特許第6982060号(P6982060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6982060表示適応のための色再マッピング情報SEIメッセージシグナリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982060
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】表示適応のための色再マッピング情報SEIメッセージシグナリング
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/70 20140101AFI20211206BHJP
   H04N 19/85 20140101ALI20211206BHJP
【FI】
   H04N19/70
   H04N19/85
【請求項の数】17
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2019-506626(P2019-506626)
(86)(22)【出願日】2017年8月8日
(65)【公表番号】特表2019-527996(P2019-527996A)
(43)【公表日】2019年10月3日
(86)【国際出願番号】US2017045947
(87)【国際公開番号】WO2018031572
(87)【国際公開日】20180215
【審査請求日】2020年7月9日
(31)【優先権主張番号】62/372,692
(32)【優先日】2016年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/670,832
(32)【優先日】2017年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100184332
【弁理士】
【氏名又は名称】中丸 慶洋
(72)【発明者】
【氏名】ソール・ロジャルス、ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ブーダイジュ・シャンスル、ドネ
(72)【発明者】
【氏名】ラマスブラモニアン、アダルシュ・クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ルサノフスキー、ドミトロ
【審査官】 坂東 大五郎
(56)【参考文献】
【文献】 Rajan Joshi, et.al.,High Efficiency Video Coding (HEVC) Screen Content Coding: Draft 6,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JCTVC-W1005-v1,2016年03月24日,pp.302,366-368
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N19/00−19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
復号済ビデオデータを処理する方法であって、
ビデオ復号ユニットが、現在のディスプレイのピーク輝度値を決定することと、
前記ビデオ復号ユニットが、ビデオデータのピクチャについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを取得することと、ここにおいて、前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、前記それぞれのピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を含む、
前記CRI SEIメッセージのそれぞれのCRI SEIメッセージごとに、前記それぞれのCRI SEIメッセージに含まれる前記それぞれのcolour_remap_idシンタックス要素の値に基づいて、前記それぞれのピーク輝度値を決定することと、
前記ビデオ復号ユニットが、前記現在のディスプレイの前記ピーク輝度値に基づいて、前記1つまたは複数のCRI SEIメッセージのうちの1つのCRI SEIメッセージを選択することと、
前記ビデオ復号ユニットが、前記選択されたCRI SEIメッセージに基づいて、前記ビデオデータのピクチャのサンプルを色再マッピングすることと、
前記ビデオ復号ユニットが、前記現在のディスプレイでの表示のために、前記ビデオデータのピクチャの前記色再マッピングされたサンプルを出力することと
を備える方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数のCRI SEIメッセージのうちの特定のCRI SEIメッセージに対応する前記ピーク輝度値を次式:
【数1】
に従って決定すること
をさらに備え、
ここにおいて、Tmlは、前記特定のCRI SEIメッセージに対応する前記ピーク輝度値であり、colour_remap_idNは、前記特定のCRI SEIメッセージに含まれる前記colour_remap_idシンタックス要素であり、ceilは、切上げ関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビデオデータのピクチャは、コード化されたビデオビットストリーム中に、ビデオデータの現在のイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャを備え、前記方法は、
前記ビデオ復号ユニットが、前記コード化されたビデオビットストリーム中のビデオデータの各後続のIRAPピクチャについて、同じピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数のCRI SEIメッセージを含むCRI SEIメッセージのそれぞれのセットを取得すること
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択されたCRI SEIに基づいて、前記メッセージの情報が前記ビデオデータのピクチャの復号済サンプルに適用されるべきか、前記復号済サンプルの処理後の前記復号済サンプルに適用されるべきかを決定すること
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択されたCRI SEIメッセージの前記それぞれのcolour_remap_idシンタックス要素に基づいて、前記選択されたCRI SEIメッセージの情報が、Y’CbCrドメインにある前記ビデオデータのピクチャの復号済サンプルに適用されるべきか、RGBドメインへの前記復号済サンプルの変換後の前記復号済サンプルに適用されるべきかを決定すること
をさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記CRI SEIメッセージを選択することは、
前記ビデオ復号ユニットが、前記現在のディスプレイの前記ピーク輝度値と、前記現在のディスプレイの色域および前記現在のディスプレイによってサポートされている伝達関数のうちの一方または両方とに基づいて、前記CRI SEIメッセージを選択すること
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ビデオデータを符号化する方法であって、
ビデオエンコーダが、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについてのサンプル値を符号化することと、
前記ビデオエンコーダが、前記ビットストリームにおいて、前記ビデオデータのピクチャについての1つまたは複数の色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを符号化することと、前記CRI SEIメッセージの各々は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に対応し、前記それぞれのCRI SEIメッセージが対応する前記ピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を含む、
前記ビデオエンコーダが、前記ビットストリームを出力することと
を備える方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数のCRI SEIメッセージのうちの特定のCRI SEIメッセージのcolour_remap_idシンタックス要素を符号化することは、前記特定のcolour_remap_idシンタックス要素の値を次の関係性:
【数2】
に従って、符号化することを備え、
ここにおいて、Tmlは、前記特定のCRI SEIメッセージに対応する前記ピーク輝度値であり、colour_remap_idNは、前記特定のCRI SEIメッセージに含まれる前記colour_remap_idシンタックス要素であり、ceilは、切上げ関数である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記それぞれのピーク輝度値は、最大光度100ニトから最大光度10000ニトまでの間にあるそれぞれの値を有する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記ビデオデータのピクチャは、ビデオデータの現在のイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャを備え、前記方法は、
前記ビデオエンコーダが、ビデオデータの各後続のIRAPピクチャについて、同じピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数のCRI SEIメッセージを含むCRI SEIメッセージのそれぞれのセットを符号化すること をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、
10の値を有するそれぞれのcolour_remap_input_bit_depthシンタックス要素
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数のCRI SEIメッセージの各それぞれのメッセージにおいて、前記colour_remap_idシンタックス要素は、さらに、ビデオ復号ユニットが前記それぞれのメッセージの情報を前記ビデオデータのピクチャの復号済サンプルに適用すべきか、前記復号済サンプルの処理後の前記復号済サンプルに適用すべきかを示
請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数のCRI SEIメッセージを符号化することは、
前記それぞれのCRI SEIメッセージに対応する前記ピーク輝度値と、前記ビデオ復号ユニットが前記それぞれのCRI SEIメッセージの前記情報をY’CbCrドメインにある前記ビデオデータのピクチャの復号済サンプルに適用すべきか、または、RGBドメインへの前記復号済サンプルの変換後の前記復号済サンプルに適用すべきかを示す値と、の両方を有する前記それぞれのCRI SEIメッセージについての前記colour_remap_idシンタックス要素を符号化すること
を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
復号ビデオデータを処理するためのデバイスであって、
ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、
ビデオ復号ユニットと
を備え、前記ビデオ復号ユニットは、
現在のディスプレイのピーク輝度値を決定することと、
前記ビデオデータのピクチャについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを取得することと、ここにおいて、前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、前記それぞれのピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を含む、
前記CRI SEIメッセージのそれぞれのCRI SEIメッセージごとに、前記それぞれのCRI SEIメッセージに含まれる前記それぞれのcolour_remap_idシンタックス要素の値に基づいて、前記それぞれのピーク輝度値を決定することと、
前記現在のディスプレイの前記ピーク輝度値に基づいて、前記1つまたは複数のCRI SEIメッセージのうちの1つのCRI SEIメッセージを選択することと、
前記選択されたCRI SEIメッセージに基づいて、前記ビデオデータのピクチャのサンプルを色再マッピングすることと、
前記現在のディスプレイでの表示のために、前記ビデオデータのピクチャの前記色再マッピングされたサンプルを出力することと
をするように構成される、デバイス。
【請求項15】
ビデオデータを符号化するためのデバイスであって、
前記ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、
ビデオ符号化ユニットと
を備え、ビデオ符号化ユニットは、
ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについてのサンプル値を符号化することと、
前記ビットストリームにおいて、前記ビデオデータのピクチャについての1つまたは複数の色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを符号化することと、前記CRI SEIメッセージの各々は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に対応し、前記それぞれのCRI SEIメッセージが対応する前記ピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を含む、
前記ビットストリームを出力することと
をするように構成される、デバイス。
【請求項16】
前記それぞれのピーク輝度値は、最大光度100ニトから最大光度10000ニトまでの間にあるそれぞれの値を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、
10の値を有するそれぞれのcolour_remap_input_bit_depthシンタックス要素
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本願は、2016年8月9日付で出願された米国仮出願第62/372,692号の利益を主張し、この全内容は、これによって、参照により組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、ビデオコーディングに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] デジタルビデオ能力は、デジタルテレビ、デジタルダイレクトブロードキャストシステム、ワイヤレスブロードキャストシステム、携帯情報端末(PDA)、ラップトップまたはデスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、電子ブックリーダ、デジタルカメラ、デジタル記録デバイス、デジタルメディアプレーヤ、ビデオゲームデバイス、ビデオゲーム機、セルラ式または衛星無線電話、いわゆる「スマートフォン」、ビデオテレビ会議デバイス、ビデオストリーミングデバイス、および同様のものを含む、広範囲のデバイスに組み込まれることができる。デジタルビデオデバイスは、MPEG−2、MPEG−4、ITU−T H.263、ITU−T H.264/MPEG−4,パート10,アドバンスドビデオコーディング(AVC:Advanced Video Coding)、ITU−T H.265、高効率ビデオコーディング(HEVC:High Efficiency Video Coding)およびそのような規格の拡張版によって定義されている規格に記載されているもののような、ビデオコーディング技法を実施する。ビデオデバイスは、そのようなビデオコーディング技法を実施することで、デジタルビデオ情報をより効率的に送信、受信、符号化、復号、および/または記憶し得る。
【0004】
[0004] ビデオコーディング技法は、ビデオシーケンスに内在する冗長性を低減または取り除くために、空間(イントラピクチャ)予測および/または時間(インターピクチャ)予測を含む。ブロックベースのビデオコード化の場合、ビデオスライス(例えば、ビデオフレームまたはビデオフレームの一部)は、ツリーブロック、コード化単位(CU:coding unit)、および/またはコード化ノードとも呼ばれ得るビデオブロックへと区分化され得る。ピクチャのイントラコード化された(I)スライス中のビデオブロックは、同じピクチャにおける隣接ブロック中の基準サンプルに対して空間予測を使用して符号化される。ピクチャのインターコード化された(PまたはB)スライス中のビデオブロックは、同じピクチャにおける隣接ブロック中の基準サンプルに対して空間予測を使用するかまたは他の参照ピクチャ中の基準サンプルに対して時間予測を使用し得る。ピクチャは、フレームと呼ばれ得、参照ピクチャは、参照フレームと呼ばれ得る。
【0005】
