特許第6982076号(P6982076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982076
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/84 20060101AFI20211206BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20211206BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20211206BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20211206BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   A61K8/84
   A61K8/73
   A61K8/81ZNA
   A61K8/894
   A61Q19/00
【請求項の数】13
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2019-532766(P2019-532766)
(86)(22)【出願日】2017年12月5日
(65)【公表番号】特表2020-502175(P2020-502175A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(86)【国際出願番号】US2017064757
(87)【国際公開番号】WO2018111626
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年8月15日
(31)【優先権主張番号】62/434,717
(32)【優先日】2016年12月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャー,スネハル
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ホワ
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ジョーチュエン
(72)【発明者】
【氏名】スメイル,マリー アン
(72)【発明者】
【氏名】ソジュカ,ミラン フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ブラテスク,ダニエラ
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/044808(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105233270(CN,A)
【文献】 特表2013−523227(JP,A)
【文献】 Cheolbyong Chun et al., Effect of molecular weight of hyaluronic acid(HA) on viscoelasticity and particle texturing feel of HA dermal biphasic fillers,Biomaterials Research,2016年09月07日,p.1-7,DOI 10.1186/s40824-016-0073-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
A61L 15/00−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含む、マイクロメッシュ構造を含有する局所用組成物:
・組成物全体の0.001〜10重量%で存在するポリマーであって、アクリルまたはメタクリル樹脂、アクリロイルジメチルタウレートのコポリマー、アクリレート架橋シリコーンコポリマー、アニオン性多糖、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマー;
・1×106ダルトン〜1×107ダルトンの範囲の分子量を有する高分子量ヒアルロン酸(HMW HA)および/またはその塩;
・1×103ダルトン〜8×105ダルトンの範囲の分子量を有する低分子量ヒアルロン酸(LMW HA)および/またはその塩;
アスパラギン酸のポリマーのナトリウム塩;ならびに
・水。
【請求項2】
以下のステップ:
a) 試験ポリマーと、少なくとも1種のLMW HA、少なくとも1種のHMW HA、アスパラギン酸のポリマーのナトリウム塩、および水との組み合わせを製造するステップ、
ここで試験ポリマーは、アクリルまたはメタクリル樹脂、アクリロイルジメチルタウレートのコポリマー、アクリレート架橋シリコーンコポリマー、アニオン性多糖、およびそれらの混合物からなる群から選択され、
HMW HAは1×106ダルトン〜1×107ダルトンの範囲の分子量を有し、
LMW HAは1×103ダルトン〜8×105ダルトンの範囲の分子量を有する;
b) 前記組み合わせについて、SEMを用いてマイクロメッシュが形成されているか否かを決定するステップ;
c) マイクロメッシュを形成する試験ポリマーを選択するステップ;および
d) 試験ポリマー、LMW HA、HMW HA、アスパラギン酸のポリマーのナトリウム塩、および水のみを組み合わせた場合と同じ比率およびパーセンテージで、マイクロメッシュを形成する同じ成分の組み合わせを含有する局所用生成物を製剤化するステップ
を含む、マイクロメッシュを含有する局所用生成物を製剤化するための方法。
【請求項3】
前記ポリマーがアクリロイルジメチルタウレートのコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーがポリアクリレートクロスポリマー-6である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アスパラギン酸のポリマーのナトリウム塩が、組成物全体の0.001〜10重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記アスパラギン酸のポリマーのナトリウム塩が2,000〜6,000ダルトンの範囲の分子量を有するポリアスパラギン酸ナトリウムである、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
以下の成分:
組成物全体の0.001〜10重量%で存在するアクリロイルジメチルタウレートのコポリマー、
組成物全体の0.001〜10重量%で存在する1×106ダルトン〜1×107ダルトンの範囲の分子量を有するHMW HA、
組成物全体の0.001〜10重量%で存在する1×103ダルトン〜8×105ダルトンの範囲の分子量を有するLMW HA、
2,000〜6,000ダルトンの範囲の分子量を有するアスパラギン酸のポリマーのナトリウム塩
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記アクリロイルジメチルタウレートのコポリマーがポリアクリレートクロスポリマー-6である、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
1種以上のDNA修復酵素をさらに含む、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
自食作用活性化剤をさらに含む、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
CLOCKまたはPER1細胞性遺伝子活性化剤をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
1種以上の植物抽出物をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
DNA修復酵素が塩基除去修復酵素である、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角質層の完全性および厚みを改善し、かつ皮膚の健康および良好状態を促すという利益を提供するための、ケラチン表面への局所塗布のための化粧用組成物の分野に入る。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、表皮および真皮の2種類の主要な層を有する。表皮は、皮膚の最外層である。真皮は皮膚の低い側の層であり、皮膚に強度を与えるコラーゲンおよびエラスチン線維を含有し、真皮には皮膚脈管構造および神経が見出される。表皮は5種類の層を有する。最外層は角質層であり、それに、透明層、顆粒層、有棘層が続き、および最後に基底層が、真皮に隣り合う最深層として存在する。基底層は、連続的に分裂して新たなケラチン生成細胞を形成する細胞を含有し、それにより、剥がれ落ちていく細胞を置き換える。基底層はまた、皮膚の色を生成するメラニン細胞もまた含有する。有棘層は、基底細胞で形成されたケラチン生成細胞を含有する。顆粒層では、ケラチンおよび他の生物学的物質が生成され、これらは皮膚が防水性になることを助ける。透明層は、比較的厚い皮膚中で見出され、平坦な死滅細胞から形成される。透明層は、角質層と顆粒層との間の摩擦を抑える。
【0003】
角質層は、皮膚のバリア機能に大きく寄与する。角質層は生物学的に不活性であると、以前に考えられたことがあった。しかしながら、現在では、角質層が、これを形成する角質細胞(角質化したケラチン生成細胞)が死滅細胞であるという事実にもかかわらず、複雑な化学的および物理的生態を有することが認識されている。健康な角質層を維持することは、健康な皮膚およびそれに伴う魅力的な外観の達成に対して極めて重要である。
【0004】
角質層の構造は、多くの場合に、角質細胞がレンガを形成している「レンガとモルタル」型の建造物に例えられてきた。約12〜16層の角質細胞が、繊維間に相当な量の水を保持できるケラチンの繊維から構成される規則正しいマトリックスを有するタンパク質複合体を形成する。一般的に、各角質細胞は、約1ミクロンの直径を有し、該直径は、個体の年齢、環境条件への曝露、その他の要因に応じて変化し得る。ケラチン生成細胞は基底層中で増殖し、表皮の層を通って皮膚表面まで移動し、角質化していくケラチン生成細胞と置き換わる。ケラチン生成細胞は有棘層および顆粒層を通って移動しながら、その中でラメラ体を形成する。ラメラ体が角質層へと成熟すると、酵素がラメラ体の外層エンベロープを分解し、それにより、遊離脂肪酸およびセラミドが放出されて、角質層内で一緒になって融合し、脂質の連続的な層を含有する角質化エンベロープが形成される。2種類のタイプの脂質があり、この層は、ラメラ脂質二重層と称される。この二重層は、皮膚のバリア特性を維持するにあたって主要な役割を果たし、多くの場合にレンガとモルタルの比喩の中のモルタル成分と称される。角質細胞は、主にタンパク質ロリクリン(loricirn)およびインボルクリン(involucrin)から構成される細胞エンベロープにより囲まれ、これらのタンパク質は、不溶性バリアをつくり出す豊富な連結を含む。水をはじくセラミド脂質の層が、細胞エンベロープに付着している。ラメラ脂質二重層もまた水をはじくので、水分子は、細胞エンベロープ脂質と、脂質二重層との間に保持される。このことが、表皮のさらに低い層へと水が吸収される代わりに、水分子を捕捉することにより、角質層中の水分バランスを維持することを助ける。これらのタンパク質は、互いに豊富な連結を含み、これにより、細胞エンベロープが、角質細胞のうちで最も不溶性の構造となる。角質細胞を一緒に保持する「リベット」は、コルネオデスモソームと称される特殊なタンパク質構造であり、これは、落屑と呼ばれるプロセス中で皮膚が剥がれ落ちるためには分解されなければならない主要構造である。天然保湿因子(NMF)は、角質層中のみで見出される水溶性成分の集合体である。これらの化合物は、角質細胞のうちの、約20〜30%の乾燥重量を占める。NMF成分は、環境から水分を吸収し、これをそれ自体の水分と併せて、角質層の最外層が、要素への曝露にもかかわらず、保湿されたまま保たれることを可能にする。NMF構成要素は水溶性であるので、水との接触に伴って細胞から容易に溶出し、このことが、水との反復的な接触が実際には皮膚をより乾燥させる理由である。角質細胞を囲む脂質層は、角質細胞を密封して、NMFの喪失を防止することを助ける。
