(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
異なる吸収スペクトルを有する少なくとも2種の異なる光開始剤を含む光切り替え可能な接着性組成物を使用者の皮膚に適用するため、および前記皮膚表面から前記光切り替え可能な接着性組成物を除去するための方法であって、
−切り替え可能な接着剤を含む接着性組成物を提供するステップ、
−前記使用者の前記皮膚に適用された前記切り替え可能な接着剤を可視光に暴露し、それによって、前記切り替え可能な接着剤を適用状態から着用状態へと切り替えるステップ、
−前記切り替え可能な接着剤をUV光に暴露し、それによって、前記切り替え可能な接着剤を着用状態から除去状態へと切り替えるステップ、
を含み、
前記異なる吸収スペクトルを有する少なくとも2種の異なる光開始剤が、第1の光開始剤と第2の光開始剤を含み、前記第1の光開始剤はスペクトルの可視およびUV部分の両方における波長によって活性化される光開始剤であり、前記第2の光開始剤はUVスペクトルのみの光によって活性化される光開始剤である、方法。
前記2種の異なる光開始剤が、α−ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾフェノン/α−ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチル−ケタール、アミノケトン、アシルホスフィン誘導体、モノアシルホスフィン(MAPO)、MAPO/α−ヒドロキシケトン、ビスアシルアホスフィン(BAPO)、BAPO分散体、BAPO/α−ヒドロキシケトン、酸化ホスフィン、メタロセン、イオニウム塩、チオキサントン誘導体、プロピレンカーボネート中トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩の混合物、プロピレンカーボネート中トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩の混合物、アンホルキノン誘導体、ベンジル誘導体、アントラキノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ポリシラン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、(ベンゼン)トリカルボニルクロニウム、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ジベンゾスベレノン、フェロセン、メチルベンゾイルホルメートおよびそれらの混合物からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の方法。
前記接着性組成物が、アクリレートポリマー、アクリレートコポリマーおよびポリウレタンポリマーからなる群から選択される粘着性ポリマーを含む、請求項1または2に記載の方法。
前記着用状態の前記接着性組成物が、本明細書に記載の通りに測定した場合、前記適用状態におけるよりも高い複素粘度を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記接着性組成物が、本明細書に記載の通りに測定した場合、前記除去状態において、前記着用状態におけるよりも低い剥離力を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
前記接着性組成物が、可塑剤、油、粘着付与剤、充てん剤および粘度改質剤からなる群から選択される1つ以上の追加成分をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
異なる吸収スペクトルを有する少なくとも2種の異なる光開始剤を含む光切り替え可能な接着性組成物を使用者の皮膚に適用するため、および前記皮膚表面から前記光切り替え可能な接着性組成物を除去するための方法に使用するための、光切り替え可能な接着性組成物であって、前記方法が、
−切り替え可能な接着剤を含む接着性組成物を提供するステップ、
−前記使用者の前記皮膚に適用された前記切り替え可能な接着剤を可視光に暴露し、それによって、前記切り替え可能な接着剤を適用状態から着用状態へと切り替えるステップ、
−前記切り替え可能な接着剤をUV光に暴露し、それによって、前記切り替え可能な接着剤を着用状態から除去状態へと切り替えるステップ、
を含み、
前記異なる吸収スペクトルを有する少なくとも2種の異なる光開始剤が、第1の光開始剤と第2の光開始剤を含み、前記第1の光開始剤はスペクトルの可視およびUV部分の両方における波長によって活性化される光開始剤であり、前記第2の光開始剤はUVスペクトルのみの光によって活性化される光開始剤である、
光切り替え可能な接着性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態において、接着性組成物の特性は、3つの異なる状態、すなわち、適用状態、着用状態および除去状態において異なる。例えば、架橋度は、適用状態から着用状態まで増加し、次いで、着用状態から除去状態までさらに増加し得る。実施形態において、本明細書に記載される通りに測定した場合、複素粘度は、適用状態におけるよりも着用状態においてより高く、かつ/または着用状態におけるよりも除去状態においてより高い。実施形態において、本明細書に記載される通りに測定した場合、剥離力は、着用状態におけるよりも適用状態においてより低く、かつ/または除去状態におけるよりも着用状態においてより高い。実施形態において、剥離力は、適用状態におけるよりも除去状態においてより高い。実施形態において、本明細書に記載される通りに剥離試験が実行された場合、適用状態の接着性組成物は凝集破壊を示す。実施形態において、本明細書に記載される通りに剥離試験が実行された場合、着用状態および/または除去状態の接着性組成物は接着破壊を示す。実施形態において、接着剤の特性は、適用状態および除去状態において同一ではない。
【0011】
実施形態において、適用状態から着用状態への切り替えは、不可逆性である。実施形態において、着用状態から除去状態への取り替えは不可逆性である。これは、1つの状態から以前の状態までの不慮の切り替え後退が不可能であるという利点を提供する。例えば、適用状態から着用状態への不可逆性の切り替えは、接着剤が、適用状態へと突然切り替え後退できないことを確実にするであろう。このような切り替え後退は、接着剤が確実に使用者の皮膚に結合したままの状態でいることを確認することに関して、問題となる可能性がある。使用者にとって、このような不可逆性の切り替えは、例えば、オストミーデバイスおよび創傷被覆材使用者の生活の品質において重要なパラメーターである安心感の増加をもたらすであろう。不可逆性切り替えとは、接着性組成物を、破壊を行わない限り、反対方向へ進むことが不可能である化学的および/または物理的反応の結果として切り替えが生じることを意味する。例えば、化学架橋または重合は、典型的に不可逆プロセスである。対照的に、穏やかに加熱し、その後再び冷却することによる材料の特性の変化プロセスは、典型的に、可逆プロセスであろう。
【0012】
実施形態において、切替可能な接着剤は、光切り替え可能な接着剤である。実施形態において、切り替え活性剤は光である。光切り替え可能な接着剤は、露光によって、1つの状態から別の状態へと切り替えることが可能な接着剤である。光を切り替え活性剤として使用することは、光が一般に適用が容易であり、かつ小型ランプおよび懐中電灯などの、既存の、かつ使用が容易な技術によって適用可能であるため、都合がよい。
【0013】
実施形態において、光切り替え可能な接着剤は、第1の切り替え開始剤を含む。実施形態において、第1の切り替え開始剤は、第1の光活性剤である。光活性剤を使用することは、接着性組成物を光切り替え可能にする好ましい方法である。光開始剤は、例えば、接着性ポリマーへの共有結合によって、接着剤中に構築されることが可能であるか、または組成物に単純に添加されることが可能である。それらが、使用の間に組成物から漏出せず、それによって、組成物がより安定になるため、一体型光開始剤を使用することが好ましい。
【0014】
実施形態において、光切り替え可能な接着剤は、第2の切り替え開始剤を含む。実施形態において、第2の切り替え開始剤は、第2の光開始剤である。
【0015】
実施形態において、光切り替え可能な接着剤は、少なくとも2種の異なる切り替え開始剤を含む。実施形態において、少なくとも2種の異なる切り替え開始剤は、2種の異なる光開始剤である。少なくとも2種の異なる切り替え開始剤を接着剤に提供することによって、接着剤が、例えば、別個の切り替え開始剤の連続的な活性化によって取り替え可能であることは達成される。好ましくは、少なくとも2種の異なる切り替え開始剤は、異なる切り替え活性剤によって開始されることが可能である。実施形態において、接着剤は、異なる吸収スペクトルを有する2種の異なる光開始剤を含み、異なる光開始剤を活性化するために異なる波長を使用することができることを意味する。吸収スペクトルは、部分的に重複していても、または重複していなくてもよい。異なる吸収スペクトルを有する光開始剤を使用することによって、所与のスペクトルを有する光源などの特定の切り替え活性剤を使用して、第2の光開始剤を活性化することなく、光開始剤の1つを開始することができることが達成される。その後、第2の光開始剤を活性化するために、異なるスペクトルを有する異なる光源を使用することができる。
【0016】
