した通信を行なう構成にしている。そのため、Windows(登録商標)、Android(登録商標)、i−OSなどの、外部の機器のOS(Operating System)毎にアプリを開発する必要が無く、またOSのバージョンアップでアプリを更新する必要もなくなるので、開発費を抑制することができる。
【0029】
蓋体3に設けられた炊飯器1の表示装置となる表示操作ユニット28は、調理に関わる様々な情報を表示するLCD29やLED30を用いた表示部42と、炊飯を開始させたり、炊飯コ−スを選択させたりするためのスイッチ31からなる操作部43とを備えており、これらの下面には、LCD29やタクトスイッチ(図示せず)などが具備された表示・操作制御手段である基板32が配置される。パターン形成された基板32に、操作や表示に関わる制御用IC(図示せず)等を実装することで、前述の加熱制御手段40と連携した表示・操作制御手段が構成される。
【0030】
LCD29は外蓋19の略中央に配置され、LCD29の表面となる上面には、LCD29に表示される複数の表示要素48の何れかを選択することで、炊飯コースや炊き分けの選択の他に、時刻の設定などを指先のタッチ操作で行なうタッチセンサ49が配置される。タッチセンサ49は基板32に接続されることで、非押動型操作手段50であるタッチキーとして機能する。
【0031】
LCD29は、ガラス板に予め印刷された電極となる表示要素48に電流を流し、ガラス板で封止された液晶(図示せず)に電圧を印加して、その表示要素48を黒色に点灯させることで、ガラス板を液晶表示装置として機能させている。なお表示部42となるLCD29を、複数の表示要素48を複数のガラス板による階層別で表示する多層表示が可能な多層表示装置で構成し、複数の表示要素48を階層とは関係無く表示させる構成としてもよい。
【0032】
表示部42上の非押動型操作手段50で行なう操作内容は、各種の炊飯コースの選択・設定や、特定の炊飯コースを選択した場合の炊き分けの選択・設定や、現在時刻及び予約時刻の設定などとし、切状態から炊飯を開始する炊飯キーや、炊飯や保温を停止して切状態にする切キーは具備せず、表示部42以外の箇所に、タッチでは操作することができないタクトスイッチなどの押動型操作手段51で、炊飯キー52Aや切キー52Bを設置している。
【0033】
また、炊飯や保温、予約など、炊飯器としての工程を表示するのにLED30を点灯させるキー52として、炊飯キー52Aや切キー52B以外に、切状態から保温を開始したり、保温時に被炊飯物を再加熱したりする保温キー52Cや、予約時刻に被炊飯物を炊き上げる予約キー52Dなども、押動型操作手段51としていることで、LED30からの光が透過可能なランプ窓53を、エンボス加工部54に印刷で構造上容易に形成することができる。上下に撓むエンボス加工部54は、タクトスイッチ45に対向して、蓋体3の上面に露出する操作パネル33の適所に配設される。また、減圧手段38により鍋2の内部が減圧状態の時に、真空サイン用のランプ窓53Aを通して、特定のLED30が点灯照明される。そしてここでのキー52は、点灯したLED30で照明される炊飯キー52Aや、保温キー52Cや、予約キー52Dの他に、LED30で照明されない切キー52Bや、被炊飯物を早く炊くためのそくうまキー52Eにより構成され、前述した非押動型操作手段50のタッチキーと、押動型操作手段51のキー52とにより、操作部43となるスイッチ31が構成される。
【0034】
操作部43は蓋体3の上面前側に配置され、意匠やエンボス加工された操作シート57には、キー52に対応して各キーの名称などを印刷すると共に、LCD29が配置される表示部42上には、意匠の印刷が無い透明窓部60を形成している。この透明窓部60の下方にタッチセンサ49を配置し、LCD29に表示された炊飯コースなどの表示要素48上でタッチセンサ49に触れることで、タッチキーとしての操作を可能にしている。
【0035】
