(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した信号処理装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、本開示の第1の実施形態に係る信号処理装置1は、制御部11、トリガ生成部12、照射部13、検知部14、TIA(Trans−Impedance Amp)15、第1の信号生成部16、第2の信号生成部17、信号処理部18を含んで構成されている。
【0015】
以後の図において、各機能ブロックを結ぶ実線の矢印は、制御信号又は通信される情報の流れを示す。矢印が示す通信は有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0016】
制御部11は、少なくとも1つ以上のプロセッサとメモリを備える。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)またはFPGA(Field−Programmable Gate Array)などであってもよい。メモリは、例えばROM(Read Only Memory)またはRAM(Randam Access Memory)などであってもよい。
【0017】
制御部11は、トリガ生成部12及び照射部13に対して制御信号を送信して制御を行う。具体例は後述する。
【0018】
なお、制御部11は必ずしも独立して存在する必要はない。例えば、信号処理部18が制御部11の機能を担ってもよい。また、トリガ生成部12及び照射部13にそれぞれ制御部11に相当するものが備えられてもよい。
【0019】
トリガ生成部12は、制御部11から制御信号を受信した場合、トリガ信号aを生成し照射部13へ送信する。このとき、トリガ信号aは照射部13に加えて信号処理部18にも送信される。
【0020】
なお、制御部11からトリガ生成部12への信号にはトリガ信号aの生成及び放射部131への送信に係るもの以外が含まれていてもよい。例えば、照射部13が照射する電磁波の強度またはビーム幅などのパラメータに係る情報が含まれていてもよい。
【0021】
照射部13は、放射部131と走査部132を含む。放射部131は、トリガ生成部12からトリガ信号aを受信した場合、電磁波(例えば、赤外線、可視光線、紫外線または電波など)を放射する。
【0022】
放射部131は、所定の幅のビーム状の電磁波bを放射する(例えば、0.5°のビーム状の電磁波)。ただし、信号処理装置1が機能するのであれば、ビームの幅は特に限定されない。また、放射部131は放射源として、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)またはメーザーなどを含んでよい。
【0023】
走査部132は、放射部131から放射された電磁波bの進行方向を変更可能な反射面を有する。反射面は、例えば、MEMS(Micro ElectroMechanical Systems)ミラー、ポリゴンミラーまたはガルバノミラーなどを含んでよい。
【0024】
走査部132は、制御部11からの制御信号に基づき、反射面を制御して照射方向の切り替えを行う。
【0025】
走査部132は、必ずしも照射部13に備えられる必要はない。走査部132が備えられない場合、照射部13は放射部131から放射された電磁波bをそのまま照射してもよい。また、照射部13は、走査部132の代わりに放射の指向性を制御する指向性制御部(例えば、フェーズドアレイレーザーなど)を備えてもよい。
【0026】
検知部14は、少なくとも1つ以上の検知素子を備え、検知素子により、照射部13から対象物2に照射された電磁波bの反射波cを検知し、検知した反射波cの強度に応じた検知信号dを生成する。検知素子は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを備えてもよい。
【0027】
TIA15は、検知部14が生成した検知信号dを受信し、受信した検知信号dを増幅して信号eを生成する。なお、検知部14自身が検知信号dを増幅出来るのであれば、信号処理装置1はTIA15を備える必要はない。また、検知信号dの増幅が必要ないのであれば、信号処理装置1はTIA15を備える必要はない。また、信号処理装置1は、TIA15の機能を有する信号増幅部を別途構築し、これを備えてもよい。
【0028】
第1の信号生成部16は、TIA15が生成した信号eに基づいて矩形状のパルス信号fを生成する。なお、第1の信号生成部16が生成する信号は矩形状のパルス波に限られず、例えば、正弦波、方形波、三角波、のこぎり波、台形波、階段波またはひずみ波などであってもよい。以下段落では、第1の信号生成部16がパルス信号fを生成した場合について記述する。
【0029】
