特許第6982091号(P6982091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982091
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】選択透過性酸化グラフェン膜
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/02 20060101AFI20211206BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 71/38 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 71/70 20060101ALI20211206BHJP
   B01D 71/82 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 9/04 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20211206BHJP
   C01B 32/198 20170101ALI20211206BHJP
【FI】
   B01D71/02
   B01D69/00
   B01D69/10
   B01D69/12
   B01D71/38
   B01D71/56
   B01D71/68
   B01D71/70
   B01D71/82 500
   B32B5/18
   B32B9/00 A
   B32B9/04
   B32B27/18 Z
   B32B27/30 102
   B32B27/34
   C01B32/198
【請求項の数】13
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2019-547436(P2019-547436)
(86)(22)【出願日】2018年3月1日
(65)【公表番号】特表2020-510526(P2020-510526A)
(43)【公表日】2020年4月9日
(86)【国際出願番号】US2018020505
(87)【国際公開番号】WO2018160871
(87)【国際公開日】20180907
【審査請求日】2019年10月28日
(31)【優先権主張番号】62/465,635
(32)【優先日】2017年3月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シジュン
(72)【発明者】
【氏名】北原 勇
(72)【発明者】
【氏名】山代 祐司
(72)【発明者】
【氏名】リン、ウェイピン
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シディギ、オザイール
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ワンユン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ポン
(72)【発明者】
【氏名】バルテルス、クレイグ、ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】小泓 誠
(72)【発明者】
【氏名】能見 俊祐
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/011124(WO,A1)
【文献】 特表2016−522737(JP,A)
【文献】 特表2015−500737(JP,A)
【文献】 特開2014−140846(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0008291(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103736400(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0258506(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00 − 71/82
B32B 1/00 − 43/00
C01B 32/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質支持体、および
前記多孔質支持体と物理的に連通した架橋酸化グラフェン複合体層
を含む、水透過性膜であって、
前記架橋酸化グラフェン複合体層は、酸化グラフェン化合物および架橋剤を含む混合物を含み、
ここで前記架橋剤は、
【化1】
を含む、水透過性膜。
【請求項2】
多孔質支持体、
前記多孔質支持体と物理的に連通したシリカ複合体を含む中間濾過層であって、前記シリカ複合体が、シリカナノ粒子およびポリビニルアルコールを含む混合物を含む中間濾過層、および
前記中間濾過層と物理的に連通した架橋酸化グラフェン複合体層
を含む、水透過性膜であって、
前記架橋酸化グラフェン複合体層は、酸化グラフェン化合物および架橋剤を含む混合物を含み、
ここで前記架橋剤は、
【化2】
を含む、水透過性膜。
【請求項3】
ポリビニルアルコールとシリカナノ粒子との質量比が1〜5である、請求項に記載の膜。
【請求項4】
前記シリカナノ粒子の平均サイズが1nm〜20nmである、請求項2または3に記載の膜。
【請求項5】
前記多孔質支持体が不織布である、請求項1〜のいずれか1項に記載の膜。
【請求項6】
酸化グラフェン化合物に対する架橋剤の重量比が1〜30である、請求項1〜のいずれか1項に記載の膜。
【請求項7】
前記酸化グラフェン化合物が酸化グラフェンである、請求項1〜のいずれか1項に記載の膜。
【請求項8】
膜の塩透過性を低下させるのに有効な脱塩層をさらに含み、前記塩はNaClである、請求項1〜のいずれか1項に記載の膜。
【請求項9】
前記脱塩層が、ポリアミドを含む、請求項に記載の膜。
【請求項10】
ポリアミドのモノマーが、メタフェニレンジアミンと塩化トリメソイルとを含む、請求項に記載の膜。
【請求項11】
前記膜が50nm〜500nmの厚さを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の膜。
【請求項12】
未処理溶液を請求項1〜11のいずれか1項に記載の膜にさらすことを含む、未処理溶液から溶質を除去する方法。
【請求項13】
前記膜を横断して圧力勾配を適用することにより、前記未処理の溶液が前記膜を通過する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明者)
Shijun Zheng、Isamu Kitahara、Yuji Yamashiro、Weiping Lin、John Ericson、Ozair Siddiqui、Wanyun Hsieh、Peng Wang、Craig Roger Bartels、Makoto Kobuke、およびShunsuke Noumi
(関連出願の相互参照)
この出願は、2017年3月1日に出願された米国仮出願62/465,635号の利益を主張し、その全体を参照により組み込む。
【0002】
(技術分野)
本実施形態は、水処理、塩水の脱塩、または水の除去などの用途のためのグラフェン材料を含む膜を含む多層ポリマー膜に関する。
【背景技術】
【0003】
地球上の限られた淡水資源と相まって、人口と水消費との増加により、安全で新鮮な水を提供するための海水脱塩および水処理/リサイクルなどの技術が我々の社会にとってより重要になっている。逆浸透(RO)膜を使用した脱塩プロセスは、塩水から新鮮な水を製造するための主要な技術である。現在の市販のRO膜のほとんどは、微孔質基材、通常、不織布ポリエステル上のポリスルホン膜の上部の薄い芳香族ポリアミド選択層からなる薄膜複合(TFC)構成を採用している。これらのRO膜は、優れた脱塩率、より高い水流束を提供できるが、ROプロセスのエネルギー効率をさらに改善するためには、より薄く、より親水性の膜が依然として所望されている。したがって、新しい膜材料および合成方法は、上記で記載のような望ましい特性を達成するために高い需要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、高い水流束用途に適した酸化グラフェン(GO)系多層膜に関する。GO膜は、1つ以上の水溶性架橋剤を含んでもよい。これらのGO膜組成物を効率的および経済的に製造する方法も記載される。これらのGO膜組成物を調製する際の溶媒として水を使用することができ、それにより膜調製プロセスがより環境に優しくなり、費用対効果がより高まる。
【0005】
いくつかの実施形態は、多孔質支持体、およびこの多孔質支持体と物理的に連通した架橋酸化グラフェン複合体層を含む、選択透過性膜、例えば水透過性膜であって、ここでこの架橋酸化グラフェン複合体層は、酸化グラフェン化合物および架橋剤を含む混合物を反応させることによって形成され、ここで架橋剤は、
【化1】
またはそれらの塩(式中、破線は共有結合の有無を示し、R、R、R2a、RおよびRは独立して、H、OH、NH、CH、COH、−CO−C2n+1またはSOHであるが、ただしOH、NHおよびSOHはN、Oまたは−OCH−に直接結合せず、RはH、CHまたはCであり、R、R、RおよびRは、独立して−(CH−、−CHCHO(CH−、フェニル、−フェニル−CH−または−フェニル−CHO(CH−であり、nおよびmはそれぞれ独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、kは0または1である。)を含む、選択透過性膜、例えば水透過性膜を含む。いくつかの実施形態では、膜は高い水流束を有し、脱塩が可能である。
【0006】
いくつかの実施形態は、多孔質支持体、この多孔質支持体と物理的に連通するシリカ複合体を含む中間濾過層であって、ここでシリカ複合体は、シリカナノ粒子とポリビニルアルコールとを含む混合物を反応させることにより形成される中間濾過層、およびこの中間濾過層と物理的に連通する架橋酸化グラフェン複合体層を含む、選択透過性膜、例えば、水透過性膜であって、ここで架橋酸化グラフェン複合体層は、酸化グラフェン化合物と架橋剤とを含む混合物を反応させることによって形成され、ここで架橋剤は、ポリビニルアルコールまたは上記の段落で記載された架橋剤化合物の1つを含む、選択透過性膜、例えば、水透過性膜を含む。いくつかの実施形態では、膜は高い水流束を有し、脱塩が可能である。
【0007】
いくつかの実施形態は、基材に塗布されたコーティング混合物を硬化させることを含む、選択透過性膜、例えば水透過性膜を製造する方法であって、ここで硬化は、50℃〜150℃の温度で1分〜5時間行われ、ここでコーティング混合物は、場合により置換されている酸化グラフェンおよび架橋剤を含む水溶液を含み、これを30分〜12時間静置してコーティング混合物を作成する、方法を含む。
【0008】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の選択透過性膜、例えば水透過性膜に未処理溶液をさらすことを含む、未処理溶液から溶質を除去する方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】膜の可能な実施形態の描写である。
【0010】
図2】膜の別の可能な実施形態の描写である。
【0011】
図3】膜の別の可能な実施形態の描写である。
【0012】
図4】膜の別の可能な実施形態の描写である。
【0013】
図5】膜の別の可能な実施形態の描写である。
【0014】
図6】膜の別の可能な実施形態の描写である。
【0015】
図7】膜の別の可能な実施形態の描写である。
【0016】
図8】膜の別の可能な実施形態の描写である。
【0017】
図9】膜を製造する方法の可能な実施形態の描写である。
【0018】
図10】機械的強度試験ならびに水透過性および/または脱塩試験の実験装置を描写する図である。
【0019】
図11】水蒸気透過性およびガス漏洩試験の実験装置を描写する図である。
【発明の詳細な説明】
【0020】
全般
選択透過性膜は、特定の液体またはガスなどの特定の流体に対しては比較的透過性であるが、他の流体または溶質を含む他の材料に対しては不透過性である膜を含む。例えば、膜は、水または水蒸気に対して比較的透過性であってもよく、イオン化合物または重金属には比較的不透過性であってもよい。いくつかの実施形態では、選択透過性膜は、塩に対して比較的不透過性である一方、水に対して透過性であることができる。
【0021】
本明細書で使用される場合「流体連通」という用語は、流体が、物理的に連通しているかまたは配置の順序にかかわらず、第1の構成要素を通過し、第2の構成要素またはより多くの構成要素を通って進むことができることを意味する。
【0022】

本開示は、低有機化合物透過性ならびに高い機械的および化学的安定性を有する高度に親水性の複合材料がRO膜中のポリアミド脱塩層を支持するのに有用であり得る水分離膜に関する。この膜材料は、塩水からの脱塩、飲料水の浄化、排水処理などの未処理流体からの溶質除去に適し得る。本明細書に記載されるいくつかの選択透過性膜は、高い水流束を有するGO系膜であり、RO膜のエネルギー効率を改善し、水回収/分離効率を改善し得る。いくつかの実施形態では、GO系膜は、1つ以上の濾過層を含むことができ、ここで少なくとも1つの層は、架橋酸化グラフェン(GO)の複合体を含むことができる。酸化グラフェンの潜在的な親水性および選択透過性を備えた架橋GO層は、高い水透過性と透過性の高い選択性とが重要な幅広い用途のための膜を提供し得ると考えられる。いくつかの実施形態では、GO系膜は、架橋シリカナノ粒子の濾過層をさらに含むことができる。架橋シリカナノ粒子の追加の層は、材料強度の増加をもたらし得ると考えられる。さらに、これらの選択透過性膜はまた、溶媒として水を使用して調製されてもよく、これにより、製造プロセスをより環境に優しく、費用対効果が高いものにできる。
【0023】
一般に、水透過性膜などの選択透過性膜は、多孔質支持体および濾過層を含む。濾過層は、支持体と流体連通していてもよい。例えば、図1に示されるように、選択透過性膜100は多孔質支持体120を含むことができる。多孔質支持体120の上方に濾過層110が配置されている。濾過層110は、多孔質支持体120に直接接触することができ、または介在層が濾過層110と多孔質支持体120との間に配置されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、濾過層は、架橋酸化グラフェン層、例えば架橋酸化グラフェン複合体層を含むか、またはそれからなってもよい。例えば、図1では、濾過層110は、架橋酸化グラフェン層113であってもよい。架橋酸化グラフェン層は、多孔質支持体に直接接触してもよく、または多孔質支持体と物理的に連通し、流体連通していてもよく、架橋グラフェン層は、濾過層であってもよくまたは濾過層でなくてもよい1つ以上の中間層によって多孔質支持体に物理的に接続していてもよいことを意味する。
【0025】
いくつかの実施形態では、濾過層は、複数の架橋GO層を含んでいてもよい。
【0026】
シリカ複合体層が存在してもよく、これは唯一の濾過層として作用してもよく、または多孔質支持体と別の濾過層、例えば架橋酸化グラフェン層、例えば架橋酸化グラフェン複合体層との間の中間層であってもよい。例えば、図2において、選択透過性膜300は、多孔質支持体120と架橋酸化グラフェン層113との間に配置されたシリカ複合体層114を含んでいてもよい。したがって、濾過層110は、架橋酸化グラフェン層113とシリカ複合体層114との両方を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、濾過層は、複数のシリカナノ粒子層を含んでいてもよい。
【0028】
脱塩層などの追加の任意濾過層も存在してもよい。さらに、膜は保護層も含むことができる。いくつかの実施形態では、保護層は親水性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、膜を通過する液体またはガスなどの流体は、それらが物理的に連通しているかまたは配置の順序にかかわらず、すべての構成要素に進む。
【0029】
