(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[積層体]
本発明は、表皮層、及び発泡体層とを備える積層体であって、前記積層体のアスカーC硬度が70以下であり、全光線透過率が0.01%超である、積層体である。
本発明の積層体の一実施態様の断面図を
図1に示す。本発明の積層体は、表皮層11と発泡体層12とを備えた積層体10であり、発泡体層12の一方の表面上に表皮層11が積層されている。該積層体10を、例えば自動車の内装材などに使用する場合は、表皮層11は例えば、樹脂シートなどであり、これを発泡体層12に積層することで、使用者(運転手など)に高級感を与えることができる。
また、発泡体層12の他方の表面側にはLED13が設けられており、該LED13は、自動車等の車両内において、温度、時間、車速などの必要な情報を発光により表示することができる。LED13による発せられた光は、発泡体層12、及び表皮層11を透過して、これにより、表皮層11側から、人が必要な情報を感知できる。なお、図面において、LED13は層状に図示されているが、必ずしも層状でなくてもよい。また、LED13は発泡体層などに接触して設けられているように図示されているが、LED13は、発泡体層などから一定の距離をあけて配置されていてもよい。
本発明の積層体10は、全光線透過率が一定以上であるため、人が必要な情報を感知しやすくなっている。また、該積層体は、アスカーC硬度が一定値以下であることにより、柔軟な触感を有する。なお、
図1では、表皮層11と発泡体層12とが直接積層されている態様を示したが、表皮層11と発泡体層12との間に、図示しない接着層が設けられていてもよい。
【0010】
本発明の積層体の別の一実施形態を
図2に示す。
図2に示す積層体10は、印刷層14をさらに備えている。より詳細には、該積層体10は、表皮層11、発泡体層12、印刷層14がこの順に積層されており、印刷層14の発泡体層12が存在する表面とは反対の表面側にLED13が設けられている。印刷層14は、LED13から発せられた光を遮光する遮光部分と、光を透過させる光透過部分とを有しており、光透過部分を一定の文字の形状などとすることで、LED13の光により、必要な情報が、表皮層側から確認される。印刷層14の上面図の一例を
図4に示しているが、黒色の部分が遮光部分で、白抜きの部分が光透過部分であり、この場合は白抜きの部分(S字)が表皮層側から感知される。
なお、
図2において、印刷層14は、発泡体層12の表面に、公知の方法によって形成された層であるが、印刷層14を設ける態様は、この態様に限定されず、印刷層14は、発泡体層12及び表皮層11の少なくともいずれかの表面を印刷することにより形成されていてもよい。
また、印刷層14の代わりにフィルムの少なくとも一方の表面が印刷されている印刷フィルム層を用いてもよい。該印刷フィルム層も同様に、光を遮光する遮光部分と、光を透過させる光透過部分を有している。言い換えると、積層体10は、印刷層及び印刷フィルム層の少なくともいずれかを備えるものであってもよく、このような積層体10は、印刷層または印刷フィルム層の光透過部分の形状に応じた情報を表示することができる。
また、このような印刷層14は、
図3に示すように、表皮層11と発泡体層12との間に設けられていてもよい。また
図2又は
図3の積層体10において、各層の間に図示しない接着層を設けてもよい。
【0011】
(積層体の全光線透過率)
本発明における、表皮層及び発泡層とを備える積層体の全光線透過率は、0.01%超である。積層体の全光線透過率が0.01%以下であると、光透過性が悪く、必要な情報を表皮層側から視認することが難しくなる。積層体の全光線透過率は、好ましくは0.02%以上であり、より好ましくは0.5%以上であり、さらに好ましくは1%以上である。また積層体は、上記したようにLEDなどから光を照射した際に、必要な情報を表皮層側から感知されることが好ましいが、光を照射していない場合は、表皮層側から、発泡層、印刷層、印刷フィルム層などの内部が透けて見えないことが好ましい。このような観点から、積層体の全光線透過率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは4%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。
なお、積層体の全光線透過率は、積層体が印刷層及び印刷フィルム層の少なくともいずれかを備える場合は、積層体の最大の全光線透過率を意味する。すなわち、印刷層及び印刷フィルム層は、上記したとおり光を通さない遮光部分と、光を透過させる光透過部分を備えており、積層体の最大の全光線透過率とは、該光透過部分を測定対象とした場合の全光線透過率である。
積層体の全光線透過率は、後述する表皮層及び発泡体層の厚み、組成などにより調節することができる。
【0012】
(積層体のアスカーC硬度)
本発明における積層体のアスカーC硬度は70以下である。積層体のアスカーC硬度が70超であると、柔軟な触感を保つことが難しくなる。積層体のアスカーC硬度は、好ましくは60以下であり、より好ましくは50以下であり、さらに好ましくは40以下である。また、アスカーC硬度の下限は特に限定されないが、一定の機械的強度を保つ観点などから、積層体のアスカーC硬度は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上である。積層体のアスカーC硬度は、発泡体層の厚み、発泡倍率などにより調節することができる。
【0013】
(表皮層)