【0005】
角質層の落屑または剥離プロセスは、実際には非常に複雑であり、このプロセスの一部分のみが完全に理解されている。数種類の酵素が、特異的パターンでコルネオデスモソームを分解することが知られている。水およびpHは、剥離プロセスを開始するために必要とされる酵素の活性化において重要な役割を果たすことが知られている一方で、酵素の正確な性質および剥離プロセスを開始するために必要な活性化は未だ知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、皮膚バリア機能を補正、補完および維持し、NMFの喪失を最小限にし、かつ健康な皮膚の外観を最適化するために、ケラチン生成細胞の生成および角質化の皮膚の天然の生物学的プロセスを補完するための、局所塗布用生成物を製剤化することには大きな関心が持たれている。
【0007】
角質層およびその下になる表皮の層を、互いに相互作用することで、互いに会合してネットワークを形成する噛み合わせ式の球体の三次元構造の形態でマイクロメッシュ様構造を形成する、特定の成分を含有する局所用生成物の製剤化により、顕著に強化および肥厚化できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の成分:
ポリマー(下記の第II節で定義される通り)、
高分子量ヒアルロン酸(HWM HA)および/またはその塩、
低分子量ヒアルロン酸(LWM HA)および/またはその塩、および
ポリアミノ酸および/またはその塩;ならびに

を含む、局所用組成物を対象とする。
【0009】
本発明はまた、以下のステップ:
試験ポリマーを、少なくとも1種のLWM HA、少なくとも1種のHWM HA、ポリアミノ酸塩、および水と組み合わせるステップ;
マイクロメッシュが形成されているか否かを決定するためにSEMを用いるステップ;
マイクロメッシュを形成するポリマーを選択するステップ;および
試験ポリマー、LMW HA、HMW HA、ポリアミノ酸、および水のみを組み合わせる場合に見出される場合と同じ比率およびパーセンテージで、マイクロメッシュを形成する成分の同じ組み合わせを含有する局所用生成物を製剤化するステップ
を含む、マイクロメッシュ(下記で定義される通り)を含有する局所用組成物を製剤化するための方法もまた対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】実施例1で作製されるマイクロメッシュヒドロゲルのSEM画像を示す図である。
図1B】より近接した視点でのマイクロメッシュ構造についての、実施例1で作製されるマイクロメッシュヒドロゲルのSEM画像を示す図である。
図2A】実施例2で作製される組成物2のSEM画像を示す図である。
図2B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物2のSEM画像を示す図である。
図3A】実施例2で作製される組成物3のSEM画像を示す図である。
図3B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物3のSEM画像を示す図である。
図4A】実施例2で作製される組成物4のSEM画像を示す図である。
図4B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物4のSEM画像を示す図である。
図5A】実施例2で作製される組成物5のSEM画像を示す図である。
図5B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物5のSEM画像を示す図である。
図6A】実施例2で作製される組成物6のSEM画像を示す図である。
図6B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物6のSEM画像を示す図である。
図7A】実施例2で作製される組成物7のSEM画像を示す図である。
図7B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物7のSEM画像を示す図である。
図8A】実施例2で作製される組成物8のSEM画像を示す図である。
図8B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物8のSEM画像を示す図である。
図9A】実施例2で作製される組成物9のSEM画像を示す図である。
図9B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物9のSEM画像を示す図である。
図10A】実施例2で作製される組成物10のSEM画像を示す図である。
図10B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物10のSEM画像を示す図である。
図11A】実施例2で作製される組成物11のSEM画像を示す図である。
図11B】より近接した視点でのその構造についての、実施例2で作製される組成物11のSEM画像を示す図である。
図12】実施例3で作製される組成物12のSEM画像を示す図である。
図13】実施例3で作製される組成物13のSEM画像を示す図である。
図14】実施例3で作製される組成物14のSEM画像を示す図である。
図15】実施例3で作製される組成物15のSEM画像を示す図である。
図16】実施例3で作製される組成物16のSEM画像を示す図である。
図17】実施例3で作製される組成物17のSEM画像を示す図である。
図18A】、実施例4で作製される組成物18のSEM画像を示す図である。
図18B】より近接した視点でのその構造についての、実施例4で作製される組成物18のSEM画像を示す図である。
図19A】、実施例4で作製される組成物19のSEM画像を示す図である。
図19B】より近接した視点でのその構造についての、実施例4で作製される組成物19のSEM画像を示す図である。
図20A】実施例4で作製される組成物20のSEM画像を示す図である。
図20B】より近接した視点でのその構造についての、実施例4で作製される組成物20のSEM画像を示す図である。
図21A】実施例4で作製される組成物21のSEM画像を示す図である。
図21B】より近接した視点でのその構造についての、実施例4で作製される組成物21のSEM画像を示す図である。
図22A】実施例4で作製される組成物22のSEM画像を示す図である。
図22B】より近接した視点でのその構造についての、実施例4で作製される組成物22のSEM画像を示す図である。
図23A】実施例4で作製される組成物23のSEM画像を示す図である。
図23B】より近接した視点でのその構造についての、実施例4で作製される組成物23のSEM画像を示す図である。
図24A】実施例4で作製される組成物24のSEM画像を示す図である。
図24B】より近接した視点でのその構造についての、実施例4で作製される組成物24のSEM画像を示す図である。
図25】実施例4で作製される組成物18のメッシュサイズ分布グラフを示す図である。
図26】実施例4で作製される組成物19のメッシュサイズ分布グラフを示す図である。
図27】実施例4で作製される組成物20のメッシュサイズ分布グラフを示す図である。
図28】実施例4で作製される組成物21のメッシュサイズ分布グラフを示す図である。
図29】実施例4で作製される組成物22のメッシュサイズ分布グラフを示す図である。
図30】実施例4で作製される組成物23のメッシュサイズ分布グラフを示す図である。
図31】実施例4で作製される組成物24のメッシュサイズ分布グラフを示す図である。
図32】目の下の領域での角質層の厚みに対する組成物25および26の作用を示す図である。
図33】組成物25(A、B、C)および組成物26(D、E、F)の塗布から4時間後の目の下の領域の角質層(A、D、E)および顆粒層(B、C、F)の記録された画像を示す図である。視野:0.5mm×0.5mm。
【発明を実施するための形態】
【0011】
I. 定義
本明細書中で言及されるすべてのパーセンテージは、特に示さない限り、重量パーセントである。
本明細書中で言及されるすべての文書は、その全体が参照により組み入れられる。
「自食作用」とは、それによって細胞が自身を浄化して毒素および残渣を除去するプロセスを意味し、これは、該残渣周囲に膜を形成するステップ、それを細胞の残りの部分から分離するステップ、および形成された空胞を、該空胞中に見出される細胞残渣および老廃物を分解する酸ヒドロラーゼ酵素を含む細胞小器官である細胞のリソソームと接合させるステップによる。
「自食作用活性化剤」(autophagy activator)とは、正常な細胞の自食プロセスを刺激する成分を意味する。
【0012】
「CLOCK遺伝子活性化剤」とは、ケラチン生成細胞中に存在する1種以上のCLOCK遺伝子を活性化する成分を意味する。
「DNA修復酵素」との用語は、DNA塩基突然変異誘発性ダメージを修復するために機能し得る酵素を意味する。そのような酵素は、多くの場合、それらが修復するDNAダメージのタイプにより分類され、例えば、BER(塩基除去修復)酵素、ヌクレオチド除去修復(NER)酵素;ミスマッチ修復(MMR)酵素;DNAヘリカーゼ;DNAポリメラーゼなどである。例えば、OGG1(8-オキソグアニングリコシラーゼ)により修復できる8-オキソ-7,8-ジヒドロ-2’-デオキシグアノシン;(ヌクレオチド除去修復(NER)フォトリアーゼ)により修復できるT-Tダイマー;(NERにより修復できる)6-4光分解生成物(6-4 photoproduct);および(06-アルキルグアニントランスフェラーゼ(AGT)により修復できる)06-メチルグアニンなどの突然変異である。
【0013】
「マイクロメッシュ」とは、膜状外壁が会合して噛み合わさり、ネットワークを形成している、三次元球状構造を意味する。球状構造の膜状外壁は、球体の中に内腔を形成し、この内腔は、周囲環境および噛み合った球体の内容物から隔離される。1つの好ましい実施形態では、ポリマー、LMW HA、HMW HA、ポリアミノ酸塩および水を組み合わせた際に形成される球状構造のうちの約80〜90%が、0.001〜50ミクロンの範囲の直径を有する0.001〜1000μm2の範囲の二次元面積を有する。
【0014】
用語「ヒドロゲル」とは、ポリマー、LMW HA、HMW HA、およびポリアミノ酸塩の混合物に水が添加される際に形成されるゲルを意味し、このとき、水は、形成されている三次元球体同士の間の空間を埋めて、ゲルを形成させるであろう。
【0015】
用語「走査型電子顕微鏡(SEM)」とは、集束電子ビームを用いてサンプルを走査し、かつサンプルの地形および組成についての情報を伴う画像を生じる顕微鏡を意味する。
【0016】
「PER1遺伝子活性化剤」とは、ケラチン生成細胞中で見出される1種以上のPER1遺伝子を活性化する成分を意味する。
【0017】
「プロテアソーム」とは、ダメージを受けた細胞タンパク質を、その後に単一アミノ酸へとさらに消化することができる小サブユニットへのタンパク質分解により分解するために機能できる、典型的には細胞の核または細胞質中に位置するタンパク質複合体を意味する。これらの再利用されるアミノ酸は、新規タンパク質合成にて細胞により用いられることができる。
「プロテアソーム活性化剤」とは、ケラチン生成細胞、線維芽細胞などのケラチン表面の細胞中でのプロテアソーム活性を刺激する活性成分を意味する。
【0018】
「再利用する」とは、細胞残渣および毒素の分解に関して、残渣および毒素が、タンパク質、脂質、アミノ酸、または正常に健康な代謝プロセスにて細胞により用いることができる他の生物学的物質などの分子へと分解されることができることを意味する。
「修復する」とは、皮膚細胞に関して、DNA、ミトコンドリア、タンパク質、脂質、または他の細胞性物質などの細胞のダメージを受けた部分を減少させるか、または除去することを意味する。
