特許第6981873号(P6981873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビゾリス インコーポレイテッドの特許一覧

特許6981873生物学的に誘導されたメバロン酸の転換方法
<>
  • 特許6981873-生物学的に誘導されたメバロン酸の転換方法 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981873
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】生物学的に誘導されたメバロン酸の転換方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/62 20060101AFI20211206BHJP
   C07D 309/32 20060101ALI20211206BHJP
   C07C 49/04 20060101ALI20211206BHJP
   C07C 45/00 20060101ALI20211206BHJP
   C07C 11/18 20060101ALI20211206BHJP
   C07C 1/213 20060101ALI20211206BHJP
   C07C 11/10 20060101ALI20211206BHJP
   C07C 49/205 20060101ALI20211206BHJP
   B01J 29/40 20060101ALI20211206BHJP
   B01J 21/12 20060101ALI20211206BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20211206BHJP
【FI】
   C12P7/62ZNA
   C07D309/32
   C07C49/04 A
   C07C45/00
   C07C11/18
   C07C1/213
   C07C11/10
   C07C49/205
   B01J29/40 Z
   B01J21/12 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】11
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2017-526062(P2017-526062)
(86)(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公表番号】特表2017-538403(P2017-538403A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】US2015062433
(87)【国際公開番号】WO2016085987
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2018年10月1日
(31)【優先権主張番号】62/084,689
(32)【優先日】2014年11月26日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517161223
【氏名又は名称】ビゾリス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュガール,ディーパック
(72)【発明者】
【氏名】ネルトナー,ブライアン
【審査官】 中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−016852(JP,A)
【文献】 特開平03−044361(JP,A)
【文献】 特開2000−072700(JP,A)
【文献】 特開2004−236618(JP,A)
【文献】 特開2014−205662(JP,A)
【文献】 特開2003−261556(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/172596(WO,A2)
【文献】 特開平07−159400(JP,A)
【文献】 特開2007−091665(JP,A)
【文献】 特開昭60−197638(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/166130(WO,A1)
【文献】 特開2014−210800(JP,A)
【文献】 特開2014−193837(JP,A)
【文献】 特開昭63−216484(JP,A)
【文献】 THOMAS R. M. et al.,Highly Selective Ruthenium Metathesis Catalysts for Ethenolysis,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2011年04月21日,Vol.133,7490-7496
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07B 31/00− 63/04
B01J 21/00− 38/74
C12P 1/00− 41/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MVLをシリカ含有触媒の存在下で150℃〜400℃の範囲の温度および大気圧〜100bar未満の範囲の圧力で反応させて、イソプレンおよび/またはメチルビニルケトンを含む第1の生成物を生じさせることを含む方法。
【請求項2】
前記シリカ含有触媒は、シリカゲルを含み、前記反応は、200℃〜400℃の範囲の温度および1bar〜50barの範囲の圧力で行われ、前記第1の生成物は、イソプレンおよびメチルビニルケトンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリカ含有触媒は、シリカゲルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シリカ含有触媒は、非晶質である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シリカ含有触媒は、非晶質SiO/Alである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応は、200℃〜400℃の範囲の温度および1bar〜50barの範囲の圧力で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の生成物は、メチルビニルケトンおよびイソプレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の生成物は、メチルビニルケトンよりイソプレンを多く含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記反応により、MVL1モル当たり少なくとも0.61モルのイソプレンが生成される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記反応により、少なくとも56%の総転化率となる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記反応により、少なくとも48%のイソプレン収率となる、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる2014年11月26日出願の「生物学的に誘導されたメバロン酸の転換方法」と題する米国仮特許出願第62/084,689号の優先権利益を主張するものである。
【0002】
配列表
以下の出願は、25KBの2015年11月23日に作成された「46567配列表」と題するASCII形式のテキストファイルとして提出されたコンピュータ可読形式(CRF)の配列表を含む。CRFの内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本発明は、一般に、生化学的経路を介して誘導された有機酸から炭化水素バイオ燃料およびその他の製品のための中間生成物を製造する方法に関する。特に、メバロン酸(またはメバロノラクトン)はバイオマス発酵に由来でき、さまざまな中間生成物を生成する。本発明の1つ以上の実施形態は、イソプレン、メチルビニルケトン、3−メチル−2−ブタノン、およびアンヒドロメバロノラクトンに関する。
【背景技術】
【0004】
有機酸は、生化学的経路によりバイオマスに由来できる化合物の重要な種類であり、炭化水素バイオ燃料およびその他の製品の持続可能な製造の中間生成物としての役割を果たすことができる。特に興味深いのは、アルキレートとして知られている、種々の合成ポリマー(すなわち、合成ゴム)、特殊化学製品、およびガソリン添加剤の重要な出発物質であるイソプレンを生成するための脱水/脱炭酸である。イソプレンは石油の分留によって得ることができるが、この材料の精製は高価で時間がかかる。加えて、化石燃料の枯渇によって、この重要な出発物質の別の供給源を見つけることが非常に重要となっている。イソプレンは種々の微生物、植物、および動物種によって自然に作られる。しかしながら、天然生物からのイソプレンの収率は商業的に魅力に欠けている。したがって、バイオマス由来のメバロノラクトンからの大規模なイソプレンおよびその他の合成に有用な中間生成物の合成は、かなりの商業的可能性を持つであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明は、(a)MVLまたはMVLを含む溶液を固体触媒の存在下で反応させて第1の生成物または第1の生成混合物を生じさせる方法であって、MVLを含む溶液は所望によりアンヒドロメバロノラクトンおよび/または共反応物質を含むことを含む方法に関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、共反応物質は、水、アルキルアルコール、エーテル、芳香族化合物、酸、アルデヒド、エステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、約100℃〜約500℃の範囲の温度で起こる。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、およそ準大気圧から約200barの範囲の圧力で起こる。
【0007】
いくつかの実施形態では、固体触媒は固体酸触媒である。潜在的に好適な固体触媒の非限定的な例示的リストは、官能化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、官能化テトラフルオロエチレン−フルオロポリマーコポリマー、カルシウムアパタイト、シリカ−アルミナ、シリカ、チタニア、アルミナ、樹脂、金属酸化物、および/またはゼオライトを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、固体触媒は、金属酸化物触媒および炭素触媒からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、固体触媒は約20m/g〜約600m/gの表面積を有する。いくつかの実施形態では、固体触媒は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化スズ、および酸化クロム、およびこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、固体触媒は混合金属酸化物触媒を含む。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、固体触媒は、担持遷移金属または貴金属、例えば、パラジウム、マグネシウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、銀、スズ、タングステン、タンタル、イリジウム、プラチナ、および金、およびこれらの混合物を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の生成物または第1の生成混合物は、イソプレン、3−メチル−2−ブタノン、メチルビニルケトン、アンヒドロメバロノラクトン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、メタン、水素、またはアルキルアルコールの1つ以上を含む。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、前述の方法は、当該第1の生成物または第1の生成混合物を第1の試薬および第2の触媒と反応させて、第2の生成物または第2の生成混合物を生じさせ、当該第1の試薬は水またはオレフィンまたはアルコールである、さらなるステップ(b)を含む。いくつかの実施形態では、第1の試薬はオレフィンであり、当該第2の触媒は、パラジウム、プラチナ、ルテニウム、モリブデン、タングステン、レニウム、スズ、およびロジウムオレフィンメタセシス触媒、およびこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1の試薬はアルコールであり、当該第2の触媒は、均一系および不均一系酸および塩基、糖、リパーゼ、イオン交換樹脂、金属酸化物、およびゼオライト、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、前述のステップ(b)は、約100℃〜約500℃の範囲の温度で行われる。いくつかの実施形態では、この方法は、当該第2の生成物または第2の生成混合物を第2の試薬および第3の触媒と反応させて、第3の生成物または第3の生成混合物を生じさせるステップ(c)をさらに含む。
【0013】
別の態様では、本発明は、(a)MVLまたはMVLを含む溶液を、約100℃〜約500℃の範囲の温度で反応させて第1の生成物または第1の生成混合物を生じさせることを含む方法を提供する。
【0014】
さらに別の態様では、本発明は、(a)生合成MVL経路を発現する微生物を提供することと、(b)好適な炭素基質を含む発酵培地で微生物を増殖させ、バイオベースMVLが産生されることと、(c)当該バイオベースMVLを反応させて第1の生成物または第1の生成混合物を生じさせることとを含む方法を提供する。ステップ(c)は、所望により、固体触媒の存在下で、かつ/または約100℃〜約500℃の範囲の温度で行われる。
【0015】
いくつかの実施形態では、上記方法に使用される微生物は、バイオベースMVL産生を可能にする代謝修飾を含む非天然微生物である。
【0016】
いくつかの実施形態では、代謝修飾は、i.mvaE、mvaS;ii.mvaE、mvaS、atoB;iii.atoB、hmgR、hmgS;およびiv.i、ii、またはiiiの機能的相同体からなる群から選択された少なくとも1組の遺伝子の発現を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、代謝修飾は、少なくとも1つの遺伝子、例えば、ackA−pta、adhE、および/またはldhAの修飾を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、使用される発酵培地は再生可能原料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施例11に使用される高圧小規模ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
