(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の断熱ドアでは、扉の室内側表面板の左右両縁部は、屋外側に折曲した形状とされてチャンネル材および縦部材の間にそれぞれ差し込まれている。このため、室内(屋内)火災時に室内側表面板が加熱されると、室内側表面板が上下方向だけでなく左右方向にも熱伸びを生じるが、室内側表面板の左右両縁部が左右の縦部材に当たるので左右への熱伸びが抑制される。このように左右方向への熱伸びが抑制されると、室内側表面板の熱反り変形が助長されるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、屋内面材の熱反り変形を助長するおそれを低減することができる戸体およびこれを備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の戸体は、建具枠に対して開閉可能に取り付けられる戸体であって、断熱芯材と、前記断熱芯材の屋外側に設けられた金属製の屋外面材と、前記断熱芯材の屋内側に設けられた金属製の屋内面材と、前記屋外面材および前記屋内面材の間に配置された骨材と、前記骨材に取り付けられた縦部材と、を備えており、前記屋内面材は、屋内面部と、前記屋内面部から屋外側に折曲された屋内縦見込み片部とを有しており、前記屋内縦見込み片部は、前記縦部材とともに前記戸体の見込み面を構成しており、前記縦部材は、前記屋内面部に対して屋外側に位置していることを特徴とする。
本発明の戸体によれば、エッジ材等の縦部材は屋内面部に対して屋外側に位置しているので、屋内火災時に屋内面材が加熱されて上下方向だけでなく左右方向にも熱伸びを生じる場合、屋内面材が縦部材に当たって左右方向への熱伸びが阻害されることがなく、屋内面材の左右方向への熱伸びの抑制に起因して屋内面材の熱反りが助長されるおそれを低減することができる。
【0007】
本発明の戸体では、前記骨材は、樹脂骨材と、金属骨材とによって構成されており、前記樹脂骨材は、前記屋外面材の屋外面部に沿って配置された樹脂屋外片部と、前記屋内面材の屋内面部に沿って配置された樹脂屋内片部と、前記樹脂屋外片部および前記樹脂屋内片部に連続した樹脂見込み片部とを有しており、前記金属骨材は、前記樹脂屋外片部および前記樹脂屋内片部の間において前記樹脂見込み片部に沿って配置された平鋼によって構成されており、前記樹脂骨材には、前記平鋼の屋内縁部および屋外縁部のうちの少なくとも一方を保持する保持溝が形成されていてもよい。
このような構成によれば、屋外面材および金属骨材の間には樹脂屋外片部が位置し、屋内面材および金属骨材の間には樹脂屋内片部が位置し、更に、金属骨材の屋内縁部および屋外縁部のうちの少なくとも一方が保持溝に保持されるのでリベット等によって屋外面材および屋内面材のうちの少なくとも一方と締結する必要がない。このため、金属骨材が屋外面材および屋内面材間の熱橋となることがなくなり、断熱性を向上することができる。
また、平鋼が樹脂見込み片部に沿って配置されているので、金属骨材の見込み寸法を大きくとることができて、戸体の面外方向への変形を強く抑制することができる。更に、金属骨材が樹脂見込み片部に沿って配置された平鋼であるので、例えば金属骨材がチャンネル鋼である場合と比べて、樹脂屋外片部および樹脂屋内片部の撓み変形を拘束する面積を小さくすることができ、樹脂屋外片部および樹脂屋内片部の樹脂見込み片部に対するある程度の撓み変形を許容できる。これにより、左右方向において屋外面材および屋内面材に熱伸び差が生じても、樹脂屋外片部および樹脂屋内片部が撓み変形するので、骨材が屋内面材の左右方向への熱伸びを抑制するおそれを低減することができる。
【0008】
本発明の戸体では、前記骨材は、樹脂骨材と、金属骨材とによって構成されており、前記樹脂骨材は、前記屋外面材の屋外面部に沿って配置された樹脂屋外片部と、前記屋内面材の屋内面部に沿って配置された樹脂屋内片部と、前記樹脂屋外片部および前記樹脂屋内片部に連続した樹脂見込み片部とを有しており、前記樹脂骨材には、前記金属骨材を保持する保持溝を前記樹脂見込み片部との間に形成する溝形成片部が形成されており、前記溝形成片部は、前記樹脂屋外片部および前記樹脂屋内片部のうちの一方との間に配線を配置可能な空間を形成していてもよい。
このような構成によれば、前述した溝形成片部を樹脂骨材に形成するだけで、金属骨材を保持する保持溝と配線を配置可能な空間との双方を形成することができる。