保護層は、水透過性膜などの選択透過性膜を、層を劣化させ得る化合物、紫外線などの放射線、極端な温度などの過酷な環境から保護するのに役立つ任意の位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態は、図3〜4に示される構成を有し得る。図3では、図1に示される選択透過性膜100は、濾過層110上または上方に配置される保護コーティング140をさらに含んでいてもよい。図4では、図2に示される選択透過性膜300は、濾過層110上または上方に配置される保護コーティング140をさらに含んでいてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、得られる膜は、水および/または水蒸気の通過を可能にすることができるが、溶質の通過に抵抗する。いくつかの膜では、抑制された溶質は、塩または重金属などのイオン化合物を含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、膜を使用して、制御体積から水を除去することができる。いくつかの実施形態では、膜は、溜部が膜を通して流体連通するように、第1の流体溜部と第2の流体溜部との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の溜部は、膜の上流および/または膜にて供給流体を含んでいてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、膜は、溶質または液体材料が通過するのを防ぎながら、液体水または水蒸気を選択的に通過させる。いくつかの実施形態では、膜の上流の流体は、水と溶質との溶液を含むことができる。いくつかの実施形態では、膜の下流の流体は、精製水または処理された流体を含み得る。いくつかの実施形態では、層の結果として、膜は、水に対して選択的に透過性であり、塩に対してより透過性が低い耐久性のある脱塩システムを提供し得る。いくつかの実施形態では、層の結果として、膜は、塩水、汚染水または供給流体を効果的に濾過し得る耐久性のある逆浸透システムを提供し得る。
【0033】
水透過性膜などの選択透過性膜は、塩が膜を通過するのを防ぐのを助けるために脱塩層をさらに含んでもよい。
【0034】
脱塩層を含む選択透過性膜のいくつかの非限定的な例を図5および6に示す。図5および6では、膜200は、多孔質支持体120上に配置された架橋酸化グラフェン層113上に配置された脱塩層115を含む。図6では、選択透過性膜200は、脱塩層115上に配置された保護コーティング140をさらに含む。
【0035】
水透過性膜などのいくつかの選択透過性膜は、架橋酸化グラフェン層、例えば架橋酸化グラフェン複合体層、シリカ複合体層、および脱塩層を含んでもよい。図7〜8は、これらの層を含む選択透過性膜のいくつかの例を示している。図8では、膜200は、多孔質支持体120上に配置されたシリカ複合体層114上に配置された架橋酸化グラフェン層113上に配置された脱塩層115を含む。図8もこれらの3つの層を有するが、脱塩層115上に配置された保護コーティング140も含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、膜は、約10〜1000ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;約20〜750ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;約100〜500ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;約10〜50ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;約50〜100ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;約10〜200ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;約200〜400ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;約400〜600ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;約600〜800ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;約800〜1000ガロン・フィート−2・日−1・バール−1;少なくとも約10ガロン・フィート−2・日−1・バール−1、約20ガロン・フィート−2・日−1・バール−1、約100ガロン・フィート−2・日−1・バール−1、約200ガロン・フィート−2・日−1・バール−1の正規化された体積水流量またはこれらの値の任意の組み合わせで拘束された範囲内の任意の正規化された体積水流量を示す。
【0037】
いくつかの実施形態では、膜は選択的に透過性であってもよい。いくつかの実施形態では、膜は浸透膜であってもよい。いくつかの実施形態では、膜は水分離膜であってもよい。いくつかの実施形態では、膜は逆浸透(RO)膜であってもよい。いくつかの実施形態では、選択透過性膜は複数の層を含んでいてもよく、ここで少なくとも1つの層はGO−PVA系複合体を含む。
【0038】
架橋GO層
本明細書に記載の膜は、架橋GO層を含むことができる。いくつかの架橋GO層は、架橋GO複合体層を含むことができる。いくつかの実施形態では、架橋GO層、例えば架橋GO複合体層は、酸化グラフェンと架橋剤とを含む混合物を反応させることにより形成される。いくつかの実施形態では、GO系複合体は、1つ以上の添加剤も含むことができる。いくつかの実施形態では、GO系複合体は架橋され、ここで複合体の構成要素(例えば、酸化グラフェン化合物、架橋剤、および/または添加剤)は、互いの任意の組み合わせに対して物理的または化学的に結合して材料マトリックスをもたらす。
【0039】
いくつかの実施形態では、架橋GO層、例えば架橋GO複合体層は、約0.5〜3nm、約0.6〜2nm、約0.7〜1.8nm、約0.8〜1.7nm、約0.9〜1.7nm、約1.2〜2nm、約1.5〜2.3nm、約1.61nm、約1.67nm、約1.55nm、またはこれらの値のいずれかで拘束された範囲の任意の距離の層間距離またはd間隔を有することができる。d間隔は、x線粉末回折(XRD)で決定できる。
【0040】
架橋GO層、例えば架橋GO複合体層は、任意の適切な厚さを有することができる。例えば、いくつかのGO系複合体層は、約20nm〜約1,000nm、約5〜40nm、約10〜30nm、約20〜60nm、約50〜100nm、約100〜170nm、約170〜200nm、約180〜220nm、約200〜250nm、約250〜300nm、約300〜400nm、約400〜600nm、約600〜800nm、約800〜1000nm、約50nm〜約500nm、約100nm〜約400nm、約250nmの範囲の厚さ、またはこれらの値のいずれかで拘束された範囲の任意の厚さを有していてもよい。
【0041】
A.酸化グラフェン。
一般に、グラフェン系材料には、並外れた高い機械的強度およびナノメートルスケールの厚さを有する2次元のシート状構造などの多くの魅力的な特性がある。グラファイトの酸化により剥離したもの(exfoliated oxidation of graphite)である酸化グラフェン(GO)は、低コストで大量生産できる。酸化グラフェンは、高度な酸化により、水透過性が高く、アミンまたはアルコールなどの多くの官能基によって官能化されて様々な膜構造を形成する汎用性も示す。水が材料の細孔を通って輸送される従来の膜とは異なり、酸化グラフェン膜では、水の輸送は層間の間隙間で行われることができる。GOの毛細管効果により、長い滑水長になり得、高速の水輸送速度が得られる。さらに、グラフェンシートの層間距離を調整することによって、または様々な架橋部分を利用することによって、膜の選択性および水流束を制御できる。
【0042】
開示された膜では、GO材料は場合により置換されてもよい。いくつかの実施形態では、場合により置換されている酸化グラフェンは、化学的に修飾または官能化されたグラフェンを含んでいてもよい。修飾されたグラフェンは、化学的に修飾または官能化された任意のグラフェン材料であってもよい。いくつかの実施形態では、酸化グラフェンは場合により置換できる。
【0043】
官能化されたグラフェンには、グラフェンベースのC原子に直接結合したOH、COOH、またはエポキシド基ではない官能基などの酸化グラフェンには存在しない1つ以上の官能基が含まれる。官能化されたグラフェンに存在し得る官能基の例には、ハロゲン、アルケン、アルキン、シアノ、エステル、アミド、またはアミンが含まれる。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも約99%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約80%、少なくとも約70%、少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、少なくとも約30%、少なくとも約20%、少なくとも約10%、または少なくとも約5%のグラフェン分子が酸化または官能化されていてもよい。いくつかの実施形態では、グラフェン材料は酸化グラフェンであり、これは、ガス、流体、および/または蒸気に対して選択的な透過性を提供し得る。いくつかの実施形態では、酸化グラフェンは還元された酸化グラフェンも含むことができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン化合物は、酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、官能化された酸化グラフェン、または官能化および還元された酸化グラフェンであることができる。
【0045】
GOには多数(約30%)のエポキシ基が存在し得ると考えられ、これは高温でヒドロキシル基と容易に反応し得る。また、GOシートは、他の材料と比較して大きな利用可能なガス/水拡散表面を提供する非常に高いアスペクト比を有し、流動速度を保持しながら汚染物質浸出を最小限に抑えるように、任意の基材支持材料の有効孔径を減少させる能力があると考えられる。また、エポキシ基またはヒドロキシル基は、材料の親水性を高め、したがって、水蒸気透過性および膜の選択性の向上に寄与すると考えられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、場合により置換されている酸化グラフェンは、シート、平面、またはフレークの形態であってもよい。いくつかの実施形態では、グラフェン材料は、約100〜5000m/g、約150〜4000m/g、約200〜1000m/g、約500〜1000m/g、約1000〜2500m/g、約2000〜3000m/g、約100〜500m/g、約400〜500m/gの表面積、またはこれらの値のいずれかで拘束された範囲の任意の表面積を有していてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェンは、1、2、または3次元を有するプレートレットであり得、各次元のサイズは、ナノメートルからミクロン範囲で独立している。いくつかの実施形態では、グラフェンは、寸法の任意の1つのプレートレットサイズを有してもよく、または約0.05〜100μm、約0.05〜50μm、約0.1〜50μm、約0.5〜10μm、約1〜5μm、約0.1〜2μm、約1〜3μm、約2〜4μm、約3〜5μm、約4〜6μm、約5〜7μm、約6〜8μm、約7〜10μm、約10〜15μm、約15〜20μm、約50〜100μm、約60〜80μm、約50〜60μm、約25〜50μm、またはこれらの値のいずれかで拘束された範囲の任意のプレートレットサイズのプレートレットの最大表面の面積の平方根を有していてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、GO材料は、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%の、約5,000ダルトン〜約200,000ダルトンの分子量を有するグラフェン材料を含むことができる。
【0049】
B.架橋剤。
架橋剤は、求核基を有する化合物を含むことができる。求核基はエポキシドと反応して、架橋剤の求核原子と酸化グラフェン上のエポキシドの炭素原子の1つとの間に共有結合を形成できると考えられる。いくつかの実施形態では、架橋剤は、ポリビニルアルコール、場合により置換されているメタフェニレンジアミン、場合により置換されているビフェニル、場合により置換されているトリフェニルメタン、場合により置換されているジフェニルアミン、または場合により置換されているビスヒドロキシメチルプロパンジオールを含む。
【化2】
【0050】
特に明記しない限り、化合物または化学構造、例えば酸化グラフェンが「場合により置換されている」と言及される場合、それは、置換基を有していない(すなわち、非置換)、または1つ以上の置換基を有する(すなわち、置換)のいずれかの化合物または化学的構造を含む。「置換基」という用語は、当該技術分野で知られている最も広い意味を有し、親化合物または構造に結合した1つ以上の水素原子を置き換える部分を含む。いくつかの実施形態では、置換基は、有機化合物の構造上に存在し得る任意のタイプの基であってもよく、これは15〜50g/mol、15〜100g/mol、15〜150g/mol、15〜200g/mol、15〜300g/mol、または15〜500g/molの分子量(例えば、置換基の原子の原子質量の合計)を有していてもよい。いくつかの実施形態では、置換基は、0〜30、0〜20、0〜10、または0〜5個の炭素原子;および0〜30、0〜20、0〜10、または0〜5個のヘテロ原子を含むまたはそれらからなり、各ヘテロ原子は独立して、N、O、S、Si、F、Cl、Br、またはIであってもよい;ただし、置換基は1つのC、N、O、S、Si、F、Cl、Br、またはI原子を含む。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルオキシ、アルキルカルボキシレート、チオール、アルキルチオ、シアノ、ハロ、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシル、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、アミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
便宜上、用語「分子量」は、それが完全な分子でない場合であっても、分子の部分または一部の原子の原子質量の合計を示すために分子の部分または一部に関して使用される。
【0052】
いくつかの実施形態では、架橋剤はポリビニルアルコールであってもよい。ポリビニルアルコール(PVA)の分子量は、約100〜1,000,000ダルトン(Da)、約10,000〜500,000Da、約10,000〜50,000Da、約50,000〜100,000Da、約70,000〜120,000Da、約80,000〜130,000Da、約90,000〜140,000Da、約90,000〜100,000Da、約95,000〜100,000Da、約89,000〜98,000Da、約89,000Da、約98,000Da、またはこれらの値のいずれかで拘束された範囲の任意の分子量であってもよい。
【0053】
いくつかの架橋剤は、式1、式2、式3、式4、または式5で表される化合物、または式1〜5のいずれかで表される化合物の塩であってもよい。
【化3】
【0054】
式1、2、3、4または5などの任意の関連する構造表記に関して、RはH、OH、NH、CH、COH、−CO−C2n+1、またはSOHであるが、ただし、(例えば式5に関して)OH、NH、およびSOHは、N、O、または−OCH−に直接結合しない。関連する官能基の塩の形態、例えばCOLi、CONa、COK、SOH、SOLi、SONa、またはSOKも含まれる。
【0055】
式1、2、3、4または5などの任意の関連する構造表記に関して、RはH、OH、NH、CH、COH、−CO−C2n+1、またはSOHであり、ただし、(例えば式5に関して)OH、NH、およびSOHは、N、O、または−OCH−に直接結合しない。関連する官能基の塩の形態、例えばCOLi、CONa、COK、SOH、SOLi、SONa、またはSOKも含まれる。
【0056】