前記加熱制御手段40は、加熱コイル12を駆動させる発熱素子としてのスイッチング素子65を備えており、このスイッチング素子65は加熱コイル12の発振と共に発熱する構成となっている。そのため、スイッチング素子65はアルミニウムのような熱伝導性の良い材料で構成された放熱器66に取付けられ、この放熱器66の下方または側部に、冷却手段たる電動の冷却ファン67が配置される。そして冷却ファン67が駆動すると、本体1の側面に設けた吸気口(図示せず)から、本体1内部の冷却ファン67に冷風が取り込まれ、この冷風が放熱器66からの熱を奪って、排気口68から本体1の外部に排出される構成となっている。
【0036】
図3は、上記炊飯器1の炊飯器システムの主要な電気的構成を示している。マイコン55の入力ポートには、操作部43のキー52の各キーやタッチセンサ49がそれぞれ電気的に接続される。また鍋センサ14、蓋センサ34、入力電圧やサージ(異常な高電圧)等を検出する電圧検出回路71、および、入力電流や回生電流等を検出する電流検出回路72等で構成される検出部73のそれぞれも、マイコン55の入力ポートに電気的に接続されている。
【0037】
マイコン55の出力ポートには、負荷75を構成する、加熱コイル12、胴ヒータ11、蓋ヒータ22、ソレノイド37、減圧ポンプ39、および冷却ファン67の、それぞれの駆動手段が電気的に接続されており、また表示部42のLCD29やLED30を表示させる表示手段も電気的に接続されている。
【0038】
そして本実施形態の炊飯器1では、上述の接続に加えて、httpサーバ44がマイコン55の入力ポートおよび出力ポートに電気的に接続され、httpサーバ44とマイコン55の間でUART通信ができるように構成されている。
【0039】
マイコン55は鍋センサ14や蓋センサ34からの各温度検知信号と、操作部43からの操作信号とを受けて、炊飯時および保温時に鍋5を加熱する胴ヒータ11や加熱コイル12と、蓋体3を加熱する蓋ヒータ22を各々制御すると共に、LCD29やLED30の表示を制御し、さらにはソレノイド37、減圧ポンプ39、冷却ファン67の動作を各々制御する。またマイコン55は、鍋センサ14の検知温度に基いて主に加熱コイル12を制御して鍋5の底部を温度管理し、蓋センサ34の検知温度に基いて主に蓋ヒータ22を制御して、被炊飯物に対向する内蓋24を温度管理するようになっている。そしてマイコン55は、電圧検出回路71および電流検出回路72で入力電圧・入力電流・回生電流を検出して、加熱コイル12を駆動するための制御信号とし、また電圧検出回路71でサージを検出したときは、加熱コイル12の駆動を停止させるように制御している。
【0040】
こうした機能は、記憶手段(図示せず)に記録したプログラムを、マイコン55が読み取ることで実現するが、特に本実施形態の炊飯器1では、マイコン55を炊飯制御部76と、通信部77として機能させるプログラムを備えている。こうしたプログラムの他に、記憶手段は、炊飯器1による炊飯に関して、例えば炊飯コースや調理コース等、炊飯が可能な全ての設定情報を記憶する炊飯設定情報記憶部78等を備えている。
【0041】
炊飯制御部76は、主に米や水等の被炊飯物の炊飯に係る各部の動作を制御するものであり、操作部43の操作に伴う操作信号を受け取ると、この操作信号に応じて、負荷75のそれぞれの駆動手段に制御信号を送出して被炊飯物に対する炊飯を制御する。炊飯設定情報記憶部78では、炊飯を実行するための炊飯情報として、複数の炊飯コースや調理コースが予め記憶保持されており、操作部43によってその中から1つのコースが選択され、炊飯を実行する操作が行われると、炊飯制御部76はその選択したコースに従い被炊飯物を炊飯する構成となっている。
【0042】