【0009】
本発明の戸体では、前記骨材は、樹脂骨材と、金属骨材とによって構成されており、前記樹脂骨材は、前記屋外面材の屋外面部に沿って配置された樹脂屋外片部と、前記屋内面材の屋内面部に沿って配置された樹脂屋内片部と、前記樹脂屋外片部および前記樹脂屋内片部に連続した樹脂見込み片部とを有しており、前記金属骨材は、前記樹脂屋外片部に沿って配置される金属屋外片部および前記樹脂屋内片部に沿って配置される金属屋内片部のうちの一方の金属片部と、前記一方の金属片部に連続していると共に前記樹脂見込み片部に沿って配置された金属見込み片部とを有していてもよい。
このような構成によれば、屋外面材および金属骨材の間には樹脂屋外片部が位置し、屋内面材および金属骨材の間には樹脂屋内片部が位置しているので、屋内外間の断熱性を向上することができる。また、金属見込み片部が樹脂見込み片部に沿って配置されているので、金属骨材の見込み寸法を大きくとることができて、戸体の面外方向への変形を強く抑制することができる。更に、例えば金属骨材がチャンネル鋼である場合と比べて、樹脂屋外片部および樹脂屋内片部のうちのいずれかの樹脂片部の撓み変形を拘束する面積を小さくすることができ、この樹脂片部の樹脂見込み片部に対するある程度の撓み変形を許容できる。これにより、左右方向において屋外面材および屋内面材に熱伸び差が生じても、前記樹脂片部が撓み変形するので、骨材が屋内面材の左右方向への熱伸びを抑制するおそれを低減することができる。
【0010】
本発明の戸体では、前記骨材は、樹脂骨材と、金属骨材とによって構成されており、前記樹脂骨材は、前記屋外面材の屋外面部に沿って配置された樹脂屋外片部と、前記屋内面材の屋内面部に沿って配置された樹脂屋内片部と、前記樹脂屋外片部および前記樹脂屋内片部に連続した樹脂見込み片部とを有しており、前記金属骨材は、前記樹脂屋外片部に沿って配置された金属屋外片部と、前記樹脂屋内片部に沿って配置された金属屋内片部と、前記金属屋外片部および前記金属屋内片部に連続していると共に前記樹脂見込み片部に沿って配置された金属見込み片部とを有していてもよい。
このような構成によれば、屋外面材および金属骨材の間には樹脂屋外片部が位置し、屋内面材および金属骨材の間には樹脂屋内片部が位置しているので、屋内外間の断熱性を向上することができる。また、金属見込み片部が樹脂見込み片部に沿って配置されているので、金属骨材の見込み寸法を大きくとることができて、戸体の面外方向への変形を強く抑制することができる。
【0011】
本発明の戸体では、前記骨材は、前記屋外面材の屋外面部に沿って配置された金属屋外片部と、前記屋内面材の屋内面部に沿って配置された金属屋内片部と、前記金属屋外片部および前記金属屋内片部に連続した金属見込み片部とを有していてもよい。
このような構成によれば、屋外面部に沿った金属屋外片部と屋内面部に沿った金属屋内面部とにわたって金属見込み片部が配置されるので、金属骨材の見込み寸法を大きくとることができ、戸体の面外方向への変形を強く抑制することができる。骨材樹脂骨材
【0012】
本発明の戸体では、前記屋内面材は、前記屋内縦見込み片部から前記骨材に向けて折曲された内側片部と、前記内側片部から屋外側に延出した延出見込み片部とを有しており、前記延出見込み片部の屋外縁部は、前記骨材および前記縦部材の間に配置されており、前記縦部材は、前記内側片部に対して屋外側に位置していてもよい。
このような構成によれば、縦部材および屋内面材によって骨材を覆うことができ、意匠性を向上することができる。また、延出見込み片部の屋外縁部が骨材および縦部材の間に配置されるだけであるので、前述した屋内面材の左右方向への熱伸びをほとんど抑制しない。更に、縦部材および内側片部の間に錠ケースなどの付属部品を配置可能な空間を形成することができる。
【0013】
本発明の戸体では、前記屋外面材は、屋外面部と、前記屋外面部から屋内側に向けて折曲された屋外縦見込み片部とを有しており、前記屋内面材は、前記屋内縦見込み片部から前記骨材に向けて折曲された内側片部を有しており、前記縦部材は、前記内側片部に対して屋外側に位置しており、前記屋外縦見込み片部は、前記縦部材よりも屋内側に延出していると共に屋内縁部が前記骨材および前記内側片部間に配置されていてもよい。
