特許第6982020号(P6982020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982020
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】汎用拡張性高費用効率表面修飾
(51)【国際特許分類】
   C07C 311/37 20060101AFI20211206BHJP
   C08G 73/02 20060101ALI20211206BHJP
   C08G 65/333 20060101ALI20211206BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20211206BHJP
   C07C 311/64 20060101ALI20211206BHJP
   C02F 1/44 20060101ALN20211206BHJP
【FI】
   C07C311/37CSP
   C08G73/02
   C08G65/333
   C08J7/00 ACFG
   C07C311/64
   !C02F1/44 C
【請求項の数】11
【全頁数】86
(21)【出願番号】特願2019-54648(P2019-54648)
(22)【出願日】2019年3月22日
(62)【分割の表示】特願2015-559007(P2015-559007)の分割
【原出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2019-142878(P2019-142878A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年3月22日
(31)【優先権主張番号】61/767,736
(32)【優先日】2013年2月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】エリック エム.ブイ. フーク
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ケイナー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン マクベリー
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/071461(WO,A2)
【文献】 特表2004−511343(JP,A)
【文献】 特表2003−501249(JP,A)
【文献】 特表2007−527542(JP,A)
【文献】 Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry,2011年,49(23),p.5087-5099
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 311/00
C08G 73/00
C08G 65/00
C08J 7/00
C02F 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化94】

によって表される構造を有する化合物であって、
式中、Aは−(SO)−であり、L−NRQであり;
Qは、水素、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリアニリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される親水性ポリマー、または式:
【化95】

によって表される構造であり、
式中、Zは、−CR6a6bたは−C(=NH)NR−であり;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8であり:
1aおよびR1bの各々は独立して水素またはハロゲンであり;
2aおよびR2bの各々はハロゲンであり;
水素またはC1〜C4アルキルであり;
4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素であり
5a、R5b、およびR5cの各々は、水素−NR10a10b、−R10a10b−SO、−SO11、−CO、および−CO11から独立して選択され;
6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素であり
は、存在する場合、水素またはC1〜C4アルキルであり
10aおよびR10bの各々は、存在する場合、独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり;そして
11は、存在する場合、水素またはC1〜C4アルキルであ
化合物。
【請求項2】
mが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Zが−CHまたは−C(=NH)NH−である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記ハロゲンが−Fまたは−Clである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記ハロゲンが−Fである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
5aが−COであり、R5bが−NHであり、R5cが水素である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
5aが−COであり、R5bおよびR5cの各々が水素である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
5aが−NHであり、R5bおよびR5cの各々が水素である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が:
【化96】

【化97】

から選択される構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が:
【化98】

【化99】

から選択される構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が:
【化100】

である、請求項1に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる、2013年2月21日に
出願された米国特許仮出願第61/767,736号の利益を請求する。
【0002】
連符政府に支援された研究に関する声明
本発明は全米科学財団(NSF)によって授与された認可番号第0903720号のも
とで政府の支援を受けておこなわれた。政府は本発明にある一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
急速な人口増加とクリーンエネルギー技術の出現で、世界的に新鮮な水の利用可能性が
驚くべき速さで低下している(Service, R. F. (2006) Scie
nce 313, 1088−1090)。すでに、12億人の人々が安全な飲料水を入
手できず、数百万(主に幼児)が汚染水から伝播する疾患で毎年死亡している(Shan
non, M et af. (2008) Nature 452, 301−310
; Elimelelch and Phillip (2011) Science
333, 712−717)。米国などの先進国でさえも、今世紀中に「水不足」になる
と考えられる(Service, R. F. (2006) Science 313
, 1088−1090)。減少する地下水資源は、ますます増える重金属、微量汚染物
質、および生殖毒素(reproductive toxin)で汚染されつつある。上
水道を消毒するために添加される化学物質は環境に悪影響を及ぼし、多くの場合、飲料水
中で高レベルの発がん性物質を生じる副反応を起こす(Shannon, M., et
al (2008) Nature 452, 301−310)。伝統的および非伝
統的ソースから効率的に水を処理して地球規模のニーズを適切に満たすための新規技術を
開発しなければならない。
【0004】
逆浸透(RO)は、海水および半塩水を飲料用およびハイテクアプリケーション用の高
純度水に効率的に変えることができるために、水処理において最先端の技術として台頭し
てきた。ROのために使用されるポリマー薄フィルム膜は、代替的脱塩技術と比べて高流
量、高選択性、低コスト、および比較的低エネルギー消費を示す(Elimelelch
and Phillip (2011) Science 333, 712−717
; Lee, K., et al (2011) J. Membr. Sci. 3
70, 1−22)。物理的障壁として作用して、RO膜は、高密度微孔フィルムを通し
て水分子を透過させ、溶解した小さな溶質を阻止する。RO膜を作製するために使用され
る多くのポリマー材料のうち、芳香族ポリアミド膜が、優れた輸送および分離特性のため
に最も広く用いられる。ロール・ツー・ロール加工を使用して複合薄フィルム膜を産業規
模で製造し、そして最適性能を達成するためにスパイラル型巻回エレメント(spira
l wound element)中にパッケージする。
【0005】
ポリアミド膜は性能に対する理論的限界に近づいたが、それらは本質的な操作上および
経営上の利益を有意に低下させる生物学的表面汚染を非常に受けやすい(Shannon
, M., et al. (2008) Nature 452, 301−310;
Elimeleleh and Phillip (2011) Science 3
33, 712−717; Herzberg and Elimelech (200
7) J. Membr. ScL 295, 11−20)。給水中の微生物は疎水性
相互作用によって表面上に吸着し、そして膜を通る水流をブロックする。表面上のバイオ
フィルムの増殖を防止するために使用される強力な化学消毒剤、例えば塩素および塩基処
理は、バイオフィルムを防止し表面から除去するが、同時にポリアミド層内の化学結合を
攻撃し、膜の高選択性を低下させる(Glater, J., et al. (199
4) Desalination 95, 325−345; Kawaguchi a
nd Tamura (1984) J. Appl. Polymer Sci. 2
9, 3359−3367)。したがって、生体成長の阻害および水処理で通常使用され
る洗浄剤をRO膜では使用できず、脱塩工場の前処理、操作および維持コストを増大させ
る(Isaias, N. P. (2001) Desalination 139,
57−64; Redondo, J. A. (2001) Desalinati
on 139, 28−31; Kang, G.−D., et al. (2007
) J. Membr. Sci. 300, 165−171)。
【0006】
近年、研究者らは、防汚膜表面処理を開発することによってRO膜の生物汚染を軽減ま
たは防止することを試みている(Rana and Matsuura (2010)
Chemical Rev. 110, 2448−2471; Kang and C
ao (2012) Water Research 46, 584−600)。表面
を親水性「ブラシ」ポリマー(Belfer, S., et al. (1998)
J. Membr. Sci. 139, 175−191; Van Wagner,
E. M., et al. (2011) J. Membr. Sci. 367
, 273−287; Kang, G., et al. (2011) Desal
ination 275, 252−259; Zou, L., et al. (2
011) J. Membr. Sci. 369, 420−428; Lin, N
. H., et al. (2010) J. Materials Chem. 2
9, 4642; Yang, R et al. (2011) Chem. Mat
erials 23, 1263−1272)で共有結合により修飾することによって、
汚染物質(foulant)と膜表面との間の疎水性相互作用が妨害される(図1)。加
えて、バイオフィルム形成における重要なステップである生体細胞および溶解した有機物
の初期接着が阻害される。さらに、親水性表面は水和層を形成し、これによって汚染物質
が膜フィルムの表面上に吸着するのが防止され、かくして膜を通して水が自由に通過でき
るようになる。
【0007】
残念なことに、ポリアミド膜のデザインされた化学安定性は表面操作を困難な仕事にす
る。以前の研究は、反応性エポキシド末端基(Van Wagner, E. M.,
et al.(2011) J. Membr. Sci. 367, 273−287
)、カルボジイミド活性化(Kang, G., et al. (2011) Des
alination 275, 252−259)、または親水性ポリマーをポリアミド
表面に化学的に結合させるラジカル開始グラフト重合を利用していた(Kang and
Cao (2012) Water Research 46, 584−600;
Kang, G,, et al.(2011) Desalination 275,
252−259; Zou, L., et al. (2011) J. Memb
r. Sci. 369, 420−428; Lin, N. H., et al
(2010) J. Materials Chem. 29, 4642; Yang
, R., et al. (2011) Chem. Materials 23,
1263−1272)。しかしながら、これらの修飾は長い反応時間、新奇な反応条件を
必要とし、その場で実施され、複合薄フィルム膜の商業的なロール・ツー・ロール製造法
に容易に移されるのを防止する。
したがって、防汚RO膜を製造するための拡大可能な方法が依然として必要とされる。
そのような膜およびそれに関連する方法を本明細書中で記載する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Service, R. F. (2006) Science 313, 1088−1090
【非特許文献2】Shannon, M et af. (2008) Nature 452, 301−310
【非特許文献3】Elimelelch and Phillip (2011) Science 333, 712−717
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中で具体化され、広く記載される本発明の目的によると、本発明は、1つの態
様では、塩素耐性ポリアミド膜およびそれらの使用に関する。
【0010】
開示されるのは、表面を含むポリマー薄フィルム膜を含む耐汚染ろ過膜であり、この表
面は、式:
【化1】

によって表される構造を有する化合物の少なくとも1つの残基で修飾され、式中、Aは−
C(=O)−および−(SO)−から選択される;Lは−OQ、−O、−N
Qおよび−NRQから選択される;Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化2】

によって表される構造から選択され、式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−
、−C(=NH)−およびC(=NH)NR−から選択される;mは、0、1、2、3
、4、5、6、7、および8から選択される整数である;R1aおよびR1bの各々は、
水素およびハロゲンから独立して選択される;R2aおよびR2bの各々はハロゲンであ
る;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R4aおよ
びR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−R8a8b
−R8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポ
リハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−COから独立
して選択される;R5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、−CN、−
OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル、C1〜
C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11、−
CO、および−CO11から独立して選択される;R6aおよびR6bの各々は
、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR12
12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハ
ロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から独立
して選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される
;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;Rは、存在
する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R10は、存在する場合、水
素およびC1〜C4アルキルから選択される;R11は、存在する場合、水素およびC1
〜C4アルキルから選択される;R12は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキ
ルから選択される;そしてR13は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから
選択される。
【0011】
表面を含む薄フィルム膜を修飾する方法であって、式:
【化3】

によって表される構造を有する化合物の少なくとも1つの残基と表面を結合させるステッ
プを含む方法も開示され、式中、Aは−C(=O)−および−(SO)−から選択され
る;Lは、−OQ、−O、−NHQおよび−NRQから選択される;Qは、水
素、親水性ポリマー、および式:
【化4】

によって表される構造から選択され、式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−
、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される;mは、0、1、2
、3、4、5、6、7、および8から選択される整数である;R1aおよびR1bの各々
は、独立して選択された水素およびハロゲンである;R2aおよびR2bの各々はハロゲ
ンである;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R
およびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR8a
8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C
1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−CO
から独立して選択される;R5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、
−CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキ
ル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO
11、−CO、および−CO11から独立して選択される;R6aおよびR
の各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−R12a12b、−
NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C
4ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO13
から独立して選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選
択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R10は、存在する
場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R11は、存在する場合、水素お
よびC1〜C4アルキルから選択される;R12は、存在する場合、水素およびC1〜C
4アルキルから選択される;そしてR13は、存在する場合、水素およびC1〜C4アル
キルから選択される。
【0012】
表面を含む薄フィルム膜を修飾する方法であって、一重項ニトレンを含む化合物の少な
くとも1つの残基と表面とで結合させ、それによって汚染耐性、表面電荷、親水性、およ
び粗度から選択される少なくとも1つの特性を改善することを含む方法も開示される。
【0013】
式:
【化5】

によって表される構造を有する化合物も開示され、式中、mは、0、1、2、3、4、5
、6、7、および8から選択される整数であり;Aは、−C(=O)−および−(SO
)−から選択され、Lは−OQであるか、またはAは−(SO)−であり、Lは、−O
Qおよび−NRQから選択される;Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化6】

