(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所望の出力光パラメータの提供は、前記生成される可視光の色相関温度(CCT)、彩度指数(CSI)、演色評価指数(CRI)、演色値R9、および顕現度のうちの1つ以上を向上させることをさらに含む、請求項1に記載の装置(110A、110B、110C、110D)。
前記少なくとも1つのコンポーネントは、前記少なくとも1つのLEDモジュール(115)の上に堆積させられたカプセル層(114A)である、請求項1に記載の装置(110A)。
前記カプセル層(114A)は、ガラス、ポリマー、ポリマー前駆体、ポリカーボネート、プラスチック材料、熱可塑性または熱硬化性ポリマーまたは樹脂、シリコーン、あるいはシリコーンエポキシ樹脂である、請求項7に記載の装置(110A)。
前記少なくとも1つのコンポーネントは、蛍光体を含むさらなるカプセル層(114B)上に堆積させられたカプセル層(118B)であり、前記さらなるカプセル層(114B)は、前記少なくとも1つのLEDモジュール(115)の上に堆積させられている、請求項1に記載の装置(110B)。
前記少なくとも1つのコンポーネントは、表面にコーティングを有する透明、半透明、または反射性基材(156)を備える光学コンポーネントであり、前記コーティングは前記NdFxOy化合物を含んでいる、請求項1に記載の装置(110C、110D)。
前記基材(156)は、電球、レンズ、および前記少なくとも1つのLEDモジュール(115)を囲むドーム(112)で構成されるグループから選択される拡散体である、請求項11に記載の装置(110C、110D)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
照明装置などの新規な装置が、本明細書において提示され、この装置は、白色光などの可視光を生成するように構成された少なくとも1つのLED(または、OLED)モジュールと、ネオジム(Nd)およびフッ素(F)の元素を含み、さらに随意により1つ以上の他の元素を含む化合物を含んでいる光学コンポーネントなどの少なくとも1つのコンポーネントとを備える。照明装置を、本明細書で説明されるように、生成された可視光を化合物を用いてフィルタリングすることによって所望の光スペクトルをもたらすように構成することができる。典型的には、化合物は、Nd
3+イオンおよびF
−イオンを含む。本発明の目的において、「Nd−F化合物」は、ネオジムおよびフッ化物ならびに随意による他の元素を含む化合物を含むように、広義に解釈されるべきである。
【0018】
一実施形態によれば、少なくとも1つのコンポーネントは、ネオジム(Nd)、フッ素(F)、および酸素(O)をそれぞれの濃度で有しているNdF
xO
yの化合物を含むことができ、ここで、xおよびyの値は、含有比F/Oを決定し、NdF
xO
y化合物の製造(
図6および
図7を参照)の際に、生成された可視光をNdF
xO
y化合物を用いてフィルタリングすることによって実現される少なくとも所望の出力光スペクトルを含む照明装置の所望の出力光パラメータをもたらすように調整可能である。
【0019】
さらに、NdF
xO
y化合物は、(
図9、
図10A、および
図10Bに示されるように)所望の出力光スペクトルをもたらすために約560nm〜600nmの間の波長範囲に所望の吸収ピークを含むことができ、約1.6〜約1.8の所望の吸収ピークにおける所望の屈折率(RI)を有することができる。さらに、種々の照明用途における所望の吸収スペクトルおよびRIに基づいて、xの最適値は、0.3〜0.5の間であってよく、yの最適値は、1.25〜1.33の間であってよい。
【0020】
さらなる実施形態によれば、コンポーネントは、LED(OLED)チップの表面上に複合/カプセル層を含むことができ、NdF
3および/または本明細書に開示の他の化合物などのNd−F化合物を、例えば蛍光体とともにこのカプセル層に混合(分散)させ、好ましい可視光吸収プロファイルを達成することができる。複合/カプセル層は、低温ガラス、ポリマー、ポリマー前駆体、シリコーンまたはシリコーンエポキシ樹脂あるいは前駆体、などを使用して形成することが可能である。
【0021】
別の実施形態によれば、光学コンポーネントは、透明、半透明、反射性、または半透過性(部分的に反射性かつ透過性)基材であってよく、基材の表面のコーティングが、LEDモジュールによって生成された可視光に対し、光学コンポーネントを通過するときに色フィルタリング効果を適用して、例えば約560nm〜約600nmの波長における黄色光の波長範囲の可視光をフィルタリングすることができる。
【0022】
さらに、光学コンポーネントの透明または半透明基材は、電球、レンズ、および少なくとも1つのLEDチップを囲む外囲器など、拡散体であってよい。また、基材は、反射性基材であってよく、LEDチップを、基材の外側に配置することができる。Nd−Fおよび/またはNd−X−F化合物のコーティングを、基材の表面に配置することができ、コーティングの厚さは、色フィルタリング効果の達成に充分でなければならない。厚さは、典型的には、50nm〜1000ミクロンの範囲内であってよく、好ましい厚さは、100nm〜500ミクロンの間である。
【0023】
得られるデバイスは、約530nm〜600nmの間の可視領域に固有吸収を有するNd−F化合物/材料によるフィルタリングを使用する光パラメータの改善を呈し、CSI(彩度指数)、CRI(演色評価指数)、R9(演色値)、顕現度(照明選好指数、LPI)、などを向上させることができる。R9は、CRIの計算に使用されない6つの飽和試験色のうちの1つとして定義される。「顕現度」は、本出願と同時に係属中であり、本出願と所有者が共通であり、ここでの言及によって関連部分が本明細書に援用される2014年9月9日に出願された国際出願PCT/US2014/054868号(2015年3月12日に国際公開第2015/035425号として公開)に記載されたLPIの一変種に基づく放射光のパラメータである。