式1、2、4または5などの任意の関連する構造表記に関して、RはH、OH、NH、CH、COH、−CO−C2n+1、またはSOHであり、ただし、(例えば式4または5に関して)OH、NH、およびSOHは、N、O、または−OCH−に直接結合しない。関連する官能基の塩の形態、例えばCOLi、CONa、COK、SOH、SOLi、SONa、またはSOKも含まれる。
【0057】
式1、2、3、4または5などの任意の関連する構造表記に関して、RはH、OH、NH、CH、COH、−CO−C2n+1、またはSOHであり、ただし、(例えば式3または5に関して)OH、NH、およびSOHは、N、O、または−OCH−に直接結合しない。関連する官能基の塩の形態、例えばCOLi、CONa、COK、SOH、SOLi、SONa、またはSOKも含まれる。
【0058】
式4などの任意の関連する構造表記に関して、R2aはH、OH、NH、CH、COH、−CO−C2n+1、またはSOHである。関連する官能基の塩の形態、例えばCOLi、CONa、COK、SOH、SOLi、SONa、またはSOKも含まれる。
【0059】
式4などの任意の関連する構造表記に関しては、kは0または1である。いくつかの実施形態では、kは0である。いくつかの実施形態では、kは1である。
【0060】
式4などの任意の関連する構造表記に関して、mは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0061】
式3、4または5などの任意の関連する構造表記(例えば−(CH−、−CHCHO(CH−、フェニル、−フェニル−CH−、または−フェニル−CHO(CH−))に関して、各nは独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0062】
式4などの任意の関連する構造表記に関しては、破線は共有結合の有無を示す。例えば、式4aは破線が共有結合を示す式の例であり、式4bは破線が共有結合の非存在を示す式の例である。
【化4】
【0063】
式3などの任意の関連する構造表記に関して、RはH、CH、またはCである。
【0064】
式5などの任意の関連する構造表記に関して、Rは、−(CH−、−CHCHO(CH−、フェニル、−フェニル−CH−、または−フェニル−CHO(CH−である。
【0065】
式5などの任意の関連する構造表記に関して、Rは、−(CH−、−CHCHO(CH−、フェニル、−フェニル−CH−、または−フェニル−CHO(CH−である。
【0066】
式5などの任意の関連する構造表記に関して、Rは、−(CH−、−CHCHO(CH−、フェニル、−フェニル−CH−、または−フェニル−CHO(CH−である。
【0067】
式5などの任意の関連する構造表記に関して、Rは、−(CH−、−CHCHO(CH−、フェニル、−フェニル−CH−、または−フェニル−CHO(CH−である。
【0068】
式1に関して、いくつかの実施形態では、RはNHである。いくつかの実施形態では、RはNHである。いくつかの実施形態では、RはCOHまたはその塩である。
【0069】
式2に関して、いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはNHである。いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはNHである。いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはCOHまたはその塩(例えばCONa)である。いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはCOHまたはその塩(例えばCONa)である。
【0070】
式3に関して、いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはSOHまたはその塩(例えばSONa)である。いくつかの実施形態では、RはCHである。いくつかの実施形態では、nは4である。
【0071】
式4、式4a、または式4bに関して、いくつかの実施形態では、RはNHである。いくつかの実施形態では、RはHである。いくつかの実施形態では、RはNHである。いくつかの実施形態では、R2aはNHである。いくつかの実施形態では、R2aはHである。いくつかの実施形態では、RはHである。いくつかの実施形態では、RはSOHまたはその塩(例えば、SONaまたはSOK)である。いくつかの実施形態では、RはHである。いくつかの実施形態では、RはSOHまたはその塩(例えば、SONaまたはSOK)である。いくつかの実施形態では、mは0である。いくつかの実施形態では、mは3である。いくつかの実施形態では、nは0である。いくつかの実施形態では、nは3である。いくつかの実施形態では、kは0である。いくつかの実施形態では、kは1である。
【0072】
式5に関して、いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはCOCHである。いくつかの実施形態では、Rは、SOHまたはその塩(例えば、SONaまたはSOK)である。いくつかの実施形態では、RはCOCHである。いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはCOCHである。いくつかの実施形態では、RはOHである。いくつかの実施形態では、RはCOCHである。いくつかの実施形態では、Rは、SOHまたはその塩(例えば、SONaまたはSOK)である。いくつかの実施形態では、Rは−CHCH−である。いくつかの実施形態では、Rはフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは−フェニル−CH−である。いくつかの実施形態では、Rは−CHCHCHCH−である。いくつかの実施形態では、Rはフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは−フェニル−CH−である。いくつかの実施形態では、Rは−CHCH−である。いくつかの実施形態では、Rはフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは−フェニル−CH−である。いくつかの実施形態では、Rは−CHCH−である。いくつかの実施形態では、Rはフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは−フェニル−CHOCHCHCHCH−である。
【0073】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化5】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているベンゼン−1,3−ジアミン、またはその塩である。
【0074】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化6】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている3,5−ジアミノ安息香酸またはその塩である。
【0075】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化7】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている2,2’−ジアミノ−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、またはその塩である。
【0076】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化8】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているナトリウム4,4’−ジヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボキシレートである。
【0077】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化9】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている4,4’−ジヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボン酸、またはその塩である。
【0078】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化10】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているナトリウム4−(4−(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェノキシ)ブタン−1−スルホネートである。
【0079】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化11】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている4−(4−(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェノキシ)ブタン−1−スルホン酸、またはその塩である。
【0080】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化12】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているN−(4−アミノフェニル)ベンゼン−1,4−ジアミンである。
【0081】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化13】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているナトリウム3−(3,6−ジアミノ−9H−カルバゾール−9−イル)プロパン−1−スルホネートである。
【0082】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化14】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている3−(3,6−ジアミノ−9H−カルバゾール−9−イル)プロパン−1−スルホン酸またはその塩である。
【0083】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化15】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているN,N1’−(1,3−フェニレン)ビス(ベンゼン−1,4−ジアミン)である。
【0084】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化16】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているカリウム3−((4−アミノフェニル)(3−((4−アミノフェニル)アミノ)フェニル)アミノ)プロパン−1−スルホネートである。
【0085】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化17】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている3−((4−アミノフェニル)(3−((4−アミノフェニル)アミノ)フェニル)アミノ)プロパン−1−スルホン酸]またはその塩である。
【0086】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化18】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている3,3’−(1,3−フェニレンビス((4−アミノフェニル)アザンジイル))ビス(プロパン−1−スルホネート)である。
【0087】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化19】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている3,3’−(1,3−フェニレンビス((4−アミノフェニル)アザンジイル))ビス(プロパン−1−スルホン酸)またはその塩である。
【0088】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたはそれを含む:
【化20】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているナトリウム6−(3−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ビス((2−ヒドロキシエトキシ)メチル)プロポキシ)ヘキサン−1−スルホネートである。
【0089】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化21】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている6−(3−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ビス((2−ヒドロキシエトキシ)メチル)プロポキシ)ヘキサン−1−スルホン酸、またはその塩である。
【0090】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化22】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているジメチル4,4’−((2,2−ビス((4−(メトキシカルボニル)フェノキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))ジベンゾエートである。
【0091】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、以下であるまたは以下を含む:
【化23】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている(4−(3−(4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)−2,2−ビス((4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)メチル)プロポキシ)フェニル)メタノールである。
【0092】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化24】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているナトリウム4−((4−(3−(4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)−2,2−ビス((4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)メチル)プロポキシ)ベンジル)オキシ)ブタン−1−スルホネートである。
【0093】
いくつかの実施形態では、架橋剤は以下であるまたは以下を含む:
【化25】
またはその塩。いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されている4−((4−(3−(4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)−2,2−ビス((4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)メチル)プロポキシ)ベンジル)オキシ)ブタン−1−スルホン酸またはその塩である。