「選択的分解代謝」とは、ケラチン表面の細胞に関して、健康な細胞の構成成分を損なうことなく、かつ好ましくは細胞自食作用を活性化することまたは細胞プロテアソームプロセスを活性化することなどの1種以上のメカニズムにより、細胞が自身を浄化して、残渣、老廃物、および毒素を選択的に除去できることを意味する。
【0019】
II. 局所組成物
局所用組成物は以下の成分を含む。局所用組成物は、エマルション、水溶液または水性分散液、ゲル、または無水組成物の形態であり得る。エマルションの形態である場合、油中水型または水中油型エマルションであり得る。エマルションの形態である場合、組成物は、約1〜99%、好ましくは約5〜90%、より好ましくは約10〜85%の水および約1〜99%、好ましくは約5〜90%、より好ましくは約5〜75%の油を含有し得る。水性懸濁液または分散液の形態である場合、組成物は一般的に、約1〜99.9%、好ましくは約5〜95%、より好ましくは約10〜90%の水と、活性成分または他の処方成分である残余の成分とを含有し得る。
【0020】
A. ポリマー(「ポリマー」)
局所用組成物は、本明細書中でさらに定義される通りの少なくとも1種のポリマーを含む。示唆されるポリマーの量は、全組成の0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜1.0重量%の範囲であり得る。下記に記載されるポリマーに加えて、所望のマイクロメッシュ構造を形成する他の好適なポリマーは、試験ポリマーを、LMW HA、HMW HA、ポリアミノ酸、および水と組み合わせ、そして組み合わせた成分が、本明細書中に定義される通りかつ図面に実証される通りにマイクロメッシュを形成するか否かを確認することにより、特定することができる。
【0021】
ポリマー、LMW HA、HMW HA、およびポリアミノ酸に対する言及はまた、ナトリウム、カリウムなどをはじめとするこれらに限定されない対応するアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩も含むであろう。
【0022】
(1)吸水性アクリルまたはメタクリル樹脂
1種の好適なポリマーは、米国特許出願公開第2016-0030328号に開示される通りの吸水性ポリマーである。このポリマーは、以下のモノマー(A)、(B)および(C)の重合から取得できる:
(i)成分(A)は、リン酸含有アクリルまたはメタクリルモノマーである。モノマーがリン酸基およびアクリルもしくはメタクリル基を有する限り、これらの2種類の基を結合させるための連結の構造は、特に限定されない。例示的連結としては、メチレン、エチレンおよびプロピレンなどのアルキレン基およびオキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシペンタメチレンなどのオキシアルキレン基ならびにそれらの混合物が挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレン基が好ましく、ポリオキシプロピレンが最も好ましい。モノマーは、例えば、Sipomer PAM-200の商品名の下にRhodia社から、市販されている。
リン酸含有アクリルまたはメタクリルモノマーへのアルカリ水溶液の添加により形成させることができる、リン酸含有アクリルまたはメタクリルモノマーの塩もまた挙げられる。
(ii)成分(B)は、成分(A)以外の分子中に1個のアクリル基またはメタクリル基を有するモノマーである。好適なモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルオキシアルカンスルホン酸、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンググリコール(メタ)アクリレート、およびステアリルアクリレートが挙げられる。モノマーの塩は、(メタ)アクリルモノマーへのアルカリ水溶液の添加により、形成できる。
「塩」としては、ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムなどのアルカリ土類金属塩、ならびに第4級アンモニウムおよび第4級アルキルアンモニウムなどのアンモニウム塩が挙げられる。とりわけ、ナトリウム塩が最も一般的であり、かつ好ましい。中和処理が、好ましくは、10〜100℃、より好ましくは20〜90℃の温度で行なわれる。重合後のアクリル酸およびポリアクリル酸を、塩基を用いて中和することができる。重合後に未中和または低中和(特に30mol%未満の中和度)のポリアクリル酸を後中和するには時間がかかるので、重合前の中和が好ましい。本発明の吸水性ポリマーは、好ましくは、ポリマー中の酸基のモルに基づいて、0.01〜100%、より好ましくは1〜90%、さらにより好ましくは20〜80%の中和度を有する。
(iii)成分(C)は、一般式(1)により表わされる、両方の末端で(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサンである:
【化1】
[式中、R1はそれぞれ独立に、1〜8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和不含一価炭化水素基である。R2は、以下の一般式(2)を有するポリオキシアルキレン基を含有する基であり:
-R4(OC2H4)x(OC3H6)yOH (2)
式中、R4はそれぞれ独立に、2〜15個の炭素原子を有する二価有機基であり、xおよびyはそれぞれ、1≦x+y≦50を満たす、0〜30の整数であり、R3は、(メタ)アクリル基を有する置換基であり、aは0を包含する整数であり、かつbは少なくとも1の整数である]。
R1により表わされる一価炭化水素基の例としては、メチル、エチルおよびブチルなどのアルキル基、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどのシクロアルキル基、フェニルおよびトリルなどのアリール基、およびベンジルおよびフェネチルなどのアラルキル基が挙げられる。とりわけ、1〜4個の炭素原子のアルキル基およびフェニル基が好ましく、メチルが最も好ましい。
式(2)では、R4は、それぞれ独立に、2〜15個の炭素原子を有する二価有機基から選択され、例えば、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-CH2CH(CH3)CH2-、-(CH2)8-、および-(CH2)11-である。とりわけ、-(CH2)2-、-(CH2)3-、および-(CH2)4-が好ましい。xおよびyのそれぞれが、1≦x+y≦50を満たす、0〜30の整数である。好ましくは、xおよびyのそれぞれが5〜25、より好ましくは10〜20、の整数であり、かつ、x+yの合計が10〜45であり、より好ましくは20〜40である。
好ましい好適な吸水性ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウムクロスポリマー-1であり、これは、メタクリル酸およびPPG-6リン酸メタクリロイルの重合により得られる架橋型ポリマーであり、かつ水素化ケイ素基を含有するメタクリル酸末端ポリジメチルシロキサンポリマーをPEG-18/PPG-17アリルエーテルと反応させることにより調製されるシリコーンコポリマーである。
【0023】
(2)アクリロイルジメチルタウレートのコポリマー
部分塩化型または完全塩化型2-メチル2-[(1-オキソ2-プロペニル)アミノ] 1-プロパンスルホン酸と、アクリルアミド、(2-ヒドロキシ-エチル)アクリレートまたはN,N-ジメチルアクリルアミドから選択される少なくとも1種の中性モノマー、および少なくとも1種の以下の式(I)のモノマーの重合から取得される増粘性ポリマーもまた好適である:
【化2】
[式中、Rは8〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を表わし、nは1以上から20以下の数を表わし、1種の架橋剤の存在下でのテトラエトキシル化ラウリルメタクリレートまたはエイコサエトキシル化ステアリルメタクリレートから選択される]。このポリマーは、米国特許出願公開第2012/0172457号に説明され、該文献もまた、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる。
1つの好ましい好適な増粘性ポリマーは、トリメチロールプロパントリアクリレートと架橋された、アンモニウムアクリロイルジアルキルタウレート、ジアルキルアクリルアミド、ラウリルメタクリレートおよびラウレス-4メタクリレートのコポリマーである。
INCI名ポリアクリレートクロスポリマー-6を有するポリマーが最も好ましく、このポリマーは、商品名SepiMAX Zenの下にSeppic社から購入できる。ポリアクリレートクロスポリマー-6は、トリメチロールプロパントリアクリレートと架橋された、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート、ジメチルアクリルアミド、ラウリルメタクリレートおよびラウレス-4メタクリレートのコポリマーである。
【0024】
(3)アクリレート架橋シリコーンコポリマー
アクリレートと反応して、ポリエーテル置換構造ネットワークおよびアクリレート架橋を含有する架橋型シリコーンを生成する、少なくとも1種のポリエーテル置換構造単位および少なくとも1種のエポキシまたはオキシラン構造単位を含有する、アクリレート架橋シリコーンコポリマーもまた好適である。そのようなポリマーは、米国特許第7,687,574号および同第7,833,541号に開示され、これらの文献は、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる。
特に、ポリマーは、以下の反応生成物であり得る:
(1) MaMH b-h-kMPE hME kDcDH d-i-lDPE iDE lTeTH f-j-mTPE jTE mQgおよび
(2) 化学量論的または超化学量論的量のアクリレートであって、
M=R1R2R3SiO1/2
MH=R4R5HSiO1/2
MPE=R4R5(-CH2CH(R9)(R10)nO(R11)o(C2H4O)p(C3H6O)q(C4H8O)rR12)SiO1/2
ME=R4R5(-R17R18C-CR16QsQtR15(COC)R13R14)SiO1/2
D=R6R7SiO2/2;および
DH=R8HSiO2/2
DPE=R8(-CH2CH(R9)(R10)nO(R11)o(C2H4O)p(C3H6O)q(C4H8O)rR12)SiO2/2
DE=R8(-R17R18C-CR16QsQtR15(COC)R13R14)SiO2/2.
T=R19SiO3/2
TH=HSiO3/2
TPE=(-CH2CH(R9)(R10)nO(R11)o(C2H4O)p(C3H6O)q(C4H8O)rR12)SiO3/2
TE=(-R17R18C-CR16QsQtR15(COC)R13R14)SiO3/2;および
Q=SiO4/2
[式中、R1、R2、R3R4、R5、R6、R7、R8およびR19は、それぞれ独立に、1〜60個の炭素原子を有する一価炭化水素基の群より選択され;
R9はHまたは1〜6個の炭素原子のアルキル基であり; R10は1〜6個の炭素の二価アルキル基であり;
R11は、-C2H4O-、-C3H6O-、および-C4H8O-からなる二価基の群より選択され;R12は、H、1〜6個の炭素の単官能性炭化水素基、またはアセチルであり;R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれ独立に、水素および1〜60個の炭素原子を有する一価炭化水素基の群より選択され、Qtは、1〜60個の炭素原子を有する二価または三価の炭化水素基であり、
Qsは、Qtが三価であるときはR14は不在であり、かつR16およびR18は互いにシス−またはトランス−のいずれかであり得るとの制限を伴う、1〜60個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり;
下付き記号aは、下付き記号aがゼロである場合にbは正でなければならないとの制限を伴って、ゼロまたは正であり;
下付き記号bは、bがゼロである場合に下付き記号aは正でなければならないとの制限を伴って、ゼロまたは正であり;
