特許第6981871号(P6981871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981871
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】繊維製品用粉末洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/06 20060101AFI20211206BHJP
   C11D 1/12 20060101ALI20211206BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20211206BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20211206BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20211206BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20211206BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20211206BHJP
   C11D 3/12 20060101ALI20211206BHJP
   C11D 3/06 20060101ALI20211206BHJP
   C11D 3/08 20060101ALI20211206BHJP
   D06L 1/12 20060101ALI20211206BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   C11D17/06
   C11D1/12
   C11D1/72
   C11D1/14
   C11D1/62
   C11D3/10
   C11D3/37
   C11D3/12
   C11D3/06
   C11D3/08
   D06L1/12
   D06F35/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-249287(P2017-249287)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-104706(P2018-104706A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2020年9月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-252926(P2016-252926)
(32)【優先日】2016年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】今中 秀和
(72)【発明者】
【氏名】中川 理
【審査官】 山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−306699(JP,A)
【文献】 特表2003−504488(JP,A)
【文献】 特表2001−515127(JP,A)
【文献】 特表2009−540044(JP,A)
【文献】 特開2013−100460(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/098737(WO,A1)
【文献】 特開昭63−264700(JP,A)
【文献】 特表2002−535444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
D06L 1/12
D06F 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分を10質量%以上40質量%以下、下記(B)成分を0.5質量%以上5質量%以下、下記(C)成分及び下記(D)成分を含有し、
(a2)成分の含有量と、(a1)成分と(a2)成分の合計の含有量との質量比である(a2)成分/〔(a1)成分+(a2)成分〕が0以上0.15以下であり、
(a3)成分の含有量と、(a1)成分と(a3)成分の合計の含有量との質量比である(a3)成分/〔(a1)成分+(a3)成分〕が0以上0.15以下であり、
(b2)成分の含有量と(b1)成分の含有量との質量比である、(b2)成分/(b1)成分が0以上1.5以下である、
繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
(A)成分:下記(a1)成分、並びに任意の下記(a2)成分及び任意の下記(a3)
(a1)成分:スルホン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤
(a2)成分:ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤
(a3)成分:アルキル硫酸エステル塩
(B)成分:下記(b1)成分、及び任意の下記(b2)成分
(b1)成分:下記一般式(1)においてRの炭素数とRの炭素数の合計の数が15以上23以下であるカチオン界面活性剤
(b2)成分:下記一般式(1)において、Rの炭素数が8以上13以下であり、Rの炭素数が1以上3以下の炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計の数が9以上14以下であるカチオン界面活性剤
【化1】

〔式中、Rは、炭素数8以上16以下の脂肪族炭化水素基であり、Rは、炭素数1以上10以下の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下の炭化水素基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、Xは陰イオンである。〕
(C)成分:無機炭酸塩及び無機炭酸水素塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤
(D)成分:カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマー
【請求項2】
(E)成分として、ゼオライト、トリポリリン酸塩及びアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる1種以上の金属イオン捕捉剤を5質量%以上30質量%以下含有する、請求項1に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【請求項3】
(a3)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比である、(a3)成分/(B)成分が、0以上5.0以下である、請求項1又は2に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)において、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下の炭化水素基である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【請求項5】
(D)成分が、重量平均分子量が3000以上100000以下のポリアクリル酸又はその塩及び重量平均分子量が3000以上100000以下のアクリル酸/マレイン酸コポリマー又はその塩から選ばれる1種以上のポリマーである、請求項1〜4の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【請求項6】
(C)成分の含有量が10質量%以上60質量%以下である、請求項1〜5の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【請求項7】
手洗い洗浄用である請求項1〜6の何れか1項記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物と、ドイツ硬度が1°dH以上50°dH以下の水とを混合した洗浄液で、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄液と繊維製品とを最初に接触させた後、10分以上60分以下経過後に、繊維製品を洗浄する、請求項8に記載の繊維製品の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用粉末洗浄剤組成物及び繊維製品の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料等の繊維製品用の粉末洗浄剤組成物において、洗浄成分として、アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤が用いられている。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩に代表される、スルホン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩に代表される、硫酸エステル塩を有するアニオン界面活性剤が知られている。衣料用洗剤の提供者は、衣料に付着した種々の汚れに対する洗浄力の観点で、複数の陰イオン界面活性剤を併用している。
一方で、生活者の衛生意識の高まりに伴い、衣料のにおいや菌に対する関心も高まってきている。衣料には皮膚常在菌や環境中に存在する様々な菌が付着し繁殖していることが知られている。衣料に付着している菌の増殖を抑制する手段として、第4級アンモニウム界面活性剤を使用することが知られている。
【0003】
特許文献1には、アルキルベンゼンスルホン酸塩とアルキル硫酸塩を含有し、皮脂汚れや泥汚れの洗浄性に優れた衣料用粉末洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、特定のアミン化合物、スルホン酸塩、特定の非イオン界面活性剤及び水溶性無機塩、任意成分としてカチオン界面活性剤と表面被覆剤としてのポリマーを含有し、洗浄力、保存による耐変色性、被洗浄物の変褪色防止性に優れる粒状洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献3には、界面活性剤。可溶性洗浄力ビルダー、脂肪酸セッケン、第四級アンモニウム塩及びシリコーン液体抑泡剤を含有し、濯ぎ性に優れた粒状洗剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−141641号公報
【特許文献2】特開2004−10681号公報
【特許文献3】特開昭62−230900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、洗浄液中に存在する菌の殺菌効果が高く、泡立ち性が維持され、濯ぎ性に優れた繊維製品用粉末洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記(A)成分を10質量%以上40質量%以下、下記(B)成分を0.5質量%以上5質量%以下、下記(C)成分及び下記(D)成分を含有し、
(a2)成分の含有量と、(a1)成分と(a2)成分の合計の含有量との質量比である(a2)成分/〔(a1)成分+(a2)成分〕が0以上0.15以下であり、
(a3)成分の含有量と、(a1)成分と(a3)成分の合計の含有量との質量比である(a3)成分/〔(a1)成分+(a3)成分〕が0以上0.15以下であり、
(b2)成分の含有量と(b1)成分の含有量との質量比である、(b2)成分/(b1)成分が0以上1.5以下である、
繊維製品用粉末洗浄剤組成物に関する。
(A)成分:下記(a1)成分、並びに任意の下記(a2)成分及び任意の下記(a3)
(a1)成分:スルホン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤
(a2)成分:ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤
(a3)成分:アルキル硫酸エステル塩
(B)成分:下記(b1)成分、及び任意の下記(b2)成分
(b1)成分:下記一般式(1)において、Rの炭素数とRの炭素数の合計の数が15以上23以下であるカチオン界面活性剤
