(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981880
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】トルク抵抗が増強された鍵付替え可能なロックシリンダ
(51)【国際特許分類】
E05B 27/04 20060101AFI20211206BHJP
E05B 15/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
E05B27/04
E05B15/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-565266(P2017-565266)
(86)(22)【出願日】2016年6月9日
(65)【公表番号】特表2018-517864(P2018-517864A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】US2016036686
(87)【国際公開番号】WO2016205067
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年5月30日
(31)【優先権主張番号】62/180,339
(32)【優先日】2015年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/172,206
(32)【優先日】2016年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516381231
【氏名又は名称】スペクトラム ブランズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【弁理士】
【氏名又は名称】平方 伸治
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ ファラグ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジャック
(72)【発明者】
【氏名】マーク エス.ブルーム
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ リン
【審査官】
砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−500495(JP,A)
【文献】
米国特許第02021185(US,A)
【文献】
特表2008−519927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 15/00−15/16
E05B 21/00−33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵付替え可能なロックシリンダにおいて、
長手方向軸を伴い且つ溝を含む、シリンダ本体と、
前記シリンダ本体内に配置され、且つ、前記長手方向軸を中心に回転可能である、プラグアセンブリと、
前記プラグアセンブリ内に配置された複数のキーフォロワ及び対応する複数のラックであって、前記複数のラックのうちの少なくとも1つが、新しい鍵への鍵の付替えを容易にするために、前記鍵付替え可能なロックシリンダ内に挿入された物体による力の適用に応じて、前記複数のキーフォロワのうちの少なくとも1つから選択的に係合解除可能である、複数のキーフォロワ及びラックと、
無許可の物体を用いた前記鍵付替え可能なロックシリンダの開錠を防ぐために、前記シリンダ本体に対する前記プラグアセンブリの回転を阻止するための手段であって、無許可の物体を用いた前記プラグアセンブリのトルク付加に由来する力が、前記複数のラックに伝達されることなく、前記シリンダ本体と阻止用手段との間で分配され、こうして前記鍵付替え可能なロックシリンダのトルク抵抗を増強させるように構成されている、阻止用手段と、
前記阻止用手段を前記複数のラックに向けて推し進める付勢用部材と、を含む、鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項2】
