(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外側先端シャフトと、前記外側先端シャフトの基端側に固定され、かつ、前記外側先端シャフトの内腔と連通する内腔を有する外側基端シャフトと、を備える外側シャフトと、
先端側が前記外側先端シャフトの内腔に配置され、かつ、基端側が前記外側基端シャフトの外表面に配置された内側シャフトと、
前記内側シャフトと前記外側先端シャフトに固定されたバルーンと、を備え、
前記内側シャフトの基端は、前記外側基端シャフトの外表面で開口する基端開口部を有し、
前記内側シャフトは、前記基端開口部を形成する周縁部の一部に凸部を有し、
前記基端開口部は、前記外側先端シャフトの基端よりも基端側に配置され、
前記内側シャフトは、前記外側先端シャフトの基端と前記凸部の間に、前記凸部よりも肉厚が薄く、かつ、柔軟な柔軟部を有する、バルーンカテーテル。
前記凸部は、前記内側シャフトの軸方向の断面において、基端側から先端側に向かって傾斜する第1傾斜部と、前記第1傾斜部の先端と連なり、前記第1傾斜部の先端から前記内側シャフトの先端側に向かって傾斜する第2傾斜部と、を有し、
前記第1傾斜部の軸方向の長さは、前記第2傾斜部の軸方向の長さよりも長い、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
外側先端シャフトと、外側基端シャフトと、内側シャフトと、前記内側シャフトの内腔に配置する第1マンドレルと、前記外側先端シャフトの内腔および前記外側基端シャフトの内腔に配置される第2マンドレルと、を供給し、前記第1マンドレルは、第1領域と、前記第1領域の基端側と軸方向に重なりつつ、前記第1領域の基端よりも基端側に延在する第2領域と、を有し、前記第1領域と前記第2領域の間には凹部が形成されており、
前記外側先端シャフトの内腔に前記内側シャフトを配置し、
前記内側シャフトの内腔に前記第1マンドレルの第1領域を挿入することにより、前記内側シャフトの基端が前記第1マンドレルの凹部と軸方向に重なるように前記第1マンドレルを配置し、
前記外側基端シャフトの外表面に前記内側シャフトを沿わせつつ、前記外側先端シャフトの内腔と前記外側基端シャフトの内腔が連なるように前記外側基端シャフトを配置し、
前記外側先端シャフトの内腔および前記外側基端シャフトの内腔に前記第2マンドレルを挿入し、
前記外側先端シャフト、前記外側基端シャフト、前記内側シャフト、および前記第1マンドレルの第2領域を覆うように熱収縮チューブを配置し、
前記熱収縮チューブに熱を付与して収縮させ、前記外側先端シャフト、前記外側基端シャフト、前記内側シャフトを融着しつつ、前記第1マンドレルの凹部に配置された前記内側シャフトの基端に凸部を形成する、ことを含む医療用長尺体の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るバルーンカテーテルを示す図である。
【
図2】
図2(A)は、
図1において破線部2Aで囲んだ部分の拡大断面図であり、
図2(B)は、
図1において破線部2Bで囲んだ部分の拡大断面図である。
【
図3】
図2(B)において破線部3Aで囲んだ部分を拡大して示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る医療用長尺体の製造方法を説明するための図であり、
図4(A)は、内側シャフトを外側先端シャフトに軸方向に重ねて配置した状態を示す断面図、
図4(B)は、第1マンドレルを内側シャフトに挿入した状態を示す断面図、
図4(C)は、外側先端シャフトの内腔に外側基端シャフトを挿入した状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る医療用長尺体の製造方法を説明するための図であり、
図5(A)は、外側先端シャフトの内腔および外側基端シャフトの内腔に第2マンドレルを挿入した状態を示す断面図であり、
図5(B)は、熱収縮チューブを配置した状態を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る医療用長尺体の製造方法を説明するための図であり、
図6(A)は、内側シャフトに凸部が形成される際の様子を拡大して示す断面図であり、
図6(B)は、内側シャフトに凸部が形成された後の様子を拡大して示す断面図である。
【
図7】熱収縮チューブと外側先端シャフトに形成される大径部の位置関係を説明するための断面図である。
【
図8】変形例に係る内側シャフトの凸部を示す拡大断面図である。
【
図9】改変例に係る内側シャフトの凸部を示す拡大断面図である。
【
図10】他の改変例に係る内側シャフトの凸部を示す拡大断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、シャフト100の先端側に配置されたバルーン160を生体管腔に形成された狭窄部等の病変部において拡張させることにより、病変部を押し広げて治療する医療装置である。
【0015】
バルーンカテーテル10は、冠動脈の狭窄部を広げるために使用されるPTCA治療用バルーンカテーテルとして構成している。ただし、バルーンカテーテル10は、例えば、他の血管、胆管、気管、食道、その他消化管、尿道、耳鼻内腔、その他の臓器等の生体器官内に形成された狭窄部等の病変部位の治療を目的としたバルーンカテーテルとして構成することもできる。
【0016】
以下、バルーンカテーテル10について説明する。
【0017】
図1に示すように、バルーンカテーテル10は、長尺状のシャフト(「医療用長尺体」に相当する)100と、シャフト100の先端側に配置されたバルーン160と、シャフト100の基端側に配置されたハブ190と、を有している。
【0018】
