特許第6981981号(P6981981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6981981心臓モデルガイド付き冠動脈瘤セグメンテーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981981
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】心臓モデルガイド付き冠動脈瘤セグメンテーション
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20211206BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20211206BHJP
   G06T 7/12 20170101ALI20211206BHJP
【FI】
   A61B6/03 360J
   A61B6/03 360G
   A61B6/03 375
   A61B5/055 380
   G06T7/12
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-532617(P2018-532617)
(86)(22)【出願日】2016年12月19日
(65)【公表番号】特表2019-500960(P2019-500960A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】IB2016057758
(87)【国際公開番号】WO2017109662
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年12月19日
(31)【優先権主張番号】62/270,981
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】クリンダー トビアス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ニキッシュ ハンス
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−519740(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/086368(WO,A1)
【文献】 特開2006−075600(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/030637(WO,A1)
【文献】 特開2015−164525(JP,A)
【文献】 特開2014−076288(JP,A)
【文献】 特表2013−534154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元心臓画像における患者の心臓の冠動脈血管樹をセグメント化するためのシステムであって、
適合心臓モデルに基づいて前記三次元心臓画像における心臓組織の内側の表面及び外側の表面から空間境界を設定するように構成される一つ又はそれより多くのプロセッサを有する冠動脈ボリューム規定ユニットと、
前記心臓組織の前記内側の表面及び外側の表面から設定される前記空間境界によって制限される探索空間を用いるセグメンテーションアルゴリズムを使用して、前記三次元心臓画像における前記冠動脈血管樹をセグメント化するように構成される前記一つ又はそれより多くのプロセッサを有する冠動脈セグメンテーションユニットと
を有する、システム。
【請求項2】
前記空間境界は、前記表面からの第一の距離の第一の境界を含み、前記第一の距離は前記外側の心臓表面に垂直に外部に延在し、セグメンテーションから前記第一の距離の外部の組織を除外し、前記表面からの第二の距離の第二の境界を含み、前記第二の距離は前記内側の心臓表面に垂直に外部に延在し、セグメンテーションから前記第二の距離によって囲まれる組織を除外する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記適合心臓モデルに基づいて冠動脈確率マップを適合させるように構成される前記一つ又はそれより多くのプロセッサを有する冠動脈補助ユニット
を更に含み、
前記セグメンテーションアルゴリズムは、前記確率マップに基づいてセグメンテーションを導くように前記確率マップを使用する、
請求項1乃至2の何れか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記冠動脈確率マップは、前記適合心臓モデルの心臓モデルに変形可能に適合されるセグメント化冠動脈のサンプリングから構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記適合心臓モデルに基づいて識別される所定のポイントに基づいて位置されるセグメンテーションアルゴリズムのための初期シードポイントを識別するように構成される、前記一つ又はそれより多くのプロセッサを有する冠動脈口ファインダユニット
