(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る課金システム1について、
図1〜
図12を参照しながら説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る課金エリアの一例を示す図である。
本実施形態に係る課金システム1は、
図1に示すように、観光地等の渋滞が発生しやすいエリアを課金エリアRとして設定し、当該課金エリアR内に設置された課金ポイントTを通過した車両Aに搭乗する利用者に対し、所定の通行料金を課金する。課金ポイントTは、
図1に示すように課金エリアRの境界付近に設置されてもよいし、課金エリアR内の任意の場所に設置されてもよい。課金システム1は、課金ポイントTを通過した車両A、即ち、課金エリアR内を走行した車両Aに対し、例えば一日あたり所定の金額を通行料金として課金する。
また、課金エリアR内外には、利用者が訪れる施設Fが複数存在する。施設Fは、駐車場、ガソリンスタンド、レンタカー等の車両Aに関連するサービスを提供する「車両用施設F1」と、観光スポット(公園、史跡等)、商業施設(コンビニエンスストア、飲食店等)等の利用者が利用する「利用者用施設F2」とを含む。また、車両用施設F1は課金エリアR内の「エリア内車両用施設F1a」と、課金エリアR外の「エリア外車両用施設F1b」とを含み、利用者用施設F2は課金エリアR内の「エリア内利用者用施設F2a」と、課金エリアR外の「エリア外利用者用施設F2b」とを含む。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態に係る課金システムの全体構成を示す図である。
図2に示すように、課金システム1は、路側装置10と、精算装置20と、中央装置30と、端末40とを備えている。また、これらの装置は、インターネット等のネットワーク(NW)を介して通信可能に接続されている。
【0019】
路側装置10は、課金エリアR内の課金ポイントTそれぞれに設けられ、課金ポイントTを通過した車両Aを検出する。そして、路側装置10は、検出した車両Aに搭乗する利用者に対し、所定の通行料金を課金する。
図2に示すように、路側装置10は、路側アンテナ11と、カメラ12と、処理装置13とを備えている。
路側アンテナ11は、例えばガントリに取り付けられることで課金ポイントT近傍の路面上空に設置される。路側アンテナ11は、車両Aに車載器Xが搭載されている場合、当該車載器Xとの間でDSRC(Dedicated Short Range Communications)等の技術を用いて無線通信を行う。
カメラ12は、例えば車線別に一台ずつ設けられており、課金ポイントTを通過した車両Aのナンバープレートを含む画像を撮影する。また、
図2の例では、カメラ12は、路側アンテナ11と同様にガントリに取り付けられることで課金ポイントT近傍の路面上空に設置されているが、車両Aのナンバープレートが撮影可能な位置であれば路側に設置されていてもよい。
処理装置13は、路側アンテナ11を介して車両Aに搭載された車載器Xと無線通信を行うことにより、通行料金の課金に必要な情報を取得して、通行料金を含む課金情報を作成するとともに、当該課金情報を中央装置30に送信する。また、処理装置13は、カメラ12が撮影した画像に基づいて課金ポイントTを通過した車両AのNP(ナンバープレート)情報(NP番号、プレートサイズ等)を取得して、「通過車両情報」として中央装置30に送信する。なお、本実施形態において、「NP情報」は車両Aの車両識別情報の一態様である。
【0020】
精算装置20は、エリア内車両用施設F1aのそれぞれに設置され、エリア内車両用施設F1aが利用者に提供するサービスの利用に係る施設料金(例えば駐車料金、給油料金、レンタカー料金等)を精算するための装置である。
図2に示すように、精算装置20は、カメラ21と、料金収受機22とを備えている。
カメラ21は、例えばエリア内車両用施設F1aの入口に設置され、当該エリア内車両用施設F1aを利用する車両Aのナンバープレートを含む画像を撮影する。なお、カメラ21は、エリア内車両用施設F1aの出口に設置されていてもよいし、入口と出口の双方に設置されていてもよい。
料金収受機22は、車両Aに搭乗する利用者から、当該利用者がエリア内車両用施設F1aで利用したサービスに応じた施設料金を収受し、収受処理の結果を中央装置30に送信する。また、料金収受機22は、カメラ21が撮影した画像に基づいてエリア内車両用施設F1aを利用した車両AのNP情報(NP番号、プレートサイズ等)を取得して、「施設利用車両情報」として中央装置30に送信する。