表皮層の厚みは、積層体の全光線透過率及びアスカーC硬度が上記の範囲になる限りは、特に限定されないが、好ましくは0.2〜1.0mmである。表皮層の厚みを1.0mm以下とすることにより、積層体の全光線透過率及びアスカーC硬度を上記した範囲に調整しやすくなる。また、表皮層の厚みを0.2mm以上とすることにより、表皮層側から、発泡層、及び必要に応じて設けられる印刷層並びに印刷フィルム層などの内部が透けて見えることを防止しやすくなる。表皮層の厚さは、より好ましくは0.2〜0.8mmであり、さらに好ましくは0.2〜0.7mmである。
【0014】
表皮層の全光線透過率は、0.02〜30%であることが好ましい。表皮層の全光線透過率が0.02%以上であると、積層体の全光線透過率を上記したように一定以上の調整しやすくなる。表皮層の全光線透過率が30%以下であると、表皮層側から、発泡層、及び必要に応じて設けられる印刷層並びに印刷フィルム層などの内部が透けて見えることを防止しやすくなる。表皮層の全光線透過率は、好ましくは0.05〜25%であり、より好ましくは0.1〜22%である。
【0015】
表皮層は、全光線透過率を所望の値に調整する観点から、カーボンブラック、二酸化チタン、パール粒子、アルミ粉等の金属粉、などの顔料を含むものであってもよい。表皮層は、後述する樹脂シートと顔料を含むことが好ましく、表皮層における顔料の含有量は、表皮層全量基準で、好ましくは0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.02〜1質量%である。
【0016】
表皮層を構成する材料は、特に限定されないが、ポリプロピレンシート、ポリエチレンシート、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)シート、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニルとABS樹脂との混合樹脂シートなどで例示される樹脂シート、天然繊維や人造繊維を用いた織物、編物、不織布、人工皮革や合成皮革等のレザー等が挙げられる。
これら中では、全光線透過率を所望の範囲に調整しやすい観点から、樹脂シートが好ましく、中でもポリプロピレンシート、オレフィン系熱可塑性エラストマーシートが好ましく、オレフィン系熱可塑性エラストマーシートがより好ましい。
意匠性を高める観点から、表皮層の表面にシボ模様が形成されていてもよい。また、本革、石、木等から転写した凹凸を付したシリコーンスタンパ等を用いて、表皮層の表面に皮目や木目模様などが施さていてもよい。
また、傷つきを防止する観点から、表皮層表面に、各種コーティングが施されていてもよい。
【0017】
(発泡体層)
本発明における積層体を構成する発泡体層について以下説明する。
【0018】
<厚み>
発泡体層の厚みは、積層体の全光線透過率及びアスカーC硬度が上記の範囲になる限りは、特に限定されないが、好ましくは0.5〜5mmである。発泡体層の厚みを0.5mm以上とすることにより、積層体の触感が柔軟になりやすい。また、発泡体層の厚みを5mm以下とすることにより、積層体の全光線透過率を上記した範囲に調整しやすくなる。発泡体層の厚みは、好ましくは0.5〜4mmであり、より好ましくは0.6〜3.5mmである。
【0019】
<全光線透過率>
発泡体層の全光線透過率は、好ましくは10%以上である。発泡体層の全光線透過率が10%以上であることにより、積層体の全光線透過率を上記範囲に調整しやすくなる。発泡体層の全光線透過率は、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは30%以上である。発泡体層の全光線透過率は高ければ高いほどよいが、通常は95%以下である。
【0020】
<発泡倍率>
発泡体層の発泡倍率は、特に制限されないが、7〜40倍であることが好ましい。発泡倍率が7倍以上であると、積層体のアスカーC硬度が低くなり、触感が柔軟になりやすく、積層体の全光線透過率も上記範囲に調整しやすくなる。発泡体層の発泡倍率を40倍以下とすることにより、積層体の機械的強度を一定以上とすることができる。発泡体層の発泡倍率は、より好ましくは10〜35倍であり、さらに好ましくは12〜33倍である。
【0021】
<架橋度(ゲル分率)>
ポリオレフィン系発泡体層の架橋度(ゲル分率)は、5〜60質量%が好ましい。ゲル分率が前記下限値以上であると、発泡体層において十分な架橋が形成されるため機械強度が高くなりやすい。また、架橋度がこれら上限値以下であると、柔軟な触感を確保しやすくなる。このような観点から、架橋度は、10〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%が更に好ましい。なお、架橋度は後述する測定方法により測定することができる。
【0022】
<材料>
発泡体層は、樹脂により形成されていることが好ましく、具体的にはポリオレフィン系発泡体層又はポリウレタン系発泡体層が好ましく、ポリオレフィン系発泡体層がより好ましい。ポリオレフィン系発泡体層は、ポリオレフィン樹脂を含む発泡性樹脂組成物を発泡させることにより形成され、ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられ、これらを単独、又は2種以上で混合して用いてもよい。
発泡体層を形成する樹脂は、1種のみであることが好ましい。1種のみを用いることで、ブレンドに起因した曇りが生じ難く、発泡体層の光透過性を高められる。
発泡体層は、単層の発泡体層であっても、二以上の発泡体を積層した多層の発泡体層であってもよい。多層の発泡体層を構成する個々の発泡体は、組成や、厚み、全光線透過率、発泡倍率、架橋度などの各物性が異なっていてもよく、多層の発泡体層全体として、上記各物性を満足することが好ましい。
【0023】
≪ポリエチレン樹脂≫
ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(0.93g/cm
3以下、LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(0.930g/cm