【0024】
一実施形態においては、LEDパッケージおよびチップオンボード(COB)アレイにおいてより少ない散乱損失を達成すべくカプセル材料のRIを一致させるために、比較的低い屈折率(RI)のNd−F材料(1.6程度のRIを有するNdF
3など)を利用することが好都合である。さらに、約580nmにおける吸収を広げ、したがっておそらくはR9カラーチップの演色性を高めるために、Nd−X−F材料に電気陰性「X」原子(ここで、Xは、例えば、O、N、S、Cl、などであってよい)を取り入れることによって吸収スペクトルを調整できることが、さらに好都合である。上記のいずれも、色調整の目的でカプセル材料に配合することができる。適切なNd−FまたはNd−X−F材料(以下でさらに完全に定義される)を選択することで、RIの不一致に起因する散乱損失を最小限に抑えることができる。Nd−F化合物は、一般に、約380〜450nmの波長範囲では活性化されることがないため、Nd−F化合物の使用は、短いUV波長を含むLED照明用途における使用においても好都合であり得る。
【0025】
別の実施形態によれば、Nd−F化合物は、フッ化ネオジム(NdF
3)、またはオキシフッ化ネオジム(例えば、NdO
xF
y(ここで、Nd
4O
3F
6など、2x+y=3))、または外来の水および/または酸素を含むフッ化ネオジム、または水酸化フッ化ネオジム(例えば、Nd(OH)
aF
b(ここで、a+b=3))、または以下の説明から容易に明らかになると考えられるネオジムおよびフッ化物を含む多数の他の化合物を含むことができる。いくつかの用途において、Nd−F化合物は、低損失の混合物をもたらすべく選択されたポリマー材料に一致する屈折率など、比較的低い屈折率を有することができる。そのようなNd−F材料の1つは、約1.6の屈折率を有するフッ化ネオジム(NdF
3)であると考えられ、散乱損失を最小にすべく特定のポリマーマトリクス材料との屈折率の整合のための適切に低い屈折率をもたらす。
【0026】
さらなる実施形態によれば、他のNd−F化合物/材料を、本明細書に記載のように好都合に使用することができる。例えば、Nd−Fを含有する他の化合物の例として、これに限られるわけではないが、Nd−X−F化合物を挙げることができる。Xは、上述のようにO、N、S、Cl、などであってよいが、Xは、フッ素と化合物を形成することができる少なくとも1つの金属元素(Nd以外)であってもよい。例は、Na、K、Al、Mg、Li、Ca、Sr、Ba、またはYなどの金属元素、あるいはこのような元素の組み合わせである。例えば、Nd−X−F化合物は、NaNdF
4を含むことができる。Nd−X−F化合物のさらなる例として、XがMgおよびCaであってよく、あるいはMg、Ca、およびOであってよい化合物、ならびにネオジムでドープされたペロブスカイト構造を含むNd−Fを含む他の化合物を挙げることができる。特定のNd−X−F化合物は、好都合には、約580nmの波長においてより広い吸収を可能にすることができる。オキシフッ化ネオジム化合物は、さまざまな量のOおよびFを含むことができる(オキシフッ化ネオジム化合物は、典型的には、さまざまな量の酸化ネオジム(ネオジミア)Nd
2O
3およびフッ化ネオジムNdF
3から誘導される)がゆえに、オキシフッ化ネオジム化合物は、Nd−O化合物の屈折率(例えば、ネオジミアにおける1.8)とNd−F化合物の屈折率(例えば、NdF
3における1.60)との間の選択された屈折率を有することができる。ネオジムでドープされたペブロスカイト構造材料の例として、これらに限られるわけではないが、例えばNa、K、Al、Mg、Li、Ca、Sr、Ba、およびYの金属フッ化物などのネオジム化合物(例えば、NdF
3)よりも低い屈折率を有する少なくとも1つの成分を含む材料を挙げることができる。このような「ホスト」化合物は、可視光スペクトルにおいてNdF
3よりも低い屈折率を有することができ、その例として、589nmの波長において、NaF(n=1.32)、KF(n=1.36)、AlF
3(n=1.36)、MgF
2(n=1.38)、LiF(n=1.39)、CaF
2(n=1.44)、SrF
2(n=1.44)、BaF
2(n=1.48)、およびYF
3(n=1.50)を挙げることができるが、これらに限られるわけではない。例えばNdF
3などの高屈折率のNd−F化合物でのドープの結果として、得られるドープされたペロブスカイト構造化合物は、ホストの屈折率(例えば、MgF
2における1.38)とNdF
3の屈折率(1.60)との間の屈折率を有することができる。NdF
3でドープされた金属フッ化物化合物の屈折率は、Ndと金属イオンとの比に依存する。
【0027】
NdF
3の屈折率は約1.60である。したがって、場合により、シリコーン(約1.51の屈折率を有することができる)との比較的良好なRI一致の混合物をもたらすと考えることができる。NdF
3をNdを含んでいても、含んでいなくてもよい別の材料と混合することにより、さらに良好な一致を得ることができる。例えば、NaNdF
4は約1.46のRIを有する。したがって、NdF
3をNaFまたはNaNdF
4などの別の材料と適切に混合することによって、混合物の屈折率をシリコーンの屈折率にさらに良好に一致させることができる。
【0028】