(b2)成分:下記一般式(1)において、Rの炭素数が8以上13以下であり、Rの炭素数が1以上3以下の炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計の数が9以上14以下であるカチオン界面活性剤
【0007】
【化1】
【0008】
〔式中、Rは、炭素数8以上16以下の脂肪族炭化水素基であり、Rは、炭素数1以上10以下の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下の炭化水素基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、Xは陰イオンである。〕
(C)成分:無機炭酸塩及び無機炭酸水素塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤
(D)成分:カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマー
【0009】
また、本発明は、上記本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物と、ドイツ硬度が1°dH以上50°dH以下の水とを混合した洗浄液で、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗浄液中に存在する菌の殺菌効果が高く、泡立ち性を維持しつつ、濯ぎ性に優れた繊維製品用粉末洗浄剤組成物を得ることができる。本発明において、「濯ぎ性に優れた」又は「濯ぎ性を向上する」という用語を用いる場合があるが、これは、濯ぎ時の泡がより少ないことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[繊維製品用粉末洗浄剤組成物]
本発明者らは、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを含有する洗浄剤組成物に関して、アニオン界面活性剤において、特にアルキル硫酸エステル塩の含有量を制限することで、カチオン界面活性剤の殺菌効果をより向上することができることを見出した。また、洗浄剤組成物中のポリオキシエチレン基を有するノニオン界面活性剤の含有量を制限することで、洗浄時には泡立ち性に優れ、濯ぎ時には泡が消えやすくなることを見出した。更には、一般的に殺菌効果を有するカチオン界面活性剤の炭素数を制御することで、更に泡切れ性が向上することを見出した。
【0012】
<(A)成分>
(A)成分は、下記(a1)成分、並びに任意の下記(a2)成分及び任意の下記(a3)である。(A)成分は、下記(a1)成分を含み、下記(a2)成分及び下記(a3)成分から選ばれる成分を任意に含む。
(a1)成分:スルホン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤
(a2)成分:ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤
(a3)成分:アルキル硫酸エステル塩
【0013】
本発明の(A)成分は、洗浄液中の殺菌作用、洗浄時の泡立ち又は濯ぎ時の泡切れ性の向上の点で組成が制限される。すなわち、組成物中の(a2)成分の含有量と、(a1)成分と(a2)成分の合計の含有量との質量比である(a2)成分/〔(a1)成分+(a2)成分〕は0以上0.15以下であり、組成物中の(a3)成分の含有量と、(a1)成分と(a3)成分の合計の含有量との質量比である(a3)成分/〔(a1)成分+(a3)成分〕は0以上0.15以下である。
【0014】
〔(a1)成分〕
(a1)成分は、スルホン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤であり、洗浄時の泡立ち性に優れ、また繊維製品に付着した汚れの洗浄作用を有する。
(a1)成分としては、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキルスルホン酸又はその塩、アルケニルスルホン酸又はその塩、アルケニルスルホ脂肪酸エステル又はその塩が挙げられる。
(a1)成分の具体例としては、炭素数8以上20以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、炭素数8以上20以下のアルキル基を有するアルキルスルホン酸又はその塩、炭素数8以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルスルホン酸又はその塩、及び炭素数8以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルスルホ脂肪酸エステル又はその塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0015】
炭素数8以上20以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、特に限定されるものではないが、炭素数8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、20以下、好ましくは16以下のアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。
炭素数8以上20以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩の塩を形成する対イオンは、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、炭素数2以上8以下のアルカノールアミン塩などを挙げることができる。
【0016】
(a1)成分は、カチオン界面活性剤による殺菌効果をより高める観点から、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を含み、(a1)成分中、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩の割合が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、より更に好ましくは96質量%以上、そして、100質量%以下である。このアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩は、炭素数8以上20以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましい。
【0017】
〔(a2)成分〕
(a2)成分は、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤である。(a2)成分は、任意成分である。(a2)成分は、一般的には、繊維製品に付着した汚れの洗浄する作用を有するが、アニオン界面活性剤に比べて洗浄時の泡立ち性が劣り、又は本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物において濯ぎ時の泡切れ性が劣る場合があることから、本発明では使用量が制限される。
【0018】
(a2)成分としては、平均付加モル数が3モル以上50モルのポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤が好ましい。
(a2)成分としては、下記一般式(3)で表されるノニオン界面活性剤がより好ましい。
1a−(CO)O−(AO)−R2a (3)
〔式中、R1aは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基であり、xは0又は1の数であり、mは、AOの平均付加モル数であり、3以上50以下の数であり、R2aは、水素原子又はメチル基である。〕
【0019】
一般式(3)中のR1aの炭素数は、洗浄性をより向上出来る点で、10以上が好ましく、12以上がより好ましく、そして、16以下が好ましい。
また、一般式(3)中のR1aの炭素数は、本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物の洗浄時の泡立ちを阻害しにくい点で、10以上が好ましく、そして、16以下が好ましく、14以下がより好ましい。
また、一般式(3)中のR1aの脂肪族炭化水素基としては、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる脂肪族炭化水素基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
一般式(3)中のxは、0又は1の数であり、洗浄性の点で0の数が好ましい。
一般式(3)中のmは、AOの平均付加モル数であり、繊維製品用粉末洗浄剤組成物の汚れの洗浄性をより向上できる点で、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、6以上が更に好ましく、7以上が更に好ましく、そして、45以下が好ましく、40以下がより好ましく、35以下が更に好ましく、30以下が更に好ましく、25以下が更に好ましく、20以下が更に好ましく、18以下が更に好ましく、16以下が更に好ましく、14以下が更に好ましく、12以下が更に好ましい。
AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基である。AOは、例えば、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。繊維製品用粉末洗浄剤組成物を用いて繊維製品を洗浄する時の泡立ち性が阻害しにくい点で、AOが、エチレンオキシ基を含むアルキレンオキシ基であることが好ましい。AOはエチレンオキシ基が好ましい。
【0020】
〔(a3)成分〕
(a3)成分は、アルキル硫酸エステル塩である。(a3)成分は、任意成分である。(a3)成分は、後述する(B)成分であるカチオン界面活性剤と複合体を形成することで、カチオン界面活性剤による殺菌効果を低下する作用が大きく、本発明では、使用量が制限される。
【0021】
(a3)成分のアルキル基の炭素数は、カチオン界面活性剤による殺菌効果を低下する作用がより低い観点で、炭素数16以下が好ましく、15以下が好ましく、14以下がより好ましい。そして、10以上が好ましい。すなわち、(a3)成分は、炭素数10以上、そして、16以下のアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩が好ましい。
【0022】
(a3)成分は、カチオン界面活性剤による殺菌効果を低下する作用がより低い観点で、全アルキル基中の直鎖アルキル基の割合、更に炭素数12以上、16以下の直鎖アルキル基の割合が50質量%以上、そして、100質量%以下であるアルキル硫酸エステル塩が好ましい。
【0023】
(a3)成分は、カチオン界面活性剤による殺菌効果を低下する作用がより低い観点から、全アルキル基中の炭素数12の直鎖アルキル基の割合が好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、そして、100質量%以下であるアルキル硫酸エステル塩が好ましい。
【0024】
(a3)成分は、カチオン界面活性剤による殺菌効果を低下する作用がより低い観点から、全アルキル基中の炭素数12以上、16以下の直鎖アルキル基の割合が50質量%以上であり、且つ全アルキル基中の炭素数12の直鎖アルキル基の割合が好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、そして、100質量%以下であるアルキル硫酸エステル塩がより好ましい。
【0025】
(a3)成分を構成する塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、及びマグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などを挙げることができる。
【0026】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物には、(a1)成分及び任意の(a3)成分以外のアニオン界面活性剤を含む事が出来る。繊維製品用粉末洗浄剤組成物中に含まれる、(a1)成分及び任意の(a3)成分の含有量の合計量と全アニオン界面活性剤の含有量との質量比である、〔(a1)成分の含有量+(a3)成分の含有量〕/全アニオン界面活性剤の含有量は、殺菌効果又は抗菌効果をより向上できる観点で、好ましくは0.80以上であり、より好ましくは0.85以上であり、更に好ましくは0.90以上であり、より更に好ましくは0.95以上であり、そして好ましくは1.0以下であり、1.0であっても良い。
