特許第6981953号(P6981953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981953
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】基板表面実装ヒューズ
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/143 20060101AFI20211206BHJP
   H01H 85/20 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H01H85/143
   H01H85/20 D
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-220127(P2018-220127)
(22)【出願日】2018年11月26日
(65)【公開番号】特開2020-87700(P2020-87700A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204044
【氏名又は名称】太平洋精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 史幸
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大二
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0030294(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/125461(WO,A1)
【文献】 特開2016−207469(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0196135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/143
H01H 85/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、当該ハウジング内に配置される溶断部と、当該溶断部の両端に連結され、前記ハウジングの外部へ露出している端子部とを備えた、基板の表面に実装される基板表面実装ヒューズであって、
前記基板に固定される前の状態において、前記ハウジングと前記溶断部と前記端子部は組付けられて一体となっており、
前記端子部の一部には、前記基板の表面に固定する固定部が設けられると共に、代替用ヒューズの端子部を取り付け可能な取付部が設けられていることを特徴とする基板表面実装ヒューズ。
【請求項2】
前記取付部は、前記代替用ヒューズの端子部を差し込んで取り付けるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板表面実装ヒューズ。
【請求項3】
前記取付部は、前記ハウジングの上面と同一面に、又は上面よりも下側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板表面実装ヒューズ。
【請求項4】
前記取付部は、前記ハウジングの上面よりも上側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板表面実装ヒューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、主に自動車用電気回路等に用いられるヒューズに関し、特に、基板表面に実装される基板表面実装ヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒューズは、自動車等に搭載されている電気回路や、電気回路に接続されている各種電装品を保護するために用いられてきた。詳しくは、電気回路中に意図しない過電流が流れた場合に、ヒューズに内蔵されたヒューズエレメントの溶断部が過電流による発熱により溶断して、各種電装品に過度な電流が流れないように保護している。
【0003】
そして、このヒューズは様々な種類があり、例えば、特許文献1に示すような、基板表面に実装される基板表面実装ヒューズが知られている。この基板表面実装ヒューズをヒューズボックスの基板にも利用することで、ヒューズボックス及び基板が小型化され、製造工程も簡素化することができる。ただ、この基板表面実装ヒューズは、基板表面にハンダ等によって固定されているため、電気回路に異常が生じ、基板表面実装ヒューズの溶断部が溶断した際には、基板ごと交換する必要があった。そのため、基板ごと交換するまでは、電気回路が遮断されたままで、自動車等に搭載されている電気回路等や各種電装品が機能しないという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−134317号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、溶断部が溶断しても、代替用ヒューズを利用して、簡単かつ即座に電気回路を導通させることができる基板表面実装ヒューズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の基板表面実装ヒューズは、ハウジングと、当該ハウジング内に配置される溶断部と、当該溶断部の両端に連結され、前記ハウジングの外部へ露出している端子部とを備えた、基板の表面に実装される基板表面実装ヒューズであって、前記端子部の一部には、前記基板の表面に固定する固定部が設けられると共に、代替用ヒューズの端子部を取り付け可能な取付部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、基板表面実装ヒューズの端子部の取付部に、代替用ヒューズの端子部を取り付けることができるので、基板表面実装ヒューズの溶断部が溶断して電気回路が遮断されても、代替用ヒューズを利用して、簡単かつ即座に電気回路を導通させて復旧させることができる。その結果、自動車等に搭載されている電気回路等や各種電装品を直ちに通常通り機能させることができるのである。
