(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982003
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】鋳物工場用砂型を製造するための自動組立セルおよび組立ライン
(51)【国際特許分類】
B22C 25/00 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
B22C25/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-560902(P2018-560902)
(86)(22)【出願日】2017年5月18日
(65)【公表番号】特表2019-516557(P2019-516557A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】IB2017000673
(87)【国際公開番号】WO2017199091
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2020年5月15日
(31)【優先権主張番号】62/339,798
(32)【優先日】2016年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516375089
【氏名又は名称】ネマク エス エイ ビー デ シー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】Nemak, S.A.B. de C.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001346
【氏名又は名称】特許業務法人 松原・村木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サラス−ローランカ、ジャーマン、ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】カンタ‐ゴンザレス、オスカー、ジェラルド
【審査官】
酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−514549(JP,A)
【文献】
特開昭61−095744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 25/00,
B22D 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂型および他の鋳型部品から金属鋳造用の鋳型を作成するための鋳型組立セルであって、
少なくも3つの鋳型組立ステーションに周期的に位置決め可能に構成されたターンテーブルと、
前記鋳型の複数の砂型コアおよび/または他の部品を初期鋳型パッケージに固定することで、前記鋳型を徐々に組み付けるために、前記組立ステーションの少なくとも1つに配置されたプログラム可能なターンテーブルロボットと、を含み、
前記組立ステーションは、前記組立セル内の円形経路に沿って、前記ロボットの近傍位置内かつ到達距離内に配置され、
前記ターンテーブルは、時計回りまたは反時計回りの方向に回転可能であり、
前記プログラム可能なターンテーブルロボットは、前記組立ステーションで、所定の組立順序で前記砂型コアおよび/または他の鋳型部品を操作し、前記初期鋳型パッケージ内に位置決めするように配置され、
別の組立セルで組み立てを続けるため、またはさらなる加工を行うため、或いは前記金属鋳造を行うために、前記初期鋳型パッケージまたは完成した鋳型パッケージを前記組立セルから取り出す手段を含み、
前記ターンテーブルが略三角形形状を有し、
前記ターンテーブルは、前記初期鋳型パッケージへの前記ロボットまたは作業者のアクセスを容易にするため、前記ターンテーブルの前記三角形形状の辺に、前記ターンテーブルの中心に向かう切込みを有する
ことを特徴する鋳型組立セル。
【請求項2】
前記ターンテーブルは、前記組立ステーションの3つの作業位置で回転を止めるために、鉛直シャフトを中心に回転可能な表面を含み、当該組立ステーションにおいて、周囲に配置された前記ロボットは、組み付け中の前記初期鋳型パッケージに前記砂型コアおよび/または他の鋳型部品をセットするように配置されることを特徴とする請求項1に記載の鋳型組立セル。
【請求項3】
複数の砂型組立セルを含む砂型組立ラインであって、
予めプログラムされた鋳型組立順序にしたがって、またはセルに作業上の問題が生じたとき、或いはセルをメンテナンスのために停止させるときに、前記組立ラインの少なくとも1つのセルから別のセルに初期鋳型パッケージを搬送可能なガントリーロボットが前記組立セルに到達できるように、前記組立セルを空間的に配置し、
