(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸漬成形用途のためのポリマーラテックス、そのようなポリマーラテックスの製造方法、基板を含浸させ、コーティングのための浸漬成形品の製造のための前記ポリマーラテックスの使用、前記ポリマーラテックスを含む配合ラテックス組成物、浸漬成形品の製造方法、および前記ポリマーラテックスを用いて製造された物品に関する。
【0002】
本発明の背景:
浸漬成形された物品の分野では、物品に高い機械的強度および所望の柔軟性を提供するために、浸漬成形物品を形成するフィルムの高い引張強さおよび、同時に、高い伸びを達成することが一般に望ましい。
これは手術用手袋にとって特に重要である。
【0003】
さらに、近年では、浸漬成形された物品(例えば、浸漬成形されたラテックス製品の製造において、過去に一般的に使用されてきた、タンパク質、脂質および微量元素などの非ゴム成分の5%までを含む天然ゴムラテックス)に、アレルギー反応を示す人が増えていることが発見された。
天然ゴムラテックス製品の使用者は、天然ゴム製品中に残存する抽出可能なラテックスタンパク質によって引き起こされるタイプI過敏症を発症した。
【0004】
自然だけでなく、人工的に作られたポリマーラテックスは、一般的に、硫黄および硫黄含有促進剤を含む硫黄加硫システムを使用して架橋されている。
ゴム手袋製造におけるこれらの硫黄加硫系の使用は、アレルギー性接触皮膚炎のようなIV型過敏症を遅延させる可能性がある。
【0005】
その結果、先行技術においては、硫黄加硫系を避け、そして、特に、最終生成物の所望の機械的特性を得るために、以前にそこで使用されていた、硫黄含有促進剤を含む、標準硫黄加硫系を必要としない浸漬成形品の製造に使用できるポリマーラテックスを提供するためのいくつかの試みがなされた。
【0006】
米国特許第9,243,117号公報には、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンラテックス、金属酸化物、pH9乃至10を得るためのpH調節剤、および水を含み、硫黄および促進剤を使用せずに、エラストマーゴム薄膜を製造するための配合物が開示されており、ここで、18乃至30%の間の製剤中の全固形分濃度を提供するために水を加え、そして、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンラテックスは、自己架橋カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンラテックスである。
この米国特許の明細書は、「自己架橋したカルボキシル化アクリロニトリルブタジエンラテックス」が何を意味するのかに関して沈黙する。
【0007】
米国特許第7,345,111号は、アクリルポリマーエマルジョンおよびこのエマルジョンから形成された手袋に関する。
ポリマーは、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート50乃至90重量%、ビニルモノマー9乃至49重量%を含む、モノマー混合物の合計100重量%の重合によって形成され、そのホモポリマーはガラス転移温度80℃以上を有し、
カルボキシル基を有するビニル系単量体0.2ないし100重量%、および280以上の分子量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールジグリシジルエーテルである架橋可能なモノマー0.1乃至5重量%を有する。
【0008】
米国特許第8,975,351号は、硫黄及び加硫促進剤を含まないゴム手袋のためのラテックス樹脂組成物を開示している。
組成物は、共役ジエンモノマー、エチレン性不飽和ニトリルモノマー、エチレン性不飽和酸モノマー、エチレン性不飽和ニトリルモノマー、エチレン性不飽和酸モノマー、エチレン性不飽和ニトリルモノマーおよびエチレン性不飽和酸モノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー、および、2またはそれ以上の反応性基を含む反応性化合物を含む。
これらの化合物の例は、ポリエーテルグリコールジグリシジルエーテルである。
【0009】
同様に、米国特許第8,044,138号は、構成モノマー(constituent monomers)として、共役ジエンモノマー、エチレン性不飽和ニトリルモノマー、エチレン性不飽和酸モノマー、および、ビニル基またはエポキシ基から選択される、少なくとも1つの架橋可能な官能基を有する不飽和モノマーから調製した、カルボン酸変性ニトリルコポリマーラテックスを開示する。
実施例において、グリシジルメタクリレートは、とりわけ、少なくとも1つの架橋可能な官能基を有するモノマーとして使用されている。
【0010】
米国特許出願公開第2010/0093913号は、ラテックスのいずれかが、後に架橋するための官能基を含む、モノマーから製造され得る、従来のラテックスとナノラテックスとのブレンドを含むコーティング用途に特に適したラテックス組成物に関する。
可能性のあるモノマーの長いリストでは、グリシジルメタクリレートが挙げられているが、その文献の実施例には具体的記載はされていない。
さらに、この先行技術文献は、浸漬成形または浸漬成形品を製造するためにその中で開示されたラテックスの使用とは無関係である。
【0011】
これらの先行技術の努力にもかかわらず、硫黄加硫なしで所望の機械的特性を達成することができる、促進剤を含む硫黄加硫系を使用する必要なしに、浸漬成形品の製造に使用されるポリマーラテックスの必要性がこの産業界において依然として存在する。
【0012】
本発明のさらなる目的は、産業用手袋用途に必要とされる、改善された耐溶剤性をもたらす浸漬成形用途に適したポリマーラテックスを提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、総工程時間の短縮およびエネルギー消費の低減という点で、浸漬成形品のより経済的な製造をもたらす、ポリマーラテックスを提供することである。
【0014】
発明の概要:
驚くべきことに、本発明者らは、上記の目的が、下記を含む、浸漬成形用途のためのポリマーラテックスによって達成されることを見出した。
(a)以下を含む、エチレン性不飽和モノマーの混合物のフリーラジカル乳化重合によって得られる、カルボキシル化共役ジエンニトリルラテックスポリマーの粒子(a)
−15乃至99重量%の共役ジエン;
−1乃至80重量%のエチレン性不飽和ニトリル化合物から選択されるモノマー;
−0.05乃至10重量%のエチレン性不飽和酸および/またはその塩;
−0乃至50重量%のビニル芳香族モノマー;および、
−0乃至65重量%のエチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル。
重量百分率は、混合物中の全モノマーに対する、
上記(a)は、下記と組み合わせてまたは関連する。
(b)少なくとも1つのオキシラン官能基を含むラテックスポリマー(b)の粒子;ここで、ラテックスポリマー(a)のモノマー組成は、ラテックスポリマー(b)のモノマー組成と異なる。
【0015】
前記ラテックスポリマー(a)の粒子と、前記ラテックスポリマー(b)の粒子との組み合わせまたは連携は、例えば、以下の手段の1つによって達成することができる:
(i)ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの混合物は、フリーラジカル乳化重合において、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)の存在下に重合される。
(ii)ラテックスポリマー(a)の粒子を含むポリマーラテックスおよび、ラテックスポリマー(b)の粒子を含むポリマーラテックスが予め形成され、そして、続いて、両方のラテックスが組み合わされる;そして、
(iii)第1のポリマーラテックスを形成するフリーラジカル乳化重合において、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)の存在下で、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの混合物を重合させ、そして、ラテックスポリマー(b)の粒子を含む第2のポリマーラテックスは、予め形成され、そして、続いて、両方のラテックスを一緒にされる。ここで、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの混合物の重合中に存在するオキシラン官能性ラテックス粒子(b)を含むラテックスと、ラテックスポリマー(b)の粒子を含む第2のポリマーラテックスは同一であるか、または異なっている。
【0016】
本発明はまた、以下を含む、ポリマーラテックスの製造方法に関する。
(i)乳化重合工程において、ラテックスポリマー(a)のために、以下を含む、エチレン性不飽和モノマーの混合物を重合する工程;
−15乃至99重量%の共役ジエン;
−1乃至80重量%のエチレン性不飽和ニトリル化合物から選択されるモノマー;
−0.05乃至10重量%のエチレン性不飽和酸および/またはその塩;
−0乃至50重量%のビニル芳香族モノマー;そして
−0乃至65重量%のエチレン性不飽和酸のアルキルエステル。
ここで、重量パーセントは、フリーラジカル開始剤、安定剤および、少なくとも1つのオキシラン官能基を含むラテックスポリマー(b)の粒子を含むラテックス粒子の存在下、水性媒体中での乳化重合に用いられる、全モノマーに基づく;または、
(ii)(1)フリーラジカル開始剤および、以下を含む、エチレン性不飽和モノマーの混合物の安定剤の存在下に、水性媒体中で、フリーラジカル乳化重合により、ラテックスポリマー(a)の製造をする工程;
−15乃至99重量%の共役ジエン;
−1乃至80重量%のエチレン性不飽和ニトリル化合物から選択されるモノマー;
−0.05乃至10重量%のエチレン性不飽和酸および/またはその塩;
−0乃至50重量%のビニル芳香族モノマー;および
−0乃至65重量%のエチレン性不飽和酸のアルキルエステル。
ここで、その重量パーセンテージは、乳化重合において使用される全モノマーに基づく。
【0017】
(2)少なくとも1つのオキシラン官能基を含むラテックスポリマー(b)を形成する工程;
そして、
(3)ラテックスポリマー(a)とラテックスポリマー(b)とを混合する工程;または、
(iii)(1)乳化重合工程において、以下を含む、ラテックスポリマー(a)のエチレン性不飽和モノマーの混合物を重合化する工程:
−15乃至99重量%の共役ジエン;
−1乃至80重量%のエチレン性不飽和ニトリル化合物から選択されるモノマー;
−0.05乃至10重量%のエチレン性不飽和酸および/またはその塩;
−0乃至50重量%のビニル芳香族モノマー;および
−0乃至65重量%のエチレン性不飽和酸のアルキルエステル。
重量%は、フリーラジカル開始剤、安定剤および少なくとも1つのオキシラン官能基を含むラテックスポリマー(b)の粒子を含むラテックス粒子の存在する水性媒体中での乳化重合において使用される全モノマーを基準にする、
(2)少なくとも1つのオキシラン官能基を含むラテックスポリマー(b)を形成する工程;そして
(3)工程(1)のラテックスと工程(2)のラテックスとを合わせる工程を含み、
ここで、工程(1)および工程(2)における少なくとも1つのオキシラン官能基を含むラテックスポリマー(b)は同じかまたは異なる;そして、
ラテックスポリマー(a)のモノマー組成は、ラテックスポリマー(b)のモノマー組成とは異なる。
【0018】
本発明はさらに、浸漬成形品の製造のため、または基材、好ましくは繊維基材をコーティングまたは含浸するための、上記定義したポリマーラテックスの使用に関する。
【0019】
本発明はさらに、以下を含む、浸漬成形品の製造に適した、配合されたラテックス組成物に関する。
−上記定義したポリマーラテックス、および、所望により、硫黄加硫剤、硫黄加硫促進剤、架橋剤、多価カチオンおよびそれらの組み合わせから選択されるアジュバント;または、
−上記定義したラテックスポリマー(a)の粒子、および、所望により、硫黄加硫剤、硫黄加硫促進剤、架橋剤、多価カチオンおよびそれらの組み合わせから選択されるアジュバントおよび、上記で定義されたラテックスポリマー(b)の予め形成された粒子を含む、予め形成された配合ポリマーラテックス;または、
−上記定義したラテックスポリマー(b)の粒子、および、所望により、硫黄加硫剤、硫黄加硫促進剤、架橋剤、多価カチオンおよびそれらの組み合わせから選択された補助剤、および、上記で定義されたラテックスポリマー(a)の予め形成された粒子を含む、予め形成された配合ポリマーラテックス。
【0020】
上述したように、本発明のポリマーラテックスは、要求される機械的特性を損なうことなく、硫黄加硫剤および硫黄加硫促進剤を用いずに、浸漬成形用途に首尾よく使用することができる。
【0021】
したがって、本発明の配合ラテックス組成物は、硫黄加硫剤および硫黄加硫促進剤を含まないことが好ましい。
【0022】
本発明は、さらに、以下による、浸漬成形品の製造方法に関する。
a)本発明による配合ラテックスを提供する工程;
b)最終物品の所望の形状を有する金型を、金属塩の溶液を含む凝固浴に浸漬する工程;
c)凝固剤浴から金型を取り出し、そして、所望により金型を乾燥させる工程;
d)工程a)の配合ラテックス組成物中に、工程b)およびc)で処理された金型を浸漬する工程;
e)金型表面にラテックス膜を凝固させる工程;
f)ラテックスで被覆した金型を、配合したラテックス組成物から取り出し、そして、必要に応じてラテックスで被覆した金型を水浴に浸漬する工程;
g)所望により、ラテックス被覆金型を乾燥させる工程;
h)工程e)またはf)から得られたラテックス被覆金型を40℃乃至180℃の温度で熱処理する工程;および
i)金型からラテックス物品を取り出す工程。
本発明はまた、本発明の、ポリマーラテックスまたは配合ラテックス組成物を用いて製造された物品に関する。
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、以下を含む、浸漬成形用途のためのポリマーラテックスに関する。
(a)下記を含む、エチレン性不飽和モノマーの混合物のフリーラジカル乳化重合によって得られる、カルボキシル化共役ジエンニトリルラテックスポリマー(a)の粒子;
−15乃至99重量%の共役ジエン;
−1乃至80重量%のエチレン性不飽和ニトリル化合物から選択されるモノマー;
