特許第6981902号(P6981902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6981902樹脂シール部材、及び樹脂シール部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981902
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】樹脂シール部材、及び樹脂シール部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20211206BHJP
   B29C 44/58 20060101ALI20211206BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B29C44/00 D
   B29C44/58
   B29C45/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-48282(P2018-48282)
(22)【出願日】2018年3月15日
(65)【公開番号】特開2019-155821(P2019-155821A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宮川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】小川 哲治
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−002376(JP,A)
【文献】 特開2014−124771(JP,A)
【文献】 特開2014−124770(JP,A)
【文献】 特開2016−094005(JP,A)
【文献】 特開2019−155820(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104653781(CN,A)
【文献】 実公昭41−023931(JP,Y2)
【文献】 特開2002−168505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00
B29C 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂部を備えた樹脂シール部材であって、
前記発泡樹脂部の表面のうち、樹脂基材の上に取り付けられる表面以外の表面を覆う表皮部を備え、
前記表皮部は、前記発泡樹脂部と比較して発泡率の低い凸部を備え、
前記凸部は、前記発泡樹脂部の端部に設けられている、
樹脂シール部材。
【請求項2】
樹脂基材は、前記発泡樹脂部を構成する発泡樹脂材と異なる組成を有する材料からなり、
前記樹脂基材は、前記凸部と同じ形状の樹脂基材凸部を備え、
前記樹脂基材凸部は、前記発泡樹脂部内へ入り込む、
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂シール部材。
【請求項3】
樹脂基材を成形する樹脂基材成形金型部を備えた金を用いた樹脂シール部材の製造方法であって、
前記金型は、前記樹脂基材成形金型部の樹脂基材成形用キャビティに連通する発泡樹脂部成形用キャビティ内を摺動可能な摺動部を備え、
前記摺動部における前記樹脂基材成形用キャビティ側の先端面には、凹部が設けられており、
記摺動部は、前記樹脂基材成形用キャビティから前記発泡樹脂部成形用キャビティへ連通する開口部を遮断し、前記樹脂基材を成形する工程と、
泡樹脂材を前記発泡樹脂部成形用キャビティに充填した後、前記摺動部を前記樹脂基材成形用キャビティから離間させて、前記発泡樹脂材が充填可能な充填空間を広げ、前記発泡樹脂部を成形する工程と、を備える、
樹脂シール部材の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂シール部材、及び樹脂シール部材の金型に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発泡成形本体と、当該発泡成形体本体に設けられた凸状部とを備える発泡成形体が開示されている。発泡成形本体及び凸状部は一体に発泡成形される。このような発泡成形体は、シール部材として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−168505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等は、以下の課題を発見した。
このような発泡成形体は、使用環境に応じて、熱や圧力を受けると、塑性変形して、そのシール性能が低下することがあった。