(a1)成分及び任意の(a3)成分以外のアニオン界面活性剤としては、例えば炭素数10以上18以下の脂肪酸又はその塩が挙げられる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、及びマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0027】
〔(A)成分の組成等〕
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、(a2)成分の含有量と、(a1)成分と(a2)成分の合計の含有量との質量比である(a2)成分/〔(a1)成分+(a2)成分〕は0以上0.15以下である。(a2)成分/〔(a1)成分+(a2)成分〕は、洗浄時の泡立ち性又は濯ぎ時の泡切れ性が向上できる点で、0.15以下であり、好ましくは0.14以下であり、より好ましくは0.13以下であり、更に好ましくは0.12以下であり、より更に好ましくは0.11以下であり、より更に好ましくは0.10以下であり、より更に好ましくは0.09以下であり、より更に好ましくは0.08以下であり、より更に好ましくは0.07以下であり、より更に好ましくは0.06以下であり、より更に好ましくは0.05以下であり、より更に好ましくは0.04以下であり、より更に好ましくは0.03以下であり、より更に好ましくは0.02以下であり、より更に好ましくは0.01以下であり、そして、0以上である。(a2)成分/〔(a1)成分+(a2)成分〕は、0であってもよい。
【0028】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、(a3)成分の含有量と、(a1)成分と(a3)成分の合計の含有量との質量比である(a3)成分/〔(a1)成分+(a3)成分〕が0以上0.15以下である。(a3)成分/〔(a1)成分+(a3)成分〕は、カチオン界面活性剤による殺菌効果が高まる観点から、0.15以下であり、好ましくは、0.14以下であり、より好ましくは0.13以下であり、更に好ましくは0.12以下であり、より更に好ましくは0.11以下であり、より更に好ましくは0.10以下であり、より更に好ましくは0.09以下であり、より更に好ましくは0.08以下であり、より更に好ましくは0.07以下であり、より更に好ましくは0.06以下であり、より更に好ましくは0.05以下であり、より更に好ましくは0.04以下であり、より更に好ましくは0.03以下であり、より更に好ましくは0.02以下であり、より更に好ましくは0.01以下であり、そして、0以上である。(a3)成分/〔(a1)成分+(a3)成分〕は0であってもよい。
【0029】
本発明の(a3)成分は、カチオン界面活性剤による殺菌効果を阻害する点で使用量が制限される。本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、(a3)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比である(a3)成分/(B)成分が、カチオン界面活性剤による殺菌効果を阻害しにくい点で、好ましくは5.0以下であり、より好ましくは4.9以下であり、更に好ましくは4.8以下であり、より更に好ましくは4.7以下であり、より更に好ましくは4.6以下であり、より更に好ましくは4.5以下であり、より更に好ましくは4.4以下であり、より更に好ましくは4.3以下であり、より更に好ましくは4.2以下であり、より更に好ましくは4.0以下であり、より更に好ましくは3以下であり、より更に好ましくは2以下であり、より更に好ましくは1以下であり、そして、0以上である。(a3)成分/(B)成分の質量比は、0であってもよい。
【0030】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、(A)成分を、10質量%以上、好ましくは11質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは13質量%以上、より更に好ましくは14質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上含有する。また、本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、カチオン界面活性剤による殺菌効果をより阻害しにくい観点から、(A)成分を、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下含有する。
【0031】
本発明において、(a1)成分及び(a3)成分の質量は対イオンをナトリウムイオンに換算した値を使用する。
【0032】
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、下記(b1)成分、及び任意の下記(b2)成分である。(B)成分は、下記(b1)成分を含み、下記(a2)成分を任意に含む。
(b1)成分:下記一般式(1)において、Rの炭素数とRの炭素数の合計の数が15以上23以下であるカチオン界面活性剤
(b2)成分:下記一般式(1)において、Rの炭素数が8以上13以下であり、Rの炭素数が1以上3以下の炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計の数が9以上14以下であるカチオン界面活性剤
【0033】
【化2】
【0034】
〔式中、Rは、炭素数8以上16以下の脂肪族炭化水素基であり、Rは、炭素数1以上10以下の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下の炭化水素基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、Xは陰イオンである。〕
【0035】
本発明では、(B)成分として(b1)成分及び任意の(b2)成分を所定の質量比で使用することで、洗浄時の泡立ち性を維持しつつ、濯ぎ時の泡切れ性を向上することができる。すなわち、組成物中の(b2)成分の含有量と(b1)成分の含有量との質量比である、(b2)成分/(b1)成分は0以上1.5以下である。
【0036】
〔(b1)成分〕
(b1)成分は、前記一般式(1)において、Rの炭素数とRの炭素数の合計の数が15以上23以下であるカチオン界面活性剤である。
(b1)成分は、繊維製品に殺菌効果を付与することができ、また繊維製品の洗浄時の泡立ち性を維持しつつ、濯ぎ時の泡切れ性を向上することができる。
【0037】
(b1)成分のRの炭素数とRの炭素数の合計の数は、洗浄時の泡立ち性を維持しつつ、濯ぎ時の泡切れ性を向上できる観点から、15以上であり、好ましくは16以上であり、より好ましくは17以上であり、そして、23以下であり、好ましくは18以下であり、より好ましくは17以下である。
【0038】
(b1)成分のRの炭素数は、繊維製品の洗浄時の泡立ち性を維持しつつ、濯ぎ時の泡切れ性を向上できる観点から、8以上であり、好ましくは9以上であり、より好ましくは10以上であり、更に好ましくは11以上であり、より更に好ましくは12以上であり、より更に好ましくは13以上であり、より更に好ましくは14以上であり、より更に好ましくは15以上であり、そして、16以下である。
【0039】
(b1)成分のRが、炭素数8以上10以下の脂肪族炭化水素基の場合は、Rは、洗浄時の泡立ち性を維持しつつ、濯ぎ時の泡切れ性を向上できる観点から、好ましくは炭素数7以上10以下の炭化水素基であり、より好ましくはベンジル基又は炭素数8以上10以下の脂肪族炭化水素基である。
【0040】
(b1)成分のRが、炭素数14以上16以下の脂肪族炭化水素基の場合は、Rは、洗浄時の泡立ち性を維持しつつ、濯ぎ時の泡切れ性を向上できる観点から、好ましくは炭素数1以上7以下の炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基及びベンジル基から選ばれる基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基及びベンジル基から選ばれる基である。また、Rは、洗浄時の泡立ち性をより阻害しにくい点から、好ましくはメチル基、エチル基及びプロピル基から選ばれる基であり、より好ましくはメチル基及びエチル基から選ばれる基である。
【0041】
(b1)成分のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下の炭化水素基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−ヒドロキシエチル基から選ばれる基が挙げられる。
【0042】
(b1)成分のXは陰イオンである。Xである陰イオンは、ハロゲンイオン及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、クロルイオン、ブロモイオン、ヨウ素イオンが挙げられる。炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンとしては、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン又はプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0043】
(b1)成分は、繊維製品の洗浄時の泡立ち性を維持しつつ、濯ぎ時の泡切れ性をより向上出来る観点から、好ましくはN−アルキルトリメチルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数15以上16以下の脂肪族アルキル基)、N−アルキル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数15以上16以下の脂肪族アルキル基)、N−アルキル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数8以上16以下の脂肪族アルキル基)、N,N−ジアルキル(アルキル基は炭素数8以上10以下の脂肪族アルキル基)−N,N−ジメチルアンモニウム塩及びN,N−ジアルキル(アルキル基は炭素数8以上10以下の脂肪族アルキル基)−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0044】
N−アルキルトリメチルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数15以上16以下の脂肪族アルキル基)の具体例としては、N−パルミチルトリメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0045】
N−アルキル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数15以上16以下の脂肪族アルキル基)の具体例としては、N−パルミチル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0046】
N−アルキル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数8以上16以下の脂肪族アルキル基)の具体例としては、N−オクチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩、N−デシル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩、N−ミリスチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩及びN−パルミチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0047】
N,N−ジアルキル(アルキル基は炭素数8以上10以下の脂肪族アルキル基)−N,N−ジメチルアンモニウム塩の具体例としては、N,N−ジオクチル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N,N−ジノニル−N,N−ジメチルアンモニウム塩及びN,N−ジデシル−N,N−ジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0048】