−0.05乃至10重量%のエチレン性不飽和酸および/またはその塩;
−0乃至50重量のビニル芳香族モノマー;および、
−0乃至65重量%のエチレン性不飽和酸のアルキルエステル。
重量百分率は、混合物中の全モノマーに基づく。
上記は、以下と組み合わせてまたは会合(association)する、
(b)少なくとも1つのオキシラン官能基を含むラテックスポリマー(b)の粒子;
ここで、ラテックスポリマー(a)のモノマー組成は、ラテックスポリマー(b)のモノマー組成と異なる。
【0024】
「組み合わせてまたは会合」して、という用語は、ラテックスポリマー(a)およびラテックスポリマー(b)が、両方のラテックスポリマーのブレンドのような物理的混合物として存在するラテックス、ならびに、ラテックスポリマー(a)およびラテックスポリマー(b)が、ラテックスポリマー(a)およびラテックスポリマー(b)の粒子間の任意の種類の化学的または物理的相互作用を示すラテックス、を包含する。
本発明によれば、前記ラテックスポリマー(a)の粒子と前記ラテックスポリマー(b)の粒子との組み合わせまたは会合は、例えば、以下の手段の1つによって達成することができる:
(i)ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの混合物は、フリーラジカル乳化重合において、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)の存在下で重合される。
(ii)ラテックスポリマー(a)の粒子を含むポリマーラテックス、およびラテックスポリマー(b)の粒子を含むポリマーラテックスは、予め形成され、続いて両方のラテックスが組み合わされる;および
(iii)第1のポリマーラテックスを形成する、フリーラジカル乳化重合において、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)の存在下で、ラテックスポリマー(a)のエチレン性不飽和モノマーの混合物を重合させ、そして、ラテックスポリマー(b)の粒子を含む第2のポリマーラテックスは、予め形成され、そして、続いて両方のラテックスは、組み合される。ここで、ラテックスポリマー(a)のエチレン性不飽和モノマーの混合物の重合中に存在するオキシラン官能性ラテックス粒子(b)を含むラテックスと、成分(b)の粒子を含む第2のポリマーラテックスは同一であるか、または異なる。
用語「ラテックスポリマー(a)のモノマー組成が、ラテックスポリマー(b)のモノマー組成と異なる」とは、ラテックスポリマー(a)の製造に使用されるモノマーが、ラテックスポリマー(b)を製造するためのモノマーと相違すること、または、モノマーは同一であるが、ラテックスポリマー(a)およびラテックスポリマー(b)を製造するとき、異なる相対量で使用されることを意味する。
【0025】
本発明のポリマーラテックスは、以下を含んでいても良い。
(a)以下を含む、エチレン性不飽和モノマーの混合物のフリーラジカル乳化重合によって得られ得る、カルボキシル化共役ジエンニトリルラテックスポリマー(a)の粒子:
− 15乃至99重量%の共役ジエン;
− 1乃至80重量%のエチレン性不飽和ニトリル化合物から選択されるモノマー;
− 0.05乃至10重量%のエチレン性不飽和酸および/またはその塩;
− 0乃至50重量のビニル芳香族モノマー;および、
− 0乃至65重量%のエチレン性不飽和酸のアルキルエステル;
− 0乃至5重量%、好ましくは0乃至3重量%のオキシラン官能基を有するエチレン性不飽和モノマー。
重量パーセントは、ラテックスポリマーa)についての混合物中の全モノマーに基づく。
上記は、以下との組み合わせ、または会合(association)する。
(b)5重量%以上、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%の、ラテックスポリマーb)の混合物中の全モノマーに基づいてオキシラン官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを含む、エチレン性不飽和モノマーの混合物のフリーラジカル乳化重合によって得られるラテックスポリマー(b)の粒子。
【0026】
少なくとも1つのオキシラン官能基を含むラテックスポリマー(b)
本発明に従って使用されるラテックスポリマー(b)は、当技術分野で公知の任意の適切なフリーラジカル乳化重合プロセスによって調製することができる。
適切なプロセスパラメータは、ラテックスポリマー(a)の製造のための乳化重合法に関して以下に議論されるものである。
【0027】
ラテックスポリマー(b)の製造に使用される不飽和モノマーおよびそれらの相対量は、モノマー混合物がオキシラン官能基を有する少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む限り、特に重要ではない。
本発明によれば、オキシラン官能性エチレン性不飽和モノマーは、オキシラン官能基に関して単官能性であってもよく、そして、オリゴマーまたはポリマー主鎖を含まない。
特に、オキシラン官能性エチレン性不飽和モノマーの平均分子量は280ダルトン未満である。
【0028】
適切なオキシラン官能性エチレン性不飽和モノマーは、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキシド、リモネンオキシド、2−エチルグリシジルアクリレート、2−エチルグリシジルメタアクリレート、2−(n−プロピル)グリシジルアクリレート、2−(n−プロピル)、グリシジルメタクリレート、2−(n−ブチル)グリシジルアクリレート、2−(n−ブチル)グリシジルメタクリレート、グリシジルメチルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、(3’,4’−エポキシヘプチル)−2−エチルアクリレート、(3’,4’−エポキシヘプチル)−2−エチルメタクリレート、(6’,7’−エポキシヘプチル)アクリレート、(6’,7’−エポキシヘプチル)メタアクリレート、アリル−3,4−エポキシヘプチルエーテル、6,7−エポキシヘプチルアリルエーテル、ビニルー3,4−エポキシヘプチルエーテル、3,4−エポキシヘプチルビニルエーテル、6,7−エポキシヘプチルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−ビニルシクロヘキセンオキシド、α−メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートおよびそれらの組み合わせから選択できる。グリシジル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0029】
本発明によるオキシラン官能性ラテックスポリマー(b)は、エチレン性不飽和オキシラン官能性モノマーから誘導される構造単位を、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)のためのモノマーの総重量を基準にして、1乃至80重量%、好ましくは20乃至70重量%、より好ましくは25乃至65重量%、最も好ましくは35乃至65重量%の量で含んでよい。
【0030】
したがって、エチレン性不飽和オキシラン官能性モノマーの量の下限は、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)のためのモノマーの総重量を基準にして、1重量%、または5重量%、または10重量%、または12重量%、または14重量%、または16重量%、または18重量%、または20重量%、または22重量%、または24重量%、または26重量%、または28重量%、または30重量%、または32重量%、または34重量%、または35重量%でよい。
したがって、エチレン性不飽和オキシラン官能性モノマーの量の上限は、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)のためのモノマーの総重量を基準にして、80重量%、または75重量%、または73重量%、または70重量%、または68重量%、または65重量%、または62重量%、または60重量%、または58重量%、または56重量%、または54重量%、または52重量%、または50重量%である。
当業者であれば、明示的に開示された下限および上限のいずれかによって形成される任意の範囲が本明細書に明示的に包含されることを理解するであろう。
【0031】
本発明による、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の製造に適した追加のモノマーは、以下から選択することができる。
−エチレン性不飽和ニトリル化合物;
−ビニル芳香族モノマー;
−エチレン性不飽和酸のアルキルエステル;
−エチレン性不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル;
−エチレン性不飽和酸のアミド;
−エチレン性不飽和酸;
−エチレン性不飽和スルホン酸モノマーおよび/またはエチレン性不飽和リン含有酸モノマー;
−ビニルカルボキシレート;
−共役ジエン;
−少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するモノマー;および
−それらの組み合わせ。
【0032】
本発明による、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の製造に使用することができる、エチレン性不飽和ニトリルモノマーの例は、直鎖または分枝状の2乃至4個の炭素原子を含む、重合可能な不飽和脂肪族ニトリルモノマーを含み、アセチルまたは追加のニトリル基のいずれかによって置換されてもよい。
そのようなニトリルモノマーは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル、フマロニトリル及びこれらの組み合わせを含み、アクリロニトリルが最も好ましい。
【0033】
ビニル−芳香族モノマーの代表は、例えば、スチレン、a−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン及びビニルトルエンを含む。好ましくは、ビニル芳香族モノマーは、スチレン、α−メチルスチレンおよびそれらの組み合わせから選択される。
【0034】
本発明による、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)の製造に使用できる、(メタ)アクリル酸のエステルとしては、アクリル酸または(メタ)アクリル酸の、n−アルキルエステル、イソ−アルキルエステルまたはtert−アルキルエステル(ここで、アルキル基は、1乃至20個の炭素原子を有する)、バーサチック酸、ネオデカン酸またはピバル酸のようなネオ酸(neo acid)のグリシジルエステルとメタクリル酸の反応生成物およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、および、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0035】
一般的に、(メタ)アクリル酸の好ましいアルキルエステルは、C
1からC
20アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC
1からC
10アルキル(メタ)アクリレートから選択することができる。
そのようなアクリレートモノマーの例は、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸4−メチル−2−ペンチル、アクリル酸2−メチルブチル、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよびセチルメタクリレートを含む。
【0036】
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルおよびそれらの組み合わせから、(メタ)アクリル酸のエステルを選択することが特に好ましい。
【0037】
本発明による、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)を製造するために使用できる、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび高級アルキレンオキシドまたはそれらの混合物をベースとするヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレートモノマーを含む。
例は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートおよびヒドロキシブチルアクリレートである。
好ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選択される。
【0038】
本発明による、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の製造に使用することができるエチレン性不飽和酸のアミドとしては、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびジアセトンアクリルアミドを含む。好ましいアミドモノマーは、(メタ)アクリルアミドである。
【0039】
本発明による、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)を調製するために使用することができる、ビニルエステルモノマーは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルステアレート、及びバーサチック酸のビニルエステルを含む。最も好ましいビニルエステルは酢酸ビニルである。
【0040】
本発明に係る、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の調製に適したエチレン性不飽和カルボン酸モノマーは、モノカルボン酸およびジカルボン酸モノマー、およびジカルボン酸のモノエステルを含む。
本発明を実施するには、3乃至5個の炭素原子を含む、エチレン性不飽和脂肪族モノまたはジカルボン酸または無水物を使用することが好ましい。