3より大きく0.942g/cm
3未満、MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(0.942g/cm
3以上、HDPE)が挙げられる。また、低密度ポリエチレン樹脂の好適な具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が挙げられる。
【0024】
ポリエチレン樹脂は、エチレンのホモポリマーでもよいが、エチレンを主成分(全モノマーの好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上)とした、エチレンと少量のα−オレフィンの共重合体等でもよい。α−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜12、より好ましくは炭素数4〜10のものが挙げられ、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。なお、共重合体において、これらのα−オレフィンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリエチレン樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
≪ポリプロピレン樹脂≫
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンでもよいし、プロピレンを主成分(全モノマーの好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上)とした、プロピレンと少量のエチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
プロピレンと、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体としては、ブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、ランダムブロック共重合体等が挙げられる。
プロピレン以外のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等の炭素数4〜10程度のα−オレフィン等が挙げられるが、これらの中でも、成形性及び耐熱性の観点から、エチレンが好ましい。なお、共重合体において、これらのα−オレフィンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリプロピレン樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
本発明においては、チーグラー・ナッタ化合物、メタロセン化合物、酸化クロム化合物等の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はこれらの混合物のいずれを用いてもよい。
【0027】
≪エチレン−酢酸ビニル共重合体≫
ポリオレフィン樹脂として使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体は、例えば、エチレン由来の構成単位を50質量%以上含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。エチレン−酢酸ビニル共重合体はポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂との相溶性が高いため、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂から選ばれる1種以上とを併用することもできる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体の密度は、好ましくは0.92g/cm
3以上、より好ましくは0.93g/cm
3以上、更に好ましくは0.94g/cm
3以上であり、そして、好ましくは0.97g/cm
3以下、より好ましくは0.96g/cm
3以下である。
【0028】
ポリオレフィン系発泡体層は、上記したポリオレフィン樹脂のみで構成されてもよいが、ポリオレフィン系樹脂とエラストマーとが混合されたものであってもよい。エラストマーとしては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、スチレンゴム等が挙げられる。また、エラストマーとしては、熱可塑性エラストマーも挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
ポリオレフィン系発泡体層におけるポリオレフィン樹脂の含有量は、発泡体層全量基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0029】
ポリウレタン系発泡体層は、ポリウレタン樹脂により形成され、後述するように、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物を含有する発泡性樹脂組成物を発泡させることにより形成される。
ポリオレフィン系発泡体層におけるポリウレタン樹脂の含有量は、発泡体層全量基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0030】
[発泡体層の製造]
本発明における発泡体層は、発泡性樹脂組成物を発泡させることにより形成される。発泡方法としては、後述するように熱分解型発泡剤、水などの発泡剤を用いて発泡させる方法、二酸化炭素、ブタンガスなどの不活性ガスを用いて発泡させる方法などが挙げられる。
【0031】
(ポリオレフィン系発泡体層の製造)
ポリオレフィン系発泡体層は、例えば、上記したポリオレフィン樹脂、及び発泡剤などを含む発泡性樹脂組成物を発泡することにより製造される。発泡剤としては、化学発泡剤、物理発泡剤などが挙げられる。