メバロン酸、メバロネート、およびメバロノラクトンはpHに依存する平衡状態で存在する。したがって、「メバロネート」を含有する溶液は、実際にはメバロン酸、メバロネート、および/またはメバロノラクトンを含有していてもよい。加えて、pHに応じて、成分は塩形態であってもよい。選択した試薬に応じて、対イオンは、アンモニウム、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、またはセシウムのカチオンであり得る。便宜上、メバロノラクトン、すなわち「MVL」は本明細書において、総括して使用される。
【0021】
メバロノラクトン(MVL)およびその関連誘導体、例えば、2,3−デヒドロメバロノラクトン(4−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン、アンヒドロメバロノラクトン、AMLとも呼ばれる)は、工業規模で調製できる潜在的に豊富な供給原料を代表する。発酵を介したバイオベース製造によって、低揮発性を有する再生可能原料、例えば、糖、グリセリン、合成気体、またはメタンからの高収率かつコスト競争力のあるMVLの製造が可能になる。バイオベースMVLおよびその関連誘導体から製造される化学製品は、石油またはその他の再生不可能な資源を主成分としない安価で再生可能な消費者製品および工業製品への要求を満たすことができるであろう。バイオベースメバロノラクトンはその後、種々の有用な化合物に転換することができる。例示化合物は本明細書に、また参照することにより本明細書中にその全体が組み込まれる2015年11月12日出願の同時係属の米国仮特許出願第14/939,437号に記載される。
【0022】
本明細書で使用する用語「バイオベース」とは、化合物が生物学的前駆体、特に再生可能な生物学的炭素源、例えば、バイオマスから(再生不可能な石油ベース炭素源とは対照的に)合成されたことを意味する。ASTMは、組成物中に含まれるバイオベース材料の濃度を算出するための標準的な方法を設定している。ASTM D6866−放射性炭素分析を用いた固体、液体、および気体試料のバイオベース含有量を測定する標準試験法。組成物のバイオベース含有量は、材料中の全有機炭素の重量分率(質量)または重量割合(質量)としての材料中のバイオベース炭素の量である。ASTM D6866は、年齢方程式を用いない放射性炭素年代測定に類似している。これは、材料中の放射性炭素(14C)の量対現代標準試料の放射性炭素(14C)の量の比を測定することにより行われる。この比は、現代炭素の割合(単位「pMC」)と呼ばれる割合として報告される。分析される材料が現代放射性炭素と化石炭素(すなわち、放射性炭素を含有していない)と混合物である場合、得られるpMC値は、試料中に存在するバイオベース材料の量と直接相関関係を持つ。
【0023】
ASTM D6866は、現代のバイオマスベースの投入材料から生じる炭素と化石ベース材料由来の炭素とを区別する。バイオマスは、よく特徴付けられた量の炭素14を含有し、これは炭素14をまったく含有しない化石燃料等のその他材料と容易に区別できる。「バイオマス」は、燃料またはエネルギー源として使用される植物性材料、植物、または農業廃棄物として一般に定義される。バイオマス炭素の炭素14同位体対炭素12同位体の比は、大気試料からとった炭素14対炭素12の現在の天然存在度に基づき約2×10−12対1であることが当業者に公知である。バイオマス中の炭素14の量は公知であるため、再生可能な資源の炭素割合は、試料中の全有機炭素から容易に計算できる。0%の炭素14は、材料中に炭素14原子が完全にないことを示し、したがって、化石または石油ベースの炭素源であることを示す。同様に、100%の炭素14(大気補正後)は、現代のバイオベース炭素源であることを示す。
【0024】
放射性炭素年代測定に使用される現代の標準試料は、西暦1950年におよそ等しい公知の放射性炭素含有量を用いたNIST(米国国立標準技術研究所)規格である。西暦1950年は、爆発の度に大気中に過剰な放射性炭素(「爆発炭素」と呼ぶ)が大量に取り込まれた熱核兵器実験よりも前の時点を表すため選択された。これは、考古学者および地質学者にとって基準として使用するのにもっともな時点であった。参考までに、放射性炭素年代を使用する考古学者または地質学者にとって、西暦1950年は「0年」に等しい。また、これは100pMCを表す。大気中の「爆発炭素」は、実験ピークであり核実験禁止条約前における1963年に通常レベルのほぼ2倍に達した。その出現以来、大気中におけるその分布が概算されているが、西暦1950年以来生存している植物および動物については100pMCより大きい値を示している。これは、時間と共に徐々に減少し、現代の値は105pMC付近である。これは、新鮮なバイオマス材料、例えば、トウモロコシ、サトウキビ、またはダイズ等が、105pMC付近の放射性炭素の痕跡を与えるであろうことを意味する。約105pMCが、現代のバイオマス材料を表し、0pMCが、石油誘導体を表すと推定すると、その材料について測定したpMC値は、2つの成分のタイプの比率を反映するであろう。例えば、現代のダイズに100%由来する材料は、105pMC付近の放射性炭素の痕跡を与えるであろう。しかし、これを50%石油誘導体で希釈した場合、53pMC付近の放射性炭素の痕跡が得られるであろう。
【0025】
材料の「バイオベース含有量」は、全有機炭素に対する全再生可能有機炭素に関する百分率の値として報告される。最終結果は、材料について測定したpMC値に0.95を乗じて(爆発炭素効果を調整するため)算出する。最終%値は、平均バイオベース結果として引用され、分析される材料中の全成分が現代生物(過去数十年内)起源であるかまたは化石起源であるかを仮定する。一態様において、本発明に使用する材料(例えば、前駆体化合物または得られるポリマー)は、0%超、より好ましくは10%超、より好ましくは25%超、より好ましくは50%超、さらに好ましくは75%超のバイオベース含有量を有する。好ましくは、本発明に使用する材料は、ASTM D6866に従って実質的に全体がバイオベースであり、これは、95%以上が生物由来であることを意味する。したがって、バイオベース製品は石油ベース製品とは炭素フィンガープリントにより区別できることが認識されるだろう。したがって、本発明によるバイオベースポリマーおよびポリマー前駆体は、石油(再生不可能)起源の同種のポリマーよりも多い放射性炭素14(14C)含有量または高い14C/12C比を有する。一態様において、バイオベースポリマー前駆体および/または得られるポリマーは、0超、好ましくは1超の14C/12C比を有する。
【0026】
バイオベースMVLは、同時係属の米国仮特許出願第14/939,437号に記載されるように、いくつかの種類のポリマーの製造の一般的な出発物質として機能することができる 。
【0027】
例えば、MVLおよびAML自体は重合反応のためのモノマーである。MVLおよびAMLのラクトン構造により、開環共重合が可能となる。MVL誘導β−メチル−δ−バレロラクトンの開環共重合が既に報告されている。開環重合に加えて、AMLは、フリーラジカル重合反応のためのコモノマーであってよい。MVLの脱水反応の間、不飽和の位置が異なるさまざまなAML異性体、すなわち、3,4−デヒドロメバロノラクトン(4−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン)、4,5−デヒドロメバロノラクトン(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン)、およびエキソデヒドロメバロノラクトン(4−メチレンテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン)を得ることができる。これらの異性体は、AMLと同様に開環およびフリーラジカル重合のためのモノマーとして利用できる。
【0028】
MVLおよび上述の関連化合物の直接重合に加えて、これらは逐次ポリマーの構築ブロック、例えば、とりわけジオールおよび二酸に転換できる。これらの転換は、化学反応の種類により大まかに分類できる:i)酸化、ii)還元、iii)ラクトン開環、iv)オレフィン修飾、およびv)アルコール修飾。
【0029】
α,ω−ジカルボン酸を得るためのMVLおよび関連ラクトンの完全な酸化は、高原子価金属酸化物、例えば、とりわけCrOまたはKMnOを用いた処理により実現できる。当該高原子価金属酸化物は化学量論的強酸化剤の存在下で触媒量で利用されてもよい。一級アルコールのカルボン酸への酸化は、硝酸または酸化剤としての酸素分子を用いても可能である。上記の試薬の例は、カルボン酸およびラクトンの酸化に見出すことができる。MVL誘導ジカルボン酸は、いくつか例を挙げるとポリエステル、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルポリオール、またはポリアミドの構築ブロックとしての用途を見出すことができる。
【0030】
MVLおよび関連ラクトンの完全な還元は置換α,ω−ジオールをもたらす。金属触媒の存在下で金属水素化物、例えば、リチウムテトラヒドリドアルミネート、元素状ナトリウム、または水素を利用して、ラクトン官能基を2つの一級アルコールに還元できる。これらのMVL誘導ジオールおよびポリオールは、とりわけ、ポリエステル、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルポリオール、ポリカーボネート、またはビニルウレタン樹脂の構築ブロックとして使用されてもよい。
【0031】
求核試薬、例えば、アルコール、チオール、またはアミンはラクトンを開環できる。二官能性または多官能性求核試薬を用いたMVLおよび関連ラクトンの反応は、置換開環MVL系ジオールまたはポリオールの形成をもたらす。求核試薬は、ホモ官能性、例えば、とりわけグリセロールもしくはエチレンジアミン、またはヘテロ官能性、例えば、とりわけエタノールアミンもしくはメルカプトエタノールのいずれかであることができる。これらの開環誘導体の使用は、上述のMVL還元生成物に相当する。
【0032】
AMLおよびその異性体におけるアルケン基の修飾としては、とりわけ、エポキシ化、ジヒドロキシル化、マイケル付加、ディールス−アルダー反応、または[2+2]付加環化が挙げられる。反応生成物は、官能基が多様であり、かつおそらくは種々のポリマーのための構築ブロックとして機能する。ラクトン官能基は上述のすべての反応において保存されている。これら化合物の開環重合は、とりわけ熱可塑性エラストマー、不飽和ポリエステル樹脂、またはポリウレタンとしての用途を持つ変性脂肪族ポリエステルを形成することができる。
【0033】
MVLの三級アルコールは修飾されてエーテル誘導体およびエステル誘導体を形成できる。重合を促進する官能基または可溶性および接着性等の特性を取り込むことができる。ペンダントMVLエステル基を有するメタクリレートがMVLから得ることができるとの報告がある。この二官能性付加化合物は、フリーラジカルおよび開環重合に関与してアクリル樹脂およびビニルポリエステルを生成することが想定され得る。
【0034】
MVL誘導ジオールもしくはポリオールおよび二酸もしくはポリ酸もまたエポキシ樹脂、ポリ(ビニルエーテル)、または多官能性環状カーボネートの前駆体として機能することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明は、MVLまたはMVLを含む溶液を、第1の生成物または第1の生成混合物を生じる条件下で反応させる第1のステップを含む方法を提供する。次いで、任意の第2のステップでは、第1の生成物または第1の生成混合物は、所望により触媒存在下にて、試薬とさらに反応させることができる。本発明のいくつかの実施形態では、試薬はオレフィンまたはアルコールである。任意の第3のステップでは、この反応から得られる第2の生成物または第2の生成混合物は、再び任意により触媒の存在下で同じまたは別の試薬と反応させ、第3の生成物または第3の生成混合物を生じさせることができる。本明細書において使用される場合、用語「生成混合物」は、構造が異なる化合物の混合物を意味する。
【0036】
本発明の特定の態様では、生成物または生成混合物は、例えば、同時係属の米国仮特許出願第14/939,437号に記載されるように、バイオベースMVLまたはMVL誘導体のポリマー前駆体化合物(別名ポリマー構築ブロック)を含む。1つ以上の実施形態において、本発明のポリマー前駆体化合物は、開環バイオベースMVLまたはその誘導体を含む。本発明のポリマー前駆体化合物の例としては、バイオベースMVLジオール、バイオベースMVL二酸、およびバイオベースMVLグリシジルエーテル/エステルが挙げられる。本発明は、前述のバイオベースMVL前駆体化合物の1つ以上から調製されたポリマーを含む開環バイオベースMVL化合物の1つ以上を含む組成物の合成を容易にする。本発明はさらに、本明細書に記載されるバイオベースMVLまたは誘導体から調製されるさまざまなその他のバイオベースポリマーおよびオリゴマーを提供する。
【0037】
より詳細には、バイオベース化合物、特にバイオベースMVLおよびその関連誘導体から誘導された化合物(例えば、モノマー、オリゴマー、および/またはポリマー)、ならびにこれらの化合物を合成する方法が本明細書に記載されている。例えば、酸化を通じて、これらのバイオベース前駆体が反応して、(不飽和)ポリエステル、ポリエステルポリオール、およびポリアミドのための構築ブロック、ならびにグリシジルエステルおよびω−アルケニルエステル(例えば、アリルエーテル、ホモアリルエーテル、ビニルエーテル等)の前駆体を生じることができる。
【0038】