モノカルボン酸モノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸が含まれ、ジカルボン酸モノマーの例には、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸および無水マレイン酸が含まれる。
他の好適なエチレン性不飽和酸の例には、ビニル酢酸、ビニル乳酸、ビニルスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸およびそれらの塩が含まれる。
好ましくは、エチレン性不飽和カルボン酸モノマーは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびこれらの組み合わせから選択される。
【0041】
本発明の、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の製造に適した、共役ジエンモノマーには、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2、3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、2−メチル−1、3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン、2−メチル−6−メチレン−1,7−オクタジエン、7−メチル−3−メチレン−1、6−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−アミル−1,3−ブタジエン、3,7−ジメチル−1,3,7−オクタトリエン、3,7−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン、3,7,11−トリメチル−1,3,6,10−ドデカテトラエン、7,11−ジメチル−3−メチレン−1,6,10−ドデカトリエン、2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン、2−フェニルー1,3−ブタジエンおよび2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエンおよび1,3−シクロヘキサジエンから選択される共益ジエンモノマーを含む。1,3−ブタジエン、イソプレン及びそれらの組み合わせは、好ましい共役ジエンである。
【0042】
さらに、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の調製において、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するモノマーを使用することができる。
ポリマー(本明細書では多官能性モノマーとして知られている)において、内部架橋および分枝を提供することができる、好適な2官能性モノマーは、ジビニルベンゼンおよびジアクリレートおよびジ(メタ)アクリレートから選択することができる。
例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、およびジプロピレングリコール ジ(メタ)アクリレートである。
少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、好ましくは、ジビニルベンゼン 1,2−エチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール ジ(メタ)アクリレート、および1,6−ヘキサンジオール ジ(メタ)アクリレートから選択される。
【0043】
本発明のオキシラン官能性ラテックスポリマー(b)は、以下に由来する構造単位を含んでいても良い。
− 0乃至50重量%、好ましくは0乃至30重量%、より好ましくは0乃至20重量%の、エチレン性不飽和ニトリル化合物、好ましくはアクリロニトリルから選択されるモノマー;
− 0乃至95重量%、好ましくは0乃至70重量%、より好ましくは0乃至50重量%のビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン;
− 0乃至95重量%、好ましくは5乃至95重量%、より好ましくは20乃至95重量%のC
1乃至C
8アルキル(メタ)アクリレート;
− 0乃至10重量%、好ましくは0乃至7重量%、より好ましくは0.01乃至7重量%のエチレン性不飽和酸、好ましくは(メタ)アクリル酸;
− 0乃至10重量%、好ましくは0乃至8重量%、より好ましくは0乃至6重量%の、シラン、スルホネート、スルホン酸、リン酸、アミドおよび/またはN−メチロールアミド基を有するエチレン性不飽和化合物;
− 0乃至50重量%、好ましくは0乃至40重量%、より好ましくは0乃至20重量%のカルボン酸ビニル、好ましくは酢酸ビニル;
− 1乃至80重量%、好ましくは20乃至70重量%、より好ましくは25乃至65重量%、最も好ましくは35乃至65重量%の、エチレン性不飽和オキシラン官能性モノマーから誘導された構造単位。
あるいは、本発明による、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)は、以下から由来する構造単位を含んでいても良い。
− 2乃至95重量%、好ましくは10乃至95重量%、より好ましくは20乃至95重量%の共役ジエン、好ましくは、ブタジエン、イソプレンおよびそれらの組み合わせから選択され、より好ましくはブタジエン;
− 1乃至50重量%、好ましくは5乃至50重量%、より好ましくは5乃至40重量%の、エチレン性不飽和ニトリル化合物、好ましくはアクリロニトリルから選択されるモノマー;
− 0乃至95重量%、好ましくは0乃至90重量%、より好ましくは0乃至70重量%のビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン;
− 0乃至95重量%、好ましくは0乃至90重量%、より好ましくは0乃至70重量%の、C
1乃至C
8アルキル(メタ)アクリレート;
− 0乃至10重量%、好ましくは0乃至8重量%、より好ましくは0乃至7重量%のエチレン性不飽和酸、好ましくは(メタ)アクリル酸;
− 0乃至10重量%、好ましくは0乃至8重量%、より好ましくは0乃至6重量%の、シラン、スルホネート、スルホン酸、リン酸、アミドおよび/またはN−メチロールアミド基を有するエチレン性不飽和化合物;
− 1乃至80重量%、好ましくは20乃至70重量%、より好ましくは25乃至65重量%、最も好ましくは35乃至65重量%の、エチレン性不飽和オキシラン官能性モノマーから誘導される構造単位。
本発明によれば、ラテックスポリマー(b)の調製のための上記のモノマーの量は、100重量%まで加量することができる。
【0044】
本発明に係る、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)のガラス転移温度(中点温度Tmg)は、ASTM D3418−03に従って、DSCにより測定して、−50℃乃至50℃、好ましくは−40℃乃至40℃、より好ましくは−30℃乃至30℃、より好ましくは−25℃乃至25℃、そして、最も好ましくは−22℃乃至22℃でよい。
したがって、Tmg範囲の下限は、−50、−45、−40、−38、−36、−34、−32、−30、−29、−28、−27、−26、−25、−24、−23、または−22℃である。
TMGの範囲の上限は、50、45、40、38、36、34、32、30、29、28、27、26、25、24、23、または22℃であってもよい。
当業者であれば、明示的に開示された下限および上限のいずれかによって形成される任意の範囲が本明細書に明示的に包含されることを理解するであろう。
【0045】
本発明の、ラテックスとして使用されるかどうかに関わらず、ラテックスポリマー(a)のポリマー化の間に加えられるか、あるいは、予め成形されたラテックスとして、ラテックスポリマー(a)とブレンドされた、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)の、動的光散乱(DLS)を使用して、Malvernゼータサイザー ナノS(ZEN1600)で測定した、z−平均粒径は、好ましくは5乃至90nm、より好ましくは15乃至85nm、より好ましくは20乃至80nmである。
従って、z−平均粒径の下限は、5nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nmまたは20nmであり、一方、上限は、90nm、85nm、80nm、75nm、70nm、65nm、60nm、55nm、50nm、45nm、40nm、38nm、36nm、34nm、32nm、または30nmである。
当業者であれば、明示的に開示された下限および上限のいずれかによって形成される任意の範囲が本明細書に明示的に包含されることを理解するであろう。
【0046】
当業者であれば、本発明のオキシラン官能性ラテックスポリマー(b)が、ラテックスポリマー(a)の乳化重合に存在する粒子(例えば、シード粒子)として使用することができるか、または、予め形成されたラテックスポリマー(a)とブレンドすることができるかについて、そして、それによって、予め成形されたラテックスポリマー(a)が、本発明のオキシラン官能性ラテックスポリマー(b)を用いてまたは用いずに、例えば、シード粒子の例として乳化重合中に存在する粒子として、乳化重合によって製造することができることを、理解できるであろう。当業者であれば、予め形成されたラテックスポリマー(a)の乳化重合に存在する粒子として使用されるオキシラン官能性ラテックス粒子(b)と、予め形成されたラテックスポリマー(a)とブレンドされたオキシラン官能性ラテックスポリマー(b)が、同じであっても異なっていてもよいことはまた、理解できるであろう。
【0047】
ラテックスポリマー(a)
本発明によれば、ラテックスポリマー(a)を製造するためのエチレン性不飽和モノマーの混合物は、以下を含む。
− 15乃至99重量%の共役ジエン;
− 1乃至80重量%のエチレン性不飽和ニトリル化合物から選択されるモノマー;
− 0.05乃至10重量%のエチレン性不飽和酸および/またはその塩;
− 0乃至50重量%のビニル芳香族モノマー;および
− 0乃至65重量%のエチレン性不飽和酸のアルキルエステル。
重量パーセントは、乳化重合において使用される全モノマーに基づく。
【0048】
エチレン性不飽和モノマーの混合物中に、追加のエチレン性不飽和モノマーが存在してもよく、それは、以下から選択される。
− エチレン性不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル;
− エチレン性不飽和酸のアミド;
− ビニルカルボキシレート;
− 少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するモノマー;
− エチレン性不飽和シラン;
− オキシラン官能性エチレン性不飽和化合物;および
− それらの組み合わせ。
【0049】
本発明によれば、ラテックスポリマー(a)を調製するための、エチレン性不飽和モノマーの混合物は、オキシラン官能性モノマーを含まなくてもよい。
【0050】
本発明のラテックスポリマー(a)の製造に適した共役ジエンモノマーには、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3、4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン、2−メチル−6−メチレン−1,7−オクタジエン、7−メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−アミル−1,3−ブタジエン、3,7−ジメチル−1,3,7−オクタトリエン、3,7−ジメチル−1,3,6−オクタトリエン、3,7,11−トリメチル−1,3,6,10−ドデカテトラエン、7,11−ジメチル−3−メチレン−1,6,10−ドデカトリエン、2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、および2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエンおよび1,3−シクロヘキサジエンから選択される共役ジエンモノマーを含む。
1,3−ブタジエン、イソプレンおよびその組み合わせが好ましい共役ジエンである。1,3−ブタジエンが最も好ましいジエンである。
典型的には、共役ジエンモノマーの量は、モノマーの総重量に基づいて、15乃至99重量%、好ましくは20乃至99重量%、より好ましくは30乃至75重量%、最も好ましくは40乃至70重量%の範囲である。
従って、共役ジエンは、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量を基準にして、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも22重量%、少なくとも24重量%、少なくとも26重量%、少なくとも28重量%、少なくとも30重量%、少なくとも32重量%、少なくとも34重量%、少なくとも36重量%、少なくとも38重量%、または少なくとも40重量%の量で存在することができる。
【0051】
したがって、共役ジエンモノマーは、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、78重量%以下、76重量%以下、74重量%以下、72重量%以下、70重量%以下、68重量%以下、66重量%以下、64重量%以下、62重量%以下、60重量%以下、58重量%以下、または56重量%以下で使用することができる。
当業者であれば、明示的に開示された下限と上限との間の任意の範囲が本明細書に開示されることを理解するであろう。
【0052】
本発明で使用することができる不飽和ニトリルモノマーとしては、直鎖状または分岐状の2乃至4個の炭素原子を含む、重合可能な不飽和脂肪族ニトリルモノマーを含み、これはアセチルまたは追加のニトリル基のいずれかで置換されていてもよい。
そのようなニトリルモノマーは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル、フマロニトリルおよびこれらの組み合わせを含み、アクリロニトリルが最も好ましい。
これらのニトリルモノマーは、ラテックスポリマー(a)用のエチレン性不飽和モノマーの全量に基づいて、1乃至80重量%、好ましくは10乃至70重量%、または1乃至60重量%、より好ましくは15乃至50重量%、さらにより好ましくは20乃至50重量%、最も好ましくは23乃至43重量%を含むことができる。