前記組立セルは、砂型および他の鋳型部品から金属鋳造用の鋳型を作成するための鋳型組立セルであり、
前記組立セルは、
少なくも3つの鋳型組立ステーションに周期的に位置決め可能に構成されたターンテーブルと、
前記鋳型の複数の砂型コアおよび/または他の部品を初期鋳型パッケージに固定することで、前記鋳型を徐々に組み付けるために、前記組立ステーションの少なくとも1つに配置されたプログラム可能なターンテーブルロボットと
を含み、
前記組立ステーションは、前記組立セル内の円形経路に沿って、前記ロボットの近傍位置内かつ到達距離内に配置され、
前記ターンテーブルは、時計回りまたは反時計回りの方向に回転可能であり、
前記プログラム可能なターンテーブルロボットは、前記組立ステーションで、所定の組立順序で前記砂型コアおよび/または他の鋳型部品を操作し、前記初期鋳型パッケージ内に位置決めするように配置され、
さらに、前記組立セルは、別の組立セルで組み立てを続けるため、またはさらなる加工を行うため、或いは前記金属鋳造を行うために、前記初期鋳型パッケージまたは完成した鋳型パッケージを前記組立セルから取り出す手段を含む
ことを特徴とする砂型組立ライン。
【請求項4】
前記組立セルを密集して、線形に配置したことを特徴とする請求項3に記載の組立ライン。
【請求項5】
前記組立セルを密集して、非線形に配置したことを特徴とする請求項3に記載の組立ライン。
【請求項6】
前記各組立セルは、それぞれ、所定数の組立ロボットを含み、当該組立ロボットの数は、他のそれぞれの組立セル用にプログラムされた各組立作業に応じて、前記組立ラインの他の組立セルごとに変更可能であることを特徴とする請求項3に記載の組立ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳物工場および鋳造作業の分野に関し、より詳細には、エンジンブロックおよびシリンダヘッドなどの複雑な形状のアルミニウム部品を鋳造する砂型を形成するために、現在使用されている方法・ツール・鋳型組立ラインよりも高い自由度、効率および生産性で、砂型コア(中子)を組み立てる方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムなどの軽金属からなるエンジンブロックなどの自動車や航空機の部品を大量に鋳造するため、自動車産業においては、精密砂型鋳造が広く使用されている。鋳物は、通常、樹脂結合される砂型に形成される。所定の順序で精度良く順次組み立てられて成形コアパッケージを形成する一組の砂型コアにより、砂型は複雑な鋳造形状を画定する。鋳造後、砂型を加熱し、コアの砂を固定する樹脂を燃焼させることで砂が緩み、凝固した鋳造物から取り出すことで、鋳造エンジンブロック内に、設計通りの入り組んだ通路が形成される。鋳型パッケージを効率的に成形するため、組立ラインで鋳型パッケージにアクセスできる産業ロボットにより、所定の順序で鋳型パッケージを組み立てる必要がある。
【0003】
エンジンブロック用の砂型パッケージは、例えば、ベースコア、クランクケースコア、左右のサイドコア、前後のコア、バレルスラブコア、および上部コアを含み、内部通路は、例えば、メインオイルギャラリーコア(main oil gallery core)、オイルドレンコア、ウォータージャケットなどのコアによっても作られる。コアパッケージを組み立てるために現在用いられている方法は、砂型を幾つかの組立ステーションを経由するように移動させる機械コンベアを備えた組立ラインを利用しており、当該組立ステーションでは、作業者および/またはロボットによりコアが位置決めされることで、鋳型パッケージとしても知られている前記砂型が徐々に出来上がる。ロボットは、初期(すなわち未完成の)鋳型パッケージから始めて、最終的に完成した鋳型パッケージを形成するために、砂型コアを把持して、これらをエンジン設計にしたがってそれぞれの位置に置くようにプログラムされている。
【0004】
コンベアの使用に基づく、現在使用されている鋳型組立ラインは、鋳型パッケージを形成する間に多くの欠点が存在する。例えば、ロボットの1つが故障した場合、コアの1つの供給が遅延または中断した場合、組立ライン全体が停止することになる。コアの組立作業は所定の順序を有するため、作動していないステーションを迂回して、幾つかの未完成のパッケージを次の組立ステーションに進めることはできない。
【0005】
コンベアを用いた組立ラインのレイアウトは、鋳物工場内に広い領域を必要とし、異なる設計の鋳型パッケージを同時に組み立てる自由度もなく、製品ごとにただ1つの砂型を設計しなければならない。
【0006】
コンベアを用いた組立ラインの別の欠点は、鋳型パッケージの移動経路が線形であるため、各組立ステーションには2つのロボットのみしか配置することができないので、多数のロボットが必要になることである。