本発明の方法ステップは好ましくは、溶液中、例えば、溶媒の存在下において実施される。いくつかの実施形態では、溶媒は、MVL、MVLの誘導体、またはMVLから誘導された何らかの他の化合物と反応させることで共反応物質として機能する。本発明のいくつかの実施形態では、水は、溶媒として使用される。その他の溶媒、例えば、直鎖、分枝鎖、または環状アルコールまたはジオール(すなわち、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、sec−ブタノール、シクロブタノール、グリセロール、2−エチルヘキサノール、プロパンジオール、ブタンジオール、ラウリルアルコール等)を使用してもよい。その他の好適な溶媒としては、極性非プロトン性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、その他の直鎖または環状エーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン等が挙げられる。一般的に、当業者に容易に認識されるように、アルキルアルコール、エーテル、芳香族化合物、酸、アルデヒド、エステルは、すべて本発明の種々の実施形態において有効な溶媒および共反応物質として機能することができる。水およびこれらの溶媒(およびその他の好適な溶媒)の混合物も使用してよい。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、方法ステップの1つ以上は触媒存在下にて起こる。触媒は現在公知の触媒または将来的に開発される触媒であってよい。いくつかの実施形態では、限定されないが特に第1のステップに関して特に好ましい触媒は固体触媒である。本発明の好ましい触媒としては、固体酸触媒、金属酸化物触媒、および炭素触媒が挙げられる。固体酸触媒は、現在公知のものであれ将来的に開発されるものであれ制限なく1種以上の固体酸材料を含んでよい。利用可能な例示的な固体酸触媒としては、熱安定性担体におけるヘテロポリ酸、酸性樹脂タイプの触媒、メソポーラスシリカ、酸性白土、硫酸化ジルコニア、分子ふるい材料、ゼオライト、および酸性物質が挙げられるが、これらに限定されない。酸性物質が熱安定性担体に付与される場合、熱安定性担体としては、例えば、シリカ、酸化スズ、ニオビア、ジルコニア、チタニア、炭素、α−アルミナ等のうちの1つ以上を挙げることができる。任意で追加の酸性基、例えば、サルフェート、ホスフェート等がドープされていてもよい酸化物それ自体(例えば、ZrO、SnO、TiO等)はさらに、固体酸触媒としても使用することができる。好適な固体酸触媒のさらなる例としては、強酸性イオン交換体、例えば、スルホン酸基を含む架橋ポリスチレンが挙げられる。例えば、Amberlyst樹脂(登録商標)は、異なる表面特性および多孔性を有する官能化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーである。官能基は一般に硫酸タイプのものである。Amberlyst樹脂(登録商標)は、ゲル状またはマクロ孔質球状ビーズとして供給される(Amberlyst(登録商標)はミシガン州ミッドランドのDow Chemical Co.の登録商標である)。同様に、Nafion樹脂(登録商標)は、固体酸触媒であるスルホン化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマーコポリマーである(Nafion(登録商標)はデラウェア州ウィルミントンのE.I. du Pont de Nemours&Co.の登録商標である)。ゼオライトも固体酸触媒として使用してよい。これらのうち、一般的にH型ゼオライト、例えば、モルデナイトグループのゼオライトまたは細孔ゼオライト、例えば、ゼオライトX、Y、およびL(すなわち、モルデナイト、エリオナイト、菱沸石、またはフォージャサイト)が好ましい。さらなるゼオライトは、脱アルミン酸されたフォージャサイトグループの超安定性ゼオライトである。固体酸触媒は、好ましくは、官能化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、官能化テトラフルオロエチレン−フルオロポリマーコポリマー、カルシウムアパタイト、シリカ−アルミナ、シリカ、チタニア、アルミナ、樹脂、金属酸化物、およびゼオライトからなる群から選択される。
【0040】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、使用される触媒は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化スズ、および酸化クロム、およびこれらの混合物からなる群から選択される。本発明のいくつかの好ましい実施形態は、混合金属酸化物触媒を含む固体触媒、すなわち、2種以上の異なる金属または金属酸化物を含む触媒を利用する。いくつかの好ましい実施形態では、本発明の方法は不均一系触媒を利用する。いくつかの実施形態では、硫酸水素カリウムは、第1の触媒のための固体酸触媒のリストから除外される。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明に使用される固体触媒は、担持遷移金属または貴金属を含む。本発明により包含される遷移金属または貴金属の例示的な非限定的なリストは、パラジウム、マグネシウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、銀、スズ、タングステン、タンタル、イリジウム、プラチナ、および金、およびこれらの混合物を含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のステップがオレフィンを用いた反応を含む場合、ルテニウム、モリブデン、タングステン、レニウム、スズ、およびロジウムオレフィンメタセシス触媒、およびこれらの混合物からなる群から選択される触媒が利用される。その他の実施形態では、第2のステップがアルコールを用いた反応を含む場合、均一系および不均一系酸および塩基、糖、リパーゼ、イオン交換樹脂、金属酸化物、およびゼオライト、およびこれらの混合物からなる群から選択される触媒が利用される。
【0043】
本発明の触媒は広範囲の表面領域によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、1m/g、5m/g、10m/g、20m/g、50m/g、100m/g、または200m/g以上の表面積を有する固体触媒が使用される。いくつかの実施形態では、50m/g、100m/g、200m/g、600m/g、1000m/g、または2000m/g以下の表面積を有する固体触媒が使用される。例示的だが非限定的な実施例としては、いくつかの好ましい実施形態では、固体触媒は20m/g〜600m/gの表面積を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の生成物または第1の生成混合物は、イソプレン、3−メチル−2−ブタノン、メチルビニルケトン、アンヒドロメバロノラクトン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、メタン、水素、またはアルキルアルコールの1つ以上を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の生成物または第1の生成混合物は、独立して、
【0046】
【化1】
からなる群から選択される化合物を含む。
式中、R、R、R、R、およびRは、H、分岐鎖および非分岐鎖C〜Cアルキル、ならびに分枝鎖および非分岐鎖C〜Cアルケニルからなる群から独立して選択される。
【0047】
好ましい実施形態では、第1の生成物または第1の生成混合物は、独立して、
【0048】
【化2】
からなる群から選択される化合物を含む。
【0049】
一実施形態において、任意の第2のステップのオレフィンは、好ましくは、分岐鎖および非分岐鎖C〜C20アルケン、分岐鎖および非分岐鎖C〜C20アルケン酸(alkenic acid)、分岐鎖および非分岐鎖C〜C20アルケン酸エステルなる群から選択され、オレフィンは場合により置換されている。オレフィンは、より好ましくは、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−2−プロペン、アクリル酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、およびアラキドン酸、およびこれらのエステルからなる群から選択される。
【0050】
第2のステップは第2の触媒をさらに含んでよい。一実施形態において、第2の触媒は、好ましくは、パラジウム、プラチナ、ルテニウム、モリブデン、タングステン、レニウム、スズ、およびロジウムオレフィンメタセシス触媒、およびこれらの混合物からなる群から選択されるオレフィンメタセシス触媒である。特定の触媒の例は、主な文献、特許文献、および雑誌、例えば、Grubbs,R.H.ら、J.Am.Chem.Soc.2011年、133巻、7490〜7496ページ;Kadyrov,R.ら、Top.Catal.2012年、55巻、538〜542ページ;Hoveyda,A.H.ら、J.Am.Chem.Soc.2009年、131(31)巻、10840〜10841ページ;Grubbs,R.H.ら、J.Am.Chem.Soc.2012年、134(1)巻、693〜699ページ;Schrodi,Y.ら、Clean 2008年、36(9)巻、669〜673ページ;Elevance Renewable Sciences Inc.の米国特許出願公開第2013/0289327号;およびBurk,M.J.らの米国特許出願公開第2009/0155866号に見出すことができる。好ましい触媒は以下に示される(Grubbs,R.H.ら、J.Am.Chem.Soc.2011年、133巻、7490〜7496ページ)。
【0051】
【化3】
【化4】
【0052】
一実施形態において、第2のステップのアルコールは、好ましくは、分岐鎖および非分岐鎖C〜C34アルキルアルコール、分岐鎖および非分岐鎖C〜C20アルキルジオール、ならびに分岐鎖および非分岐鎖C〜C34アルケノールなる群から選択される。アルコールは、より好ましくは、メタノール、エタノール、グリセロール、2−エチルヘキサノール、プロパンジオール、ブタンジオール、およびラウリルアルコールからなる群から選択される。
【0053】
第2のステップは第2の触媒をさらに含んでよい。一実施形態では、第2の触媒は、好ましくは、均一系および不均一系酸および塩基、糖、リパーゼ、イオン交換樹脂、金属酸化物、およびゼオライトからなる群から選択される。第2の触媒はより好ましくは、KOH、KOCH、NaOCH、NaOH、HSO、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0054】
国際純正および応用化学連合(IUPAC)は、本明細書に記載されている化合物のいくつかを以下のように名付けている:メバロン酸:3,5−ジヒドロキシ−3−メチルペンタン酸;メバロノラクトン:4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン;脱水メバロノラクトン:4−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン(異性体1)および4−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン(異性体2);脱水メバロン酸:(E)−5−ヒドロキシ−3−メチルペンタ−2−エン酸(異性体1)および(E)−5−ヒドロキシ−3−メチルペンタ−3−エン酸(異性体2)。
【0055】
第1の反応後かつ第2の反応前に、当該化合物または化合物の混合物を含有する溶液中に存在する水の少なくとも一部が除去されることが好ましい。水分離ステップは、特に水中触媒が第2のステップに使用される場合、または水による希釈が望ましい場合、任意である。
【0056】
本発明の反応は好ましくは、約250K〜約1000Kの範囲で行われる。本発明のいくつかの実施形態では、反応ステップは、約25℃、50℃、100℃、150℃、200℃、300℃、400℃、または500℃以上の温度で実施される。本発明のいくつかの実施形態では、反応ステップは、約100℃、150℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、または750℃以下の温度で実施される。本発明の特定の好ましい実施形態に利用される温度範囲の非限定的だが例示的な例としては、約100℃〜500℃、約150℃〜500℃、約200℃〜500℃、約250℃〜500℃、約100℃〜400℃、約150℃〜400℃、約200℃〜400℃、および約250℃〜500℃が挙げられる。本発明の反応は、触媒の存在下または不存在下のいずれかで実施され、適切な触媒の存在下で良好な効果のためにより低い温度を利用できることが一般的であり、これは当業者により容易に決定できる。
【0057】
本発明の反応は準大気圧から極めて高い圧力までのさまざまな圧力範囲で実施されてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、反応ステップは、およそ大気圧、2bar、5bar、10bar、20bar、35bar、50bar、100bar、200bar、500bar、またはこれ以上の圧力で実施される。本発明のいくつかの実施形態では、反応ステップは、大気圧、2bar、5bar、10bar、20bar、35bar、50bar、100bar、200bar、500bar、または1000bar以下の圧力で実施される。本発明の特定の好ましい実施形態で利用される圧力範囲の非限定的だが例示的な例としては、0〜15bar、2bar〜100bar、5bar〜100bar、10bar〜100bar、20bar〜100bar、35bar〜100bar、および50bar〜100barが挙げられる。場合によっては、本発明の所望の出力は、触媒の存在下または不存在下にて比較的高い温度および圧力の組み合わせを使用することにより向上させることができる。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、反応の1つ以上は、100℃〜500℃の範囲の温度および20bar〜100barの範囲の圧力、または200℃〜500℃の範囲の温度および20bar〜100barの範囲の圧力で起こる。
【0058】
一実施形態では、第2のステップから生じる生成物または生成混合物は、独立して、
【0059】
【化5】
からなる群から選択され、
式中、Rは、分岐鎖および非分岐鎖C〜C34アルカン、分岐鎖および非分岐鎖C〜C20アルキルアルコール、ならびに分岐鎖および非分岐鎖C〜C34アルケンなる群から選択され、より好ましくは、メチル、エチル、グリセリル、2−エチルヘキシル、2−プロパノリル、ブタノリル、およびラウリルからなる群から選択される。
【0060】
別の実施形態では、第2のステップの生成物または生成混合物は、第3の温度および第3の圧力で試薬および触媒と組み合わせられてもよい。好ましい実施形態では、試薬はオレフィンであり、触媒は、好ましくは、パラジウム、プラチナ、ルテニウム、モリブデン、タングステン、レニウム、スズ、およびロジウムオレフィンメタセシス触媒、およびこれらの混合物からなる群から選択されるオレフィンメタセシス触媒である。特定の触媒の例は、主な文献、特許文献、および雑誌、例えば、Grubbs,R.H.ら、J.Am.Chem.Soc.2011年、133巻、7490〜7496ページ;Kadyrov,R.ら、Top.Catal.2012年、55巻、538〜542ページ;Hoveyda,A.H.ら、J.Am.Chem.Soc.2009年、757(31)巻、10840〜10841ページ;Grubbs,R.H.ら、J.Am.Chem.Soc.2012年、134(1)巻、693〜699ページ;Schrodi,Y.ら、Clean 2008年、36(9)巻、669〜673ページ;Elevance Renewable Sciences Inc.の米国特許出願公開第2013/0289327号;およびBurk,M.J.らの米国特許出願公開第2009/0155866号に見出すことができる。好ましい触媒はスキーム1に示される(Grubbs,R.H.ら、J.Am.Chem.Soc.2011年、133巻、7490〜7496ページ)。第3のステップのオレフィンは、好ましくは、分岐鎖および非分岐鎖C〜C20アルケン、分岐鎖および非分岐鎖C〜C20アルケン酸、分岐鎖および非分岐鎖C〜C20アルケン酸エステルなる群から選択され、オレフィンは場合により置換されている。オレフィンは、より好ましくは、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−2−プロペン、アクリル酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、およびアラキドン酸、およびこれらのエステルからなる群から選択される。
