(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のプランジャー部分および第2のプランジャー部分は、前記第1のプランジャー部分および前記第2のプランジャー部分の少なくとも一方向における横方向の分離を防止するようにインターロックされる、請求項1に記載の装置。
前記選択された距離の前記第2の部分中、前記第1のプランジャー部分および第2のプランジャー部分の一方の前進を防止する機械的なストップ部をさらに含む、請求項1に記載の装置。
前記第1のプランジャー部分は、第1の長さを有する第1の剛性の長尺状部分を含み、前記第2のプランジャー部分は、第2の長さを有する第2の剛性の長尺状部分を含み、前記第2の長さは、前記第1の長さよりも大きい、請求項1に記載の装置。
前記選択された距離の前記第1の部分を通して同時に前進させるために前記第1のプランジャー部分および第2のプランジャー部分を選択的に接続する結合器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
前記第1のプランジャー部分は、第1の遠位先端部であって、IOLに係合するためにそれから遠位方向に延在する第1の突起を有する第1の遠位先端部を含み、および前記第2のプランジャー部分は、第2の遠位先端部であって、前記IOLに係合するためにそれから遠位方向に延在する第2の突起を有する第2の遠位先端部を含む、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の原理の理解を促すために、ここで、図面に示される実施形態が参照され、およびそれを説明するために特殊な言語が使用される。それにも関わらず、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。説明する機器、器具、方法に対する任意の代替形態およびさらなる修正形態ならびに本開示の原理の任意のさらなる適用は、本開示が関連する技術分野の当業者に通常想到されるであろうように十分に考えられる。特に、一実装形態に関して説明した特徴、構成要素および/またはステップは、本開示の他の実装形態に関して説明した特徴、構成要素および/またはステップと組み合わされ得ることが十分に考えられる。簡潔にするために、場合により、同じまたは同様の部分を指すために図面を通して同じ参照符号が使用される。
【0016】
本明細書で説明する原理によれば、IOL挿入装置は、IOL移植の前進段階および展開段階の両方を通してIOLを前進させるための単一のプランジャーを含み得る。いくつかの実装形態では、単一のプランジャーは、前進部分と展開部分とを含む伸縮式プランジャーである。前進段階中、前進部分および展開部分の両方が協働して、IOL挿入装置を通してIOLを前進させる。これは、例えば、IOL挿入装置内の折畳み室を通して一時停止位置までIOLを前進させることを含み得る。一時停止位置では、前進部分は、その前方への前進を中止させ得、および展開部分は、前進し続けて、現時点では折畳まれているIOLを一時停止位置から押し進めてIOL挿入装置の端部から出し得る。前進部分および展開部分の両方を有する単一のプランジャーは、IOL実装の前進段階および展開段階の両方に使用され得るため、外科技術が単純にされ得、および微小切開に関して外科的処置がより効率的にされ得る。いくつかの実装形態は、ユーザが片手のみを使用してIOLを前進および展開できるようにする。これにより、ユーザは、ユーザの他方の手を使用して、処置の期間中に必要とされる他のタスクを行うことができるようになり得る。
【0017】
図1は、伸縮式プランジャーを含む例示的なIOL挿入装置100を示す図である。いくつかの実装形態では、伸縮式プランジャーは、前進段階および展開段階の両方においてIOLに係合しかつそれを前進させる。いくつかの実装形態では、IOL挿入装置100は、IOLの自動前進および自動展開を提供する。この例によれば、IOL挿入装置100は、遠位セクション102と近位セクション104とを有するハンドピース本体101を含む。遠位セクション102は、IOLカートリッジ110を受け入れかつ維持するように配置および構成された遠位本体部分103を含む。IOLカートリッジ110は、遠位先端部112を含む。遠位先端部112は、眼の強膜にある切開を通過するようなサイズにされる。IOL自体は、展開段階中、IOLカートリッジ110を通して押し進められて遠位先端部112から出される。
【0018】
いくつかの実装形態では、カートリッジ110は、遠位本体部分103に結合され得、かつそれから切り離され得る着脱自在のカートリッジである。しかしながら、本開示の範囲は、そのように限定されない。むしろ、いくつかの実装形態では、カートリッジまたはその1つ以上の特徴、例えば送達中にIOLを折畳むために用いられる折畳み室、展開チャンネルおよび/または表面トポグラフィーは、IOL挿入装置の常設部分に一体的に形成され得るかまたはそれを形成し得る。そのような実装形態は、外科医などのエンドユーザへの引き渡し時にIOL挿入装置内にIOLが入れられている、事前装填されたIOL挿入装置に特に好適であり得る。