【0094】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、場合により置換されているベンゼン−1,3−ジアミン、またはその塩;場合により置換されている3,5−ジアミノ安息香酸またはその塩;場合により置換されている2,2’−ジアミノ−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、またはその塩;場合により置換されているナトリウム4,4’−ジヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボキシレート;場合により置換されている4,4’−ジヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボン酸またはその塩;場合により置換されているナトリウム4−(4−(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェノキシ)ブタン−1−スルホネート;場合により置換されている4−(4−(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェノキシ)ブタン−1−スルホン酸、またはその塩;場合により置換されているN−(4−アミノフェニル)ベンゼン−1,4−ジアミン;場合により置換されているナトリウム3−(3,6−ジアミノ−9H−カルバゾール−9−イル)プロパン−1−スルホネート;場合により置換されている3−(3,6−ジアミノ−9H−カルバゾール−9−イル)プロパン−1−スルホン酸またはその塩;場合により置換されているN,N’−(1,3−フェニレン)ビス(ベンゼン−1,4−ジアミン);場合により置換されているカリウム3−((4−アミノフェニル)(3−((4−アミノフェニル)アミノ)フェニル)アミノ)プロパン−1−スルホネート;場合により置換されている3−((4−アミノフェニル)(3−((4−アミノフェニル)アミノ)フェニル)アミノ)プロパン−1−スルホン酸]、またはその塩;場合により置換されている3,3’−(1,3−フェニレンビス((4−アミノフェニル)アザンジイル))ビス(プロパン−1−スルホネート);場合により置換されている3,3’−(1,3−フェニレンビス((4−アミノフェニル)アザンジイル))ビス(プロパン−1−スルホン酸)またはその塩;場合により置換されているナトリウム6−(3−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ビス((2−ヒドロキシエトキシ)メチル)プロポキシ)ヘキサン−1−スルホネート;または場合により置換されている6−(3−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ビス((2−ヒドロキシエトキシ)メチル)プロポキシ)ヘキサン−1−スルホン酸、またはその塩;場合により置換されているジメチル4,4’−((2,2−ビス((4−(メトキシカルボニル)フェノキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))ジベンゾエート;場合により置換されている(4−(3−(4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)−2,2−ビス((4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)メチル)プロポキシ)フェニル)メタノール[CLC−6.4またはナトリウム4−((4−(3−(4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)−2,2−ビス((4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)メチル)プロポキシ)ベンジル)オキシ)ブタン−1−スルホネート];場合により置換されている4−((4−(3−(4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)−2,2−ビス((4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)メチル)プロポキシ)ベンジル)オキシ)ブタン−1−スルホン酸、またはその塩である。
【0095】
架橋剤が、有機またはスルホニル系塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、またはリチウム塩を含む場合、得られるGO膜の親水性が増加し、それによって総水流束が増加し得ると考えられる。
【0096】
酸化グラフェンの架橋はまた、グラフェンプレートレット間に強い化学結合と広いチャネルとを作成して、水がプレートレットを容易に通過できるようにすることによってGOの機械的強度と水透過性とを高め、同時に複合体内の部分間の機械的強度を高めると考えられている。いくつかの実施形態では、少なくとも約1%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、またはすべての酸化グラフェンプレートレットが架橋されていてもよい。いくつかの実施形態では、グラフェン材料の大部分は架橋されていてもよい。架橋の量は、グラフェン材料の総量と比較した架橋剤の重量に基づいて推定され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、GOに対する架橋剤の重量比(重量比=架橋剤の重量÷酸化グラフェンの重量)は、約1〜30、約0.25〜30、約0.25〜0.5、約0.5〜1.5、約1〜5、約3〜7、約5〜10、約7〜12、約10〜15、約12〜18、約15〜20、約18〜25、約20〜30、または約1、約3(例えば、3mgのメタフェニレンジアミン架橋剤および1mgの酸化グラフェン)、約5、約7、約15、またはこれらの値のいずれかで拘束された範囲内の任意の比であることができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、架橋酸化グラフェンの総重量に対する酸化グラフェンの質量パーセンテージは、約4〜80重量%、約4〜75重量%、約5〜70重量%、約7〜65重量%、約7〜60重量%、約7.5〜55重量%、約8〜50重量%、約8.5〜50重量%、約15〜50重量%、約1〜5重量%、約3〜8重量%、約5〜10重量%、約7〜12重量%、約10〜15重量%、約12〜17重量%、約15〜20重量%、約17〜23重量%、約20〜25重量%、約23〜28重量%、約25〜30重量%、約30〜40重量%、約35〜45重量%、約40〜50重量%、約45〜55重量%。約50〜70重量%、約6重量%、約13重量%、約16重量%、約25重量%%、約50重量%、またはこれらの値のいずれかで拘束された範囲内の任意のパーセンテージであることができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、架橋酸化グラフェン複合体層は、約29〜31原子%のOを含む。いくつかの実施形態では、架橋酸化グラフェン層は、約67〜70原子%のCを含む。
【0100】
架橋シリカナノ粒子層。
複数の濾過層があるいくつかの膜では、少なくとも1つの層がシリカ複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、架橋シリカナノ粒子層は、シリカナノ粒子およびポリビニルアルコール複合体、すなわちSNP−PVA複合体を含む。いくつかの実施形態では、シリカ複合体は、シリカナノ粒子とポリビニルアルコールとを含む混合物を反応させることにより形成され、シリカナノ粒子とポリビニルアルコールとの間に共有結合が形成され得る。
【0101】
ポリビニルアルコールポリマー
いくつかの実施形態では、シリカ複合体中のPVAの分子量は、約100〜1,000,000ダルトン(Da)、約10,000〜500,000Da、約10,000〜50,000Da、約50,000〜100,000Da、約70,000〜120,000Da、約80,000〜130,000Da、約90,000〜140,000Da、約90,000〜100,000Da、約95,000〜100,000Da、約98,000Da、またはこれらの値のいずれかで拘束された範囲の任意の分子量であってもよい。
【0102】
シリカナノ粒子。
いくつかの実施形態では、シリカナノ粒子層中のシリカナノ粒子は、約5〜1,000nm、約6〜500nm、約7〜100nm、約1〜20nm、約5〜15nmの範囲の平均サイズ、またはこれらの値のいずれかで拘束されたまたはこれらの間の範囲のサイズを規定し得る。一連のナノ粒子の平均サイズは、平均体積を得て、次いで同じ体積で置き換えた同等の球体に関連した直径を決定し、平均サイズを得ることによって、決定できる。いくつかの実施形態では、シリカナノ粒子に対するPVAの質量比は、約1〜20(20mgのPVAと1mgのシリカナノ粒子とを含む混合物は20の質量比を有する)、約1〜10、約1〜5、約2〜4、約3、約3〜5、約5〜10、約10〜20、またはこれらの値のいずれかで拘束された範囲の任意の質量比であってもよい。
【0103】
A. 添加剤。
シリカ複合体は、添加剤をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、添加剤は、ホウ酸塩、塩化物塩、テレフタル系酸、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0104】
多孔質支持体。
多孔質支持体は、任意の適切な材料であり得、任意の適切な形態であり得、その上に、GO系複合材料の層などの層が堆積または配置され得る。いくつかの実施形態では、多孔質支持体は、中空繊維または多孔質材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、多孔質支持体は、ポリマーまたは中空繊維などの多孔質材料を含んでもよい。いくつかの多孔質支持体は、不織布を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド(PI)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、および/またはそれらの混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーはPETを含むことができる。
【0105】
脱塩層。
いくつかの膜は、例えば架橋GO複合体層などの架橋GO層上に配置される脱塩層をさらに含む。いくつかの実施形態では、脱塩層は膜に低い塩透過性を与えることができる。脱塩層は、イオン化合物または塩の通過を低減するのに適した任意の材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、除去、除外、または部分的に除外される塩は、KCl、MgCl、CaCl、NaCl、KSO、MgSO、CaSO、またはNaSOを含むことができる。いくつかの実施形態では、除去、除外、または部分的に除外される塩は、NaClを含むことができる。いくつかの脱塩層は、ポリアミドまたはポリアミドの混合物などのポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ポリアミドは、アミン(例えば、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミンなど)および塩化アシル(例えば塩化トリメソイル、塩化イソフタロイルなど)から製造されるポリアミドであることができる。いくつかの実施形態では、アミンはメタフェニレンジアミンであることができる。いくつかの実施形態では、塩化アシルは塩化トリメソイルであることができる。いくつかの実施形態では、ポリアミドは、メタフェニレンジアミンおよび塩化トリメソイルから製造することができる(例えば、メタフェニレンジアミンおよび塩化トリメソイルの重合反応による)。
【0106】
保護コーティング。
いくつかの膜は、保護コーティングをさらに含み得る。例えば、保護コーティングは、環境から保護するために膜の上部に配置することができる。保護コーティングは、環境から膜を保護するのに適した任意の組成を有していてもよい。多くのポリマー、例えば親水性ポリマーの1つまたは混合物、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリオキシエチレン(POE)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMMA)およびポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(2−オキサゾリン)、ポリエーテルスルホン(PES)、メチルセルロース(MC)、キトサン、ポリ(塩酸アリルアミン)(PAH)およびポリ(ナトリウム4−スチレンスルホネート)(PSS)、およびそれらの任意の組み合わせは、保護コーティングでの使用に適している。いくつかの実施形態では、保護コーティングはPVAを含むことができる。
【0107】
膜の製造方法。
いくつかの実施形態は、前述の膜を製造する方法を含む。いくつかの方法は、架橋GO複合体層などの架橋GO層で多孔質支持体をコーティングすることを含む。いくつかの方法は、多孔質支持体を架橋シリカナノ粒子層でコーティングする追加工程を含む。いくつかの方法は、支持体を架橋GO層でコーティングする前に、支持体をシリカ複合体層でコーティングする。いくつかの実施形態では、方法は、多孔質支持体を前処理することを場合により含む。いくつかの実施形態では、方法は、脱塩層を塗布することをさらに含むことができる。いくつかの方法はまた、結果として生じるアセンブリに脱塩層を塗布し、その後、結果として生じるアセンブリをさらに硬化させることも含む。いくつかの方法では、アセンブリ上に保護層を配置することもできる。前述の膜を製造する可能な実施形態の例を図9に示す。
【0108】
任意の前処理。
いくつかの実施形態では、多孔質支持体は、シリカ複合体または架橋酸化グラフェン複合体層などの複合体層の多孔質支持体への接着を助けるために、場合により前処理することができる。いくつかの実施形態では、前処理は、多孔質支持体に塗布され、次いで乾燥されることができる。いくつかの前処理では、ドーパミンおよびポリビニルアルコールから処理が選択できる。いくつかの溶液では、水溶液は、約0.01重量%、約0.02、約0.05重量%、約0.1重量%のPVAを含むことができる。いくつかの実施形態では、前処理された支持体は、25℃、50℃、65℃、75℃、または90℃の温度で、2分、10分、30分、1時間、または支持体が乾燥するまで乾燥できる。
【0109】
架橋シリカナノ粒子コーティング。
いくつかの実施形態では、多孔質支持体を架橋シリカナノ粒子層でコーティングすることは、以下を含む:(a)シリカナノ粒子およびポリビニルアルコールを混合して水性混合物を得ること、(b)混合物を多孔質支持体に塗布して、コーティングされた基材を得ること;(c)必要に応じて工程(b)を繰り返し、所望の厚さを達成すること;および(d)コーティングされた支持体を硬化させること。
【0110】
いくつかの実施形態では、シリカナノ粒子およびポリビニルアルコールを混合して水性混合物を得ることが、適切な量のシリカナノ粒子およびポリビニルアルコールを水に溶解することにより達成できる。いくつかの方法は、少なくとも2つの別々の水性混合物、例えば、シリカナノ粒子系混合物およびポリビニルアルコール系混合物を混合し、次いで混合物の適切な質量比を一緒に混合して所望の結果を達成することを含む。他の方法は、適切な質量のシリカナノ粒子とポリビニルアルコールとを単一の水性混合物に溶解することを含む。いくつかの実施形態では、混合物は、溶質の均一な溶解を確実にするのに十分な温度および時間で撹拌できる。結果は、シリカナノ粒子コーティング混合物である。
【0111】
いくつかの実施形態では、シリカナノ粒子およびポリビニルアルコールを混合することは、溶解したシリカナノ粒子およびポリビニルアルコールに添加剤混合物を添加することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、添加剤混合物はまた水溶液に溶解することもできる。いくつかの実施形態では、添加剤混合物は、塩化物塩、ホウ酸塩、および2,5−ジヒドロキシテレフタル酸からなる群から選択される添加剤を含むことができ、これらはすべて本明細書の他の箇所に記載されている。
【0112】