第2の信号生成部17は、第1の信号生成部16が生成したパルス信号fに基づいて、パルス信号fの信号パターンを示すパターン信号hおよびパターン信号jを生成する。パターン信号hおよびパターン信号jは、例えば、パルス波、正弦波、方形波、三角波、のこぎり波、台形波、階段波またはひずみ波などであってもよい。
【0030】
第2の信号生成部17は、第1の回路171、第2の回路172、第3の回路173を含む。
【0031】
第1の回路171は、第1の信号生成部16が生成したパルス信号fにおける立ち上がり及び立ち下がりをそれぞれ異なる特徴で示す第1の信号gを生成する。第1の回路171は、例えば、LA(Limiting Amplifier)などであってもよい。第1の信号gは、例えば、パルス信号fにおける立ち上がり及び立ち下がりをそれぞれ異なる特徴のパルスで示される。異なる特徴とは、例えば、パルス信号fの正負の方向、強度およびパルス幅などを含んでもよい。
【0032】
第2の回路172は、第1の信号gに基づいて、パルス信号fの立ち上がりの特徴を示す第2の信号を生成する。この第2の信号がパターン信号hとして生成される。
【0033】
第2の回路172は、例えば、交流を直流に変える作用を持つ整流回路である。信号処理装置1は、整流回路を第2の回路172として用いることにより、第1の信号gにおける正のパルスを抽出することが出来る。
【0034】
第3の回路173は、第1の信号gに基づいて、パルス信号fの立ち下がりの特徴を示す第3の信号を生成する。この第3の信号がパターン信号jとして生成される。
【0035】
第3の回路173は、第4の回路1731及び第5の回路1732を含む。
【0036】
第4の回路1731は、第1の回路171が生成した第1の信号gにおけるパルスの正負を反転させた第4の信号iを生成する。
【0037】
第4の回路1731は、例えば、入力の正負を反転させる反転回路などであってもよい。信号処理装置1は、反転回路を第4の回路1731として用いることにより、第4の信号iとして第1の信号gのパルスの正負を反転させた信号を生成することが出来る。
【0038】
第5の回路1732は、第4の信号iに基づいて、第1の信号gの立ち下がりの特徴を示す第5の信号を生成する。この第5の信号が第3の信号であるパターン信号jとして生成される。
【0039】
第5の回路1732は、例えば、交流を直流に変える作用を持つ整流回路などであってもよい。信号処理装置1は、整流回路を第5の回路1732として用いることにより、第5の信号として、第4の信号iにおける正のパルス、言い換えると、第1の信号gにおける負のパルスを抽出することが出来る。
【0040】
信号処理部18は、第2の信号生成部17が生成したパターン信号hおよびパターン信号jを受信し、信号処理を行う。信号処理は、例えば、検知部14が検知した対象物2からの反射波cに係るノイズ判定及び対象物2までの距離の算出である。
【0041】
信号処理部18は、TDC(Time−to−Digital Converter)181と演算部182を含む。
【0042】
TDC181は、時間測定回路の1つであり、信号を受信した時間情報を生成することが出来る。例えば、TDC181は、トリガ信号aを受信してからパターン信号hまたはパターン信号jを受信するまでの経過時間を測定する。
【0043】
演算部182は、少なくとも1つ以上のプロセッサ及びメモリを備える。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)またはFPGA(Field−Programmable Gate Array)などであってもよい。メモリは、例えばROM(Read Only Memory)またはRAM(Randam Access Memory)などであってもよい。
【0044】
演算部182は、TDC181が生成した時間情報を用いて信号処理を行う。
【0045】
次に、
図2を用いて本開示の第1の実施形態に係る信号処理装置1における信号処理の過程を説明する。なお、
図1及び
図2における信号d、e、f、g、h、i及びjはそれぞれ対応する。
【0046】
検知部14が検知信号dを生成した場合、反射波cに基づく受信信号に加えてノイズが混信していることが分かる。
【0047】
次に、TIA15が検知信号dに基づいて信号eを生成した場合、受信信号と共にノイズについても増幅されていることが分かる。このとき、信号処理装置1は任意の閾値以下の信号を除去する除去部を備えてもよい。除去部を設けることによって、予めこの段階である程度のノイズを除去することが可能になる。以下、
図2の信号eに記載した閾値以下の信号を除去した場合に基づいて説明をする。
【0048】
次に、第1の信号生成部16が信号eに基づいてパルス信号fを生成した場合、