によって表される構造から選択され、式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−
、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される;R1aおよびR
の各々は水素およびハロゲンから独立して選択される;R2aおよびR2bの各々はハ
ロゲンである;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR
8a8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル
、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−CO
から独立して選択される;R5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲ
ン、−CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4ア
ルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−S
11、−CO、および−CO11から独立して選択される;R6aおよび
6bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12
、−NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C
l〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO
13から独立して選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキル
から選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される
;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R10は、存
在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R11は、存在する場合、
水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R12は、存在する場合、水素およびC
1〜C4アルキルから選択される;そしてR13は、存在する場合、水素およびC1〜C
4アルキルから選択される。
【0014】
水を精製する方法も開示され、この方法は:a)開示された膜、または開示された方法
にしたがって修飾された膜であって、第1面と第2面とを有する膜を提供し;b)第1圧
力で第1塩濃度を有する第1体積の第1溶液と膜の第1面とを接触させ;そしてc)第2
圧力で第2塩濃度を有する第2体積の第2溶液と膜の第2面とを接触させることを含み;
ここで、第1溶液は膜を通して第2溶液と流体連通し、第1塩濃度は第2塩濃度よりも高
く、それによって膜を越えて浸透圧を形成し、そして第1圧力は第2圧力よりも充分高く
浸透圧を超え、それによって、第2体積を増加させ、第1体積を減少させる。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
表面を含むポリマー薄フィルム膜を含む耐汚染ろ過膜であって、前記表面が、式:
【化81】
によって表される構造を有する化合物の少なくとも1つの残基で修飾され、
式中、Aは、−C(=O)−および−(SO)−から選択される;
Lは、−OQ、−O、−NHQおよび−NRQから選択される;
ここで、Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化82】
によって表される構造から選択され、
式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、および8から選択される整数である;
1aおよびR1bの各々は水素およびハロゲンから独立して選択される;
2aおよびR2bの各々はハロゲンである;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR8a8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−COから独立して選択される;
5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11、−CO、および−CO11から独立して選択される;
6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から独立して選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
10は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
11は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
12は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される、
前記耐汚染ろ過膜。
(項目2)
前記膜が逆浸透膜である、項目1に記載の膜。
(項目3)
前記膜が少なくとも1つのポリアミドを含む、項目1または2に記載の膜。
(項目4)
前記ポリアミドが芳香族である、項目3に記載の膜。
(項目5)
Lが−Oである、項目1〜4のいずれか1項に記載の膜。
(項目6)
Lが−OQおよび−NRQから選択される、項目1〜4のいずれか1項に記載の膜。(項目7)
Qが水素である、項目1〜6のいずれか1項に記載の膜。
(項目8)
Qが親水性ポリマーである、項目1〜6のいずれか1項に記載の膜。
(項目9)
前記親水性ポリマーが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンイミン)およびポリアニリン、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの部分を含む、項目1〜6または8のいずれか1項に記載の膜。
(項目10)
Qが、式:
【化83】
によって表される構造を有する、項目1〜6のいずれか1項に記載の膜。
(項目11)
Qが:
【化84】
から選択される構造を有する、項目1〜6または10のいずれか1項に記載の膜。
(項目12)
Zが、−CHおよび−C(=NH)NH−から選択される、項目1〜11のいずれか1項に記載の膜。
(項目13)
mが0である、項目1〜12のいずれか1項に記載の膜。
(項目14)
1aおよびR1bの各々が水素である、項目1〜13のいずれか1項に記載の膜。
(項目15)
1aおよびR1bの各々がハロゲンである、項目1〜13のいずれか1項に記載の膜。
(項目16)
1aがハロゲンであり、R1bが水素である、項目1〜13のいずれか1項に記載の膜。
(項目17)
前記ハロゲンが−Fおよび−Clから選択される、項目1〜13、15、または16のいずれか1項に記載の膜。
(項目18)
前記ハロゲンが−Fである、項目1〜13または15〜17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
5aが−COであり、R5bが−NHであり、そしてR5cが水素である、項目1〜18のいずれか1項に記載の膜。
(項目20)
aが−COであり、そしてR5bおよびR5cの各々が水素である、項目1〜18のいずれか1項に記載の膜。
(項目21)
5aが−NHであり、そしてR5bおよびR5cの各々が水素である、項目1〜18のいずれか1項に記載の膜。
(項目22)
前記膜が少なくとも約90%の脱塩を少なくとも約4時間示す、項目1〜21に記載の膜。
(項目23)
化合物の前記残基が抗菌剤を含む、項目1〜22に記載の膜。
(項目24)
前記膜が、汚染耐性、親水性、表面電荷、および粗度から選択される少なくとも1つの特性で改善を示す、項目1〜23に記載の膜。
(項目25)
表面を含む薄フィルム膜を修飾する方法であって、前記表面を、式:
【化85】
によって表される構造を有する化合物の少なくとも1つの残基と結合させるステップを含み、
式中、Aは−C(=O)−および−(SO)−から選択される;
Lは、−OQ、−O、−NHQおよび−NRQから選択される;
Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化86】
によって表される構造から選択され、
式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、および8から選択される整数である;
1aおよびR1bの各々は水素およびハロゲンから独立して選択される;
2aおよびR2bの各々はハロゲンである;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される:
4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR8a8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SQ、−CO、および−COから独立して選択される;
5a、R5b、およびR3Cの各々は、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11、−CO、および−CO11から独立して選択される;
6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から独立して選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
10は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
11は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
12は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;そして
13は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される、前記方法。
(項目26)
前記膜が逆浸透膜である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記膜が少なくとも1つのポリアミドを含む、項目25または26に記載の方法。
(項目28)
前記ポリアミドが芳香族である、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記膜が、汚染耐性、親水性、電荷、および粗度から選択される少なくとも1つの特性において改善を示す、項目25〜28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
表面を含む薄フィルム膜を修飾する方法であって、前記表面を、一重項ニトレンを含む化合物の少なくとも1つの残基と結合させ、それによって汚染耐性、表面電荷、親水性、脱塩、および粗度から選択される少なくとも1つの特性を改善するステップを含む、前記方法。
(項目31)
前記表面が、少なくとも1つの−NH−および/または−C=C−残基を含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
結合が、一重項ニトレン挿入を含む、項目30または31に記載の方法。
(項目33)
結合が、前記膜を化合物の少なくとも1つの残基でコーティングすることを含む、項目30または31に記載の方法。
(項目34)
コーティングがディップコーティングを含む、項目31に記載の方法。
(項目35)
コーティングがスプレーコーティングを含む、項目31に記載の方法。
(項目36)
結合が、前記膜を熱源に暴露することを含む、項目30または31に記載の方法。
(項目37)
前記熱源が少なくとも約100℃の温度を有する、項目36に記載の方法。
(項目38)
結合が、前記膜を光源に暴露することを含む、項目30または31に記載の方法。
(項目39)
前記光源がUV光を含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記光源が200nm〜370nmの範囲内のUV光を含む、項目38に記載の方法。(項目41)
結合が前記膜を化合物の少なくとも1つの残基でコーティングし、前記膜を光源に暴露することを含む、項目30または31に記載の方法。
(項目42)
結合が共有結合による修飾を含む、項目30または31に記載の方法。
(項目43)
結合が光化学的修飾を含む、項目30または31に記載の方法。
(項目44)
化合物の前記少なくとも1つの残基が水溶性である、項目30〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
化合物の前記少なくとも1つの残基が式:
【化87】
によって表される構造を有し、
式中、Aは、−C(=O)−および−(SO)−から選択される;
Lは、−OQ、−O、−NHQおよび−NRQから選択される;
Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化88】
によって表される構造から選択され、
式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、および8から選択される整数である;
1aおよびR1bの各々は水素およびハロゲンから独立して選択される;
2aおよびR2bの各々はハロゲンである;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR8a8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−COから独立して選択される;
5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR10a10b、−R10a10b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11−CO、および−CO11から独立して選択される;
6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO−SO13、−CO、および−CO13から独立して選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
10は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
11は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
12は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;そして
13は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される、項目30〜44のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記一重項ニトレンがアジドの活性化により形成される、項目30〜45のいずれかに記載の方法。
(項目47)
活性化が光活性化である、項目46に記載の方法。
(項目48)
光活性化が化合物の前記少なくとも1つの残基を光源に暴露することを含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記光源がUV光を含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記光源が200nm〜370nmの範囲内のUV光を含む、項目48に記載の方法。(項目51)
前記少なくとも1つの特性が汚染耐性である、項目30〜50のいずれか1項に記載の方法。
(項目52)
前記少なくとも1つの特性が親水性である、項目30〜50のいずれか1項に記載の方法。
(項目53)
式:
【化89】
によって表される構造を有する化合物であって、
式中、mは、0、1、2、3、4、5、6、7、および8から選択される整数である;
Aは、−C(=O)−および−(SO)−から選択され、Lは−OQである、またはAは−(SO)−であり、Lは−OQおよび−NRQから選択される;
Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化90】
によって表される構造から選択され、
式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される;
1aおよびR1bの各々は水素およびハロゲンから独立して選択される;
2aおよびR2bの各々はハロゲンである;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR8a8b、−R8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−COから独立して選択される;
5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR10a10b、−R10a10b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11、−CO、および−CO11から独立して選択される;
6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から独立して選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
10は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
11は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
12は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;そして
13は、存在する場合、水素およびC1−C4アルキルから選択される、前記化合物。(項目54)
mが0である、項目53に記載の化合物。
(項目55)
Zが−CHおよび−C(=NH)NH−から選択される、項目53または54に記載
の化合物。
(項目56)
前記ハロゲンが−Fおよび−Clから選択される、項目53〜55のいずれか1項に記載の化合物。
(項目57)
前記ハロゲンが−Fである、項目53〜55のいずれか1項に記載の化合物。
(項目58)
5aが−COであり、R5bが−NHであり、R5cが水素である、項目53〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目59)
5aが−COであり、R5bおよびR5cの各々が水素である、項目53〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目60)
5aが−NHであり、R5bおよびR5cの各々が水素である、項目53〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目61)
前記化合物が:
【化91】
から選択される構造を有する、項目53に記載の化合物。
(項目62)
前記化合物が:
【化92】
から選択される構造を有する、項目53に記載の化合物。
(項目63)
前記化合物が:
【化93】
から選択される構造を有する、項目53に記載の化合物。
(項目64)
水の精製法であって:
(a)項目1に記載の膜、または項目25もしくは30に記載の方法にしたがって修飾された膜であって、第1面と第2面とを有する膜を提供し;
(b)第1圧力で第1塩濃度を有する第1体積の第1溶液と前記膜の前記第1面とを接触させ;そして
(c)第2圧力で第2塩濃度を有する第2体積の第2溶液と前記膜の前記第2面とを接触させることを含み;
前記第1溶液が前記膜を通して前記第2溶液と流体連通し、
前記第1塩濃度が前記第2塩濃度よりも高く、それにより前記膜を越えて浸透圧が形成され、そして
前記第1圧力が、前記浸透圧を越えるために前記第2圧力よりも充分に高く、それによって前記第2体積が増加し、前記第1体積が減少する、前記方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書中に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、いくつかの態様を
表し、説明と合わせて、本発明の原則を説明する役目を果たす。
図1図1は、不可逆的汚染を防止するための親水性ブラシポリマーの添加に関する代表的なデータを示す。
図2図2は、4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸メチルの合成(スキームIII、3.2)を裏付ける代表的なスペクトルデータを示す。
図3図3は、4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸の合成(スキームIII、3.3)を裏付ける代表的なスペクトルデータを示す。
図4図4は、4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イルの合成(スキームIII、3.4)を裏付ける代表的なスペクトルデータを示す。
図5図5は、PFPA−PEGの合成を裏付ける代表的なスペクトルデータを示す。
図6図6は、PFPA−PEG5000の代表的なHおよび 19F(差し込み図)NMRスペクトルデータを示す。
図7図7は、PFPA−PEG1000の代表的なHおよび19F(差し込み図)NMRスペクトルデータを示す。
図8図8は、PFPA−PEG550の代表的なHおよび19F(差し込み図)NMRスペクトルデータを示す。
図9図9は、PFPA−CDEAの代表的なHおよび19F(差し込み図)NMRスペクトルデータを示す。
図10図10は、ディップコーティングおよびUV光での処理による市販の膜クーポンの修飾に関する代表的なデータを示す。