【0053】
従って、不飽和ニトリルは、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量を基準にして、少なくとも1重量%、5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも12重量%、少なくとも14重量%、少なくとも16重量%、少なくとも18重量%、少なくとも20重量%、少なくとも22重量%、少なくとも24重量%、少なくとも26重量%、少なくとも28重量%、少なくとも30重量%、少なくとも32重量%、少なくとも34重量%、少なくとも36重量%、少なくとも38重量%、または少なくとも40重量%を含んでよい。
【0054】
したがって、不飽和ニトリルモノマーは、80重量%以下、75重量%以下、73重量%以下、70重量%以下、68重量%以下、66重量%以下、64重量%以下、62重量%以下、60重量%以下、58重量%以下、56重量%以下、54重量%以下、52重量%以下、50重量%以下、48重量%以下、46重量%以下、または44重量%以下の量で使用することができる。
当業者であれば、明示的に開示された下限と上限との間の任意の範囲が本明細書に開示されることを理解するであろう。
【0055】
エチレン性不飽和酸またはその塩は、エチレン性不飽和カルボン酸モノマー、エチレン性不飽和スルホン酸モノマー、エチレン性不飽和リン含有酸モノマーから選択することができる。
本発明での使用に適した、エチレン性不飽和カルボン酸モノマーは、モノカルボン酸およびジカルボン酸モノマー、とジカルボン酸のモノエステルを含む。
本発明を実施するには、3乃至5個の炭素原子を含む、エチレン性不飽和脂肪族モノまたはジカルボン酸または無水物を使用することが好ましい。
モノカルボン酸モノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸酸、クロトン酸を含み、ジカルボン酸モノマーの例には、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸および無水マレイン酸が含まれる。
他の好適なエチレン性不飽和酸の例には、酢酸ビニル、乳酸ビニル、ビニルスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸およびそれらの塩が含まれる。
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびそれらの組み合わせが特に好ましい。
【0056】
エチレン性不飽和スルホン酸モノマーの例としては、ビニルスルホン酸、フェニルビニルスルホネート、ナトリウム 4−ビニルベンゼンスルホネート、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、4−スチレンスルホン酸、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸及びその塩が挙げられる。
【0057】
エチレン性不飽和リン含有酸モノマーの例としては、ビニルホスホン酸、ジメチル ビニルホスホネート、ジエチルビニルホスホネート、ジエチル アリルホスフェート、アリルホスホン酸およびその塩を含む。
【0058】
エチレン性不飽和酸モノマーの使用は、ポリマー分散液およびその製造されたコーティングの特性に影響を及ぼす。
これらのモノマーの種類および量はこれにより決定される。
典型的には、そのような量は、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量を基準にして、0.05乃至10重量%、特に0.1乃至10重量%、または0.05乃至7重量%、好ましくは0.1乃至9重量%、より好ましくは0.1乃至8重量%、さらにより好ましくは1乃至7重量%、最も好ましくは2乃至7重量%である。
【0059】
したがって、エチレン性不飽和酸モノマーは、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.7重量%、少なくとも0.9重量%、少なくとも1重量%、少なくとも1.2重量%、少なくとも1.4重量%、少なくとも1.6重量%、少なくとも1.8重量%、少なくとも2重量%、少なくとも2.5重量%、または少なくとも3重量%の量で存在する。
同様に、エチレン性不飽和酸モノマーは、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量に基づいて、10重量%以下、9.5重量%以下、9重量%以下、8.5重量%以下、8重量%以下、7.5重量%以下、7重量%以下、6.5重量%以下、6重量%以下、5.5重量%以下、または5重量%以下で存在できる。
当業者は、明示的に開示された下限および明示的に開示された上限によって定義される任意の範囲が本明細書に開示されることを理解するであろう。
【0060】
ビニル芳香族モノマーの代表は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャリー−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、2−メチル−4,6−ジクロロスチレン、2,4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエンおよびビニルキシレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン及び1,1−ジフェニルエチレン及び置換された1,1−ジフェニルエチレン、1,2−ジフェニルエテン及び置換された1,2−ジフェニルエチレンを含む。
1種またはそれ以上のビニル芳香族化合物の混合物も使用することができる。
好ましいモノマーは、スチレン及びa−メチルスチレンである。
ビニル芳香族化合物は、ラテックスポリマー(a)のエチレン性不飽和モノマーの総重量に基づいて、0乃至50重量%、好ましくは0乃至40重量%、より好ましくは0乃至25重量%、さらにより好ましくは0乃至15重量%、さらに最も好ましくは0乃至10重量%の範囲で使用することができる。
【0061】
したがって、ビニル芳香族化合物は、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量を基準にして、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、18重量%以下、16重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、2重量%以下、または1重量%で存在することができる。
ビニル芳香族化合物は完全に存在しなくてもよい。
【0062】
さらに、本発明による、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの混合物は、上記のモノマーとは異なる追加のエチレン性不飽和モノマーを含むことができる。
これらのモノマーは、(メタ)アクリル酸のエステル、ビニルエステル、およびエチレン性不飽和酸またはエチレン性不飽和シラン化合物のアミドから選択することができる。
【0063】
本発明に従って使用することができるビニルエステルモノマーは、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルステアレート、及びバーサチック酸ビニルエステルを含む。
本発明に使用される最も好ましいビニルエステルモノマーは酢酸ビニルである。
典型的には、ビニルエステルモノマーは、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量を基準にして、18重量%以下、16重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下の量で存在することができる。
【0064】
適切なエチレン性不飽和シラン化合物の例は、トリエトキシ(ビニル)シランおよび3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランから選択することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物は、ラテックス用ポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマー総重量に基づいて、0.05から5.0重量%、好ましくは0.3から2.0重量%、より好ましくは0.3乃至1.0重量%で存在することができる。
【0065】
本発明に従って使用することができる(メタ)アクリル酸のエステルとしては、アルキル基は1乃至20個の炭素原子を含む、アクリル酸または(メタ)アクリル酸のn−アルキルエステル、イソ−アルキルエステルまたはtert−アルキルエステル、メタクリル酸と、バーサチック酸、ネオデカン酸またはピバル酸のようなネオ酸のグリシジルエステルとの反応生成物、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、およびアルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0066】
一般的に、(メタ)アクリル酸の好ましいアルキルエステルは、C
1−C
10アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC
1−C
8アルキル(メタ)アクリレートから選択されてもよい。
そのようなアクリレートモノマールの例は、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、アクリル酸エチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸4−メチル−2−ペンチル、アクリル酸2−メチルブチル、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよびセチルメタクリレートを含む。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルおよびこれらの組み合わせが好ましい。
【0067】
典型的には、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量を基準にして、18重量%以下、16重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下の量で存在していても良い。
【0068】
本発明によるポリマーラテックスの製造に使用できるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーには、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび高級アルキレンオキシドまたはそれらの混合物に基づく、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレートモノマーが含まれる。
例は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートおよびヒドロキシブチルアクリレートである。
好ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
典型的には、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量を基準にして、18重量%以下、16重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下の量で存在することができる。
【0069】
本発明で使用できるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーには、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、メトキシブチルアクリレートおよびメトキシエトキシエチルアクリレートが含まれる。
好ましいアルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、エトキシエチルアクリレートおよびメトキシエチルアクリレートである。
典型的には、アルコキシエチルアルキル(メタ)アクリレートモノマーの量は、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量を基準にして、18重量%以下、16重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、2重量%以下、または1重量以下の量で存在することができる。
【0070】
本発明によるポリマーラテックスの製造に使用することができるエチレン性不飽和酸のアミドとしては、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびジアセトンアクリルアミドが挙げられる。
好ましいアミドモノマーは、(メタ)アクリルアミドである。
本発明のポリマー粒子に、熱処理によって自己架橋することができる官能基を導入するために、N−メチロールアミド基を含むモノマーを使用することができる。
適切なモノマーは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシーメチル−(メタ)アクリルアミド、N−イソ−ブトキシ−メチル−(メタ)アクリルアミド、N−アセトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシエチル)アクリルアミドである。
典型的には、エチレン性不飽和酸のアミドは、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの総重量を基準にして、18重量%以下、16重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、6重量%以下、4重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下の量で存在することができる。
【0071】
さらに、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、本発明のポリマーラテックスの製造のためのモノマー混合物中に、エチレン性不飽和モノマーの総重量に基づいて、0乃至6.0重量%、好ましくは0.1乃至3.5重量%の量で存在することができる。
