(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記直鎖ポリエチレングリコールは、末端が2つのアクリラート基で誘導体化されており、かつ前記分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールは、末端が3つのアクリラート基で誘導体化されている、請求項1に記載の方法。
前記第一のプレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とし、かつ前記第二のプレポリマーは、約500ダルトン〜約2キロダルトンの分子量を特長とする、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
I.全般
本明細書中記載される実施形態では、ヒドロゲルの形成用途に適しており、外気条件で安定な組成を特長とする、乾燥粉末を提供する。乾燥粉末は、プレポリマーおよび熱活性化フリーラジカル開始剤を含むことができ、約500ミクロン以下の粒子径を特長とすることができる。プレポリマーは、末端が、例えば、2つのアクリラート基で誘導体化されている直鎖ポリエチレングリコールを含むことができ、かつ約1〜100キロダルトンの分子量を特長とすることができる。熱活性化フリーラジカル開始剤は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、または他の適切な熱活性化フリーラジカル開始剤が可能である。乾燥粉末はさらに、放射線不透過剤を含むことができる。乾燥粉末は、その安定な組成のおかげで、24時間超、1ヶ月超、1年超、2年超、3年超という非常に長い有効期間を有することができる。他の実施形態において、乾燥粉末は、外気環境中、またはどのような非凍結状態においても、少なくとも1年間、分解しない可能性がある、すなわち活性を維持する可能性がある。
【0016】
様々な実施形態で、ヒドロゲルを調製する方法も提供する。本方法は、ヒドロゲルを形成させるのに適した条件下、乾燥粉末および緩衝水溶液を含む反応混合物を形成させる工程を含む。乾燥粉末は、第一のプレポリマーおよび熱活性化フリーラジカル開始剤を含むことができ、約500ミクロン以下の粒子径を特長とすることができる。第一のプレポリマーは、末端が、例えば、反応性基であるアクリラート基、ジアクリラート基、トリアクリラート基、メタクリラート基、ジメタクリラート基、トリメタクリラート基、またはビニル基で誘導体化されており、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とする直鎖ポリエチレングリコールを含むことができる。熱活性化フリーラジカル開始剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、二価鉄(鉄)化合物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、または他の適切な熱活性化フリーラジカル開始剤が可能である。緩衝水溶液は、架橋ポリマーを形成するための第二の反応性成分、および開始剤触媒を含むことができる。例えば、第二の反応性成分は、第二のプレポリマーを含むことができる。第二のプレポリマーまたは反応性成分は、末端が、例えば、1つまたは複数のアクリラート基、メタクリラート基、ジメタクリラート基、またはビニル基で誘導体化された分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールを含むことができ、約500ダルトン〜約2キロダルトンの分子量を特長とすることができる。開始剤触媒は、任意の芳香族アミン、脂肪族アミン、または二価鉄(鉄)化合物が可能である。様々な実施形態において、開始剤触媒は、トリエタノールアミン、またはテトラメチルエチレンジアミンをはじめとするN−アルキル置換エチレンジアミン誘導体が可能である。緩衝水溶液はさらに、任意の適切な酸または塩基であることが可能な緩衝剤を含むことができ、任意の適切な酸または塩基として、リン酸ナトリウム二塩基性、リン酸ナトリウム一塩基性、水酸化ナトリウム、および塩酸が挙げられるが、これらに限定されない。乾燥粉末の粒子径が微細な結果、乾燥粉末を緩衝水溶液に導入したときに(または緩衝水溶液との混合前に再構成させたときに)、非常に迅速に(例えば、30秒以内に)溶解することが可能である。
【0017】
様々な実施形態で、乾燥粉末を調製する方法も提供する。本方法は、プレポリマーおよび熱活性化フリーラジカル開始剤を含む溶液を調製する工程を含むことができる。プレポリマーは、末端が、例えば、2つのアクリラート基で誘導体化されており、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とする直鎖ポリエチレングリコールを含むことができる。熱活性化フリーラジカル開始剤は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、または他の適切な熱活性化フリーラジカル開始剤が可能である。本方法はさらに、溶液を脱水して乾燥粉末を形成させる工程を含むことができる。脱水は、凍結乾燥、噴霧乾燥、または溶液から水を除去するのに適した他のプロセスを含むことができる。乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とすることができる。様々な実施形態において、乾燥粉末は、粒子径の異なる様々な化合物を含んでもよい。様々な実施形態において、最大粒子径は、500ミクロン、400ミクロン、200ミクロン、または100ミクロンであってもよい。他の実施形態において、500ミクロン超の粒子が存在するかもしれないが、そのような大きさの粒子の濃度は、乾燥粉末中の粒子合計数の10%未満、5%未満、または2%未満が可能である。
【0018】
上記のとおり、これまでのAAA治療法は、医療用装置の拡張性部材の体積を増大させることによりin situで材料を形成させる工程を含んでいた。拡張性部材は、流動性材料により拡張されると、その部材が入っている動脈瘤の形状に一致し、いったん固化してしまうと、医療用装置をあるべき位置に固定する。材料は、水溶液中、熱活性化フリーラジカル開始剤および開始剤触媒の存在下、2種のポリマー前駆体のフリーラジカル重合により形成される。重合は、例えば、一重壁もしくは二重壁のバルーンまたはエンドバッグを含むエンドグラフト内部で行われる。
【0019】