【0008】
本願発明の基板表面実装ヒューズは、前記取付部は、前記代替用ヒューズの端子部を差し込んで取り付けるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、取付部が、代替用ヒューズの端子部を差し込めるように構成されているので、代替用ヒューズを基板表面実装ヒューズに取り付けやすく作業性に優れるのである。また、代替用ヒューズの端子部が取付部に差し込まれているので、代替用ヒューズが基板表面実装ヒューズから外れにくく、安定して取り付けることが出来るのである。
【0010】
本願発明の基板表面実装ヒューズは、前記取付部は、前記ハウジングの上面と同一面に、又は上面よりも下側に位置していることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、基板表面実装ヒューズ全体をコンパクトにでき、基板の小型化に寄与している。
【0012】
本願発明の基板表面実装ヒューズは、前記取付部は、前記ハウジングの上面よりも上側に位置していることを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、取付部は、ハウジングの上面よりも上側に位置しているので、代替用ヒューズと基板表面実装ヒューズとが干渉することを防止し、代替用ヒューズを基板表面実装ヒューズに確実に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
上記のように、本願発明の基板表面実装ヒューズによれば、溶断部が溶断しても、代替用ヒューズを利用して、簡単かつ即座に電気回路を導通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本願発明の実施形態1に係る基板表面実装ヒューズの全体斜視図、(b)は当該基板表面実装ヒューズの平面図である。
図2】(a)は本願発明の実施形態1に係る基板表面実装ヒューズの正面図、(b)は基板表面実装ヒューズの側面図、(c)は基板表面実装ヒューズの底面図である。
図3】(a)は基板の全体斜視図、(b)は基板に、本願発明の実施形態1に係る基板表面実装ヒューズを実装した状態の全体斜視図である。
図4】(a)及び(b)は、本願発明の実施形態1に係る基板表面実装ヒューズに代替用ヒューズを取り付ける様子を示す全体斜視図である。
図5】(a)は、代替用ヒューズが基板表面実装ヒューズに取り付けられた状態の拡大正面図、(b)は当該状態の拡大側面図である。
図6】(a)は、本願発明の実施形態2に係る基板表面実装ヒューズの全体斜視図、(b)は当該基板表面実装ヒューズの正面図、(c)は当該基板表面実装ヒューズの平面図である。
図7】(a)は、本願発明の実施形態3に係る基板表面実装ヒューズの全体斜視図、(b)は当該基板表面実装ヒューズの正面図、(c)は当該基板表面実装ヒューズの平面図である。
【符号の説明】
【0016】
100 基板表面実装ヒューズ
110 ハウジング
120 溶断部
130 端子部
134 固定部
200 代替用ヒューズ
230 端子部
300 基板

【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本願発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下で説明する実施形態における基板表面実装ヒューズの各部材の形状や材質等は、一例を示すものであって、これらに限定されるものではない。なお、本願明細書において、「上方向」とは、図3から図5に示すように、基板表面実装ヒューズ100を基板300の水平方向に広がる表面に固定した状態で、水平方向に対して直角に交わる方向、すなわち鉛直方向に沿った上方向のことであり、「下方向」とは、当該鉛直方向に沿った下方向のことであり、「縦方向」とは鉛直方向に沿った方向のことであり、「横方向」とは、水平方向に沿った方向のことである。
【0018】
<実施形態1>
まず、本願発明の実施形態1に係る基板表面実装ヒューズ100を図1及び図2に示す。図1(a)は基板表面実装ヒューズ100の全体斜視図、図1(b)は基板表面実装ヒューズ100の平面図、図2(a)は基板表面実装ヒューズ100の正面図、図2(b)は基板表面実装ヒューズ100の側面図、図2(c)は基板表面実装ヒューズ100の底面図である。
【0019】
この基板表面実装ヒューズ100は、略直方体形状のハウジング110と、ハウジング110内に配置される溶断部120と、当該ハウジング110の外部へ延出している端子部130とを備える。ハウジング110は、絶縁性の合成樹脂によって略直方体形状に形成されており、内部は空洞となっている。そして、溶断部120は、ハウジング110の内部空間に配置されており、溶断部120の両側のそれぞれに金属製の端子部130が連結されている。そして、端子部130は、ハウジング110の両側の側面から側方へ延出している。
