(54)【発明の名称】車両ホイールリム上に搭載されるタイヤに流体媒体を供給するための圧縮機ユニット及び車両ホイールリム上に搭載されるタイヤのための加圧媒体供給デバイスを有する車両ホイールリム
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの状況を考慮して、本発明の目的は、車両ホイール用の加圧媒体供給デバイスを開示することであり、加圧媒体供給デバイスは、かなり低いコストで実装され得るとともに、信頼性及び長期機能の増大を特に保証する。好ましくは、駆動中に、すなわち、ホイールが回転しているときにタイヤ圧力を調節することが可能であるべきである。できる限り少ない追加費用でホイール又はタイヤを変更することが可能であるべきである。加圧媒体供給デバイスは、改造解決策として使用するのに特に適するべきである。加圧媒体供給デバイスが、同様に、パンクを修理するために有利には使用され得る場合が、同様に好ましい。好ましくは、これに関連して、設置作業なしで、損傷の修理又は一時的な修理を実施することが可能であるべきである。さらに、加圧媒体供給デバイスに適したエネルギ供給が保証されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、車両ホイールリム上に搭載されるタイヤに加圧媒体を供給するための圧縮機ユニットにおいて、タイヤに送られる加圧媒体に圧力を加えるための圧縮機を有する、圧縮機ユニットが提案される。圧縮機ユニットは、車両ホイールリムがホイールハブ上で搭載状態にあるときに車両ホイールリムの中央ボア内に収容されるように寸法決定され、圧縮機は、車両ホイールリムの中央ボアに近接して位置決めされる駆動ユニットによって駆動され得ることを特徴とする。
【0011】
そのため、圧縮機ユニットは、車両ホイールリムがホイールハブ上で搭載状態にあるときに、車両ホイールリムの中央ボアに近接するホイールハブと車両ホイールリムとの間に設けられる設置空間に圧縮機ユニットが嵌合するように寸法決定される。車両ホイールリムの中央ボアは、車両ホイールリムの中央領域内に設けられる開口であると理解され、その開口によって、車両ホイールリムは、芯出しのためホイールハブ上で摺動する。中央ボアは、しばしば、車両ホイールリムの中央開口、中央ホール、ハブボア、又はハブ開口とも呼ばれる。
【0012】
車両ホイールリムの中央ボアに近接するホイールハブと車両ホイールリムとの間で利用可能である設置空間は、実際には、使用される車両及び車両ホイールリムに応じて異なるように寸法決定され得るが、この設置空間は、使用される車両及び車両ホイールリムによらず、特に、設置空間深さに関して非常に制限され、したがって、任意の種類の構成要素を収容するわずかな量の空間だけを提供する。乗用車用の従来の車両ホイールリムにおいて、存在する設置深さは、例えば、わずか3cm又は更に小さい可能性がある。同時に、乗用車用の従来の車両ホイールリムの中央ボアの通常の直径は、約5cm〜7.5cmの範囲内であり得る。
【0013】
したがって、上記の言い回し「車両ホイールリムがホイールハブ上で搭載状態にあるときに、車両ホイールリムの中央ボア内に収容されるように寸法決定される」は、従来の圧縮機の通常の寸法決定とかなり異なる、圧縮機ユニットの非常にコンパクトで概して非常に平坦な構造形態を示唆する。圧縮機ユニットは、この場合、圧縮機を含み、圧縮機は、車両ホイールリム上に搭載されるタイヤ内に流体媒体を送り、したがって、タイヤの圧力を調整するために、圧縮空気又は窒素等の流体媒体に圧力を加えるのに適する。加圧媒体を車両タイヤに供給することについてのこの同時適切性は、同様に、コンパクトさが必要であっても、車両タイヤを拡張させるのに十分である高い送出容量を可能にする圧縮機ユニットの設計を示唆する。
【0014】
こうして具現化される圧縮機ユニットは、マルチホイール車両において、車両ホイールリム内に直接一体化され得るため、各車両ホイールがそれ自体の(おそらくは独立に動作する)加圧媒体供給デバイスを有する非集中化加圧媒体供給システムを生成することが可能である。そのため、全ての上記で述べた欠点を有する、従来技術から知られている中央車両搭載式加圧媒体供給システムを使用することを回避することが可能である。圧縮機ユニットを車両ホイール内に直接位置決めすることは、加圧媒体をタイヤ内に送るための加圧流体ラインの必要な長さを減少させる。その理由は、これらのラインが車両を通してホイールまでもはやルーティングされる必要がないからである。そのため、例えば、車両の底部に対する外部応力による、付随する漏れの生じやすさを減少させることが可能である。特に、車両フレームから回転可能ホイールへの移行部において、信頼性があり、永続的に機能する回転フィードスルー(困難さを伴ってしか設けられることができない)を設けるという要件を完全に回避することが同様に可能である。各車両ホイールが内部に独立の加圧媒体供給デバイスを設けられている場合、これは、同様に、設置又は改造費用を低減する。その理由は、個々の加圧媒体供給デバイスについて必要とされる基本構成要素が、車両ホイール自体内に位置決めされ、ホイールとともに車両から取外され得るからである。そのため、本発明による圧縮機ユニットは、知られている加圧媒体供給システムを、中央アーキテクチャから非集中化アーキテクチャになるように、基本的に変更することを可能にし、非集中化アーキテクチャは、圧縮機ユニットを収容するために狭い設置空間(車両ホイールリムがホイールハブ上に搭載されると車両ホイールリムの中央ボアに近接して利用可能である)を使用するという考えに本質的に基づく。
【0015】
車両ホイールリムの中央ボア内への圧縮機ユニットの設置を容易にするため、圧縮機ユニットは、モジュール式として具現化され得、車両ホイールリムの中央ボアに近接する精密な嵌合配置のためのモジュールハウジングを含み得る。車両ホイールリムの中央ボア内に、ホルダが同様に設けられ得、ホルダ上に、モジュールハウジングが、精密嵌合方法で位置決めされ得る、また任意選択で締結され得る。モジュールハウジングは、車両ホイールリムの中央ボア内にカートリッジのように挿入され得るように具現化され寸法決定され得る。そのため、モジュールハウジングは、本質的に円筒の形態を有し得る、又は、その長手方向長さの少なくとも大部分にわたって本質的に円筒の形態を有し得る。圧縮機ユニットを収容するために利用可能な設置空間の深さがわずかである場合、こうして具現化されるモジュールハウジングの高さは、好ましくは、その直径より小さく、そのことが、特にフラットでかつコンパクトな実施形態をもたらす。モジュールハウジングが車両ホイールリムの中央ボア内に収容される状態において、圧縮機ユニットは、同様に、車両ホイールリムの中心軸に一致する長手方向軸を有し得る。この配置構成は、車両ホイールリム上に圧縮機ユニットを搭載することによって引起される、駆動中の不平衡を最小にすることを可能にする。
【0016】
加圧媒体をタイヤに供給するため、圧縮機ユニットの圧縮機は、車両ホイールリムの中央ボアに近接して位置決めされる駆動ユニットによって駆動され得る。駆動ユニットは、圧縮機ユニットに結合される別個の部品であり得る。しかし、駆動ユニットは、同様に、圧縮機ユニットの一部であり得、この場合、モジュールハウジングの内部に位置決めされ得る。駆動ユニットの例は、電気モータを含む。しかし、当然、他のタイプの駆動ユニットを使用することが同様に可能である。
【0017】
圧縮機は、少なくとも1つのピストンを有するピストン圧縮機であり得る。車両ホイールリムの中央ボアに近接する、存在する設置空間を可能な限り最も効率的に使用するため、ピストンは、フラットピストンとして具現化され得る。フラットピストンとして具現化される少なくとも1つのピストンが往復動ピストンである場合、往復動ピストンにおいて通常使用される円形円筒設計の代わりに、そのピストンは、円形断面ではなく、むしろ例えば、長円形又はほぼ長方形断面(可能である場合、丸みのある角を有する)を有する。しかし、フラットピストンとして具現化される少なくとも1つのピストンが回転ピストンである場合、その軸方向寸法(その回転軸に対する)は、その半径方向寸法より小さい。圧縮機内において、フラットピストンは、フラットピストンの半径方向寸法が全体としてフラットピストンの軸方向寸法より大きくなるように、圧縮機ユニットの長手方向軸に対して配置されることが好ましい。こうした配置構成は、圧縮機ユニットの特にフラットな設計を可能にし、それは、主に、車両ホイールリムの中央ボアに近接するわずかな量の設置空間に関して有利である。同様な利点は、少なくとも1つのピストンが、(ピストンが圧縮機ユニットの車両ホイールリムの中央ボア内に収容される状態で)車両ホイールリムの中心軸に垂直にその移動方向が延在するように圧縮機内に位置決めされる場合に達成される。
【0018】
圧縮機は、ピストン圧縮機として、偏心結合ドライブによって駆動されるように具現化することができ、偏心結合ドライブにおいて、ドライブシャフトに接続される偏心結合部は、少なくとも1つのピストンに結合される。圧縮機ユニットによって引起され得る、駆動中の不平衡を最小にするため、ドライブシャフトは、その長手方向軸が車両ホイールリムの中心軸に一致するように位置決めされ得る。
【0019】
可能な限り最大の送出容量を達成するため、圧縮機が、たった1つの作動室ではなく、2つの作動室を含むことが同様に可能である。そのため、圧縮機は、圧縮機ユニットの長手方向軸に沿って次々に位置決めされる複数のピストンを含むことができる。また、この場合、複数のピストンは、共通ドライブシャフトによって駆動され得る。
【0020】
一実施形態によれば、少なくとも1つのピストンは、シリンダ内に移動方式で収容される往復動ピストンであり得る。場所を節約するために、シリンダは圧縮機ユニットのモジュールハウジングによって構成され得る。同様にこのため、作動室用に設けられる圧縮機の吸気弁及び/又は排気弁は、それを別個の部品としてシリンダの外に位置決めする代わりにシリンダ内に少なくとも部分的に埋め込まれ得る。圧縮機の吸気弁に関する有利な実施形態は、吸気弁が、往復動ピストン上に搭載されるシール要素を含み、その吸気ストローク中に往復動ピストンの移動によって強制的に開口される場合に達成される。これは、吸気弁(この場合、シリンダの外の別個の構成要素として設けられるのではなく、代わりに、往復動ピストン自体上で又は往復動ピストンとシリンダとの間で具現化される)の空間節約配置に関する利点だけでなく、往復動ピストンが単一吸気ストロークにおいて達成し得る吸気体積に関する利点も伴う。逆止弁として具現化される吸気弁と対照的に、吸気弁の開口は、ピストンの吸気ストロークによって作動室内で生成される負圧に依存するのではなく、むしろ、吸気弁のシール要素が往復動ピストンとともに移動することによるピストン自体の移動によるものである。吸気挙動の改善によって、これは、圧縮機の送出容量を増加させることを可能にする。
【0021】
シリンダの内部での往復動ピストンの摺動の改善のため、往復動ピストンは、シリンダ内でその摺動運動を実行するときに往復動ピストンに潤滑剤を提供する潤滑剤デポを有し得る。潤滑剤デポは、この場合、例えば、往復動ピストンの端壁に隣接する円周溝内で具現化され得る。潤滑剤デポに含まれる潤滑剤は、往復動ピストンの摺動表面に沿う潤滑剤の持続放出を可能にする多孔性又は吸収性基材内に埋め込まれ得る。
【0022】
圧縮機ユニット内に2つ以上の作動室を設けるための特に空間節約的なオプション(主に、大幅に制限された設置空間深さに関する)は、2つの対向するピストンセクションを有する2重作用ピストンとして往復動ピストンを具現化することにあり、2つの対向するピストンセクションは、シリンダ内で移動できるように収容される。こうしたピストンは、以降で、「2重ピストン(double piston)」と呼ばれる。2重ピストンとして具現化される往復動ピストンによって、単一ピストンを有する2つの作動室を形成することが可能である。2重ピストンは、その幅の倍数である長さを有し得る。そのため、それぞれのピストン/シリンダ組合せ体のガイダンス精度に十分なガイダンス長さを保証することが可能である。2重ピストンの場合、少なくとも1つのピストンに関して上述した特徴の全てが、同様に2重ピストンによって形成されるピストンセクションに関連し得ることが理解される。
【0023】
圧縮機ユニット内に2つ以上の作動室を設けるための空間節約的なオプション(主に、大幅に制限された設置空間深さに関する)を同様に提供する別の実施形態によれば、少なくとも1つのピストンは回転ピストンとして具現化される。少なくとも1つのピストンは、例えば、ワンケル回転ピストンの形態で具現化される回転ピストンとすることができ、ワンケル回転ピストンは、ワンケルの原理に従って圧縮室内で、回転方式で移動できる。この場合、同様に、圧縮室内で回転する回転ピストンは、複数の作動室を形成し得、作動室内で、加圧媒体入口及び加圧媒体出口は、回転ピストンがその回転運動の過程で圧縮室の(外トロコイド状)円周壁に沿ってそのシールリップとともに摺動するように圧縮室内に位置決めされ、加圧媒体入口によって作動室に導入される加圧媒体は、回転方向に、入口の後に位置する加圧媒体出口を通って作動室から強制的に出される。
【0024】
そのため、加圧媒体入口及び加圧媒体出口は、圧縮室の円周壁に位置決めされ得る。加圧媒体入口に関する有利な実施形態は、同様に、少なくとも1つの加圧媒体入口が圧縮室の側壁内で具現化され、回転ピストンの回転運動の過程で回転ピストンによって交互方式でカバー又は開口される場合に生成される。側壁は、圧縮室の2つの側壁の一方の側壁であり得、その側壁に対して回転ピストンがシールされ、その側壁が圧縮室の境界を横方向に定める。圧縮室の円周壁で具現化される加圧媒体入口と比較して、この種の加圧媒体入口は、回転運動中に円周壁に沿って摺動する回転ピストンのシールリップが、加圧媒体入口開口に(最小限に)衝突することによって経時的に摩耗又は損傷することを防止する。