実施形態において、接着性組成物は、部分的に重複する吸収スペクトルを有する2種の異なる光開始剤を含む。実施形態において、第1の切り替え活性剤への曝露は、第1の光開始剤の吸収スペクトル範囲内であり、かつ第2の光開始剤の吸収スペクトルの範囲外である波長の光に接着剤を曝露することを含む。実施形態において、第2の切り替え活性剤への曝露は、第1および第2の光開始剤の両方の吸収スペクトルの範囲内の波長の光に接着剤を曝露することを含む。このようにして、適用状態から着用状態への第1の切り替えは、第1の光開始剤のみの活性化によって達成され、したがって、容易に制御可能かつ十分に画定された切り替えが可能となる。次いで、着用状態から除去状態への第2の切り替えは、接着剤中の両方の光開始剤を活性化する光に接着剤を曝露することによって達成される。これによって、より強力で、可能な限り迅速な切り替えが可能となり、これは、接着剤が、可能な限り多く、かつ可能な限り迅速に除去状態へと切り替えることを確実にさせることにおいて有用となる可能性がある。実施形態において、第1の切り替え開始剤は、スペクトルの可視およびUV部分の両方における波長によって活性化される光開始剤であり、かつ第2の切り替え開始剤は、UVスペクトルのみの光によって活性化される光開始剤である。このようにして、第1の切り換え活性剤への曝露は、第1の光開始剤を活性化する可視光への曝露を含み、そして第2の切り換え活性剤への曝露は、両光開始剤を活性化するUV光への曝露を含む。
【0017】
実施形態において、第1および/または第2および/または2種の異なる光開始剤は、α−ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾフェノン/α−ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチル−ケタール、アミノケトン、アシルホスフィン誘導体、モノアシルホスフィン(MAPO)、MAPO/α−ヒドロキシケトン、ビスアシルアホスフィン(BAPO)、BAPO分散体、BAPO/α−ヒドロキシケトン、酸化ホスフィン、メタロセン、イオニウム塩、チオキサントン誘導体、プロピレンカーボネート中トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩の混合物、プロピレンカーボネート中トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩の混合物、アンホルキノン誘導体、ベンジル誘導体、アントラキノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ポリシラン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、(ベンゼン)トリカルボニルクロニウム、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ジベンゾスベレノン、フェロセン、メチルベンゾイルホルメートおよびそれらの混合物からなる群から独立して選択される。
【0018】
実施形態において、光は、可視光、紫外線(UV)光およびその混合物からなる群から選択される。スペクトルの可視部分内の光を使用することの容易さおよび安全性のため、可視光が好ましいことがある。紫外線光への曝露を制御することは一般により容易であるため、紫外線光が好ましいことがある。
【0019】
実施形態において、接着性組成物は、アクリレートポリマー、アクリレートコポリマーおよびポリウレタンポリマーからなる群から選択される接着性ポリマーを含む。
【0020】
実施形態において、適用状態の接着性組成物は、本明細書に記載される通りに測定した場合、0.4MPa s未満の複素粘度|η
*|を有する。実施形態において、適用状態の複素粘度|η
*|は、100,000Pa s未満、例えば、50,000Pa s未満、例えば、20,000Pa s未満、例えば、15,000Pa s未満である。実施形態において、適用状態の複素粘度|η
*|は、1,000〜50,000Pa sの範囲である。適用状態において低粘度を使用することは、接着剤が迅速に湿潤し、かつ皮膚のマクロおよびミクロ構造へと流入するために、好ましい。
【0021】
実施形態において、着用状態の接着性組成物は、本明細書に記載される通りに測定した場合、適用状態におけるよりも高い複素粘度を有する。実施形態において、着用状態における複素粘度|η
*|は、20,000Pa sより高く、例えば、30,000Pa sより高く、例えば、40,000Pa sより高く、例えば、50,000Pa sより高く、例えば、50,000〜100,000Pa sの範囲である。接着剤が着用の間にあまり流出しないために、典型的に着用状態において比較的高い粘度を有することが好ましい。
【0022】
実施形態において、着用状態の接着性組成物は、本明細書に記載される通りに測定した場合、1N/25mmより高い剥離力を有する。接着剤が、着用の間、確実に皮膚に接着することを確実にすることを補助する点で、1N/25mmより高い剥離力が好ましい。実施形態において、着用状態の剥離力は、5N/25mmより高く、例えば、8N/25mmより高く、例えば、10N/25mmより高く、例えば、12N/25mmより高い。実施形態において、着用状態の剥離力は、10〜15N/25mmの範囲である。
【0023】
実施形態において、本明細書に記載される通りに測定した場合、接着性組成物は、着用状態よりも除去状態において、より低い剥離力を有する。実施形態において、除去状態の剥離力は、12N/25mm未満、例えば、11N/25mm未満、例えば、10N/25mm未満、例えば、5〜10N/25mmの範囲である。接着剤が皮膚から容易に除去可能であるために、除去状態において比較的低い剥離力を有することは好ましい。
【0024】
実施形態において、接着性組成物は、吸水剤材料をさらに含む。吸水剤材料を提供することは、使用者の皮膚上の湿分を処理する好ましい方法である。
【0025】
実施形態において、接着性組成物は、可塑剤、油、粘着付与剤、充てん剤および粘度改質剤からなる群から選択される1種以上の追加成分をさらに含む。
【0026】
実施形態において、接着性組成物は、接着性組成物と、バッキング層と、剥離ライナーとを含む接着性ウエハの形態で提供される。実施形態において、接着性組成物は、接着性組成物を含む創傷被覆材の形態で提供される。実施形態において、性組成物は、接着性組成物を含むオストミーデバイスの形態で提供される。オストミーデバイスは、コロストミー(colostomy)、イレオストミー(ileostomy)またはウロストミー(urostomy)に関連する使用に適切となることが可能である。オストミーデバイスは、閉鎖装具であってもよい。
【0027】
オストミーデバイスは、開放装具であってもよい。開放オストミー装具は、典型的にドレナージポートを通して、バッグの底部において、装具が使用者の皮膚に接着されている間に利用するために構成される。
【0028】
オストミーデバイスは、a)ストーマル開口部の周囲に接着可能なベースプレート(体部側面部材またはフェースプレートとも呼ばれる)を含み;かつb)ベースプレートに接着した捕集バッグを含むワンピース装具であることが可能である。
【0029】
オストミーデバイスは、a)ストーマル開口部の周囲に接着可能なベースプレート(体部側面部材とも呼ばれる)を含み;かつb)ベースプレートに接着可能な別個の捕集バッグを含むツーピース装具であることが可能である。このツーピース構造において、捕集バッグは、ストーマ開口部の周囲で皮膚に接着したベースプレートを交換することなく交換可能である。別個の捕集バッグは、例えば、結合リングなどの機械的結合によって、または接着剤フランジによって、それ自体既知のいずれかの都合のよい様式で体部側面部材に接着されてもよい。
【0030】
実施形態において、接着性組成物は、ツーピース型オストミーデバイスの接着剤ウエハを使用者の皮膚に固定するためである。適用状態から着用状態への接着剤の第1の切り替えは、接着剤が切り替えられた後に接着されてもよい捕集バッグの不在下で実行可能であるため、ツーピース型デバイスと関連して本組成物を使用することは有利であり得る。これは、光の適用によって切り替えられる組成物に関して特に有利である。
【0031】
実施形態において、組成物は、メタクリレートおよびそれらのコポリマーを含むアクリレートを含む。アクリレートコポリマー、例えば、アルキルアクリレートコポリマーが特に好ましい。
【0032】
ポリアクリレートにおいて最も一般に使用されるモノマーとしては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレートおよびアクリル酸が含まれる。それらは、単独で、または混合物中で使用されてよく、混合物におけるそれらの相対的な割合は、所望の粘弾性特性、ガラス転移点、適合性など次第で選択される。
【0033】
ポリマーは、1種以上のアクリレートとのコポリマーであってもよい。代わりに、ポリマーは、1種以上のアクリレートおよびフリーラジカル重合性ビニル部分とのコポリマーであってもよい。そのようなビニル部分としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸またはビニルアズラクトンまたはメタクリル酸グリシジルなどの化合物が含まれる。
【0034】
ポリマーは、ホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであってもよい。ポリマーは、分枝状または直鎖状であってもよい。
【0035】