図2を参照すると、閾値以上の強い信号であるノイズについても、受信信号と共にパルス整形されていることが分かる。信号処理装置1は、単純にこのパルス信号fに基づいて信号処理を行った場合、ノイズについても信号処理を行ってしまうため、適切な処理結果を出力できない。そこで、本実施形態に係る信号処理装置1は、パルス信号fにおけるノイズを適切に判定することができるように構成されている。そのため、本実施形態に係る信号処理装置1は、反射波cを適切に検知することができる。その結果、本実施形態に係る信号処理装置1は、対象物2までの距離を正確に算出することができる。
【0049】
次に、第1の回路171がパルス信号fに基づいて第1の信号gを生成した場合、
図2を参照すると、受信信号と共にノイズについても立ち上がりと立ち下がりが抽出されていることが分かる。
【0050】
次に、第2の回路172が第1の信号gに基づいてパターン信号hを生成した場合、
図2を参照すると、受信信号と共にノイズについても立ち上がりが抽出されていることが分かる。
【0051】
次に、第4の回路1731が第1の信号gに基づいて第4の信号iを生成した場合、
図2を参照すると、受信信号と共にノイズについてもパルスの正負が反転されていることが分かる。
【0052】
次に、第5の回路1732が第4の信号iに基づいてパターン信号jを生成した場合、
図2を参照すると、受信信号と共にノイズについても立ち下がりが抽出されていることが分かる。
【0053】
以上より、第2の信号生成部17から信号処理部18にはパターン信号hとパターン信号jが送信されることになる。受信信号については、パターン信号hとパターン信号jの間隔が小さく、ノイズについてはパターン信号hとパターン信号jの間隔が大きいことが分かる。本実施形態に係る信号処理装置1は、この間隔について、任意の閾値に基づいて信号処理部18がノイズ判定を行うことにより、適切なノイズ判定及び測距を行うことが出来る。このノイズ判定及び測距について、以下
図3を用いて説明を行う。
【0054】
図3は、信号処理部18におけるノイズ判定処理に係るフローチャートである。
図3におけるパターン信号k1及びパターン信号k2は、
図1及び
図2におけるパターン信号hおよびパターン信号jのいずれかに対応する。また、
図3において、TDC181は、パターン信号k1を先に受信し、その次にパターン信号k2を受信する。なお、
図3において、パターン信号h及びパターン信号jの代わりに、パターン信号k1及びパターン信号k2を改めて定義した理由として、TDC181は、第2の信号生成部17から受信した信号がパターン信号hであるかもしくはパターン信号jであるかを認識できないためである。
【0055】
<S1801>
TDC181は、トリガ生成部12からトリガ信号aを受信する。
【0056】
<S1802>
TDC181は、第2の信号生成部17からパターン信号k1を受信する。
【0057】
<S1803>
TDC181は、トリガ信号aとパターン信号k1との時間差T1を測定してデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を演算部182に送信する。
【0058】
<S1804>
演算部182は、TDC181が第2の信号生成部17からパターン信号k1を受信したあと、新たに第2の信号生成部17からパターン信号k2を受信したかどうかの判定を行う。具体的には、演算部182は、TDC181がトリガ信号aとパターン信号k2との時間差T2のデジタル信号を受信したかどうかで上記判定を行う。
【0059】
<S1805>
演算部182は、TDC181が第2の信号生成部17からパターン信号k2を受信しなかったと判定した場合、先に受信したパターン信号k1をノイズであると判定する。その後、演算部182は、処理を終了する。
【0060】
<S1806>
TDC181は、第2の信号生成部17からパターン信号k2を受信した場合、トリガ信号aとパターン信号k2との時間差T2を測定してデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を演算部182に送信する。
【0061】
<S1807>
演算部182は、時間差T1と時間差T2との時間差T2−1を算出する。
【0062】
<S1808>
演算部182は、時間差T2−1が所定の閾値以下の値であるかを判定する。
【0063】
<S1809>
演算部182は、時間差T2−1が所定の閾値以下でなかった場合、パターン信号k1及びk2をノイズであると判定する。その後、演算部182は、処理を終了する。
【0064】
<S1810>
演算部182は、時間差T2−1が所定の閾値以下であった場合、パターン信号k1及びk2をノイズでないと判定し、時間差T2−1に基づいて対象物2までの距離を算出する。その後、演算部182は、処理を終了する。
【0065】