【0021】
端末40は、例えば課金エリアR内外の施設F(車両用施設F1、利用者用施設F2)に設けられた専用端末、利用者が所持するスマートフォン、コンピュータ等である。課金エリアR内を走行する利用者は、端末40を操作して、利用者が搭乗する車両AのNP情報と、通行料金を支払うための支払手段(クレジットカード、銀行口座、交通系電子マネー、携帯キャリア決済等を利用して支払を行うための情報)とを入力し、課金エリアRの利用者登録を行う。そうすると、端末40は、入力されたNP情報及び支払手段を登録するように中央装置30に要求する。
【0022】
中央装置30は、路側装置10から受信した「通過車両情報」に基づいて、課金ポイントTを通過した(即ち、課金エリアR内を走行した)全ての車両Aを記録する。そして、中央装置30は、課金ポイントTを通過した車両Aに搭乗する利用者から所定の通行料金を収受する処理を行う。
このとき、中央装置30は、車載器Xが搭載されている車両Aに対しては、路側装置10が車載器Xから取得した課金情報に基づいて通行料金の収受処理を行う。また、中央装置30は、端末40を介して利用者登録された車両Aに対しては、登録された支払手段に基づいて通行料金を収受する。更に、中央装置30は、車載器Xが搭載されてなく、且つ、利用者登録されていない車両Aに対しては、車両Aが車両用施設F1を利用したときに、施設料金とともに通行料金を収受するように、車両用施設F1に設置された精算装置20に要求する。
なお、本実施形態では、一つの課金エリアRに対して一台の中央装置30が割り当てられている態様について説明するが、これに限られることはない。他の実施形態では、複数の課金エリアRに対して一台の中央装置30が割り当てられていてもよい。
【0023】
(課金システムの機能構成)
図3は、本発明の一実施形態に係る課金システムの機能構成を示す図である。
図3に示すように、路側装置10の処理装置13は、課金処理部130と、NP(ナンバープレート)読取部131とを有している。
【0024】
課金処理部130は、路側アンテナ11を介して車両Aに搭載された車載器Xと無線通信を行うことで、課金処理を行う。
ここで、課金処理とは、車載器Xから通行料金の課金に必要な車両情報(例えば車載器ID、車両AのNP情報、課金ポイントTの通過日時等)を取得し、当該車両情報と通行料金とを含む課金情報を中央装置30に送信する処理のことを言う。また、課金処理部130は、課金情報を路側アンテナ11を介して車載器Xに送信し、これらの情報が利用履歴として車載器Xに記憶されるようにしてもよい。
【0025】
NP読取部131は、カメラ12が撮影した画像に所定の画像処理を施すことにより、課金ポイントTを通過した車両AのNP情報を読み取る。NP読取部131は、読み取ったNP情報を「通過車両情報」として中央装置30に送信する。
【0026】
また、
図3に示すように、精算装置20の料金収受機22は、NP(ナンバープレート)読取部220と、精算処理部221とを有している。
【0027】
NP読取部220は、カメラ21が撮影した画像に所定の画像処理を施すことにより、車両用施設F1を利用する車両AのNP情報を読み取る。NP読取部220は、読み取ったNP情報を「施設利用車両情報」として中央装置30に送信する。
【0028】
精算処理部221は、利用者がエリア内車両用施設F1aで利用したサービスに応じた施設料金を収受する。また、精算処理部222は、利用者が課金エリアRの通行料金を未払いである場合、中央装置30からの要求に基づき、施設料金とともに通行料金を収受する。このとき、精算処理部222は、利用者から通行料金を収受すると、その収受結果を中央装置30に通知する。
【0029】
また、
図3に示すように、中央装置30は、制御部31と、課金情報DB(データベース)32と、利用者DB(データベース)33とを備えている。
制御部31は、通過車両情報取得部310と、リスト登録部311と、課金情報処理部312と、利用者登録部313と、登録車両処理部314と、施設利用車両情報取得部315と、支払要求処理部316と、を有している。
【0030】
通過車両情報取得部310は、路側装置10から課金ポイントTを通過した車両AのNP情報である「通過車両情報」を取得する。
