特許第6982051号(P6982051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982051
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】車両及びその制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/02 20060101AFI20211206BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20211206BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20211206BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20211206BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B60W40/02
   B60W50/14
   B60W60/00
   G08G1/16 C
   B62D6/00
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-219789(P2019-219789)
(22)【出願日】2019年12月4日
(65)【公開番号】特開2021-88281(P2021-88281A)
(43)【公開日】2021年6月10日
【審査請求日】2020年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【弁理士】
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100161399
【弁理士】
【氏名又は名称】大戸 隆広
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 望
(72)【発明者】
【氏名】張 末
【審査官】 山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−088504(JP,A)
【文献】 特開2019−156265(JP,A)
【文献】 特開2005−062944(JP,A)
【文献】 特開2015−074380(JP,A)
【文献】 特開2018−094943(JP,A)
【文献】 特開2017−136915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 40/02
B60W 50/14
B60W 60/00
G08G 1/16
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置であって、
前記車両の周辺環境を検出する環境検出部と、
前記周辺環境に基づいて速度又は操舵を制御する走行制御部と、
を備え、
前記走行制御部は、
前記車両が走行中の第1車線における先行車両を追い越す動作を開始するための追い越し開始条件を満たすかどうかを判定し、
前記追い越し開始条件を満たすと判定した場合に、前記第1車線から、前記第1車線に隣接する第2車線に移動し、
前記車両が前記第2車線に移動した後に、前記第1車線の状況に基づき、前記第2車線から前記第1車線に復帰するための第1復帰条件を満たすかどうかを判定し、
前記第1復帰条件を満たすと判定した場合に、前記第1車線に移動し、
前記第1復帰条件を満たさないと判定した場合に、前記第2車線の状況に基づいて前記第2車線での走行を継続するための走行継続条件を満たす間、前記第2車線を走行し続け、
前記第2車線を走行し続けている間に前記走行継続条件を満たさないと判定した場合に、
前記第2車線から前記第1車線に復帰するための第2復帰条件を満たすかどうかを判定し、
前記第2復帰条件を満たすと判定した場合に、前記第1車線に移動し、
前記第1復帰条件は、前記車両が前記先行車両の追い越しを開始する前の設定速度で前記第1車線を走行可能であるという復帰速度条件であり、
前記第2復帰条件は、前記復帰速度条件を緩和した条件である、制御装置。
【請求項2】
前記走行制御部は、前記走行継続条件を満たさず、且つ前記第2復帰条件を満たさないと判定した場合に、運転者へ運転交代を要求する、請求項に記載の制御装置。
【請求項3】
前記走行継続条件は、前記車両が前記第2車線を走行した距離が閾値距離以内であること又は前記車両が前記第2車線を走行した時間が閾値時間以内であることを含む、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記走行継続条件は、前記第2車線において自車の前方を走行する先行車両に関する条件を含む、請求項1乃至の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記走行継続条件は、前記第2車線において自車の後方を走行する後続車両に関する条件を含む、請求項1乃至の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記追い越し開始条件は、
前記第1車線において自車の前方を走行する先行車両の速度が、自車の速度よりも所定の速度以上遅いことと、
前記先行車両に自車が所定の時間以内に追いつくと予想されることと、
前記第2車線を走行中の車両が自車の周囲に存在しないことと、
自車の前方で前記第2車線を走行中の車両の速度が、自車の速度よりも所定の速度以上速いことと、