を更に含む、請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記外側の表面及び前記内側の表面は異なる表面である、請求項1乃至5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第一の境界距離は、徐々に短縮され、前記患者の心臓の頂点に向かって減少する、請求項2乃至6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記冠動脈確率マップは、対応する空間的に位置されるボクセルが前記冠動脈血管樹に含まれる、向性動脈流に基づく確率を含み、前記方向性動脈流に基づく確率は、前記冠動脈血管の内腔の中心線に沿って隣接するボクセルの確率であって、前記冠動脈血管樹の枝の角度が前記内腔の中心線から離れるように増加するにつれて減少する確率である、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
三次元心臓画像における患者の心臓の冠動脈血管樹をセグメント化する方法であって、
適合心臓モデルに基づいて、前記三次元心臓画像における心臓組織の内側の表面及び外側の表面から空間境界を設定するステップと、
前記心臓組織の前記内側の表面及び外側の表面から設定される前記空間境界によって制限される探索空間を用いるセグメンテーションアルゴリズムを使用して、前記三次元心臓画像における前記冠動脈血管樹をセグメント化するステップと
を有する、方法。
【請求項10】
前記空間境界は、前記表面からの第一の距離の第一の境界を含み、前記第一の距離は前記外側の心臓表面に垂直に外部に延在し、セグメンテーションから前記第一の距離の外部の組織を除外し、前記表面からの第二の距離の第二の境界を含み、前記第二の距離は前記内側の心臓表面に垂直に外部に延在し、セグメンテーションから前記第二の距離によって囲まれる組織を除外する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記セグメント化するステップは、前記適合心臓モデルに基づいて冠動脈確率マップを適合させるステップを含み、
前記セグメンテーションアルゴリズムは、前記確率マップに基づいてセグメンテーションを導くように前記確率マップを使用する、
請求項9乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記設定するステップは、
前記適合心臓モデルの心臓モデルに変形可能に適合されるセグメント化冠動脈のサンプリングから前記冠動脈確率マップを構成するステップ
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記内側の表面及び外側の表面は異なる表面である、請求項9乃至12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記冠動脈確率マップは、対応する空間的に位置されるボクセルが前記冠動脈血管樹に含まれる、方向性動脈流に基づく確率を含むみ、前記方向性動脈流に基づく確率は、前記冠動脈血管の内腔の中心線に沿って隣接するボクセルの確率であって、前記冠動脈血管樹の枝の角度が前記内腔の中心線から離れるように増加するにつれて減少する確率である、請求項12乃至13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
医用画像における患者の心臓の冠動脈血管樹をセグメント化するためのシステムであって、
適合心臓モデルを使用して前記画像における心臓組織の内側の表面及び外側の表面から設定される空間境界によって制限される探索空間を用いるセグメンテーションアルゴリズムを使用して前記画像における前記冠動脈血管樹をセグメント化するように構成される一つ又はそれより多くのプロセッサ
を有する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は一般に、冠動脈セグメンテーションへの特定の適用を伴う医用イメージングに関する。
【背景技術】
【0002】
セグメント化される冠動脈血管のデジタル表示を使用する仮想冠血流予備量比(FFR)の正確な計算は、セグメント化される血管の精度に依存する。この仮想方法は、侵襲性カテーテルに基づく実際のFFR測定を使用する従来の方法とは対照的に非侵襲性である。FFRは、狭窄が心筋への酸素供給を妨げる可能性を判定するために、冠動脈狭窄全体の圧力差を測定する。
【0003】