様々なプロセスにおいて、2種の溶液は、別個の容器、例えばシリンジに入っており、それぞれの容器は管で連通している。一方の溶液は、第一のプレポリマーと、フリーラジカル開始剤または開始剤触媒の一方とを含んでおり、他方の溶液は、第二のプレポリマーと、開始剤または触媒のもう一方とを含んでいる。溶液は、管を通して、加圧下で多岐管に送達されて、そこで混合される。多岐管は、完全な混合を確実にするための様々な構造を含んでいてもよい。次いで、得られる溶液を、別の管を通じて、拡張性部材に送達し、そこで重合が起こり、拡張性部材は拡張して周囲を取り囲む動脈瘤の形状に一致し、時間を置くことで重合を進行させる。溶液の送達が完了したら、管を拡張性部材から引き抜くことにより、重合混合物を拡張性部材内に密閉する。拡張性部材を含む医療用装置は、典型的には、ガイドワイヤーに沿って設置されるカテーテルにより患者の動脈瘤部位に送達される。あるいは、多岐管を使用せず、その代わり2種の溶液を拡張性部材中で混合する。
【0020】
導入される溶液の1つにフリーラジカル開始剤がプレポリマーと一緒に存在することは、この溶液を凍結させておく必要があり、手術の現場で使用直前にはじめて解凍することができるという点で問題である。大きな温度差が関与する従来手段、例えば熱水またはマイクロ波処理による解凍は、開始剤の熱活性化故に、不可能である。そのうえ、周辺温度であってさえも、溶液中の開始剤は不安定であり、不十分な重合などによるポリマー前駆体の分解を招き、その結果、許容できない有効期間をもたらす可能性がある。
【0021】
本発明の実施形態において、熱活性化フリーラジカル開始剤およびプレポリマーの一方は、安定な組成、ならびに水で再構成させた場合または他方の反応成分および開始剤触媒を含む水溶液に導入した場合の迅速な溶解速度を特長とする乾燥粉末の形状で提供することができる。結果として、粉末プレポリマーおよびフリーラジカル開始剤は、冷凍庫温度(例えば、−20℃)で貯蔵する必要がなく、全体の有効期間が改善され、しかも乾燥粉末は、凍結状態の溶液を完全に解凍するのに必要な時間よりも短時間で溶解するおかげで、手術前の準備時間が短縮される。さらに、乾燥粉末配合物および個別の緩衝剤成分では、最終滅菌方法の利用が可能になる。こうした方法として、乾燥粉末には電子線およびガンマ線照射を、および液体成分には蒸気滅菌を挙げることができるが、それらは、先行技術のプロセスに使用するには適していない。最終滅菌では、無菌処理を絶えず検証する必要がなくなる。そのうえ、こうした利点は、既存のプロセスのやり方で形成されるヒドロゲルに関連する望ましい機械的特性を犠牲にすることなく提供される。
【0022】
II.定義
「ヒドロゲル」は、親水性特性および疎水性特性の両方を有する固形成分(通常はポリマーであり、より一般的には高度に架橋したポリマーである)からなる高度に相互依存的な、二相性マトリクスを示す。さらに、マトリクスは、分子内力によりマトリクス中に保持される液体成分(例えば、水)を有する。疎水性特性は、マトリクスにある程度の水不溶性をもたらし、一方親水性特性は水透過性をもたらす。
【0023】
「乾燥粉末」は、水を実質的に含まず、微粒子の形状をした固形物質を示す。
【0024】
「プレポリマー」は、中間分子量状態の単量体または単量体系の形状をした、1つまたは複数の反応性基によりさらに重合してより高分子量のまたは架橋した状態を形成することができる、ポリマー前駆体を示す。プレポリマーとして、化合物のなかでも特にポリエチレングリコールを挙げることができる。プレポリマーは、末端を1つまたは複数の活性基で誘導体化することができる。本発明で有用な活性基として、アクリラート基またはビニル基が挙げられる。アクリラート基の例として、ジアクリラート、トリアクリラート、メタクリラート、ジメタクリラート、トリメタクリラートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「熱活性化フリーラジカル開始剤」は、特定の温度を超えるとラジカル反応を促進する物質を示す。本発明で有用なラジカル反応として、プレポリマーが架橋してヒドロゲルを形成する重合反応を挙げることができる。熱活性化フリーラジカル開始剤として、過硫酸塩を挙げることができる。過硫酸塩の例として、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「緩衝水溶液」は、弱酸およびその共役塩基、またはその逆もしかりの混合物を含み、強酸または強塩基が溶液に加えられた場合に酸と共役塩基との平衡がpHの変化に抵抗するように存在する水溶液を示す。本発明で有用な緩衝剤として、任意の適切なpH安定化塩を挙げることができる。緩衝剤の例として、リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、リン酸ナトリウム一塩基性、塩酸、水酸化ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「開始剤触媒」は、化学反応速度を上昇させる物質を示す。本発明で有用な化学反応として、プレポリマーが架橋してヒドロゲルを形成する重合反応などのラジカル反応を挙げることができる。開始剤触媒の例として、トリエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、芳香族アミン、脂肪族アミン、二価鉄(鉄)化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
「放射線不透過剤」は、X線を利用した画像化技法において体内構造の可視性を改善する物質を示す。本発明で有用な放射線不透過剤として、ヨウ素などを含むことができる化合物が挙げられるが、これらに限定されない。放射線不透過剤の例として、ジアトリゾ酸塩、メトリゾ酸塩、イオキサグル酸塩、イオパミドール、イオヘキソール、イオキシラン、イオプロミド、イオジキサノールなどを挙げることができる。ヨウ素を含むこうした放射線不透過剤は、さらに、ナトリウムを含むことができ、ジアトリゾ酸ナトリウムを挙げることができるが、これに限定されない。
【0029】
「外気条件で安定な組成」は、標準の周辺温度および圧(SATP)で分解を開始しない組成を示し、標準の周辺温度および圧とは約25℃の温度および約0.987atmの絶対圧を示す。様々な実施形態において、安定であるということは、約48時間〜1年超にわたり、その材料が5分未満で架橋重合体を効果的に形成するほどに反応性を保持しているぐらいに、ゆっくりと分解し始めることを含んでもよい。
【0030】
「生理的温度」は、患者の体温を示し、その温度は典型的には約37℃である。
【0031】
「凍結乾燥」は、材料を凍結させ、次いで周囲の圧を低下させて材料中の凍結水を固相から気相へと昇華させ、それにより乾燥粉末を形成させる脱水プロセスを示す。
【0032】
「噴霧乾燥」は、液体またはスラリーを、空気または窒素などの気体(例えば、加熱してもよい)を用いて迅速に乾燥させて乾燥粉末を形成させる脱水プロセスである。