組成物は、結合した硬化可能な部分を含んでいてもよい。いずれかの慣習的に既知の不飽和化合物、例えば、オレフィンまたは芳香族化合物が使用されてもよく、あるいは不安定な基またはフリーラジカル反応を受けることが可能な基を有する化合物を硬化可能な部分として使用することができる。光反応性基も使用されてよく、そしてアントラセン、シンナメート、マレイミドおよびクマリン基などの基が含まれる。他の官能基としては、カルボキシル、エポキシ、ウレタン、シロキサン、アミドおよびヒドロキシルが含まれる。上記の全ての混合物が使用されてもよい。結合した硬化可能な基は、末端基、ペンタント基であってよく、または主鎖に組み込まれていてもよい。
【0036】
ポリマー主鎖は、部分的に架橋されていてもよい。架橋は、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−(イソ−ブトキシメチレン)−アクリルアミド、メチルアクリルアミドグリコレートメチルエーテルのモノマー(全て0.5〜5%(w/w))または金属キレート化合物、例えば、Zr、AlまたはFeのアセチルアセトネート(ポリマー重量の2%(w/w)まで)を、基体上に展延後の乾燥の間に架橋するポリマー主鎖に組み込むことによって達成することができる。AlおよびTiアセチルアセトネートならびに同様の化合物は、重合後、0.1〜2%(w/w)の濃度で添加することも可能であり、乾燥ステップ間のポリマー主鎖におけるカルボキシル基の利用によって、架橋剤として使用することも可能である。
【0037】
1%(w/w)までの濃度で添加されたトルエンジイソシアネート(TDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの多官能性イソシアネートを使用して、異なるポリマー鎖のヒドロキシルまたはカルボキシル官能基を化学的に連結することができる。
【0038】
架橋は、ポリマー主鎖のカルボキシル基と、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリルおよび尿素の誘導体、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、メトキシメチルメチロールメラミン、メトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミン、テトラブトキシメチルグリコールウリル、ブトキシメチルメチロール尿素などの6%(w/w)までの濃度で添加されたアミノ樹脂との間で達成することもできる。
【0039】
上記架橋は、ポリカルボジイミドまたは多官能性プロピレンイミンを使用して達成することもできる。
【0040】
所望のバランスを達成するために、高い凝集強さを有する1種以上のポリマーと、低い凝集強さを有する1種以上のポリマーとをブレンドすることも可能である。
【0041】
ポリマーは、酢酸エチル、ヘキサン、トルエン、アセトンなどの有機溶媒中に可溶性であることが多く、したがって、商業的に、それらの有機溶媒中の溶液として供給される。好ましくは、ポリマーは、非水溶性である。
【0042】
ポリマーは、商業的に入手可能なPSAまたはPSA前駆体、例えば、acResin A 204 UV、acResin A 260 UV(BASF)、Aroset 1450−Z−40、Aroset S390(Ashland)、GMS 788、GMS 1753(Henkel)であってよい。
【0043】
ポリマーは、低分子量モノマーまたはオリゴマーであり得る硬化可能な分子を含み得る。最も広い意味において、いずれの従来の既知の不飽和化合物、または不安定な基もしくはフリーラジカル反応を受けることができる基を有する化合物も、硬化可能な分子として使用することができる。単独で、または混合物中で使用される好ましい例は、アルコールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、グリコール、ペンタエリスリトール、トリメチルプロパン、グリセロール、脂肪族エポキシド、ビスフェノールAエポキシドを含む芳香族エポキシド、脂肪族ウレタン、シリコーン、ポリエステルおよびポリエーテル、ならびにそれらのエトキシル化またはプロポキシル化種などの硬化可能な分子である。
【0044】
硬化可能な分子は、2個以上の不飽和または反応部位を有することができる。一官能性より多いことによって、それらは連鎖延長が可能となる。3以上の複数の官能性によって、それらは、架橋された3次元ポリマーネットワークを形成することが可能である。例としては、CN925(Arkema)、Ebecryl 870(Allnex)が含まれる。
【0045】
好ましくは、効果可能な分子およびポリマーは、乾燥状態、すなわち、溶媒がない状態で、互いに溶解性である。代わりに、ポリマーおよび硬化可能な分子は、乾燥状態において互いに相互に溶解性ではないか、または部分的にのみ相互に溶解性である場合、それらは組成物中に均質に分散している。
【0046】
実施形態において、組成物はポリウレタン(PU)を含む。ポリウレタンは、最も一般に、2個以上のアルコール官能基を含有する分子と、ジまたはポリイソシアネートとを反応させることによって得られる。
【0047】
ポリウレタンの合成において使用することができる有機ジイソシアネートは、中でも、脂環式イソシアネート、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)およびイソホア(isophore)ジイソシアネート、芳香族イソシアネート、例えば、トリレンジイソシアネートおよび4,4’−ジフェニルメチルジイソシアネート(MDI)、ならびに脂肪族イソシアネート、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネートである。合成に使用されるイソシアネートの種類次第で、異なる材料特性を得ることができる。例えば、芳香族イソシアネートの使用によって、より高い融点を有するより剛性のポリマーが導かれる。HMDIベースのハードセグメントはそれほど結晶性ではないのに対して、MDIベースのハードセグメントは、有利条件下において容易に結晶化するであろう。ハードセグメントの対称も関連がある。対称の増加は、ハードセグメントの結晶化に有利に働き、そして相分離度、弾性率、硬度等を増加させる。
【0048】
本発明においてポリウレタンの合成において利用することができるジオールまたはポリオールは、中でも、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ベースのポリマー、例えば、ビス(ヒドロキシアルキル)末端PDMSであって、好ましくは、1,000〜6,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するものである。
【0049】
ポリマーに光誘導架橋性能を付与するために、4−{3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル}−1−クロロ−9H−チオキサンテン−9−オン(以下、チオキサントンジオール)をポリウレタンの合成に使用してもよい。
【化1】
【0050】
チオキサントンジオールは光反応性である。言い替えると、それは、光を吸収し、そして架橋されたポリウレタンを導き得るフリーラジカル反応を開始する性能を有する。光反応性基におけるジオール官能性は、ポリウレタン主鎖中へのこれらの部分の共有結合を可能にする。ポリマー中に一体化された光反応性基は、それらがポリマー材料中に混合される場合と比較して、ポリマー材料から浸出する可能性が低い。この特性は、直接的な皮膚での使用に関して、ポリマーのバイオセーフティーを保証するのに役立ち得る。そのような一体型ポリマー光開始剤は、ポリマー中に単純に混合された光開始剤より速く架橋結合を形成することができる。本明細書に記載される光開始剤は、主にUV、ならびにわずかな範囲までの可視域の光を吸収する。
【0051】
一体型光反応性基によるポリウレタンに加えて、混合型光開始剤によるポリウレタンも重要である。そのような材料は、ポリマーの合成の間または後のいずれかに、ジオール官能基化を含まずに、チオキサントンなどの光開始剤を混合させることによって調製することができる。これらの場合、光反応性部分は、ポリウレタンの一部ではないであろう。しかしながら、それはまだフリーラジカル反応を開始するであろう。
【0052】
光誘導架橋反応の速度およびポリマー特性は、ポリウレタンの組成によって調整することができる。硬化速度を決定するパラメーターは、中でも、光開始剤の種類および濃度、反応性基の存在、ならびにポリマー移動度である。架橋度は、ポリマーの最終特性を決定する重要なパラメーターである。架橋度が増加すると、ポリマーの弾性率は増加し、ポリマーの移動度は減少する。弾性率はポリマーの粘着性に影響を与え、他方、移動度は、種々の他の特性の中でも、ポリマー中の分子の移動に影響を与える。オストミーケアの場合、ポリマー材料中の水分子の移動は重要な因子となる可能性がある。
【0053】
組成物の異なる状態間のシフトは、本明細書において、切り換えと呼ばれる。したがって、切り換えは、切り替え可能な組成物の1つの状態から別の状態までの転移である。切り換えの持続時間は、例えば、切り換え開始剤の特性および切り換え開始剤の活性化方法次第で変動するであろう。一般に、切り換えは、1つの状態から別の状態までの材料の物理的特性の段階的な変化を有する段階的なプロセスであろう。いくつかの例において、第2の状態への切り換えは非常に迅速であり、そして物理的特性は非常に迅速であり、例えば、数秒内であろう。他の例において、切り換えはより遅く、そして特性の変化は、例えば、数分または数時間の期間にわたって徐々に生じるであろう。
