(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程の後であって前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備える、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程は、約1μL/分から約20μL/分の流量で前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることを含む、請求項1から14の何れか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図面および以下の説明から明らかになるように、本開示は、被検物質がサンプル中に存在することを検出するのに使用されるサンプル処理システム(または本開示全体において、「システム」とも称する)に関する。一実施形態において、
図3のシステム300として示されるこのシステムは、(1)検査サンプル中のバイオマーカを検出するためのサンプル調製マイクロ流体チャネルおよび少なくとも1つの検知デバイス(またはセンサ)を有するサンプル処理システムまたは「カートリッジアセンブリ」、(2)データ処理・表示装置、または、カートリッジアセンブリの検知デバイスの検出データを処理するプロセッサもしくはコントローラを含む「カートリッジ読み取り機」および検出イベント表示用ディスプレイ、を備える。これら2つの構成要素によりシステムが構成されている。一実施形態では、これらの構成要素は変更可能な特徴を含んでもよく、例えば、1つ以上の試薬カートリッジ、廃棄物用カートリッジおよび空気圧流量コントローラのような流量制御系統を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0056】
一般に、被検物質、バイオマーカ等の検出をアセンブリによって行い、カートリッジ読み取り機を介して出力するために、カートリッジアセンブリでサンプルを準備するプロセスは次のように行われる。患者から採取した未加工のサンプルをカードに装填し、必要に応じてフィルタ膜でろ過した後、カード外部の空気力学によって生成された負圧によりサンプルをろ過して、分離した検査サンプル(血漿など)を得る。この分離された検査サンプルは、チャネル構造によってカード上で定量化される。サンプルはセンサ/検知デバイス上に流される前に、混合材料源(例えば、ブリスターパック、保管室、カートリッジ、ウェルなど)から供給された混合材料(例えば、試薬(乾燥試薬または含水試薬)、緩衝液および/または洗浄緩衝液、ビーズおよび/またはビーズ溶液等)との相互作用によりカード上で調製される。サンプル調製チャネルは、複数の患者サンプルを使用可能とすべく任意の数のチャネルをカード内に垂直方向に積み重ねるように設計してもよい。同様な構成をマイクロ流体装置の検出にも適用でき、複数のマイクロ流体装置を垂直方向に積み重ねてもよい。カートリッジアセンブリの一部であるサンプル調製カードは、ろ過、加熱、冷却、混合、希釈、試薬の添加、クロマトグラフィー分離およびこれらの組み合わせから選択される機能を提供する1つまたは複数の構造と、サンプルをサンプル調製カード中で移動させる手段とを備える。これらの機能に関する詳細は、以下で説明する。
【0057】
図1は、一実施形態に係るシステム300(
図3参照)で使用されるカートリッジ読み取り機100の一例を示している。カートリッジ読み取り機100は、例えば、ハンドヘルドモバイル機器として使用できる程度に小型および/またはコンパクトになるように構成され得る。カートリッジ読み取り機100は、ディスプレイ120を有する本体またはハウジング110と、カートリッジアセンブリを受容するためのカートリッジ受け部130とを備える。ハウジング110は、読み取り機100がオペレータ操作者の手に保持された時により快適になるように、人間工学に基づいた設計を有してもよい。しかしながら、ハウジング110の形状および設計は特に限定されることを意図していない。
【0058】
カートリッジ読み取り機100は、例えば、カートリッジアセンブリ200を当該読み取り機および/またはサンプルを入力および/または接続するようにユーザに促すのに使用されるインターフェース140およびディスプレイ120を備えてもよい一実施形態によれば、システム300は、開示されるカートリッジアセンブリ200と組み合わせて、センサ(GMR)技術を利用して、検査サンプル中の複数の検出バイオマーカ、例えば、5つの心臓バイオマーカ等、に関する処理、検出、分析および結果のレポートの生成を行い、1つのプロセスの一部として更にバイオマーカの結果を表示してもよい。
【0059】
ディスプレイ120は、例えば、操作者またはユーザに情報を表示するように構成される。ディスプレイ120は、ハウジング110上に一体化して設けられる(例えば、ハプティックまたは触覚フィードバック付き)ディスプレイ画面またはタッチ画面、例えば、LCD画面もしくはLED画面または他のフラットパネルディスプレイの形態で提供されてもよい。そして(必要に応じて)操作者がコマンドや設定を読み取り機100に入力するのに使用可能なエンドユーザーインターフェース(UI)140として機能するように設計された入力面を提供する。ディスプレイ120の大きさは様々であってもよい。より具体的には、一実施形態では、ディスプレイ120は、エンドユーザーインターフェースの一部としてシステム300のコマンドおよび/または設定を入力するためのキー、ボタン、メニューおよび/またはキーボード機能を備えたコントロールパネルを表示するように構成されてもよい。一実施形態では、制御パネルは、機能キー、開始ボタンおよび停止ボタン、戻るボタンまたは入力ボタン、および、設定ボタンを含む。これに加えて、および/またはこれに代えて、
図1には示されていないが、カートリッジ読み取り機100は、一実施形態において、これらに限定されないが、ボタンおよびキーボードを含む任意の数の物理入力デバイスを含み得る。別の実施形態では、カートリッジ読み取り機100は、別のデバイスを介して入力を受信してもよく、例えば、直接接続もしくは有線接続(例えば、プラグアンドコードを使用してコンピュータ(PCまたはCPU)またはプロセッサに接続)または無線接続を介して受信してもよい。更に別の実施形態では、ディスプレイ120とは、一体化された画面を意味する、外部表示システム、または、その両方を意味するものであってもよい。表示制御ユニット120を介して、(例えば、
図3を参照して説明するカートリッジリーダ310からの)検査結果を、一体化されている表示部または外部ディスプレイに表示することができる。更に別の実施形態では、ユーザーインターフェース140は、ディスプレイ120とは別個に設けられてもよい。例えば、ディスプレイ120にタッチスクリーンUIが使用されない場合、他の入力装置(例えば、リモコン、キーボード、マウス、ボタン、ジョイスティック等)がユーザーインターフェース140として利用されて、カートリッジ読み取り機100および/またはシステム300に関連付けられてもよい。したがって、カートリッジ読み取り機100への入力に使用される装置および/または方法は、特に限定されない。一実施形態では、カートリッジ読み取り機100および/またはシステム300の全ての機能は、ディスプレイ120および/または入力デバイスを介して管理されてもよく、機能としては以下を含むがこれらに限定されない:処理方法の開始(例えば、開始ボタンを介して)、分析および/もしくはカートリッジアセンブリ200の設定の選択および/もしくは変更、空気圧に関する選択および/もしくは設定、入力を促すプロンプトの確認、検査サンプルの処理方法のステップの表示、ならびに/または、(例えば、ディスプレイ120および/もしくはユーザーい140を介して)(GMR)センサおよび制御ユニット/カートリッジリーダにより計算された検査結果および値の表示。ディスプレイ120は、サンプル中の被検物質の検出に関する情報を視覚的に表示してもよい。ディスプレイ120は、制御ユニット/カートリッジリーダにより生成された検査結果を表示するように構成されてもよい。一実施形態では、カートリッジリーダ/コントローラによって決定/処理された検査結果に関するリアルタイムフィードバックが(検出対象の被検物質またはバイオマーカの結果として決定される測定値を検知デバイスから受信することにより)、ディスプレイ120に表示される。
【0060】
必要に応じて、音声出力を提供するべく、カートリッジ読み取り機100の一部としてスピーカ(図示せず)を設けてもよい。これらに限定されないが、音声やアラームを含む任意の複数の音を出力してもよい。カートリッジ読み取り機100は、これに加えてまたは代えて、任意の数のコネクタ、例えば、LANコネクタおよびUSBコネクタならびに/またはそれに関連付られた他の入力/出力デバイスを備えてもよい。取外し可能なストレージもしくはドライブまたは別のシステムを含む入力デバイスおよび/または出力デバイスをカートリッジ読み取り機100に接続するために、これらLANコネクタおよび/またはUSBコネクタを使用してもよい。
【0061】
一実施形態では、カートリッジ受け部130は、カートリッジアセンブリ(例えば、
図2のカートリッジアセンブリ200)が挿入され得るハウジング110内の(
図1に示されるような)開口部であってもよい。別の実施形態では、カートリッジ受け部130は、その中にカートリッジアセンブリを受容するように構成されたトレイを含んでもよい。そのようなトレイは、ハウジング110に対して、例えば、ハウジングに設けられた開口部から出し入れするように構成され、それによってカートリッジアセンブリ200を受容し、カートリッジアセンブリをハウジング110へと収容するまたは取り出すようにしてもよい。一実施形態では、トレイは、ハウジング110に対して解放可能に係合するように構成されたバネ式トレイであってもよい。カートリッジ読み取り機100に関連する更なる詳細は、
図3を参照して後述する。
【0062】
前述のように、カートリッジアセンブリ200は、カートリッジ読み取り機100に挿入されるように設計され、そこでサンプル(例えば、血液、尿)が調製、処理、分析されるようになっている。
図2A〜