【0019】
ハンドピース本体101の近位セクション104は、近位本体部分105を含む。この実装形態では、IOL挿入装置100は、前進トリガ106も含む。
【0020】
ハンドピース本体101は、ユーザによって握られるように配置構成され得る。従って、ハンドピース本体101は、手で握られるための人間工学的な形状にされ得る。いくつかの例では、IOL挿入装置100は、IOLを患者の眼に挿入した後に廃棄され得る使い捨ての機器であり得る。
【0021】
前進トリガ106は、IOL移植の前進段階および展開段階の一方または両方を通したIOLの動きを開始するために使用され得る。この特定の例では、前進トリガ106は、解除ボタンである。いくつかの実装形態では、折畳み室を通したIOLの前進を含む前進段階が自動化され得る。そのような実装形態では、ユーザは、例えば、前進トリガ106を押圧することにより、折畳みプロセスをトリガし得る。他の実装形態では、ユーザは、前進段階および展開段階のいずれか一方または両方中にIOLを手動で前進させ得る。そのような実装形態では、ユーザは、プランジャーに手動で力を加え、それによりIOLをハンドピース本体101で押し進めて患者の眼内で展開する。
【0022】
図2および
図3は、前進および展開段階を通じてIOL122と協働し得る伸縮式プランジャー120を有するIOL挿入装置100の一部分の図を示す。
図2は、上面図を示し、および
図3は、側面図を示す。これらの図面は、ハンドピース本体101の概要を示し、およびそれにIOLカートリッジ110、伸縮式プランジャー120およびIOL122が含まれている。
【0023】
IOLカートリッジ110は、遠位セクション102の一部分を形成し、および折畳み室124と展開チャンネル126とを含む中心ルーメン123を含む。本明細書の説明から明らかになるように、伸縮式プランジャー120は、IOL122を、
図2および
図3に示す初期位置から中心ルーメン123内へ、折畳み室124を通して一時停止位置128まで、展開チャンネル126を通して前進させかつ遠位先端部112の開口部から出す。
【0024】
伸縮式プランジャー120は、前進部分130および展開部分132を含み得る。全体的に、前進部分130および展開部分132が協働して、IOL122に係合し、かつそれを矢印125で示すような遠位方向に押し進める。IOL122は、中心ルーメン123内へおよび折畳み室124を通して一時停止位置128まで前進し得る。いくつかの実装形態では、前進部分130は、一時停止位置128において前方への動きを中止し得る。その後、展開部分132が前進部分130を越えて前進して、IOL122を押し進め続け、展開チャンネル126を通り抜けてIOLカートリッジ110の遠位先端部112から出し得る。
【0025】
図4、
図5および
図10は、伸縮式プランジャー120をより詳細に示す。
図4は、伸縮式プランジャー120の全体を示し、および
図5は、伸縮式プランジャー120の遠位先端部136を示す。
図10は、展開部分132が前進部分130を越えて遠位に延在している、別の例の伸縮式プランジャー120を示す。前進部分130および展開部分132は、独立した個別の構成要素であり得、それらは、協働して伸縮式プランジャー120を形成する。そのようなものとして、それぞれが個別の構成要素を含むが、それぞれがまた協働して、IOL122を、IOLカートリッジ110を含むIOL挿入装置100を通して前進させるために使用される。前進部分130および展開部分132は、協働してプランジャーシャフト129を形成する。
【0026】
前進部分130は、剛性の長尺状部分140および作動係合部分142を有する。剛性の長尺状部分140は、遠位先端部144および近位端部146を含む。いくつかの実装形態では、遠位先端部144は、IOL122に係合しかつそれを操作するように配置されたプロファイル、リッジまたは他の特徴を備えて形成され得る。図示の例では、遠位先端部144は、
図2に示すIOLカートリッジ110の折畳み室124を通して前進するときに、IOL122と接触して係合するように構成された係合面148を含む。この実装形態では、係合面148は、プランジャーシャフト129の長さに沿った軸150に対して実質的に横断する方向にある。いくつかの実装形態では、係合面は、軸150に対して65〜90度の範囲内の非垂直のまたは斜めの角度が付けられ得、90度は、軸150に垂直である。他の角度、より大きい角度およびより小さい角度の両方も考えられる。いくつかの実装形態は、遠位先端部144の前縁を形成し得るオーバーハング152を含み得る。オーバーハング152は、IOL122と協働し、かつそれを、IOLカートリッジ110の折畳み室124を通して前進させるためにプランジャーシャフト129のすぐ前側などの所望の位置に維持し得る。