所定の距離又は時間以内に経路変更予定地点に到達しないことと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記設定速度は、前記車両の走行環境に応じて設定される、請求項1乃至6の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記設定速度は、運転者によって変更可能である、請求項1乃至7の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至の何れか1項に記載の制御装置を有する車両。
【請求項10】
コンピュータを請求項1乃至の何れか1項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両及びその制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転において、先行車両を自動的に追い越す機能が実用化されてきている。特許文献1では、走行環境と自車両及び先行車両の走行状態とに基づいて自車両による先行車両の追い越しの可否を判定し、先行車両の追い越しが可能であると判定した場合に、追い越しを実行する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−248892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行車両を追い越して元の車線に戻った後に、その後の先行車両も低速である場合に、さらに追い越し動作を行うことになる。このように追い越し動作を連続して行うと、過度に車線変更を行うことになり、好ましくない。本発明の1つの側面は、追い越し動作における過度な車線変更を抑制するための技術と提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態によれば、車両の制御装置であって、前記車両の周辺環境を検出する環境検出部と、前記周辺環境に基づいて速度又は操舵を制御する走行制御部と、を備え、前記走行制御部は、前記車両が走行中の第1車線における先行車両を追い越す動作を開始するための追い越し開始条件を満たすかどうかを判定し、前記追い越し開始条件を満たすと判定した場合に、前記第1車線から、前記第1車線に隣接する第2車線に移動し、前記車両が前記第2車線に移動した後に、前記第1車線の状況に基づき、前記第2車線から前記第1車線に復帰するための第1復帰条件を満たすかどうかを判定し、前記第1復帰条件を満たすと判定した場合に、前記第1車線に移動し、前記第1復帰条件を満たさないと判定した場合に、前記第2車線の状況に基づいて前記第2車線での走行を継続するための走行継続条件を満たす間、前記第2車線を走行し続け、前記第2車線を走行し続けている間に前記走行継続条件を満たさないと判定した場合に、前記第2車線から前記第1車線に復帰するための第2復帰条件を満たすかどうかを判定し、前記第2復帰条件を満たすと判定した場合に、前記第1車線に移動し、前記第1復帰条件は、前記車両が前記先行車両の追い越しを開始する前の設定速度で前記第1車線を走行可能であるという復帰速度条件であり、前記第2復帰条件は、前記復帰速度条件を緩和した条件である、制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、追い越し動作における過度な車線変更を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る車両の構成例を説明するブロック図。
図2】実施形態に係る追い越し動作の様々なシナリオを説明する模式図。
図3】実施形態に係る追い越し動作の様々なシナリオを説明する模式図。
図4】実施形態に係る追い越し動作の様々なシナリオを説明する模式図。
図5】実施形態に係る制御装置の動作例を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両1のブロック図である。図1において、車両1はその概略が平面図と側面図とで示されている。車両1は一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。車両1はこのような四輪車両であってもよいし、二輪車両や他のタイプの車両であってもよい。
【0010】
車両1は、車両1を制御する車両用制御装置2(以下、単に制御装置2と呼ぶ)を含む。制御装置2は車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU20〜29を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等のメモリ、外部デバイスとのインタフェース等を含む。メモリにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、メモリおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。例えば、ECU20は、プロセッサ20aとメモリ20bとを備える。メモリ20bに格納されたプログラムが含む命令をプロセッサ20aが実行することによって、ECU20による処理が実行される。これに代えて、ECU20は、ECU20による処理を実行するためのASIC等の専用の集積回路を備えてもよい。他のECUについても同様である。
【0011】
以下、各ECU20〜29が担当する機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、統合したりすることが可能である。
【0012】
ECU20は、車両1の自動運転に関わる制御を実行する。自動運転においては、車両1の操舵と、速度の少なくともいずれか一方を自動制御する。後述する制御例では、操舵と速度の双方を自動制御する。
【0013】
ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は操舵操作をアシストしたり、前輪を自動操舵したりするための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU21は、ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。
【0014】
ECU22および23は、車両の周囲状況を検知する検知ユニット41〜43の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット41は、車両1の前方を撮影するカメラであり(以下、カメラ41と表記する場合がある。)、本実施形態の場合、車両1のルーフ前部でフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。カメラ41が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0015】
検知ユニット42は、ライダ(Light Detection and Ranging)であり(以下、ライダ42と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、ライダ42は5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。検知ユニット43は、ミリ波レーダであり(以下、レーダ43と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、レーダ43は5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0016】
ECU22は、一方のカメラ41と、各ライダ42の制御および検知結果の情報処理を行う。ECU23は、他方のカメラ41と、各レーダ43の制御および検知結果の情報処理を行う。車両の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラ、ライダ、レーダといった種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0017】
ECU24は、ジャイロセンサ5、GPSセンサ24b、通信装置24cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は車両1の回転運動を検知する。ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。GPSセンサ24bは、車両1の現在位置を検知する。通信装置24cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。ECU24は、メモリに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、ECU24は現在地から目的地へのルート探索等を行う。ECU24、地図データベース24a、GPSセンサ24bは、いわゆるナビゲーション装置を構成している。
【0018】
ECU25は、車車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。
【0019】
ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7aにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御したり、車速センサ7cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替えたりする。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU26は、ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0020】
ECU27は、方向指示器8(ウィンカ)を含む灯火器(ヘッドライト、テールライト等)を制御する。図1の例の場合、方向指示器8は車両1の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。
【0021】
ECU28は、入出力装置9の制御を行う。入出力装置9は運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。音声出力装置91は運転者に対して音声により情報を報知する。表示装置92は運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は例えば運転席表面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせたりしてもよい。入力装置93は運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、音声入力装置も含まれてもよい。
【0022】
ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)を制御する。ブレーキ装置10は例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速あるいは停止させる。ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7bにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を自動制御し、車両1の減速および停止を制御する。ブレーキ装置10やパーキングブレーキは車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、これを車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0023】