【0054】
組成物の凝集力も、切り換えの結果として変化し得る。典型的に、切り換えは、組成物をより凝集性にし、それによって、接着性組成物が、基材上に残渣を残すことなく、すなわち、凝集破壊ではなく、接着破壊によって、基材から剥離可能であることを確実にすることを補助するであろう。皮膚に接着される組成物に関して、組成物が皮膚への高い接着性を有することが可能であること、そして同時に、皮膚上に残渣を残すことなく皮膚から除去することが可能であることは非常に有利である。一般に、凝集力は、第1および第2の切り換えの両方の後に増加するであろう。換言すれば、適用状態の初期の凝集力は比較的低く、着用状態の凝集力はより高く、そして除去状態の凝集力は、再び、より高い。
【0055】
切り換えは、切り換え活性剤への曝露とも呼ばれる、切り換え開始剤の活性化によって生じる。切り換え開始剤は、切り替え可能な組成物の成分であり、そして、例えば、光開始剤を含むか、またはそれからなってもよい。切り換え開始剤は、可視光および/または紫外線光などの光への曝露によってなどの、切り換え活性剤と呼ばれる外部刺激によって活性化されることができる。切り換え開始剤は、フリーラジカルを発生させることなどによる、1つ以上の機構によって作用することが可能である。したがって、切り換え開始剤は、切り換え開始剤を発生させるフリーラジカルであってもよい。フリーラジカルを発生させる切り換え開始剤は、光開始剤であってもよい。
【0056】
光開始剤の活性化などの切り換え開始剤の活性化は、ポリマーの架橋の増加および/またはポリマーの分子量の増加を導くことが可能である。
【0057】
実施形態において、適用状態から着用状態への切り換えは不可逆性である。これに関連して、不可逆性とは、組成物が第2の接着剤状態に切り替えられたら、その状態から第1の液体状態へと逆戻りすることはできないことを意味する。実施形態において、切り換えは、標準的な使用条件下において不可逆性である。組成物が、着用または除去状態へと切り替えられた時に、低粘度の適用状態へと「切り替え後退」するというリスクがないため、不可逆性の切り替えは非常に有利となる可能性がある。使用者にとっては、製品の安心感を有することは重要である。この安心感は、組成物が、潜在的に、いつでも、使用者が適用状態へと切り替え後退する可能性があることを感じるか、または知った場合に損なわれる可能性がある。
【0058】
実施形態において、切替開始剤は、フリーラジカル発生切替開始剤を含むか、またはそれからなる。フリーラジカル発生切替開始剤は、光開始剤であってよい。種々の光開始剤系が存在する。光開始剤系は、(a)低分子量単一成分、(b)低分子量複数成分、(c)ポリマー単一成分、または(d)ポリマー複数成分であることが可能である。これらの系は、下記の名称の化学物質および/またはこれらの官能性を有するポリマーを使用して構築することができる。
【0059】
本発明において、光開始剤は、光吸収時に、反応性種(イオンまたはラジカル)を発生し、そして1つまたはいくつかの化学反応もしくは変換を開始する部分として定義される。いくつかの実施形態において、光開始剤の好ましい特性は、UV光源スペクトルと、光開始剤吸収スペクトルとの間の良好な重複である。いくつかの実施形態において、望ましい特性は、光開始剤吸収スペクトルと、組成物中の他の成分の本質的な組み合わされた吸収スペクトル、例えば、組成物中のポリマーマトリックスまたはいずれかの吸収性材料および充てん剤の吸収との間に重複が少ないか、または重複がない。
【0060】
実施形態において、光開始剤部分はポリマー上のペンダントである。これは、それらが、ポリマー末端以外の点においてポリマーに付加されることを意味し、したがって、2以上の光開始剤部分を単一ポリマーに付加することが可能である。
【0061】
実施形態において、組成物は一体型光開始剤を含む。実施形態において、組成物は、フリーまたは混合型または非一体型光開始剤を含む。実施形態において、組成物は、フリーまたは混合型または非一体型光開始剤を含まない。実施形態において、組成物は、一体型光開始剤を含まない。一体型光開始剤の例としては、Dymax Corp.からのDymax 1072−MおよびRahn Corp.からのRahn Genopol TX−2が含まれる。
【0062】
本発明の光開始剤部分は、独立して、開裂性(ノリッシュタイプI)または非開裂性(ノリッシュタイプII)であってよい。励起時に、開裂性光開始剤部分は、自然発生的に2つのラジカルに分解し、その少なくとも1つは、水素原子を抽出するために十分反応性である。ベンゾインエーテル(ベンジルジアルキルケタールを含む)、フェニルヒドロキシアルキルケトンおよびフェニルアミノアルキルケトンは、開裂性光開始剤部分の例である。
【0063】
実施形態において、光開始剤は、UVまたは可視光源から反応性種への光の変形において効率的である。反応性種は、ポリマーから水素原子および他の不安定原子を抽出し、したがって、共有結合を形成することができる。任意選択的に、アミン、チオールおよび他の電子供与体がポリマー光開始剤に共有結合されることが可能であるか、または別々に添加されることが可能であるか、または両方である。電子供与体の添加は、必要とされないが、以下の非開裂性光開始剤に関して記載されるものと同様の機構に従って、開裂性光開始剤の全体的な効率を強化し得る。
【0064】
実施形態において、本発明の光開始剤は、非開裂性(ノリッシュタイプII)である。非開裂性光開始剤は、励起時に分解せず、したがって、組成物からの小分子の浸出のより少ない可能性がもたらされる。励起された非開裂性光開始剤は、励起時にラジカルに分解しないが、有機分子から水素原子を抽出するか、またはより効率的に、(アミンまたはチオールなどの)電子供与体から電子を抽出する。電子移動によって、光開始剤上にラジカルアニオン、および電子供与体上にラジカルカチオンが生じる。これに続いて、ラジカルカチオンからラジカルアニオンへのプロトン移動が生じ、2つの無電荷のラジカルが形成し、これらのうち、電子供与体上のラジカルは水素原子を抽出するのに十分の反応性である。
【0065】
ベンゾフェノンおよび関連ケトン、例えば、チオキサントン、キサントン、アントラキノン、フルオレノン、ジベンゾスベロン、ベンジルおよびフェニルケトクマリンは、非開裂性光開始剤の例である。窒素原子に対してα位にC−H結合を有するほとんどのアミンおよび多くのチオールは、電子供与体として機能する。タイプI光開始剤と対照的に、ノリッシュタイプIIを使用することの利点は、光開始された反応の間に生じる副産物が少ないことである。そのような理由から、ベンゾフェノンが広く使用されている。例えば、α−ヒドロキシ−アルキル−フェノンが、光開始された反応において分離する場合、2つのラジカルが形成され、これはさらに分離することが可能であり、そしてゆるく結合した望ましくない芳香族副産物が形成する可能性がある。
【0066】
自己開始光開始剤部分が使用されてもよい。UVまたは可視光励起において、そのような光開始剤は、主に、いずれかの従来の光開始剤の非存在下で、ノリッシュタイプI機構および架橋によって開裂し、厚い層の切り替えが可能となる。最近、β−ケトエステルベースの光開始剤の新しい種類が紹介された。
【0067】
いくつかの実施形態において、切替開始剤は、光開始剤の少なくとも2つの異なる種類を含む。異なる光開始剤の吸光ピークは、異なる波長にあり、それによって、系によって吸収された光の全量は増加する。異なる光開始剤は、全て開裂性であり得るか、全て開裂性であり得るか、または開裂性と非開裂性との混合物であり得る。いくつかの光開始剤部分のブレンドは、相乗的な特性を示し得る。いくつかの実施形態において、切替開始剤は、2、3、4または5種の異なる光開始剤などの異なる光開始剤の混合物を含む。
【0068】
200〜400nmの範囲において吸収する光開始剤の例としては、α−ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾフェノン/α−ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチル−ケタール、アミノケトン、アシルホスフィンオキシド誘導体、モノアシルホスフィン(MAPO)、MAPO/α−ヒドロキシケトン、ビスアシルホスフィン(BAPO)、BAPO分散体、BAPO/α−ヒドロキシケトン、酸化ホスフィン、メタロセン、イオニウム塩、チオキサントン誘導体、プロピレンカーボネート中トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩の混合物、プロピレンカーボネート中トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩の混合物、カンホルキノン誘導体、ベンジル誘導体、アントラキノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体およびポリシランが含まれる。
【0069】
光開始剤の特定の例としては、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン、2−メチル−4−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、(ベンゼン)トリカルボニルクロニウム、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ジベンゾスベレノン、フェロセンおよびメチルベンゾイルホルメートが含まれる。