【0027】
図示の例示的な実装形態では、作動係合部分142は、前進部分130の近位端部146に配置される。作動係合部分142は、ハンドピース本体101内で作動係合部分142を遠位先端部112の方に前進させ得るアクチュエータ、ハンドルまたは他のシステムに結合され得るか、またはそれらによって駆動され得る。
【0028】
展開部分132は、剛性の長尺状部分160および作動係合部分162を含み得る。
図4から分かるように、剛性の長尺状部分160の長手方向の長さは、前進部分130の一部を形成する剛性の長尺状部分140の長手方向の長さよりも大きい。これにより、展開部分132が、前進段階中だけでなく、展開段階中にもIOL122に係合してそれを押し進めることができる。これは、本明細書の説明で明らかになる。
【0029】
前進部分130の剛性の長尺状部分140と同様に、展開部分132の剛性の長尺状部分160は、遠位先端部164および近位端部166を含む。遠位先端部164は、前進段階および展開段階においてIOL122に係合しかつそれを操作するように配置されたリッジまたは他の特徴を有する表面プロファイルを備えて形成され得る。この実装形態では、遠位先端部164は、底部リップ168として示す突起と、ポケット170とを含む。底部リップ168は、プランジャーシャフト129の遠位先端部136の前側にIOL122を維持するようなサイズにされ得る。ポケット170は、IOL122の一部分を受け入れるような形状にされ得る。遠位先端部164の形状およびまたは構成はまた、IOLカートリッジ110にある折畳み室124の壁と協働してIOL122を折畳んで、眼内への移植中にIOLが展開チャンネル126および小さい切開を通り抜け得るようにする。いくつかの実装形態では、ポケットは、前進部分130および展開部分132の両方に形成され得る。
【0030】
図示の実装形態では、作動係合部分162は、展開部分132の近位端部166に配置される。作動係合部分162は、遠位方向に軸方向に動くように配置されて、IOL122を前進させ得る。
【0031】
図5の配置構成から分かるように、剛性の長尺状部分140および剛性の長尺状部分160は、協働してプランジャーシャフト129を形成し得る。いくつかの実装形態では、剛性の長尺状部分140、160は、単に互いに隣接して、軸150に沿って摺動するかまたは互いに対して平行移動する。他の実装形態では、剛性の長尺状部分140、160は、互いに構造的に係合されて、少なくとも2つの対向する方向での横方向の分離を防止する。例えば、いくつかの実装形態は、インターロック特徴を含み、インターロック特徴は、剛性の長尺状部分140、160が軸方向に互いに平行移動できるようにするが、少なくとも一方向における相対的な横方向の動きを制限する。一例では、剛性の長尺状部分140、160は、舌特徴および溝特徴を備えて形成される。他の実装形態では、剛性の長尺状部分140、160は、ハンドピース本体101内に形成された軌道または壁によって互いに対して固定される。
【0032】
図5の実装形態は、前進部分130が展開部分132の前方に前進しなくてもよいように配置構成される。この実装形態では、展開部分132は、前進部分130の剛性の長尺状部分140に形成された隣接面174に当接する肩部172を含む。肩部172は、IOL挿入装置100を通した伸縮式プランジャー120の前進の一部分中に隣接面174に接触する。例えば、場合により、係合部分142は、IOL122が一時停止位置128内へ前進する間に駆動され得る。一時停止位置128内へのIOL122のこの前進中、隣接面174によって肩部172に加えられた力により、展開部分132を同時に前進させる。IOL122が一時停止位置に達すると、係合部分142に加えられた駆動力が除去され得、展開部分132は、もはや前進部分130によって駆動され得ない。従って、前進部分130および展開部分132は、その後、切り離されて、展開部分132は、例えば、前進部分130を越えて遠位方向に動くように動作可能であり得る。従って、肩部172は、IOL122の前進の一部分に関して前進部分130が展開部分132を越えて前進することを停止させるかまたは防止する物理的なバリアを生じる。対照的に、この実装形態では、展開部分132は、前進部分130を越えて入れ子状に摺動して、IOL122をIOLカートリッジ110から出して展開させ得る。
【0033】