【0020】
より具体的には、ハウジング110は上下に2分割された上部ハウジング111と下部ハウジング112とから構成されており、溶断部120を上下から挟み込むように覆っている。そして、溶断部120の両端には端子部130の平坦な上端部131が連結されており、この上端部131は、ハウジング110の内部から外部に向けて延出している。さらに、端子部130は、上端部131から下方へ屈曲するように延出する中間部132と、当該中間部132から側方へ延出する平坦な下端部133を備える。なお、ハウジング110は上下に2分割された上部ハウジング111と下部ハウジング112とから構成されているが、これに限定されることはなく、ハウジング110は、上部ハウジング111と下部ハウジング112が一体成形されて分割できない態様であってもよい。
【0021】
また、溶断部120は、亜鉛合金等の金属によって細く線状に形成されており、所定の過電流が流れると溶断する特性を備える。そして、金属製の端子部130は、後述する基板の電極に電気的に連結される部分であり、基板に接続された電気回路中に過電流が流れた際に、溶断部120が溶断して回路を遮断するのである。なお、溶断部120は、図1及び図2に示す形状及び構成に限定されず、所定の過電流が流れると溶断する特性を備えるものであれば、その他の形状及び構成であってもよい。
【0022】
また、両側の端子部130のそれぞれには、上下方向に縦長に延びる貫通孔の形態の取付部140が設けられている。そして、取付部140は、ハウジング110の上面113よりも下方に位置している。この取付部140は、後述する代替用ヒューズ200の端子部230を差し込むことが出来るように、端子部130の表面から裏面まで貫通した形状をしている。具体的には、取付部140は、端子部130の上端部131において横方向に延びる上端孔141と、中間部132において縦方向に延びる中間孔142と、下端部133において横方向に延びる下端孔143とからなり、上端孔141、中間孔142、及び下端孔143は、端子部130の表面から裏面まで貫通している。
【0023】
また、端子部130の下端部133の裏面側は、後述する基板の表面に、ハンダ付け等によって固定される固定部134となっており、当該固定部134は平坦面となっているので、基板の表面に密着し易くなっている。
【0024】
なお、取付部140は、ハウジング110の上面113よりも下方に位置しているが、これに限定されず、取付部140は、ハウジング110の上面113と同一面に位置するようにしてもよい。例えば、取付部140は、端子部130から上方に突出するように形成されてもよく、端子部130から突出した取付部140は、ハウジング110の上面113と同一面に位置するよう構成される。
【0025】
また、端子部130の下端部133の裏面側が固定部134となっているが、これに限定されず、端子部130の下端部133が、図1及び図2とは逆方向の内側に屈曲している場合には、下端部133の表面側を固定部134としてもよい。また、端子部130は、図1に示すように、上端部131、中間部132、及び下端部133を備える態様であるが、これに限定されず、基板の表面に固定できるのであれば、任意の態様及び形状を採用できる。
【0026】
では次に、図3を参照して、基板表面実装ヒューズ100を基板300に実装した状態について説明する。なお、図3(a)は基板300の全体斜視図、図3(b)は基板300に基板表面実装ヒューズ100を実装した状態の全体斜視図である。
【0027】
図3(a)に示すように、基板300は、ヒューズボックス等の一部に設けられており、自動車等に搭載されている電気回路に電気的に接続されている。そして、当該電気回路に接続された複数の電極310が、基板300の表面上に設けられている。図3(b)に示すように、本願発明の基板表面実装ヒューズ100は、対になった電極310の表面に、基板表面実装ヒューズ100の端子部130の裏面側の固定部134をそれぞれ固定している。具体的には、平坦な固定部134を、平坦な電極310の表面に密着させ、当該密着部分をハンダ付け等の方法で固定することで、基板表面実装ヒューズ100は基板300に確実に実装されるのである。なお、固定部134の基板表面への固定方法であるが、ハンダ付け以外にも、接着剤で接着固定するなど、任意の方法を採用することができる。
【0028】
そして、電極310に接続された電気回路に異常な過電流が流れると、基板表面実装ヒューズ100の溶断部120が溶断して電気回路を遮断し、電気回路に接続された各種電装品を保護している。この基板表面実装ヒューズ100の溶断部120が溶断した後は、電気回路が遮断されたままになるので、基板表面実装ヒューズ100の交換が必要になる。ただ、基板表面実装ヒューズ100は基板300に固定されているので、簡単には交換することができない。そこで従来は、基板300ごと交換して対応していたが、予備の基板300を準備して交換するのには時間がかかり、自動車等に搭載されている電気回路等や各種電装品がしばらく機能しない問題があった。
【0029】