【0070】
他の例としては、200〜400nmの範囲で有用な芳香族ケトン、例えば、アセトフェノン;カンホルキノン+ヨードニウム塩+シラン(空気中での効率的な光開始を得るために有用であり得る);過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル;およびアゾ系化合物、例えば、2,20−アゾビスイソブチロニトリルが含まれる。
【0071】
>400nmの範囲において、光開始剤の例としては、カルバゾール誘導体、メタロセン、チオキサントン誘導体、カンホルキノン誘導体、ベンジル誘導体、チタノセン、アントラキノン誘導体、アシルホスフィン誘導体、ケト−クマリン、キサンテン染料(例えば、エリスロシンB)、任意にアミンとの組合せのチオキサントン誘導体(例えば2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メルカプトチオキサントン、チオキサントン酢酸誘導体)および任意にアミンとの組合せのベンゾフェノンが含まれる。
【0072】
実施形態において、切替開始剤は、ビス(eta.5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロロ−1−イル)−フェニル)チタン(Ciba Irgacure 784)を含むか、またはそれからなる。
【0073】
いくつかの実施形態において、光は、可視光および/または紫外線光を含む。可視光は、400〜700nmの範囲の波長を有する電磁放射線として定義される。紫外線光は、10〜400nmの範囲の波長を有する電磁放射線として定義される。
【0074】
いくつかの実施形態において、光への曝露は、10〜60秒の継続時間を有する。
【0075】
例えば、光への曝露は、60分未満、30分未満、10分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、1分未満、45秒未満、30秒未満、15秒未満、10秒未満、5秒未満、1〜10秒、10〜30秒、10〜60秒、30〜60秒、1〜2分、2〜3分、3〜4分または4〜5分であってよい。
【0076】
実施形態において、組成物は、2種の光開始剤などの少なくとも2種の切り換え開始剤を含む。実施形態において、組成物は、2種の異なる光開始剤を含む。実施形態において、組成物は、可視光吸収光開始剤および非可視光吸収光開始剤を含む。実施形態において、組成物は、UV吸収光開始剤および非UV吸収光開始剤を含む。実施形態において、組成物は、単一切り換え開始剤のみを含む。単一切り換え開始剤の場合、切り換え開始剤は、異なる切り換え活性剤によって2度活性化されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、接着性組成物は、適用、着用および除去状態の1つ以上において、湿分を処理するために改変される。
【0078】
湿分を処理するために改変されるとは、組成物が、皮膚湿分処理能力を有することを意味し、すなわち、組成物は、皮膚の表面上に蓄積した湿分の量が低く保持されることを確実にすることが可能であることを意味する。組成物は、皮膚の表面からの湿分を吸収することが可能であることによって、このような蓄積を防ぐことができる。接着剤も、または代わりに、水蒸気透過性であることが可能であり、それによって、湿分が接着剤を通って、そして皮膚から浸透するであろうことが確実となる。したがって、いくつかの実施形態において、「湿分を処理するために改造される」とは、組成物が水蒸気透過性であることを意味する。いくつかの実施形態において、「湿分を処理するために改造された」とは、例えば、親水コロイドなどの吸水性材料を含むことによって、組成物が吸収性であることを意味する。実施形態において、組成物は、吸収性および水蒸気透過性の両方である。
【0079】
ヒトは、短期間で、20,000g/m
2/24時間より多い汗をかく可能性があることが報告されている。したがって、皮膚接着剤の湿分対処能力、例えば、接着剤の水分吸収性および水蒸気透過速度(MVTR)は、接着剤の性能に関係する。
【0080】
多くの理由で、湿分対処能力は、オストミーデバイスに取り付けるために使用される接着剤に関して特に重要である。オストミーデバイスに取り付けるために使用される接着剤は、数週間、数カ月または数年の間、毎日、ストーマ周辺の皮膚のほぼ同一領域に配置される。したがって、この特定の皮膚領域の健康は、非常に重要である。適切に湿分に対処する接着剤は、皮膚を相対的に乾燥させるように保持し、それによって浸軟および皮膚への他の湿分関連損傷を防ぐことによって、皮膚の健康に寄与するであろう。さらに、皮膚と接着剤との間の湿分の過度の累積は、皮膚への接着剤の弱い結合を導くであろう。これは、特に、負荷を有することが可能であり、そして漏出を防ぐために非常に固く皮膚に取り付けらなければならないオストミーデバイスにとって問題である。
【0081】
組成物の湿分対処能力は、例えば、組成物を吸水性にさせ、かつ/または組成物を水蒸気透過性にすることによって制御することができる。組成物は、例えば、水蒸気透過性組成物中にヒドロコロイドまたは他の吸収材料を含むことによって、同時に吸収性および水蒸気透過性であることが可能である。
【0082】
組成物を湿分対処可能にさせる1つの方法は、組成物に吸収性材料を含むことによる。吸収性材料は、例えば、水溶性または水膨潤性材料であることが可能であり、そして接着剤の部位において存在する湿分の適切な対処を保証するために十分な量で添加されることが可能である。
【0083】
吸水剤材料は、適切には、水溶性または水膨潤性(非水溶性)ヒドロコロイドなどの粒子、固体吸水性親水性薬剤である。水溶性または水膨潤性(非水溶性)ヒドロコロイドは、適切には、天然または合成ヒドロコロイド、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギネート、キサンタンまたはガムカラヤ、セルロース誘導体(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのカルボキシメチルセルロースの塩、メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース)、ナトリウムでんぷんグリコレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(例えば、超吸収剤粒子SAPの形態)およびポリエチレングリコールから選択され得る。適当なヒドロコロイドは、例えば、EastmanからのAQ 1045(分枝状水分散性ポリエステル)、CP KelcoからのPectin LM 12CG ZまたはPectin USP/100、AQUALON製のNatrosol(ヒドロキシエチルセルロース、非イオン性、セルロースと酸化エチレンとの水溶性エーテル)、Herculesから入手可能なBlanose9H4XF(カルボキシメチルセルロース)、Akzoから入手可能なAkucell(登録商標)AF 2881(カルボキシメチルセルロース)、Aqualonから入手可能なAquaSorb(登録商標)(架橋カルボキシメチルセルロース)、Danisco Ingredients,DenmarkからのSorbalg pH 470(アルギン酸カルシウム)である。ヒドロコロイドは、ミクロコロイド(例えば、20ミクロン未満、または好ましくは5もしくは2ミクロン未満の粒径を有するもの)から選択されてもよい。
【0084】
組成物の吸収性は、本明細書で定義されるように測定することができる。吸水性は、組成物の各状態において測定することができる。水の吸収性は、組成物の異なる状態の間で同一であっても、または異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、吸水力は、着用状態および除去状態よりも適用状態において、より高い。他の実施形態において、吸水力は、着用状態よりも適用状態において、より低い。良好な吸収性は、組成物を皮膚上で湿分対処可能にさせ、それによって、皮膚と接着剤との間の湿分の蓄積を防ぎ、したがって浸軟などの皮膚への損傷を防ぐことを助けるであろう。
【0085】
吸水性材料の添加によって組成物を湿分対処可能にさせる代わりに、またはその補足として、組成物は、水蒸気透過性であることによって湿分に対処することが可能である。アクリレート組成物は、水蒸気透過性となることが可能であり、その例としては、様々な水蒸気透過度を有するアクリレート組成物として提供される。
【0086】
組成物の水蒸気透過性は、本明細書に記載される通りに水蒸気透過速度(MVTR)を測定することによって、測定することができる。いくつかの実施形態において、適用状態および/または着用状態および/または除去状態における組成物は、本明細書に記載される通りに測定した場合、500g/m
2/24時間より高いMVTRを有する。
【0087】
いくつかの場合、所与の組成物において吸収材料の量を減少させることが望ましい。これは、例えば、ヒドロコロイドの高い量が、非常に硬くなり、かつ/または非常に容易に浸食される組成物を導き得るためである可能性がある。それらの場合、水蒸気透過性組成物は、それが組成物を、吸収性材料を用いずに、または比較的少量の吸収性材料を用いて、湿分対処可能とさせることができるという点で有利である。
【0088】
水蒸気透過性組成物は、そのような水蒸気透過性組成物の湿分対処効果を補うための吸収性材料を含むことができる。吸収性材料を含み、かつ同時に、水蒸気透過性である組成物は、吸収性および水蒸気透過性のプラスの効果が1つの組成物中で組み合わされたという点で有利であり得る。