【0032】
<発泡剤>
化学発泡剤としては、熱分解型発泡剤が好ましい。熱分解型発泡剤としては、有機発泡剤、無機発泡剤が使用可能である。有機発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミドがより好ましい。
熱分解型発泡剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
物理発泡剤としては、後述する不活性ガスなどが挙げられる。
【0033】
発泡性樹脂組成物における発泡剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、2〜25質量部がより好ましく、2〜20質量部がさらに好ましい。発泡剤の配合量を1質量部以上にすることで、発泡体層は適度に発泡され、一定の柔軟性を付与することが可能になる。また、発泡剤の配合量を30質量部以下にすることで、発泡体層が必要以上に発泡することが防止され、発泡体層の機械強度等を良好にすることができる。
【0034】
<造核剤>
発泡性脂組成物は造核剤を含有してもよい。造核剤としては、結晶核生成過程の進行速度を向上させる効果があるものであれば特に制限はない。ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂に造核剤を添加することにより、生じる結晶の大きさを小さくすることができるため発泡体層の透明性が向上する。
造核剤としては、結晶核生成過程の進行速度を向上させる効果があるものとして、重合体の分子鎖の吸着過程を経て分子鎖配向を助長する効果のある物質が挙げられる。
より具体的には、高融点ポリマー、有機カルボン酸若しくはその金属塩、脂肪族アルコール族、ジベンジリデンソルビトール若しくはその誘導体、ロジン酸部分金属塩、アミド化合物、無機微粒子、有機リン酸化合物若しくはその金属塩、イミド類、キナクリドン類、キノン類、芳香族スルホン酸塩若しくはその金属塩、糖類、及びこれらの混合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
<添加剤>
発泡性樹脂組成物は、架橋助剤、分解温度調整剤、及び酸化防止剤等の成分を含んでいてもよい。
架橋助剤としては、多官能モノマーを使用することができる。架橋助剤をポリオレフィン樹脂に添加することによって、後述する工程(2)において照射する電離性放射線量を低減して、電離性放射線の照射に伴う樹脂分子の切断、劣化を防止する。
架橋助剤としては具体的には、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等の1分子中に3個の官能基を持つ化合物や、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個の官能基を持つ化合物、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
これらの架橋助剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用する。
【0036】
架橋助剤の添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましく、1.0〜8質量部がより好ましく、1.5〜5質量部が更に好ましい。該添加量を0.5質量部以上とすることにより発泡体層が所望する架橋度を安定して得ることが可能となり、10質量部以下とすることにより発泡体層の架橋度の制御が容易となる。
【0037】
発泡性樹脂組成物には、分解温度調整剤が配合されていてもよい。分解温度調整剤は、熱分解型発泡剤の分解温度を低くしたり、分解速度を速めたり調節するものとして配合されるものであり、具体的な化合物としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素等が挙げられる。分解温度調整剤は、発泡体層の表面状態等を調整するために、例えばポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部配合される。
【0038】
発泡性樹脂組成物には、酸化防止剤が配合されていてもよい。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、例えばポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部配合される。
発泡性樹脂組成物には、これら以外にも、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材等の発泡体に一般的に使用する添加剤が配合されてもよい。
【0039】
(ポリオレフィン系発泡体層の製造工程)
ポリオレフィン系発泡体層の製造方法は特に制限はないが、少なくともポリオレフィン樹脂及び熱分解型発泡剤を含む発泡性樹脂組成物からなる発泡性シートを加熱して熱分解型発泡剤を発泡させることで製造できる。その製造方法は、より具体的には、以下の工程(1)〜(3)を含むことが好ましい。
工程(1):少なくともポリオレフィン樹脂及び熱分解型発泡剤を含む発泡性樹脂組成物からなる発泡性シートを成形する工程
工程(2):発泡性シートに電離性放射線を照射して発泡性シートを架橋させる工程
工程(3):架橋させた発泡性シートを加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させて、発泡体層を得る工程
【0040】