【0061】
別の好ましい実施形態では、試薬はアルコールであり、触媒は、均一系および不均一系酸および塩基、糖、リパーゼ、イオン交換樹脂、金属酸化物、およびゼオライトからなる群から選択される。触媒はより好ましくは、KOH、KOCH、NaOCH、NaOH、HSO、HCl、Amberlite樹脂(登録商標)、Amberlyst樹脂(登録商標)、CaO−CeO、ZSM−5ゼオライト、およびこれらの混合物からなる群から選択される。第3のステップのアルコールは、好ましくは、分岐鎖および非分岐鎖C〜C34アルキルアルコール、分岐鎖および非分岐鎖C〜C20アルキルジオール、ならびに/または分岐鎖および非分岐鎖C〜C34アルケノールなる群から選択される。アルコールは、より好ましくは、メタノール、エタノール、グリセロール、2−エチルヘキサノール、プロパンジオール、ブタンジオール、および/またはラウリルアルコールからなる群から選択される。
【0062】
別の実施形態では、第1のステップから得られる生成物または生成混合物は、C以下を有する分子を含む。pHに応じて、成分は塩形態であってもよい。いくつかの実施形態では、選択した試薬に応じて、対イオンは、アンモニウム、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、および/またはセシウムのカチオンから独立して選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、生成物または第1の生成混合物は、独立して、
【0064】
【化6】
からなる群から選択される化合物を含む。
式中、R、R、R、R、およびRは、H、分岐鎖および非分岐鎖C〜Cアルキル、ならびに分岐鎖および非分岐鎖C〜Cアルケニルからなる群から独立して選択される。
【0065】
化学製品、例えば、バイオベースMVLをバイオ産生するための1つの有用な方法は発酵である。発酵手順は当業者に周知されている。メバロネート等の標的化合物の生合成製造のための一組の相補的代謝生物の発酵は、例えば、バッチ発酵、流加発酵、または連続発酵に利用できる。加えて、これらの発酵方法のいずれかはさらに、バッチ分離または連続分離等の発酵手順に適用できる周知の分離方法と併用できる。メバロネート等の標的化合物の生物学的製造に適用可能な発酵方法および分離方法の例示的な組み合わせとしては、例えば、バッチ発酵およびバッチ分離、バッチ発酵および連続分離、流加発酵およびバッチ分離、流加発酵および連続分離、連続発酵およびバッチ分離、または連続発酵および連続分離が挙げられる。バッチ発酵手順および連続発酵手順の例は当該技術分野において周知である。
【0066】
メバロネートは天然微生物および非天然微生物の両方から産生され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、生合成MVL経路によりMVLおよび/またはMVL誘導体を発現できる遺伝子組換えされた非天然微生物を提供する。本発明は、バイオベースMVLおよびMVL誘導体の産生における生合成MVL経路を発現でき、好ましくは実際に発現する天然および非天然微生物の両方を用いる方法をさらに提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、(a)生合成MVL経路を発現する微生物を提供するステップと、(b)好適な炭素基質を含む発酵培地で微生物を増殖させ、バイオベースMVLが産生されるステップとを含む方法を提供する。
【0067】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、本発明は、(a)生合成MVL経路を発現する微生物を提供するステップと、(b)好適な炭素基質を含む発酵培地で微生物を増殖させ、バイオベースMVLが産生されるステップと、(c)当該バイオベースMVLを反応させて生成物または生成混合物を生じさせるステップとを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、反応は触媒、好ましくは、固体触媒の存在下にて起こる。いくつかの実施形態では、反応は高温および/または高圧で起こる。いくつかの実施形態では、第1の生成物または生成混合物は、その後、1つ以上の後の反応でさらに反応する。例えば、第1の生成物または生成混合物は、上述のように、任意で触媒存在下にて、かつ任意で高温および/または高圧で、アルコールまたはオレフィンと反応できる。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明は、代謝修飾、例えば、バイオベースMVL産生を可能にする代謝修飾を導入することによって非天然微生物を形成する方法を提供する。いくつかの好ましい実施形態では、代謝修飾は、i.mvaE、mvaS;ii.mvaE、mvaS、atoB;および/またはiii.atoB、hmgR、hmgS、またはこれらの機能的相同体(またはオルソロガス遺伝子)の遺伝子セットのうち少なくとも1つを含む。語句「機能的相同体」とは、共通の祖先および配列保存のため類似しており、触媒、細胞、または生物レベルで同一または類似の機能を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を意味する。このような代謝修飾は、メバロネートの安定した産生を可能にできる。本発明は、得られる非天然微生物および本発明のさまざまな態様を具現するさまざまな方法でこれを使用する方法をさらに提供する。上述の方法のいずれかで産生されるメバロネートは、上述したように、メバロネートが次のステップの前に単離されないように、または次のステップの前に分離されないように、統合方法で使用されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、代謝修飾はさらに、少なくとも1つの遺伝子の修飾または阻害を含む。好ましい実施形態では、遺伝子は、独立して、adh1〜adh7、gpd1、gpd2、ackA−pta、adhE、およびldhAからなる群から選択される。一実施形態において、非天然微生物は、バクテリア、酵母菌、藻類、および真菌からなる群から選択される。例示的なバクテリアとしては、E.coli、A.succiniciproducens、A.succinogenes、M.succiniciproducens、R.etli、Bacillus subtilis、Corynebacterium glutamicum、Gluconobacter oxydans Zymomonas mobilis、Lactococcus lactis、Lactobacillus plantarum、Streptomyces coelicolor、Clostridium acetobutylicum、Clostridium sp.、Synechococcus elongates、Pseudomonas fluorescens、Methanosarcina sp.、Methylococcus sp.およびPseudomonas putidaからなる群から選択される種が挙げられる。例示的な酵母菌としては、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces lactis、Kluyveromyces marxianus、Aspergillus terreus、Aspergillus niger、Rhizopus oryzae、Rhizopus arrhizus、およびPichia sp.からなる群から選択される種が挙げられる。いくつかの実施形態では、微生物は、メタン資化性または光合成微生物、例えば、メタン資化性または光合成バクテリアである。
【0070】
一実施形態において、メバロネートは、天然のSaccharomycopsis fibuligera IFO 0107を利用して産生できる(Koikeら、J.Ferm.Bioeng.1989年、68(1)巻、58〜59ページ)。別の実施形態では、メバロネート(MVA)はMVA生合成のために遺伝子を発現する組換えE.coliで産生された。HMG−CoAシンターゼ(mvaS)および二官能性HMG−CoA還元酵素/アセチルCoaAアセチルトランスフェラーゼ(mvaE)およびアセチルCoaAアセチルトランスフェラーゼ(atoB)はクローニングされて、内因性アセチルCoAプールを利用したE.coliにおけるメバロネートの産生経路を提供する。類似の方法は文献で実証される(Zhang,K.ら、PNAS 2014年、111(23)巻、8357〜8362ページ;Hashimoto,S.−I.ら、Biotech.Let.2004年、26巻、1487〜1491ページ;Endo,A.ら、J.Ferm.Bioengin.1989年、68(1)巻、58〜59ページ)。
【0071】
別の実施形態では、E.coli株BL21(DE3)は、T7プロモータによって推進されるコドン最適化E.feacalis mvaEおよびmvaS遺伝子を過剰発現し、クローニングされてメバロネート産生経路を提供した。
【0072】
別の実施形態では、E.coli株S.cerevisiae CEN.PKは、コドン最適化E.feacalis mvaEおよびmvaS遺伝子を過剰発現し、クローニングされてメバロネート産生経路を提供した。
【0073】
別の実施形態では、E.coli株BL21(DE3)は、すべてT7プロモータによって推進される、E.coli atoB遺伝子と一緒にコドン最適化S.cerevisiae hmgSおよびhmgR遺伝子を過剰発現し、組換えられてメバロネート産生経路を提供した。
【0074】
別の実施形態では、メバロネートは、文献で実証されるように、合成ガスまたはCO/Hブレンドを利用してClostridium sp.MT1243を使用して産生され得る(Kiriukhin,M.ら、Bioprocess Biosyst.Eng.2014年、37巻、245〜260ページ)。合成ガスまたは合成気体は、さまざまな炭素材料、例えば、石炭、酸加水分解リグノセルロースバイオマス、製鋼所の排気物からのガス回収、または天然ガスから入手可能である。
【0075】
別の実施形態では、Chlorella protothecoidesは、すべてCaMV35Sプロモータによって推進される、E.coli atoB遺伝子と一緒にコドン最適化E.coli mvaEおよびmvaS遺伝子を過剰発現し、組換えられて、光合成的独立栄養条件、混合栄養条件、または従属栄養条件のいずれかでCOからメバロネート産生経路を提供する。
【0076】
別の実施形態では、Methylococcus capsulatusは、すべてTrcプロモータによって推進される、E.coli atoB遺伝子と一緒にコドン最適化E.faecalis mvaEおよびmvaS遺伝子を過剰発現し、組換えられて、メタンまたはメタノールからメバロネート産生経路を提供する。
【0077】
メバロネートを産生する微生物の発酵は、炭素およびエネルギー、例えば、グルコース、スクロース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、CO、H、またはCO、および光、またはこれらの組み合わせを必要とする。これらのエネルギー源を供給する例示的な材料および/または基質としては、バイオマス、再生可能原料、天然ガス、バイオガス、石炭、および原油が挙げられる。バイオマスは任意の植物由来の有機材料として定義される。最適には、エネルギーのためのバイオマスは、持続可能な基材、例えば、草質エネルギー作物および木質エネルギー作物、農産食品および飼料作物、農作物廃棄物および残渣、木質廃棄物および残渣、水生植物、ならびにその他の廃棄物(すなわち、何らかの一般廃棄物)から得られる。供給原料として使用可能なバイオマスの供給源は、セルロース系バイオマス、ヘミセルロース系バイオマス、またはリグノセルロース系バイオマス、例えば、農業残渣(すなわち、小麦ストラス(strass)トウモロコシ茎葉、バガス、小麦または綿の木くず)、クサヨシ、トウモロコシ、小麦、綿、木くず、またはエネルギー作物(すなわち、ススキ)である。再生可能原料は、再生可能なエネルギー供給源、例えば、バイオマス由来の材料を含む生命体またはその代謝副産物に由来する材料として定義される。農業残渣の利用に加えて、再生可能原料として使用するために栽培される作物としては、トウモロコシ、ダイズ、アメリカクサキビ、小麦、アマニ、サトウキビ、パーム油、および樹木(すなわち、ポプラ)が挙げられる。
【0078】
バイオマスおよび再生可能原料は、さまざまな炭化水素の特に有用な供給源である。より詳細には、グルコースは、文献(Kwiakowski,J.R.ら、Ind.Crops Prod.2006年、23巻、288〜296ページ)で実証されるようにトウモロコシ乾式粉砕方法から入手可能である。トウモロコシ茎葉のグルコースへの変換例については、 Dudgeon,D.ら、Process Design and Economics for Biochemical Conversion of Lignocellulosic Biomass to Ethanol:Dilute−Acid Pretreatment and Enzymatic Hydrolysis of Corn Stover(National Renewable Energy Laboratory(NREL)、Golden,CO.、2011年)参照。
【0079】
前述のバイオマスおよび再生可能原料は、生合成生成物の相補的代謝生物の増殖培地に使用可能な種々の炭化水素の有用な供給源である。特に有用な炭素源としては、細胞増殖に有用なさまざまな単純炭化水素または複合炭水化物を含有する培地または原料が挙げられる。一実施形態において、栄養素および培地は、グルコース、スクロース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、CO、およびCOからなる群から選択される少なくとも1つの炭素基質を含む。好ましい実施形態では、栄養素および培地は再生可能原料である。一実施形態において、再生可能原料はバイオマスから誘導される。好ましい実施形態では、再生可能原料は、セルロース系バイオマスまたはヘミセルロース系バイオマスからなる群から選択される。別の実施形態では、再生可能原料は、炭化水素、芳香族化合物、およびリグニンからなる群から選択される炭素源を含む。
【0080】
本発明のさまざまな実施形態のさらなる利点は、本開示ならびに以下に示される実施例および/または仮想例を考慮することにより、当業者には明白となるであろう。本明細書に記載されるさまざまな実施形態は、本明細書において別途明記されない限り、必ずしも相互に排他的ではないことが認識されるだろう。例えば、一実施形態に記載または記述された特徴は、他の実施形態に含まれてもよいが、必ずしも含まれない。したがって、本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態のさまざまな組み合わせおよび/または統合を包含する。
【0081】