このとき、通過車両情報取得部310は、通過車両情報とともに、送信元である路側装置10が設置されている課金ポイントTを特定可能な情報(課金ポイントID)、課金ポイントTを通過した通過日時を示す情報等を取得してもよい。
【0031】
リスト登録部311は、「通過車両情報」を課金情報DB32の「未払車両リストD1(
図4)」に登録する。
図4は、本発明の一実施形態に係る未払車両リストの一例を示す図である。
図4に示すように、未払車両リストD1には、例えば通過車両情報取得部310が取得した「通過車両情報(NP情報)」と、課金ポイントTを特定可能な「課金ポイントID」と、課金ポイントTを通過した「通過日時」とが関連付けられて登録される。
【0032】
課金情報処理部312は、路側装置10から受信した課金情報に基づいて通行料金を収受するとともに、未払車両リストD1から課金情報に含まれるNP情報と一致する「通過車両情報」を削除する。
【0033】
図5は、本発明の一実施形態に係る利用者登録情報の一例を示す図である。
図5に示すように、利用者登録部313は、端末40から利用者登録要求を受け付けると、利用者が搭乗する車両AのNP情報である「登録車両情報」と、当該利用者の通行料金の「支払手段」とを取得するとともに、これらの情報を関連付けて利用者DB33の「利用者登録情報D2」に登録する。
支払手段は、例えば利用者の銀行口座、クレジットカード情報(クレジットカード番号、有効期限)等である。
利用者は、端末40を操作して支払手段と登録車両情報とを入力する。そうすると、利用者登録部313は、端末40からこれらの情報を取得し、利用者登録情報D2に登録する。
【0034】
登録車両処理部314は、「通過車両情報」と、利用者DB33の利用者登録情報D2に登録された「登録車両情報」とが一致する場合、当該「登録車両情報」と関連付けられた支払手段に基づいて通行料金を収受するとともに、未払車両リストD1から当該「通過車両情報」を削除する。
【0035】
施設利用車両情報取得部315は、利用者が利用しようとするサービスを提供するエリア内車両用施設F1aを利用する際、精算装置20から当該利用者が搭乗する車両AのNP情報である「施設利用車両情報」を取得する。
【0036】
支払要求処理部316は、「施設利用車両情報」と、未払車両リストD1に登録された「通過車両情報」とが一致する場合、エリア内車両用施設F1aの利用に係る施設料金の精算時に、通行料金の支払いを要求する指令を精算装置20に送信する。また、支払要求処理部316は、精算装置20を介して通行料金を収受すると、未払車両リストD1から当該車両AのNP情報である「通過車両情報」を削除する。
また、本実施形態に係る中央装置30は、課金ポイントTを通過した全ての車両Aに対し、当日中に通行料金の収受を行うようにする。このため、支払要求処理部316は、各日の所定のタイミング(例えば0時)において未払車両リストD1に「通過車両情報」が残っている(登録されたままになっている)場合、国に登録されている車両の情報(ナンバープレート情報、所有者名、住所等)を提供する車両登録情報提供機関50から「通過車両情報」の所有者に関する情報を取得する。そして、支払要求処理部316は、当該所有者に対し請求書を送付することにより、車両Aの所有者に対し通行料金の支払いを要求する。
【0037】
課金情報DB32、及び利用者DBは、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体であり、それぞれ未払車両リストD1、利用者登録情報D2が記憶される。
また、課金情報DB32には、車両Aによる課金エリアRの利用履歴(車両AのNP情報、課金ポイントTの通過日時、通行料金、等)が記録されていてもよい。利用履歴は、例えば利用者が端末40を介して閲覧可能であってもよい。これにより、利用者は、通行料金の支払確認、利用履歴の確認を随時行うことができる。
【0038】
(路側装置の処理フロー)
図6は、本発明の一実施形態に係る路側装置の処理フローの一例を示す図である。
以下、
図6を参照して、車両Aが課金ポイントTを通過した際に路側装置10が行う処理の一例について説明する。
まず、
図6に示すように、路側装置10のNP読取部131は、カメラ12が撮影した画像に基づいて、課金ポイントTを通過した車両AのNP情報を読み取る(ステップS10)。
なお、カメラ12は、課金ポイントTを常時撮影するようにしてもよいし、不図示の車両検出センサが車両Aの存在を検出したときに、課金ポイントTを撮影するようにしてもよい。