N,N−ジアルキル(アルキル基は炭素数8以上10以下の脂肪族アルキル基)−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩の具体例としては、N,N−ジオクチル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩、N,N−ジノニル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩及びN,N−ジデシル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0049】
上記の塩となる対イオンである陰イオンは、ハロゲンイオン及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、クロルイオン、ブロモイオン、ヨウ素イオンが挙げられる。炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンとしては、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン又はプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0050】
〔(b2)成分〕
本発明の(b2)成分は、前記一般式(1)において、Rの炭素数が8以上13以下であり、Rの炭素数が1以上3以下の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下の炭化水素基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計の数が、9以上14以下であるカチオン界面活性剤である。(b2)成分は、任意の成分である。
(b2)成分は洗浄液中の殺菌効果に優れ、また、繊維製品の洗浄時の泡立ち性を維持することができる。
【0051】
(b2)成分のRの炭素数とRの炭素数の合計の数は、洗浄液中の殺菌効果を向上し、また、繊維製品の洗浄時の泡立ち性を維持できる観点から、9以上であり、好ましくは10以上であり、より好ましくは11以上であり、そして、14以下であり、好ましくは13以下である。
【0052】
洗浄液中の殺菌効果を高め、又は繊維製品の洗浄時の泡立ち性を維持できる観点から、(b2)成分のRの炭素数は、8以上であり、好ましくは9以上であり、より好ましくは10以上であり、そして、13以下であり、好ましくは12以下である。
【0053】
洗浄液中の殺菌効果を向上し、また、繊維製品の洗浄時の泡立ち性を維持できる観点から、(b2)成分のRの炭素数は、1以上であり、そして、好ましくは3以下であり、より好ましくは2以下である。
【0054】
(b2)成分のRは洗浄液中の殺菌効果の向上の観点から、炭素数1以上3以下の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基及びプロピル基から選ばれる基であり、更に好ましくはメチル基及びエチル基から選ばれる基である。
【0055】
(b2)成分のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下の炭化水素基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−ヒドロキシエチル基から選ばれる基が挙げられる。(b2)成分のR及びRは、洗浄液中の殺菌効果を向上し、また、繊維製品の洗浄時の泡立ち性を維持できる観点から、それぞれ独立に、好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0056】
(b2)成分において、Xは陰イオンである。Xである陰イオンは、ハロゲンイオン及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、クロルイオン、ブロモイオン、ヨウ素イオンが挙げられる。炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンとしては、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン又はプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0057】
(b2)成分の具体的例は、N−アルキルトリメチルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数8以上13以下の脂肪族アルキル基)、N−アルキル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数8以上12以下の脂肪族アルキル基)から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0058】
N−アルキルトリメチルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数8以上13以下の脂肪族アルキル基)の具体例としては、N−デシルトリメチルアンモニウム塩、N−ウンデシルトリメチルアンモニウム塩及びN−ラウリルトリメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上カチオン界面活性剤が挙げられる。
【0059】
N−アルキル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム塩(アルキル基は炭素数8以上12以下の脂肪族アルキル基)の具体例としては、N−デシル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム塩、N−ウンデシル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム塩、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0060】
上記の塩となる対イオンである陰イオンは、ハロゲンイオン及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、クロルイオン、ブロモイオン、ヨウ素イオンが挙げられる。炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンとしては、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン又はプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0061】
〔(B)成分の組成等〕
(B)成分は、(b1)成分、及び任意の(b2)成分である。
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、(b2)成分の含有量と(b1)成分の含有量との質量比である、(b2)成分/(b1)成分が0以上1.5以下である。(b2)成分/(b1)成分は、洗浄時の泡立ち性を維持しつつ、濯ぎ時の泡切れ性を向上することができる観点から、1.5以下であり、好ましくは1.4以下であり、更に好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.8以下であり、より更に好ましくは0.7以下であり、より更に好ましくは0.55以下であり、より更に好ましくは0.45以下であり、より更に好ましくは0.35以下であり、より更に好ましくは0.25以下であり、より更に好ましくは0.20以下であり、より更に好ましくは0.18以下であり、より更に好ましくは0.12以下であり、より更に好ましくは0.06以下であり、そして、0以上である。(b2)成分/(b1)成分は0であってもよい。
【0062】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、殺菌効果をより高める点で、(B)成分を、0.5質量%以上、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、そして、5質量%以下、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは3.5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下含有する。
【0063】
本発明において、(B)成分の質量は対イオンである陰イオンをクロルイオンに換算した値を使用する。
【0064】
<(C)成分>
(C)成分は、無機炭酸塩及び無機炭酸水素塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤である。(C)成分は、(D)成分のカルボン酸基又はその塩を十分にイオンに解離させることで、洗浄液中で充分に解離した(D)成分と(B)成分である第4級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤がイオン結合による複合体を形成しやすくする。これにより、(A)成分であるアニオン界面活性剤の存在下であっても、菌に対する殺菌作用が低下せずに殺菌効果を維持することができる。
【0065】
無機炭酸塩の具体例としては、1価又は2価の金属の炭酸塩及び炭酸アンモニウムから選ばれる1種以上の無機炭酸塩が挙げられる。1価の金属の炭酸塩としては、アルカリ金属炭酸塩が挙げられ、より具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸リチウムから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。2価の金属の炭酸塩としては、アルカリ土類金属炭酸塩が挙げられ、より具体的には、炭酸マグネシウムが挙げられる。
【0066】
無機炭酸水素塩の具体例としては、1価又は2価の金属の炭酸水素塩及び炭酸水素アンモニウムから選ばれる1種以上の無機炭酸水素塩が挙げられる。1価の金属の炭酸水素塩としては、アルカリ金属炭酸水素塩が挙げられ、より具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸水素リチウムから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。2価の金属の炭酸水素塩としては、アルカリ土類金属炭酸水素塩が挙げられ、より具体的には、炭酸水素マグネシウムが挙げられる。
【0067】
(a1)成分及び任意の(a3)成分が存在しても、(B)成分の殺菌効果の低下をより阻害しにくい点で、好ましい(C)成分は、1価の金属の炭酸塩、炭酸アンモニウム、1価の金属の炭酸水素塩及び炭酸水素アンモニウムから選ばれる化合物であり、より好ましくは1価の金属の炭酸塩及び1価の金属の炭酸水素塩であり、更に好ましくはアルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素塩から選ばれる1種以上の化合物であり、より更に好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムから選ばれる1種以上の化合物である。
【0068】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、(a1)成分及び任意の(a3)成分が存在しても、(B)成分の殺菌効果の低下をより阻害しにくい点で、(C)成分を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは12質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下含有する。この含有量は、(C)成分が、洗浄液中で(D)成分を十分に解離させることで(B)成分である第4級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤とのイオン結合による複合体を形成しやすくし、(A)成分であるアニオン界面活性剤の存在下であっても、菌に対する殺菌作用が低下せずに殺菌効果を維持できる点で好ましい範囲である。