いくつかの実施形態では、シリカナノ粒子混合物を多孔質支持体に塗布することは、所望の厚さの層を作成するための当該技術分野で知られている方法によって行うことができる。いくつかの実施形態では、基材へのコーティング混合物の塗布は、最初に基材をコーティング混合物に真空浸漬し、次いで所望のコーティング厚さが達成できるまで基材を横断して負の圧力勾配を適用することにより、基材上に溶液を引き込むことにより達成できる。いくつかの実施形態では、コーティング混合物を基材に塗布することは、ブレードコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ダイコーティング、またはスピンコーティングによって達成することができる。いくつかの実施形態では、この方法は、コーティング混合物の各塗布後に基材を脱イオン水で穏やかにすすぎ、過剰の遊離材料を除去することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、所望の厚さの複合体層が作成されるように行われる。膜の所望の厚さは、例えば、約5〜2000nm、約5〜1000nm、約1000〜2000nm、約10〜500nm、約500〜1000nm、約50〜300nm、約10〜200nm、約10〜100nm、約10〜50nm、約20〜50nm、または約50〜500nmであることができる。いくつかの実施形態では、層の数は、1〜250、1〜100、1〜50、1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5の範囲であることができる。このプロセスにより、基材が完全にコーティングされる。結果は、シリカナノ粒子でコーティングされた支持体である。
【0113】
いくつかの方法では、シリカナノ粒子でコーティングされた支持体の硬化は、多孔質支持体上に堆積した水性混合物の部分間の架橋を促進するのに十分な温度および時間で行うことができる。いくつかの実施形態では、コーティングされた支持体は、約80〜200℃、約90〜170℃、または約90〜150℃の温度で加熱することができる。いくつかの実施形態では、基材は、約1分〜約5時間、約15分〜約3時間、または約30分の持続時間の加熱にさらされることができ;温度を上げると必要な時間が短くなる。いくつかの実施形態では、基材は約90〜150℃で約1分〜約5時間加熱することができる。その結果は硬化膜である。
【0114】
架橋GO層コーティング。
いくつかの方法では、多孔質支持体を架橋GO層でコーティングすることは、以下を含むことができる:(a)酸化グラフェン材料、架橋剤、および任意の添加剤混合物を水溶液に混合して、水性混合物を作成すること; (b)多孔質支持体に混合物を塗布して、コーティングされた基材を得ること;(c)必要に応じて工程(b)を繰り返し、所望の厚さを達成すること;および(d)コーティングされた支持体を硬化させること。
【0115】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン材料、ポリビニルアルコール、および任意の添加剤の水性混合物の混合は、酸化グラフェン材料、ポリビニルアルコール、および添加剤(例えば、ホウ酸塩、塩化カルシウム、テレフタル系酸、またはシリカナノ粒子)の適切な量を水に溶解することにより達成できる。いくつかの方法は、少なくとも2つの別々の水性混合物、例えば酸化グラフェン系混合物およびポリビニルアルコールおよび添加剤系水性混合物を混合し、次いで混合物の適切な質量比を一緒に混合して所望の結果を達成することを含む。他の方法は、適切な量の酸化グラフェン材料、ポリビニルアルコール、および単一溶液内に分散した添加剤を溶解することにより、1つの水性混合物を作成することを含む。いくつかの実施形態では、混合物は、溶質の均一な溶解を確実にするのに十分な温度および時間で撹拌できる。その結果は、架橋したGOコーティング混合物である。
【0116】
いくつかの方法では、コーティング混合物の成分の予備反応を促進するために、コーティング混合物をおよそ室温で約30分〜約12時間静置する追加の工程を存在させることができる。いくつかの実施形態では、コーティング混合物の静置は、約1時間〜約6時間行われることができる。いくつかの実施形態では、コーティング混合物の静置は約3時間行われることができる。最終的な架橋層を促進するために、コーティング溶液を静置すると、酸化グラフェンおよび架橋剤が共有結合を開始できると考えられる。その結果は、架橋したGOコーティング混合物である。
【0117】
いくつかの実施形態では、混合物を多孔質支持体に塗布することは、所望の厚さの層を作成するための当該技術分野で知られている方法によって行うことができる。いくつかの実施形態では、基材へのコーティング混合物の塗布は、最初に基材をコーティング混合物に真空浸漬し、次いで所望のコーティング厚さが達成できるまで基材を横断して負の圧力勾配を適用することにより、基材上に溶液を引き込むことにより達成できる。いくつかの実施形態では、コーティング混合物を基材に塗布することは、ブレードコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ダイコーティング、またはスピンコーティングによって達成することができる。いくつかの実施形態では、この方法は、コーティング混合物の各塗布後に基材を脱イオン水で穏やかにすすぎ、過剰の遊離材料を除去することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、所望の厚さの複合体層が作成されるように行われる。膜の所望の厚さは、例えば、約5〜2000nm、約5〜1000nm、約1000〜2000nm、約10〜500nm、約500〜1000nm、約50〜300nm、約10〜200nm、約10〜100nm、約10〜50nm、約20〜50nm、または約50〜500nmまたは任意のそれらの組み合わせの範囲であることができる。いくつかの実施形態では、層の数は、1〜250、1〜100、1〜50、1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5の範囲であることができる。このプロセスにより、基材が完全にコーティングされる。その結果は、コーティングされた支持体である。
【0118】
いくつかの方法では、コーティングされた支持体の硬化は、多孔質支持体上に堆積した水性混合物の部分間の架橋を促進するのに十分な温度と時間で行うことができる。いくつかの実施形態では、コーティングされた支持体は、約50〜200℃、約90〜170℃、または約70〜150℃の温度で加熱することができる。いくつかの実施形態では、基材は、約1分〜約5時間、約15分〜約3時間、または約30分の持続時間の加熱にさらされることができ;温度を上げると必要な時間が短くなる。いくつかの実施形態では、基材は約70〜150℃で約30分間加熱されることができる。その結果は硬化膜である。
【0119】
脱塩層の塗布。
いくつかの実施形態では、膜を製造する方法は、脱塩層を膜または硬化膜に塗布して、脱塩層を有する膜を生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、脱塩層は、硬化膜を混合溶媒中の前駆体の溶液に浸漬することにより塗布することができる。いくつかの実施形態では、前駆体はアミンおよび塩化アシルを含むことができる。いくつかの実施形態では、前駆体は、メタフェニレンジアミンおよび塩化トリメソイルを含むことができる。いくつかの実施形態では、メタフェニレンジアミンの濃度は、約0.01〜10重量%、約0.1〜5重量%、約5〜10重量%、約1〜5重量%、約2〜4重量%、約4重量%、約2重量%または約3重量%の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、塩化トリメソイル濃度は、約0.001体積%〜約1体積%、約0.01〜1体積%、約0.1〜0.5体積%、約0.1〜0.3体積%、約0.2〜0.3体積%、約0.1〜0.2体積%、または約0.14体積%の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、メタフェニレンジアミンおよび塩化トリメソイルの混合物は、浸漬が起こる前に重合が起こり得るように十分な時間静置させることができる。いくつかの実施形態では、この方法は、混合物を室温で約1〜6時間、約5時間、約2時間、または約3時間静置させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、硬化膜をコーティング混合物に約15秒〜約15分間;約5秒〜約5分、約10秒〜約10分、約5〜15分、約10〜15分、約5〜10分、または約10〜15秒浸漬することを含む。
【0120】
他の実施形態では、脱塩層は、水性メタフェニレンジアミンの別々の溶液および有機溶媒中の塩化トリメソイルの溶液で硬化膜をコーティングすることにより塗布することができる。いくつかの実施形態では、メタフェニレンジアミン溶液は、約0.01〜10重量%、約0.1〜5重量%、約5〜10重量%、約1〜5重量%、約2〜4重量%、約4重量%、約2重量%、または約3重量%の範囲の濃度を有することができる。いくつかの実施形態では、塩化トリメソイル溶液は、約0.001〜1体積%、約0.01〜1体積%、約0.1〜0.5体積%、約0.1〜0.3体積%、約0.2〜0.3体積%、約0.1〜0.2体積%、または約0.14体積%の範囲の濃度を有することができる。いくつかの実施形態では、この方法は、硬化した膜を水性メタフェニレンジアミンに約1秒〜約30分、約15秒〜約15分間;または約10秒〜約10分間浸漬することを含む。いくつかの実施形態では、次いでこの方法は、硬化膜から過剰のメタフェニレンジアミンを除去することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、次いで、硬化膜を塩化トリメソイル溶液に約30秒〜約10分、約45秒〜約2.5分、または約1分間浸漬することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、続いて結果として得られるアセンブリをオーブンで乾燥させて、脱塩層を有する膜を生成することを含む。いくつかの実施形態では、硬化膜は、約45℃〜約200℃で約5分〜約20分間、約75℃〜約120℃で約5分〜約15分間、または約90℃で約10分間乾燥させることができる。このプロセスにより、脱塩層を有する膜が得られる。
【0121】
保護コーティングの塗布。
いくつかの実施形態では、膜を製造する方法は、続いて膜上に保護コーティングを塗布することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、保護コーティングを塗布することは、親水性ポリマー層を追加することを含む。いくつかの実施形態では、保護コーティングを塗布することは、膜をPVA水溶液でコーティングすることを含む。保護層の塗布は、ブレードコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、スピンコーティングなどの方法で達成できる。いくつかの実施形態では、保護層の塗布は、保護コーティング溶液に膜を約1分〜約10分、約1〜5分、約5分、または約2分間浸漬コーティングすることにより達成できる。いくつかの実施形態では、この方法は、約75℃〜約120℃で約5分〜約15分間、または約90℃で約10分間膜を乾燥させることをさらに含む。その結果は、保護コーティングを有する膜である。
【0122】
水または溶質含有量を制御する方法。
いくつかの実施形態では、汚染物質の除去または脱塩などの用途のために、溶解した溶質を含む未処理の水溶液から液体の水を抽出する方法が記載される。いくつかの実施形態では、未処理溶液から溶質を除去する方法は、未処理溶液を前述の膜の1つ以上にさらすことを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、未処理溶液を膜に通過させることをさらに含み、それにより溶質は保持される一方で水は通過することを可能にし、それにより、得られる水の溶質含有量を低減する。いくつかの実施形態では、溶質を含む未処理の水を膜に通すことは、膜を横断して圧力勾配を適用して達成することができる。圧力勾配の適用は、膜を横断して上部圧力を生成する手段を供給することによって行うことができる。いくつかの実施形態では、上部圧力は、浸透背圧を克服するのに十分であることができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、膜を横断する圧力勾配の提供は、第1の溜部で正圧を生成するか、または第2の溜部で負圧を生成するか、第1の溜部で正圧を生成し、第2の溜部で負圧を生成することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、ピストン、ポンプ、重力降下、および/または水撃ポンプを使用することにより、第1の溜部で正圧を生成する手段を達成することができる。いくつかの実施形態では、第2の溜部で負圧を生成する手段は、真空を適用するか、または第2の溜部から流体を引き出すことにより達成することができる。
【0124】
以下の実施形態が具体的に考えられる。
(実施形態1)
多孔質支持体、および
前記多孔質支持体と物理的に連通した架橋酸化グラフェン複合体層
を含む、水透過性膜であって、
ここで前記架橋酸化グラフェン複合体層は、酸化グラフェンおよび架橋剤を含む混合物を反応させることによって形成され、
ここで前記架橋剤は、
【化26】
またはそれらの塩
(式中、破線は共有結合の有無を示し、
、R、R2a、RおよびRは独立して、H、OH、NH、CH、COH、−CO−C2n+1またはSOHであるが、ただしOH、NHおよびSOHはN、Oまたは−OCH−に直接結合せず、
はH、CHまたはCであり、
、R、RおよびRは、独立して−(CH−、−CHCHO(CH−、フェニル、−フェニル−CH−または−フェニル−CHO(CH−であり、および
nおよびmはそれぞれ独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
kは0または1である。)
を含む、水透過性膜。
(実施形態2)
多孔質支持体、
前記多孔質支持体と物理的に連通したシリカ複合体を含む中間濾過層であって、前記シリカ複合体が、シリカナノ粒子およびポリビニルアルコールを含む混合物を反応させることによって形成される中間濾過層、および
前記中間濾過層と物理的に連通した架橋酸化グラフェン複合体層
を含む、水透過性膜であって、
ここで前記架橋酸化グラフェン複合体層は、酸化グラフェンおよび架橋剤を含む混合物を反応させることによって形成され、
ここで前記架橋剤は、
【化27】
またはそれらの塩
(式中、破線は共有結合の有無を示し、
、R、R2a、RおよびRは独立して、H、OH、NH、CH、COH、−CO−C2n+1またはSOHであるが、ただしOH、NHおよびSOHはN、Oまたは−OCH−に直接結合せず、
はH、CHまたはCであり、
、R、RおよびRは、独立して−(CH−、−CHCHO(CH−、フェニル、−フェニル−CH−または−フェニル−CHO(CH−であり、
nおよびmはそれぞれ独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
kは0または1である。)
を含む、水透過性膜。
(実施形態3)
前記架橋剤が、
【化28】
を含む、実施形態1または2に記載の膜。
(実施形態4)
ポリビニルアルコールとシリカナノ粒子との質量比が約1〜約5である、実施形態2または3に記載の膜。
(実施形態5)
前記シリカナノ粒子の平均サイズが1nm〜20nmである、実施形態2、3または4に記載の膜。
(実施形態6)
前記多孔質支持体が不織布である、実施形態1、2、3、4または5に記載の膜。
(実施形態7)
前記多孔質支持体が、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、またはポリエーテルスルホンを含む、実施形態6に記載の膜。
(実施形態8)
酸化グラフェンGOに対する架橋剤の重量比が約1〜約30である、実施形態1、2、3、4、5、6または7に記載の膜。
(実施形態9)
酸化グラフェン化合物が、酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、官能化された酸化グラフェン、または官能化および還元された酸化グラフェンである、実施形態1、2、3、4、5、6、7または8に記載の膜。
(実施形態10)
前記酸化グラフェン化合物が酸化グラフェンである、実施形態9に記載の膜。
(実施形態11)
膜の塩透過性を低下させるのに有効な脱塩層をさらに含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の膜。