【0033】
「乾式混合」は、乾燥粉末を機械的に混合して、均一な乾燥粉末混合物を形成させるプロセスを示す。
【0034】
III.乾燥粉末
実施形態には、ヒドロゲルの形成用途に適しており、外気条件で安定な組成を特長とする乾燥粉末を提供することが含まれる。様々な実施形態において、直鎖ポリエチレングリコールを含むプレポリマー、および過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、有機過酸化物、またはビニル基であることが可能な熱活性化フリーラジカル開始剤を含む乾燥粉末が提供される。
【0035】
乾燥粉末は、任意の適切な粒子径を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約5mm以下、4mm以下、3mm以下、1mm以下、900ミクロン以下、800ミクロン以下、700ミクロン以下、または約600ミクロン以下の粒子径を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とすることができる。
【0036】
乾燥粉末は、任意の適切な脱水または配合プロセスを用いて形成させることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、凍結乾燥させた粉末、乾式混合した粉末、または噴霧乾燥させた粉末が可能である。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、凍結乾燥させた粉末が可能である。
【0037】
直鎖ポリエチレングリコールは、末端を1つまたは複数の活性基で誘導体化することができる。いくつかの実施形態において、直鎖ポリエチレングリコールは、末端に反応性基を導入することができる。適切な反応性基として、アクリラート、ジアクリラート、トリアクリラート、メタクリラート、ジメタクリラート、ビニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
プレポリマーは、任意の適切な分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、プレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、プレポリマーは、約4〜90キロダルトン、8〜80キロダルトン、12〜70キロダルトン、16〜60キロダルトン、または約20〜50キロダルトンの分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、プレポリマーは、約25、28、30、32、35、37、40、42、または45キロダルトンの分子量を特長とすることができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、さらに、pH安定化塩を含む任意の適切な緩衝剤を含むことができる。適切な緩衝剤として、リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、リン酸ナトリウム一塩基性、塩酸、水酸化ナトリウム、次リン酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、またはリン酸ナトリウム一塩基性であることが可能な緩衝剤を含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、さらに、放射線不透過剤を含むことができる。X線画像化技法において体内構造(例えば、大動脈)の可視性を改善する任意の適切な放射線不透過剤を使用することができる。適切な放射線不透過剤として、ジアトリゾ酸塩、メトリゾ酸塩、イオキサグル酸塩、イオパミドール、イオヘキソール、イオキシラン、イオプロミド、イオジキサノールなどのヨウ素含有化合物が挙げられるが、これらに限定されない。そうした適切なヨウ素含有放射線不透過剤は、さらに、ナトリウムを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、ジアトリゾ酸ナトリウム放射線不透過剤を含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、直鎖ポリエチレングリコールを含むプレポリマーを含む凍結乾燥粉末が可能であり、直鎖ポリエチレングリコールは、末端が2つのアクリラート基で誘導体化されていることが可能であり、かつプレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とすることができる。乾燥粉末は、さらに、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、または過硫酸アンモニウムであることが可能な熱活性化フリーラジカル開始剤と、リン酸緩衝液と、およびジアトリゾ酸ナトリウム放射線不透過剤とを含むことができる。乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とすることができ、乾燥粉末は、さらに、外気条件で安定な組成を特長とすることができる。
【0042】
IV.乾燥粉末を用いてヒドロゲルを調製する方法
様々な実施形態に、外気条件で安定な組成を特長とする乾燥粉末を用いてヒドロゲルを作製する方法が含まれる。いくつかの実施形態において、本方法は、ヒドロゲルを形成させるのに適した条件下、乾燥粉末および緩衝水溶液を含む反応混合物を形成させる工程を含む。乾燥粉末は、直鎖ポリエチレングリコールを含む第一のプレポリマー、および過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、または過硫酸アンモニウムであることが可能な熱活性化フリーラジカル開始剤を含むことができる。緩衝水溶液は、分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールを含む第二のプレポリマー、およびトリエタノールアミンまたはテトラメチルエチレンジアミンであることが可能な開始剤触媒を含むことができる。
【0043】
乾燥粉末は、任意の適切な粒子径を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約5mm以下、4mm以下、3mm以下、1mm以下、900ミクロン以下、800ミクロン以下、700ミクロン以下、または約600ミクロン以下の粒子径を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とすることができる。
【0044】