【0089】
実施形態において、組成物は、吸水性であることによって、湿分を処理するために改造される。
【0090】
実施形態において、組成物は、吸水性材料を含む。
【0091】
実施形態において、組成物は、組成物の1〜60%(w/w)の量で吸水性材料を含む。
【0092】
例えば、組成物は、組成物の1〜40%(w/w)または10〜40%(w/w)または1〜20%(w/w)または20〜40%(w/w)または20〜60%(w/w)または40〜60%(w/w)または25〜50%(w/w)の量で吸水性材料を含む。
【0093】
実施形態において、吸水性材料は、親水コロイド、水溶性塩、モノ、ジ−およびオリゴ糖、糖アルコール、ポリペプチド、有機酸、無機酸、アミノ酸、アミン、尿素、ポリアクリル酸などの超吸収性粒子、ポリエチレングリコールなどのグリコール、ヒュームドシリカ、ベントン、ベントナイトおよびその混合物から選択される。
【0094】
実施形態において、親水コロイドは、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジャガイモスターチ、アルギネート、ゼラチン、キサンタンまたはガムカラヤ、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムスターチグリコレート、ポリビニルアルコールおよびその混合物から選択される。異なる吸収性材料は、吸収速度および吸収能力などの異なる特性を有するであろう。例えば、グアーガムまたはポリアクリル酸は、有意な吸収の後にも接着剤組成物の比較的高い凝集力を維持するそれらの能力のために選択されてもよい。他方、迅速な初期吸収速度および高い吸収能力を提供するために、カルボキシメチルセルロースおよび類似化合物を使用することができる。
【0095】
実施形態において、水溶性塩は、NaCl、CaCl
2、K
2SO
4、NaHCO
3、Na
2CO
3、KCl、NaBr、NaI、KI、NH
4Cl、AlCl
3、CH
3COONa、CH
3COOK、HCOONa、HCOOKおよびその混合物から選択される。
【0096】
実施形態において、組成物は、適用、着用および除去状態の1つ以上において、本明細書に記載される通りに測定した場合、少なくとも0.1g/cm
2/2時間、例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5または3g/cm
2/2時間などの吸収量を有する。
【0097】
いくつかの実施形態において、適用状態における組成物の吸収量は、着用状態および/または除去状態における組成物の吸収量より高い。接着性組成物が接着される領域において、接着性組成物が、使用者の皮膚上に存在する湿分を処理することが可能であるために、適用状態において特に高い吸収量を有することが好ましい。
【0098】
いくつかの実施形態において、組成物は、適用、着用および除去状態の1つ以上において、水蒸気透過性であることによって、湿分を処理するために改変される。
【0099】
実施形態において、組成物の透湿度(MVTR)は、適用、着用および除去状態の1つ以上において、本明細書に記載される通りに測定した場合、250g/m
2/24時間より高く、例えば、500、750、1000、1250、1500、2000、2500または3000g/m
2/24時間より高い。
【0100】
本発明に従って使用される感圧接着剤は、粘着付与剤、増量剤、非反応性ポリマー、油(例えば、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーおよび鉱油)、可塑剤、充てん剤、界面活性剤などの組成物のための他の従来的な成分を含有していてもよい。接着剤は、医薬有効成分を含有していてもよい。これらの任意選択の成分は、架橋反応の間に反応混合物に存在していてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態において、組成物は、適用状態において、50kPa s未満の複素粘度|η
*|を有する。実験によって、50kPa s未満の複素粘度|η
*|を有するオストミーケアにおいて使用される感圧接着剤は、接着剤が、使用者のストーマ周囲の皮膚を非常に迅速に湿潤させることを可能にし、それによって、大きい接触面が迅速に生じることを示す。
【0102】
実施形態において、組成物は、適用状態において、0.3MPa s未満、0.25MPa s未満、0.2MPa s未満、0.1MPa s未満、50kPa s未満、10kPa s未満、5kPa s未満、1kPa s未満、500Pa s未満、100Pa s未満、50Pa s未満、10Pa s未満、1Pa s未満、0.1〜0.4MPa sの範囲、10〜100kPa sの範囲、1〜10kPa sの範囲、100〜1,000Pa sの範囲、10〜100Pa sの範囲または1〜10Pa sの範囲の複素粘度|η
*|を有する。
【0103】
いくつかの実施形態において、組成物は、適用状態において、少なくとも1、10、20または50Pa sの複素粘度|η
*|を有する。このような最小粘度は、組成物が容易に処理されるために十分粘着性のままであること、そして親水コロイドなどの組成物のいずれの粒子成分が均等に分布することができ、かつ組成物の底部に単純に「沈まない」ことを確実にするであろう。これは、組成物の安定性を確実にし、そして組成物の処理をより容易にすることの補助となるであろう。実施形態において、組成物は、適用状態において、少なくとも100、500、1,000、2,500、5,000または10,000Pa sの複素粘度|η
*|を有する。
【0104】
いくつかの実施形態において、着用状態における複素粘度は、適用状態における複素粘度よりも、少なくとも2倍、例えば、少なくとも5倍、例えば、少なくとも10倍高い。
【0105】
一般に、組成物の粘度を減少するために、低分子量化合物、例えば、粘着付与剤、油、モノマー、オリゴマーおよび可塑剤を組成物に添加することが可能である。ポリイソブチレンなどの特定のポリマーは、放射によって分子量の減少が可能である。また一般に、低分子量ポリマーは、より高分子量のポリマーよりも粘着性ではないであろう。
【0106】
一般に、組成物の粘度は、高分子量ポリマーを選択することによって、またはポリマーを架橋することによって増加可能である。また、充てん剤、例えば、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ヒュームドシリカおよびリグニンを添加することも可能である。
【0107】
粘度は、本明細書に詳細に記載される通りに測定される。測定された粘度は、皮膚などの粗面に流入し、かつそれを湿潤させる組成物の能力と関連する。特に、示された粘度レベルは、0.01Hzの周波数において測定される。これは、皮膚などの粗面への接着剤を接着させるために適切な周波数の間隔範囲内である。平滑面への接着性テープの接着のために、約0.1Hzの周波数が適切であることが提案されている。ここで使用される、わずかにより低い0.01Hzの周期数は、約0.063rad/秒に対応し、これは、粗面のための接着剤が、平滑面上のテープほど迅速な接着を必要とせず、また流入のためにわずかに長い時間を必要とするという本発明者の経験を反映する。換言すれば、0.01Hzの周波数は、典型的な平滑基材への接着と比較して、皮膚の接着結合のいくぶんより遅いプロセスを反映するように選択され、それによって、皮膚に適用される接着剤のために可能な限り適切な粘度測定が得られるように選択された。したがって、粘度測定は、例えば、オストミー接着剤の皮膚への実際の適用のために適切である粘度値を提供する。
【0108】
実施形態において、接着性組成物は、着用状態において、本明細書に記載される通りに測定した場合、1N/25mmより高い剥離力を有する。実施形態において、接着性組成物は、本明細書に記載される通りに測定した場合、着用状態におけるよりも除去状態において、より低い剥離力を有する。
【0109】
組成物の剥離力を調節することは、例えば、組成物において使用されるポリマーの架橋度を調節することによって実行可能である。剥離力は、組成物に粘着付与剤および/または可塑剤を添加することによっても影響を受けることが可能である。粘着付与剤および可塑剤の含有量を増加させることによって、剥離力の増加が導かれるであろう。対応して、粘着付与剤および/または可塑剤のより低い含有量は、より低い剥離力を導くであろう。粘着付与剤および可塑剤の正確な選択によって、この力は、同時に組成物の粘度に有意に影響を与えることなく調節可能である。組成物のベースポリマーと多少混和性であるポリマーも、剥離力の制御のために添加されてよい。親水コロイド、油および種々の充てん剤も、剥離力を調節するために使用することができる。一般に、親水コロイドおよび充てん剤は、組成物の剥離力を減らす傾向があるであろう。剥離力は、本明細書に記載される通りに測定される。
【0110】
実施形態
接着性組成物を使用者の皮膚に適用するため、および皮膚表面から接着性組成物を除去するための方法であって、
−切り替え可能な接着剤を含む接着性組成物を提供するステップ、
−接着性組成物を使用者の皮膚に適用するステップ、
−切り替え可能な接着剤を第1の切り替え活性剤に暴露し、それによって、切り替え可能な接着剤を適用状態から着用状態へと切り替えるステップ、
−切り替え可能な接着剤を第2の切り替え活性剤に暴露し、それによって、切り替え可能な接着剤を着用状態から除去状態へと切り替えるステップ、