【0025】
加圧媒体出口に関する有利な実施形態は、同様に、圧縮室からの少なくとも1つの加圧媒体出口が回転ピストンを通って側壁内にルーティングされる場合に生成される。ここで、同様に、側壁は、圧縮室の2つの側壁の一方の側壁であり得る。対応する加圧媒体出口開口は、圧縮室の円周壁に向いた回転ピストンの側部上で具現化され得、その側部から、加圧媒体出口は、回転ピストンの内部で、好ましくは、回転ピストンの中央領域に達するまでルーティングされて、そこから側壁を通して外に向かって通じる。圧縮室の円周壁内で具現化される加圧媒体出口と比較して、この実施形態は、同様に、回転運動中に円周壁に沿って摺動する回転ピストンのシールリップが、加圧媒体出口の開口に(最小限に)衝突し、したがって、摩耗又は損傷することを防止する。
【0026】
圧縮室の内部での回転ピストンの摺動の改善のため、回転ピストンは、圧縮室内の回転ピストンを潤滑するための潤滑剤デポを有し得る。潤滑剤デポは、例えば、圧縮室の側壁に向いた回転ピストンの側部に設けられる窪み内で具現化され得る。潤滑剤デポ内に存在する潤滑剤は、回転ピストンの摺動表面に対する潤滑剤の持続放出を可能にする多孔性又は吸収性基材内に埋め込まれ得る。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、車両ホイールリム上に搭載されるタイヤのための加圧媒体供給デバイスを有する、車両ホイールリムが提案される。車両ホイールリムは、加圧媒体供給デバイスが、車両ホイールリムの中央ボア内に収容される圧縮機ユニットを含むことを特徴とする。圧縮機ユニットは、好ましくは、第1の態様による上述した圧縮機ユニットである。
【0028】
上記で説明したように、マルチホイール車両において、車両ホイールリム内に一体化される圧縮機ユニットは、各車両ホイールがそれ自体の(おそらくは独立に動作する)加圧媒体供給デバイスを含む非集中化加圧媒体供給システムの形態で実装され得る。
【0029】
圧縮機ユニットによって加圧された加圧媒体を、車両ホイールリム上に搭載されるタイヤ内に送るため、加圧媒体供給デバイスは、圧縮機ユニットから加圧媒体入口まで延在してタイヤに入る加圧媒体経路を含み得る。加圧媒体経路は、例えば、圧縮機ユニットの対応する接続部に接続されるライン(例えば、ホースライン)の形態で具現化され得る。加圧媒体入口は、車両ホイールリムのリムウェル又はリムビードシートに近接して位置決めされて、そこからタイヤ内に通じ得る。代替的に、加圧媒体経路が、車両ホイールリムの従来のタイヤ弁に結合されるT要素の端まで来ることを可能にすることが同様に考えられる。この場合、加圧媒体入口は、従来のタイヤ弁で構成される。
【0030】
逆止弁は、加圧媒体経路内に一体化され得る。この弁は、例えば、加圧媒体入口に直接、設けられ得る。しかし、当然、逆止弁は、同様に、圧縮機ユニットと加圧媒体入口との間の加圧媒体経路の途中の任意の他の場所に位置決めされてもよい。車両ホイールにかかる逆止弁の重量によって引起され得る不平衡を低減するため、逆止弁は、圧縮機ユニット上で具現化され得る、又は、圧縮機ユニット自体の一部として更に具現化され得る。
【0031】
加圧媒体経路は、ラインで構成される場合、車両ホイールリムのスポークに沿って、車両ホイールリムの中央ボアの近接部から半径方向に外方に加圧媒体入口までルーティングされ得る。外部環境影響から加圧媒体経路を、可能な限り最大の程度まで保護するため、ラインは、車両ホイールリム又はスポークの内部でルーティングされ得る。また、これに関して、加圧媒体経路は、少なくとも幾つかのセクションにおいて、車両ホイールリムのスポークの内部で導管の形態でルーティングすることが有利であり得る。こうしたセクションにおいて、加圧媒体経路は、その後、環境影響から完全に保護される。
【0032】
加圧媒体経路が車両ホイールリムの内部の導管の形態でルーティングされる場合、圧縮機ユニット上に設けられる別個の接続部をなしで済まし、代わりに、圧力下にある加圧媒体が圧縮機ユニットから流出して、直接導管に入ることができるように、圧縮機ユニットの加圧媒体出口と導管の開口が車両ホイールリムの中央ボアに近接して互いに同一平面上になるように、車両ホイールリムの中央ボア内に圧縮機ユニットを位置決めすることが同様に考えられる。圧縮機ユニットの加圧媒体出口から導管の開口に入る移行部の場所において、移行部をシールするシール要素が設けられ得る。
【0033】
車両ホイールリムの加圧媒体供給デバイスは、同様に、圧縮機ユニットの駆動ユニットを制御するための制御モジュールを含み得る。圧縮機ユニットの駆動ユニットが、例えば、電気モータを含む場合、制御モジュールは、圧縮機ユニットによって加圧媒体に所望の量の圧力を加え、加圧媒体経路を介して加圧媒体をタイヤに供給するよう電気モータを制御するように具現化され得る。タイヤに供給される加圧媒体の量を決定するため、センサデバイスが、車両ホイールリム上に位置決めされ得、そのセンサデバイスは、信号ラインを介して、加圧媒体供給デバイス、特に、制御モジュールに接続される。センサデバイスは、例えば、圧力センサ、温度センサ、又は同様に両方であり得る。センサデバイスは、同様に、例えば、移動センサを含むことができ、移動センサは、車両ホイールが、現在、回転しているか、静止しているかを判定し得る。センサデバイスによって検出される測定データは、信号ラインを介して加圧媒体供給デバイス又はその制御モジュールに送信され得、タイヤ圧力調整の必要な程度を決定するため、そこで処理され得る。信号ラインは、同様に、センサデバイスにエネルギを供給するために使用され得る。信号ラインの最も保護される可能性のあるルーティングのため、信号ラインは、少なくとも幾つかのセクションにおいて、加圧媒体経路の内部でルーティングされ得る。加圧媒体経路内に一体化される逆止弁が、加圧媒体入口にではなく、むしろ、例えば、圧縮機ユニットに対する加圧媒体経路の接続部に位置する場合、センサデバイスは、タイヤ上に搭載される逆止弁内の加圧媒体経路内に一体化され得る。これは、センサデバイスによって引起される車両ホイールの不平衡を低減することを可能にする。
【0034】
制御モジュールは、例えば、タイヤ圧力を事前構成値に維持するため、加圧媒体供給デバイスが、車両ホイールリム上に搭載されるタイヤに対する加圧媒体の供給を独立して制御することを可能にし得る。しかし、当然、検出されたセンサ測定データの処理は、同様に、車両上に位置決めされる中央制御ユニットによって扱われ得る。この場合、制御モジュールは、中央制御ユニットと通信して、検出された測定データを中央制御ユニットに渡すように具現化され得、中央制御ユニットから受信されるコマンド、例えば、圧縮機ユニットのトリガー動作を実行するように具現化され得る。制御モジュールと中央制御ユニットとの間の通信は、この場合、無線で実施され得る。車両の中央制御ユニットが、車両の内部に位置するユーザインタフェースによって制御されて、車両の運転者が所望のタイヤ圧力設定を入力することを可能にし、その圧力設定を、運転中でも中央制御ユニットによって実装させることが同様に考えられる。
【0035】
こうして制御され得る加圧媒体供給デバイスは、基本的に、従来の車両ホイールリム内のリムの外に通常位置決めされるタイヤ弁を不必要にする。したがって、美的理由で、車両ホイールリムの外にタイヤ弁を設けることをなしで済ますことが考えられる。しかし、加圧媒体供給デバイスが故障した場合に、それでもタイヤの拡張を実施できるために、タイヤ弁(外部加圧媒体源に接続され得る)は、加圧媒体経路に結合され得る。このタイヤ弁は、好ましくは、リムの外から目に見えないように具現化され得る。例えば、タイヤ弁は、加圧媒体経路が、同様にその中をルーティングされるスポークの内部に位置決めされ得る。ハブカバーが取外されるとタイヤ弁が外からアクセス可能になるように、タイヤ弁を、車両ホイールリムの中央ボアの周りの領域内でハブカバーの背後に位置決めすることが同様に考えられる。
【0036】
(例えば、電気モータ駆動式圧縮機ユニットを駆動するため、制御モジュールを動作させるため、又は、センサデバイスにエネルギを供給するために)必要なエネルギを加圧媒体供給デバイスに供給するため、バッテリ又はアキュムレータ等のエネルギ貯蔵デバイスが、車両ホイールリム上に位置決めされ得る。エネルギ貯蔵デバイスは、例えば圧縮機ユニットとともに、車両ホイールリムの中央ボアに近接して収容され得る。しかし、エネルギ貯蔵デバイスは、加圧媒体供給デバイスの制限されたサービス寿命を保証するだけであるため、加圧媒体供給デバイスは、車両ホイールリムが車両のホイールハブ上で搭載状態にあるときに、同様に、車両搭載式エネルギ源からエネルギを供給され得る。この種のエネルギ供給部を実装するための特定の方策は、エネルギを供給するための車両ホイール搭載式デバイスの文脈で、以下で更に述べられる。車両搭載式エネルギ源が故障した場合でも加圧媒体供給デバイスを動作させ続けることができるために、接続部(接続部によって、加圧媒体供給デバイスがエネルギを供給され得、接続部が、外部エネルギ源に接続され得る)が、例えば、車両ホイールリムに近接して位置決めされることが同様に可能である。こうした接続部は、例えば、ハブカバーが取外されると接続部が外からアクセス可能になるように、車両ホイールリムの中央ボアに近接してハブカバーの背後に位置決めされ得る。
【0037】
パンクの場合又は圧力喪失をもたらすタイヤに対する他の損傷がある場合でもタイヤの走行性を維持することができるために、加圧媒体供給デバイスは、タイヤシーラントを貯蔵するためのシーラントリザーバを含み得る。シーラントリザーバは、この目的に適する、車両ホイールリム上の異なる場所に位置決めされ得る。例えば、シーラントリザーバは、車両ホイールリムの中央ボア内に位置決めされる環状室であり、圧縮機ユニットを包囲していることが考えられる。代替的に、シーラントリザーバは、例えば、車両ホイールリムのスポーク内のキャビティであり得る。例えば、制御モジュールによって制御され得るマルチポート弁等のオン/オフ弁は、加圧媒体経路内に一体化され得、オン/オフ弁によって、タイヤシーラントは、シーラントリザーバから加圧媒体経路内に送られ得る。代替的に、加圧媒体供給デバイスは、同様に、シーラントリザーバからシーラント入口まで延在してタイヤに入る別個のシーラント経路を含み得る。この場合、オン/オフ弁は、同様に、圧縮機ユニットによって加圧された加圧媒体をシーラントリザーバに送り、シーラントリザーバ内に含まれるタイヤシーラントをタイヤに押込むために設けられ得る。
【0038】
本発明の第3の態様によれば、車両ホイールリムであって、タイヤ用の加圧媒体供給デバイスが車両ホイールリム上に搭載されている、車両ホイールリムを含む少なくとも1つの車両ホイールを有する車両が提案される。車両ホイールリムは、第2の態様による上述した車両ホイールリムであり得る。車両は、制御ユニット(上述した中央制御ユニットに対応する)を含み得、制御ユニットにおいて、少なくとも1つの車両ホイールの車両ホイールリムの加圧媒体供給デバイスは、車両内に位置決めされる制御ユニットによって制御され得る。
【0039】
本発明の第4の態様によれば、車両ホイール上に位置決めされる電気構成要素に電気エネルギを供給するためのデバイスであって、車両ホイールは、車両のホイールキャリア上で、回転方式で支持される、デバイスが提案される。デバイスは、エネルギ収集要素であって、ホイールキャリア上で、回転方式で支持される部品上に位置決めされ、エネルギ収集要素内に、電気エネルギが、車両搭載式部品との協働によって給送され得る、エネルギ収集要素と、エネルギ収集要素から電気構成要素までルーティングされる供給ラインとを特徴とする。
【0040】
回転可能に支持される部品と車両に固定される部品との間の協働によって、エネルギ収集要素内に電気エネルギを供給することは、誘導性又は容量性方式で、発電機によって、又は、機械的接点によって行われ得る。エネルギ伝送は、直流伝送又は交流伝送を含み得る。エネルギ伝送は、直流/交流変換又はその逆を含み得る。
【0041】
誘導性又は容量性エネルギ供給の場合、エネルギ収集要素は、誘導性又は容量性結合に適する受信要素を含み得、車両搭載式部品は、誘導性又は容量性結合に適する送信要素を備え得る。これらの要素によって、電気エネルギは、車両搭載式エネルギ源からエネルギ収集要素内に給送され得る。車両キャリア上で、回転方式で支持されるホイールハブ上に車両ホイールが搭載される場合、受信要素及び送信要素は、例えば、ホイールキャリア及びホイールハブの対向する円周表面上で具現化され得る。ホイールキャリアが、ホイールキャリアの長手方向軸に対して軸方向セクション上でホイールハブを包囲する場合、このセクションにおいて、受信要素は、ホイールハブの外側円周表面上で円周方向に具現化され得、送信要素は、ホイールキャリアの内側円周表面上で円周方向に具現化され得る。ホイールハブがホイールキャリアを包囲する場合、逆の配置構成が考えられる。別の例において、送信要素は、例えば車両ホイールに属する車両ホイールリムのリムウェルの内部で半径方向の空間内でブレーキキャリパに締結されるブロックとして具現化され得、受信要素は、車両ホイールリムの内部に位置決めされ、車両ホイールリムの中心軸に対して半径方向に延在し、半径方向にブロックに達するディスクとして具現化され得る。
【0042】
