特許第6981885号(P6981885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧

特許6981885静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置
<>
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000004
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000005
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000006
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000007
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000008
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000009
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000010
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000011
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000012
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000013
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000014
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000015
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000016
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000017
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000018
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000019
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000020
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000021
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000022
  • 特許6981885-静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置 図000023
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981885
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 27/02 20060101AFI20211206BHJP
   G01L 9/12 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   G01L27/02
   G01L9/12
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-8635(P2018-8635)
(22)【出願日】2018年1月23日
(65)【公開番号】特開2019-128190(P2019-128190A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2020年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】石原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】添田 将
(72)【発明者】
【氏名】関根 正志
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−156098(JP,A)
【文献】 特開2016−180651(JP,A)
【文献】 特開2015−184064(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0277772(US,A1)
【文献】 特開平10−002822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L 27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定媒体の圧力に応じて撓むダイアフラムの変位に応じてその電極間の容量が変化する複数の電極対を備えた静電容量型圧力センサの異常を検知する静電容量型圧力センサの異常検知方法であって、
前記被測定媒体の真空引き時の前記複数の電極対の容量の変化から異常検知の指標を算出する指標算出ステップと、
前記指標算出ステップによって算出された異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値とを比較することによって前記ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断する状態判断ステップと、を備え、
前記静電容量型圧力センサは、前記複数の電極対として第1および第2の電極対を備え、
前記第1の電極対は、前記ダイアフラムの中央部に感圧容量Cxを形成し、
前記第2の電極対は、前記ダイアフラムの外周部に参照容量Crを形成し、
前記指標算出ステップは、前記感圧容量Cxの変化ΔCxと前記参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrを前記異常検知の指標として算出する
ことを特徴とする静電容量型圧力センサの異常検知方法。
【請求項2】
被測定媒体の圧力に応じて撓むダイアフラムの変位に応じてその電極間の容量が変化する複数の電極対を備えた静電容量型圧力センサの異常を検知する静電容量型圧力センサの異常検知方法であって、
前記被測定媒体の真空引き時の前記複数の電極対の容量の変化から異常検知の指標を算出する指標算出ステップと、
前記指標算出ステップによって算出された異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値とを比較することによって前記ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断する状態判断ステップと、を備え、
前記静電容量型圧力センサは、前記複数の電極対として第1および第2の電極対を備え、
前記第1の電極対は、前記ダイアフラムへの前記被測定媒体の導入口に対応する位置に堆積感知容量Cdを形成し、
前記第2の電極対は、前記ダイアフラムの外周部に参照容量Crを形成し、
前記指標算出ステップは、前記堆積感知容量Cdの変化ΔCdと前記参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCd/ΔCrを前記異常検知の指標として算出する
ことを特徴とする静電容量型圧力センサの異常検知方法。
【請求項3】
被測定媒体の圧力に応じて撓むダイアフラムの変位に応じてその電極間の容量が変化する複数の電極対を備えた静電容量型圧力センサの異常を検知する静電容量型圧力センサの異常検知方法であって、
前記被測定媒体の真空引き時の前記複数の電極対の容量の変化から異常検知の指標を算出する指標算出ステップと、
前記指標算出ステップによって算出された異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値とを比較することによって前記ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断する状態判断ステップと、を備え、
前記静電容量型圧力センサは、前記複数の電極対として第1、第2および第3の電極対を備え、
前記第1の電極対は、前記ダイアフラムの中央部に感圧容量Cxを形成し、
前記第2の電極対は、前記ダイアフラムの外周部に参照容量Crを形成し、
前記第3の電極対は、前記ダイアフラムへの前記被測定媒体の導入口に対応する位置に堆積感知容量Cdを形成し、
前記指標算出ステップは、前記感圧容量Cxの変化ΔCxと前記参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrおよび前記堆積感知容量Cdの変化ΔCdと前記参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCd/ΔCrを前記異常検知の指標として算出する
ことを特徴とする静電容量型圧力センサの異常検知方法。
【請求項4】
請求項1〜の何れか1項に記載された静電容量型圧力センサの異常検知方法において、
前記状態判断ステップによって前記ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じていると判断された場合、警報を出力する警報出力ステップ
を備えることを特徴とする静電容量型圧力センサの異常検知方法。
【請求項5】
請求項1〜の何れか1項に記載された静電容量型圧力センサの異常検知方法において、
前記静電容量型圧力センサを構成する基材は、サファイア、又はアルミナセラミック、又はガラス、又はシリコン、又はニッケル合金、又はステンレスである
ことを特徴とする静電容量型圧力センサの異常検知方法。
【請求項6】
被測定媒体の圧力に応じて撓むダイアフラムの変位に応じてその電極間の容量が変化する複数の電極対を備えた静電容量型圧力センサの異常を検知する静電容量型圧力センサの異常検知装置であって、
前記被測定媒体の真空引き時の前記複数の電極対の容量の変化から異常検知の指標を算出するように構成された指標算出部と、
前記指標算出部によって算出された異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値とを比較することによって前記ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断するように構成された状態判断部とを備え、
前記静電容量型圧力センサは、前記複数の電極対として第1および第2の電極対を備え、
前記第1の電極対は、前記ダイアフラムの中央部に感圧容量Cxを形成し、
前記第2の電極対は、前記ダイアフラムの外周部に参照容量Crを形成し、
前記指標算出部は、前記感圧容量Cxの変化ΔCxと前記参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrを前記異常検知の指標として算出する
ことを特徴とする静電容量型圧力センサの異常検知装置。
【請求項7】
被測定媒体の圧力に応じて撓むダイアフラムの変位に応じてその電極間の容量が変化する複数の電極対を備えた静電容量型圧力センサの異常を検知する静電容量型圧力センサの異常検知装置であって、
前記被測定媒体の真空引き時の前記複数の電極対の容量の変化から異常検知の指標を算出するように構成された指標算出部と、