[0005] 空間または時間予測は、コード化されることとなるブロックについての予測ブロックをもたらす。残差データは、コード化されることとなる元のブロックと予測ブロックとの間の画素差を表す。インターコード化されたブロックは、予測ブロックを形成する基準サンプルのブロックを指し示す動きベクトルと、コード化されたブロックと予測ブロックとの間の差分を示す残差データとに従って符号化される。イントラコード化されたブロックは、イントラコード化モードと残差データとに従って符号化される。さらなる圧縮のために、残差データは、画素ドメインから変換ドメインに変換され得、これは、残差変換係数に帰着し、これは、その後量子化され得る。最初は二次元アレイで配置されている、量子化された変換係数は、一次元ベクトルの変換係数を作り出すために走査され得、エントロピーコード化が、さらなる圧縮を達成するために適用され得る。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 一例において、復号済ビデオデータ(decoded video data)を処理する方法は、ビデオ復号ユニットが、現在のディスプレイ(a current display)のピーク輝度値(a peak brightness value)を決定することと、ビデオ復号ユニットが、ビデオデータのピクチャ(a picture of video data)について、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値(a respective peak brightness value of a set of peak brightness values)に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージ(one or more colour remapping messages)を取得することと、ビデオ復号ユニットが、現在のディスプレイのピーク輝度値に基づいて、1つまたは複数の色再マッピングメッセージのうちの1つの色再マッピングメッセージを選択することと、ビデオ復号ユニットが、選択された色再マッピングメッセージに基づいて、ビデオデータのピクチャのサンプル(samples of the picture of video data)を色再マッピングすることと、ビデオ復号ユニットが、現在のディスプレイでの表示のために、ビデオデータのピクチャの色再マッピングされたサンプルを出力することとを含む。
【0007】
[0007] 別の例において、ビデオデータを符号化する方法は、ビデオエンコーダが、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについてのサンプル値(sample values for a picture of video data)を符号化することと、ビデオエンコーダが、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについての1つまたは複数の色再マッピングメッセージを符号化することと、ここで、色再マッピングメッセージの各々は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に対応する、ビデオエンコーダが、ビットストリームを出力することとを含む。
【0008】
[0008] 別の例において、復号済ビデオデータを処理するためのデバイスは、ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、ビデオ復号ユニットとを含む。この例において、ビデオ復号ユニットは、現在のディスプレイのピーク輝度値を決定することと、ビデオデータのピクチャについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを取得することと、現在のディスプレイのピーク輝度値に基づいて、1つまたは複数の色再マッピングメッセージのうちの1つの色再マッピングメッセージを選択することと、選択された色再マッピングメッセージに基づいて、ビデオデータのピクチャのサンプルを色再マッピングすることと、現在のディスプレイでの表示のために、ビデオデータのピクチャの色再マッピングされたサンプルを出力することとをするように構成される。
【0009】
[0009] 別の例において、ビデオデータを符号化するためのデバイスは、ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、ビデオ符号化ユニットとを含む。この例において、ビデオ復号ユニットは、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについてのサンプル値を符号化することと、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについての1つまたは複数の色再マッピングメッセージを符号化することと、ここで、色再マッピングメッセージの各々は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に対応する、ビットストリームを出力することとをするように構成される。
【0010】
[0010] 別の例において、復号済ビデオデータを処理するためのデバイスは、現在のディスプレイのピーク輝度値を決定するための手段と、ビデオデータのピクチャについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを取得するための手段と、現在のディスプレイのピーク輝度値に基づいて、1つまたは複数の色再マッピングメッセージのうちの1つの色再マッピングメッセージを選択するための手段と、選択された色再マッピングメッセージに基づいて、ビデオデータのピクチャのサンプルを色再マッピングするための手段と、現在のディスプレイでの表示のために、ビデオデータのピクチャの色再マッピングされたサンプルを出力するための手段とを含む。
【0011】
[0011] 別の例において、ビデオデータを符号化するためのデバイスは、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについてのサンプル値を符号化するための手段と、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについての1つまたは複数の色再マッピングメッセージを符号化するための手段と、ここで、色再マッピングメッセージの各々は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に対応する、ビットストリームを出力するための手段とを含む。
【0012】
[0012] 別の例において、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、命令を記憶し、これら命令は、実行されると、ビデオ処理デバイスの1つまたは複数のプロセッサに、現在のディスプレイのピーク輝度値を決定することと、ビデオデータのピクチャについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを取得することと、現在のディスプレイのピーク輝度値に基づいて、1つまたは複数の色再マッピングメッセージのうちの1つの色再マッピングメッセージを選択することと、選択された色再マッピングメッセージに基づいて、ビデオデータのピクチャのサンプルを色再マッピングすることと、現在のディスプレイでの表示のために、ビデオデータのピクチャの色再マッピングされたサンプルを出力することとをさせる。
【0013】
[0013] 別の例において、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、命令を記憶し、これら命令は、実行されると、ビデオ符号化デバイスの1つまたは複数のプロセッサに、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについてのサンプル値を符号化することと、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについての1つまたは複数の色再マッピングメッセージを符号化することと、ここで、色再マッピングメッセージの各々は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に対応する、ビットストリームを出力することとをさせる。
【0014】
[0014] 1つまたは複数の例の詳細が、添付の図面および以下の説明において示される。他の特徴、目的、および利点は、本説明および図面からおよび特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の技法を実施するように構成された例となるビデオ符号化および復号システムを例示するブロック図である。
図2】高ダイナミックレンジ(HDR:high dynamic range)データのコンセプトを例示する図である。
図3】高解像度テレビ(HDTV:high definition television)(BT.709)および超高解像度テレビ(UHDTV:ultra high definition television)(BT.2020)のビデオ信号の色域を比較する概念図である。
図4】HDR/WCG表現変換を示す概念図である。
図5】HDR/WCG逆変換を示す概念図である。
図6】伝達関数のいくつかの例を示す概念図である。
図7】CRI SEIメッセージを適用するときにビデオデコーダによって使用される色再マッピング情報/プロセスの典型的構造を示す概念図である。
図8】本開示の技法に係る、1つまたは複数の色再マッピングメッセージでビデオデータのピクチャを符号化するための例となる方法を例示するフローチャートである。
図9】本開示の技法に係る、1つまたは複数の色再マッピングメッセージでビデオデータのピクチャを復号するための例となる方法を例示するフローチャートである。
【詳細な説明】
【0016】
[0024] 本開示は、高ダイナミックレンジ(HDR:High Dynamic Range)および広色域(WCG:Wide Color Gamut)表現でのビデオ信号のコーディングの分野に関する。より具体的には、本開示の技法は、H.265/HEVCビデオコーディング規格で定められている色再マッピング情報(CRI)SEIメッセージの適用を改善するためのいくつかの方法を含む。本開示は、異なる能力のターゲットディスプレイへの表示適応のためにCRI SEIのシグナリングを可能にする手段を含む。
【0017】
[0025] ハイブリッドベースのビデオコーディング規格を含むビデオコーディング規格には、ITU−T H.261、ISO/IEC MPEG−1 Visual、ITU−T H.262またはISO/IEC MPEG−2 Visual、ITU−T H.263、ISO/IEC MPEG−4 Visual、および(ISO/IEC MPEG−4 AVCとしても知られている)ITU−T H.264に加え、そのSVC(Scalable Video Coding)およびMVC(Multi-view Video Coding)拡張が含まれる。新たなビデオコーディング規格、すなわちHEVC、の設計は、ITU−T VCEG(Video Coding Experts Group)とISO/IEC MPEG(Motion Picture Experts Group)とからなるJCT−VC(Joint Collaboration Team on Video Coding)によって確定されている。HEVCワーキングドラフト10(WD10)と呼ばれるHEVCドラフト仕様、すなわち、Bross等による「High efficiency video coding (HEVC) text specification draft 10 (for FDIS & Last Call)」,ITU−T SG16 WP3とISO/IEC JTC1/SC29/WG11とからなるJCT−VC(Joint Collaborative Team on Video Coding),第12回会合:ジュネーブ,CH,2013年1月14〜23日,JCTVC−L1003v3、は、http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/documents/12_Geneva/wg11/JCTVC-L1003-v34.zipから入手可能である。この確定されたHEVC規格は、HEVCバージョン1と呼ばれる。
【0018】
[0026] 不具合報告、すなわち、Wang等による「High efficiency video coding (HEVC) Defect Report」,ITU−T SG16 WP3とISO/IEC JTC1/SC29/WG11とからなるJCT−VC,第14回会合:ジュネーブ,AT,2013年7月25〜8月2日,JCTVC−N1003v1、は、http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/documents/14_Vienna/wg11/JCTVC-N1003-v1.zipから入手可能である。確定されたHEVC規格の文書は、ITU-T H.265,Series H: Audiovisual and Multimedia Systems, Infrastructure of audiovisual services - Coding of moving video, High efficiency video coding, Telecommunication Standardization Sector of International Telecommunication Union (ITU),2013年4月、として発行されており、別のバージョンが2014年10月に発行された。
【0019】
[0027] 図1は、本開示の技法を利用し得る例となるビデオ符号化および復号システム10を例示するブロック図である。図1に示されるように、システム10は、宛先デバイス14によって後の時間に復号されることとなる符号化済ビデオデータを供給するソースデバイス12を含む。特に、ソースデバイス12は、コンピュータ読取可能な媒体16を介して宛先デバイス14にビデオデータを供給する。ソースデバイス12および宛先デバイス14は、デスクトップコンピュータ、ノートブック(すなわち、ラップトップ)コンピュータ、タブレットコンピュータ、セットトップボックス、いわゆる「スマート」フォンのような電話ハンドセット、いわゆる「スマート」パッド、テレビ、カメラ、ディスプレイデバイス、デジタルメディアプレーヤ、ビデオゲーム機、ビデオストリーミングデバイス、または同様のものを含む、広範囲のデバイスのうちの任意のものを備え得る。いくつかのケースにおいて、ソースデバイス12および宛先デバイス14は、ワイヤレス通信のために装備され得る。
【0020】
[0028] 宛先デバイス14は、コンピュータ読取可能な媒体16を介して、復号されることとなる符号化済ビデオデータを受信し得る。コンピュータ読取可能な媒体16は、符号化済ビデオデータをソースデバイス12から宛先デバイス14に移動させる能力がある任意のタイプの媒体またはデバイスを備え得る。一例において、コンピュータ読取可能な媒体16は、ソースデバイス12が符号化済ビデオデータをリアルタイムに直接宛先デバイス14に送信することを可能にするための通信媒体を備え得る。符号化済ビデオデータは、ワイヤレス通信プロトコルのような通信規格に従って変調され、宛先デバイス14に送信され得る。通信媒体は、無線周波数(RF)スペクトルまたは1つまたは複数の物理伝送線のような任意のワイヤレスまたはワイヤード通信媒体を備え得る。通信媒体は、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、またはインターネットのようなグローバルネットワークといった、パケットベースのネットワークの一部を形成し得る。通信媒体は、ルータ、スイッチ、基地局、またはソースデバイス12から宛先デバイス14への通信を容易にするのに有益であり得る任意の他の機器を含み得る。
【0021】
[0029] いくつかの例では、符号化済データが、出力インターフェース22から記憶デバイスに出力され得る。同様に、符号化済データは、入力インターフェースによって記憶デバイスからアクセスされ得る。記憶デバイスは、ハードドライブ、ブルーレイディスク、DVD、CD−ROM、フラッシュメモリ、揮発性または非揮発性メモリ、または符号化済ビデオデータを記憶するための任意の他の適切なデジタル記憶媒体のような様々な分散型または局所的にアクセスされるデータ記憶媒体のうちの任意のものを含み得る。さらなる例において、記憶デバイスは、ファイルサーバ、またはソースデバイス12によって生成される符号化済ビデオを記憶し得る別の中間記憶デバイスに対応し得る。宛先デバイス14は、ストリーミングまたはダウンロードを介して、記憶デバイスから、記憶されたビデオデータにアクセスし得る。ファイルサーバは、符号化済ビデオデータを記憶することおよび符号化済ビデオデータを宛先デバイス14に送信することを行う能力がある任意のタイプのサーバであり得る。例となるファイルサーバは、(例えば、ウェブサイトのための)ウェブサーバ、FTPサーバ、ネットワーク接続記憶(NAS:network attached storage)デバイス、またはローカルディスクドライブを含む。宛先デバイス14は、インターネット接続を含む、任意の標準データ接続を通じて符号化済ビデオデータにアクセスし得る。これは、ファイルサーバに記憶されている符号化済ビデオデータにアクセスするのに適したワイヤレスチャネル(例えば、Wi−Fi接続)、ワイヤード接続(例えば、DSL、ケーブルモデム、等)、または両方の組合せを含み得る。記憶デバイスからの符号化済ビデオデータの送信は、ストリーミング送信、ダウンロード送信、またはそれらの組合せであり得る。
【0022】
[0030] 本開示の技法は、必ずしも、ワイヤレスアプリケーションまたはセッティングに制限されるわけではない。本技法は、無線テレビ放送、ケーブルテレビ送信、衛星テレビ送信、DASH(dynamic adaptive streaming over HTTP)のようなインターネットストリーミングビデオ送信、データ記憶媒体上で符号化されるデジタルビデオ、データ記憶媒体上に記憶されたデジタルビデオの復号、または他のアプリケーションのような、様々なマルチメディアアプリケーションのうちの任意のものをサポートして、ビデオコーディングに適用され得る。いくつかの例において、システム10は、ビデオストリーミング、ビデオ再生、ビデオブロードキャスト、および/またはビデオ電話のようなアプリケーションをサポートするために、単方向または双方向のビデオ送信をサポートするように構成され得る。