エネルギ収集要素は、ロータを含むことができ、ロータは、車両に固定される部品上に位置決めされるステータと協働し、ステータとともに発電機デバイスを構成し、発電機デバイスは、車両ホイールがホイールキャリアの周りで回転すると電気エネルギを生成し、電気エネルギは、エネルギ収集要素内に給送される。ホイールキャリア上で、回転方式で支持されるホイールハブ上に車両ホイールが搭載される場合、ロータ及びステータは、例えば、ホイールキャリア及びホイールハブ上で互いに対向して位置決めされ得る。ホイールキャリアが、ホイールキャリアの長手方向軸に対して軸方向セクション上でホイールハブを包囲する場合、ロータは、ホイールハブ上のセクション内に位置決めされ得、ホイールキャリア上で具現化されるステータによって環状方式で包囲され得る。例えば、ホイールハブがホイールキャリアを包囲する場合、逆の実施形態が同様に考えられる。
【0043】
エネルギ供給が機械的接点を通して行われる場合、エネルギ収集要素は、摺動接点を含むことができ、摺動接点は、摺動方式で固定接点に接触し、固定接点は、車両搭載式エネルギ源からエネルギ収集要素内に電気エネルギが給送され得るように車両に固定される部品上に位置決めされる。ホイールキャリア上で、回転方式で支持されるホイールハブ上に車両ホイールが搭載される場合、摺動接点が、例えば、ホイールキャリア及びホイールハブの対向する円周表面において形成され得る。ホイールキャリアが、ホイールキャリアの長手方向軸に対して軸方向セクション上でホイールハブを包囲する場合、このセクションにおいて、ホイールキャリアの内側円周表面上に設けられる、対応する円周接点表面に、摺動方式で接触するホイールハブの外側円周表面上で位置決めされ得る。ホイールハブがホイールキャリアを包囲する場合、逆の配置構成が考えられる。例えば、スリップリング又は炭素ブラシは、摺動接点を形成するために使用され得る。
【0044】
電気エネルギを供給される電気構成要素は、エネルギ消費又はエネルギ貯蔵構成要素であり得る。アキュムレータ等のエネルギ貯蔵構成要素は、エネルギ消費構成要素の上流で接続され得る。エネルギ貯蔵構成要素の介在は、エネルギ供給が発電機によって排他的に実施される場合、特に有利であり得る。その理由は、そうでない場合、車両が静止状態にあったときにエネルギが全く利用可能でないことになるからである。誘導性エネルギ伝送又は機械的接点によるエネルギ伝送の場合、介在するエネルギ貯蔵構成要素は、特に、車両搭載式エネルギ源が(例えば、故障によって)一時的に利用不可能であるときに、同様に有利であり得る。供給ラインがエネルギ消費電気構成要素に直接ルーティングされる場合、エネルギ消費構成要素は、介在するエネルギ貯蔵構成要素なしでエネルギを供給され得る。
【0045】
エネルギ消費構成要素は、例えば、車両ホイール上に搭載されるセンサデバイスを含むことができ、センサデバイスは、測定データを、車両内に位置決めされる制御ユニットに送信するように具現化される。センサデバイスは、更に上述したセンサデバイスであり得る。エネルギ消費構成要素は、車両ホイール上に搭載されるタイヤに加圧媒体を供給するための電気モータ駆動式圧縮機ユニットを含み得、同様に、関連する制御モジュールを含み得る。圧縮機ユニット及び制御モジュールは、更に上述した圧縮機ユニット、及び、同様に更に上述される、搭載されるリム搭載式加圧媒体供給デバイスの関連する制御モジュールであり得る。
【0046】
本発明によるエネルギ供給デバイスの本質的な利点は、一方で、エネルギの大量の供給を必要とするホイール搭載式構成要素(例えば、電気モータ駆動式圧縮機ユニット)が、十分な量のエネルギを容易に供給され得ることを含む。他方、利点は、同様に、ホイール搭載式エネルギ消費構成要素の断続的な動作だけでなく連続的な動作も可能にされることにある。後者の場合は、ホイール搭載式センサデバイスについて特に重要である。TPMSシステム(タイヤ圧力モンタリングシステム:tire pressure monitoring system)の能動センサ等の知られているホイール搭載式センサデバイスは、通常、数年のサービス寿命のために設計される永久一体化式エネルギ源とともに生産される。しかし、この長さの動作時間は、センサが、長い期間にわたって短時間だけアクティブであり、その後、検出されるデータを測定時刻に制御ユニットに送信する場合に達成されるだけである。しかし、ここで述べるエネルギ供給デバイスは、ホイール搭載式センサデバイスが、連続測定を実施し、したがって、センサデバイスと車両搭載式制御ユニットとの間の連続データ流を確立することを可能にする。こうして、車両のテレマティクスについて包括的で価値のあるデータを収集することが可能である。
【0047】
本発明の別の態様によれば、エネルギ供給デバイスの使用が、車両ホイール上に位置決めされるセンサデバイスを動作させ、センサデバイスの測定データを、車両内に位置決めされる制御ユニットに送信するために提案される。センサデバイスは、この場合、連続して動作され得、測定データを制御ユニットに(例えば、トリップの継続期間の間、又は、車両が静止状態にある時間を同様に含み得る予め規定される期間の間)連続して送信し得る。
【0048】
TPMSシステムの能動センサと比較した別の利点は、車両ホイールの不平衡挙動の改善によって達成される。能動TPMSセンサは、タイヤ弁、永久的に一体化されるエレクトロニクス、及びエネルギ源とともにユニットとして通常設置され、従来の車両ホイールリムにおいて、リムビードシートの近くに搭載される。ここで述べるエネルギ供給デバイスによって、タイヤ弁に接続されるセンサ上にエネルギ源を設けることはもはや必要でなく、結果として、センサの重量低減が達成され、そのことが車両ホイールの不平衡挙動を改善する。
【0049】
本発明の別の態様によれば、エネルギ供給デバイスの使用は、同様に、車両ホイール上に搭載されるタイヤに加圧媒体を供給するための電気モータ駆動式圧縮機ユニットを駆動するために提案される。
【0050】
車両内に位置決めされる制御ユニットに対するセンサデバイスの測定データの上記で述べた送信の場合、別の態様によれば、非接触データ伝送のためのシステムを設けることができ、そのシステムは、静的(すなわち、車両搭載式)車両構成要素と動的(すなわち、回転可能)車両構成要素(例えば、車両ホイール)との間でデータを伝送するように具現化される。データ伝送システムは、(経時的に)連続的なデータ伝送のために特に具現化され得る。
【0051】
データ伝送システムは、例えば、2方向データ伝送システムであり得、2方向データ伝送システムは、静的車両構成要素に連結される少なくとも1つの送受信機ユニット及び動的車両構成要素に連結される少なくとも1つの送受信機ユニットを有する。動的車両構成要素の送受信機ユニットは、動的車両構成要素に関連付けられるセンサシステム、特に、リアルタイムセンサシステムからデータを受信するように、また好ましくは、データを、静的車両構成要素の送受信機ユニットに連続して送信するように具現化され得る。
【0052】
動的車両構成要素の送受信機ユニットは、別個のユニットとして、特に、センサシステムから物理的に離れているユニットとして具現化され得る。そのため、動的車両構成要素の送受信機ユニットを、対応するセンサシステムから離れて好ましい位置に、例えば、車両ホイールのリム輪郭上に位置決めすることが可能である。一実施形態において、動的車両構成要素の送受信機ユニットは、同様に、動的車両構成要素に関連付けられる少なくとも1つの制御可能構成要素を制御するためのデータを受信し、相応してこのデータを制御可能構成要素に送信するように具現化され得る。
【0053】
非接触で機能するデータ伝送システムの送受信機ユニットは、タイヤ内に送受信機ユニットを有するホイール搭載式タイヤ圧力センサ等の従来のシステムと対照的に、動的車両構成要素の設置空間内に位置決めされ得、それは、好ましくは、リム及び/又はタイヤ等の障害物によって引起され得る、可能な限り最小量の外乱変数を有する場所において、データ伝送速度及びデータ伝送品質について有利である。例えば、送受信機ユニットは、リム輪郭上の好ましい位置に搭載され得、送受信機ユニットに対する連続エネルギ供給は、エネルギ供給部(例えば、上述したエネルギ供給デバイス)に対する直接又は間接接続によって提供される。
【0054】
従来の1方向通信解決策(車両がセンサシステムに応答する可能性がない、TPMSを通したタイヤ圧力/温度情報の送信機)と比較すると、データ伝送システムは、2方向通信に基づいて種々の付加価値機能を可能にする。そのため、例えば、車両搭載式受信機に対するセンサデータの連続送信の可能性に基づいて、より高いデータレートを達成することが可能である。結果として、より高いデータ品質を有するより多くのデータ量は、静的車両構成要素と、(例えば、タイヤ上の又はタイヤ内の)動的車両構成要素上のセンサシステムとの間で交換され得る。動的車両構成要素(例えば、車両ホイール)が車両内の制御エレクトロニクスからデータを受信するという可能性によって、例えば、動的車両構成要素上の構成要素を制御する、例えば、ホイール搭載式圧力発生源(例えば、上述した圧縮機ユニットの1つの圧縮機ユニット)をトリガーするという他の考えられる使用が明らかになる。
【0055】
データ伝送システムは、連続データ流の実装を可能にし、動的車両構成要素の種々の状態の連続モニタリングに基づいて(中央)車両エレクトロニクスによってリアルタイムに安全でかつ好都合な方策を実施することを可能にする。この時点までに知られているシステムは、エネルギの制限された可用性(例えば、低いバッテリ容量による)及び時として極端な作業温度条件によって、長い期間にわたって連続伝送動作を維持することができなかった。
【0056】
全体として、上述したデータ伝送システムは、非常にいろいろな可能性のある使用を提供し、それらの使用は、車両の運転上の安全及び運転上の快適さを増加させ得る。例えば、タイヤセンサからのデータを、ネットワーク運転者支援システム及び自動運転又は部分的自動運転のためのシステムに対して使用することが考えられる。別の例において、タイヤのアイデンティティは、寸法、耐荷重能力、及び速度指標の全てとともに、センサシステムに記憶され得、例えば、4℃に近い温度において、タイヤが冬用タイヤに変更されるべきであることを、運転者は警告され得る。別の例によれば、タイヤの最大信頼性速度を超えた場合、音響的又は視覚的警報が、知覚可能に運転者に出力され得る。同様に、車両の最大荷重がどれくらいかについての質問が、タイヤセンサのデータによって迅速かつ精密に答えられ得、これは、存在する空気圧力が燃料効率的かつ安全な運転を可能にするかどうかについての質問についても同様である。リアルタイムセンサシステムは、安全性の増加を特に保証し得る。その理由は、リアルタイムセンサシステムが、動的センサを駆動することによる情報を使用し、その情報を、更なる環境及びタイヤセンサから受信され得る他の情報とともに評価し得るからである。運転者は、例えば、タイヤと道路との間の付着限界に達するとすぐに、警報を送出され得る。そのため、初期のアクアプレーニングを検出し、対応する警報信号を運転者に送出することが考えられる。これに関連して、環境センサからの情報の処理及び温度計測定値に基づく信頼性試験は、道路状態を検出し、タイヤグリップに関する差し迫った問題を運転者に警告することを可能にする。リアルタイムセンサによって、回転中の目下のタイヤ変形に関する情報を供給することが同様に可能である。
【0057】
上記で述べられ、以下でより詳細に説明される特徴が、それぞれ示す組合せにおいてだけでなく、他の組合せにおいても、又は、それ自体、本発明の範囲を超えることなく使用され得ることが理解される。
【0058】
本発明の他の特徴及び利点は、図面に関連して行われる、複数の好ましい例示的な実施形態の以下の説明から引き続きわかる。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は、例えば、乗用車として示される車両10の非常に簡略化された概略上面図を示す。車両10が、代替的に同様に、商用車両として、一般に地上車両として、又は航空機として(例えば、着陸用ギアを有する飛行機として)具現化され得ることが理解される。車両10のシャーシ又は本体12は破線で示される。
【0061】
車両10は、車両の長手方向に互いに離間する2つのアクスル14−1、14−2を有する。
図1に示す車両10は、実際には、例えば2アクスル車両であるが、車両10が、同様に、異なるように設計されたマルチアクスル車両(例えば、3つ又は4つのアクスルを有するトラック)又は同様に単一アクスル車両(例えば、トレーラ等)であり得ることが理解される。車両10が、絶対に駆動式車両でなければならないのではなく、同様に、押される又は引かれる車両、特に、トレーラ、セミトレーラ等であり得ることが同様に理解される。
図1に示す車両10は、2トラック車両の形態においても実現される。しかし、本発明は、同様に、他のマルチトラック又は単一トラック車両(例えば、オートバイ、軽量オートバイ等)に関し得る。車両10は、4つの車両ホイール16を有し、そのうちの2つの車両ホイールは、アクスル14−1、14−2のそれぞれに連結されている。時計まわりに、車両ホイールは、参照符号16−1、16−2、16−3、及び16−4でラベル付けされている。
【0062】
車両10は、一体化(オンボード)加圧媒体供給システム20を有し、その加圧媒体供給システム20は、
図1において、ブロックの形態で概略的にだけ示される。加圧媒体供給システム20は、複数の分散式加圧媒体供給デバイス22を含み、分散式加圧媒体供給デバイス22は、同様に概略的にだけ示される。特に、各車両ホイール16(又はホイールセット)は加圧媒体供給デバイス22に連結されている。第1のホイール16−1は第1の加圧媒体供給デバイス22−1に連結され、第2のホイール16−2は第2の加圧媒体供給デバイス22−2に連結され、第3のホイール16−3は第3の加圧媒体供給デバイス22−3に連結され、第4のホイール16−4は第4の加圧媒体供給デバイス22−4に連結されている。