工程(1)において、発泡性シートを成形する方法は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、熱分解型発泡剤、必要に応じて配合される造核剤、及び添加剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機から発泡性樹脂組成物をシート状に押出すことによって成形すればよい。また、発泡体層は、発泡性樹脂組成物をプレス等することにより成形してよい。
発泡性樹脂組成物の成形温度(すなわち、押出し時の温度、又はプレス時の温度)は、50℃以上250℃以下が好ましく、80℃以上180℃以下がより好ましい。
【0041】
工程(2)において発泡性シートを架橋する方法としては、発泡性シートに電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法を用いる。上記電離放射線の照射量は、得られる発泡体層の架橋度が上記した所望の範囲となるように調整すればよいが、1〜9Mradであることが好ましく、1.9〜5Mradであることがより好ましい。
【0042】
工程(3)において、発泡性シートを加熱し熱分解型発泡剤を発泡させるときの加熱温度は、熱分解型発泡剤の発泡温度以上であればよいが、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220〜280℃である。
【0043】
また、本製造方法において、発泡性シートは、MD又はTDのいずれか一方又は両方に延伸させてもよい。発泡性シートの延伸は、発泡性シートを発泡させて発泡体層を得た後に行ってもよいし、発泡性シートを発泡させつつ行ってもよい。なお、発泡性シートを発泡させて発泡体層を得た後、発泡体層を延伸する場合には、発泡体層を冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡体層を延伸してもよく、発泡体層を冷却した後、再度、発泡体層を加熱して溶融又は軟化状態とした上で発泡体を延伸してもよい。発泡体層は延伸することで薄厚にしやすくなる。また、延伸時に発泡体層は、例えば100〜280℃、好ましくは150〜260℃に加熱すればよい。本発明では、延伸することで、発泡体の気泡径がMD又はTDの一方又は両方に沿って大きくなり、光透過性が高くなりやすくなる。
【0044】
ただし、上記工程(1)〜(3)において、電離性放射線を照射する代わりに、ポリオレフィン系樹脂組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、発泡性シートを加熱して有機過酸化物を分解させる方法等により架橋を行ってもよい。
【0045】
ポリオレフィン系発泡体層の製造方法は、上記工程(1)〜(3)を行う方法に限定されず、物理発泡を行うことによって、発泡させてもよい。
物理発泡により発泡させる場合、ポリオレフィン樹脂、必要に応じて配合される造核剤、及び添加剤を含有する樹脂組成物に物理発泡剤を含浸させることが好ましい。物理発泡剤の含浸は、樹脂組成物をシート状に成形した後に行うことが好ましい。なお、樹脂組成物をシート状に成形し、電子線照射を行った後、物理発泡剤を含浸させてもよい。電子線照射は上記工程(2)と同様の方法を用いることができる。
物理発泡剤としては、高圧の不活性ガスを用いることが好ましい。不活性ガスとしては、樹脂組成物に対して不活性で、かつ含浸可能なものであれば特に制限されず、例えば、二酸化炭素、ブタンガス、窒素ガス、空気等が挙げられる。これらのガスは混合して用いてもよい。これらのうち、発泡体層の発泡倍率を高めやすい観点から、二酸化炭素、ブタンガスが好ましい。含浸させる際の不活性ガスは、超臨界状態又は亜臨界状態であることが好ましい。
【0046】
(ポリウレタン系発泡体層の製造)
ポリウレタン系発泡体層は、ポリオール化合物、イソシアネート化合物、発泡剤とを含む発泡性樹脂組成物を発泡及び硬化させることにより得られる。
【0047】
<ポリオール化合物>
ポリオール化合物としては、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記ポリオール化合物は、ポリマーポリオールであってもよい。上記ポリオール化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0048】
上記ポリラクトンポリオールとしては、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
【0049】
上記ポリカーボネートポリオールとしては、水酸基含有化合物とカーボネート化合物との脱アルコール反応物等が挙げられる。上記水酸基含有化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等が挙げられる。上記カーボネート化合物としては、ジエチレンカーボネート、及びジプロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0050】
上記芳香族ポリオールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
【0051】
上記脂環族ポリオールとしては、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロヘキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジオール等が挙げられる。
【0052】
上記脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオール等が挙げられる。
【0053】
上記ポリエステルポリオールとしては、多塩基酸と多価アルコールとの脱水縮合物、ラクトンの開環重合物、及びヒドロキシカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等が挙げられる。上記多塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びコハク酸等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。上記ラクトンとしては、ε−カプロラクトン、及びα−メチル−ε−カプロラクトン等が挙げられる。上記ヒドロキシカルボン酸としては、ひまし油、及びひまし油とエチレングリコールとの反応生成物等が挙げられる。