【0023】
[0031] 図1の例において、ソースデバイス12は、ビデオソース18と、ビデオプリプロセッサ19およびビデオエンコーダ20を含むビデオ符号化ユニット21と、出力インターフェース22とを含む。宛先デバイス14は、入力インターフェース28と、ビデオデコーダ30およびビデオポストプロセッサ31を含むビデオ復号ユニット29と、ディスプレイデバイス32とを含む。本開示によれば、ビデオプリプロセッサ19およびビデオポストプロセッサ31は、本開示で説明する例となる技法を適用するように構成され得る。例えば、ビデオプリプロセッサ19およびビデオポストプロセッサ31は、信号特性を適応させることができる前処理ユニットおよび後処理ユニットで、静的伝達関数(static transfer function)を適用するように構成された静的伝達関数ユニットを含み得る。
【0024】
[0032] 他の例では、ソースデバイスおよび宛先デバイスが、他の構成要素または配置を含み得る。例えば、ソースデバイス12は、外部カメラのような外部ビデオソース18からビデオデータを受信し得る。同様に、宛先デバイス14は、統合されたディスプレイデバイスを含むよりむしろ外部ディスプレイデバイスとインターフェース接続し得る。
【0025】
[0033] 図1の例示されるシステム10は一例に過ぎない。ビデオデータを処理するための技法は、任意のデジタルビデオ符号化および/または復号デバイスによって行われ得る。一般に、本開示の技法は、ビデオ符号化デバイスによって行われるが、本技法は、典型的に「CODEC」と呼ばれるビデオエンコーダ/デコーダによっても行われ得る。説明を容易にするために、本開示は、ソースデバイス12および宛先デバイス14のうちのそれぞれ該当するものにおいて本開示で説明される例となる技法を行うビデオプリプロセッサ19およびビデオポストプロセッサ31に関して説明されている。ソースデバイス12および宛先デバイス14は、ソースデバイス12が宛先デバイス14への送信のためのコード化済ビデオデータを生成するそのようなコード化デバイスの例に過ぎない。いくつかの例において、デバイス12、14は、デバイス12、14の各々がビデオ符号化および復号構成要素を含むように略対称的に動作し得る。そのため、システム10は、例えば、ビデオストリーミング、ビデオ再生、ビデオブロードキャスティング、またはビデオ電話のために、ビデオデバイス12、14間の単方向または双方向のビデオ送信をサポートし得る。
【0026】
[0034] ソースデバイス12のビデオソース18は、ビデオカメラのようなビデオキャプチャデバイス、前にキャプチャされたビデオを含むビデオアーカイブ、および/またはビデオコンテンツプロバイダからビデオを受信するためのビデオフィードインターフェースを含み得る。さらなる代替として、ビデオソース18は、ソースビデオとしてコンピュータグラフィックベースのデータ、またはライブビデオ、アーカイブされたビデオ、およびコンピュータ生成されたビデオの組合せを生成し得る。いくつかのケースにおいて、ビデオソース18がビデオカメラである場合、ソースデバイス12および宛先デバイス14は、いわゆるカメラ電話またはビデオ電話を形成し得る。しかしながら、上述したように、本開示で説明される技法は、一般にビデオコード化に適用可能であり得、ワイヤレスおよび/またはワイヤードアプリケーションに適用され得る。いずれのケースでも、キャプチャされた、前にキャプチャされた、またはコンピュータ生成されたビデオは、ビデオ符号化ユニット21によって符号化され得る。その後、符号化済ビデオ情報は、コンピュータ読取可能な媒体16上に出力インターフェース22によって出力され得る。
【0027】
[0035] コンピュータ読取可能な媒体16は、ワイヤレスブロードキャストまたはワイヤードネットワーク送信のような一時的な媒体、またはハードディスク、フラッシュドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク、または他のコンピュータ読取可能な媒体のような記憶媒体(すなわち、非一時的な記憶媒体)を含み得る。いくつかの例では、ネットワークサーバ(図示されない)が、ソースデバイス12から符号化済ビデオデータを受信し、例えば、ネットワーク送信を介して、符号化済ビデオデータを宛先デバイス14に供給し得る。同様に、ディスクスタンピング設備のような媒体製造設備(medium production facility)のコンピューティングデバイスは、符号化済ビデオデータをソースデバイス12から受信し、符号化済ビデオデータを含むディスクを作り出し得る。従って、コンピュータ読取可能な媒体16は、様々な例において、様々な形式の1つまたは複数のコンピュータ読取可能な媒体を含むと理解され得る。
【0028】
[0036] 宛先デバイス14の入力インターフェース28は、コンピュータ読取可能な媒体16から情報を受信する。コンピュータ読取可能な媒体16の情報は、ビデオ符号化ユニット21のビデオエンコーダ20によって定義されており、ビデオ復号ユニット29のビデオデコーダ30によっても使用されるシンタックス情報を含み得、これは、ブロックおよび他のコード化単位、例えば、ピクチャグループ(GOP:groups of pictures)、の処理および/または特性を説明するシンタックス要素を含む。ディスプレイデバイス32は、復号済ビデオデータをユーザに表示し、ブラウン管(CRT:cathode ray tube)、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED:organic light emitting diode)ディスプレイ、または別のタイプのディスプレイデバイスのような様々なディスプレイデバイスのうちの任意のものを備え得る。
【0029】
[0037] 例示されるように、ビデオプリプロセッサ19は、ビデオソース18からビデオデータを受信する。ビデオプリプロセッサ19は、ビデオデータを処理して、それを、ビデオエンコーダ20での符号化に適した形式へと変換するように構成され得る。例えば、ビデオプリプロセッサ19は、(例えば、非線形伝達関数(a non-linear transfer function)を使用した)ダイナミックレンジ圧縮、よりコンパクトまたはロバストな色空間(color space)への色変換、および/または浮動整数表現変換(floating-to-integer representation conversion)を行い得る。ビデオエンコーダ20は、ビデオプリプロセッサ19によって出力されるビデオデータに対してビデオ符号化を行い得る。ビデオデコーダ30は、ビデオデータを復号するためにビデオエンコーダ20の逆動作を行い得、ポストプロセッサ31は、ビデオデータを表示に適した形式へと変換するためにビデオプリプロセッサ19の逆を行い得る。例えば、ビデオポストプロセッサ31は、整数/浮動変換(integer-to-floating conversion)、コンパクトまたはロバストな色空間からの色変換、および/またはダイナミックレンジ圧縮の逆を行って、表示に適したビデオデータを生成し得る。
【0030】
[0038] ビデオ符号化ユニット21およびビデオ復号ユニット29は各々、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、ディスクリート論理回路、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せのような、様々な固定関数およびプログラマブル回路のうちの任意のものとして実施され得る。本技法が部分的にソフトウェアで実施される場合、デバイスは、本開示の技法を行うために、このソフトウェアのための命令を、適切で非一時的なコンピュータ読取可能な媒体に記憶し、1つまたは複数のプロセッサを使用してハードウェアで命令を実行し得る。ビデオ符号化ユニット21およびビデオ復号ユニット29の各々は、1つまたは複数のエンコーダまたはデコーダに含まれ得、それらのうちのどちらも、それぞれのデバイスにおいて複合エンコーダ/デコーダ(CODEC:combined encoder/decoder)の一部として統合され得る。
【0031】
[0039] ビデオプリプロセッサ19およびビデオエンコーダ20はビデオ符号化ユニット21内の別個のユニットとして例示されており、ビデオポストプロセッサ31およびビデオデコーダ30は、ビデオ復号ユニット29内の別個のユニットとして例示されているが、本開示で説明される技法はそのように限定されない。ビデオプリプロセッサ19およびビデオエンコーダ20は、共通デバイス(例えば、同じ集積回路であるかまたは同じチップまたはチップパッケージ内に収容されている)として形成され得る。同様に、ビデオポストプロセッサ31およびビデオデコーダ30は、共通デバイス(例えば、同じ集積回路であるかまたは同じチップまたはチップパッケージ内に収容されている)として形成され得る。
【0032】
[0040] いくつかの例において、ビデオエンコーダ20およびビデオデコーダ30は、ISO/IEC MPEG−4 VisualおよびITU−T H.264(ISO/IEC MPEG−4 AVCとしても知られている)に加え、スケーラブルビデオコーディング(SVC:Scalable Video Coding)拡張、マルチビュービデオコーディング(MVC:Multi-view Video Coding)拡張、およびMVCベースの三次元ビデオ(3DV:three-dimensional video)拡張のような、ビデオ圧縮規格に従って動作する。いくつかの事例では、MVCベースの3DVに一致する任意のビットストリームが、例えば、ステレオハイプロファイルのようなMVCプロファイルに準拠したサブビットストリームを常に含む。さらに、H.264/AVCへの3DVコーディング拡張、すなわちAVCベースの3DV、を生成するための進行中の試みが存在する。ビデオコーディング規格の他の例には、ITU−T H.261、ISO/IEC MPEG−1 Visual、ITU−T H.262またはISO/IEC MPEG−2 Visual、ITU−T H.263、ISO/IEC MPEG−4 Visual、およびITU−T H.264、ISO/IEC Visualが含まれる。他の例において、ビデオエンコーダ20およびビデオデコーダ30は、ITU−T H.265、HEVC規格に従って動作するように構成され得る
[0041] HEVCおよび他のビデオコーディング規格では、ビデオシーケンスが典型的に、一連のピクチャを含む。ピクチャは、「フレーム」とも呼ばれ得る。ピクチャは、S、SCb、およびSCrと表される3つのサンプルアレイを含み得る。Sは、ルーマサンプルの二次元アレイ(すなわち、ブロック)である。SCbは、Cbクロミナンスサンプルの二次元アレイである。SCrは、Crクロミナンスサンプルの二次元アレイである。クロミナンスサンプルが、ここでは、「クロマ」サンプルとも呼ばれ得る。他の事例では、ピクチャが、モノクロであり得、ルーマサンプルのアレイのみを含み得る。
【0033】
[0042] ビデオエンコーダ20は、コード化ツリー単位(CTU:coding tree unit)のセットを生成し得る。CTUの各々は、ルーマサンプルのコード化ツリーブロック(coding tree block of luma samples)と、クロマサンプルの2つの対応するコード化ツリーブロックと、これらコード化ツリーブロックのサンプル(the samples of the coding tree blocks)をコード化するために使用されるシンタックス構造(syntax structures)とを備え得る。モノクロのピクチャまたは3つの別個の色平面を有するピクチャでは、CTUが、単一のコード化ツリーブロックと、このコード化ツリーブロックのサンプルをコード化するために使用されるシンタックス構造とを備え得る。コード化ツリーブロックは、サンプルのNxNブロックであり得る。CTUは、「ツリーブロック(tree block)」または「最大コード化単位」(LCU:largest coding unit)とも呼ばれ得る。HEVCのCTUは、H.264/AVCのような他のビデオコーディング規格のマクロブロックに大まかに類似し得る。しかしながら、CTUは、必ずしも、特定のサイズに制限されるわけではなく、1つまたは複数のコード化単位(CU:coding unit)を含み得る。1つのスライスは、ラスター走査で連続して並べられた整数の数のCTUを含み得る。
【0034】
[0043] 本開示は、1つまたは複数のサンプルブロックのサンプルをコード化するために使用される1つまたは複数のサンプルブロックおよびシンタックス構造を指すために「ビデオ単位(video unit)」または「ビデオブロック(video block)」という用語を使用し得る。例となるタイプのビデオ単位には、他のビデオコーディング規格では、CTU、CU、PU、HEVCにおける変換単位(TU:transform unit)、またはマクロブロック、マクロブロック区分、等が含まれ得る。
【0035】
[0044] ビデオエンコーダ20は、CUのコード化ブロックを1つまたは複数の予測ブロックへと区分化し得る。予測ブロックは、同じ予測が適用されるサンプルの矩形(すなわち、正方形または非正方形)ブロックであり得る。CUの予測単位(PU:prediction unit)は、ルーマサンプルの予測ブロック(a prediction block of luma samples)と、ピクチャのクロマサンプルの2つの対応する予測ブロック(prediction blocks of chroma samples of a picture)と、これら予測ブロックサンプルを予測するために使用されるシンタックス構造(syntax structures)とを備え得る。モノクロのピクチャ(a monochrome picture)または3つの別個の色平面(three separate color planes)を有するピクチャでは、PUが、単一の予測ブロックと、この予測ブロックサンプルを予測するために使用されるシンタックス構造とを備え得る。ビデオエンコーダ20は、CUの各PUのルーマ、Cb、およびCr予測ブロックについての予測ルーマ、Cb、およびCrブロックを生成し得る。
【0036】
[0045] ビデオエンコーダ20は、PUについての予測ブロックを生成するためにイントラ予測(intra prediction)またはインター予測(inter prediction)を使用し得る。ビデオエンコーダ20が、PUの予測ブロックを生成するためにイントラ予測を使用する場合、ビデオエンコーダ20は、PUに関連するピクチャの復号されたサンプル(decoded samples of the picture)に基づいて、PUの予測ブロックを生成し得る。
【0037】
[0046] ビデオエンコーダ20が、CUの1つまたは複数のPUについての予測ルーマ(predictive luma)、Cb、およびCrブロックを生成した後、ビデオエンコーダ20は、そのCUについてのルーマ残差ブロック(CU’s luma residual block)を生成し得る。CUのルーマ残差ブロック中の各サンプルは、CUの予測ルーマブロック(CU’s predictive luma blocks)のうちの1つ中のルーマサンプルと、CUの元のルーマコード化ブロック(CU’s original luma coding block)中の対応するサンプルとの間の差分を示す。加えて、ビデオエンコーダ20は、CUについてのCb残差ブロックを生成し得る。CUのCb残差ブロック中の各サンプルは、CUの予測Cbブロックのうちの1つ中のCbサンプルと、CUの元のCbコード化ブロック中の対応するサンプルとの間の差分を示し得る。ビデオエンコーダ20はまた、CUについてのCr残差ブロックを生成し得る。CUのCr残差ブロック中の各サンプルは、CUの予測Crブロックの1つ中のCrサンプルと、CUの元のCrコード化ブロック中の対応するサンプルとの間の差分を示し得る。
【0038】
[0047] さらに、ビデオエンコーダ20は、CUのルーマ、Cb、およびCr残差ブロックを1つまたは複数のルーマ、Cb、およびCr変換ブロックへと分解するために四分木区分化を使用し得る。変換ブロックは、同じ変換が適用されるサンプルの矩形のブロックであり得る。CUの変換単位(TU:transform unit)は、ルーマサンプルの変換ブロック(a transform block of luma samples)と、クロマサンプルの2つの対応する変換ブロック(two corresponding transform blocks of chroma samples)と、これら変換ブロックのサンプルを変換するために使用されるシンタックス構造とを備え得る。モノクロのピクチャまたは3つの別個の色平面を有するピクチャでは、TUが、単一の変換ブロックと、この変換ブロックのサンプルを変換するために使用されるシンタックス構造とを備え得る。ゆえに、CUの各TUは、ルーマ変換ブロック、Cb変換ブロック、およびCr変換ブロックに関連付けられ得る。TUに関連するルーマ変換ブロックは、CUのルーマ残差ブロックのサブブロックであり得る。Cb変換ブロックは、CUのCb残差ブロックのサブブロックであり得る。Cr変換ブロックは、CUのCr残差ブロックのサブブロックであり得る。
【0039】
[0048] ビデオエンコーダ20は、TUについてのルーマ係数ブロックを生成するために、このTUのルーマ変換ブロックに1つまたは複数の変換を適用し得る。係数ブロックは、変換係数の二次元アレイであり得る。変換係数は、スカラー量であり得る。ビデオエンコーダ20は、TUについてのCb係数ブロックを生成するために、このTUのCb変換ブロックに1つまたは複数の変換を適用し得る。ビデオエンコーダ20は、TUについてのCr係数ブロックを生成するために、このTUのCr変換ブロックに1つまたは複数の変換を適用し得る。