前記指標算出部によって算出された異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値とを比較することによって前記ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断するように構成された状態判断部と、を備え、
前記静電容量型圧力センサは、前記複数の電極対として第1および第2の電極対を備え、
前記第1の電極対は、前記ダイアフラムへの前記被測定媒体の導入口に対応する位置に堆積感知容量Cdを形成し、
前記第2の電極対は、前記ダイアフラムの外周部に参照容量Crを形成し、
前記指標算出部は、前記堆積感知容量Cdの変化ΔCdと前記参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCd/ΔCrを前記異常検知の指標として算出する
ことを特徴とする静電容量型圧力センサの異常検知装置。
【請求項8】
被測定媒体の圧力に応じて撓むダイアフラムの変位に応じてその電極間の容量が変化する複数の電極対を備えた静電容量型圧力センサの異常を検知する静電容量型圧力センサの異常検知装置であって、
前記被測定媒体の真空引き時の前記複数の電極対の容量の変化から異常検知の指標を算出するように構成された指標算出部と、
前記指標算出部によって算出された異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値とを比較することによって前記ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断するように構成された状態判断部と、を備え、
前記静電容量型圧力センサは、前記複数の電極対として第1、第2および第3の電極対を備え、
前記第1の電極対は、前記ダイアフラムの中央部に感圧容量Cxを形成し、
前記第2の電極対は、前記ダイアフラムの外周部に参照容量Crを形成し、
前記第3の電極対は、前記ダイアフラムへの前記被測定媒体の導入口に対応する位置に堆積感知容量Cdを形成し、
前記指標算出部は、前記感圧容量Cxの変化ΔCxと前記参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrおよび前記堆積感知容量Cdの変化ΔCdと前記参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCd/ΔCrを前記異常検知の指標として算出する
ことを特徴とする静電容量型圧力センサの異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定媒体の圧力に応じた静電容量を検出するダイアフラム構造のセンサ素子を備えた静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体製造設備等において使用される真空計を始めとする圧力センサにおいては、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて小型のダイアフラムを有するセンサ素子を採用することが多い。このセンサ素子は、ダイアフラムで圧力媒体を受圧し、これによりダイアフラムに生じた変位や応力を何らかの信号へ変換することをその主な検出原理としている。
【0003】
例えば、この種のセンサ素子を用いた圧力センサとして、被測定媒体の圧力を受けて撓むダイアフラム(隔膜)の変位を静電容量の変化(電極間の容量の変化)として検出する静電容量型圧力センサが広く知られている。
【0004】
この静電容量型圧力センサは、ガス種依存性がないことから、半導体設備を始め工業用途でよく使用されている。例えば、半導体製造装置などにおける製造プロセス中の気体の圧力を計測するために利用されており、この用途で言えば上記の静電容量型圧力センサを静電容量型の隔膜真空計と呼んでいる。また、被測定媒体の圧力を受けて撓むダイアフラムは、感圧ダイアフラムと呼ばれたり、センサダイアフラムと呼ばれたりしている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0005】
このガス種に依存しない隔膜真空計の主たるアプリケーションとして、半導体製造プロセス等におけるCVD(chemical vapor deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)、スパッタ等の成膜もしくはプラズマを用いたエッチングプロセスがあることが知られている。成膜プロセスでは、基板上に堆積させる膜やそれに類似した不完全な膜が、エッチングプロセスでは、レジストの残渣や基板がエッチングされる際に生成される副生成物等が、チャンバーや配管、ポンプ内部に多かれ少なかれ堆積し、様々なトラブルを引き起こす。
【0006】
その中でもプロセス中のガスの圧力を計測・制御する隔膜真空計、とりわけ圧力を感知するダイアフラム(隔膜)への上記物質の堆積は、その応力によりダイアフラムに計測圧力に無関係な撓みを生じさせ、これは真空に引き切ってもゼロを示さない零点のシフトをもたらしてしまう。
【0007】
また、堆積する膜質にもよるがダイアフラムは見掛け上その厚みが増えることになるので、同等の圧力を印加しても撓みが小さくなり、これは圧力感度の低下を引き起こす。他にも堆積した物質に粘性がある場合などはダイアフラムの動きに遅れを生じさせることがあり、これはセンサ応答の遅れに直結する。
【0008】
このような真空計内部への堆積に起因する出力の零点のシフトや圧力感度の変化は、当然のことながらこれを主たる制御パラメータとする成膜やエッチングの品質に大きな影響を与えてしまうことが知られている。
【0009】