【0005】
発明者等は、凸状部と同じ形状の凸状体を、発泡させることなく成形した凸状体をシール部材として利用することを想起した。しかし、このような凸状体は、発泡成形された凸状部と比較して、高い密度を有するため、材料コストに劣る傾向にある。
【0006】
本発明は、使用環境に応じた熱や圧力の影響によるシール性能の低下を抑制しつつ、コスト低減を図ることのできる樹脂シール部材を提供するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る樹脂シール部材は、
発泡樹脂部を備えた樹脂シール部材であって、
前記発泡樹脂部と比較して発泡率の低い凸部を備え、
前記凸部は、前記発泡樹脂部の端部に設けられている。
【0008】
このような構成によれば、凸部は、発泡樹脂部と比較して、塑性変形しにくい。凸部が発泡樹脂部の端部に設けられていることによって、発泡樹脂部が塑性変形しても、凸部形状変化を抑制して、シール性能を担保する。使用環境に応じた熱や圧力の影響を受けても、シール性能の低下を抑制する。また、樹脂シール部材の材料コストは、発泡させることなく成形した上記凸状体の材料コストと比較して低く、樹脂シール部材は、コスト低減を図ることができる。
【0009】
また、前記発泡樹脂部は、部品の上に取り付けられており、
前記部品は、前記発泡樹脂部を構成する発泡樹脂材と異なる組成を有する材料からなり、
前記部品は、前記凸部と同じ形状の部品凸部を備え、
前記部品凸部は、前記発泡樹脂部内へ入り込むことを特徴としてもよい。
【0010】
このような構成によれば、発泡樹脂部と部品との接触面積を増大するため、発泡樹脂部と部品との材料の組成が異なっても、発泡樹脂部と部品とが良好な接着強度で接着する。
【0011】
また、本発明に係る樹脂シール部材の金型は、
樹脂基材を成形する樹脂基材成形金型部を備えた樹脂シール部材の金型であって、
前記樹脂基材成形金型部の樹脂基材成形用キャビティに連通する発泡樹脂部成形用キャビティ内を摺動可能な摺動部を備え、
前記摺動部における前記樹脂基材成形用キャビティ側の先端面には、凹部が設けられており、
前記樹脂基材を成形する工程において、前記摺動部は、前記樹脂基材成形用キャビティから前記発泡樹脂部成形用キャビティへ連通する開口部を遮断し、
発泡樹脂部を成形する工程において、発泡樹脂材を前記発泡樹脂部成形用キャビティに充填した後、前記摺動部を前記樹脂基材成形用キャビティから離間させて、前記発泡樹脂材が充填可能な充填空間を広げる。
【0012】
このような構成によれば、上記した樹脂シール部材と、部品として樹脂基材と容易に一体成型することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、使用環境に応じた熱や圧力の影響によるシール性能の低下を抑制しつつ、コスト低減を図ることのできる樹脂シール部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る樹脂シール部材の使用例を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る樹脂シール部材と部品の一部との模式断面図である。
図3】実施の形態1に係る樹脂シール部材の使用方法を示す模式断面図である。
図4】実施の形態1に係る樹脂体シール部材の金型の模式断面図である。
図5】実施の形態1に係る樹脂体のシール部材の可動型2の摺動部3の先端の模式断面図である。
図6】実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式図である。
図7】実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式拡大図である。
図8】実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式図である。
図9】実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式拡大図である。
図10】実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式図である。
図11】実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式拡大図である。
図12】実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式図である。