このような構成によれば、屋外見込み片部の屋内縁部を内側片部で覆うことで小口を隠すことができ、意匠性を向上することができる。更に、縦部材および内側片部の間に錠ケースなどの付属部品を配置可能な空間を形成することができる。
【0014】
本発明の建具は、建具枠と、前記建具枠に対して開閉可能に取り付けられた前述した本発明の戸体とを備えており、前記建具枠には、前記戸体の屋内面に当接する戸当り部が形成されていることを特徴とする。
本発明の建具によれば、前述した本発明の戸体と同様の作用効果を発揮可能な建具を構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、屋内面材の熱反り変形を助長するおそれを低減することができる戸体およびこれを備えた建具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜2において、第1実施形態に係る建具としてのドア1は、いわゆる片開きであり、建物の外壁開口部に固定される建具枠であるドア枠2と、ドア枠2に開閉可能に支持される戸体である扉5とを備えている。
以下の説明において、ドア1の左右方向をX軸方向とし、上下方向をY軸方向とし、Z軸方向を屋内外方向(奥行方向)とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交している。
【0018】
ドア枠2は、上枠10、下枠20および左右の縦枠30,40を有している。
図2の左側に配置される縦枠30が吊元側とされてヒンジ4が取り付けられており、
図2の右側に配置される縦枠40が戸先側とされている。ヒンジ4は、旗丁番などによって構成されている。
【0019】
上枠10は、
図1に示すように、屋外部材11および屋内部材12をウレタン樹脂等の断熱材13で連結して構成された断熱形材であり、屋外部材11および屋内部材12が図示略の躯体に固定される。屋外部材11は、中空枠形状とされたアルミ押出形材であり、Z軸方向に沿った見込み片部113を有している。屋内部材12は、アルミ押出形材であり、Z軸方向に沿った見込み片部121と、扉5の屋内面に対する屋内見付け面を構成する戸当り部122とを有している。戸当り部122は、見込み片部121に連続した溝形成部123と、溝形成部123に係合したタイト材15とを有しており、溝形成部123によって形成された溝部には、熱膨張耐火材9が配置されている。タイト材15は、扉5の屋内面に当接して屋内外間の水密性、気密性を保っている。
【0020】
下枠20は、アルミ押出形材で構成されており、
図1に示すように、Z軸方向に沿った見込み片部213と、扉5の屋内面に対する屋内見付け面を構成する戸当り部222とを有している。戸当り部222は、見込み片部213に連続した溝形成部223と、溝形成部223に係合したタイト材25とを有しており、溝形成部223によって形成された溝部には、熱膨張耐火材9が配置されている。下枠20は、例えば、モルタルで納まるため、熱の出入りが少ない。このため、下枠20は、上枠10のようなアルミ断熱形材ではなく、屋外側から屋内側まで一体に形成されたアルミ押出形材で構成されている。下枠20には、ゴム製の沓摺部24が取り付けられている。下枠20の屋内露出面は、沓摺部24と後述するタイト材25とによって被覆されている。
【0021】
吊元側の縦枠30および戸先側の縦枠40は、
図2に示すように、アルミ製の屋外部材31,41および屋内部材32,42を、ウレタン樹脂等の断熱材33,43で連結した断熱形材であり、上枠10と同様に、屋外部材31,41と、屋内部材32,42とは、図示略の躯体に固定されている。屋外部材31,41は、中空枠形状とされており、Z軸方向に沿った見込み片部313,413を備えている。屋内部材32,42は、Z軸方向に沿った見込み片部321,421と、扉5の屋内面に対する屋内見付け面を構成する戸当り部322,422とを有している。戸当り部322,422は、見込み片部321,421に連続した溝形成部323,423と、溝形成部323,423に係合したタイト材35,45とを有しており、溝形成部323,423によって形成された溝部には、熱膨張耐火材9が配置されている。
【0022】
扉5は、縦長矩形状であり、