そこで、従来においては、ある定められた規定値よりも零点がシフトした場合、下記のような調整を実施している。
調整(1):装置全体を真空に引き切って零点を調整する。
調整(2):調整(1)で真空に引き切れない場合等は装置から真空計を外して再校正を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−236949号公報
【特許文献2】特開2000−105164号公報
【特許文献3】特開2006−3234号公報
【特許文献4】特開2015−184064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、真空への引き切りの圧力は、ポンプの吸引能力や配管の配置等にも依存し、実際に真空度が悪化していて真空計に問題がない場合もある。このため、上述した調整(1),(2)の手法では、下記のような問題が生じる。
【0012】
調整(1)の問題点:正しい真空計に不要な零点調整を実施し、むしろ誤った圧力計測にしてしまう。
調整(2)の問題点:装置から真空計を外せば、不要な零点調整のために長時間装置が停止する。
【0013】
この様な調整の回数をなるべく少なくすることが、装置の稼働率の向上に役立つが、実際に圧力が変化している場合(零点調整が必要でない場合)と堆積物等によってシフトしている場合(零点調整が必要な場合)とを見分けることは非常に難しい。
【0014】
なお、特許文献4では、ダイアフラムの圧力導入室側の面の周縁部と中央部との間に段部を設け、この段部を境界として中央部側の領域(薄い領域)と周縁部側の領域(厚い領域)とに分け、ダイアフラムの段部の近傍(周縁部側の領域)にその開口部を位置させるようにして複数の圧力導入孔を台座プレートに設けることにより、零点シフトを抑制するようにしている。しかし、この方法は、あくまでも零点シフトの抑制に留まる。
【0015】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、圧力による出力変化と、堆積物などによる圧力以外の出力変化とを見分け、不要な零点調整を低減することが可能な静電容量型圧力センサの異常検知方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するために本発明は、被測定媒体の圧力に応じて撓むダイアフラム(101)の変位に応じてその電極間の容量が変化する複数の電極対(D1,D2)を備えた静電容量型圧力センサ(100)の異常を検知する静電容量型圧力センサの異常検知方法であって、被測定媒体の真空引き時の複数の電極対の容量(Cx,Cr)の変化から異常検知の指標(α)を算出する指標算出ステップ(S201)と、指標算出ステップによって算出された異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値(αref)とを比較することによってダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断する状態判断ステップ(S202)とを備えることを特徴とする。
【0017】
この発明では、被測定媒体の真空引き時の複数の電極対の容量の変化から異常検知の指標を算出し、この算出した異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値とを比較することによって、ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断する。例えば、ダイアフラムの中央部に感圧容量Cxを形成する電極対を第1の電極対、ダイアフラムの外周部に参照容量Crを形成する電極対を第2の電極対とした場合、感圧容量Cxの変化ΔCxと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrを異常検知の指標αとして算出し、この算出した異常検知の指標αと正常時の当該指標を示す基準値αrefとを比較することによって、ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断する。
【0018】
これにより、圧力による出力変化と、堆積物などによる圧力以外の出力変化とを見分け、不要な零点調整を低減することが可能となる。
【0019】
なお、ダイアフラムへの被測定媒体の導入口に対応する位置に堆積感知容量Cdを形成する電極対を設け、この電極対を第1の電極対とし、堆積感知容量Cdの変化ΔCdと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCd/ΔCrを異常検知の指標βとして算出し、この算出した異常検知の指標βと正常時の当該指標を示す基準値βrefとを比較することによって、ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断するようにしてもよい。
【0020】
また、ダイアフラムへの被測定媒体の導入口に対応する位置に堆積感知容量Cdを形成する電極対を設け、この電極対を第3の電極対とし、感圧容量Cxの変化ΔCxと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrおよび堆積感知容量Cdの変化ΔCdと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCd/ΔCrを異常検知の指標αおよびβとして算出し、この算出した異常検知の指標α,βと正常時の当該指標を示す基準値αref,βrefとを比較することによって、ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断するようにしてもよい。
【0021】