実施形態の説明において、バルーン160を配置した側をバルーンカテーテル10の先端側とし、ハブ190を配置した側をバルーンカテーテル10の基端側とし、シャフト100が延伸する方向を軸方向とする。また、実施形態の説明において、先端部とは、先端(最先端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味し、基端部とは、基端(最基端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味する。
【0019】
図1に示すように、バルーンカテーテル10は、シャフト100の先端側寄りにガイドワイヤ200が出入り可能な基端開口部(ガイドワイヤポート)105が形成された、いわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテルとして構成している。
【0020】
図2(A)および
図2(B)に示すように、シャフト100は、内腔(拡張ルーメン)115を備える外側シャフト110と、外側シャフト110の内腔115に配置され、かつ、ガイドワイヤ200が挿通される内腔(ガイドワイヤルーメン)145を備える内側シャフト140と、を有している。
【0021】
図1および
図2(B)に示すように、シャフト100は、内側シャフト140の内腔145に連通する基端開口部(「内側シャフトの基端開口部」に相当する)105を有している。基端開口部105は、内側シャフト140の基端付近に形成している。
【0022】
図2(B)に示すように、外側シャフト110は、外側先端シャフト120と、外側先端シャフト120の基端側に固定された外側基端シャフト130と、を有している。
【0023】
外側先端シャフト120は、軸方向に延伸する内腔125が形成された管状部材で形成している。同様に、外側基端シャフト130は、軸方向に延伸する内腔135が形成された管状部材で形成している。
【0024】
外側先端シャフト120および外側基端シャフト130は、シャフト100の基端開口部105付近において内側シャフト140と一体的に接続(融着)している。
【0025】
外側先端シャフト120の内腔125と外側基端シャフト130の内腔135は互いに連通している。また、外側先端シャフト120の内腔125と外側基端シャフト130の内腔135は互いに連通した状態で、バルーン160の拡張空間167と連通する内腔(拡張ルーメン)115を形成している。
【0026】
外側先端シャフト120および外側基端シャフト130は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種エラストマー、ポリアミド、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン等の結晶性プラスチック等で形成できる。
【0027】
図2(A)に示すように、内側シャフト140の先端側は、外側先端シャフト120の内腔125に配置されている。内側シャフト140の先端側の一定の範囲は、外側先端シャフト120の先端側へ突出するように配置されている。また、
図2(B)に示すように、内側シャフト140は、内側シャフト140の基端側が外側基端シャフト130の外表面に配置されている。
【0028】
図2(A)に示すように、内側シャフト140は、先端側に配置された先端部材180を有している。先端部材180は、ガイドワイヤ200を挿通可能な内腔181を有している。
【0029】
内側シャフト140は、先端側に先端部材180を備えることにより、バルーンカテーテル10の先端が生体管腔(血管の内壁等)に接触した際に、生体器官に損傷が生じるのを防止できる。先端部材180は、例えば、柔軟な樹脂材料で形成できる。ただし、先端部材180の材質は、内側シャフト140に対して固定が可能なものであれば特に限定されない。
【0030】
図2(A)に示すように、内側シャフト140の内腔145は、内側シャフト140の先端側で先端部材180の内腔181と連通している。また、
図2(B)に示すように、内側シャフト140の内腔145は、内側シャフト140の基端側で基端開口部105と連通している。内側シャフト140の基端開口部105付近には、後述する凸部150が形成されている。
【0031】
内側シャフト140は、例えば、外側シャフト110の構成材料として例示したものと同様のもので形成できる。
【0032】
図2(A)に示すように、バルーン160は、内側シャフト140の先端141に固定された先端部161と、外側シャフト110の先端111(「外側先端シャフトの先端」に相当する)に固定された基端部163と、バルーン160の先端部161とバルーン160の基端部163との間に形成された最大外径部を形成する中間部166と、を有している。また、バルーン160は、バルーン160の先端部161とバルーン160の中間部166との間に形成された先端側テーパー部164と、バルーン160の基端部163とバルーン160の中間部166との間に形成された基端側テーパー部165と、を有している。
【0033】
バルーン160は、シャフト100の外周面との間に、外側シャフト110の内腔115と連通する拡張空間167を形成している。バルーン160は、拡張空間167内に流体が流入すると、バルーン160の軸方向と交差する放射方向へ拡張する。
【0034】
バルーン160は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等で形成できる。
【0035】
図2(A)に示すように、内側シャフト140は、バルーン160の中間部166の軸方向の略中心位置を示す造影マーカー170を有している。造影マーカー170は、例えば、白金、金、銀、イリジウム、チタン、タングステン等の金属、またはこれらの合金等により形成できる。なお、造影マーカー170は、内側シャフト140において先端側テーパー部164と中間部166との間の境界部を示す位置、および、内側シャフト140において基端側テーパー部165と中間部166との間の境界部を示す位置に配置してもよい。
