【実施例】
【0090】
実施例1:MSC及びSB623細胞の調製
成人ドナー由来の骨髄穿刺液を、Lonza Walkersville,Inc(Walkersville,MD)から入手し、そして10%ウシ胎児血清(Hyclone,Logan,UT)、2mMのL‐グルタミン(Invitrogen,Carlsbad,CA)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)を補充したα‐MEM(Mediatech,Herndon,VA)に播種した。細胞を、37℃、5%CO
2で3日間培養し、接着細胞の単層を得た。非接着細胞の除去後、培養を同じ条件で2週間継続した。この間に、細胞を0.25%のトリプシン/EDTAを使用して、2回継代した。2代継代由来の細胞の一部をMSCとして凍結した。
【0091】
2代継代由来の残りの細胞を播種し、そしてサイトメガロウィルスプロモーター(pCMV‐hNICD1‐SV40‐Neo
R)と作動可能に連結されたNotch細胞内ドメインをコードする配列を含むプラスミドで、Fugene6(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)を使用してトランスフェクトした。このプラスミドはまた、SV40プロモーターの転写調節下、ネオマイシン及びG418に対する耐性をコードする配列を含む。トランスフェクトした細胞を、100μg/mlのG418(Invitrogen,Carlsbad,CA)を補充した前の段落で記載した生育培地中で、37℃、5%CO
2で培養した。7日後、G418耐性クローンを増やし、そして培養物を2回継代した。2代継代後、細胞を採取しそしてSB623細胞として凍結した。
【0092】
本明細書に記載されたように調製したMSC及びSB623を、必要に応じて溶かし、そしてさらなる試験で使用した。
【0093】
実施例2:MSC及びSB623細胞の増殖能力
細胞増殖を定量するために、100万のMSC又はSB623細胞を播種し、そして3日間培養した。3日目に、生細胞をトリパンブルー排除によりカウントした。
図2は、より少ない生細胞が、MSC培養物と比較して、SB623培養物に存在したことを示す。
【0094】
MSC及びSB623培養物の細胞周期プロファイルを、ヨウ化プロピジウム染色により評価した。ヨウ化プロピジウムは、細胞周期の休止期における細胞を増殖期の細胞よりもより強力に染色するDNA挿入色素である。培養3日後、100万のMSC又はSB623細胞を、4℃で、70%エタノール中で一晩固定した。PBS/2%FBSで2回洗浄後、細胞を、暗所で、PBS/2%FBSにおける1mlの染色緩衝液(50μg/mlのヨウ化プロピジウム、50μg/mlのRNAse)(Sigma,St.Louis,MO)で、30分間インキュベートした。収集及び分析を、FL‐2リニアチャンネルで、CellQuestPro(商標)プログラム(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して、FACSCalibur(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)上で行った。
図3は、MSCと比較して、SB623細胞のより大きいヨウ化プロピジウム染色を示し、SB623細胞培養物において細胞周期のG0/G1休止期における細胞のより高い分画を示す。
【0095】
細胞自律的な染色、5‐(‐6‐)カルボキシフルオレセインジアセテート(CFSE)の希釈を、増殖動態の追加測定として使用した。この分析において、同じ数のMSC及びSB623細胞を、5μMの5‐(‐6‐)カルボキシフルオレセインジアセテート(Invitrogen,Carlsbad,CA)で、室温で2分間標識し、次に、5日間培養した。フローサイトメトリー収集及び分析(CFSEに関する)を、FL‐1 logチャンネルを使用して、FACSCalibur(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)上で行った。結果(
図1)は、SB623細胞培養物が、MSCと比較して、高いCFSE含量を有する細胞集団を含むことを示し、SB623細胞培養物において、非分裂又はゆっくりと分裂する細胞の集団の存在を示す。
【0096】