【0040】
[0049] 係数ブロック(例えば、ルーマ係数ブロック、Cb係数ブロック、またはCr係数ブロック)を生成した後、ビデオエンコーダ20は、これら係数ブロックを量子化し得る。量子化は一般に、変換係数を表すために使用されるデータ量をできる限り低減させためにそれら変換係数が量子化されるプロセスを指し、これは、さらなる圧縮を提供する。さらに、ビデオエンコーダ20は、ピクチャのCUのTUの変換ブロックを再構築するために、変換係数を逆量子化し、変換係数に逆変換を適用し得る。ビデオエンコーダ20は、CUのコード化ブロックを再構築するために、CUのTUの再構築された変換ブロックおよびCUのPUの予測ブロックを使用し得る。ピクチャの各CUのコード化ブロックを再構築することで、ビデオエンコーダ20は、ピクチャを再構築し得る。ビデオエンコーダ20は、再構築されたピクチャを復号ピクチャバッファ(DPB:decoded picture buffer)に記憶し得る。ビデオエンコーダ20は、インター予測およびイントラ予測のためにDPB中の再構築されたピクチャを使用し得る。
【0041】
[0050] ビデオエンコーダ20が係数ブロックを量子化した後、ビデオエンコーダ20は、量子化された変換係数を示すシンタックス要素をエントロピー符号化し得る。例えば、ビデオエンコーダ20は、量子化された変換係数を示すシンタックス要素に対してコンテキスト適応型バイナリ算術コーディング(CABAC:Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)を行い得る。ビデオエンコーダ20は、ビットストリームにおいて、エントロピー符号化されたシンタックス要素を出力し得る。
【0042】
[0051] ビデオエンコーダ20は、コード化済ピクチャの表現を形成するビットのシーケンスを含むビットストリームおよび関連するデータを出力し得る。ビットストリームは、ネットワーク抽象化レイヤ(NAL)単位のシーケンスを備え得る。NAL単位の各々は、NAL単位ヘッダを含み、生バイトシーケンスペイロード(RBSP:raw byte sequence payload)をカプセル化する。NAL単位ヘッダは、NAL単位タイプコードを示すシンタックス要素を含み得る。NAL単位のNAL単位ヘッダで定められているNAL単位タイプコードは、NAL単位のタイプを示す。RBSPは、NAL単位内にカプセル化される整数の数のバイトを含むシンタックス構造であり得る。いくつかの事例では、RBSPが0ビットを含む。
【0043】
[0052] 異なるタイプのNAL単位は、異なるタイプのRBSPをカプセル化し得る。例えば、第1のタイプのNAL単位は、ピクチャパラメータセット(PPS:picture parameter set)のためのRBSPをカプセル化し得、第2のタイプのNAL単位は、コード化されたスライスのためのRBSPをカプセル化し得、第3のタイプのNAL単位は、付加拡張情報(SEI:Supplemental Enhancement Information)のためのRBSPをカプセル化し得る。例えば、NAL単位は、CRI SEIメッセージのためのRBSPをカプセル化し得る。PPSは、0個以上のコード化済ピクチャ全体に適用するシンタックス要素を含み得るシンタックス構造である。(パラメータセットおよびSEIメッセージのためのRBSPとは対照的に)ビデオコード化データのためのRBSPをカプセル化するNAL単位は、ビデオコード化レイヤ(VCL)NAL単位と呼ばれ得る。コード化されたスライスをカプセル化するNAL単位が、本明細書では、コード化されたスライスNAL単位と呼ばれ得る。コード化されたスライスのためのRBSPは、スライスヘッダおよびスライスデータを含み得る。
【0044】
[0053] ビデオデコーダ30は、ビットストリームを受信し得る。加えて、ビデオデコーダ30は、ビットストリームからシンタックス要素を復号するために、ビットストリームを解析し得る。ビデオデコーダ30は、ビットストリームから復号されたシンタックス要素に少なくとも部分的に基づいて、ビデオデータのピクチャを再構築し得る。ビデオデータを再構築するプロセスは、ビデオエンコーダ20によって行われるプロセスのほぼ反転であり得る。例えば、ビデオデコーダ30は、現在のCUのPUについての予測ブロックを決定するために、PUの動きベクトルを使用し得る。ビデオデコーダ30は、PUについての予測ブロックを生成するために、PUの1つまたは複数の動きベクトルを使用し得る。
【0045】
[0054] 加えて、ビデオデコーダ30は、現在のCUのTUに関連する係数ブロックを逆量子化し得る。ビデオデコーダ30は、現在のCUのTUに関連する変換ブロックを再構築するために、係数ブロックに対して逆変換を行い得る。ビデオデコーダ30は、現在のCUのPUについての予測サンプルブロックのサンプルを、現在のCUのTUの変換ブロックの対応するサンプルに加算することで、現在のCUのコード化ブロックを再構築し得る。ピクチャの各CUについてのコード化ブロックを再構築することで、ビデオデコーダ30は、ピクチャを再構築し得る。ビデオデコーダ30は、出力のために、および/または、他のピクチャを復号する際に使用するために、復号済ピクチャを復号ピクチャバッファに記憶し得る。
【0046】
[0055] 次世代のビデオアプリケーションは、キャプチャされたシーンをHDR(High Dynamic Range)およびWCG(Wide Color Gamut)で表すビデオデータを用いて動作することが予期される。利用されるダイナミックレンジおよび色域のパラメータは、ビデオコンテンツの2つの別個の属性であり、デジタルテレビおよびマルチメディアサービスを目的としたそれらの仕様は、いくつかの国際的な規格によって定義されている。例えば、ITU−R Rec.709は、標準ダイナミックレンジ(SDR:Standard Dynamic Range)および標準色域のようなHDTV(high definition television)のためのパラメータを定義し、ITU−R Rec.2020は、HDRおよびWCGのような、UHDTV(ultra-high definition television)パラメータを定義する。他のシステムにおけるダイナミックレンジおよび色域属性を指定する他の標準開発組織(SDO)文書も存在し、例えば、P3色域は、SMPTE−231−2(Society of Motion Picture and Television Engineers)で定義されており、HDRのいくつかのパラメータは、STMPTE−2084で定義されている。ビデオデータに対するダイナミックレンジおよび色域の簡単な説明が以下に提供される。
【0047】
[0056] ダイナミックレンジは、典型的に、ビデオ信号の最小輝度と最大輝度との間の比として定義される。ダイナミックレンジはまた、「f−ストップ」という単位で測定され得、ここで、1f−ストップは、単一のダイナミックレンジの倍に対応する。MPEGの定義では、HDRコンテンツが、16f−ストップより大きい輝度変化を特徴とするコンテンツである。いくつかの観点では、10f−ストップから16f−ストップまでのレベルが、中間ダイナミックレンジとみなされるが、他の定義ではHDRとみなされ得る。いくつかの例では、HDRビデオコンテンツが、標準ダイナミックレンジを有する従来使用されたビデオコンテンツ(例えば、ITU−R Rec.BT.709で定められているビデオコンテンツ)より高いダイナミックレンジを有する任意のビデオコンテンツであり得る。同時に、人間視覚システム(HVS:human visual system)は、はるかに大きなダイナミックレンジを知覚する能力がある。しかしながら、HVSは、いわゆる同時レンジを狭める適応メカニズムを含む。HDTVのSDR、UHDTVの予期されるHDR、およびHVSダイナミックレンジによって提供されるダイナミックレンジの視覚化が図2に示される。
【0048】
[0057] 現在のビデオアプリケーションおよびサービスは、Rec.709によって定められており、1平方メートル(m2)あたり約0.1〜100カンデラ(cd)(「ニト」と呼ばれることが多い)という範囲の輝度(brightness)(または、光度(luminance))を典型的にサポートするSDRを提供し、これは、10f−ストップ未満になる。次世代のビデオサービスは、最大16f−ストップのダイナミックレンジを提供することが予期される。詳細な仕様は現在開発中であるが、いくつかの初期パラメータは、SMPTE−2084およびRec.2020で定められている。
【0049】
[0058] HDR以外のより実用的なビデオエクスペリエンスのための別の態様は、色次元であり、これは従来、色域によって定義されている。図3は、SDR色域(BT.709色の赤、緑、および青という原色に基づく三角形)と、UHDTVのための広色域(BT.2020色の赤、緑、および青という原色に基づく三角形)とを示す概念図である。図3はまた、(舌形状のエリアによって境界が定められている)いわゆるスペクトル軌跡を描写しており、これは、自然色の限界を表す。図3に例示されているように、BT.709からBT.2020への原色の移行は、約70%多い色をUHDTVサービスに提供することを目的とする。D65は、所与の仕様(例えば、BT.709および/またはBT.2020仕様)についての白色を定義する。
【0050】
[0059] 色域仕様のいくつかの例が以下において表1に示される。
【0051】
【表1】
【0052】
[0060] 表1から分かるように、色域は、白色点のxおよびy値によっておよび原色(例えば、赤(R)、緑(G)、および青(B))のxおよびy値によって定義されているであろう。xおよびy値は、X、Y、およびZ座標から導出され、ここで、CIE1931色空間によって定義されているように、XおよびZは、色の色度を表し、Yは、輝度を表す。CIE1931色空間は、(例えば、波長を単位として)純粋色間のリンクをおよび人間の目がそのような色をどのように知覚するかを定義する。
【0053】
[0061] HDR/WCGは、典型的に、4:4:4クロマフォーマットおよびかなり広い色空間(例えば、CIE1931 XYZ色空間)によって、1成分(さらには1浮動点)あたりかなり高い精度で、獲得および記憶される。この表現は、高い精度を目標とし、数学的に(ほぼ)ロスレスである。しかしながら、このフォーマット特徴は、多くの冗長性を含み得、圧縮目的には最適ではない。HVSベースの想定を用いたより低い精度のフォーマットが、典型的に、最先端のビデオアプリケーションに利用される。
【0054】
[0062] 圧縮目的での典型的なビデオデータフォーマット変換は、図4に示されるように、3つの主要なプロセスから構成される。図4の技法は、ビデオプリプロセッサ19によって行われ得る。線形RGBデータ110は、HDR/WCGビデオデータであり得、浮動点表現で記憶され得る。線形RGBデータ110は、ダイナミックレンジ圧縮のために非線形伝達関数(TF:transfer function)を使用して圧縮され得る。例えば、ビデオプリプロセッサ19は、ダイナミックレンジ圧縮のために非線形伝達関数を使用するように構成された伝達関数ユニット(TF)ユニット112を含み得る。
【0055】
[0063] TFユニット112の出力は、コードワードのセットであり得、ここで、各コードワードは、ある範囲の色値(例えば、照度レベル(illumination levels))を表す。TFユニット112は、信号のある範囲が拡張され得、ある部分は縮小され得るように非線形関数を適用する。いくつかの係数は、拡張および圧縮される範囲を決定し得る−異なる光度レベル(luminance levels)の色の知覚およびHVSは、これら係数のうちのいくつかである。例えば、ある範囲の値は、HVSがその範囲中のロスを(比較的)より知覚可能なときに拡張され、HVCがそれらの領域中の変化を(比較的)より知覚可能でないとき圧縮され得る。TFユニット112の出力において、サンプルが浮動点に依然として記憶されているとき、理想上、そのような圧縮は、逆変換が存在している場合にはTFによって適用される逆関数がTFユニット112への入力を復元することとなるため、値の精度のいずれのロスももたらさないであろう。しかしながら、大半の実用的なシステムでは、浮動点の数もまた、いくらか限られた精密さで記憶され、TFユニット112による圧縮は、いくらかの影響を有するであろう。他の例において、ダイナミックレンジ圧縮は、線形RGBデータ110のダイナミックレンジが第1のダイナミックレンジ(例えば、図2に例示されているような人間視覚範囲)であり得ることを意味し得る。結果として得られるコードワードのダイナミックレンジは、第2のダイナミックレンジ(例えば、図2に例示されているようなHDRディスプレイ範囲)であり得る。従って、コードワードは、線形RGBデータ110より小さいダイナミックレンジをキャプチャし、そのため、TFユニット112は、ダイナミックレンジ圧縮を行う。
【0056】
[0064] TFユニット112は、コードワードと入力色値との間のマッピングが等しく離間されていない(例えば、コードワードは非線形コードワードである)という意味では非線形関数を行う。非線形コードワードは、入力色値の変化が、出力コードワードの線形比例する変化して現れるのではなくコードワードの非線形変化として現れることを意味する。例えば、色値が低い照度を表す場合、入力色値の小さい変化が、TFユニット112によって出力されるコードワードの小さい変化をもたらすであろう。しかしながら、色値が高い照度を表す場合、入力色値の比較的大きい変化が、コードワードの小さい変化に必要となるであろう。各コードワードによって表される照度の範囲は、一定ではない(例えば、第1のコードワードは、第1の範囲の照度について同じであり、第2のコードワードは、第2の範囲の照度について同じであり、第1および第2の範囲は異なる)。
【0057】
[0065] より詳細に説明されるように、本技法は、コードワード空間をより良好に利用するために、TFユニット112が受信および/またはスケーリングする線形RGBデータ110をスケーリングおよびオフセットし、TFユニット112が出力するコードワードをオフセットし得る。TFユニット112は、任意の数の非線形伝達関数(例えば、SMPTE−2084で定義されているようなPQ(知覚量子化器(perceptual quantizer))TF)を使用して、線形RGBデータ110(または、スケーリングおよびオフセットされたRGBデータ)を圧縮し得る。
【0058】
[0066] いくつかの例では、色変換ユニット114が、圧縮されたデータを、ビデオエンコーダ20による圧縮により適したよりコンパクトまたはロバストな色空間(例えば、色変換ユニットを介してYUVまたはY’CbCr色空間)へと変換する。より詳細に説明されるように、いくつかの例において、色変換ユニット114が色変換を行う前に、本技法は、TFユニット112によるTFの適用によって出力されるコードワードをスケーリングおよびオフセットし得る。色変換ユニット114は、これらスケーリングおよびオフセットされたコードワードを受信し得る。いくつかの例では、いくつかのスケーリングおよびオフセットされたコードワードが、それぞれの閾値より多いまたはより少ないであろう。このため、本技法は、それぞれのセットにコードワードを割り当て得る。
【0059】
[0067] 次いで、このデータは、符号化されることとなる、ビデオエンコーダ20に送信されるビデオデータ(例えば、HDRデータ118)を作り出すために、(例えば、量子化ユニット116を介して)浮動/整数表現変換を使用して量子化される。この例において、HDRデータ118は、整数表現である。HDRデータ118は、ここで、ビデオエンコーダ20による圧縮により適したフォーマットであり得る。図4に描写されたプロセスの順序が例として与えられており、他のアプリケーションで変化し得ることが理解されるべきである。例えば、色変換は、TFプロセスに先行し得る。加えて、ビデオプリプロセッサ19は、より多くの処理(例えば、空間サブサンプリング)を色成分に適用し得る。
【0060】
[0068] 従って、図4において、線形および浮動点表現での入力RGBデータ110の高ダイナミックレンジは、TFユニット112によって利用される非線形伝達関数、例えば、SMPTE−2084で定義されているようなPQ TF、で圧縮され、これに従って、それは、(例えば、色変換ユニット114によって)圧縮により適したターゲット色空間、例えば、Y’CbCr、に変換され、次いで、整数表現を達成するために量子化される(例えば、量子化ユニット116)。これら要素の順序は、例として与えられており、実世界のアプリケーションでは変化し得、例えば、色変換は、TFモジュール(例えば、TFユニット112)に先行し得る。そのような空間サブサンプリングとしての追加の処理は、TFユニット112が伝達関数を適用する前に色成分に適用され得る。
【0061】
[0069] デコーダ側での逆変換が図5に描写されている。図5の技法は、ビデオポストプロセッサ31によって行われ得る。例えば、ビデオポストプロセッサ31は、ビデオデコーダ30からビデオデータ(例えば、HDRデータ120)を受信し、逆量子化ユニット122は、データを逆量子化し得、逆色変換ユニット124は、逆色変換を行い、逆非線形伝達関数ユニット126は、逆非線形変換を行って、線形RGBデータ128を作り出す。
【0062】