図2は、波長の関数として、曲線22によって表されるシリコーンに分散させたフッ化ネオジムの可視スペクトルにおける吸収(反射技術によって測定)を、曲線20によって表される標準的なネオジムガラス(例えば、Ndガラスのための組成物としてNa
2O−Nd
2O
3−CaO−MgO−Al2O
3−K
2O−B
2O
3−SiO
2を使用)と比較するグラフである。それぞれの材料が、とりわけ黄色(例えば、約570nm〜約590nm)領域において、多数の同じ吸収の特徴を共有していることが明らかである。使用に際して、LEDチップ/ダイをカプセル材料(例えば、シリコーン、エポキシ、アクリル、など)で包むことができ、カプセル材料は、本明細書においてさらに詳述されるように、LEDチップ上またはLEDチップのアレイ(例えば、チップオンボードアレイ、すなわちCOBアレイ)上に直接堆積させたシリコーン中のNdF
3などのNd−FまたはNd−F−O系材料を含むことができる。
【0029】
図3は、曲線32によって表されるとおり、シリコーンへと混合され、市販のLEDパッケージ(NICHIA 757)上に直接堆積させられ、すなわちこのLEDパッケージを包むNdF
3の発光スペクトルを比較するグラフである。
図3から分かるように、スペクトルは、曲線30によって表される基本のNITCHIA 757 LEDの発光スペクトルと比較して、約570nm〜約590nmの領域内の1つまたは複数の領域において顕著な落ち込みが見られる点で、きわめて異なっている。
【0030】
図4は、波長の関数として、曲線42によって表されるシリコーンへと混合され、COBアレイ(TG66)上に直接堆積させられたNdF
3の発光スペクトルを、曲線40によって表される基本のTG66 COBアレイの発光スペクトルと比較するグラフである。曲線42によって表されるスペクトルは、
図3の曲線32と同様である。
【0031】
上記の例は、以下の照明指標、すなわちCSI、CRI、R9、白色度(すなわち、白色体の軌跡への近さ)、などのうちの少なくとも1つを向上させるために、LEDパッケージまたはアレイのカプセル材料の一部として適用される色フィルタリング吸収材料としてのNd−F材料(例えば、NdF
3)の有用性を証明している。下記の表1が、
図3および
図4に示した例における結果としての性能を、Ndガラスを含む従来からのLEDと比較して示している。
【0032】
【表1】
上記の表1から分かるように、NICHIA 757 LEDデバイスは、一般に、236というルーメン/ワット値を有する。シリコーン中のカプセル材料としてNdF
3を用いた場合、CRI(演色/彩度評価数)は92であり、R9(赤色チップの演色評価値)は60という値を有し、色域指数(gamut area index:GAI)は49であり、発光のLPI(本明細書で定義される)に基づく顕現度は110である。LEDチップのTG66アレイ(COBアレイ)をNdF
3を含むシリコーンで包んだ場合、CRIは90になり、R9値は39であり、GAIは50であり、「顕現度」はやはり110である。これらの値は、表1の最下段に示されているとおりの白色LEDと組み合わせたNdガラスの色フィルタリング効果によく匹敵する。参照のために、3つの場合のすべてについて、色度座標(CCXおよびCCY)およびCCT(色相関温度)の値が示されている。
【0033】
Nd−F材料は、単に
図3および
図4の例のようにフッ化ネオジム(NdF
3)である必要はない。Nd−F材料は、Nd−X−F化合物(Xは、上述したとおりの他の元素または元素の組み合わせを表し、Fに化学的に結合している)のうちの任意の1つであってもよい。このようにして、そのようなNd−X−F材料は、以下の照明指標、すなわちCSI、CRI、R
9、白色度(すなわち、白色体の軌跡への近さ)、などのうちの少なくとも1つを向上させることができる。
【0034】
例えば、
図5は、シリコーンへと混合され、市販のLEDパッケージ(CCTが4000KのNICHIA 757)上に直接堆積させられ、したがってこのLEDパッケージを包むNd−F−Oについて、波長の関数として曲線52によって表される発光スペクトルを比較するグラフである。
図3および
図4の例と同様に、スペクトル52は、曲線50によって表される基本のNITCHIA 757 LEDの発光スペクトルと比較して、約570nm〜約590nmの領域内の1つまたは複数の領域において顕著な落ち込みを有している。
【0035】
下記の表2は、市販のLEDパッケージ(CCTが4000KのNICHIA 757)上に直接堆積させられたシリコーン中のNd−F−Oについての
図5に示した例の結果として得られた性能を、シリコーンカプセル材料を有する従来からのLED(CCTが4000KのNICHIA 757)ならびにネオジミア(Nd
2O
3)およびフッ化ネオジム(NdF
3)でドープされた他の種類のシリコーンカプセル材料と比較して示している。表2は、表1と同様のパラメータを、上記材料のCSI(彩度指数)パラメータを加えて列挙している。
【0036】
【表2】
Nd
2O
3においては、その高いRIゆえに、NdFOまたはNdF
3よりも散乱損失が大きくなると考えられることに、注意すべきである。しかしながら、NdFOは、CSIとLPIとの間のバランスにおいて、より良好な性能を有する。Nd
2O
3と比較して、NdF
3などのNd−F化合物は、単独またはNdFO材料との混合において、散乱損失を最小限に抑えるためのより低いRIを有する。さらに、Nd
2O
3と比較したとき、NdF
3などのNd−F化合物は、単独またはNdFO材料との混合において、LED光のスペクトルに対して望ましい黄色吸収ピークを可能にし、ルーメンをあまり犠牲にすることなくより高いCSIを達成することができる。参照のために、4つの場合のすべてについて、色度座標(CCXおよびCCY)、CCT、およびCRIの値が示されている。