図1,2に示すように、金属製の屋外面材51と、金属製の屋内面材52と、断熱芯材53と、骨材54と、アルミニウムなどの金属製のエッジ材55(縦部材)とを備えている。屋外面材51および屋内面材52は、断熱芯材53の屋外面および屋内面に接着剤で接着されて一体化されている。従って、扉5は、断熱芯材53の屋外面および屋内面に、屋外面材51、屋内面材52を貼って平らに仕上げられたフラッシュドアタイプである。なお、扉5の戸先側には、図示略の操作ハンドルが設けられている。
屋外面材51および屋内面材52は鋼鈑で構成されている。屋外面材51は、断熱芯材53の屋外面に沿って配置されている。屋内面材52は、断熱芯材53の屋内面に沿って配置されている。断熱芯材53は、EPS(発泡ビーズ法ポリスチレン)製の断熱材で構成されている。なお、断熱芯材53は、フェノール樹脂系の断熱材を用いてもよいし、ハニカム材(水酸化アルミハニカム、セラミックハニカム、ペーパーハニカム)、フォーム材(イソシアヌレートフォーム、ウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム)等の断熱材が使用されてもよい。骨材54は、硬質の樹脂骨材541と、スチール等の金属骨材542とを備えた複合骨材によって構成されており、扉5の周囲に沿って四周枠組みされている。なお、戸先側の骨材54には、戸先側の縦枠40に設けられた錠受け7に係止されるラッチボルト6Aやデッドボルト(図示略)等を出没可能に備える錠ケース6が取り付けられている。
【0023】
屋外面材51は、断熱芯材53の屋外面に接着される屋外面部511と、屋外面部511の上下の各端縁からZ軸方向において屋内側に折曲された屋外見込み片部513A,513Bと、屋外面部511の左右の各端縁からZ軸方向において屋内側に折曲された屋外縦見込み片部513C,513Dとを有している。
屋内面材52は、断熱芯材53の屋内面に接着される屋内面部521と、屋内面部521の上下の各端縁からZ軸方向において屋外側に折曲された屋内見込み片部522A,522Bと、屋内面部521の吊元側の端縁からZ軸方向において屋外側に折曲された屋内縦見込み片部522Cと、屋内面部521の戸先側の端縁からZ軸方向において屋外側に折曲された屋内縦見込み片部522Dと、屋内縦見込み片部522Dの屋外縁部からZ軸方向において吊元側に折曲された内側片部523とを有している。
【0024】
樹脂骨材541は、屋外面材51の屋外面部511に沿って配置された樹脂屋外片部543と、屋内面材52の屋内面部521に沿って配置された樹脂屋内片部544と、樹脂屋外片部543および樹脂屋内片部544に連続した樹脂見込み片部545とを有してチャンネル状に形成されている。樹脂屋外片部543には、屋内側に突出した突部543Aが形成されており、突部543Aは、樹脂見込み片部545との間に保持溝543Bを形成している。樹脂屋内片部544には、屋外側に突出した突部544Aが形成されており、突部544Aは、樹脂見込み片部545との間に保持溝544Bを形成している。
金属骨材542は、平鋼によって構成されており、その屋外縁部が保持溝543Bに配置されて保持されており、その屋内縁部が保持溝544Bに配置されて保持されている。樹脂骨材541、金属骨材542と屋外見込み片部513A,513Bおよび屋外縦見込み片部513C,513Dとは、リベット、ネジ等の締結部材によって締結されている。また、樹脂骨材541、金属骨材542と屋内見込み片部522A,522Bおよび屋内縦見込み片部522Cとは、リベット、ネジ等の締結部材によって締結されている。
【0025】
エッジ材55は、アルミニウムなどの金属製の押出形材で形成されており、戸先側の骨材54との間に屋外縦見込み片部513Dを挟み込んでいる。このエッジ材55は、リベットや接着材などによって戸先側の骨材54に固定されている。
ここで、エッジ材55の屋内縁部55Aは、
図3に示すように屋内面部521よりも屋外側に位置しており、エッジ材55の屋内縁部55Aは、骨材54と屋内縦見込み片部522Dおよび内側片部523との間に位置している。屋内縦見込み片部522Dおよび内側片部523は、エッジ材55の屋内縁部55Aに対してX軸方向における外側(縦枠40側)に位置している。これにより、屋内面材52の戸先側における側縁部は、エッジ材55に邪魔されることなく戸先側に熱伸び可能な配置となっている。前述したエッジ材55および屋内縦見込み片部522Dによって、縦枠40の見込み面に対向する扉5の見込み面が構成されている。
【0026】
以下、前述したドア1の火災時の作用について説明する。