典型的には、これらのモノマーは、エチレン性不飽和モノマーの全量に基づいて、6重量%以下、4重量%以下、2重量%以下、1重量%以下の量で存在することができる。
ポリマー(本明細書では多官能性モノマーとして知られている)中で、内部架橋および分枝を提供することができる、好適な二官能性モノマーは、ジビニルベンゼンおよびジアクリレートおよびジ((メタ)アクリレートから選択されることができる。
例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、好ましくは、ジビニルベンゼン、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、および1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートから選択される。
【0072】
ラテックスポリマー(a)の製造に使用される適切なオキシラン官能性モノマーは、好ましい実施形態を含むオキシラン官能性ラテックスポリマー(b)について上に記載したものである。
使用される場合、オキシラン官能性モノマーは、ラテックスポリマー(a)の調製に使用されるモノマーの総量に基づいて、好ましくは、せいぜい5重量%、より好適には、せいぜい3重量%の量で存在する。
しかし、上記のように、ラテックスポリマー(a)がオキシラン官能基を含まないことが最も好ましい。
【0073】
ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの混合物は、
− 20乃至99重量%の共役ジエン、好ましくはブタジエン、イソプレンおよびそれらの組み合わせから選択され、より好ましくはブタジエンである;
− 1乃至60重量%のエチレン性不飽和ニトリル化合物から選択されるモノマー、好ましくはアクリロニトリルである;
− 0乃至40重量%のビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレンである;
− 0乃至25重量%のC
1乃至C
8アルキル(メタ)アクリレート;
− 0.05乃至7重量%のエチレン性不飽和酸、好ましくは(メタ)アクリル酸;
− 0乃至10重量%のビニルエステル:
− 0乃至10重量%の、シラン、アミドおよび/またはN−メチロールアミド基を有するエチレン性不飽和化合物、
重量百分率は混合物中に存在する全モノマーに基づく、
を含んでいても良い。
【0074】
本発明によれば、ラテックスポリマー(a)の調製のための上記のモノマーの量は、100重量%まで加えても良い。
【0075】
本発明によれば、フリーラジカル乳化重合において重合化される、エチレン性不飽和モノマーの混合物はまた、以下を含むことができる:
(a)15乃至90重量%のイソプレン;
(b)1乃至80重量%のアクリロニトリル;
(c)0.01乃至10重量%、好ましくは0.05乃至10重量%の少なくとも1つのエチレン性不飽和酸;
(d)0乃至40重量%の少なくとも1種の芳香族ビニル化合物、および
(e)0乃至20重量%の、化合物(a)乃至(d)のいずれとも異なる、少なくとも1つのさらなるエチレン性不飽和化合物。
成分(a)および/または(b)の範囲は、上記のような(a)共役ジエンについて、および(b)不飽和ニトリルについての範囲から選択することができる。
同様に、成分(c)、(d)および/または(e)の特定の実施形態および量は、成分(c)、成分(d)および追加のポリマーについて上述したものから選択することができる。
【0076】
動的光散乱(dynamic light scattering)(DLS)を使用するMalvern zetasizer nano S (ZEN 1600)を用いて測定した、本発明に係るラテックス粒子(a)のZ−平均粒子径は、好ましくは70から1000nm、より好ましくは80乃至1000nm、より好ましくは、90乃至1000nm、100乃至1000nm、より好ましくは110乃至600nm、より好ましくは120乃至500nmである。
したがって、ラテックス粒子(a)のz平均粒子径の下限は、70nm、80nm、90nm、100nm、105nmまたは110nm、または120nmであり得、z−平均粒子径の上限は、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、350nm、300nm、270nm、250nm、230nm、210nmまたは200nmであり得る。
当業者であれば、明示的に開示された下限および上限のいずれかによって形成される任意の範囲が本明細書に明示的に包含されることを理解するであろう。
【0077】
本発明によれば、特に、ラテックスポリマー(a)のZ−平均粒子径が、ラテックスポリマー(b)のZ−平均粒子径より大きいことが好ましい。
【0078】
本発明のポリマーラテックスの製造方法:
本発明によるラテックスポリマー(a)は、本明細書で定義されるモノマー混合物が使用されるならば、当業者に公知の任意の乳化重合プロセスによって製造することができる。
EP−A792891に記載されているような方法が特に適している。
【0079】
本発明のラテックスポリマー(a)を製造するための乳化重合には、シードラテックスを用いることができる。
好ましくは、シードラテックスは、すべての開示された変形例を含む上記のラテックスポリマー(b)である。
あるいは、当業者に知られている任意の他のシード粒子を使用することができる。
しかし、ラテックスポリマー(b)がシード粒子として使用されない場合、ラテックスポリマー(a)の粒子を含む予成形ラテックスを、ラテックスポリマー(b)の粒子を含む予成形ラテックスと混合するような他の適切な方法で、ラテックスポリマー(b)の粒子は、本発明のポリマーラテックスに組込まれる必要がある。
【0080】
シードラテックス粒子は、好ましくは、オキシラン官能性ラテックス粒子(b)のような、シード粒子を作るためにそれらを含むポリマーラテックスに使用される全エチレン性不飽和モノマーを100重量部として、これに対して、0.01乃至10重量部、好ましくは1乃至5重量部の量で存在する。
従って、シードラテックス粒子の量の下限は、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4または2.5重量部の量で存在することができる。
量の上限は、10、9、8、7、6、5.5、5、4.5、4、3.8、3.6、3.4、3.3、3.2、3.1または3重量部であってもよい。
当業者であれば、明示的に開示された下限および上限のいずれかによって形成される任意の範囲が本明細書に明示的に包含されることを理解するであろう。
【0081】
上記ポリマーラテックスの製造方法は、乳化剤の不存在または1種またはそれ以上の乳化剤の存在下、コロイドの不存在または1種以上のコロイドの存在下、および、1種またはそれ以上の開始剤の存在下で、0乃至130℃、好ましくは0乃至100℃、特に好ましくは5乃至70℃、非常に特に好ましくは5乃至60℃の温度で行うことができる。
温度は、特に、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120および125℃を含む、その間のすべての値およびサブ値を含む。
【0082】
本発明を実施する際に用いることができる開始剤には、重合目的に有効な水溶性および/または油溶性の開始剤が含まれる。
代表的な開始剤は、技術分野においてよく知られており、そして、例えば、アゾ化合物(例えば、AIBN、AMBNおよびシアノバレリン酸のような)及び無機ペルオキシ化合物(過酸化水素、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムの、ペルオキシジスルフェート、ペルオキシカーボネートおよびペルオキシボレートのような)ならびに、有機ペルオキシ化合物(アルキルヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、アシルヒドロペルオキシドおよびジアシル過酸化物のような)、ならびに、エステル(過安息香酸第三ブチルおよび無機および有機の開始剤の組合せを含む。
【0083】
開始剤は、所望の速度で重合反応を開始させるのに十分な量で使用される。
一般に、全ポリマーの重量に基づいて、0.01乃至5重量%、好ましくは0.1乃至4重量%の開始剤の量で十分である。
開始剤の量は、ポリマーの総重量に基づいて、最も好ましくは0.01乃至2重量%である。
開始剤の使用量は、その間のすべての値およびサブ値を含み、特に、ポリマーの総重量に基づいて、0.01、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4および4.5重量%を含む。
【0084】
上記の無機および有機ペルオキシ化合物はまた、当該技術分野において周知のように、単独で、または1つまたはそれ以上の適切な還元剤と組み合わせて使用され得る。
説明し得る、このような還元剤の例には、二酸化硫黄、アルカリ金属ジサルファイト、アルカリ金属およびアンモニウムの亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩及びホルムアルデヒドスルホキシレート、ならびにヒドロキシルアミン塩酸塩、硫酸ヒドラジン、鉄(II)硫酸塩、ナフテン酸銅(cuprous naphthanate)、グルコース、ナトリウムメタンスルホネートのようなスルホン酸化合物、ジメチルアニリンのようなアミン化合物、およびアスコルビン酸である。
還元剤の量は、重合開始剤1重量部に対して、0.03乃至10重量部が好ましい。
【0085】
ラテックス粒子を安定化するのに適した界面活性剤または乳化剤には、重合プロセスのための、それらの従来の界面活性剤が含まれる。
界面活性剤または複数の界面活性剤は、水相および/またはモノマー相に添加することができる。
シードプロセスにおける界面活性剤の有効量は、コロイドとして、粒子の安定化を支持、粒子間の接触の最小化および凝固の防止のために選択される量である。
非シードプロセスにおいて、有効量の界面活性剤は、粒子径に影響を及ぼすために選択された量である。
【0086】
代表的な界面活性剤には、飽和およびエチレン性不飽和スルホン酸またはその塩を含み、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸およびメタリルスルホン酸などの不飽和炭化水素スルホン酸およびそれらの塩;
例えば、p−スチレンスルホン酸、イソプロペニルベンゼンスルホン酸及びビニルオキシベンゼンスルホン酸のような芳香族炭化水素酸およびそれらの塩;
例えば、スルホエチルメタクリレートおよびスルホプロピルメタクリレートのような、アクリル酸およびメタクリル酸のスルホアルキルエステル及びその塩、ならびに、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩;
アルキル化ジフェニルオキシドジスルホネートおよび、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート及びスルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、スルホン酸のナトリウムアルキルエステル、エトキシル化アルキルフェノールおよびエトキシル化アルコール;
脂肪アルコール(ポリ)エーテルスルフェートを含む。
【0087】
界面活性剤のタイプおよび量は、典型的には、粒子の数、それらのサイズおよびそれらの組成によって支配される。
典型的には、界面活性剤は、モノマーの総重量に基づき、0から20までの量で使用され、好適には0から10、より好ましくは0から5重量%である。
界面活性剤の量は、それらの間のすべての値およびサブ値を含み、特に、モノマーの総重量に基づき、0、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18および19重量%を含む。
本発明の一実施形態によれば、重合は界面活性剤を使用せずに行われる。
【0088】
上記の界面活性剤の代わりに、またはそれに加えて、様々な保護コロイドを使用することもできる。好適なコロイドは、部分的にアセチル化されたポリビニルアルコール、カゼイン、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、多糖類及び分解多糖類、ポリエチレングリコールおよびアラビアガムのようなポリヒドロキシ化合物を含む。
好ましい保護コロイドは、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースである。
一般に、これらの保護コロイドは、モノマーの総重量を基準にして、0乃至10、好ましくは0乃至5、より好ましくは0乃至2重量部の含量で使用される。
保護コロイドの量は、それに含まれるすべての値およびサブ値を含み、特に、モノマーの総重量を基準にして、1、2、3、4、5、6、7、8、および9重量%を含む。
【0089】
当業者であれば、浸漬成形用途に適する、本発明のポリマーラテックスを製造するために選択される、極性官能基を有するモノマー、界面活性剤および保護コロイドの種類および量を理解するであろう。
したがって、本発明のポリマーラテックス組成物は、30mmol/l未満のCaCl
2、好ましくは25mmol/l未満、より好ましくは20mmol/l未満、最も好ましくは10mmol/l未満(pH10および23℃で0.1%の組成物の全固形分について測定)の臨界凝固濃度として決定される、一定の最大電解質安定性を有することが好ましい。
【0090】
電解質の安定性が高すぎると、浸漬成形プロセスで、ポリマーラテックスを凝固させることが困難となり、その結果、浸漬金型上のポリマーラテックスの連続膜が形成されないか、または得られる製品の厚さ不均一となる。
【0091】
ポリマーラテックスの電解質安定性を適切に調整することは、当業者のルーチンの範囲内である。
電解質の安定性は、幾つかの異なる因子、例えば、ポリマーラテックスを製造するために使用されるモノマー(特に、極性官能基を含むモノマー)の量および選択、ならびに安定化系(stabilizing system)の選択および量(たとえば、ポリマーラテックスを製造するため乳化重合プロセスのような)に依存する。
安定化系(stabilizing system)は、界面活性剤および/または保護コロイドを含有してもよい。
【0092】