【0037】
特定の実施形態においては、散乱損失を最小にすべく屈折率をカプセル材料に一致させるように、Nd−F材料またはNd−F−O材料あるいはNd−X−F材料を選択することができる。或るNd−F材料(例えば、フッ化ネオジム)を他のNd−X−F材料(例えば、オキシフッ化ネオジム)と混合することも可能である。Nd−X−F化合物における元素「X」を、スペクトルを「R9曲線」により良好に一致させるために、580nm付近の領域における吸収を調整するように選択することができる。
【0038】
いくつかの実施形態においては、Nd−F材料(本明細書に記載されるすべてのNd−X−F材料を広く包含する)を、蛍光体などの1つ以上の発光材料と一緒にカプセル材料へと配合することができる。例えば、Nd−F色フィルタリング材料を、黄緑色の蛍光体および/または赤色の蛍光体と混合することができる。例えば、Nd−F材料を、CeドープYAG蛍光体および/またはEu
2+ドープCaAlSiN赤色蛍光体などの従来からの赤色チッ化物蛍光体と混合することができる。別の例では、Nd−F−O材料を、青色に発光するNICHIA 757 LEDを包むシリコーンにおいてYAG:Ce蛍光体および赤色チッ化物蛍光体と混合することができる。ミー散乱理論ゆえに、Nd−F−Oを加えることによって、YAG:Ce蛍光体および赤色チッ化物蛍光体からの発光を強めることができる。
【0039】
さらなる実施形態によれば、Nd−F−O化合物は、所望の色フィルタリング効果をもたらし、LED光装置の他の出力光パラメータを改善するために、フッ素および酸素をさまざまな含有量/組成にて含むことができ、したがって比F/Oの変更に相当するさまざまなxおよびyを有するNdF
xO
y化合物と一般的に表すことが可能である。さまざまなxおよびyならびにそれらの比x/yを有するNdF
xO
y化合物のいくつかの典型的な製造方法が、以下に記載される。
【0040】
例えば、NdF
xO
y化合物を、
図6に示される典型的な固体反応プロセス/方法60(乾式プロセス)によって調製することができる。この方法によれば、NdF
xO
yを、ステップ62においてNd
2O
3およびNdF
3粉末材料を所定の重量比で混合し、次いでステップ64において、混合した材料の焼成/焼結を窒素(N
2)ガスまたはアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスの保護雰囲気下で高温(800℃よりも高い)にて行うことで、所望の固体NdF
xO
y材料を形成することによって調製することができる。この方法によれば、Nd
2O
3およびNdF
3粉末材料の所定の重量比が、形成されるNdF
xO
y材料における比F/O(または、x/y)を決定することができる。例えば、Nd
2O
3とNdF
3との重量比が80%対20%である場合、得られるNd−F−O材料は、NdF
0.33O
1.33という組成を有することができる。さらなるステップ66,68を使用して、さまざまな粒子サイズの提供/調整のための粉砕(ステップ66)、および例えば振動式篩を用いて所定の粒子サイズを有する粒子を選択するメッシュスクリーンによる篩い分け(ステップ68)を含むさらなる処理が可能である。
【0041】
あるいは、FおよびO(あるいは、xおよびyでも同じ)を所望の濃度/比にて有するNdF
xO
y材料を、
図7に示されるように、Nd
2O
3出発材料から典型的な湿式化学プロセス/方法70を使用して調製することができる。ステップ72において、(例えば、粉末の形態の)Nd
2O
3材料を、塩酸(HCl)などのハロゲン化水素酸に溶解させることができる。次いで、ステップ74において、溶解したNd
2O
3をNH
4HCO
3などの塩でさらに沈殿させて、沈殿した(固体の)塩を形成することができる。所望のNdF
xO
y材料の形成を、ステップ76において、沈殿した塩を流動するフッ素ガス(F
2)またはフッ化水素酸(HF)と反応させることによるフッ素化プロセスを用いて、実行することができる。形成されるNdF
xO
y材料における所望のFおよびOの含有量ならびに/あるいはF/O比(x、y、およびx/y比に相当)を、F
2の流量の調整またはHF酸の濃度の変更によってもたらすことができ、さらには温度、反応時間、などを調整することによってもたらすことができる。プロセス70は、通常は、形成されたNdF
xO
y材料の洗浄および乾燥(ステップ78)によって終了する。
【0042】
図7のプロセス70が、改変可能であり、ステップ74を省略でき、ステップ76を、ハロゲン化水素酸に溶解したNd
2O
3をHF酸で沈殿させることによって実行できることに、留意されたい。
図6または
図7に示したステップの正確な順序または順番は、必須ではなく、原則として、種々のステップを、例示した順序以外の順序で実行してもよいことに、留意されたい。また、特定のステップを省略してもよく、別のステップの追加または別のステップによる置き換えが可能であり、あるいは選択されたステップまたはステップのグループを、本明細書に記載の実施形態に従って別の用途において実行することが可能である。
【0043】
図6および
図7に示した方法を用いて製造されたNdF
xO
y化合物は、単結晶相を有することができるが、結晶構造/結晶系は、種々のF/O比を有するNdF
xO
y材料についてX線回折(XRD)結果を示している
図8に示されるように、異なるF/O比を有するNdF
xO
y化合物について異なってもよい。曲線80は、六方晶の結晶相構造を有するNdF
3(酸素を有していない)に対応する。曲線82は、正方晶の結晶相構造を有する85/15のF/O比を有するNdF
xO