【0063】
加圧媒体供給システム20において、圧力発生は非集中化される。車両ホイール16は、圧縮空気又は窒素等の加圧媒体で拡張され得るタイヤを含む。車両ホイール16のタイヤ内の圧力レベルを制御、調節、及び調整するため、加圧媒体供給デバイス22のそれぞれは、加圧媒体を関連するタイヤに供給するためのそれ自体の圧縮機ユニットを備える。その結果、加圧媒体の中央供給は全く行われないため、加圧媒体供給システム20は、中央圧縮機又は圧縮空気リザーバを必要としない。始めに説明したように、この非集中化アーキテクチャは、特に、シャーシ12から車両ホイール16への移行部における圧縮空気ラインについての比較的高い実装コストを回避することを可能にする。
【0064】
加圧媒体供給システム20の中央制御ユニット24は、加圧媒体供給デバイス22に直接又は間接的に結合され得る。これは、主に、電気エネルギ伝送又は情報交換のため、また、制御のために設けられる。例えば、制御ユニット24は、信号処理ユニット26及びエネルギ貯蔵デバイス28を含む、又は、こうしたユニットに結合される。制御ユニット24は、例えば、車両10の主エネルギ貯蔵デバイス(メインバッテリ)に結合され得る。代替的に、制御ユニット24用の別個のエネルギ貯蔵デバイス28を設けることが考えられる。
【0065】
信号処理ユニット26は、最重要の車両制御システムの一部として具現化され得る、又は、代替的に、別個のモジュールとして具現化され得る。制御ユニット24は、車両ホイール16、特に、そのタイヤの状態をモニターして、車両ホイール16が加圧媒体を必要とするかどうかを判定するように具現化され得る。これは、ホイール16における直接の又は間接的なタイヤ圧力モニタリングによって達成され得る。制御ユニット24は、同様に、1つ以上の加圧媒体供給デバイス22の圧縮機ユニット(複数の場合もある)を制御して、ホイール16のタイヤ内で所望の圧力を達成するように具現化され得る。
【0066】
代替的に又は付加的に、加圧媒体供給デバイス22は、同様に、車両ホイール16のタイヤ内の圧力に関連する特定のターゲット状態を独立して維持するように具現化され得る。この動作状態において、制御ユニット24からの外部制御コマンドは全く必要とされないことになる。一方で、中央制御信号が圧力調節のために生成され、他方で、少なくとも部分的に非集中化された独立した調節が、例えば緊急動作の一部として可能にされる、考えられる混合形態が同様に存在する。
【0067】
図1に示す例において、電気ライン30は、制御ユニット24から車両ホイール16までルーティングされる。ライン30は、電気ラインとして具現化され得、特に、車両ホイール16上の加圧媒体供給デバイス22にエネルギを伝送するように具現化され得、車両ホイール16への移行部におけるエネルギ伝送は、誘導性又は容量性方法で又は機械的接点によって実施され得る。代替的に又は付加的に、ライン30は、同様に、情報、信号、測定値、パラメータ等を伝送するように具現化され得る。エネルギ及び情報を伝送するため、車両ホイール16に通じる幾つかのそれぞれのライン30を具現化することが、当然、同様に可能である。
図1に示す例において、制御ユニット24は、第1のライン30−1を介して第1の加圧媒体供給デバイス22−1に接続され、第2のライン30−2を介して第2の加圧媒体供給デバイス22−2に接続され、第3のライン30−3を介して第3の加圧媒体供給デバイス22−3に接続され、第4のライン30−4を介して第4の加圧媒体供給デバイス22−4に接続される。
【0068】
加圧媒体供給システム20は、車両10の動作中でも、ホイール16のタイヤ内の圧力に対する調整を実施するように具現化される。したがって、タイヤ内の圧力を調整するため、車両10を徐行又は停止させることが不必要である。代わりに、加圧媒体供給デバイス22は、車両の車両ホイール16とアクスル14との間の相対的回転中でもタイヤ圧力に対する調整を実施する能力を有して具現化され得る。
【0069】
加圧媒体供給システム20の制御ユニット24は、同様に、タイヤ内の圧力喪失を検出するように具現化され得る。検出は、同様に、タイヤ損傷の検出を含み得る。そのため、或る特定の長さの時間にわたる規定の圧力降下は、パンク又はタイヤ損傷についての閾値として使用され得る。
【0070】
さらに、加圧媒体供給システム20は、長期にわたってホイール16のタイヤ内の圧力をモニターするように具現化され得る。そのため、例えば、季節的な(温度誘発性の)圧力変動、又は、経時的なホイール16内の自然な圧力降下を検出し、それを補償することが可能である。加圧媒体供給システム20についての別の使用は、ホイール16内の圧力の選択的調整のためのものであり得る。そのため、例えば、種々の荷重状態、アクスル荷重、道路状態、天候状態等に対応することが可能である。
【0071】
図2を参照するとともに、
図3、
図4、及び
図5を同様に参照して、加圧媒体供給デバイス22を備える車両ホイール16の実施形態は、以下でより詳細に明確にされる。
【0072】
図2は、車両ホイール16のリム34上に搭載され得る加圧媒体供給デバイス22の斜視分解図を示す。特に、
図2に示す加圧媒体供給デバイス22の一部は、ホイール16又はリム34の中心軸36に本質的に同軸に具現化され配向され得る。主に、加圧媒体供給デバイス22は、加圧媒体又は圧縮空気を供給するための圧縮機を有する圧縮機ユニット38を含む。圧縮機ユニット38は、好ましくは、後退方式でリム34の中央領域42内の中央ボア44内に少なくとも部分的に収容され得る。換言すれば、圧縮機ユニット38は、ホイールハブ上でホイール16の芯出しのためにいずれにしても設けられるリム34の領域であって、ラグボルトソケット46によって画定される円周の内部に通常位置する、リム34の領域内に収容される。そのため、圧縮機ユニット38をほぼ目に見えないようにリム34又はホイール16内に一体化することが可能である。
【0073】
例として示すリム34は、同様に、リムウェル50及び隣接するリムビードシート52によって形成されるタイヤシートに中央領域42を接続する複数のアーム又はスポーク48を有する。リムビードシート52の間にタイヤ54が収容され、タイヤ54は、リムウェル50に向かって配向する(
図3)。リムウェル50は、リム34の外側円周表面の一部を構成する。
【0074】
圧縮機ユニット38の同心の実施形態、及び特に、リム34の中央領域42内へのその配置は、偏心質量蓄積を回避する。これは、圧縮機ユニット38の一体化が、ホイール16の(静的な又は動的な)不平衡の増加(少なくとも大きくない増加)を伴わないことに寄与し得る。好ましくは、圧縮機ユニット38の本質的な構成要素は、中心軸36に対して回転対称であるものとして具現化される。
【0075】
従来の乗用車において、中央ボア44は、約5cm〜7.5cmの直径を有する。この直径は、ホイールハブ上でリム34又はホイール16を芯出しするために通常使用されるため、この設置空間は、多くの場合にいずれにしても設けられる。さらに、中央ボア44は、しばしば、エンブレム、ハブカバー等を収容するために使用され、エンブレム、ハブカバー等は、例えば、同様に、ラグボルトをカバーし、通常、美的目的を果たし得る、又は、同様に環境影響からの保護を提供し得る。したがって、好ましくは、圧縮機ユニット38は、円筒状(おそらくは更にマッシュルーム状)のものとして具現化され、中央ボア44によって提供される設置空間であって、(従来のリム又はホイールにおいて)例えば、カバー用キャップによって覆われる、設置空間を使用する。その結果、外から観察すると、圧縮機ユニット38のほぼ目に見えない一体化が達成され得る。
【0076】
図2に示す例において、加圧媒体供給デバイス22の圧縮機ユニット38は、駆動ユニット56及び圧縮機(又は圧縮機セクション)58を有する。駆動ユニット56は、電気モータとして具現化されるモータ72を含む。駆動ユニットが、同様に異なるように具現化され得、特に、圧縮機ユニット38の一部である必要がないことが理解される。そのため、圧縮機ユニット38が結合され得る車両ホイールリム34の中央ボア44に近接して別個の駆動ユニットを設けることが考えられる。圧縮機58は、加圧媒体(通常、空気)が、その中で、規定の方法で吸気され、加圧され、出力される圧縮機ユニット38の一部を構成する。
【0077】
車両ホイールリム34は、中央ボア44に収容される圧縮機ユニット38とともに、ホイールハブを介して車両搭載式ホイールキャリア60(
図3参照)に搭載され得る。ホイールキャリア60は、アクスルジャーナルとも呼ばれ得る。ホイールキャリア60は、車両10のシャーシ12に搭載され、特に、車両10に対して中心軸36の回りに回転できない。車両10が駆動している間、ホイール16はホイールキャリア60上で回転する。ホイールキャリア60と車両ホイール16との間に、ホイール軸受が、通常、設けられる(
図3では離れて示されない)。ホイールキャリア60上への車両ホイール16の搭載は、中央ボア44の直径に適合する芯出し直径を通常有するホイールハブ62によって間接的に実施される。ホイールハブは、
図3において参照符号62で示されるだけである。
【0078】
図3において、リム34がいずれにしても提供し、ホイールハブ62とリム34との間に位置する設置空間を圧縮機ユニット38が使用することが明らかである。好ましくは、圧縮機ユニット38の半径方向寸法(すなわち、直径)及び軸方向寸法は、リム34の中央領域42又は中央ボア44に適合する。
【0079】
図3の図に関して、図示する構成要素のサイズが実際の寸法に必ずしも対応しないことが留意されるべきである。例えば、圧縮機ユニット38は、図示する構成要素の明瞭な観察を提供するため、比較的大きい、特に、過大な軸方向寸法を有する。
【0080】
圧縮機ユニット38は、モジュール方式で具現化され、モジュールホルダと一般に呼ばれるモジュールハウジング64を有する(
図3及び
図4参照)。
図2に示す例示的な実施形態において、モジュールハウジング64は、内向きカップ66及び外側閉鎖キャップ68から構成される。カップ66及び閉鎖キャップ68は、圧縮機ユニット38の構成要素を包囲する(特に、
図4及び
図5の詳細図参照)。好ましくは、カップ66は、(カップ66及び閉鎖キャップ68で構成される)モジュールハウジング64が、精密嵌合方法で中央ボア44内に一体化され得るようにリム34の中央ボア44に適合する、外径を有する。閉鎖キャップ68は、例えば、リム34用の知られているハブキャップ又はハブカバーと同様に具現化され得、例えば、ブランドエンブレム等を保持し得る。
【0081】
図示する例示的な実施形態において、カップ66は、ドライブシャフト74を駆動するモータ72を含む。モータ72は、ドライブシャフト74に間接的に又は直接結合され得る。そのため例えば、少なくとも1つのトランスミッションステージが、両者の間に結合され得る。しかし、図示する例示的な実施形態において、モータ72がドライブシャフト74に直接結合されるため、これは当てはまらない。図示する例において、ドライブシャフト74は、ディスク状であるものとして具現化され、偏心結合部又はカムセクション76を有する。偏心結合部76は、中心軸36の周りの軌道内に延在する。モータ72、特に、ドライブシャフト74のドライブ端は、カップ66と閉鎖キャップ68との間に位置決めされる端プレート78を貫通して延在する。ドライブシャフト74は、端プレート78内に回転方式で収容され得る。
【0082】
例えば、スライダが、偏心結合部76上に収容され、偏心結合部76及びスライダ80は、偏心結合ドライブ82の一部である。偏心結合ドライブ82は、駆動ユニット56及び圧縮機58を接続又は結合する。図示する例において、圧縮機58は、例えば、2重ピストンとして(すなわち、2重作用ピストンとして)具現化されるピストンアセンブリ86を有するピストン圧縮機である。偏心結合ドライブ82はピストンアセンブリ86に接続される。ピストンアセンブリ86は、駆動要素90によって互いに強固に接続される2つの対向するピストン又はピストンセクション88(参照符号88−1及び88−2でより的確にラベル付けされる)を含む。スライダ80は、駆動要素90を並進方式で駆動するために駆動要素90に結合される。偏心結合ドライブ82は、モータ72の回転運動をピストンセクション88の往復運動に変換するように具現化される。ピストンセクション88は、シリンダキャップ92の形態で具現化されるシリンダ内に収容され、シリンダキャップ92とともに、作動室94を構成する(
図4においてシリンダキャップ92−1及び92−2並びに関連する作動室94−1及び94−2参照)。
【0083】
図2〜
図5の例示的な実施形態において、ピストンアセンブリ86は、非円形断面を有するフラットピストンとして具現化される。これは、設置空間に関して利点を伴い得、特にリム34の中心軸36に関して、圧縮機ユニット38について軸方向に必要とされる設置空間量を制限し得る。しかし当然、円形断面を有する、考えられるピストンアセンブリ及びシリンダが同様に存在する。しかし、圧縮機ユニット38は、通常、タイヤ圧力を調節又は再調整するために必要とされるだけであり、特に、連続方式で必ずしも動作しないため、非円形断面を有するピストン/シリンダ組合せ体で優に十分であると同時に、空間も節約する。
【0084】
図2〜