下付き記号cは、正であり、かつ約5〜約1,000の値を有し;
下付き記号dは、正であり、かつ約3〜約400の値を有し;
下付き記号eは、ゼロまたは正であり、かつ0〜約50の値を有し;
下付き記号fは、ゼロまたは正であり、かつ0〜約30の値を有し;
下付き記号gは、ゼロまたは正であり、かつ0〜約20の値を有し;
下付き記号hは、下付き記号h、iおよびjの合計が正であるとの制限を伴って、ゼロまたは正であり、かつ0〜約2の値を有し;
下付き記号iは、下付き記号h、iおよびjの合計が正であるとの制限を伴って、ゼロまたは正であり、かつ0〜約200の値を有し;
下付き記号jは、下付き記号h、iおよびjの合計が正であるとの制限を伴って、ゼロまたは正であり、かつ0〜約30の値を有し;
下付き記号kは、下付き記号k、lおよびmの合計が正であるとの制限を伴って、ゼロまたは正であり、かつ0〜約2の値を有し;
下付き記号lは、下付き記号k、lおよびmの合計が正であるとの制限を伴って、ゼロまたは正であり、かつ0〜約200の値を有し;
下付き記号mは、下付き記号k、lおよびmの合計が正であるとの制限を伴って、ゼロまたは正であり、かつ0〜約30の値を有し;
下付き記号nは、ゼロまたは1であり;
下付き記号oは、ゼロまたは1であり;
下付き記号pは、(p+q+r)>0との制限を伴って、ゼロまたは正であり、かつ0〜約100の値を有し;
下付き記号qは、(p+q+r)>0との制限を伴って、ゼロまたは正であり、かつ0〜約100の値を有し;
下付き記号rは、(p+q+r)>0との制限を伴って、ゼロまたは正であり、かつ0〜約100の値を有し;
下付き記号sは、ゼロまたは1であり;
下付き記号tは、ゼロまたは1である;ならびに
(3) フリーラジカル開始剤。
好ましい好適なポリマーは、ポリアクリレートクロスポリマー-7であり、これは、ジメチコンPEG/PPG-25/29アクリレートを用いて架橋されている、メタクリレートPPG-6ホスフェートと、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの単純エステルのうちの1種のうちの1種以上のモノマーとのコポリマーである。
【0025】
(4)アニオン性多糖
アルギン酸またはそのナトリウム塩をはじめとする1種以上の天然由来のアニオン性多糖もまた、好適である。
より好ましい好適な天然アニオン性多糖は、アルギン酸ナトリウムである。
【0026】
B. 低分子量および高分子量ヒアルロン酸
化粧用組成物は、少なくとも1種のLMW HAおよび少なくとも1種のHMW HAを含む。好ましくは、LMA HAとHMW HAとの重量比は、約100:1〜1:100、好ましくは約50:1〜1:50、より好ましくは約15:1〜1:15の範囲であり得る。
【0027】
(1)高分子量ヒアルロン酸
HMW HAは、約8×105ダルトン〜1×107ダルトン、好ましくは1×106ダルトン〜8×106ダルトン、より好ましくは1.2×106ダルトン〜3×106ダルトンの範囲の分子量を有する。HMW HAは合成であり得、または発酵プロセス中にサッカロミセスなどの酵母を発酵させることによる生物工学的処理により取得することができる。特許請求される組成物中での使用に対して好適なHMW HAは、Contipro Biotech s.r.o.から、名称ヒアルロン酸ナトリウム塩の下に購入することができ、これはヒアルロン酸ナトリウムというINCI名を有する。
示唆されるHMW HAの範囲は、全組成の約0.001〜10重量%、好ましくは約0.005〜5重量%、より好ましくは約0.01〜1.5重量%であり得る。
【0028】
(2)低分子量ヒアルロン酸(LMW HA)
LMA HAまたはその塩の分子量は、約1×103ダルトン〜8×105ダルトン、好ましくは5×103ダルトン〜1×105ダルトン、より好ましくは8×103ダルトン〜5×104ダルトンの範囲であり得る。LMW HAもまた合成であり得、または発酵プロセスからサッカロミセスなどの酵母を発酵させることによる生物工学的処理により取得することができる。特許請求される組成物中での使用に対して好適なヒアルロン酸は、Contipro Biotech s.r.o.から、名称HyActive粉末の下に市販されており、これは、ヒアルロン酸ナトリウムのINCI名を有する。
示唆されるLMW HAの範囲は、全組成の約0.001〜10重量%、好ましくは約0.005〜5重量%、より好ましくは約0.01〜1.5重量%である。
【0029】
C. アミノ酸ホモポリマーもしくはコポリマーまたはその塩
化粧用組成物は、ポリアミノ酸および/またはその塩から構成される少なくとも1種のポリマーを含む。示唆されるポリアミノ酸の範囲は、全組成の約0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは0.01〜1重量%である。そのようなポリマーとしては、米国特許第3,867,352号に開示されているものが挙げられる。
以下の反復単位:
【化3】
を有する、アスパラギン酸のポリマーのナトリウム塩が最も好ましい。
2,000〜6,000ダルトン、より好ましくは3,000〜5,000ダルトンの範囲の分子量を有する、INCI名ポリアスパラギン酸ナトリウムを有するポリマーが最も好ましい。このポリマーは、Ajinomoto社から、商品名Aquadew SPA-30の下に購入することができる。
【0030】
III. 他の成分
局所用組成物は、限定するものではないが、本明細書中に説明されるものをはじめとする他の成分を含有することができる。
【0031】
A. 自食作用活性化剤
本発明の組成物は、正常な細胞の自食プロセスを活性化するために機能できる1種以上の成分を含有することができる。自食作用活性化剤は、約0.00001〜20%、好ましくは0.0001〜5%、より好ましくは約0.001〜1%の範囲の量で存在する。一般的に、細胞自食プロセスは、4つの一般ステップを含む。ステップ1は、空胞形成の開始であり;ステップ2は、分解対象の細胞質物質を隔離する初期空胞または自食胞(autophagosome)の形成である。ステップ3は、分解性空胞への自食胞の成熟である。ステップ4は、隔離された物質の実際の分解である。
【0032】
自食作用活性化活性を有する成分は、種々の細胞代謝経路を刺激するかまたは阻害するかのいずれかの能力により特定することができる。例えば、MAP-LC3、ATG5-12、タンパク質p53、AMPK、またはDRAMの発現を刺激する成分は、好適な自食作用活性化剤である。mTORの発現を阻害する成分もまた、好適な自食作用活性化剤である。
【0033】
遺伝子MAP-LC3は、自食胞の形成を開始させるタンパク質である、微小管結合タンパク質1軽鎖3をコードする。ATG5-12もまた、自食胞の形成を刺激する。ラパマイシンの哺乳動物標的としても知られるmTORは、ラパマイシンの機構的標的またはFK506結合性タンパク質12-ラパマイシン結合タンパク質1(FRAP1)としても知られる。FRAP1は、FRAP遺伝子によりコードされる。自食胞生成に関与するmTORの発現を阻害するいずれかの成分は、自食作用活性化特性を有するであろう。ケラチン生成細胞でのタンパク質p53、AMPK、および/またはDRAM(ダメージ救済自食作用モジュレータタンパク質(damage remedy autophagy modulator protein))の発現を刺激する成分もまた、自食作用活性化剤として好適である。腫瘍抑制タンパク質としても知られるタンパク質p53は、p53遺伝子によりコードされる。AMPKはAMP活性化型タンパク質キナーゼを意味し、DRAMはダメージ関連自食作用モジュレータを意味する。両方が、ケラチン生成細胞での自食作用活性化を刺激することが知られている。
【0034】
つまり、遺伝子に対して上記の作用を有するいずれかの成分が、好適な自食作用活性化剤であり得る。自家食プロセス(autophagocytic process)の間、酸化タンパク質および過酸化脂質などの細胞残渣が分解される。そのような細胞残渣は、多くの場合、正常な代謝機能に影響を及ぼす。細胞の、好ましくはケラチン生成細胞の、上記の遺伝子および/またはタンパク質を刺激または阻害する能力により有効性を測定するための成分のスクリーニングは、米国特許出願公開第2011/0243983号に説明されている通りの方法または当技術分野で公知の他の方法に従って行なうことができる。
【0035】
例えば、自食作用活性化剤であり得る成分を特定するための1つの一般的なプロセスは、最初にケラチン生成細胞などの培養細胞で栄養ストレスを誘導することによる。例えば、細胞をまず、約24時間、増殖因子を含む完全培養培地中で培養する。続いて培養培地を除去し、非栄養性培養培地(例えば、増殖因子を含有しないもの)で置き換える。細胞を、栄養ストレスの状態で約30分間〜約25時間培養する。次に、非栄養性培養培地を除去し、完全培養培地で置き換えて、細胞の回復を促進する。その後、それらの細胞中での、MAP-LC3;ATGS-12;リン酸化mTOR;リン酸化p53;DRAMまたはリン酸化AMPKのうちの1種以上の発現を測定することにより、自家食活性について細胞を評価する。そのような発現の測定は、免疫蛍光測定により行なうことができる。さらに、発現は、発現された遺伝子に関連するリン酸化タンパク質のウエスタンブロット分析により確認することができる。
【0036】
上述の遺伝子に対する刺激作用または阻害作用のいずれかを発揮し、翻って自食作用を刺激することが知られている成分の例は、限定するものではないが、以下の属に由来するものをはじめとする酵母抽出物である:リソサムニウム属(Lithothamnium)、メリロット属(Melilot)、シトラス属(Citrus)、カンジダ属(Candida)、レンス属(Lens)、ウルティカ属(Urtica)、カラムボラ属(Carambola)、モモルジカ属(Momordica)、ヤロウィア属(Yarrowia)、プルムバゴ属(Plumbago)、他。さらなる具体例としては、以下のものが挙げられる:リソサムニウム・カルカレウム(Lithothamniumn calcareum)、メリロツス・オフィシナリス(Melilotus officinalis)、シトラス・リモヌム(Citrus limonum)(レモン)、カンジダ・サイトアナ(Candida saitoana)、レンス・クリナリア(Lens culinaria)、ウルティカ・ジオイカ(Urtica dioica)(セイヨウイラクサ)、アベロア・カラムボラ(Averrhoa carambola)(スターフルーツ)、モモルジカ・カランチア(Momordica charantia)(ツルレイシ)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、プルムバゴ・ゼイラニカ(Plumbago zeylanica)など。
【0037】