[0070] 逆色変換ユニット124が行う逆色変換プロセスは、色変換ユニット114が行った色変換プロセスの逆であり得る。例えば、逆色変換ユニット124は、HDRデータをY’CbCrフォーマットからRGBフォーマットへと変換し戻し得る。逆伝達関数ユニット126は、線形RGBデータ128を再現すべくTFユニット112によって圧縮されたダイナミックレンジを足し戻す(add back)ために、データに逆伝達関数を適用し得る。
【0063】
[0071] 本開示で説明される例となる技法において、逆伝達関数ユニット126が逆伝達関数を行う前に、ビデオポストプロセッサ31は、逆後処理を適用し得、逆伝達関数ユニット126が逆伝達関数を行った後に、逆前処理を適用し得る。例えば、上で説明したように、いくつかの例において、ビデオプリプロセッサ19は、TFユニット112より前に前処理(例えば、スケジューリングーリングおよびオフセット)を適用し得、TFユニット112の後に後処理(例えば、スケジューリングーリングおよびオフセット)を適用し得る。前処理および後処理を補償するために、ビデオポストプロセッサ31は、逆TFユニット126が逆伝達関数を行う前に逆後処理を、逆TFユニット126が逆伝達関数を行った後に前処理を適用し得る。前処理および後処理並びに逆後処理および逆前処理の両方を適用することが最適であり得る。いくつかの例において、ビデオプリプロセッサ19は、前処理および後処理の両方ではなく一方を適用し得、いくつかの例において、ビデオポストプロセッサ31は、ビデオプリプロセッサ19によって適用された処理の逆を適用し得る。
【0064】
[0072] 図4に例示される例となるビデオプリプロセッサ19は、図5に例示される例となるビデオポストプロセッサ31がほぼ反転を行うという理解で、さらに詳細に説明される。データ(例えば、HDR/WCG RGBビデオデータ)に伝達関数を適用して、そのダイナミックレンジを圧縮し、限られた数のビットでデータを表すことを可能にする。データを表すこれら限られた数のビットは、コードワードと呼ばれる。この関数は典型的に、SDRについてRec.709で定められているエンドユーザディスプレイの電子光学的伝達関数(EOTF:electro-optical transfer function)の逆を反映するか、HDRについてSMPTE−2084で定められているPQ TFに関しては、輝度変化へのHVS知覚の近似値を求めるかのいずれかを行う一次元(1D)の非線形関数である。OETFの(例えば、ビデオポストプロセッサ31によって行われるような)逆プロセスは、EOTF(電子光学的伝達関数)であり、これは、コードレベルを光度へとマッピングし戻す。図6は、非線形TFのいくつかの例を示す。これら伝達関数はまた、別々に各R、G、およびB成分に適用され得る。
【0065】
[0073] 本開示のコンテキストにおいて、「信号値」または「色値」という用語は、画像素子についての(R、G、B、またはYのような)特定の色成分の値に対応する光度レベルを説明するために使用され得る。信号値は、典型的に、線形の光レベル(光度値)を表す。「コードレベル」、「デジタルコード値」、または「コードワード」という用語は、画像信号値のデジタル表現を指し得る。典型的に、そのようなデジタル表現は、非線形の信号値を表す。EOTFは、ディスプレイデバイス(例えば、ディスプレイデバイス32)に提供される非線形信号値と、ディスプレイデバイスによって作り出される線形色値との間の関係性を表す。
【0066】
[0074] 線形RGBデータ110のようなRGBデータは、それが画像キャプチャセンサによって作り出されるため、入力として利用され得る。しかしながら、この色空間(すなわち、RGB色空間)は、その成分間で高い冗長性を有し、圧縮表現に最適ではないであろう。よりコンパクトなおよびよりロバストな表現を達成するために、RGB成分は、圧縮により適したより無相関な色空間、例えばY’CbCr、へと変換され得る。この色空間は、異なるより相関性のない成分において、色情報および光度の形式の輝度を分ける。
【0067】
[0075] 上述したように、色変換ユニット114による処理に続いて、入力データは、依然として高いビット深度(例えば、浮動点精度)で表されるターゲット色空間にあり得、ターゲットビット深度へと変換される。特定の研究は、PQ TFと組み合わせて10−12ビット精度が、丁度可知差異(Just-Noticeable Difference)を下回る歪みで16f−ストップのHDRデータを提供するのに十分であることを示している。10ビット精度で表されるデータは、最先端のビデオコーディングソリューションの大半でさらにコード化されることができる。この量子化は、非可逆コーディングの要素であり、変換されたデータにもたらされる不正確性の原因であり得る。
【0068】
[0076] 付加拡張情報(SEI)メッセージは、典型的に、デコーダがビットストリームを復号するのに必要不可欠というわけではない情報を伝達するために、ビデオビットストリームに含まれる。この情報は、復号済出力の表示または処理を改善する際に有益であり得、例えば、そのような情報は、コンテンツの可視性を改善するために、デコーダ側のエンティティにおいて使用されるであろう。
【0069】
[0077] 特定の応用規格(例えば、DVB、ATSC)に一致する品質の改善が全てのデバイスにもたらされるように、この応用規格がビットストリーム中にそのようなSEIメッセージの存在を命じることも可能である(フレームコンパチブル方式の平面立体3DTVビデオフォーマットのためのフレームパッキングSEIメッセージの搬送、ここで、SEIメッセージは、ビデオの全てのフレームについて搬送される(ETSI - TS 101 547-2, Digital Video Broadcasting (DVB) Plano-stereoscopic 3DTV; Part 2: Frame compatible plano-steroscopic 3DTV参照)、3GPP(登録商標) TS 26.114 v13.0.0における復元ポイントSEIメッセージの処理、3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; IP Multimedia Subsystem (IMS); Multimedia Telephony; Media handling and interaction (Release 13)、DVBにおけるパン走査走査矩形SEIメッセージの使用(ETSI - TS 101 154, Digital Video Broadcasting (DVB); Specification for the use of Video and Audio Coding in Broadcasting Applications based on the MPEG-2 Transport Stream参照)。
【0070】
[0078] HEVC規格で定義されている色再マッピング情報SEIメッセージは、ある色空間から別の色空間にピクチャをマッピングするために使用される情報を伝達するために使用される。CRI SEIメッセージのシンタックスは、3つの1−Dルックアップテーブル(プリLUT)の第1のセットと、その次に続く3×3マトリックスと、その次に続く3つの1−Dルックアップテーブル(ポストLUT)の第2のセット、という3つのパートを含む。各色成分、例えば、R、G、BまたはY、Cb、Cr、について、独立したLUTが、プリLUTとポストLUTの両方について定義されている。
【0071】
[0079] CRI SEIメッセージは、colour_remap_idと呼ばれるシンタックス要素を含み、それらの異なる値は、SEIメッセージの異なる目的を示すために使用され得る。図7は、CRI SEIメッセージによって使用される色再マッピング情報/プロセスの典型的な構造を示す。CRI SEIメッセージの例となるシンタックス表を以下において表2に転載する。
【0072】
【表2】
【0073】
[0080] 本文書における説明に役立つCRI SEIメッセージのいくつかのセマンティクス(semantics)が以下に説明される。セマンティクス一式は、(H.265:高効率ビデオコーディング(HEVC),http://www.itu.int/rec/T-REC-H.265-201504-I/enで入手可能な)HEVC規格のセクションD.3.32で入手可能である。
【0074】
[0081] 色再マッピング情報SEIメッセージは、出力ピクチャの再構築された色サンプルの再マッピングを可能にする情報を提供する。色再マッピング情報は、復号済サンプル値がルーマおよびクロマドメインにあるかRGBドメインにあるかにかかわらず、それらに直接的に適用され得る。色再マッピング情報SEIメッセージにおいて使用される色再マッピングモデルは、(ここでは、シンタックス要素の「プリ」セットで定められている)各色成分に適用される第1の区分的線形関数と、3つの色成分に適用される3×3マトリックスと、(ここでは、シンタックス要素の「ポスト」セットで定められている)各色成分に適用される第2の区分的線形関数とから構成される。
【0075】
[0082] colour_remap_idは、色再マッピング情報の目的を識別するために使用され得る識別番号を含む。colour_remap_idの値は、両端値を含む0〜232−2の範囲にあるものとする。
【0076】
[0083] 0〜255および512〜231−1のcolour_remap_idの値は、アプリケーションによって決定されるように、使用され得る。両端値を含む256〜511および両端値を含む231〜232−2のcolour_remap_idの値は、ITU−T|ISO/IECによる将来的な使用のために確保されている。デコーダは、両端値を含む256〜511の範囲にあるかまたは両端値を含む231〜232−2の範囲にあるcolour_remap_idの値を含む全ての色再マッピング情報SEIメッセージを無視するものとし、ビットストリームは、そのような値を含まないものとする。
【0077】
[0084] colour_remap_idは、異なるディスプレイシナリオに適した異なる色再マッピングプロセスをサポートするために使用されることができる。例えば、colour_remap_idの異なる値は、ディスプレイによってサポートされている、異なる再マッピングされた色空間に対応し得る。
【0078】
[0085] colour_remap_matrix_coefficientsは、colour_remap_matrix_coefficientsがCLVSに対して使用される色空間よりもむしろ再マッピングされた再構築されたピクチャの色空間を指定している点を除き、matrix_coeffsシンタックス要素についてclause E.3.1で定められているものと同じセマンティクスを有する。存在しない場合、colour_remap_matrix_coefficientsの値は、matrix_coeffsの値に等しいと推測される。
【0079】
[0086] colour_remap_input_bit_depthは、色再マッピング情報SEIメッセージを解釈する目的で、関連ピクチャのルーマおよびクロマ成分またはRGB成分のビット深度を指定する。コード化されたルーマおよびクロマ成分のビット深度またはコード化されたRGB成分のそれに等しくないcolour_remap_input_bit_depthの値を有する任意の色再マッピング情報SEIメッセージが存在するとき、SEIメッセージは、コード化されたビデオを、colour_remap_input_bit_depthに等しいビッド深度を有する変換されたビデオに変換するために行われるトランスコード化演算の仮説の結果を指す。
【0080】
[0087] colour_remap_input_bit_depthの値は、両端値を含む8〜16の範囲にあるものとする。両端値を含む0〜7または両端値を含む17〜255のcolour_remap_input_bit_depthの値は、ITU−T|ISO/IECによる将来的な使用のために確保されている。デコーダは、両端値を含む0〜7の範囲にあるかまたは両端値を含む17〜255の範囲にあるcolour_remap_input_bit_depthを含む全ての色再マッピングSEIメッセージを無視するものとし、ビットストリームは、そのような値を含まないものとする。
【0081】
[0088] colour_remap_bit_depthは、色再マッピング情報SEIメッセージによって説明される色再マッピング関数の出力のビット深度を指定する。
【0082】
[0089] colour_remap_bit_depthの値は、両端値を含む8〜16の範囲にあるものとする。両端値を含む0〜7および両端値を含む17〜255の範囲にあるcolour_remap_bit_depthの値は、ITU−T|ISO/IECによる将来的な使用のために確保されている。デコーダは、両端値を含む0〜7または両端値を含む17〜255の範囲にあるcolour_remap_bit_depthの値を含む全ての色再マッピングSEIメッセージを無視するものとする。
【0083】
[0090] pre_lut_num_val_minus1[ c ]+1は、第cの成分について、区分的線形再マッピング関数における回転軸の数を指定し、ここで、0に等しいcは、ルーマまたはG成分を指し、1に等しいcは、CbまたはB成分を指し、2に等しいcは、CrまたはR成分を指す。第cの成分について、pre_lut_num_val_minus1[ c ]が0に等しいとき、入力値のデフォルトの端点は、0および2colour_remap_input_bit_depth−1であり、出力値の対応するデフォルトの端点は、0および2colour_remap_bit_depth−1である。この仕様のこのバージョンに一致するビットストリームにおいて、pre_lut_num_val_minus1[ c ]の値は、両端値を含む0〜32の範囲にあるものとする。
【0084】
[0091] pre_lut_coded_value[ c ][ i ]は、第cの成分について、第iの回転軸の値を指定する。pre_lut_coded_value[ c ][ i ]を表すために使用されるビット数は、( ( colour_remap_input_bit_depth + 7 ) >> 3 ) << 3である。
【0085】
[0092] pre_lut_target_value[ c ][ i ]は、第cの成分について、第iの回転軸の値を指定する。pre_lut_target_value[ c ][ i ]を表すために使用されるビット数は、( ( colour_remap_bit_depth + 7 ) >> 3 ) << 3である。
【0086】
[0093] post_lut_num_val_minus[ ]、post_lut_coded_value[ ][ ]およびpost_lut_target_value[ ][ ]のセマンティクスは、それぞれ、pre_lut_num_val_minus[ ]、pre_lut_coded_value[ ][ ]、およびpre_lut_target_value[ ][ ]のセマンティクスに類似し得る。post_lut_coded_value[ ][ ]およびpost_lut_target_value[ ][ ]を表すために使用されるビット数は、colour_remap_bit_depthに等しい。
【0087】
[0094] しかしながら、上で説明した色再マッピング情報SEIメッセージには、1つまたは複数の不利益が存在し得る。一例として、ルックアップテーブルのようなCRI SEIメッセージのプロセスは、復号済サンプルを逆量子化、フィルタリング/アップサンプリングした後に、または、復号済サンプルの色空間変換を行った後に適用されることができる。HEVCで定義されているように、デコーダは、処理チェーンのどこでCRI SEIメッセージが適用されるべきかに関して命令されない。この命令の欠如により、異なるビデオデコーダが異なる結果を出力することとなり得、これは、望ましくないであろう。
【0088】
[0095] 別の例として、CRI SEIメッセージの仕様は、SEIメッセージの目的を示すために、シンタックス要素colour_remap_idを含むが、そのセマンティクスは、異なるIDを有するコンカレントのまたは連続したCRI SEIメッセージの処理、そのようなSEIメッセージが伝達されるかどうか、および/またはそのようなコンカレントのまたは連続したCRI SEIメッセージが適用されるかどうかを指定しない。
【0089】
[0096] 別の例として、CRI SEIは、デコーダの出力を特定のディスプレイに適応するために適用されることができる。すなわち、CRI SEIは、ターゲットディスプレイへの表示適応のために使用されることができる。ディスプレイは、数ある特性の中でも特に、そのピーク輝度と色域とによって定義されることができる。しかしながら、CRI SEIは、ターゲットディスプレイのこれら特性のうちのいくつか、特にピーク輝度、を示さない。CRI SEIは、出力(すなわち、画素値の意味)のコンテナを示すが、その出力の目的の用途、そして具体的には、どの種類のディスプレイが出力であるか、は示さない。
【0090】
[0097] 本開示の1つまたは複数の技法に従って、CRI SEIメッセージシグナリングは、表示適応のために使用され得る。DVBおよびATSCのような応用規格は、SEIメッセージをそれらの使用事例についてより有益にするために、これらSEIメッセージの態様を修正またはさらに指定することができる。本開示の技法は他の規格で使用され得るが、本開示は、これら応用規格の観点からCRI SEIメッセージシグナリングを使用するための技法を説明する。本開示の技法のうちの1つまたは複数は、単独でまたは他のものと組み合わされて適用され得る。
【0091】