冠動脈のセグメント化への現在のアプローチは、コンピュータ断層撮影(CT)画像又は磁気共鳴(MR)画像から生成されるような心臓領域の3次元(3D)ボリューム画像を使用する。このモダリティは、冠動脈及び冠動脈から分岐して心臓の組織に酸素を供給する血管を含む冠動脈樹の少なくともより大径部分を識別するのに十分な分解能を提供する。動きアーチファクトのような解像度及びアーチファクトの限界のために、血管の境界が常に明確に描出されるわけではなく、例えば、ぼやけたり、不明瞭に描出される。被験者からの冠動脈樹の解剖学的構造における可変性と組み合わされるこれらのイメージングの態様は、冠動脈樹の正確な表現を困難にする。
【0004】
現在のアプローチは、制御が困難なパラメータを持つシード成長アルゴリズムなど、さまざまなアルゴリズムを使用して冠動脈血管樹を規定する。例えば、アルゴリズムは、一般に、現在の成長領域に、比較されるボクセルを追加するかを決定するために、現在の成長領域との、隣り合う又は隣接するボクセルの比較を使用する。アルゴリズムは、比較されるボクセルを加えるか否かの決定を行うための強度の変化などの画像特性に依存する。例えば差がパラメータによって決定される閾値量よりも小さい場合、それ以外に加算しない。
【0005】
冠動脈樹のセグメンテーションに対する従来のアプローチで遭遇する問題の1つは、近くの構造へのセグメンテーションの漏れである。例えば、領域成長アルゴリズムでは、これは、境界がぼやけているか、又はそれほど明確でない場合に典型的に起こり、成長アルゴリズムは、心室、心筋又は肺動脈などの近くの構造のボクセルを現在の成長領域に追加する。一部のアルゴリズムは、パラメータの調整に基づいてこの漏れを制御することを試みる。パラメータは、ボクセルの組み合わせにおける強度閾値又は測定強度を制御するが、例えば長いランタイムになり、計算上高価になり、画像解像度に近いものなど、ほんの数ミリメートルの直径である、血管樹のより小さな枝を欠く可能性がある。
【0006】
心臓のセグメンテーション又は心臓の動きの補正に典型的に使用される心臓のモデルは当業者に知られている。例えば、心臓のデジタル表現は、三角形メッシュとして表される心臓の組織を含むことができる。モデルは画像化される心臓に適合し、動き補正は異なる位相のモデルを画像心臓にマッチングさせることによって決定される。しかしながら、心臓モデルは、典型的には、大径の血管のみを(もしあれば)含んでおり、血管樹全体を含まない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書に記載される態様は、上述の問題及び他の問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、心臓モデル誘導冠動脈セグメンテーションのための方法及びシステムを説明する。心臓モデルは、画像データの心臓の内面及び外面に適合し、適合心臓モデルは、冠動脈セグメンテーションの空間的制限を提供するために使用される。適合冠動脈確率マップは、セグメント化を誘導するために使用されることができる。
【0009】
一態様において、3次元(3D)心臓画像における患者の心臓の冠動脈血管樹をセグメント化するためのシステムは、冠動脈ボリューム規定ユニット及び冠動脈セグメント化ユニットを含む。冠動脈ボリューム規定ユニットは、適合心臓モデルに基づいて、3D心臓画像における心臓組織の内面及び外面から空間境界を設定する。冠動脈セグメンテーションユニットは、心臓組織の内面及び外面から設定される空間境界によって制限される探索空間を用いるセグメンテーションアルゴリズムを使用して、3D心臓画像の冠動脈血管樹をセグメント化する。
【0010】
他の態様では、3次元(3D)心臓画像における患者心臓の冠動脈血管樹をセグメント化する方法は、適合心臓モデルに基づいて3D心臓画像内の心臓組織の内面及び外面から空間境界を設定するステップを含む。3D心臓画像の冠動脈血管樹は、心臓組織の内面及び外面から設定される空間境界によって制限される探索空間を用いるセグメンテーションアルゴリズムを使用してセグメント化される。
【0011】
他の態様では、医用画像内の患者の心臓の冠動脈血管樹をセグメント化するためのシステムは、適合心臓モデルを使用して画像内の心臓組織の内面及び外面から設定される空間境界によって制限される探索空間を用いるセグメンテーションアルゴリズムを使用して、画像内の冠動脈血管樹をセグメント化するように構成される一つ又はそれより多くのプロセッサを含む。
【0012】
本発明は、様々な構成要素及び構成要素の配置において、ならびに様々なステップ及びステップの配置において形態をとることができる。図面は、好ましい実施形態を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】心臓モデル誘導冠動脈セグメンテーションシステムの実施形態を概略的に示す。
図2】患者画像内の内外の心臓表面に適合される心臓モデルの例示的な断面及び空間境界決定を示す。
図3】例示的な冠動脈確率マップを示す。