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、被測定媒体の真空引き時の複数の電極対の容量の変化から異常検知の指標を算出し、この算出した異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値とを比較することによって、ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断するようにしたので、圧力による出力変化と、堆積物などによる圧力以外の出力変化とを見分け、不要な零点調整を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、圧力が加えられた時の均等厚の円形ダイアフラムの撓み曲線を示す図である。
図2図2は、本発明を適用しようとする静電容量型圧力センサの一例の要部の構成を示す図である。
図3図3は、この静電容量型圧力センサにおけるセンサ台座に形成された感圧側固定電極および参照側固定電極の配置を圧力導入孔の位置と合わせて示す図である。
図4図4は、この静電容量型圧力センサのダイアフラムに堆積膜が形成されている状態を示す図である。
図5図5は、図4のような堆積が生じた際にこの静電容量型圧力センサのダイアフラムの中央部が堆積膜によって大きく撓む計算結果(1/4モデル)を示す図である。
図6図6は、この静電容量型圧力センサにおける感圧側電極対および参照側電極対の配置を示す図である。
図7図7は、印加圧力に対する感圧容量Cxおよび参照容量Crの計算値を示す図である。
図8図8は、印加圧力に対するCx−Crの計算値を示す図である。
図9図9は、100Paをフルスケールとしたときの10%FS(フルスケール)に相当する10Pa以下の領域において感圧容量Cxの変化ΔCxと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrが堆積膜が成膜された状態と成膜されていない状態で大きく異なることを説明する図である。
図10図10は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型圧力センサの異常検知装置の要部の構成を示すブロック図である。
図11図11は、実施の形態1の異常検知装置における運用前の処理を示すフローチャートである。
図12図12は、実施の形態1の異常検知装置における運用中の処理を示すフローチャートである。
図13図13は、本発明を適用しようとする静電容量型圧力センサの他の例の要部の構成を示す図である。
図14図14は、この静電容量型圧力センサにおけるセンサ台座に形成された感圧側固定電極および参照側固定電極の配置を圧力導入孔の位置と合わせて示す図である。
図15図15は、この静電容量型圧力センサのダイアフラムに堆積膜が形成されている状態を示す図である。
図16図16は、図15のような堆積が生じた際にこの静電容量型圧力センサのダイアフラムの周縁部側の領域域に位置する圧力導入孔に対応する部分が大きく撓む計算結果(1/4モデル)を示す図である。
図17図17は、この静電容量型圧力センサにおける感圧側電極対、参照側電極対および堆積感知電極対の配置を示す図である
図18図18は、本発明の実施の形態2に係る静電容量型圧力センサの異常検知装置の要部の構成を示すブロック図である。
図19図19は、実施の形態2の異常検知装置における運用前の処理を示すフローチャートである。
図20図20は、実施の形態2の異常検知装置における運用中の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。先ず、実施の形態の説明に入る前に、本発明の原理について説明する。
【0025】
〔発明の原理〕
発明者は、圧力によるダイアフラムの撓み(適切な撓み)と、堆積物などの圧力以外の要因によるダイアフラムの撓み(不適切な撓み)とでは、撓みの形状が異なることを突き止めた。通常、センサダイアフラムの圧力を受けた時の形状は均等圧力を受けた周辺固定された円板の撓みw(r)として、下記(1)式で示されるように定式化されており、圧力pが加えられた時の撓みwはダイアフラム中心からの距離rの4次関数となる(図1参照)。
【0026】
【数1】
【0027】
多くの場合、静電容量型圧力センサの出力は、キャビティ内に感圧容量Cxおよび参照容量Crを配置し、熱膨張・収縮に由来する温度特性の抑制や電気ノイズの低減、キャビティ内の誘電率の変化の影響の除去などを目的として差分Cx−Crを出力(センサ出力)としている。
【0028】
図2に、本発明を適用しようとする静電容量型圧力センサの一例の要部の構成を示す。この静電容量型圧力センサ100は、被測定媒体の圧力に応じて変位するダイアフラム101と、このダイアフラム101の周縁部を支持するダイアフラム支持部102とを備えるダイアフラム構成部材103と、ダイアフラム支持部102に接合され、ダイアフラム101と共に基準真空室(キャビティ)104を形成するセンサ台座105と、ダイアフラム支持部102のセンサ台座105とは反対側に接合され、ダイアフラム101と共に圧力導入室106を形成する台座プレート107とを備えている。
【0029】
この静電容量型圧力センサ100において、センサ台座105の基準真空室104側の面には感圧側固定電極108および参照側固定電極109が形成され、ダイアフラム101の基準真空室104側の面には感圧側可動電極110および参照側可動電極111が形成されている。感圧側固定電極108と感圧側可動電極110とは互いに対向するようにダイアフラム101の中央部に設けられており、参照側固定電極109と参照側可動電極111とは互いに対向するようにダイアフラム101の外周部に設けられている。また、台座プレート107には、そのプレートの中央部(ダイアフラム101の中心に位置する部分)に圧力導入孔112が形成されている。