図10は、前進部分を越えて展開部分132が遠位方向に延在する伸縮式プランジャー120を示す。図示の位置では、展開部分132の遠位先端部164は、前進部分130の遠位先端部144の遠位方向に設置されている。
図10に示す展開部分132に対する前進部分130の位置の結果、肩部172と隣接面174との間に間隙が形成されて、肩部172および隣接面174がもはや互いに接触しないようにする。
【0034】
図11および
図12は、前進部分1130に形成された溝1134に入れ子式に受け入れられる前進部分1130および展開部分1132を含む別の例の伸縮式プランジャー1120を示す。配置構成されているように、展開部分1132は、伸縮式プランジャー1120の下面を形成する一方、前進部分1130の側面1136は、展開部分1132が溝1134に完全に入れられるときに、伸縮式プランジャー1120の3つの他の側面を形成する。例示的な伸縮式プランジャー1120は、側面1136が直角の関係を有し、および溝1134が直角の断面を有する、すなわち互いに垂直の隣接する側面を有することを示すが、本開示の範囲は、そのように限定されない。むしろ、前進部分1130および展開部分1132の断面形状は、任意の所望の形状であり得る。さらに、伸縮式プランジャー1120は、任意の数の側面を有し得、および側面のいずれかが任意の所望の湾曲を有し得る。従って、側面1136および溝1134は、任意の所望の形状を有し得る。
【0035】
伸縮式プランジャー1120は、例えば、IOL挿入装置100と同様に、IOL挿入装置に組み込まれ得る。本明細書で説明する伸縮式プランジャー120と同様に、前進部分1130および展開部分1132は、協働して、IOL122と同様であり得るIOLを、IOL挿入装置の一部分を通して前進させる。例えば、上述したように、前進部分1130および展開部分1132は、協働してIOLを前進させてIOLを折畳み構成にする。伸縮式プランジャー1120は、例えば、上述したように折畳み室124などの折畳み室を通してIOLを前進させることにより、IOLを折畳むように動作し得る。IOLの折畳み中、前進部分1130の遠位先端部1144および展開部分の遠位先端部1164は、位置合わせして、IOL挿入装置の少なくとも一部分、例えばそれに形成されたルーメンおよび折畳み室を通してIOLを前進させる。
【0036】
遠位先端部1144および遠位先端部1164は、IOLの形状に一致し得る輪郭を有し得る。さらに、遠位先端部1144および遠位先端部1164の形状は、IOLの折畳みを特定の方法で促すように配置され得る。
図11に示すように、遠位先端部1144は、実質的に平面であるとして示されている。さらに、前進部分1130の側壁1136は、平面であり、かつ直角に配置されているとして示されている。遠位先端部1144の形状は、底部リップ1168およびポケット1170を画定する湾曲を有するとして示されている。底部リップ1168は、IOL全体を遠位方向に伸縮式プランジャー1120の前側に維持するようなサイズにされ得る。ポケット1170は、IOLの一部分を受け入れるような形状にされ得る。
【0037】
本開示の範囲は、そのように限定されない。むしろ、上述したように、側面1136の形状は、任意の所望の形状であり得る。例えば、側面1136は、前進部分1132の湾曲した断面形状を生じるように選択され得る。
【0038】
ここでも、伸縮式プランジャー120と同様に、展開部分1132は、前進部分1130の遠位先端部1144を越えて前進して、折畳まれたIOLをIOL挿入装置から例えば眼内に展開し得る。前進部分1130および展開部分1132は、結合されて、伸縮式プランジャーの前進の一部分中にそれら両方が一緒に移動できるようにする一方、また前進部分1130および展開部分1132が切り離されて、展開部分1132の前進部分1130を越える前進を可能にしてIOLの送達を完了できるようにする。
【0039】
図13および
図14は、別の例の伸縮式プランジャー1320を示す。伸縮式プランジャー1320は、IOL挿入装置104と同様のIOL挿入装置などのIOL挿入装置において使用され得る。
図13は、長手方向に延在する平面に沿って取った伸縮式プランジャー1320の断面図を示し、および