図11図11は、RO膜が非修飾(上)であること、またはPFPA−PEG50、PFPA−PEG1000、もしくはPFPA−PEG5000部分に共有結合していることを裏付ける代表的なデータを示す。
図12図12は、PFPA部分と共有結合したRO膜の接触角に関する代表的なデータを示す。
図13図13は、UV光での処理前(左)および処理後(右)の非修飾膜の接触角を示す代表的なデータを示す。
図14図14は、裸の膜(上)およびPFPA−PEG5000でコーティングされた膜に対するUV暴露の効果を示す代表的なデータを示す。
図15図15は、非修飾膜(15A)ならびに塩基性(15Bおよび15C)および酸性(15D)官能基で修飾された膜の接触角に関する代表的なデータを示す。
図16図16は、PFPA−PEG5000でコーティングされた膜についてUV暴露時間の関数としての接触角の変化を示す代表的なデータを示す。
図17図17は、膜表面へのPFPAの共有結合に関する代表的なデータを示す。特に、非修飾(17A)および修飾(17B)RO膜表面のXPS調査スペクトルおよびN1sスペクトルを示す。
図18図18は、PFPA−PEG修飾RO膜の純水透過性および脱塩に関する代表的なデータを示す。
図19図19Aおよび19Bは、商業的およびPFPA−PEG修飾RO膜の性能を示す代表的なデータを示す。
図20図20は、PFPA−PEG修飾膜上のイー・コリの接着に関する代表的なデータを示す。
図21図21は、PFPA−PEG修飾膜上のイー・コリの接着を定量化する代表的なデータを示す。
図22図22は、ゼータ電位に対するPFPA修飾の効果に関する代表的なデータを示す。
【0016】
本発明のさらなる利点は、以下の説明で一部記載され、また説明から一部明らかである
か、または本発明の実施によりわかる可能性がある。本発明の利点は、添付の特許請求の
範囲で特に指摘される要素および組み合わせによって実現され、達成される。前記の一般
的説明および以下の詳細な説明はどちらも単に例示的かつ説明的なものであって、請求さ
れる発明を限定するものではないと理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、本発明の以下の詳細な説明および本明細書中に含まれる実施例を参照するこ
とによって、より容易に理解することができる。
【0018】
本発明の化合物、組成物、物品、装置、および/もしくは方法が開示され、記載される
前は、特別の定めのない限り特定の合成法に限定されない、または特別の定めのない限り
特定の試薬に限定されず、したがって、もちろん変化し得ると理解されるべきである。本
明細書中で使用する用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、限定的である
ことを意図するものではないことも理解されるべきである。本明細書中で記載するものと
類似または同等のいかなる方法および物質も本発明の実施または試験で使用できるが、例
示的方法および物質を以下に記載する。
【0019】
本明細書中で記載するものと類似または同等のいかなる方法および物質も本発明の実施
または試験で使用できるが、例示的方法および物質を以下に記載する。
【0020】
本明細書中で言及されるすべての刊行物は、刊行物が関連して言及される方法および/
または材料を開示し、説明するために、参照によって本明細書中に組み込まれる。本明細
書中で議論される刊行物は、本願の出願日以前のそれらの開示についてのみ提示される。
本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明のためにそのような刊行物に先行する資
格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、本明細書中で提供される
公開日は、実際の公開日と異なる可能性があり、これは独自の裏付けを必要とする可能性
がある。
【0021】
A.定義
本明細書中で用いられる場合、有機化合物をはじめとする化合物の命名は、通称、命名
のためのIUPAC、IUBMB、またはCASの推奨を使用して行うことができる。1
以上の立体化学特性が存在する場合、立体化学についてのCahn−Ingold−Pr
elog則を使用して立体化学的優先性、E/Z表記、およびその他を指定することがで
きる。当業者は、名称を与えられれば、命名規則を使用して化合物構造を体系的簡略化す
ることによるか、またはCHEMDRAW(商標)(Cambridgesoft Co
rporation, U.S.A.)などの市販のソフトウェアによるかのいずれかで
、化合物の構造を容易に解明することができる。
【0022】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」お
よび「the」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、複数の指示対象を
含む。したがって、例えば、「成分(a component)」、「ポリマー(a p
olymer)」、または「粒子(a particle)」に対する言及は、2以上の
そのような成分、ポリマー、または粒子、およびその他の混合物を包含する。
【0023】
範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値まで、として
本明細書中で表すことができる。そのような範囲が表される場合、別の態様は1つの特定
の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用に
よって近似値として表される場合、特定の値が他の態様を形成すると理解される。範囲の
各々の終点は、他の終点に関して、そして他の終点とは独立して、のどちらでも有意であ
ることがさらに理解される。本明細書中では多くの値が開示され、そして各値は、その値
自体に加えて、「約」特定の値としても本明細書中で開示されることも理解される。例え
ば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。ある値が開示される場合、
当業者には適切に理解されるように、「その値以下」」、「その値以上」および値間の可
能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「10
以下」ならびに「10以上」も開示される。本願全体にわたって、データは多数の異なる
形式で提供され、そしてこのデータは終点および出発点、ならびにそのデータ点の任意の
組み合わせの範囲を表すとも理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定の
データ点15が開示される場合、10超、10以上、10未満、10以下、10および1
5超、15以上、15未満、15以下、15ならびに10〜15が開示されると理解され
る。2つの特定の単位間の各単位が開示されることも理解される。例えば、10および1
5が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0024】
明細書および末尾の特許請求の範囲で、組成物中の特定の要素または成分の重量部につ
いての言及は、その要素または成分と、重量部が表される組成物または物品中の他の要素
または成分との間の重量関係を意味する。したがって、2重量部の成分Xおよび5重量部
の成分Yを含む化合物中、XおよびYは2:5の重量比で存在し、追加の成分が化合物中
に含まれるかどうかに関係なくそのような比で存在する。
【0025】
成分の重量パーセント(重量%)は、特に反対の記載がない限り、その成分が含まれる
処方または組成物の総重量に基づく。
【0026】
本明細書中で用いられる場合、「任意の」または「場合によって」という語は、その後
に記載する事象または状況が起こり得るかまたは起こり得ないこと、そして記載が、前記
事象または状況が起こる場合とそれが起こらない場合とを含むことを意味する。
【0027】
本明細書中で用いられる場合、「有効量」および「有効な量」という語は、所望の結果
を達成するため、または望ましくない条件に対して影響を及ぼすために充分な量を指す。
【0028】
「安定な」という語は、本明細書中で用いられる場合、それらの産生、検出、ならびに
、ある態様では、本明細書中で開示される目的の1以上のためのそれらの回収、精製、お
よび使用を可能にする条件に付された場合、実質的に変更されない組成物を指す。
【0029】
本明細書中で用いられる場合、「ポリマー」という語は、比較的高分子量の有機化合物
であって、天然もしくは合成であり、その構造が小単位であるモノマーの繰り返しによっ
て表すことができるもの(例えば、ポリエチレン、ゴム、セルロース)を指す。合成ポリ
マーは、典型的には、モノマーの付加重合または縮合重合によって形成される。
【0030】
本明細書中で用いられる場合、「ホモポリマー」という語は、1種の繰り返し単位(モ
ノマー残基)から形成されるポリマーを指す。
【0031】
本明細書中で用いられる場合、「コポリマー」という語は、2以上の異なる繰り返し単
位(モノマー残基)から形成されるポリマーを指す。一例として、そして制限なく、コポ
リマーは、交互コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフト
コポリマーであり得る。ある態様では、ブロックコポリマーの様々なブロックセグメント
自が体コポリマーを含み得ることも想定される。
【0032】
本明細書中で用いられる場合、「オリゴマー」という語は、比較的低分子量のポリマー
であって、繰り返し単位の数が2〜10、例えば、2〜8、2〜6、または2〜4である
ものを指す。1つの態様では、オリゴマーの集団は、約2〜約10、例えば、約2〜約8
、約2〜約6、または約2〜約4の繰り返し単位の平均数を有し得る。
【0033】
本明細書中で用いられる場合、「架橋ポリマー」という語は、ポリマー鎖を互いに連結
する結合を有するポリマーを指す。
【0034】
「アルキル」という語は、本明細書中で用いられる場合、1〜24個の炭素原子を有す
る分枝または非分枝飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピ
ル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、
s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシ
ル、テトラデシル、ヘキサデシル、アイコシル、テトラコシル、およびその他である。ア
ルキル基は、環状または非環状であり得る。アルキル基は分枝または非分枝であり得る。
アルキル基はさらに、置換または非置換でもあり得る。例えば、アルキル基は、限定され
るものではないが、本明細書中で前述のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ
、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオール
をはじめとする1以上の基で置換することができる。「低級アルキル」基は、1〜6(例
えば、1〜4)個の炭素原子を含むアルキル基である。アルキルの非限定例としては、C
1−18アルキル、C1〜C12アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C6アルキル、
C1〜C3アルキル、およびC1アルキルが挙げられる。
【0035】
本明細書全体にわたって、「アルキル」は概して非置換アルキル基および置換アルキル
基の両方を指すために使用されるが、置換アルキル基はまた、アルキル基上の特定の置換
基(複数可)を特定することによって本明細書中で具体的に言及される。例えば、「ハロ
ゲン化アルキル」または「ハロアルキル」という語は、特に、1以上のハライド、例えば
フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されたアルキル基を指す。「アルコキシアルキ
ル」という語は、特に、後述するような1以上のアルコキシ基で置換されたアルキル基を
指す。「アルキルアミノ」という語は、特に、後述するような1以上のアミノ基およびそ
の他で置換されたアルキル基を指す。「アルキル」が一例で使用され、「アルキルアルコ
ール」などの特定の語が別の例で使用される場合、「アルキル」という語は「アルキルア
ルコール」などの特定の語も意味するものではない。
【0036】
「アルケニル」という語は、本明細書中で用いられる場合、少なくとも1つの炭素−炭
素二重結合を含む構造式を有する2〜24個の炭素原子の炭化水素基である。アルケニル
基は、非置換であり得るか、または限定されるものではないが、本明細書中で記載するア
ルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シ
クロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステ
ル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ−オキ
ソ、もしくはチオールをはじめとする1以上の基で置換され得る。アルケニルの非限定例
としては、C2〜18アルケニル、C2〜12アルケニル、C2〜8アルケニル、C2〜
6アルケニル、およびC2〜3アルケニルが挙げられる。
【0037】
「アルキニル」という語は、本明細書中で用いられる場合、少なくとも1つの炭素−炭
素三重結合を含む構造式を有する2〜24個の炭素原子の炭化水素基である。アルキニル
基は、非置換であり得るか、または限定されるものではないが、本明細書中で記載するよ
うなアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニ
ル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、
エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、アジド、ニトロ、シリル、スルホ
−オキソ、もしくはチオールをはじめとする1以上の基で置換され得る。アルキニルの非
限定例としては、C2〜18アルキニル、C2〜12アルキニル、C2〜8アルキニル、
C2〜6アルキニル、およびC2〜3アルキニルが挙げられる。
【0038】
「アミン」または「アミノ」という語は、本明細書中で用いられる場合、式−NA
によって表され、式中、AおよびAは独立して、水素または、本明細書中で記載す
るようなアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シク
ロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であり得る。
【0039】
「エステル」という語は、本明細書中で用いられる場合、式−OC(O)Aまたは−
C(O)OAによって表され、式中、Aは、本明細書中で記載するような、アルキル
、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、ア
リール、またはヘテロアリール基であり得る。「ポリエステル」という語は、本明細書中
で用いられる場合、式−(AO(O)C−A−C(O)O)−または−(AO(
O)C−A−OC(O)O)−によって表され、式中、AおよびAは、独立して
、本明細書中で記載されるようなアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケ
ニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロアリール基であり得、「
a」は1〜500の整数である。「ポリエステル」は、少なくとも2つのカルボン酸基を
有する化合物と、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物との間の反応によって
生じる基を記載するために使用される。
【0040】
「エーテル」という語は、本明細書中で用いられる場合、式AOAによって表され
、式中、AおよびAは、独立して、本明細書中で記載されるアルキル、シクロアルキ
ル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、または
ヘテロアリール基であり得る。「ポリエーテル」という語は、本明細書中で用いられる場
合、式−(AO−AO)−によって表され、式中、AおよびAは、独立して本
明細書中で記載されるアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アル
キニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロアリール基であり、「a」は1〜5
00の整数である。ポリエーテル基の例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレ
ンオキシド、およびポリブチレンオキシドが挙げられる。
【0041】
「アジド」という語は、本明細書中で用いられる場合、式−Nによって表される。
【0042】
「チオール」という語は、本明細書中で用いられる場合、式−SHによって表される。
【0043】
本明細書中で記載される化合物は1以上の二重結合を含み得、したがってシス/トラン
ス(E/Z)異性体、ならびに他の配座異性体を生じる可能性がある。反対の記載がない
限り、本発明はそのような可能な異性体、ならびにそのような異性体の混合物を含む。
【0044】
本明細書中で開示されるある物質、化合物、組成物、および成分は、商業的に入手でき
るか、または当業者に概して知られている技術を用いて容易に合成できる。例えば、開示
された化合物および組成物の調製で使用される出発物質および試薬は、Aldrich
Chemical Co.,(Milwaukee, Wis,)、Acros Org
anics(Morris Plains, N.J.)、Fisher Scient
ific(Pittsburgh, Pa.)、もしくはSigma(St. Loui
s, Mo.)などの商業的供給業者から入手可能であるか、またはFieser an
d FieseR’s Reagents for Organic Synthesi
s, Volumes 1−17 (John Wiley and Sons, 19
91); Rodd’s Chemistry of Carbon Compound
s, Volumes 1−5 and Supplemental volumes
(Elsevier Science Publishers, 1989);Orga
nic Reactions, Volumes 1−40 (John Wiley
and Sons, 1991); March’s Advanced Organi
c Chemistry, (John Wiley and Sons, 4th E
dition);およびLarock’s Comprehensive Organi
c Transformations (VCH Publishers Inc.,
1989)などの参考文献で記載される手順にしたがって当業者に公知の方法によって調
製されるかのいずれかである。
【0045】
特に別段の明示がない限り、本明細書中で記載されるどの方法もそのステップが特定の
順序で実施されることを必要とすると解釈されることを決して意図しない。したがって、
方法クレームがそのステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、または特許請
求の範囲もしくは説明でステップが特定の順序に限定されると特に記載されていない場合
、ある順序を暗示することを意図するものではない。これは、ステップの配列または操作
の流れに関する論理の問題、文法構成もしくは句読点に由来する平易な意味、および本明
細書中に記載される実施形態の数もしくは種類をはじめとする、あらゆる可能な不明確な
解釈の基礎に当てはまる。
【0046】
本発明の組成物を調製するために使用される成分ならびに本明細書中で開示される方法
で使用される組成物自体が開示される。これらや他の物質は本明細書中で開示され、これ
らの物質の組み合わせ、小集団、相互作用、群などが開示される場合、様々な個々の化合
物の各々およびこれらの化合物の集合的組み合わせについての具体的な言及が明確に開示
されていない可能性があるが、各々が特に想定され、記載されていると理解される。例え
ば、特定の化合物が開示され、議論され、化合物を含む多くの分子に加えることができる
多くの修飾が議論される場合、特に反対の記載がない限り、すべての化合物の組み合わせ
および変更ならびに可能な修飾が特に想定される。したがって、分子のクラスA、B、お
よびCならびに分子のクラスD、E、およびFならびに分子の組み合わせの一例A−Dが
開示される場合、各々が個々に記載されていなくても、各々は個々にそして包括的に想定
され、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC
−Fが開示されると見なされることを意味する。同様に、これらの任意の小集団または組
み合わせも開示される。したがって、例えば、A−E、B−F、およびC−Eの小集団が
開示されると見なされる。この概念は、限定されるものではないが、本発明の組成物の作
製法および使用法におけるステップを含む、本出願のすべての態様に当てはまる。したが
って、実施できる様々な追加のステップがある場合、これらの追加のステップの各々は、
本発明の方法のいずれかの特定の態様または態様の組み合わせで実施できると理解される
【0047】
本明細書中で開示される組成物はある機能を有すると理解される。本明細書中で開示さ
れるのは、開示された機能を発揮するためのある構造的要件であり、そして開示された構
造に関連する同じ機能を果たすことができる様々な構造があり、またこれらの構造は特徴
的には同じ結果を達成すると理解される。
【0048】
B.耐汚染ろ過膜
1つの態様では、本発明は、表面を含むポリマー薄フィルム膜を含む耐汚染ろ過膜に関
し、表面は、式:
【化7】

