(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981893
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】飛行体ウインチデータ表示システム及び飛行体並びにウインチデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
B66D 1/54 20060101AFI20211206BHJP
B64D 1/22 20060101ALI20211206BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20211206BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20211206BHJP
B66C 13/46 20060101ALN20211206BHJP
【FI】
B66D1/54 H
B64D1/22
B64C39/02
B64C27/08
!B66C13/46 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-25668(P2018-25668)
(22)【出願日】2018年2月16日
(65)【公開番号】特開2019-142604(P2019-142604A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2020年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
【審査官】
八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2016/0236778(US,A1)
【文献】
特開2017−169395(JP,A)
【文献】
特開2017−178301(JP,A)
【文献】
特開2017−087898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00−15/06
B66D 1/00−5/34
B64C 1/00−99/00
B64D 1/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引部材を巻回可能な回転体と、正逆回転駆動することによって前記回転体を正逆回転させて前記回転体に対する前記牽引部材の巻き取り及び/又は繰り出しを行なう電動モータとを有して飛行体に装着されるウインチと、
前記牽引部材の繰り出し量を検出する繰り出し量検出部と、
前記飛行体の高度を検出するための高度検出部と、
前記繰り出し量検出部により検出される検出データと前記高度検出部により検出される検出データとを少なくとも含むウインチデータを送信する送信部と、
前記ウインチデータを受信する受信部と、
前記受信部で受けられる前記ウインチデータを前記飛行体の操作者に対して出力する出力部と、
を備え、
前記出力部は、前記繰り出し量検出部により検出される前記牽引部材の繰り出し量と前記高度検出部により検出される前記飛行体の高度との間の差が所定の閾値を下回るときに警告情報を出力することを特徴とする飛行体ウインチデータ表示システム。
【請求項2】
前記ウインチによる前記牽引部材の繰り出し動作に同期して前記出力部で前記ウインチデータが出力されることを特徴とする請求項1に記載の飛行体ウインチデータ表示システム。
【請求項3】
牽引部材を巻回可能な回転体と、正逆回転駆動することによって前記回転体を正逆回転させて前記回転体に対する前記牽引部材の巻き取り及び/又は繰り出しを行なう電動モータとを有して飛行体に装着されるウインチのウインチデータを処理する方法であって、
前記牽引部材の繰り出し量を検出する繰り出し量検出部からの検出データと、前記飛行体の高度を検出するための高度検出部からの検出データとを少なくとも含むウインチデータを取得するデータ取得ステップと、
前記飛行体を操作するための操作部へ前記ウインチデータを送信する送信ステップと、
前記操作部で前記ウインチデータを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受けられる前記ウインチデータを前記操作部を操作する操作者に対して出力する出力ステップと、
を含み、
前記出力ステップは、前記繰り出し量検出部により検出される前記牽引部材の繰り出し量と前記高度検出部により検出される前記飛行体の高度との間の差が所定の閾値を下回るときに警告情報を出力することを特徴とする方法。
【請求項4】