MSC及びSB623細胞における細胞内p16Ink4Aタンパク質のレベルを以下のように評価した。細胞を3日間培養し、次に4%パラホルムアルデヒドで固定し、0.1%のTriton X‐100を含むPBSで透過処理した。2%のウシ胎児血清を含むPBS(PBS/2%FBS)で2回洗浄した後、細胞ペレットを、0.2mlのPBS/2%FBSに再懸濁し、そして2つのサンプルに分けた。1つの細胞サンプルを、フィコエリトリン(PE)‐コンジュゲート抗p16Ink4A抗体(BD Biosciences,San Jose,CA)で染色し、そして他のサンプルを、アイソタイプ対照として、PE‐コンジュゲートマウスIgGでインキュベートした。サンプルを、FACSCalibur(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)上でフローサイトメトリーにより分析し、そしてデータをp16Ink4A陽性及びIgG陰性染色した細胞に関してゲーティングによりp16Ink4Aを発現する培養物における細胞のパーセンテージに変換した。
図4は、SB623細胞培養物が、p16Ink4Aを発現する細胞の有意に高い分画を含むことを示す。
【0097】
実施例3:MSC及びSB623細胞による表面マーカー及びサイトカイン発現
表面マーカーを測定するために、MSC又はSB623細胞を、0.25%のトリプシン/EDTA(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用して培地から採取し、PBS/2%FBSで洗浄し及び1mlのPBS/2%FBSに再懸濁した。細胞を、CD29、CD31、CD34、CD44、CD45、CD73、CD90への蛍光色素コンジュゲート抗体(すべてBD Biosciences,San Jose,CA)、又はCD105への蛍光色素コンジュゲート抗体(Invitrogen,Carlsbad,CA)で、氷上で15分間インキュベートした。細胞を、その後、PBS/2%FBSで1回洗浄し、そしてFACSCalibur(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences,San Jose,CA)を行った。CellQuestPro(商標)ソフトウェア(BD Biosciences)を、データ分析のために使用した。結果を、対照としてIgGを使用して、dMFI(「デルタ平均蛍光強度(delta mean fluorescence intensity)」として表し;すなわち、IgGに関するMFIを、所定の表面マーカーに関して取得したMFIから差し引き、dMFIを得た。
【0098】
結果を、
図5及び6に示す。
図5は、MSC及びSB623細胞の両方が、CD44、CD73及びCD105を発現するが、SB623細胞は、これらの表面マーカーをより高いレベルで常に発現することを示す。
図6は、SB623細胞がまた、MSCよりも、CD54のより高いレベルを常に発現することを示す。
【0099】
細胞内サイトカインの検出のために、細胞を3日間培養し、そして採取前に6時間、ブレフェルジンAの1:1,000希釈(eBioscience,San Diego,CA,最終濃度3μg/ml)で処理した。細胞を固定し、細胞内pInk4Aの測定のために上記のように透過処理し、そして蛍光色素コンジュゲート抗体(ヒトGM‐CSF(BD)、IL‐1α(eBioscience,San Diego,CA)、IL‐6(BD)又はTGFβ‐1(R&D Systems,Minneapolis,MN))で、1時間インキュベートし、続いてPBS/2%FBSで2回洗浄した。データ収集及び分析を、CellQuestPro(商標)ソフトウェアを使用して、BD FACSCalibur(商標)装置上で行った。
【0100】
図7に示すこれらの分析結果は、MSC及びSB623細胞によるIL‐1α、IL‐6及びGM‐CSFの発現の概ね同じレベルを示し;一方で、
図8は、同程度のレベルのTGF‐β‐1及びVEGF‐Aが、MSC及びSB623によって産生されることを示す。
【0101】
実施例4:同種異系混合リンパ球反応(allo‐MLR)
同種異系混合リンパ球反応のための細胞を、健康な、非血縁者由来の末梢血のサンプル10mlから得た。レスポンダー(responder)T細胞を得るために、RosetteSep T‐cell enrichment kit(Stemcell Technologies,Vancouver,BC,Canada)をメーカーの説明に従って使用した。濃縮したT細胞(レスポンダー細胞(responder cell))を5μMの5‐(‐6‐)カルボキシフルオレセインジアセテート(CFSE)で、室温で2分間標識した(Invitrogen,Carlsbad,CA)。血清クエンチング及びPBSで3回洗浄後、標識したレスポンダー細胞を、96穴U底プレートのウェル中に、10