当業者は、本発明のポリマーラテックスを製造するための、選択されたモノマーおよびそれらの相対量に依存して、本発明による電解質安定性を達成するために、安定化系(stabilizing system)を調整することができる。
【0093】
電解液の安定性には、多くの異なる影響があるので、調整は試行錯誤の実験によって最もよく行われる。
しかし、これは、上に開示したように、電解質の安定性のための試験方法を使用すると、不適切な努力なしに容易に行うことができる。
【0094】
追加で、緩衝物質およびキレート剤の存在下に、乳化重合を行うことがしばしば望ましい。
好適な物質は、例えば、キレート剤として、アルカリ金属リン酸塩およびピロリン酸塩(緩衝物質)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはヒドロキシ−2−エチレンジアミン三酢酸(HEEDTA)のアルカリ金属塩である。
緩衝物質およびキレート剤の量は、モノマーの総量を基準として、通常0.001乃至1.0重量%である。
【0095】
さらに、乳化重合において連鎖移動剤(調節剤)を使用することが有利であり得る。
典型的な薬剤は、例えば、チオエステル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸およびC
1−C
12アルキルメルカプタンのような有機硫黄化合物であり、n−ドデシルメルカプタン及びt−ドデシルメルカプタンが好ましい。
連鎖移動剤の量は、存在する場合には、使用されるモノマーの総重量に基づいて、通常、0.05乃至3.0重量%、好ましくは0.2乃至2.0重量%である。
【0096】
さらに、重合プロセスに、部分的な中和を導入することは、有益であり得る。
当業者は、このパラメータの適切な選択によって、必要な制御が達成され得ることを理解するであろう。
【0097】
本発明のラテックス組成物を調製するために、種々の他の添加剤および成分を添加することができる。
このような添加剤には、例えば、消泡剤、湿潤剤、増粘剤、可塑剤、充填剤、顔料、分散剤、蛍光増白剤、架橋剤、促進剤、酸化防止剤、殺生物剤および金属キレート剤が含まれる。
公知の消泡剤には、シリコーン油およびアセチレングリコールが含まれる。
通常の既知の湿潤剤には、アルキルフェノールエトキシレート、アルカリ金属ジアルキルスルホコハク酸塩、アセチレングリコールおよびアルカリ金属アルキル硫酸塩が含まれる。
典型的な増粘剤には、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、キサンタンガム、変性セルロース、またはシリカおよび粘土のような粒状増粘剤が含まれる。
典型的な可塑剤には、鉱油、液体ポリブテン、液体ポリアクリレートおよびラノリンを含む。
酸化亜鉛は適切な架橋剤である。
二酸化チタン(TiO
2)、炭酸カルシウムおよび粘土は、典型的に使用される充填剤である。
既知の促進剤と二次促進剤は、亜鉛ジエチルジチオカーバメート、亜鉛ジブチルジチオカーバメート、亜鉛ジベンジルジチオカルバメート、亜鉛ペンタメチレンジチオカーバメート(ZPD)、キサンテート、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(DPTT)のようなチウラム、および、ジフェニルグアニジン(DPG)、ジ−o−トリルグアニジン(DOTG)、o−トリルビグアニジン(OTBG)のようなアミンを含む。
【0098】
本発明の別の実施形態では、ラテックスポリマー(a)の粒子を含むポリマーラテックスおよびラテックスポリマー(b)の粒子を含むポリマーラテックスが予成形され、続いて両方のラテックスが組み合わされる。
ラテックスポリマー(a)およびラテックスポリマー(b)をそれぞれ含む予形成されたラテックスの製造のための乳化重合は、すべての開示されたバリエーションを含む、ラテックスポリマー(a)を含む、ラテックスの製造について上述したのと同じ方法で行うことができる。
【0099】
本発明のポリマーラテックスは、ラテックスポリマー(a)の粒子の組成物中のラテックス粒子の総重量に基づいて、50乃至99重量%、好ましくは60乃至98重量%、より好ましくは65乃至97重量%、最も好ましくは70乃至96重量%を含み、そして、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の組成物におけるラテックス粒子の総重量に基づいて、1乃至50重量%、好ましくは2乃至40重量%、より好ましくは3乃至35重量%、最も好ましくは4乃至30重量%を含むことができる。
したがって、ラテックスポリマー(a)の粒子の量の下限は、組成物中のラテックス粒子の総重量に基づいて、50重量%、または55重量%、または58重量%、または60重量%、または62重量%、または63重量%、または64重量%、または65重量%、または66重量%、または67重量%、または68重量%、または69重量%、または70重量%の量で、存在できる。
ラテックスポリマー(a)の粒子の量の上限は、組成物中のラテックス粒子の総重量を基準にして、99重量%、または98重量%、または97重量%、または96重量%、または95重量%、または94重量%、または93重量%、または92重量%、または91重量%、または90重量%、または89重量%、または88重量%、または87重量%、または86重量%、または85重量%、または84重量%、または83重量%、または82重量%、または81重量%、または80重量の量で存在できる。
ラテックスポリマー(b)の粒子の量の下限は、組成物中のラテックス粒子の総重量を基準にして、1重量%、または1重量%、または1重量%、または1重量%、または5重量%、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%、または11重量%、、または12重量%、または13重量%、または14重量%、または15重量%、または16重量%、または17重量%、または18重量%、または19重量%、または20重量%の量で存在できる。
ラテックスポリマー(b)の粒子の量の上限は、組成物中のラテックス粒子の総重量を基準にして、50重量%、または45重量%、または42重量%、または40重量%、または38重量%、または37重量%、または36重量%、または35重量%、または34重量%、または33重量%、または32重量%、または31重量%、または30重量%である。
当業者であれば、明示的に開示された下限および上限のいずれかによって形成される任意の範囲が本明細書に明示的に包含されることを理解するであろう。
【0100】
本発明のポリマーラテックスの調製のために、ラテックスポリマー(a)のためのエチレン性不飽和モノマーの混合物は、第1のポリマーラテックスを形成するフリーラジカル乳化重合において、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の粒子の存在下で重合(例えば、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の粒子をシード粒子として存在させることができる)させ、そして、ラテックスポリマー(b)の粒子を含む第2のポリマーラテックスを予成形し、次いで、両方のラテックスを組み合わせることも可能である。ここで、ラテックスポリマー(a)の重合に存在する、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)および、ラテックスポリマー(b)の粒子を含む第2ポリマーラテックスは、同じであっても異なっていてもよい。
第1および第2のラテックスを形成するためのそれぞれの乳化重合は、開示されたすべての変形を含むラテックスポリマー(a)を含むラテックスの調製について上述したのと同じ方法で行うことができる。
【0101】
この場合、本発明のポリマーラテックスは、ラテックポリマー(a)の粒子の組成物における、ラテックス粒子の総重量に基づいて、50乃至99重量%、好ましくは60乃至98重量%、より好ましくは65乃至97重量%、最も好ましくは70乃至96重量%を含むことができる。そして、ラテックスポリマー(a)の粒子は、全エチレン性不飽和モノマーの100重量部に対して、0.01乃至10重量部、好ましくは1乃至5重量部の量で、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の粒子の存在下に、調製され、ポリマーラテックス(a)は、ラテックスポリマー(a)の重合に存在する、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)を製造するためのそれを含み、そして、第2のオキシラン官能性ラテックス粒子(b)の組成物中のラテックス粒子の総重量を基準にして、1乃至50重量%、好ましくは2乃至40、より好ましくは3乃至35重量%、最も好ましくは4乃至30重量%である。
【0102】
請求項7(ii)において、ポリマーラテックスは、ラテックスポリマー(a)の粒子の組成物中のラテックス粒子の総重量に基づいて、50乃至99重量%、好ましくは60乃至98重量%、より好ましくは65乃至97重量%、最も好ましくは70乃至96重量%、そして、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の粒子の組成におけるラテックス粒子の総重量に基づいて、1乃至50重量%、好ましくは2乃至40重量%、より好ましくは3乃至35重量%、最も好ましくは4乃至30重量%;したがって、第1のラテックスの製造のためのオキシラン官能性ラテックスポリマー(b)の量の下限は、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4または2.5重量部の量で在り得る。
量の上限は、10、9、8、7、6、5、5、5、4、5、4、3.8、3.6、3.4、3.3、3.2、3.1または3重量部でありうる。
当業者であれば、明示的に開示された下限および上限のいずれかによって形成される任意の範囲が本明細書に明示的に包含されることを理解するであろう。
【0103】
したがって、ラテックスポリマー(a)の粒子の量の下限は、組成物中のラテックス粒子の総重量に基づいて、50重量%、または55重量%、または58重量%、または60重量%、または62重量%、または65重量%、または66重量%、または67重量%、または68重量%、または69重量%、または70重量%であってよい。
ラテックスポリマー(a)の粒子の量の上限は、組成物中のラテックス粒子の総重量を基準にして、99重量%、または98重量%、または97重量%、または96重量%、または95重量%、または94重量%、または93重量%、または92重量%、または91重量%、または90重量%、または89重量%、または88重量%または87重量%、または86重量%、または85重量%、または84重量%、または83重量%、または82重量%、または81重量%、または80重量%でよい。
第2のラテックスポリマー(b)の粒子の量の下限は、組成物中のラテックス粒子の総重量を基準にして、1重量%、または1重量%、または1重量%、または1重量%、または5重量%%、または6重量%、または7重量%、または8重量%、または9重量%、または10重量%、または11重量%、または12重量%、または13重量%、または15重量%、または16重量%、または17重量%、または18重量%、または19重量%、または20重量%でよい。
第2のラテックスポリマー(b)の粒子の量の上限は、組成物中のラテックス粒子の総重量を基準にして、50重量%、または45重量%、または42重量%、または40重量%、または38重量%、または35重量%、または34重量%、または33重量%、または32重量%、または31重量%、または30重量%の量でよい。
当業者であれば、明示的に開示された下限および上限のいずれかによって形成される任意の範囲が本明細書に明示的に包含されることを理解するであろう。
【0104】
浸漬成形品の製造のための配合ラテックス組成物:
本発明のポリマーラテックスは、浸漬成形プロセスに特に適している。
したがって、本発明の一態様によれば、ポリマーラテックスは、浸漬成形プロセスで直接使用され得る硬化性ポリマーラテックス化合物組成物を製造するために配合される。
再現性のある良好な物理的フィルム特性を得るために、pH調整剤による配合されたポリマーラテックス組成物のpHを、薄い使い捨て手袋を浸漬で製造するために、pH7乃至11、好ましくは8乃至10、より好ましくは9乃至10の範囲に調整することが推奨される。
支持されていないおよび/または支持された再使用可能な手袋を製造するために、配合されたポリマーラテックス組成物のpHを、pH調整剤で、pH8乃至10、好ましくは8.5乃至9.5の範囲に、調整することが推奨される。
配合されたポリマーラテックス組成物は、本発明のポリマーラテックス、所望により、pH調整剤、好ましくはアンモニアまたはアルカリ水酸化物、および所望により、酸化防止剤、顔料、TiO
2、充填剤および分散剤から選択される、これ等の組成物に使用される通常の添加剤を含む。
【0105】
あるいは、本発明のポリマーラテックスを配合する代わりに、上記ラテックスポリマー(a)を含むポリマーラテックスも、上記と同じ方法で配合できる。そして、配合工程の間または後に、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)を含有する、ポリマーラテックスは、上記で定義したように、添加され、本発明の配合ラテックス組成物を提供する。
【0106】
また、上記で定義したオキシラン官能性ラテックスポリマー(b)を含むポリマーラテックスは、上記と同じ方法で配合することができ、配合工程の間または後に、上記定義のポリマーラテックス(a)を加えて、本発明の配合されたラテックス組成物を提供する。
もちろん、ラテックスポリマー(a)、オキシラン官能性ラテックスポリマー(b)及びそれらのラテックスポリマーの総量に基づく、上記の相対量を用いることができる。
【0107】
硬化させるために、チウラムおよびカルバメートおよび酸化亜鉛のような促進剤と組合せた硫黄のような、従来の加硫系を、浸漬成形プロセスに使用する、本発明の配合ポリマーラテックス組成物に添加することは可能である。
【0108】
代替的にまたは追加的に、化学架橋を達成するためにラテックス粒子上の官能基と反応するのに適した、例えば多価カチオンまたは他の多官能性有機化合物のような架橋剤成分を添加してもよい。
しかし、本発明の特別な利点は、硫黄加硫系および架橋剤を完全に回避することができ、そして、本発明のポリマーラテックス化合物は依然として、硬化して、必要な引張特性を有する浸漬成形品を提供することである。