によって表される構造を有する化合物の少なくとも1つの残基で修飾され、式中、Aは−
C(=O)−および−(SO)−から選択される;Lは、−OQ、−O、−N
HQおよび−NRQから選択される;Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化8】

によって表される構造から選択される;Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−、−
C(=NH)−、および−C(=NH)−c各々はハロゲンである;Rは、存在する
場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R4aおよびR4bの各々は、存
在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR8a8b、−NR8a8b
、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、
−SO、−SO、−CO、および−COから独立して選択される;
5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR10
10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアル
キル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11、−CO、および
−CO11から独立して選択される;R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、
水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR12a12b
C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−S
、−SO13、−CO、および−CO13から独立して選択される;
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;Rは、存在す
る場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;Rは、存在する場合、水素お
よびC1〜C4アルキルから選択される;R10は、存在する場合、水素およびC1〜C
4アルキルから選択される;R11は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルか
ら選択される;R12は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される
;そしてR13は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される。さら
なる態様では、膜は逆浸透膜である。さらに別の態様では、膜は少なくとも1つのポリア
ミドを含む。さらに別の態様では、ポリアミドは芳香族である。
【0049】
開示された組成物、混合物、および膜は、開示された方法および使用と組み合わせて使
用できると理解される。
【0050】
1.ポリマー薄フィルム
1つの態様では、本発明の耐汚染ろ過膜は、表面を含むポリマー薄フィルム膜を含む。
様々な態様では、ポリマー薄フィルム膜を表面に付着させることができ、ポリマー薄フィ
ルム膜を表面に結合させることができる、および/またはポリマー薄フィルム膜を表面に
隣接、接触もしくは積層することができる。ポリマー担体を、表面に積層した織布もしく
は不織布上に配置することができる。
【0051】
様々な態様では、ポリマー薄フィルム膜は、水に対しては実質的に透過性であり、不純
物に対しては実質的に不透過性であるポリマーマトリックス、例えば3次元ポリマーネッ
トワークを含む。例えば、ポリマーネットワークは、少なくとも1つの多官能性モノマー
と二官能性または多官能性モノマーとの反応から形成される架橋ポリマーであり得る。
【0052】
ポリマー薄フィルム膜は、3次元ポリマーネットワーク、例えば脂肪族もしくは芳香族
ポリアミド、芳香族ポリヒドラジド、ポリ−ベンズイミダゾロン、ポリエピアミン/アミ
ド、ポリエピアミン/尿素、ポリエチレンイミン/尿素、スルホン化ポリフラン、ポリベ
ンズイミダゾール、ポリピペラジンイソフタルアミド、ポリエーテル、ポリエーテル−尿
素、ポリエステル、もしくはポリイミドまたはそれらのコポリマーあるいはそれらの混合
物であり得る。好ましくは、ポリマー薄フィルム膜は、界面重合反応によって形成できる
か、または重合後に架橋させることができる。
【0053】
ポリマー薄フィルム膜は、ハロゲン化フタロイル(すなわち、イソフタロイルもしくは
テレフタロイル)、ハロゲン化トリメシルの残基などの芳香族もしくは非芳香族ポリアミ
ド、またはそれらの混合物であり得る。別の例では、ポリアミドは、ジアミノベンゼン、
トリアミノベンゼン、ポリエーテルイミン、ピペラジンもしくはポリピペラジンの残基ま
たはハロゲン化トリメソイルの残基およびジアミノベンゼンの残基であり得る。フィルム
は、塩化トリメソイルおよびm−フェニレンジアミンの残基でもあり得る。さらに、フィ
ルムは、塩化トリメソイルおよびm−フェニレンジアミンの反応生成物であり得る。
【0054】
ポリマー薄フィルム膜は、約1nm〜約1000nmの厚さを有し得る。例えば、フィ
ルムは、約10nm〜約1000nm、約100nm〜約1000nm、約1nm〜約5
00nm、約10nm〜約500nm、約50nm〜約500nm、約50nm〜約20
0nm、約50nm〜約250nm、約50nm〜約300nm、または約200nm〜
約300nmの厚さを有し得る。
【0055】
2.逆浸透膜
1つの態様では、本発明のろ過膜は、薄フィルム膜複合(TFC)膜を包含する逆浸透
(RQ)膜であり得る。浸透用途のために特に有用な膜には、半透または識別(disc
riminating)層がポリアミドであるものが含まれる。薄フィルム膜複合膜は、
典型的には多孔性担体およびその多孔性担体上で重合させた半透ポリマーフィルムを含む
【0056】
複合ポリアミド膜は典型的には多孔性担体を多官能性アミンモノマーでコーティングす
ることによって調製され、最も一般的には水溶液によりコーティングされる。水は好まし
い溶媒であるが、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミド(DMF)などの非水性溶
媒を使用できる。多官能性ハロゲン化アシルモノマー(酸ハロゲン化物とも称する)を続
いて担体上にコーティングし、典型的にはまず多孔性担体上にコーティングし、続いてハ
ロゲン化アシル溶液をコーティングする。多官能性アミンおよびハロゲン化アシルの一方
または両方を溶液から多孔性担体に施用できるが、それらは別法として、蒸着、または熱
によるなど他の手段によって適用することもできる。
【0057】
様々な態様では、逆浸透膜は、膜をコーティング液中に浸漬し、次いで制御された速度
で引き抜くディップコーティング法によって調製される。コーティング厚さは概して引き
抜き速度が速いほど増加する。引き抜き速度が速いほど、膜が溶液中に逆流する時間的余
裕がなく膜の表面上により多くの流体が付着する。厚さは、流体粘度、流体密度、および
表面張力などの因子によって主に影響を受ける。溶媒の蒸発は、加熱乾燥(heated
drying)によって加速することができる。さらなる態様では、コーティングは、
コーティング溶液処方に応じて通常の熱、UV、またはIR技術などの手段を用いて硬化
させてもよい。さらなる態様では、逆浸透膜を光源、すなわち200nm〜370nmの
範囲内の紫外線(UV)光に露光する。
【0058】
結果としての半透膜を次いで、水などの様々な液体を精製または分離する方法で用いる
ことができる。そのような方法は、典型的には、膜のポリマーマトリックスフィルム側の
水溶液(例えば、塩水溶液)に圧力を加え、そして膜の反対側で精製水を集めることを含
む。
【0059】
3.膜の特性
様々な態様では、開示された膜は、優れた流動(flux)、改善された親水性、改善
された汚染耐性、高い空隙率、調節可能な表面電荷特性、改善された脱塩、および高い熱
安定性をはじめとする、膜の優れた機能を提供する様々な特性を有し得る。膜は他の特性
も有すると理解される。
【0060】
様々な態様では、膜は、約70°未満の接触角を有し得る。さらなる態様では、膜は約
60°未満の接触角を有し得る。さらに別の態様では、膜は約50°未満の接触角を有し
得る。さらに別の態様では、膜は約40°未満の接触角を有し得る。そのような膜は高い
汚染耐性を有する。
【0061】
様々な態様では、膜は、少なくとも約60%の脱塩を示す。さらなる態様では、膜は少
なくとも約70%の脱塩を示す。さらに別の態様では、膜は少なくとも約80%の脱塩を
示す。さらに別の態様では、膜は少なくとも約90%の脱塩を示す。
【0062】
様々な態様では、膜は少なくとも約90%の脱塩を少なくとも約1時間示す。さらなる
態様では、膜は少なくとも約90%の脱塩を少なくとも約2時間示す。さらに別の態様で
は、膜は少なくとも約90%の脱塩を少なくとも約3時間を示す。さらに別の態様では、
膜は少なくとも約90%の脱塩を少なくとも約4時間示す。
【0063】
さらなる態様では、膜は、汚染耐性、親水性、表面電荷、脱塩、および粗度から選択さ
れる少なくとも1つの特性で改善を示す。さらに別の態様では、膜は、汚染耐性、脱塩、
および親水性から選択される少なくとも1つの特性で改善を示す。さらに別の態様では、
膜は、汚染耐性で改善を示す。さらに別の態様では、膜は親水性で改善を示す。さらに別
の態様では、膜は表面電荷で改善を示す。さらに別の態様では、膜は粗度で改善を示す。
さらに別の態様では、膜は脱塩で改善を示す。
【0064】
C.化合物
1つの態様では、本発明は、表面を含む薄フィルム膜を修飾するのに有用な化合物の残
基に関する。さらなる態様では、化合物の残基は、抗菌薬を含む。抗菌薬の例としては、
限定されるものではないが、第4アンモニウム塩および第3アミンが挙げられる。
【0065】
1つの態様では、本発明は、表面を含む薄フィルム膜を修飾するのに有用な化合物に関
する。
【0066】
様々な態様では、化合物は、アジド官能基を含む。さらなる態様では、化合物は、パー
フルオロフェニルアジド官能基を含む。理論によって拘束されることを望まないが、パー
フルオロフェニルアジドは、放射線に暴露されると様々な基質と反応できる(スキームI
)。
スキームI
【化9】
【0067】
したがって、様々な態様では、化合物の残基は、薄フィルム膜の表面と結合させること
ができる。結合は、例えば、表面を化合物の残基でコーティングすることを含み得る。さ
らなる態様では、コーティングはスプレーコーティングを含む。さらに別の態様では、コ
ーティングはディップコーティングを含む(スキームII)。
スキームII
【化10】
【0068】
さらなる態様では、結合は、膜を熱源に暴露することを含む。さらに別の態様では、熱
源は、熱風、オーブン、またはIRランプを含む。さらに別の態様では、熱源の温度は少
なくとも約100℃である。
【0069】
さらなる態様では、結合は、膜を光源に暴露することを含む。さらに別の態様では、光
源はUV光を含む。さらに別の態様では、光源は200nm〜370nmの範囲のUV光
を含む。さらに別の態様では、結合は、ポリマー表面を化合物の少なくとも1つの残基で
コーティングし、そして表面を光源に暴露することを含む。
【0070】
さらなる態様では、結合は共有結合による修飾を含む。さらに別の態様では、結合は、
光化学的修飾を含む。
【0071】
様々な態様では、化合物の残基はラジカル種を含む。さらなる態様では、ラジカル種は
一重項ニトレンである。さらに別の態様では、化合物の残基を表面と結合させることがで
き、この場合、結合は一重項ニトレンの挿入を含む。
【0072】
1.構造
1つの態様では、本発明は、式:
【化11】

によって表される構造を有する化合物の少なくとも1つの残基に関し、式中、Aは、−C
(=O)−および−(SO)−から選択される;Lは、−OQ、−O、−N
Qおよび−NRQから選択される;Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化12】

によって表される構造から選択され、式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−
、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される;mは、0、1、2
、3、4、5、6、7、および8から選択される整数である;R1aおよびR1bの各々
は水素およびハロゲンから独立して選択される;R2aおよびR2bの各々はハロゲンで
ある;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R4a
よびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−MR8a
、−R8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C
4ポリハロアルキル、−SO、SO、−CO、および−COから独
立して選択される;R5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、−CN、
−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル、C1
〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11
−CO、および−CO11から独立して選択される;R6aおよびR6bの各々
は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR
2a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリ
ハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から独
立して選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択され
る;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;Rは、存
在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R10は、存在する場合、
水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R11は、存在する場合、水素およびC
1〜C4アルキルから選択される;R12は、存在する場合、水素およびC1〜C4アル
キルから選択される;そしてR13は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルか
ら選択される。
【0073】
さらなる態様では、化合物の残基は:
【化13】

から選択される構造を有する。
【0074】
さらに別の態様では、化合物の残基は、式:
【化14】

によって表される構造を有する。
【0075】
さらなる態様では、化合物の残基は:
【化15】

から選択される構造を有する。
【0076】
さらに別の態様では、化合物の残基は、式:
【化16】

によって表される構造を有する。
【0077】
さらに別の態様では、化合物の残基は:
【化17】

から選択される構造を有する。
【0078】
さらに別の態様では、化合物の残基は:
【化18】

から選択される構造を有する。
【0079】
さらなる態様では、化合物の残基は:
【化19】

から選択される構造を有し、式中、Qは親水性ポリマーである。
【0080】
さらなる態様では、化合物の残基は:
【化20】

から選択される構造を有する。
【0081】
さらなる態様では、本発明は、一重項ニトレンを含む化合物の少なくとも1つの残基に
関する。さらに別の態様では、化合物の少なくとも1つの残基は式:
【化21】

によって表される構造を有し、式中、Aは、−C(=O)−および−(SO)−から選
択される;Lは、−OQ、−O、−NHQおよび−NRQから選択される;Q
は、水素、親水性ポリマー、および式:
【化22】

によって表される構造から選択され、式中、Zは、−CR6a6b−C(=O)−、
−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択され、mは、0、1、2、3
、4、5、6、7、および8から選択される整数である;R1aおよびR1bの各々は水
素およびハロゲンから独立して選択される;R2aおよびR2bの各々はハロゲンである
;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R4aおよび
4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−R8a8b、−
NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポ
リハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−COから独立
して選択される;R5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、−CN、−
OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル、C1〜
C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11、−
CO、および−CO11から独立して選択される;R6aおよびR6bの各々は
、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR1
12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハ
ロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から独立
して選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される
;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;Rは、存在
する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R10は、存在する場合、水
素およびC1〜C4アルキルから選択される;R11は、存在する場合、水素およびC1
〜C4アルキルから選択される;R12は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキ
ルから選択される;そしてR13は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから
選択される。さらに別の態様では、一重項ニトレンは、アジドの活性化によって形成され
る。さらに別の態様では、活性化は光活性化である。
【0082】
さらに別の態様では、化合物の残基は:
【化23】

から選択される構造を有する。
【0083】
さらに別の態様では、化合物の残基は式:
【化24】

によって表される構造を有する。
【0084】
1つの態様では、本発明は、式:
【化25】

によって表される構造を有する化合物に関し、式中、mは、0、1、2、3、4、5、6
、7、および8から選択される整数である;Aは、−C(=O)−および−(SO)−
から選択され、Lは−OQである、またはAは−(SO)−であり、Lは、−OQおよ
び−NRQから選択される;Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化26】

によって表される構造から選択され、式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−
、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される:R1aおよびR
の各々は水素およびハロゲンから独立して選択される;R2aおよびR2bの各々はハ
ロゲンである;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;
4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR
8a8b、−R8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル
、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−CO
から独立して選択される;R5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲ
ン、−CN、−OH、−R10a10b、−R10a10b、C1〜C4アルキ
ル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO
11、−CO、および−CO11から独立して選択される;R6aおよびR
の各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b
−NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、Cl〜
C4ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO
から独立して選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから
選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R10は、存在す
る場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R11は、存在する場合、水素
およびC1〜C4アルキルから選択される;R12は、存在する場合、水素およびC1〜
C4アルキルから選択される;そしてR13は、存在する場合、水素およびC1〜C4ア
ルキルから選択される。
【0085】
さらなる態様では、化合物は:
【化27】

から選択される構造を有する。
【0086】
さらに別の態様では、化合物は式:
【化28】

によって表される構造を有する。
【0087】
さらに別の態様では、化合物は:
【化29】

から選択される構造を有する。
【0088】
さらに別の態様では、化合物は式:
【化30】

によって表される構造を有する。
【0089】
さらなる態様では、化合物は式:
【化31】

によって表される構造を有する。
【0090】
さらに別の態様では、化合物は:
【化32】

から選択される構造を有する。
【0091】
さらに別の態様では、化合物は式:
【化33】

によって表される構造を有する。
【0092】
さらなる態様では、化合物は:
【化34】

から選択される構造を有する。
【0093】
さらに別の態様では、化合物は:
【化35】

から選択される構造を有する。
【0094】
さらなる態様では、化合物は:
【化36】

から選択される構造を有する。
【0095】
さらに別の態様では、化合物は:
【化37】

から選択される構造を有する。
【0096】
さらに別の態様では、化合物は:
【化38】

から選択される構造を有する。
【0097】
さらに別の態様では、化合物は:
【化39】

から選択される構造を有する。
【0098】
さらに別の態様では、化合物は:
【化40】

から選択される構造を有する。
【0099】
さらに別の態様では、化合物は:
【化41】

【化42】

から選択される構造を有する。
【0100】
さらに別の態様では、化合物は以下のものから選択される構造を有する:
【化43】
【0101】
a.M
1つの態様では、mは、0、1、2、3、4、5、6、7、および8から選択される整
数である。さらなる態様では、mは、0、1、2、3、4、5、6、および7から選択さ
れる整数である。さらに別の態様では、mは、0、1、2、3、4、5、および6から選
択される整数である。さらに別の態様では、mは、0、1、2、3、4、および5から選
択される整数である。さらに別の態様では、mは、0、1、2、3、および4から選択さ
れる整数である。さらに別の態様では、mは、0、1、2、および3から選択される整数
である。さらに別の態様では、mは、0、1、および2から選択される整数である。さら
に別の態様では、mは、0および1から選択される整数である。さらに別の態様では、m
は0である。さらに別の態様では、mは1である。さらに別の態様では、mは2である。
さらに別の態様では、mは3である。さらに別の態様では、mは4である。さらに別の態
様では、mは5である。さらに別の態様では、mは6である。さらに別の態様では、mは
6である。さらに別の態様では、mは7である。さらに別の態様では、mは8である。
【0102】
b.AおよびL基
1つの態様では、Aは、−C(=O)−および−(SO)−から選択される。さらな
る態様では、Aは−C(=O)−である。さらに別の態様では、Aは−(SO)−であ
る。
【0103】
1つの態様では、Lは、−OQ、−O、−NHQおよび−NRQから選択さ
れる。さらなる態様では、Lは、−OQ、−O、および−NHQから選択される
。さらに別の態様では、Lは、−OQ、および−Oから選択される。さらに別の態様で
は、Lは−OQである。さらに別の態様では、Lは−Oである。さらに別の態様では、
Lは−NHQである。さらに別の態様では、Lは−NRQである。
【0104】
1つの態様では、Aは、−C(=O)−および−(SO)−から選択され、Lは−O
Qである。さらなる態様では、Aは−C(=O)−であり、Lは−OQである。さらに別
の態様では、Aは−(SO)−であり、Lは−OQである。
【0105】
1つの態様では、Aは−(SO)−であり、Lは−OQおよび−NRQから選択さ
れる。さらなる態様では、Aは−(SO)−であり、Lは−OQである。さらに別の態
様では、Aは−(SO)−であり、Lは−NRQである。
【0106】
c.Q基
1つの態様では、Qは、水素、親水性ポリマー、および式:
【化44】