5細胞を含んで、0.1mlの完全リンパ球培地(RPMI(Mediatech,Manassas,VA))+10%FBS(Lonza,Allendale,NJ)中に播種した。
【0102】
刺激細胞を調製するために、末梢血軟膜単核細胞を、Ficoll(商標)密度勾配遠心分離後、回収した。赤血球溶解緩衝液(Sigma‐Aldrich,St.Louis,MO)を、37℃で10分間添加し;次に、細胞をPBS/2%熱不活性化FBSで2回洗浄した。単核刺激細胞を、レスポンダー細胞を含むウェル(0.1ml中に10
5細胞)に添加するか、又は10
5の刺激細胞を、10
4のSB623細胞若しくは10
4のMSCと混合し、遠心しそしてペレット細胞を、その後、上記のように調製したCFSE標識レスポンダー細胞のウェルに添加した0.1mlの完全リンパ球培地(上記の通り)に再懸濁した。
【0103】
反応開始2日後、培養物におけるCD4
+T細胞の表面上のCD69(初期T細胞活性化マーカー)の提示を、T細胞活性化のアッセイとして使用した。CD69発現の分析のために、細胞を、2日後、ピペットにより採取し、ペリジニンクロロフィルタンパク質(PerCP)‐コンジュゲート抗CD69抗体(eBioscience,San Diego,CA)で染色し、そして、FACSCalibur(商標)フローサイトメーター(Becton,Dickinson&Co.,San Jose,CA)を使用して、CD4
+リンパ球でゲーティングして分析した。
【0104】
T細胞増殖の測定のために、培養7日後、細胞を採取し、そしてフィコエリトリン(PE)‐コンジュゲート抗CD
4抗体(BD)で染色した。データ収集のために、BD FACSCaliburフローサイトメーターを使用した。
【0105】
allo‐MLRの対照について、CD4
+集団内のT細胞分画が、そしてそれは、表面CD69の発現が誘導されていたが、2日後に有意に増加した(
図9A及び9B)。
【0106】
MLRにおける、MSC及びSB623細胞との共培養のT細胞活性化に対する影響を、また評価した。これらの実験において、10,000のMSC又は10,000のSB623細胞を、MLRの開始時に培養物に添加した。これらの条件下、2日後、対照培養物において観察した表面CD69発現細胞の増加が、MSC又はSB623細胞との共培養で有意に減少した(p<0.05;
図9A及び9B)。
【0107】
T細胞活性化の他の測定として、CD4
+T細胞の増殖速度を、MLR開始7日後、アッセイした。これらの実験のために、細胞をピペットでMLRから採取し、そしてPE‐標識抗CD4抗体で染色した。フローサイトメトリーを、Becton‐Dickinson FACSCalibur(商標)装置を使用して、CD4
+細胞でゲーティングして行った;そしてCSFEの希釈を、CD4
+レスポンダーT細胞の増殖速度の指標として評価した。対照allo‐MLRにおいて、CD4
+レスポンダーT細胞の80%以上が、7日後増殖した。SB623細胞又はMSCの存在下で、T細胞増殖が、有意に減少した(すなわち、より高いレベルのCFSE染色を観察した(
図10))。
【0108】
表面HLA‐DR発現の誘導はまた、T細胞活性化の測定である。SB623細胞及びMSCの両方が、allo‐MLRにおいて、HLA‐DR発現T細胞のパーセンテージを減少した(
図11)。
【0109】
従って、多くの異なる独立した基準により、SB623細胞は、T細胞活性化を抑制する。T細胞活性化阻害能力は、免疫抑制のためのSB623細胞の有用性を示す。
【0110】
実施例5:異種リンパ球活性化反応
SB623細胞の免疫抑制特性を、また、異種移植モデル系において示した。異種リンパ球反応を、刺激細胞として、Sprague‐Dawleyラットグリア混合細胞(星状膠細胞及び小グリア細胞を含む)、並びにレスポンダー細胞として、メーカーの説明に従ってPKH26で標識した、ヒト末梢血T細胞を使用して確立した。グリア混合細胞を得るために、生後9日目のラットの脳を採取し、そして0.25%トリプシンで処理する前に、30分間粉砕した。細胞懸濁物を、70μMのセルストレーナーを通じて濾過し、そして遠心分離前にFicoll(商標)で覆った。グリア混合細胞を、アッセイにおいて使用する前に、DMEM/F12/10%FBS/pen‐strep中で14日間培養した。異種反応を、5日間にわたって、同種異系MLR(100,000グリア混合細胞:100,000CFSE標識ヒトT細胞;及び任意により、10,000MSC又はSB623細胞)において使用したものと同じ細胞比率を使用して行った。ヒトCD3ゲートT細胞(CD4