【0036】
図1に示すように、ハブ190は、流体(例えば、造影剤や生理食塩水)を供給するためのインデフレーター等の供給装置(図示省略)と液密・気密に接続可能なポート191を有している。ハブ190のポート191は、例えば、チューブ等が接続・分離可能に構成された公知のルアーテーパー等によって構成できる。
【0037】
次に、内側シャフト140について詳述する。
【0038】
図2(B)に示すように、内側シャフト140の基端側には、外側基端シャフト130の外表面で開口する基端開口部(ガイドワイヤポート)105を形成している。
【0039】
また、
図3に示すように、内側シャフト140は、基端開口部105を形成する周縁部105aの一部(周縁部105aの周方向に沿う一部)に凸部150を有している。なお、凸部150は、基端開口部105を形成する周縁部105aの破断を防止しつつ、柔軟性を確保するため、
図3に示すように、内側シャフト140の基端側から先端側に向かって肉厚が増加することによって形成されることが好ましい。
図3は、
図2(B)に示す破線で囲んだ3A部分の拡大断面図(内側シャフト140の軸方向の拡大断面図)である。
【0040】
なお、上記の「内側シャフトの基端側から先端側に向かって肉厚が増加する凸部を有する」とは、内側シャフト140の基端開口部105を形成する周縁部105aの周方向の少なくとも一部に、内側シャフト140において外側先端シャフト120の基端123と融着された部分の肉厚又は内側シャフト140と外側先端シャフト120の基端123とが融着された部分の先端側近傍若しくは基端側近傍に位置する融着されていない部分の肉厚よりも大きな肉厚を有する部分が形成されていることを意味する。例えば、凸部150は、
図3に示すように、内側シャフト140の基端側から先端側に向けて肉厚が連続的に大きくなるような断面形状であってもよいし、後述する変形例(
図10を参照)に示すように、肉厚が段階的に大きくなる断面形状(肉厚が軸方向の任意の部分を境界にして一定の大きさまで大きくなる形状)であってもよい。
【0041】
図3に示すように、凸部150は、内側シャフト140の断面において、内側シャフト140の基端側から先端側に向かって傾斜する第1傾斜部151と、第1傾斜部151の先端と連なり、第1傾斜部151の先端から内側シャフト140の先端側に向かって傾斜する第2傾斜部152と、を有している。
【0042】
第1傾斜部151は、
図3に示す断面において、内側シャフト140の周縁部105aから内側シャフト140の基端側へ向けて放射方向外方(内側シャフト140の軸心から離れる方向)へ傾斜している。また、第1傾斜部151は、基端開口部105の開口面と略平行に延びている。つまり、第1傾斜部151と基端開口部105は同一平面上に存在する。
【0043】
第2傾斜部152は、
図3に示す断面において、第1傾斜部151の先端から第1傾斜部151とは異なる断面形状を呈するように、内側シャフト140の先端側へ延びている。具体的には、第2傾斜部152の基端側は、内側シャフト140の先端側へ向けて弧を描くように湾曲している。第2傾斜部152の先端側は、内側シャフト140の外表面に繋がるように、第1傾斜部151の基端側から内側シャフト140の外表面側に向けて弧を描く断面形状を呈している。
【0044】
なお、第1傾斜部151と第2傾斜部152は、内側シャフト140の一部として一体的に形成されているため、図面上明瞭に区分けしていないが、両者の境界は、
図3に示す断面において、第1傾斜部151の傾斜する方向(内側シャフト140の軸心から離れる方向)が異なる方向(内側シャフト140の軸心側に向かう方向)に遷移する凸部150の境界部に存在する。
【0045】
図3に示すように、凸部150の第1傾斜部151の軸方向の長さL1は、凸部150の第2傾斜部152の軸方向の長さL2よりも長く形成している。なお、第1傾斜部151の軸方向の長さL1および第2傾斜部152の軸方向の長さL2は、凸部150において
図3に示す断面上で最長となる部分の軸方向の長さである。
【0046】
凸部150の第1傾斜部151の軸方向の長さL1は、例えば、0.2mm〜1.0mmに形成でき、凸部150の第2傾斜部152の軸方向の長さL2は、例えば、0.1mm〜0.8mmに形成できる。
【0047】
内側シャフト140の基端開口部105は、外側先端シャフト120の基端123よりも基端側に配置している。また、内側シャフト140は、外側先端シャフト120の基端123と凸部150の間に、凸部150よりも肉厚が薄く、かつ、柔軟な柔軟部158を有している。
【0048】
柔軟部158は、内側シャフト140の凸部150よりも薄い肉厚を有するように形成している。すなわち、柔軟部158は、内側シャフト140において、内側シャフト140と外側先端シャフト120の基端123とが融着された部分の先端近傍に位置し、かつ、内側シャフト140の基端開口部105を形成する周縁部105aの少なくとも一部に設けられた凸部150よりも肉厚が小さい部分である。また、柔軟部158の外表面は、
図3に示す断面において、凸部150よりも内側シャフト140の内側に凹んだ形状を有している。具体的には、柔軟部158は、外側先端シャフト120の基端123と凸部150との間に位置し、外側先端シャフト120の基端123及び凸部150におけるシャフト100の外表面の位置よりも凹んだ位置に存在する。後述するように、柔軟部158は、柔軟部158よりも内側シャフト140の基端側に配置された凸部150を形成する際に、内側シャフト140を構成する樹脂が凸部150を形成する部分に流れ込むことにより形成されている。このため、柔軟部158の肉厚は、凸部150よりも小さく、かつ、内側シャフト140において凸部150が形成された部分以外の部分よりも小さくなっている。