図5に示すピストン/シリンダ組合せ体は、古典的なクランク機構(接続用ロッド配置構成)を持たない。代わりに、回転ドライブ運動の並進往復ドライブ運動への変換は、偏心結合ドライブ82によって実施される。2重ピストンとして具現化されるピストンセクション88−1及び88−2が駆動要素90によって互いに強固に接続され、したがって、2重ピストンが、その幅の倍数である長さを有するため、これは、ピストン/シリンダ組合せ体の十分なガイダンス長及び十分なガイダンス精度を保証する。偏心結合ドライブ82は、偏心結合部76の偏心回転の往復動成分だけがスライダ80を介してピストンアセンブリ86に伝達されるように具現化される。偏心結合部76の回転運動の横成分(往復動方向に垂直)は、いわば「消失する」。こうして、往復運動は、複雑な軸受なしで単純な方法で生成され得る。
【0085】
ピストン88及びシリンダ92は、協働して、選択的に、加圧媒体(特に、空気)を作動室94に引込み、加圧媒体を圧縮状態で出力する。図示する例において、圧縮手順は、作動室94に結合される逆止弁95及び96によって制御される。拡張移動又は吸気ストローク中に、これらの逆止弁は、加圧媒体の吸気を可能にし、圧縮移動又は圧縮ストローク中に、逆止弁は、圧縮及び規定の出力を可能にする。
図2〜
図5に示す2重ピストンの実施形態の1つの利点は、作動室94−1及び94−2が常に圧縮されるか又は拡張されるように、ピストンセクション88−1及び88−2が互いに結合されるため、全体として、より大きな総体積変位を有するよりスムーズな加圧媒体出力が保証されることにある。例えば、出口側逆止弁96−1及び96−2は、コネクタ98によって互いに接続され、タイヤ54に通じる加圧媒体経路(
図3の参照符号162)に結合される。
図2及び
図5は、同様に、加圧媒体経路を偏向させるためのオプションの圧力要素100を示す。
【0086】
図4及び
図5を参照して、また同様に、
図2を参照して、圧縮機ユニット38の実施形態が、ここで、より詳細に述べられる。
【0087】
図4において参照符号102でラベル付けされる2重矢印は、ピストンアセンブリ86の往復動方向を示し、ピストンアセンブリ86によって、作動室94−1及び94−2は、交互に圧縮され拡張される。
図4及び
図5は、同様に、駆動要素90のサンプルの実施形態を示す。スライダ80は、摺動ガイド104内に含まれ、往復動方向102に垂直に延在する横断方向にスライダ80が移動できるように支持される。こうして偏心結合部76の回転運動の横断成分は、吸収され相殺されるため、往復動成分だけが往復動方向102に往復運動を生成する。全体として、
図4及び
図5に示す偏心結合ドライブ82の実施形態は、単純な設計及び比較的少数の軸受点だけという利点を有する。先に説明したように、圧縮機ユニット38は、連続動作のために必ずしも設計されない。この理由で、圧縮機ユニット38の予想されるサービス寿命(アクティブサービス寿命)にわたって機能信頼性を損なうことなく構造単純化を実装することが可能である。
【0088】
ピストンアセンブリ86は、フラットピストンとして具現化され、非円形断面を有する。例えば、ピストンセクション88−1及び88−2は、プラスチック材料、特に、シリンダキャップ92の材料との有利な摩擦ペアリングを構成するプラスチック材料で作られ得る。そのため、ピストンセクション88−1及び88−2とシリンダキャップ92−1及び92−2との間での相対移動時の摩擦及び摩耗を最小にすることが可能である。例えば、ピストンセクション88−1及び88−2は、別個の成形部品として具現化され、継手106によって駆動要素90に接続される。駆動要素90は、好ましくは、金属材料で構成される。
【0089】
図4は、同様に、逆止弁95及び96のサンプルの位置決めを示す。そのため、例えば、作動室94−2は、対応する逆止弁95−2を備える吸気接続部108−2に連結される。さらに、作動室94−2内に通じる排気接続部110−2が設けられる。排気接続部110−2は、逆止弁95−2の配向と逆の配向を有する逆止弁96−2に連結される。同じことが作動室94−1に当てはまる。
【0090】
図4及び
図5で更に詳細に示す圧縮機ユニット38の実施形態は、圧縮機ユニット38が非常に低い設置空間要件によって実装され得るという全体的な利点を有する。さらに、軸受点の数及び部品の全体的な数が最小化されるが、それでも、圧縮機ユニット38の予想されるサービス寿命にわたって信頼性のある動作を保証できる。圧縮機ユニット38は、全体として、明白なコンパクトさを特徴とし、既存のリムタイプ内への一体化に適し、したがって、複雑な構造修正についての必要性を基本的になくす。
【0091】
例として
図2〜
図5に示す圧縮機ユニット38の代替の設計は、
図6〜
図15に基づいて以下で述べられる。
【0092】
図6は、
図4及び
図5に示す2重ピストンと同様である2重ピストンの形態で具現化されるピストンアセンブリ86を通る縦断面図を示す。ピストンセクション88−1及び88−2はそれぞれ、それぞれの溝114内に収容される潤滑剤デポ112を有する。溝114は、関連するピストンセクション88−1及び88−2の端壁116に隣接する。それぞれの各潤滑剤デポ112は、好ましくは、ピストンセクション88−1及び88−2の円周にわたって延在する。それぞれの各潤滑剤デポ112は、オイル又はグリース等の潤滑剤を収容し得る。
【0093】
それぞれの各潤滑剤デポ112は、潤滑剤に適した支持材料又は適した支持基材を備え得る。支持基材は、金属タイプであり得る、又は、同様に、発泡様材料又は発泡材料によって具現化され得る。一般に、支持基材は、多孔性であるものとして具現化されて、長い期間にわたってできる限り規定の方法で潤滑剤を放出でき得る。それぞれの各潤滑剤デポ112は、ピストンアセンブリ86のガイダンス挙動に不利な影響を全く及ぼさない(又は、重大でない影響しか及ぼさない)。これは、特に、ピストンアセンブリ86が強固な装置であることによる。
【0094】
作動室(又はシリンダ室)94−1及び94−2との結合を生成する逆止弁95及び96は、同様に
図6において符号で示される。吸気弁は参照符号95でラベル付けされ、排気弁は参照符号96でラベル付けされる。交互方式で、作動室94−1及び94−2の一方は、ピストンアセンブリ86が往復動方向102に前後に移動するときに、常に、吸気モード又は圧縮モードにある。
図6に示す例において、
図2〜
図5の実施形態と違って、吸気弁95及び排気弁96は、シリンダ内に埋め込まれ、したがって、圧縮機ユニット38のよりコンパクトな設計を可能にする。
【0095】
図7は、吸気弁の配置及びタイプに関して
図2〜
図5の実施形態及び
図6の例と異なる圧縮機ユニット38の別の実施形態を示す。この場合、吸気弁95は、ピストンアセンブリ86自体の上で、特に、ピストンセクション88−1及び88−2の端壁116上で具現化されるリーフ弁の形態で位置決めされる。これらのリーフ弁は、関連するピストンセクション88の拡張移動又は吸気ストローク中に、
図7に示す矢印で示すように折り曲がって開口し、したがって、加圧媒体が関連する作動室94に流入することを可能にする。関連するピストンセクション88の反対方向への後続の圧縮移動又は圧縮ストロークにおいて、リーフ弁は、再び折り曲がって閉鎖し、関連する作動室94内への加圧媒体の更なる吸気を防止する。逆止弁と比較すると、リーフ弁は、リーフ弁が吸気ストローク中により迅速に開口し、結果として、より多くの空気が作動室94内に移動することができるという利点を有する。そのため、圧縮機ユニット38の体積変位を増加させることが可能である。
【0096】
図7に示す実施形態が
図2から5及び
図6に示す例と比較して有する別の差は、2重ピストンとして具現化されるピストンアセンブリ86がワンピースで構成されることにある。ピストンセクション88−1及び88−2を、介在する駆動要素90によって互いに接続する代わりに、
図7に示す2重ピストン86は、例えば、金属材料で作られたワンピースで構成される。端壁116の領域において、シールリップ118及び120が、それぞれのシリンダ92に対するシールを保証するため、互いから離間して位置決めされる。この場合、潤滑剤デポ112は、離間しているシールリップ118と120との間に形成される。スライダ80の使用がなくされ得、偏心結合部76が、基本的に同様に、スライダなしで、摺動ガイド104内で移動し得ることが同様に明らかである。偏心結合部76と摺動ガイド104との間の摩擦を最小にするため、偏心結合部76は、ドライブシャフト74上で、回転方式で支持され得る。
【0097】
図8a及び
図8bは、圧縮機ユニット38の別の例示的な実施形態を示し、その実施形態において、モジュールハウジング64自体によってシリンダ92を具現化することによって設置空間要件が低減される。
図8aは例示的な実施形態を分解図で示し、一方、
図8bは圧縮機ユニット38を組立て済みの状態で示す。空間要件を更に低減するため、吸気弁95及び排気弁96は、
図6の例示的な実施形態と同様に、それぞれのシリンダ92内に埋め込まれる。しかし、この例では、両方の弁はリーフ弁として具現化される。
【0098】
図9は、別の実施形態の略図であり、関連するピストンセクション88の吸気ストローク中に、それぞれの吸気弁95がその移動によって強制的に開口されるように、吸気弁95がそれぞれのピストンセクション88内で具現化される。図示する例において、吸気弁95は、ピストンセクション88と関連するシリンダ92との間でそれぞれ具現化される。吸気弁95は、それぞれのピストンセクション88の端壁116に対して弾性方式で(例えば、圧縮ばねによって)搭載されるシール要素122を含み、そのシール要素は、関連するシリンダ92内に位置決めされる加圧媒体入口開口に押付けられ、この開口を、シール要素が吸気ストローク中に加圧媒体入口開口から離されるまで閉鎖する。この例において、吸気弁95の開口は、したがって、それぞれのシール要素122が、関連するピストンセクション88によって加圧媒体入口開口から短時間引張り離され、その開口を露出させる点でピストン自体の移動によって生成される。吸気弁95の開口及び閉鎖がピストンの移動によって制御されるため、この配置構成は、「ピストン制御式吸気弁」とも呼ばれ得る。吸気弁95の開口は、この場合、吸気ストロークによって関連する作動室94内で生成される負圧と無関係である。したがって、従来の逆止弁と比較して、吸気弁は、より迅速に開口し得、したがって、より高い総送出容量とともに、改善された吸気体積を達成する可能性がある。
図9は、同様に、加圧媒体入口が、吸引される加圧媒体をろ過するためのフィルタ124を備え得ることを示す。
【0099】
図10a及び
図10bは、ピストン制御式吸気弁95の別の実施形態を示し、先の例と比較して、ばね要素をなくすことが可能であるため、吸気弁95の強制される開口が更に一層信頼性のある方式で生成され得る。この例において、吸気弁95は、2重ピストン86自体上で具現化される。このため、2重ピストン86は、ドライブブッシング126を含み、ドライブブッシング126は、対向するピストンセクション88−1と88−2との間に位置決めされ、2重ピストン86の長手方向軸に平行な、ピストンセクション88−1及び88−2から内方に延在するガイドピン128に沿って自由に走行し得るように誘導される。ドライブブッシング126は、ピストンセクション88−1及び88−2並びにピストンセクション88−1及び88−2を互いに接続する2重ピストン86の側壁によって骨組みを作られる。偏心結合部76を収容するための摺動ガイド104は、この場合、ドライブブッシング126内に位置決めされる。ピストンセクション88−1及び88−2は、次に、シリンダ92に対してピストンセクション88−1及び88−2をシールするシールリップ118を備える。
【0100】
ピストンセクション88−1及び88−2に向かって配向するドライブブッシング126の端表面上に、シール要素122が搭載され、シール要素122は、ピストンセクション88−1及び88−2内に設けられる対応する加圧媒体入口開口又はボア132を開口又は閉鎖し得る。ドライブブッシング126は、ガイドピン128に沿って自由に走行し得るように誘導され、ピストンセクション88−1及び88−2に対して自由走行方向に或る特定の量の遊びを有するため、それぞれのピストンセクション88の吸気ストローク中に、ドライブブッシング126は、関連するシール要素122を、関連する加圧媒体入口開口又はボア132から持上げ、したがって、関連する吸気弁95を開口する。偏心結合部76が、後続の圧縮ストロークのために反対方向にドライブブッシング126を移動させ始めるとすぐに、ドライブブッシング126は、関連する加圧媒体入口開口又はボア132に対して関連するシール要素122を押戻し、到来する圧縮ストロークのために関連する吸気弁95を閉鎖する。ドライブブッシング146が、その後もう一度、反対方向に移動し始めるとすぐに、関連する吸気弁95は、到来する吸気ストロークのために即座に開口する。これは、決定的な利点である。吸気弁95の開口及び閉鎖が、2重ピストン86の移動方向の変化時に即座に起こるため、可能性のある吸気体積又は圧縮体積が、実質上最適方式で使用される。そのため、圧縮機ユニット38の送出容量を大幅に改善することが可能である。
図10a及び
図10bにおいて、シリンダ内の加圧媒体吸気ボアは、参照符号134でラベル付けされ、シリンダ内の加圧媒体ボアは、参照符号136でラベル付けされる。
【0101】
非常に簡略化された概略図において、
図11は、複数のピストンアセンブリ86を有する圧縮機58の代替の実施形態を示す。圧縮機58は、この場合、対応する作動室94−1及び94−2並びに94−3及び94−4に関連付けられる、互いから軸方向にオフセットされる2つのピストン対86−1及び86−2を含む。好ましくは、ピストンアセンブリ86−1及び86−2は、互いに対して90度回転する。第1のピストンアセンブリ86−1の往復動方向102及びそれに垂直に配向するピストンアセンブリ86−2の往復動方向138を参照されたい。