yに対応する。曲線84は、六方晶の結晶相構造を有する55/45のF/O比を有するNdF
xO
yに対応する。曲線86は、菱面体晶の結晶相構造を有する65/35のF/O比を有するNdF
xO
yに対応する。
【0044】
図9は、波長の関数として、曲線90によって表されるオキシフッ化ネオジムNdF
0.33O
1.33(80%の酸化ネオジムNd
2O
3および20%のフッ化ネオジムNdF
3で構成)の可視スペクトルにおける吸収(反射法により測定)を、曲線94によって表される酸化ネオジムNd
2O
3および曲線92によって表されるフッ化ネオジムNdF
3の吸収と比較するグラフである(すべての試料は、粉末試料である)。それぞれの材料が、とりわけ黄色領域の周囲(例えば、約560nm〜約610nm)において、多数の同じ吸収の特徴を共有していることが明らかである。(NdF
0.33O
1.33についての)曲線90が、589nm付近に吸収ピークを有する一方で、(NdF
3についての)曲線92の吸収ピークは、青緑色領域に向かって赤方移動しており、LEDにて生成されてNdF
3化合物を含むフィルタによってフィルタリングされた光について、CCTの低下およびより白い外観を生じさせる可能性がある。さらに、(Nd
2O
3についての)曲線94の吸収ピークは、約610nmに向かって移動し、LEDにて生成されてNd
2O
3化合物を含むフィルタによってフィルタリングされた光について、より白い外観およびR9の向上を生じさせる可能性がある。
【0045】
図10Aおよび
図10Bは、FとOとの比がさまざまであるNdF
xO
yおよびフッ化ネオジムNdF
3について、可視スペクトルにおける吸収(反射技術によって測定)を比較する典型的なグラフである。
【0046】
図10Aは、種々のF/O比のNdF
xO
yおよびNdF
3の粉末材料について、吸収スペクトル測定(反射技術を使用)の結果を示している。曲線100は、579nmに吸収ピークを有するNdF
3についての曲線である。曲線102は、F/O比が85/15であり、583nmに吸収ピークを有しているNdF
xO
yについての曲線である。曲線104は、F/O比が65/35であり、587nmに吸収ピークを有しているNdF
xO
yについての曲線である。曲線106は、F/O比が55/45であり、601nmに吸収ピークを有しているNdF
xO
yについての曲線である。これらの結果は、NdF
3の吸収ピークからの酸素含有量の増加につれてのNdF
xO
yの吸収ピークの緩やかな赤方移動106を示している。
【0047】
図10Bは、種々のF/O比のNdF
xO
yおよびNdF
3でドープされたプラスチック材料について、吸収スペクトル測定(反射技術を使用)の結果を示している。曲線101は、579nmに吸収ピークを有するNdF
3についての曲線である。曲線103は、F/O比が65/35であり、589nmに吸収ピークを有しているNdF
xO
yについての曲線である。曲線105は、F/O比が55/45であり、600nmに吸収ピークを有しているNdF
xO
yについての曲線である。これらの結果は、NdF
3の吸収ピークからの酸素含有量の増加につれてのNdF
xO
yの吸収ピークの(
図10Aと)同様の緩やかな赤方移動107を示している。
【0048】
下記の表3が、基本のLED(NICHIA NF2L757Dv1中出力LED)を使用し、NdF
xO
y(F/O比は65/35)によるドープあり、NdF
3によるドープあり、およびドープなしのプラスチック材料(TEIJIN 2250ポリカーボネートプラスチック材料)を用いたフィルタリング出力光を有するLEDの性能の概要を示している。結果は、出力光がNdF
xO
yでドープされたプラスチック材料によってフィルタリングされるLEDについて、CCTが3018℃(基本のLED)から3079℃へと向上し、CRIが82(基本のLED)から94へと向上し、R9(赤色チップの演色評価値)が16から89へと向上するなど、性能の顕著な向上/改善を示している。出力光がNdF
3でドープされたプラスチック材料によってフィルタリングされるLEDの性能も、或る程度の小さな改善(例えば、CRIが89.8に向上し、R9が34に向上している)を示しているが、NdF
xO
yでドープされたプラスチック材料と比べて顕著でない。また、NdF
3でドープされたプラスチック材料においては、CCTが基本のLEDの3018℃から2845℃に低下している。
【0049】
【表3】
図11A〜
図11Dは、好ましい可視光吸収/生成特性を達成するためにNd−F化合物(または、NdF
xO
yなどの本明細書に記載のとおりのNd−X−F化合物)を蛍光体とともに取り入れている本発明の種々の実施形態によるLED系照明装置110A、110B、110C、および110Dの種々の例(ただし、これらに限られるわけではない)を示している。
図11A〜
図11Dにおいて、LED系照明装置110A、110B、110C、または110Dは、プリント回路基板(PCB)116に実装されたLEDチップ115を囲む光学的に透明または半透明の基材であってよいドーム112を含む。リードが、LEDチップ115へと電流を供給し、LEDチップ115を発光させる。LEDチップは、任意の半導体光源であってよく、とくには発せられた放射線が蛍光体へと向けられたときに白色光を生み出すことができる青色または紫外の光源であってよい。とくには、半導体光源は、約200nmよりも長くかつ約550nmよりも短い発光波長を有するIn
iGa
jAl