【0069】
<(D)成分>
(D)成分は、カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマーである。特定の分子量の(D)成分を用いることで、(a1)成分が存在していても、(B)成分の殺菌効果の低下を抑制することができる。(D)成分としては、特に限定されるものではないが、ポリアクリル酸又はその塩及びアクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩から選ばれるポリマー〔以下、(D1)成分という〕が挙げられる。
ポリアクリル酸又はその塩としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等が挙げられ、好ましくはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムが挙げられる。
アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩としては、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩等が挙げられ、好ましくはアクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩が挙げられる。アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのモル比は、アクリル酸のモル数/マレイン酸のモル数として、好ましくは1/99以上、より好ましくは10/90以上、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは90/10以下である。
【0070】
本発明の(D1)成分は、本発明の効果の発現を妨げない程度であれば、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを含んだコポリマーであってもよい。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーとしては、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー等が挙げられ、より具体的にはメタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーの(D1)成分中のモル比は、(D1)成分として水溶性等の物性や本発明の効果の発現に対して影響を与えなければ限定されないが、(D1)成分中に、好ましくは0モル%以上、そして、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下であり、0モル%であることが更に好ましい。従って、本発明のポリアクリル酸又はその塩、及び、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩は、全構成モノマー中、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを、0モル%以上5モル%以下の範囲で含むポリマー又はコポリマーであってよい。
【0071】
他の好ましい(D)成分としては、構成単位として、カルボン酸基及び酸無水物から選択される少なくともいずれかを有するモノマー構成単位と、(以下、酸型モノマー構成単位という)と、炭素数3以上、10以下の炭化水素のモノマー構成単位(以下、炭化水素型モノマー構成単位という)とを有するポリマー〔以下、(D2)成分という〕が挙げられる。ここでの酸無水物としては、オキソ酸2分子が脱水縮合した構造が挙げられ、より具体的には、2つのカルボン酸基からの無水化構造が挙げられる。
【0072】
酸型モノマー構成単位は、重合によりこのような構造を形成する単量体の重合により得られる。前記構成単位の由来となる単量体としては、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。酸型モノマー構成単位は、マレイン酸及び無水マレイン酸から選ばれる1種以上のモノマー構成単位が好ましい。
【0073】
また、炭化水素型モノマー構成単位は、炭素数3以上10以下の重合性炭化水素化合物の重合により得られる。前記重合性炭化水素化合物としては、ペンテン、イソブチレン、ジイソブチレン、スチレン等が挙げられる。炭化水素型モノマー構成単位は、ペンテン、イソブチレン、ジイソブチレン及びスチレンから選ばれる1種以上のモノマー構成単位が好ましく、ジイソブチレン及びスチレンから選ばれる1種以上のモノマー構成単位がより好ましく、スチレンのモノマー構成単位が更に好ましい。
【0074】
(D2)成分としては、マレイン酸及び無水マレイン酸から選ばれる1種以上のマレイン酸型モノマーと、ペンテン、イソブチレン、ジイソブチレン及びスチレンから選ばれる1種以上の炭化水素型モノマーとを構成モノマーとして含む高分子化合物であって、構成モノマー中、前記マレイン酸型モノマー単位と前記炭化水素型モノマーの合計が80モル%以上である高分子化合物が挙げられる。
(D2)成分は、酸型モノマー構成単位/炭化水素型モノマー構成単位のモル比が、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下である。
(D2)成分は、構成モノマー中、前記マレイン酸型モノマー単位と前記炭化水素型モノマーの合計が80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは100モル%である。
【0075】
(D)成分の重量平均分子量は、(B)成分である第4級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤とのイオン結合による複合体による殺菌効果をより高める点で、3000以上であり、好ましくは3500以上であり、より好ましくは4000以上であり、更に好ましくは5000以上であり、より更に好ましくは6000以上であり、より更に好ましくは7000以上であり、より更に好ましくは8000以上であり、より更に好ましくは9000以上であり、より更に好ましくは10000以上であり、そして、好ましくは100000以下である。
この重量平均分子量は、下記の重量平均分子量の測定方法に従って測定することができる。
<重量平均分子量の測定方法>
(D)成分の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定を行い、換算標準物質により重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
以下に、GPCの測定条件を示す。
・カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL guard PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G4000 PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G2500 PWXL
・移動相:0.1mol/Lリン二水素カリウム及び0.1mol/Lリン酸二水素ナトリウムの水溶液/アセトニトリル=90/10(体積比)
・検出器:示差屈折率検出器
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/min
・換算標準物質:ポリアクリル酸〔アメリカン・スタンダード・コーポレーション(AMERICANSTANDARDCORP)社製〕
・試料:固形分0.8gを含む重合体水溶液にイオン交換水を添加し、総液量が200mLとなるように調製し、この調製液から10μLを分取してカラムに注入する。
【0076】
(D)成分は、重量平均分子量が3000以上100000以下のポリアクリル酸又はその塩及び重量平均分子量が3000以上100000以下のアクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩から選ばれる1種以上のポリマーが好ましく、重量平均分子量が3000以上100000以下のポリアクリル酸又はその塩から選ばれる1種以上のポリマーがより好ましい。
【0077】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、(B)成分である第4級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤とのイオン結合による複合体による殺菌効果をより高める点で、(D)成分を、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.2質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは1.7質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは2.5質量%以上、より更に好ましくは3.0質量%以上、より更に好ましくは3.5質量%以上、より更に好ましくは4.0質量%以上、より更に好ましくは5.0質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下、より好ましくは8質量%以下含有する。
【0078】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、洗浄液中に存在する菌の殺菌効果をより高める観点から、組成物中の(D)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比である、(D)成分/(B)成分が、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは1.2以上、より更に好ましくは1.5以上、より更に好ましくは2.0以上、より更に好ましくは2.5以上、より更に好ましくは3.0以上、より更に好ましくは3.5以上、より更に好ましくは4.0以上、より更に好ましくは4.5以上、より更に好ましくは5.0以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8以下、より更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6以下である。
【0079】
本発明において、(D)成分の質量は対イオンをナトリウムイオンに換算した値を使用する。
【0080】
<任意成分等>
〔(E)成分〕
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、(E)成分として、ゼオライト、トリポリリン酸塩及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる1種以上の金属イオン捕捉剤を含有することが好ましい。(E)成分は一般的には、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を向上する為に使用される。しかしながら、本発明においては、とりわけ、(B)成分であるカチオン界面活性剤の殺菌効果を高める作用を有する。これは、(B)成分であるカチオン界面活性剤と(a1)成分及び任意の(a3)成分との複合体の菌への吸着性を高めるためである、又は(B)成分が(a1)成分及び任意の(a3)成分と複合体を形成していても、(B)成分であるカチオン界面活性剤の菌への作用を高めるためであると考えられる。
【0081】
ゼオライトは結晶性アルミノ珪酸塩とも呼ばれる。具体的なゼオライトとして、A型、X型、P型ゼオライト等の結晶性アルミノ珪酸塩を含有できる。その平均一次粒子径は好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。結晶性アルミノ珪酸塩として好適なものは、A型ゼオライト(例えば、商品名「トヨビルダー」:東ソー(株)製、JIS K 5101法による吸油能:40mL/100g以上)が好ましい。その他に、P型(例えば、商品名「Doucil A24」、「ZSEO64」等;いずれもCrosfield社製;吸油能60〜150mL/100g)、X型(例えば、商品名「WessalithXD」、;Degussa社製;吸油能80〜100mL/100g)、国際公開第9842622号記載のハイブリッドゼオライトも好適なものとして挙げられる。