(3-(N-[ジメチルアミノ]プロピル-3-インドリル)-4-(3-インドリル)マレイミド3-[1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]1H-インドール-3-イル]-4-(1Hインドール-3-イル)1H-ピロール-2,5ジオンビスインドリルマレイミドIとも称されるGF 109203Xである、塩酸アミオダロン;N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン;ニクロサミド;ストレプトマイセス・ヒグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)由来のラパマイシン;(1-[6-[(3-アセチル-2,4,6-トリヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-5,7-ジヒドロキシ-2,2-ジメチル-2H-1-ベンゾピラン-8-イル]-3-フェニル-2-プロペン-1-オン、マロトキシン(Mallotoxin))とも称されるロットレリン(Rottlerin); 5-ピリジン-4-イル-チアゾール-2-イル-m-トリル-アミンとしても知られるSTF-62247;タモキシフェン;42-[3-ヒドロキシ-2-メチルプロパノエート、CCI-779、ラパマイシンとしても知られるテムシロリムス(Temsirolimus);ATG1自食作用関連1ホモログ;ATG1、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼULK1、UNC-51様キナーゼ;または((Z)-5-フルオロ-1-(3’-ジメチルアミノ)プロピル-3-[(5’-メトキシインドール-3-イリデン)メチル]-インドリン-2-オンとも称されるZ36;または1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-5-フルオロ-1,3-ジヒドロ-3-[(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)メチレン]-2H-インドール-2-オン);3β,14-ジヒドロキシ-5β,20(22)-ブファジエノリド、5β,20(22)-ブファジエノリド-3β,14-ジオールとも称されるブファリンなどの成分もまた好適である。そのような成分は、Sigma-Aldrich Chemical Company社から購入することができる。
【0038】
B. プロテアソーム活性化剤
組成物は、約0.0001〜65%、好ましくは約0.0005〜50%、より好ましくは約0.001〜40%の量で1種以上のプロテアソーム活性化剤を含んでもよい。
好適なプロテアソーム活性化剤は、ケラチン表面の細胞でのプロテアソーム活性を刺激する任意の化合物、分子、または活性成分である。
好適なプロテアソーム活性化剤の例としては、限定するものではないが、アルギン、アルギネート、加水分解アルギン、糖蜜抽出物、カワラタケ(Trametes versicolor)由来の抽出物をはじめとするホウロクタケ属(Trametes)抽出物、オレア・ヒドロキソール(olea hydroxol)が挙げられる。
【0039】
C. CLOCK、PER1遺伝子活性化剤
本発明の組成物は、CLOCKまたはPER1細胞性遺伝子活性化剤を含有することができる。推奨される範囲は、約0.000001〜約40%、好ましくは約0.000005〜35%、より好ましくは約0.00001〜25%である。好適なCLOCKまたはPER1活性化剤は、植物抽出物、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸などの形態で存在することができる。
【0040】
1. ペプチドCLOCKまたはPER1遺伝子活性化剤
特に好ましいCLOCKおよび/またはPER1遺伝子活性化剤は、以下の式(I)のペプチドを含む:
R1-(AA)n-X1-S-T-P-X2-(AA)p-R2
[式中、
(AA)n-X1-S-T-P-X2-(AA)pは(配列番号1)であり;
X1はトレオニン、セリンを表わすか、またはゼロに等しく、
X2はイソロイシン、ロイシン、プロリン、バリン、アラニン、グリシンを表わすか、またはゼロに等しく、
AAはいずれかのアミノ酸またはその誘導体を表わし、nおよびpは0〜4の整数であり、
R1は遊離であるかまたはアセチル基、ベンゾイル基、トシル基、もしくはベンジルオキシカルボニル基のいずれかから選択することができる保護基により置換されている、N末端アミノ酸の第1級アミン官能基(primary amine function)を表わし、
R2は、C1〜C20アルキル鎖またはNH2、NHY、もしくはNYY基(YはC1〜C4アルキル鎖を表わす)のいずれかから選択することができる保護基により置換されている、C末端アミノ酸のカルボキシル官能基(carboxyl function)のヒドロキシル基を表わし、
式中、一般式(I)の配列は約3〜13個のアミノ酸残基を含み、該一般式(I)の配列が他の化学的に等価なアミノ酸でのアミノ酸X1およびX2の置換を含む場合があり;アミノ酸は、アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、バリン(V)である]。より好ましくは、上記式のペプチドは、以下の通りである:
S-T-P-NH2
Ser-Thr-Pro-NH2

(配列番号2)Y-V-S-T-P-Y-N-NH2
Tyr-Val-Ser-Thr-Pro-Tyr-Asn-NH2

(配列番号3)NH2-V-S-T-P-E-NH2
NH2-Val-Ser-Thr-Pro-Glu-NH2

(配列番号4)NH2-L-H-S-T-P-P-NH2
NH2-Leu-His-Ser-Thr-Pro-Pro-NH2

(配列番号5)CH3NH-R-H-S-T-P-E-NH2
CH3-NH-Arg-His-Ser-Thr-Pro-Glu-NH2

(配列番号6)CH3NH-H-S-T-P-E-CH3NH
CH3-NH-His-Ser-Thr-Pro-Glu-CH3-NH
特に、S-T-P-NH2、もしくはNH2-L-H-S-T-P-P-NH2(配列番号4)、またはそれらの混合物。
S-T-P-NH2は、商標クロノラックス(Chronolux(登録商標))の下でISP-Vinscience社から入手可能であり、かつINCI名トリペプチド-32(Tripeptide-32)を有する。以下もまた非常に好ましい。
(配列番号7)S-P-L-Q-NH2
Ser-Pro-Leu-Gln-NH2
(商標クロノゲン(Chronogen(登録商標))の下でISP-Vinscience社により製造され、かつINCI名テトラペプチド-26(Tetrapeptide-26)を有するペプチド。)
【0041】
2. 植物抽出物
チコリ酸(cichoric acid)またはその異性体もしくは誘導体もまた、CLOCKまたはPER1遺伝子活性化剤として好適である。チコリ酸は、合成または天然由来であり得る。合成チコリ酸は、Sigma Aldrich社をはじめとする多数の商業的製造元から購入することができる。チコリ酸はまた、ムラサキバレンギク属(Echinacea)、チコリウム属(Cichorium)、タラキサクム属(Taraxacum)、オシムム属(Ocimum)、メリッサ属(Melissa)などのチコリ酸を含有することが知られている植物供給源から、または藻類もしくは海草から抽出することもできる。より具体的には、ムラサキバレンギク(Echinacea purpurea)、チコリー(Cichorium intybus)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)、バジリコ(Ocimum basilicum)、またはレモンバーム(Melissa officinalis)などの植物抽出物である。本明細書中で用いられる場合、「チコリ酸」との用語は、皮膚細胞でのPER1遺伝子発現を増大させるために機能できるそのいずれかの異性体も含む。
【0042】
具体例としては、抽出物組成物全体の約3重量%のチコリ酸を含有するように抽出プロセス中に標準化されているムラサキバレンギク(Echinacea purpurea)の抽出物である、ブランド名Symfinity(商標)1298の下にSymrise社から販売されているムラサキバレンギク由来の植物抽出物が挙げられる。異なる供給源由来のムラサキバレンギク属(Echinacea)抽出物はチコリ酸含有量が異なるであろうし、したがってPER1遺伝子発現の誘導での異なる結果を生じるであろう。例えば、本発明者らは、ムラサキバレンギク属抽出物中に通常見出される別の構成成分、具体的にはカフタル酸(caftaric acid)が、皮膚細胞でのPER1遺伝子発現を増大させないことを観察している。さらに、ムラサキバレンギク属の各植物種は、フェノール酸およびチコリ酸の含有量が異なるであろう。ムラサキバレンギク(Echinacea purpura)の根のエタノール抽出物は、エキナセア・アングスティフォリア(Echineacea angustifolia)またはエキナセア・パリダ(Echinacea pallida)のエタノール抽出物よりも多くのチコリ酸を提供するであろう。いずれの抽出物中の活性成分の含有量も、抽出方法に応じて非常に異なる。例えば、多くの場合、抽出プロセスの間の酵素的褐変は、結果として得られる抽出物のフェノール酸含有量を減少させることが知られている。
【0043】
D. DNA修復酵素
本発明の方法で用いられる組成物はまた、1種以上のDNA修復酵素も含有することができる。推奨される範囲は、約0.00001〜約35%、好ましくは約0.00005〜約30%、より好ましくは約0.0001〜約25%の1種以上のDNA修復酵素である。
米国特許第5,077,211号;同第5,190,762号;同第5,272,079号;および同第5,296,231号(これらのすべては、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる)に開示されているDNA修復酵素は、本発明の組成物および方法で用いるために好適である。そのようなDNA修復酵素の一例は、ロキシソーム(Roxisomes(登録商標))の商品名の下に AGI/Dermatics社から購入することができ、シロイヌナズナ(Arabidopsis Thaliana)抽出物のINCI名を有する。これは、単独で、またはレシチンおよび水の混合物として存在し得る。このDNA修復酵素は、8-オキソ-グアニン塩基ダメージを修復するのに有効であることが知られている。
【0044】
用いることができる別のタイプのDNA修復酵素は、06-メチルグアニン塩基ダメージを修復するのに有効であることが知られているものである。これは、アダソーム(Adasomes(登録商標))の商品名の下にAGI/Dermatics社から販売されており、ラクトバチルス発酵物のINCI名を有し、それ自体で、またはレシチンおよび水と混合して、本発明の組成物に加えることができる。
【0045】
用いることができる別のタイプのDNA修復酵素は、T-Tダイマーを修復するのに有効であることが知られているものである。酵素は、生物学的材料または植物性材料の混合物中に存在する。そのような成分の例は、ウルトラソーム(Ultrasomes(登録商標))またはフォトソーム(Photosomes(登録商標))の商品名の下にAGI/Dermatics社から販売されている。ウルトラソーム(Ultrasomes(登録商標))は、ミクロコッカス溶解物(ミクロコッカスの様々な種の制御された溶解の最終生成物)、レシチン、および水の混合物を含む。フォトソーム(Photosomes(登録商標))は、プランクトン抽出物(以下の生物のうちの1種以上を含む海洋バイオマスの抽出物:タラソプランクトン(thalassoplankton)、微小緑藻類(green micro-algae)、珪藻、藍藻類(greenish-blue)および窒素固定海藻)、水、およびレシチンの混合物を含む。
【0046】
別のタイプのDNA修復酵素は、ビフィダ属(Bifida)溶解物またはビフィダ属発酵物溶解物(後者は、ビフィド属(Bifido)細菌由来の溶解物であって、ビフィド属細菌を培養し、不活性化し、続いて崩壊させた際の代謝生成物および細胞質画分を含有する)などの種々の不活性化型細菌溶解物の構成成分であり得る。この材料は、ビフィダ属発酵物溶解物のINCI名を有する。
【0047】
他の好適なDNA修復酵素としては、バクテリオファージT4のden V遺伝子により生成されることができるエンドヌクレアーゼVが挙げられる。T4エンドヌクレアーゼ;O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ;ウラシルDNAグリコシラーゼおよびヒポキサンチン-DNAグリコシラーゼなどのフォトリアーゼ;脱ピリミジン/脱プリンエンドヌクレアーゼ;DNAエキソヌクレアーゼ、損傷塩基グリコシラーゼ(例えば、3-メチルアデニン-DNAグリコシラーゼ);単独または複合体(例えば、大腸菌uvrA/uvrB/uvrCエンドヌクレアーゼ複合体)でのコレンドヌクレアーゼ(correndonuclease);多くの場合に「APE」と称される多機能DNA修復酵素であるAPEXヌクレアーゼ;ジヒドロ葉酸レダクターゼ;末端トランスフェラーゼ;トポイソメラーゼ;O6ベンジルグアニン;DNAグリコシラーゼも好適である。