によって表される構造から選択される。
【0107】
さらなる態様では、Qは水素である。
【0108】
さらなる態様では、Qは親水性ポリマーである。さらに別の態様では、親水性ポリマー
は、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンイミン)およびポリアニリン、または
それらの混合物から選択される少なくとも1つの部分を含む。さらに別の態様では、親水
性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)およびポリアニリン、またはそれらの混合物
から選択される少なくとも1つの部分を含む。さらに別の態様では、親水性ポリマーはポ
リ(エチレングリコール)である。さらに別の態様では、親水性ポリマーはポリ(エチレ
ンイミン)である。さらに別の態様では、親水性ポリマーはポリアニリンである。
【0109】
さらなる態様では、Qは、式:
【化45】

によって表される構造を有する。
【0110】
さらに別の態様では、Qは:
【化46】

から選択される構造を有する。
【0111】
さらなる態様では、Qは:
【化47】

から選択される構造を有する。
【0112】
さらに別の態様では、Qは、式:
【化48】

によって表される構造を有する。
【0113】
さらに別の態様では、Qは:
【化49】

から選択される構造を有する。
【0114】
さらに別の態様では、Qは:
【化50】

から選択される構造を有する。
【0115】
さらに別の態様では、Qは:
【化51】

から選択される構造を有する。
【0116】
さらなる態様では、Qは、式:
【化52】

によって表される構造を有する。
【0117】
さらに別の態様では、Qは
【化53】

から選択される構造を有する。
【0118】
さらに別の態様では、Qは:
【化54】

から選択される構造を有する。
【0119】
さらに別の態様では、Qは:
【化55】

から選択される構造を有する。
【0120】
さらなる態様では、Qは:
【化56】

から選択される構造を有する。
【0121】
d.Z基
さらなる態様では、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−、−C(=NH)−、
および−C(−NH)NR−から選択される。さらなる態様では、Zは、−CR6a
6b−、−C(=O)−、および−C(=NH)−から選択される。さらに別の態様では
、Zは、−CR6a6b−および−C(=O)−から選択される。さらに別の態様では
、Zは−CR6a6b−である。さらに別の態様では、−C(=O)−である。さらに
別の態様では、Zは−C(=NH)−である。さらに別の態様では、Zは−C(=H)N
−である。
【0122】
e.R1AおよびR1B
1つの態様では、R1aおよびR1bの各々は水素およびハロゲンから独立して選択さ
れる。さらなる態様では、R1aおよびR1bの各々は水素である。
【0123】
さらなる態様では、R1aおよびR1bの各々はハロゲンである。さらに別の態様では
、R1aおよびRibの各々は−Clおよび−Fから独立して選択される。さらに別の態
様では、R1aおよびR1bの各々は−Clである。さらに別の態様では、R1aおよび
1bの各々は−Fである。さらに別の態様では、R1aは−Clであり、R1bは−F
である。
【0124】
さらなる態様では、R1bは水素であり、R1aはハロゲンである。さらに別の態様で
は、R1bは水素であり、R1aは−Clおよび−Fから選択される。さらに別の態様で
は、R1bは水素であり、R1aは−Clである。さらに別の態様では、R1bは水素で
あり、R1aは−Fである。
【0125】
f.R2AおよびR2B
1つの態様では、R2aおよびR2bの各々はハロゲンである。さらなる態様では、R
2aおよびR2bの各々は−Clおよび−Fから独立して選択される。さらに別の態様で
は、R2aおよびR2bの各々は−Clである。さらに別の態様では、R2aおよびR
の各々は−Fである。さらに別の態様では、R2aは−Clであり、R2bは−Fであ
る。
【0126】
g.R
1つの態様では、Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択され
る。さらなる態様では、Rは、存在する場合、水素、メチル、エチル、およびプロピル
から選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素、メチル、およびエ
チルから選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素およびメチルか
ら選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素である。
【0127】
h.R4AおよびR4B
1つの態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−C
N、−OH、−NR8a8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C
4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO
、および−COから独立して選択される。さらなる態様では、R4aおよびR
4bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR8a8b
、−NR8a8b、メチル、エチル、プロピル、−CHF、−CHCl、−C
CHF、−CHCHCl、−CHCHCHF、−CHCHCH
l、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO、−
CO、および−COから独立して選択される。さらに別の態様では、R4a
よびR4bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR8a
8b、−NR8a8b、メチル、エチル、−CHF、−CHCl、−CH
CHF、−CHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−
SO、−SO、−CO、および−COから独立して選択される。さ
らに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、
−CN、−OH、−NR8a8b、−NR8a8b、メチル、−CHF、−C
Cl−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO
、−CO、および−COから独立して選択される。さらに別の態様では、R
およびR4bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−CN、−OH、−NH
、−NH、−CF、−CCl、−SO、−SO、−CO、およ
び−COから独立して選択される。
【0128】
さらなる態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、ハロゲン、−CN、
−OH、−NR8a8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モ
ノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO
、および−COから独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR
の各々は、存在する場合、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR8a8b、−NR
8a8b、メチル、エチル、プロピル、−CHF、−CHCl、−CHCH
F、−CHCHCl、−CHCHCHF、−CHCHCHCl、−C
HF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO、−CO
、および−COから独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR
の各々は、存在する場合、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR8b、−NR
8a8b、メチル、エチル、−CHF、−CHCl、−CHCHF、−C
CHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−S
、−CO、および−COから独立して選択される。さらに別の態様で
は、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、−F、−Cl、−CN、−OH、−N
8a8b、−NR8a8b、メチル、−CHF、−CHCl、−CHF
、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO、−CO、およ
び−COから独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各
々は、存在する場合、−F、−Cl−CN、−OH、−NR8a8b、−NR8a
、−CF、−CCl、−SO、−SO、−CO、および−CO
から独立して選択される。
【0129】
さらなる態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−
NR8a8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアル
キル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−
COから独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は
、存在する場合、水素、−F、−Cl、−NR8a8b、−NR8a8b、メチ
ル、エチル、プロピル、−CHF、−CHCl、−CHCHF、−CHCH
Cl、−CHCHCHF、−CHCHCHCl、−CHF、−CF、−
CHCl、−CCl、−SO、−SO、−CO、および−CO
から独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する
場合、水素、−F、−Cl、−NR8a8b、−NR8a8b、メチル、エチル
、−CHF、−CHCl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHF、−
CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO、−CO、および−
COから独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は
、存在する場合、水素、−F、−Cl、−NR8a8b、−NR8a8b、メチ
ル、−CHF、−CHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−
SO、−SO、−CO、および−COから独立して選択される。さ
らに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、
−NR8a8b、−NR838b、−CF、−CCl、−SO、−SO
、−CO、および−COから独立して選択される。
【0130】
さらなる態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、−NR8a
8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1
〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−CO
から独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する
場合、水素、−NR8a8b、−NR8a8b、メチル、エチル、プロピル、−
CHF、−CHCl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHCHCH
F、−CHCHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl
−SO、−SO、−CO、および−COから独立して選択される。
さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、−NR8a
8b、−NR8a8b、メチル、エチル、−CHF、−CHCl、−CH
F、−CHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−S
、−SO、−CO、および−COから独立して選択される。さら
に別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、−NR8a8b
、−R8a8b、メチル、−CHF、−CHCl、−CHF、−CF、−
CHCl、−CCl、−SO、−SO、−CO、および−CO
から独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する
場合、水素、−NR8a8b、−NR8a8b、−CF、−CCl、−SO
、−SO、−CO、および−COから独立して選択される。
【0131】
さらなる態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、−NR8a
8b、および−NR8a8bから独立して選択される。さらに別の態様では、R
およびR4bの各々は、存在する場合、水素および−NR8a8bから独立して
選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素で
ある。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、−NR8a
8bである。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、−
NR8a8bである。
【0132】
さらなる態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、−SO
および−SOから独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR4b
の各々は、存在する場合、水素および−SOから独立して選択される。さらに別の態
様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、−SOである。さらに別の態
様では、R4aおよびR4bの各々は−SOである。
【0133】
さらなる態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素、−CO
および−COから独立して選択される。
【0134】
さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在する場合、水素および−CO
から独立して選択される。さらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は、存在
する場合、−COであるさらに別の態様では、R4aおよびR4bの各々は−CO
である。
【0135】
i.R5A、R5B、およびR5C
1つの態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、ハロ
ゲン、−CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4
アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−
SO11、−CO、および−CO11から独立して選択される。さらなる態
様では、R5a、R5bおよびR5cの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−
CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、メチル、エチル、プ
ロピル、−CHF、−CHCl、−CHCHF、−CHCHCl、−CH
CHCHF、−CHCHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−
CCl、−SO−、−SO11、−CO、および−CO11から独立し
て選択される。さらに別の態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する
場合、水素、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a
0b、メチル、エチル、−CHF、−CHCl、−CHCHF、−CH
Cl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO
11、−CO、および−CO11から独立して選択される。さらに別の態様では
、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−CN
、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、メチル、−CHF、−
CHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO
、−CO、および−COから独立して選択される。さらに別の態様では、
5a、RおよびR5cの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−CN、−O
H、−NR10a10b、−NR10a10b、−CF、−CCl、−SO
、−SO、−CO、および−COから独立して選択される。
【0136】
さらなる態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、ハロゲン
、−CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アル
キル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO
11、−CO、および−CO11から独立して選択される。さらに別の態様
では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、−F、−Cl、−CN、
−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、メチル、エチル、プロピル
、−CHF、−CHCl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHCH
CHF、−CHCHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl
、−SO、−SO11、−CO、および−CO11から独立して選択
される。さらに別の態様では、R5a、R5b、および5cの各々は、存在する場合、−
F、−Cl、−CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、メチ
ル、エチル、−CHF、−CHO、−CHCHF、−CHCHCl、−CH
、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO11、−CO
、および−CO11から独立して選択される。さらに別の態様では、R5a、R5b
、およびR5cの各々は、存在する場合、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR10a
10b、−NR10a10b、メチル、−CHF、−CHCl、−CHF
、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO11、−CO、お
よび−CO11から独立して選択される。さらに別の態様では、R5a、R5b、お
よびR5cの各々は、存在する場合、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR10a
0b、−NR10a10b、−CF、−CCl、−SO、−SO11
、−CO、および−CO11から独立して選択される。
【0137】
さらなる態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、ハ
ロゲン、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル、C1
〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11
−CO、および−CO11から独立して選択される。さらに別の態様では、R
、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−NR10a
10b、−NR10a10b、メチル、エチル、プロピル、−CHF、−CH
Cl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHCHCHF、−CH
CHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−S
11、−CO、および−CO11から独立して選択される。さらに別の態
様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、
−NR10a10b、−NR10a10b、メチル、エチル、−CHF、−C
Cl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl
、−CCl、−SO−、−SO11、−CO、および−CO11から
独立して選択される。さらに別の態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存
在する場合、水素、−F、−Cl、−NR10a10b、−NR10a10b
メチル、−CHF、−CHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl
、−SO、−SO11、−CO、および−CO11から独立して選択さ
れる。さらに別の態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水
素、−F、−Cl、−NR10a10b、−NR10a10b、−CF、−C
Cl、−SO、−SO11、−CO、および−CO11から独立して
選択される。
【0138】
さらなる態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−
NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノ
ハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO11、−CO
、および−CO11から独立して選択される。さらに別の態様では、R5a、R5b
、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−NR10a10b、−NR10a
10b、メチル、エチル、プロピル、−CHF、−CHCl、−CHCH
、−CHCHCl、−CHCHCHF、−CHCHCHCl、−CHF
、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO11、−CO
および−CO11から独立して選択される。さらに別の態様では、R5a、R5b
およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−NR10a10b、−NR10a
0b、メチル、エチル、−CHF、−CHCl、−CHCHF、−CH
Cl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO
11、−CO、および−CO11から独立して選択される。さらに別の態様では
、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−NR10a10b
、−NR10a10b、メチル、−CHF、−CHCl、−CHF、−CF
、−CHCl、−CCl、−SO、−SO11、−CO、および−C
11から独立して選択される。さらに別の態様では、R5a、R5b、およびR
の各々は、存在する場合、水素、−NR10a10b、−NR10a10b
−CF、−CCl、−SO、−SO11、−CO、および−CO
から独立して選択される。
【0139】
さらなる態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−
NR10a10b、および−R10a10bから独立して選択される。さらに別
の態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素および−NR
10a10bから独立して選択される。さらに別の態様では、R5a、R5b、お
よびR5cの各々は、存在する場合、水素である。さらに別の態様では、R5a、R5b
、およびR5cの各々は、存在する場合、−NR10a10bである。さらに別の
態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、−NR10a10
である。
【0140】
さらなる態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−
SO、および−SOから独立して選択される。さらに別の態様では、R5a
5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素および−SOから独立して選択
される。さらに別の態様では、R5a、R3b、およびR5cの各々は、存在する場合、
−SOである。さらに別の態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在
する場合、−SOである。
【0141】
さらなる態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場合、水素、−
CO、および−COから独立して選択される。さらに別の態様では、R5a
5b、およびR^の各々は、存在する場合、水素および−Oから独立して選択され
る。さらに別の態様では、R5a、R5bおよびR5cの各々は、存在する場合、−CO
である。さらに別の態様では、R5a、R5b、およびR5cの各々は、存在する場
合、−COである。
【0142】
j.R6Aおよび6B
1つの態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−C
N、−OH、−NR12a12b、−NR12a12b、C1〜C4アルキル、
C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO
、−CO、および−CO13から独立して選択される。さらなる態様では、R
6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−CN、−OH、−N
12a12b、−NR12a12b、メチル、エチル、プロピル、−CH
、−CHCl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHCHCHF、−
CHCHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO
、−SO13、−CO、および−CO13から独立して選択される。さら
に別の態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−
CN、−OH、−R12a12b、−NR12a12b、メチル、エチル、−C
F、−CHCl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHF、−CF
、−CHCl、−CCl、−SO、−SO13、−CO、および−CO
13から独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR6bの各々は、
存在する場合、水素、−F、−Cl、−CN、−OH、−R12a12b、−NR12
12b、メチル、−CHF、−CHCl、−CHF、−CF、−CHC
、−CCl、−SO、−SO13、−CO、および−CO13
ら独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場
合、水素、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR12a12
、−CF、−CCl、−SO、−SO13、−CO、および−C
13から独立して選択される。
【0143】
さらなる態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、ハロゲン、−CN、
−OH、−NR12a12b、−NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1
〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO13
−CO、および−CO13から独立して選択される。さらに別の態様では、R
およびR6bの各々は、存在する場合、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR12a
12b、−NR12a12b、メチル、エチル、プロピル、−CHF、−CH
Cl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHCHCHF、−CH
CHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−S
13、−CO、および−CO13から独立して選択される。さらに別の態
様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、−F、−Cl、−CN、−OH、
−NR12a12b、−NR12a12b、メチル、エチル、−CHF、−C
Cl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl
、−CCl、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から
独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合
、−F、−Cl、−CN、−OH、−NR12a12b、−NR12a12b
メチル、−CHF、−CHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl
、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から独立して選択さ
れる。さらに別の態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、−F、−Cl
、−CN、−OH、−NRl2a12b、−NR12a12b、−CF、−C
Cl、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から独立して
選択される。
【0144】
さらなる態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−
NR12a12b、−NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノ
ハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO
、および−CO13から独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR
6bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−NR12a12b、−NR12
12b、メチル、エチル、プロピル、−CHF、−CHCl、−CHCH
F、−CHCHCl、−CHCHCHF、−CHCHCHCl、−C
HF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO13、−CO
、および−CO13から独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよび
6bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−NR12a12b、−NR
2a12b、メチル、エチル、−CHF、−CHCl、−CHCHF、−
CHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−
SO13、−CO、および−CO13から独立して選択される。さらに別の
態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−R12
12b、−NR12a12b、メチル、−CHF、−CHCl、−CHF
、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO13、−CO、お
よび−CO13から独立して選択される。さらに別の態様では、R12aおよびR
2bの各々は、存在する場合、水素、−F、−Cl、−NR12a12b、−NR12
12b、−CF、−CCl、−SO、−SO13、−CO、お
よび−CO13から独立して選択される。
【0145】
さらなる態様では、R6aおよびRの各々は、存在する場合、水素、−NRl2a
2b、−R12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C
1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO
13から独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR6bの各々は、存
在する場合、水素、−NR12a12b、−NR12a12b、メチル、エチル
、プロピル、−CHF、−CHCl、−CHCHF、−CHCHCl、−C
CHCHF、−CHCHCHCl、−CHF、−CF、−CHCl
、−CCl、−SO、−SO13、−CO、および−CO13から独
立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、
水素、−NR12a12b、−NR12a12bH、メチル、エチル、−CHF、
−CHCl、−CHCHF、−CHCHCl、−CHF、−CF、−CH
Cl、−CCl、−SO、−SO13、−CO、および−CO13
から独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する
場合、水素、−NR12a12b、−NR12a12b、メチル、−CHF、
−CHCl、−CHF、−CF、−CHCl、−CCl、−SO、−SO
13、−CO、および−CO13から独立して選択される。さらに別の態様
では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、−NR12a12b、−N
12a12b、−CF、−CCl、−SO、−SO13、−CO
、および−CO13から独立して選択される。
【0146】
さらなる態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、−NR12a
12b、および−NR12a12bから独立して選択される。さらに別の態様で
は、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素および−NR12a12b
から独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する
場合、水素である。さらに別の態様では、RoaおよびR6bの各々は、存在する場合、
−NRl2a12bである。さらに別の態様では、R63およびR6bの各々は、
存在する場合、−NR12a12bである。
【0147】
さらなる態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、−SO
および−SO13から独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR
の各々は、存在する場合、水素および−SOから独立して選択される。さらに別の
態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、−SOである。さらに別の
態様では、R6aおよびR60の各々は、存在する場合、−SO13である。
【0148】
さらなる態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、水素、−CO
および−CO13から独立して選択される。さらに別の態様では、R6aおよびR
の各々は、存在する場合、水素および−COから独立して選択される。さらに別の
態様では、RoaおよびR6bの各々は、存在する場合、−COである。さらに別の
態様では、R6aおよびR6bの各々は、存在する場合、−CO13である。
【0149】
k.R
1つの態様では、Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択され
る。さらなる態様では、Rは、存在する場合、水素、メチル、エチル、およびプロピル
から選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素、メチル、およびエ
チルから選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素およびメチルか
ら選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素である。
【0150】
l.R
1つの態様では、Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択され
る。さらなる態様では、Rは、存在する場合、水素、メチル、エチル、およびプロピル
から選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素、メチル、およびエ
チルから選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素およびメチルか
ら選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素である。
【0151】
m.R
1つの態様では、Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択され
る。さらなる態様では、Rは、存在する場合、水素、メチル、エチル、およびプロピル
から選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素、メチル、およびエ
チルから選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素およびメチルか
ら選択される。さらに別の態様では、Rは、存在する場合、水素である。
【0152】
n.R10
1つの態様では、R10は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択さ
れ、さらなる態様では、R10は、存在する場合、水素、メチル、エチル、およびプロピ
ルから選択される。さらに別の態様では、R10存在する場合、水素、メチル、およびエ
チルから選択される。さらに別の態様では、R10は、存在する場合、水素およびメチル
から選択される。さらに別の態様では、R10は、存在する場合、水素である。
【0153】
o.R11
1つの態様では、R11は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択さ
れる。さらなる態様では、R11は、存在する場合、水素、メチル、エチル、およびプロ
ピルから選択される。さらに別の態様では、R11は、存在する場合、水素、メチル、お
よびエチルから選択される。さらに別の態様では、R11は、存在する場合、水素および
メチルから選択される。さらに別の態様では、R11は、存在する場合、水素である。
【0154】
p.R12
1つの態様では、R12は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択さ
れる。さらなる態様では、R12は、存在する場合、水素、メチル、エチル、およびプロ
ピルから選択される。さらに別の態様では、R12は、存在する場合、水素、メチル、お
よびエチルから選択される。さらに別の態様では、R12は、存在する場合、水素および
メチルから選択される。さらに別の態様では、R12は、存在する場合、水素である。
【0155】
q.R13
1つの態様では、R13は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択さ
れる。さらなる態様では、R13は、存在する場合、水素、メチル、エチル、およびプロ
ピルから選択される。さらに別の態様では、R13は、存在する場合、水素、メチル、お
よびエチルから選択される。さらに別の態様では、R13は、存在する場合、水素および
メチルから選択される。さらに別の態様では、R13は、存在する場合、水素である。
【0156】
2.構造例
1つの態様では、化合物の残基は:
【化57】