そこで、本願発明の基板表面実装ヒューズ100では、図4及び図5に示すように代替用ヒューズ200を用いて、遮断された電気回路を、簡単かつ迅速に導通させて復旧させている。なお、図4(a)及び(b)は、基板表面実装ヒューズ100に代替用ヒューズ200を取り付ける様子を示す全体斜視図、図5(a)は、代替用ヒューズ200が基板表面実装ヒューズ100に取り付けられた状態の拡大正面図、図5(b)は当該状態の拡大側面図である。また、代替用ヒューズ200は、従来から知られている、いわゆるブレード型ヒューズと呼ばれるもので、絶縁性のハウジング210と、当該ハウジング210内に収容された溶断部220と、当該溶断部220に連結され、ハウジング210の下側から延出している金属製の端子部230を備えている。
【0030】
図4に示すように、基板表面実装ヒューズ100の端子部130の取付部140に、代替用ヒューズ200の端子部230を上方から取り付ける。すると、端子部130と代替用ヒューズ200の端子部230が電気的に連結されるので、両側の一対の電極310は代替用ヒューズ200によって電気的に接続され、電極310に連結された電気回路を導通させることができるのである。そして、自動車等に搭載されている電気回路に異常な過電流が流れると、代替用ヒューズ200の溶断部220が溶断して電気回路を遮断し、電気回路に接続された各種電装品を保護できるのである。
【0031】
このように、本願発明の基板表面実装ヒューズ100によれば、基板表面実装ヒューズ100の端子部130の取付部140に、代替用ヒューズ200の端子部230を取り付けることができるので、基板表面実装ヒューズ100の溶断部120が溶断して電気回路が遮断されても、代替用ヒューズ200を利用して、簡単かつ即座に電気回路を導通させて復旧させることができる。その結果、自動車等に搭載されている電気回路等や各種電装品を直ちに通常通り機能させることができるのである。
【0032】
さらに、本願発明の基板表面実装ヒューズ100によれば、取付部140が、代替用ヒューズ200の端子部230を差し込めるように構成されているので、代替用ヒューズ200を基板表面実装ヒューズ100に取り付けやすく作業性に優れるのである。また、代替用ヒューズ200の端子部230が取付部140に差し込まれているので、代替用ヒューズ200が基板表面実装ヒューズ100から外れにくく、安定して取り付けることが出来るのである。
【0033】
さらに、取付部140は上下方向に長尺状に延びているので、上下方向に長尺状に延びている板状の端子部230が傾かないように確実に支持することができる。特に、基板表面実装ヒューズ100のハウジング110は、溶断部120を収容する関係上、上下方向の厚みがある。そのため、溶断部120の両端に連結された端子部130は、基板300の電極310と連結できるように、ハウジング110の側方からハウジング110の下方へ向けて延出した縦長の部分(例えば、中間部132)を備えている。そして、当該縦長の部分に沿って取付部140を設ければ、長尺の板状の端子部230を傾かないように確実に支持できるので、端子部130の縦長の部分を有効に活用しているのである。
【0034】
また、取付部140は、縦長の貫通孔の形状をしているが、この貫通部分の横幅は、端子部230の厚さと同一か、又は端子部230の厚さよりも僅かに狭くなっているので、取付部140は、差し込まれた端子部230を両側から挟み込むように把持することができる。そのため、代替用ヒューズ200は基板表面実装ヒューズ100に強固に取り付けられる。また、取付部140は、横方向に延びる上端孔141と、縦方向に延びる中間孔142と、横方向に延びる下端孔143を備えているので、端子部230に接触する面積を広くとることができ、より安定して代替用ヒューズ200を支えることができる。さらに、端子部230の先端231は、取付部140の下端孔143を通り抜けて電極310の表面に接触しており、端子部230と電極310との接続信頼性をより高めている。
【0035】
また、取付部140は、ハウジング110の上面113と同一面、又は上面113よりも下方に位置しているので、基板表面実装ヒューズ100全体をコンパクトにでき、基板300の小型化に寄与している。また、各取付部140は、基板表面実装ヒューズ100のハウジング110の両側に配置された端子部130にそれぞれ設けられているので、図4及び5に示すように、代替用ヒューズ200の端子部230は、基板表面実装ヒューズ100のハウジング110を跨ぐように、各取付部140に取り付けられる。そして、基板表面実装ヒューズ100を跨ぐように、つまり、代替用ヒューズ200を取り付けるべき対象の基板表面実装ヒューズ100に上下に重ねるようにして取り付けることができることから、作業者にとって直感的な作業で分かりやすく、又、どの基板表面実装ヒューズ100に代替用ヒューズ200が取り付けられているのかを認識し易い。特に、基板300は小さく、表面には様々な電子部品や電極が密集しているので、どの基板表面実装ヒューズ100に代替用ヒューズ200が取り付けられているのかを認識し易いと、交換が必要な基板表面実装ヒューズ100を判別しやすいのである。
【0036】
また、取付部140は端子部130と一体となっており、代替用ヒューズ200の端子部230と接触して、取付部140自身で端子部230を直接固定する構成なので、端子部130と端子部230との間の接触不良を防止して、接続の信頼性を高めている。
【0037】
なお、図4及び図5に示すように、取付部140を端子部130に貫通孔として形成しているので、代替用ヒューズ200の端子部230を取り付けるための部材を別途設ける必要がなく、また、端子部130の形状を大きく変更する必要もないので、製造が容易で製造コストも削減することができる。