図4】適合心臓モデルに基づいて冠動脈血管樹をセグメント化する方法の一実施形態をフローチャート化する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に図1を参照すると、心臓モデル誘導冠動脈セグメンテーションシステム100が概略的に示されている。CTスキャナ、MRスキャナ、組み合わせなどの医用イメージング装置110は、3次元(3D)ボリュメトリック心臓画像120を生成する。3D心臓画像120は、冠動脈を示すのに十分な、ミリメートル又はそれ以上の空間分解能を有する。生成される画像は、冠動脈内腔を造影する、投与される造影剤の使用を含むことができる。生成される3D心臓画像120は、モーションアーチファクトを低減するために、前向きに又は後ろ向きにゲートされることができる。3D心臓画像120は、心臓及び周囲の組織又は心臓及び周囲の組織の部分を含むことができる。
【0015】
心臓モデル適合ユニット130は、当業者に知られている解剖学的心臓モデル140を3D心臓画像の心臓に適合させる。心臓モデル140は、心臓の組織のデジタル空間表現である。心臓モデルは、ラベリングされる解剖学的ポイント又は領域を含むことができる。心臓モデル適合ユニット130は、心臓モデルを、イメージングされる心臓に弾性的に適合させる。例えば心臓モデルを特定の患者に個別化する。例えば、組織の表面は、三角形メッシュとして表されることができる。この適合は、例えば、弁、頂点、中隔、腱索などの位置のような3D心臓画像120における解剖学的ポイントに対する、心臓モデル140における解剖学的ポイント又は領域のマッチングに基づくことができる。弾性メッシュのポイント又は領域は、マッチングされる解剖学的ポイント又は領域に固定されることができ、弾性メッシュは、対応する組織の表面にマッチングするように調整されることができる。
【0016】
患者の心臓の表面が心臓モデルに適合されると、冠動脈ボリューム規定ユニット150は、心臓組織の表面から空間境界を設定する。探索空間は、その空間領域に配置される動脈フェードに沿って心臓組織の表面の間に心筋組織を含む。場合によっては、これにより、心臓組織に深く入る動脈の流れが探索空間に確実に含まれるようにされる。心臓の外側の第一の境界距離d1は、肺血管系のような組織を除いた外部の心臓表面に対して設定される。第二の境界距離d2は、心腔などのボリュームを除いた心臓の内側の表面に対して設定される。例えば、第一の距離は、外部心臓表面に垂直に外部に1.5センチメートル(cm)延在することができ、第二の距離は、内部心臓表面に対して垂直に1.0cm内側に延在することができる。他の例では、3.0cmと2.0cmとを外部距離と内部距離として使用している。他の例では、距離は1.5cm又は3.0cmの外部及び内部で同じである。他の距離も考えられる。器官の内側と外側との境界距離は、異なっていてもよく、又は同じであってもよい。一実施形態では、境界距離は、距離が心室に向かって減少する心臓表面に従って徐々に変化することができる。一実施形態では、勾配距離は、心臓の表面に沿った冠動脈の始まりからの空間距離の関数を含む。例えば、動脈の直径が、分岐などにより減少すると、探索空間は心臓の表面に近づくように動かされることができる。
【0017】
冠動脈口ファインダユニット160は、適合心臓モデルに基づいて左右の冠動脈口から初期シードポイントを見つける。例えば、冠動脈口径ファインダユニット160は、メッシュモデルからのマークされる三角形を使用して、左右の冠動脈口に対応する中間強度から高強度へコントラストの変化を識別する上行大動脈モデル壁を介した検索を開始する。
【0018】
冠動脈補助ユニット170は、各ボクセルが冠動脈血管樹の部分である確率を含む冠動脈確率マップ172を生成し維持する。部分的に適合される心臓モデルのより大きな血管に基づいて、確率マップ172は、サンプル母集団にわたる血管樹の分布に基づいて冠動脈及び枝に関して生成され、心臓モデルにマッチング又は融合される。例えば、健康な患者集団からのセグメント化される冠動脈のサンプルは、心臓モデルに変形可能にレジストレーションされ、確率は、各ボクセルにおけるセグメント化される冠動脈の発生頻度の関数として計算される。各々のボクセルによる確率又は心臓モデルによる空間位置は、確率マップ172を形成する。一実施形態では、確率マップは心臓モデルの一部として記憶されることができ、各表面要素は、表面要素を囲むボクセルのセットについての確率を記憶する。心臓モデルが弾性的に適合されるので、確率マップも弾性的に適合される。いくつかの実施形態では、適合確率マップ172は、血管セグメントレベルなどのセグメント化におけるループを除外するように使用されることができる。ループは、血管がそれ自身を供給しているように見えるときに生じる。いくつかの実施形態では、適合確率マップ172は、枝の分岐などの閾値とともに使用されることができる。例えば、動脈は0乃至70度の角度の範囲内で分岐し、隣接するボクセルの局所探索空間を制限するための閾値として使用されることができる。