−接着性組成物を使用者の皮膚から除去するステップ
を含む方法。
【0111】
切り替え可能な接着剤が、光切り替え可能な接着剤である、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0112】
光切り替え可能な接着剤が、第1の光開始剤を含む、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0113】
光切り替え可能な接着剤が、第2の光開始剤をさらに含む、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0114】
光切り替え可能な接着剤が、少なくとも2種の異なる光開始剤をさらに含む、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0115】
第1および/または第2および/または2種の異なる光開始剤が、α−ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾフェノン/α−ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチル−ケタール、アミノケトン、アシルホスフィン誘導体、モノアシルホスフィン(MAPO)、MAPO/α−ヒドロキシケトン、ビスアシルアホスフィン(BAPO)、BAPO分散体、BAPO/α−ヒドロキシケトン、酸化ホスフィン、メタロセン、イオニウム塩、チオキサントン誘導体、プロピレンカーボネート中トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩の混合物、プロピレンカーボネート中トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩の混合物、アンホルキノン誘導体、ベンジル誘導体、アントラキノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ポリシラン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、(ベンゼン)トリカルボニルクロニウム、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ジベンゾスベレノン、フェロセン、メチルベンゾイルホルメートおよびそれらの混合物からなる群から独立して選択される、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0116】
切り替え活性剤が光である、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0117】
切り替え活性剤が、可視光、紫外線光およびその混合物からなる群から選択される光である、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0118】
接着性組成物が、アクリレートポリマー、アクリレートコポリマーおよびポリウレタンポリマーからなる群から選択される粘着性ポリマーを含む、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0119】
適用状態の接着性組成物が、本明細書に記載の通りに測定した場合、0.4MPa s未満の複素粘度|η
*|を有する、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0120】
着用状態の接着性組成物が、本明細書に記載の通りに測定した場合、適用状態におけるよりも高い複素粘度を有する、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0121】
着用状態の接着性組成物が、本明細書に記載の通りに測定した場合、1N/25mmより高い剥離力を有する、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0122】
接着性組成物が、本明細書に記載の通りに測定した場合、除去状態において、着用状態におけるよりも低い剥離力を有する、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0123】
接着性組成物が、吸水剤材料をさらに含む、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0124】
接着性組成物が、可塑剤、油、粘着付与剤、充てん剤および粘度改質剤からなる群から選択される1つ以上の追加成分をさらに含む、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0125】
接着性組成物が、接着性組成物、バッキング層および剥離ライナーを含む接着性ウエハの形態で提供される、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0126】
接着性組成物が、接着性組成物を含む創傷被覆材の形態で提供される、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0127】
接着性組成物が、接着性組成物を含むオストミーデバイスの形態で提供される、他の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0128】
接着性組成物を使用者の皮膚に適用するため、および皮膚表面から接着性組成物を除去するための方法であって、
−切り替え可能な接着剤を含む接着性組成物を提供するステップ、
−接着性組成物を使用者の皮膚に適用するステップ、
−切り替え可能な接着剤を、接着剤の物理的および/または化学的架橋を引き起こす第1の切り替え活性剤に暴露し、それによって、切り替え可能な接着剤を適用状態から着用状態へと切り替えるステップ、
−切り替え可能な接着剤を、接着剤のさらなる物理的および/または化学的架橋を引き起こす第2の切り替え活性剤に暴露し、それによって、切り替え可能な接着剤を着用状態から除去状態へと切り替えるステップ、
−接着性組成物を使用者の皮膚から除去するステップ
を含む方法。
【0129】
少なくとも2種の異なる光開始剤を含む光切り替え可能な接着性組成物を使用者の皮膚に適用するため、および皮膚表面から接着性組成物を除去するための方法であって、
−少なくとも2種の異なる光開始剤を含む光切り替え可能な接着性組成物を提供するステップ、
−接着性組成物を使用者の皮膚に適用するステップ、
−接着性組成物を、光の形態の第1の切り替え開始剤に暴露し、それによって、少なくとも2種の異なる光開始剤の第1のものを活性化し、そして接着性組成物内で物理的および/または化学的架橋を引き起こし、それによって、接着性組成物を適用状態から着用状態へと切り替えるステップ、
−接着性組成物を、光の形態の第2の切り替え活性剤に暴露し、それによって、少なくとも2種の異なる光開始剤の少なくとも第2のものを活性化し、そして接着性組成物内でさらなる物理的および/または化学的架橋を引き起こし、それによって、接着性組成物を着用状態から除去状態へと切り替えるステップ、
−接着性組成物を使用者の皮膚から除去するステップ
を含む方法。
【0130】
少なくとも2種の異なる光開始剤を含む光切り替え可能な接着性組成物を使用者の皮膚に適用することによって、捕集バッグと、光切り替え可能な接着性組成物を有する接着性ウエハとを含むオストミーデバイスを接着させるため、および皮膚表面からオストミーデバイスを除去するための方法であって、
−少なくとも2種の異なる光開始剤を含む光切り替え可能な接着性組成物の形態の接着性組成物を有するオストミーデバイスを提供するステップ、
−接着性組成物を使用者の皮膚に適用するステップ、
−接着性組成物を、光の形態の第1の切り替え開始剤に暴露し、それによって、少なくとも2種の異なる光開始剤の第1のものを活性化し、そして接着性組成物内で物理的および/または化学的架橋を引き起こし、それによって、接着性組成物を適用状態から着用状態へと切り替えるステップ、
−接着性組成物を、光の形態の第2の切り替え活性剤に暴露し、それによって、少なくとも2種の異なる光開始剤の少なくとも第2のものを活性化し、そして接着性組成物内でさらなる物理的および/または化学的架橋を引き起こし、それによって、接着性組成物を着用状態から除去状態へと切り替えるステップ、
−接着性組成物を使用者の皮膚から除去することによって、オストミーデバイスを除去するステップ
を含む方法。
【0131】
測定方法
複素粘度|η
*|の動的機械分析(DMA)および決定
複素粘度|η
*|は、周波数掃引によって以下のように測定された。接着剤は、厚さ1mmのプレートに押圧された。直径25mmの円形試料を切断し、Thermo ScientificからのHaake RheoStress 6000回転レオメーターに配置した。適用された配置はパラレルプレート25mmであり、そしてせん断応力は5556Paに固定され、そして約5Nの法線力を得るために、測定開始時に0.9〜1.05mmのギャップサイズが試料に適用された。測定は32℃で行なわれた。複素粘度|η
*|に関して、0.01Hzの周波数で測定された値を使用した。試験は、100Hz〜0.01Hzまでの周波数掃引として実行した。複素粘度は、本明細書中、単純に「粘度」として記載されてもよい。
【0132】
剥離力