kN(ここで、0≦i、0≦j、0≦k、かつi+j+k=1)と一般的に表されるチッ化物化合物半導体に基づく青色/紫外発光LEDであってよい。より具体的には、チップは、約400〜約500nmのピーク発光波長を有する近UVまたは青色発光LEDであってよい。さらにより具体的には、チップは、約440〜460nmの範囲にピーク発光波長を有する青色発光LEDであってよい。このようなLED半導体は、技術的に公知である。
【0050】
図11Aに示される一実施形態によれば、ポリマー複合層(カプセル化合物)114Aは、本明細書に記載の種々の実施形態に従い、好ましい可視光吸収/生成特性を付与するために、蛍光体と混合されたNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物を含むことができる。この化合物層114Aを、LEDチップ115の表面に直接配置し、放射に関してチップに結合させることができる。「放射に関して結合」は、LEDチップからの放射線が蛍光体へと伝わり、蛍光体が異なる波長の放射線を放出することを意味する。特定の実施形態において、LEDチップ115は青色LEDであってよく、ポリマー複合層は、Nd−Fとセリウムをドープしたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(すなわち、Ce:YAG)などの黄緑色蛍光体との混合物を含むことができる。LEDチップによって発せられた青色光は、ポリマー複合層の蛍光体によって発せられる黄緑色光と混ざり合い、正味の発光は、Nd−Fによってフィルタリングされた白色光として現れる。したがって、LEDチップ115は、カプセル材料層114Aによって囲まれてよい。カプセル材料は、低温ガラス、熱可塑性または熱硬化性ポリマーまたは樹脂、あるいはシリコーンまたはエポキシ樹脂であってよい。LEDチップ115およびカプセル材料層114Aは、シェル(ドーム112によって制限される)内に包まれてもよい。あるいは、LED装置110Aは、カプセル材料層114Aのみを含み、外側のシェル/ドーム112を含まなくてもよい。さらに、散乱粒子をカプセル材料に埋め込んでもよい。散乱粒子は、例えば、アルミナ(Al
2O
3)、シリカ(SiO
2)、またはチタニア(TiO
2)であってよい。散乱粒子は、LEDチップから発せられる指向性の光を、好ましくは無視できる程度の吸収量にて、効果的に散乱させることができる。
【0051】
LEDチップの表面上にNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
yを含むポリマー複合層を形成するために、粒子を、ポリマーまたはポリマー前駆体、とくにはシリコーンまたはシリコーンエポキシ樹脂あるいはその前駆体に、分散させることができる。このような材料は、LEDのパッケージングにおいて周知である。分散混合物は、任意の適切なプロセスによってチップ上に塗布され、より大きい密度または粒子サイズ、あるいはより大きい密度およびより大きい粒子サイズを有する粒子が、LEDチップに近接する領域に優先的に沈降し、傾斜組成を有する層を形成する。沈降は、ポリマーまたは前駆体の塗布または硬化の最中に生じることができ、技術的に公知のとおり、遠心プロセスによって促進することができる。例えば粒子の密度およびサイズならびにプロセスパラメータなど、蛍光体およびNd−F(例えば、Nd−X−Fおよび/またはNdF
xO
y)の分散のパラメータを、蛍光体成分によって生成される光についてNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物による適切なフィルタリングをもたらすために、Nd−F(例えば、Nd−X−Fおよび/またはNdF
xO
y)化合物よりも蛍光体材料の方がLEDチップ115の近くに位置するように選択できることに、さらに留意されたい。
【0052】
図11Bに示される別の典型的な実施形態においては、蛍光体層114Bが、従来からのやり方で製造されるカプセル材料層であってよく、Nd−F(例えば、Nd−X−Fおよび/またはNdF
xO
y)化合物を有する別のカプセル材料層118Bを、例えばポリマーまたはポリマー前駆体における適切な従来からの堆積/粒子分散技術を使用して、蛍光体層114Bの上に堆積させることができる。
【0053】
図11Cに示されるさらなる典型的な実施形態においては、Nd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y複合層118Cでドーム(シェル)112の外面をコーティングすることができる。コーティング層118Cの働きは、
図11BのNd−F(例えば、Nd−X−Fおよび/またはNdF
xO
y)化合物を有するカプセル材料層118Bの働きと同様である。あるいは、
図11Cにおけるコーティング118Cを、ドーム112の内面に堆積させることができる。ドーム/基材のコーティングに関するさらなる実施の詳細は、
図12〜
図15を参照して論じられる。ドーム112自体は、透明または半透明であってよいことに、留意されたい。
【0054】
またさらなる典型的な実施形態においては、
図11Dに示されるように、ドーム(シェル)112を、ドーム112の外面のNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y複合層/コーティング118D、ならびにドーム112の内面の蛍光体コーティング層114Dの両方を堆積させるために使用することができる。この手法について、さまざまな変種が存在し得ることに、さらに留意されたい。例えば、コーティング114Dおよび118Dの両方を、ドーム112の一方の表面(外面または内面)に、コーティング118Dよりも蛍光体コーティング114Dの方がLEDチップ115の近くに位置するように堆積させることができる。また、コーティング114Dおよび118D(ドーム112の一方の表面に堆積させられる場合)を、