【0102】
圧縮機58の駆動ユニットは、モータ72のドライブシャフト74が、互いから角度的にオフセットする複数の偏心結合セクション76を有することによって単純な方法で具現化され得る。こうして、ドライブシャフト74(
図11には示さず)が回転するにつれて、偏心結合セクション76の回転の第1の方向成分102及び第2の方向成分138は、2つのピストン対86−1及び86−2を駆動するために使用される。(外径が不変のままで)全体として軸方向設置空間の量の最小限の増加を必要としながら、これは、圧縮機58の送出容量又は圧縮パワーの大幅な増加を達成することを可能する。そのため、高い体積流量及び/又は高い圧力を生成することが可能である。さらに、ドライブシャフト74の偏心結合セクション76は、圧縮機58からの共有流出において非常にスムーズな圧力曲線が生成されるように具現化される。
【0103】
図12a〜
図12eは、往復動ピストン圧縮機の他の変形形態を示し、他の変形形態は、例証のために示されるだけであり、本発明が、
図2〜
図11に関連して上述した2重ピストンの変形形態に限定されるべきでないことを示すことを意図される。そのため、
図12aは、2重ピストンの代わりに、それぞれが別個の偏心結合ドライブを有する2つの単純な往復動ピストンが使用されるサンプルの変形形態を示す。
図12bは、それぞれの偏心結合ドライブの代わりに、直線運動を生成する駆動ユニットによって働く同様の変形形態を示す。
図12c〜
図12eは、同様に、単一作動室だけを有する圧縮機内で使用されるサンプルの往復動ピストンを示す。
図12eに示すピストンは、接続用ロッド配置構成のために具現化される。
【0104】
図13を参照して、圧縮機ユニット38の圧縮機58の基本的に異なる実施形態がここで述べられる。この実施形態において、圧縮機58は、その回転ピストン140がワンケルピストンとして具現化される回転ピストン圧縮機の形態で具現化され、ワンケルピストンは、ワンケルの原理又はワンケルモータの原理に従って圧縮室142内で、回転方式で移動し得る。回転ピストン140は、回転ピストン140と圧縮室142の(外トロコイド状)円周壁144との間に画定される作動室94に連結される。こうして、複数の作動室94が、単一回転ピストン140とともに形成され得る。
【0105】
図示する例において、ドライブシャフト74及び回転ピストン140は、ギアによって互いに結合される。ギアによって、偏心オフセット(瞬時オフセット)が、ドライブシャフト74と回転ピストン140との間に生成され得る。回転ピストン140は、偏心経路上でドライブシャフト74の周りに回転する。吸気接続部108及び排気接続部110は、回転ピストン140が、その回転運動の過程で、圧縮室142の円周壁144に沿ってその摺動リップ146とともに摺動するときに、吸気接続部108を通って作動室94内に移動した加圧媒体が、回転運動が継続するにつれて圧縮され、回転方向において吸気の後に位置する排気接続部110を通して作動室94から押出されるように位置決めされる。
【0106】
往復動ピストン圧縮機の上述した変形形態の方式と同様の方式で、排気接続部110に続いて、逆止弁又はリーフ弁等の弁があって、加圧媒体の圧縮室142内への逆流を防止し得る。吸気接続部108において、こうした弁は必要でない。その理由は、往復動ピストン圧縮機の場合と違って、回転ピストン圧縮機では、吸気接続部108及び排気接続部110が、任意の所与の瞬間に異なる作動室94に常に連結されており、その結果、排気接続部110を通して加圧媒体が外に変位されている間に、吸気接続部108が閉鎖される必要がないからである。したがって、吸気接続部108は、単純な開口の形態で具現化され得る。
【0107】
図13の例示的な実施形態において、吸気接続部108及び排気接続部110は、圧縮室142の円周壁144内に位置決めされる。
図14は、吸気接続部108に関する代替の実施形態のオプションを示す。この場合、図面の深さ方向に観察すると、吸気接続部108は、上部及び下部で円周壁144を覆う、圧縮室142の上側又は下側側壁内で、すなわち、圧縮室142の側壁の一方の側壁内で具現化される。この例において、吸気接続部108は、回転ピストン140の回転運動の過程で回転ピストン140によって交互に覆われる(したがって、閉鎖される)か又は開口される。
図14に示す状況において、回転ピストン140によって、吸気接続部108−1は開口し、一方、吸気接続部108−2は閉鎖する。円周壁144内の吸気接続部108と比較して、この変形形態は、回転運動中に円周壁144に沿って摺動する回転ピストン140のシールリップ146が、吸気接続部108の開口に(最小限に)衝突し、経時的に摩耗又は損傷することを防止する。
【0108】
回転ピストン圧縮機の別の例示的な実施形態は、
図15の分解図に示される。この例示的な実施形態は、まず第1に、ドライブシャフト74及び回転ピストン140が、ギアによってではなく、むしろ、上述した往復動ピストン圧縮機と同様に、偏心結合ドライブ82であって、カム76が、回転ピストン140に結合されるよう、回転ピストン140の中央開口内に収容される、偏心結合ドライブ82によって互いに結合されることによって、
図14の例と異なる。この実施形態は、
図14の例示的な実施形態の回転運動と類似の回転ピストン140の回転運動を達成することを可能にする。そして、方向感度がありかつ生産するのに費用がかかるギアをなくすことが可能である。
【0109】
一方、
図15の例は、排気接続部110が圧縮室142の円周壁144上に位置決めされない点で
図14の例と異なる。代わりに、加圧媒体は、圧縮室142から出て、回転ピストン140を通り、カバー148内で具現化される排気接続部110まで送られる。このため、排気開口150が、円周壁144に向かって配向する回転ピストン140の側部上に設けられ、排気開口150から、回転ピストン140の内部の加圧媒体が、回転ピストン140の中央領域152まで送られて、そこから、カバー内に設けられる排気接続部110を通して外に送られる。カバー148によって形成される圧縮室142の側壁に対して回転ピストン140をシールする回転ピストン140の側方シールリップ154は、回転ピストン140の中央領域152内に存在する加圧媒体が排気接続部110に流入することを保証する。1つの排気開口150から、回転ピストン140上で具現化される別の排気開口150を介して、圧縮室142の別の作動室94内に戻るように加圧媒体が流れないことを保証するため、リーフ弁等の対応する弁が、回転ピストン140の内部で排気開口150に設けられ得る。円周壁144内で具現化される排気接続部110と比較して、この変形形態は、回転運動中に円周壁144に沿って摺動する回転ピストン140のシールリップ146が、排気接続部110の開口に(最小限に)衝突し、経時的に摩耗又は損傷することを防止する。
【0110】
回転ピストン140を備える圧縮機58は、主に設置空間の深さに関してコンパクトに設計され得、少数の部品を用いて生産され得る。図示する例示的な実施形態において、圧縮機58の質量は、本質的に中央に集中するため、デバイスは、有利な質量慣性モーメントを有する。全体として、これは、圧縮機58を装備する圧縮機ユニット38のスムーズな走行をもたらし得る。特に、回転する車両ホイール16において、圧縮機58の動作は、ホイールの全体の回転によって影響を受けない、又は、大きな影響を受けない。
【0111】
図13〜
図15の例示的な実施形態が、付加的な回転ピストン140であって、互いに軸方向にオフセットし、更なる作動室94を画定する、付加的な回転ピストン140によって補完され得ることが理解される。ワンケルの原理に従って機能する圧縮機58の代わりに、回転ピストンを有する圧縮機の基本的に他の実施形態、例えば、ベーンポンプ、ギアポンプ等が生産され得ることが同様に理解される。
【0112】
以下において、
図3に対してもう一度参照が行われて、車両ホイールリム34上に搭載される加圧媒体供給デバイス22の更なる特性を述べる。規定するため、車両ホイール16の外部は参照符号154でラベル付けされ、車両ホイール16の内部は参照符号156でラベル付けされる。内部156で、ホイール16は、ホイールキャリア60上に搭載される。外部154は、ホイール16が搭載状態にあるときに外方を向く側である。
【0113】
図3は、設置済みでかつ接続済みの状況にある圧縮機ユニット38を概略的に示す。先に説明したように、車両ホイールリム34は、ホイールキャリア60上で支持されるホイールハブ62(
図3に示すだけである)に搭載される。ホイールハブ62は、ブレーキ158、特に、ブレーキ158のブレーキディスクに強固に接続される。したがって、全体として、ホイール16、圧縮機ユニット38、及びブレーキディスクは、ホイールキャリア60上に回転方式で搭載される。
【0114】
加圧媒体供給デバイス22は、制御モジュール160を含み、制御モジュール160は、信号を処理し、圧縮機ユニット38がタイヤ54を拡張するように圧縮機ユニット38をトリガーするように具現化される。制御モジュール160は、同様に、(最重要の)制御ユニット24(
図1参照)と通信するように具現化され得る。代替的に、制御モジュール160は、少なくとも緊急動作モードで加圧媒体供給デバイス22を独立に制御するように具現化され得る。
【0115】
タイヤ54に対する圧縮機ユニット38の接続は、リム36上で具現化されるか又はリム36内に収容される少なくとも1つの加圧媒体経路162によって生成される。好ましくは、加圧媒体経路162は、リム34のスポーク48に連結される。別の実施形態によれば、加圧媒体経路162は、好ましくは、中央領域42と、リムウェル50又はリムビードシート52のうちの1つのリムビードシート52との間のスルーホール又はスルーボアの形態でスポーク48内に一体化される。
【0116】
図3に示す例において、加圧媒体経路162は、ウェル50とリムウェル50に近接するタイヤ54との間の中間空間内に通じる。加圧媒体経路162の口部において、膨張弁166が設けられ、膨張弁166によって、タイヤ54が拡張され得、膨張弁166が、例えば、逆止弁として具現化される。好ましくは、加圧媒体経路162は、外部から隠蔽され目に見えないように位置決めされ、膨張弁166は、外部から接触できない。タイヤ54が、加圧媒体供給デバイス22によって拡張されるため、タイヤ54用の露出弁を有することは基本的に必要でない。一方、これは、設計に関して利点を有し、他方、リム34が弁に近接して汚れる傾向を低減することに関して利点を有する。緊急の場合、補給弁168が設けられ得、補給弁168は、例えば、バイパス弁として具現化され得る。こうした補給弁168−1及び168−2の2つの考えられる実施形態が
図3に示される。補給弁168−1は、リム34の後領域内に、特に、リム34のスポーク48上に位置決めされ、内部156に向かって配向する。補給弁168−1は外部154から目に見えない。タイヤ54は、例えば、後配向式補給弁168−1に接触することが可能である、ガスステーションにおいて、修理店において、又は、車両10若しくはホイール16の組立て中に、同様に、外部圧力生成デバイスを使用して補給弁168−1によって充填され得る。補給弁168−1が、同様に、外部154からの接触を容易にするためアングル弁として具現化され得ることが理解される。
【0117】
代替の実施形態によれば、補給弁168−2が設置され得、補給弁168−2は、圧縮機ユニット38に空間的に近接して、特に、リム34の中央領域42内に位置決めされる。補給弁168−2のこの配置は、加圧媒体経路162が圧縮機ユニット38とタイヤ54との間に何らかの方法で設けられ、補給弁168−2がリム34の中央領域42内で加圧媒体経路162に結合され得ることを利用する。補給弁168−1及び168−2が、通常動作中に(拡張及び圧力の調節が加圧媒体供給デバイス22によって実施されるとき)非アクティブであるよう逆止弁として具現化され得ることが理解される。
【0118】
図3は、同様に、サービスのための又は緊急時のためのエネルギ供給接続部170を示し、エネルギ供給接続部170は、ライン172を介して制御モジュール160に接続される。接続部170によって、加圧媒体供給デバイス22は、ホイールキャリア60によるエネルギ供給が可能でない場合にエネルギを供給され得る。これは、例えば、ホイール16がホイールキャリア60上に搭載されていない場合に該当し得る。制御モジュール160は、こうした状態を検出し、接続部170が外部エネルギ源に接続されている場合にホイール54の拡張を独立に始動するように具現化され得る。接続部170、また、設けられる場合、補給弁168−2は、好ましくは、覆われた又は隠蔽された位置にあり、例えば、サービスフラップ又はサービスキャップによって露呈され得る。
【0119】
図3に示す加圧媒体供給デバイス22の他の可能性のある実施形態が、ここで、
図16及び
図17を参照して述べられる。