屋内火災時には、屋内面材52が主にY軸方向に熱伸びするため、扉5は弓なりに熱反りし、扉5の上端部や下端部は、扉5のY軸方向における中間部に対して屋外側に移動する。このため扉5の上端部や下端部とタイト材15,25,35,45との間の隙間は、熱反りしていない場合に比べて広くなる。ここで、屋内面材52はX軸方向にも熱伸びするが、エッジ材55が屋内面部521に対して屋外側に位置していると共にエッジ材55の屋内縁部55Aよりも縦枠40側に屋内縦見込み片部522Dおよび内側片部523が位置しているので、屋内面材52のX軸方向への熱伸びはエッジ材55に当たって抑制されることがない。このように、扉5は、屋内面材52のX軸方向への熱伸びの抑制に起因して屋内面材52の熱反りが助長されることがないので、屋内面材52の上端部や下端部が戸当り部322,422から大きく離間することを抑制する。なお、屋内面材52の吊元側の屋内縦見込み片部522Cはヒンジ4にリベット止めされているので、屋内面材52はX軸方向において吊元側に熱伸びせず、自由端縁となっている戸先側に熱伸びする。
屋内火災によって屋内側が加熱されていくと、戸当り部122,222,322,422に配置された熱膨張耐火材9が発泡して熱膨張し、溝形成部123,223,323,423と屋内面部521との隙間や、見込み片部113,213,313,413と屋内見込み片部522A,522Bおよび屋内縦見込み片部522C,522Dとの隙間に入り込み、これらの隙間を閉塞する。
また、屋外火災時には、扉5の熱反り向きは前述と逆向きとなる。このとき、扉5の中間部はラッチボルト6Aやデッドボルトが錠受け7と係合しているので戸当り部322,422から離間せず、扉5の上端部や下端部は戸当り部122,222,322,422に接近するので、扉5の屋内面と戸当り部122,222,322,422との隙間は大きくならない。なお、この場合にも、熱膨張耐火材9が発泡して熱膨張し、ドア枠2と扉5との隙間を閉塞する。
【0027】
[第1実施形態の効果]
(1)第1実施形態では、屋内縦見込み片部522Dがエッジ材55とともに扉5の見込み面を構成しており、エッジ材55が屋内面部521に対して屋外側に位置しているので、屋内火災時に屋内面材52が加熱されてY軸方向だけでなくX軸方向にも熱伸びを生じる場合、屋内面材52がエッジ材55に当たってX軸方向への熱伸びが阻害されることがなく、屋内面材52のX軸方向への熱伸びの抑制に起因して屋内面材52の熱反りが助長されるおそれを低減することができる。
(2)骨材54は、チャンネル状の樹脂骨材541と、平鋼からなる金属骨材542とによって構成されており、屋外面材51および金属骨材542の間には樹脂屋外片部543が位置し、屋内面材52および金属骨材542の間には樹脂屋内片部544が位置し、更に、金属骨材542の屋内縁部および屋外縁部が保持溝543B,544Bに保持されるので、リベット等によって屋外面材51および屋内面材52と締結しなくてもよい。第1実施形態では、骨材54は、屋外面材51にリベット止めされているが、屋内面材52にはリベット止め等されていないので、金属骨材542が屋外面材51および屋内面材52間の熱橋となることがなく、断熱性を向上することができる。
また、金属骨材542が樹脂見込み片部545に沿って配置されているので、金属骨材542の見込み寸法を大きくとることができて、扉5のZ軸方向(面外方向)への変形を強く抑制することができる。更に、金属骨材542が樹脂見込み片部545に沿って配置された平鋼であるので、例えば金属骨材542がチャンネル鋼である場合と比べて、樹脂屋外片部543および樹脂屋内片部544の撓み変形を拘束する面積を小さくすることができ、樹脂屋外片部543および樹脂屋内片部544の樹脂見込み片部545に対するある程度の撓み変形を許容できる。これにより、X軸方向において屋外面材51および屋内面材52に熱伸び差が生じても、樹脂屋外片部543および樹脂屋内片部544が撓み変形するので、骨材54が屋内面材52のX軸方向への熱伸びを抑制するおそれを低減することができる。
【0028】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
第2実施形態に係るドア1Bは、第1実施形態に係るドア1と概略同様に構成されているが、
図4に示すように、骨材54に代えて骨材54Bを備えている。
