特許第6981907号(P6981907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981907
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】樹脂線状体の輸送方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20211206BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20211206BHJP
   B65G 51/02 20060101ALI20211206BHJP
   B29C 31/08 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B29C49/42
   A61M25/10 502
   B65G51/02 A
   B29C31/08
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-64888(P2018-64888)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2019-171762(P2019-171762A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2021年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】叶 鶴松
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−326589(JP,A)
【文献】 特開2011−206171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 31/08
B29C 49/00−49/80
A61M 25/10
B65G 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の5工程を含む、樹脂線状体をブロー成形機の金型に輸送する方法であって、
ブロー成形機の金型は、センター金型と、センター金型の両端の第1のサイド金型と第2のサイド金型から構成され、第1のサイド金型と第2のサイド金型はそれぞれ両端に空洞の内径が小さくなる小径部を有し、空気圧輸送管は円筒部と分岐部を有し、
樹脂線状体は、中央部に軸方向に伸びた球形をしたバブル部を有し、バブル部の両端にバブル部よりも外径が小さい円柱形をした第1のパリソン部と第2のパリソン部を有し、バブル部の外径は、第1のサイド金型と第2のサイド金型の小径部の内径よりも大きい、樹脂線状体の輸送方法。
(i)第2のサイド金型を動かし金型を開け、第2のサイド金型とセンター金型の間のスペースに空気圧輸送管を挿入する工程。
(ii)空気圧輸送管の分岐部に、樹脂線状体を第1のパリソン部から投入する工程。
(iii)樹脂線状体にエアーを吹き付け、空気圧輸送管の円筒部とセンター金型を通過させ、樹脂線状体のバブル部が第1のサイド金型の内壁に接触するまで、樹脂線状体を移動させる工程。
(iv)樹脂線状体に第1のサイド金型の小径部からエアーを吹き付け、センター金型と空気圧輸送管の円筒部を通過させ、樹脂線状体のバブル部が第2のサイド金型の内壁に接触するまで、樹脂線状体を移動させる工程。
(v)空気圧輸送管の円筒部を分解して取り外し、センター金型と第2のサイド金型を閉める工程
【請求項2】
空気圧輸送管の円筒部と分岐部の間に蓋と引張ばねが有る、請求項1に記載の樹脂線状体の輸送方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の樹脂線状体の輸送方法を用いたカテーテル用バルーンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端部分が中央部より細い外形特徴を有する樹脂線状体(カテーテルのバルーンチューブ等)を、金型に輸送する機構に関する。さらに詳しくは、流体圧力を利用し、樹脂線状体を金型に輸送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、カテーテルのバルーンを作るためには、バルーンチューブ(両端部分が中央部よりも細い樹脂線状体)の両側の外径が細いパリソン部を、それぞれサイド金型の穴に通し、バブル部を金型の間に入れる必要があった。パリソン部を金型の穴に入れるのは繊細な作業であり、これまではオペレーターの技量に頼って行われていた。前記作業のタクトタイムは個人差があるので、生産効率の低下と不安定化が問題になっている。一方、空気圧を利用してワークを輸送する技術が従来から研究され発展しており、このような機械装置は清潔かつハイスピードの特性を持つため、産業機器によく利用されている。
【0003】
空気圧を利用してワークを輸送する技術として、特許文献1には、おしぼりやおむつ等の洗濯物を空気の吸引力を利用して搬送し、クリーニング工場内の所定個所に、汚れた洗濯物を仕分け搬送する空気搬送設備の記載がある。切換弁の開閉を設定することにより、搬送物の流路を変える技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭59-002022