図2図4を参照して、一部の実施形態にかかる追い越し動作の様々シナリオについて説明する。以下のシナリオは、制御装置2が車両1の挙動を制御することによって行われてもよい。追い越し動作とは、車両1が、先行する対象車両を追い越すために隣接車線に移動し、対象車両を追い抜いた後、元の車線に戻る一連の動作のことである。隣接車線に移動した後に対象車両が加速した場合や元の車線から移動した場合に、車両1は、対象車両を追い抜くことなく元の車線に戻ってもよい。制御装置2は、検知ユニット41〜43からの出力に基づいて車両1の周辺環境を検出し、この周辺環境に基づいて自動走行制御を実行可能である。制御装置2は、この自動走行制御の一部として追い越し動作を実行する。例えば、制御装置2は、車両1が先行車を追従中に、先行車の速度が低下したことにより車両1の設定速度を維持できなくなった場合に、追い越し動作を開始してもよい。先行車を追従する機能は、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)とも呼ばれうる。
【0024】
図2(a)に示すシナリオで、車両1は、破線204で示す経路を走行する。この経路に沿った車両1の具体的な動作について説明する。車両1は、時速100kmで車線201を走行中である。車線201は、例えば高速道路の走行車線である。車両1の前方で車両203が時速80kmで車線201を走行中である。先行する車両203が車両1よりも低速であるため、車両1は、車両203に対する追い越し動作を開始する。具体的に、車両1は、車線201に隣接する車線202に移動し、速度を時速120kmまで上昇する。車線202は、高速道路の追い越し車線であってもよいし、走行車線であってもよい。車両1は、車両203を追い抜いた後、元の車線201に戻り、時速100kmでの走行を継続する。
【0025】
図2(b)に示すシナリオで、車両1は、破線207で示す経路を走行する。この経路に沿った車両1の具体的な動作について説明する。隣接する車線202に移動後、車両203を追い抜くまでは図2(a)のシナリオと同様である。図2(b)のシナリオでは、車両203の前方で車両205が時速85kmで車線201を走行中である。破線206に示すように、車両1が車両205の後ろにつくように車線201に戻ったとする。この場合、車両205が車両1よりも低速であるため、車両1は、車両205の追い越し動作を開始することになる。このように追い越し動作が連続することは好ましくない。そのため、車両1は、車両203を追い抜いた後、車線201に戻ることなく、車線202での走行を継続する。
【0026】
図3(a)に示すシナリオで、車両1は、破線301で示す経路を走行する。この経路に沿った車両1の具体的な動作について説明する。図2(b)のシナリオと同様に、車両1は、車両205を追い抜き、車線202での走行を継続する。車線202が追い越し車線である場合に、車線202を走行し続けることは法律で禁止されている。例えば、追い越し車線を走行する車両は、2kmを目安として走行車線に戻らなければならない。そこで、車両1は、車線202に移動した後、2kmを走行した時点で元の車線201に戻り、時速100kmでの走行を継続する。
【0027】
図3(b)に示すシナリオで、車両1は、破線303で示す経路を走行する。この経路に沿った車両1の具体的な動作について説明する。図2(b)のシナリオと同様に、車両1は、車両205を追い抜き、車線202での走行を継続する。車線202を走行中の車両1の前方で、車両302が時速100kmで車線202を走行中である。車両302が車両1よりも低速であるため、車両1は、元の車線201に戻り、時速100kmでの走行を継続する。
【0028】
図3(c)に示すシナリオで、車両1は、破線305で示す経路を走行する。この経路に沿った車両1の具体的な動作について説明する。図2(b)のシナリオと同様に、車両1は、車両205を追い抜き、車線202での走行を継続する。車線202を走行中の車両1の後方で、車両304が時速135kmで車線202を走行中である。車両304が車両1よりも高速であるため、車両1は、車両304に道を譲るため、元の車線201に戻り、時速100kmでの走行を継続する。
【0029】
図4(a)に示すシナリオで、車両1は、破線402で示す経路を走行する。この経路に沿った車両1の具体的な動作について説明する。図3(a)のシナリオと同様に、車両1は、車線202を2km程度走行中である。この時点で、車両1の前方において、車両401が時速85kmで車線201を走行中である。そのため、車両1は、車線201に戻ったとしても、車両401に対する追い越し動作を実行することになる。しかし、車両1は、車線202の走行を継続できないため、元の車線201に戻り、先行する車両401と同じ時速85kmでの走行を開始する。その後、車両1は、車両401に対する追い越し動作してもよい。
【0030】
図4(b)に示すシナリオで、車両1は、破線405で示す経路を走行する。この経路に沿った車両1の具体的な動作について説明する。図2(b)のシナリオと同様に、車両1は、車両205を追い抜き、車線202での走行を継続する。車線202を走行中の車両1の前方で、車両404が時速90kmで車線202を走行中である。また、車両404に並走して、車両403が時速90kmで車線201を走行中である。そのため、車両1は、車線201に戻ったとしても、車線202に移動する前の時速100kmで走行できない。しかし、車両1は、車線202の走行を継続できないため、元の車線201に戻り、先行する車両401と同じ時速90kmでの走行を開始する。
【0031】