本明細書で使用する場合、2つ以上の項目のリストで使用されたときの語句「および/または」は、列挙された項目のいずれか1つが単独で利用できること、または列挙された項目の2つ以上の任意の組み合わせが利用できることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、および/またはCを含有または排除するものとして記述される場合、この組成物は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを含有または排除できる。
【0082】
本発明の記載はさらに、本発明のさまざまな実施形態に関連する特定のパラメータを定量化するために数値範囲を使用する。数値範囲が与えられた場合、このような範囲は、範囲の下限値のみを述べたクレームの限定および範囲の上限値のみを述べたクレームの限定に対する文字通りの支持を与えるものとして考慮されるものであると理解すべきである。例えば、約10〜約100の開示された数値範囲は、「約10を超える」(上界値なし)と述べるクレームおよび「約100未満」(下界値なし)と述べるクレームの文字通りの支持を与える。さらに、上限値または下限値を構成する数値または数値範囲、例えば、「100以上」、「100以下」、または「10〜100」が与えられた場合はどんなときでも、このような限界値または数値範囲が、数値の前の語「約」を組み込むクレームの限定の文字通りの支持を与えるものとして解釈されることを理解すべきである。例えば、「10〜100」は、「約10〜約100」を引用するクレームの限定の文字通りの支持を与えると理解すべきである。
【実施例】
【0083】
以下の実施例は、本発明による好ましい方法を記載する。しかしながら、これらの実施例は例示のために与えられ、実施例中の何も本発明の範囲全体に対する限定としてとられるべきではないことが理解されるべきである。加えて、精製されたメバロネートを用いて行われたすべての実施例は未精製材料を用いて行ってもよい。
【0084】
実施例1
プラスミドおよびE.coli株の構築
Enterpcoccus faecalis V583のmvaE(アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ/HMG−CoA還元酵素、GenBank番号AAG02438)およびmvaS(HMG−CoAシンターゼ、GenBank番号AAG02439)をコードする遺伝子セグメントをそのゲノムDNA(ATCCから入手)から増幅した。これらのセグメントは、IPTG誘導Trcプロモータ−−lacオペレータの制御下でベクター(pBR322由来の骨格、アンピシリンマーカー、lacIq、rrnB転写終了配列を持つ)に挿入されプラスミドpSE1を得た(配列番号1)。
【0085】
XL−1 Blue株の化学的にコンピテントなE.coli細胞(endA1 gyrA96(nal)thi−1 recA1 relA1 lac glnV44 F’[::Tn10 proAB lacI Δ(lacZ)M15]hsdR17(rΚ mΚ))は、Sambrook−Maniatis(Green,M.R.;Sambrook,J.Ed.Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、2002年)に概説された手順を使用してプラスミドpSE1を用いて形質転換した。
【0086】
実施例2
メバロノラクトン製造
E.coli SE1株を、220rpmのオービタルシェーカーに置かれた37℃でインキュベートされた1Lコニカルフラスコ内の培地250mL中にアンピシリン100μg/リットルを補足したLB培地で10時間増殖させ、3のOD600に達した。これは、Infors社の5リットルバイオリアクタにおける生成での接種材料として使用された。1.75リットルの産生培地(15g/lのグルコース、7g/lのKHPO、1g/lのNHCl、5g/lの酵母菌抽出物、1g/lのクエン酸、10mgのMnSO、2g/lのMgSO、200mg/lのFeSO、および10mg/lのチアミン−HClを含有)をバイオリアクタ内で250mLの接種材料と混ぜ合わせた。pHは20%NHOHを用いて7で維持された。温度を32℃で維持した。2リットル/分(LPM)で空気をスパージし、撹拌は700rpmで維持した。接種してから10時間後、1mlの1M IPTGをバイオリアクタに添加した。消泡剤を必要に応じて添加した。グルコース濃度は、2時間間隔でバイオリアクタに600g/lのグルコース溶液を添加することで約10g/lに維持した。バイオリアクタの動作は48時間で停止された。細胞は0.45マイクロフィルタを使用して培養液から分離し、透明な培養液を得た。メバロノラクトン濃度は発酵終了時点で40g/lであることが判明した。
【0087】
実施例3
メバロノラクトン精製
実施例2の透明な培養液を、ロータリーエバポレータにおける蒸発により400mLの体積になるまで濃縮し、20%HSOの添加によりpH2まで酸性化した。溶液がNaClで飽和するまでNaClを添加した。800mLの酢酸エチルを得るために200mLを4回使用して酢酸エチルにメバロノラクトンを抽出した。これをロータリーエバポレータで200mLまで濃縮した。メバロノラクトンを酢酸エチルから150mLの10M NaOH溶液に逆抽出した。酸性化およびエチル抽出ステップを繰り返し、酢酸エチルをすべて蒸発させて、95%超の純度のメバロノラクトンを得た。
【0088】
実施例4
プラスミドおよび藍色細菌株の構築
Enterococcus faecalis V583のmvaE(アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ/HMG−CoA還元酵素、GenBank番号AAG02438)およびmvaS(HMG−CoAシンターゼ、GenBank番号AAG02439)をコードする遺伝子セグメントをそのゲノムDNA(ATCCから入手)から増幅する。これらのセグメントは、構築プロモータ(constitutive promoter)psbA1の制御下でベクターMCSに挿入され、プラスミドpMSE1を得る。
【0089】
構築物は、製造業者の手順(Invitrogen、GeneArt(登録商標) Synechococcus Protein Expression Kit、文献番号MAN0009792、16〜17ページ)に従って、プラスミドpMSE1を使用してCyanobacterium Synechococcus elongatus株PCC7942ゲノムに挿入され、株S.elongatus MSE1を得る。
【0090】
実施例5
メバロノラクトンの光合成産生
S.elongatus MSE1株を、50mMのNaHCOおよび10mg/lのチアミンを補足したBG−11培地で増殖させる。細胞は、細胞培地から15cm離して置かれた8つの86cmの20W蛍光灯により提供され蛍光(55μEs−1−2)下で30℃でインキュベートした1リットルRouxボトルの培地600mL中で増殖させ、5%COを含む空気により通気した。毎日細胞培地の全体積の10分の1を細胞培地から除去する。その後、同体積の0.5M NaHCOを含有する新鮮培地を細胞培地に添加する。NaHCOを含む細胞培地のpHは、毎日10 NHClにより7.5に調節される。これを10日間行う。
【0091】
実施例6
アセテートからのメバロノラクトンの製造
E.coli SE1株を、220rpmのオービタルシェーカーに置かれた37℃でインキュベートされた15mlチューブ内の培地5mL中にアンピシリン100μg/リットルを補足したLB培地で10時間増殖させ、3のOD600に達した。これは、250ml振とうフラスコにおける生成での接種材料として使用された。50mlの産生培地(5g/lの酢酸ナトリウム、7g/lのKHPO、1g/lのNHCl、5g/lの酵母菌抽出物、1g/lのクエン酸、10mgのMnSO、2g/lのMgSO、200mg/lのFeSO、および10mg/lのチアミン−HClを含有)を振とうフラスコ内で5mLの接種材料と混ぜ合わせた。pHは20%NHOHを用いて7で維持された。温度を32℃で維持した。接種してから10時間後、25μlの1M IPTGをフラスコに添加した。アセテート濃度は、6時間間隔で振とうフラスコに300g/lの酢酸ナトリウム溶液を添加することで約2g/lに維持した。動作は72時間で停止された。細胞は0.45マイクロフィルタを使用して培養液から分離し、透明な培養液を得た。メバロノラクトン濃度は発酵終了時点で8g/lであることが判明した。
【0092】
実施例7
グリセロールからのメバロノラクトンの製造
E.coli SE1株を、220rpmのオービタルシェーカーに置かれた37℃でインキュベートされた15mlチューブ内の培地5mL中にアンピシリン100μg/リットルを補足したLB培地で10時間増殖させ、3のOD600に達した。これは、250ml振とうフラスコにおける生成での接種材料として使用された。50mlの産生培地(10g/lのグリセロール、7g/lのKHPO、1g/lのNHCl、5g/lの酵母菌抽出物、1g/lのクエン酸、10mgのMnSO、2g/lのMgSO、200mg/lのFeSO、および10mg/lのチアミン−HClを含有)を振とうフラスコ内で5mLの接種材料と混ぜ合わせた。pHは20%NHOHを用いて7で維持された。温度を32℃で維持した。接種してから10時間後、25μlの1M IPTGをフラスコに添加した。グリセロール濃度は、6時間間隔で振とうフラスコに400g/lのグリセロール水溶液を添加することで約5g/lに維持した。動作は72時間で停止された。細胞は0.45マイクロフィルタを使用して培養液から分離し、透明な培養液を得た。メバロノラクトン濃度は発酵終了時点で15g/lであることが判明した。
【0093】
実施例8
合成気体からのメバロノラクトンの製造
合成気体(さまざまな比率でのCO、CO、およびHの混合物)からのメバロノラクトンの製造は、Kiriukhinらにより記載され(「Mevalonate production by engineered acetogen biocatalyst during continuous fermentation of syngas or CO/H blend」、Bioprocess Biosyst.Eng.2014年、37巻、245〜260ページ)、本明細書にその全体が組み込まれている。
【0094】
実施例9
プラスミドおよび酵母菌株の構築
プロモータおよびターミネータDNA配列は、カナダのBiobasic,Inc.により合成された。E.faecalisの酵素mvaEおよびmvaS(A110G)のコドン最適化遺伝子配列はBiobasicniyoriにより合成された。TDH3プロモータおよびADH1ターミネータの制御下でmvaEを、ならびにTEF1プロモータおよびACT1ターミネータの制御下のmvaS(A110G)をコードする配列はベクター(2ミクロンの起点、URA3マーカー、およびアンピシリンマーカーを含有)にクローニングされ、プラスミドpVS19(配列番号2)を得た。
【0095】
酵母菌S.cerevisiae CEN.PK2−1C(MATa;ura3−52;trpl−289;leu2−3,112;his3Δ1;MAL2−8;SUC2)は、Sambrook−Maniatis(Green,M.R.;Sambrook,J.Ed.Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、2002年)に概説される手順を使用してプラスミドpVS19を用いて形質転換され、株S.cerevisiae VS19を得た。
【0096】
実施例10
スクロースからのメバロノラクトンの製造
S.cerevisiae VS19株を、220rpmのオービタルシェーカーに置かれた30℃でインキュベートされた15mlチューブ内の5mLのCMグルコース培養液マイナスウラシル(Teknovaカタログ番号C8140)培地で72時間増殖させた。細胞は0.45マイクロフィルタを使用して培養液から分離し、透明な培養液を得た。メバロノラクトン濃度は発酵終了時点で1.2g/lであることが判明した。
【0097】
実施例11
初期リアクター条件
固定床リアクターの設定
反応は、高精度マスフローコントローラにより制御された3つのガスラインと、液体原料を高精度ポンプを介して運搬する1つの液体供給ラインとを備えた高圧小規模試験ユニット(図1)で行われる。ユニットは、3ゾーン炉により外部から加熱されたステンレススチール固定床リアクターと共に動作するが、リアクターの出口流は、熱交換器を介して冷却され、液体およびガス状生成物の分離および収集のために容器のシステムに向けられる。反応温度は触媒床に挿入された熱電対でモニタされた。液体生成物およびガス流の両方がガスクロマトグラフィーで分析された。
【0098】
触媒および供給原料
試験は、Grace(DAVICAT SIAL3113)により供給された市販の非晶質SiO/Al触媒およびZeolyst Inc.により供給された市販のZSM−5(SiO/Al比23−CBV2314)を用いて行われた。両方の場合において、触媒は粉末形態で供給された。非晶質SiO/Alは提供されたままで使用した。ZSM−5触媒は、アンモニウムをH形態に転換するために、500℃で3時間、空気中で焼成した。次いで試料を、使用前に粉砕して100〜180μmの粒径になるように篩過した。試験は、メバロノラクトンの10wt%水溶液および20wt%水溶液ならびに10wt%デヒドロメバロノラクトン(アンヒドロメバロノラクトンとも呼ばれる)を用いて行われた。
【0099】
触媒充填
まず、グラスウールのプラグをリアクターに挿入して詰めた後、リアクターに必要な触媒量を充填した。その上に別のグラスウールのプラグを挿入し、その後リアクターをユニットに接続した。
【0100】
実験手順および条件
メバロノラクトン転換試験は、適切な量(14.3g)の触媒が充填されたダウンフローステンレススチール固定床リアクターで行われた。触媒は30分間空気中300℃でその場で前処理した。供給材料導入の前に、不活性ガス(N)流下で所望の反応温度および圧力に達した。所望の反応条件に達するとすぐに、メバロノラクトン水溶液(10wt%メバロノラクトン)を高精度ポンプを用いて充填された管状リアクターに供給した。圧力を維持するために、少量のN流(50cm/分)を液体供給材料と一緒に供給した。反応は1時間−1または2時間−1の毎時重量空間速度(WHSV)を用いて36barの圧力で行われた。WHSVは全液体供給材料(溶液)に基づいて計算された。定常状態活動測定を、各条件について約2時間のオンストリーム後に行った。液体は、トラップ(約10℃)で収集されたが、ガス状試料はガスサンプリングバッグに収集された。
【0101】
生成物分析
ガス状生成物の分析は、直列バイパス構成で2つの検出器(FIDおよびTCD)および3つのカラム(MS、Porapak N、およびAl/KCl)を備えたGCで行った。液体はGC−MSで分析した。
【0102】
表1−実施例11の反応条件
【表1】
【0103】
非晶質SiO/Alを利用した反応の液体生成物のGC−MSによる分析によると、調査した温度のいずれでも生成物中に供給材料(すなわち、メバロノラクトン)の存在は示されず、研究した条件においてメバロノラクトンの完全な転換が達成されたことが示唆される。GC−MSによる液体生成物および温度の関数としてのガス状生成物の組成は、それぞれ表2および表3に提示される。
【0104】
表2−非晶質SiO/Alで得られたGC−MSによる液体生成物の分析
【表2】
【0105】