前記出力ステップは、前記ウインチによる前記牽引部材の繰り出し動作に同期して前記ウインチデータを出力することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に装着されるとともに電動により牽引部材を巻き上げて(巻き取って)及び/又は繰り降ろして(繰り出して)対象物を昇降させる電動巻き上げ装置(飛行体ウインチ)のための飛行体ウインチデータ表示システム及び飛行体並びにウインチデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータの駆動力を利用して寝具、梱包類、仮設足場、建造物、漁労具等の対象物を所定位置まで巻き上げたり、降ろしたりする電動巻き上げ装置(以下、単にウインチという)は従来から一般的に知られている。
【0003】
このようなウインチは、一般に、電動モータの正回転によって牽引部材を回転体(例えば、ドラムやスプール)に巻き取るとともに、電動モータの逆回転によって牽引部材を回転体から繰り出すようになっており、例えば重機や各種建造物に装着され(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)、或いは、最近では、例えば特許文献3に開示されるように無人飛行体(ドローン)に装着されて、荷物の搬送のみならず、例えば危険地帯への物資の運搬や調査等に活用されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−210607号
【特許文献2】特開2017−88358号
【特許文献3】特開2017−87898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなウインチをドローンなどの飛行体に装着する場合、特に、飛行体を遠隔操作し、操作場所から離れた遠隔地でウインチにより牽引部材を繰り降ろして(繰り出して)、牽引部材に結合される対象物を所定の高度から地上へ向けて降下させる場合、飛行体及びウインチを操作する操作者は、飛行体から地上までの距離(飛行体の高度)を把握していなければならないことは勿論のこと、飛行体からウインチにより降下される対象物の降下量(牽引部材の繰り出し量)をも把握していなければ、対象物の正確な降下作業を行なうことができない。
【0006】
しかしながら、前述した特許文献3で代表されるような従来のウインチ付きの飛行体では、牽引部材の繰り出し量(ウインチデータ)が操作者に提供されておらず、そのため、操作者は、遠くから目視で、或いは、飛行体に装着された遠近感を把握し難いカメラ等を用いて、対象物の降下操作を感覚的に行なうしかない。
【0007】
したがって、例えば誤って牽引部材を過度に繰り出してしまって(対象物が地上に達した後も牽引部材を繰り出し続け)、牽引部材が障害物(例えば木々や電柱等)に絡む(引掛かる)といった事態も生じ得る。そのような場合には、対象物の降下に支障を来すばかりか、そのような絡み(引掛かり)によって飛行体が立ち往生してしまって、その後の飛行体の帰還が不可能になる(或いは、電力供給が尽きてドローンが墜落する)といった状況に陥る可能性もある。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、ウインチデータを操作者に提供して飛行体からの対象物の確実で正確な降下動作を可能にする飛行体ウインチデータ表示システム及び飛行体並びにウインチデータ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のウインチデータ表示システムは、牽引部材を巻回可能な回転体と、正逆回転駆動することによって前記回転体を正逆回転させて前記回転体に対する前記牽引部材の巻き取り及び/又は繰り出しを行なう電動モータとを有して飛行体に装着されるウインチと、前記牽引部材の繰り出し量を検出する繰り出し量検出部と、前記飛行体の高度を検出するための高度検出部と、前記繰り出し量検出部により検出される検出データと前記高度検出部により検出される検出データとを少なくとも含むウインチデータを送信する送信部と、前記ウインチデータを受信する受信部と、前記受信部で受けられる前記ウインチデータを前記飛行体の操作者に対して出力する出力部とを備え