+及びCD8
+T細胞の両方を含む)におけるPKH26希釈を、フローサイトメトリーにより評価した。
【0111】
同種異系MLRのように、異種系へのSB623細胞又はMSCの添加は、別な方法ではグリア混合細胞による刺激後に観察したが、レスポンダーT細胞の増殖度を低減した(
図12)。従って、MSC及びSB623細胞の免疫抑制特性は、自己又は同種異系環境に限定されるものではない。
【0112】
実施例6:SB623細胞の調節性T細胞の成長に対する影響
調節性T細胞(T
regs)は、免疫反応を弱め又は抑制することができる。従って、T
regsの発生を支持するためのSB623細胞の能力を調べた。この目的を達成するために、実施例2で記載したように精製した、末梢血由来の濃縮T細胞をインターロイキン‐2(IL‐2)の存在下で培養し、そしてそれは、未感作T細胞のT
regsへの分化を刺激することを示し、MSC又はSB623細胞との共培養のこのプロセスに対する影響を評価した。共培養物は、T細胞とSB623細胞の比率10:1又はT細胞とMSCの比率10:1(10
5T細胞:10
4MSC又はSB623細胞)を含む。表面マーカーCD4及びCD25の共発現、サイトカインインターロイキン‐10(IL‐10)の分泌、及び転写因子FoxP3の分子内産生を、T
regsのためのマーカーとして使用した。
【0113】
これらの実験のために、ヒトT細胞を、T細胞分離キット(StemCell Technologies,Vancouver,Canada)を、メーカーの説明に従って使用して末梢血から濃縮した。濃縮T細胞を、使用前にRPMI‐1640/10%熱不活性FBS/pen/strepにおいて一晩培養した。一日前に、10,000のMSC又はSB623細胞を、96穴U底プレートにウェルごとに播種した。共培養アッセイの当日、100,000の濃縮T細胞を、事前準備した10ng/mlのIL‐2をまた含む、MSC又はSB623細胞単層のそれぞれのウェルに移した。内部標準として、T細胞培養物をまた、MSC又はSB623細胞の非存在下で保持した。7日目に、細胞を表面CD4(ヘルパーT細胞マーカー)及びCD25(IL‐2受容体アルファ鎖)、及び細胞内FoxP3に関して染色した。
【0114】
表面マーカーCD4及びCD25に関するアッセイの結果を、
図13に示す。SB623細胞とIL‐2刺激T細胞との共培養は、CD4
+CD25
+T
reg細胞の数を有意に増加し(
図13Aの左端と右端パネルを比較)、そしてこのT
reg成長の刺激は、T細胞をMSCと共培養した場合よりも、T細胞をSB623細胞で共培養した場合の方が大きい(
図13Aの中央と右パネルを比較)。
【0115】
フォークヘッドボックスP3(FoxP3)タンパク質に関するアッセイは、これらの結果を裏付ける。FoxP3は、T
regSの成長及び機能を調節する転写因子である。細胞内FoxP3を、T細胞を7日間培養又は共培養し(上記の通り)、次に固定しそしてCytoFix/Perm(eBioscience,San Diego,CA)で細胞を透過処理することにより検出した。PE‐コンジュゲート抗FoxP3抗体(クローンPCH101,eBioscience,1:5希釈)を、細胞を染色するために30分間染色し、そして染色細胞を細胞の大きさに基づくリンパ球でゲーティングするフローサイトメトリーにより分析した。
図14に示す結果は、IL‐2の存在下、MSC及びSB623細胞との共培養物が、T細胞によるFoxP3発現を、共培養しなかったT細胞におけるその発現と比較して、増加したことを示す。
【0116】
T
regsによる免疫抑制の1つの機構は、抗炎症性サイトカイン、例えば、インターロイキン‐10(IL‐10)の分泌によるものである。従って、IL‐2を含むT細胞培養物又はMSC又はSB623細胞との共培養物におけるIL‐10産生T細胞のパーセンテージを、培養又は共培養の7日後、細胞内IL‐10を蛍光色素コンジュゲート抗IL‐10抗体で染色することにより測定した。
【0117】