液体層で得られた主な生成物はアンヒドロメバロノラクトンであった。したがって、低温では脱水反応のみが生じる。限られた量のCOはいくらかのC炭化水素と一緒にガス状生成物中で検出された。
【0106】
温度が300℃まで上昇すると、液体生成物は2つの別個の層、すなわち、上層を成す油相と、エマルションに似ており下部にたまっている水相とに分離した。2つの相は分離され、別個に分析された。水相は、主に3−メチル−2−ブタノン、3−メチル−3−ブテン−1−オール、およびアンヒドロメバロノラクトンからなり、脱水および開環反応の両方が起こったことが示された。油相は非常に複雑で、低濃度の150種類以上の化合物からなっていた。表2に示す分析は1.5%超の濃度で検出された成分を表す。この相中の最も豊富にある化合物はベンゼン環を有する芳香族炭化水素であった。少量のイソプレンが、300℃で油相および水相の両方で検出された。ガス状生成物(表3)は、CO生成物の増加(高い程度の激しいクラッキング反応)および少量の軽質炭化水素を示した。
【0107】
温度を400℃まで上げた場合、液体生成物は、エマルション状テクスチャの均質な一相生成物へと戻る。この場合、アンヒドロメバロノラクトンは検出されず、主要生成物は3−メチル−2−ブタノンであった。C〜Cの範囲の相当量の軽質アルカンおよび軽質オレフィンも生成され、このような高温(400℃)では、ラクトン供給材料の広範囲の脱炭酸およびクラッキングが起こることが示された。
【0108】
表3−非晶質SiO/Alで得られたガス状生成物の分析
【表3】
【0109】
ZSM−5を用いた触媒の結果
非晶質SiO/Alについて言えば、未転換メバロノラクトンはZSM−5触媒を用いた、調査した温度のいずれの液体生成物においても検出されなかった。これは、メバロノラクトンの完全な転換はZSM−5を用いて研究された条件下でも達成されたことを示す。GC−MSによる液体生成物および温度の関数としてのガス状生成物の組成は、それぞれ表4および表5に提示される。
【0110】
200℃において、反応の液体生成物はエマルション状均質溶液であった。得られる主な生成物は無水形態のメバロノラクトンおよび3−メチル−2−ブタノンである。限られた量のCOがガス生成物で検出された。非晶質シリカ−アルミナと比較して、脱水メバロノラクトンのみが200℃で観察された場合、いっそう多くの酸性ZSM−5触媒は脱水だけでなく脱炭酸も触媒した。
【0111】
400℃においては、液体生成物は2つの別個の層、すなわち、上層を成す油相と、水性エマルション状相とに分離した。2つの相は再び分離され、別個に分析された。水相は主に酢酸/プロパン酸、アセトン、およびトルエンからなっていた。200℃および非晶質シリカアルミナでの結果とは対照的に、3−メチル−2−ブタノンは観察されなかった。これは、広範囲の脱炭酸/クラッキング反応の発生を示す。油相は、芳香族化合物、例えば、p−キシレン、トルエン、1,2,3−トリメチルベンゼン、および1−エチル−2−メチルベンゼンから構成されていた。これらの芳香族化合物は、おそらくは、ZSM−5での中間生成物として生じるオレフィンのオリゴマー化反応の結果である。COおよび少量の軽質炭化水素(アルカン/アルケン)は表5に示されるように気相で検出された。
【0112】
表4−ZSM−5で得られたGC−MSによる液体生成物の分析
【表4】
【0113】
表5−ZSM−5で得られたガス状生成物の分析
【表5】
【0114】
実施例12
非晶質SiO/Alでの温度の効果
実施例12の反応は、実施例11に記載されたものと類似の手順で行われた。
【0115】
表6−実施例12および実施例13の反応条件
【表6】
【0116】
GC−MSによる液体生成物ならびに275℃および325℃(表6の条件1および条件2)におけるガス状生成物の組成は、それぞれ表7および表8に提示される。先に調査した温度(200℃、300℃、および400℃)についての結果も比較のために提示される。GC−MSによる反応の液体生成物の分析によると、調査した温度のいずれでも生成物中に供給材料(すなわち、メバロノラクトン)の存在は示されず、研究した条件においてメバロノラクトンの完全な転換が達成されたことが示唆される。
【0117】
表7−一定のWHSVおよび圧力ならびに多様な温度での実験における非晶質SiO/Alで得られたGC−MSによる液体生成物の分析
【表7】
【0118】
表8−一定のWHSVおよび圧力ならびに多様な温度での実験における非晶質SiO/Alで得られたガス状生成物の分析
【表8】
【0119】
275℃で得られる主な生成物は、3−メチル−2−ブタノンであったがイソプレンは形成されなかった。325℃では、3−メチル−2−ブタノン、2−メチル−2−プロパノール、およびデヒドロメバロノラクトンと一緒に、イソプレンが測定可能な量で形成された。無水形態の存在は325℃では予期されなかったが、これは脱水が275℃でも完了していると思われたためである。しかし、この矛盾は、275℃の実験の供給材料がデヒドロメバロノラクトン(200℃でASAを用いた先の実験で得られる)であったのに対し、325℃での実験はデヒドロメバロノラクトンおよび新鮮な供給材料(すなわち、メバロノラクトン)の混合物を用いて行われたことにより説明できる。
【0120】
ガス状生成物(表8)は、温度に伴う一定のCO排出量の傾向は示さないが、これは再び、調査した条件で使用されるさまざまな供給材料に起因し得る。しかしながら、軽質炭化水素の濃度は温度と共に増加し、より高い程度のクラッキング反応を示すことが明らかである。
【0121】
イソプレン形成に関する最適な結果が325℃で得られたため、この温度が、非晶質SiO/Alでのメバロノラクトンの脱炭酸における、WHSVおよび供給材料希釈の効果のさらなる調査のために選択された。
【0122】
実施例13
非晶質SiO/Alにおける供給材料濃度およびWHSVの効果
実施例11に類似の手順が使用された。反応条件は表6に記載されている。表9および表10は、高いWHSVで得た、供給材料中のメバロノラクトン濃度が高い、液体生成物およびガス状生成物の組成をそれぞれ表す。参照条件(WHSV=1時間−1、10%水溶液)もまた比較のために1番目の縦列に示される。
【0123】
しかしながら、イソプレンの産生の明らかな増加が見てとれ、これは中間生成物であるため、より短い滞留時間が好まれることが示される。2−メチル−2−プロパノール濃度でも増加が観察されたが、3−メチル−2−ブタノンの形成は影響を受けていないようである。
【0124】
主な変化は、メバロノラクトンの供給材料濃度が10wt%から20wt%に増加されたときに検出された。イソプレン形成の1桁の増加がより高い供給材料濃度で記録された。20wt%メバロノラクトン供給材料における唯一のその他主要生成物は3−メチル−2−ブタノンであった。これらの結果は、イソプレンの量を増加するためには、より高い空間速度およびより高濃度の供給材料が利用されるべきであることを示唆する。
【0125】
表9−325℃でのさまざまな供給材料組成およびWHSVでの実験における非晶質SiO/Alで得られたGC−MSによる液体生成物の分析
【表9】
【0126】
表10−325℃でのさまざまな供給材料組成およびWHSVでの実験における非晶質SiO/Alで得られたガス状生成物の分析
【表10】
【0127】
20%メバロノラクトン水溶液を用いた実験のさらなる分析
上述のように、20%メバロノラクトン水溶液を用いて325℃で非晶質SiO/Alにおいて行われた実験は、GC−MS分析における全生成物面積ピークに対するイソプレンの面積%としての液体生成物中のイソプレンが高い割合であることを示した。この条件はイソプレン形成に関しては最も期待できる結果を示したため、イソプレンの量を定量化するために液体生成物試料のさらなる分析を行った。第1のステップは、カール−フィッシャー法(ASTM D6304)を用いて液体生成物中の水の量を測定することから構成される。水は液体生成物中約94wt%であると分かった。これは、反応の主要生成物が水であり、液体生成物中の有機物質の濃度が<6wt%であることを示した。さらに、GC−MSのイソプレン標準物質を使用した半定量分析を行って、所望の生成物の実際の濃度を測定しようと試みた。これらの結果は、イソプレンの実際の濃度がおそらく<3wt%であり、残りは3−メチル−2−ブタノンおよびその他の特定できない成分であることを指摘した。
【0128】
実施例14
イソプレンの合成
イソプレンへのメバロノラクトン転換は、実施例11に従って、非晶質SiO/Al触媒が充填されたダウンフローステンレススチール固定床リアクターで行われる。触媒は30分間空気中300℃でその場で前処理した。供給材料導入の前に、不活性ガス(N)流下で所望の反応温度325℃および圧力36barに達した。所望の反応条件に達するとすぐに、メバロノラクトン水溶液(600gメバロノラクトン/L)水溶液を高精度ポンプを用いて充填された管状リアクターに供給した。圧力を維持するために、少量のN流(50cm/分)を液体供給材料と一緒に供給する。反応は2時間−1の毎時重量空間速度(WHSV)を用いて36barの圧力で行われた。WHSVは全液体供給材料(溶液)に基づいて計算された。定常状態活動測定を、約2時間のオンストリーム後に行う。液体は、トラップ(約10℃)で収集するが、ガス状試料はガスサンプリングバッグに収集する。
【0129】
供給材料濃度および空間速度を変化させた追加の実験
上記の設定を使用して、14.3mgの触媒SiO/Al(粉末形態でそのまま使用される、Graceより入手したDAVICAT SIAL3133)を固定床リアクターに充填し、30分間空気中300℃]でその場で前処理する。実施例11から得た純粋メバロノラクトン水溶液を表11にまとめられているようなさまざまな条件でリアクターを通るように送り出される。各実験の主要生成物はイソプレンであり、副生成物は3−メチル−2−ブタノンである。
【0130】
表11−供給材料濃度および空間速度を変化させた追加の実験
【表11】
【0131】
実施例15
置換芳香族化合物の合成
置換芳香族化合物へのメバロノラクトン転換は、実施例11に記載されるように、非晶質ZSM−5触媒が充填されたダウンフローステンレススチール固定床リアクターで行われる。触媒は30分間空気中300℃でその場で前処理する。充填前に、ZSM−5触媒は、触媒をアンモニウムからH形態に転換するために、500℃で3時間、空気中で焼成した。試料を、使用前に粉砕して100〜180μmの粒径になるように篩過した。供給材料導入の前に、不活性ガス(N)流下で所望の反応温度(250℃、300℃、350℃)および圧力(36bar)に達する。所望の反応条件に達するとすぐに、メバロノラクトン水溶液(10%メバロノラクトン水溶液)を高精度ポンプを用いて充填された管状リアクターに供給する。圧力を維持するために、少量のN流(50cm/分)を液体供給材料と一緒に供給する。反応は1時間−1の毎時重量空間速度(WHSV)を用いて36barの圧力で行われる。WHSVは全液体供給材料(溶液)に基づいて計算される。定常状態活動測定を、約2時間のオンストリーム後に行う。液体は、トラップ(約10℃)で収集するが、ガス状試料はガスサンプリングバッグに収集する。生成物は、液体クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーにより分析されたように、芳香族化合物および3−メチル−2−ブタノンの混合物である。
【0132】
実施例16
アンヒドロメバロノラクトンの合成
アンヒドロメバロノラクトンへのメバロノラクトン転換は、実施例11に記載されるように、非晶質ZSM−5触媒が充填されたダウンフローステンレススチール固定床リアクターで行われる。触媒は30分間空気中300℃でその場で前処理した。充填前に、ZSM−5触媒は、触媒をアンモニウムからH形態に転換するために、500℃で3時間、空気中で焼成した。試料を、使用前に粉砕して100〜180μmの粒径になるように篩過した。供給材料導入の前に、不活性ガス(N)流下で所望の反応温度(70℃、100℃、121℃、150℃)および圧力(36bar)に達する。所望の反応条件に達するとすぐに、メバロノラクトン水溶液(10%メバロノラクトン水溶液)を高精度ポンプを用いて充填された管状リアクターに供給した。圧力を維持するために、少量のN流(50cm/分)を液体供給材料と一緒に供給する。反応は1時間−1の毎時重量空間速度(WHSV)を用いて36barの圧力で行われる。WHSVは全液体供給材料(溶液)に基づいて計算される。定常状態活動測定を、約2時間のオンストリーム後に行う。液体は、トラップ(約10℃)で収集するが、ガス状試料はガスサンプリングバッグに収集する。主要生成物は、液体クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーにより分析されたように、アンヒドロメバロノラクトンである。
【0133】
実施例17
アンヒドロメバロノラクトンの合成
アセトアセチルCoAプールは、酵素アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼatoBにより内因的にE.coliによって生成される。第1に、HMG−CoAシンターゼ(mvaSまたはhmgS)およびHMG−CoA還元酵素(mvaEまたはhmgR)は、クローニングされて、このプールからメバロネート産生経路を提供する。最大メバロネートフラックスに加えて、BlastP(Protein−Protein Basic Local Alignment Search Tool)を使用して、さまざまな生物、例えば、Enterococcus faecalis、Staphylococcusaureus、Lactobacillus casei、Methanococcus maripaludis、およびMethanococcus voltaeからのmvaSおよびmvaEを特定する。組み合わせ検定を使用して、メバロネート産生に対する最適なセットのmvaSおよびmvaEを特定する。メバロネート産生規模を拡大するために、L.caseiからの遺伝子をもつE.coli株は1.3Lバイオリアクターで発酵される。アンヒドロメバロノラクトンを調製するために、固体酸触媒を直接、発酵培養液に添加し、加熱還流させてメバロネートの脱水を触媒する。得られるアンヒドロメバロノラクトンは、クロロホルムを使用した溶媒抽出により単離される。混ぜ合わせられた有機相を減圧下で濃縮し、粗生成物を生成する。
【0134】
実施例18
p−トルエンスルホン酸を用いたアンヒドロメバロノラクトンの合成
10gmのメバロノラクトン(実施例2で得られる)を、10時間、1gmのp−トルエンスルホン酸/トルエンの存在下で還流させた。85%のアンヒドロメバロノラクトンの収率が観察された。生成物は飽和NaHCOで洗浄し、シリカゲルプラグを通して、>95%純度のアンヒドロメバロノラクトン(H NMR)を得た。
【0135】
実施例19
酢酸サマリウムを用いたアンヒドロメバロノラクトンの合成
200mgのメバロノラクトン(実施例2で得られた)を、1mLバイアル瓶中でアルゴンガスで30分間バブリングし、5mgの酢酸サマリウムをアルゴンガス流下で添加した。バイアル瓶を密封し、振とう器内に150℃で48時間入れた。NMRで確認されるように、アンヒドロメバロノラクトンが得られた。
【0136】
実施例20
塩化第2鉄を用いたアンヒドロメバロノラクトンの合成