、前記出力部は、前記繰り出し量検出部により検出される前記牽引部材の繰り出し量と前記高度検出部により検出される前記飛行体の高度との間の差が所定の閾値を下回るときに警告情報を出力することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、飛行体を操作する操作者は、牽引部材の繰り出し量と飛行体の高度とを含むウインチデータの全てを出力部を通じて把握できるため、飛行体を遠隔操作し、操作場所から離れた遠隔地でウインチにより牽引部材を繰り降ろして(繰り出して)、牽引部材に結合される対象物を所定の高度にある飛行体から地上へ向けて降下させる場合であっても、対象物の正確な降下作業を行なうことができる。したがって、例えば誤って牽引部材を過度に繰り出してしまって(対象物が地上に達した後も牽引部材を繰り出し続け)、牽引部材が障害物(例えば木々や電柱等)に絡む(引掛かる)などして、対象物の降下に支障を来すといった事態を生じさせないで済み、また、牽引部材が障害物に絡む(引掛かる)ことによって飛行体が立ち往生してしまって、その後の飛行体の帰還が不可能になる(或いは、電力供給が尽きて飛行体が墜落する)といった状況に陥る可能性も排除できる。
【0011】
なお、上記構成においては、例えば、繰り出し量検出部がウインチに設けられ、高度検出部及び送信部が飛行体に設けられ、受信部及び出力部が飛行体を操作するための操作部に設けられてもよいが、これに限定されず、繰り出し量検出部、高度検出部、送信部、受信部、及び、出力部は、飛行体ウインチデータ表示システムを構成し得る様々な構成要素に設けることができる。
【0012】
また、上記構成において、牽引部材の繰り出し量を検出する繰り出し量検出部は、原理的には、回転体の回転を読み取る方式のもの、回転体に巻回される牽引部材の半径を読み取る方式のもの、或いは、繰り出し量検出用のプーリを設けてこのプーリの回転を読み取る方式のものなど、様々な検出方式を採用できる。また、飛行体の高度を検出するための高度検出部は、超音波や電磁波等を飛行体側から地上へ向けて放出してその波の反射までの時間によって高度を測定する方式のもの、三角測量法を用いる方式のもの、或いは、GPS信号や気圧等を利用する高度計と測定した経度緯度から高度地図を用いて算出した標高データとの間の差を利用する方式のものなど、様々な検出方式を採用できる。
【0013】
また、上記構成において、出力部は、例えば、飛行体を操作するための操作部に設けられる液晶モニタであってもよいが、これに限定されず、また、出力部で出力されるウインチデータの出力表示形態は、グラフや文字であってもよく、或いは、アニメーションであっても構わない。
【0014】
また、上記構成において、飛行体としては、例えばドローンを挙げることができるが、これに限定されず、操作者によって手動操作可能又は自動操作可能なあらゆる飛行体を想定し得る。
【0015】
また、上記構成において、ウインチデータとしては、繰り出し量検出部により検出される検出データ(牽引部材の繰り出し量)及び高度検出部により検出される検出データ(飛行体の高度)以外に、牽引部材の張力、牽引スピード、モーター駆動電圧、電流、モーター温度、制御基板温度を挙げることができ、このようなウインチデータも操作者に提供されれば、飛行体からの対象物の降下動作だけでなく、対象物の確実で正確な上昇動作や、装置異常状態の早期発見も可能にし得る。また、送信部と受信部との送受信は、例えば専用の無線チャンネルを用いて行われてもよく、そのデータの送受信形態は公知の様々な形態が考えられる。
【0016】
また、上記構成において、出力部は、繰り出し量検出部により検出される牽引部材の繰り出し量と高度検出部により検出される飛行体の高度との間の差が所定の閾値を下回るときに警告情報を出力
する。これによれば、飛行体の操作者は、対象物がまもなく地面に着地することを把握でき、着地に伴う必要な操作等を行なうことができ、不測な事態を未然に回避できる。この場合、警告情報は、視覚的、聴覚的、又は、触覚的に報知されてもよい。
【0017】
また、上記構成では、ウインチによる牽引部材の繰り出し動作に同期して出力部でウインチデータが出力されてもよい。これによれば、ウインチデータを必要時に効果的に操作者に提供できるとともに、データ送受信に伴う電力を効率的に無駄なく使用できる。この場合、「同期」とは、例えば、牽引部材の繰り出し動作を命じるコマンド(操作信号)が飛行体を操作するための操作部側から飛行体側に送信されて電動モータにより回転体が繰り出し方向に回転するその動作に連動してウインチデータが送信部を介して送信されることを意味する。しかしながら、他の様々な同期形態も考えられ、或いは、同期することなく、ウインチデータが飛行体側から操作部側へ常時送信され続けていても構わない。
【0018】