【0039】
次に、NP読取部131は、読み取った車両AのNP情報を「通過車両情報」として中央装置30に送信する(ステップS11)。
【0040】
次に、課金処理部130は、路側アンテナ11を介して車載器Xとの無線通信が確立したか否かを判断する(ステップS12)。
課金ポイントTを通過した車両Aに車載器Xが搭載されている場合、当該車両Aが路側アンテナ11の通信領域に進入すると、路側アンテナ11と車載器Xとの間で無線通信が確立する(ステップS12:YES)。この場合、課金処理部130は、車載器Xから取得した通行料金の課金に必要な情報(例えば車載器ID、車両AのNP情報、課金ポイントTを通過した日時等)を取得するとともに、これらの情報と通行料金とを含む課金情報を作成して中央装置30に送信する課金処理を行う(ステップS13)。また、課金処理部130は、課金情報を路側アンテナ11を介して車載器Xに送信し、これらの情報が利用履歴として車載器Xに記憶されるようにしてもよい。
【0041】
一方、課金ポイントTを通過した車両Aに車載器Xが搭載されていない場合、当該車両Aが路側アンテナ11の通信領域に進入しても、路側アンテナ11と車載器Xとの間で無線通信は確立しない(ステップS12:NO)。この場合、課金処理部130は、車載器Xとの無線通信を介した課金処理を行わず、処理を終了する。
【0042】
路側装置10は、車両Aが課金ポイントTを通過する毎に上述の処理を繰り返し実行する。
【0043】
(中央装置の処理フロー)
図7は、本発明の一実施形態に係る中央装置の処理フローの一例を示す第1の図である。
以下、
図7を参照して、車両Aが課金ポイントTを通過した際に中央装置30が行う処理の一例について説明する。
まず、
図7に示すように、中央装置30の通過車両情報取得部310は、路側装置10から課金ポイントTを通過した車両AのNP情報である「通過車両情報」を取得する(ステップS20)。
【0044】
次に、リスト登録部311は、通過車両情報取得部310が取得した「通過車両情報」を課金情報DB32の「未払車両リストD1(
図4)」に登録する(ステップS21)。
【0045】
次に、課金情報処理部312は、路側装置10から課金情報を受信したか否かを判断する(ステップS22)。
課金情報処理部312は、路側装置10から課金情報を受信した場合(ステップS22:YES)、当該課金情報に基づいて通行料金の収受処理を行う(ステップS23)。なお、課金情報に基づく通行料金の収受処理は、従来の電子式料金収受システムで行われている処理と同様である。また、課金情報処理部312は、通行料金の収受処理が完了すると、当該車両AのNP情報である「通過車両情報」を未払車両リストD1から削除して(ステップS24)、処理を終了する。
一方、課金情報処理部312は、路側装置10から課金情報を受信していない場合(ステップS22:NO)、ステップS25に進む。
【0046】
次に、登録車両処理部314は、通過車両情報取得部310が取得した「通過車両情報」が利用者登録されているか否かを判断する(ステップS25)。具体的には、登録車両処理部314は、利用者DB33の利用者登録情報D2から、「通過車両情報」と一致する「登録車両情報」を検索する。
登録車両処理部314は、利用者登録情報D2に「通過車両情報」と一致する「登録車両情報」が登録されている場合(ステップS25:YES)、当該「登録車両情報」と関連付けられた支払手段に基づいて通行料金の収受処理を行う(ステップS26)。登録車両処理部314は、例えば利用者の支払手段として銀行口座が設定されている場合、当該銀行口座から、利用者が通過した課金ポイントT(課金エリアR)に設定された所定の通行料金を引き落とす処理を行う。また、登録車両処理部314は、通行料金の収受処理が完了すると、当該車両AのNP情報である「通過車両情報」を未払車両リストD1から削除する(ステップS27)。
一方、登録車両処理部314は、利用者登録情報D2に「通過車両情報」と一致する「登録車両情報」が登録されていない場合(ステップS25:NO)、処理を終了する。
【0047】
中央装置30は、車両Aが課金ポイントTを通過し、路側装置10から「通過車両情報」を受信する度に上述の各処理を実行する。これにより、車両Aに車載器Xが搭載されている場合、又は、車両Aが利用者登録情報D2に予め登録されている場合は、車両Aが課金ポイントTを通過するときに通行料金が収受される。