【0007】
本発明は、鋳型が部分的または完全に形成される鋳型組立セルと、複数の前記鋳型組立セルにより形成されるモジュール式組立ラインとを提供することにより、上述した不利益を解消する。鋳型組立セルは、予めプログラムされた順序でコアを順次位置決めして組み立てるロボット(例えば、デカルト型ロボット)によりコアがセットされるベースを支持するターンテーブル式の構造体を含む。組立ターンテーブルは、組立プログラムの要求により、3つのコアパッケージを保持して、時計回りまたは反時計回りに周期的に回転し、少なくとも3つの組立ステーションに前記鋳型パッケージを位置決めするような形状を有することが好ましい。ロボットはターンテーブル構造体の周囲に配置されるので、コアをセットして鋳造型を作るために、予めプログラムされた角度で鋳型パッケージにアクセスして、鋳型パッケージの必要なポイントに届くようになっている。
【0008】
組立ロボットは、隣接するコア在庫ラックまたはピックアップテーブルからコアを取り上げて、鋳型パッケージにおける正確な位置でコアを解放するための好適なグリッパおよび操作ツールを備えている。本発明は、コアが作られるコア組立マシンおよびコア供給マシン(core shooting machine)への複数台のロボットの同時アクセスを提供する。
【0009】
通常、コアは、例えば、左側および右側、前面および後面などの対で組み立てるように扱われる。ターンテーブル構造体の、例えば、時計回りおよび反時計回りの両方向へ回転することができて、各鋳型パッケージをそれぞれの垂直軸を中心として回転させることができるという性能により、ターンテーブルを囲むすべてのロボットが各鋳型パッケージに届くことになり、組立セルは、製造される鋳型の種類を容易に変更できるという特有の利点を提供する。
【0010】
本発明の別の態様では、複数の組立セルを密集して配置して、有益には、他のセルと干渉することなく、異なる設計で複数種類の鋳型を製造することができるとともに、何らかの機械的な故障やメンテナンスが必要なために組立セルの1つが動作を停止した場合に継続して組立作業を行うための自由度を提供することができる組立ラインを形成してもよい。組立セルのクラスターは、例えば、線形の配置、或いは円形または他の配置のような、任意の所望のレイアウトで配置された複数の組立セルから構成してもよい。
【0011】
出願人は、本発明に関連する下記の先行技術文献を見つけた。
【0012】
米国特許第第3,802,487号は、ターンテーブルを用いて鋳型を製造する装置を開示しており、複数のワークステーションを備えた機械を使用している。しかしながら、この特許では、複数台のロボットが同時に支援することで自動的に複雑な形状の鋳型を組み立てるために、ロボットを複数台使用していない。
【0013】
米国特許第6,725,903号は、炉から溶融金属を回収して鋳型に注ぐために、ロボットデバイスが鋳造杓を周期的に移動させる自動鋳造システムを開示している。この特許の
図3に示すシステムは、4つのアームを備えたターンテーブルを含み、各アームは鋳物を収容するためのプレートを有している。ターンテーブルは、各サイクルで90度回転する。鋳物を操作するためにロボットが用いられるが、この特許では、砂型コアを組み立てて鋳型パッケージを作るために複数台のロボットを同時に用いることが可能な3つ以上のワークステーションを備えたターンテーブルを使用することについては何の教示も示唆も行っていない。
【0014】
米国特許第6,920,909号は、コアを組み立てるための複数の固定具を備えた回転テーブルを含むコア組立装置を記載している。しかしながら、この特許では、自動作業を行うためにロボットを使用することについては何の教示も示唆も行っていない。鋳型は、回転テーブルのワークステーションの1つに配置された作業者によって組み立てられる。このコア組立システムは、鋳型内で複数のコアを同時にかつ自動的に組み立てるための自由度を提供していない。このシステムは、特有のレイアウトでロボットをより適切に収容するような形状に構成されたターンテーブルをロボットが取り囲み、ロボットが複数のワークステーションで同時に作業できるようにした本発明の生産性を提供していない。
【0015】
米国特許第7,588,070号は、長方形を形成するコンベアを用いたコア製造ユニットを含む連続するサイクルにおいて、鋳型部品を製造するための製造ラインおよび方法を記載している。複数の組立ロボットは、コアを引き渡すためにコンベアの側面に配置され、他のロボットは、それらを鋳型に組み立てるために配置される。この特許のシステムは、多数のロボットを必要とするなど、幾つかの欠点を有している。また、鋳型パッケージが単一の線形経路に沿って組み立てられるので、鋳型を組立前の位置に戻すことはできず、鋳型組立ラインを形成するために複数の組立ユニットを配置することについて、何ら教示も示唆も行っていない。この鋳型組立ユニットは、何らかの機械的な問題またはメンテナンスのためにコンベアを停止しなければならないときでも継続して鋳型を組み立てる自由度がない。