【0048】
他のタイプの好適なDNA修復酵素は、促進される修復のタイプによって分類することができ、以下のBER(塩基除去修復)またはBER因子酵素を含む:ウラシル-DNAグリコシラーゼ(UNG);一本鎖選択的単一機能ウラシルDNAグリコシラーゼ(SMUG1);3,N(4)-エテノシトシングリコシラーゼ(3,N(4)-ethenocytosine glycosylase)(MBD4);チミンDNA-グリコシラーゼ(TDG);A/G-特異的アデニンDNAグリコシラーゼ(MUTYH);8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ(OGG1);エンドヌクレアーゼIII様(NTHL1);3-メチルアデニンDNAグリコシダーゼ(MPG);DNAグリコシラーゼ/APリアーゼ(NEIL1または2);APエンドヌクレアーゼ(APEX 1および2)、DNAリガーゼ(LIG3)、リガーゼ補助因子(ligase accessory factor)(XRCC1);DNA 5'-キナーゼ/3'-ホスファターゼ(PNKP);ADP-リボシルトランスフェラーゼ(PARP1または2)。
【0049】
DNA修復酵素の別の分類としては、O6-MeGアルキルトランスフェラーゼ(MGMT);1-meAジオキシゲナーゼ(ALKBH2またはALKBH3)などのダメージを直接的に逆転させると考えられているものが挙げられる。
DNA/タンパク質架橋を修復するために機能できる酵素のまた別の分類としては、Tyr-DNAホスホジエステラーゼ(TDP1)が挙げられる。
【0050】
MutSタンパク質ホモログ(MSH2);ミスマッチ修復タンパク質(MSH3);mutSホモログ4(MSH4);MutSホモログ5(MSH5);またはG/Tミスマッチ結合性タンパク質(MSH6);DNAミスマッチ修復タンパク質(PMS1、PMS2、MLH1、MLH3);減数分裂後隔離増大2様タンパク質(Postmeiotic segregation increased 2-like protein)(PMS2L3);または減数分裂後隔離増大2様4偽遺伝子(postmeiotic segregation increased 2-like 4 pseudogene)(PMS2L4)などのMMR(ミスマッチ除去修復)DNA修復酵素もまた好適である。
【0051】
ヌクレオチド除去修復(NER)酵素として知られているDNA修復酵素もまた好適であり、色素性乾皮症C群相補性タンパク質(Xeroderma pigmentosum group C-complementing protein)(XPC);RAD23(S.セレビシエ(S. cerevisiae))ホモログ(RAD23B);カルトラクチン(caltractin)アイソフォーム(CETN2);RFAタンパク質1、2、または3(RPA1、2、または3);3’-5’ DNAヘリカーゼ(3’ to 5’ DNA helicase)(ERCC3);5’-3’ DNAヘリカーゼ(ERCC2);塩基性転写因子(basic transcription factor)(GTF2H1、GTF2H2、GTF2H3、GTF2H4、GTF2H5);CDK活性化キナーゼ(CDK7、CCNH);サイクリンG1相互作用タンパク質(MNAT1);DNA除去修復タンパク質ERCC-5l;除去修復相互相補1(excision repair cross-complementing 1)(ERCC1);DNAリガーゼ1(LIG1);ATP依存性ヘリカーゼ(ERCC6);などが挙げられる。
【0052】
相同組み換えを促進する分類のDNA修復酵素もまた好適であり得、限定するものではないが、DNA修復タンパク質RAD51ホモログ(RAD51、RAD51L1、RAD51B等);DNA修復タンパク質XRCC2;DNA修復タンパク質XRCC3;DNA修復タンパク質RAD52;ATPアーゼ(RAD50);3’エキソヌクレアーゼ(MRE11A);などが挙げられる。
DNAポリメラーゼであるDNA修復酵素もまた好適であり、DNAポリメラーゼβサブユニット(POLB);DNAポリメラーゼγ(POLG);DNAポリメラーゼサブユニットδ(POLD1);DNAポリメラーゼIIサブユニットA(POLE);DNAポリメラーゼδ補助タンパク質(PCNA);DNAポリメラーゼζ(POLZ);MAD2ホモログ(REV7);DNAポリメラーゼη(POLH):DNAポリメラーゼκ(POLK)などが挙げられる。
【0053】
「編集処理ヌクレアーゼ」(editing and processing nuclease)としばしば称されるDNA修復酵素の種々のタイプとしては、3’-ヌクレアーゼ;3’-エキソヌクレアーゼ;5’-エキソヌクレアーゼ;エンドヌクレアーゼなどが挙げられる。
DNA修復酵素の他の例としては、ATP DNAヘリカーゼなどをはじめとするDNAヘリカーゼが挙げられる。
DNA修復酵素は、植物抽出物、細菌溶解物、生物学的材料などの構成成分として存在し得る。例えば、植物抽出物が、DNA修復酵素を含有し得る。
【0054】
E. 保湿剤
組成物は、1種以上の保湿剤を含有し得る。存在する場合、これらは、約0.01〜75%、好ましくは約0.5〜70%、より好ましくは約0.5〜40%の範囲であり得る。好適な保湿剤の例としては、グリコール、糖などが挙げられる。好適なグリコールは、モノマー型またはポリマー型であり、PEG4-10(4〜10個の繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール)などのポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール;ならびにプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール等などのC1-6アルキレングリコールが挙げられる。その一部は多価アルコールでもある好適な糖もまた、好適な保湿剤である。そのような糖の例としては、グルコース、フルクトース、蜂蜜、水添蜂蜜、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロースなどが挙げられる。尿素もまた好適である。好ましくは、本発明の組成物中で用いられる保湿剤は、C1-6、好ましくはC2-4アルキレングリコール、最も好ましくはブチレングリコールである。
【0055】
F. 界面活性剤
特にエマルション形態である場合に、1種以上の界面活性剤を含有することが組成物にとって望ましい場合がある。しかしながら、組成物が溶液、懸濁液、または無水である場合にも、そのような界面活性剤を用いることができ、極性を有する成分(例えば顔料)の分散を助けるであろう。そのような界面活性剤は、シリコーンまたは有機ベースであり得る。界面活性剤はまた、油中水型または水中油型のいずれかの安定なエマルション形成も助けるであろう。存在する場合、界面活性剤は、組成物全体の約0.001〜30重量%、好ましくは約0.005〜25重量%、より好ましくは約0.1〜20重量%の範囲であり得る。
【0056】
1. 有機非イオン性界面活性剤
組成物は、1種以上の非イオン性有機界面活性剤を含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールと、通常はエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドであるアルキレンオキシドとの反応により形成される、アルコキシル化アルコールまたはエーテルが挙げられる。好適なアルコールとしては、一価、二価、または多価短鎖(C1-6)アルコール;コレステロールの芳香族もしくは脂肪族飽和または不飽和脂肪(C12-40)アルコールなどが挙げられる。
【0057】
一実施形態では、アルコールはコレステロールであるか、あるいは6〜40個、好ましくは約10〜30個、より好ましくは約12〜22個の炭素原子を有し得る芳香族もしくは脂肪族飽和または不飽和脂肪アルコールである。例としては、オレイルアルコール、セテアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。そのような成分の例としては、オレス(Oleth)2-100;ステアレス(Steareth)2-100;ベヘネス(Beheneth)5-30;セテアレス(Ceteareth)2-100;セテス(Ceteth)2-100;コレス(Choleth)2-100が挙げられ、ここで数値範囲は繰り返しエチレンオキシド単位の数を意味し、例えば、セテス2-100とは、繰り返しエチレンオキシド単位の数が2〜100の範囲であるセテスを意味する。アルコキシル化アルコールの誘導体、例えばそのリン酸エステルなどもまた好適である。
一部の好ましい有機非イオン性界面活性剤としては、オレス-3、オレス-5、オレス-3リン酸、コレス-24;セテス-24などが挙げられる。
【0058】
一価、二価、または多価短鎖アルコール(例えば、約1〜6個の炭素原子を有するもの)を用いて形成されたアルコキシル化アルコールもまた好適である。例としては、グルコース、グリセリン、またはそれらのアルキル化誘導体が挙げられる。例としては、グリセレス(glycereth)2-100;グルセス(gluceth)2-100;メチルグルセス(methyl gluceth)2-100などが挙げられる。グルセス-20;グリセレス-26などがより好ましい。
一般的にPEG12〜200と称される様々な数の繰り返しEO基を有するエチレンオキシドポリマーをはじめとする他のタイプのアルコキシル化アルコールは好適な界面活性剤である。PEG-75がより好ましく、これは商品名Carbowax PEG-3350の下にDow Chemical社から購入することができる。
【0059】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化ソルビタンおよびアルコキシル化ソルビタン誘導体が挙げられる。例えば、ソルビタンのアルコキシル化、特にエトキシル化は、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体をもたらす。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化は、ポリソルベートなどのソルビタンエステルをもたらす。例えば、ポリアルコキシル化ソルビタンは、C6-30、好ましくはC12-22脂肪酸を用いてエステル化することができる。そのような成分の例としては、ポリソルベート20-85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0060】
2. シリコーンまたはシラン界面活性剤
様々なタイプのシリコーンまたはシランベースの界面活性剤もまた好適である。例としては、INCI名PEG-1ジメチコン;PEG-4ジメチコン;PEG-8ジメチコン;PEG-12ジメチコン;PEG-20ジメチコンなどを有するものをはじめとする、ポリエチレングリコールを用いて置換されたジメチコンであるPEGジメチコンなどの、エチレンオキシド基またはプロピレンオキシド基を用いて置換されたオルガノシロキサンが挙げられる。
ビス-PEG-18メチルエーテルジメチルシランなどの種々のタイプのPEGメチルエーテルシランなどの、エトキシ基もしくはプロポキシ基またはその両方を用いて置換されたシランもまた好適である。
シリコーンベースの界面活性剤のさらなる例としては、一般名ジメチコンコポリオール;セチルジメチコンコポリオールなどを有するものが挙げられる。
【0061】
G. 植物抽出物