【0049】
凸部150は、例えば、基端開口部105を形成する周縁部105aから内側シャフト140の軸方向の先端側へ0.1mm〜1.0mmの範囲に形成できる。柔軟部158は、例えば、外側先端シャフトの基端123から内側シャフト140の基端側へ0.5mm〜3.0mmの範囲に形成できる。また、凸部150において肉厚が最も大きい部分t1は、例えば、0.1mm〜0.5mmに形成できる。また、柔軟部158において肉厚が最も小さい部分t2は、例えば、0.02mm〜0.2mmに形成できる。
【0050】
図3に示すように、内側シャフト140の基端開口部105は、内側シャフト140の軸方向の断面において、内側シャフト140の基端側から先端側に向かって傾斜している。本実施形態では、凸部150の第1傾斜部151と基端開口部105は同一平面上に重なるように略平行に配置しているが、基端開口部105は、例えば、凸部150の第1傾斜部151と非平行に配置してもよく、傾斜する角度等に特に制限はない。
【0051】
図3に示すように、内側シャフト140の基端開口部105の周縁部105aは、内側シャフト140の軸方向の断面において、曲面で形成している。周縁部105aの断面形状は、例えば、図示するように、周縁部105aからその内側に形成される基端開口部105側に向けて所定の曲率で湾曲するように形成できる。
【0052】
なお、周縁部105aの断面形状は湾曲した形状に限定されることはなく、例えば、三角形や矩形状であってもよい。
【0053】
図2に示すように、外側先端シャフト120は、所定の外径D1で形成された大径部126を有している。また、内側シャフト140の凸部150に対応する部分で外側シャフト110および内側シャフト140が形成する外径D2は、大径部126の外径D1よりも小さくなっている。
【0054】
後述するように、内側シャフト140と外側シャフト110(外側先端シャフト120および外側基端シャフト130)とを融着する際(
図5(B)を参照)、両シャフト110、140は熱収縮チューブ400で所定の範囲(
図7の矢印A1で示す範囲)が覆われる。この状態で両シャフト110、140に熱を付与すると、両シャフト110、140は、熱収縮チューブ400で覆われた範囲が放射方向内方(シャフト100の内側に向かう方向)に収縮する。この際、熱の影響が及ばない範囲は、両シャフト110、140の融着前後において外径を維持する。
図2(B)に示すように、融着前後において外側先端シャフト120の外径が維持された部分は、大径部126を形成する。
【0055】
なお、両シャフト110、140の融着後に外径が小さくなった部分、つまり両シャフト110、140を融着する際に熱収縮チューブ400で被覆され部分は、大径部126よりも外径が小さい小径部127を形成する。また、大径部126と小径部127の間には、熱収縮チューブ400に付与した熱の影響で小径部127から大径部126に向けて外径が徐々に大きくなる境界部128が形成される。
【0056】
シャフト100を製造する際に、熱収縮チューブ400を配置する領域(
図7において矢印A1で示す領域)は、熱収縮チューブ400が外側先端シャフト120、外側基端シャフト130、内側シャフト140、および第1マンドレル310の第2領域312を覆うに限り、特に限定されない。熱収縮チューブ400の先端は、内側シャフト140の基端開口部105の先端から先端側に離れた位置に配置され、熱収縮チューブ400の基端は、内側シャフト140の基端開口部105の基端から基端側に離れた位置に配置される。
【0057】
図3に示すように、内側シャフト140の凸部150は、内側シャフト140の軸方向に沿う幅を有している。なお、ここでいう「軸方向に沿う幅を有する」とは、
図3に示す断面において、凸部150が軸方向に沿って一定の長さで延在した部分(図中の破線矢印wで示す領域)を有することを意味する。
【0058】
図3に示すように、内側シャフト140の凸部150の幅は、外側シャフト110(外側基端シャフト130)側に向かって増加する。つまり、凸部150の外周形状は、内側シャフト140の軸方向に沿って基端側に向かうにしたがって、外側シャフト110との接触面積(融着面積)が幅方向に徐々に広がる形状で形成されている。
【0059】
なお、本実施形態では、
図3に示す断面において、凸部150は、内側シャフト140の基端側へ向かうにしたがって、外側シャフト110側に向けて幅が大きく広がるように傾斜した形状を有しているが、凸部150の形状はこのような形状に限定されることはない。例えば、凸部150は、内側シャフト140の基端側へ向かうにしたがって、外側シャフト110側に向けて幅が小さくなるように傾斜した形状や、内側シャフト140の基端側へ向けて一定の幅で形成されるように形成してもよい。
【0060】
次に、シャフト(医療用長尺体)100の製造方法を説明する。
【0061】
まず、シャフト100を製造する作業者は、外側先端シャフト120と、外側基端シャフト130と、内側シャフト140と、を供給(準備)する。
【0062】
作業者は、外側先端シャフト120として、例えば、外径および内径が軸方向に略一定に形成された管状部材を準備する。また、作業者は、外側基端シャフト130として、例えば、先端が先端側から基端側へ向けて斜めに傾斜し、先端以外の部分が軸方向に略一定の外径および内径を有する管状部材を準備する。また、作業者は、内側シャフト140として、例えば、基端が基端側から先端側へ向けて斜めに傾斜し、基端以外の部分が軸方向に略一定の外径および内径を有する管状部材を準備する(各シャフト120、130、140の形状例は