【0082】
トリポリリン酸塩中の対イオンとしては、アルカリ金属イオンが好ましく、ナトリウムイオン及びカリウムイオンから選ばれるイオンがより好ましい。全対イオン中、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの質量比は、70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。トリポリリン酸塩と組み合わせてオルトリン酸塩及びピロリン酸塩を使用することができる。トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩及びピロリン酸塩の質量比は、トリポリリン酸塩/オルトリン酸塩/ピロリン酸塩=(80質量部以上97質量部以下)/(1質量部以上10質量部以下)/(2質量部以上10質量部以下)が好適である(量は無水物として計算、3つの質量部の合計は100質量部)。
【0083】
アルカリ金属珪酸塩としては、結晶質のケイ酸ナトリウム、非晶質のケイ酸ナトリウム及び液体のケイ酸ナトリウムから選ばれる1種以上のケイ酸ナトリウムが好ましい。
【0084】
(E)成分である金属イオン捕捉剤は、洗浄液中の菌の殺菌効果をより高めることができる点で、ゼオライト、トリポリリン酸塩及びアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる2種以上の金属イオン捕捉剤を使用することができる。(E)成分を2種以上含有する場合、ゼオライト及びアルカリ金属珪酸塩であることが好ましい。
【0085】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物が(E)成分を含有する場合、該組成物中の(E)成分の含有量は、殺菌効果をより高める点で、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上であり、更に好ましくは7質量%以上であり、より更に好ましくは8質量%以上であり、より更に好ましくは9質量%以上であり、より更に好ましくは10質量%以上であり、より更に好ましくは11質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。
【0086】
〔その他の成分〕
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、更に以下の成分を含有することができる。
(i)洗浄剤粒子の流動性及び非ケーキング性の観点から、表面改質剤を含有してもよい。表面改質被覆剤としては、例えば、珪酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、タルク、クレイ等の粘土鉱物、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールが挙げられる。表面改質剤の含量は保存安定性の点で、本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物中の20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。また、表面改質の点で、本発明の洗浄剤組成物中の1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がより好ましい。
(ii)ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤
(iii)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素
(iv)蛍光染料、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学(株)製)として市販されている蛍光染料
(v)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤
(vii)色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤
(viii)イオン交換水、水道水、イオン交換水に次亜塩素酸ナトリウムを、水の質量に対して0.1〜5mg/kg添加した水等の水
【0087】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、手洗い洗浄用として好適である。手洗い洗浄の場合、油汚れに対する洗浄力の向上の観点から、本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、水1Lに対して、好ましくは0.5g以上、より好ましくは0.7g以上、更に好ましくは1g以上であり、そして、好ましくは30g以下、より好ましくは20g以下、更に好ましくは10g以下、より更に好ましくは5g以下の濃度で用いられる。
【0088】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、目的に応じて洗濯機でも使用できる。洗濯機での洗浄の場合、油汚れに対する洗浄力及び使用時のpHの観点から、本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、水1Lに対して、好ましくは0.3g以上、より好ましくは0.5g以上、更に好ましくは1g以上であり、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは7g以下、更に好ましくは3g以下の濃度で用いられる。
【0089】
本発明の衣料用洗浄剤組成物の形態は粉末である。本発明の衣料用洗浄剤組成物を粉末として製造する方法は、特に限られるものではないが、例えば押し出し造粒法、圧縮造粒法、溶融造粒法、噴霧乾燥造粒法、流動層造粒法、破砕造粒法、撹拌造粒法、液晶造粒法、真空凍結乾燥造粒法、ドライ中和造粒法などが挙げられ、これらの製造方法を単一または組み合わせて使用してもよい。
【0090】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物の嵩密度は、製造方法によっても異なるが、好ましくは200g/L以上、より好ましくは300g/L以上、より好ましくは350g/L以上であり、そして、好ましくは1000g/L以下、より好ましくは900g/L以下、より好ましくは800g/L以下である。
【0091】
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物の平均粒径は、好ましくは100μm以上であり、150μm以上がより好ましく、200μm以上がより好ましく、そして、好ましくは800μm以下であり、750μm以下がより好ましく、700μm以下がより好ましい。
噴霧乾燥造粒法は、前記範囲の嵩密度や平均粒径を有する組成物を得るのに適している。
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、衣類、タオル、寝具、寝具用の繊維製品(シーツ、枕カバーなど)などの繊維製品の洗浄に用いられる。これら以外の洗浄が可能な繊維製品も対象とすることができる。
【0092】
[繊維製品の洗浄方法]
本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物を用いた洗浄方法として、本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物と水とを混合して得た洗浄液を用いて、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法が挙げられる。
本発明は、本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物とドイツ硬度が1°dH以上50°dH以下の水とを混合した洗浄液で、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法を提供する。
【0093】
洗浄液のpHは、好ましくは5.5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは7以上、より更に好ましくは8以上、より更に好ましくは8.5以上、より更に好ましくは9以上、より更に好ましくは10以上、そして、好ましくは10.5以下である。
本発明の洗浄液のpHは、例えば、ガラス電極を用いて測定することができる。pHは、洗浄を行う際の洗浄液の温度で測定されたものであるが、25℃で測定されたものであってよい。
【0094】
洗浄液の調製のため組成物と混合する水のアルカリ度は0mg/L以上200mg/L以下から選択できる。
また、洗浄液の調製のため組成物と混合する水のドイツ硬度は1゜dH以上50゜dH以下から選択できる。
よって、洗浄液の調製のため組成物と混合する水は、アルカリ度0mg/L以上200mg/L以下、ドイツ硬度1゜dH以上50゜dH以下の水が挙げられる。
【0095】
洗浄に使用される水は、地質の影響や微生物の存在により、炭酸、炭酸イオン、炭酸水素イオンを含有することが知られており、これらのイオン量の指標としてアルカリ度が用いられている。水中での炭酸イオンと炭酸水素イオンのpKaはそれぞれ10.3及び6.3(20℃)であることから、pH10.3並びに6.3近傍でpH緩衝能を持つため、洗浄液のpHが各pKaに近づくと少量の酸成分やアルカリ成分ではpHの変化が起きにくくなる。
【0096】
本発明の繊維製品の洗浄方法によれば、硬度成分を有する水を使用しても、洗浄液中に存在する菌の殺菌効果を発現することができる。洗浄に使用される水のドイツ硬度は、洗浄に使用される水のpHを下げる観点から、1°dH以上、更に5°dH以上であっても使用できる。一方、水のドイツ硬度は、洗浄力の向上の観点から50°dH以下、好ましくは40°dH以下、より好ましくは30°dH以下、より好ましくは25°dH以下である。
【0097】
本明細書におけるドイツ硬度(°dH)とは、水中におけるカルシウム及びマグネシウムの濃度を、CaCO換算濃度で1mg/L(ppm)=約0.056°dH(1°dH=17.8ppm)で表したものを指す。洗浄に使用される水のドイツ硬度の調整は、例えば、本明細書の実施例に記載の方法のように、硬度成分の種類や添加量から計算される値に基づいて行うことができる。また、洗浄に使用される水として、水道水等の硬度が不明の水を用いる場合には、水のドイツ硬度は、下記に記載のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を使用したキレート滴定法で求められる。
本明細書における水のドイツ硬度の具体的な測定方法を下記に示す。
【0098】
<水のドイツ硬度の測定方法>
〔試薬〕
・0.01mol/l EDTA・2Na溶液:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの0.01mol/l水溶液(滴定用溶液、0.01 M EDTA-Na2、シグマアルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製)
・Universal BT指示薬(製品名:Universal BT、(株)同仁化学研究所製)
・硬度測定用アンモニア緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを28w/v%アンモニア水570mlに溶解し、イオン交換水で全量を1000mlとした溶液)
〔ドイツ硬度の測定〕
(1)試料となる水20mlをホールピペットでコニカルビーカーに採取する。
(2)硬度測定用アンモニア緩衝液2ml添加する。
(3)Universal BT指示薬を0.5ml添加する。添加後の溶液が赤紫色であることを確認する。
(4)コニカルビーカーをよく振り混ぜながら、ビュレットから0.01mol/l EDTA・2Na溶液を滴下し、試料となる水が青色に変色した時点を滴定の終点とする。
(5)全硬度は下記の算出式で求める。
硬度(°dH)=T×0.01×F×56.0774×100/A
T:0.01mol/l EDTA・2Na溶液の滴定量(mL)
A:サンプル容量(20mL、試料となる水の容量)
F:0.01mol/l EDTA・2Na溶液のファクター
【0099】
本発明の繊維製品の洗浄方法では、洗浄液を含んだ繊維製品を手洗いすることが好ましい。