乾燥粉末は、任意の適切な脱水または配合プロセスを用いて形成させることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、凍結乾燥させた粉末、乾式混合した粉末、または噴霧乾燥させた粉末が可能である。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、凍結乾燥させた粉末が可能である。
【0045】
直鎖ポリエチレングリコールおよび分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールは、それぞれ、末端を1つまたは複数の活性基で誘導体化することができる。いくつかの実施形態において、直鎖ポリエチレングリコールは、末端を2つのアクリラート基で誘導体化することができ、分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールは、末端を3つのアクリラート基で誘導体化することができる。適切なアクリラート基として、ジアクリラート、トリアクリラート、メタクリラート、ジメタクリラート、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
第一のプレポリマーおよび第二のプレポリマーまたは反応性成分は、それぞれ、任意の適切な分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、第一のプレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とすることができ、第二のプレポリマーは、約500ダルトン〜約2キロダルトンの分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、第一のプレポリマーは、約4〜90キロダルトン、8〜80キロダルトン、12〜70キロダルトン、16〜60キロダルトン、または約20〜50キロダルトンの分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、第一のプレポリマーは、約25、28、30、32、35、37、40、42、または45キロダルトンの分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、第二のプレポリマーは、約575ダルトン〜約1.8キロダルトン、650ダルトン〜約1.6キロダルトン、725ダルトン〜約1.4キロダルトン、または約800ダルトン〜約1.2キロダルトンの分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、第二のプレポリマーまたは反応性成分は、約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、または1.6キロダルトンの分子量を特長とすることができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末および緩衝水溶液の少なくとも一方は、さらに、pH安定化塩を含む任意の適切な緩衝剤を含むことができる。適切な緩衝剤として、リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、リン酸ナトリウム一塩基性、塩酸、水酸化ナトリウム、次リン酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、乾燥粉末および緩衝水溶液の少なくとも一方は、リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、またはリン酸ナトリウム一塩基性であることが可能である緩衝剤を含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末および緩衝水溶液の少なくとも一方は、さらに、放射線不透過剤を含むことができる。X線画像化技法において体内構造(例えば、大動脈)の可視性を改善する任意の適切な放射線不透過剤を使用することができる。適切な放射線不透過剤として、ジアトリゾ酸塩、ジアトリゾ酸ナトリウム、メトリゾ酸塩、イオキサグル酸塩、イオパミドール、イオヘキソール、イオキシラン、イオプロミド、イオジキサノールなどのヨウ素含有化合物が挙げられるが、これらに限定されない。そうした適切なヨウ素含有放射線不透過剤は、さらに、ナトリウムを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、乾燥粉末および緩衝水溶液の少なくとも一方は、ジアトリゾ酸ナトリウム放射線不透過剤を含むことができる。
【0049】
反応混合物は、所望のヒドロゲルを形成させるのに適切な任意のモル比の第二のプレポリマー対第一のプレポリマーでこれらを含むことができる。いくつかの実施形態において、反応混合物中の第二のプレポリマー対第一のプレポリマーのモル比は、約200:1〜1000:1が可能である。いくつかの実施形態において、反応混合物中の第二のプレポリマー対第一のプレポリマーのモル比は、約225:1〜900:1、250:1〜800:1、275:1〜700:1、300:1〜600:1、または約325:1〜500:1が可能である。いくつかの実施形態において、反応混合物中の第二のプレポリマー対第一のプレポリマーのモル比は、約400:1が可能である。
【0050】
反応混合物の形成に際しては、任意の適切な時間をかけて乾燥粉末を緩衝水溶液に溶解させることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約1分以内の時間をかけて緩衝水溶液に溶解させることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約45秒以内、または30秒以内の時間をかけて緩衝水溶液に溶解させることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約28秒以内、26秒以内、24秒以内、22秒以内、20秒以内、18秒以内、または約16秒以内の時間をかけて緩衝水溶液に溶解させることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約15秒以内の時間をかけて緩衝水溶液に溶解させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末は緩衝水溶液に溶解することで流動性水溶液を形成させることができ、流動性水溶液は、生理的温度で、約10分以内の時間をかけて重合を起こすことができる。いくつかの実施形態において、流動性水溶液は、生理的温度で、約9分以内、8分以内、7分以内、6分以内、5分以内、4分以内、または約3分以内の時間をかけて重合を起こすことができる。いくつかの実施形態において、流動性水溶液は、医療用装置に導入することができ、流動性水溶液は、医療用装置内で、生理的温度で重合を起こすことができる。例えば、流動性水溶液は、充填管を通じて医療用装置の拡張性部材の内部容積に導入することができ、そこで、生理的温度で重合架橋反応が開始されて、所望の性質を有するヒドロゲルを生成する。