通信部77は、httpサーバ44の後述するhttpサーバ制御部81との間で各種データのやり取りを行なうものである。本実施形態の炊飯器1では、炊飯制御部76とhttpサーバ制御部81は通信部77で命令を交換するように構成しており、炊飯設定情報記憶部78や後述する通信設定情報記憶部82の各種データのやり取りが通信部77で行われる。またhttpサーバ制御部81から通信部77への命令では、炊飯制御部76は負荷75のそれぞれの駆動手段に制御信号を送出せず、負荷75の動作を直接開始できないように構成している。なお通信部77からの命令全てでも、炊飯制御部76が負荷75のそれぞれの駆動手段に制御信号を送出しないように構成してもよい。このように本実施形態の炊飯器1では、httpサーバ44のhttpサーバ制御部81とマイコン55の炊飯制御部76が別部品で構成されており、炊飯制御部76とhttpサーバ制御部81は通信部77で命令を交換し、かつhttpサーバ制御部81からは物理的に負荷75の動作を開始できない回路構成で、httpサーバ制御部81から通信部77への命令では、炊飯制御部76は負荷75のそれぞれの駆動手段に制御信号を送出せず、負荷75の動作を直接開始できないように構成している。そのため、仮にマルウェア等の悪意のあるプログラムで外部からhttpサーバ制御部81を操作しても、炊飯器1の安全に影響を与えるヒータやモータ等の負荷75は動作しないので安全が確保できる。
【0043】
httpサーバ44は、上述したようにスマートフォンSとの双方向の通信を行なう機能を有しており、こうした機能は、httpサーバ44の記憶手段(図示せず)に記録したプログラムを、多機能チップ47が読み取ることで実現するが、特に本実施形態の炊飯器1では、多機能チップ47をhttpサーバ制御部81として機能させるプログラムを備えている。こうしたプログラムの他に、httpサーバ44の記憶手段は、炊飯器1による外部の機器との通信に関して、例えば炊飯器1のIPアドレス、スマートフォンSが親機としてのhttpサーバ44と接続するためのhttpサーバ44の機器名およびパスワード、子機としてのhttpサーバ44がルータRと接続するためのルータの機器名およびパスワード、ルータの機器名およびパスワードの入力画面のHTMLファイルや画像データ等、通信に必要な全ての設定情報を記憶する通信設定情報記憶部82等を備えている。
【0044】
httpサーバ制御部81は、通信部77との間で各種データのやり取りを行なうことに加えて、httpサーバ44の動作を制御して、httpサーバ44と無線で接続するスマートフォンSとの間で各種データのやり取りを行なうものであり、またhttpサーバ44と無線で接続するルータRを介して、スマートフォンSとの間で、各種データのやり取りを行なうものである。そのため本実施形態のhttpサーバ制御部81は無線で接続する際に、アクセスポイントとしての親機のモードで動作するようにhttpサーバ44を制御し、あるいは、ルータRを親機とする子機のモードで動作するようにhttpサーバ44を制御している。ここでhttpサーバ44を親機のモードで動作させた際は、httpサーバ制御部81は子機としてのスマートフォンSとは無線で接続できるが、ルータRを経由してhttpサーバ44をネットワークNに接続できない構成になっており、この時、httpサーバ制御部81およびスマートフォンSはネットワークNに接続していない状態になっている。なお操作部43からの操作で炊飯制御部76が通信部77から命令を送出し、この命令によりhttpサーバ44を親機のモードまたは子機のモードに切り換えるようにhttpサーバ制御部81を構成してもよい。
【0045】
ネットワークサーバTHSはネットワークNに接続されており、ルータR経由でスマートフォンSと接続され、このスマートフォンSとの間で各種データのやり取りを行なうものであり、本実施形態のネットワークサーバTHSでは、こうした機能を実現させるネットワーク制御部NCを備えている。また本実施形態の外部のネットワークサーバTHSは、上述の各種データの他にも、例えば“背景1.png”や“ボタン1.png”等、スマートフォンSの画面に表示させる画像データGをネットワークサーバ記憶部NRに記憶している。そして本実施形態の炊飯器1は、httpサーバ制御部81がルータR経由でスマートフォンSと無線通信するとき、このhttpサーバ制御部81は、データ、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)ファイルをスマートフォンSに送出するようにhttpサーバ44を制御するが、このHTMLファイルにはタグが書かれており、このタグには、画像のファイル名と、保存されている場所であるURL(Uniform Resource Locator)が書かれている。