従って、培養又は共培養の7日後、細胞をブレフェルジンA(eBioscience,San Diego California)の1:1,000希釈で、6時間処理し(細胞内タンパク質の分泌を防止するために)、2%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、その後、PBS/2%FBSにおける0.05%(v/v)Triton‐X‐100で、氷上で15分間透過処理した。Alexa488コンジュゲート抗ヒトIL‐10抗体(eBioscience,San Diego CA)を、その後添加し、そして培養物を、氷上で30分間インキュベートした。ウェルを、2%ウシ胎児血清/0.01%(v/v)Tween20で、2回洗浄し;細胞をピペットで得て、そしてFACSCalibur(商標)フローサイトメーター(Becton,Dickinson&Co.,San Jose,CA)を使用して分析した。データ分析を、CellQuestPro(商標)ソフトウェア(Becton,Dickinson&Co.,San Jose,CA)を使用して行った。
【0118】
この分析の結果は、IL‐2の存在下で培養したT細胞が、細胞内IL‐10を発現せず;一方で、それらをSB623細胞又はMSCのいずれかとIL‐2の存在下で共培養した場合、低いレベルのIL‐10を、CD4
+T細胞により産生し、若干多いIL‐10を、SB623細胞で共培養したT細胞によって産生したことを示す(
図15)。
【0119】
実施例7:SB623細胞による炎症性の抗炎症性サイトカインプロファイルへの転換
MSC及びSB623細胞の共培養の、T細胞により産生される炎症性及び抗炎症性サイトカインの相対量に対する影響を、ホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)及びイオノマイシンでの処理により準最適に活性化したT細胞におけるIL‐10(抗炎症性サイトカイン)及びインターフェロン‐ガンマ(INF‐γ、炎症性サイトカイン)を測定することにより評価した。これらの実験のために、T細胞を末梢血から濃縮して、IL‐2の非存在下で培養を行った以外は、上記のように(実施例6)MSC又はSB623と培養し、又は共培養した。7日目に、25ng/mlの非活性化用量のホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)/0.5μMイオノマイシン(Io)(両方ともSigma‐Aldrich,St Louis,MO)を、3μg/mlのブレフェルジンA(eBioscience,San Diego,CA)の存在下、添加し、そして6時間後、細胞を採取し、IL‐10及びIFN‐γの細胞内発現に関して分析した。これらの実験で使用したPMAの非活性化用量及びイオノマイシンは、T細胞増殖を誘導しなかったが、T細胞によるサイトカイン合成を誘導するためには十分であった。IL‐10レベルを、実施例6に記載したように、Alexa488‐コンジュゲート抗ヒトIL‐10抗体(eBioscience,San Diego,CA)を使用して測定した。IFN‐γレベルを、PE‐標識抗ヒトIFN‐γ抗体(eBioscience,San Diego,CA)を使用して、FACSにより測定した。
【0120】
この分析の結果を、
図16に示す。PAM/イオノマイシンで準最適刺激後、新しく分離したT細胞の20%超が、IFN‐γを発現した一方で、1%未満がIL‐10を発現した(すなわち、IFN‐γ又はIL‐10のいずれかを発現した細胞の、95%超がIFN‐γを発現し、そして5%未満がIL‐10を発現した)。しかしながら、SB623細胞又はMSCのいずれかで7日間培養後、INF‐γ又はIL‐10のいずれかを発現する細胞の、95%超がIL‐10を発現した一方で、5%未満がIFN‐γを発現した。従って、MSC又はSB623細胞のいずれかとの共培養は、炎症性のものから抗炎症性のものに、T細胞セクレトームを転換した。
【0121】
炎症性サイトカインIFN‐γの分泌は、ヘルパーT細胞のT
H1サブセットの特徴を示し;一方で、IL‐10分泌は、T
H2細胞及びT
reg細胞の特徴を示す。従って、未感作T細胞とSB623細胞又はMSCの共培養に際して観察した、IFN‐γ分泌からIL‐10分泌への変更は、T
H1の豊富な集団の、大量のT
H2細胞、T
reg細胞、又は両方を含む集団への転換と一致する。この結果はまた、SB623細胞、又はMSCとの共培養が、一部分において、T細胞によるサイトカイン産生の変更を通じて、炎症性集団(T