図2Cは、本明細書の実施形態に係るカートリッジアセンブリ200の例示的な実施形態を示す。開示されるカートリッジアセンブリ200に関連するいくつかの一般的な特徴は、これらの図を参照して説明される。しかし、後でより詳細に説明するように、複数の異なるタイプのカートリッジカード、すなわちカートリッジアセンブリを、カートリッジ読み取り機100で使用して、システム300の一部として提供することも可能である。いくつかの実施形態では、サンプリング処理システムまたはカートリッジアセンブリ200は、別個の複数の検査を実施するための使い捨てアセンブリの形態を取り得る。すなわち、本明細書の説明により更に理解されるように、検査されるサンプルおよび/または被検物質の種類に応じて、異なるカートリッジカード構成および/またはカートリッジアセンブリを使用してもよい。
図2Aは、本明細書の実施形態に係るカートリッジアセンブリ200の上面斜視図である。カートリッジアセンブリ200は、サンプル処理カード210、検知基板および通信基板202を含む(
図2Bも参照)。一般に、サンプル処理カード210は、(例えば、以下で説明する注入ポート等のサンプルポートを介して)サンプルを受け取り、サンプル処理カード210がカートリッジ読み取り機100に挿入されるとサンプルが処理され、サンプルが流れて調製されたサンプルが作成される。カード210はまた、検査サンプルを調製するのに使用されたサンプルおよび/または液体から出た廃棄物を、内部廃棄物チャンバ(
図2Aには示されていないが、以下で更に説明される)に保管してもよい。メモリチップ275には、例えば、カートリッジの用途、センサの較正および必要なサンプル処理に関する情報を読み書きすることができ、それらを保存するのに使用される。一実施形態では、メモリチップ275は、カートリッジアセンブリ200のカード210に選択的に圧力を加えるための工程および設定を含む空気圧系統プロトコルを記憶するように構成される。この場合、センサ(GMRセンサチップ280等)に送るサンプルの調製方法を実装することになる。メモリチップは分析毎の自動化レシピを含むことから、各カートリッジアセンブリ200が読み取り機100に挿入される都度、誤ったカートリッジが挿入されるのを防止するのに当該メモリチップを使用してもよい。メモリチップ275は、各カード210および/またはカートリッジアセンブリ200の製造に対するトレーサビリティ情報も含む。検知基板および通信基板202は、カートリッジ読み取り機100との通信を確立および維持し、調製されたサンプルの特徴の受け取り、処理および検出を行うように構成されてもよい。基板202は、調製されたサンプルにおいて被検物質が検出されるように、カートリッジ読み取り機100内のコントローラとの通信を確立する。サンプル処理カード210ならびに検知基板および通信基板202(例えば、
図2Bを参照)を、互いに取り付けるまたは一緒に組み合せることにより、カートリッジアセンブリ200を形成する。一実施形態では、カード210と基板202とを互いに接着するために、接着剤(例えば、
図2Dを参照)を必要に応じて使用してもよい。一実施形態では、基板202は、サンプル処理カード210に貼り付けられた積層体であってもよい。一実施形態では、基板202は、サンプル処理カード210に積層される可撓性回路として設計されてもよい。別の実施形態では、サンプル処理カード210はセラミック材料から製造され、回路、センサ(センサチップ280)および流体チャネルがそこに形成されてもよい。これに代えて、カード210および基板202は、機械的に位置合わせされて互いに接続されてもよい。一実施形態では、
図2Aに示されるように、基板202の一部が、カード210の縁部または端部から延在してもよい。
図2Bに示されるような別の実施形態では、基板202は、カード210と同様な外縁または小さい外縁を有するように配置されてもよいおよび/またはそのようなサイズに形成されてもよい。
【0063】
図2Cは、一実施形態に係るカートリッジアセンブリ200の特徴を概略的に示している。図示されるように、いくつかの特徴はサンプル処理カード210に提供され、他の特徴は基板202に関連付けられてもよい。一般に、(カードの本体内に)検査サンプル(例えば、血液、尿)を受け取るために、カートリッジアセンブリ200は、カード210の上部に設けられてもよいサンプル注入ポート215を有する。必要に応じてカード210の一部として、フィルタ220(本明細書ではろ過膜とも称される)、ベントポート225、バルブアレイ230(またはバルブアレイ領域230)、および、空気圧制御ポート235を設けてもよい。カード210のこれらの要素を流体接続するために、連通チャネル233がカード210内に提供される。空気圧制御ポート235は、カートリッジアセンブリ200の空気圧インターフェースの一部であり、カードの連通チャネル233に加圧流体(空気)を選択的に供給してチャネルおよび/またはバルブアレイ230内の流体(空気、液体、検査サンプル等)の流れを誘導する。必要に応じて、カード210は、バルブアレイ230内の複数のバルブを制御するべく、指定された連通チャネル233に接続され、別個に形成された複数のバルブ制御ポート535を備えてもよい。カード210はまた、連通チャネル233を介して流体接続される1つ以上の計量チャンバ240、ガス透過性膜245および混合チャネル250を備えてもよい。計量チャンバは、連通チャネル233を介してその中に(直接またはろ過された)少なくとも検査サンプルを受け取るように設計されている。一般に、サンプルは、ポート215を介してカートリッジアセンブリ200に注入され、フィルタ(例えば、フィルタ220)によるろ過、計量チャンバ240での計量、混合チャネル250での混合、(必要に応じて)加熱および/または冷却が行われ、連通チャネル233、空気圧制御ポート235およびバルブアレイ230を介して流量の誘導および変更が行われる。例えば、流体の流れは、空気圧系統(例えば、
図3に示すカートリッジ読み取り機100の空気圧系統330)と接続された、内部マイクロ流体チャネル(本開示においては、連通チャネル233とも称される)およびバルブ、ならびに、例えば空気圧制御ポート235または同様の接続部を有するカード210上の空気圧インターフェースを使用して制御されてもよい。一実施形態では、必要に応じて行われるカード210内の検査サンプルおよび/または混合材料/流体の加熱は、サーミスタを備えたPCB/基板202の上面に設けられたワイヤトレースの形態であり得るヒータ259によって行われてもよい。必要に応じて行われるカード210内の検査サンプルおよび/または混合材料/混合流体の冷却は、一実施形態では、カートリッジアセンブリ200(例えば、基板202上)に一体化されたTECモジュールを介して、または別の実施形態では、カートリッジ読み取り機100の内部に一体化されたモジュールを介して行われてもよい。例えば、読み取り機100に冷却モジュールが設けられている場合には、冷却が必要な時に、カートリッジアセンブリ200に冷却モジュールを押し付けるように構成してもよい。処理はまた、カード210上の任意の試薬領域260(および/またはブリスターパック)および/またはカートリッジ読み取り機100のハウジング110内の試薬カートリッジを使用して、試薬を導入する工程を必要に応じて含んでもよい。分析されるサンプルおよびカートリッジアセンブリ200のプロセスにおいて必要となる場合に、試薬を放出または混合するようにできる。更に、処理中に連通チャネル233を介して試薬、溶離剤、洗浄緩衝剤、磁性ナノ粒子、ビーズ溶液またはその他の緩衝液等の材料をサンプルに導入するために、カード210に必要に応じてブリスターパック265を設けてもよい。サンプルおよび試薬からの廃棄物を貯蔵するために、一つまたは複数の内部廃棄物チャンバ(本明細書では廃棄物貯蔵用の廃棄物タンクとも称される)270も、カード210に必要に応じて設けてもよい。以下に説明するように、出力ポート255(センサ供給ポートまたはセンサへの入力ポートとも称される)が設けられ、検査サンプル中の被検物質を検出するべく、調製されたサンプルをカード210からGMRセンサチップ280へと出力する。検査サンプルおよび1つ以上の混合材料をセンサに送達するべく、出力ポート255が計量チャンバに流体接続されてもよい。したがって、センサは、少なくとも1つの出力ポート255を介して、検査サンプルおよび1つまたは複数の混合材料を受け取るように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、GMRセンサチップ280から廃棄物チャンバ270に流体またはサンプルを出力するために、廃棄物送達ポートまたはセンサからの出力ポートとも称される、入力ポート257が設けられる。廃棄物チャンバ270は、連通チャネル233を介してカード210の他の要素(例えば、計量チャンバ240、入力ポート257またはこれらの両方)に流体的に接続されてもよい。
【0064】
カートリッジアセンブリ200は、メモリチップ275上にデータを記憶する、読み取るおよび/または書き込む能力を有し、メモリチップ275はカード210または基板202に関連付けられ得る。前述のように、メモリチップ275を使用して、カートリッジの用途、センサ較正および(サンプル処理カード内での)必要なサンプル処理に関連する情報を保存し、調製および処理済サンプルに基づく更なる情報を受信してもよい。メモリチップ275は、サンプル処理カード210上または基板200上に位置してもよい。
【0065】
前述のように、本明細書の実施形態によれば、磁気抵抗センサを利用して、本明細書で開示するシステムを使用した検査サンプル内の被検物質(バイオマーカなど)を見極めることができる。以下の説明および図面では、特定のタイプの磁気抵抗センサ、すなわち巨大磁気抵抗(GMR)センサが使用されているが、本開示はGMRセンサプラットフォームに限定されないことを理解されたい。いくつかの実施形態によれば、センサは、例えば、異方性磁気抵抗(AMR)センサおよび/または磁気トンネル接合(MTJ)センサであり得る。いくつかの実施形態では、他のタイプの磁気抵抗センサ技術を使用してもよい。説明のみを目的として、以下の記載および図では、磁気抵抗センサとしてGMRセンサを使用した場合を説明している。
【0066】