また、本発明は、上記構成の特徴を有する移動体及びウインチデータ処理方法も提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ウインチデータを操作者に提供して飛行体からの対象物の確実で正確な降下動作を可能にする飛行体ウインチデータ表示システム及び飛行体並びにウインチデータ処理方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る飛行体に搭載されるウインチの一例を示す概略的な斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る飛行体ウインチデータ表示システムの概略的なブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る飛行体ウインチデータ表示システムの作用を説明するための概略的な説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る飛行体の一例としてのドローンの斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る飛行体ウインチデータ表示システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る飛行体ウインチデータ表示システムの一実施形態について具体的に説明する。
図2に示されるように、本実施形態に係る飛行体ウインチデータ表示システムSは、飛行体としての例えばドローン500と、ドローン500を動作させるために操作者60(
図3参照)によって操作される操作部29とによって構成され、ドローン500には電動巻き上げ装置としての飛行体ウインチ(以下、単にウインチという)1が搭載される。
【0022】
ドローン500は、例えば、
図4に示されるように、中央の本体部100から放射状に延びる4つのフレーム部(筐体)200を有しており、各フレーム部200の先端には駆動部300が装着される。この場合、本体部100は、例えばバッテリ、制御部、通信部(信号送受信部)、センサ、カメラ等(全て図示せず)を備える。また、駆動部300は、駆動モータが収容されるモータハウジング51と、駆動モータにより回転駆動されるプロペラ30とを有する。
【0023】
ドローン500に搭載される、例えばドローン500の本体部100の底部に装着されるウインチ1は、
図1及び
図2に示されるように、電動モータ2と、電動モータ2の正逆回転駆動によって正逆回転されて巻き上げ対象物80(
図3参照)を牽引するための牽引部材22を巻き取る及び/又は繰り出す筒状の回転体4とを有する。この場合、回転体4は、ハウジング6に収容保持されるとともに、軸受(図示せず)を介してハウジング6に回転可能に支持され、また、電動モータ2は、例えばモータハウジングに収容された状態で筒状の回転体4の内側に回転不能に支持固定されてもよく、好ましくはハウジング6に取り外し可能に装着される電源Pによって給電される。なお、回転体4に巻回される牽引部材22としては、ワイヤ、チェーン、ロープ等を挙げることができる。
【0024】
また、電動モータ2及び回転体4は、動力伝達機構(動力伝達経路)10によって互いに動力伝達可能に連結されている。この場合、動力伝達機構10は、電動モータ2の回転を回転体4側に伝達するが回転体4の回転を電動モータ2側に伝達しない双方向クラッチを有してもよく、また、電動モータ2からの動力を減速して回転体4に伝える減速機構を備えてもよい。
【0025】
なお、本実施形態に係るウインチ1には、回転体4に対して牽引部材22を平行に巻回するためのレベルワインド装置40が設けられる。このレベルワインド装置40は、電動モータ2が回転駆動されると、それに連動して、回転体4から繰り出される牽引部材22を挿通する案内体42が左右に往復移動するよう構成されており、牽引部材22の巻き取り動作に伴って、回転体4に対して牽引部材22を均等に巻回する機能を有する。
【0026】
また、本実施形態に係る飛行体ウインチデータ表示システムSは、その主要な構成要素として、
図2に示されるように、回転体4による牽引部材22の繰り出し量を検出する繰り出し量検出部20と、ドローン500の高度を検出するための高度検出部21と、繰り出し量検出部20により検出される検出データと高度検出部21により検出される検出データとを少なくとも含むウインチデータを送信する送信部を伴う第1の送受信部19と、第1の送受信部19が操作部29側から受けるコマンド(操作信号)に応じて電動モータ2の駆動を制御するとともに繰り出し量検出部20及び高度検出部21からの検出データの送信を制御する制御部18とを有する制御装置15を備える。また、飛行体ウインチデータ表示システムSは、第1の送受信部19からウインチデータを受信する受信部を伴う第2の送受信部28と、第2の送受信部28で受けられるウインチデータをドローン500の操作者60に対して出力する出力部27とを更に備える。