[0098] 単一のビデオビットストリームは、異なるディスプレイに対してビデオデータをレンダリングするためにビデオデコーダによって使用され得る。これらディスプレイは、それらが異なる表示特性を有し得る点で異なると考えられ得る。各表示特性には、ピーク輝度(例えば、ピーク光度)、色空間、および同様のものが含まれるがそれらに限定されるわけではない。例えば、第1のディスプレイは、300ニトのピーク輝度を有し得、第2のディスプレイは、1000ニトのピーク輝度を有し得る。
【0092】
[0099] 本開示の1つまたは複数の技法に従って、ビデオコード化ユニット(すなわち、ビデオ符号化ユニット21および/またはビデオ復号ユニット29)は、異なるターゲットディスプレイに各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージ(例えば、CRI SEIメッセージ)をシグナングし得る。本開示の目的のために、ターゲットディスプレイは、必ずしも特定の物理ディスプレイである必要はなく、代わりに、特定の表示特性を有する理論上のディスプレイを指し得る。一例として、ビデオ符号化ユニット21は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含むビットストリームを出力し得る。ピーク輝度値の各々は、ターゲットディスプレイのそれぞれのピーク輝度値を示し得る。いくつかの例において、色再マッピングメッセージは、CRI SEIメッセージであり得る。例えば、ビデオ符号化ユニット21は、第1のピーク輝度値(例えば、300ニト)に対応する第1のCRI SEIメッセージと、第2のピーク輝度値(例えば、700ニト)に対応する第2のCRI SEIメッセージとを含むビットストリームを出力し得る。ビデオ復号ユニット29は、ビデオデータを表示することとなるディスプレイ(例えば、図1のディスプレイデバイス32)の表示特性に基づいて、色再マッピングメッセージのうちの1つのメッセージを選択し得る。メッセージを選択するためにビデオ復号ユニット29が使用し得るいくつかの表示特性は、色域、ピーク輝度、およびサポートされている伝達関数を含む。このように、ビデオ復号ユニット29は、colour_remap_idシンタックス要素、colour_remap_primariesシンタックス要素、および/またはcolour_remap_transfer_functionシンタックス要素に基づいて、CRI SEIメッセージを選択し得る。
【0093】
[0100] このように、本開示の技法は、ビデオ復号ユニットが、ビデオデータを表示することとなるディスプレイの表示特性に適合した方法でビデオデータの色再マッピングを行うことを可能にし得る。
【0094】
[0101] CRI SEIメッセージは、各々、CRI SEIメッセージが対応するピーク輝度値を示すシンタックス要素を含み得る。例えば、ビデオコード化ユニットは、CRI SEIメッセージに対応するターゲットディスプレイのピーク光度の値をニト(cd/m2)で示す値を有するCRI SEIメッセージのcolour_remap_idシンタックス要素をシグナリングし得る。一例として、ビデオコード化ユニットは、第1のCRI SEIメッセージが第1のピーク輝度値(例えば、300ニト)に対応することを示すcolour_remap_idシンタックス要素を有する第1のCRI SEIメッセージおよび第2のCRI SEIメッセージが第2のピーク輝度値(例えば、700ニト)に対応することを示すcolour_remap_idシンタックス要素を有する第2のCRI SEIメッセージをシグナリングし得る。
【0095】
[0102] いくつかの例において、ピーク輝度値のシグナリングは、制約され得る。一例として、ピーク輝度値は、下界(例えば、50ニト、100ニト、等)から上界(例えば、10,000ニト、15,000ニト、等)までの間に制約され得る。別の例として、ピーク輝度値は、50ニト、100ニト、等ずつシグナリングされ得る。
【0096】
[0103] CRI SEIメッセージが対応するピーク輝度値を示すシンタックス要素をCRI SEIメッセージが含む場合、このシンタックス要素の値は、次式:
【0097】
【数1】
【0098】
に従って表され得、ここで、Tmlは、CRI SEIメッセージに対応するピーク輝度値(例えば、ターゲットディスプレイの最大光度)であり、colour_remap_idは、CRI SEIメッセージに含まれるcolour_remap_idシンタックス要素であり、ceilは、切上げ関数(upward rounding function)である。
【0099】
[0104] 本開示の1つまたは複数の技法に従って、ビデオコード化ユニットは、色再マッピングメッセージの情報がビデオデータの復号済サンプルに直接的に適用されるか何らかの処理後のサンプルに適用されるか(例えば、ビデオ復号ユニットが色再マッピングプロセスをビデオデータの復号済サンプルに直接的に適用するか何らかの処理後のサンプルに適用するか)を示す色再マッピングメッセージ(例えば、CRI SEIメッセージ)をシグナリングし得る。例えば、colour_remap_idシンタックス要素のセマンティクスは、メッセージが復号済サンプルに直接的に適用されるか何らかの処理後の(例えば、Y’CbCrドメインからRGBドメインへの復号済サンプルの変換後の)サンプルに適用されるかという情報もこのシンタックス要素が伝達できるように変更可能である。一例として、ビデオコード化ユニットは、色再マッピングメッセージの情報が、Y’CbCrドメインにおけるビデオデータの復号済サンプルに適用されるべきであることを示すために第1の値(例えば、0または偶数)を有するcolour_remap_id要素をシグナリングし得る。別の例として、ビデオコード化ユニットは、色再マッピングメッセージの情報が、RGBドメインへの変換後のビデオデータの復号済サンプルに適用されるべきであることを示すために第2の値(例えば、1または奇数)を有するcolour_remap_id要素をシグナリングし得る。
【0100】
[0105] 追加的にまたは代替的に、CRI SEIの入力色空間は、例えば、CRI SEIメッセージのシンタックス要素colour_remap、colour_remap_matrix_coefficients、およびcolour_remap_transfer_functionによってシグナリングされたような出力色空間と同じになるように強制されることができる。これら方法のうちの一方または両方において、(ビデオ復号ユニット29のような)デコーダは、処理チェーンのどこでCRI SEIが適用されるべきかを決定し得る。
【0101】
[0106] 上述したように、いくつかの例において、CRI SEIメッセージのcolour_remap_idシンタックス要素は、CRI SEIメッセージが対応するターゲットディスプレイのピーク輝度を示し得る。同じく上述したように、いくつかの例において、同じcolour_remap_idシンタックス要素は、CRI SEIの情報がビデオデータの復号済サンプルに直接的に適用されるか何らかの処理後のサンプルに適用されるかを示し得る。このように、いくつかの例において、CRI SEIメッセージ中のcolour_remap_idシンタックス要素は、CRI SEIメッセージに対応するターゲットディスプレイのピーク輝度と、ビデオデコーダが、選択されたCRI SEIメッセージの情報をビデオデータの復号済サンプルに適用すべきか何らかの処理後のサンプルに適用すべきかについてとの両方を示し得る。
【0102】
[0107] 本開示の1つまたは複数の技法に従って、ビデオコード化ユニットは、ビットストリームにおいて特定のターゲットディスプレイについての色再マッピングメッセージの持続を確実にし得る。シグナリングは、特定のターゲットディスプレイを有するCRI SEIが、イントラランダムアクセスピクチャ(IRAP:intra random-access picture)のようなランダムアクセスピクチャ(RAP:random-access picture)に存在する場合、それが後続のRAPに存在すべきであることを命じ得る。このように、ビデオコード化ユニットが、ビットストリーム中の現在のIRAPについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのセットをシグナリングする場合、ビデオコード化ユニットは、ビットストリーム中の後続のIRAPについて、同じピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのそれぞれのセットをシグナリングするであろう。
【0103】
[0108] いくつかの例では、「ターゲットディスプレイ」が、colour_remap_id、colour_remap_primaries、およびcolour_remap_transfer_functionというCRI SEIシンタックス要素のうちの1つまたは複数のシンタックス要素の値に基づいて決定され得る。追加的にまたは代替的に、ターゲットディスプレイは、他のシンタックス要素の値によって決定されることができる。このように、ビデオ復号ユニットは、ビットストリームに対する表示適応のためにメタデータに依存し得る。
【0104】
[0109] 本開示の1つまたは複数の技法によれば、ビデオコード化ユニットは、色マッピングプロセスの入力/出力のビット深度を制限し得る。例えば、ビデオコード化ユニットは、colour_remap_input_bit_depthおよびcolour_remap_bit_depthが「8」、「10」、または「12」に設定されることを強要し得る。1つの特定の例では、ビデオコード化ユニットが、colour_remap_input_bit_depthが「10」に設定されることを強要し得る。このように、色再マッピングプロセスの複雑性(例えば、メモリおよび処理要件)が制約され得る。
【0105】
[0110] 上で説明した例は、いくつかの方法で組み合わされることができる。例えば、DVB(TS 101 154)のコンテキストでは、PQ10を使用するHEVC HDR UHDTV Bitstreamsが、Recommendation ITU-T H.265 / ISO/IEC 23008-2 [35] clause D.3.32で定められている色再マッピング情報SEIメッセージ含むことが推奨され得る。色再マッピング情報SEIメッセージが存在する場合、以下の制約のうちの1つまたは複数が適用される:
−CRI SEIメッセージは、少なくとも各HEVC DVB_RAPにおいて送信されるものとする。
−シンタックス要素colour_remap_video_signal_info_present_flagは、colour_remap_full_range_flag、colour_remap_primaries、colour_remap_transfer_function、colour_remap_matrix_coefficientsが存在するように、「1」に設定されるものとする。
−colour_remap_primariesは、「1」または「9」に設定されるものとする。
−colour_remap_matrix_coefficientsは、「0」、「1」、または「9」に設定されるものとする。
−colour_remap_transfer_functionは、「1」、「14」、または「16」に設定されるものとする。
−colour_remap_input_bit_depthおよびcolour_remap_output_bit_depthは、「8」、「10」、または「12」に設定されるものとする。
−シンタックス要素colour_remap_full_range_flag、colour_remap_primaries、colour_remap_transfer_function、colour_remap_matrix_coefficients、colour_remap_input_bit_depth、およびcolour_remap_output_bit_depthのうちの任意のものに対する変更は、HEVC DVB_RAPでのみ発生するものとする。
−colour_remap_idは、「256」未満に設定されるものとする。
−入力色係数は、以下のようにcolour_remap_idシンタックス要素の値によって決定されるものとする:
・colour_remap_idが偶数のとき、入力はY’CbCrにある。
・colour_remap_idが奇数のとき、入力はGBRにある。
−(cd/m2で表される)再マッピング後のターゲット最大光度は、colour_remap_idシンタックス要素によって次のように決定されるものとする:
・Tml = 100 * ceil((colour_remap_id + 1)/2)
−色再マッピング情報SEIメッセージが、HEVC DVB_RAPピクチャにおける特定のターゲットディスプレイについて存在するとき、色再マッピング情報SEIメッセージは、少なくとも後続の各HEVC DVB_RAPに関し、同じターゲットディスプレイについて存在するものとする。「ターゲットディスプレイ」は、シンタックス要素colour_remap_id、colour_remap_primaries、およびcolour_remap_transfer_functionの値によって決定される。
【0106】
[0111] 図8は、本開示の技法に係る、1つまたは複数の色再マッピングメッセージでビデオデータのピクチャを符号化するための例となる方法を例示するフローチャートである。説明の目的上、図8の方法は、他のビデオ符号化ユニットによって行われ得るが、図8の方法は、ビデオ符号化ユニット21および(例えば、図1に例示されている)それの構成要素によって行われているとして以下で説明される。
【0107】
[0112] ビデオ符号化ユニット21は、ビデオデータのピクチャを受信し得る(802)。例えば、ビデオエンコーダ20は、ビデオプリプロセッサ19から、ビデオデータの現在のピクチャのサンプルを受信し得る。ビデオ符号化ユニット21は、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについてのサンプル値を符号化し得る(804)。例えば、ビデオエンコーダ20は、インターラ符号化モードおよびイントラ符号化モードの任意の組合せを使用して、ビデオデータの現在のピクチャのサンプル/画素値を符号化し得る。いくつかの例において、ビデオエンコーダ20は、H.265/HEVCを使用してサンプルを符号化し得る。
【0108】
[0113] ビデオ符号化ユニット21は、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを符号化し得る(806)。例えば、ビデオ符号化ユニット21は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数のCRI SEIメッセージを符号化し得る。一例として、ビデオ符号化ユニット21は、第1のピーク輝度値(例えば、300ニト)に対応する第1のCRI SEIメッセージと、第2のピーク輝度値(例えば、700ニト)に対応する第2のCRI SEIメッセージとを含むビットストリームを出力し得る。このように、ビデオ符号化ユニット21は、ビデオ復号ユニットが、ビデオデータを表示することとなるディスプレイの表示特性に適合した方法でビデオデータの色再マッピングを行うことを可能にし得る。
【0109】
[0114] いくつかのケースにおいて、それぞれのピーク輝度に対応する色再マッピングメッセージは、事前に定義されたアルゴリズムを使用してビデオ符号化ユニット21によって決定され得る。ビデオ符号化ユニット21は、ビデオを入力し、コンテンツを分析し、事前に定義されたアルゴリズムを使用して、このコンテンツに適用されるべきマッピングパラメータを決定し得る。このアルゴリズムは、表示特性とビデオの特性との間の関係性に基づいて導出されているであろう。他のケースにおいて、ビデオ符号化ユニット21での色再マッピングメッセージの生成/導出は、パラメータを導出する能力がある別のデバイスを使用してビデオ符号化ユニット21に提供されるそのようなパラメータによって、または、ビデオ符号化ユニット21以外で発生するプロセスによって支援され得る。例えば、コンテンツ作成の事後生成ワークフローにおけるいくつかのプロセスは、色再マッピングパラメータの導出を可能にするパラメータを生成する能力があり得る。次に、ビデオ符号化ユニット21に提供されるパラメータは、色再マッピングメッセージを導出するために、事前に定義されたアルゴリズムによって使用され得る。他のケースにおいて、色再マッピングパラメータは、ビデオ符号化ユニット21以外で完全に導出され、ビデオ符号化ユニット21に提供され得、ビデオ符号化ユニット21は、単に、ビデオビットストリームのシンタックスにおいてこれらパラメータを色再マッピングメッセージに変換しているであろう。ビデオ符号化ユニット21が色再マッピングメッセージをどのように生成し得るかの例はいくつか存在する。そのような生成の他の方法が存在し得ることおよび本明細書で説明された技法がそのような方法にも適用されることは理解されるべきである。
【0110】
[0115] いくつかの例において、ビデオ符号化ユニット21が、ビットストリーム中の現在のIRAPについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのセットを符号化する場合、ビデオ符号化ユニット21はまた、ビットストリーム中の後続のIRAPについて、同じピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのそれぞれのセットを符号化するであろう。例えば、ビデオ符号化ユニット21が、ビットストリーム中の現在のIRAPについて、第1のピーク輝度値(例えば、300ニト)に対応する第1のCRI SEIメッセージおよび第2のピーク輝度値(例えば、700ニト)に対応する第2のCRI SEIメッセージを符号化する場合、ビデオ符号化ユニット21はまた、ビットストリーム中の全ての後続のIRAPについて、第1のピーク輝度値(例えば、300ニト)に対応するそれぞれの第1のCRI SEIメッセージおよび第2のピーク輝度値(例えば、700ニト)に対応するそれぞれの第2のCRI SEIメッセージを符号化するであろう。このように、ビデオ復号ユニットは、ビットストリームに対する表示適応のためにメタデータに依存し得る。