前記阻止用手段が、前記長手方向軸に対して横断方向に、前記シリンダ本体の前記溝内へ入る施錠位置と前記シリンダ本体の前記溝から出る開錠位置との間で可動である、少なくとも1つのロッキングバーを含む、請求項1に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのロッキングバーが、前記施錠位置にある場合に前記溝の表面と係合する表面を含み、前記少なくとも1つのロッキングバーが前記施錠位置にある場合に係合する前記少なくとも1つのロッキングバー及び溝のそれぞれの前記表面が、おおよそ平行な平面内にある、請求項2に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのロッキングバーが前記施錠位置にある場合に前記シリンダ本体内の前記溝と係合する前記少なくとも1つのロッキングバーの前記表面が、傾斜した表面でない、請求項3に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのロッキングバーが前記施錠位置にある場合に前記シリンダ本体内の前記溝と係合する前記少なくとも1つのロッキングバーの前記表面が、平坦な表面である、請求項3に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項6】
前記シリンダ本体内の前記溝と係合する前記少なくとも1つのロッキングバーの前記表面が、前記長手方向軸に対して半径方向の軸におおよそ平行である平面内にある、請求項3に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項7】
前記施錠位置にある場合、前記少なくとも1つのロッキングバーの縁部が、前記シリンダ本体の前記溝の中に収容される、請求項2に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのロッキングバーの前記縁部が、実質的に方形である、請求項7に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのロッキングバーの前記縁部がおおよそ矩形の断面を有する、請求項7に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項10】
前記複数のキーフォロワがバネ式であり、いずれのキーフォロワも前記少なくとも1つのロッキングバーによって持ち上げられないように保証するために、前記付勢用部材のバネ力が、前記バネ式のキーフォロワのバネ力に比例する、請求項7に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項11】
鍵付替え可能なロックシリンダにおいて、
溝を含む長手方向軸を伴うシリンダ本体と、
前記シリンダ本体内に配置され且つ前記長手方向軸を中心に回転可能なプラグアセンブリと、
複数のラックと、少なくとも1つのロッキングバーと、を含む、キャリアアセンブリと、
前記プラグアセンブリ内に配置された複数のキーフォロワであって、前記複数のラックのうちの少なくとも1つが、新しい鍵への鍵の付替えを容易にするために、当該鍵付替え可能なロックシリンダ内に挿入された物体による力の適用に応じて、前記複数のキーフォロワのうちの少なくとも1つから選択的に係合解除可能である、複数のキーフォロワと、
前記少なくとも1つのロッキングバーを前記複数のラックに向けて推し進める付勢用部材と、を含む、鍵付替え可能なロックシリンダであって、
前記少なくとも1つのロッキングバーが、前記長手方向軸に対して横断方向に及び前記長手方向軸を中心にして回転的に可動であり、前記少なくとも1つのロッキングバーの少なくとも一部分が、前記シリンダ本体の前記溝内へ入る施錠位置と前記シリンダ本体内の前記溝から出る開錠位置との間で可動であり、
前記少なくとも1つのロッキングバーが、無許可の物体を用いた前記鍵付替え可能なロックシリンダの開錠を防ぐように構成されており、前記少なくとも1つのロッキングバーは、無許可の物体を用いた前記プラグアセンブリのトルク付加に由来する力が、前記複数のラックに伝達されることなく、前記シリンダ本体とキャリアアセンブリとの間で分配されるように構成されている、鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項12】
前記複数のキーフォロワがバネ式であり、前記付勢用部材のバネ力が、前記バネ式のキーフォロワのバネ力よりも小さい、請求項11に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項13】
鍵付替え可能なロックシリンダにおいて、
溝を含む長手方向軸を伴うシリンダ本体と、
前記シリンダ本体内に配置され且つ前記長手方向軸を中心に回転可能なプラグアセンブリと、