図14は、線AAに沿って取った横断面図である。伸縮式プランジャー1320は、前進部分1330と、前進プランジャー1320に形成された溝1333に入れ子式に受け入れられる展開部分1332とを含む。図示の例に示すように、前進部分1330は、展開部分1332の3つの側面を囲む。前進部分1330および展開部分1332は、結合されて、伸縮式プランジャーの前進の一部分中にそれらの両方が一緒に移動できるようにする一方、また前進部分1330および展開部分1332が切り離されて、展開部分1332の前進部分1330を越える前進を可能にしてIOLの送達を完了できるようにする。前進部分1330と展開部分1332との結合は、本明細書で説明する1つ以上の方法によって達成され得る。前進部分1330の変形可能部分1334は、例えば、展開部分1332を形成する材料よりも剛性が劣り、より圧縮性であるシリコーンなどの変形可能な材料から形成され得る。前進部分1330の変形する能力は、制限を与える中心ルーメンを通した伸縮式プランジャー1320の移動を可能にし、その全てまたは一部分が伸縮式プランジャー1320よりも小さい全体的な断面サイズを有し得、かつ/またはそれと異なる形状を有し得る。変形可能部分1334が変形可能な材料である結果、前進部分1330は、中心ルーメンの形状およびサイズに一致し得る。例えば、伸縮式プランジャー1320が中心ルーメンの狭窄部分を通して前進されると、変形可能部分1334は、細長くされて中心ルーメンの形状およびサイズに一致し得る。その結果、伸縮式プランジャー1320は、折畳みによってIOLを前進させるために使用され得、および眼に形成された小さい切開、例えば2ミリメートル未満の切開を通して展開され得る。本明細書で説明する他の伸縮式プランジャーと同様に、伸縮式プランジャー1320は、一旦一時停止位置に達する。その後、展開部分1332は、IOLの展開を続け、IOL挿入装置から患者の眼に出す。
【0040】
いくつかの実装形態では、前進部分1330は、変形可能部分1334よりも高い剛性を有する材料から形成されたバックボーン1336も含み得る。バックボーン1336は、動作中、伸縮式プランジャー1320の結合を減少させかつ全体的な長手方向形状を維持することを支援する。場合により、バックボーン1336は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、他のタイプのポリマー、金属または他のタイプの剛性の材料から形成され得る。場合により、変形可能部分1334は、バックボーン1336上にオーバーモールドされる。いくつかの実装形態では、変形可能部分1334の遠位端部1338は、バックボーン1336の遠位端部1340を越えて、選択された距離Lだけ延在し得る。
【0041】
図14に示すように、バックボーン1336は、全体的にU字形状の構成を有し、これは、展開部分1332の一部分の周りに延在する。バックボーン1336は、拡大中心部分1342も含み得る。
図13および
図14に示すバックボーン1336の形状は、剛性をもたらし、かつ前進部分1330および伸縮式プランジャー1320の全体の曲げに抵抗する。しかしながら、バックボーン1336の形状は、図示の例に限定されない。むしろ、場合により、バックボーン1336は、拡大中心部分1342を省略し得る。他の場合、バックボーン1336の断面形状は、全体的にU字形状でなくてもよい。むしろ、場合により、バックボーン1336は、全体的に平面的な断面形状、全体的にV字の断面形状または任意の他の所望の形状を有し得る。
【0042】
上述の例と同様に、前進部分1330および展開部分1332は、協働してIOLを一時停止位置へ前進させる。その後、展開部分1332は、前進部分1330を越えて前進され、IOLをIOL挿入装置から患者の眼内に展開する。
図13に示すように、展開部分1332は、底部リップ1344を含み得る。底部リップ1344は、IOLを伸縮式プランジャー1320の遠位端部1346の前側に維持するようなサイズにされ得る。いくつかの実装形態では、底部リップ1344は、前進部分1330および展開部分1332の両方に形成され得る。他の実装形態では、底部リップ1344は、前進部分1330および展開部分1332の一方にのみ形成され得る。
【0043】
図15は、伸縮式プランジャー1320と同様の、オーバーハング1552を有する例示的な伸縮式プランジャー1520を示す。
図16は、伸縮式プランジャー1320と同様の、オーバーハングを省略している例示的な伸縮式プランジャー1620を示す。
【0044】
他の実装形態では、展開部分132に駆動力が加えられ得る。例えば、駆動力は、展開部分132の前進部分162に加えられ得る。本明細書で説明する結合機構などの結合機構が、伸縮式プランジャー120の行程の一部分中に前進部分130と展開部分132とを結合するために用いられ得る。伸縮式プランジャー120が所望の箇所に達すると、例えばIOL122が一時停止位置128に達すると、前進部分130と展開部分132とは切り離され得る。駆動力が展開部分132に加えられているため、切り離されると、展開部分132は、IOL122を前進させ続けるが、前進部分130は、所望の箇所で不動のまま留まり得る。
【0045】
図2および