手洗いの方法としては、繊維製品を手でもみ洗いする方法、繊維製品同士を手で擦り合わせる方法、繊維製品を繊維束を植毛したブラシなどの道具を用いて擦り洗いする方法などが挙げられる。
手洗いの場合、油汚れに対する洗浄力の向上の観点から、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、水1Lに対して、好ましくは0.5g以上、より好ましくは0.7g以上、更に好ましくは1g以上であり、そして、好ましくは30g以下、より好ましくは20g以下、更に好ましくは10g以下、より更に好ましくは5g以下の濃度で用いられる。
【0100】
本発明の繊維製品の洗浄方法では、繊維製品を洗濯機で洗浄することもできる。洗濯機での洗浄の場合、本発明の繊維製品用洗浄剤組成物は、水1Lに対して、好ましくは0.3g以上、より好ましくは0.5g以上、更に好ましくは1g以上であり、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは7g以下、更に好ましくは3g以下の濃度で用いられる。
【0101】
本発明の繊維製品の洗浄方法では、洗浄液と繊維製品を最初に接触させてから10分以上60分以下経過後に、繊維製品を洗浄することが好ましい。
本発明の繊維製品の洗浄方法では、洗浄液と繊維製品を最初に接触させてから10分以上60分以下経過後に、繊維製品を手洗い洗浄することが好ましい。例えば、本発明の繊維製品の洗浄方法では、洗浄液に10分以上60分以下浸漬した後、繊維製品を手洗い洗浄することができる。
【0102】
本発明の洗浄方法は、洗浄後の繊維製品を水ですすぐ工程を有することができる。濯ぎに用いる水は、前記のドイツ硬度を有することが好ましい。濯ぎに用いる水は、前記のアルカリ度を有することが好ましい。濯ぎに用いる水は、前記のドイツ硬度及びアルカリ度を有することが好ましい。
【0103】
本発明は、以下の繊維製品用粉末洗浄剤組成物及び繊維製品の洗浄方法を開示する。以下の態様には、本発明の繊維製品用粉末洗浄剤組成物及び繊維製品の洗浄方法で述べた事項を適宜適用することができる。
<1>
下記(A)成分を10質量%以上40質量%以下、下記(B)成分を0.5質量%以上5質量%以下、下記(C)成分及び下記(D)成分を含有し、
(a2)成分の含有量と、(a1)成分と(a2)成分の合計の含有量との質量比である(a2)成分/〔(a1)成分+(a2)成分〕が0以上0.15以下であり、
(a3)成分の含有量と、(a1)成分と(a3)成分の合計の含有量との質量比である(a3)成分/〔(a1)成分+(a3)成分〕が0以上0.15以下であり、
(b2)成分の含有量と(b1)成分の含有量との質量比である、(b2)成分/(b1)成分が0以上1.5以下である、
繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
(A)成分:下記(a1)成分、並びに任意の下記(a2)成分及び任意の下記(a3)
(a1)成分:スルホン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤
(a2)成分:ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤
(a3)成分:アルキル硫酸エステル塩
(B)成分:下記(b1)成分、及び任意の下記(b2)成分
(b1)成分:下記一般式(1)において、Rの炭素数とRの炭素数の合計の数が15以上23以下であるカチオン界面活性剤
(b2)成分:下記一般式(1)において、Rの炭素数が8以上13以下であり、Rの炭素数が1以上3以下の炭化水素基であり、Rの炭素数とRの炭素数の合計の数が9以上14以下であるカチオン界面活性剤
【0104】
【化3】
【0105】
〔式中、Rは、炭素数8以上16以下の脂肪族炭化水素基であり、Rは、炭素数1以上10以下の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下の炭化水素基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、Xは陰イオンである。〕
(C)成分:無機炭酸塩及び無機炭酸水素塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤
(D)成分:カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3000以上のポリマー
【0106】
<2>
(a1)成分が、炭素数8以上20以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、炭素数8以上20以下のアルキル基を有するアルキルスルホン酸又はその塩、炭素数8以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルスルホン酸又はその塩、及び炭素数8以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルスルホ脂肪酸エステル又はその塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である、<1>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0107】
<3>
(a1)成分が、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、好ましくは炭素数8以上20以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を含み、(a1)成分中、前記アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩の割合が、50質量%以上100質量%以下である、<1>又は<2>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0108】
<4>
(a2)成分が、下記一般式(3)で表されるノニオン界面活性剤である、<1>〜<3>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
1a−(CO)O−(AO)−R2a (3)
〔式中、R1aは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基であり、xは0又は1の数であり、mは、AOの平均付加モル数であり、3以上50以下の数であり、R2aは、水素原子又はメチル基である。〕
【0109】
<5>
一般式(3)において、AOがエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である、<4>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0110】
<6>
一般式(3)において、AOがエチレンオキシ基である、<5>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0111】
<7>
(a3)成分のアルキル基の炭素数が、炭素数10以下炭素数16以上である、<1>〜<6>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0112】
<8>
(a3)成分が、炭素数10以上16以下の直鎖アルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩である、<7>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0113】
<9>
(a3)成分が、全アルキル基中の炭素数12以上16以下の直鎖アルキル基の割合が50質量%以上100質量%以下であるアルキル硫酸エステル塩である、<8>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0114】
<10>
(a3)成分が、全アルキル基中の炭素数12の直鎖アルキル基の割合が40質量%以上100質量%以下であるアルキル硫酸エステル塩である、<9>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0115】
<11>
(E)成分として、ゼオライト、トリポリリン酸塩及びアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる1種以上の金属イオン捕捉剤を5質量%以上30質量%以下含有する、<1>〜<10>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0116】
<12>
(E)成分として、ゼオライト、トリポリリン酸塩及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる2種以上の金属イオン捕捉剤を含有する、<11>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0117】
<13>
(a3)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比である、(a3)成分/(B)成分が、0以上5.0以下である、<1>〜<12>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0118】
<14>
(b1)成分が、前記一般式(1)において、Rが、炭素数14以上16以下の脂肪族炭化水素基であり、Rが、炭素数1以上7以下の炭化水素基である、<1>〜<13>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0119】
<15>
(b1)成分が、前記一般式(1)において、Rが、炭素数1以上6以下のアルキル基である、<14>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0120】
<16>
(b1)成分が、前記一般式(1)において、Rが、メチル基、エチル基及びプロピル基から選ばれる基である、<15>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0121】
<17>
(b2)成分が、前記一般式(1)において、Rが、炭素数10以上13以下の脂肪族炭化水素基であり、Rが、炭素数1以上3以下のアルキル基である、<1>〜<16>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0122】
<18>
前記一般式(1)において、(b2)成分であるRが、メチル基、エチル基及びプロピル基から選ばれる基である、<17>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0123】
<19>
前記一般式(1)において、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下の炭化水素基である、<1>〜<18>のいずれかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0124】
<20>
(D)成分が、重量平均分子量が3000以上100000以下のポリアクリル酸又はその塩及び重量平均分子量が3000以上100000以下のアクリル酸/マレイン酸コポリマー又はその塩から選ばれる1種以上のポリマーである、<1>〜<19>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0125】
<21>
組成物中の(D)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比である、(D)成分/(B)成分が0.5以上10以下である、<1>〜<20>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0126】
<22>
(C)成分の含有量が10質量%以上60質量%以下である、<1>〜<21>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0127】
<23>
(C)成分の含有量が25質量%以上60質量%以下である、<22>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0128】