【0030】
図3に、センサ台座105に形成された感圧側固定電極108および参照側固定電極109の配置を圧力導入孔112の位置と合わせて示す。平面視略円形の感圧側固定電極108は、その中心がダイアフラム101の中心とほぼ一致するように、基準真空室104側のセンサ台座105の面に形成されている。平面視略円弧状の参照側固定電極109は、感圧側固定電極108の外側に略同心円状に配置されるように、基準真空室104側のセンサ台座105の面に形成されている。感圧側固定電極108は、センサ台座105に形成された配線113を介してセンサ外部の信号処理装置(不図示)と電気的に接続される。同様に、参照側固定電極109は、センサ台座105に形成された配線114を介して信号処理装置と電気的に接続される。
【0031】
ダイアフラム101側の可動電極の構成も固定電極と同様である。すなわち、平面視略円形の感圧側可動電極110は、感圧側固定電極108と対向するように、基準真空室104側のダイアフラム101の面に形成されている。感圧側可動電極110の中心は、ダイアフラム101の中心とほぼ一致している。平面視略円弧状の参照側可動電極111は、参照側固定電極109と対向するように、基準真空室104側のダイアフラム101の面に形成されている。参照側可動電極111は、感圧側可動電極110の外側に略同心円状に配置される。感圧側可動電極110は、ダイアフラム101に形成された配線(不図示)を介してセンサ外部の信号処理装置と電気的に接続される。同様に、参照側可動電極111は、ダイアフラム101に形成された配線(不図示)を介して信号処理装置と電気的に接続される。
【0032】
感圧側固定電極108と感圧側可動電極110とからなる静電容量は、圧力に対して高感度であって、圧力測定を行う役目を果たす。参照側固定電極109と参照側可動電極111とからなる静電容量は、圧力に対して低感度であって電極間の誘電率を補正する役目等を果たす。以下、感圧側固定電極108と感圧側可動電極110との電極対を感圧側電極対D1とし、参照側固定電極109と参照側可動電極111との電極対を参照側電極対D2とする。感圧側電極対D1はダイアフラム101の中央部に感圧容量Cxを形成し、参照側電極対D2はダイアフラム101の外周部に参照容量Crを形成する。
【0033】
この静電容量型圧力センサ100において、ダイアフラム101の面と交差する方向(この例では、ダイアフラム101の面と垂直な方向)から被測定媒体が圧力導入孔112を介して圧力導入室106に導入されると、被測定媒体の圧力に応じてダイアフラム101が変形する。ダイアフラム101が変形すると、センサ台座105とダイアフラム101の距離(基準真空室104の高さ)が変化し、感圧側電極対D1が形成する感圧容量Cxおよび参照側電極対D2が形成する参照容量Crが変化する。図示しない信号処理装置は、Cx−Crとしてセンサ出力を算出し、このセンサ出力(容量値)を圧力値に換算する。
【0034】
なお、この静電容量型圧力センサ100を構成する基材は、すなわちダイアフラム構成部材103やセンサ台座105,台座プレート107は、例えば、サファイアやアルミナセラミック、ガラス、シリコン、ニッケル合金、ステンレスなどの耐熱耐食性を有する材料から構成されている。
【0035】
この静電容量型圧力センサ100において、感圧容量Cxおよび参照容量Crは、下記の(2−1)式および(2−2)式で与えられる。
【0036】
【数2】
【0037】
この(2−1)式および(2−2)式において、圧力による撓みw(r)は上記(1)式として厳密に定義され、圧力によるそれぞれの容量の変化の比率(感圧容量Cxの変化ΔCxと参照容量Crの変化ΔCrとの比)ΔCx/ΔCrは、零点調整の対象となる撓みwが小さい範囲でほぼ一定値となる。
【0038】
これに対し、圧力以外の要因によるシフト、とりわけプロセス中の膜の堆積によるシフトはこの比率で発生するとは限らない。例えば、図4に示すように、圧力導入孔112の位置によって、ダイアフラム101上に堆積する膜(堆積膜)115の厚みが変化し、それによって発生する撓みwも様々に変化することになる。
【0039】
すなわち、図4に示されるように、圧力導入孔112の直下(ダイアフラム101の中央部)に膜115が厚く堆積すれば、その部分が膜応力によって大きく撓むので(図5参照)、Cx、Crの変化の比率(ΔCx/ΔCr)は圧力を受けた場合とは異なる値を取ることが予想される。
【0040】
こようなことから、発明者は、被測定媒体の圧力に応じて撓むダイアフラムの変位に応じてその電極間の容量が変化する複数の電極対からの信号のパターンに基づき、適切な撓み形状による信号と不適切な撓み形状による信号を識別(あるいは分離)することで、不要な零点調整を低減できることに想到した。
【0041】
具体的には、被測定媒体の真空引き時の複数の電極対の容量の変化から異常検知の指標を算出し、この算出した異常検知の指標と正常時の当該指標を示す基準値とを比較することによって、ダイアフラムに圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断できることに想到した。
【0042】
〔実施の形態の概要〕
実施の形態では、基本的な要件として、下記の様な機能を備えるものとする。
1.キャビティ内に複数個の容量を配置。
2.単純な容量値の増減による出力だけでなく、ダイアフラムの撓み形状に基づいた信号を計測・記憶できる機構を備える。
3.事前に各圧力印加によるダイアフラムの撓み形状(適切な撓み)に基づく「複数対の電極からの信号パターン(参照パターン)」を計測、記憶しておく。(例:均等厚みの円板なら、圧力印加による撓みは厚みの4次関数)