【0048】
図8は、本発明の一実施形態に係る中央装置の処理フローの一例を示す第2の図である。
以下、
図8を参照して、利用者が端末40を介して利用者登録を行った際に中央装置30が行う処理の一例について説明する。
まず、
図8に示すように、中央装置30の利用者登録部313は、端末40から利用者登録要求を受け付けると、利用者が搭乗する車両AのNP情報である「登録車両情報」と、当該利用者の通行料金の「支払手段」とを取得する(ステップS30)。
【0049】
そうすると、利用者登録部313は、端末40から受信した「登録車両情報」と「支払手段」とを関連付けて利用者DB33の「利用者登録情報D2」に登録する(ステップS31)。
【0050】
次に、登録車両処理部314は、未払車両リストD1に「登録車両情報」と一致するNP情報(「通過車両情報」)が登録されているかを判断する(ステップS32)。
登録車両処理部314は、「登録車両情報」と一致する「通過車両情報」が未払車両リストD1に登録されている場合(ステップS32:YES)、当該「登録車両情報」と関連付けられた支払手段に基づいて通行料金の収受処理を行う(ステップS33)。当該処理は
図7のステップS26と同様である。また、登録車両処理部314は、通行料金の収受処理が完了すると、当該「通過車両情報」を未払車両リストD1から削除する(ステップS34)。
一方、登録車両処理部314は、未払車両リストD1に「登録車両情報」と一致する「通過車両情報」が登録されていない場合(ステップS32:NO)、処理を終了する。
【0051】
中央装置30は、新たな利用者登録要求を受け付ける度に、上述の各処理を実行する。これにより、中央装置30は、車両Aが課金ポイントTを通過した後であっても、所定期間内(例えば当日中)に利用者登録が行われた場合は、登録された情報(登録車両情報、支払手段)に基づいて通行料金の収受処理を行うことができる。
【0052】
図9は、本発明の一実施形態に係る中央装置の処理フローの一例を示す第3の図である。
以下、
図9を参照して、利用者が課金エリアR内のエリア内車両用施設F1aを利用した際に中央装置30が行う処理の一例について説明する。
まず、
図9に示すように、中央装置30の施設利用車両情報取得部315は、利用者がエリア内車両用施設F1aを利用する際、精算装置20から当該利用者が搭乗する車両AのNP情報である「施設利用車両情報」を取得する(ステップS40)。
【0053】
次に、支払要求処理部316は、施設利用車両情報取得部315が取得した「施設利用車両情報」と一致するNP情報(「通過車両情報」)が未払車両リストD1に登録されているか否かを判断する(ステップS41)。
「施設利用車両情報」と一致するNP情報(「通過車両情報」)が未払車両リストD1に登録されている場合(ステップS41:YES)、支払要求処理部316は、利用者が通過した課金ポイントT(課金エリアR)に設定された所定の通行料金の支払いを要求する指令を精算装置20に送信する(ステップS41)。このとき、支払要求処理部316は、車両AのNP情報と、通行料金とを含む支払要求を送信する。
また、支払要求処理部316は、精算装置20から利用者より通行料金を収受したことを示す収受結果を受信すると(ステップS42)、当該車両AのNP情報である「通過車両情報」を未払車両リストD1から削除する(ステップS43)。
一方、支払要求処理部316は、「施設利用車両情報」と一致するNP情報(「通過車両情報」)が未払車両リストD1に登録されていない場合(ステップS41:NO)、当該車両Aは通行料金を既に支払い済みであると判断し、処理を終了する。
【0054】
中央装置30は、精算装置20から「施設利用車両情報」を取得する度に、上述の各処理を実行する。これにより、中央装置30は、車両Aに車載器Xが搭載されてなく、且つ、車両Aが利用者登録情報D2に登録されていない場合は、車両Aがエリア内車両用施設F1aを利用した際に、通行料金を収受することができる。
【0055】
図10は、本発明の一実施形態に係る中央装置の処理フローの一例を示す第4の図である。
車両Aに車載器Xが搭載されてなく、且つ、車両Aが利用者登録情報D2に登録されていない場合であって、更に当該車両Aがエリア内車両用施設F1aを利用していない場合、中央装置30は当該車両Aから通行料金を収受することができない。