骨材54Bは、骨材54と同様に樹脂骨材541および金属骨材542によって構成されており、樹脂屋外片部543には、突部543Aではなく溝形成片部543Cが形成されている。溝形成片部543Cは、突部543Aよりも屋内側に長く延びていると共に、その屋内縁部が吊元側に折曲されて断面L字状に形成されている。
溝形成片部543Cは、樹脂見込み片部545との間に保持溝543Bを形成しており、この保持溝543Bは、第1実施形態における保持溝543Bよりも深さ寸法が大きくなっている。また、溝形成片部543Cは、樹脂屋外片部543との間に各種の配線を配置可能な空間543Dを形成している。
このような構成によれば、溝形成片部543Cを樹脂骨材541に形成するだけで、金属骨材542を保持する保持溝543Bと配線を配置可能な空間543Dとの双方を形成することができ、部品点数を増やすことなく骨材54および断熱芯材53間の空間を有効活用できる。
【0029】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
第3実施形態に係るドア1Cは、第1実施形態に係るドア1と概略同様に構成されているが、
図5に示すように、骨材54に代えて骨材54Cを備えている。
骨材54Cは、樹脂骨材541と、金属骨材542Cとによって構成されている。骨材54Cの樹脂骨材541においては、樹脂屋内片部544から突部544Aの構成が省略されており、金属骨材542Cは、樹脂屋内片部544に沿って配置された金属屋内片部547と、金属屋内片部547に連続していると共に樹脂見込み片部545に沿って配置された金属見込み片部548とを有したL字鋼によって構成されている。
このような構成によれば、屋外面材51および金属骨材542Cの間には樹脂屋外片部543が位置し、屋内面材52および金属骨材542Cの間には樹脂屋内片部544が位置しているので、屋内外間の断熱性を向上することができる。また、金属見込み片部548が樹脂見込み片部545に沿って配置されているので、金属骨材542Cの見込み寸法を大きくとることができて、扉5のZ軸方向への変形を強く抑制することができる。更に、例えば金属骨材がチャンネル鋼である場合と比べて、樹脂屋外片部543の撓み変形を拘束する面積を小さくすることができ、樹脂屋外片部543の樹脂見込み片部545に対するある程度の撓み変形を許容できる。これにより、X軸方向において屋外面材51および屋内面材52に熱伸び差が生じても、樹脂屋外片部543が撓み変形するので、骨材54Cが屋内面材52のX軸方向への熱伸びを抑制するおそれを低減することができる。
【0030】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
第4実施形態に係るドア1Dは、第1実施形態に係るドア1と概略同様に構成されているが、
図6に示すように、骨材54に代えて骨材54Dを備えている。
骨材54Dは、樹脂骨材541と、金属骨材542Dとによって構成されている。骨材54Dの樹脂骨材541においては、樹脂屋外片部543および樹脂屋内片部544から突部543A,544Aの構成が省略されており、金属骨材542Dは、樹脂屋外片部543に沿って配置された金属屋外片部546と、樹脂屋内片部544に沿って配置された金属屋内片部547と、金属屋外片部546および金属屋内片部547に連続していると共に樹脂見込み片部545に沿って配置された金属見込み片部548とを有したチャンネル鋼によって構成されている。
このような構成によれば、屋外面材51および金属骨材542Dの間には樹脂屋外片部543が位置し、屋内面材52および金属骨材542Dの間には樹脂屋内片部544が位置しているので、屋内外間の断熱性を向上することができる。また、金属見込み片部548が樹脂見込み片部545に沿って配置されているので、金属骨材542Dの見込み寸法を大きくとることができて、扉5のZ軸方向への変形を強く抑制することができる。
【0031】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態を図面に基づいて説明する。
第5実施形態に係るドア1Eは、第1実施形態に係るドア1と概略同様に構成されているが、
図7に示すように、骨材54に代えて骨材54Eを備えている。