なお、これまでに第1の実施形態に則って信号処理装置1の構成及び信号処理部18内の信号処理について述べてきたが、実質的に同じような機能を持つことが出来るのであれば、本実施形態の構成及び信号処理の変形も可能である。
【0066】
例えば、第1の実施形態では、第1の回路171は、パルス信号fの立ち上がり及び立ち下がりをそれぞれ正のパルス及び負のパルスで示す第1の信号gを生成したが、第1の信号gとして、上記立ち上がり及び立ち下がりをそれぞれ負のパルス及び正のパルスで示す信号を生成してもよい。この場合、第2の回路172は、負のパルスからパターン信号hを抽出し、第3の回路173は、正のパルスからパターン信号jを抽出してもよい。
【0067】
また、第1の実施形態では、第2の信号生成部17において生成されるパターン信号h及びjが正のパルスであるが、負のパルスであってもよい。この場合、信号処理部18は、負のパルスに基づいて処理を行うように構成され、例えば、負のパルスを検出出来るTDCを用いてもよい。
【0068】
また、パターン信号hは、第2の回路172により第1の信号gから抽出されるが、パターン信号jは、第4の回路1731および第5の回路1732により抽出される。そのため、パターン信号jは、パターン信号hの生成に比べて遅延が発生することがある。信号処理装置1は、その遅延を補正するための補正部を備えてもよい。信号処理装置1は、このような補正部を備えることによって、信号処理部18において、より適切なノイズ判定および測距を行うことができる。
【0069】
また、第1の実施形態では、信号処理装置1は、TDC181を1つ備えているが、2つ備えてもよい。信号処理装置1が、TDCを2つ備える場合を、第2の実施形態として
図4を参照して説明する。尚、以下では、第1の実施形態における符号と同一の符号を付す構成については、第1の実施形態と同じ機能であるため説明を省略する。
【0070】
図4に示すように、本開示の第2の実施形態に係る信号処理装置1は、信号処理部18に第1のTDC181a及び第2のTDC181bを備える。第1のTDC181a及び第2のTDC181bは、トリガ生成部12からのトリガ信号aに加えて、それぞれ第2の回路172からパターン信号h及び、第5の回路1732からパターン信号jを受信する。この場合、演算部182は、第1のTDC181a及び第2のTDC181bからそれぞれ別々に信号を受信するため、パターン信号hによる信号とパターン信号jによる信号との区別が容易になる。そのため、第2の実施形態に係る信号処理装置1は、第1の実施形態と比較して、より適切なノイズ判定および測距を行うことが可能となる。
【0071】
本開示を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形および修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【0072】
例えば、信号処理装置1に含まれる各構成部がそれぞれ異なる装置に備えられ、各装置がネットワークなどを介して接続された信号処理システムとして構成されてもよい。また、信号処理装置1は、少なくとも第1の信号生成部16および第2の信号生成部17を備え、その他の構成部とネットワークなどを介して接続されるように構成されてもよい。また、信号処理装置1は、TOF方式に基づいて対象物2までの距離を算出する測距装置として構成されてもよい。測距装置としては、例えば、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、LiDAR(Light Detection and Ranging、または、Laser Imaging Detection and Ranging)などである。
【0073】
ここまで、TOF方式に基づく装置において、反射してきた電磁波を適切に検出するための信号処理装置1について説明を行ってきたが、例えばこれは移動体3に搭載されてもよい。
【0074】
移動体3は、例えば、四輪車、三輪車、二輪車、船舶、スノーモービル、航空機またはドローンなどであってもよい。
図5には四輪車に信号処理装置1が搭載された例が示されている。なお、
図5では、信号処理装置1の配置位置は、四輪車の車室上であるが、車室上に限定されない。例えば、信号処理装置1は、車室内に配置されてもよいし、車室外のボンネット上またはトランク上などに配置されてもよい。
【0075】
信号処理装置1を移動体3に搭載することによって、移動体3の周囲に存在する対象物2を高精度に検出し、かつ対象物2と移動体3との距離を高精度に測距することが可能となる。
【0076】
また、本開示に係る信号処理方法を、本開示とは異なる信号処理装置の一機能として備えてもよい。その場合、他の信号処理によって得られる結果と組み合わせることで、移動体3の周囲に存在する対象物2の検出、及び対象物2と移動体3との距離の測距をより高精度かつ効率的に行うことが可能となる。