【0111】
[0116] 上述したように、いくつかの例において、CRI SEIメッセージは、対応するピーク輝度値を示すシンタックス要素を含み得る。例えば、ビデオ符号化ユニット21は、第1のピーク輝度値(例えば、300ニト)を表す値を有するcolour_remap_idシンタックス要素を有する第1のCRI SEIメッセージと、第2のピーク輝度値(例えば、700ニト)を表す値を有するcolour_remap_idシンタックス要素を有する第2のCRI SEIメッセージとを含むビットストリームを出力し得る。いくつかの例において、CRI SEIメッセージの各々は、入力ビデオデータのビット深度(すなわち、colour_remap_input_bit_depth)および/または出力ビデオデータのビット深度(すなわち、colour_remap_bit_depth)を指定する1つまたは複数のシンタックス要素をさらに含み得る。いくつかの例において、入力ビデオデータのビット深度を特定するシンタックス要素および出力ビデオデータのビット深度を指定するシンタックス要素は両方とも、「8」、「10」、または「12」のような特定の値に設定され得る。このように、色再マッピングプロセスの複雑性(例えば、メモリおよび処理要件)が制約され得る。
【0112】
[0117] 図9は、本開示の技法に係る、1つまたは複数の色再マッピングメッセージでビデオデータのピクチャを復号するための例となる方法を例示するフローチャートである。説明の目的上、図9の方法は、他のビデオ復号ユニットによって行われ得るが、図9の方法は、ビデオ復号ユニット29および(例えば、図1に例示されている)それの構成要素によって行われるとして以下で説明される。
【0113】
[0118] ビデオ復号ユニット29は、ビデオデータの現在のピクチャの符号化表現を含むビットストリームを受信し(902)、ビデオデータの現在のピクチャのサンプルを復号し得る(904)。例えば、ビデオデコーダ30は、ビットストリームを受信し、インター予測モードおよびイントラ予測モードの任意の組合せを使用してサンプルを復号し得る。いくつかの例において、ビデオデコーダ30は、H.265/HEVCを使用してサンプルを復号し得る。
【0114】
[0119] ビデオ復号ユニット29は、現在のディスプレイのピーク輝度値を決定し得る(906)。例えば、ビデオ復号ユニット29は、ディスプレイデバイス32のピーク輝度値を決定し得る。一例として、例えば、ディスプレイ32がビデオ復号ユニット29と同じデバイスに統合されている場合、ディスプレイ32のピーク輝度値は、ビデオ復号ユニット29によってアクセス可能にメモリに記憶される変数であり得る。別の例として、ビデオ復号ユニット29は、(例えば、拡張ディスプレイ識別データ(EDID)データチャネルを介して)ディスプレイ32のピーク輝度値を示すデータをディスプレイ32から受信し得る。
【0115】
[0120] ビデオ復号ユニット29は、ビットストリームから、ビデオデータの現在のピクチャについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを取得し得る(908)。例えば、ビデオ復号ユニット29は、第1のピーク輝度値(例えば、300ニト)に対応する第1のCRI SEIメッセージと、第2のピーク輝度値(例えば、500ニト)に対応する第2のCRI SEIメッセージと、第3のピーク輝度値(例えば、1000ニト)に対応する第3のCRI SEIメッセージとを取得し得る。上述したように、いくつかの例において、CRI SEIメッセージは、対応するピーク輝度値を示すcolour_remap_idシンタックス要素を含み得る。
【0116】
[0121] ビデオ復号ユニット29は、現在のディスプレイのピーク輝度値に基づいて、1つまたは複数の色再マッピングメッセージのうちの1つの色再マッピングメッセージを選択し得る(910)。一例として、ビデオ復号ユニット29は、現在のディスプレイのピーク輝度値に最も厳密に一致するピーク輝度値に対応する色再マッピングメッセージを選択し得る。別の例として、ビデオ復号ユニット29は、現在のディスプレイのピーク輝度値以下である最大の対応するピーク輝度値を有する色再マッピングメッセージを選択し得る。他の例において、ビデオ復号ユニット29は、何らかの事前に定義されたアルゴリズムまたはディスプレイのピーク輝度に基づくルックアップテーブルに基づいて、特定のピーク輝度に対応する色再マッピングメッセージを選択し得る。
【0117】
[0122] いくつかの例において、現在のディスプレイのピーク輝度に加えておよび/またはそれの代わりに、ビデオ復号ユニット29は、現在のディスプレイの色域に、および/または、どの伝達関数が現在のディスプレイによってサポートされているかに基づいて、複数の色再マッピングメッセージのうち1つの色再マッピングメッセージを選択し得る。換言すると、ビデオ復号ユニット29は、colour_remap_idシンタックス要素、colour_remap_primariesシンタックス要素、および/またはcolour_remap_transfer_functionシンタックス要素に基づいて、CRI SEIメッセージを選択し得る。例えば、ビデオ復号ユニット29は、100ニトのピーク輝度を示すcolour_remap_idシンタックス要素、BT.709域を示すcolour_remap_primariesシンタックス要素、およびHLG伝達関数を示すcolour_remap_transfer_functionシンタックス要素を有する第1のメッセージMSG1と、100ニトのピーク輝度を有するcolour_remap_idシンタックス要素、BT.2020域を示すcolour_remap_primariesシンタックス要素、およびPQ伝達関数を示すcolour_remap_transfer_functionシンタックス要素を有する第2のメッセージMSG2を受信し得る。この例において、現在のディスプレイがBT.2020/PQをサポートしている場合、ビデオ復号ユニット29は、MSG2を選択し得る。しかしながら、現在のディスプレイがBT.709/HLGをサポートしている場合、ビデオ復号ユニット29は、MSG1を選択し得る。
【0118】
[0123] いくつかの例で、ビデオ復号ユニット29
[0124] ビデオ復号ユニット29は、選択された色再マッピングメッセージに基づいて、ビデオデータの現在のピクチャのサンプルを色再マッピングし得る(912)。例えば、図5に関連して上で説明したように、ビデオポストプロセッサ31は、逆量子化、逆色変換を行い、選択された色再マッピングメッセージに含まれる情報を使用して(例えば、選択されたCRI SEIメッセージに含まれるシンタックス要素colour_remap_full_range_flag、colour_remap_primaries、colour_remap_transfer_function、およびcolour_remap_matrix_coefficientsのうちの1つまたは複数のシンタックス要素の値に基づいて)、逆伝達関数を適用し得る。
【0119】
[0125] いくつかの例において、ビデオポストプロセッサ31は、異なる点で、色再マッピングメッセージの情報を適用し得る。例えば、ビデオポストプロセッサ31は、色再マッピングメッセージの情報を、ビデオデータの復号済サンプルに直接的に適用するかまたは何らかの処理後のサンプルに適用するかのいずれかであり得る。いくつかの例において、色再マッピングメッセージは、色再マッピングメッセージの情報がどこに適用されるべきかを示すシンタックス要素を含み得る。例えば、colour_remap_idシンタックス要素のセマンティクスは、メッセージが復号済サンプルに直接的に適用されるか何らかの処理後の(例えば、Y’CbCrドメインからRGBドメインへの復号済サンプルの変換後の)サンプルに適用されるかの情報もこのシンタックス要素が伝達できるように変更可能である。一例として、ビデオコード化ユニットは、色再マッピングメッセージの情報が、Y’CbCrドメインにおけるビデオデータの復号済サンプルに適用されるべきであることを示すために第1の値(例えば、0または偶数)を有するcolour_remap_id要素をシグナリングし得る。別の例として、ビデオコード化ユニットは、色再マッピングメッセージの情報が、RGBドメインへの変換後のビデオデータの復号済サンプルに適用されるべきであることを示すために第2の値(例えば、1または奇数)を有するcolour_remap_id要素をシグナリングし得る。
【0120】
[0126] 上述したように、いくつかの例において、CRI SEIメッセージのcolour_remap_idシンタックス要素は、CRI SEIメッセージが対応するターゲットディスプレイのピーク輝度を示し得る。同じく上述したように、いくつかの例において、同じcolour_remap_idシンタックス要素は、CRI SEIの情報がビデオデータの復号済サンプルに直接的に適用されるか何らかの処理後のサンプルに適用されるかを示し得る。このように、いくつかの例CRI SEIメッセージ中のcolour_remap_idシンタックス要素は、CRI SEIメッセージに対応するターゲットディスプレイのピーク輝度と、ビデオデコーダが、選択されたCRI SEIメッセージの情報をビデオデータの復号済サンプルに適用すべきか何らかの処理後のサンプルに適用すべきかについてとの両方を示し得る。
【0121】
[0127] ビデオ復号ユニット29は、現在のディスプレイでの表示のために、ビデオデータの現在のピクチャの色再マッピングされたサンプルを出力し得る(914)。例えば、ビデオ復号ユニット29は、ディスプレイデバイス32に、ビデオデータの現在のピクチャの色再マッピングされたサンプルを表示させ得る。
【0122】
[0128] いくつかの例において、ビデオ復号ユニット29が、ビットストリーム中の現在のIRAPについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのセットを復号する場合、ビデオ復号ユニット29はまた、ビットストリーム中の後続のIRAPについて、同じピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのそれぞれのセットを復号することができるであろう。例えば、ビデオ復号ユニット29が、ビットストリーム中の現在のIRAPについて、第1のピーク輝度(例えば、300ニト)に対応する第1のCRI SEIメッセージおよび第2のピーク輝度(例えば、700ニト)に対応する第2のCRI SEIメッセージを復号する場合、ビデオ復号ユニット29はまた、ビットストリーム中の全ての後続のIRAPについて、第1のピーク輝度(例えば、300ニト)に対応するそれぞれの第1のCRI SEIメッセージおよび第2のピーク輝度(例えば、700ニト)に対応するそれぞれの第2のCRI SEIメッセージを復号するであろう。このように、ビデオ復号ユニット29は、ビットストリームに対する表示適応のためにメタデータに依存し得る。
【0123】
[0129] いくつかの例において、CRI SEIメッセージの各々は、入力ビデオデータのビット深度(すなわち、colour_remap_input_bit_depth)および/または出力ビデオデータのビット深度(すなわち、colour_remap_bit_depth)を指定する1つまたは複数のシンタックス要素をさらに含み得る。いくつかの例において、入力ビデオデータのビット深度を特定するシンタックス要素および出力ビデオデータのビット深度を指定するシンタックス要素は両方とも、常に、「8」、「10」、または「12」のような特定の値に設定され得る。このように、色再マッピングプロセスの複雑性(例えば、メモリおよび処理要件)が制約され得る。
【0124】
[0130] 例によっては、本明細書で説明した技法のうちの任意のものの特定の動作(act)またはイベントが異なる順序で行われることができ、追加、混合、または完全に省略され得る(例えば、説明した全ての動作またはイベントが本技法の実施に必要なわけではない)ことは認識されるべきである。さらに、特定の例では、動作またはイベントが、連続というよりはむしろ、例えば、マルチスレッド処理、割込み処理、または複数のプロセッサを通してコンカレントに行われ得る。
【0125】
[0131] 1つまたは複数の例において、説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組合せで実施され得る。ソフトウェアで実施される場合、これら機能は、1つまたは複数の命令またはコードとして、コンピュータ読取可能な媒体に記憶されるか、またはコンピュータ読取可能な媒体を通して送信され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ読取可能な媒体は、例えば、通信プロトコルに従って、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの移送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体またはデータ記憶媒体のような有体の媒体に対応するコンピュータ読取可能な記憶媒体を含み得る。このように、コンピュータ読取可能な媒体は一般に、(1)非一時的である有形のコンピュータ読取可能な記憶媒体または(2)信号または搬送波のような通信媒体に対応し得る。データ記憶媒体は、本開示で説明した技法の実施のための命令、コード、および/またはデータ構造を取り出すために、1つまたは複数のコンピュータまたは1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であり得る。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ読取可能な媒体を含み得る。
【0126】
[0132] 限定ではなく例として、このようなコンピュータ読取可能な記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、フラッシュメモリ、あるいはデータ構造または命令の形式で所望のプログラムコードを記憶または搬送するために使用可能でありかつコンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体を備えることができる。また、任意の接続は、厳密にはコンピュータ読取可能な媒体と称される。例えば、命令が、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、電波、およびマイクロ波のようなワイヤレス技術を使用して送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、電波、およびマイクロ波のようなワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。しかしながら、コンピュータ読取可能な記憶媒体およびデータ記憶媒体が、接続、搬送波、信号、または他の一時的な媒体を含むのではなく、代わりに、非一時的な有形の記憶媒体を対象としていることは理解されるべきである。本明細書で使用される場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含み、ここで、ディスク(disk)は、通常磁気的にデータを再生し、ディスク(disc)は、レーザーを用いて光学的にデータを再生する。上記の組合せもまた、コンピュータ読取可能な媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0127】
[0133] 命令は、1つまたは複数のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブル論理アレイ(FPGA)、または他の同等の集積またはディスクリート論理回路のような1つまたは複数のプロセッサによって実行され得る。従って、本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、前述の構造または本明細書で説明された技法の実施に適切な任意の他の構造のうちの任意のものを指し得る。加えて、いくつかの態様において、本明細書で説明された機能性は、符号化および復号のために構成された専用ハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュール内に提供され得るか、複合コーデックに組み込まれ得る。また、本技法は、1つまたは複数の回路または論理素子において十分に実施されるであろう。
【0128】
[0134] 本開示の技法は、ワイヤレスハンドセット、集積回路(IC)またはICのセット(例えば、チップセット)を含む、幅広い種類のデバイスまたは装置において実施され得る。様々な構成要素、モジュール、またはユニットは、本開示では、開示された技法を行うように構成されたデバイスの機能的な態様を強調するために説明されているが、必ずしも異なるハードウェアユニットによる実現を必要とするとは限らない。むしろ、上で説明したように、様々なユニットは、コーデックハードウェアユニットへと組み合わせられるか、適切なソフトウェアおよび/またはファームウェアと併せて、上で説明した1つまたは複数のプロセッサを含む、相互動作するハードウェアユニットの集合によって提供され得る。
【0129】
[0135] 様々な例が説明されている。これら例および他の例は、以下の特許請求の範囲の範疇にある。
以下に本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