(実施形態12)
前記脱塩層が、前記膜を通るNaClの透過性を低下させるのに有効である、実施形態11に記載の膜。
(実施形態13)
前記脱塩層が、前記架橋酸化グラフェン複合体層の上部に配置されている、実施形態11または12に記載の膜。
(実施形態14)
前記脱塩層が、メタフェニレンジアミンと塩化トリメソイルとを反応させることにより調製されたポリアミドを含む、実施形態11、12または13に記載の膜。
(実施形態15)
前記膜が50nm〜500nmの厚さを有する、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14に記載の膜。
(実施形態16)
基材に塗布されたコーティング混合物を硬化させることを含む、水透過性膜を製造する方法であって、ここで前記硬化は、50℃〜150℃の温度で1分〜5時間行われ、ここで前記コーティング混合物は、場合により置換されている酸化グラフェンおよび架橋剤を含む水溶液を含み、これが30分〜12時間静置されてコーティング混合物を作成する、方法。
(実施形態17)
前記コーティング混合物が、所望の厚さまたは層の数を達成するのに必要な回数だけ前記基材に塗布されている、実施形態16に記載の方法。
(実施形態18)
前記コーティング混合物が、50℃〜120℃の温度で15分〜2時間硬化される、実施形態16または17に記載の方法。
(実施形態19)
前記基材を前記コーティング混合物に浸漬し、次いで所望のコーティング厚さが達成されるまで、前記基材を横断する負の圧力勾配の適用により前記基材に前記コーティング混合物を引き込むことを含む方法により、前記コーティング混合物が前記基材に塗布されている、実施形態16、17または18に記載の方法。
(実施形態20)
前記コーティング混合物が、ブレードコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、またはスピンコーティングを含む方法によって前記基材に塗布されている、実施形態16、17または18に記載の方法。
(実施形態21)
前記コーティング混合物を塗布する前に、架橋SiOナノ粒子複合体が前記基材に塗布されており、ここで前記架橋SiOナノ粒子複合体が、
(1)ポリビニルアルコールおよびシリカナノ粒子の単一の混合水溶液を基材に塗布すること、(2)必要に応じて工程1を繰り返して所望の厚さまたは層数を達成すること、および
(3)前記コーティングされた基材を90℃〜150℃の温度で1分〜5時間硬化させること
を含む方法により塗布されている、実施形態16、17、18、19または20に記載の方法。
(実施形態22)
前記膜を脱塩層でコーティングし、45℃〜200℃で5分〜20分間硬化させることをさらに含む、実施形態16、17、18、19、20または21に記載の方法。
(実施形態23)
未処理溶液を実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の膜にさらすことを含む、未処理溶液から溶質を除去する方法。
(実施形態24)
前記未処理溶液が前記膜を通過する、実施形態23に記載の方法。
(実施形態25)
前記膜を横断して圧力勾配を適用することにより、前記未処理の溶液が前記膜を通過する、実施形態24に記載の方法。
【実施例】
【0125】
本明細書に記載される選択透過性膜の実施形態は、他の選択透過性膜と比較して改善された性能を有することが発見された。これらの利点は、以下の実施例によってさらに示され、これは本開示を例示することを意図しているが、決して範囲または基礎となる原理を限定することを意図しない。
【0126】
実施例1.1.1:酸化グラフェン分散液の調製
GO溶液の調製:GOは、改良ハマーズ法を用いてグラファイトから調製した。グラファイトフレーク(2.0g、Sigma Aldrich,St.Louis,MO,USA、100メッシュ)は、NaNO(2.0g、Aldrich)、KMnO(10g、Aldrich)、および濃HSO(96mL、98 %、Aldrich)の混合物において50℃で15時間酸化した。得られたペースト状混合物を400gの氷に注ぎ、続いて30mLの過酸化水素(30%、Aldrich)を添加した。次いで、得られた溶液を室温で2時間撹拌して二酸化マンガンを還元し、次いで濾紙で濾過し、DI水で洗浄した。固体を収集し、次いで撹拌しながらDI水に分散させ、6300rpmで40分間遠心分離し、水層をデカントした。次いで残った固体をDI水に再び分散させ、洗浄プロセスを4回繰り返した。次いで、精製されたGOを、超音波処理(10Wの出力)下で2.5時間DI水中に分散させて、GO−1としてGO分散液(0.4重量%)を得た。
実施例1.1.2:架橋剤化合物CLC−3.1の合成
【化29】
【0127】
4,4’−ジアミノ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジオール(CLC−1)の調製:エタノール(50mL、Aldrich)中の3−ニトロフェノール(6.95g、0.05mol、Aldrich)の混合物に、NaOH水溶液(25mL、12M、Aldrich)、および亜鉛粉末(13g、0.2mol、Aldrich)を窒素雰囲気(Airgas,San Marcos,CA,USA)下で添加した。得られた混合物を10時間撹拌した後、濾過した。濾液を酢酸(Aldrich)によってpH4に酸性化し、沈殿物が形成された。固体を濾過により収集し、水で中性になるまで洗浄し、真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500,Thermo Fisher Scientific Waltham,MA USA)を用いて60℃、2torrで真空乾燥して所望の生成物(3.8g、収率70%)、すなわちCLC−3.1を得た。この化合物はLCMSにより特徴付けられた:C1213(M+H)についての計算値:217.1;実測値217。H NMR(DMSO):δ8.9(bs,4H),6.77(bs,2H),6.15(bs,4H)ppm。
実施例1.1.3:架橋剤化合物CLC−3.2の合成
【化30】
【0128】
ジメチル4,4’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボキシレート(IC−1)の調製:無水ジメチルホルムアミド(DMF)(50mL、Aldrich)中のメチル2−ブロモ−5−メトキシベンゾエート(10g、46.8mmol、Aldrich)、および新たに活性化された銅粉末(12g、189mmol、Aldrich)の混合物をアルゴン雰囲気下(Airgas)で160℃で16時間加熱した。次に、反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(300mL、Aldrich)に注いだ。沈殿物を濾過した後、有機沈殿物を水およびブラインで洗浄し、NaSO(Aldrich)で乾燥し、シリカゲル(Aldrich)に充填し、次いでヘキサン/ジクロロメタン(100%から50%、Aldrich)の溶出液を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィで精製した。所望の画分を収集し、真空オーブン(Thermo Scientific Precision6500,Thermo Fisher Scientific,MA USA)にて60℃、2torrで乾燥して溶媒を除去すると、淡黄色のオイル(4.7g、収率70%)、すなわちIC−1が得られた。H NMR(CDCl)δ7.50(d,J=2.4Hz,2H),7.13(d,J=8.3Hz,2H),7.07(dd,J=2.4および8.3Hz,2H),3.89(s,6H),3.64(2,6H)。
【化31】
【0129】
4,4’−ジヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボン酸(IC−2)の調製:無水ジクロロメタン(60mL、Aldrich)中のジメチル4,4’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボキシレート(4.7g、14.2mmol)、すなわちIC−1の溶液に、ジクロロメタン(60mL、1M、60mmol)(Aldrich)中のBBr溶液を、温度を調整するために液体二酸化炭素(Airgas)の蒸発を使用して−78℃で添加した。次いで溶液全体を−78℃で撹拌し続け、次いで一晩かけてゆっくりと室温まで加温した。次いで、得られた混合物を氷水混合物(200mL)に注ぎ、次いで酢酸エチル(3×300mL、Aldrich)で3回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSO(Aldrich)で乾燥させ、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(Aldrich)で再沈殿させて、白色固体(3.8g、収率98%)、すなわちIC−2を得た。H NMR(DMSO)δ12.20(s,2H),9.56(s,2H),7.20(d,J=2.0Hz,2H),6.90(d,J=8.3Hz,2H),6.86(dd,J=2.0および8.3Hz,2H)。LCMS:C14(M−H)についての計算値:273.0;実測値:273。
【0130】
ナトリウム4,4’−ジヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボキシレート(CLC−3.2)の調製:30mLのメタノール(Aldrich)中の4,4’−ジヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジカルボン酸(3.8g、14mmol)、すなわちIC−2の溶液に、NaOH水溶液(1.12g、10mL水に28mmol、Aldrich)を添加した。混合物全体を30分間撹拌した後、真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500,Thermo Fisher)を使用して60℃、2torrで溶媒を除去し、白色固体(4.45g、収率100%)、すなわちCLC−3.2を得た。H NMR (DO)δ 7.14(d,J=8.4Hz,2H),6.91(d,J=2.6Hz,2H),6.82(dd,J=2.6Hzおよび8.4Hz,2H)。
実施例1.1.4:架橋剤化合物CLC−4.1の合成
【化32】
【0131】
ナトリウム4−(4−(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェノキシ)ブタン−1−スルホネート(CLC−4.1)の調製:撹拌量のtert−ブタノール(90mL、Aldrich)に、室温で、4,4’,4’’−(エタン−1,1,1−トリル)トリフェノール(5g、16mmol、Aldrich)、続いてナトリウムtert−ブトキシド(1.57g、16mmol、Aldrich)を添加した。次いで混合物を110℃で15分間撹拌した。続いて、1,4−ブタンスルトン(1.67mL、16mmol、Aldrich)を混合物に添加し、反応物を一晩放置した。約16時間後、反応物を次いで冷却した。溶液にヘキサン(200mL、Aldrich)を添加し、溶液を30分間撹拌した。次いで収集した沈殿物を新しいヘキサン溶液(約500mL、Aldrich)中で30分間再び洗浄した。次いで、収集した沈殿物をイソプロパノール(400mL、Aldrich)に入れた後、2時間撹拌した。最終工程で溶液にヘキサン(400mL、Aldrich)を添加し、5分間撹拌した後、沈殿物を収集した。生成物を真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500、Thermo Fisher Scientific Waltham,MA USA)にて60℃、2torrで一晩乾燥させて、白色粉末(6.25g、収率82.4%)、すなわちCLC−4.1を得た。H−NMR(DO):δ1.63(4H,m),1.77(3H,s),2.72(2H,t),3.65(2H,t),6.51(6H,t),6.76(6H,t)。
実施例1.1.5:架橋剤化合物CLC−5.1の合成
【化33】
【0132】
N−(4−ニトロフェニル)ベンゼン−1,4−ジアミン(IC−3)の調製:ベンゼン−1,4−ジアミン(5.4g、50mmol)(Aldrich)および1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(5.3mL、50mmol、Aldrich)をジメチルスルホキシド(75mL、Aldrich)に溶解し、炭酸カリウム(13.8g、100mmol、Aldrich)を添加した。次いで、反応混合物を90℃の油浴で加熱し、窒素雰囲気下(Airgas)で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ゆっくりした流れでDI水(250mL)に添加し、固体が沈殿するまで撹拌した。次いで、反応混合物を濾過し、得られた暗褐色の固体を大量のDI水で洗浄した。ヘキサン(Aldrich)中の20%〜40%の酢酸エチルで溶出されるシリカゲル(Aldrich)のフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物(6.1g、53%)、すなわちIC−3を得た。
【化34】
【0133】
4,4’−ジアミノジフェニルアミン(CLC−5.1)の調製:エタノール(200mL、Aldrich)中のN−(4−ニトロフェニル)ベンゼン−1,4−ジアミン(2.0g、8.7mmol)、すなわちIC−3、パラジウム炭素(0.5g、5%、Aldrich)の混合物を30psiで一晩水素化した。触媒を濾別した後、溶液を濃縮し、次いでジクロロメタン/ヘキサンで再沈殿させて、固体(1.15g、収率66%)、すなわちCLC−5.1を得た。LCMSにより確認:C1214についての計算値(M+H):200.1;実測値:200。
実施例1.1.6:架橋剤化合物CLC−5.2の合成
【化35】
【0134】
3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール(IC−4)の調製:酢酸/無水酢酸(20mL/30mL、Aldrich)中のCu(NO・3HO(Aldrich)の懸濁液を室温で1.5時間撹拌し、次いで、混合物に、9H−カルバゾール(4.18g、25mmol、Aldrich)を15℃の冷水浴で少しずつ添加した。混合物を撹拌し続けながら、混合物を30分間かけて室温まで加温し、次いでその後90℃で30分間加熱した。室温に冷却した後、混合物を水(250mL)に注ぎ、得られた沈殿物を濾過し、水で洗浄し、真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500,Thermo Fisher Scientific Waltham,MA USA)にて60℃、2torrで乾燥した。得られた固体をアセトン(Aldrich)に再溶解し、シリカゲル(Aldrich)に充填し、次いでヘキサン/ジクロロメタン(3:2〜1:3、Aldrich)の溶出液を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィで精製した。所望の画分を収集し、濃縮し、メタノール(Aldrich)で沈殿させて、黄色の固体(1.9g、収率30%)、すなわちIC−4を得た。LCMSで確認:C12(M−H)についての計算値:256.0;実測値:256。
【化36】
【0135】
ナトリウム3−(3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール−9−イル)プロパン−1−スルホネート(IC−5)の調製:無水DMF(20mL、Aldrich)中の3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール(0.74g、2.9mmol)、すなわちIC−4の懸濁液に、ナトリウムt−ブトキシド(0.285g、3mmol、Aldrich)を添加し、溶液はすぐに赤色になった。得られた溶液に、1,3−プロパンスルトン(0.44g、3.6mmol、Aldrich)を添加し、次いで溶液全体を80℃で2.5時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をイソプロパノール(300mL、Aldrich)に注いで黄色の沈殿物を得、これを濾過して乾燥し、生成物(1.05g、収率90%)、すなわちIC−5を得た。LCMSにより確認:C1512NaOSについての計算値:401.0;実測値:401。