またはそのサブグループとして存在し得る。
【0157】
さらなる態様では、化合物の残基は:
【化58】

またはそのサブグループとして存在し得る。
【0158】
さらに別の態様では、化合物の残基は:
【化59】

またはそのサブグループとして存在し得る。
【0159】
さらに別の態様において、化合物の残基は:
【化60】

として存在し得る。
【0160】
1つの態様では、化合物は:
【化61】

として存在し得る。
【0161】
D.薄フィルム膜を修飾する方法
1つの態様では、本発明は、表面を含む薄フィルム膜を修飾する方法であって、式:
【化62】

によって表される構造を有する化合物の少なくとも1つの残基と表面とで結合させるステ
ップを含む方法に関し、式中、Aは−C(=O)−および−(SO)−から選択される
;Lは−OQ、−O、−NHQおよび−NRQから選択される;Qは、水素、
親水性ポリマー、および式:
【化63】

によって表される構造から選択され、式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−
、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される:mは、0、1、2
、3、4、5、6、7、および8から選択される整数である;R1aおよびR1bの各々
は、水素およびハロゲンから独立して選択される;R2aおよびR2bの各々はハロゲン
である;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R4a
およびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR8a
8b、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1
〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−CO
から独立して選択される;R5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、−
CN、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル
、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO
11、−CO、および−CO11から独立して選択される;R6aおよびR6b
の各々は、存在する場合、独立して選択された水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR
12a12b、−NR12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロ
アルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、お
よび−CO13である;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから
選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R
は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される:R10は、存在す
る場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R11は、存在する場合、水素
およびC1〜C4アルキルから選択される;R12は、存在する場合、水素およびC1〜
C4アルキルから選択される;そしてR13は、存在する場合、水素およびC1〜C4ア
ルキルから選択される。さらなる態様では、膜は逆浸透膜である。さらに別の態様では、
膜は少なくとも1つのポリアミドを含む。さらに別の態様では、ポリアミドは芳香族であ
る。
【0162】
さらなる態様では、膜は、汚染耐性、親水性、表面電荷、および粗度から選択される少
なくとも1つの特性で改善を示す。さらに別の態様では、膜は、汚染耐性および親水性か
ら選択される少なくとも1つの特性で改善を示す。さらに別の態様では、膜は汚染耐性で
改善を示す。さらに別の態様では、膜は親水性で改善を示す。さらに別の態様では、膜は
表面電荷で改善を示す。さらに別の態様では、膜は粗度で改善を示す。
【0163】
1つの態様では、本発明は、表面を含む薄フィルム膜を修飾する方法であって、表面と
、一重項ニトレンを含む化合物の少なくとも1つの残基とで結合させ、それによって、汚
染耐性、表面電荷、親水性、および粗度から選択される少なくとも1つの特性を改善する
ステップを含む方法に関する。さらなる態様では、少なくとも1つの特性は、汚染耐性お
よび親水性から選択される。さらに別の態様では、膜は、汚染耐性で改善を示す。さらに
別の態様では、膜は、親水性で改善を示す。さらに別の態様では、膜は表面電荷で改善を
示す。さらに別の態様では、膜は粗度で改善を示す。
【0164】
さらなる態様では、表面は少なくとも1つの−NH−および/または−C=C−残基を
含む。
【0165】
さらなる態様では、結合は一重項ニトレン挿入を含む。
【0166】
さらなる態様では、結合は、膜を化合物の少なくとも1つの残基でコーティングするこ
とを含む。さらに別の態様では、コーティングはディップコーティングを含む。さらに別
の態様では、コーティングはスプレーコーティングを含む。
【0167】
さらなる態様では、結合は、膜を熱源に暴露することを含む。使用できる熱源の例とし
ては、限定されるものではないが、熱風、オーブン、およびIRランプが挙げられる。さ
らに別の態様では、熱源の温度は少なくとも約100℃である。
【0168】
さらなる態様では、結合は、膜を光源に暴露することを含む。さらに別の態様では、光
源はUV光を含む。さらに別の態様では、光源は200nm〜370nmの範囲内のUV
光を含む。さらに別の態様では、結合は、膜を化合物の少なくとも1つの残基でコーティ
ングし、膜を抗原に暴露することを含む
【0169】
さらなる態様では、結合は共有結合による修飾を含む。さらに別の態様では、結合は光
化学的修飾を含む。
【0170】
さらなる態様では、化合物の少なくとも1つの残基は水溶性である。
【0171】
さらなる態様では、化合物の少なくとも1つの残基は式:
【化64】

によって表される構造を有し、式中、Aは、−C(=O)−および−(SO)−から選
択される;Lは、−OQ、−O、−NHQおよび−NRQから選択される;Q
は水素、親水性ポリマー、および式:
【化65】

によって表される構造から選択され、式中、Zは、−CR6a6b−、−C(=O)−
、−C(=NH)−、および−C(=NH)NR−から選択される;mは、0、1、2
、3、4、5、6、7、および8から選択される整数である;R1aおよびR1bの各々
は水素およびハロゲンから独立して選択される;R2aおよびR2bの各々はハロゲンで
ある;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R4a
よびR4bの各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR8a
、−NR8a8b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜
C4ポリハロアルキル、−SO、−SO、−CO、および−CO
ら独立して選択される;R5a、R5b、およびR5cの各々は、水素、ハロゲン、−C
N、−OH、−NR10a10b、−NR10a10b、C1〜C4アルキル、
C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4ポリハロアルキル、−SO、−SO
、−CO、および−CO11から独立して選択される;R6aおよびR6b
各々は、存在する場合、水素、ハロゲン、−CN、−OH、−NR12a12b、−N
R12a12b、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノハロアルキル、C1〜C4
ポリハロアルキル、−SO、−SO13、−CO、および−CO13
ら独立して選択される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択
される;Rは、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R
、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R10は、存在する場
合、水素およびC1〜C4アルキルから選択される;R11は、存在する場合、水素およ
びC1〜C4アルキルから選択される;R12は、存在する場合、水素およびC1〜C4
アルキルから選択される;そしてR13は、存在する場合、水素およびC1〜C4アルキ
ルから選択される。
【0172】
さらなる態様では、一重項ニトレンはアジドの活性化によって形成される。さらに別の
態様では、活性化は光活性化である。さらに別の態様では、光活性化は、化合物の少なく
とも1つの残基を光源に暴露することを含む。さらに別の態様では、光源はUV光を含む
。さらに別の態様では、光源は200nm〜370nmの範囲内のUV光を含む。
【0173】
さらなる態様では、膜は、汚染耐性、親水性、表面電荷、脱塩、および粗度から選択さ
れる少なくとも1つの特性で改善を示す。さらに別の態様では、膜は汚染耐性、脱塩、お
よび親水性から選択される少なくとも1つの特性で改善を示す。さらに別の態様では、膜
は汚染耐性で改善を示す。さらに別の態様では、膜は親水性で改善を示す。さらに別の態
様では、膜は表面電荷で改善を示す。さらに別の態様では、膜は粗度で改善を示す。さら
に別の態様では、膜は脱塩で改善を示す。
【0174】
E.水の精製法
1つの態様では、本発明は水を精製する方法であって、a)開示された膜、または開示
された方法にしたがって修飾された膜であって、第1面と第2面とを有する膜を提供し;
b)膜の第1面と、第1圧力で第1塩濃度を有する第1体積の第1溶液と接触させ;そし
てc)膜の第2面と、第2圧力で第2塩濃度を有する第2体積の第2溶液とを接触させる
ことを含む方法に関し、ここで、第1溶液は膜を通して第2溶液と流体連通し、第1塩濃
度は第2塩濃度よりも高く、それによって膜を越えて浸透圧が形成され、そして第1圧力
は浸透圧を超えるために充分第2圧力よりも高く、第2体積が増加し、第1体積が減少す
る。
【0175】
膜分離法の実現可能性は、特徴的には水分流動における安定性および経時的な溶質保持
率によって決定される。汚染、特に生物学的汚染は、膜の選択性を変える可能性があり、
そして微生物作用によって直接的に、または洗浄要件の増加を通して間接的に、膜劣化を
引き起こす可能性がある。これらの特性は、膜ろ過プラントのサイズ、全体的な投資費用
、ならびに操作および維持費に直接的影響を及ぼし得る。本明細書中で開示される膜およ
び方法を市販の膜および脱塩法に適用することによって、全費用は本発明の膜の改善され
た汚染耐性のために有意に低減され得る。膜表面に共有結合した親水性ポリマーのために
、頻繁な洗浄および膜交換はもはや必要なく、それによってオーナーおよびこれらの方法
のオペレーターにさらなる節約がもたらされる。
【0176】
F.実験
以下の実施例は、本明細書中で請求される化合物、組成物、物品、装置および/または
方法がどのようにして作製され、評価されるかの完全な開示および説明を提供するために
提示され、そして本発明を純粋に例示するものであることが意図され、本発明者らが自身
の発明とみなすものの範囲を制限することを意図しない。数値(例えば、量、温度など)
に関して正確さを保証するために努力されてきたが、多少の誤差および偏差を考慮しなけ
ればならない。別段の指示がない限り、部は重量部であり、温度は℃であるかまたは周囲
温度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0177】
1.一般法
メトキシポリエチレングリコールアミンMW=5000g/モルはSigma Ald
rich(Milwaukee, WI)から購入し、メトキシポリエチレングリコール
アミンMW=550、1000g/モルはLaysan Bio(Arab, AL)か
ら購入し、2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミジルは
、KeanaおよびCaiにしがたって調製した。ジエチルエーテルおよびメタノール
はFisher Scientific(Pittsburgh, PA)から購入した
。Dow FILMTEC XLE半塩水フラットシート膜はDow Water &
Processes Solutions(Edina, MN)から寄贈された。膜を
DI水中に一晩浸漬して、輸送用防腐剤を除去し、乾燥した。特に指定のない限り、全て
の材料を受け取ったままで使用した。Hおよび19F−NMR分光法をBrisker
AV 300 NMR分光計で実施した。CDClの残留溶媒ピークを参照して、ス
ペクトルをCDClの溶液中、室温にて記録した。Powder ATR−IRは、A
TRアクセサリを備えたJASCO FT/TR−6300分光計を用いて生成物に関し
て実施した。
【0178】
2.PFPA−PEGの合成
スキームIII
【化66】