カートリッジアセンブリ200の基板202は、これらに関連付けられる巨大磁気抵抗(GMR)センサチップ280および電気接点パッド290(または電気接点部)を有し得るPCB(プリント回路基板)等の電子インターフェースおよび/または回路インターフェースであってもよい、または、これらを備えてもよい。その他の構成要素も基板202上に提供され得る。一実施形態では、GMRセンサチップ280は少なくとも基板202に取り付けられる。GMRセンサチップ280は、例えば、基板202上に配置されて接着剤を使用して取り付けられてもよい。一実施形態では、GMRセンサ280とPCB基板202との間の接着には、液体接着剤またはテープ接着剤を使用することができる。このような設計では、例えば、底部でPCBへの接合を行い、上部で処理カードの接合を行う必要がある場合もある。GMRセンサチップ280を基板202に取り付ける他の方法として、これに限定されないが、GMRセンサをPCBに摩擦嵌めし、GMRセンサチップ280の上部を直接サンプル処理カード210に接続してもよい(例えば、特に、基板202がサンプル処理カード210の(背面に)積層されるフレキシブル回路の形態で提供される場合)。GMRセンサチップ280は、サンプル処理カード210の出力ポート255から、調製されたサンプルを受け取るように設計されてもよい。この場合、基板上のGMRセンサチップ280の配置は、カード210上の出力ポート255の位置に基づいて変更または修正され得る(したがって、
図2Bに示す例に限定することを意図していない)。一実施形態では、GMRセンサチップ280は、基板202の第1の側(例えば、
図2Bに示されるようにカード210の下側に面する上側)に配置されて、例えば、カード210の下側に出力するように構成された出力ポートから調製済サンプルを受け取ってもよい。電気接点パッド290は反対側の基板の第2の側に配置される(例えば、カートリッジ読み取り機100に挿入されるように完全に組み立てられた時に、電気接点パッド290がカートリッジアセンブリ200の底面側に露出するように基板202の底側または下側に配置される)。GMRセンサチップ280は、PCB/基板202上の電子接続を介してその下側に設けられた電気接点パッド290に電気的に接続されるGMRセンサチップ280自身の接点パッド(例えば、金属ストリップまたはピン)を備えてもよい。この場合、カートリッジアセンブリ200がカートリッジ読み取り機100に挿入されると、電気接点パッド290が電子インターフェースとして機能して電気接続を確立し、カートリッジ読み取り機100内の電子機器(例えば、カートリッジリーダ310)と電気接続するように構成される。したがって、センサチップ280内のセンサは、電気接点パッド290およびGMRセンサチップ280の接点パッドを介してカートリッジ読み取り機100内の電子機器に接続される。
【0067】
図2Dは、カード210と基板202との嵌合インターフェースまたは接続インターフェースの例示的な断面図である。より具体的には、
図2Dは、一実施形態に係るカード210上の出力ポート255と基板202のGMRセンサチップ280との間のインターフェースを示している。例えば、本明細書に開示された実施形態のいずれかに係るカード210の下に隣接して配置されたPCB基板202が示されている。基板202は、カード210の底面に取り付けられてもよい。ここではマイクロ流体チャネル433(これはカード210内の多数の連通チャネルの1つ)と称されるチャネル機能を、カード210の少なくとも1つの層に有し、カード210内で処理される検査サンプルをGMRセンサ280へと向かわせる出力ポート255へと導くように設計されている。必要に応じて、カード210の層の間に接着剤を塗布してもよく、例えば、試薬ポート434Bを有するカードの層とチャネル433の層との間に接着剤434Aを塗布してもよい。基板202は、カード210のチャネル433および出力ポート255に隣接して配置されたGMRセンサチップ280を備える。
【0068】
(
図3を参照して以下で説明する磁気コイル360とは異なる磁場発生器365からの)磁場を利用して、センサの近くに位置するナノ磁性粒子を励起することができる。
【0069】
GMRセンサは、異方性磁気抵抗(AMR)センサまたはホール(Hall)センサの感度を上回る感度を有する。この特性により、ナノメートルスケールで磁性材料からの漂遊磁場を検出することができる。例えば、センサ表面に結合した磁性ナノ粒子からの漂遊磁場は、磁性層の磁化を変化させ、GMRセンサの抵抗を変化させる。したがって、単位面積あたりのGMRセンサに結合される磁性ナノ粒子数の変化は、GMRセンサの抵抗値の変化に反映され得る。
【0070】
上記のような理由から、本明細書に記載の実施形態においてカートリッジアセンブリ200で使用されるセンサは、GMRセンサチップ280である。
【0071】
図3を参照して、システムで提供される機能の概要を説明する。特に、カートリッジ読み取り機100とカートリッジアセンブリ200がどのように協働してサンプル中の被検物質を検出するシステム300を提供しているかを更に説明すべく、カートリッジ読み取り機100のいくつかの更なる特徴が概略的に示されている。図示のように、カートリッジアセンブリ200は、カートリッジ読み取り機100のハウジング110に挿入されてもよい。一般に、カートリッジ読み取り機100のハウジング110は、本明細書全体を通して「コントローラ」および/または「カートリッジリーダ」310とも呼ばれるプロセッサまたは制御ユニット310、電源320、空気圧系統330、通信ユニット340、(必要に応じて)診断ユニット350、磁場発生器360およびメモリ370(またはデータ記憶装置)、ならびに、ユーザーインターフェース140および/またはディスプレイ120を更に備えるまたは含み得る。必要に応じて、例えば、挿入されたカートリッジアセンブリ上の試薬ソースを開封するため、または、(例えば、試薬がアセンブリの特定の試薬領域に提供されていない場合)カートリッジアセンブリに試薬を導入するための試薬オープナー(例えば、
図6の穿刺装置533)を、カートリッジ読み取り機100の一部として設けてもよい。カートリッジアセンブリ200がカートリッジ読み取り機100のハウジング110に挿入され、電気系統および空気圧系統が接続されると、カートリッジアセンブリ200がカートリッジメモリチップ275を読み取る(例えば、カートリッジ読み取り機100内のカートリッジリーダ310/制御ユニットまたはPCBアセンブリによって読み取られる)。そして、カートリッジアセンブリ200のカード210に選択的に圧力を加えるためのステップと設定を含む空気圧系統プロトコルを決定し、センサ(例えば、GMRセンサチップ280)へ送達されるサンプルの調製方法を実行する。このようにアセンブリ200に配置されたサンプルに対して、前処理、処理および分析が行われる。制御ユニットまたはカートリッジリーダ310は、サンプル中の被検物質を検出するプロセスの自動化に必要な入力および出力を制御してもよい。カートリッジリーダ310は、特に、カートリッジアセンブリ200および空気圧系統330に関連する巨大磁気抵抗(GMR)センサチップ280および/またはメモリチップ275を制御するように構成されたリアルタイムコントローラであってもよく、ユーザーインターフェースからの制御も加わり、例えば、磁場発生器360の駆動、および、カートリッジアセンブリ200に関連するセンサチップおよび/またはメモリへの/からの信号の送受信を制御する。一実施形態では、カートリッジリーダ310は、追加のチップ、メモリ、デバイスを含み得るPCB(プリント回路基板)の形態で提供される。カートリッジリーダ310は、例えば、内部メモリユニット、システムオペレーションイニシャライザ、信号準備ユニット、信号処理ユニットおよび/またはデータストレージ(いずれも図示せず)と通信および/または制御するように構成されてもよい。カートリッジリーダ310は、通信ユニット340に対して信号を送受信するように構成されてもよく、それにより、(例えば、クラウドサーバとの)ネットワーク接続性およびテレメトリが確立されて、例えば、不揮発性レシピが実装されてもよい。通信ユニット340は概して、カートリッジ読み取り機100が無線または有線技術を使用してデータを送受信可能にする。内蔵電池の形態の電源320を介してまたはそれに接続された外部電源を介して(例えば、コードおよびプラグを介して)電力を受け取るコネクタの形態で、カートリッジ読み取り機100に電力を供給することができる。空気圧系統330は、サンプル処理カード210の内部およびサンプル処理カード210に沿って流体を移動および誘導することにより(例えば、空気圧接続部235を介して、チャネルにより、エラストマー製バルブへと導くべく接続することにより)カートリッジアセンブリ200に入れられたサンプル(例えば、血液、尿)を処理および調製するのに使用される。空気圧系統330は、例えば、流体と接触するプランジャおよび/またはピストンを使用可能な、流体を移動させるためのシステムおよび/またはデバイスであり得る(以下で更に説明する)。磁場発生器360は、カートリッジ読み取り機100の回路基板もしくはカートリッジアセンブリ200に設けられる1つ以上のチップ(例えば、センサチップ280)と何らかの方法で一体化されるまたは読み取り機100に取り付けられる、外部磁気コイルまたは他の磁場発生装置であり得る。磁場発生器360は、信号を読み取ると同時に、GMRセンサチップ280の近くの磁性ナノ粒子を励磁するのに使用される。幾つかの実施形態では、コイルまたはその他の磁場発生器であり得る第2の磁場発生器365は、カートリッジ読み取り機100の一部としてハウジング110内に設けられてもよい。例えば、一実施形態では、第2の磁場発生器365は磁場発生器360とは別個の異なる発生器であってもよい。この第2の磁場発生器365は、サンプルの調製および処理中に、サンプル処理カード210の一部(例えば、上部、下部、側面)に不均一な磁場を印加できるように当該磁場を生成するように構成され得る。例えば、緩衝液および/または磁気ビーズ等の混合材料を混合材料ソースから移動させる時、および、カード内の検査サンプルを移動させる時にこのような磁場が印加される。一実施形態では、第2の磁場発生器365は、カートリッジ読み取り機の反対側の端部または側面(例えば、読み取り機100のハウジング110の上部に位置する)に、すなわちGMR検知に使用される磁場発生器360から離れて設けられる。一実施形態では、第2の磁場発生器365は、磁場発生器360に対してカートリッジ読み取り機の反対側の端部に設けられる(例えば、第2の磁場発生器は読み取り機100のハウジング110の上部に配置され、磁場発生器360は読み取り機100の下端(例えば、カートリッジ受け部130の近く)に設けられる)。一実施形態では、バイオマーカ/被検物質を感知するための磁場全体は、GMRセンサチップ280の近くの磁性ナノ粒子からの外乱に加えて、(外部またはセンサチップと一体化した)磁場発生器360から印加される磁場を含む。試薬オープナは、GMRセンサチップ280のサンプル処理および読み取り中に試薬を導入するために必要に応じて使用される(例えば、試薬がカードの特定の試薬領域に含まれていない場合)。前述のように、ユーザーインターフェース140/ディスプレイ120により、オペレータは情報を入力し、プロセスを制御し、システムフィードバックを提供し、検査結果を(タッチスクリーン等の出力表示画面を介して)表示できる。