図3に戻ると、IOL122が伸縮式プランジャー120の遠位先端部136の前側の初期位置に配置されて示されている。IOL122は、光学部品180および半径方向に延在するハプティック(haptics)182を含む。前進部分130および展開部分132が結合されて、それらの両方が伸縮式プランジャー120の行程の一部分中に一緒に動くと、前進部分130の遠位先端部144は、展開部分132の遠位先端部164と位置合わせし、遠位先端部144と遠位先端部164とが協働してルーメン123の少なくとも一部分を通してIOLを前進させる。遠位先端部144と遠位先端部164との位置合わせにより、IOL122の特徴を受け入れかつ/または係合することができるようにする形状を遠位先端部136に生じ得る。例えば、
図5のオーバーハング152および底部リップ168などの突起は、光学部品180の対向する側面で突出するように配置され得、およびポケット170は、伸縮式プランジャー120がIOL122に係合してそれを押すときにハプティック182の1つを受け入れ得る。
【0046】
図2および
図3は、IOL122をIOLカートリッジ110の方に押し進める前に初期位置にある伸縮式プランジャー120を示す。従って、前進部分130の作動係合部分142は、展開部分132の作動係合部分162から離間している。使用中、展開部分132は、前進部分130よりも大きい距離だけ移動する。従って、この実装形態では、作動係合部分162の初期位置は、作動係合部分142から離間されかつ分離されている。
【0047】
いくつかの実装形態では、前進部分130は、展開部分132に選択的に機械的に結合される。いくつかの例では、これらは、締結具またはピンなどの結合器を使用し得る結合器システムによって機械的に結合される。他の結合器も考えられる。
【0048】
図6は、前進部分130の剛性の長尺状部分140を展開部分132の剛性の長尺状部分160に選択的に結合するために用いられ得る結合システム198の例を示す。この実装形態では、剛性の長尺状部分140、160のそれぞれは、貫通孔202、204をそれぞれ含む。ピン200は、孔202、204に選択的に受け入れ可能である。ピン200は、本体206およびアーム208を含む。この実装形態では、アーム208は、本体206からある角度で延在する。本体206は、孔202、204に収まり、かつ剛性の長尺状部分140、160を互いに結合する。切り離し機構210がピン200と協働するように配置され、かつ剛性の長尺状部分140、160を互いから切り離す。図示の実装形態では、切り離し機構210は、ハンドピース本体101の内部から延在するフックである。切り離し機構210は、矢印214で示される遠位方向にプランジャーシャフト129が前進するときにアーム208に係合するように配置される。アーム208がプランジャーシャフト129と共に遠位方向に前進するとき、切り離し機構210は、角度付きのアーム208に係合し、かつアーム208を矢印216の方向に横方向に変位させる。アーム208は、ピン200の本体206を剛性の長尺状部分160にある孔204から持ち上げ、それにより剛性の長尺状部分140、160を互いから切り離す。
【0049】
図6に示す結合システム198は、ピンおよびフックシステムであるが、他の実装形態は、剛性の長尺状部分140、160を結合しかつ切り離すために他のシステムおよび構成要素を用いる。いくつかの実装形態は、剛性の長尺状部分140、160を接続しかつそれらの接続を切るために結合システムを用いなくてもよい。いくつかの実装形態では、切り離し機構210は、プランジャーシャフト129の遠位先端部136がIOL122を一時停止位置128まで前進させたときに、剛性の長尺状部分140、160を切り離すために選択された箇所においてハンドピース本体101内に配置され得る。
【0050】
機械的に結合されることにより、伸縮式プランジャー120は、IOL挿入装置のハンドピース本体101内で遠位方向に前進し、IOL122をIOLカートリッジ110まで前進させ得る。IOL122がIOLカートリッジ110内の折畳み室124を通過すると、前進部分130および展開部分132の両方が協働してIOL122を所望の向きに維持する。
【0051】
図2および
図3に戻ると、IOL122が折畳み室124を通過するとき、室壁は、IOL122を強制的に折畳み、IOLをより小さいプロファイルにする。協働する前進部分130および展開部分132は、折畳まれたIOL122を一時停止位置128まで押し進め続ける。一時停止位置128は、中心ルーメン123の、折畳み室124よりも幅が狭いおよび/または高さが低い一部分であり得る。そのようなものとして、一時停止位置128にあるルーメン壁は、IOL122を折畳み状態に維持することを支援し得る。
【0052】