図4(C)を参照)。
【0063】
作業者は、内側シャフト140の内腔(ガイドワイヤルーメン)145に配置する第1マンドレル310と、外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に配置される第2マンドレル320を供給(準備)する(
図5(A)を参照)。
【0064】
図4(A)に示すように、第1マンドレル310は、内側シャフト140の内腔145に配置される第1領域311と、第1領域311の基端側と軸方向に重なりつつ、第1領域311の基端よりも基端側に延在する第2領域312と、を有している。第1マンドレル310の第1領域311と第1マンドレル310の第2領域312の間には凹部313が形成されている。
【0065】
第1マンドレル310の第1領域311は軸方向に略直線状に延在している。第1マンドレル310の第2領域312は、先端が先端側に向けて傾斜しており、第1領域311との間に所定の空間を形成している。第1マンドレル310の凹部313は、内側シャフト140の基端開口部105の周縁部105aを湾曲した断面形状に形成し得るように、内側シャフト140の基端と対向する部分313aの形状が基端側に向けて凹状に湾曲している。
【0066】
作業者は、
図4(A)に示すように、外側先端シャフト120の内腔125に内側シャフト140を配置する。
【0067】
次に、作業者は、
図4(B)に示すように、内側シャフト140の内腔145に第1マンドレル310を配置する。具体的には、作業者は、内側シャフト140の内腔145に第1マンドレル310を挿入し、内側シャフト140の基端が第1マンドレル310の凹部313と軸方向に重なるように第1マンドレル310を配置する。また、この際、作業者は、外側先端シャフト120の基端123と第1マンドレル310の凹部313との間で内側シャフト140の一部が露出するように、第1マンドレル310を配置する。
【0068】
次に、作業者は、
図4(C)に示すように、外側基端シャフト130の外表面に内側シャフト140を沿わせつつ、外側先端シャフト120の内腔125と外側基端シャフト130の内腔135が連なるように外側基端シャフト130を配置する。
【0069】
次に、作業者は、
図5(A)に示すように、外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に第2マンドレル320を挿入する。なお、第2マンドレル320は、軸方向に略直線状に延在する公知のものを用いることができる。
【0070】
なお、作業者は、外側先端シャフト120の内腔125に内側シャフト140を配置する作業、第1マンドレル310を内側シャフト140に配置する作業、外側先端シャフト120に外側基端シャフト130を配置する作業、第2マンドレル320を外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に挿入する作業を順不同で行うことができる。
【0071】
次に、作業者は、
図5(C)に示すように、外側先端シャフト120、外側基端シャフト130、内側シャフト140、および第1マンドレル310の第2領域312を覆うように熱収縮チューブ400を配置する。熱収縮チューブ400としては、例えば、ポリオレフィンなどにより構成された中空状の筒部材を用いることができる。
【0072】
作業者は、熱収縮チューブ400を配置した状態で、熱収縮チューブ400に熱を付与し、外側先端シャフト120、外側基端シャフト130、内側シャフト140を融着する。熱収縮チューブ400は、加熱されると収縮し、加熱前の熱収縮チューブ400の内径よりも加熱後の熱収縮チューブ400の内径が小さくなるように変形する。
【0073】
この際、
図6(A)に示すように、内側シャフト140は、内側シャフト140の第1マンドレル310の凹部313から露出した部分が溶融し、内側シャフト140を構成する樹脂が第1マンドレル310の凹部313側へ流れ込む(
図6(A)において凹部313側に流れ込む樹脂を符号fで示す)。
【0074】
そして、
図6(B)に示すように、第1マンドレル310の凹部313側へ流れ込んだ内側シャフト140を構成する樹脂は、内側シャフト140の基端側から先端側に向かって肉厚が増加した凸部150を形成する。この際、作業者は、外側先端シャフト120の基端123と凸部150の先端との間に、凹部313側へ樹脂が流れ込むことにより内側シャフト140の厚みが減少した部分(凹部313から露出した部分)に柔軟部158を形成する。
【0075】
なお、
図7に示すように、各シャフト120、130、140において熱収縮チューブ400により覆われた部分(
図7の矢印A1で示す範囲)には小径部127が形成され、熱収縮チューブ400により覆われなかった部分(小径部127よりも先端側)には境界部128が形成され、境界部128の先端側には大径部126が形成される。
【0076】
作業者は、以上の各工程を実施することにより、凸部150および柔軟部158が形成された内側シャフト140と、外側先端シャフト120および外側基端シャフト130により構成された外側シャフト110と、を備えるシャフト100を製造できる。
【0077】
次に、本実施形態に係るバルーンカテーテル10の作用、およびシャフト100の製造方法の作用を説明する。
【0078】
本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、外側先端シャフト120と、外側先端シャフト120の基端側に固定され、かつ、外側先端シャフト120の内腔125と連通する内腔135を有する外側基端シャフト130と、を備える外側シャフト110と、先端側が外側先端シャフト120の内腔125に配置され、かつ、基端側が外側基端シャフト130の外表面に配置された内側シャフト140と、内側シャフト140と外側先端シャフト120に固定されたバルーン160と、を備えている。また、内側シャフト140の基端は、外側基端シャフト130の外表面で開口する基端開口部(ガイドワイヤポート)105を有し、内側シャフト140は、基端開口部105を形成する周縁部105aの一部に基端側から先端側に向かって肉厚が増加する凸部150を有している。