【0038】
また、図4及び図5に示すように、取付部140は貫通孔の態様であるが、これに限定されず、代替用ヒューズ200の端子部230を取り付けることができる構成であれば、その他の態様であってもよく、例えば、端子部230の先端をボルト等で端子部130に固定する態様や、端子部230の先端を嵌合させる凹部の態様などでもよい。ただ、取付部140が、代替用ヒューズ200の端子部230を差し込んで取り付けられる構成であれば、代替用ヒューズ200を容易に取り付けることができて、非常に便利である。そして、取付部140が、代替用ヒューズ200の端子部230を差し込んで取り付けられる構成とは、図4及び図5に示すような縦長の貫通孔の態様に限定されず、例えば、後述するような溝形状等であってもよく、代替用ヒューズ200の端子部230を差し込んで取り付けられるのであれば、任意の形状や構成を採用することができる。なお、代替用ヒューズ200は、いわゆるブレード型ヒューズの形態であるが、これに限定されることはなく、絶縁性のハウジングと、当該ハウジング内に収容された溶断部と、当該溶断部に連結され、ハウジングから延出している金属製の端子部を備える態様であれば、その他のヒューズの態様であってもよい。
【0039】
<実施形態2>
では次に、実施形態2に係る本願発明の基板表面実装ヒューズ100Aについて、図6を参照して説明する。なお、図6(a)は、実施形態2に係る本願発明の基板表面実装ヒューズ100Aの全体斜視図、図6(b)は基板表面実装ヒューズ100Aの正面図、図6(c)は基板表面実装ヒューズ100Aの平面図である。また、実施形態2に係る基板表面実装ヒューズ100Aの構成は、端子部130A及び取付部140Aの構成を除き、実施形態1に係る基板表面実装ヒューズ100の構成と基本的に同一なので、同一の構成については説明を省略する。
【0040】
図6に示すように、端子部130Aは、ハウジング110Aの側面から延出した上端部131Aと、当該上端部131Aから下方へ屈曲するように延出する中間部132Aと、当該中間部132Aから側方へ延出する平坦な下端部133A、当該下端部133Aから上方へ向けて延出する上方延出部135Aを備える。さらに、下端部133Aの裏面側は、基板の表面に固定する固定部134Aとなっている。また、上方延出部135Aの先端は、2つに分岐しており、その間に、溝形状の取付部140Aが形成されている。この上方延出部135Aの先端の取付部140Aは、いわゆる音叉端子の態様となっており、取付部140Aには、代替用ヒューズ200の端子部230を差し込んで取り付けることができる。そして、この取付部140Aは、ハウジング110Aの上面113Aよりも上側に位置しているので、代替用ヒューズ200と基板表面実装ヒューズ100Aとが干渉することを防止し、代替用ヒューズ200を基板表面実装ヒューズ100Aに確実に取り付けることができる。例えば、代替用ヒューズ200の端子部230の長さが短く、端子部230を取付部140Aに差し込むと、代替用ヒューズ200のハウジング210が基板表面実装ヒューズ100Aのハウジング110Aに干渉する場合などは、取付部140Aの位置を高くすることで、代替用ヒューズ200と基板表面実装ヒューズ100とが干渉することを効果的に防止できる。
【0041】
<実施形態3>
では次に、実施形態3に係る本願発明の基板表面実装ヒューズ100Bについて、図7を参照して説明する。なお、図7(a)は、実施形態3に係る本願発明の基板表面実装ヒューズ100Bの全体斜視図、図7(b)は基板表面実装ヒューズ100Bの正面図、図7(c)は基板表面実装ヒューズ100Bの平面図である。また、実施形態3に係る基板表面実装ヒューズ100Bの構成は、端子部130B及び取付部140Bの構成を除き、実施形態1に係る基板表面実装ヒューズ100の構成と基本的に同一なので、同一の構成については説明を省略する。
【0042】
図7に示すように、端子部130Bは、ハウジング110Bの側面から延出した上端部131Bと、当該上端部131Bから下方へ屈曲するように延出する中間部132Bと、当該中間部132Bから側方へ延出する平坦な下端部133B、中間部132Bから端子部130Bの延出する方向とは交差する方向へ屈曲すると共に、上方へ向けて延出する上方延出部135Bを備える。さらに、下端部133Bの裏面側は、基板の表面に固定する固定部134Bとなっている。また、上方延出部135Bの先端は、2つに分岐しており、その間に、溝形状の取付部140Bが形成されている。この上方延出部135Bの先端の取付部140Bは、いわゆる音叉端子の態様となっており、取付部140Bには、代替用ヒューズ200の端子部230を差し込んで取り付けることができる。そして、この取付部140Bは、ハウジング110Bの上面113Bよりも上側に位置しているので、代替用ヒューズ200と基板表面実装ヒューズ100とが干渉することを防止し、代替用ヒューズ200を基板表面実装ヒューズ100に確実に取り付けることができる。さらに、取付部140Bの向きを、端子部130Bが延出する方向と交差する方向へ変えているので、代替用ヒューズ200の取り付ける向きを変えることができる。
【0043】
なお、本願発明の基板表面実装ヒューズは、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7