【0027】
特に本実施形態では、繰り出し量検出部20、高度検出部21、第1の送受信部19、及び、制御部18を含む制御装置15がドローン500側に設けられ(この場合、繰り出し量検出部20は、ウインチ1に設けられてもよく又はドローン500の本体部100に設けられてもよい)、第2の送受信部28及び出力部27がドローン500を操作するための操作部29に設けられるが、これに限定されず、繰り出し量検出部20、高度検出部21、制御部19、第1の送受信部19、第2の送受信部28、及び、出力部27は、飛行体ウインチデータ表示システムSを構成し得る様々な構成要素に設けることができる。
【0028】
回転体4による牽引部材22の繰り出し量を検出する繰り出し量検出部20としては、例えば、回転体4の回転を読み取る方式のもの、具体的には、回転体4と同期して回転する磁石等の被検出部を、ホール素子等の検出手段によって回転を読み取る方式のものが挙げられる。スリットによって被検出部を構成し、フォトセンサを検出手段としても、同様の効果が実現できる。或いは、繰り出し量検出部20としては、回転体4に巻回される牽引部材22の半径を読み取る方式のもの、具体的には、接触式のプローブを回転体4に巻きつけられた牽引部材22に接触させ、その変位を測定するものや、超音波やレーザー等の入射波を牽引部材22に当て、その反射波の反射するまでの時間や反射位置を読み取る方式のものも挙げられる。更には繰り出し量検出部20として、繰り出し量検出用のプーリを設けてこのプーリの回転を読み取る方式のものも考えられる。すなわち、繰り出し量検出部20としては様々な検出方式を採用できる。
【0029】
また、ドローン500の高度を検出するための高度検出部21は、例えば
図3に示されるように超音波や電磁波等をドローン500側から地上へ向けて放出してその波の反射までの時間によって高度を測定する方式のもの、又は、三角測量法を用いる方式のもの、或いは、GPS信号や気圧等を利用する高度計と測定した経度緯度から高度地図を用いて算出した標高データとの間の差を利用する方式のものなど、様々な検出方式を採用できる。
【0030】
また、第1の送受信部19と第2の送受信部28との間のデータの送受信は、例えばウインチデータおよび高度検出データ専用の無線チャンネルを用いて行われてもよいが、これに限定されず、ドローン500を無線操作するための無線チャンネルを利用してもよい。また、出力部27は、例えば、ドローン500を操作するための操作部29に設けられる液晶モニタであってもよいが、これに限定されず、また、出力部27で出力されるウインチデータは、例えば
図3に示されるように操作部29の液晶モニタ27aに文字や数字のみによって表示されてもよいが、グラフ表示されもよく、或いは、アニメーション(牽引部材22に吊るされ対象物80の地上に対する動きを動画で示す)によって表示されてもよい。また、ウインチデータや高度検出データ、あるいはその差分を音声データによって読み上げてもよい。
【0031】
次に、
図3及び
図5を参照しながら、上記構成の飛行体ウインチデータ表示システムSを用いてウインチデータを操作者60に供給する一態様について簡単に説明する。なお、この態では、ウインチ1による牽引部材22の繰り出し動作に同期して出力部27でウインチデータが出力されるとともに、出力部27は、繰り出し量検出部20により検出される牽引部材22の繰り出し量と高度検出部21により検出されるドローン500の高度との間の差が所定の閾値を下回るときに警告情報を出力するものとする。
【0032】
まず、ドローン500の例えば本体部100にウインチ1が装着された状態で、
図3に示されるように操作者60が操作する操作部29の操作信号(コマンド)によりドローン500が飛行して目的場所(図では、例えば木などの障害物150が多数存在する山岳地)に到達した状況を想定する。操作者60が、この目的場所で対象物80を地上に降ろすために、操作部29から第2の送受信部28を介して操作信号をドローン500側に送信すると、操作信号は、第1の送受信部19を通じて制御部18に入力される。制御部19は、この操作信号を受けると(
図5のステップS1がYESのとき)、電動モータ2を駆動させて、回転体4を回転させ、牽引部材22を繰り出す。また、これと同時に、制御部19は、牽引部材22の繰り出し量を検出する繰り出し量検出部20からの検出データとドローン500の高度を検出するための高度検出部21からの検出データとを含むウインチデータを取得し(
図5のステップS2)、このウインチデータを第1の送受信部19を介して操作部29側へ送信する(