骨材54Eは、金属骨材542Dによって構成されており、樹脂部分を備えていない。金属屋外片部546は屋外面材51の屋外面部511に沿って配置されており、金属屋内片部547は屋内面材52の屋内面部521に沿って配置されている。
このような構成によれば、屋外面部511に沿った金属屋外片部546と屋内面部521に沿った金属屋内片部547とにわたって金属見込み片部548が配置されるので、金属骨材542Dの見込み寸法を大きくとることができ、扉5のZ軸方向への変形を強く抑制することができる。また、骨材54Eが屋外面材51と屋内面材52とをつなぐ金属部材であるので、樹脂骨材を備える場合と比べて断熱性は低くなるが、屋外面材51および屋内面材52との温度差を減らしてX軸方向への熱伸び差を小さくすることができる。
【0032】
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態を図面に基づいて説明する。
第6実施形態に係るドア1Fは、第1実施形態に係るドア1と概略同様に構成されているが、
図8に示すように、骨材54に代えて骨材54Bを備えており、屋内面材52は、その内側片部523の端縁から屋外側に延出した延出見込み片部524を有しており、エッジ材55に代えて見込み寸法が小さくされたエッジ材55Fを備えている。
ここでの骨材54Bの樹脂見込み片部545には、延出見込み片部524の屋外縁部524Aを保持する保持溝545Aが形成されている。屋外面材51の屋外縦見込み片部513Dおよび延出見込み片部524の屋外縁部524Aは、骨材54Bおよびエッジ材55Fの間に配置されている。また、エッジ材55Fは、内側片部523に対して間隔を隔てて屋外側に配置されており、エッジ材55Fおよび内側片部523間には錠ケース6のフロント部が配置されている。
このような構成によれば、エッジ材55Fおよび屋内面材52によって骨材54Bを覆うことができ、意匠性を向上することができる。また、延出見込み片部524の屋外縁部524Aが骨材54Bおよびエッジ材55Fの間に配置されるだけであるので、屋内面材52のX軸方向への熱伸びをほとんど抑制しない。更に、エッジ材55Fおよび内側片部523の間に錠ケース6などの付属部品を配置可能な空間を形成することができる。
【0033】
[第7実施形態]
以下、本発明の第7実施形態を図面に基づいて説明する。
第7実施形態に係るドア1Gは、第1実施形態に係るドア1と概略同様に構成されているが、
図9に示すように、エッジ材55に代えて見込み寸法が小さくされたエッジ材55Fを備えており、屋外面材51の屋外縦見込み片部513Dがエッジ材55よりも屋内側に延出していると共に屋内縁部515が骨材54および内側片部523間に配置されている。エッジ材55Fは、内側片部523に対して間隔を隔てて屋外側に位置している。
このような構成によれば、屋外縦見込み片部513Dの屋内縁部515を内側片部523で覆うことで小口を隠すことができ、意匠性を向上することができる。更に、エッジ材55Fおよび内側片部523の間に錠ケース6などの付属部品を配置可能な空間を形成することができる。
【0034】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、第1実施形態では、樹脂骨材541には保持溝543B,544Bが形成されているが、保持溝543B,544Bのうちの一方の構成を省略してもよく、また双方の構成を省略してもよい。
第2実施形態では、溝形成片部543Cが樹脂屋外片部543に形成されているが、樹脂屋内片部544に形成されていてもよい。
第3実施形態では、金属骨材542Cは、金属屋内片部547および金属見込み片部548を有したL字鋼によって構成されているが、金属屋外片部546および金属見込み片部548を有したL字鋼によって構成されていてもよい。この場合、樹脂屋外片部543から突部543Aの構成が省略される。
第1〜第5実施形態および第7実施形態では、屋内面材52が内側片部523を有しているが、この構成を省略してもよい。
第6実施形態では骨材54Bを備えており、第7実施形態では骨材54を備えているが、これに限らず、骨材54,54B〜54Eのいずれを備えていてもよい。
第1〜第7実施形態では、骨材を四周枠組みしているが、左右の骨材を備えて上下の骨材を省略してもよい。
前記実施形態では、片開きのドア1を建具として説明したが、これに限られず、戸当り部を有した建具枠に開閉可能に戸体が取り付けられるドアであればよい。