4.ダイアフラムへの堆積等、圧力以外の要因による零点シフトが予想される実プロセス適用時に、「複数対の電極からの信号パターン(実測パターン)」を取得する。
5.参照パターンと実測パターンに基づき、適切な撓み形状による信号と不適切な撓み形状による信号を識別し、適・不適を通知する。
【0043】
以下、実施の形態として、ダイアフラムの面の中央部に対して圧力導入孔が設けられている静電容量型圧力センサ(図2に示した構造の静電容量型圧力センサ100)と、ダイアフラムの面の中央部を避けた位置に分散して複数個の圧力導入孔が設けられている静電容量型圧力センサ(後述する図13に示した構造の静電容量型圧力センサ100’)とを例にとり、図2に示した構造の静電容量型圧力センサ100への適用例を実施の形態1として、図13に示した構造の静電容量型圧力センサ100’への適用例を実施の形態2として説明する。
【0044】
〔実施の形態1:通常のCx、Crを用いて信号処理する例〕
図2に示した構造の静電容量型圧力センサ100において、具体的な例として下記の様な寸法、材料パラメータを与えると、感圧側電極対D1および参照側電極対D2の配置は図6の様な形状となる。
【0045】
〔寸法、材料パラメータ〕
ダイアフラムのヤング率E:350GPa、ダイアフラムのポアソン比ν:0.25、ダイアフラム厚みh:50um、ダイアフラム半径a:5mm、キャビティ深さd0:2um、真空の誘電率:8.854e-12F/m、Cx径:2.005mm、Cr内径:3.997mm、Cr外形:4.471mm。
【0046】
この場合、上述した(2−1)式および(2−2)式に基づいて、印加圧力に対する感圧容量Cxおよび参照容量Crを計算すると、図7に示すようなCxおよびCrの値が得られる。また、図8に示すようなCx−Crの値が得られる。
【0047】
例えば、ここで100Paをセンサのフルスケールとすれば、零点調整をするか否かが問題となるのは10%FS(フルスケール)程度の0〜10Paの範囲である。今、Cx、Crの各容量に関して各圧力を印加したときの容量値から圧力を印加しないときの容量値の差分を取り、すなわち感圧容量Cxの変化ΔCxと参照容量Crの変化ΔCrを取り、その比ΔCx/ΔCrを圧力に対してプロットすると図9に示す特性Iのようになる。
【0048】
図9には、特性II,IIIとして、ダイアフラム101に堆積膜115が生じている状態(図4)で圧力を印加したときのシミュレーション結果の容量値の差分の比ΔCx/ΔCrも示している。特性IIは圧力導入孔112の径が1.0mmの場合を示し、特性IIIは圧力導入孔112の径が2.0mmの場合を示している。なお、図9には、特性IVとして、図13に示した構造の静電容量型圧力センサ100’において、圧力導入孔112を4つとした場合も合わせて示している。
【0049】
この結果からすると、10%FSに相当する10Pa以下では比ΔCx/ΔCrはほぼ一定値となり、圧力依存性は小さく、成膜されている状態(堆積物あり)と成膜されていない状態(堆積物なし)とでは大きく異なる値をとることがわかる。従って、この比ΔCx/ΔCrを圧力によるダイアフラム101の撓み形状に基づいた信号とすれば、圧力以外の要因による撓みによる零点シフトを見分けることが可能となる。
【0050】
具体的には、例えば図9に示すように、正常時の比ΔCx/ΔCrを基準値αrefとし、この基準値αrefに対して±thの範囲(点線で示す範囲)を定め、真空計の零点がずれた時にポンプ引き切り時(真空引き時)の比α=ΔCx/ΔCrがαref±thの範囲に入っていなければ、堆積物等によるシフトが発生したとみなすことができる。すなわち、ダイアフラム101に圧力以外の要因による撓みが生じているとみなすことができる。
【0051】
図10は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型圧力センサの異常検知装置200の要部の構成を示すブロック図である。この異常検知装置200は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、センサ部1と、容量出力部2と、特性計測部3と、基準値記憶部4と、閾値記憶部5と、状態判断部6と、警報出力部7とを備えている。
【0052】
なお、この異常検知装置200において、センサ部1は図2に示した静電容量型圧力センサ100における感圧側電極対D1および参照側電極対D2とする。また、この異常検知装置200は、静電容量型圧力センサ100に付設される信号処理装置に組み込まれる。
【0053】
以下、図11および図12に示すフローチャートを参照しながら、容量出力部2、特性計測部3、基準値記憶部4、閾値記憶部5、状態判断部6および警報出力部7の機能について、その動作を交えながら説明する。
【0054】
本実施の形態では、静電容量型圧力センサ100の出荷前(運用前)、センサのキャラクタリゼーションを実施する際に、単純にセンサ出力Cx−Crを記憶するだけではなく、異常検知の指標となる計測レンジ内の圧力印加時の感圧容量Cxの変化ΔCxと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrの値も記録する。
【0055】
具体的には、計測レンジ内の圧力を印加した状態で、センサ部1から発せられた信号を容量出力部2で感圧容量Cxおよび参照容量Crに変換し、特性計測部3において感圧容量Cxの変化ΔCxと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrを正常時の比ΔCx/ΔCrとして算出し(図11:ステップS101)、この算出した正常時の比ΔCx/ΔCrを基準値αrefとして基準値記憶部4に記憶させておく(ステップS102)。