図5のステップS3)。
【0033】
これに応じて、操作部29側では、第2の送受信部28を介してウインチデータが受けられ、このウインチデータが操作部29の出力部27から出力される(
図5のステップS4)。具体的には、例えば
図3に示されるように操作部29の液晶モニタ27aに文字や数字のみによってウインチデータが表示される。その後、繰り出し量検出部20により検出される牽引部材22の繰り出し量と高度検出部21により検出されるドローン500の高度との間の差が所定の閾値を下回ると、すなわち、対象物80が地上に到達するまでの残りの距離(対象物80と地上との間の距離)が所定の閾値を下回ると(
図5のステップS5がYESのとき)、警告情報が出力部27で出力される。具体的には、例えば警告音や警告振動等が出力部27から発せられる(
図5のステップS6)。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の飛行体ウインチデータ表示システムSによれば、ドローン500を操作する操作者60は、牽引部材22の繰り出し量とドローン50の高度とを含むウインチデータの全てを出力部27を通じて把握できるため、ドローン500を遠隔操作し、操作場所から離れた遠隔地でウインチ1により牽引部材22を繰り降ろして(繰り出して)、牽引部材22に結合される対象物80を所定の高度にあるドローン500から地上へ向けて降下させる場合であっても、対象物80の正確な降下作業を行なうことができる。したがって、例えば誤って牽引部材22を過度に繰り出してしまって(対象物80が地上に達した後も牽引部材22を繰り出し続け)、牽引部材22が障害物150(例えば木々や電柱等)に絡む(引掛かる)などして、対象物80の降下に支障を来すといった事態を生じさせないで済み、また、牽引部材22が障害物150に絡む(引掛かる)ことによってドローン500が立ち往生してしまって、その後のドローン500の帰還が不可能になる(或いは、電力供給が尽きてドローン500が墜落する)といった状況に陥る可能性も排除できる。或いは、牽引部材22がフケる(弛む)ことで、牽引部材22がウインチ1内で絡まるといった事態を未然に防止できる。
【0035】
また、本実施形態によれば、出力部27は、繰り出し量検出部20により検出される牽引部材22の繰り出し量と高度検出部21により検出されるドローン500の高度との間の差が所定の閾値を下回るときに警告情報を出力するようになっているため、ドローン500の操作者60は、対象物80がまもなく地面に着地することを把握でき、着地に伴う必要な操作等を確実に行なうことができ、不測な事態を未然に回避できる。
【0036】
また、本実施形態によれば、ウインチ1による牽引部材22の繰り出し動作に同期して出力部27でウインチデータが出力されるため、ウインチデータを必要時に効果的に操作者60に提供できるとともに、データ送受信に伴う電力を効率的に無駄なく使用できる。また、別の実施形態によれば、牽引部材22の引き出し距離が閾値以下(例えば10m以下)の際にはデータ送受信を停止し、閾値以上になった際にデータ送受信を実施してもよい。牽引部材22の引き出し距離が十分短く、また、巻き取り方向にウインチ1を駆動させる際は、牽引部材22と地表上の障害物との絡みが発生する虞が小さいため、データ送受信に必要な電力を省電力化し、また、操作者60に送る情報を少なくすることで、操作時の負荷低減を実現できる。
【0037】
以上、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、前述した実施形態では、飛行体としてドローンが示されているが、飛行体はこれに限定されず、操作者によって手動操作可能又は自動操作可能なあらゆる飛行体を想定し得る。また、前述した実施形態では、ウインチデータとして、繰り出し量検出部により検出される検出データ(牽引部材の繰り出し量)及び高度検出部により検出される検出データ(飛行体の高度)が挙げられているが、これに加えて、ウインチデータとして牽引部材の張力、牽引スピード、モーター駆動電圧、電流、モーター温度、制御基板温度が操作者に更に提供されれば、飛行体からの対象物の降下動作だけでなく、対象物の確実で正確な上昇動作も可能にし得るほか、ウインチの異常動作の早期発見が可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1 ウインチ
2 電動モータ
4 回転体
19 第1の送受信部(送信部)
20 繰り出し量検出部
21 高度検出部
22 牽引部材
27 出力部
28 第2の送受信部(受信部)
29 操作部
60 操作者
500 ドローン(飛行体)