このため、中央装置30の支払要求処理部316は、所定のタイミング(例えば各日0時)で未払車両リストD1に登録されたまま(通行料金が未払いのまま)となっている車両Aについては、当該車両Aの所有者に通行料金の支払いを求める処理を行う。
具体的には、まず、
図10に示すように、未払車両リストD1に「通過車両情報」が登録されているか否かを判断する(ステップS50)。
未払車両リストD1に「通過車両情報」が登録されていない場合(ステップS50:NO)、支払要求処理部316は、当日の通行料金は全て収受が完了しているとして、処理を終了する。
一方、未払車両リストD1に「通過車両情報」が登録されている場合(ステップS50:YES)、支払要求処理部316は、車両登録情報提供機関50から「通過車両情報」の所有者に関する情報を取得する(ステップS51)。
【0056】
次に、支払要求処理部316は、ステップS51で取得した情報に基づき、車両Aの所有者に対し、利用者が通過した課金ポイントT(課金エリアR)に設定された所定の通行料金の支払いを求める請求書を送付する(ステップS52)。
このとき、支払要求処理部316は、車両登録情報提供機関50から所有者の情報を取得する際に情報取得料金が必要となる場合は、当該情報取得料金を加算した金額を所有者に請求するようにしてもよい。
【0057】
また、支払要求処理部316は、車両Aの所有者に対し請求書の送付処理を完了すると、当該車両AのNP情報である「通過車両情報」を未払車両リストD1から削除する(ステップS53)。
【0058】
次に、支払要求処理部316は、未払車両リストD1に残件(他の車両Aの「通過車両情報」)があるか否かを判断する(ステップS54)。
支払要求処理部316は、未払車両リストD1に他の車両Aの「通過車両情報」が残っている場合(ステップS54:YES)、上述のステップS51〜S53を繰り返し実行する。
一方、支払要求処理部316は、未払車両リストD1に残件が無い場合(ステップS54:NO)、即ち、当日課金ポイントTを通過し、且つ通行料金が未払いであった全ての車両Aに対する請求書の送付処理を完了した場合、処理を終了する。
【0059】
中央装置30は、所定のタイミング(例えば各日0時)で上述の各処理を実行することにより、課金ポイントT通過時、利用者登録時、又は施設利用時に通行料金を収受できなかった車両Aの所有者に対し、請求書を送付して通行料金の支払いを要求するので、通行料金の収受漏れを防ぐことができる。
なお、本実施形態では、各日の0時に上述の各処理を実行する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、例えば、1時間毎、1週間毎、又は1ヶ月毎に上述の各処理を実行するようにしてもよい。
【0060】
(精算装置の処理フロー)
図11は、本発明の一実施形態に係る精算装置の処理フローの一例を示す図である。
以下、
図11を参照して、車両Aがエリア内車両用施設F1aを利用した際に精算装置20が行う処理の一例について説明する。
まず、
図11に示すように、精算装置20のNP読取部220は、カメラ21が撮影した画像に基づいて、エリア内車両用施設F1aを利用した車両AのNP情報を読み取る(ステップS60)。
なお、カメラ21は常時撮影を行うようにしてもよいし、不図示の車両検出センサが車両Aの存在を検出したときに撮影を行うようにしてもよい。
【0061】
次に、NP読取部220は、読み取った車両AのNP情報を「施設利用車両情報」として中央装置30に送信する(ステップS61)。
【0062】
次に、精算処理部221は、車両Aから施設料金を収受する際(例えば、車両Aがエリア内車両用施設F1aを退場する際)に、中央装置30から当該車両Aに対する通行料金の支払要求を受信したか否かを判断する(ステップS62)。
精算処理部221は、中央装置30から支払要求を受信していない場合(ステップS62:NO)、即ち、車両Aが既に通行料金を支払い済みである場合、施設料金のみの収受を行う(ステップS63)。
一方、精算処理部221は、中央装置30から支払要求を受信している場合(ステップS62:YES)、即ち、車両Aが通行料金を未払いである場合、施設料金に加え、支払要求に基づく通行料金の収受を行う(ステップS64)。
【0063】
精算装置20は、車両Aがエリア内車両用施設F1aを利用する度に上述の各処理を実行する。これにより、車両Aに車載器Xが搭載されてなく、且つ、車両Aが利用者登録情報D2に登録されていない場合は、精算装置20により施設料金とともに通行料金を収受することができる。