【0016】
この出願は、2017年5月20日付で出願した米国仮出願第62/339798号からの優先権の利益を主張し、当該出願の明細書および図面に記載された内容のすべては、参照により本願明細書に含まれるものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、複雑な形状の鋳物を鋳造するための砂型パッケージを、より効率的かつ低い資本コストと作業コストで製造するための装置および方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、低い設置コストと短い設置時間で任意の設計の鋳型部品に使用することができる、鋳物工場用の砂型コア鋳型パッケージ組立セル(sand core mold package assembly cells for foundries)をより高い自由度で提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、当業者に明らかであるか、或いは本発明の幾つかの好ましい実施形態の記載に関連して指摘されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の目的は、一般的に、組み立て中の砂型コアパッケージを保持する少なくとも3つのワークスポットを有するターンテーブルと、砂型コアを予めプログラムされた順序で鋳型パッケージの対応する位置に設置する少なくとも1台のロボットとを含む鋳型パッケージ組立セルであって、前記ターンテーブルが、少なくとも3つの組立ステーションの異なる組立ステージに前記鋳型パッケージを位置決めするために、中心軸を中心として回転可能であり、かつ砂型コアを操作して鋳型パッケージ内のそれぞれの所定位置に前記砂型コアをセットする少なくとも1台のロボットを有することを特徴とする鋳型パッケージ組立セルを提供することにより達成される。回転テーブルは、その周縁部に沿って少なくとも1つの凹部を含むような形状を有しており、当該凹部により、前記少なくとも1台のロボットは鋳型パッケージ内のコアをセットして前記鋳型パッケージを作る位置に届くことが可能となる。コアをセットするためのプログラムされた順序に関して自由度を高めるため、回転テーブルは、時計回りおよび反時計回りの両方に回転することができる。本発明の別の態様では、複数の鋳型パッケージ組立セルが組立ラインを形成し、異なる設計の鋳型パッケージの製造および/またはセルに作業上の問題が生じた場合またはメンテナンスのために運転を停止する場合に、部分的に組み立てられた鋳型パッケージをラインの1つのセルから別のセルへ受け渡すことによる、鋳型パッケージ製造作業の生産性増加という相乗効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、エンジンブロックを鋳造するための鋳型パッケージを作るコア組立順序の一例を図示したものである。
【
図2】
図2は、本発明の一態様の概略平面図であり、砂型コア組立セルの構成要素およびレイアウトとともに、鋳造鋳型パッケージを形成するための多重プログラムされた組立作業に関する本発明の利点を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第2の態様の略図であり、複数の本発明による組立セルにより形成された鋳型組立ラインを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
高い生産性および高精度の制約もとで、エンジンブロックやエンジンヘッドなどの複雑な形状を有する、自動車または航空機用の軽金属鋳型部品を大量生産するための砂型パッケージを製造することは、前記部品を鋳造するための鋳型キャビティを形成する複数のコアを工作機械と人間の作業者が連携して作ることが要求される。
【0023】
本発明の利点は、添付図面の
図1から
図4に示す、エンジンブロック鋳型を形成するための本発明の例示的な実施形態を参照して説明する。ここで、本発明の原理を容易に解釈し理解できるように、異なる図面において、同一または類似の要素を表すために同一の参照符号を用いる。
【0024】
図1を参照すると、エンジンブロックを鋳造する準備ができた鋳型パッケージの完成品10は、コアベース12から始めて、コアや鋳型部品を順次組み付けることで徐々に形成され、様々な砂型コア14,16および金属シリンダライナ18がそれぞれの位置に徐々に設置されて、半組立品20,22,24,26,28が徐々に形成される。そして、最終的に完成した鋳型パッケージ10が形成され、溶融金属が充填される。