【0109】
産業用手袋のようなある種の頑丈な用途では、本発明のポリマーラテックスの自己架橋特性に加えて、浸漬製品の機械的強度をさらに高めるために、上記の従来の硫黄加硫系を使用することが有利であり得る。
【0110】
浸漬成形品の製造方法:
本発明の浸漬成形ラテックス成形品の製造方法においては、まず、最終製品の所望の形状を有する金型を、金属塩の溶液を含む凝固剤浴に浸漬する。
凝固剤は、通常、水、アルコールまたはそれらの混合物中の溶液として使用される。
凝固剤の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化亜鉛および、塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物;硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸亜鉛等の金属硝酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、および硫酸アルミニウムなどの金属硫酸塩;および酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸亜鉛等の酢酸塩でありうる。
塩化カルシウムおよび硝酸カルシウムが最も好ましい。
凝固剤溶液は、金型の濡れ挙動を改善するための添加剤を含んでいてもよい。
【0111】
その後、金型を浴から取り出し、必要に応じて乾燥させる。
次いで、このように処理された金型は、本発明の配合ラテックス組成物に浸漬される。
これにより、ラテックスの薄膜がモールドの表面上で凝固する。
あるいは、複数回の浸漬工程、特に2回の浸漬工程によってラテックスフィルムを得ることも可能である。
【0112】
その後、金型をラテックス組成物から取り出し、そして、所望によっては、たとえば、組成物から極性成分を抽出し、そして、凝固したラテックスフィルムを洗浄するために水浴に浸漬する。
【0113】
その後、ラテックスでコーティングされた金型は、80℃未満の温度で任意に乾燥される。
【0114】
最後に、ラテックスコーティングされた金型は、最終フィルム製品の所望の機械的特性を得るために、40℃−180℃の温度で熱処理される。次に、最終ラテックスフィルムを金型から取り除く。
熱処理の持続時間は温度に依存し、そして、典型的には1乃至60分である。
温度が高いほど、必要な処理時間は短くなる。
【0115】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、本発明のポリマーラテックスを使用する場合、浸漬成形プロセスをより経済的に行うことができることを発見した。
特に、本発明による配合ラテックス組成物を形成し、浸漬成形工程(成熟時間)を実施する間の持続時間は、180分を上回る熟成時間を必要とする標準的なラテックスから製造された化合物と比較して、180分以下にかなり低減され得ることが発見された。
【0116】
さらに、最終浸漬成形品の機械的特性を損なうことなく、熱処理工程の温度を、40℃から120℃未満の範囲内に大幅に低下させることができることを発明者らは見出した。
従来のラテックスは、所望の機械的特性を達成するために120℃以上の温度を必要とする。
したがって、本発明のポリマーラテックスを使用する場合、浸漬成形プロセスは、より少ない時間でかつエネルギー消費が少なく、より経済的である。
【0117】
従って、本発明によれば、以下は好ましい。
−配合工程(a)において、
(i)pHを7乃至12、好ましくは7.5乃至11、より好ましくは8乃至10の範囲に調整し、必要に応じてZnOを添加することにより、本発明のポリマーラテックスを配合する。または
(ii)上記で定義したラテックスポリマー(a)の粒子を含むポリマーラテックスを、pHを7乃至12、好ましくは7.5乃至11、より好ましくは8乃至10の範囲に調整し、そして、場合によりZnOを添加し、そして、上記で定義したラテックスポリマー(b)の予形成された粒子を添加する;または
(III)上記で定義したポリマー(b)の粒子を含むポリマーラテックスを、pHを7乃至12、好ましくは7.5乃至11、より好ましくは8乃至10の範囲に調整し、そして、必要に応じてZnOを添加することによって、次いで、上記のように、予め形成されたラテックスポリマー(a)の粒子を添加することによって、配合する;そして
硫黄加硫剤及び硫黄加硫促進剤を含まない、以上により得られる配合ラテックス組成物は、浸漬工程d)において使用される前、180分未満、好ましくは10分乃至150分、より好ましくは20分乃至120分、最も好ましくは30分乃至90分熟成させる、および/または、
−熱処理工程h)において、ラテックス被覆金型は、40℃乃至120℃未満、好ましくは60℃乃至100℃、より好ましくは70℃乃至90℃の温度で熱処理される。
最終的に熱処理されたポリマーラテックスフィルムは、少なくとも約7MPaの引張強さおよび少なくとも約300%の破断点伸び、好ましくは少なくとも約10MPaの引張強さ、少なくとも約350MPaの破断点伸び、より好ましくは少なくとも約15MPaの引張強さおよび少なくとも約400%の破断点伸び、さらにより好ましくは少なくとも約20MPaの引張強さおよび少なくとも約500%の破断時伸びを有する。
【0118】
これらの機械的特性は、ASTM D412に従って測定した。
【0119】
さらに、本発明のポリマーラテックスを用いて製造された浸漬成形物品は、これまで知られていない優れた耐溶剤性を示し、工業用手袋の製造に特に適したものであることが驚くべきことに発明者によって見出された。
【0120】
この方法は、当該技術分野で知られている浸漬成形プロセスによって製造することができる任意のラテックス物品に使用することができる。
【0121】
本発明は、外科用手袋、検査用手袋、コンドーム、カテーテルまたはすべての異なる種類の工業用および家庭用手袋のような健康管理器具から選択される、浸漬成形されたラテックス物品に特に適用可能である。
【0122】
さらに、本発明のポリマーラテックスは、基材、好ましくは織物基材のコーティングおよび含浸にも使用することができる。
それによって得られる適切な製品は、繊維支持手袋(textile−supported gloves)である。
【0123】
本発明を、以下の実施例を参照してさらに説明する。
【0124】
実施例
物理的パラメータの決定:
分散液は、全固形分(TSC)、pH値、粘度(Brookfield LVT)およびz−平均粒径の測定によって特徴付けられた。
さらに、最終的な手袋またはフィルムを、引張特性、耐久性および溶媒透過性について試験した。
【0125】
全固形分(TSC)の測定:
全固形分の測定は、重量法に基づいている。
1乃至2gの分散液を、分析天秤で、タールド(風袋を引いた)アルミニウム皿(tarred aluminum dish)で秤量する。この皿を一定の重量に達するまで循環空気オーブン中、120℃で1時間貯蔵する。
室温に冷却した後、最終重量を再度測定する。
固形分は以下のように計算される:
m
開始−m
最終
TSC=−−−−−−−−−100%、
m
開始
m
開始=初期重量、m
最終=乾燥後の重量
pH値の決定:
pH値は、DIN ISO 976に従って測定する。
緩衝液を用いた2点較正の後、Schott CG840 pHメーターの電極を、23℃で分散液に浸漬し、そして、ディスプレイ上の一定値を、pH値として記録した。
【0126】
粘度の測定:
粘度は、ブルックフィールド LVT粘度計を用いて、23℃で測定した。
約220mlの液体(気泡を含まない)を250mlのビーカーに充填し、粘度計のスピンドルをマークまで浸漬した。
次いで、粘度計のスイッチを入れ、約1分後、一定になるまで値を記録する。
粘度範囲は、スピンドルおよび回転速度の選択、および記録された値が粘度を計算するための係数を決定する。
スピンドル(spindle)についての情報と1分当たりのと回転数は、表1の括弧内に示されている。
【0127】
z−平均粒子径は、動的光散乱を用いる、Malvernゼータサイザー ナノ S(ZEN1600)を用いて測定した。
ラテックス試料を、マニュアルに記載された濁度レベルまで脱イオン水で希釈し、試験キュベットに移した。
キュベットを静かに混合して、試料を均一にし、そして、キュベットを測定装置に置いた。
この値を、z−平均粒径として記録した。
【0128】
引張特性の測定:
最終手袋またはフィルムの引張特性を、ASTM D412試験手順に従って試験した。
各ラテックス化合物から調製した手袋の手のひら領域またはフィルムから、6mmのタイプCダンベル切片(dumbbell specimens)を切断した;未老化試料を、H500LC伸び計(extensometer)を取り付けたHounsfield HK10KS Tensiometerで試験する前に、23±2℃および50±5%の相対湿度で、24時間調整した。
膜厚さ(mm)を、厚さ計(Sylvacによって供給、モデル、Studenrothタイプ12、5mm/0.001;典型的なフィルム厚さの値は、0.050−0.060ミリメートル±0.002)であった。
報告された引張強さは、試験片を引っ張って破断させる際の、測定された最大引張応力に対応する。極限伸びは、破断が生じる伸びに対応する。
【0129】
耐久性の決定:
手袋は、測定前に16時間、相対湿度50%(±5)で、23℃(±2)の気候室で調整した。試験すべき手袋を、人指し指と中指の間の股部から親指の下のカフライン(cuff line)まで直線的にはさみを用いて切断した。
親指と人指し指の試料の切断は、外縁に沿って(outside edge)、親指の先端の点まで維持した。
試料を開き、人差し指の先端を自動応力緩和装置の上顎(top jaws)に取り付け、クランプ(clamp)を閉めた。
試料の下部領域を、下部クランプの顎(jaws)の間に取り付け、クランプを閉めた。
試料の自由な「翼」を、マスキングテープを用いて試験装置のサイドバーに取り付けた。
親指と人差し指との間の股部が、酸水溶液に完全に浸るように、試験装置をpH4のクエン酸水溶液を入れたビーカーに入れた。
試験装置を、ゼロ(0)に設定し、試験を開始した。
試験は25℃で行った。
試料が壊れて、破断点に達するのに必要なサイクル数が記録されたとき、測定は自動的に停止した。
この試験を5回繰り返して、平均を計算し、新鮮なクエン酸水溶液を各試験に使用した。
報告された耐久性(分)は、平均サイクル数(試料の故障を引き起こすのに必要な平均サイクル数)を、267(時間当たりの総サイクル数)で割って、60を掛けたものに相当する。
試験は5時間後に停止した。
【0130】
溶媒透過の測定:
溶媒透過は、EN374−3に準拠した試験方法に従って最終手袋で試験した。有機試験溶媒としてアセトンを用いた。
手のひら領域でサンプルを切断した(直径50mm)。
試験するフィルムには、表面の欠陥やピンホールがないことが必要とした。
5つの異なる場所でフィルム厚さを採取し、平均厚さを記録した。
フィルム厚さ(mm)を、厚みゲージ(Sylvacにより供給された、モデル、Studenroth、タイプ12.5mm/0.001;典型的なフィルム厚さの値は、0.050−0.060ミリメートル±0.002であった)。
溶媒透過は、破過時間(BTT)(分)を介して測定した:BTTは、FID付きのQUMAT 401を用いて測定した。
試験の間、試料を200ml/分の一定ガス流で、セルにクランプした。
試料は試験室に固定される。
有機溶媒を外部サイトに適用し、内部表面上の化学物質を検出するのにかかる時間を測定した。
検出装置は、可燃性ガスとして水素を含む火炎イオン化検出器(FID)である。
【0131】
以下の略語が、実施例で使用される:
BA=n−ブチルアクリレート
MMA=メチルメタクリレート
MAA=メタクリル酸
B=ブタジエン
ACN=アクリロニトリル
GMA=グリシジルメタクリレート
tDDM=tert−ドデシルメルカプタン
Na
4EDTA=エチレンジアミン四酢酸のテトラナトリウム塩
tBHP=tert−ブチルヒドロペルオキシド
TSC=全固形分
PS=粒子径
以下において、特に断らない限り、全ての部および百分率は重量基準である。
【0132】
製造例1(ラテックス1−3)
温度制御装置を付けたサーモスタット ラウダプロリン(Lauda Proline)P26に配置された、還流冷却器、ブレード攪拌機および熱電素子を取り付けた2Lの6口ガラス反応器を、モノマー100重量部に対して、水の重量123部に溶解したラウリル硫酸ナトリウム2.9重量部を入れ、そして、80℃の温度に加熱した。0.23重量部のペルオキソ二硫酸アンモニウム(4%水溶液)をアリコート添加で加えた。
5分後、105重量部の水に溶解した0.37重量部のラウリル硫酸ナトリウムと共に、表1に示すモノマー100重量部(モノマーの量は重量部で示す)を2時間かけて添加した。
モノマーの添加後、温度を80℃に維持した。
重合は99%の転化率まで維持した。
反応混合物を室温まで冷却し、そして、フィルタースクリーン(90μm)を通して篩過した。
ラテックスの特性を表1に要約する。
【0133】
製造例2(ラテックス4−7)
窒素置換したステンレス製耐圧オートクレーブに、モノマー100重量部に対して水185重量部に溶解したドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0重量部を加え、70℃に加熱した。
0.1重量部のtDDM、0.05重量部のNa
4EDTAおよびメタクリル酸を表1に与えられた量で添加した。
0.7重量部のペルオキソ二硫酸アンモニウム(12%水溶液)をアリコート添加で加えた。
【0134】
次いで、表1に示す量のブタジエン、アクリロニトリル、および5.0重量部のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを50重量部の水に溶解した溶液を、4.5時間かけて添加した。
表1に示す量のGMAの添加を2時間後に開始し、そして、2.5時間かけて添加した。
モノマーの添加後、温度を70℃に維持した。
重合は99%の転化率まで維持した。
残留モノマーを60℃で減圧蒸留して除去した。
反応混合物を室温に冷却し、フィルタースクリーン(90μm)で篩過した。
調製したラテックスの特性を表1に纏めた。
【0135】
【0136】
実施例1(比較例)