スマートフォンSは、HTMLファイルを受信すると、このタグの命令に沿ってルータRやネットワークNを経由してネットワーク制御部NCに接続し、“背景1.png”や“ボタン1.png”等の画像データGをネットワークサーバ記憶部NRから取得して、スマートフォンSでブラウザBを使用してHTMLファイルおよび画像データGを組み合わせて、例えば「こだわり炊飯の設定画面」(図10参照)を1つのページで表示部SDに表示するように構成されている。なお、これはhttpサーバ44が子機のモードの時のみであり、httpサーバ44が親機のモードの時は、スマートフォンSがネットワークNに接続できないため、このように構成できない。このように、HTMLの本体であるHTMLファイルを炊飯器1からスマートフォンSに送信し、HTMLファイルのタグに書かれ、スマートフォンSの表示部SDに表示させるデータの一部である画像データGを外部のネットワークサーバTHSから取得することにより、炊飯器1の通信負荷やデータ保存量などの負荷を減らし、炊飯器1本体を安価なシステムで構築できる。また外部のネットワークサーバTHSから画像データGを取得するので、ネットワークサーバTHSの画像データGを変更することにより、ユーザーに炊飯器1が行き渡った後でもある程度データの更新ができる。
【0046】
次に、図3図5を参照しながら、上記構成の炊飯器1、ルータR、スマートフォンS、ネットワークN、およびネットワークサーバTHSについて、その作用を詳しく説明する。
【0047】
先ず図4を参照して、炊飯器1の初期設定時について説明すると、炊飯器1に備えたコード付き電源プラグ(図示せず)をコンセントに差し込んで、炊飯器1内の各部を通電状態にすると、httpサーバ制御部81は、ルータRのIDとしてのルータRの機器名と、ルータRのパスワードとが通信設定情報記憶部82に記憶されているかを確認する。ここで、ルータRの機器名とルータRのパスワードが通信設定情報記憶部82に記憶されていた場合、httpサーバ制御部81はhttpサーバ44を、ルータRからの無線信号の送受信を可能にする子機のモードで動作するように制御する。
【0048】
一方、ルータRの機器名とルータRのパスワードが通信設定情報記憶部82に記憶されていない場合、図4に示すように、httpサーバ制御部81はhttpサーバ44を、炊飯器1外部からの無線信号の送受信を可能にする親機のモードで動作するように制御する。この親機のモードの時にスマートフォンSを起動させ、httpサーバ制御部81からの無線信号をスマートフォンSが受信すると、スマートフォンSの表示部SDはネットワーク選択の画面を表示し、ここで、表示部SDにおいてhttpサーバ44の機器名のネットワークを選択し、httpサーバ44のパスワードを入力してhttpサーバ制御部81に送出すると、httpサーバ制御部81は受信したパスワードのデータを通信設定情報記憶部82に記憶されているhttpサーバ44のパスワードと照合し、これらのパスワードが一致するとhttpサーバ制御部81が判断すると、スマートフォンSとhttpサーバ制御部81との間の通信が確立される。
【0049】
スマートフォンSとhttpサーバ制御部81の間の通信が確立されると、httpサーバ制御部81は通信設定情報記憶部82に記憶されている「ルータの機器名およびパスワードの入力画面」のHTMLファイルおよび画像データをスマートフォンSに送出し、スマートフォンSがこれらのデータを受信すると、ブラウザBを使用してこれらのHTMLファイルおよび画像データを組み合わせて、表示部SDに図5に示すような、「ルータの機器名およびパスワードの入力画面」という1つのページを表示する。ここでスマートフォンSを操作して、ルータの機器名入力部SD1にルータRの機器名、例えば「○○○○○○○」を入力し、ルータのパスワード入力部SD1にルータRのパスワード、例えば「×××」を入力して送信キーSD3を選択することにより、入力されたルータRの機器名「○○○○○○○」とルータRのパスワード「×××」のデータがhttpサーバ制御部81に送出され、httpサーバ制御部81は通信設定情報記憶部82にこれらのデータを記憶させ、その後、httpサーバ制御部81はhttpサーバ44を、ルータRからの無線信号の送受信を可能にする子機のモードに切り換えるように制御する。