【0025】
例として、鋳型組立体はコアベース12から始まり、幾つかの設計では、幾つかの砂型コアは、鋳型組立システムの高生産性を実現するため効率的で迅速な鋳型の組み立てを行うために、対(例えば、前/後スラブ、複数のライナ、複数のシリンダバレルなど)で設置される。望ましくは、少なくとも2つのロボットがコアベースにアクセスして、1つの組立位置で2つ以上のコアを同時に設置することができる。
【0026】
砂型コアは、コア供給マシン82から或いはコアラックから好適な把持機構によって把持され、通常は対で、プログラムされたロボットによって搬送され、事前に搬送されて設置されたコアに重ねて初期鋳型パッケージに組み付けられる。そのため、それぞれの次の組立ステップでは、鋳型パッケージが符号22,24,26,28で図示したように、1つまたはそれ以上のさらなる組立ステーションで順次形成され、最終的には、溶融金属を充填する準備ができた完成した鋳型パッケージ10となる。
【0027】
図2および
図3は、本発明の1つの例示的かつ非限定的な実施形態に従って設計されて動作する鋳型組立セル90の略式平面図と側面図を示す。鋳型組立セル90は、鋳型の砂型コアや他の部品を順次受け取って前記鋳型を作り上げるために、初期鋳型パッケージを3つ以上の組立ステーションに位置決めするターンテーブル50を含む。組立ステーション60,62,64は、前記組立セル90内で、複数のロボットの近傍位置内かつ複数のロボットの到達距離内で、円形経路に沿って配置されている。
図2に示すセル90における本発明の例示的な実施形態では、鋳型パッケージの組立品は、コアベース12から組み立てられる。他のコアおよび部品を順次追加することによるこの組み立ては、参照符号54,56,58で示され、これらの参照符号は、コアベースを含む初期鋳型パッケージおよび/または異なる組立ステージにおける鋳型パッケージおよび/または完成した鋳型を表す。これらが載置されるターンテーブル50は、少なくとも3つの周期的な組立位置60,62,64を有し、組立ロボット66,68,70,72がターンテーブルの周囲を同時に動いて、前記3つのコアベースに砂型コアを設置して鋳型パッケージを作ることができるような好適な形状を有している。予めプログラムされた組立順序に対応する各組立位置にコアを設置した後、ターンテーブルは120度回転し、次のコアがターンテーブル50の新たな組立位置で組み立てられる。
【0028】
ターンテーブル50上に配置された鋳型パッケージ把持装置60,62,64は、ターンテーブルと共に、前記ターンテーブルの表面に略垂直な鉛直シャフト52を中心に回転することが可能である。鋳型パッケージはそれぞれの軸を中心に回転することが可能であり、このようにして、プログラムされたロボットの到達距離内に位置決めすることができるので、鋳型組立セルの自由度が高められる。
【0029】
鋳型組立セルのプログラムの自由度を増加して、コアや部品の数が変更された異なる鋳型を製造するために、プログラムされたコア組立手順に応じてターンテーブル50が時計回りまたは反時計回りに回転することで、所定の鋳型パッケージを、プログラムされた連続組立ステップでロボットの到達範囲内に位置させることができる。
【0030】
点線で示す円形の到達領域74,76,78,80を有する複数の組立ロボット66,68,70,72は、コア形成マシン82からの砂型コアを操作し、少なくとも組立ステーション60,62,64の1つに位置決めし、コア供給マシン82から任意の前記組立ステーションまで初期鋳型パッケージ用のコアおよび部品を取り上げるために、ターンテーブル50の周囲に設置される。
【0031】
樹脂結合された砂型コアは、フェノールウレタンコールドボックス(phenolic urethane cold box)またはフランホットボックス(furane hot box)などの任意の公知のコア製造方法を用いて、砂およびバインダーをコア形成ボックスに吹き込み、そこで触媒ガスまたは熱のいずれかにより硬化させることで製造することができる。鋳物砂は、必要に応じて、シリカ、ジルコン、および他の材料を含む。
【0032】
ロボット66,68は、好ましくは、ターンテーブル50の作業位置60,62,64に対して、鋳型組立セル内で対称的に配置され、ロボットが、組立ステーション60,62または64に位置する初期砂型パッケージ54,56および/または58の前部および後部と、別の組立ステーションの鋳型パッケージの側部にアクセスすることができる。
【0033】
図示した実施形態における組立ターンテーブル50は、プログラムされた角度でコアのすべての位置に到達するように、ロボットの鋳型パッケージへの随時アクセスを容易にする複数の切込み84,86,88がその周縁部に設けられている。
【0034】