H1細胞によって特徴付けられる)からより抗炎症性集団(T
H2細胞及び/又はT
reg細胞によって特徴付けられる)にT細胞の分化を向けることを示す。
【0122】
実施例8:MSC及びSB623細胞共培養のT細胞によるIL‐17の産生に対する影響
MSC及びSB623細胞により分泌される公知の2つのサイトカイン、TGFβ‐1及びIL‐6(上記実施例3を参照)は、また、Th17ヘルパーT細胞(すなわち、IL‐17を分泌するヘルパーT細胞)の成長に役割を果たす。従って、T細胞を、Th17ヘルパーT細胞の成長を刺激することが知られている、IL‐23の存在下培養し、そしてMSC又はSB623細胞との共培養のTh17細胞数に対する影響を測定した。
【0123】
これらの実験のために、実施例7に記載のように、ヒトT細胞を分離し、そして10ng/mlのIL‐23(Peprotech,Rocky Hill,NJ)を添加して培養した。ブレフェルジンAで、6時間処理後、細胞を採取し、固定し実施例7に記載のように透過処理し、PE‐コンジュゲート抗IL‐17抗体(eBioscience)で染色し、そしてフローサイトメトリーにより分析した。結果は、IL‐23の存在下でのT細胞の培養が、IL‐17発現細胞の数を増加したことを示した。また、T細胞とMSC又はSB623細胞との共培養は、IL‐23の非存在下及び存在下の両方において、IL‐17発現細胞の数の小さな増加をもたらした。
【0124】
実施例9:SB623細胞との共培養による単球の樹状細胞への分化の阻害
単球(CD14を発現)の樹状細胞(CD1aを発現)への成長の通常の進行は、インターロイキン‐4(IL‐4)及び顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)の存在下、単球を培養することにより、インビトロにおいて再現することができる。インビトロにおける単球との共培養の場合、MSCは、単球の樹状細胞への分化を阻止することができ、一部分では、効果は、MSCによるインターロイキン‐6(IL‐6)の分泌により媒介される。Chomaratら、(2000)Nature Immunology 1:510-514; Djouadら、(2007) Stem Cells 25: 2025-2032。米国特許出願公開第2010/0266554号(2010年10月21日)を参照。MSC及びSB623によってまた分泌される、VEGFは、また、樹状細胞分化に関係する。従って、SB623細胞の単球分化に対する影響を調べた。
【0125】
単球を、10%ウシ胎児血清(Lonza,Allendale,NJ)、2mMのL‐グルタミン、2mMのL‐ピルビン酸ナトリウム、100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、40ng/mlのGM‐CSF(Peprotech,Rocky Hill,NJ)及び20ng/mlのIL‐4(Peprotech,Rocky Hill,NJ)を含むRPMI‐1640(Meidatech,Manassas,VA)において培養した。SB623細胞との共培養(又は対照として、MSC)を、単球とSB623細胞(又はMSC)の比率10:1;すなわち、100,000の単球対10,000のSB623細胞又はMSCで行った。培養(共培養)7日後、トリプシン/EDTA(上記のように)使用して細胞の一部を採取し、PE‐コンジュゲート抗CD‐14抗体及びFITC‐標識抗CD1a抗体(両方ともeBioscience,San Diego,CA)と一緒にインキュベートした。収集及び分析を、CellQuestPro(商標)ソフトフェアを使用して、FACSCalibur(商標)セルソーターを使用して(両方とも、Becton,Dickinson&Co.,San Jose,CA)行った。培養物の他の部分を、位相差顕微鏡によって観察した。
【0126】
セルソーティング分析の結果(
図18)は、SB623細胞又はMSCとの共培養の後に、CD14
+細胞(すなわち、単球のより高い分画)のより高いパーセンテージを示した。さらに、効果は、単球をSB623と培養した場合、MSCとの共培養と比較して、大きかった。また、より少ないCD1a
+樹状細胞を、共培養において観察した。これらの結果は、SB623細胞(及びより少ない程度にMSC)が単球の樹状細胞への分化を阻害することができることを示す。
【0127】