【0079】
上記のように構成したバルーンカテーテル10は、内側シャフト140の基端開口部105を形成する周縁部105aの一部に凸部150が形成されている。内側シャフト140の凸部150は、ガイドワイヤ200を内側シャフト140の基端開口部105から取り出す際などに基端開口部105付近に過剰な応力集中が発生した場合においても、内側シャフト140が破断するのを防止できる。このため、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140に破断が生じるのを防止でき、内側シャフト140の破断に伴ってガイドワイヤ200の操作性が低下するのを防止できる。
【0080】
また、内側シャフト140の基端開口部105は、外側先端シャフト120の基端123よりも基端側に配置され、内側シャフト140は、外側先端シャフト120の基端123と凸部150の間に、凸部150よりも肉厚が薄く、かつ、柔軟な柔軟部158を有している。
【0081】
上記のように構成したバルーンカテーテル10は、凸部150よりも内側シャフト140の先端側に形成された柔軟部158を有する。そのため、ガイドワイヤ200を操作した際にガイドワイヤ200から凸部150に対して応力が作用すると、内側シャフト140は、柔軟部158を起点にして凸部150付近が捲れ上がるように変形(屈曲)するため、内側シャフト140の基端開口部105付近で応力集中が生じるのを防止できる。これにより、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140の基端開口部105が破断するのをより好適に防止できる。さらに、バルーンカテーテル10は、凸部150よりも内側シャフト140の先端側に形成された柔軟部158を有するため、ガイドワイヤ200に沿ってバルーンカテーテル10を移動等させる際、柔軟部158がガイドワイヤ200に追従して容易に湾曲し、ガイドワイヤ200への追従性が高められる。
【0082】
また、内側シャフト140の基端開口部105は、内側シャフト140の軸方向の断面において、基端側から先端側に向かって傾斜している。このため、内側シャフト140の基端開口部105が内側シャフト140の軸方向に対して直交するように開口している場合に比べて基端開口部105の開口面積を大きく形成できる。これにより、術者は、バルーンカテーテル10の基端開口部105を介してガイドワイヤ200を容易に取り出すことができる。
【0083】
また、外側先端シャフト120は、所定の外径で形成された大径部126を有し、内側シャフト140に形成された凸部150に対応する部分で外側シャフト110および内側シャフト140が形成する外径は、大径部126の外径よりも小さい。
【0084】
術者は、バルーンカテーテル10を血管等の生体管腔へ挿入する際、例えば、一つのカテーテル(公知のガイディングカテーテル等)を利用して、バルーンカテーテル10とともに他の医療デバイス(例えば、バルーンカテーテルとは別のバルーンカテーテルや画像診断に用いられるカテーテルデバイス等)を挿入することがある。この際、バルーンカテーテル10に形成された凸部150におけるシャフト100の外径が過度に大きいと、カテーテル内においてバルーンカテーテル10と他の医療デバイスが干渉してしまい、両者の円滑な移動が妨げられることがある。バルーンカテーテル10は、上記のように内側シャフト140に形成された凸部150の外径が外側先端シャフト120の大径部126の外径と比較して小さく形成されているため、内側シャフト140に凸部150が形成されているに関わらず、カテーテルの内腔で他の医療デバイスと干渉するのを好適に防止できる。
【0085】
また、内側シャフト140の凸部150は、内側シャフト140の軸方向に沿う幅を有しており、凸部150の幅は、外側シャフト110側に向かって増加する。これにより、内側シャフト140は、内側シャフト140の基端側で凸部150と外側シャフト110の外表面とが接触する接触面積(融着面積)が大きくなるため、内側シャフト140と外側シャフト110の固定力を高めることができる。
【0086】
また、内側シャフト140に形成された凸部150は、内側シャフト140の軸方向の断面において、基端側から先端側に向かって傾斜する第1傾斜部151と、第1傾斜部151の先端と連なり、第1傾斜部151の先端から内側シャフト140の先端側に向かって傾斜する第2傾斜部152と、を有している。そして、第1傾斜部151の軸方向の長さは、第2傾斜部152の軸方向の長さよりも長く形成している。
【0087】
上記のように構成したバルーンカテーテル10は、凸部150の基端側に形成された第1傾斜部151の軸方向の長さが比較的長く形成されるため、内側シャフト140の軸方向において内側シャフト140の外径が変化する領域(凸部150の基端から凸部150の最大外径部までの領域)が長くなる。つまり、内側シャフト140は、凸部150において外径が大きくなるように変化する領域の軸方向の長さが長くなるため、凸部150の外径の急減な増加が抑えられる。したがって、バルーンカテーテル10は、凸部150の基端側から先端側に向けて外径の増加量が緩やかになるため、急激な外径の増加に起因して生じる内側シャフト140のキンク等が発生するのを防止できる。
【0088】