本発明の例示的な実施形態では、鋳型組立セルは、4つのロボット66,68,70,72を含む。これらのロボットは、三角形形状のターンテーブル50の先端に対して対称的に配置され、円形の到達領域が点線74,76,70,80で示されている。
【0035】
鋳型組立セルは、ターンテーブル50で使用する砂型コアまたは他の鋳型部品の準備と供給に用いる他の補助ターンテーブル90,92を備えていてもよい。このため、これらの補助ターンテーブル90,92には、把持手段94,96,98,100が設けられている。作業者102,104は、これらの補助テーブル90,92を用いて、砂型コアおよび鋳型部品の検査および準備をしたり、これらを鋳型組立スケジュールにしたがってロボットが操作する位置で解放したりすることができる。
【0036】
組立セルでの作業の間、例えば、ロボット66,72は組立ステーション60に位置する初期鋳型パッケージ54にアクセスでき、他のロボット68,70は初期鋳型パッケージ56にアクセスでき、ロボット70,72は初期鋳型パッケージ58にアクセスできるように構成することができる。ターンテーブル位置60,62は、組立ターンテーブル50に対してコア搬入位置として機能してもよく、ターンテーブル位置64は、そこから完成した砂型パッケージが鋳造工程の次のステージ(通常、鋳物を製造するため砂型への金属の充填)に搬送される搬出位置として機能してもよい。
【0037】
それぞれ好適な掴み具またはリフト固定具108を備えた1つ以上のガントリー型装置106が設けられており、砂型コア鋳型パッケージを保持しながら天井レール110に沿って前後に移動し、
図2に示す収納ラック112へ、または
図4に示す組立ライン120を形成する複数の組立セルの少なくとも別の組立セルへ、或いは鋳物工場の金属注入セクションへ砂型パッケージを搬送する。
【0038】
複数のロボットは、1つの作業位置で、鋳型パッケージの、前部または後部と側部にアクセスするために、対称的な角度で位置決めされている。次の組立タスクのための仰角は、ターンテーブル50の回転方向を時計回りから反時計回り方向に変更して、組立ステーションの2つの可能な角度のうちの1つに鋳型パッケージを位置決めすることで選択することができる。
【0039】
組立ターンテーブル50の作業位置に対する組立ロボットのレイアウトにより、特定の設計で任意の鋳造製品用に組み付けられる砂型コアの数とは関係なく、同じセルの装備とツールを用いて、コア組立作業を行うことができる。
【0040】
3つの作業位置を有する回転式組立ターンテーブルと、ターンテーブルを囲むロボットとの新規な組み合わせにより、鋳物工場で現在必要とされるような、特定のエンジンブロックの設計ごとに冗長で高価な、特定の砂型コア組立ステーションを据え付ける必要性をなくして、組立工程の順序を任意に組み合わせた砂型コア鋳型パッケージの製造を可能とする。
【0041】
本発明の組立セルは、鋳物工場に多くの利点を提供し、砂型パッケージを形成するのに用いられる現在使用されているシステムの多くの欠点を克服する。
【0042】
図3を参照すると、鋳型パッケージ組立セルの概略側面図が示されており、ロボット66,72(図面を簡潔にするために2つのみを示す)により組み付けられる鋳型パッケージ54,56が載置されたターンテーブル50を備え、少なくとも部分的に完成した鋳型パッケージ10を取り上げて、これらをラック112に載せるためにガントリーロボット106が使用される。
【0043】
本発明の別の態様では、砂型組立ラインは、複数の鋳型組立セルを密集して配置して、線形、円形または鋳型製造ラインに利用可能なスペースに最も適した任意の形状となるようにレイアウトされる。
【0044】
図4を参照すると、鋳型組立ライン120は、線形に密集して配置された複数の鋳型組立セル122,124,126,128,130,132により形成されている。新規な鋳型組立ラインは、一連の組立ステーションを通過するコンベアを用いた現在の鋳型組立ラインと比較して、自由度および生産性において利点を提供する。
【0045】
例えば、
図4を参照すると、セル128は、
図2に示す組立セルと類似しているが、セル130などの他のセルは、ロボットの数が少なくて済む異なる作業を行う。
【0046】
鋳型組立セルの1つに再編成またはプログラムの作り直しが必要となる、或いはメンテナンス活動のために停止する必要がある場合、残りの組立セルが鋳型パッケージの組み立てを継続することができるので、鋳型組立ライン120は、著しく高い生産性を有している。このような自由度は、コンベアを用いた鋳型組立ラインでは不可能である。
【0047】
上述した説明は、アルミニウムエンジンブロックの鋳造に関して、例示目的でなされたものであるが、本発明を利用することで、他の軽金属製品を鋳造するための砂型の製造に対しても利点があることは理解されるであろう。