図13】実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。図1図13では、右手系3次元xyz直交系座標を規定した。なお、当然のことながら、図1及びその他の図面に示した右手系xyz座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸プラス向きが鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0016】
(実施の形態1)
図1図3を参照して実施の形態1に係る樹脂シール部材について説明する。図1は、実施の形態1に係る樹脂シール部材の一例を示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る樹脂シール部材の一例の模式断面図である。図3は、実施の形態1に係る樹脂シール部材の使用方法を示す模式断面図である。なお、図2図3では、見易さのため、樹脂基材11と、表皮部12とのハッチングを省略した。
【0017】
樹脂シール部材20は、多種多様な形状であってもよいが、例えば、図1に示すように紐状体である。樹脂シール部材20は、例えば、図1に示す樹脂基材11に取り付けて利用することができる。樹脂基材11は、直方体状に凹む凹部11cを備える皿状体である。図1に示す樹脂シール部材20の一例は、樹脂基材11の凹部11c外縁に設けられた板状部11a近傍に配置されており、凹部11cの一辺に沿って延び、凹部11cの一辺の両端部を囲むように延びる。樹脂シール部材20と樹脂基材11とは、樹脂体100として利用される。
【0018】
樹脂基材11として、多種多様な樹脂を利用することができる。樹脂シール部材20として、発泡可能な樹脂を利用すればよい。このような発泡可能な樹脂は、例えば、熱可塑性エストラマーがある。具体的な例として、飽和型スチレン系エラストマー、ポリオレフィン、又はこれらのコンパウンドや、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等がある。発泡剤は射出成形によってエラストマーを発泡成形できるものであればよく、例えば、重炭酸ナトリウム、アゾ化合物が挙げられる。
【0019】
図2に示すように、樹脂シール部材20は、表皮部12と、発泡樹脂部13とを備える。樹脂基材11は、板状部11aと、基材凸部11bとを備える。基材凸部11bは、樹脂基材11と発泡樹脂部13との間に設けられており、板状部11aから発泡樹脂部13へ突き出て、発泡樹脂部13に入り込む。
【0020】
発泡樹脂部13は、樹脂基材11の表面上に配置されている。表皮部12は、発泡樹脂部13の表面を覆う。表皮部12は、発泡樹脂部13と同じ材料からなるとよく、一体成型されることによって形成するとよい。表皮部12は、発泡樹脂部13と比較して、低い発泡率を有する。発泡率は、公知の方法を用いて求めるとよく、例えば、見かけ上の密度と、発泡前の密度とから求めることができる。
【0021】
表皮部12は、表皮本体12aと、凸部12bとを備える。表皮本体12aは、表皮上部12cと、表皮側部12dとを備える。表皮上部12cは、発泡樹脂部13における樹脂基材11の反対側(ここでは、x軸マイナス側)の表面を覆う。表皮側部12dは、発泡樹脂部13の側部の表面を覆う。表皮上部12cと、表皮側部12dとは、連なる。表皮上部12cの厚みT1は、表皮側部12dの厚みT2よりも大きいとよい。凸部12bは、表皮上部12cに設けられている。具体的には、凸部12bは、発泡樹脂部13における発泡樹脂部13における樹脂基材11の反対側(ここでは、x軸マイナス側)の端部に設けられている。凸部12bは、表皮上部12cから樹脂基材11と反対側へ突き出る。
【0022】
発泡樹脂部13の発泡率は、表皮部12の発泡率と比較して高い。発泡樹脂部13は、表皮部12と比較して、低い剛性を有し、クッション性能に優れる。一方、表皮部12は、発泡樹脂部13と比較して、高い剛性を有し、シール性能に優れる。樹脂体100は、車両に搭載される各部品として利用されるとよく、特にシール性能及びクッション性能を要求される部品として好ましい。
【0023】
(使用方法)
続いて、樹脂シール部材20の使用方法について説明する。
【0024】
図3に示すように、被シール部品9を樹脂基材11における樹脂シール部材20側に押しつける。すると、樹脂シール部材20が、被シール部品9と樹脂基材11との間に挟み込まれ、表皮部12が被シール部品9と樹脂基材11とから圧力を受ける。ここで、表皮部12は、発泡樹脂部13と比較して、高い剛性を有する。また、表皮部12の凸部12bは、発泡樹脂部13における発泡樹脂部13における樹脂基材11の反対側(ここでは、x軸マイナス側)の端部に設けられている。そのため、凸部12bが被シール部品9に対して反発し、凸部12bと被シール部品9との間に隙間がない。すなわち、樹脂シール部材20は、被シール部品9と樹脂基材11との間をシールすることができる。