図11Aのカプセル化合物層114Aと同様の1つの層に組み合わせることができる。
図11Dに示した例の種々の変種を実現するために、ドーム112自体を透明、半透明、または半透過性にできることに、留意されたい。
【0055】
所望の色フィルタ効果を生じさせるNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物を含むコーティングを使用するLED系照明装置のいくつかの例(ただし、これらに限られるわけではない)を、以下に示す。
【0056】
図12が、本発明の一実施形態によるエリア照明用途に適したLED系照明装置である。LED系照明装置(「照明ユニット」または「ランプ」とも呼ばれることもある)は、ほぼ全方向の照明能力をもたらすように構成されたLEDランプ120である。
図12に示されるように、LEDランプ120は、電球122と、コネクタ124と、電球122とコネクタ124との間の基部126と、電球122の外面上のコーティング128とを含む。コーティング128は、本明細書に記載のNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物を含む。他の実施形態においては、電球122を、他の透明または半透明基材によって置き換えることができる。あるいは、コーティング128で、透明または半透明であってよい電球122の内面を覆うことができる。
【0057】
図13が、本発明のさらなる実施形態によるLED系照明装置130である。
図13に示されるように、LED系照明装置は、天井ランプ130(LEDチップは図示されていない)である。天井ランプ130は、半球形の基材132と、Nd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物を含むコーティング138とを含み、コーティング138は、半球形の基材132の内面に位置する。あるいは、コーティング138で、透明または半透明であってよい半球形の基材132の外面を覆うことができる。
【0058】
図14が、本発明のさらなる実施形態によるLED系照明装置である。
図14に示されるように、LED系照明装置は、レンズ140であり、レンズ140は、平坦な基材142を含む。この実施形態において、平坦な基材142は、その外面にNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物のコーティング(図示せず)を含む。
【0059】
図15が、本発明のさらなる一実施形態によるLED系照明装置150である。LED系照明装置150は、電球(ドーム)152と、少なくとも1つのLEDチップ155と、反射性基材156とを含む。反射性基材156は、LEDチップ155によって生成された可視光を反射させるように構成される。本明細書に記載の実施形態において、反射性基材156は、その外面に、所望のフィルタリングを提供するために、Nd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物のコーティング(図示せず)を含む。
図15においては、ドーム(152)を拡散材料で構成することで、LEDからの光のうちの特定の量を通過させ、特定の量を再び空洞へと反射させることができる(これらの量は、ドーム材料の拡散性の程度に依存する)。反射光は、ドーム152の拡散性に応じて、鏡面反射または拡散反射させられる。ドーム152からのこれらの拡散および/または鏡面反射は、本明細書に記載の実施形態のうちの1つに従ってコーティングされた反射性基材156に入射する。あるいは、ドーム152を半反射性の広帯域材料で構成して、同じ機能をもたらすことができる。
【0060】
Nd3+イオンおよびF−イオンを含む化合物を含む本明細書に記載のコーティング材料は、光学散乱(拡散)効果をほとんど有さなくてもよく、あるいはコーティング材料を通過する光に大きな光学散乱を引き起こしてもよい。散乱角度を大きくするために、コーティングは、有機または無機材料の個別の粒子を含むことができる。あるいは、有機または無機材料は、Nd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物の個別の粒子(例えば、一部または全体がNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物で形成される)だけで構成されてよく、さらには/あるいはNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物の個別の粒子(例えば、一部または全体がNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物で形成される)と少なくとも1つの他の異なる材料で形成された粒子との混合物で構成されてよい。
【0061】
一実施形態において、有機または無機材料の適切な粒子サイズは、約1nm〜約10ミクロンであってよい。
図12に示したLEDランプ120において、LEDランプ120が全方向の照明を達成できるように散乱角度を最大化するために、粒子サイズを、レイリー散乱の効率を最大化すべく300nmよりもはるかに小さくなるように選択することができる。
【0062】
限定を意図するものではないが、Nd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物のコーティングは、例えば、スプレーコーティング、ローラコーティング、メニスカスもしくは浸漬コーティング、スタンピング、スクリーン印刷、ディスペンシング、ローリング、はけ塗り、接着、静電塗装、または均一な厚さのコーティングをもたらすことができる任意の他の方法によって適用することができる。以下で、基材上にNd−Fおよび/またはNd−X−F化合物のコーティングをもたらす方法の3つの例(ただし、これらに限られるわけではない)を説明する。