【0064】
(ハードウェア構成)
図12は、本発明の一実施形態に係る路側装置、精算装置、及び中央装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12に示すように、コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の路側装置10の処理装置13、精算装置20の料金収受機22、及び中央装置の制御部31は、それぞれ異なるコンピュータ900に実装される。そして、上述した処理装置13、料金収受機22、及び制御部31の各処理部の機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、各種処理に用いる記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0065】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904を介してコンピュータ900に有線接続又は無線接続される外部記憶装置910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0066】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0067】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る課金システム1の中央装置30は、課金ポイントTを通過した車両AのNP情報である「通過車両情報」を取得する通過車両情報取得部310と、「通過車両情報」を未払車両リストD1に登録するリスト登録部311と、利用者がエリア内車両用施設F1aを利用する際、当該利用者が搭乗する車両AのNP情報である「施設利用車両情報」を取得する施設利用車両情報取得部315と、「施設利用車両情報」と、未払車両リストD1に登録された「通過車両情報」とが一致する場合、エリア内車両用施設F1aの利用に係る施設料金の精算時に、通行料金の支払いを要求する支払要求処理部316と、を備える。
このようにすることで、課金システム1は、例えば通行料金を支払うための車載器Xが搭載されていない車両A、及び、通行料金を支払うための利用者登録を行っていない車両Aに対しても、当該車両Aがエリア内車両用施設F1aを利用したときに、施設料金と併せて通行料金の支払いを要求することができる。例えば利用者が観光地を訪れる一見客であり、利用者登録を行う可能性が低い場合であっても、当該利用者がエリア内車両用施設F1aを利用する機会は多いことが見込まれる。このため、課金システム1は、一見客である利用者から課金エリアR内で通行料金を収受できる可能性を高めることができる。この結果、課金システム1は、車両登録情報提供機関50から車両Aの所有者の情報を取得し、当該所有者に請求書を送付する煩雑な手続きを削減することができる。
【0068】
また、課金システム1の中央装置30は、利用者の支払手段と、当該利用者が搭乗する車両AのNP情報である「登録車両情報」とを関連付けて利用者DB33の利用者登録情報D2に登録する利用者登録部313と、「通過車両情報」と、利用者登録情報D2に登録された「登録車両情報」とが一致する場合、当該「登録車両情報」と関連付けられた支払手段に基づいて通行料金を収受する登録車両処理部314と、を更に備える。
このようにすることで、課金システム1は、車載器Xが搭載されていない車両Aであっても、利用者が事前に利用者登録を行っている車両Aについては、利用者登録情報D2に登録された支払手段に基づいて、通行料金の収受を行うことができる。これにより、常連客、課金エリアR内の居住者等、課金エリアR内を頻繁に走行する利用者は、事前に利用者登録をしておくことにより通行料金の支払いを自動的に行うことができるので、後日送付された請求書により通行料金の支払いを行う手間を省くことができる。
【0069】
また、登録車両処理部314は、通行料金の収受が完了した「通過車両情報」を、未払車両リストD1から削除する。
このようにすることで、課金システム1は、通行料金の収受が完了した車両Aの「通過車両情報」については未払車両リストD1から削除するので、当該車両Aがエリア内車両用施設F1aを利用した際に、通行料金が二重に収受されてしまうことを防ぐことができる。
【0070】