【0072】
図4は、本明細書で開示されるシステム300を使用して、サンプル中の被検物質の検出を実行するための方法400の一般的な工程を示す。ステップ410において、システムが初期化される。例えば、システムの初期化には、システム300(カートリッジ読み取り機100を含む)の電源投入、システムの設定情報の決定、計算結果の読み取り、機能(例えば、磁気コイルとキャリア信号)がオンラインであり準備完了しているかどうかの判定等が含まれる。ステップ415において、全検査サンプルがカートリッジアセンブリ200に添加または装填される(例えば、
図2Cに示すように、サンプルが注入ポート215から注入される)。ステップ410およびステップ415の順序を変更してもよい。すなわち、アセンブリ200への全検査サンプルの追加は、システムが初期化される前または後に行われてもよい。ステップ420において、カートリッジアセンブリ200がカートリッジ読み取り機100に挿入される。必要に応じて、方法400の一部として、ユーザーインターフェース/ディスプレイ120を介してカートリッジ読み取り機100および/またはシステム300にユーザ指示を入力してもよい。次に、ステップ425において、制御ユニット310を介してサンプルの処理が開始される。処理の開始は、例えば、ユーザーインターフェース/ディスプレイ120および/または読み取り機100に接続されたシステムを介して、オペレータまたはユーザによる入力を受信することを含み得る。別の実施形態では、カートリッジアセンブリ200をカートリッジ読み取り機100に挿入し、読み取り機内のカートリッジアセンブリ200の存在を検出することにより(例えば、アセンブリ200上の電気接点パッド290と制御ユニット310との電気接続、および、メモリチップ275からの命令の自動読み出しにより)、処理を自動的に開始することができる。調整済サンプルを生成するために、(例えば、メモリチップ275から取得した)空気圧制御命令を使用してステップ425においてサンプルの処理が行われる。上記で説明したように(および、以下で更に説明されるように)、サンプルの処理は、サンプルのタイプおよび/または読み取り機100に挿入されたカートリッジアセンブリ200のタイプに依存し得る。場合によっては、処理は、サンプルを調製する前に、混合、緩衝液または試薬の導入などを含む多くのステップを有する場合がある。サンプルが調製されると、調製済サンプルが、GMRセンサチップ280に供給される(例えば、空気圧系統330および制御ユニット310を介して、空気圧制御によりカード210のチャネルを通って出力ポート255に送達される)。ステップ440において、調製済サンプル中の被検物質がGMRセンサチップ280で検出される。次に、ステップ445において、GMRセンサチップ280からの信号が、例えば、カートリッジリーダ310(制御ユニット;例えば、1つ以上のプロセッサを含む)を介して受信され、処理される。信号処理により、例えば、ディスプレイ120/ユーザーインターフェースを介して検査結果をステップ450において表示することができる。ステップ455において、検査結果が保存される。例えば、検査結果は、クラウドサーバおよび/またはカートリッジアセンブリ200に搭載されたメモリチップ275に保存されてもよい。幾つかの実施形態では、流体またはサンプルは、GMRセンサチップ280から入力ポート257を通って廃棄チャンバ270へと送達されてもよい。その後、全ての検査が実行され検知デバイス/GMRセンサチップ280によって数値が読み取られた後は、カートリッジアセンブリ200はカートリッジ読み取り機100から取り出されてもよい。一実施形態において、カートリッジアセンブリの取り出しは自動的に実行されてもよく、例えば、カートリッジ読み取り機100のハウジング110内の機構がハウジング110からアセンブリ200を押し出す、またはオペレータにより(ボタンもしくは力を使用して)手動で実行されてもよい。
【0073】
一実施形態では、本明細書に記載のシステム300は、同日出願の国際特許出願No.PCT/US2019/____、「SYSTEM AND METHOD FOR GMR−BASED DETECTION OF BIOMARKERS(GMRによるバイオマーカの検出のためのシステムおよび方法」(代理人整理番号026462−0504846)に開示されているような空気圧制御系統を使用してもよく、上記の出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
一実施形態では、本明細書に記載のシステム300は、同日出願の国際特許出願No.PCT/US2019/____、「SYSTEM AND METHOD FOR SAMPLE PREPARATION IN GMR−BASED DETECTION OF BIOMARKERS(GMRによるバイオマーカの検出におけるサンプル調整のためのシステムおよび方法」(代理人整理番号026462−0504847)に開示されているようなカートリッジアセンブリを(例えば、サンプル調整およびセンサへの送達に)使用してもよく、上記の出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
一実施形態では、本明細書に記載のシステム300は、国際特許出願No.PCT/US2019/____、「SYSTEM AND METHOD FOR SENSING ANALYTES IN GMR−BASED DETECTION OF BIOMARKERS(GMRによるバイオマーカの検出における被検物質の検出システムおよび方法(代理人整理番号026462−0504850)に開示されているようにGMRセンサにおいて信号を処理してもよい。例えば、上記のように、ステップ445において、GMRセンサチップ280からの信号は、例えば、カートリッジリーダ310を介して受信され処理される。一実施形態では、カートリッジリーダ310は、メモリ読み出しユニットおよびサンプル調製制御ユニットを有するサンプル調製制御部を使用して(例えば、カートリッジアセンブリ200がカートリッジ読み取り機100に挿入されたことを示す信号を受信し、メモリチップ275に保存された情報を読みだし、空気圧制御信号を生成し、生成した信号を空気圧系統330に送信するのに使用される)、GMRセンサチップ280からの結果を処理する機能を実行するように構成される。また、代理人整理番号026462−0504850の出願で詳細に説明されているように、信号処理部は、測定信号を処理して被検物質検出の検査結果を取得することをはじめ、電気素子を制御して信号を準備および収集し、検出結果を処理、表示、保存および/または外部システムへと伝達する。読み取り機100のカートリッジリーダ310および信号プロセッサに関連する更なる特徴については、後により詳細に説明する。
【0076】
図1および
図2A〜
図2Dは、サンプル中の被検物質を検出するための本明細書に開示されるシステム300の一部であるカートリッジリーダ読み取り機100およびカートリッジアセンブリ200の代表的な特徴を示した概略図である。図は説明のみを目的としており、これに限定することを意図したものではない。
【0077】
図2Cを参照して前述したサンプル処理カード210およびカートリッジアセンブリ200の特徴の説明に戻り、カートリッジアセンブリ200内のサンプル処理カード210に提供される特徴の配列、配置、包含および数は、例えば、分析されている検査サンプルおよび/または実行されている検査(例えば、バイオマーカの検出、金属の検出等)に基づいてもよい。またいくつかの実施形態では、カード210は、カード上に幾つかの領域が存在するようにおよび/または特徴が異なる層に提供されるように配置することができる(ただし、このような層は本体と別個の層である必要はない。むしろ、深さまたは高さ(Z方向)方向において互いに対して積層される)。本明細書の実施形態において、サンプル処理カード210は、入口、チャネル、バルブ領域等を形成するべくレーザ切断された部品によって互いに挟まれ、接続/密封されることにより形成されてもよい。他の実施形態では、サンプル処理カードの一つまたは複数の層は、レーザ切断、積層、成形等がなされてもよい、または、複数のプロセスの組み合わせによって形成されてもよい。サンプル処理カード210を形成する方法は、特に限定されることを意図していない。例示を目的として、いくつかの図面においては、サンプル処理カード210の複数の部分の互いに対する位置を示す複数層の描写を含む(例えば、上および/または下に配置される他の特徴に対するカード内の位置)。このような例は、これに限定することを意図しておらず、サンプル処理カード210本体内の特徴(チャネル、バルブ等)の深さまたは配置の一例を示すために提供される。
【0078】