【0052】
いくつかの実施形態において、緩衝水溶液は、乾燥粉末の調製(例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥を介したもの)中に除去されたどのような水も補うのに、および最終的な水溶液が流動性であるのに十分な粘度の低さを確保するのに十分な水を含むことができる。いくつかの他の実施形態において、乾燥粉末は、水で再構成させてから、緩衝水溶液と混合して反応混合物を形成させることができる。例えば、乾燥粉末を緩衝水溶液に(またはその逆もしかり)導入する代わりに、代替として、乾燥粉末を再構成(例えば、蒸留水を用いて)させることができ、次いで、再構成された乾燥粉末を緩衝水溶液と混合して反応混合物を形成させる。再構成された乾燥粉末および緩衝水溶液を、混合してから充填管に導入する、または別々の管に導入して混合装置中で混合し、次いで、充填管を通じて拡張性部材の内部容積に導入することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末および緩衝水溶液は、個別に用意されたカートリッジで、あるいは代替として、キットの形状で一緒に貯蔵することができる。
図1は、キット100の簡略図を示す。
図1に示すとおり、キット100は、乾燥粉末の入った第一のカートリッジ102および緩衝水溶液の入った第二のカートリッジ104を含むことができる。本明細書中記載されるとおり、第一のカートリッジ102に入った乾燥粉末は、第一のプレポリマー、熱活性化フリーラジカル開始剤、および放射線不透過剤を含むことができ、第二のカートリッジ104に入った緩衝水溶液は、第二のプレポリマー、開始剤触媒、および緩衝剤を含むことができる。第一のカートリッジ102および第二のカートリッジ104は、それぞれ、水または水溶液を添加および吸引することができるようにゴムシールを備えることができる。いくつかの実施形態において、キット100は、流動性水溶液を吐出するための吐出装置(例えば、シリンジ)、ルーメンを有するカテーテル、ルーメン内に配置された充填管、および拡張性部材(例えば、エンドバッグ)を備えた医療用装置(例えば、エンドグラフト)などの追加の要素を含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、ヒドロゲルを調製する本発明の方法は、乾燥粉末を水で再構成させる工程を含むことができ、乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とする凍結乾燥粉末が可能であり、かつ乾燥粉末は、直鎖ポリエチレングリコールを含む第一のプレポリマーを含むことができる。直鎖ポリエチレングリコールは、末端を2つのアクリラート基で誘導体化することができ、第一のプレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とすることができる。乾燥粉末は、さらに、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、または過硫酸アンモニウムであることが可能な熱活性化フリーラジカル開始剤、リン酸緩衝剤、およびジアトリゾ酸ナトリウム放射線不透過剤を含むことができる。本方法は、さらに、ヒドロゲルを形成させるのに適した条件下、反応混合物を形成させる工程を含むことができ、反応混合物は、再構成された乾燥粉末および緩衝水溶液を含むことができる。緩衝水溶液は、分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールを含む第二のプレポリマーを含むことができ、分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールは、末端を3つのアクリラート基で誘導体化することができ、かつ第二のプレポリマーは約500ダルトン〜約2キロダルトンの分子量を特長とすることができる。反応混合物中の第二のプレポリマー対第一のプレポリマーのモル比は、約200:1〜1000:1が可能である。緩衝水溶液は、さらに、トリエタノールアミンまたはテトラメチルエチレンジアミンが可能である開始剤触媒、およびリン酸緩衝剤を含むことができ、乾燥粉末は、約30秒以内の時間をかけて緩衝水溶液に溶解して流動性水溶液を形成することができる。本方法はさらに、流動性水溶液を医療用装置に導入する工程を含み、流動性水溶液は、医療用装置内において、生理的温度で、約10分以内の時間をかけて重合を起こすことができる。
【0055】
V.乾燥粉末の調製方法
様々な実施形態で、ヒドロゲルの形成用途に適した、外気条件で安定な組成を特長とする乾燥粉末の調製方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は溶液を調製する工程を含む。溶液は、直鎖ポリエチレングリコールを含むプレポリマー、および過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、または過硫酸アンモニウムであることが可能な熱活性化フリーラジカル開始剤を含むことができる。本方法は、さらに、溶液を脱水して乾燥粉末を形成させる工程を含むことができる。
【0056】
乾燥粉末は、任意の適切な粒子径を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約5mm以下、4mm以下、3mm以下、1mm以下、900ミクロン以下、800ミクロン以下、700ミクロン以下、または約600ミクロン以下の粒子径を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約500ミクロン以下、400ミクロン以下、または約300ミクロン以下の粒子径を特長とすることができる。
【0057】