図4(c)に示すシナリオで、車両1は、破線409で示す経路を走行する。この経路に沿った車両1の具体的な動作について説明する。図2(b)のシナリオと同様に、車両1は、車両205を追い抜き、車線202での走行を継続する。車線202を走行中の車両1の後方で、車両406が時速135kmで車線202を走行中である。車両304が車両1よりも高速であるため、車両1は、車両304に道を譲るため、元の車線201に戻ろうとする。しかし、車両1の前方で、車両407及び車両408が隣接して車線201を走行中であるため、車両1は、自動運転によって車線201に戻ることができない。そこで、車両1は、運転者に対して運転交代を要求する。

図5を参照して、先行車両の追い越しを行う際の制御装置2の動作方法の一例について説明する。図5の動作は、制御装置2のプロセッサ(例えばプロセッサ20a)がメモリ(例えば、メモリ20b)に格納されたプログラムを実行することによって処理されてもよい。これに代えて、図5の動作の一部又は全部は、専用回路(例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)やFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ))によって実行されてもよい。
【0032】
ステップS501で、制御装置2は、追い越し開始条件を満たすかどうかを判定する。制御装置2は、追い越し開始条件を満たす場合(ステップS501で「YES」)に処理をステップS502へ遷移し、それ以外の場合(ステップS501で「NO」)にステップS501を繰り返す。追い越し開始条件とは、車両1が走行中の車線(例えば、図2の車線201)における先行車両(例えば、図2の車両203)を追い越す動作を開始するために満たす条件のことである。この先行車両を以下では対象車両と呼ぶ。例えば、追い越し開始条件は、対象車両の速度が、車両1の速度よりも時速20km以上遅いこと、又は車両1が所定の時間以内(例えば、10秒以内)に対象車両に追いつくと予想されることを含んでもよい。また、追い越し開始条件は、隣接車線を走行中の車両が車両1の周囲に存在しないこと又は車両1の前方で隣接車線を走行中の車両の速度が車両1の速度よりも時速5km以上速いことを含んでもよい。さらに、追い越し開始条件は、所定の距離(例えば、3km)又は時間(例えば、1分)以内に経路変更予定地点(例えば、高速道路の出口や分岐)に到達しないことを含んでもよい。
【0033】
制御装置2は、追い越し開始条件を満たさない場合に、ステップS501を繰り返し、追い越し開始条件を満たすまで現在の車線での走行を継続する。制御装置2は、追い越し開始条件を満たす場合に、隣接車線(例えば、図2の車線202)に移動し、必要に応じて加速する。
【0034】
ステップS503で、制御装置2は、復帰条件を満たすかどうかを判定する。制御装置2は、復帰条件を満たす場合(ステップS503で「YES」)に処理をステップS506へ遷移し、それ以外の場合(ステップS503で「NO」)に処理をステップS504へ遷移する。復帰条件とは、車両1が元の車線に戻るための条件のことであり、元の車線の状況に基づく。例えば、復帰条件は、車両1が、対象車両の追い越しを開始する前の設定速度(例えば、時速100km)で元の車線を、所定の距離又は時間、走行可能であることを含んでもよい。また、復帰条件は、車両1が入り込もうとしている2台の車間距離が閾値以上であることを含んでもよい。このように、復帰条件は、いずれも元の車線の状況に基づいている。このように、制御装置2は、車両1が対象車両を追い抜いて元の車線に戻れるのであれば、隣接車両での走行を継続せずに元の車線に戻る。制御装置2は、自動走行中の設定速度を、車両1の走行環境(例えば、先行車両の速度や速度標識等)に応じて設定してもよい。さらに、この設定速度は、車両1の運転者によって変更可能であってもよい。運転者が設定可能な設定速度の範囲が定まっていてもよい(例えば、時速60〜135km)。復帰条件を満たす場合に、ステップS506で、制御装置2は、車両1を元の車線に移動する。ステップS503で復帰条件を満たすと判定されて元の車線に移動した場合に、制御装置2は、追い越し開始前の設定速度で元の車線を走行してもよい。
【0035】
ステップS504で、制御装置2は、走行継続条件を満たすかどうかを判定する。制御装置2は、走行継続条件を満たす場合(ステップS504で「YES」)にステップS504を繰り返し、それ以外の場合(ステップS504で「NO」)に処理をステップS505へ遷移する。走行継続条件とは、車両1が隣接車線(元の車線に隣接する車線)を走行し続けるための条件のことであり、隣接車線の状況に基づく。例えば、走行継続条件は、図3(a)のシナリオで説明したように、車両1が隣接車線を走行した距離又は時間に関する条件を含んでもよい。具体的に、走行継続条件は、隣接車線の走行距離が所定の距離(例えば、2km)以内であることを含んでもよいし、隣接車線の走行時間が所定の時間(例えば、1分)以内であることを含んでもよい。また、走行継続条件は、隣接車両における車両1の先行車両に関する条件を含んでもよい。具体的に、走行継続条件は、先行車両(例えば、図3の車両302)の速度が、車両1の速度よりも時速10km以上遅いこと、又は車両1が所定の時間以内(例えば、20秒以内)に先行車両に追いつくと予想されることを含んでもよい。さらに、走行継続条件は、隣接車両における車両1の後続車両に関する条件を含んでもよい。具体的に、走行継続条件は、後続車両(例えば、図3の車両304)の速度が、車両1の速度よりも時速10km以上速いこと、又は車両1が所定の時間以内(例えば、20秒以内)に後続車両に追いつかれると予想されることを含んでもよい。このように、走行継続条件は、いずれも隣接車線の状況に基づいている。制御装置2は、走行継続条件を満たす場合に、ステップS504を繰り返す。すなわち、制御装置2は、走行継続条件を満たす間、隣接車線を走行し続ける。これによって、過度な車線変更が抑制される。