一般に、各カード210は、頭上または上から見た時に(Y方向に設けられた)縦方向中心線A−Aに沿った縦方向に延在する本体214を有する。一実施形態では、カード210はそれぞれ、縦方向に延在する長さ(すなわち、中心線A−Aに沿ってまたは中心線A−Aに対して)、長さに対して横方向に延在する(例えば、X方向)幅、および、Z方向または垂直方向延在する高さ(または深さまたは厚さ)によって規定される寸法を有する。非制限的な実施形態では、カード210の本体214は、実質的に長方形の構成であってもよい。一実施形態では、カートリッジ読み取り機100のカートリッジ受け部130(および/または関連するトレイ)は、カード210を読み取り機100のハウジングに挿入可能とすべく、サンプル処理カード210の寸法に対応するサイズを有する。
【0079】
本開示の添付の図面に示されている構造的特徴は、これに限定することを意図していない。例えば、セット数、バルブ、計量チャンバ、膜、混合チャネルおよび/またはポートの数は、示されているものに限定されることを意図していない。いくつかの実施形態では、より多数のチャネルが設けられてもよい。いくつかの実施形態では、より少数のチャネルが設けられてもよい。バルブの数も特に制限されない。
【0080】
カートリッジアセンブリ200およびサンプル処理カード210は、試薬および患者血液サンプルまたは医療血液サンプルと共に使用されるものとして明細書全体にわたって説明されているが、本明細書で開示されるカートリッジは、血液と共に使用されることまたは医療行為のみでの使用に限定されないことに留意されたい。分離可能および試薬または反応物質と組み合わせ可能な別の流体を、分析のために本明細書に開示されるカートリッジで使用してもよい。唾液、尿、糞便のサンプル、上皮スワブ、眼液、口等からの生検(固体および液体の両方)、都市の飲料水、水道水、下水廃棄物、海水、湖水等の水サンプルといった、他のサンプルを使用してもよい。
【0081】
検知マイクロ流体デバイスは、一つまたは複数のマイクロ流体チャネルと、一つまたは複数マイクロ流体チャネル内に配置された複数のセンサパッドとを備える。
図5Aには、いくつかの実施形態に係る例示的なチャネル500が示されている。チャネル500は構造的に蛇行しているように示されているが、幾何学的に必ずしもこれに限定されない。チャネル500は、チャネル本体520内に配置された複数のGMRセンサ510を備える。複数のGMRセンサ510を、一の被検物質を検出するように全て同一に構成して510もよく、この場合、冗長性により検出を強化することができる。これに代えて、複数のGMRセンサ510を数多くの被検物質を検出するように全て異なる構成にすることもでき、また、冗長性を持たせつつ複数の異なる構成のセンサの組み合わせにすることもできる。チャネル500は更に、任意のサンプル、試薬、ビーズ懸濁液等がチャネル本体520へと入るチャネル入口530を有する。チャネル入口530における正圧下またはチャネル出口540における真空下により、チャネル本体520を通る流れが調整される。
【0082】
図5Bには、ベース550内に配置された複数のチャネル500が示されている。チャネル500はそれぞれ、各GMRセンサ510を囲む拡張領域であるチャネル拡張部560を特徴としている(
図5A;図面を明確にするために
図5Bには示されていない)。理論に限定されるものではないが、チャネル拡張部560は、GMRセンサ上を材料が通過する際により良く混合されるための手段を提供すると仮定している。ベース550の周囲には、チャネル拡張部560に配置されたGMRセンサと残りの回路との間の導電部として機能する一対の接点パッド570が配置されている。GMRセンサ510は、配線(図示せず)を介して接点パッド570に電子的に結合されている。
【0083】
図6Aは、直線状のチャネル本体620内に複数のGMRセンサ610を備えるチャネル600の断面が示されている。このような実施形態では、材料が流れる方向はどちらの方向からでもよい。他の実施形態では、
図6Bに示すように、チャネル600は、同様の複数のGMRセンサ610を、ほぼ円形または楕円形のチャネル拡張部630においてチャネル本体620内に組み込む。更に別の実施形態では、
図6Cに示すように、チャネル600は、ほぼ正方形または長方形のチャネル拡張部630に配置された複数のGMRセンサ610を備えてもよい。図示されていないが、そのような正方形または長方形のチャネル拡張部は、正方形もしくは長方形の点または頂点ではなく辺がチャネル拡張部630の一部となるように配置することもできる。チャネル拡張部1030の他の構成が可能であり、例えば、
図6Dに示されるように、チャネル600が、三角形(または台形)形状に配置されたGMRセンサ610を有してもよい。チャネル拡張部630は任意の形状を有してもよく、所望の流れおよび混合特性ならびにGMRセンサ610上の滞留時間に応じて選択可能である。
【0084】
図6Dに示されるように、チャネル600は、蛇行経路の長さに沿って配置されたGMRセンサ610を備える蛇行形状のチャネル本体620を有してもよい。幾つかの実施形態では、そのような蛇行構造は、線形チャネル600と比較して、より多くのセンサを小さな領域に詰め込むことを可能にし得る。
図6Fに示すように、チャネル600は、蛇行構造の本体620と、GMRセンサ610が存在するチャネル拡張部630との両方を組み込むことができる。チャネル1000の必要に応じて設けられる構造的特徴が
図6Gに示されており、GMRセンサが配置されたチャネル600と、分岐を有するチャネル本体620とが示されている。幾つかのそのような実施形態では、用途に応じて、流れの方向をいずれかの方向に調整することができる。例えば、図面の左に流れる場合、材料を2つの異なる経路に分割することが可能である。これは、例えば、2つの分岐アームに沿った異なる複数のGMRセンサ610を使用することを意味し得る。チャネル本体620の幅は、分岐の前後で変化させてもよく、特定の流れ特性合わせて選択可能である。
【0085】
図7には、チャネル本体720内に、異なるGMRセンサ710aおよびGMRセンサ710bが配置されたチャネル拡張部730を組み込むチャネル700が示されている。
図7は、異なるGMRセンサ710aおよびGMRセンサ710bが交互に示されているが、必ずしもこのパターンに従う必要はない。例えば、一のタイプ複数のGMRセンサ710aを互いに隣接して配置して一まとまりとし、同様に他のタイプの複数のGMRセンサ710bを一まとまりとすることができる。
図6Gに戻り、分岐部の別れた線に沿って異なる複数のセンサが配置されてもよい。
【0086】
図8A、
図8Bおよび
図8Cは、本開示の実施形態に係るカートリッジアセンブリ200に取り付けることができるGMRセンサチップ280の構造を概略的に示している。
図8Aに示すように、GMRセンサチップ280は、チップのほぼ中央に配置された少なくとも1つのチャネル810、820および830と、チャネル内に配置された複数のGMRセンサ880と、GMRセンサチップの2つの対向端に配置された電気接点パッド840A、840Bと、電気接点パッド840A、840Bに接続された金属ワイヤ850、860、870A、870B、870C、890A、890B、890Cとを備える。
【0087】
チャネル810、820および830はそれぞれ、より多くのセンサを内部に詰め込めるように蛇行形状を有してもよい。複数のチャネル拡張部885をチャネルに沿って配置して、複数のGMRセンサを収容することができる。検査される流体は、チャネル入口815A、825A、835Aおよびチャネル出口815B、825B、835Bを介してそれぞれチャネル810、820、830に流入および流出する。
図8Aには、GMRセンサ880が8×6個のセンサアレイ状に配置され、3つのチャネル810、820、830それぞれに16個ずつのセンサが配置されているように示されている。しかしながら、検出対象物の特定の要件を満たすべく、他の組み合わせを使用可能である。
【0088】
電気接点パッド840A、840Bは、複数の電気接点ピンを備える。金属ワイヤ850、860、870A、870B、870Cは、GMRセンサを対応する電気接点ピン845A、845B、875に接続する。電気接点パッド840A、840Bは、カートリッジアセンブリ200に設けられた電気接点パッド290に接続されている。カートリッジアセンブリ200がカートリッジリーダ310に挿入されると、GMRセンサチップ280とカートリッジリーダ310との間に電気接続が形成され、GMRセンサからカートリッジリーダ310へ測定信号の送信が可能になる。
【0089】
図8Bは、GMRセンサの詳細を示している。例えば、GMRセンサはそれぞれ、並列に接続された5つのGMRストリップで構成されてもよい。一端において、GMRセンサはそれぞれ2本のメイン金属ワイヤ(ワイヤ850または860)のうちの一方によって、2つのコモンピンのうちの一方(ピン845Aまたは845B)に接続される。GMRセンサの他端は、別個の金属ワイヤ870A、870B、870Cによって、電気接点パッド840Aまたは840B上の別個のピン875に接続される。
【0090】
図8Aには、チャネルの1つにそれぞれ対応するチャネル入口および/またはチャネル出口の近くに配置された流体検出金属ワイヤ890A、890B、890Cも示されている。流体検出機能は、それぞれの流体検出金属ワイヤに配置されたスイッチ895A、895B、895Cによって実行される。
図8Cは、スイッチ895Aの構造を詳細に示している。導電性流体(例えば、プラズマ)がその上を流れたと認識されると、スイッチ895Aは一方の側のワイヤ896Aを他方の側のワイヤ896Bに結合し、流体検出信号を生成する。
【0091】
図8A〜
図8Cに示されるGMRセンサチップの構造および配線は本質的に例示に過ぎず、他の構造および配線が同じまたは同様の機能を達成するために実装可能であることは当業者には明らかであろう。
図9には、チャネル拡張部930におけるチャネル900の断面が示されている。チャネル拡張部930内にはGMRセンサ910が配置され、その上に1つまたは複数の生体分子925が固定化されている。生体分子925のGMRセンサ910への固定化は、従来の表面化学を利用して行われる(