図16に示す加圧媒体供給デバイス22は、タイヤの内部に位置する圧力センサ174によって検出される信号を受信するように具現化される。このため、圧力センサ174と制御モジュール160との間にルーティングされるセンサライン又は信号ライン176が設けられる。好ましくは、センサライン176は、少なくとも幾つかのセクションにおいて、加圧媒体経路162に平行に延在する。センサライン176の少なくとも幾つかのセクションが加圧媒体経路162内に(構造的に)一体化されることが同様に考えられる。圧力センサ174によって送信される信号に基づいて、例えば、パンクが発生したかどうかを判定することが可能である。こうした状態は、例えば、単位時間当たりの特定の圧力降下を特徴とする。圧力センサ174及び制御モジュール160が、センサライン176に対する代替法として、同様に、無線で互いに通信し得ることが理解される。圧力センサ174は、その後、(例えば、エネルギハーベスティングを使用することによって)別個の独立したエネルギ源を備え得、タイヤ54内の目下の圧力状態に関する信号を無線送信するように具現化され得る。
【0120】
図16及び
図17に示す加圧媒体供給デバイス22の実施形態は、同様に、タイヤシーラント180を含むシーラントリザーバ178を有する。好ましくは、シーラントリザーバ178は、少なくとも幾つかのセクションにおいて環状方式で延在するシーラントリザーバの形態で具現化され、モジュールハウジング64及び/又は圧縮機ユニット38のカップ66を環状方式又は環状セグメント方式で囲み得る。シーラントリザーバ178を、タイヤシーラント180がなくなったときに置換できるように交換可能部品としてモジュール方式で具現化することが同様に有利であり得る。そのため、次のパンクのために加圧媒体供給デバイス22に補充することが可能である。制御モジュール160は、シーラントリザーバ178と選択的に結合するために具現化されて、例えば、突然の圧力喪失が圧力センサ174によって検出される場合に、例えば、タイヤシーラント180をタイヤ54の内部に、確定した方法で送られ得る。
【0121】
圧力センサ174は、代替的に同様に、組合せ式圧力/温度センサとして具現化され得る。そのため、圧力センサ174が、同様に温度変動を検出し、温度変動を考慮しながら、検出された圧力値をおそらくは補正することが可能である。
【0122】
シールプロセスを制御するため、加圧媒体供給デバイス22は、開口位置184とバイパス位置186との間で切換えられ得る、マルチポート弁の形態のオン/オフ弁182を有する。開口位置184(
図17に示す状態参照)において、圧縮機ユニット38は、加圧媒体経路162を介して直接タイヤ54に接続される。この切換え済みの位置において、タイヤ54は、加圧媒体を充填され得る。バイパス位置186(
図16に示す状態参照)において、圧縮機ユニット38は、シーラントリザーバ178を介して加圧媒体経路162及びタイヤ54の内部に接続される。弁182のこの切換え済みの位置において、タイヤシーラント180は、圧力下で確定的に配置され、加圧媒体経路162を介してタイヤ54内に送られて、漏れをシールし得る。制御モジュール160は、オン/オフ弁182のトリガー動作を実施し得る。
【0123】
加圧媒体経路162以外に、別個の供給経路がタイヤシーラント180のために設けられる、考えられる実施形態が存在する。シーラントリザーバ178が車両ホイールリム34上の異なる場所に設けられる、考えられる実施形態が同様に存在する。そのため、シーラントリザーバ178が、例えば、車両ホイールリム34のスポーク48内のキャビティの形態で具現化されること、又は、シーラントリザーバ178が、車両ホイールリム34の中央ボア44に近接する圧縮機ユニット38に隣接して依然として利用可能である場合がある設置空間内に収容されることが可能である。
【0124】
以下において、幾つかの例示的な実施形態が使用されて、例えば、加圧媒体供給デバイス22にエネルギを供給するため、車両ホイール搭載式エネルギ供給部を提供するデバイスをどのように具現化するかを説明する。そうするために、最初に、もう一度、
図3に対して参照が行われる。
【0125】
電気モータ駆動式圧縮機ユニット38、制御モジュール160、又は圧力センサ174等の電気構成要素に必要な動作用エネルギを供給するため、ホイールキャリア60上に回転方式で支持される車両ホイール16に電気エネルギを伝送することが可能である。このため、エネルギ収集要素が、車両ホイール16上に位置決めされ得、エネルギ収集要素は、車両搭載式部品と協働して、電気エネルギをエネルギ収集要素内に給送する。給電は、この場合、発電機によって又は機械的接点によって、誘導性又は容量性方式で行われ得る。
【0126】
誘導性又は容量性エネルギ伝送及び機械的接点によるエネルギ伝送によって、ホイール搭載式構成要素は、車両が駆動されている間に、また同様に、車両が休止している間に車両搭載式エネルギ源からエネルギを供給され得る。
図3は、車両ホイール16上に搭載される非常に概略的なエネルギ収集要素188及びホイールキャリア60上に搭載される対応するエネルギ送信要素190を示し、両者の間で、所望のエネルギ伝送が行われ得る。エネルギ送信要素190は、
図1に示すライン30−1〜30−4に本質的に対応し得るライン192によって結合される。車両搭載式エネルギ源は、
図1に示すエネルギ貯蔵デバイス28であり得る。
【0127】
エネルギが発電機によって供給される場合、エネルギは、車両が駆動されている間しか供給できず、車両が休止しているときには供給できない。その理由は、エネルギ収集要素によって給送されるエネルギは、ホイール16とホイールキャリア60との間の相対運動中にのみ生成され得るからである。エネルギが発電機によって供給される場合、車両搭載式エネルギ源からエネルギを伝送することが必要でないため、ライン192は省かれ得る。
【0128】
車両ホイール搭載式エネルギ供給デバイスの可能性のある実施形態の詳細図が
図18及び
図19に示される。
図18は、発電機によるエネルギ供給の一例を示す。この例において、エネルギ収集要素188は、ロータを含み、ロータは、ホイールキャリア60上に搭載されるステータ194と協働し、ステータとともに、車両ホイール16がホイールキャリア60の周りに回転すると電気エネルギを生成する発電機デバイス196を構成する。このエネルギは、エネルギ収集要素188内に給送され、供給ライン198を介して、エネルギが供給先のホイール搭載式構成要素に送られる。図示する例において、ホイールハブ62は、ホイールキャリア60内に或る特定の距離だけ延在するようにホイールキャリア60に搭載されるため、ホイールハブ62は、ホイールキャリア60の長手方向軸に対して、短い軸方向セクションにわたってホイールキャリア60によって包囲される。ロータを含むエネルギ収集要素188及びステータ194は、軸方向セクション内に位置決めされるため、ステータ194は、ロータを環状方式で包囲する。ホイール16とホイールキャリア60との間に相対回転が起こると、ステータ194とロータとの間で相対回転が起こり、それが、ロータ内に電圧を誘起し、その電圧は、供給ライン198を介して、供給先のホイール搭載式構成要素に供給され得る。
【0129】
図19は、
図18の設計と同様の設計を示す。
図18の実施形態と対照的に、
図19によるエネルギ伝送は、誘導性又は容量性方式で又は機械的接点によって行われる。誘導性エネルギ伝送の場合、エネルギ収集要素188は、誘導性結合に適する受信要素を含み、対応するエネルギ送信要素190は、例えば、車両搭載式エネルギ貯蔵デバイス28によってライン192を介して電力供給される、誘導性結合に適する送信要素を有する。受信要素及び送信要素は、ホイールキャリア60及びホイールハブ62の対向する円周表面上に位置決めされる。受信要素は、ホイールハブ62の外側円周表面上で円周方向に具現化され、送信要素は、ホイールキャリア60の内側円周表面上で円周方向に具現化される。受信要素は受信機コイルを含み得、送信要素は送信機コイルを含み得る。送信機コイル内の交流電流によって、交流電圧が受信機コイルに誘起され得るため、電気エネルギが、送信要素から受信要素に無線で送信され、その電気エネルギは、その後、供給ライン198を介して、供給先のホイール搭載式構成要素に供給され得る。誘導性結合に対して代替的に、受信要素及び送信要素が容量性結合を生成するのに適する場合、無線エネルギ伝送が、同様に、受信要素と送信要素との間の容量性結合の形態で実装され得る。
【0130】
機械的接点によるエネルギ伝送の場合、エネルギ収集要素188は摺動接点を含み、対応するエネルギ送信要素190は固定接点を含み、固定接点は、摺動接点によって摺動方式で接触される(又は、その逆も同様である)。摺動接触は、ホイールキャリア60及びホイールハブ62の対向する円周表面において起こり得る。摺動接点はホイールハブ62の外側円周表面に位置決めされ、固定接点は、ホイールキャリア60の内側円周表面上の対応する円周接触表面によって具現化される(又は、その逆も同様である)。摺動接点によって、車両搭載式エネルギ源28は、電気エネルギを受信要素188に送信し得、その電気エネルギは、供給ライン198を介して、供給先のホイール搭載式構成要素に供給され得る。例えば、スリップリング又は炭素ブラシが、摺動接触を生成するために使用され得る。
【0131】
供給ライン198によって、電気エネルギの供給は、その後、供給先のホイール搭載式構成要素に直接送られ得る。この構成要素は、電気モータ駆動式圧縮機ユニット38、制御モジュール160、及び/又は圧力センサ174等のエネルギ消費構成要素であり得る。代替的に、供給先の構成要素は、同様に、エネルギ消費構成要素とエネルギ収集要素188との間に接続されるエネルギ貯蔵構成要素であり得る。こうしたエネルギ貯蔵構成要素は、車両ホイールリム34の中央ボア44に近接する圧縮機ユニット38に隣接して位置決めされる、例えば、エネルギ貯蔵デバイス200として
図16及び
図17に概略的に示される。エネルギ貯蔵デバイス200は、長期エネルギ貯蔵デバイス又は短期エネルギ貯蔵デバイスの形態で具現化され得、例えば、アキュムレータ又はキャパシタによって構成され得る。
【0132】
図20は、誘導性又は容量性エネルギ伝送が送信要素と受信要素の交互配置構成によって実施される別の例示的な実施形態を示す。この例において、車両ホイールリム34のリムウェル50の下の空間内の対応するエネルギ送信要素190の送信要素は、例えば、ブレーキキャリパに締結されるブロック202として具現化され(ブレーキキャリパに対する特定の締結は
図20に示されない)、エネルギ収集要素188の受信要素は、ディスク204として具現化され、ディスク204は、車両ホイールリム34の内部156に位置決めされ、車両ホイールリム34の中心軸36に対して半径方向に延在し、ディスク204の半径方向寸法は、ブロック202に達する。誘導エネルギ伝送の場合、コイルは、ブロック202及びディスク204内に位置決めされ、それによって、誘導性エネルギ伝送が生成され得る。
【0133】
同様に本開示の範囲内に入る他の有利な実施形態が、番号付けされた例の形態で以下に示される。
【0134】
例1:特に車両ホイール用の圧縮空気を供給するための非集中化され一体化された加圧媒体供給デバイスであって、
−加圧流体によって拡張され得るタイヤを含む回転可能に支持される車両ホイールを有し、
−車両ホイール上に搭載され得、車両ホイールとともに、車両のホイールキャリア上に回転方式で搭載され得る、圧縮機ユニット、特に、電気モータ駆動式圧縮機ユニットを有し、
圧縮機ユニットは、圧縮機を含み、組立て済み状態で、車両ホイールのリムと車両ハブとの間で車両ホイールの中央領域に位置決めされ、
圧縮機は、車両のホイールキャリアによってエネルギを供給されて、アクティブ動作状態において、加圧流体、特に空気に圧力を加え、加圧流体をタイヤに供給し得る、加圧媒体供給デバイス。
【0135】
各車両ホイールについて、加圧媒体供給デバイスが設けられ得、加圧媒体供給デバイスは、車両ホイール内に構造的に一体化される。加圧媒体供給デバイスは、少なくとも部分的に車両ホイールのホイール本体側に構造的に位置決めされ得る。
【0136】
非集中化され一体化された媒体供給デバイスは、特に、加圧媒体経路を「短縮する」こと、すなわち、加圧媒体ラインを短縮することを可能にする。車両の中央構成要素との通信又は交換が必要とされる場合、これは、例えば、電気ラインによって行われ得る。主に、情報が交換される場合、加圧媒体供給デバイスと車両の中央構成要素との間の無線通信が存在することが考えられる。そのため、(物理的)ラインをなくすことが可能である。
【0137】
車両の中央構成要素との通信が電気ラインによって行われる場合でも、圧縮空気をモニター及び/又は調整するためのシステムの耐久性を大幅に改善することが可能である。特に、加圧媒体経路において漏れが発生する傾向を低減することが可能である。圧縮空気を生成するための集中化システムにおいて、車両のシャーシの領域に圧縮空気ラインをウェブ様又はスター様方式で設けることが必要である。しかし、この領域は、特に露出され、おそらくは、有害な環境条件にさらされる。したがって、必要なライン(圧縮空気ライン)の大部分をなくすことができることが有利である。
【0138】
非集中化圧縮機ユニットは、特に圧縮機を含み得る。さらに、非集中化圧縮機ユニットは、圧縮機を駆動するためのモータを含み得る又はそれに結合され得る。基本的に、圧縮機ユニットは、同様にバッファユニットに連結され得、バッファユニットは、例えば、制限された動作時間の間に(電気)エネルギを供給する。用語「車両」は、地上車両を含むが、ランディングギアを備える限り、航空機を同様に含む。加圧流体は、加圧媒体経路を介してタイヤに供給される。
【0139】
例2:圧縮機ユニットは、駆動ユニット及び少なくとも1つの作動室を有する圧縮機セクションを含み、駆動ユニット及び圧縮機セクションは、互いから軸方向にオフセットし、圧縮機セクションは外側に向かって配向し、駆動ユニットは内側に向かって配向し、搭載状態において、圧縮機ユニットは、リム内で具現化される円筒窪み内でその軸方向寸法に沿って少なくとも幾つかのセクション内に収容される、例1に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0140】