復号済ビデオデータを処理する方法であって、
ビデオ復号ユニットが、現在のディスプレイのピーク輝度値を決定することと、
前記ビデオ復号ユニットが、ビデオデータのピクチャについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを取得することと、
前記ビデオ復号ユニットが、前記現在のディスプレイの前記ピーク輝度値に基づいて、前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージのうちの1つの色再マッピングメッセージを選択することと、
前記ビデオ復号ユニットが、前記選択された色再マッピングメッセージに基づいて、前記ビデオデータのピクチャのサンプルを色再マッピングすることと、
前記ビデオ復号ユニットが、前記現在のディスプレイでの表示のために、前記ビデオデータのピクチャの前記色再マッピングされたサンプルを出力することと
を備える方法。
[C2]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージは、色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを備える、C1に記載の方法。
[C3]
前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、前記それぞれのピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を含み、前記方法は、
前記CRI SEIメッセージのそれぞれのCRI SEIメッセージごとに、前記それぞれのCRI SEIメッセージに含まれる前記それぞれのcolour_remap_idシンタックス要素の値に基づいて、前記それぞれのピーク輝度値を決定すること
をさらに備える、C2に記載の方法。
[C4]
前記1つまたは複数のCRI SEIメッセージのうちの特定のCRI SEIメッセージに対応する前記ピーク輝度値を次式:
【数2】
に従って決定すること
をさらに備え、
ここにおいて、Tmlは、前記特定のCRI SEIメッセージに対応する前記ピーク輝度値であり、colour_remap_idNは、前記特定のCRI SEIメッセージに含まれる前記colour_remap_idシンタックス要素であり、ceilは、切上げ関数である、C3に記載の方法。
[C5]
前記それぞれのピーク輝度値は、最大光度100ニトから最大光度10000ニトまでの間にあるそれぞれの値を有する、C1に記載の方法。
[C6]
前記ビデオデータのピクチャは、コード化されたビデオビットストリーム中に、ビデオデータの現在のイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャを備え、前記方法は、
前記ビデオ復号ユニットが、前記コード化されたビデオビットストリーム中のビデオデータの各後続のIRAPピクチャについて、同じピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのそれぞれのセットを取得すること
をさらに備える、C1に記載の方法。
[C7]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージは、色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを備え、前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、
前記それぞれのCRI SEIメッセージに対応する前記それぞれのピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素と、
10の値を有するそれぞれのcolour_remap_input_bit_depthシンタックス要素と
を含む、C6に記載の方法。
[C8]
前記選択された色再マッピングメッセージに基づいて、前記メッセージの情報が前記ビデオデータのピクチャの復号済サンプルに適用されるべきか、前記復号済サンプルの処理後の前記復号済サンプルに適用されるべきかを決定すること
をさらに備える、C1に記載の方法。
[C9]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージは、色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを備え、前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、前記それぞれのCRI SEIメッセージに対応する前記それぞれのピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を含み、前記方法は、
前記選択されたCRI SEIメッセージの前記それぞれのcolour_remap_idシンタックス要素に基づいて、前記選択されたCRI SEIメッセージの情報が、前記Y’CbCrドメインにある前記ビデオデータのピクチャの復号済サンプルに適用されるべきか、前記RGBドメインへの前記復号済サンプルの変換後の前記復号済サンプルに適用されるべきかを決定すること
をさらに備える、C8に記載の方法。
[C10]
前記色再マッピングメッセージを選択することは、
前記ビデオ復号ユニットが、前記現在のディスプレイの前記ピーク輝度値と、前記現在のディスプレイの色域および前記現在のディスプレイによってサポートされている伝達関数のうちの一方または両方とに基づいて、前記色再マッピングメッセージを選択すること
を備える、C1に記載の方法。
[C11]
ビデオデータを符号化する方法であって、
ビデオエンコーダが、ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについてのサンプル値を符号化することと、
前記ビデオエンコーダが、前記ビットストリームにおいて、前記ビデオデータのピクチャについての1つまたは複数の色再マッピングメッセージを符号化することと、前記色再マッピングメッセージの各々は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に対応する、
前記ビデオエンコーダが、前記ビットストリームを出力することと
を備える方法。
[C12]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージを符号化することは、1つまたは複数の色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを符号化することを備える、C11に記載の方法。
[C13]
前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージを符号化することは、
前記それぞれのCRI SEIメッセージが対応する前記ピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を符号化すること
をさらに備える、C12に記載の方法。
[C14]
前記1つまたは複数のCRI SEIメッセージのうちの特定のCRI SEIメッセージのcolour_remap_idシンタックス要素を符号化することは、前記特定のcolour_remap_idシンタックス要素の値を次の関係性:
【数3】
に従って、符号化することを備え、
ここにおいて、Tmlは、前記特定のCRI SEIメッセージに対応する前記ピーク輝度値であり、colour_remap_idNは、前記特定のCRI SEIメッセージに含まれる前記colour_remap_idシンタックス要素であり、ceilは、切上げ関数である、C13に記載の方法。
[C15]
前記それぞれのピーク輝度値は、最大光度100ニトから最大光度10000ニトまでの間にあるそれぞれの値を有する、C11に記載の方法。
[C16]
前記ビデオデータのピクチャは、ビデオデータの現在のイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャを備え、前記方法は、
前記ビデオエンコーダが、ビデオデータの各後続のIRAPピクチャについて、同じピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのそれぞれのセットを符号化すること
をさらに備える、C11に記載の方法。
[C17]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージは、色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを備え、前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、
前記それぞれのCRI SEIメッセージに対応する前記それぞれのピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素と、
10の値を有するそれぞれのcolour_remap_input_bit_depthシンタックス要素と
を含む、C16に記載の方法。
[C18]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージの各それぞれのメッセージにおいて、ビデオ復号ユニットが前記それぞれのメッセージの情報を前記ビデオデータのピクチャの復号済サンプルに適用すべきか、前記復号済サンプルの処理後の前記復号済サンプルに適用すべきかを示すインジケーションを符号化すること
をさらに備える、C11に記載の方法。
[C19]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージは、色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを備え、前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、前記それぞれのCRI SEIメッセージに対応する前記ピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を含み、特定のCEI SEIメッセージについての前記インジケーションを符号化することは、
前記それぞれのCRI SEIメッセージに対応する前記ピーク輝度値と、前記ビデオ復号ユニットが前記選択されたCRI SEIメッセージの前記情報を前記Y’CbCrドメインにある前記ビデオデータのピクチャの復号済サンプルに適用すべきか、前記RGBドメインへの前記復号済サンプルの変換後の前記復号済サンプルに適用すべきかの両方を示す値を有する前記特定のCRI SEIメッセージについての前記colour_remap_idシンタックス要素を符号化すること
を備える、C18に記載の方法。
[C20]
復号ビデオデータを処理するためのデバイスであって、
前記ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、
ビデオ復号ユニットと
を備え、前記ビデオ復号ユニットは、
現在のディスプレイのピーク輝度値を決定することと、
前記ビデオデータのピクチャについて、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを取得することと、
前記現在のディスプレイの前記ピーク輝度値に基づいて、前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージのうちの1つの色再マッピングメッセージを選択することと、
前記選択された色再マッピングメッセージに基づいて、前記ビデオデータのピクチャのサンプルを色再マッピングすることと、
前記現在のディスプレイでの表示のために、前記ビデオデータのピクチャの前記色再マッピングされたサンプルを出力することと
をするように構成される、デバイス。
[C21]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージは、色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを備え、C20に記載のデバイス。
[C22]
前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、前記それぞれのピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を含み、前記ビデオ復号ユニットは、
前記CRI SEIメッセージのそれぞれのCRI SEIメッセージごとに、前記それぞれのCRI SEIメッセージに含まれる前記それぞれのcolour_remap_idシンタックス要素の値に基づいて、前記それぞれのピーク輝度値を決定すること
をするようにさらに構成される、C21に記載のデバイス。
[C23]
前記それぞれのピーク輝度値は、最大光度100ニトから最大光度10000ニトまでの間にあるそれぞれの値を有する、C20に記載のデバイス。
[C24]
前記ビデオデータのピクチャは、コード化されたビデオビットストリーム中に、ビデオデータの現在のイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャを備え、前記ビデオ復号ユニットは、
前記コード化されたビデオビットストリーム中のビデオデータの各後続のIRAPピクチャについて、同じピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのそれぞれのセットを取得すること
をするようにさらに構成される、C20に記載のデバイス。
[C25]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージは、色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを備え、前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージは、
前記それぞれのCRI SEIメッセージに対応する前記それぞれのピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素と、
10の値を有するそれぞれのcolour_remap_input_bit_depthシンタックス要素と
を含む、C24に記載のデバイス。
[C26]
前記デバイスは、
集積回路、
マイクロプロセッサ、または
前記ビデオ復号ユニットを含むワイヤレス通信デバイス
のうちの少なくとも1つを備える、C20に記載のデバイス。
[C27]
ビデオデータを符号化するためのデバイスであって、
前記ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、
ビデオ符号化ユニットと
を備え、ビデオ符号化ユニットは、
ビットストリームにおいて、ビデオデータのピクチャについてのサンプル値を符号化することと、
前記ビットストリームにおいて、前記ビデオデータのピクチャについての1つまたは複数の色再マッピングメッセージを符号化することと、前記色再マッピングメッセージの各々は、ピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に対応する、
前記ビットストリームを出力することと
をするように構成される、デバイス。
[C28]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージを符号化するために、前記ビデオ符号化ユニットは、1つまたは複数の色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを符号化するように構成される、C27に記載のデバイス。
[C29]
前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージを符号化するために、前記ビデオ符号化ユニットは、
前記それぞれのCRI SEIメッセージが対応する前記ピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素を符号化すること
をするようにさらに構成される、C28に記載のデバイス。
[C30]
前記それぞれのピーク輝度値は、最大光度100ニトから最大光度10000ニトまでの間にあるそれぞれの値を有する、C27に記載のデバイス。
[C31]
前記ビデオデータのピクチャは、ビデオデータの現在のイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャを備え、前記ビデオ符号化ユニットは、
ビデオデータの各後続のIRAPピクチャについて、同じピーク輝度値のセットのそれぞれのピーク輝度値に各々対応する1つまたは複数の色再マッピングメッセージを含む色再マッピングメッセージのそれぞれのセットを符号化すること
をするようにさらに構成される、C27に記載のデバイス。
[C32]
前記1つまたは複数の色再マッピングメッセージは、色再マッピング情報(CRI)付加拡張情報(SEI)メッセージを備え、前記CRI SEIメッセージの各それぞれのCRI SEIメッセージを符号化するために、前記ビデオ符号化ユニットは、
前記それぞれのCRI SEIメッセージに対応する前記それぞれのピーク輝度値を示すそれぞれのcolour_remap_idシンタックス要素と、
10の値を有するそれぞれのcolour_remap_input_bit_depthシンタックス要素と
を符号化するように構成される、C31に記載のデバイス。
[C33]
前記デバイスは、
集積回路、
マイクロプロセッサ、または
前記ビデオ符号化ユニットを含むワイヤレス通信デバイス
のうちの少なくとも1つを備える、C27に記載のデバイス。
図1
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図9