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、空気圧を利用し、両端部分がセンター部分より細い外形特徴を有する樹脂線状体(カテーテルのバルーンチューブ等)を、両端部分がセンター部分より細い金型に挿入する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の特徴を有する樹脂線状体を前述の特徴を有する金型に挿入する方法の検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、
(1).下記の5工程を含む、樹脂線状体をブロー成形機の金型に輸送する方法であって、
ブロー成形機の金型は、センター金型と、センター金型の両端の第1のサイド金型と第2のサイド金型から構成され第1のサイド金型と第2のサイド金型はそれぞれ両端に空洞の内径が小さくなる小径部を有し、空気圧輸送管は円筒部と分岐部を有し、
樹脂線状体は、中央部に軸方向に伸びた球形をしたバブル部を有し、バブル部の両端にバブル部よりも外径が小さく円柱形をした第1のパリソン部と第2のパリソン部を有し、バブル部の外径は、第1のサイド金型と第2のサイド金型の小径部の内径よりも大きい、樹脂線状体の輸送方法、
(i)第2のサイド金型を動かし金型を開け、第2のサイド金型とセンター金型の間のスペースに空気圧輸送管を挿入する工程
(ii)空気圧輸送管の分岐部に、樹脂線状体を第1のパリソン部から投入する工程
(iii)樹脂線状体にエアーを吹き付け、空気圧輸送管の円筒部とセンター金型を通過させ、樹脂線状体のバブル部が第1のサイド金型の内壁に接触するまで、樹脂線状体を移動させる工程
(iv)樹脂線状体に第1のサイド金型の小径部からエアーを吹き付け、センター金型と空気圧輸送管の円筒部を通過させ、樹脂線状体のバブル部が第2のサイド金型の内壁に接触するまで、樹脂線状体を移動させる工程
(v)空気圧輸送管の円筒部を分解して取り外し、センター金型と第2のサイド金型を閉める工程
(2).空気圧輸送管の円筒部と分岐部の間に蓋と引張ばねが有る、(1)に記載の樹脂線状体の輸送方法、
(3).(1)または(2)に記載の樹脂線状体の輸送方法を用いたカテーテル用バルーンの製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、両端部分がセンター部分より細い外形特徴を有する樹脂線状体(カテーテルのバルーンチューブ等)を空気により金型に輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る樹脂線状体の概略構成を示す図である。
図2】本発明に係る金型と輸送管の概略構成を示す図である。
図3-(a)(b)(c)(d)(e)】樹脂線状体を金型に輸送する動作工程を示す図である。
図4-(a)(b)】空気圧輸送管3の分割工程を軸方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の一形態について、図面に基いて説明すれば、以下の通りである。なお、便宜上、部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。なお、図面における種々部材の寸法は、便宜上、見やすいように調整されている。
【0011】
図1は、本発明で取り扱う樹脂線状体1を示す。この図に示すように、樹脂線状体1は、第1のパリソン部11、バブル部12、第2のパリソン部13を有する。バブル部12は樹脂線状体1の中央部に存在し、軸方向に伸びた球形をしている。第1のパリソン部11と第2のパリソン部13はバブル部12の両端に付いており、第1のパリソン部11と第2のパリソン部13の外径はバブル部12の外径より小さいのが特徴である。
【0012】
樹脂線状体1は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの樹脂で作製されているのが好ましい。
【0013】
図2は、本発明に使用される金型と樹脂線状体を輸送する空気圧輸送管3の概略図を示す。
【0014】
センター金型の両端にそれぞれ第1のサイド金型と第2のサイド金型が有り、第1のサイド金型とセンター金型2は常に合体している。第2のサイド金型4は、センター金型から離れ、金型を開くことができ、開いた際にできる第2のサイド金型4とセンター金型との間のスペースに、空気圧輸送管3を挿入することができる。
センター金型と第1のサイド金型は、センター金型の第2のサイド金型側の端部21から第1のサイド金型の端部まで、直線状にセンター金型と第1のサイド金型を貫いて伸びる空洞を有している。センター金型内では、空洞の内径は一定で、空洞は円柱形をしている。空洞の内径は、樹脂線状体1のバブル部12の外径よりも大きい。
【0015】
第1のサイド金型の空洞は、センター金型と接する端部では、センター金型の空洞と同じ内径をしている。センター金型と接する端部から離れるにつれて、徐々に空洞の内径は減少していき、樹脂線状体のバブル部より十分小さく、かつ第1のパリソン部よりも少し大きい大きさまで、内径は減少する(テーパー部)。その内径まで減少すると内径は減少しなくなくなり、内径が一定の円柱形の空洞部分(第1のサイド金型の小径部22)が存在し、その空洞部分はセンター金型とは逆側の端部まで繋がっている。
【0016】