圧縮機ユニットの少なくとも一部分は、リム内の中央ホールを通って延在し得る。
【0141】
例3:圧縮機ユニットは、モジュール式として具現化され、モジュールホルダを含み、外側からリム内に挿入され得、圧縮機ユニットの少なくとも一部は中央領域を通って延在する、例1又は2に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0142】
例4:モジュールホルダは、閉鎖キャップを有し、閉鎖キャップは、組立済み状態において、外に向かって配向し、リムのボルトサークルに構造的に適合する、例3に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0143】
例5:モジュールホルダはモジュールハウジングとして具現化され、リムの中央開口に近接して同一平面になる方式で収容され得る、特に、リムに挿入され得る、例3又は4に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0144】
これは、好ましくは、リムの外からアクセス可能である窪み又は凹部に関する。
【0145】
例6:圧縮機ユニットは、圧縮シャフトを有し、圧縮シャフトは、車両ホイールの中心軸に平行に配向し、圧縮機シャフトは、好ましくは、中心軸に一致する、例1〜5のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0147】
例7:圧縮機ユニットの駆動ユニットは、長手方向軸を有し、長手方向軸は、車両ホイールの中心軸に平行に配向し、好ましくは、中心軸に一致し、駆動ユニットは、圧縮機シャフトに直接又は間接的に結合される、例6に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0148】
圧縮機シャフトが中心軸から離間しかつ中心軸に平行に位置決めされる代替の実施形態が考えられる。少なくとも1つのトランスミッションステージが駆動ユニットと圧縮機との間に位置決めされ得ることが理解される。
【0149】
例8:圧縮機ユニットは、好ましくは、車両ホイールの中心軸の周りでグループ化されて位置決めされる複数の作動室を含み、作動室は、ディスプレイサー室又はディスプレイサーシリンダとして具現化される、例1〜7のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0150】
好ましくは、作動室は、中心軸の周りに互いからオフセットして、ほぼスター形状で、又は互いから対向して位置決めされる。
【0151】
例9:圧縮機ユニットは、ピストン圧縮機ユニットとして具現化され、好ましくは、偏心結合デバイスによって駆動され得る、少なくとも1つのピストン、特に、往復動ピストン又は回転ピストンを含む、例1〜8のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0152】
好ましくは、ピストンは、中心軸に垂直に配向する。少なくとも1つのピストンは、円筒ピストンとして具現化され得る。しかし、ピストンは、長円ピストン又はフラットピストンの形態で同様に具現化され得、非円形断面を有し得る。作動室は、相応して、ピストンの実施形態に適合する。
【0153】
例10:圧縮機ユニットは、車両ホイールの中心軸の周りに位置決めされる、作業シリンダとして具現化される少なくとも2つの作動室を有し、作業シリンダの長手方向は中心軸に垂直に配向する、例8又は9に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0154】
作動室は、例えば、中心軸の周りにボクサー様又はスター状方式で配置され得る。
【0155】
例11:圧縮機ユニットは、少なくとも1つの2重ピストン、好ましくは、硬質2重ピストンを有し、2重ピストンは、互いから見て外方を向く2つのピストンセクションを有し、2つのピストンセクションは、駆動要素によって互いに接続される、例10に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0156】
そのため、費用のかかるクランク機構をなくすことが可能である。偏心結合ドライブは簡単に具現化され得る。
【0157】
例12:駆動要素は、摺動ガイドを有し、スライダは、摺動ガイド内で誘導され、摺動ガイドは、動作中に偏心方式で回転し、駆動要素は、スライダによって並進方式で駆動されて、加圧流体を作業シリンダ内で圧縮し得る、例11に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0158】
ピストンを支持する駆動要素は、少なくとも幾つかの実施形態において、長手方向に振動する方式で駆動される。
【0159】
例13:圧縮機ユニットは、互いから軸方向にオフセットした複数のピストンを有し、ピストンは、複数のカムセクションを有する共有圧縮機シャフトによって駆動され得る、例9〜12のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0160】
好ましくは、互いから軸方向にオフセットするピストンの幾つかの列が設けられる。
【0161】
例14:少なくとも1つのピストンは、一体化潤滑剤デポを有し、潤滑剤デポは、潤滑剤で充填される又は充填され得る溝をピストン上に有する、例9〜13のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0162】
例15:潤滑剤デポは、ピストン上に円周溝を含み、円周溝は、オイル含有又はグリース含有潤滑剤で充填され得、潤滑剤は、ピストンの摺動運動中に放出されて、ピストン及び作動室の摺動表面を潤滑し、潤滑剤は、好ましくは、多孔性又は吸収性基材内に埋め込まれる、例14に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0163】
例16:ピストン圧縮機ユニットは、ワンケルピストンの形態の少なくとも1つの回転ピストンを有し、回転ピストンは、車両ホイールの中心軸に平行に配向する軸の周りに回転する、例9に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0164】
回転ピストンは、偏心円運動を実行する。回転ピストンは、ギアステップによって間接的に駆動ユニットによって駆動され得る。他のタイプの回転ピストンが、代替的に同様に考えられることが理解される。この実施形態のサンプルの変更形態において、互いから軸方向にオフセットする2つ以上の回転ピストンが設けられる。
【0165】
例17:タイヤシーラント用のシーラントリザーバを同様に含み、タイヤ内の圧力降下が起こる場合にタイヤ内にタイヤシーラント及び加圧流体を導入するように具現化される、例1〜16のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0166】
例18:シーラントリザーバは、タイヤシーラントを含む環状室又は環状のセクション状室を有し、室は、好ましくは、車両ホイールの中心軸に同心に配向し、圧縮機ユニットの少なくとも所定のセクションを包囲する、例17に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0167】
例19:圧縮機ユニットとタイヤとの間の加圧媒体経路内に位置する、オン/オフ弁、好ましくはマルチポート弁を同様に有し、オン/オフ弁は、必要に応じて、シーラントリザーバからのタイヤシーラントの放出をトリガーする、例17又は18に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0168】
オン/オフ弁は、対応するアクチュエーター、例えば、ソレノイドアクチュエーターに結合され得る。オン/オフ弁は、突然の圧力降下がタイヤ内で検出される場合にアクティブ化され得る。
【0169】
例20:加圧流体用の加圧媒体経路に加えて、シーラント用のシーラント経路が設けられ、加圧媒体経路及びシーラント経路は、共通膨張弁又は別個の弁を介してタイヤ内に通じ、シーラント経路は、加圧媒体経路に対して付加的に又は代替的に、オン/オフ弁によってアクティブ化され得る、例17〜19のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0170】
代替的に、シーラントは、加圧媒体経路を介してタイヤ内に送られ得る。
【0171】
例21:シーラント経路は、少なくとも幾つかのセクションにおいて、タイヤシーラント用のリザーバとして具現化される、例20に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0172】
例22:シーラントリザーバは、交換可能な部品として具現化され、必要に応じて置換され得、好ましくは、他のタイヤシーラント搬送部品は、置換可能であるものとして具現化されて、シーラントを使用した後に、加圧媒体供給デバイスを元の状態に回復させる、例17〜20のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0173】
これは、同様に、加圧媒体供給デバイスが突然の圧力降下に反応するときにタイヤシーラントに接触する他の構成要素に当てはまり得る。
【0174】
例23:圧縮機ユニットは、特に、車両が駆動状態にあるときでも、ホイールキャリアを介してエネルギを供給され得、好ましくは、無接点(すなわち、機械的接点なしの)エネルギ伝送が可能である、例1〜22のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0175】
エネルギ伝送は、誘導性方式で行われ得る。エネルギ伝送は、直流の伝送又は交流の伝送を含み得る。エネルギ伝送は、同様に、直流/交流変換又はその逆を含み得る。スリップリング接点、ブラシ接点等を使用することが同様に考えられる。車両ホイールの相対運動を使用する発電機によるエネルギ伝送が、同様に考えられる。
【0176】
別の実施形態によれば、加圧媒体供給デバイスは、同様に、電気エネルギ用の一体化エネルギ貯蔵デバイス又はエネルギバッファを有する。
【0177】
例24:特に、緊急時供給を提供するための、電気エネルギ用の外部接続部を同様に含み、外部接続部は、好ましくは、プラグ接続部として具現化され、外に向かって配向する、例1〜23のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0178】
接続部は、閉鎖キャップに隣接して位置決めされ得る、又は、閉鎖キャップによって覆われ得る。
【0179】
例25:緊急時動作のための外部補給弁、特に、バイパス弁を同様に含み、補給弁は、加圧媒体経路に結合され、外部加圧流体源に接続され得る、例1〜24のいずれか1例に記載の加圧媒体供給デバイス。
【0180】
補給弁は、閉鎖キャップに隣接して位置決めされ得る、又は、閉鎖キャップによって覆われ得る。
【0181】
例26:例1〜25のいずれか1例による加圧媒体供給デバイスを有し、圧縮機ユニットとタイヤ用の搭載領域との間に延在する加圧媒体経路を有する車両ホイールリムであって、加圧媒体経路は、リム内に一体化され、好ましくは、少なくとも幾つかのセクションにおいて、リムの一体構成要素として具現化される、車両ホイールリム。
【0182】
例27:加圧媒体経路は、少なくとも幾つかのセクションにおいて、特に、鋳造ツール内のスライダによって一体形態で生産され、加圧媒体経路は、好ましくは、少なくとも所定のセクションにおいて、車両ホイールリム内で半径方向に延在する導管によって構成される、例26に記載の車両ホイールリム。
【0183】
例28:加圧媒体経路は、少なくとも所定のセクションにおいて、リムアームに沿って半径方向に延在し、内部膨張弁用のシートは、リムの肩部又はウェルに近接して加圧媒体経路に隣接する、例26又は27に記載の車両ホイールリム。
【0184】
例29:タイヤセンサ、特に、圧力センサを同様に含み、圧力センサは、信号ラインを介して加圧媒体供給デバイスに接続されて、圧力信号を加圧媒体供給デバイスに送信することができ、信号ラインは、少なくとも幾つかのセクションにおいて、加圧媒体経路に連結される、好ましくは、少なくとも幾つかのセクションにおいて、加圧媒体経路内に一体化される、例26〜28のいずれか1例に記載の車両ホイールリム。
【0185】
圧力センサは、組合せ式圧力/温度センサであり得る。
【0186】
例30:緊急時動作のための外部補給弁、特に、バイパス弁用のシートを同様に含み、補給弁は、加圧媒体経路に結合され、外部加圧流体源に接続され得、補給弁は、好ましくは、特にフラップ若しくは閉鎖キャップの背後に隠蔽されるものとして具現化される、又は、外から離れてリムアームの内部に配向して具現化される、例26〜29のいずれか1例に記載の車両ホイールリム。
【0187】
車両ホイールリムの別の実施形態によれば、リムは、緊急時動作のための外部補給弁、特に、バイパス弁を含み、補給弁は、加圧媒体経路に結合され、外部加圧流体源に接続され得る。
【0188】
例31:例1〜25のいずれか1例による加圧媒体供給デバイスを備える少なくとも2つの車両ホイールを有する、車両用の、特に、マルチアクスル地上車両用の一体化加圧媒体供給システム。
【0189】
例32:例31による一体化加圧媒体供給システムを有する車両であって、加圧媒体供給システムの少なくとも1つの加圧媒体供給デバイスを制御するための中央制御ユニットを同様に有する、車両。
【0190】
制御ユニットは、非集中化された分散式加圧媒体供給システムの中央制御を可能にする。