【0054】
上記ポリエーテルポリオールとしては、活性水素原子を2個以上有する活性水素化合物とアルキレンオキサイドとの開環重合体等が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。上記活性水素化合物の分子量は、低いことが好ましい。上記活性水素化合物としては、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及び1,6−ヘキサンジオール等のジオール化合物、グリセリン、及びトリメチロールプロパン等のトリオール化合物、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン化合物等が挙げられる。ヘキサンジオール等のジオール化合物、グリセリン、及びトリメチロールプロパン等のトリオール化合物、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン化
合物等が挙げられる
【0055】
上記ポリマーポリオールとしては、ポリオール化合物に不飽和有機化合物がグラフト重合されたグラフト重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオール、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
【0056】
上記グラフト重合体において、上記ポリオール化合物としては、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記不飽和有機化合物としては、アクリロニトリル、スチレン、及びメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0057】
上記多価アルコールの変性ポリオールとしては、多価アルコールとアルキレンオキサイドとの反応変性物等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びこれらの誘導体等の4価以上9価以下のアルコール、フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1−ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8−テトラヒドロキシアントラセン、及び1−ヒドロキシピレン等のフェノール化合物、ポリブタジエンポリオール、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体、ポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2以上100以下)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしては、炭素数が2以上、6以下のアルキレンオキサイドが挙げられる。上記アルキレンオキサイドの具体例としては、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,3−プロピレオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、及び1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。性状や反応性を良好にする観点からは、上記アルキレンオキサイドは、1,2−プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド又は1,2−ブチレンオキサイドであることが好ましく、1,2−プロピレンオキサイド又はエチレンオキサイドであることがより好ましい。上記アルキレンオキサイドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
<ポリイソシアネート化合物>
ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0059】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメ
チルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0060】
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0061】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0062】
上記ポリオール化合物100質量部に対して、上記イソシアネート化合物の含有量は、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
【0063】
<発泡剤>
ポリウレタン系発泡体層を製造するための発泡剤としては、水、有機ハロゲン化合物等が挙げられる。
【0064】
有機ハロゲン化合物としては、有機塩素化合物、有機フッ素化合物などが挙げられる。
有機塩素化合物としては、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド、ブチルクロライド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、及びイソペンチルクロライド等が挙げられる。