直鎖ポリエチレングリコールは、末端を1つまたは複数の活性基で誘導体化することができ、プレポリマーは、任意の適切な分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、直鎖ポリエチレングリコールは、末端を2つのアクリラート基で誘導体化することができ、プレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とすることができる。適切なアクリラート基として、メタクリラート、ジアクリラート、トリアクリラートなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、プレポリマーは、約4〜90キロダルトン、8〜80キロダルトン、12〜70キロダルトン、16〜60キロダルトン、または約20〜50キロダルトンの分子量を特長とすることができる。いくつかの実施形態において、プレポリマーは、約25、28、30、32、35、37、40、42、または45キロダルトンの分子量を特長とすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、溶液は、さらに、pH安定化塩を含む任意の適切な緩衝剤、および放射線不透過剤を含むことができる。適切な緩衝剤として、リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、リン酸ナトリウム一塩基性、塩酸、水酸化ナトリウム、次リン酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。適切な放射線不透過剤として、ジアトリゾ酸塩、メトリゾ酸塩、イオキサグル酸塩、イオパミドール、イオヘキソール、イオキシラン、イオプロミド、イオジキサノールなどのヨウ素含有化合物が挙げられるが、これらに限定されない。そうした適切なヨウ素含有放射線不透過剤は、さらに、ナトリウムを含むことができる。例えば、適切な放射線不透過剤として、ジアトリゾ酸ナトリウムが可能である。いくつかの実施形態において、溶液は、さらに、リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、またはリン酸ナトリウム一塩基性であることが可能な緩衝剤、および放射線不透過剤を含むことができる。
【0059】
溶液は、脱水する前に、任意の適切な孔径を特長とするフィルターを用いて濾過することができる。いくつかの実施形態において、溶液は、脱水する前に、約0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1ミクロン以下の孔径を特長とするフィルターを用いて濾過することができる。いくつかの実施形態において、溶液は、脱水する前に、約0.19ミクロン以下、0.18ミクロン以下、0.17ミクロン以下0.16ミクロン以下、または約0.15ミクロン以下の孔径を特長とするフィルターを用いて濾過することができる。様々な実施形態において、フィルターは、滅菌濾過を可能にする孔径であればどのような孔径も特長とすることができる。
【0060】
溶液は、溶液から水を除去して乾燥粉末を残す任意の適切なプロセスを用いて脱水することができる。いくつかの実施形態において、溶液の脱水は、溶液の凍結乾燥または噴霧乾燥あるいは両者の併用を含むことができる。凍結乾燥は、溶液を約−20〜−50℃の温度および約160〜240mTorrの圧下で少なくとも約12時間凍結させることにより、行うことができる。噴霧乾燥は、空気または窒素などの熱ガスを用いて溶液を急速に乾燥させることにより、行うことができる。噴霧オリフィスを用いて制御された粒子径の液滴を作製し、これを収集、凍結、そして凍結乾燥を用いて乾燥させることにより、噴霧乾燥と凍結乾燥の併用も利用することができる。さらに別の方法は、低温ガスを用いた噴霧乾燥により最小限の水分しか含まない小粒子を作製する工程、および真空乾燥などの二次プロセスを用いて粉末の水分を許容できるレベル(<1%)までさらに低下させる工程を含む。
【0061】
凍結乾燥または噴霧乾燥などの脱水プロセスにより乾燥粉末を形成させる他に、乾式混合プロセスを用いることができ、このプロセスでは、固形粉末を機械的に混合して均質な粉末混合物を形成させる。いくつかの実施形態において、プレポリマー、熱活性化フリーラジカル開始剤、および放射線不透過剤それぞれの固形粉末を、乾式混合して均質な粉末混合物を形成させることができ、粉末混合物は、ヒドロゲルを形成させるまで水から孤立させておくことができる。反応混合物を形成させるには、乾式混合した粉末を緩衝水溶液と混合することもできるし、水で再構成させて、再構成された乾燥粉末溶液を緩衝水溶液と混合することもできる。
【0062】
溶解速度は、固形成分の溶解性および表面積、ならびに固/液混合効率に依存する。溶解性は化学物質の固有の性質であるものの、表面積は、機械的または物理的手段により操作することができる。粒子径を小さくすることで、表面積を大幅に拡大させることができ(表面積は二乗で反比例するため)、その結果、溶解速度を大きく向上させることができる。このことは、本質的に結晶性(例えば、大きさが1〜3mmの針状晶)である過硫酸カリウムなどの難溶性成分にとって特に好都合となる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態において、個々の成分の粒子径を、研削、粉砕、噴霧乾燥などの加工処理技法を通じて制御することができる。いくつかの実施形態において、プレポリマー、熱活性化フリーラジカル開始剤、および放射線不透過剤は、それぞれ、約500ミクロン以下、100ミクロン以下、および50ミクロン以下の粒子径を特長とするように、それぞれに加工処理することができる。所望の粒子径の各成分が得られたら、乾式混合プロセスを用いて、個々の粉末を適切な比率で混合することができる。乾式混合粉末の比率は、架橋プレポリマーおよび開始剤触媒を適切な化学量論的量で含む緩衝水溶液と混合した場合に、所望の性質を有する放射線不透過性ヒドロゲルが形成されるように、調節することができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉末中のプレポリマー、フリーラジカル開始剤、および放射線不透過剤の重量パーセントは、それぞれ、約56〜58%、28〜30%、および14〜16%が可能である。
【0063】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とすることができ、乾燥粉末を調製する本発明の方法は、溶液を調製する工程を含むことができる。溶液は、直鎖ポリエチレングリコールを含むプレポリマーを含むことができ、直鎖ポリエチレングリコールは、末端を2つのアクリラート基で誘導体化することができ、プレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とすることができる。溶液は、さらに、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、または過硫酸アンモニウムであることが可能な熱活性化フリーラジカル開始剤、リン酸緩衝剤、およびジアトリゾ酸ナトリウム放射線不透過剤を含むことができる。本方法は、さらに、溶液を、約0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1ミクロン以下の孔径を特長とするフィルターを用いて濾過する工程、および溶液を凍結乾燥させて乾燥粉末を形成させる工程を含むことができる。