前記プラグアセンブリ内に配置された複数のキーフォロワ及び対応する複数のラックであって、前記複数のラックのうちの少なくとも1つが、新しい鍵への鍵の付替えを容易にするために、当該鍵付替え可能なロックシリンダ内に挿入された物体による力の適用に応じて前記複数のキーフォロワのうちの少なくとも1つから選択的に係合解除可能である、複数のキーフォロワ及びラックと、
前記長手方向軸に対し横断方向に及び前記長手方向軸を中心にして回転的に可動である少なくとも1つのロッキングバーであって、当該少なくとも1つのロッキングバーの少なくとも一部分が、前記シリンダ本体の前記溝内へ入る施錠位置と前記シリンダ本体内の前記溝から出る開錠位置との間で可動であり、前記溝内に収容される前記少なくとも1つのロッキングバーの前記一部分が、おおよそ矩形の断面を有している、少なくとも1つのロッキングバーと、
前記少なくとも1つのロッキングバーを前記複数のラックに向って推し進める付勢用部材と、を含む、鍵付替え可能なロックシリンダ。
【請求項14】
前記複数のキーフォロワがバネ式であり、前記付勢用部材のバネ力が、前記バネ式のキーフォロワのバネ力よりも小さい、請求項13に記載の鍵付替え可能なロックシリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、全体が参照により本明細書に組込まれている2015年6月16日出願の米国仮特許出願第62/180,339号及び2016年6月3日出願の米国特許出願第15/172,206号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、概して錠前に関する。詳細には、本開示は、トルク抵抗が増強された鍵付替え可能(rekeyable)なロックシリンダを伴う錠前に関する。
【背景技術】
【0003】
シリンダプラグを取外すことなく鍵を付替えできるロックシリンダが公知である。例えば、米国特許第8,033,150号は、鍵付替え可能なロックシリンダについて記載している。このタイプの錠前は、錠前師を使用することなく容易に鍵を付替えできることから、消費者にとって、メリットが大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラグシリンダは、許可された鍵が鍵穴に挿入された場合に自由に回転すべきであるが、ロックシリンダは、無許可の鍵(又は他の物体)によりトルクが加えられた場合に、プラグの回転に抵抗するように構成されていなければならない。ロックシリンダの大きなトルク抵抗が、不法進入を減少させるための秘訣である。したがって、トルク抵抗が増強された鍵付替え可能な錠前に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によると、本開示は、シリンダ本体及びプラグアセンブリを伴う鍵付替え可能なロックシリンダを提供する。シリンダ本体は、長手方向軸を画定し、且つ、溝を含む。プラグアセンブリは、シリンダ本体内に配置され、且つ、長手方向軸を中心に回転可能である。ロックシリンダは、プラグアセンブリ内に配置された複数のキーフォロワ及び対応する複数のラックを含む。複数のラックのうちの少なくとも1つは、新しい鍵への鍵の付替えを容易にするために、鍵付替え可能なロックシリンダ内に挿入された物体による力の適用に応じて、複数のキーフォロワのうちの少なくとも1つから選択的に係合解除可能である。ロックシリンダは、無許可の物体を用いた鍵付替え可能なロックシリンダの開錠を防ぐために、シリンダ本体に対するプラグアセンブリの回転を阻止するための手段を含む。いくつかの実施形態において、阻止用手段は、無許可の物体を用いたプラグアセンブリのトルク付加が、複数のラックに力を伝達することなく、阻止用手段に対して力が適用されるように構成されている。このタイプの構成は、ロックシリンダのトルク抵抗を増強させる。
【0006】
いくつかの実施形態において、阻止用手段は、長手方向軸に対して横断方向に、シリンダ本体の溝内へ入る施錠位置とシリンダ本体の溝から出る開錠位置との間で可動である、少なくとも1つのロッキングバーを含んでいる。例えば、ロッキングバーは、施錠位置にある場合に溝の表面と係合する表面を含むことができる。いくつかの例示的実施形態において、ロッキングバーが施錠位置にある場合に係合する少なくとも1つのロッキングバー及び溝のそれぞれの表面は、おおよそ平行な平面内にある。状況に応じて、ロッキングバーが施錠位置にある場合にシリンダ本体内の溝と係合する少なくとも1つのロッキングバーの表面は、傾斜した表面でない。例えばこの表面は、平坦であることができる。いくつかのケースにおいて、ロッキングバーの縁部は実質的に方形にされており、例えば、おおよそ矩形の断面を有する。
【0007】