Synthomer Sdn. Bhd(マレーシア)から市販されているグレードの、Synthomer X6810を、2 phrの酸化亜鉛と1.5 phrの二酸化チタンと配合した。
化合物を3時間にわたって撹拌し、そして、次いで、得られた8.2のpH値8.2および得られた全固形分で浸漬した。ディッピングは手動で行った。
ライナー手袋を、金型に取り付け、そして、金型を、50℃の空気循環オーブン中で状態調整した。
金型は、指の基部まで、化合物に浸漬し、滞留せずに引きだした。
次いで、それを5分間排液し、そして、室温で30秒間反転させた(指を上に)。
金型を化合物中に要求レベルまで再び浸漬し、そして、滞留させずに取り出した。
金型を3分間、液を滴らせ(drip off)、次いで25℃で10秒間反転させた(指を上に向けた)。
次いで、グローブを有する金型を、最低滞留時間で、水性硝酸カルシウム(10%w/w)に浸漬した。
硬化は、90℃で10分間、続いて、120℃で30分間行った。
最後に、硬化した手袋を、手で、金型から剥がした。
【0137】
実施例2(比較例)
Synthomer X6810を、ラテックス1(ブレンド比80:20湿潤重量)とブレンドし、実施例1の記載にしたがって配合した。
【0138】
実施例3
Synthomer X6810を、ラテックス2(ブレンド比80:20、湿潤重量)とブレンドし、実施例1の記載にしたがって配合した。
【0139】
実施例4
Synthomer X6810を、ラテックス3(ブレンド比80:20、湿潤重量)とブレンドし、実施例1の記載にしたがって配合した。
得られた手袋の溶媒透過性を試験した。
結果を表2に要約する。
【0140】
【0141】
実施例5(比較)
ラテックス1を2重量部(ポリマー固形分を基準にして)および80重量部の水(ラテックス1を含むモノマー100重量部を基準にして)を窒素パージした、圧力オートクレーブに加え、そして、続いて30℃に加熱した。
次いで、0.01部のNa
4EDTA及び0.005重量部のBruggemannケミカル・アジア社から入手可能なBruggolite FF6を、水2重量部に溶解したものを加え、次いで、0.08重量部のtert−ブチルヒドロペルオキシド(tBHP)を、2重量部の水に溶解したものを加えた。
次いで、モノマーを、tDDMと共に5時間かけて添加した(水10重量部および0.6重量部のtDDMで希釈した、アクリロニトリル30重量部、ブタジエン62重量部、メタクリル酸6重量部)を10時間かけて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部、ピロリン酸四ナトリウム0.2重量部および水22重量部を添加した。
8重量部の水の0.13重量部のBruggolite FF6の共活性化剤供給物(co−activator feed)を17時間かけて添加した。
4重量部の水に溶解した、0.08重量部のtBHPによる後活性化(post activation)、を、10および17時間後に、2つのアリコート(それぞれ50%)で注入した。
温度を、30℃で、95%の転化率まで維持した結果、45%の全固形分が得られた。
重合は、ジエチルヒドロキシルアミンの5%水溶液0.2重量部の添加によって短時間停止した。
pHを水酸化カリウム(5%水溶液)でpH7.5に調整し、そして、60℃で減圧蒸留して残留モノマーを除去した。Wingstay L型酸化防止剤(水中60%分散液)0.5重量部を、生ラテックスに加え、そして、5%水酸化カリウム水溶液の添加により、pHを8.2に調整した。
【0142】
生ラテックスに、1.0phrの酸化亜鉛と1.0phrの二酸化チタンとを配合した。
5%水酸化アンモニウム水溶液の添加により、pHを10.0に調整した。
最後に、化合物を全固形分18重量%に希釈し、次いで25℃で16時間連続的に撹拌することによって熟成させた。
【0143】
浸漬は、金型浸漬機を使用し、手触りの(textured)指および滑らかな手のひらを有する手袋金型を用いて行った。
界面活性剤溶液で洗浄した金型を、55乃至60℃に加熱し、次いで18重量%の硝酸カルシウム水溶液を含む凝固剤溶液に60℃で1秒間浸漬した。
【0144】
次に、金型を75℃に設定したオーブンに15分間入れた。
続いて、所望のレベル(カフレベル)に達するまで、加熱(温度55乃至65℃)した金型を、配合したラテックス中に7秒間、下方に移動させることによって、それぞれの硬化性ポリマーラテックス組成物の中に浸漬し、5秒間、前記レベルに金型を保持し、次いで、金型を7秒間上昇させた。
次いで、ラテックスで浸漬された金型を、100℃で1分間オーブン中でゲル化させた。
ゲル化後、手袋のカフ(gloves cuff)でのビーディング(beading)を手作業で行い、次に手袋を60℃で1分間水中に浸出させた。
金型は、次いで、120℃で20分間硬化させた。
最後に、硬化した手袋を、手動で金型からはがし、そして、引張特性および耐久性について試験した。
結果を表3に報告する。
【0145】
実施例6(比較)
実施例5を、添加されたモノマー組成物は、アクリロニトリルの29.5重量部、ブタジエンの重量61.5部、水の10重量部とGMAの1重量部で希釈した、メタクリル酸6重量部としたことを除いて繰り返した。
結果を表3に報告する。
【0146】
実施例7(比較)
添加されたモノマー組成物が、アクリロニトリル28.5重量部、ブタジエン61重量部、水10重量部とGMA2.5重量部で希釈されたメタクリル酸6重量部であることを除いて、実施例5を繰り返した。
結果を表3に報告する。
【0147】
実施例8(比較)
添加されたモノマー組成物が、アクリロニトリル27.5重量部、ブタジエン59.5重量部、水10重量部及びGMA5重量部で希釈されたメタクリル酸6重量部であることを除いて、実施例5を繰り返した。
結果を表3に報告する。
【0148】
実施例9(比較)
添加されたモノマー組成物が、アクリロニトリル25重量部、ブタジエン57重量部、水10重量部及びGMA10重量部で希釈されたメタクリル酸6重量部であることを除いて、実施例5を繰り返した。
結果を表3に報告する。
【0149】
実施例10
ラテックス4の2重量部(ポリマー固形分に基づく)と水80重量部(ラテックス4を含むモノマー100重量部に基づく)を窒素パージしたオートクレーブに添加した以外は実施例5を繰り返し、次いで30℃に加熱した。
結果を表3に報告する。
【0150】
実施例11
実施例5の生ラテックスをラテックス5とブレンドして、ブレンド中にGMA1重量部(全モノマー100重量部を基準にして)を有し、そして、配合前に、室温で1時間攪拌した以外は、実施例5を繰り返した。
結果を表3に報告する。
【0151】
実施例12
配合前に、実施例5の生ラテックスを、ラテックス6とブレンドして、ブレンド中に1重量部のGMA(全モノマーの100重量部を基準として)を含有させ、室温で1時間撹拌した以外は同様に繰り返した。
結果を表3に報告する。
【0152】
【0153】
実施例13(比較)
オキシランを含まないシードラテックス(平均粒子径36nm)2重量部(ポリマー固形分を基準にして)と80重量部の水(シードラテックスを含むモノマー100重量部に対して)を、窒素で充填したオートクレーブに添加して、そして、引き続き30℃に加熱した。
次いで、Na
4EDTA0.01重量部および水2重量部に溶解したBruggolite FF6の0.005重量部を加え、続いて2重量部の水に溶解したtBHP0.08重量部を加えた。
次に、モノマーを、tDDMと一緒に、(アクリロニトリル30重量部、ブタジエン62重量部、およびメタクリル酸6重量部を水10重量部で希釈したもの)を5時間かけて添加した。
10時間かけて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部、ピロリン酸4ナトリウムの0.2重量部および水22重量部を添加した。
8重量部の水に0.13重量部のBruggolite FF6の共活性化剤供給物(co−activator feed)を17時間かけて添加した。
0.08重量部のtBHPの後活性化(post activation)、4重量部の水に溶解したものを、10および17時間後に2つのアリコート(それぞれ50%)で注入した。
温度を30℃で95%の転化率まで維持した結果、45%の全固形分が得られた。
重合は、ジエチルヒドロキシルアミンの5%水溶液0.2重量部の添加によって短時間停止した。
pHを水酸化カリウム(5%水溶液)でpH7.5に調整し、そして、60℃で減圧蒸留して残留モノマーを除去した。
Wingstay L型酸化防止剤(60%水中分散液)0.5重量部を、生ラテックスに加え、そして5%水酸化カリウム水溶液の添加により、pHを8.2に調整した。
【0154】
実施例13のラテックスを以下の3つの方法で配合した:
a)実施例13のラテックスに、1phrの酸化亜鉛、0.8phrの硫黄および0.7phrの促進剤(亜鉛ジエチルジチオカルバメート)、1.0phrの二酸化チタンを配合し、そして、pHを、5%水酸化アンモニウム水溶液を添加して、pHを10.0に調整した。
化合物を、18%の全固形分に希釈し、そして、浸漬前に25℃で16時間連続的に撹拌して熟成させた。
【0155】
b)実施例13のラテックスに、1.0phrの酸化亜鉛を配合し、続いて1.0phrの二酸化チタンを配合した。
次に、5%水酸化アンモニウム水溶液の添加によりpHを10.0に調整した。
最後に、化合物を18%に希釈し、浸漬前に25℃で16時間連続的に撹拌することによって成熟させた。
【0156】
c)実施例13のラテックスに、1.0phrの二酸化チタンを配合した。5%水酸化アンモニウム水溶液の添加により、pHを10.0に調整した。
最後に、化合物を18%に希釈し、浸漬前に25℃で16時間連続的に撹拌することによって成熟させた。
浸漬は、金型浸漬機を使用し、そして、手触りの指および滑らかな手のひらを有する手袋金型を用いて行った。
浸漬は実施例5に記載したように行った。
結果を表4に示す。
【0157】
実施例14
実施例13の生ラテックスを、ラテックス7とブレンドして、ブレンド中に1重量部のGMA(モノマーの100重量部に対して)を有するように加えて、室温で1時間撹拌したことを除いて、実施例13を繰り返した。
結果を表4に示す。
【0158】
実施例15
実施例13の生ラテックスをラテックス7とブレンドして、ブレンド中の2.3重量部のGMA(モノマー100重量部に対して)を有し、室温で1時間撹拌したことを除いて、実施例13を繰り返した。
結果を表4に示す。
【0159】
実施例16
ブレンド中に4.3重量部のGMA(モノマー100重量部に対して)を有するように、実施例13の生ラテックスをラテックス7とブレンドして、そして、室温で1時間撹拌したことを除いて、実施例13を繰り返した。結果を表4に示す。
【0160】
【0161】
実施例17(比較)
オキシランを含まないシードラテックス(平均粒子径36nm)2重量部(ポリマー固形分を基準にして)と80重量部の水(シードラテックスを含むモノマー100重量部に対して)を、窒素でパージしたアートクレーブに加え、引き続き30℃に加熱した。
次いで、Na
4EDTA0.01重量部および、水2重量部に溶解したBruggolite FF6の0.005重量部を加え、続いて、水2重量部に溶解したtBHP0.08重量部を加えた。
次に、モノマーを、tDDM(アクリロニトリル35重量部、ブタジエン58重量部、メタクリル酸5重量部を水10重量部で希釈したもの)と共に、5時間かけて添加した。
10時間かけて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部、ピロリン酸4ナトリウムの0.2重量部および水22重量部を添加した。
8重量部の水の0.10重量部のBruggolite FF6の共活性化剤供給物を11時間かけて添加した。
【0162】
温度を30℃で95%の転化率まで維持し、45重量%の全固形分を得た。
重合は、ジエチルヒドロキシルアミンの5%水溶液0.2重量部の添加によって短時間停止した。
pHを水酸化カリウム(5%水溶液)でpH7.5に調整し、そして、60℃で減圧蒸留して残留モノマーを除去した。Wingstay L型酸化防止剤(水中60%分散液)0.5重量部を、生ラテックスに添加し、そして、5%水酸化カリウム水溶液で、pHを8.2に調整した。
ラテックスを配合し、実施例13aに従って浸漬した。
この化合物を、浸漬前に、それぞれ、25℃で、16時間および3時間、連続的に撹拌しながら熟成させた。
結果を表5に報告する。
【0163】
実施例18
ブレンド中に1重量部のGMA(モノマー100重量部に対して)を有するように、生ラテックスを、ラテックス7とブレンドして、そして、室温で1時間撹拌したことを除いて、実施例17を繰り返した。
次いで、ブレンドを配合し、実施例13bのように浸漬した。
化合物を18%に希釈し、そして、浸漬する前に、それぞれ、25℃で16時間または3時間連続的に撹拌することによってコンディショニングした。
結果を表5に報告する。
【0164】
実施例19
ブレンド中に、2.3重量部のGMA(モノマー100重量部に対して)を有するように、生ラテックスをラテックス7とブレンドし、そして、室温で、1時間撹拌した以外は実施例17を繰り返した。
次いで、ブレンドを配合し、実施例13bのように浸漬した。
化合物を18%に希釈し、浸漬する前に、それぞれ、25℃で、16時間または3時間連続的に撹拌することによってコンディショニングした。
結果を表5に報告する。
【0165】
実施例20
生ラテックスをラテックス7とブレンドして、ブレンド中のGMA(モノマー100重量部に対して)を4.3重量部とし、そして、室温で1時間撹拌した以外は実施例17を繰り返した。
次いで、ブレンドを配合し、そして、実施例13bのように浸漬した。
化合物を18%に希釈し、そして、浸漬する前に、それぞれ、25℃で16時間または3時間連続的に撹拌することによってコンディショニングした。
結果を表5に報告する。
【0166】
【0167】
実施例21(比較例)
金型を、それぞれ、120℃および80℃で、20分間熱処理した以外は、実施例17と同様にして行った(25℃で16時間連続攪拌して熟成した)。結果を表6に報告する。
【0168】
実施例22−24
金型を、120℃および80℃で、それぞれ、20分間、熱処理した以外は、実施例18乃至20と同様にして行った(25℃で、16時間、連続的に攪拌して熟成した)。
結果を表6に報告する。
【0169】