【0063】
一実施形態においては、
図12に示されるように、接着法によって電球122をコーティング128で覆うことができる。LEDランプ120は、電球122とコーティング128との間に接着層(図示せず)を含むことができ、接着層は、有機接着剤または無機接着剤を含むことができる。有機接着剤は、エポキシ樹脂、有機シリコーン接着剤、アクリル樹脂、などを含むことができる。無機接着剤は、ケイ酸塩無機接着剤、硫酸塩接着剤、リン酸塩接着剤、酸化物接着剤、ホウ酸塩接着剤、などを含むことができる。
【0064】
別の実施形態においては、
図12に示されるように、スプレーコーティング法によって電球122の外面をコーティング128で覆うことができる。まず、例えばNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物と、二酸化シリコーンと、DISPEX A40などの分散剤と、水と、随意によるTiO
2またはAl
2O
3とを含む液体混合物が形成される。続いて、形成された液体混合物が、電球122へと噴霧される。最後に、電球122が養生され、コーティングされたLEDランプ120が得られる。
【0065】
一実施形態においては、
図12に示されるように、静電塗装法によって電球122の外面をコーティング128で覆うことができる。まず、例えばNd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物と、SiO
2と、Al
2O
3とからなる帯電粉末が製造される。続いて、粉末が、逆極性に帯電させた電球122へとコーティングされる。
【0066】
本発明の別の実施形態において、スプレーコーティング法および静電塗装法の両方は、有機溶媒または有機化合物を含まない材料を使用することができ、これにより、LED光装置の耐用年数を延ばし、スルホン化によって典型的に引き起こされる変退色を回避することができる。
【0067】
さらなる実施形態において、コーティングにおけるNdF
3または別のNd
3+イオン源(例えば、Nd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物を使用する)の重量パーセントは、1%〜約20%の間であってよい。1つの特定の実施形態において、コーティングにおけるNdF
3または別のNd
3+イオン源の重量パーセントは、約1%〜約10%の範囲にあってよい。他の実施形態において、コーティングは、光の屈折を促進して白色の反射性の外観を得るために、Nd−F、Nd−X−F、および/またはNdF
xO
y化合物よりも屈折率の大きい添加剤をさらに含んでもよい。添加剤は、TiO
2、SiO
2、およびAl
2O
3などの金属酸化物または非金属酸化物から選択することができる。
【0068】
とくに明記しない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書において使用されるとき、「第1の」、「第2の」、などの用語は、いかなる順序、量、または重要性も意味するものではなく、むしろ或る要素と別の要素とを区別するために使用される。また、単数形での記述(「1つの(a、an)」)は、量の限定を意味するものではなく、むしろそこで言及される項目が少なくとも1つ存在することを意味する。本明細書における「・・・を含む(including)」、「・・・を備える(comprising)」、または「・・・を有する(having)」、ならびにこれらの変種の使用は、そこに列挙される項目およびその均等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。用語「接続(connected)」および「結合(coupled)」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的であるか間接的であるかを問わず、電気的および光学的な接続または結合を含むことができる。
【0069】
さらに、当業者であれば、異なる実施形態からのさまざまな特徴を相互に交換できることを、理解できるであろう。当業者であれば、上述した種々の特徴ならびに各特徴の他の公知の均等物を混ぜ合わせて組み合わせ、本開示の原理に従うさらなるシステムおよび技術を構築することが可能である。
【0070】
特許請求される装置の選択肢としての実施形態の説明において、分かり易くするために、具体的な専門用語を使用した。しかしながら、本発明は、そのように選択された具体的な専門用語に限定されない。したがって、各々の具体的な要素が、同様のやり方で動作して同様の機能を実現するすべての技術的等価物を含むことを、理解すべきである。
【0071】
以上の説明が、例示を意図しており、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の技術的範囲を限定しようとするものではないことを、理解すべきである。他の実施形態が、以下の特許請求の範囲の技術的範囲に含まれる。
【0072】
本明細書に記載されて特許請求される種々の実施形態(ただし、これらに限られるわけではない)を、具体的な用途に合わせ、個別に使用しても、組み合わせても、あるいは選択的に組み合わせてもよいことに、注意すべきである。
【0073】
さらに、上記の実施形態(ただし、これらに限られるわけではない)の種々の特徴のいくつかを、他の記載される特徴を対応して使用しなくても、好都合に使用することが可能である。したがって、前述の説明は、本発明の原理、教示、および典型的な実施形態の単なる例示と考えられるべきであり、本発明を限定するものではないと考えられるべきである。