いくつかの実施形態においては、ロッキングバーを複数のラックに向けて推し進める1つ以上の付勢用部材が存在する。この構成では、付勢用部材は、許可された鍵が鍵穴に挿入された場合に、ロッキングバーをシリンダ本体内の溝から外に出るように推し進める。いくつかの例示的実施形態においては、付勢用部材のバネ力は、バネ式キーフォロワのバネ力よりも小さい。したがって、バネ式キーフォロワは、鍵が鍵穴の中に挿入されていない場合、付勢用部材のバネ力を克服して、ロックシリンダを施錠することになる。
【0008】
本開示のさらなる特徴及び利点は、現在認識されている本開示の最良の実施形態を例証する以下の詳細な説明を考慮した時点で、当業者には明白になるであろう。
【0009】
本開示について、以下で、非限定的な実施例として提供される添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る例示的ロックシリンダの斜視図である。
【
図2】
図1に示された例示的ロックシリンダの分解図である。
【
図3】ロッキングバーをラックに向って推し進めるバネを示す、
図1に示された例示的ロックシリンダの断面図である。
【
図4】許可された鍵が鍵穴内にある状態でのロッキングバーとシリンダ本体との間の界面を示す、
図1に示された例示的ロックシリンダの断面図である。
【
図5】無許可の鍵が鍵穴内にある状態でのロッキングバーとシリンダ本体との間の界面を示す、
図1に示された例示的ロックシリンダの断面図である。
【
図6】鍵穴内に鍵が無い状態でのロッキングバーとシリンダ本体との間の界面を示す、
図1に示された例示的ロックシリンダの断面図である。
【0011】
対応する参照文字は、複数の図全体を通して、対応する部品を示す。本明細書中で提示する例証は、1つの形での本発明の実施を例示しており、このような例証は、いかなる形であれ本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、シリンダプラグを取外すことなく鍵の付替え(rekeyed)をすることができる、鍵付替え可能(rekeyable)なロックシリンダに関する。ロックシリンダの鍵を付替えするための作業は、参照により本明細書に組込まれている米国特許第8,033,150号中に記載のものと類似している。鍵を付替える作業は類似の形で機能するものの、当該ロックシリンダは、増強されたトルク抵抗を含んでいる。いくつかの実施形態において、この増強されたトルク抵抗は、プラグシリンダ上のトルクをラックから隔離するように構成され、こうしてロックシリンダの耐久性が増大している。
【0013】
本開示の一実施形態に係る例示的ロックシリンダ10が
図1及び
図2に例示されている。ロックシリンダ10は、長手方向軸12、シリンダ本体14、及び、プラグアセンブリ16を含む。リテーナークリップ18(
図2)が、シリンダ本体14とプラグアセンブリ16とを結合させている。
【0014】
図2を見れば最も良く分かるように、シリンダ本体14は、実例として、前方端部22、後方端部24及び内部表面28を画定するシリンダ壁26を有する、概して円筒形の本体20を含む。シリンダ壁26は、内部のロッキングバー係合用溝30(
図4、
図5、
図6を見れば最も良く分かる)を含む。いくつかの実施形態において、ロッキングバー係合用溝30は、概して矩形形状の断面を有し、シリンダ本体14の一部分に沿って長手方向に、典型的には前方端部22から延在する。
【0015】
プラグアセンブリ16は、プラグ本体32、キャリアサブアセンブリ34及び複数のバネ式ピン38(キーフォロワとも呼ばれる)を含む。プラグ本体32は、実例として、プラグ面36、中間部分40及び駆動部分42を含む。プラグ面36は、鍵穴開口部44、鍵付替え工具用開口部46、及び、ドリリング防止用玉軸受50を収容するために半径方向外向きに延在する一対のチャネル48、を画定する。駆動部分42は、ラッチアセンブリ(図示せず)と結合され得るトルクブレード51を駆動するように構成されている。駆動部分42は、さらに、その周囲に形成された一対のスロット52と、シリンダ本体14内にプラグ本体32を保持する目的でリテーナークリップ18を収容するための中央溝54と、を含む。
【0016】
中間部分40は、シリンダ区分として形成され且つバネ式ピン38を収容するための複数のチャネル58を有する、主要部分56を含む。チャネル58は、実例として、プラグ本体32の長手方向軸に対し横断方向に延在する。平面的表面60が、保持キャップ64を収容するための陥凹62を画定している。チャネル58は、その側壁が平面的表面66に向って開放している状態で、プラグ本体32内に部分的に延在している。平面的表面66は、実例として、複数の弾丸型のラック係合用機能部68を含む。