【化37】
【0136】
ナトリウム3−(3,6−ジアミノ−9H−カルバゾール−9−イル)プロパン−1−スルホネート(CLC−5.2)の調製:水/メタノール(20mL/100mL、Aldrich)中のナトリウム3−(3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール−9−イル)プロパン−1−スルホネート(1.0g、2.5mmol)、すなわちIC−5、パラジウム炭素(5%、0.5g、Aldrich)の混合物を30psiで5時間水素化した。触媒を濾別した後、溶液を5mLに濃縮し、次いでイソプロパノール(50mL、Aldrich)に注いだ。次いで、得られた懸濁液をジエチルエーテル(200mL、Aldrich)に注いで白色沈殿物を得、これを濾過により収集し、所望の生成物(0.8g、収率92%)すなわちCLC−5.2として空気中で乾燥させた。LCMSにより確認:C1516S(M−Na)についての計算値:318.1;実測値:318。
実施例1.1.6:架橋剤化合物CLC−5.3の合成
【化38】
【0137】
N1,N3−ビス(4−ニトロフェニル)ベンゼン−1,3−ジアミン(IC−6)の調製:無水ジメチルスルホキシド(DMSO)(80mL、Aldrich)中の4−フルオロ−1−ニトロベンゼン(10.6mL、100mmol、Aldrich)、メタフェニレンジアミン(5.4g、50mmol、Aldrich)および炭酸カリウム(16.6g、120mmol、Aldrich)の混合物を105℃に20時間加熱した。得られた混合物を水(250mL)にゆっくり注ぎ入れ、次いでジクロロメタン(500mL、Aldrich)で抽出した。有機物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、次いでジクロロメタン/ヘキサン(1:10〜3:2、Aldrich)の溶出液を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィのためにシリカゲル(Aldrich)に充填した。所望の画分を収集し、濃縮してオレンジ色の固体(4.8g、収率27%)、IC−6を得た。LCMSにより確認した:C1814についての計算値:350.1;実測値:350。
【化39】
【0138】
N1,N1’−(1,3−フェニレン)ビス(ベンゼン−1,4−ジアミン)(CLC−5.3)の調製:水/エタノール(40mL/80mL、Aldrich)中のN1,N3−ビス(4−ニトロフェニル)ベンゼン−1,3−ジアミンの懸濁液(2.0g)、すなわちIC−6、パラジウム炭素(0.75g、5%、Aldrich)の懸濁液を30psiで16時間水素化した。触媒を濾別した後、溶液を濃縮し、イソプロパノール(100mL、Aldrich)に注いだ。濾過後に固体を収集し、真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500,Thermo Fisher)を使用して60℃、2torrで真空乾燥して、1.0gの生成物(収率60%)、すなわちCLC−5.3を得た。LCMSで確認:C1819についての計算値(M+H):291;実測値:291。
実施例1.1.7:架橋剤化合物CLC−5.4の合成
【化40】
【0139】
3−((4−ニトロフェニル)(3−((4−ニトロフェニル)アミノ)フェニル)−アミノ)プロパン−1−スルホネート(IC−7)の調製:無水ジメチルスルホキシド(DMSO)(10mL)(Aldrich)中のN1,N3−ビス(4−ニトロフェニル)ベンゼン−1,3−ジアミン(1.0g、2.86mmol)、すなわちIC−6、KCO(0.414g、3mmol)(Aldrich)の混合物に、 1,3−プロパンスルトン(0.732g、6mmol)(Aldrich)を添加した。次いで、混合物全体を2日間80℃に加熱した。室温に冷却した後、次いで混合物をイソプロパノール(200mL)(Aldrich)に注いだ。次いで、得られたオレンジ色の沈殿物を濾過し、次いで真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500,Thermo Fisher)にて60℃、2torrで3時間乾燥して、固体(1.4g、収率96%)、すなわちIC−7を得た。LCMSにより確認:C2119KNS(M)についての計算値:510.1;実測値:510。
【化41】
【0140】
カリウム3−((4−アミノフェニル)(3−((4−アミノフェニル)アミノ)フェニル)−アミノ)プロパン−1−スルホネート(CLC−5.4)の調製:水/エタノール(40mL/80mL)(Aldrich)中のカリウム3((4−ニトロフェニル)(3−((4−ニトロフェニル)アミノ)フェニル)アミノ)プロパン−1−スルホネート(1.4g)、すなわちIC−7、パラジウム炭素(5%、0.75g)(Aldrich)の懸濁液を30psiで16時間水素化した。触媒を濾別した後、溶液を濃縮し、イソプロパノール(100mL)(Aldrich)に注いだ。濾過後に固体を収集し、真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500,Thermo Fisher)を使用して60℃、2torrで真空乾燥して、0.5gの生成物(収率41%)すなわちCLC−5.4を得た。LCMSで確認:C2125S(M+H)についての計算値:413;実測値:413。
実施例1.1.8:架橋剤化合物CLC−5.5の合成(予測)
【化42】
【0141】
カリウム3,3’−(1,3−フェニレンビス((4−ニトロフェニル)アザンジイル))ビス−(プロパン−1−スルホネート)(IC−8)の調製:無水ジメチルスルホキシド(DSMO)(10mL、Aldrich)中のN1,N3−ビス(4−ニトロフェニル)ベンゼン−1,3−ジアミン(1.0g、2.86mmol)、すなわちIC−6、KCO(0.414g、3mmol、Aldrich)の混合物に、1,3−プロパンスルトン(1.464g、12mmol、Aldrich)を添加した。次いで、混合物全体を2日間80℃に加熱した。室温に冷却した後、混合物をイソプロパノール(200mL、Aldrich)に注ぐことができる。次いで、得られた沈殿物を濾過し、次いで真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500,Thermo Fisher)にて60℃、2torrで3時間乾燥して、固体、すなわちIC−8を得る。
【化43】
【0142】
カリウム3,3’−(1,3−フェニレンビス((4−アミノフェニル)アザンジイル))ビス−(プロパン−1−スルホネート)(CLC−5.5)の調製:水/エタノール(40mL/80mL、Aldrich)中のカリウム3−((4−ニトロフェニル)(3−((4−ニトロフェニル)アミノ)フェニル)アミノ)プロパン−1−スルホネート(1.83g)、すなわちIC−8、パラジウム炭素(0.75g、5%、Aldrich)の懸濁液は、30psiで16時間水素化できる。触媒を濾別した後、溶液を濃縮し、イソプロパノール(100mL、Aldrich)に注ぐことができる。次いで濾過後に固体を収集し、真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500,Thermo Fisher)を使用して60℃、2torrで真空乾燥して、生成物、すなわちCLC−5.5を得る。
実施例1.1.9:架橋剤化合物CLC−6.1の合成
【化44】
【0143】
ナトリウム4−(2−(3−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ビス((2−ヒドロキシエトキシ)−メチル)プロポキシ)エトキシ)ブタン−1−スルホネート(CLC−6.1)の調製:室温でtert−ブタノール(100mL、Aldrich)を撹拌しながら、ペンタエリスリトールエトキシレート(7g、22.4mmol、Aldrich 416150、M=270avg、3/4EO/OH、Aldrich)、続いてナトリウムtert−ブトキシド(2.15g、22.4mmol、Aldrich)を添加した。撹拌を続けながら、次いで混合物を110℃に70分間加熱した。続いて、1,4−ブタンスルトン(2.29mL、22.4mmol、Aldrich)を混合物に添加し、反応物を一晩撹拌した。17時間の反応後、過剰の溶液をデカントした。次いで沈殿物をヘキサン(Aldrich)で洗浄した。沈殿物を次いでメタノール(125mL、Aldrich)に溶解し、50℃の浴中で真空乾燥して粘稠な透明ワックス、すなわちCLC−6.1(8.77g、収率73%)を得た。H−NMR(DO):δ1.7−1.8(4H,m),2.90(2H,t),3.3(8H,s),3.4−3.7(21H,m)。
実施例1.1.10:架橋剤化合物CLC−6.2の合成
【化45】
【0144】
ジメチル4,4’−((2,2−ビス((4−(メトキシカルボニル)フェノキシ)メチル)−プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))ジベンゾエート(CLC−6.2)の調製:N,N’−ジメチルホルムアミド(100mL)(Aldrich)を室温で撹拌しながら、ペンタエリスリトールテトラブロミド(6g、15.5mmol、Aldrich)を添加し、続いてメチル4−ヒドロキシベンゾエート(9.42g、61.9mmol、Aldrich)、次いで最後に炭酸カリウム(27.80g、201.5mmol、Aldrich)を添加した。次いで、得られた混合物を150℃に加熱し、反応物を一晩撹拌した。約22時間後、次いで反応物を室温まで冷却し、フラスコの内容物をDI水(1000mL)に注ぎ、酢酸エチル(800mL、Aldrich)で抽出した。有機層を収集し、減圧下で回転蒸発(回転蒸発)させた(R−215、Buchi Corp.New Castle,DE USA)。次いで、得られた生成物を、ヘキサン(Aldrich)から酢酸エチル(Aldrich)の勾配を使用してカラムクロマトグラフィを実行することによって濃縮し、生成物を溶出して白色粉末、すなわちCLC−6.2(7.19g、収率69%)を得た。H−NMR(TCE):δ3.8(12H,s),4.4(8H,s),6.9(8H,d),7.9(8H,d)。
実施例1.1.11:架橋剤化合物CLC−6.3の合成
【化46】
【0145】
二水素(((2,2−ビス((4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)メチル)−プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))ビス(4,1−フェニレン))ジメタノレート(CLC−6.3)の調製:無水テトラヒドロフラン50mLの溶液を撹拌し、0℃の氷浴で冷却した。次いで、ジメチル4,4’−((2,2−ビス((4−(メトキシカルボニル)フェノキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))ジベンゾエート(6.5g、9.7mmol)、すなわちCLC−6.2を添加した。次に、0℃に冷却したLiAlH(ジエチルエーテル中1M、58mL、58.2mmol、Aldrich)を滴下した。次いで溶液を室温まで加温し、次いで4時間撹拌した。次いで、得られた溶液を冷水(1000mL)に注いだ。次に、中和するまでHCl(1M、Aldrich)を添加した。次いで、溶液を酢酸エチル(800mL、Aldrich)で抽出した。得られた溶液を、酢酸エチル(Aldrich)およびメタノール(Aldrich)の勾配を使用してカラムクロマトグラフィを行うことにより精製して、白色粉末、すなわちCLC−6.3(3.44g、収率63.5%)を得た。H−NMR(DMSO):δ4.25(8H,s),4.39(8H,s),5.04(4H,s),6.91(8H,d),7.21(8H,d).
実施例1.1.11:架橋剤化合物CLC−6.4の合成
【化47】
【0146】
ナトリウム4−((4−(3−(4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)−2,2−ビス((4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)メチル)プロポキシ)ベンジル)オキシ)ブタン−1−スルホネート(CLC−6.4)の調製:室温で撹拌量のtert−ブタノール(60mL、Aldrich)に二水素(((2,2−ビス((4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ)メチル)−プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))ビス−(4,1−フェニレン))−ジメタノレート、すなわちCLC−6.3を添加し、続いてナトリウムtert−ブトキシド(566mg、5.89mmol、Aldrich)を添加した。撹拌を続けながら、次いで混合物を110℃に40分間加熱した。続いて、1,4−ブタンスルトン(0.60mL、5.89mmol、Aldrich)を添加し、追加のtert−ブタノール(75mL、Aldrich)およびN,N’−ジメチルホルムアミド(20mL、Aldrich)を反応混合物に添加した後、反応物を一晩撹拌した。24時間後、ヘキサン(400mL、Aldrich)を添加することにより、生成物が沈殿物に形成された。次いで、得られた溶液を15分間撹拌し、次いで濾過した。次いで、収集した沈殿物をヘキサン(100mL、Aldrich)に戻した。さらに15分後、次いで沈殿物を再び濾過した。次いで沈殿物を次いでヘキサン(100mL、Aldrich)およびイソプロパノール(30mL、Aldrich)の混合物に添加した。15分後、次いで沈殿物を濾過し、2torrの真空オーブン(Thermo Scientific Precision 6500、Thermo Fisher Scientific Waltham,MA USA)にて60℃で4時間乾燥して、白色粉末すなわちCLC−6.4を得た(3.25g、収率76.8%)。H−NMR(DMSO):δ1.56(4H,m),2.50(2H,m),4.25−4.38(16H,m),5.06(2H,s),6.93(8H,d),7.20(8H,d)。
【0147】
実施例2.1.1:膜の調製−支持体の前処理
支持体の取得:多孔質基材は、種々の供給源および材料:PET(Hydranautics,San Diego,CA USA)、PET2(Hydranautics)およびポリアミド(ナイロン)(0.1μm孔,Aldrich)からの多孔質支持体であるものが得られた。表1および表2に示す実施形態に対応する選択された基材は、直径7.6cmに切り揃えられた。基材がPVA含有層と物理的に連通する実施形態では、基材はPVAで前処理された。他に特定されない限り、他のすべての実施形態について、基材はドーパミンで前処理された。
【0148】
PVA基材の前処理:直径7.6cmの基材を、DI水溶液中の0.05重量%のPVA(Aldrich)に浸漬した。次いで、基材をオーブン(DX400、Yamato Scientific Co.,Ltd.Tokyo,Japan)で65℃で乾燥させて、前処理された基材を得た。
【0149】
ドーパミンの基材前処理:直径7.6cmの基材をドーパミン溶液(2g/Lのドーパミン(Aldrich)および1.3g/LのTrizma塩基緩衝液(Aldrich)にpH8.5で浸漬コーティングした。ドーパミンを重合させて、基材上にポリドーパミンを形成した。次いで、ポリドーパミンコーティングされた基材をオーブン(DX400、Yamato Scientific Co.,Ltd.Tokyo,Japan)にて65℃で乾燥させた。結果は前処理された基材であった。
【表1】
【表2】
【0150】
実施例2.1.2:膜の調製−架橋GOコーティング混合物の調製
架橋GOコーティング混合物を作成する手順は、使用する架橋剤の種類によって異なる。PVAを除くすべての架橋剤には、硬化前にGOと架橋剤との予備反応を確実にするための静置工程がある。
【0151】