200mgのメバロノラクトン(実施例2で得られた)を、1mLバイアル瓶中でアルゴンガスで30分間バブリングし、4mgのFeClをアルゴンガス流下で添加した。バイアル瓶を密封し、振とう器内に150℃で48時間入れた。NMRで確認されるように、アンヒドロメバロノラクトンが得られた。
【0137】
実施例21
Amberlyst(登録商標)35を用いたアンヒドロメバロノラクトンの合成
500mgのメバロノラクトン(実施例2で得られた)を10mLの水に溶解させ、10個のバイアル瓶に均等に分配した。各バイアル瓶には63mgのAmberlyst(登録商標)35wet(Dowより入手)を添加した。バイアル瓶を密封し、65psiまで加圧した後、5つのバイアル瓶を90℃まで加熱し、5つのバイアル瓶を150℃まで加熱した。100μlの試料をさまざまな時間間隔で取り除き、クエンチして、水で希釈し、LC−MSにより分析した。アンヒドロメバロノラクトンは、表12に強調されているように、形成された唯一の主要生成物であった。
【0138】
表12 Amberlyst(登録商標)35を用いたアンヒドロメバロノラクトン形成の分析
【表12】
【0139】
実施例22
アンヒドロメバロノラクトンのエテノリシス
厚いガラス壁で構成された1Lのガラスリアクターに窒素またはアルゴン下で適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン(500mL)、デヒドロメバロノラクトン(0.86mol)、およびGrubbsルテニウムメタセシス触媒(0.01〜1.0mol%)を充填した。窒素下にて10〜60分間撹拌後、容器を150psiのエチレンガスで加圧し、反応液を最長24時間かけて、または方法モニタリングが反応が完了したことを示すまで40℃で撹拌する。次に、未使用エチレンを除去して回収し、反応容器を大気中に開放する。溶媒の除去に次いで、粗生成物を精製する。
【0140】
実施例23
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のエテノリシス
厚いガラス壁で構成された1Lのガラスリアクターに窒素またはアルゴン下で適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン(500mL)、5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸(0.86mol)、およびGrubbsルテニウムメタセシス触媒(0.01〜1.0mol%)を充填した。窒素下にて10〜60分間撹拌後、容器を150psiのエチレンガスで加圧し、反応液を最長24時間かけて、または方法モニタリングが反応が完了したことを示すまで40℃で撹拌する。次に、未使用エチレンを除去して回収し、反応容器を大気中に開放する。溶液は水酸化ナトリウム水溶液(300〜500mL、1〜5M溶液)で処理し、水相は反応溶媒で2度抽出する。次いで、水相をpH0〜2まで酸性化し、ジクロロメタンまたはジエチルエーテル(5×100mL)で抽出する。溶媒の除去に次いで、粗生成物を精製する。
【0141】
実施例24
アンヒドロメバロノラクトンのメチルエステル
Amberlyst(登録商標)樹脂をアンヒドロメバロノラクトンのメタノール溶液に添加し、スラリーを加熱還流させる。24時間後、反応液を室温まで冷却し、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これは精製することなくさらなる反応で使用する。
【0142】
実施例25
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(Z)−ペンテン酸のメチルエステルのエテノリシス
厚いガラス壁で構成された1Lのガラスリアクターに窒素またはアルゴン下で適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、実施例24の5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(Z)−ペンテン酸のメチルエステル、およびGrubbsルテニウムメタセシス触媒(0.01〜1.0mol%)を充填した。窒素下にて10〜60分間撹拌後、容器を150psiのエチレンガスで加圧し、反応液を最長24時間かけて、または方法モニタリングが反応が完了したことを示すまで40℃で撹拌する。次に、未使用エチレンを除去して回収し、反応容器を大気中に開放する。溶媒の除去に次いで、粗生成物を精製する。
【0143】
実施例26
アンヒドロメバロノラクトンのエチルエステル
Amberlyst(登録商標)樹脂をアンヒドロメバロノラクトンのエタノール溶液に添加し、スラリーを加熱還流させる。24時間後、反応液を室温まで冷却し、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これは精製することなくさらなる反応で使用する。
【0144】
実施例27
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(Z)−ペンテン酸のエチルエステルのエテノリシス
厚いガラス壁で構成された1Lのガラスリアクターに窒素またはアルゴン下で適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン(500mL)、実施例26の5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(Z)−ペンテン酸のエチルエステル、およびGrubbsルテニウムメタセシス触媒(0.01〜1.0mol%)を充填した。窒素下にて10〜60分間撹拌後、容器を150psiのエチレンガスで加圧し、反応液を最長24時間かけて、または方法モニタリングが反応が完了したことを示すまで40℃で撹拌する。次に、未使用エチレンを除去して回収し、反応容器を大気中に開放する。溶媒の除去に次いで、粗生成物を精製する。
【0145】
実施例28
アンヒドロメバロノラクトンのグリセロールエステル
Amberlyst(登録商標)樹脂をアンヒドロメバロノラクトンのグリセロール溶液に添加し、スラリーを加熱還流させる。24時間後、反応液を室温まで冷却し、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これは精製することなくさらなる反応で使用する。
【0146】
実施例29
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(Z)−ペンテン酸のグリセロールエステルのエテノリシス
厚いガラス壁で構成された1Lのガラスリアクターに窒素またはアルゴン下で適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、実施例28の5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(Z)−ペンテン酸のグリセロールエステル、およびGrubbsルテニウムメタセシス触媒(0.01〜1.0mol%)を充填した。窒素下にて10〜60分間撹拌後、容器を150psiのエチレンガスで加圧し、反応液を最長24時間かけて、または方法モニタリングが反応が完了したことを示すまで40℃で撹拌する。次に、未使用エチレンを除去して回収し、反応容器を大気中に開放する。溶媒の除去に次いで、粗生成物を精製する。
【0147】
実施例30
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のメチルエステル
Amberlyst(登録商標)樹脂を5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のメタノール溶液に添加し、スラリーを加熱還流させる。24時間後、反応液を室温まで冷却し、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これは精製することなくさらなる反応で使用する。
【0148】
実施例31
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のメチルエステルのエテノリシス
厚いガラス壁で構成された1Lのガラスリアクターに窒素またはアルゴン下で適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、実施例30の5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のメチルエステル、およびGrubbsルテニウムメタセシス触媒(0.01〜1.0mol%)を充填した。窒素下にて10〜60分間撹拌後、容器を150psiのエチレンガスで加圧し、反応液を最長24時間かけて、または方法モニタリングが反応が完了したことを示すまで40℃で撹拌する。次に、未使用エチレンを除去して回収し、反応容器を大気中に開放する。溶媒の除去に次いで、粗生成物を精製する。
【0149】
実施例32
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のエチルエステル
Amberlyst(登録商標)樹脂を5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のエタノール溶液に添加し、スラリーを加熱還流させる。24時間後、反応液を室温まで冷却し、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これは精製することなくさらなる反応で使用する。
【0150】
実施例33
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のエチルエステルのエテノリシス
厚いガラス壁で構成された1Lのガラスリアクターに窒素またはアルゴン下で適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、実施例32の5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のエチルエステル、およびGrubbsルテニウムメタセシス触媒(0.01〜1.0mol%)を充填した。窒素下にて10〜60分間撹拌後、容器を150psiのエチレンガスで加圧し、反応液を最長24時間かけて、または方法モニタリングが反応が完了したことを示すまで40℃で撹拌する。次に、未使用エチレンを除去して回収し、反応容器を大気中に開放する。溶媒の除去に次いで、粗生成物を精製する。
【0151】
実施例34
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のグリセロールエステル
Amberlyst(登録商標)樹脂を5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のグリセロール溶液に添加し、スラリーを加熱還流させる。24時間後、反応液を室温まで冷却し、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これは精製することなくさらなる反応で使用する。
【0152】
実施例35
5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のグリセロールエステルのエテノリシス
厚いガラス壁で構成された1Lのガラスリアクターに窒素またはアルゴン下で適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、実施例34の5−ヒドロキシ−3−メチル−2−(E)−ペンテン酸のグリセロールエステル、およびGrubbsルテニウムメタセシス触媒(0.01〜1.0mol%)を充填した。窒素下にて10〜60分間撹拌後、容器を150psiのエチレンガスで加圧し、反応液を最長24時間かけて、または方法モニタリングが反応が完了したことを示すまで40℃で撹拌する。次に、未使用エチレンを除去して回収し、反応容器を大気中に開放する。溶媒の除去に次いで、粗生成物を精製する。
【0153】
実施例36
シリカ触媒を用いたイソプレンおよびメチルビニルケトンの高選択的生成
小さな体積の固定床リアクターに、1グラムのDavisilグレード62のシリカゲルを充填し、1.4sccmの窒素キャリアガスおよび2.5μL/分流量の20wt%メバロノラクトン水溶液は同軸注入により注入しながら250℃の温度まで加熱した。加えて、60〜70℃で保持されたリアクター後蒸気トラップを使用して水および脱水メバロノラクトンを捕集し、使用されるインラインGC−FIDまたは分析の汚染を防止する。これらの条件下で、インラインGC−FIDを使用して分析されるイソプレンの面積割合は91%であり、ピーク面積の7%はメチルビニルケトンとして特定された。
【0154】
モル当量のモデル流と比較したピーク面積分析に基づいて、イソプレン流の転化率は69%超であり、61%の最小の全収率(すなわち、メバロノラクトン1モル当たりイソプレン0.61モル)、イソプレンに対して91%の選択性を示す。各場合において、「全転換」が意味するのは、45℃のカラム温度で4分以内にGC−FIDにより検出可能なメバロノラクトンの生成物への転換量を意味し、脱水メバロノラクトンへの転換を明示的に含まない。メバロノラクトンのほぼ100%が消費され、完全に他の分子に転換されていなければ、脱水メバロノラクトンへと転換されることが予測される。
【0155】
さらなる実験はリアクターにおける滞留時間を変化させたが、低流量での選択性および転化率の増加を示した。250℃で2.5μL/分流量の20wt%メバロノラクトン水溶液および14.05sccmのキャリアガス流量は、84%のイソプレンピーク面積を示し、ピーク面積の14%はメチルビニルケトンであった。モデル流と比較した収率は、56%の最小転化率に対して48%を超えるイソプレン全収率を意味する。他のパラメータは変えないままで、7.0の中程度の滞留時間、1.4sccmのキャリアガスにおいて、イソプレン選択性は86%で、ピーク面積の11%がメチルビニルケトンであり、同じ推定法により、少なくとも59%の全収率に対して67%の最小全転化率であった。
【0156】
さらなる実験はリアクターにおける温度を変化させたが、より低温でのイソプレン選択性の増加を示した。300℃、10μL/分の20%メバロノラクトン水溶液および28.13sccmの窒素を用いて、イソプレンピーク面積は72%であり、47%の全収率に対して推定転化率は少なくとも66%である。
【0157】
さらなる実験では、約200mgのAerosil380シリカ触媒を使用して水中のメバロノラクトン濃度を変化させた。300℃、5μL/分の70%メバロノラクトン水溶液および14.05sccmの窒素を用いて、生成物分布は64%のイソプレン、24%のメチルビニルケトン、2%の2−メチル−1−ブテン、および2%の2−メチル−1−プロペンを示す。温度が上昇するにつれ、メチルビニルケトンの割合は増加するが、イソプレンは減少する。350℃では、イソプレンはピーク面積の36%、メチルビニルケトンはピーク面積の33%、2−メチル−1−ブテンはピーク面積の14%、2−メチル−1−プロペンはピーク面積の6%である。400℃では、イソプレンはピーク面積の21%、メチルビニルケトンはピーク面積の39%、2−メチル−1−ブテンはピーク面積の33%、2−メチル−1−プロペンはピーク面積の6%である。
【0158】