【0017】
キャリアサブアセンブリ34は、キャリヤ70、複数のラック72、バネキャッチ73、ロッキングバー74、ロッキングバー74をラック72に向って推し進めるようロッキングバー74に接して対応する付勢用部材78を保持するための一対のクリップ76、及び、戻しバネ80を含む。キャリヤ70は、キャリヤ70と主要部分56とが組合わさって、シリンダ本体14の内側に適合するシリンダを形成するように、プラグ本体32の主要部分56と相補的であるシリンダ区分の形をした本体82を含む。キャリヤ70は、湾曲した表面84及び平坦な表面86を含む。湾曲表面84は、ロッキングバースロット88、バネキャッチ陥凹90、及び、クリップ76を収容するための一対のクリップ収容用陥凹100、を含む。ロッキングバースロット88は、実例として、付勢用部材78を収容するための一対の付勢用部材収容用中ぐり92を含む。示された実施形態において、ロッキングバー74は、付勢用部材78を収容するための対応する一対の陥凹部域96を含む。
【0018】
バネ式ロッキングバー74は、キャリヤ70内のロッキングバースロット88に適合するようにサイズ決定され、構成される。ロッキングバー74は、実例として、施錠位置にある場合(
図5及び
図6)にシリンダ本体14内のロッキングバー係合用溝30内に収容され開錠位置(
図4)にある場合にロッキングバー係合用溝30から外へと延在する、阻止用部分98を含んでいる。いくつかの実施形態において、実例として示されているように、阻止用部分98は、矩形の断面を形成する、方形にされた縁部を有する。この方形にされた表面は、カム作用を介してシリンダ本体内の溝から外に移動する米国特許第8,033,150号中に記載のロッキングバーの三角形状の縁部と好対照をなす。シリンダ本体14内の溝30から外に阻止用部分98を移動させるために、付勢用部材78による推進を用いることによって、方形にされた縁部をロッキングバー係合用溝30内の対応する平坦な表面と共に使用することができ、これによって、米国特許第8,033,150号に記載の三角形状の縁部及び対応する三角形状のロッキングバー係合用溝に比較して、ロックシリンダ10のトルク抵抗を増大させることができる。その上、こうして、無許可の鍵(又は他の物体)によって適用されるトルクはカム作用を介してロッキングバー74からラック72に伝達されないことから、ラック72上の応力は軽減される。その代り、ロッキングバー係合用溝30とのロッキングバー74の界面が、このトルクをラック72から隔離する。阻止用部分98の方形にされた縁部の反対側に、ロッキングバー74は、ラック72内に形成されたロッキングバー係合用溝104と係合するように構成されたフランジ102を含んでいる(
図4、
図5、
図6)。キャリヤ70の平担な表面86は、キャリヤ70の長手方向軸に垂直に延在する、複数の平行なラック収容用スロット94を含む。
【0019】
図3は、クリップ76の1つを横断方向に切断したロックシリンダ10の例示的断面図である。この図においては、クリップ76がキャリヤ70の周りに延在していることが分かる。付勢用部材78の一方の端部は、クリップ76の収容用部分106に接して固定されており、もう一方の端部は、ロッキングバー74の陥凹部域96内に収容されロッキングバー74をラック72に対し推し進める。この実施形態において、ロッキングバー74は、付勢用部材78によってラック72に対して継続的に推し進められる。
【0020】
図4、5及び
図6は、ロッキングバー74の阻止用部分98に沿って横断方向に切断したロックシリンダ10の例示的断面図である。鍵穴開口部44内に挿入された許可された鍵108を示す
図4において、許可された鍵108の鍵山は、ロッキングバー74のフランジ102が付勢用部材78による推し進めを介してラック72のそれぞれのロッキングバー係合用溝104内に収容される位置まで、バネ式ピン38ひいてはラック72を移動させるようなものである。これにより、ロッキングバー74の阻止用部分98は、ロッキングバー係合用溝30から出てその開錠位置に位置づけされ、こうして、ロックシリンダ10を開錠するためのシリンダ本体14に対するプラグアセンブリ16の自由な回転が可能になる。ロッキングバー74をロッキングバー係合用溝30から外に推し進めるためのこの付勢用部材78の使用は、米国特許第8,033,150号中に記載のシリンダ本体内の溝から外にロッキングバーを移動させるためのカム作用と好対照をなす。