また、内側シャフト140の基端開口部105の周縁部105aは曲面で形成されている。このため、術者は、内側シャフト140の基端開口部105からガイドワイヤ200を取り出す際、ガイドワイヤ200が基端開口部105の周縁部105aに引っ掛かるのを防止でき、ガイドワイヤ200を円滑に取り出すことができる。
【0089】
本実施形態に係るシャフト100の製造方法は、外側先端シャフト120と、外側基端シャフト130と、内側シャフト140と、内側シャフト140の内腔145に配置する第1マンドレル310と、外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に配置される第2マンドレル320と、を供給し、第1マンドレル310は、第1領域311と、第1領域311の基端側と軸方向に重なりつつ、第1領域311の基端よりも基端側に延在する第2領域312と、を有し、第1領域311と第2領域312の間には凹部313が形成されている。そして、当該製造方法は、外側先端シャフト120の内腔125に内側シャフト140を配置し、内側シャフト140の内腔145に第1マンドレル310の第1領域311を挿入することにより、内側シャフト140の基端が第1マンドレル310の凹部313と軸方向に重なるように第1マンドレル310を配置し、外側基端シャフト130の外表面に内側シャフト140を沿わせつつ、外側先端シャフト120の内腔125と外側基端シャフト130の内腔135が連なるように外側基端シャフト130を配置し、外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に第2マンドレル320を挿入し、外側先端シャフト120、外側基端シャフト130、内側シャフト140、および第1マンドレル310の第2領域312を覆うように熱収縮チューブ400を配置し、熱収縮チューブ400に熱を付与して収縮させ、外側先端シャフト120、外側基端シャフト130、内側シャフト140を融着しつつ、第1マンドレル310の凹部313に配置された内側シャフト140の基端に凸部150を形成する。
【0090】
上記のシャフト100の製造方法は、内側シャフト140と外側シャフト110を融着する際、第1マンドレル310が備える第1領域311を内側シャフト140の内腔145に挿入し、かつ、第1マンドレル310の第1領域311と第1マンドレル310の第2領域312との間に形成された凹部313に内側シャフト140の基端を配置した状態とし、外側先端シャフト120、外側基端シャフト130、内側シャフト140、および第1マンドレル310の第2領域312を覆うように熱収縮チューブ400を配置する。そして、上記製造方法は、熱収縮チューブ400に熱を付与して収縮させることにより、外側先端シャフト120、外側基端シャフト130、内側シャフト140を融着しつつ、第1マンドレル310の凹部313に配置された内側シャフト140の基端に凸部150を形成する。したがって、上記製造方法は、基端開口部105付近で内側シャフト140が破断するのを防止する凸部150が形成された内側シャフト140を備えるシャフト100を提供できる。
【0091】
また、シャフト100の製造方法において、第1マンドレル310は、外側先端シャフト120の基端123と第1マンドレル310の第2領域312の先端との間で内側シャフト140を露出させるように内側シャフト140に配置される。そして、内側シャフト140において第1マンドレル310から露出した部分は、熱収縮チューブ400に熱を付与して収縮させる際、凸部150を形成するように内側シャフト140の基端側へ流れ込むことによって、凸部150よりも肉厚が薄い柔軟部158を形成する。
【0092】
上記のシャフト100の製造方法は、内側シャフト140に凸部150を形成するとともに、凸部150よりも内側シャフト140の先端側に柔軟部158を形成できる。内側シャフト140は、ガイドワイヤ200を操作した際にガイドワイヤ200から凸部150に対して応力が作用すると、柔軟部158を起点にして凸部150付近が捲れ上がるように変形(屈曲)するため、内側シャフト140の基端開口部105付近で応力集中が生じるのを防止する。また、柔軟部158は、ガイドワイヤ200に沿ってバルーンカテーテル10を移動等させる際、ガイドワイヤ200に追従して容易に湾曲することにより、ガイドワイヤ200に対するバルーンカテーテル10の追従性を高める。
【0093】
また、シャフト100の製造方法において、第1マンドレル310の凹部313は、内側シャフト140の基端と対向する部分313aが湾曲した形状で形成されている。そして、内側シャフト140の基端は、第1マンドレル310の凹部313により湾曲した形状に形成される。
【0094】
上記のシャフト100の製造方法は、内側シャフト140の基端に形成された基端開口部105の周縁部105aを湾曲した断面形状(曲面状の断面形状)で形成する。これにより、術者は、内側シャフト140の基端開口部105からガイドワイヤ200を取り出す際、ガイドワイヤ200が基端開口部105の周縁部105aに引っ掛かるのを防止でき、ガイドワイヤ200を円滑に取り出すことができる。
【0095】
次に、上述した実施形態の変形例を説明する。なお、変形例において特に言及しない構成や部材、製造工程等については、前述した実施形態と同様のものとすることができ、その説明を省略する。
【0096】
<変形例>
図8は、変形例に係るバルーンカテーテルの凸部550を示す断面図である。
【0097】
変形例1に係るバルーンカテーテルは、内側シャフト140に形成された凸部550の断面形状が前述した実施形態に係るバルーンカテーテル10と相違する。
【0098】
図8に示すように、内側シャフト140に形成された凸部550は、内側シャフト140の軸方向の断面(