【0025】
また、樹脂シール部材20を熱や圧力の影響を受けやすい使用環境において使用し、発泡樹脂部13が塑性変形しても、凸部12bは、発泡樹脂部13と比較して形状変化し難い。そのため、凸部12bは被シール部品9に対してしっかり反発するため、樹脂シール部材20のシール性能を担保する。すなわち、使用環境に応じた熱や圧力の影響を受けても、樹脂シール部材20のシール性能の低下を抑制する。
【0026】
また、樹脂シール部材20は、発泡させることなく成形した凸状体と比較して、密度が低く、材料の使用量が少ない。そのため、樹脂シール部材20は、コスト低減を図ることができる。
【0027】
また、表皮上部12cの厚みT1が、表皮側部12dの厚みT2よりも大きい場合がある。このような場合、表皮上部12cが凸部12bを安定して支持しつつ、表皮側部12dを構成する材料の量を減らしつつ、樹脂シール部材20の良好なシール性及びクッション性を略維持することができる。すなわち、材料の使用量を各構成に適正に配置することができて、さらなるコスト低減を図ることができる。
【0028】
(金型)
次に、図4及び図5を参照して、実施の形態1に係る樹脂シール部材の金型について説明する。図4は、実施の形態1に係る樹脂体シール部材の金型の模式断面図である。図5は、実施の形態1に係る樹脂シール部材の可動型2の摺動部3の先端の模式断面図である。
【0029】
図4に示すように、金型10は、固定型1と、可動型2と備える。金型10は、樹脂シール部材を成型するために、射出成形機等と合わせて利用することができる。
【0030】
固定型1は、所定の位置に射出成形機等によって保持されている。固定型1は、流入孔1aと、樹脂基材成形面1bとを備える。流入孔1aは、樹脂基材成形用射出ノズル4から溶融樹脂が流入することができる。樹脂基材成形面1bは、流入孔1aの内壁面と連続する。
【0031】
可動型2は、固定型1に対して押し合わせたり、又は離間したりすることができるように射出成形機等によって保持されている。可動型2は、樹脂基材成形面2aと、摺動部保持孔2bとを備える。摺動部保持孔2bは、摺動部3を摺動可能に保持する孔2c、2dを備える。孔2dは、孔2cと連なる。孔2cは、孔2dと比較して太いとよい。孔2cの断面形状は、孔2dの断面形状と比較して大きな断面積を有するとよい。
【0032】
可動型2を固定型1に押し合わすと、樹脂基材成形面2aと樹脂基材成形面1bとの間に樹脂基材成形用キャビティC1が形成される。さらに、可動型2を固定型1に押し合わしたまま、摺動部3の先端を固定型1から離間すると、発泡樹脂部成形用キャビティC2が、孔2dに形成される。発泡樹脂部成形用キャビティC2は、樹脂基材成形用キャビティC1に連通する。発泡樹脂部成形用キャビティC2は、溶融樹脂が発泡樹脂部成形用射出ノズル5から流入孔2eを通過して流入される。
【0033】
摺動部3は、コア31と、コアホルダ32とを備える。コア31は、コアホルダ32から突き出る形状を有する。摺動部3には、コアホルダ32側から摺動方向に押したり引いたりする技術的な手段が取り付けられているとよい。この技術的な手段は、モータ、液圧シリンダ、カム機構など多種多様な機構及び装置である。摺動部3は、このような技術的な手段によって、孔2c、2dにおいて摺動する。コアホルダ32は、コア31も太い傾向にあるため、摺動部3は、コアホルダ32側から押したり引いたりすることによって、安定して摺動することができる。
【0034】
図5に示すように、コア31は、凹部31aを備え、凹部31aは、コア31における樹脂基材成形用キャビティC1側(ここでは、x軸方向プラス側)の先端面に設けられている。凹部31aは、図5に示す形状に限定されることなく、多種多様な形状であってもよいし、単一又は複数であってもよい。
【0035】
(製造方法)
次に、図6図13を参照して、実施の形態1に係る樹脂シール部材の製造方法について説明する。図6図8図10、及び図12は、実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式図である。図7図9図11、及び図13は、実施の形態1に係る樹脂体の製造方法の一工程を示す模式拡大図である。なお、図7図9図11、及び図13では、見易さのため、可動型2のハッチングを省略している。
【0036】
図6に示すように、樹脂材を樹脂基材成形用射出ノズル4から樹脂基材成形用キャビティC1へ充填し、樹脂基材11を形成する(樹脂基材形成工程ST1)。