図5は、無許可の鍵110が鍵穴開口部44内に挿入されている一実施例を例示する。無許可の鍵110の鍵山は「無許可のもの」であることから、少なくとも1つのラック72のロッキングバー係合用溝104は、ロッキングバー74のフランジ102と整列しない。したがって、ロッキングバー104は、シリンダ本体14のロッキングバー係合用溝30から外に推し進められることができず、このことはすなわち、阻止用部分98がシリンダ本体14に対するプラグアセンブリ16の回転を防ぐことを意味している。図示された実施形態では、阻止用部分98の縁部は方形にされており、シリンダ本体14のロッキングバー係合用溝30は対応する形状を有する。このことはすなわち、シリンダ本体14に対するプラグアセンブリ16のトルク付加によってひき起こされる力が、ロッキングバー係合用溝30の平担な内部表面114に対して、阻止用部分98の平坦な表面112に適用される、ということを意味する。表面112、114は、相互に平坦であることから、こうして、米国特許第8,033,150号のロッキングバーの三角形縁部及びシリンダ本体の対応する三角形縁部などの傾斜した表面と比べて、トルク抵抗は、増大する。その上、平坦な表面112、114とは異なり、米国特許第8,033,150号中に記載の傾斜した表面は、一部のケースではラックを変形させるか又は他の形でラックの耐久性を減少させる可能性のある力をラックに加えるカム作用を作り出す。
図6は、ロックシリンダ10内に全く鍵が存在しない一実施例を例示している。バネ式ピン38のバネは、付勢用部材78よりも高いバネ力を有する。したがって、鍵穴内に鍵が無い場合、バネ式ピン38は、ラック72を下向きに駆動し付勢用部材78の力を克服し、こうして、ロッキングバー74のフランジ102はラック74のロッキングバー係合用溝104の中に収容されない。これにより、ロッキングバー74の阻止用部分98は、シリンダ本体14のロッキングバー係合用溝30内に強制され、こうして、シリンダ本体14に対するプラグアセンブリ16の回転は妨げられる。
【実施例】
【0021】
以下では、本明細書中で開示されている鍵付替え可能なロックシリンダの例示的実施例を提供する。鍵付替え可能なロックシリンダの一実施形態は、以下に説明される実施例のいずれか1つ以上及びそのいずれかの組合せを含んでよい。
【0022】
実施例1は、長手方向軸を有し溝を含むシリンダ本体を伴う鍵付替え可能なロックシリンダである。ロックシリンダは、長手方向軸を中心にして回転可能であるシリンダ本体中に配置されたプラグアセンブリを含む。対応する複数のラックを伴う複数のキーフォロワがプラグアセンブリ内に配置されている。複数のラックのうちの少なくとも1つは、新しい鍵への鍵の付替えを容易にするために、鍵付替え可能なロックシリンダ内に挿入された物体による力の適用に応じて、複数のキーフォロワのうちの少なくとも1つから選択的に係合解除可能である。ロックシリンダは、無許可の物体を用いた鍵付替え可能なロックシリンダの開錠を防ぐために、シリンダ本体に対するプラグアセンブリの回転を阻止するための手段を含む。阻止用手段は、無許可の物体を用いたプラグアセンブリのトルク付加に由来する力が、複数のラックに伝達されるあらゆる力に比較した場合に主としてシリンダ本体と阻止用手段との間で分配され、こうして鍵付替え可能なロックシリンダのトルク抵抗を増強させるように、構成されている。
【0023】
実施例2において、実施例1の主題はさらに、阻止用手段が、長手方向軸に対して横断方向に、シリンダ本体の溝内へ入る施錠位置とシリンダ本体の溝から出る開錠位置との間で可動である、少なくとも1つのロッキングバーを含むように構成されている。
【0024】
実施例3において、実施例2の主題はさらに、少なくとも1つのロッキングバーが、施錠位置にある場合に、溝の表面と係合する表面を含むように構成されている。少なくとも1つのロッキングバーが施錠位置にある場合に係合する、少なくとも1つのロッキングバー及び溝のそれぞれの表面が、おおよそ平行な平面内にある。
【0025】
実施例4において、実施例3の主題はさらに、少なくとも1つのロッキングバーが施錠位置にある場合に、シリンダ本体内の溝と係合する少なくとも1つのロッキングバーの表面が、傾斜した表面でないように構成されている。
【0026】
実施例5において、実施例3の主題はさらに、少なくとも1つのロッキングバーが施錠位置にある場合に、シリンダ本体内の溝と係合する少なくとも1つのロッキングバーの表面が、平坦な表面であるように構成されている。
【0027】