いくつかの実装形態では、展開部分132のみが一時停止位置128を越えて遠位方向に前進し得る。そのようなものとして、いくつかの実装形態は、前進部分130および展開部分132が互いに対して独立して軸方向に平行移動できるように配置される。例えば、いくつかの実装形態では、前進部分130および展開部分132は、IOL122の前進の一部分において一緒に前進し得る。その後、前進部分130と展開部分132とは切り離され得、展開部分132が前進部分130とは無関係に遠位方向に前進できるようにする。従って、場合により、IOL122の前進中に前進部分130と展開部分132とが一緒に所望の点まで前進されると、展開部分132は、切り離されて、前進部分130とは無関係にさらに遠位方向に前進できる。展開部分132がさらに前進されて遠位先端部112からIOL122を送達するとき、IOL挿入装置100内の前進部分130の位置は、不変のままであり得る。前進部分130を展開部分132に選択的に固定するために結合器を用いる実装形態では、切り離しは、IOL122が一時停止位置128にあるときに発生し得る。切り離しは、展開部分132および前進部分130の一方または両方から結合器を除去することを含み得る。例えば、ピン200(
図6)を使用して前進部分130と展開部分132とを選択的に結合する場合、ピン200は、前進部分130が一時停止位置128に達すると自動的にまたは手動のいずれかで除去され得る。
【0053】
いくつかの実装形態は、それぞれの前進部分130および展開部分132の一方または両方の遠位方向の前進を制限し得る機械的なストップ部250を含む。機械的なストップ部250は、ハンドピース本体101の内部部分に形成され得る。前進部分130が遠位方向に動くとき、機械的なストップ部250に当接し得る。この硬質の機械的なストップ部250は、一時停止位置128を越える前進部分130のさらなる遠位方向の動きを防止し得る。いくつかの実装形態では、機械的なストップ部250は、前進部分130が展開部分132から切り離された直後に前進部分130のさらなる遠位方向の動きを防止するように設置され得る。前進部分130が、機械的なストップ部250の箇所によって決定されるようなその遠位限界点に達するとき、展開部分132は、前進し続けて、IOLカートリッジ110の遠位先端部112からIOL122を展開させ得る。いくつかの実装形態では、
図6の切り離し機構210も機械的なストップ部250である。
【0054】
図7および
図8は、伸縮式プランジャー120が入れ子状に摺動されかつ十分に展開した状態にあるIOL挿入装置100を示す。
図2および
図3と同様に、
図7および
図8は、IOL挿入装置100の一部分の図を示す。
図7は、上面図を示し、および
図8は、側面図を示す。この状態では、IOL122(
図7および
図8に図示せず)は、IOLカートリッジ110の遠位先端部112から展開されている。ここで、展開部分132の遠位先端部164は、IOLカートリッジ110の遠位先端部112から突出して示されている。図示の通り、作動係合部分142は、機械的なストップ部250に当接している。従って、前進部分130の遠位先端部144は、IOLカートリッジ110の一時停止位置128内に配置される。さらに、展開部分132の作動係合部分162は、作動係合部分142に当たって前進部分130に当接している。従って、展開部分132は、その遠位限界点まで前進される。すなわち、この実装形態では、作動係合部分162は、機械的なストップ部の機能を果たす。しかしながら、他の実装形態は、作動係合部分142、162が互いに当接しない他の方法で動作する。
【0055】
展開部分132は、前進部分130の遠位先端部144を越えて遠位方向に前進し続けるため、この例では、展開部分132のみがIOLカートリッジ110内で一時停止位置128を越えて移動する。そのようなものとして、展開段階における伸縮式プランジャー120の断面積、全断面の高さおよび/または全断面の幅は、前進段階における伸縮式プランジャー120の全断面積、全断面の高さおよび/または全断面の幅よりも小さい。すなわち、いくつかの実装形態では、展開部分132の、軸150に対して横断する方向のその遠位端部におけるまたはその近くの断面のサイズは、前進部分130および展開部分132の組み合わせの、軸150に対して横断する方向のその遠位端部におけるまたはその近くの断面のサイズよりも小さい。従って、IOL122は、単一のプランジャーを使用して前進され、折畳まれ、かつ展開され得る一方、角膜の切開サイズは、プランジャー全体の一部分のみが実際に切開を通過するため、最小限にされ得る。他の実装形態では、前進部分130は、一時停止位置128を越えてある距離だけ前進し得る。
【0056】