このように、httpサーバ44を備えた炊飯器1は、スマートフォンSとのネットワーク接続時では親機のモード、ルータRとのネットワーク接続時では子機のモードとなるので、親機、子機の両方のモードを備え、親機のモードでhttpサーバ44を動作させたときに、ルータRの機器名、ルータRのパスワード等、ルータRのネットワーク情報をスマートフォンSからhttpサーバ44に入力できる構成となっており、ルータRのネットワーク情報を入力するために、キーボードやドットLCD等のネットワーク情報入力機能、表示機能を炊飯器1が備えていなくても、炊飯器1のhttpサーバ制御部81がルータRにネットワーク接続できるようになっている。
【0050】
次に図6を参照して、炊飯器1の通常使用時について説明する。この時、機器名が、例えば「○○○○○○○」で、パスワードが、例えば「×××」のルータRと、スマートフォンSとの間の通信が確立されているものとする。親機としてのルータRと子機としてのスマートフォンSとの間の通信の確立の方法は周知であるので、説明を省略する。
【0051】
httpサーバ44が子機のモードで動作している時に、親機としてのルータRからの無線信号をhttpサーバ制御部81が受信すると、httpサーバ制御部81は、この無線信号に含まれているルータRの機器名「○○○○○○○」を、通信設定情報記憶部82に記憶されているルータの機器名「○○○○○○○」と照合する。そして、httpサーバ制御部81は、これらの機器名が一致すると判断すると、通信設定情報記憶部82に記憶されているルータのパスワード「×××」のデータをルータRに送出する。ルータRがこのデータを受信すると、ルータRで、受信したデータ「×××」をルータRのパスワード「×××」と照合し、これらのパスワードが一致するとルータRが判断すると、httpサーバ制御部81とルータRの間の通信が確立され、ルータRからhttpサーバ制御部81に、httpサーバ44のネットワークIDとしてのIPアドレス、すなわち炊飯器1のIPアドレスのデータが送信される。httpサーバ制御部81は、炊飯器1のIPアドレスのデータを受信すると、このデータを通信設定情報記憶部82に記憶させる。
【0052】
次に、httpサーバ制御部81とスマートフォンSとのルータR経由での無線接続について説明すると、上述した炊飯器1の初期設定時と異なり、httpサーバ44は子機のモードで動作しているため、httpサーバ44のIPアドレス、すなわち炊飯器1のIPアドレスをスマートフォンSに入力する必要があり、このIPアドレスが分からないとスマートフォンSのブラウザBからhttpサーバ制御部81にアクセスできない。しかし炊飯器1のIPアドレスは、ルータRからhttpサーバ44に割り当てられる番号であり、一般的にIPアドレスは動的に変化してしまうため、ネットワーク接続のたびに確認する必要がある。そこで、本実施形態の炊飯器1では、炊飯器1のIPアドレスをLCD29に表示する構成にしている。
【0053】
図7A図7Dを参照して具体的に説明すると、操作部43からの操作で炊飯制御部76が通信部77から命令を送出し、この命令により、httpサーバ制御部81は通信設定情報記憶部82に記憶させた炊飯器1のIPアドレスのデータを通信部77に送出する。このデータを通信部77が受信すると、炊飯制御部76は、このデータをLCD29に送出して、このデータのIPアドレスをLCD29に表示するように制御する。この時の操作部43の操作は、炊飯器1の普段の使用時では採用しないような操作が好ましく、本実施形態ではそくうまキー52Eを長押しする操作を採用している。そくうまキー52Eを押圧し続けると、炊飯制御部76は、先ず、「そくうま」の炊飯コースの設定画面をLCD29に表示させるように制御し、所定時間後に、炊飯器1のIPアドレスをLCD29に表示するように制御している。
【0054】