さらなる実験は、キャリアガスを除去し、リアクターに2.5μL/分で20%メバロノラクトンを流した。250℃では、イソプレンピーク面積は91%、メチルビニルケトンは3%、2−メチル−1−プロペンは4%であった。さらに低い温度では、イソプレンへの選択性の増加が見られた。200℃では、イソプレンピーク面積は96%、メチルビニルケトン2.5%であった。150℃では、イソプレンピーク面積は98.4%に達し、メチルビニルケトン1%であった。
【0159】
したがって、リアクター温度および滞留時間を変化させることにより、格別な選択性をもってイソプレンを製造するか、またはイソプレン、メチルビニルケトン、1−メチル−2−ブテン、および1−メチル−2−プロペンの望ましい生成物分布を作り出すための中間状態に切り替えることができる。これは、本出願人の分析ツールが定量的に低沸点化合物をモニタしただけであるため、生成物分布についての制限とみなすべきではない。リアクターの生成物を分析したときにみられるその他の生成物としては、2−ブテン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−ブタノン、1,4−ペンタジエン−3−オン、1−ペンテン−3−オン、1−メチル−1,3−シクロヘキサジエン、1−メチル−1,4−シクロヘキサジエン、トルエン、1−メチルシクロヘキサ−2,4−ジエン、フェノール、クロロベンゼン、キシレン、4−ペンテン−1−イルアセテート、1−(1,2−ジメチルシクロペンタ−2−エニル)エタノン、4−アセチル−1−メチルシクロヘキセン、および脱水メバロノラクトンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
実施例37
シリカに担持されたパラジウムでのメバロノラクトンの反応
実施例36と同じ試験リアクターを使用して、シリカに担持されたパラジウムであるSilicaCat Pd0触媒およそ500mgを試験した。325℃、10μL/分の20wt%MVL水溶液および28.13sccmの窒素キャリアガスを用いて、イソプレンピーク面積はおおよそ68%、メチルビニルケトンは5%、2−メチル−1−ブテンは4%、2−メチル−1−ペンテンは6%、2−ペンテンは15%である。
【0161】
さらなる実験では、さまざまな温度範囲および条件方法試験した。触媒がまず10μL/分の20wt%MVL水溶液および28.13sccmの窒素下で275℃で保持される場合、温度の上昇により、イソプレンに対する選択性が高くなり、ほぼゼロの選択性が高収率となる375℃では75%の選択性へと増加した。しかしながら、触媒がまず400℃で保持される場合、イソプレンに対する選択性は、温度が325℃に低下するにつれ高まり、375℃ではピーク面積の40%、350℃では55%、325℃では68%である。これは、パラジウムがゆっくりと失活しながら、より優先的に他の異性体を生成することを示す。
【0162】
さらなる実験では、さまざまな時間のオンストリームを試験した。上記の温度勾配方向試験を示されるように、オンストリーム時間を長くすることにより、一般によりパラジウムが失活し、他の生成物よりも高いイソプレン選択性がもたらされる。その他の生成物は、2−ペンテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、1,3,5−トリブチルベンゼン、およびその他のベンゼン誘導体を含む。
【0163】
さらなる実験では、さまざまな滞留時間を試験した。325℃において、5μL/分の20wt%MVL水溶液および14.05sccmの窒素を用いて、イソプレンの面積割合はおおよそ78%、メチルビニルケトンは11%、2−メチル−1−ブテンは5%、および2−メチル−1−プロペンは6%である。流量を10μL/分の液体MVL溶液および28.13sccmの窒素まで増加させることで滞留時間を半分にした場合、イソプレンのピーク面積は82%までわずかに増加し、メチルビニルケトンは9%、2−メチル−1−ブテンは3%、および2−メチル−1−プロペンは6%である。15μL/分のMVL溶液および41.72sccmの窒素の流量を使用して滞留時間が3分の1まで低減された場合、イソプレンピーク面積割合は81%までわずかに減少し、メチルビニルケトンは10%、2−メチル−1−ブテンは3%、および2−メチル−1−プロペンは7%である。この結果に基づいて、中程度の滞留時間がシリカに担持されたパラジウムに好ましいことが推定される。おおよそ1gm/mLの粉末タップ密度では、500mgの触媒は、おおよそ500μLの体積を有する。325℃では、1sccmの窒素は、約2mL/分の実流量である。325℃では、1μL/分の水の流量は、おおよそ1mL/分の実流量である。したがって、10μL/分のMVL水溶液および28.13sccmの窒素を用いると、推定滞留時間の0.45秒に対して実流量は66.26mL/分の実流量であると推定できる。
【0164】
さらなる実験では、水中のMVL濃度を変化させて試験した。すべての試験は325℃、40sccmの窒素で行われた。まず、10μL/分の100%MVLの試験により、イソプレンをピーク面積80%で生成したが、平均約70%に対して86分後は58%まで低下した。メチルビニルケトンは、ピーク面積約16%、2−メチル−1−ブテンは4%、2−メチル−1−プロペンは6%で存在した。100%MVL流量を5μL/分に減少させることにより、約64%の初期イソプレンピーク面積をもたらし、これは294分かけて60%まで低下した。メチルビニルケトンは、ピーク面積約21%、2−メチル−1−ブテンは7%、2−メチル−1−プロペンは7%で存在した。5μL/分の流量での70wt%MVL水溶液を使用すると、イソプレンピーク面積は、ピーク面積が約70%となりわずかに改善された。
【0165】
実施例38
アルミナシリカでのメバロノラクトンの反応
アルミナシリカ触媒Davicat SIAL3113での試験は、実施例11に記載したリアクターを使用して行った試験に加え、実施例36に記載されている器具で行った。この追跡試験において、実施例37と類似のオンストリーム時間挙動が見られ、イソプレンに対する初期選択性はほぼゼロであったが、何時間にもわたるオンストリーム後選択性は改善された。
【0166】
Davicatの最終性能は、73%のピーク面積をイソプレンとして8%をメチルイソプロピルケトンとして示す。これは、メチルイソプロピルケトンがかなりの量で存在するが、その他の触媒もいかなる触媒試験もメチルイソプロピルケトンをほぼまったく生成せず、代わりにメチルビニルケトン形成に有利に働くという点で他の試験とは最も区別される。実施例11〜14に示される生成物のリストに加えて、1−エチル−n−メチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1−メチル−3−(1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、4−エチル−1,2−ジメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、およびジエチルフタレートのいくつかの異性体を特定できた。Davicat SIAL3113触媒についてはオンストリーム時間に強く依存するため、示されている数字は大体の推定値としてのみみなすべきである。
【0167】
リアクター温度を変化させたさらなる実験は、300℃、28.13sccmの窒素で30μL/分の20wt%MVL水溶液では、イソプレンピーク面積は50%で始まり、300分間のオンストリームにわたって83%まで増加し、メチルイソプロピルケトンは同じ期間で20%から4%まで低下することが見て取れる。350℃、28.13sccmの窒素で30μL/分の20wt%MVL水溶液では、約73%のイソプレンピーク面積に対して、メチルイソプロピルケトンは約8%のピーク面積であった。
【0168】
圧力を変化させたさらなる実験は、高圧(500PSI)ではベンゼン誘導体が好まれ、イソプレン選択性の低下がもたらされることを示した。
【0169】
実施例39
チタニアでのメバロノラクトンの反応
AeroxideチタニアP25は、実施例36に記載されるリアクターを使用して10μL/分の20wt%MVLおよび28.13sccmの窒素、500mgの触媒を用いて250℃〜350℃の範囲の温度で試験した。350℃では、イソプレンは、63%のピーク面積を表し、メチルビニルケトンは13%、2−メチル−1−ブテンは13%、2−メチル−1−プロペンは8%であった。300℃では、イソプレンは、68%のピーク面積を表し、メチルビニルケトンは12%、2−メチル−1−ブテンは8%、2−メチル−1−プロペンは11%であった。250℃では、イソプレンは、42%のピーク面積を表し、メチルビニルケトンは49%、2−メチル−1−ブテンは6%であった。モデルイソプレン流を使用し、aMVLへの転化率を無視した実施例36に記載のものと同じ転化率推定法を使用して、250℃での転化率は少なくとも15%であり、イソプレンへの収率は6%であった。300℃での転化率は、イソプレンへの最小収率30%で44%であった。350℃での転化率は、イソプレンへの最小収率35%で55%であった。
【0170】
実施例40
触媒なしでのメバロノラクトンの反応
MVL溶液は、実施例36に記載のリアクターを通じて一切の触媒と反応させられず、おおよそ3mLのリアクター内容積が300℃〜450℃の範囲の温度で加熱されたが、触媒は充填されなかった。すべての温度において、20wt%MVL水溶液は、10μL/分で流れ、窒素キャリアガスは28.13sccmであった。300℃では、イソプレンは、ピーク総面積の8%を表し、メチルビニルケトンは84%、2−メチル−1−ブテンは8%であった。実施例36に記載のモデルイソプレン溶液に基づいて、11%の全体転化率および1%のイソプレン収率が推定される。350℃では、イソプレンは、ピーク総面積の12%を表し、メチルビニルケトンは71%、2−メチル−1−ブテンは14%、2−メチル−1−プロペンは3%であった。推定転化率は30%で、イソプレン収率は3%であった。400℃では、イソプレンは、ピーク総面積の14%を表し、メチルビニルケトンは54%、2−メチル−1−ブテンは25%、2−メチル−1−プロペンは5%であった。推定転化率は44%で、イソプレン収率は6%であった。450℃では、イソプレンは、ピーク総面積の12%を表し、メチルビニルケトンは46%、2−メチル−1−ブテンは32%、2−メチル−1−プロペンは5%であった。推定転化率は48%で、イソプレン収率は6%であった。この結果は、触媒なしでは、特にメチルビニルケトンと比較するとイソプレンは実質的にあまり好ましくないことをはっきりと示す。
【0171】
実施例41
アルミナに担持されたニッケル金属でのメバロノラクトンの反応
MVLは、実施例36に記載されたリアクターを使用して、Alfa Aesarのカタログ番号31276のシリカアルミナにおける66±5%Ni触媒で反応させた。300℃では、10μL/分の20wt%MVLおよび28.13sccmの窒素により蒸気トラップ後にインラインFIDにおいて、メタン、一酸化炭素、または水素であると推定される1つのみの目に見えるピークが生じる。イソプレン、メチルビニルケトン、メチルイソプロピルケトン、またはその他の公知の生成物は生成物流において確認されなかった。リアクター温度を250℃まで下げることにより、目に見える生成物に対する大きな変化はもたらされなかった。
【0172】
実施例42
シリカにおけるエタノールを用いたメバロノラクトンの反応
実施例36と同じ試験リアクターを使用して、1.172gmのDavisilグレード62のシリカゲルを充填し、300℃で保持した。本実施例では、3.638gmの20wt%MVL水溶液とさらなる0.402gmの無水エタノールをシリンジポンプ中で混合することにより、エタノールを共反応物質として添加し、これは2sccmの窒素と一緒にリアクター内に10μL/分で注入された。系を30分間平衡させた後、完全な生成物の分布がジクロロメタンまたは1−オクタノールのいずれかで収集され、溶媒との重なりにより生成物ピークが欠けることを回避した。本実施例では、蒸気トラップおよびインラインGC−FIDが迂回されることによって、重い高沸点分子を含む完全な生成物の収集を可能にする。ジクロロメタンおよび1−オクタノール中の生成物についての質量スペクトルは別途捕捉され、分析された。いくらかの溶媒汚染が予想され、すべての質量スペクトルと同様に、同定は常にいくらか曖昧であるため、これは、エタノールまたは任意の他の共反応物質を使用して生成される潜在的生成物を限定するものとしてみなすべきではない。
同定された化学物質を組み合わせたリストは、以下である。
・シクロブタノール
・4−ペンテン−2−オール、3−メチル−
・エタノール
・4−ペンテン−1−イルアセテート
・1,3−ジオキソラン、2−ヘプチルー4−フェニル−
・メチルビニルケトン
・エチルアセテート
・1,4−ペンタジエン−3−オン
・4−ペンテン酸エチルエステル
・ベンゼン、[(シクロヘキシルオキシ)メチル]
・ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2−オン、5−メチレン−
・2,6−オクタジエン−1−オール、2,7−ジメチル−
・p−メンタ−1(7)−エン−9−オール
・3−シクロヘキセン−1−オール、4−メチル−1−(1−メチルエチル)−、アセテート
・2,3−エポキシカラン、(E)−
・シクロヘキサノール、1−メチル−4−(1−メチルエテニル)−、アセテート
・エタノール、2−(3,3−ジメチルシクロヘキシリデン)−、(Z)−
・5−カラノール、トランス,トランス−(+)−
・2−フラノン、2,5−ジヒドロ−3,5−ジメチル
・3−メチレンビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン−8−オール
・ベンゼンエタノール、α,α−ジメチル−、アセテート
・2−シクロヘキセン−1−オン、4,5−ジメチル−
・(3S,4R,5R,6R)−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)−3,6−ジメチルシクロヘキセン
・4−アセチル−1−メチルシクロヘキセン
・シクロペンタン、1−アセチル−1,2−エポキシ−
・ケトン、1,5−ジメチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−5−イルメチル
・デヒドロメバロン酸ラクトン
・スピロ[3.4]オクタン−5−オン
・1−フタラノール、1,3,3−トリメチル−
・9−オクタデセン−12−イン酸、メチルエステル
・2H−ピラン−2−オン、5,6−ジヒドロ−4−(2,3−ジメチル−2−ブテン−2−イル)−
・6−(p−トリル)−2−メチル−2−ヘプテノール
・4,4−ジメチルシクロヘキサジエノン
・フェナントロ[3,2−b]フラン−7,11−ジオン、1,2,3,4,8,9−ヘキサヒドロ−4,8,8−トリメチル−、(+)−
・1−ノナノール
・デカナール
・1−デカノール
・シュウ酸、イソブチルノニルエステル
・デカン酸、メチルエステル
・テトラヒドロピラン12−テトラデシン−1−オールエーテル
・炭酸、オクタデシルフェニルエステル
図1
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]