<24>
(C)成分が1価又は2価の金属の炭酸塩、炭酸アンモニウム塩、1価又は2価の金属の炭酸水素塩及び炭酸水素アンモニウム塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤である、<1>〜<23>の何れかに記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0129】
<25>
前記の1価の金属の炭酸塩がアルカリ金属炭酸塩であり、1価の金属の炭酸水素塩がアルカリ金属炭酸水素塩であり、2価の金属の炭酸塩がアルカリ土類金属炭酸塩であり、2価の金属の炭酸水素塩がアルカリ金属炭酸水素塩である、<24>に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0130】
<26>
手洗い洗浄用である<1>〜<25>の何れか1項記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物。
【0131】
<27>
<1>〜<26>の何れか1項記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物と、ドイツ硬度が1°dH以上50°dH以下の水とを混合した洗浄液で、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法。
【0132】
<28>
前記洗浄液と繊維製品とを最初に接触させた後、10分以上60分以下経過後に、繊維製品を洗浄する、<27>に記載の繊維製品の洗浄方法。
【実施例】
【0133】
<配合成分>
下記を用いて、表1〜4に記載の繊維製品用粉末洗浄剤組成物を調製した。
〔(A)成分〕
・(a1)成分
(a1−1):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム〔(a1)成分〕
・(a2)成分
(a2−1):ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル〔( )内の数値はオキシエチレン基の平均付加モル数〕
・(a3)成分
(a3−1):アルキル硫酸エステルナトリウム〔(a3)成分、アルキル基の組成:ラウリル基/ミリスチル基/パルミチル基=67/28/5(質量比)〕
【0134】
〔(B)成分〕
(b−1):パルミチルトリメチルアンモニウムクロリド(和光純薬工業(株)製)
(b−2):ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(和光純薬工業(株)製)
【0135】
〔(C)成分〕
(c−1):炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
(c−2):炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
【0136】
〔(D)成分〕
(d−1):ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量10000)
【0137】
〔(E)成分〕
(e−1):シリケート(43質量%ケイ酸ナトリウム水溶液(TOKUYAMA SIAM SILICA CO.,LTD製)、表中には有効分の質量%を示した。)
(e−2):ゼオライト〔4A型ゼオライト、平均粒子径3μm(東ソー(株)製)〕
【0138】
硫酸ナトリウム:無水中性芒硝(四国化成工業株式会社製)
ポリエチレングリコール:シグマアルドリッチ製、Polyethylene glycol6000
カルボキシメチルセルロース:ダイセルファインケム(株)製、CMCダイセル1150
チノパールCBS:蛍光染料、BASF社製
チノパールDM:蛍光染料、BASF社製
酵素:サビナーゼ12T、ノボザイムズ社製、プロテアーゼ造粒物、造粒物1g中の酵素蛋白質の割合は80mg/g。表中の数値は、酵素蛋白質の質量を示す。
香料:香料組成物{( )内の数字は質量部、フェニルエチルアルコール(10)、カンファー(20)、シトロネラール(10)、l−メントール(20)、アルデヒドC−9(10)、ネロール(10)、ジフェニルオキサイド(20)〕
【0139】
<性能評価>
実施例及び比較例で得られた粉末洗浄剤組成物について、以下の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
【0140】
〔洗浄液の殺菌試験方法〕
モラクセラ・オスロエンシスに対する殺菌効果を評価した。菌は、着用衣料から単離したMoraxella osloensis 49を使用した。予めSCD−LP寒天培地(日本製薬(株)製)にて菌を前培養し、洗浄剤組成物の濃度が1g/Lになるように洗浄剤組成物を完全に溶解させた洗浄液10mlに対し、菌液(初発菌数1.0×10CFU/ml)を0.1ml植菌した。振とう培養器を用いて25℃、150rpmで15分接触させた後、植菌後の洗浄液0.5mlをLP希釈液(日本製薬(株)製)4.5mlに滴下し、殺菌成分を不活化させた後、抽出液の段階希釈を行い、SCD−LP寒天培地(日本製薬(株)製)にて混釈後、37℃にて静置培養を1日行った。得られたコロニー数を計測し、滅菌イオン交換水で同様の処理をした生菌数の常用対数値から、各実施例または比較例の生菌数の常用対数値を引いたもの(対数値)を殺菌活性値とした。
この評価では、殺菌活性値が5以上を合格とし、殺菌活性値は高いほど殺菌効果が高いことを意味する。
【0141】
〔起泡性及びすすぎ性の評価〕
<評価用繊維製品>
評価用繊維製品として肌着、綿メリヤス生地又は木綿/ポリエステルブロード混紡染着布を使用した。男性用Lサイズの丸首肌着(グンゼ株式会社製、商品名グンゼYG、綿100%、約100g/1着)3着の夫々の胸部に、下記人工汚染布2枚と下記泥汚れ汚染布1枚を縫い付けた。更に、上記肌着の襟部に、60℃に加熱した下記モデル皮脂汚れAを、3着で1gになるように(1着当たり約0.33g)、スポイド(φ:2mm)を用いて塗布した。この3着を評価用衣料とした。
(1)人工汚染布
使用した人工汚染布は、6cm×6cmの木綿/ポリエステルブロード混紡染着布(木綿/ポリエステル比=35/65、谷頭商店より購入)に、下記組成から成る人工汚垢を1枚当り100mgになるようグラビア塗工したものである。
・人工汚垢
下記A、B、C、D、Eを含有する組成物を人工汚垢とした。それぞれの質量%は、最終組成の人工汚垢中の割合であり、合計が100質量%となるようにBの量を調節した。A:モデル皮脂汚れ(人工汚垢中の質量%が、ラウリン酸0.44質量%、ミリスチン酸3.15質量%、ペンタデカン酸2.35質量%、パルチミチン酸6.31質量%、ヘプタデカン酸0.44質量%、ステアリン酸1.6質量%、オレイン酸7.91質量%、トリオレイン13.33質量%、パルミチン酸n−ヘキサデシル2.22質量%、スクアレン6.66質量%となる量で用いる)
B:塩化カルシウムの2水塩105mgを秤量し、蒸留水に溶かして1,000mlとして得た硬水
C:卵白レシチン液晶物1.98質量%(蒸留水80mlにアルギニン塩酸塩11.37g、ヒスチジン4.20g、セリン2.44gを溶解し、濃塩酸でpHを5.0に調整した後、この溶液と卵白レシチンをミキサーで十分混ぜ合わせて得た卵白レシチン液晶物)D:鹿沼赤土8.11質量%
E:カーボンブラック0.025質量%
【0142】
(2)泥汚染布
使用した泥汚染布は、10cm×10cmの綿メリヤス(綿100%、谷頭商店より購入)を用いて、特開平10−204769号の段落0030〜0038に記載の製法により調製したものである。
【0143】
(3)モデル皮脂汚れA
モデル皮脂汚れAは、下記の組成を有していた。この組成は、前記人工汚垢におけるAと同じ質量比である。
・モデル皮脂汚れAの組成:
ラウリン酸0.44質量部、ミリスチン酸3.15質量部、ペンタデカン酸2.35質量部、パルチミチン酸6.31質量部、ヘプタデカン酸0.44質量部、ステアリン酸1.6質量部、オレイン酸7.91質量部、トリオレイン13.33質量部、パルミチン酸n−ヘキサデシル2.22質量部、スクアレン6.66質量部
【0144】
<洗浄剤組成物の泡立ち性評価>
モデル円形洗面器(底面の直径(内径)25cm、高さ15cmの円柱のアクリル製容器)に、水温30℃の水を3L投入した。この水は、イオン交換水に、ドイツ硬度が5°dH(Ca/Mg=7/3、質量比)又は10°dH(Ca/Mg=7/3、質量比)になるように塩化カルシウムと塩化マグネシウムを加え、更にアルカリ度が60mg/Lになるよう炭酸水素ナトリウムを加え、塩酸でpHを7に調整した水であった。次に、水に、粉末洗浄剤組成物を12g添加し溶解させた。評価衣料3枚を洗浄液に投じ、洗浄液に完全に浸る状態で30分間放置する。放置後、評価衣料1枚に付き人工汚染布を15秒、泥汚染布を30秒もみ洗い(布同士を擦り合わせながら1往復(約1秒)で1回と換算)する。その後、評価衣料を取り出し、評価衣料の含水量が評価衣料に対し100〜140%程度になるように洗面器から10cm上で絞った。その後、5分経過後に、洗面器の壁面にて、液面からの泡の高さを測定した。比較例の組成物の泡の高さを基準として、比較例よりも同等以上の泡立ちであることを合格とした。
【0145】
<洗浄剤組成物のすすぎ性評価>
モデル円形洗面器(底面の直径(内径)25cm、高さ15cmの円柱のアクリル製容器)に、水温30℃の水を3L投入した。この水は、イオン交換水に、ドイツ硬度が5°dH(Ca/Mg=7/3、質量比)又は10°dH(Ca/Mg=7/3、質量比)になるように塩化カルシウムと塩化マグネシウムを加え、更にアルカリ度が60mg/Lになるよう炭酸水素ナトリウムを加え、塩酸でpHを7に調整した水であった。
そこに前記の洗浄剤組成物の泡立ち性評価で最後に絞った評価衣料3枚を投入し、評価衣料をすすぎ水中でほぐした後、ほぐした評価衣料を1枚ずつ襟の部分を持って浴中から上に持ち上げ(浴中から洗面器上約5cmの高さまで衣類全体が抜け切るまで持ち上げる)、その後再び浴中に戻す。このような上下運動によるすすぎを1枚の評価衣料につき10回繰り返した後、評価衣料の含水量が肌着に対して100〜140%程度になるように洗面器から10cm上で絞り、3枚の肌着のすすぎ、脱水が終わった直後のすすぎ水の状態を観察し、下記の基準でポイントをつけ、すすぎ性を評価した。尚、比較例の組成物を最初に評価し、ランクを求めた。次に比較例と同じ方法で各実施例を評価した。比較例の評価ランクよりもランクが小さいことを合格とした。
【0146】
ランク
6:液面全体に泡立高さ1cm以上の泡が残っている。
5:液面全体に泡が残っている(1cm未満)。
4:液面の1/2程度に泡(1cm未満)が残っているか、またはすすぎ水が洗面器底面を確認できないほど濁っている。
3:液面の1/4程度に泡(1cm未満)が残っているか、またはすすぎ水が洗面器底面をようやく確認できる程度に濁っている。
2:液面に細かい泡が残っているが、すすぎ水が底面を確認できるほど透明である。
1:液面に泡が残っておらず、すすぎ水が底面を確認できるほど透明である。
【0147】
〔衣料に付着した皮脂汚れの洗浄力の評価〕
(1)人工汚染布
使用した人工汚染布は前記の人工汚染布を用いた。
(2)人工汚染布の洗浄
硬度が5°dH(Ca/Mg=6/4、質量比)の水1リットルに、表1〜4に記載の粉末洗浄剤組成物1gを入れた洗浄液(30℃)に、前記人工汚染布を5枚入れた。ターゴトメーターで、100回転、10分間の条件で洗浄した。
洗浄力は、汚染前の原布、及び人工汚染布の洗浄前後の550nmにおける反射率を測色色差計(日本電色工業株式会社製Z−300A)にて測定し、次式によって洗浄率(%)を求めた。汚染布5枚についてそれぞれ測定し平均値を求めた。洗浄率は30%以上が合格ラインであり、数値が高い方がより好ましい。
洗浄率(%)=100×[(洗浄後の人工汚染布の反射率−洗浄前の人工汚染布の反射率)/(原布の反射率−洗浄前の人工汚染布の反射率)]
表1〜4の実施例及び比較例に記載した繊維製品用粉末洗浄剤組成物は、いずれも合格であった。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【0150】
*洗浄液の調製及びすすぎに用いた水の硬度(以下同様)
【0151】
【表3】
【0152】
【表4】