【0036】
ステップS505で、制御装置2は、復帰条件を満たすかどうかを判定する。制御装置2は、復帰条件を満たす場合(ステップS505で「YES」)に処理をステップS506へ遷移し、それ以外の場合(ステップS505で「NO」)に処理をステップS507へ遷移する。復帰条件とは、ステップS503で説明したように、車両1が元の車線に戻るための条件のことである。
【0037】
復帰条件を満たす場合に、ステップS506で、制御装置2は、車両1を元の車線に移動する。一方、復帰条件を満たさない場合に、隣接車線の走行を継続すべきでないのにもかかわらず、車両1は元の車線に戻れない。そのため、制御装置2は、ステップS507で、運転者へ運転交代を要求してもよい。これに代えて、制御装置2は、隣接車線での走行を継続してもよい。
【0038】
ステップS505の復帰条件は、ステップS503の復帰条件を緩和したものであってもよい。これによって、走行継続条件が満たされなくなった後に、車両1が元の車線に戻りやすくなる。復帰条件を緩和することは、例えば、車両1が、対象車両の追い越しを開始する前の設定速度で元の車線を、所定の距離又は時間、走行可能であることを緩和することを含んでもよい。例えば、図4(a)のシナリオで説明したように、制御装置2は、走行継続条件が満たされなくなった後は、車線201を時速85kmで走行することになったとしても、復帰条件を満たすとして車両1を車線201へ移動する。
【0039】
<実施形態のまとめ>
<項目1>
車両(1)の制御装置(2)であって、
前記車両の周辺環境を検出する環境検出部(41〜43)と、
前記周辺環境に基づいて速度又は操舵を制御する走行制御部(20)と、
を備え、
前記走行制御部は、
前記車両が走行中の第1車線における先行車両(203)を追い越す動作を開始するための第1条件を満たすかどうかを判定し(S501)、
前記第1条件を満たすと判定した場合に、前記第1車線から、前記第1車線に隣接する第2車線に移動し(S502)、
前記車両が前記第2車線に移動した後に、前記第1車線の状況に基づく第2条件を満たすかどうかを判定し(S503)、
前記第2条件を満たすと判定した場合に、前記第1車線に移動し(S506)、
前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記第2車線を走行し続ける(S504)、制御装置。
この項目によれば、追い越し動作における過度な車線変更を抑制できる。
<項目2>
前記走行制御部は、前記車両が前記第2車線に移動し、前記第2条件を満たさないと判定した場合に、前記第2車線の状況に基づく第3条件を満たす間、前記第2車線を走行し続ける、項目1に記載の制御装置。
この項目によれば、隣接車線を所定の条件を満たす間走行し続けることができる。
<項目3>
前記走行制御部は、前記第3条件を満たさず、且つ前記第2条件を満たすと判定した場合に、前記第1車線に移動する、項目2に記載の制御装置。
この項目によれば、隣接車線を必要以上に走行することを抑制できる。
<項目4>
前記走行制御部は、前記第3条件を満たさず、且つ前記第2条件を満たさないと判定した場合に、運転者へ運転交代を要求する(S507)、項目2又は3に記載の制御装置。
この項目によれば、運転者が操作することによって、隣接車線を必要以上に走行することを抑制できる。
<項目5>
前記走行制御部は、前記第2条件を満たさないと判定された後に前記第3条件を満たさないと判定した場合に、前記第2条件を緩和する、項目2乃至4の何れか1項に記載の制御装置。
この項目によれば、隣接車線を走行できない場合に元の車線に移動しやすくなる。
<項目6>
前記第3条件は、前記車両が前記第2車線を走行した距離が閾値距離以内であること又は前記車両が前記第2車線を走行した時間が閾値時間以内であることを含む、項目2乃至5の何れか1項に記載の制御装置。
この項目によれば、法規を守るように隣接車線を走行できる。
<項目7>
前記第3条件は、前記第2車線における前記車両の先行車両(302)に関する条件を含む、項目2乃至6の何れか1項に記載の制御装置。
この項目によれば、先行車両に追いついた場合に元の車線に移動できる。
<項目8>
前記第3条件は、前記第2車線における前記車両の後続車両(304)に関する条件を含む、項目2乃至7の何れか1項に記載の制御装置。
この項目によれば、後続車両に追いつかれた場合に元の車線に移動できる。
<項目9>
前記第2条件は、前記先行車両の追い越しを開始する前の設定速度で前記第1車線を走行可能であることを含む、項目1乃至8の何れか1項に記載の制御装置。
この項目によれば、追い越し動作の前後で設定速度を維持できる。
<項目10>
前記設定速度は、前記車両の走行環境に応じて設定される、項目9に記載の制御装置。
この項目によれば、設定速度が適切に設定される。
<項目11>
前記設定速度は、運転者によって変更可能である、項目9又は10に記載の制御装置。
この項目によれば、設定速度を運転者の意思によって変更できる。
<項目12>
項目1乃至11の何れか1項に記載の制御装置(2)を有する車両(1)。
この項目によれば、車両の形態で上述の項目が提供される。
<項目13>
コンピュータを項目1乃至11の何れか1項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
この項目によれば、プログラムの形態で上述の項目が提供される。
【0040】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 車両、2 制御装置、201 車線、202 車線
図1
図2
図3
図4
図5