PFPA−PEG誘導体は、Yan(Yan, M.(2000) Reactive
and Functional Polymers 45, 137−144)によっ
てもともとは記載された手順の変法によって合成した。手短に言えば、1当量の2,3,
5,6−テトラフルオロ安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミジルおよび0.9当量のH
N−PEGをCHCl中に溶解させた。溶液を一晩暗所で室温にて撹拌した。反応混
合物を次いでジエチルエーテル中に注ぎ、水で3回抽出した。減圧下で蒸発させた後、生
成物を集め、さらに精製することなく使用した。
【0179】
a.4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸メチル(3.2)の合成
【化67】

0.30(4.6ミリモル)のNaNおよび0.88g(4.3ミリモル)のペンタ
フルオロベンズアルデヒド(3.1)のアセトン(8mL)および水(3mL)中混合物
を8時間還流させた。混合物を冷却し、水(10mL)で希釈し、次いでエーテル(3×
10mL)によって抽出した。抽出物を乾燥し(MgSO)、蒸発させて、87%の3
.2が無色固体として残った(図2)。
【0180】
b.4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸(3.3)の合成
【化68】

0.586gの3.2と20%のNaOH水溶液(0.8mL)のMeOH(10mL
)および水(1mL)中溶液を一晩25℃で撹拌した。溶液を氷浴中1MのHClによっ
てpH1未満に酸性化し、そしてCHCl(3×10mL)によって抽出した。抽出物
を乾燥し(MgSO)、そして蒸発させると、0.54g(98%)の3.3が無色固
体として残った(図3)。
【0181】
c.4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸2,5−ジオキソピロリジ
ン−1−イル(3.4)の合成
【化69】

234mg(1.0ミリモル)のN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の3.3(1
15mg、1.0ミリモル)および211mg(1.02ミリモル)のジシクロヘキシル
カルボジイミド(DCC)のCHCl(6.5mL、redist.)を25℃にて
一晩撹拌した。混合物をろ過した。ろ液を蒸発させると、331mg(99%)の3.4
が無色固体として残された(図4)。
【0182】
d.PFPA−PEG5000の合成
【化70】

N−PEG5000(750mg、0.15ミリモル)を10mLのCHCl
に溶解させた。3.4(60mg、0.18ミリモル)を溶液に添加し、反応物を暗所で
一晩室温にて撹拌した。結果として得られる溶液を20mLのジエチルエーテル中に注ぎ
、生成物を20mLのDI水で3回抽出した。灰色固体生成物(745mg、0.14ミ
リモル、収率:93%)が、減圧下での蒸発によって得られ、そして使用までデシケータ
中暗所で保存した(図5および6)。H NMR 300MHz、CDC1、25℃
、溶媒基準ピーク):δ=3.63(m);19F NMR 300MHz、CDCl
、25℃、溶媒基準ピーク):δ=−140.94(2F;アリール−F)、−150.
87(2F;アリール−F);IR:v〜=2876、2102、1933、1460、
1337、1275、1233、101、950、836cm−1
【0183】
PFPA−PEG1000の合成
【化71】

N−PEG1000(820mg、0,82ミリモル)を10mlのCHCl
に溶解させた。3.4(302mg、0.91ミリモル)を溶液に添加し、反応物を暗所
で一晩室温にて撹拌した。結果として得られる溶液を20mlのジエチルエーテル中に注
ぎ、生成物を20mLのDI水で3回抽出した。白ロウ(981mg、0.8ミリモル、
収率:97%)を減圧下で蒸発させることによって得、そして使用するまで暗所にてデシ
ケータ中で保存した(図7)。H NMR 300MHz、CDCl、25℃、溶媒
基準ピーク):δ=3.64(m)、3.38(s)、2.72(s);19F NMR
300MHz、CDC1、25℃、溶媒基準ピーク):δ=−140.94(2F;
アリール−F)、−150.87(2F;アリール−F);IR:v〜=2860、21
20、1714、1484、1342、1276、1210、1090、990、940
、839cm−1
【0184】
f.PFPA−PEG550の合成
【化72】

H2N−PEG550(270mg、0.5ミリモル)を5mLのCHCl中に溶解
させた。3.4(180mg、0.54ミリモル)を溶液に添加し、反応物を暗所で室温
にて撹拌した。結果として得られる溶液を20mLのジエチルエーテル中に注ぎ、生成物
を20mLのDI水で3回抽出した。明黄色油状物(373mg、0.47ミリモル、収
率:94%)は、減圧下で蒸発させることによって得られ、使用するまで暗所にてデシケ
ータ中で保存した(図8)。H NMR 300MHz、CDCl、25℃、溶媒基
準ピーク): 6=3.68(m)、3.42(s)、2.77(s); 19F NM
R 300MHz、CDCl、25℃、溶媒基準ピーク): 6=−140.92、−
150.79。IR:v〜=2861、2122、1771、1482、1316、12
54、1205、1085、988、821cm−1
【0185】
3.親水性小分子の合成
親水性酸性および塩基性官能基を有する3つの小分子を合成した。すべての化合物は商
業的に入手可能な前駆体から調製し、通常の試薬を使用して変換した。
【0186】
a.4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸ナトリウム(PFPA−C
OONA)の合成
スキームIV
【化73】

PFPA−COONaを、対応するカルボン酸(PFPA−COOH、Keana,
J. F. W., and Cai, S. X. (1990) J. Org.
Chem. 55, 3640−3647)からメタノール中1モル当量の水酸化ナトリ
ウムを使用して調製した。ナトリウム塩形態は水中の溶解を可能にする。
【0187】
b.4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム(P
FPA−SO)の合成
スキームV.
【化74】

カルボン酸官能基は溶液中のイオンをキレート化し、これはスケーリングに至る可能性
があるので、PFPA−スルホン酸塩を合成した。塩化スルホニル基は、アジドの添加(
ステップ2)前にまずフェノールで保護しなければならない。脂肪族アルコールで保護し
たスルホン酸エステルは、ステップ3のようなミセル親和性攻撃(micleophil
ic attack)に対して不安定である(Miller, S. C. (2010
) J. Org. Chem.. 75, 4632−4635)。最後に、スルホネ
ートの脱保護によって固体が得られ、これをろ過によって単離した。
【0188】
c.4−アジド−N−(2−(ジメチル.アミノ)エチル)−2,3,5,6−テトラ
フルオロベンゼンスルホアミド(PFPA−SDEA)の合成
スキームVI
【化75】

PFPA−SDEAをその塩基性官能基および合成の容易性について選択した。さらに
、第3ジメチルアミン尾部は抗菌特性を示すことが報告されている(Martin, T
. P., et al. (2007) Biomaterials 28, 909
−915)。PFPA−SDEAは有機可溶性(organosoluble)であるが
、酸を添加してその塩に変換することもできる。PFPA−COOH(またはPFPA−
SDEA)はHO中に溶解させて塩形態(それぞれPFPA−SDEAH+またはPF
PA−COO−)で一緒に等モル比で添加することができる。
【0189】
d.2−(((4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロベンゾイル)オキシ)ア
ミノ)−N,N−ジメチルエタナミン(PFPA−CDEA)の合成
スキームVII
【化76】

PFPA−CDEAを本明細書中で上述したようにして調製したPFPAエステルから
調製した。したがって、N1,N1−ジメチルエタン−1,2−ジアミンとクロロホルム
の存在下で反応させて、所望のPFPAアナログを得た(図9)。
【0190】
e.双性イオン性PFPA誘導体の机上の合成
スキームVIII
【化77】

双性イオン性PFPA誘導体の合成は、有機溶媒中の双性イオンの限定された溶解性た
めに合成に困難を伴う。カチオン性およびアニオン性誘導体について、標的化合物は、活
性化PFPA−N−スクシンイミジルエステルまたは塩化スルホニルを使用して有機溶媒
系中で合成することができる。したがって、水溶性カルボジイミド化学(すなわち、1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)は、第1アミンを有する
双性イオン性化合物を遊離カルボン酸PFPA−COOH誘導体とカップリングさせるた
めに利用されなければならない(Nakajima, N., Ikada, Y. (
1995) Bioconjugate Chemistry 6, 123−130
)。したがって、机上の一例では、PFPAカップリングは、固相ペプチド合成(SPP
S)(Merrifield, R. N. (1963) J. Am. Chem.
Sec, 65, 2149)と同様にして、アミノ酸官能化樹脂を使用して実施でき
る。SPPSは、安定した反応効率と、PFPAを不溶性官能化樹脂に結合された選択さ
れた化合物に共有結合的にカップリングさせることによる簡易なワークアップとを可能に
する。カップリング試薬は反応が完了し、選択的開裂剤(cleaving agent
)で純粋な生成物が得られた後に洗い流すことができる。アミノ酸リジン(Lys)およ
びアルギニン(Arg)は、これらの化合物がPFPA−COOHと効率よくカップリン
グするのを可能にする、側鎖上のそれらの遊離アミノ基によって選択される。
【0191】
4.表面修飾手順
スキームIX
【化78】

膜表面を修飾するために使用した手順を示す図を図10に示す。2mMのPFPA−P
EG溶液は、PFPA−PEG、PFPA−COONa、またはPFPA−SO
aを18ΜΩの水中に溶解させ、PFPA−PEGが完全に溶解するまで激しく振とうす
ることによって調製した。ディップコーティング溶液はすべて調製した同じ日に使用した
。市販の逆浸透膜クーポン(2×2cm)を溶液中に約5秒間浸漬し、そして平面上で
一晩空気乾燥させた。大きな110cmのサンプルを性能試験のために使用した。一旦
乾燥したら、クーポンを、254nmの波長を使用する6W Spectroline
ENF−260C手持ち式UVランプ下に3分間置いた。リングスタンドを使用して膜の
表面より5インチ上でランプを保持した。UV暴露後、膜カットアウトを10%エタノー
ル/水浴流れ中に入れて、副生成物および未反応アジドを除去した。エタノール溶液は、
乾燥ステップの間に失われた膜の透過性を回復するのにも役立った。膜クーポンを次いで
DI水浴中に一晩入れた。ATR−IRおよび接触角測定のために使用した膜クーポンを
デシケータ中で保存した。
【0192】
5.膜特性化
FT−IR、接触角測定、および原子間力顕微鏡法(AFM)のために使用する3×1
cmの膜クーポンを使用前に一晩デシケータ中で乾燥した。修飾および非修飾膜を、AT
Rアクセサリを備えたJASCO FT7TR−6300分光計でのATR−IRで特性
化した。XPS試験は、10mAおよび15kVで動作する単色Al Kα X線源を備
えたKratos AXIS Ultra DLDで実施した。調査スペクトルおよび個
々の高解像度スペクトルは、それぞれ160eVおよび10eVのパスエネルギーを使用
して集めた。データ処理はCasaXPS 2.3ソフトウェアを使用して実施し、そし
てスペクトル結合エネルギーは、CIs高解像度スペクトルの炭化水素ピークを284.
6eVに割り当てることによって較正した。Kruss DSA 10ゴニオメーターを
使用して液滴接触角測定を観察した。
【0193】
6.水透過性および阻止率
RO膜に関する性能試験を、約110cmの活性膜面積を有するステンレス鋼全量ろ
過撹拌セル(Sterlitech Corp., Kent, WA)中で実施した。
撹拌セルをMilli−Q水で満たし、そして膜を通る水流が最初に観察されるまで加圧
した。水流量を次いで、デジタル流量計(FlowCal 5000, Tovatec
h LLC, South Orange, NJ)を使用して記録した。システムを5
0psi(689kPa)の増分で400psi(2758kPa)まで、各増分で水流
量を測定しつつ、持続的に加圧した。膜を次いで流量が安定化するまで400psiで圧
縮し、安定化は各膜について約3時間かかった。撹拌セルを2g/LのNaCl溶液で満
たし、セルを225、300および400psiまで加圧することによって、各膜の脱塩
を特性化した。約10mLの透過溶液を各圧力で集め、伝導率を目盛り付伝導率計(Ac
cumet XL30, Fisher Scientific)を用いて測定した。脱
塩RをR=I−c/cによって算出し、式中、cは透過液濃度であり、cはバル
クフィード溶液濃度である。純水透過性は、圧縮後400psiまでの圧力に対する膜水
分流動(膜面積によって正規化した流量)のプロットの一次回帰直線の勾配から決定した
【0194】
7.細胞接着試験
接着試験は、Gleasonおよび共同研究者ら(Yang, R. et al.
(2011) Chem. Mater. 23, 1263−1272)によって報告
されている手順の変法にしたがって膜について実施した。エシェリキア・コリをこの試験
のための細菌モデルとして使用した。純粋な細菌細胞培養物をLuria−Bertan
i(LB)ブロス中に懸濁させ、そして150rpmで振とうしつつ35℃で成長させ、
対数増殖期中期に達するまでインキュベートし、その時点で3800×gにて8分間遠心
分離することによって収集した。細胞を次いで新鮮なLB培地で4×107細胞/mLの
濃度になるまで再懸濁させた。約1cmの膜クーポンをこの細菌懸濁液中で24時間2
5rpmおよび35℃中でインキュベートした。クーポンを次いで懸濁液から取り出し、
そしてPasteurピペットを使用して新鮮なLBブロスでやさしくリンスした。一旦
リンスしたら、クーポンを染料溶液(SYTO9 live/dead Bacligh
t Bacterial Viability Kit L13152, Molecu
lar Probes)中に15分間浸漬した。SYTO9溶液は、キットの成分Aの内
容物を30mLの滅菌蒸留水中に溶解させることによって調製した。染色が完了した後、
クーポンを新鮮なLBブロスでやさしくリンスし、そして蛍光ランプおよび緑/赤色蛍光
フィルターおよび4×CCDカメラアタッチメント(FV1EW−U, Soft Im
aging System, USA)を備えた顕微鏡(Olympus BX51 m
icroscope)を用いて画像化した。表面被覆率推定値を、ImageJソフトウ
ェア(Abramoff, M. D., et al. (2004) Biopho
tonics Int. 11, 36−42)を使用して算出した。
【0195】
8.ポリマーPFPA誘導体の机上の合成
スキームX
【化79】