組成物に1種以上の追加の植物抽出物を組み込むことが望ましい場合がある。存在する場合、推奨される範囲は約0.0001〜20%、好ましくは約0.0005〜15%、より好ましくは約0.001〜10%である。好適な植物抽出物は、花、果実、野菜などの植物(ハーブ、根、花、果実、種子)由来の抽出物を含み、そのようなものとしては、酵母発酵物抽出物、パディナ・パボニカ(Padina Pavonica)抽出物、サーマス・サーモフィルス(Thermus Thermophilis)発酵物抽出物、カメリナ・サティバ(Camelina Sativa)種子油、ボスウェリア・セラータ(Boswellia Serrata)抽出物、オリーブ抽出物、アカシア・デアルバタ(Acacia Dealbata)抽出物、アセル・サッカリヌム(Acer Saccharinum)(サトウカエデ)、アシドフォルス属(Acidopholus)、アコルス属(Acorus)、アエスクルス属(Aesculus)、アガリクス属(Agaricus)、アガベ属(Agave)、アグリモニア属(Agrimonia)、藻類、アロエ、柑橘類、アブラナ属(Brassica)、桂皮、オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、モモ、ナシ、レモン、ライム、エンドウマメ、海草、カフェイン、緑茶、カモミール、ヤナギ樹皮(willowbark)、クワ、ケシ、およびCTFA Cosmetic Ingredient Handbook, Eighth Edition, Volume 2の第1646頁〜第1660頁に説明されているものが挙げられる。さらなる具体例としては、限定するものではないが、グリシリザ・グラブラ(Glycyrrhiza Glabra)(スペインカンゾウ)、サリクス・ニグラ(Salix Nigra)、マクロシスチス・ピリフェラ(Macrocycstis Pyrifera)、ピルス・マルス(Pyrus Malus)(リンゴ)、サクシフラガ・サルメントサ(Saxifraga Sarmentosa)、ビティス・ビニフェラ(Vitis Vinifera)(ヨーロッパブドウ)、モルス・ニグラ(Morus Nigra)(クロミグワ)、スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria Baicalensis)(コガネバナ)、アンテミス・ノビリス(Anthemis Nobilis)、サルビア・スクラレア(Salvia Sclarea)(クラリセージ)、ロスマリヌス・オフィシアナリス(Rosmarinus Officianalis)(ローズマリー)、シトルス・メディカ・リモヌム(Citrus Medica Limonum)(レモン)、パナクス・ギンセング(Panax Ginseng)(チョウセンニンジン)、シエゲスベッキア・オリエンタリス(Siegesbeckia Orientalis)(メナモミ)、フルクツス・ムメ(Fructus Mume)(ウバイ)、アスコフィルム・ノドスム(Ascophyllum Nodosum)、グリシン・ソヤ(Glycine Soja)(ツルマメ)抽出物、ベタ・ブルガリス(Beta Vulgaris)(テンサイ)、ハベルレア・ロドペンシス(Haberlea Rhodopensis)、ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum Cuspidatum)(イタドリ)、シトルス・アウランティウム・ドゥルシス(Citrus Aurantium Dulcis)(オレンジ)、ビティス・ビニフェラ(Vitis Vinifera)(ヨーロッパブドウ)、セラギネラ・タマリスシナ(Selaginella Tamariscina)、フムルス・ルプルス(Humulus Lupulus)(ホップ)、シトルス・レティクラタ(Citrus Reticulata)(マンダリンオレンジ)果皮、プニカ・グラナツム(Punica Granatum)(ザクロ)、アスパラゴプシス属(Asparagopsis)、クルクマ・ロンガ(Curcuma Longa)(ウコン)、メニアンセス・トリフォリアタ(Menyanthes Trifoliata)(ミツガシワ)、ヘリアンスス・アヌウス(Helianthus Annuus)(ヒマワリ)、ホルデウム・ブルガレ(Hordeum Vulgare)(オオムギ)、ククミス・サティブス(Cucumis Sativus)(キュウリ)、エベルニア・プルナストリ(Evernia Prunastri)(ツノマタゴケ)、エベルニア・フルフラセア(Evernia Furfuracea)、コーラ・アクミナタ(Kola Acuminata)、およびそれらの混合物が挙げられる。所望であれば、そのような植物抽出物を発酵させて、効能または活性を増大させることができる。発酵は、細菌または酵母を用いて、標準的発酵技術により達成することができる。
【0062】
H. 生物学的材料
細胞、発酵済み材料などに由来するものなどの様々なタイプの生物学的材料もまた好適である。存在する場合、そのような材料は、約0.001〜30%、好ましくは約0.005〜25%、より好ましくは約0.01〜20%の範囲であり得る。例としては、細胞性RNAもしくはDNAの断片、プロバイオティクス微生物、または微生物の発酵物および葉、種子、抽出物、花などの植物由来の有機材料が挙げられる。RNA断片が特に好ましい。
【0063】
I. 油
本発明の組成物がエマルション形態である事象では、組成物は油相を含むであろう。油性成分は、皮膚湿潤化および保護特性のために望ましい。好適な油としては、限定するものではないが本明細書中に説明されるものをはじめとする、シリコーン、エステル、植物油、合成油が挙げられる。油は、揮発性または非揮発性であり得、好ましくは室温で流動性の液体(pourable liquid)の形態である。「揮発性」との用語は、油が、測定可能な蒸気圧、または20℃にて少なくとも約2mm・水銀の蒸気圧を有することを意味する。「非揮発性」との用語は、油が、20℃にて約2mm・水銀未満の蒸気圧を有することを意味する。存在する場合、そのような油は、約0.01〜85%、好ましくは約0.05〜80%、より好ましくは約0.1〜50%の範囲であり得る。
【0064】
好適な揮発性油は、一般的に、25℃で約0.5〜5センチストークスの範囲の粘度を有し、直鎖シリコーン、環状シリコーン、パラフィン系炭化水素、またはそれらの混合物が挙げられる。
環状および直鎖揮発性シリコーンは、Dow Corning Corporation社およびGeneral Electric社をはじめとする様々な商業的供給源から入手可能である。Dow Corning社の直鎖揮発性シリコーンは、商品名Dow Corning 244、245、344、および200 fluidの下に販売されている。これらのfluidとしては、ヘキサメチルジシロキサン(粘度0.65センチストークス(cstと略記))、オクタメチルトリシロキサン(1.0cst)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cst)、ドデカメチルペンタシロキサン(2cst)およびそれらの混合物が挙げられる(全ての粘度測定値は25℃でのもの)。
【0065】
好適な分岐鎖揮発性シリコーンとしては、商品名TMF-1.5の下に信越シリコーン社から購入でき、25℃にて1.5センチストークスの粘度を有するメチルトリメチコンなどのアルキルトリメチコンが挙げられる。
【0066】
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子、より好ましくは8〜16個の炭素原子を有する、様々な直鎖または分岐鎖パラフィン系炭化水素もまた、揮発性油として好適である。好適な炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、ならびに米国特許第3,439,088号および同第3,818,105号(これらの両方が参照により本明細書中に組み入れられる)に開示されているC8-20イソパラフィンが挙げられる。
好ましい揮発性パラフィン系炭化水素は、70〜225、好ましくは160〜190の分子量、30〜320、好ましくは60〜260℃の範囲の沸点、25℃にて約10cst.未満の粘度を有する。そのようなパラフィン系炭化水素は、ISOPARS(商標)の下にEXXON社から、およびPermethyl Corporation社から入手可能である。好適なC12イソパラフィンは、商品名Permethyl 99Aの下にPermethyl Corporation社により製造されている。イソヘキサデカン(商品名Permethyl Rを有する)などの市販の様々なC16イソパラフィンもまた好適である。
【0067】
様々な非揮発性油もまた、本発明の組成物での使用のために好適である。非揮発性油は、一般的に、25℃にて約5〜10センチストークス超の粘度を有し、25℃にて最大約1,000,000センチポアズまでの粘度の範囲であり得る。非揮発性油の例としては、限定するものではないが、モノエステル、ジエステル、およびトリエステルが挙げられる。
【0068】
本発明の組成物中で用いることができるモノエステル油の例としては、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸セチル、ネオペンタン酸イソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、イソノナン酸イソステアリル、乳酸ステアリル(steary lactate)、オクタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニルなどが挙げられる。
【0069】
本発明の組成物中で用いることができるジエステル油の例としては、リンゴ酸ジイソステアリル(diisotearyl malate)、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジブチル、ジリノール酸ジセテアリルダイマー、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソノニル、ジリノール酸ジイソステアリルダイマー、フマル酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジオクチルなどが挙げられる。
【0070】
好適なトリエステルとしては、アラキドン酸、クエン酸またはベヘン酸のエステル、例えば、トリアラキジン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリC12-13アルキル、トリカプリリン、クエン酸トリカプリリル、ベヘン酸トリデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ベヘン酸トリデシルまたはトリデシルココアート(tridecyl cocoate)、イソノナン酸トリデシルなどが挙げられる。
組成物中での使用のために好適なエステルは、「エステル」の分類の下に、C.T.F.A. Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, Eleventh Edition, 2006にさらに記載されている。
【0071】
組成物中に、C24-28オレフィン、C30-45オレフィン、C20-40イソパラフィン、水添ポリイソブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、水添ポリデセン、鉱油、ペンタヒドロスクアレン、スクアレン、スクアランおよびそれらの混合物のような、1種以上の非揮発性炭化水素油を組み込むことが望ましい場合がある。1つの好ましい実施形態では、そのような炭化水素は約300〜1000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0072】
脂肪酸の合成または天然に存在するグリセリルエステル(すなわちトリグリセリド)もまた、組成物中での使用に好適である。植物および動物供給源の両方を用いることができる。そのような油の例としては、ヒマシ油、ラノリン油、C10-18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、スイートアーモンド油、杏仁油、ゴマ油、カメリナ・サティバ(camelina sativa)油、テリハボク種子油、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、アマニ油、インク油、オリーブ油、パーム油、イリッペ脂、アブラナ油、ダイズ油、グレープシード油、ヒマワリ種子油、クルミ油などが挙げられる。