【0019】
冠動脈セグメンテーションユニット180は、冠動脈ボリューム規定ユニット150によって決定される空間境界によって境界付けられるセグメンテーションアルゴリズムを用いて冠動脈血管樹182をセグメント化する。適切なアルゴリズムは、T.Buelowらの「医用ボリュームデータからのツリーセグメンテーション及び再構成のための一般的なフレームワーク」のような、脈管ボクセル、脈管セグメント、及び脈管樹の全体を含む手段による領域拡張として高速マーチングを使用する、ツリーセグメンテーションフレームワーク又は距離マップアプローチを含む。他の例は、動脈血管に適応されることができ、セグメント接続機能を有するフィルタに基づく血管候補検出を使用する、T.Klinderらの「堅固な末梢気道セグメンテーション」によって記載される方法である。距離マップアプローチの例は、S.Svenssonらの"近隣から5x5x5までの情報を使用する3D画像のデジタル距離変換"及びR.Calvinらの「任意の次元における2値画像の正確なユークリッド距離変換を計算するための線形時間アルゴリズム」を含む。他のアルゴリズムも考えられる。いくつかの例では、空間境界は、探索空間を減少させることによってセグメンテーション実行時間を短縮する。いくつかの例では、心腔及び肺血管系などの典型的に漏出を引き起こす構造を排除することによって、セグメンテーションの堅牢性が高められる。セグメント化血管樹182に含めるための受容基準は、距離測定値、確率及び/又は指向性フローのようなボクセルに基づく受容性、次の分岐の確率などの血管セグメント受容、及び/又は全体の血管樹レベルの受容性を含むことができる。
【0020】
心臓モデル適合ユニット130、冠動脈ボリューム規定ユニット150、冠動脈口ファインダユニット160、冠動脈補助ユニット170、及び冠動脈セグメント化ユニット180は、一つ又はそれより多くの構成プロセッサ190、例えば、マイクロプロセッサ、中央処理ユニット、デジタルプロセッサなどを含む。一つ又はそれより多くの構成プロセッサ190は、一時的媒体を除き、本明細書に記載の技術を実行するための物理メモリ及び/又は他の非一時的媒体を含むコンピュータ可読記憶媒体に記憶される少なくとも1つのコンピュータ可読命令を実行するように構成される。一つ又はそれより多くのプロセッサ190は、搬送波、信号又は他の一時的媒体によって搬送される一つ又はそれより多くのコンピュータ可読命令を実行することもできる。一つ又はそれより多くのプロセッサ190は、ローカルメモリ及び/又は分散メモリを含むことができる。一つ又はそれより多くのプロセッサ190は、ネットワーク192を介した有線及び/又は無線通信用のハードウェア/ソフトウェアを含むことができる。例えば、線は、有線又は無線とすることができる様々なコンポーネントの間の通信経路を示す。一つ又はそれより多くのプロセッサ190は、デスクトップ、ラップトップ、身体装着型デバイス、スマートフォン、タブレット、及び/又は一つ又はそれより多くの構成サーバ(図示略)を含む協働/分散型計算装置などの計算装置194を備えることができる。計算装置194は、セグメント化血管樹182又はFFRなどのセグメント化血管樹182からなされる計算値を表示することができるディスプレイ装置196を含むことができる。計算装置194は、3D心臓画像120の識別、冠動脈口ファインダユニット160によるシードポイントの確認、冠動脈確率マップ172の表示、及び/又は冠動脈血管樹182のセグメント化などのコマンドを受信する一つ又はそれより多くの入力装置198を含むことができる。
【0021】
3D心臓画像120、心臓モデル140、セグメント化冠動脈樹182は、電子記憶媒体又はコンピュータメモリに記憶されるデジタルデータセットとして表される。3D心臓画像120は、医用におけるデジタル画像と通信(DICOM)フォーマット又は他の適切な画像フォーマットを含むことができる。
【0022】
図2を参照すると、3D心臓画像120からの心臓の内面及び外面に適合される適合心臓モデル200の例示的な断面及び空間境界の決定が示されている。適合心臓モデル200に表される、心筋組織205などの組織は、3D心臓画像120に表される組織の上に重ねられて図示される。適合心臓モデル200の外面から、第一の境界210、d1が決定される。第一の境界は、適合心臓モデル200のメッシュ表面からの直交投影によって決定される距離d1の表面として規定される。第一の境界210の外部の組織は、セグメンテーションアルゴリズムの探索空間から除外される。
【0023】