様々な態様では、抗菌特性を有する親水性ポリマーを、本明細書中で開示されているよ
うにして調製したN−スクシンイミジルエステル誘導体由来のPFPAアンカー分子とカ
ップリングさせることができる。例えば、机上の一例では、PFPAエステルを洗浄ポリ
エチレンイミン(PEI)とカップリングさせることができる。PEGと同様に、PEI
はカチオン性であり、強力なキレート剤であり、これによってPEIが抗菌性銀ナノ粒子
をキレート化することが可能になる(Mauter, M. S., et al. (
2011) ACS Applied Materials and Interfac
es 3, 2861−2868; Madkour, T. M. (1999) P
olymer Data Handbook Oxford University P
ress, Inc.; Lee, H, et al. (2011) Colloi
ds and Surfaces B: Biointerfaces 88, 505
−511)。PEIのPSf UF膜へのプラズマグラフティングによる付着と、それに
続く銀ナノ粒子のキレート化に対する研究は、生物学的汚染物質に対して強力な抗菌効果
を示した(Mauter, M. 8., et al. (2011) ACS Ap
plied Materials and Interfaces 3, 2861−2
868)。表面親水性、膜性能、および防汚性に対する効果を確認するために、様々な分
子量を有するPEI誘導体を使用できる。
【0196】
別の机上の例では、PFPAエステルをポリアニリン(PANi)とカップリングさせ
ることができる。PANiは、合成の容易性(Cao, Y., et al. (19
89) Polymer 30, 2305−2311)、抗菌特性(Gizdavic
−Nikolaidis, M. R., et ai.(2011) Acta Bi
omaterialia 7, 4204−4209)、および優れた酸/塩基ドーピン
グ特性(Chiang, J.−C, MacDiarmid, A. G. (198
6) Synthetic Materials 13, 193−205)について知
られている共役ポリマーである。したがって、PANiの親水性は、pHを変えることで
調整でき(Leng, W., et al. (2012) J. Colloid
Interf. Sci. 369, 411−418)、汚染物質放出機序として潜在
的に有用である。その共役骨格のために、PANiの構造は、PEGおよびPEIとは異
なって半剛性であり(Andreaita, A., et al. (1988) S
ynthetic Metals 26, 383−389)、そしてその柔軟な親水性
対応物よりも高い膜透過性を付与する可能性がある。残念なことに、PANiの溶解性は
ディップコーティング過程の間にPTF膜を溶解させる極性有機溶媒に限定される。した
がって、有機可溶性PANiオリゴマーをPFPAアンカーにカップリングさせることが
でき、これによって親ポリマーの制限された溶解性がなくPANiの独自の特性が維持さ
れる。
【0197】
G.結果および考察
防汚RO膜を製造する拡張可能な方法が必要とされるために、化学修飾剤としてのパー
フルオロフェニルアジド(PFPA)の調査をおこなった。PFPAは、PFPA誘導体
(Levya, E., et al. (1986) J. Am. Chem. S
oc, 108, 8307−8309; Liu, L.−H., and Yan,
M. (2010) Accounts of Chemical Research
43, 1434−1443)が、かなり非反応性の標的、例えばグラフェーム(gr
apheme)(Liu, L.−H., and Yan, M. (2009) N
ano. Lett. 9, 3375−3378; Liu, L.−H., et
al. (2010) J. Mater. Chem. 20, 5041−5046
)、炭素ナノチューブ(Pastine, S. J., et al. (2008)
, J. Am. Chem. Soc. 2008, 4238−4239)、フラー
レン(Yan, M., et al. (1994) J. Org. Chem.
59, 5951−5954)、および有機ポリマー(Bartlett, M. A.
, and Yan, M. (2001) Adv. Mater. 13, 144
9−1451)と化学結合を形成するのを可能にするそれらの高反応性アジド基で知られ
ている。窒素ガスを追い出し、そして−NH−およびC=C結合中に挿入する反応性一重
項ニトレンを提供する光励起によってアジド官能基を活性化させる(Morawietz
, J., and Sander, W. (1996) J. Org. Chem
. 61, 4351−4354; Poe, R., et ah (1992) J
. Am. Chem. Soc. 114, 5054−5067)。RO膜の表面層
は、これらの基を含む架橋ポリアミドネットワークから構成され、したがって修飾のため
の標的を提供する。中心となる目標は、RO膜に防汚性を付与し、そしてロール・ツー・
ロール製造法を維持する、PFPA誘導体を使用したディップコーティング技術を開発す
ることであった。
【0198】
PFPAは、アジド部分に対してパラ位にある官能性エステル基で調製できるので、遊
離アミノまたはヒドロキシル基を含む分子にPFPAを容易にカップリングさせて、対応
するアミドまたはエステル結合を形成することができる。本明細書中では、末端PFPA
基を有する異なる分子量(MW=550、1000、5000Da)の3つの親水性ポリ
エチレングリコール(PEG)ブラシポリマーの合成を記載する。PFPA−PEG55
o、PFPA−PEG1000、およびPFPA−PEG5000を使用して、それらの
分子量にしたがって各PFPA末端PEG誘導体を表示する。PFPA−PEGの水溶性
によって、水相抽出を使用することにより出発物質から生成物を高純度で単離することが
可能になる。さらに重要なことには、水溶性は、溶解したPFPA−PEG誘導体を含む
水溶液中にRO膜を浸漬させることを可能にする。これは商業的に魅力的である。なぜな
ら、多くの一般的な有機溶媒が複合薄フィルム膜を担持する下部のポリスルホン層を溶解
させるからである。
【0199】
PFPAの複数の親水性小分子へのカップリングも記載する。小分子修飾はポリマーよ
りも優れた多くの利点を有する。それらのサイズのために、より高密度の小分子PFPA
を表面に吸着させることができ、次にUV処理ステップの間により高密度の修飾を引き起
こすことができると仮定される。さらに、ある親水性ポリマーは長時間にわたって加水分
解することが知られ、酸化を受けやすい。小分子は、加水分解せず、酸化に対して安定な
親水性基を有するように設計できる。小分子は、合成および特性化がより用意であり、そ
して水性系中の汚染物質モデルに対する複数の化合物の簡易スクリーニングを可能にする
【0200】
1.PFPA光化学的反応によるRO膜の共有結合による修飾
PFPA光化学的反応がRO膜を共有結合により修飾できるかどうかを試験するために
、市販のPA膜カットアウトを、PFPA−PEG550、PFPA−PEG1000
およびPFPA−PEG5000を含む水溶液中に浸漬し、周囲条件下で空気乾燥させた
。一旦乾燥したら、クーポンを手持ち式UVランプからの低出力UV光(254nm)で
照射した。カットアウトを水浴中でリンスして、未反応アジドおよび二量体化副生成物を
表面から除去し、乾燥した後、表面分析をした。膜を次いでATR−IR分光法で特性化
した。ブラッシュされた(brushed)PEGポリマー内のアルカン基の存在は、裸のPA膜
と比較した場合、ATR−IRスペクトルで識別可能である(図11)。ブロードなC−
H伸縮が2860cm−1で観察され、より高分子量のPFPA−PEGを修飾のために
使用される場合、さらに強くなる。
【0201】
修飾は、図11および12中の写真で示される接触角測定によってさらに明示される。
親水性ブラシポリマーを膜の表面に導入することによって、水滴と最上PA層との間の液
体/固体界面エネルギーが減少する。親水性表面は裸の膜よりも強力な水との相互作用を
有し、その結果、接触角が減少する。裸の市販の膜をさらに、乾燥し、UV光に暴露(デ
ィップコーティングなし)して、接触角の減少がUV照射に起因するものではないことを
確認した(図13および14)。
【0202】
接触角の大幅な減少が、非修飾膜と比べて塩基性官能基(PFPA−COONaおよび
PFPA−SONa)で修飾された膜について観察された(図15A〜C)。対照的に
、PFPA−SDEA修飾膜は、対照膜と比較した場合、N,N−ジメチルエチルアミン
尾部が疎水性であるので、同様の接触角を維持した(図15D)。
【0203】
2.UV暴露は膜表面とPFPA部分との間に共有結合を生じる
接触角をUV暴露時間の関数として測定して、反応の完了を調べた(図16)。複数の
4cm膜カットアウトをPFPA−PEG5000中でディップコーティングし、UV
光に異なる時間暴露し、そしてリンスした。図16に示される結果は、反応が約60秒の
UV暴露時間後に完了することを示す。ゼロUV暴露時間で、裸の市販の膜の接触角は6
3°で回復することに留意することも重要である。これは、洗浄ステップが本質的にすべ
ての物理的に吸着されたPFPA−PEGを膜表面から除去することを意味する。したが
って、理論によって拘束されることを望まないが、UV暴露はRO膜表面とPFPA官能
基との間に共有結合を生じる。
【0204】
3.X線光電子分光分析
X線光電子分光法(XPS)を用いて、PA膜の表面に対するPFPAの共有結合の性
質をさらに解明した。長いPEGポリマー鎖はXPSスペクトルで優勢であるので、小分
子4−アジドテトラフルオロ安息香酸(PFPA−COOH)を調製し、使用して、図1
7Aおよび17Bで示されるXPS測定用の分析サンプルを修飾した。非修飾膜と比較し
た場合、修飾膜のN1sスペクトルは402.2eVでさらなるピークを示し、これはP
FPAと膜表面上の芳香環との間の新たに形成されたアジリジン結合に帰属される(US
4,039,440を参照のこと)。さらに、403eV以上でシグナルが存在しないこ
とは、Ar−N=N=Nが406.5eVで異なるピークを示すので、すべてのAr
−N=N=Nが照射の間にNを追い出すことを意味する。さらに、修飾膜調査スペ
クトルから、687.6eVでフッ素が存在することが明らかになり(図19B)そして
C1sスペクトルはC−N結合の有意な増加を示し、PFPA誘導体の共有結合をさらに
裏付ける。
【0205】
4.膜性能に対するPFPA表面修飾の効果
市販のRO膜の性能に対する表面修飾の効果を確認するために、修飾膜の純水透過性試
験およびNaCl阻止試験を実施した(表1を参照のこと)。図18、ならびに図19A
および19Bで示すように、親水性ポリマーを膜表面に添加することによって、純水透過
性が低下し、立体障害のためにNaCl阻止率が増加する(Cohen, Y., et
al. (2013) Membrane Surface Nanostructu
ring with Terminally Anchored Polymer Ch
ains. Functional Nanostructured Material
s and Membranes for Water Treatment, Pub
lished Online 13 February 2013)。さらに、ブラシポ
リマーの分子量を体系的に増加させることは、おそらくはより大きく柔軟性のポリマーに
よって引き起こされるよりも透過性および阻止率に対して大きな影響を及ぼし、PFPA
−PEG修飾膜は、相当する一価脱塩で多くの商業的に入手可能なRO膜よりも高い流動
を示す(Jeong, B.−H., et al (2007) J. Membr.
Sci. 294, 1−7)。
【表1】
【0206】
5.PFPA修飾膜は細胞接着に抵抗する。
修飾膜が細胞接着に抵抗する能力を、防汚実験で通常使用されるグラム陰性菌であるイ
ー・コリを使用して試した(Yang, R., et al. (2011) Che
m. Materials 23, 1263−1272; Adout, A., e
t al. (2010) Environ. Sci. Technol 44, 2
406−241 1 ; Tan, K., and Opendorf, S. K.
J. (2007) J. Membr. Sci. 305, 287−298;
Kim, S. H,, et al. (2003) J, Membr, Sci.
211, 157−165)。細菌の初期付着はバイオフィルム形成において極めて重
要であるので、細菌付着を阻害することで、表面全体にわたる細菌の成長および広がりが
阻止される。この試験では、修飾および非修飾RO膜上のイー・コリ付着を、Rong
and Gleason(Yang, R., et al. (2011) Chem
. Materials 23, 1263−1272)によって記載されたものの変法
にしたがって蛍光顕微鏡法によって測定した。ImageJソフトウェア(Abramo
ff, M. D., et al. (2004) Biophotonics In
ternational 11, 36−42)を使用して、接着した細菌の表面被覆率
(%)を測定し、非修飾RO膜と比較した。蛍光顕微鏡法画像を図20に示し、表面被覆
率分析を図21に示す。非修飾RO膜に関して、膜表面の約22%は不可逆的に付着した
イー・コリで覆われていた。PFPA−PEG誘導体で修飾された場合、膜について観
察された付着は特に少なかった。PFPA−PEG550およびPFPG−PEG100
で修飾された膜は、接着した細菌が少なく、PFPA−PEG5000で修飾された膜
上で表面の1%未満がイー・コリで覆われていた。したがって、理論によって拘束される
ことを望まないが、増加したPEG分子量(鎖長)は、修飾膜の防汚可能性に直接関係す
る可能性がある。
【0207】
6.ゼータ電位
修飾後の表面電荷の変化を調査するために、流動電位測定を対照および修飾膜に関して
実施した。図22に示す結果は、非修飾膜と比較して、酸性官能基(PFPA−COON
aおよびPFPA−SONa)で修飾された膜についてゼータ電位の減少を示す。対照
的に、PFPA−SDEA修飾膜は、対照と比較してゼータ電位を増加させた。
【0208】
様々な修飾および変化が本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく本発明では可能
であることは、当業者には明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書中で開示
される発明の明細および実施を考慮すると当業者には明らかであろう。明細書および実施
例は単なる例示とみなされるべきであり、本発明の真の範囲および主旨は以下の特許請求
の範囲によって示されることが意図される。
H.参考文献
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