実施例6において、実施例3の主題はさらに、シリンダ本体内の溝と係合する少なくとも1つのロッキングバーの表面が、長手方向軸に対して半径方向の軸におおよそ平行である平面内にあるように構成されている。
【0028】
実施例7において、実施例2の主題はさらに、施錠位置にある場合に、少なくとも1つのロッキングバーの縁部が、シリンダ本体の溝の中に収容されるように構成されている。
【0029】
実施例8において、実施例7の主題はさらに、少なくとも1つのロッキングバーの縁部が、実質的に方形であるように構成されている。
【0030】
実施例9において、実施例7の主題はさらに、少なくとも1つのロッキングバーの縁部が、おおよそ矩形の断面を有するように構成されている。
【0031】
実施例10において、実施例1の主題はさらに、阻止用手段を複数のラックに向けて推し進める付勢用部材を含むように構成されている。
【0032】
実施例11において、実施例10の主題はさらに、複数のキーフォロワがバネ式であり、いずれのキーフォロワも少なくとも1つのロッキングバーによって持ち上げられないように保証するために、付勢用部材のバネ力が、バネ式キーフォロワのバネ力に比例するように構成されている。
【0033】
実施例12は、溝を含む長手方向軸を伴うシリンダ本体を含む、鍵付替え可能なロックシリンダである。ロックシリンダは、シリンダ本体内に配置され長手方向軸を中心に回転可能なプラグアセンブリを含む。複数のラックと少なくとも1つのロッキングバーとを含む、キャリアアセンブリが提供される。ロックシリンダは、プラグアセンブリ内に配置された複数のキーフォロワを含む。複数のラックのうちの少なくとも1つは、新しい鍵への鍵の付替えを容易にするために、鍵付替え可能なロックシリンダ内に挿入された物体による力の適用に応じて、複数のキーフォロワのうちの少なくとも1つから選択的に係合解除可能である。少なくとも1つのロッキングバーは、長手方向軸に対して横断方向に及び長手方向軸を中心にして回転的に可動である。少なくとも1つのロッキングバーの少なくとも一部分は、シリンダ本体の溝内へ入る施錠位置とシリンダ本体内の溝から出る開錠位置との間で可動である。少なくとも1つのロッキングバーは、無許可の物体を用いた鍵付替え可能なロックシリンダの開錠を防ぐように構成されている。少なくとも1つのロッキングバーは、無許可の物体を用いたプラグアセンブリのトルク付加に由来する力が、複数のラックに対し伝達されるあらゆる力に比較した場合に、主としてシリンダ本体とキャリアアセンブリとの間で分配されるように構成されている。
【0034】
実施例13において、実施例12の主題はさらに、付勢用部材が、少なくとも1つのロッキングバーを複数のラックに向けて推し進めるように構成されている。
【0035】
実施例14において、実施例12の主題はさらに、複数のキーフォロワがバネ式であり、付勢用部材のバネ力がバネ式キーフォロワのバネ力よりも小さいように構成されている。
【0036】
実施例15は、溝を含む長手方向軸を伴うシリンダ本体を含む鍵付替え可能なロックシリンダである。プラグアセンブリが、シリンダ本体内に配置され、且つ、長手方向軸を中心に回転可能である。ロックシリンダは、プラグアセンブリ内に配置された複数のキーフォロワ及び対応する複数のラックを含む。複数のラックのうちの少なくとも1つは、新しい鍵への鍵の付替えを容易にするために、鍵付替え可能なロックシリンダ内に挿入された物体による力の適用に応じて、複数のキーフォロワのうちの少なくとも1つから選択的に係合解除可能である。少なくとも1つのロッキングバーが、長手方向軸に対し横断方向に及び長手方向軸を中心にして回転的に可動である。少なくとも1つのロッキングバーの少なくとも一部分は、シリンダ本体の溝内へ入る施錠位置とシリンダ本体内の溝から出る開錠位置との間で可動である。構内に収容される少なくとも1つのロッキングバーの部分は、おおよそ矩形の断面を有している。ロックシリンダは、少なくとも1つのロッキングバーを複数のラックに向って推し進める付勢用部材を含む。
【0037】
実施例16において、実施例15の主題はさらに、複数のキーフォロワがバネ式であり、付勢用部材のバネ力がバネ式キーフォロワのバネ力よりも小さいように構成されている。
【0038】
本開示について、特定の手段、材料及び実施形態を基準にして以上で説明してきたが、以上の説明から、当業者であれば、本発明の本質的特徴を容易に確認することができ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、さまざまな使用及び特徴を適応させるためにさまざまな変更及び修正を加えることが可能である。