【0037】
具体的には、まず、可動型2を固定型1に押し合わせつつ、摺動部3のコア31の先端を孔2dにおける樹脂基材成形用キャビティC1側(ここでは、x軸方向プラス側)の先端に位置させる。これによって、樹脂基材成形用キャビティC1から発泡樹脂部成形用キャビティC2へ連通する開口部2daを遮断する。
【0038】
さらに、樹脂材を樹脂基材成形用射出ノズル4から射出し、固定型1の流入孔1aを通過させて樹脂基材成形用キャビティC1に充填する。樹脂材は、開口部2daが遮断されているため、発泡樹脂部成形用キャビティC2へ殆ど入り込まない。充填した後、樹脂材を樹脂基材成形用キャビティC1内において固めることによって、樹脂基材11を形成する。
【0039】
図7に示すように、樹脂基材11は、板状部11aと、板状部11aから突き出る基材凸部11bを備える。基材凸部11bは、凹部31aの形状を転写した形状を備える。
【0040】
続いて、図8及び図9に示すように、摺動部3を樹脂基材成形用キャビティC1から離間させる(摺動部後退工程ST2)。発泡樹脂部成形用キャビティC2において、発泡樹脂材が充填可能な充填空間が広がる。
【0041】
続いて、図10に示すように、発泡樹脂材13aを発泡樹脂部成形用射出ノズル5から流入孔2eを介して発泡樹脂部成形用キャビティC2に充填する(発泡樹脂充填工程ST3)。
【0042】
すると、図11に示すように、発泡樹脂材13aが凹部31aに流入した後、コア31と接触の界面近傍における発泡樹脂材13aは、少なくとも完全に発泡しないまま、固まり、表皮部12を形成する。表皮部12は、殆ど発泡することなく、固まってもよい。表皮部12は、表皮本体12aと、表皮本体12aから突き出る凸部12bとを備える。表皮本体12aは、まだ固まっていない発泡樹脂材13aを覆い、凸部12bは、凹部31aに転写された形状を備える。摺動部3のコア31が凹部31aを備えるから、表皮部12とコア31との接触面積が大きい。
【0043】
最後に、図12に示すように、発泡樹脂材13aを発泡させることによって、発泡樹脂部13を樹脂基材11に形成する(発泡工程ST4)。
【0044】
具体的には、図13に示すように、発泡樹脂材13aを発泡させることによって、発泡樹脂部13を形成する。なお、摺動部3(図9参照)を、適宜、樹脂基材成形用キャビティC1から離間させるとよい。この摺動部3の離間によって、表皮側部12dは、表皮上部12cよりも引張応力を受ける傾向にある。そのため、表皮上部12cの厚みT1が、表皮側部12dの厚みT2よりも大きくなる傾向にある。また、発泡樹脂部13を発泡させて、発泡樹脂部13の発泡率を表皮部12の発泡率よりも高める。
【0045】
以上より、図1に示す樹脂体100を形成することができる。したがって、樹脂基材11と樹脂シール部材20とが互いに接着した樹脂体100を、容易に一体成型することができる。
【0046】
また、摺動部3のコア31が凹部31aを備える。そのため、発泡工程ST4において、発泡樹脂材13aを発泡樹脂部成形用キャビティC2に充填したとき、表皮部12と摺動部3のコア31との接触面積が大きい。ここで、表皮部12は、樹脂シール部材20の一構成である。すなわち、樹脂シール部材20と摺動部3との接触面積を高めることができる。よって、樹脂シール部材20が摺動部3から離れることを抑制できるため、良好な精度で樹脂シール部材20を成型することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施の形態1では、樹脂シール部材20は、図1に示す樹脂基材11に取り付けて利用したが、樹脂シール部材20を構成する材料と異なる組成を有する材料からなる部品に取り付けてもよい。当該部品は、樹脂シール部材20の基材凸部11bと同じ形状の部品凸部を有するとよい。
【符号の説明】
【0048】
20 樹脂シール部材
12 表皮部
12a 表皮本体 12b 凸部
12c 表皮上部 12d 表皮側部
13 発泡樹脂部 13a 発泡樹脂材
10 金型
1 固定型
1a 流入孔 1b 樹脂基材成形面
2 可動型
2a 樹脂基材成形面 2b 摺動部保持孔
2c、2d 孔 2da 開口部
2e 流入孔
3 摺動部
31 コア 31a 凹部
32 コアホルダ
4 樹脂基材成形用射出ノズル 5 発泡樹脂部成形用射出ノズル
100 樹脂体
9 被シール部品
11 樹脂基材
11a 板状部 11b 基材凸部
C1 樹脂基材成形用キャビティ C2 発泡樹脂部成形用キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13