【0064】
様々な実施形態において、固形プレポリマー混合物の調製に際して、固形プレポリマー混合物は、消費者の所在地に発送される前に一定期間(例えば、1日、3日、1週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、7ヶ月、または1年以上もの長さまで)貯蔵されてもよい。固形プレポリマー混合物は、消費者の所在地において、活性化剤を用いて溶解させて水溶液にしてもよく、それから水性プレポリマーを血管内装置を介して患者に挿入してもよい。いくつかの実施形態において、固形プレポリマーは、水または液体をある痕跡量で含有してもよいが、ただし、その少量の液体は、プレポリマーの大部分を分解することはない。
【実施例】
【0065】
乾燥粉末の調製およびその粉末からのヒドロゲルの調製
この実施例は、乾燥粉末を調製する本発明による方法、および乾燥粉末を用いてヒドロゲルを調製する方法を提供する。
【0066】
第一溶液(C1)を、1リットルのバッチサイズを基準として、以下の成分から調製した:(i)平均分子量35キロダルトンのポリエチレングリコールジアクリラート(PEG−D)40グラム;(ii)ジアトリゾ酸ナトリウム20グラム;(iii)過硫酸カリウム10.2グラム;および(iv)pHが8.0の0.02Mリン酸緩衝液940グラム。
【0067】
C1溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過し、20mLを血清バイアルに分取した。血清バイアルを、トレイ式凍結乾燥機に入れ、−40℃および200mTorrの圧で約12〜72時間、凍結乾燥させた。水が全て除去されて乾燥粉末だけが残ったら、バイアルをゴム栓で密閉した。
【0068】
第二溶液(C2)を、1リットルのバッチサイズを基準として、以下の成分から調製した:(i)平均分子量1.1キロダルトンのエトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリラート(PEG−T)535グラム;(ii)トリエタノールアミン9.4グラム;および(iii)pHが8.0の0.02Mリン酸緩衝液540グラム。
【0069】
C2溶液20mLを水約19mL(すなわち、C1溶液の凍結乾燥中に血清バイアルから除去された水の量)で希釈し、シリンジに入れた。ルアーロック式継手を備えたベントキャップを、血清バイアルのゴム栓を通して挿入した。希釈C2溶液の入ったシリンジをベントキャップに装着し、希釈C2溶液を血清バイアルに吐出した。凍結乾燥させた粉末状C1は、1〜2秒内に溶解した。次いで、バイアルを倒置して、混合溶液をシリンジに吸引した。
【0070】
シリンジをカテーテルのルーメンの近位端に装着し、ルーメンの遠位端は、ポリウレタンエンドバッグと接続させた。エンドバックを37℃の水浴に入れた。シリンジ中の混合溶液を、約20秒かけて、カテーテルのルーメンを通して接続したエンドバックに吐出させた。重合は、約7分後に完了したことが観測された。
【0071】
理解をより深める目的で例示および実施例というやり方で上記発明をある程度詳細に説明してきたものの、当業者ならお分かりだろうが、ある特定の変更および修飾を、添付の請求項の範囲内で行うことが可能である。また、本明細書中提示される各参照は、各参照が個別に参照により援用されるのと同程度にその全体が参照として援用される。本出願と本明細書中に提示される参照との間に矛盾が生じる場合、本出願が優先される。
【0072】
開示される技術の様々な例示実施形態は、以下の条項において説明され得る。
1.直鎖ポリエチレングリコールを含むプレポリマー、ならびに
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムからなる群より選択される熱活性化フリーラジカル開始剤
を含む、乾燥粉末。
2.前記乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とし、
前記乾燥粉末は、一定期間分解することなく、ある場所から別の場所へと周辺温度で輸送することが可能であり、
前記乾燥粉末は、重合性溶液に混合することが可能であり、かつ
前記乾燥粉末は、最終滅菌される、
条項1に記載の乾燥粉末。
3.凍結乾燥させた粉末、乾式混合した粉末、および噴霧乾燥させた粉末からなる群より選択される、条項1に記載の乾燥粉末。
4.凍結乾燥させた粉末である、条項1に記載の乾燥粉末。
5.前記直鎖ポリエチレングリコールは、末端がアクリラート、メタクリラート、ビニル、または置換ビニル末端基で誘導体化されている、条項1に記載の乾燥粉末。
6.前記プレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とする、条項1に記載の乾燥粉末。
7.リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、およびリン酸ナトリウム一塩基性からなる群より選択される緩衝剤をさらに含む、条項1に記載の乾燥粉末。
8.放射線不透過剤をさらに含む、条項1に記載の乾燥粉末。
9.前記乾燥粉末は、
直鎖ポリエチレングリコールを含む前記プレポリマー、該直鎖ポリエチレングリコールは、末端が2つのアクリラート基で誘導体化されており、かつ前記プレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とし、
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムからなる群より選択される、前記熱活性化フリーラジカル開始剤、
リン酸緩衝剤、および
ジアトリゾ酸ナトリウム放射線不透過剤
を含む凍結乾燥粉末であり、前記乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とし、かつ前記乾燥粉末は、外気条件で安定な組成をさらに特長とする、条項1に記載の乾燥粉末。
10.ヒドロゲルの調製方法であって、
該ヒドロゲルを形成させるのに適切な条件下、乾燥粉末および緩衝水溶液を含む反応混合物を形成させる工程
を含み、
該乾燥粉末は、
直鎖ポリエチレングリコールを含む第一のプレポリマー、ならびに
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムからなる群より選択される熱活性化フリーラジカル開始剤
を含み、かつ
該緩衝水溶液は、
分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールを含む第二のプレポリマー、ならびに