有機フッ素化合物としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオブタン(HFC365mfc)及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等が挙げられる。
【0065】
発泡剤の含有量は、発泡剤の種類に応じて適宜調整すればよい。発泡剤として水を用いる場合は、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物の合計100質量部に対して、発泡剤を、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部とすればよい。発泡剤として、有機ハロゲン化合物を用いる場合は、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物の合計100質量部に対して、発泡剤を、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部とすればよい。発泡剤として水及び有機ハロゲン化合物を用いる場合は、それぞれが上記した範囲となるように配合量を調整することが好ましい。
【0066】
<触媒>
発泡性樹脂組成物は、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化触媒、三量化触媒等が挙げられる。ウレタン化触媒としては、アミン触媒等が挙げられる。三量化触媒としては、芳香族化合物、カルボン酸のアルカリ金属塩、カルボン酸の4級アンモニウム塩、及び4級アンモニウム塩/エチレングリコール混合物等が挙げられる。
触媒の含有量(合計量)は、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物の合計100質量部に対して、好ましくは0.05〜1質量部である。
【0067】
ポリウレタン系発泡体層を製造するための発泡性樹脂組成物には、上記した以外にも、分解温度調整剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤などを含有してもよい。
【0068】
ポリウレタン系発泡体層は、上記した発泡性樹脂組成物を発泡及び硬化させることにより得ることができる。例えば、発泡性樹脂組成物を金型に注入し、加熱して、発泡及び硬化させることができる。発泡性樹脂組成物を発泡及び硬化させた後、得られた硬化体を所望の厚さにスライスするなどして、発泡体層の厚みを調整してもよい。
【0069】
(印刷層、印刷フィルム層)
本発明の積層体は、上記したように、印刷層及び印刷フィルム層の少なくともいずれかを備えていてもよい。これにより、光により、印刷のパターンに応じた形状を表皮層側から感知することができるようになる。印刷層は、例えば、発泡体層の一方の面に印刷することにより形成させることができる。印刷フィルム層は、ポリオレフィンフィルム、PETフィルムなどのポリエステルフィルム等の基材フィルムに、印刷層を形成させたものである。印刷層を形成させる方法としては、インクジェット法など公知の方法を適宜用いることができる。印刷層の厚みは、好ましくは1〜25μmであり、より好ましくは2〜10μmである。印刷フィルム層の厚みは、好ましくは4〜50μmであり、より好ましくは12〜25μmである。
【0070】
なお、積層体に印刷層及び印刷フィルム層を設けない場合でも、発泡体層側から照射する光を一定の文字情報を表示させるように照射することにより、表皮層側から文字情報を視認することが可能である。
【0071】
(積層体の製造)
本発明の積層体は、例えば、発泡体層と表皮層、及び必要に応じて設けられる印刷フィルム層を積層することにより製造することができる。具体的な層構成については、前述したとおりである。発泡体層は印刷層が形成されたものを用いてもよい。積層は熱ラミネート法を用いてもよいし、接着剤により層同士を接着させてもよい。
【0072】
(光表示部材)
本発明の積層体は、光表示部材として好適に使用できる。すなわち、積層体を備える光表示部材とすることが好ましい。該光表示部材の構成は特に限定されないが、積層体と、情報表示部品とを備えることが好ましく、例えば、表皮層、発泡体層、情報表示部品がこの順に積層された光表示部材とすることができる。該情報表示部品としては、例えば、ディスプレイ、配列されたLEDなどが挙げられる。配列されたLEDとは特定の情報を表示するために、複数のLEDが特定形状に配置されたものである。
光表示部材は、センサー素子を有していてもよく、例えば、前記情報表示部品がタッチパネルなどのセンサー素子を有するディスプレイであってもよい。
該光表示部材は、自動車等の車両用として好適に使用され、温度、時間、車速、危険、安全、予告等の必要な情報を表示させたり、意匠性や照明のための部材として使用されることが好ましい。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0074】
評価方法は以下のとおりである。
<アスカーC硬度>
アスカーゴム硬度計C型(高分子計器株式会社製)を用いて、硬度計の押針を積層体の表皮層に当接させて測定した。測定は、25℃で行った。
【0075】
<発泡倍率>
発泡倍率は、発泡体層の密度(見掛け密度)を求め、密度の逆数を計算し、算出した。見掛け密度は、JIS K7222:2005に準拠して測定した。
【0076】
<ゲル分率(架橋度)>
発泡体層から約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤した。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm
3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤した。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出した。
架橋度(質量%)=(B/A)×100