顕微鏡分析は、これらの観察結果を裏付けた。単球培養物において、樹状細胞の集団を、顕微鏡により容易に観察したが;MSC又はSB623細胞との共培養物において、そのような集団をほとんど観察しなかった。
【0128】
実施例10:SB623細胞との共培養による樹状細胞の成熟阻害
単球から分化後、樹状細胞は、CD86表面マーカーを発現する細胞へと成熟する。この成熟を、腫瘍壊死因子‐アルファ(TNF‐α)の存在下、樹状細胞を培養することによりインビトロで再現することができる。IL‐6及びVEGFが、樹状細胞の成熟を阻止することを示す。Parkら、(2004) J. Immunol. 173: 3844-3854; Takahashiら、(2004) Cancer Immunol. Immunother 53: 543-550。SB623細胞がこれらのサイトカインの両方を分泌するので、SB623共培養の樹状細胞分化に対する影響を調べた。
【0129】
SB623細胞の共培養の樹状細胞の成熟に対する影響を評価するために、単球を末梢血から取得し、実施例9に記載のように樹状細胞にインビトロで分化した。培養5日後、ヒトTNF‐α(Peprotech,Rocky Hill,NJ)を、10ng/mlの最終濃度で培養物に添加した。いくつかの培養物において、SB623細胞又はMSCをまた、この時点で添加した。すべてのサンプルは、10
5単球及び、共培養物において10
4MSC又はSB623細胞を含んだ。対照として、樹状細胞のCD86
+状態への成熟を阻害する、シクロスポリンAを、1μg/mlの最終濃度でTNF‐α刺激培養物に添加した。2日後、細胞をPE‐コンジュゲート抗CD86抗体(Becton Dickinson&Co.,San Jose,CA)で染色し、FACSCaliburセルソーターで行いそしてCellQuestPro(商標)ソフトウェアを使用して(両方とも、Becton Dickinson&Co.,San Jose,CA)分析した。
【0130】
図19に示す結果は、TNF‐α成熟樹状細胞の有意な分画が、CD86を発現し、そしてこの分画が、予想した通り、シクロスポリンでの処理により低下することを示す。SB623細胞及びMSCでの共培養がまた、CD86
+細胞の分画を低下する。特に、CD86発現により測定したように、SB623細胞は、MSCよりも樹状細胞成熟に対するより強い阻害効果を有する。
【0131】
実施例11:SB623細胞との共培養による単球/マクロファージの分泌プロファイルの変化
CD14細胞表面マーカーを発現するヒト末梢血単球(すなわち、マクロファージ前駆体)を、抗CD14コート磁気ビーズ(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)を使用して、磁気選択により軟膜の細胞から得た。CD14
+単球の分離培養物を、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)に暴露して、それらをM1(炎症性)マクロファージに転換し;又はマクロファージコロニー刺激因子に暴露して、それらをM2(抗炎症性)マクロファージに転換し;又はSB623細胞又はMSCのいずれかと共培養した。
【0132】
腫瘍壊死因子‐アルファ(TNF‐α、M1マクロファージを特徴付ける炎症性サイトカイン)及びインターロイキン10(IL‐10、M2マクロファージを特徴付ける抗炎症性サイトカイン)を発現する細胞のパーセンテージを、これらの培養物において、以下のように決定測定した。培養物を、100ng/mlの細菌性リポ多糖(LPS,Sigma,St.Louis,MO)に24時間暴露した。LPSに対する暴露の最後の6時間、ブレフェルジンA及びモネンシン(両方とも、eBioscience San Diego,CA;及び両方とも、1:1,000希釈で使用した)を培養物に添加した。細胞を、次に、PE‐コンジュゲート抗TNFα又はFITC‐コンジュゲート抗IL‐10のいずれかで染色し、そしてフローサイトメトリーで分析した。
【0133】
図20に示すこれらの研究結果は、MSC又はSB623細胞との共培養が、培養物において、抗炎症性サイトカインを産生した単球の分画を増加したことを示した。MSC及びSB623細胞との共培養は、GM‐CSFに対する暴露のように、TNF‐αを産生した細胞のパーセンテージを増加しなかった(
図20A)。特に、抗炎症性サイトカインIL‐10を発現する細胞のパーセンテージを、単球をMSCと共培養した場合、増加し、そしてSB623細胞と共培養した場合、さらにもっと増加した(
図20B)。