IPアドレスは通常、32ビットの値を「.」(ドット)で8ビットずつ4つに区切って表しているが、本実施形態の炊飯器1では図7A図7Dに示すように、この4つに区切られた値を1つずつ表示する方式を採用している。図7AではLCD29に炊飯器1のIPアドレスの1つ目の値を表示している時を示しており、炊飯時の炊上がりまでの時間や保温時の経過時間を表示する時計用表示要素48Aと、選択したご飯の硬さを炊き分け状態として表示する炊き分け選択用表示要素48Bと、初期の切表示の画面に戻るための戻る用表示要素48Cと、炊き分け選択用表示要素48Bに表示される炊き分け状態を、硬めに調整可能にする硬め調整用表示要素48Dと、炊き分け選択用表示要素48Bに表示される炊き分け状態を、柔らかめに調整可能にする柔らかめ調整用表示要素48Eと、炊飯や保温時に鍋5内部の圧力の状態を表示する圧力用表示要素48Fと、を使用している。
【0055】
具体的には、時計用表示要素48Aは「192」を表示し、炊き分け選択用表示要素48Bの一番左の点が点滅しており、炊飯器1のIPアドレスの1つ目の値は「192」であることが一目で分かるようになっている。また圧力用表示要素48Fの「真空」表示は、マイコン55と多機能チップ47との通信確認用表示を兼ねており、マイコン55と多機能チップ47とが通信できていると「真空」表示が点滅し、通信が途絶えると「真空」表示が消灯するように構成されている。図7AのLCD29の画面では、圧力用表示要素48Fの「真空」表示が点滅しており、マイコン55と多機能チップ47とが通信できていることが、例えば「真空」表示により一目で分かるようになっている。ここで、そくうまキー52を1回押圧すると、LCD29が図7Bの画面に切り換わる。
【0056】
図7Bでも、時計用表示要素48Aは「168」を表示し、炊き分け選択用表示要素48Bの左から二番目の点が点滅しており、炊飯器1のIPアドレスの2つ目の値は「168」であることが一目で分かるようになっている。また、圧力用表示要素48Fの「真空」表示が点滅しており、マイコン55と多機能チップ47とが通信できていることが、例えば「真空」表示により一目で分かるようになっている。ここで、そくうまキー52を1回押圧すると、LCD29が図7Cの画面に切り換わる。図7Cでも、時計用表示要素48Aは「128」を表示し、炊き分け選択用表示要素48Bの左から三番目の点が点滅しており、炊飯器1のIPアドレスの3つ目の値は「128」であることが一目で分かるようになっている。また、圧力用表示要素48Fの「真空」表示が点滅しており、マイコン55と多機能チップ47とが通信できていることが、例えば「真空」表示により一目で分かるようになっている。ここで、そくうまキー52を1回押圧すると、LCD29が図7Dの画面に切り換わる。
【0057】
図7Dでも、時計用表示要素48Aは「127」を表示し、炊き分け選択用表示要素48Bの一番右の点が点滅しており、炊飯器1のIPアドレスの4つ目の値は「127」であることが一目で分かるようになっている。また、圧力用表示要素48Fの「真空」表示が点滅しており、マイコン55と多機能チップ47とが通信できていることが、例えば「真空」表示により一目で分かるようになっている。ここで、そくうまキー52を1回押圧すると、LCD29が図7Aの画面に戻るように構成されており、このようにそくうまキー52を操作することで、炊飯器1のIPアドレスは「192.168.128.127」であることが分かるように構成されている。このIPアドレスをスマートフォンSのブラウザBのURL入力欄に入力することで、ルータRを経由して、スマートフォンSのブラウザBがhttpサーバ制御部81にアクセスする。
【0058】
本実施形態において、図7A図7DのLCD29の画面の切り換えは、硬め調整用表示要素48Dおよび柔らかめ調整用表示要素48Eでもできるように構成されており、柔らかめ調整用表示要素48Eをタッチ操作することで、図7Aから図7Dの順でLCD29の画面が切り替わり、その一方で、硬め調整用表示要素48Dをタッチ操作することで、図7Dから図7Aの順でLCD29の画面が切り替わる。また戻る用表示要素48Cをタッチ操作することにより、初期の切表示の画面に戻るように構成されている。