トリエタノールアミンおよびテトラメチルエチレンジアミンからなる群より選択される開始剤触媒、
を含む、方法。
11.前記乾燥粉末は、γ線照射を用いて滅菌されている、条項10に記載の方法。
12.前記乾燥粉末は、電子線照射を用いて滅菌されている、条項10に記載の方法。
13.前記緩衝水溶液は、蒸気滅菌を用いて滅菌されている、条項10に記載の方法。
14.前記乾燥粉末は、γ線照射を用いて滅菌されており、かつ前記緩衝水溶液は、蒸気滅菌を用いて滅菌されている、条項10に記載の方法。
15.前記乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とする、条項10に記載の方法。
16.前記乾燥粉末は、前記緩衝水溶液に、約30秒以内の時間をかけて溶解する、条項10に記載の方法。
17.前記乾燥粉末は、凍結乾燥させた粉末、乾式混合した粉末、および噴霧乾燥させた粉末からなる群より選択される、条項10に記載の方法。
18.前記乾燥粉末は、凍結乾燥させた粉末である、条項10に記載の方法。
19.前記直鎖ポリエチレングリコールは、末端が2つのアクリラート基で誘導体化されており、かつ前記分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールは、末端が3つのアクリラート基で誘導体化されている、条項10に記載の方法。
20.前記第一のプレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とし、かつ前記第二のプレポリマーは、約500ダルトン〜約2キロダルトンの分子量を特長とする、条項10に記載の方法。
21.前記乾燥粉末および前記緩衝水溶液の少なくとも一方は、リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、およびリン酸ナトリウム一塩基性からなる群より選択される緩衝剤をさらに含む、条項10に記載の方法。
22.前記乾燥粉末および前記緩衝水溶液の少なくとも一方は、放射線不透過剤をさらに含む、条項10に記載の方法。
23.前記反応混合物中の前記第二のプレポリマー対前記第一のプレポリマーのモル比は、約200:1〜1000:1である、条項10に記載の方法。
24.前記乾燥粉末は前記緩衝水溶液に溶解して流動性水溶液を形成し、かつ該流動性水溶液は、生理的温度で、約10分以内の時間をかけて重合を起こす、条項10に記載の方法。
25.前記方法は、前記流動性水溶液を医療用装置に導入する工程をさらに含み、かつ前記流動性水溶液は、前記生理的温度で、該医療用装置内で前記重合を起こす、条項24に記載の方法。
26.前記乾燥粉末は、前記緩衝水溶液と混合して前記反応混合物を形成する前に、水で再構成される、条項10に記載の方法。
27.前記方法は、
前記乾燥粉末を水で再構成する工程、前記乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とする凍結乾燥された粉末であり、かつ前記乾燥粉末は、
直鎖ポリエチレングリコールを含む前記第一のプレポリマー、該直鎖ポリエチレングリコールは末端が2つのアクリラート基で誘導体化されており、かつ前記第一のプレポリマーは約1〜100キロダルトンの分子量を特長とし、
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムからなる群より選択される、前記熱活性化フリーラジカル開始剤、
リン酸緩衝剤、および
ジアトリゾ酸ナトリウム放射線不透過剤、
を含み、
前記ヒドロゲルを形成させるのに適した条件下、前記反応混合物を形成させる工程、前記反応混合物は、該再構成された乾燥粉末および前記緩衝水溶液を含み、かつ前記緩衝水溶液は、
分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールを含む前記第二のプレポリマー、該分岐鎖オリゴマーポリエチレングリコールは末端が3つのアクリラート基で誘導体化されており、前記第二のプレポリマーは約500ダルトン〜約2キロダルトンの分子量を特長とし、かつ前記反応混合物中の前記第二のプレポリマー対前記第一のプレポリマーのモル比は、約200:1〜1000:1であり、
トリエタノールアミンおよびテトラメチルエチレンジアミンからなる群より選択される前記開始剤触媒、および
リン酸緩衝剤、
を含み、前記乾燥粉末は、前記緩衝水溶液に、約30秒以内の時間をかけて溶解して流動性水溶液を形成し、ならびに
該流動性水溶液を医療用装置に導入する工程、該流動性水溶液は、該医療用装置内で、生理的温度で、約10分以内の時間をかけて前記重合を起こす、
を含む、条項10に記載の方法。
28.乾燥粉末の調製方法であって、
以下を含む溶液を調製する工程
直鎖ポリエチレングリコールを含むプレポリマー、および
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムからなる群より選択される熱活性化フリーラジカル開始剤、ならびに
該溶液を脱水して、該乾燥粉末を調製する工程
を含む、方法。
29.前記乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とする、条項28に記載の方法。
30.前記溶液を脱水する工程は、前記溶液を凍結乾燥するまたは噴霧乾燥する工程を含む、請求項28に記載の方法。
31.前記直鎖ポリエチレングリコールは、末端が2つのアクリラート基で誘導体化されており、かつ前記プレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とする、条項28に記載の方法。
32.前記溶液は、さらに
リン酸塩、リン酸ナトリウム二塩基性、およびリン酸ナトリウム一塩基性からなる群より選択される緩衝剤、および
放射線不透過剤
を含む、条項28に記載の方法。
33.前記溶液は、脱水前に、約0.2ミクロン以下の孔径を特長とするフィルターを用いて濾過される、条項28に記載の方法。
34.前記乾燥粉末は、約500ミクロン以下の粒子径を特長とし、かつ前記方法は、
以下を含む溶液を調製する工程
直鎖ポリエチレングリコールを含む前記プレポリマー、該直鎖ポリエチレングリコールは、末端が2つのアクリラート基で誘導体化されており、かつ前記プレポリマーは、約1〜100キロダルトンの分子量を特長とし、
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムからなる群より選択される前記熱活性化フリーラジカル開始剤、
リン酸緩衝剤、および
ジアトリゾ酸ナトリウム放射線不透過剤、
該溶液を、約0.2ミクロン以下の孔径を特長とするフィルターを用いて濾過する工程、ならびに
該溶液を凍結乾燥させて、それにより前記乾燥粉末を形成させる工程、
を含む、条項28に記載の方法。