調製したシート組成物から25×100mmの試料を切断し、そして25×300mm片の補助テープを試料の上部に添加した。23℃および50%相対湿度における30分の調整後、試料を引張試験機(InstronからのINSTRON 5564)上に配置し、そして304mm/分の速度でTeflon基体からの90度剥離試験を行った。結果をN/25mmの単位で示す。
【0133】
剥離試験は、23℃および50%相対湿度において気候調整された部屋で行なわた。剥離角は90°で固定され、そして剥離速度は304mm/分であった。試験の前に試料を休ませる時間を意味する滞留時間は30分であった。
【0134】
ステンレスプレート上に配置したテフロン基体(2.0mm PFTE、RIAS,Roskilde,DenmarkからのオーダーナンバーSPTFE0020INA)を剥離スレッジに取り付けた。接着剤ストリップを、寸法25×100mmで厚さ0.4mmの接着剤シートから打ち抜いた。補助テープ(幅25mm)を、10mm重複させて、接着剤上に配置した。剥離ライナーを一端で持ち上げ、補助テープとの重複部分を作成した。2kgの負荷を用いて、自動ロールを使用し、接着剤を基体に適用した。平均負荷の平均を、N/25mmで報告した。不良タイプ、すなわち、凝集性不良(「cf」)また接着性不良(「af」)を、剥離データによって観察し、記録し、そして報告した。
【0135】
水蒸気透過速度
裏返しカップ法を使用して、24時間の水蒸気透過速度(MVTR)を、平方メートルあたりのグラム(g/m
2)で測定する。
【0136】
φ35mmの開口部を有する水または水蒸気不浸透性の容器またはカップを使用した。20mL生理食塩水(脱イオン水中0.9%のNaCl)を容器に入れ、そして開口部を、非常に透過性のポリウレタン(PU)バッキングフィルム(IntellicoatからのBL9601ホイル)上に配置された試験接着剤で閉鎖した。容器を、電気加熱キャビネット中に配置し、そして水が接着剤と接触するように、容器またはカップを逆さまに配置した。キャビネットを32℃で維持した。試験条件におけるいずれの変化を考慮するため、全ての実験においてフィルム基準が使用される。
【0137】
容器の重量損失は、時間の関数として生じた。重量損失は、接着剤および/またはフィルムを通って送達された水によるものであった。この差異は、試験接着剤フィルムのMVTRを算出するために使用された。MVTRは、カップの開口部の面積によって分割された、時間あたりの重量損失(g/m
2/24時間)として算出された。
【0138】
材料のMVTRは、材料の厚さの一次関数である。したがって、MVTRが材料の特徴決定のために報告される場合、MVTRが報告された材料の厚さを通知することは重要である。
【0139】
最終的に、この方法を使用することによって、補助PUフィルムを使用することによって誤差が導入されることに留意した。接着剤/フィルムラミネートが連続する2つの抵抗の系であったという事実を利用することによって誤差を排除した。フィルムおよび接着剤が均質である場合、透過速度は、
1/P(測定値)=1/P(フィルム)+1/P(接着剤)
として表されてよい。
【0140】
したがって、接着剤のフィルム透湿度および厚さを知ることによって、次式を使って接着剤の真の透湿度P(接着剤)を算出することが可能である。
P(接着剤)=d(接着剤)/150μm
*1/(1/P(測定値)−1/P(フィルム))
式中、d(接着剤)は、実際の測定された接着剤の厚さであり、かつP(フィルム)は、その上にいずれの接着剤も存在しないフィルムのMVTRであり、かつP(測定値)は、実際の測定されたMVTRであった。
【0141】
吸湿性
試料を、2枚の剥離ライナー間に厚さ0.5mmの接着性フィルムになるまで熱成形によって調製した。打抜型を用いて、試料を打ち抜いた。試料サイズは25×25mmであった。剥離ライナーを取り外した。試料はオブジェクトガラスに貼り付け、そして生理的食塩水を含むビーカーに入れ、そして37℃の定温器に配置した。
【0142】
開始時(M(開始))および2時間後(M(2時間))に試料の重量を計測した。重量計測の前に、布を用いてオブジェクトガラスを乾燥させた。25×25mm試料に関して、面積は6.25cm
2であった(表面端部は面積から除外された)。吸湿性は、2時間後の吸水性=(M(2時間)−M(開始))/6.25cm
2として算出されてよい。結果は、2時間あたりg/cm
2の単位である。
【実施例】
【0143】
本明細書に記載の方法において有用な種類の組成物の一例として、本発明者は次の組成物を製造した。
【0144】
組成物1:0.5%の光開始剤、25%の粘着付与剤および25%の混合親水コロイドを有するBASF acResin A 260 UV
【0145】
組成物1のための材料:BASF acResin A 260 UV(BASFからのアクリル酸ベースのポリマー)、Sylvares TR A25L クリア、液体ポリテルペン粘着付与剤樹脂(Arizona Chemical)、CibaからのIrgacure784光開始剤(ビス(.eta.5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロル―1−イル)−フェニル)チタン)、ならびに10%(w/w)ペクチンLM CG(CP Kelco)、20%(w/w)Akucell AF288(Akzo Nobel)、30%(w/w)PB ゼラチン(PB Gelatins)および40%(w/w)グアーガムFG−20(Hercules Corp.)からなる親水コロイド混合物。
【0146】
組成物1の調製法:29.7gのBASF acResin A 260 UVを15gのSylvares TR A25Lと3分間混合した。その後、15gの親水コロイド混合物および0.30gのIrgacure 784を混合物に添加し、そして20分間混合した。毎分30回転で90℃において60g容量のBrabenderブレード混合機を使用して、組成物を調製した。
【0147】
組成物1は、2種の別個かつ異なる光開始剤、BASF acResin A 260 UV成分中のUV吸収性光開始剤と、可視光領域およびUV領域の両方を吸収する別に添加されたIrgacure 784光開始剤とを含有する。組成物は、組成物の接着性を制御するために添加される粘着付与剤と、組成物を吸水性にさせる親水コロイドとをさらに含む。
【0148】
組成物は、UVおよび可視光の両方に感応性であるIrgacure 784成分の活性化によって、そしてUV光に感応性であるA 260 UV成分の活性化によって切り換えられることが可能である。例えば、組成物は、可視光への曝露によって適用状態から着用状態へと切り換えられることが可能である。これによって、Irgacure 784成分は活性化されて、そして切り換えを引き起こすであろう。その後、組成物は、UV活性A 260 UV成分、およびいくらかの範囲までIrgacure 784成分の両方を活性化させるであろうUV光への曝露によって、着用状態から除去状態へと切り換えられることが可能である。
【0149】
結果
組成物1の粘度は、初期の「適用」状態、すなわち、組成物の切り替え前において、および「着用」状態、すなわち、組成物の第1の切り替え後であるが、第2の切り替え前において測定した。第1の切り換えは、可視光への曝露によって実行した。粘度が低いことにより、接着剤が、傷跡、折り目およびミクロ構造を含む皮膚の構造中に比較的容易に流入することが可能となるであろう。より高い凝集力によって、接着性組成物が容易に流出せず、したがって、確実にその場所に残ることが可能であることが保証されるであろう。この理由のため、粘度が、適用状態において低く、かつ着用状態においてより高いことが好ましい。
【0150】
剥離力は、適用および着用状態、ならびに最終の「除去」状態、すなわち、両切り替え後において測定された。第2の切り換えは、UV光への曝露によって実行された。剥離力測定のために、破壊モードを記録した。凝集破壊(「cf」)は、接着剤が、材料の単一凝集単位として基材から引き剥がされることはできないが、むしろ、接着剤のいくらかが基材に固定したままである状態で引き剥がされることを意味する。接着破壊(「af」)は、基材への接着が破壊していることを意味し、単一凝集材料単位として損なわれないままでいるが、接着剤が基材から引き剥がされていることを意味する。一般に、低い凝集力を有する接着性組成物は凝集破壊を示し、高い凝集力を有する組成物は接着破損によって剥離するであろう。皮膚接着剤に関して、接着剤のいくらかがなお皮膚に固定して残ることなく、接着剤が、一体となって除去されることが可能であることが望ましい。したがって、接着性組成物が、除去状態において、接着破壊することが望ましい。
【0151】
【表1】
【0152】
表からわかるように、組成物1は、3つの異なる状態において異なる特性を示す。特に、組成物は、適用状態において比較的低い粘度を有し、そして着用状態において、はるかに高い粘度を有する。これは、組成物が、適用状態において皮膚の構造中に容易に流入することが可能であり、かつそれが、着用状態において、その場所に確実に残ることが可能であることを意味する。また、組成物1は、適用状態において剥離力を測定する場合、凝集破壊することがわかる。これは、この状態の接着性組成物が、比較的低凝集力の流動可能なペーストであることを意味する。着用状態および除去状態の両方において、接着性組成物は接着破壊し、適用状態と比較すると、これらの状態におけるより高い凝集力を意味する。重要なことに、剥離力は着用状態において高く、これは、接着剤が基材にしっかりと接着することを意味し、そして剥離力は、除去状態において、はるかに低く、したがって、基材から容易に除去することが可能である。