図14に更に詳細に示されている)。生体分子925は、実施されている特定の分析の性質に応じて、ペプチドまたはタンパク質、DNA、RNA、オリゴ糖、ホルモン、抗体、糖タンパク質等であり得る。GMRセンサ910はそれぞれワイヤ995により、チャネル900の外側に位置する接点パッド970に接続されている。ある実施形態では、ワイヤ995は、センサ底部でGMRセンサ910に接続される。
【0092】
図10Aには、GMRセンサ1010の位置においてチャネル拡張部が設けられていないチャネル本体1030を有するチャネル1000のより詳細な断面が示されている。生体分子1025は、生体表面1045へ付着することによりセンサに対して固定化される。そのような生体表面固定化化学は、当技術分野で知られている。例えば、Cha他、「Immobilization of oriented protein molecules on poly(ethylene glycol)−coated Si(111) (ポリエチレングリコール被覆Si(111)上の配向タンパク質分子の固定化」プロテオミクス4:1965−1976、(2004);Zellander他、 「Characterization of Pore Structure in Biologically Functional Poly(2−hydroxyethyl methacrylate)−Poly(ethylene glycol) Diacrylate (PHEMA−PEGDA) 生物学的に機能するポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)−ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PHEMA−PEGDA)の細孔構造の特性評価」、PLOS ONE 9(5):e96709、(2014)を参照されたい。幾つかの実施形態では、生体表面1045は、PHEMAで架橋されたPEGポリマーを含む。幾つかの実施形態では、架橋基は以下の式(I)によって表される。
PA−LG−PA (I)
式中、PAは光もしくは金属で活性化または活性化された基であり、LGは連結基である。幾つかの実施形態では、PAは同じであり、他の実施形態では、それぞれのPAは異なる。幾つかの実施形態では、PAは光活性化または金属活性化されて、C−Hおよび/またはO−H挿入が可能なナイトレン(nitrene)中間体を形成する。例えば、「Photogenerated reactive intermediates and their properties(光生成反応性中間体とその特性)」、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology (生化学および分子生物学の実験室技術)第2章、Elsevier Press、12:8−24(1983)に記載されている。幾つかの実施形態において、PAは、C−Hおよび/またはO−H挿入が可能なカルベン(carbene)またはカルベノイド中間体を形成するように活性化された金属である。例えば、ドイル他、「Catalytic Carbene Insertion into C−H Bonds(C−H結合への触媒的カルベン挿入)」Chem. Rev.2:704−724(2010)を参照のこと。
【0093】
幾つかの実施形態において、PAはそれぞれアジド(azide)(−N
3)部分であり、光活性化によりC−Hおよび/またはO−H挿入可能なナイトレン中間体が生成され、それによりPEGポリマーおよびPHEMAポリマーの架橋を媒介する。幾つかの実施形態において、PAはそれぞれジアゾ(diazo)(−N
2)であり、金属触媒分解反応によりC−Hおよび/またはO−H挿入可能なカルベンまたはカルベノイド中間体が形成され、それによりPEGポリマーおよびPHEMAポリマーの架橋を媒介する。アジドおよびジアゾの調製は両方とも当技術分野で周知であり、アジドの場合、脱離基を有する適切な有機部分を用いたアジドアニオン、N
3-のS
N2置換反応により容易に調製される。
【0094】
式(I)のLGは、各PA部分の存在をサポートする任意の有機フラグメントであってもよい。直鎖または分岐鎖の単純なC
2−C
20炭化水素鎖であってもよい。そのような炭化水素は、任意の程度のフッ素置換を伴ってもよいフッ素化変異体を含み得る。幾つかの実施形態では、LGは芳香族炭化水素を含み得る。例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル、または、芳香族構造とC
2−C
20炭化水素鎖との組み合わせを含むがこれらに限定されない。したがって、いくつかの実施形態では、LGは、アルキル、アリールまたはアラルキル構造であり得る。幾つかの実施形態において、アルキル連結基は、酸素(O)またはアミン(NR)で置換された1つ以上の炭素を鎖内に有してもよく、ここでRは、HまたはC
1−C
6アルキルである。
【0095】
前述の実施形態によれば、架橋PEG−PHEMA構造は、式(II)で表すことができる。
PEG−A−LG−A−PHEMA (II)
PEGがポリエチレングリコール部分である場合、Aはそれぞれアジドまたはジアゾの触媒反応からの付着原子であり、すなわちCH
2またはNHであり、LGは上記の連結基である。
【0096】
図10Aにおいて、磁気ビーズ結合体1015は、生体分子1025または目的の分析物、例えば、抗体−分析物−磁気ビーズ結合抗体のサンドイッチ複合体のようなものと相互作用するように構成される。生体表面1045の下には、絶縁層1055が設けられている。絶縁層1055は、GMRセンサ1010と直接接触してもよく、例えば、金属酸化物層を含んでもよい。生体表面層1045は、絶縁層1045と直接接触している。ベース1065は、その上に設けられる各構成要素、GMRセンサ1010、絶縁層1055および生体表面層1045の足場として機能する。幾つかの実施形態では、ベース1065はシリコンウェハから作られる。
【0097】
図10Bは、GMRセンサの基本構造と原理を模式的に示している。典型的なGMRセンサは、2つの磁性層1080Aおよび1080Bの間に非磁性導電性中間層1090が挟まれた金属多層構造を有する。非磁性導電性中間層1490は、多くの場合、銅薄膜である。磁性層1080Aおよび1080Bは、強磁性合金材料から形成されてもよい。
【0098】
金属多層構造の電気抵抗は、磁性層1080Aおよび1080Bの相対的な磁化方向に応じて変化する。平行磁化(
図10Bの右半分に示す)の部分は抵抗が低くなり、反平行磁化(
図10Bの左半分に示す)の部分は抵抗が高くなる。磁化の方向は、外部から印加される磁場によって制御可能である。このように、金属多層構造の電気抵抗の変化は外部磁場の関数となる。
【0099】
GMRセンサは、異方性磁気抵抗(AMR)センサまたはホール(Hall)センサの感度を上回る感度を有する。この特性により、ナノメートルスケールで磁性材料からの漂遊磁場を検出することができる。例えば、センサ表面に結合した磁性ナノ粒子からの漂遊磁場は、磁性層の磁化を変化させ、GMRセンサの抵抗を変化させる。したがって、単位面積あたりのGMRセンサに結合される磁性ナノ粒子数の変化は、GMRセンサの抵抗値の変化に反映され得る。
【0100】
図11Aおよび
図12Aには、GMRセンサが本明細書に記載されている様々な分析用途に従って動作する2つの例示的な基本モードが示されている。
図11Aに例示される第1のモードでは、分析の開始時に、磁気ビーズ1115が生体表面1165を介してGMRセンサ(
図11A、1010を参照)の近くに装填される。分析中、対象の被検物質が存在すると、磁気ビーズ1115が生体表面1165から移動する(したがって、GMRセンサから移動する)。磁気ビーズがセンサ表面の近くから取り除かれることから、このモードはいわゆる除去(subtractive)モードである。
図12Aには、第2のメインモード、すなわち、付加(additive)モードでの動作が示されている。このモードの分析では、対象の被検物質が存在する場合、GMRセンサ(
図10A、1010を参照)の近くに磁気ビーズ1215が付加される。除去型または付加型のいずれかのモードは、センサ表面に近いビーズ(1115、1215)の数の変化に依存しており、それによってGMRセンサシステムの抵抗が変化する。この抵抗の変化が測定され、対象の被検物質の濃度を定量的に決定することができる。
【0101】
図11Aには、例示的な除去型プロセスを通じたセンサ構造を示すセンサ構造図が示されている。プロセスの開始時に、システムは状態1100aにあり、この状態において、関連付けられた磁気ビーズ1115を備える複数の分子(典型的には生体分子)1125が、GMRセンサの生体表面1165上に配置されている。生体表面1165の上側の体積部分は、乾燥し始めるまたは溶媒が存在してもよい。乾燥している場合、検出プロセスは、例えば、緩衝液による溶媒プライミング工程を含んでもよい。被検物質が導入された後、システムは、被検物質の濃度に比例した量の磁気ビーズ1115が分子1125から除去された状態1100bとなる。状態1100aおよび状態1100bの変化は測定可能な抵抗の変化を提供し、それにより対象の被検物質の定量化が可能となる。幾つかの実施形態では、分子1125から被検物質により直接ビーズを取り除く単純な機構としてもよい。他の実施形態において、被検物質は分子1125と化学的に反応してビーズ1115が付着した分子の一部を切断し、それにより、ビーズ1115を分子1125の切断された部分共に放出するようにしてもよい。
【0102】
一実施形態では、生体表面1165はポリマーを含む。分子1125が生体表面1165へ共有結合するのを促進するように特定のポリマーを選択してもよい。他の実施形態において、分子1125は、静電相互作用を介して生体表面1165に結合されてもよい。例えば、生体分子を共有結合で固定するための従来の結合させる化学的構造を使用するべく、ポリマーコーティングを選択または修飾してもよい。結合させる化学的構造には、有機官能基ハンドルを含む任意の化学部分が挙げられ、特にこれらに限定されないが、アミン、アルコール、カルボン酸およびチオール基が挙げられる。共有結合させる化学的構造として、エステル、アミド、チオエステルおよびイミンの形成が含まれるが、これらに限定されない(これらは結合後、還元、すなわち還元的アミノ化される)。生体表面1165は、これに限定されないが、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤および双性イオン界面活性剤を含む界面活性剤等の表面改質剤を含んでもよい。