【0077】
<全光線透過率>
全光線透過率は、ASTM D1003に準拠して、ヘーズメーターを用いて測定した。
【0078】
<透け感の評価>
表皮層側から内部を目視し、発泡体層の視認の程度により評価した。
〇・・発泡体層が全く見えない
△・・発泡体層が一部見える
×・・発泡体層の全体が見える
【0079】
<発泡体層の使用原料>
実施例及び比較例で用いた材料は以下のとおりである。
〔ポリオレフィン樹脂〕
ポリプロピレン樹脂(PP):住友化学株式会社製「ノーブレン AD571」(密度:0.900g/cm
3)
ポリエチレン樹脂(LLDPE、直鎖状低密度ポリエチレン):東ソー株式会社「ニポロン−Z ZF231B」(密度:0.917g/cm
3)
ポリエチレン樹脂(LDPE(1)、低密度ポリエチレン):宇部丸善ポリエチレン株式会社「UBEポリエチレン F522N」(密度:0.922g/cm
3)
ポリエチレン樹脂(LDPE(2)、低密度ポリエチレン):sdabic「1905UO」密度:0.920g/cm
3)
EVA:東ソー株式会社「ウルトラセン 636」(密度:0.941g/cm
3)
【0080】
〔ポリウレタン樹脂〕
ポリオール化合物(1):三洋化成 GP3000
ポリオール化合物(2):エチレングリコール
ポリイソシアネート化合物:日本ポリウレタン コロネートT−80
【0081】
〔発泡剤〕
アゾジカルボンアミド(1):栄和化成株式会社「AC#R」(アゾジカルボンアミド)
アゾジカルボンアミド(2):大塚化学株式会社「SO−L」(アゾジカルボンアミド)
水
【0082】
架橋助剤:共栄社化学「ライトエステル1.9−ND」(1,9−ノナンジオールジメタクリレート)
酸化防止剤:BASFジャパン「イルガノックス1010」
分解温度調整剤:堺化学 「酸化亜鉛II種」
触媒:日東化成 「U−28 」
整泡剤:モメンティブ「L−626」
【0083】
<表皮層>
実施例及び比較例で使用した表皮層は、顔料(カーボンブラック)を40wt%含有した顔料マスターバッチ(東京インキ製PEX99901)と、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)とを含むものである。顔料マスターバッチの配合量と、顔料の含有量は、表1に示すとおり調整した。表1に示す顔料の含有量は、表皮層全量基準の値である。
【0084】
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂(PP)85質量部と、ポリエチレン樹脂(LLDPE)15質量部と、発泡剤6質量部と、架橋助剤3質量部と、酸化防止剤0.5質量部とを溶融混練後、プレスすることにより発泡性シートを得た。得られた発泡性シートの両面に加速電圧800keVにて電子線を2Mrad照射させて、発泡性シートを架橋させた。次に架橋した発泡性シートを250℃に加熱することによって発泡させて発泡倍率13倍、厚さ0.6mmの発泡体層を得た。
得られた発泡体層と表皮層とを厚さ0.03mmの接着シート(積水化学製、「3803H」)によって積層させ積層体を得た。
得られた積層体について、各評価を行い表1に結果を示した。
【0085】
(実施例2〜7、11、12、比較例2〜4)
発泡性樹脂組成物の組成、表皮層の種類を表1のとおり変更し、かつ架橋度が表1のとおりになるように電子線の照射条件を適宜変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
得られた積層体について、各評価を行い表1に結果を示した。
【0086】
(実施例8)
ポリエチレン樹脂(LDPE(2))100質量部と、酸化防止剤0.5質量部とを単軸押出機に投入し、7MPaで超臨界二酸化炭素を注入し混合した。その後、単軸押出機の先端方向へ進むに従って温度が低下するとともに、ダイ出口の温度を110℃となるように温度設定を行い、押出成形することによって、シート状の発泡体を得た。
得られたシート状の発泡体の両面に加速電圧500keVにて電子線を1.9Mrad照射させて架橋させて、発泡体層を得た。
得られた発泡体層と表皮層とを厚さ0.03mmの接着シート(積水化学製、「3803H」)によって積層させ積層体を得た。
【0087】
(比較例1、5)
発泡体層の架橋度が表1のとおりとなるように電子線の照射条件を変更し、かつ表皮層の種類を表1のとおり変更した以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。
得られた積層体について、各評価を行い表1に結果を示した。
【0088】
(実施例9)
ポリオール化合物(1)100質量部、ポリオール化合物(2)5質量部からなるポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物20質量部と、触媒としてU−28を0.1質量部、整泡剤としてL626を2質量部と、発泡剤として水を2質量部と、を混合して発泡性樹脂組成物を作製した。該発泡性組成物を金型(150mm×150mm×50mm)に注入した後、80℃のオーブンで60分間加熱して、発泡及び硬化させることにより、硬化体を得た。該硬化体をスライスすることで、厚さ3mmの発泡体層を得た。
得られた発泡体層と表皮層とを0.03mmの接着シート(積水化学製、「3803H」)によって積層させ積層体を得た。
得られた積層体について、各評価を行い表1に結果を示した。
【0089】
(実施例10)
発泡性樹脂組成物の組成、及び表皮層の種類等を表1のとおり変更した以外は、実施例9と同様にして積層体を得た。
得られた積層体について、各評価を行い表1に結果を示した。
【0090】
【表1】
【0091】
本発明の積層体は、アスカーC硬度が一定値以下であるため、柔軟な触感を有し、かつ全光線透過率が高く、光透過性に優れ、必要な情報が表皮層側から視認しやすいことが分かった。