【0073】
合成または半合成グリセリルエステル、例えば、改変された天然油脂または油である脂肪酸モノ-、ジ-およびトリグリセリド、例えば、グリセリンなどのポリオールのモノ-、ジ-またはトリエステルもまた好適である。例えば、脂肪(C12-22)カルボン酸を、1つ以上の繰り返しグリセリル基と反応させる。ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、リシノール酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸グリセリル、ジイソテアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、PEGヒマシ油、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル、牛脂脂肪酸PEGグリセリル(PEG glyceryl tallowates)など。
【0074】
水溶性および水不溶性の非揮発性シリコーン油もまた、組成物での使用に好適である。そのようなシリコーンは、好ましくは、25℃で約5超〜800,000cst、好ましくは20〜200,000cstの範囲の粘度を有する。好適な水不溶性シリコーンとしては、アモジメチコンおよびジメチコーン、フェニル置換ジメチコーンなどのアミン官能性シリコーンが挙げられる。
【0075】
J. ビタミンおよび酸化防止剤
組成物中に1種以上のビタミンまたは酸化防止剤を組み込むことが望ましい場合がある。存在する場合、推奨される範囲は、約0.001〜20%、好ましくは約0.005〜15%、より好ましくは約0.010〜10%である。好ましくは、そのようなビタミン、ビタミン誘導体および/または酸化防止剤は、一重項酸素の形態であるフリーラジカルを除去する(scavenge)ために機能できる。そのようなビタミンとしては、トコフェロールもしくはその誘導体(酢酸トコフェロール、フェルラ酸トコフェロール(tocopherol ferulate)など);アスコルビン酸もしくはその誘導体(パルミチン酸アスコルビル、リン酸マグネシウムアスコルビルなど);ビタミンAもしくはその誘導体(パルミチン酸レチニルなど);またはビタミンD、K、B、もしくはそれらの誘導体が挙げられる。
【0076】
K. 好ましい組成物
好ましい組成物は、水溶液またはエマルション形態であり、少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種のHMW HA、少なくとも1種のLMW HA、少なくとも1種のポリアミノ酸、水、ならびに以下:(1)プロテアソーム活性化剤、(2)自食作用活性化剤、(3)CLOCKまたはPER1遺伝子活性化剤、(4)DNA修復酵素;および(5)それらの混合物からなる群より選択される成分を含有する。
最も好ましい組成物は、少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種のHMW HA、少なくとも1種のLMW HA、少なくとも1種のポリアミノ酸、水、ビフィズス菌(bifido bacterium)の不活性化細菌溶解物、ならびに以下:(1)プロテアソーム活性化剤、(2)自食作用活性化剤、(3)CLOCKまたはPER1遺伝子活性化剤、(4)DNA修復酵素;および(5)それらの混合物からなる群より選択される成分を含有する水溶液またはエマルションを含む。
【実施例】
【0077】
本発明を、例示の目的のみのために説明される以下の実施例との関連で、さらに説明する。
【0078】
実施例1
マイクロメッシュヒドロゲルを形成した組成物(組成物1)は、以下の通りに調製した。
【表1】
フェノキシエタノールと水とを組み合わせ、十分に混合することにより、組成物を調製した。混合物にHMW HAを添加し、均質になるまで十分に混合した。混合物にLMW HAを加えて、均質になるまで十分に混合した。続いて、ポリアクリレートクロスポリマー-6を添加し、均質になるまで十分に混合した。ポリアスパラギン酸ナトリウムを最後に添加し、混合物を、均質になるまで十分に混合した。
Zeiss SEMを用いて組成物を走査した。図1Aおよび図1BのSEM画像は、マイクロメッシュ構造のよりよい観察のために2種類の異なるスケールになっており、スケールバーが各画像の左下の角に示される。
【0079】
実施例2
局所用組成物を、以下の通りに調製した。
【表2】
水(q.s. 100%)、フェノキシエタノール(0.5%)、HMW HA(0.11%)、LMW HA(0.05%)、ポリマー(0.1%)、およびポリアスパラギン酸ナトリウム(0.5%)の順に成分を添加し、ステップ毎に均質になるまで十分に混合することにより、ヒドロゲルを作製した。
組成物1〜11のSEM画像を、図1A〜11Aおよび図1B〜11Bにそれぞれ示す。組成物1、2、4、および5のSEM画像は、マイクロメッシュ構造を明らかに示す。組成物3および7のSEM画像は、画像1、2、4、および5と比較して、あまり均質でないマイクロメッシュを示す。
美容試験を、選択された組成物について、以下の通りに行なった。
【表3】
結果により、マイクロメッシュ構造を含有する組成物が、含有しない組成物と比較して、改善された美容特性を示すことが明らかになった。
【0080】
実施例3
組成物を以下の通りに作製した。
【表4】
フェノキシエタノールを、混合しながら水に添加することにより、ヒドロゲルを調製した。HMW HA溶液(Contipro社)を混合物に添加し、均質になるまで十分に混合した(組成物12、13、14および16について)。続いて、LMW HAを混合物に添加し、均質になるまで十分に混合した(組成物12、13、14、15および16について)。続いて、ポリアクリレートクロスポリマー-6を添加し、均質になるまで十分に混合した(組成物12、13、15および17について)。Aquadew SPA-30B(12、14および17について)またはChronolux(13について)を最後に添加し、均質になるまで十分に混合した。
図12〜17に示される通り、好ましい組成物12のSEM画像はマイクロメッシュ構造を明らかに示すが、13、14(弱い膜)、15、16(弱い膜)、17のSEM画像は、マイクロメッシュ構造を示さない。
【0081】
実施例4
マイクロメッシュヒドロゲルを、以下の通りに作製した。
【表5】
Phenoxetolを、混合しながら水に添加することにより、マイクロメッシュヒドロゲルを調製した。HMWヒアルロン酸溶液を混合物に添加し、均質になるまで十分に混合した。LMWヒアルロン酸溶液を混合物に添加し、均質になるまで十分に混合した。続いて、Sepimax Zenを添加し、均質になるまで十分に混合した。Aquadew SPA-30Bを最後に添加し、均質になるまで十分に混合した。
SEM画像を、図18A〜24Aおよび図18B〜24Bにそれぞれ示す。すべての画像が、マイクロメッシュ構造を明らかに示す。
各組成物のマイクロメッシュサイズを測定した。加えて、組成物18〜24のメッシュ分布グラフを、図25〜31にそれぞれ示す。
【0082】
実施例5
スキンケア組成物を、以下の通りに作製した。
【表6】
組成物25および26は、組成物25がポリマー(Sepimax Zen)、HMW HAおよびLMW HAを有しない以外は、ほぼ同じ成分から作製された。これらの3種類の成分がマイクロメッシュ構造を形成するために必須であることが、実施例3に示された。したがって、組成物25はマイクロメッシュを伴わないと見なされ、かつ組成物26はマイクロメッシュを伴うと見なされた。
目の下の領域の角質層の厚みに対する組成物25および26の影響(compact)を評価するために、15名のパネリストに対する臨床試験を行なった。本研究での試験領域は、左右の目の下の領域であった。300μLの組成物25および26を顔の左側および右側に塗布する、分割顔試験を行なった。組成物は、左/右に無作為な様式で塗布した。ベースラインおよび処置から4時間後に、反射共焦点顕微鏡観察(RCM)により、目の下の領域で、角質層を評価した。手持ち式Vivascope 3000(Lucid社、1.5倍、視野=0.5×0.5mm)を用い、このとき、コントラストは、反射率の差異により提供される(SOP A.18v1, labbook 1846-1 p99)。最小で1.96μmの光学スライス厚を有する少なくとも5枚のVivastackを、異なる試験領域について記録した。Aquasonicクリアゲルを、対物レンズと組織キャップとの間の、ならびに組織キャップと皮膚との間の浸漬液として用いた。角質層の厚みは、角質層の上部と顆粒層(視認できる細胞を含む最初の層)の上部との間の深さの差異を測定することにより決定した。異なる組成物に対するデータを同じパネリストに関して収集し、対応のあるスチューデントt検定を用いて統計学的に評価した。時間による差異および処置間の差異は、p≦0.05の場合に有意と見なした。
角質層を、Vivascope 3000を用いる反射共焦点顕微鏡観察(RCM)により評価した。共焦点画像を、ベースラインおよび処置から4時間後での角質層の厚みを決定するために用いた。
組成物26を用いた処置から4時間後には、角質層の厚みは、ベースラインと比較して目の下の領域で有意に増大した(p<10-4)(図32を参照されたい)。組成物25および26を用いて処置された側の角質層の厚み同士には、有意差があった(p=0.0003)。組成物25に関して、ベースラインと比較して差異は見出されなかった(p=0.67)。
図33は、製品塗布から4時間後に取得した1名のパネリストの目の下の領域の角質層および顆粒層の代表的な反射共焦点像を示す。各画像に対して、記録深度(平均で5「スタック」)が与えられている。組成物25(画像A、B、C)を用いて処置された箇所では、顆粒層(画像B)は、角質層(画像A)の上部の20.18μm下で検出された。組成物25(画像D、E、F)を用いて処置された箇所では、顆粒層(画像F)は、角質層(画像D)の上部の27.34μm下で検出された。このことは、組成物26処置部位での角質層の肥厚化を表わす。
反射共焦点顕微鏡観察により取得される非侵襲的な画像に基づいて、目の下の角質の厚みを、ベースライン、ならびにマイクロメッシュ技術を含む組成物および含まない組成物を用いた処置から4時間後に評価した。角質層の厚みでの有意な増大が、「マイクロメッシュ」組成物(26)を用いた処理から4時間後に示された。「マイクロメッシュ」技術を含まない製剤(25)はそのような作用を有さず、角質層の厚みは、「マイクロメッシュ」技術を用いずに処置された部位と比較して、「マイクロメッシュ」処置部位で有意に厚かった。このことは、マイクロメッシュ技術による、目の下の領域の角質層の即時的な物理的膨らみ効果を表わす。
【0083】
好ましい実施形態と関連付けて本発明を説明してきたが、明示された特定の形態へと本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神および範囲内に入り得るような代替物、改変物、および等価物を包含することが意図される。

本発明は例えば以下の態様を含む。
[項1]
以下の成分:
・ポリマー、
・高分子量ヒアルロン酸(HMW HA)および/またはその塩、
・低分子量ヒアルロン酸(LMW HA)および/またはその塩、および
・ポリアミノ酸および/またはその塩;ならびに
・水
を含む、局所用組成物。
[項2]
以下のステップ:
試験ポリマーを、少なくとも1種のLMW HA、少なくとも1種のHMW HA、ポリアミノ酸塩、および水と組み合わせるステップ;
マイクロメッシュが形成されているか否かを決定するためにSEMを用いるステップ、 マイクロメッシュを形成するポリマーを選択するステップ;および
試験ポリマー、LMW HA、HMW HA、ポリアミノ酸、および水のみを組み合わせる場合に見出される場合と同じ比率およびパーセンテージで、マイクロメッシュを形成する成分の同じ組み合わせを含有する局所用生成物を製剤化するステップ
を含む、マイクロメッシュを含有する局所用組成物を製剤化するための方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]