図9は、いくつかの実装形態による伸縮式プランジャーを使用してIOLを展開する例示的な方法900を示すフローチャートである。伸縮式プランジャーは、本明細書で説明する伸縮式プランジャー120と同様であり得る。この例によれば、方法900は、902において、使用するためのIOL挿入装置を準備することを含む。使用するためのIOLの準備は、ハンドピース本体の折畳み室に潤滑剤を注入することを含み得る。潤滑剤は、IOLの周りの空間を満たして、IOLが折畳み室を通過するときにIOLに潤滑性をもたらし得る。いくつかの実装形態では、潤滑剤は、眼科手術粘弾性物質(OVD)流体であり得る。
【0057】
904において、ユーザは、伸縮式プランジャーを前進させることにより、IOL挿入装置の第1の部分を通してIOLを変位させ得る。これは、外科的処置の前進段階に対応し、かつ伸縮式プランジャーの前進部分および展開部分の同時前進を含み得る。いくつかの実装形態では、伸縮式プランジャーの前進は、前進トリガを作動させて、IOL挿入装置のハンドピース本体において伸縮式プランジャーを前進させることを含み得る。いくつかの実装形態では、これは、ハンドピース本体上のボタンを押して、伸縮式プランジャーに取り付けられた駆動機構を作動させることを含み得る。他の実装形態では、これは、手動で荷重を加えて伸縮式プランジャーを遠位方向に動かすことにより、ユーザが伸縮式プランジャーを手動で前進させることを含み得る。いくつかの実装形態では、前進部分および展開部分は、本明細書で説明するように結合され得る。伸縮式プランジャーを前進させる間、前進部分および展開部分の遠位先端部は、両方ともIOLに同時に係合し得る。いくつかの実装形態では、前進部分および展開部分の遠位先端部は、折畳み室を通過するときに協働してIOLを所望の向きに維持する。
【0058】
906において、伸縮式プランジャーの前進部分の遠位方向の動きが停止され得る。いくつかの実装形態では、前進部分は、前進部分が機械的なハードストップに係合するかまたは当接すると停止され得る。いくつかの実装形態では、前進部分は、IOLが一時停止位置に配置されると遠位方向の動きを停止し得る。
【0059】
前進部分および展開部分、例えば前進部分および展開部分130、132などが選択的に結合される実装形態では、前進部分および展開部分を切り離すかまたはそれらの接続を切るために物理的な構造が使用され得る。いくつかの実装形態は、ピンまたは他の締結具を除去して、前進部分に対する展開部分の軸方向の動きを可能にすることを含み得る。
【0060】
908において、ユーザは、伸縮式プランジャーの展開部分を前進させる一方で前進部分の継続的な動きを防止することにより、IOL挿入処置の第2の部分を通してIOLを変位させ得る。これは、外科的処置の展開段階に対応し、および折畳まれたIOLを一時停止位置から前進させて、IOLカートリッジの遠位先端部から眼内へ出すことを含み得る。いくつかの実装形態では、IOLカートリッジのルーメンは、カートリッジの遠位端部の方に向かってサイズが小さくされている。これらの実装形態のいくつかでは、ルーメンは、伸縮式プランジャーの展開部分および前進部分がルーメン内に同時に収まることができないようなサイズにされている。展開部分のみを前進させることにより、IOLカートリッジの遠位先端部は、最小にされて、遠位先端部および最終的にはIOLが通過し得る小さい切開のみが必要とされる。いくつかの実装形態では、展開部分は、前進部分と滑り接触し得、従って前進部分に沿って摺動し得る。
【0061】
本明細書で説明する方法およびシステムの使用は、例えば、IOLをそれぞれ前進および展開させるために2つの別個のプランジャーを用いるIOL送達システムなど、他のIOL送達システムを上回るいくつもの利益および利点を提供し得る。いくつかの例では、IOL挿入装置100は、片手を使用して動作され、ユーザの他方の手を自由にし、外科的処置全体のコントロールを強化するなどし得る。別の利点は、切開のサイズが最小限にされ、手術の安全性を高め、および場合により創傷の治癒がより速くなり、外傷が小さくなり、または他の患者の利点があることであり得る。自動プランジャー前進を使用する実装形態は、プランジャーの駆動に関連するリスクを減少し得る。そのようなものとして、IOL送達の速度は、より着実かつ抑制しやすいことができる。さらに、動作ステップは、既存のシステムと比較して少なくされ得る。例えば、単純化した動作ステップにより、ユーザは、IOLを挿入することに関連付けられる全体的な時間を削減でき、かつ外科的処置をより効率的および効果的に実施できるようになる。
【0062】
当業者は、本開示によって包含されるものが上記で説明した特定の例示的な実装形態に限定されないことを理解する。その関連で、説明に役立つ実装形態が図示および説明されたが、広範囲の修正形態、変更形態および代替形態が上述の本開示において考えられる。そのような変形形態は、本開示の範囲から逸脱することなく上記に対してなされ得ることが理解される。従って、添付の特許請求の範囲は、広義におよび本開示と一致するように解釈されることが適切である。