適合心臓モデル200の内面から、第二の境界220、d2が決定される。第二の境界220によって規定される表面によって囲まれた組織、例えば心室ボリュームも、セグメンテーションアルゴリズムの探索空間から除外される。2つの境界決定は、探索空間が、外面と内面との間の心筋組織を、それらに関連する動脈供給とともに含む冠動脈血管樹を含むような距離で行われる。いくつかの実施形態では、境界決定は、適合確率マップに基づいて冠動脈血管樹を含む低い確率を有する適合心臓モデル200から識別される組織を除外する。
【0024】
適合モデル200から、冠動脈の内腔230が位置されることができ、左右の冠動脈の口のような、セグメンテーションアルゴリズムの初期シードポイントが決定されることができる。口は自動的に識別され、医療従事者によって視覚的に確認される。
【0025】
図3を参照すると、例示的な冠動脈確率マップ172が示されている。確率マップ172は、対応する確率に従って暗くされる2Dピクセル、例えば冠動脈血管樹に属するより高い確率を備えるより暗い画素により、3Dマップの2次元(2D)表現として視覚的に図示される。冠動脈確率マップ172の確率は、空間的に配置される3Dボクセルに対応して表される。
【0026】
冠動脈確率マップ172は、冠静脈系のような、相反する構造に対する確率を含むことができる。冠動脈確率マップ172は、適合メッシュモデルの三角形で表されるような、最も近い動脈と心内膜表面との間の代表的な距離値などの距離値を含むことができる。冠動脈確率マップ172は、動脈流に基づく指向性加重確率、例えば、角度が中心線から遠ざかるにつれて低下する確率を備える、内腔の中心線に沿って隣接するボクセルのより高い確率を含むことができる。
【0027】
図4を参照すると、適合心臓モデルに基づいて冠動脈血管樹をセグメント化する方法の実施形態がフローチャートで示されている。400において、3D心臓画像120が受信される。3D心臓画像120は、画像保管通信システム(PACS)、放射線医学情報システム(RIS)、電子医療記録(EMR)などの記憶サブシステムから受信されることができる。3D心臓画像120は、医用イメージング装置110によって生成され、医用イメージング装置110から直接受け取ることができる。
【0028】
410において、心臓モデル140は、3D心臓画像120内の心臓に適合される。適合心臓モデル200は、3D心臓画像120内の心臓の組織表面に適合される、規定される組織表面を含む。第一の境界210及び第二の境界220が適合心臓モデル200から決定される。境界の表面は、探索空間を制限する。冠動脈確率マップ172は、適合心臓モデル200に基づいて適合され、探索空間に含まれる。冠動脈確率マップ172は、心臓モデル140に変形可能にレジストレーションされるセグメント化冠動脈血管樹のサンプリングから構築される。確率はサンプリング分布から計算されることができる。冠動脈確率マップ172は、最も近い動脈への距離尺度、動脈流の方向指標及び/又は分岐閾値を含むことができる。
【0029】
冠動脈血管樹182は、420でセグメント化される。セグメンテーションは、適合心臓モデル200に基づいてシードポイントの探索を用いてシードポイントを識別することを含むことができる。セグメンテーションは、ボクセル、セグメント、又は血管の全体の許容レベルに基づいて確率マップ172を修正又は更新することが含まれる。セグメンテーションは、第一の境界210と第二の境界220によって規定される表面の間のボリュームに探索空間を空間的に制限することを含む。セグメント化冠動脈血管樹182は、各々空間的に配置されるボクセルについて、ボクセルがボクセル内腔に含まれているかを規定するデジタル表現を含む。一実施形態では、デジタル表現は、カルシウム、プラークなどの狭窄部を含むことができる。
【0030】
430において、冠動脈血管樹182は、コンピュータメモリに記憶され、及び/又はディスプレイ装置196に表示される。冠動脈血管樹182又はその部分は、2D投影として表示されることができる。投影は、内部ナビゲーション、異なる視点、色コントラストなどを含むことができる。投影は、ディスプレイ内で強調される直径などの測定値を含むことができる。投影は、狭窄及び/又はプラーク、カルシウムなどの物質の視覚的なコントラストを含むことができる。
【0031】
440では、セグメント化冠動脈血管樹182に基づいて冠血流予備量比(FFR)が計算されることができる。FFRは、血管樹182における狭窄を識別し、評価するために使用されることができる。
【0032】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明した。前述の詳細な説明を読んで理解すると、他の人に修正や変更が行われることがある。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその等価物の範囲内に入る限りにおいて、そのようなすべての改変及び変更を含むものとして構成されることが意図される。
図1
図2
図3
図4