【0059】
炊飯器1のIPアドレスをLCD29に表示する方法は、図7A図7Dの他にも、図8に示すように、IPアドレス用の表示要素48Gにより、LCD29にIPアドレスを全部表示するように構成してもよく、この場合、IPアドレスの確認が容易で、ブラウザBのURL入力欄への入力間違いを抑制することができる。また図9に示すように、URL用の表示要素48HおよびQRコード(登録商標)用の表示要素48Iにより、LCD29にhttpサーバ44のURLおよびQRコードを表示するように構成してもよく、この場合、スマートフォンSにこのQRコードを読み取らせることで、スマートフォンSのブラウザBがhttpサーバ制御部81にアクセスするため、httpサーバ制御部81へのアクセスがさらに容易になる。なお、図8のようにIPアドレス用の表示要素48GをLCD29に表示する場合や、図9のようにURL用の表示要素48HおよびQRコード用の表示要素48IをLCD29に表示する場合は、LCD29を多層表示装置で構成することにより実現できる。
【0060】
図6に戻り、スマートフォンSのブラウザBがhttpサーバ制御部81にアクセスすると、httpサーバ制御部81は通信部77に命令を送出し、炊飯制御部76は、炊飯設定情報記憶部78に記憶されている、例えば、設定158の「こだわり炊飯」の炊飯コースのデータをHTMLファイル形式で通信部77に送出するように制御する。通信部77は、このHTMLファイルをhttpサーバ制御部81に送出し、その後httpサーバ制御部81が、このHTMLファイルをスマートフォンSのブラウザBに送出する。
【0061】
スマートフォンSは、このHTMLファイルを受信すると、このファイルのタグの命令に沿って、ルータRやネットワークNを経由してネットワーク制御部NCに接続して、“背景1.png”や“ボタン1.png”等の画像データGをネットワークサーバ記憶部NRから取得し、スマートフォンSでブラウザBを使用してHTMLファイルおよび画像データGを組み合わせて、図10に示すような「こだわり炊飯の設定画面」を1つのページで表示部SDに表示する。
【0062】
ここで図10に示される設定は、炊飯器1の炊飯設定情報記憶部78に記憶されている設定158の炊飯コースである「こだわり炊飯」の炊飯コースの現在の設定であり、SD4〜SD10の各入力部をタッチ操作して選択または入力することにより、SD4〜SD10の各入力部の設定を変更することができる。例えば、ひたし火力入力部SD4をタッチ操作すると、例えば「弱」「中」「強」の表示要素が表示され、これらの表示要素をタッチ操作することにより、ひたし火力入力部SD4の設定を変更することができる。また、ひたし時間入力部SD5をタッチ操作すると、例えば「短」「中」「長」の表示要素が表示され、これらの表示要素をタッチ操作することにより、ひたし時間入力部SD5の設定を変更することができる。各入力部SD6〜SD9も同様に、各入力部SD5〜SD9をタッチ操作すると、選択用の表示要素が表示され、これらの表示要素をタッチ操作することにより、各入力部SD6〜SD9の設定を変更することができる。また例えば、設定入力部SD10をタッチ操作すると数字を入力する画面になり、ここで、例えば「157」と数字を入力すると、炊飯設定情報記憶部78における炊飯コースの設定の記憶時に、炊飯設定情報記憶部78におけるその数字の場所、今回の場合は「設定157」の場所に、表示部SDに表示される各入力部SD4〜SD9の設定が記憶される。なお、上述した入力方法は一例であり、例えば各入力部SD4〜SD9の設定を、スマートフォンSを操作して文字を入力して設定するように構成してもよい。
【0063】
SD4〜SD10の各入力部の設定が完了し、送信キーSD11を選択すると、スマートフォンSはhttpサーバ制御部81にこの炊飯コースの設定を送出する。httpサーバ制御部81は、この炊飯コースの設定データを受信すると、このデータを通信部77に送出し、その後、炊飯制御部76は、このデータの設定入力部SD10に入力されている炊飯設定情報記憶部78の場所、図10に示された表示部SDの設定データの場合は「設定157」に、この炊飯コースの設定データを記憶するように構成される。