第2のサイド金型は、第1のサイド金型をセンター金型に対して、図2で言うと左右逆転させた構造をしている。つまり、第2のサイド金型の空洞は、センター金型と接する端部(大径部41)では、センター金型の空洞と同じ内径をしている。センター金型と接する端部から離れるにつれて、徐々に空洞の内径は減少していき、樹脂線状体のバブル部より十分小さく、かつ第2のパリソン部よりも少し大きい大きさまで、内径は減少する(テーパー部)。その内径まで減少すると内径は減少しなくなくなり、内径が一定の円柱形の空洞部分(第2のサイド金型の小径部42)が存在し、その空洞部分はセンター金型とは逆側の端部まで繋がっている。
【0017】
空気圧輸送管3は、円筒部と分岐部を有しており、分岐部は円筒部の中央部から少し第2のサイド金型寄りの位置で繋がっている。
【0018】
円筒部の内径はセンター金型の内径と同じであり、樹脂線状体のバブル部の外径よりも大きい。円筒部の内径は一定であり、センター金型側の端部(第1ワーク出口32)から、第2のサイド金型側の端部(第2ワーク出口33)まで一定の内径をしている。
【0019】
分岐部の内径はセンター金型の内径と同じであり、一定の内径をした円柱形の空洞を有している。分岐部の先端、つまり円筒部から遠い側の端にはワーク投入口31があり、樹脂線状体1を投入することができる。分岐部の根元と中央部には、蓋35と引張ばね34が存在し、一旦、樹脂線状体1が円筒部やセンター金型の方に移動すると、再度分岐部に樹脂線状体1が入らないように蓋をすることができる(図3-(b)参照)。(蓋は、エアー圧によって開き、樹脂線状体1を空気圧輸送管3の円筒部側に移動させることができる。)引張ばね34は、蓋35を閉めるために蓋35に付いている。
【0020】
円筒部と分岐部は、軸方向に二つに割れる構造になっている。どのように割れるかは後程記載する。
【0021】
図3の(a)から(e)は、樹脂線状体1が空気圧輸送管3を通じて第1のサイド金型とセンター金型2及び第2のサイド金型4に輸送される動作工程を示す。
【0022】
まず、第1のパリソン部11を先頭に樹脂線状体1をワーク投入口31にセットし、エアーコンプレッサを使って投入口31に空気を吹き付ける。図3-(a)に示すように、蓋35が投入口31からの空気圧を受けて空気圧輸送管の円筒部の方に移動する。樹脂線状体1が円筒部の方に移動した蓋35と分岐部との間の開口から飛び出し、第1のパリソン部11が第1ワーク出口32、センター金型の端部21の順に通過し、第1のサイド金型の小径部22に到達する。
【0023】
次に、図3-(b)で示すように、バブル部12の外径は第1のサイド金型の小径部22の内径より大きいので、金型の内壁に接触し、つまりテーパー部で引っ掛かり、通過することができない。この時点でワーク投入口31に取り付けられたエアーコンプレッサーを停止させる。蓋35に対する空気の圧力が急に弱くなり、引張ばね34の牽引力の作用で蓋35が元の位置に戻り、蓋35が再び閉じた状態となる。
【0024】
次に、図3-(c)に示すように、第1のサイド金型の小径部22からエアーコンプレッサを使って空気を吹き付ける。樹脂線状体1は、第2のサイド金型4に向かって移動する。第2のパリソン部13は第2ワーク出口33、大径部41の順に通過し、小径部42に到達する。バブル部12の外径は小径部42より大きいので、金型の内壁に接触し、つまりテーパー部で引っ掛かり、通過することができない。この過程の間、蓋35は空気圧輸送管円筒部からの空気圧力を常に受けて閉じたままの状態となり、樹脂線状体1が分岐部に進入するのを防ぐことができる。
【0025】
次に、図3-(d)に示すように、第2のサイド金型4をセンター金型に接触(金型を閉める)させるために、空気圧輸送管3を樹脂線状体1と接触しないように金型から取り外す必要がある。図4-(a)に示すように、空気圧輸送管3は、軸方向に二つに割れる構造になっており、第1の半割り空気圧輸送管36と第2の半割り空気圧輸送管37になる。第1の半割り空気圧輸送管36と第2の半割り空気圧輸送管37の外壁にはそれぞれ第1のアクチュエーター51と第2のアクチュエーター52が取り付けられている。図4-(b)に示すように、第1のアクチュエーター51と第2のアクチュエーター52の引き込み動作によって第1の半割り空気圧輸送管36と第2の半割り空気圧輸送管37を分離させることができる。本発明に使用可能なアクチュエータはサーボモータ、エアーシリンダ等の種類があるが、図4-(a)と図4-(b)に示したアクチュエータは単動シリンダ(ばね付き)である。
【0026】
最後に、図3-(e)に示すように、サーボモータまたはエアーシリンダ等のアクチュエータにて第2のサイド金型4をセンター金型に接触させ金型を閉め、バブル部12を金型の内部に閉じ込める。
【0027】
金型内に閉じ込めた樹脂線状体は、ブロー成形することによって、医療用カテーテルのバルーンに成形することができる。ブロー成形する方法は、公知の方法を用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1. 樹脂線状体
11. 第1のパリソン部
12. バブル部
13. 第2のパリソン部
2. 第1のサイド金型とセンター金型
21. センター金型の端部
22. 第1のサイド金型の小径部
3. 空気圧輸送管
31. ワーク投入口
32. 第1ワーク出口
33. 第2ワーク出口
34. 引張ばね
35. 蓋
36. 第1の半割り空気圧輸送管
37. 第2の半割り空気圧輸送管
4. 第2のサイド金型
41. 大径部
42. 小径部
51. 第1のアクチュエーター
52. 第2のアクチュエーター
図1
図2
図3
図4