【0103】
分子1125は、生体表面1165に付着可能な任意の数の受容体/リガンドを含み得る。幾つかの実施形態では、分子1125は様々な生体分子のいずれかを含む。生体分子にはDNA、RNAおよび遊離アミン基を含むタンパク質が含まれ、機能的NHS基を利用してGMRセンサ表面に共有結合で固定化できる。免疫測定では、被検物質に対して特異的な一次抗体(マウスのモノクローナルIgG)がGMR表面に付着する。全ての一次抗体は複数の遊離アミン基を有し、タンパク質の多くはリジンおよび/またはα−アミノ基を有する。リジンを含まない一級アミンが存在する限り、抗体はGMRセンサに共有結合で固定される。センサ表面に抗体を固定するには、プリンターシステム(sciFLEXARRAYER、Sciienion、ドイツ)を使用して、センサ表面に1.2nLの一次抗体(PBS緩衝液1mg/mL)を注入する。印刷された表面全てを、相対湿度約85%、4oCで一晩培養する。表面をブロッキング緩衝液(Tris緩衝液中に50mMエタノールアミンを含有)で3回洗浄し、同じ緩衝液を用いて30分間さらにブロッキングする。
【0104】
幾つかの実施形態では、磁気ビーズ1115は、球状ナノ粒子を含むナノ粒子であってもよい。そのようなナノ粒子は、約2〜50ナノメートル(nm)、約5〜20nmまたは約5〜10nmの範囲の有効径を有してもよい。幾つかの実施形態において、分子1125への共有結合を促進するために磁気ビーズ1115はコーティングされてもよい。他の実施形態では、磁気ビーズ1115をコーティングして、分子1125との静電的結合を促進してもよい。磁気ビーズ1115には、マルチプレックス検出スキームを容易にするために、異なる複数のタグ付けおよび/またはコーティングされてもよい。そのような実施形態では、異なるタグ付けおよび/またはコーティングは、異なる複数のGMRセンサ上または複数の異なる分子空間的に組織化されてアドレス可能な信号を生成する1つのセンサ上に配置された異なる複数の分子と相互作用するように異なる複数のビーズが構成される。
【0105】
図11Bは、
図11Aのセンサ構造スキームに関連するプロセスフロー1101を示している。このプロセスは、ステップ1120においてサンプルをカートリッジアセンブリに注入することから開始される。次いで、ステップ1130において、濾過、希釈および/または化学修飾等の必要な工程を含む処理をサンプルに施す。これらの前処理工程の順序は、サンプルの性質および検出対象の被検物質に依存する。システム内における移動は空気圧で制御してもよい。ステップ1140は、処理済みサンプルを、対象物指定の流量でGMRセンサに送達することを含む。流量は、GMRセンサ表面の化学反応速度を反映するように選択してもよい。ステップ1150において、GMRセンサ表面における磁気ビーズの濃度の変化が反映されたGMRセンサからの読み取り値が取得される。これらの測定値により、ステップ1160において抵抗の変化を検出する。最後に、ステップ1170において、抵抗の変化に基づいて検出結果を計算する。
【0106】
図12Aには、例示的な付加型プロセスを通じたセンサ構造を示すセンサ構造図が示されている。プロセスの開始時に、システムは状態1200aにあり、この状態において、複数の分子(典型的には生体分子)1225が、GMRセンサの生体表面1265上に配置されている。第2の状態1200bでは、複数の分子1225が選択されて対象の被検物質1290と結合する。検出対象の被検物質1295は、磁気ビーズ1215を結合するように構成されている。幾つかの実施形態では、検出対象の被検物質1295は、生体表面1265を通過する前にビーズに結合される。例えば、これは検査されるサンプルの前処理中に発生する場合がある。(他の実施形態では、
図13Aを参照して以下で説明するように、検出対象の被検物質1295が最初に生体表面を通過し、次に被検物質が生体表面1265に結合した後、検出対象の被検物質1295を磁気ビーズ1215で修飾してもよい)。幾つかの実施形態では、所与の検出対象の被検物質1295は、磁性粒子1215と結合する前に化学修飾を必要としてもよい。幾つかの実施形態では、磁気ビーズ1215は、検出対象の被検物質1295と相互作用するように修飾されてもよい。磁気ビーズ1215が存在しない状態1200aから磁気ビーズ1215が生体表面1265に結合されている状態1200bまでの測定抵抗値の変化により、被検物質の量を測ることができる。
【0107】
図12Bは、
図12Aのセンサ構造スキームに関連するプロセスフロー1201を示している。このプロセスは、ステップ1220においてサンプルをカートリッジアセンブリに注入することから開始される。次いで、ステップ1230において、濾過、希釈および/または化学修飾等の必要な工程を含む処理をサンプルに施す。これらの前処理工程の順序は、サンプルの性質および検出対象の被検物質に依存する。システム内における移動は空気圧で制御してもよい。ステップ1240は、処理されたサンプルを反応チャンバに送ることを含む。次いでステップ1250は、ビーズを反応チャンバに導入し、検出対象の被検物質を修飾することを含む。上述のように、このような修飾は反応チャンバ内ではなく、センサ表面上で直接実行されてもよい。ステップ1260において、修飾されたサンプルは、目標流量でGMRセンサへと送られる。流量は、GMRセンサ表面の化学反応速度を反映するように選択してもよい。ステップ1270において、GMRセンサ表面における磁気ビーズの濃度の変化が反映されたGMRセンサからの読み取り値が取得される。これらの測定値により、ステップ1280において抵抗の変化を検出する。最後に、ステップ1290において、抵抗の変化に基づいて検出結果を計算する。
【0108】
図13Aには、例示的な付加型プロセスにおけるセンサ構造状態1300a〜cを示すセンサ構造図が示されている。プロセスの開始時に、システムは状態1300aにあり、この状態において、複数の分子(典型的には生体分子)1325が、GMRセンサの生体表面1365上に配置されている。第2の状態1300bでは、複数の分子1325が選択されて対象の被検物質1395と結合する。状態1300cでは、対象の被検物質1395は磁気ビーズ1315に結合するように構成される。幾つかの実施形態では、所与の検出対象の被検物質1395は、磁性粒子1315と結合する前に化学修飾を必要としてもよい。他の実施形態では、検出対象の被検物質1395は、化学修飾なしで磁性ナノ粒子1315に結合してもよい。幾つかの実施形態では、磁気ビーズ1315は、検出対象の被検物質1395と相互作用するようにコーティングまたは修飾されてもよい。磁気ビーズ1315が存在しない状態1300aから磁気ビーズ1315が生体表面1365に結合されている状態1300cまでの測定抵抗値の変化により、検出対象の被検物質1395の量を測ることができる。
【0109】
図13Bは、
図13Aのセンサ構造スキームに関連するプロセスフロー1301aを示している。このプロセスは、ステップ1310においてサンプルをカートリッジアセンブリに注入することから開始される。次いで、ステップ1320において、濾過、希釈等の必要な工程を含む処理をサンプルに施す。これらの前処理工程の順序は、サンプルの性質および検出対象の被検物質に依存する。ステップ1330において、処理されたサンプルが反応チャンバに送られる。システム内における移動は空気圧で制御してもよい。ステップ1340は、サンプルチャンバ内に存在する被検物質を試薬で修飾して、磁性粒子と相互作用させることを含む。ステップ1350において、修飾されたサンプルは、目標流量でGMRセンサへと送られる。流量は、GMRセンサ表面の化学反応速度を反映するように選択してもよい。次に、ステップ1360において、ビーズをGMRセンサに導入する。ビーズは、修飾された被検物質と相互作用可能となっている。幾つかの実施形態では、修飾された被検物質との相互作用を可能にするコーティングまたはその他の連結分子等でビーズも修飾されてもよい。ステップ1370において、GMRセンサ表面における磁気ビーズの濃度の変化が反映されたGMRセンサからの読み取り値が取得される。これらの測定値により、ステップ1380において抵抗の変化を検出する。最後に、ステップ1390において、抵抗の変化に基づいて検出結果を計算する。
【0110】
図13Cは、
図13Aのセンサ構造スキームに関連する別のプロセスフロー1301bを示している。このプロセスは、ステップ1302においてサンプルをカートリッジアセンブリに注入することから開始される。次いで、ステップ1304において、濾過、希釈等の必要な工程を含む処理をサンプルに施す。これらの前処理工程の順序は、サンプルの性質および検出対象の被検物質に依存する。システム内における移動は空気圧で制御してもよい。ステップ1306において、修飾されたサンプルは、目標流量でGMRセンサへと送られる。流量は、GMRセンサ表面の化学反応速度を反映するように選択してもよい。ステップ1308は、サンプル内に存在する被検物質を試薬で修飾して、磁性粒子と相互作用させることを含む。次に、ステップ1312において、ビーズをGMRセンサに導入する。ビーズは、修飾された被検物質と相互作用可能となっている。幾つかの実施形態では、修飾された被検物質との相互作用を可能にするコーティングまたはその他の連結分子等でビーズも修飾されてもよい。ステップ1314において、GMRセンサ表面における磁気ビーズの濃度の変化が反映されたGMRセンサからの読み取り値が取得される。これらの測定値により、ステップ1316において抵抗の変化を検出する。最後に、ステップ1318において、抵抗の変化に基づいて検出結果を計算する。
【0111】