また、登録車両処理部314は、車両Aが課金ポイントTを通過した後であっても、所定期間内(例えば当日中)に利用者登録が行われた場合は、登録された情報(登録車両情報、支払手段)に基づいて通行料金の収受処理を行う。これにより、課金システム1は、利用者から課金エリアR内で通行料金を収受できる可能性を更に高めることができる。また、所定期間内であればいつでも利用者登録を行って通行料金を自動的に支払うことが可能となるので、利用者の利便性が向上する。
【0071】
また、課金システム1は、課金ポイントTに設けられ、車両Aに搭載された車載器Xとの間で無線通信を行い、当該車両AのNP情報を含む課金情報を取得する路側装置10を更に備える。また、中央装置30は、課金情報に基づいて通行料金を収受する課金情報処理部312を更に備える。
このようにすることで、課金システム1は、車両Aに車載器Xが搭載されている場合、車載器Xとの無線通信を行うことで課金情報を取得し、当該課金情報に基づいて通行料金の収受を行うことができる。このため、車載器Xを有している利用者は、通行料金の支払いを自動的に行うことができるので、後日送付された請求書により通行料金の支払いを行う手間を省くことができる。
【0072】
また、課金情報処理部312は、通行料金の収受が完了した「通過車両情報」を、未払車両リストD1から削除する。
このようにすることで、課金システム1は、通行料金の収受が完了した車両Aの「通過車両情報」については未払車両リストD1から削除するので、当該車両Aがエリア内車両用施設F1aを利用した際に、通行料金が二重に収受されてしまうことを防ぐことができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、上述の実施形態において、精算装置20がエリア内車両用施設F1aに設置される態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、精算装置20はエリア外車両用施設F1bに設置されていてもよい。このようにすることで、課金エリアR内を走行したもののエリア内車両用施設F1aを利用しなかった車両Aに対しても、エリア外車両用施設F1bにおいて通行料金を収受することができる。これにより、中央装置30は、車両Aから通行料金を収受できるタイミングを増加させることができるので、車両登録情報提供機関50から車両Aの所有者の情報を取得し、当該所有者に請求書を送付する煩雑な手続きを更に削減することができる。
【0074】
また、上述の実施形態において、課金システム1の路側装置10が路側アンテナ11及び課金処理部130を備えている態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、路側アンテナ11及び課金処理部130を省略してもよい。この場合、課金システム1は、車両Aに車載器Xが搭載されているか否かに関わらず、全ての車両Aについて、中央装置30の登録車両処理部314、又は精算装置20の精算処理部221により、通行料金を収受する処理を行う。
このように路側アンテナ11を省略し、課金ポイントT及び施設Fにカメラ12、21のみを設置する態様とすることにより、安価にシステムを構築することができる。
【0075】
また、上述の実施形態において、車両Aの車両識別情報としてNP情報が使用される態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、車両Aに取り付けられたRFタグ、二次元コード等に記録された固有情報(ID等)が車両識別情報として使用されてもよい。この場合、路側装置10は、カメラ12に代えてRFタグ、二次元コード等を読み取り可能な読取装置を有する。同様に、精算装置20は、カメラ21に代えてRFタグ、二次元コード等を読み取り可能な読取装置を有する。
【0076】
また、上述の実施形態において、精算装置20は、利用者より料金収受機22を介して施設料金及び通行料金を収受する態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金収受機22の代わりに、端末40(例えば施設Fに設置された専用端末)を介して利用者から施設料金及び通行料金を収受するようにしてもよい。この場合、中央装置30は、
図9のステップS42において端末40に対し支払要求を送信するとともに、ステップS43において端末40から収受結果を受信する。同様に、精算装置20は、
図11のステップS62〜ステップS64の処理を端末40に行わせる。