【0064】
以上のように、本実施形態において調理器となる炊飯器1では、httpサーバ44を備えてhttpサーバ機能を有し、外部の機器となるスマートフォンSのブラウザBを使用して、中継器としてのルータRを経由した通信を行なう構成にしている。そのため、スマートフォンSのOS毎にアプリを開発する必要が無く、またOSのバージョンアップでアプリを更新する必要もなくなるので、開発費を抑制することができる。
【0065】
また本実施形態では、httpサーバ機能を有した炊飯器1は、親機、子機の両方のモードを備え、親機のモードでhttpサーバ44を動作させたとき、ルータRの機器名、パスワード等のネットワーク情報をスマートフォンSからhttpサーバ44に入力できる構成にしている。そのためルータRのネットワーク情報を入力するために、キーボードやドットLCD等のネットワーク情報入力機能、表示機能を炊飯器1が備えていなくても、炊飯器1がルータRにネットワーク接続できるようになっている。
【0066】
また本実施形態の炊飯器1では、ネットワーク接続における炊飯器1のIPアドレスを、炊飯器1側としての炊飯器1のLCD29に表示させる機能を有して構成される。そのため、ルータRから動的に割り当てられる炊飯器1のIPアドレスを炊飯器1のユーザーが知ることができ、スマートフォンSのブラウザBから炊飯器1にアクセスできるようになる。
【0067】
また本実施形態の炊飯器1では、httpサーバ機能を有するhttpサーバ制御部81と、炊飯器1の負荷75を制御する負荷制御部としての炊飯制御部76と、通信部77とをさらに備え、httpサーバ制御部81と炊飯制御部76とは別部品で構成されており、炊飯制御部76とhttpサーバ制御部81は通信部77で命令を交換し、かつhttpサーバ制御部81から通信部77への命令では、炊飯制御部76は負荷75のそれぞれの駆動手段に制御信号を送出せず、負荷75の動作を直接開始できないように構成している。そのため、仮にマルウェア等の悪意のあるプログラムで外部からhttpサーバ制御部81を操作しても、炊飯器1の安全に影響を与えるヒータやモータ等の負荷75は動作しないので安全が確保できる。
【0068】
また本実施形態の調理器システムとなる炊飯器1のシステムにおいて、HTMLの本体であるHTMLファイルを炊飯器1からスマートフォンSに送信し、HTMLファイルのタグに書かれ、スマートフォンSの表示部SDに表示させるデータの一部である画像データGを外部のネットワークサーバTHSから取得することにより、炊飯器1の通信負荷やデータ保存量などの負荷を減らし、炊飯器1本体を安価なシステムで構築できる。また外部のネットワークサーバTHSから画像データGを取得するので、ネットワークサーバTHSの画像データGを変更することにより、ユーザーに炊飯器1が行き渡った後でもある程度データの更新ができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。本実施形態では炊飯器を例に挙げて説明したが、本願発明はこれに限定されず、例えばIH(誘導加熱)調理器、オーブンレンジなど、様々な調理器に適用できる。したがって、明細書中の「炊飯」や「保温」という文言は、何れも「調理」と置き換えることができ、また「負荷」も各種「ヒータ」や「モータ」、「駆動手段」とすることができる。また操作部43として、静電容量式以外の各種方式によるタッチセンサ49を適用しても構わない。
【符号の説明】
【0070】
1 炊飯器(調理器)
29 LCD(表示させる機能)
44 httpサーバ(httpサーバ機能)
75 負荷
76 炊飯制御部(負荷制御部)
77 通信部
81 httpサーバ制御部
R ルータ(中継器)
S スマートフォン(外部の機器)
B ブラウザ
SD 表示部
G 画像データ(データの一部)
THS ネットワークサーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10