図7に示す断面)において、基端側から先端側に向かって傾斜する第1傾斜部551と、第1傾斜部551の先端と連なる第2傾斜部552と、を有している。
【0099】
第1傾斜部551は、内側シャフト140の基端側から先端側へ向けて所定の傾斜角度で略直線状に延在している。第1傾斜部551の基端付近に形成された基端開口部105の周縁部105aは、曲面で形成している。
【0100】
第2傾斜部552は、第1傾斜部551の先端から内側シャフト140の先端側に向かって傾斜している。なお、第1傾斜部551の先端は、
図3に示す断面図において、略直線状に延在した第1傾斜部551から湾曲した形状の第2傾斜部552に向けて断面形状が切り替わる(遷移する)境界部に存在する。
【0101】
第2傾斜部552は、
図3に示す断面において、第1傾斜部551の先端から第1傾斜部551とは異なる断面形状を呈するように、内側シャフト140の先端側へ延びている。具体的には、第2傾斜部552の基端側は、第1傾斜部551の先端から先端側へ向けて弧を描く断面形状を呈している。また、第2傾斜部552の先端側は、内側シャフト140の外表面に繋がるように、第2傾斜部552の基端側から内側シャフト140の外表面側に向けて弧を描く断面形状を呈している。
【0102】
図8に示すように、凸部550の第1傾斜部551の軸方向の長さL1は、凸部550の第2傾斜部552の軸方向の長さL2よりも短く形成している。なお、第1傾斜部551の軸方向の長さL1および第2傾斜部552の軸方向の長さL2は、凸部550において
図7に示す断面上で最長となる部分の軸方向の長さである。
【0103】
凸部550の第1傾斜部551の軸方向の長さL1は、例えば、0.1mm〜0.8mmに形成でき、凸部550の第2傾斜部552の軸方向の長さL2は、例えば、0.2mm〜1.0mmに形成できる。
【0104】
本変形例に係る凸部550を形成する際、作業者は、第1マンドレルとして、凸部550の断面形状に対応した断面形状の凹部を備えるマンドレルを準備する。後述する各改変例に係る凸部650、750を形成する場合も同様に、作業者は、各凸部650、750の断面形状に対応した断面形状を備える第1マンドレルを準備する。
【0105】
以上のように、本変形例に係るバルーンカテーテルは、内側シャフト140に形成された凸部550が内側シャフト140の軸方向の断面において、基端側から先端側に向かって傾斜する第1傾斜部551と、第1傾斜部551の先端と連なり、第1傾斜部551の先端から内側シャフト140の先端側に向かって傾斜する第2傾斜部552と、を有している。そして、第1傾斜部551の軸方向の長さは、第2傾斜部552の軸方向の長さよりも短く形成している。
【0106】
バルーンカテーテルは、本変形例で説明したような断面形状の凸部550が内側シャフト140に形成されている場合においても、ガイドワイヤ200を内側シャフト140の基端開口部105から取り出す際などに、基端開口部105付近で内側シャフト140に破断が生じるのを防止でき、内側シャフト140の破断に伴ってガイドワイヤ200の操作性が低下するのを防止できる。
【0107】
なお、
図8の変形例に係るバルーンカテーテルは、凸部550の第1傾斜部551の軸方向の長さL1と凸部550の第2傾斜部552の軸方向の長さL2とが同じ長さを有していてもよい。この場合においても、バルーンカテーテルは、ガイドワイヤ200を内側シャフト140の基端開口部105から取り出す際などに、基端開口部105付近で内側シャフト140に破断が生じるのを防止でき、内側シャフト140の破断に伴ってガイドワイヤ200の操作性が低下するのを防止できる。
【0108】
<改変例>
内側シャフト140に形成する凸部は、内側シャフト140の基端側から先端側に向かって肉厚が増加する限り、具体的な断面形状等は特に限定されない。例えば、
図9に示すように、凸部650は、第1傾斜部651が先端側に斜めに傾斜し、第2傾斜部652が軸方向と直交する方向に略垂直に延在した断面形状を有するものであってもよい。また、
図10に示すように、凸部750は、第1傾斜部および第2傾斜部が形成されてない略矩形の断面形状を有するものであってもよい。また、内側シャフト140は、
図9および
図10に示すように基端開口部105の周縁部105aが曲面(湾曲した形状)に形成されていなくてもよい。
【0109】
バルーンカテーテルは、
図9および
図10に示すような断面形状で各凸部650、750が形成されている場合においても、ガイドワイヤ200を内側シャフト140の基端開口部105から取り出す際などに、基端開口部105付近で内側シャフト140に破断が生じるのを防止でき、内側シャフト140の破断に伴ってガイドワイヤ200の操作性が低下するのを防止できる。
【0110】
以上、実施形態等を通じて本発明に係るバルーンカテーテルおよび医療用長尺体の製造方法を説明したが、本発明は特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することができ、説明した各実施形態の内容のみに限定されることはない。
【0111】
例えば、内側シャフトに形成する凸部は、内側シャフトの基端開口部を形成する周縁部の一部に形成されている限り、その形成する範囲は特に限定されない。
【0112】
また、例えば、実施形態等において説明したバルーンカテーテルの構造や部材の配置等は適宜変更することができ、図示により説明した付加的な部材の使用の省略や、特に説明されなかったその他の付加的な部材の使用等も適宜に行い得る。同様に、医療用長尺体の製造方法に関する各工程や製造に使用される器具等についても適宜変更し得る。
【0113】
本出願は、2017年3月28日に出願された日本国特許出願第2017−063765号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。