【0056】
次に、実際のプロセスを経てセンサのシフトが発生し、それが圧力の悪化によるものかどうか判断する際は(運用中)、ポンプの引き切りにより真空とした状態で、センサ部1から発せられた信号を容量出力部2で感圧容量Cxおよび参照容量Crに変換し、特性計測部3において感圧容量Cxの変化ΔCxと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrを異常検知の指標αとして算出する(図12:ステップS201)。この特性計測部3によって計測された異常検知の指標αは状態判断部6へ送られる。
【0057】
状態判断部6は、特性計測部3からの異常検知の指標αと基準値記憶部4に記憶されている基準値αrefとを比較することによって、具体的には閾値記憶部5に記憶されている閾値thを読み出し、異常検知の指標αがαref±thの範囲に入っているか否かを確認することによって、静電容量型圧力センサ100のダイアフラム101に圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断する(ステップS202)。
【0058】
この場合、状態判断部6は、異常検知の指標αがαref±thの範囲に入っている場合にはダイアフラム101に圧力以外の要因による撓みは生じていないと判断し(ステップS202の「正常」)、異常検知の指標αがαref±thの範囲から外れている場合にはダイアフラム101に圧力以外の要因による撓みが生じていると判断する(ステップS202の「異常」)。この状態判断部6での判断結果は警報出力部7へ送られる。
【0059】
警報出力部7は、ダイアフラム101に圧力以外の要因による撓みが生じている旨の判断結果が送られてきた場合、すなわち異常である旨の判断結果が送られてきた場合、警報を発令する(ステップS203)。
【0060】
〔実施の形態2:通常のCx、Cr以外の容量を用いて信号処理する例〕
図13に示した構造の静電容量型圧力センサ100’では、ダイアフラム101の圧力導入室106側の面の周縁部と中央部との間に段部116を設け、この段部116を境界として中央部側の領域(薄い領域)S1と周縁部側の領域(厚い領域)S2とに分け、ダイアフラム101の段部116の近傍(周縁部側の領域S2)にその開口部を位置させるようにして複数の圧力導入孔112を台座プレート107に設けている。
【0061】
図14に、この静電容量型圧力センサ100’におけるセンサ台座105に形成された感圧側固定電極108および参照側固定電極109の配置を圧力導入孔112の位置と合わせて示す。この例では、感圧側固定電極108と参照側固定電極109との間に位置するように、圧力導入孔112が等角度間隔で4つ設けられている。この場合、図15に示すように、等角度間隔で設けられた4つの圧力導入孔112の直下に膜115が厚く堆積し、ダイアフラム101は、図16に示すように、周縁部側の領域に位置する圧力導入孔112に対応する部分が大きく撓むと予想される。
【0062】
そこで、このような構造の静電容量型圧力センサ100’では、図17に示すように、感圧側電極対D1と参照側電極対D2との間に位置する圧力導入孔112に対応する位置に、第3の電極対として堆積感知容量Cdを形成する堆積感知電極対D3を設けるようにする。
【0063】
そして、真空引き時の堆積感知容量Cdの変化ΔCdと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCd/ΔCrを異常検知の指標βとして算出し、この算出した異常検知の指標βと正常時の当該指標を示す基準値βrefとを比較することによって、ダイアフラム101に圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断するようにする。
【0064】
この実施の形態2において、異常発報の手順は実施の形態1に従う。図18図10に対応する図を、図19図11に対応する図を、図20図12に対応する図を示す。実施の形態1でも、静電容量型圧力センサ100’のダイアフラム101に圧力以外の要因による撓みが生じているか否かを判断することは可能であるが、実施の形態2の方法を採用することにより、異常検知の感度を高めることができる。
【0065】
なお、実施の形態2において、真空引き時の感圧容量Cxの変化ΔCxと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCx/ΔCrおよび堆積感知容量Cdの変化ΔCdと参照容量Crの変化ΔCrとの比ΔCd/ΔCrを異常検知の指標αおよびβとして算出し、異常検知の指標αが基準値αref±thから外れた場合、もしくは異常検知の指標βが基準βref±thから外れた場合、警報を発するようにしてもよい。
【0066】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1…センサ部、2…容量出力部、3…特性計測部、4…基準値記憶部、5…閾値記憶部、6…状態判断部、7…警報出力部、100,100’…静電容量型圧力センサ、101…ダイアフラム、102…ダイアフラム支持部、103…ダイアフラム構成部材、104…基準真空室(キャビティ)、105…センサ台座、106…圧力導入室、107…台座プレート、108…感圧側固定電極、109…参照側固定電極、110…感圧側可動電極、111…参照側可動電極、112…圧力導入孔、115…膜(堆積膜)、200,200’…異常検知装置、Cx…感圧容量、Cr…参照容量、Cd…堆積感知容量、D1…感圧側電極対、D2…参照側電極対、D3…堆積感知電極対。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20