GO−PVAコーティング混合物の調製:適切な量のPVA(Aldrich)をDI水に溶解して、10mLのPVA溶液(2.5重量%)(CLC−1)を調製した。次いで、表1の質量比を達成するために適切な量ですべての溶液GO−1(1mL)とPVA−1とを、10mLのDI水と組み合わせて6分間超音波処理して、均一な混合を確実にして、架橋GOコーティング溶液を作成した。
【0152】
非PVA架橋剤GOコーティング混合物の調製:最初にGO分散液GC−1をDI水で希釈して、0.1重量%GO水溶液を作成した。第二に、適切な量の架橋剤(例えば、CLC−1、CLC−2.1など)をDI水に溶解することにより、架橋剤の0.1重量%水溶液を作成した。CLC−2.1およびCLC−2.2の場合、メタフェニレンジアミン(Aldrich)および3,5−ジアミノ安息香酸(COOHを有するMPD)(Aldrich)の両方が市販されていた。次いで、実施形態のコーティング混合物は、0.1重量%のCLC−1および0.1重量%のGOの水溶液を適切な重量比で混合して、表1の質量比を達成することにより作成された。次いで、得られた溶液を約3時間、または名目上GOおよびアミンが予備反応するまで静置した。その結果は、架橋GOコーティング溶液であった。
【0153】
実施例2.1.3:膜の調製−架橋Siナノ粒子コーティング混合物の調製
適切な量のPVA(CLC−1)(Aldrich)をDI水に溶解して、10mLのPVA溶液(2.5重量%)を調製した。同様に、10mLのSiナノ粒子溶液(2.5重量%)は、DI水に適切な量のSiO(5〜15nm、Aldrich)を溶解することによって調製した。次いで、溶液GO−1(1mL)とPVA−1とを適切な量で組み合わせて表2の質量比を達成し、さらに10mLのDI水と組み合わせて6分間超音波処理して、均一な混合を確実にして、架橋SiOナノ粒子コーティング溶液を作成した。
【0154】
実施例2.1.1:膜の調製#1−架橋されたSiOナノ粒子層または脱塩層のない膜
濾過による架橋GO混合物の塗布:塗布方法が濾過によるものである表1で特定される実施形態では、架橋GOコーティング溶液を重力下で前処理された基材を通して濾過し、所望厚さのコーティング層が支持体上に堆積するように基材を通して溶液を引き込んだ。次いで、得られた膜を、特定の温度で特定の時間オーブン(DX400、Yamato Scientific)に入れて、架橋を促進した。このプロセスにより、架橋SiOナノ粒子層も脱塩層もいずれも有していない膜が生成された。
【0155】
浸漬コーティングによる架橋GO混合物の塗布:塗布方法が浸漬コーティングによるものである表1で特定される実施形態の場合、前処理された基材は、次いでコーティング混合物に基材を浸漬コーティングすることにより、架橋GOコーティング混合物でコーティングされる。次に、基材をDI水で完全にすすぎ、余分な粒子を取り除く。前述のプロセスを繰り返して、基材をコーティング混合物に浸漬し、次いで、所定のサイクル数の間、DI水ですすいで、所望の層数またはコーティング層の厚さを調製することができる。次いで、得られた膜を特定の温度で特定の時間オーブン(DX400、Yamato Scientific)に保持し、特定の時間、さらなる架橋を促進する。次いでその結果、架橋SiOナノ粒子層も脱塩層もいずれもない膜が得られる。
【0156】
実施例2.1.2:膜の調製#2−架橋SiOナノ粒子層を有するが、脱塩層を有さない膜
濾過による架橋SiOナノ粒子混合物の塗布:表2に示す実施形態では、架橋SiO2ナノ粒子コーティング溶液を重力下で前処理した基材を通して濾過し、所望の厚さのコーティング層が支持体上に堆積されるように、基材を介して溶液を引き込んだ。次いで、得られた膜を90℃のオーブン(DX400、Yamato Scientific)に30分間入れて、架橋を促進した。このプロセスにより、コーティングされた基材が生成された。
【0157】
濾過による架橋GO混合物の塗布:表2に示す実施形態では、架橋GOコーティング溶液を重力下でコーティングした基材を通して濾過し、所望の厚さのコーティング層が支持体上に堆積されるように、基材を介して溶液を引き込んだ。次いで、得られた膜を、特定の温度で特定の時間オーブン(DX400、Yamato Scientific)に入れて、架橋を促進した。このプロセスにより、架橋SiOナノ粒子層を有するが、脱塩層は有していない膜を生成した。
【0158】
実施例2.2.1:脱塩層の膜への追加
膜の脱塩能力を高めるために、SiOナノ粒子層を有していないものについては表3に、SiOナノ粒子層を有するものについては表4に示す選択した実施形態に、ポリアミド脱塩層を追加でコーティングした。DI水で適切な量のMPD(Aldrich)を希釈することにより、3.0重量%のMPD水溶液を調製した。0.14体積%の塩化トリメソイル溶液は、適切な量の塩化トリメソイル(Aldrich)をイソパラフィン(isoparrifin)溶媒(Isopar E & G,Exxon Mobil Chemical,Houston TX,USA)で希釈することにより作成した。次いで、GO−MPDコーティングされた膜を、基材に応じて10秒〜10分間、3.0重量%のMPD(Aldrich)の水溶液に浸漬し、次いで除去した。次いで、膜上に残っている過剰な溶液を風乾により除去した。次いで、膜を0.14体積%の塩化トリメソイル溶液に10秒間浸漬し、除去した。次いで、得られたアセンブリをオーブン(DX400、Yamato Scientific)で120℃、3分間乾燥させた。このプロセスにより、脱塩層を有する膜が得られた。
【表3】
【表4】
【0159】
実施例2.2.2:保護コーティングを有する膜の調製
表4に示すように、選択した膜を保護層でコーティングした。MD−4.1.41.2.1の場合、すべての顆粒が溶解するまで90℃で20分間、1LのDI水で15gのPVA(Aldrich)を撹拌することにより、1.5重量%のPVA溶液を調製した。次いで溶液を室温まで冷却した。基材を溶液に10分間含浸し、次いで除去した。次いで、膜に残っている余分な溶液をペーパーワイプで除去した。得られたアセンブリを90℃のオーブン(DX400、Yamato Scientific)で30分間乾燥させた。したがって、保護コーティングを有する膜を得ることができる。同様に、それに応じてPVAの濃度を変えることにより、同様の膜をコーティングした。
【0160】
比較例2.1.1:比較膜の調製
比較例2.1.1に関して、比較膜(CMD)、CMD−1.1〜CMD−1.2は、ポリスルホン膜(PSF)(Sterlitech Corporation,Kent,WA,USA)およびポリプロポリエン(polypropolyene)(PP)濾過膜(Celgard LLC,Charlotte,North Carolina,USA)のストック基材構成要素によって作成された。CMD−1.3の場合、PP膜をPVA/水溶液(Aldrich)に10分間含浸し、90℃のオーブン(DX400、Yamato Scientific)で約30分間膜を乾燥させることにより、PVA/PP膜を作成した。
【0161】
比較膜CMD−2.1.1からCMD−2.2.2も、表5に概要を示す例外を除き、SiOナノ粒子層を有していない膜について、実施例2.1.1から実施例2.2.1と同様の方法を使用して作成された。
【表5】
【0162】
実施例3.1:膜の特性評価
XPS分析:膜MD−1.1.31.1.1およびMD−1.1.41.1.1をX線光電子分光法(XPS)で分析して、原子スペクトルの相対分布を決定した。XPSの手順は、当業者に知られている手順と同様である。表6に示すXPS分析は、GOとの架橋剤のアミン基の架橋、およびエポキシドの還元時の酸素の部分的な還元により、GO−MPD膜の窒素の増加を示す。
【表6】
【0163】
実施例4.1:選択された膜の性能試験
機械的強度試験:様々な多孔質基材にコーティングされたGO系膜の水流束は、非常に高いか、または現在の逆浸透膜で広く使用されている多孔質ポリスルホン基材に匹敵すると予想される。
【0164】
機械的強度の能力を試験するために、図10に示す装置と同様の実験装置に膜を配置して、膜を試験する計画である。次いで、試験装置に固定されると、膜はゲージ圧50psiで未処理の流体にさらされることができる。膜を通る水流束を様々な時間間隔で記録して、経時的な流束を確認できる。水流束は、15分、60分、120分、および180分(可能な場合)の間隔で記録するように計画される。
【0165】
収集されたデータから、GO−PVA系膜は十分な流束を提供しながら逆浸透圧に耐えることができることが示された。
【0166】
脱水特性−水蒸気透過性試験:膜の水蒸気透過性を試験した。ガス漏洩については、空気を模倣するために窒素が選択された。
【0167】
装置のサンプル図を図11に示す。使用した試験装置は、両側にそれぞれ固有の入口および出口を持つ2つのプレナムを形成するクロスフロー試験セル(CF016A、Sterlitech)で構成された。測定対象の膜を45mm×45mmの試験チャンバに入れ、試験セルの2つの半分の間に挟持し、外郭を合わせたときに2つの密閉されたプレナムを作成し、各プレナムは膜を通してのみ流体連通する。次いで、各プレナム内の流体の流れが向流構成になるように、入口と出口とを選択した。湿潤側である一方の側に、湿潤Nガスが装置に送られ、次いで膜サンプルを透過する一部の水蒸気とガスとともに排出された。乾燥側の第2の側には、スイープガスまたは乾燥Nガスが装置に送られ、次いで膜から湿潤ガスが同伴されてベントされた。湿度および温度は、湿度/温度トランスミッタ(RHXL3SD,Omega Engineering,Inc.,Stamford,CT,USA)を使用して、3つの位置:湿潤Nガス側のインプットおよびアウトプット、および乾燥したNガス側のアウトプットで測定された。さらに、2つのエアフローセンサ(FLR1204−D,Omega)によって、湿潤側および乾燥側の両方で流量も測定した。さらに、2つのデジタル圧力計(Media Gauge MGA−30−A−9V−R,SSI Technologies,Inc.,Janesville,WI,USA)により、湿潤側と乾燥側との両方でガス圧を測定した。
【0168】
測定のために、選択した膜をこの装置に配置し、湿潤側の入口を約80%〜約90%の相対湿度に設定した。乾燥側の入口の相対湿度は0%であった。湿潤ガス流の上流圧力は、0.13psigに設定された。乾燥ガス流の上流圧力は、0.03psigに設定された。計器から、測定された温度および湿度を使用して、3つの測定ステーション(湿潤Nガス側のインプットおよびアウトプット、および乾燥Nガス側のアウトプット)での水蒸気圧および絶対湿度を導出した。次いで、水蒸気透過率は、絶対湿度差、流量および膜の曝露面積から導出された。最後に、水蒸気透過性は、水蒸気透過率と2つのプレナム間の水蒸気圧差から導出された。窒素流量は、乾燥Nアウトプットおよび湿潤Nインプット、ならびに水蒸気透過率から導出された。
【0169】
脱水特性−窒素漏洩試験:膜のガス漏洩を試験した。ガス漏洩については、空気を模倣するために窒素が選択された。これらの試験では、乾燥N空気入口が閉じられ、乾燥N出口が大気にベントされる代わりに、膜を通る流れの漏洩を測定するために通常試験セル(20cc〜6LPM Sensidyne)または低フロー試験セル(1cc/分〜250cc/分、Sensidyne)を備えた流量測定器(D800286 Gilibrator−2 Standard Air Flow Calibrator;Sensidyne,St.Petersburg,FL,USA)にベントされたことを除いて、水蒸気透過性試験と同じ試験装置が使用された。約1cc/分以下のN流量の場合、0.5mLの手動気泡流量計(#23771、Aldrich)を使用したが、これは、約0.03cc/分〜約5cc/分の範囲を有し、前述の流量測定器の代わりに漏洩率を決定する。
【0170】
測定のために、選択した膜をこの装置に配置し、湿潤側の入口を約80%〜約90%の相対湿度に設定した。乾燥側の入口を閉じて、流量測定機器の上流部分を密閉し、膜を通して漏洩したガスのみが流量測定機器に行くようにした。湿潤ガス流の上流圧力を0.13psigに設定し、膜を通るNの漏洩を測定した。
【表7】
【0171】
水流束および脱塩試験:多孔質基材上のGO系膜コーティングの水流束は非常に高く、現在の逆浸透膜で広く使用されている多孔質ポリスルホン基材に匹敵する。
【0172】
脱塩能力を試験するために、逆浸透膜を図10に開示されているものと同様の試験セルで試験し、225psiで1500ppmのNaCl溶液に膜をさらすことにより、塩を除去し、適切な水流束を保持する膜の能力を確認した。膜が約120分後に定常状態に達した後、脱塩と水流束とを記録した。表8に示すように、膜は高い脱NaCl塩および良好な水流束を示した。
【表8】
【0173】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される成分の量、特性、例えば分子量、反応条件などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め手法を適用して解釈するべきである。したがって、反対に示されない限り、数値パラメータは、達成されることが求められる所望の特性に従って変更されてもよく、したがって、本開示の一部と見なされるべきである。少なくとも、本明細書に示される例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を制限する試みとしてではない。
【0174】
本開示の実施形態を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「a」、「an」、「the」、および類似の指示対象は、本明細書で別段の指示がない限りまたは文脈による明確な否定がない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限りまたは文脈による明確な否定がない限り、任意の適切な順序で実行され得る。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「例えば(such as)」)の使用は、単に本開示の実施形態をよりよく例示することを目的とし、いずれの請求項の範囲も限定するものではない。本明細書中のいかなる言語も、本開示の実施形態の実施に必須のあらゆる請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0175】
本明細書に開示された代替の要素または実施形態の分類は、限定として解釈されるべきではない。各群の構成員は、個々に、またはその群の他の構成員または本明細書中に見出される他の要素との任意の組み合わせで言及および特許請求され得る。便宜上および/または特許性の理由から、群の1つ以上の構成員が群に含まれ得るか、または群から削除され得ると予想される。
【0176】
実施形態を実施するために本発明者らが知っている最良の形態を含む、特定の実施形態が本明細書に記載されている。当然のことながら、これらの記載された実施形態に対する変形形態は、前述の説明を読むと当業者には明らかになる。本発明者は、当業者がそのような変形形態を適切に使用することを予想しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されているものとは別の方法で本開示の実施形態を実施することを意図している。したがって、特許請求の範囲は、適用法によって許容されるように、特許請求の範囲に列挙された主題のすべての変更形態および均等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形形態における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限りまたは文脈による明確な否定がない限り、想定される。
【0177】
最後に、本明細書に開示された実施形態は特許請求の範囲の原理の例示であることが理解されるべきである。使用され得る他の変更は特許請求の範囲内にある。したがって、限定ではなく例として、本明細書の教示に従って代替の実施形態を利用し得る。したがって、特許請求の範囲は、示され説明された正にその通りの実施形態に限定されない。
図1
図2
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図10
図11