図14Aには、例示的な付加型プロセスを通じたセンサ構造状態1400a〜cを示すセンサ構造図が示されている。プロセスの開始時に、システムは状態1400aにあり、この状態において、複数の分子(典型的には生体分子)1425が、GMRセンサの生体表面1465上に配置されている。複数の分子1425は、検出対象の被検物質と相互作用する(化学的に反応する)ように選択される。この相互作用により、第2の状態1400bに示されるように、分子1425を(被検物質の濃度に比例して)修飾して、修飾された分子1411が提供される。状態1300cでは、修飾された分子1411は磁気ビーズ1415に結合するように構成される。幾つかの実施形態では、修飾された分子1411は、磁性粒子1415と結合する前に更なる化学修飾を必要としてもよい。他の実施形態では、修飾された分子1411は、化学修飾なしで磁性ナノ粒子1415に結合してもよい。幾つかの実施形態では、磁気ビーズ1415は、修飾された分子1411と相互作用するようにコーティングまたは修飾されてもよい。磁気ビーズ1415が存在しない状態1400aから磁気ビーズ1415が修飾された分子1411を介して生体表面1465に結合されている状態1400cまでの測定抵抗値の変化により、検出対象の被検物質の量を測ることができる。プロセス全体において、検出対象の被検物質は、複数の分子1425を化学的に修飾するための試薬としての役割を果たしているだけであり、この機能を実行した後は、当該プロセスの一部として関わることがないことに留意されたい。
【0112】
図14Bは、
図14Aのセンサ構造スキームに関連するプロセスフロー1401を示している。このプロセスは、ステップ1420においてサンプルをカートリッジアセンブリに注入することから開始される。次いで、ステップ1430において、濾過、希釈等の必要な工程を含む処理をサンプルに施す。これらの前処理工程の順序は、サンプルの性質および検出対象の被検物質に依存する。システム内における移動は空気圧で制御してもよい。ステップ1440において、処理されたサンプルは指定流量でGMRセンサに送られる。流量は、GMRセンサ表面の化学反応速度を反映するように選択してもよい。次に、ステップ1450において、ビーズをGMRセンサに導入する。ビーズは、生体表面上の修飾された分子と相互作用可能となっている。幾つかの実施形態では、生体表面上の修飾された分子との相互作用を可能にするコーティングまたはその他の連結分子等により、ビーズが修飾されてもよい。ステップ1460において、GMRセンサ表面における磁気ビーズの濃度の変化が反映されたGMRセンサからの読み取り値が取得される。これらの測定値により、ステップ1470において抵抗の変化を検出する。最後に、ステップ1480において、抵抗の変化に基づいて検出結果を計算する。
【0113】
図15Aには、例示的な付加型プロセスを通じたセンサ構造状態1500a〜cを示すセンサ構造図が示されている。プロセスの開始時に、システムは状態1500aにあり、この状態において、複数の分子(典型的には生体分子)1525が、GMRセンサの生体表面1565上に配置されている。複数の分子1525は、検出対象の被検物質と相互作用する(化学的に反応する)ように選択される。この相互作用により、第2の状態1500bに示されるように、分子1525を(被検物質の濃度に比例して)修飾して、修飾された分子1511が提供される。状態1500cに示されるように、修飾された分子1511は磁気ビーズ1515との結合を阻むように構成され、磁気ビーズは、被検物質によって修飾されなかった分子1525にのみ結合する。幾つかの実施形態では、磁気ビーズ1515は、分子1525と相互作用するようにコーティングまたは修飾されてもよい。磁気ビーズ1515が存在しない状態1500aから磁気ビーズ1515が修飾された分子1525を介して生体表面1565に結合されている状態1500cまでの測定抵抗値の変化により、検出対象の被検物質の量を測ることができる。プロセス全体において、検出対象の被検物質は、複数の分子1525を化学的に修飾するための試薬としての役割を果たしているだけであり、この機能を実行した後は、当該プロセスの一部として関わることがないことに留意されたい。
【0114】
図15Bは、
図15Aのセンサ構造スキームに関連するプロセスフロー1501を示している。このプロセスは、ステップ1510においてサンプルをカートリッジアセンブリに注入することから開始される。次いで、ステップ1520において、濾過、希釈等の必要な工程を含む処理をサンプルに施す。これらの前処理工程の順序は、サンプルの性質および検出対象の被検物質に依存する。システム内における移動は空気圧で制御してもよい。ステップ1530において、処理されたサンプルが指定流量でGMRセンサに送られる。流量は、GMRセンサ表面の化学反応速度を反映するように選択してもよい。次に、ステップ1540において、ビーズをGMRセンサに導入する。ビーズは、生体表面上の修飾されていない分子と相互作用可能となっている。幾つかの実施形態では、修飾されていない分子との相互作用を可能にするコーティングまたはその他の連結分子等でビーズも修飾してもよい。ステップ1550において、GMRセンサ表面における磁気ビーズの濃度の変化が反映されたGMRセンサからの読み取り値が取得される。これらの測定値により、ステップ1560において抵抗の変化を検出する。最後に、ステップ1570において、抵抗の変化に基づいて検出結果を計算する。
【0115】
図16Aには、被検物質1695(状態1600b)の検出のためにサンドイッチ抗体を使用する例示的な付加プロセスにおけるセンサ構造状態1600a〜dを示したセンサ構造図が示されている。プロセスの開始時に、システムは状態1600aにあり、この状態において、複数の抗体1625が、GMRセンサの生体表面1665上に配置されている。次に、状態1600bにおいて、被検物質1695は生体表面1645上を通過し、被検物質1695が抗体1625へ結合する。次いで、状態1600cにおいて、共有結合したビオチン部分(B)が設けられた二次抗体1635に結合することにより、被検物質1695が修飾される。次いで、ストレプトアビジン(S)で修飾された磁気ビーズ1615が添加されて、ビオチン−ストレプトアビジンの強力な結合が可能となり、状態1600dとなる。いくつかの実施形態において、ストレプトアビジンは、磁気ビーズ1615上のコーティングとして提供される。
【0116】
図16Bは、
図16Aのセンサ構造スキームに関連するプロセスフロー1601を示している。このプロセスは、ステップ1610においてサンプルをカートリッジアセンブリに注入することから開始される。次いで、ステップ1620において、濾過、希釈等の必要な工程を含む処理をサンプルに施す。これらの前処理工程の順序は、サンプルの性質および検出対象の被検物質に依存する。システム内における移動は空気圧で制御してもよい。ステップ1630において、処理されたサンプルが指定流量でGMRセンサに送られる。そのような流速は、GMRセンサ表面における生体表面に結合した抗体と被検物質との間の化学動力学を反映するように選択されてもよい。次に、ステップ1640において、ビオチン化抗体(Ab)をGMRセンサに導入する。これにより、2つの抗体間に挟まれた被検物質の「サンドイッチ」構造が作成される。ステップ1650において、ストレプトアビジンで被覆されたビーズがGMRセンサに導入され、ビオチン結合抗体と相互作用する。ステップ1660において、GMRセンサ表面における磁気ビーズの濃度の変化が反映されたGMRセンサからの読み取り値が取得される。これらの測定値により、ステップ1670において抵抗の変化を検出する。最後に、ステップ1680において、抵抗の変化に基づいて検出結果を計算する。
【0117】
図16Aおよび
図16Bのスキームは、心臓バイオマーカで実施され、概念実証の結果が
図17A〜
図17Cに示されている。
図17Aは、心臓バイオマーカDダイマーを検出するように設計された検査における時間(秒)に対するGMR信号(ppm)のプロットを示している。このデータを生成するのに、0.05%アジ化ナトリウムを含むPBS緩衝液中の1mg/mLのD−ダイマー抗体2nLを使用して、D−ダイマー捕捉抗体を印刷して生体表面を用意した。また、潜在的な交差反応性を検査するために、0.05%アジ化ナトリウムを含むPBS緩衝液中に1mg/mLトロポニンI抗体の溶液2nLを使用して、2つの複合捕捉抗体を印刷することにより、生体表面をトロポニンI捕捉抗体で官能化した。更に、他の2つの対照群を生体表面に印刷した。1つ目は、0.05%アジ化ナトリウムを含むPBS緩衝液中の0.5%BSA溶液2nLを印刷することにより調製された陰性対照群であり、2つ目は、マウスIgGとビオチンとの複合体1mg/mLを含有する0.05%アジ化ナトリウムを含むPBS緩衝液2nLを印刷することにより調製された陽性対照群である。印刷されたセンサは心臓検査カートリッジに組み込まれ、
図16Aおよび
図16Bを参照して前述した「サンドイッチ」構造アッセイを使用するように構成されている。
【0118】
サンプル検査中に、120マイクロリットルの血漿または全血をカートリッジのサンプルウェルに装填した。サンプルがサンプルウェルからフローチャネルに引き込まれる際に薄膜フィルタによって血球が除去される。40マイクロリットルの血漿(または全血の血漿成分)を計量チャネルに流し、抗体/ビオチン結合体、ブロッカーおよびマウスIgGを含有するチャネル内の沈殿粉末をサンプル溶液中に溶解する。センサ領域上を流れる間に、センサ表面に固定された被検物質、抗体/ビオチン複合体および抗体は、抗体−被検物質−ビオチン化抗体のサンドイッチ構造を形成する。流量は検査の種類に応じて調整される。トロポニンIの場合、サンプルは1マイクロリットル/分の流量で20分間センサへと流される。Dダイマーの場合、サンプルは4マイクロリットル/分の流量で5分間流される。サンプルの流れに続いて、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズが導入される。磁気ビーズは、センサ表面上のビオチン化抗体が結合している場所に結合する。GMRセンサは、結合した磁気ビーズを測定する。これは、サンプルに含まれる被検物質の濃度に比例する。ビーズ溶液は、4〜10マイクロリットル/分の流量でセンサへと5分間流される。ビーズが結合し始めてから300秒以内に、信号のピーク値を読み取った。
【0119】
図17Aのプロットに示されているように、BSAだけを印刷した陰性対照はD−ダイマーに結合しなかったため、想定された通り、信号はベースライン近くに留まった。ビオチン化マウスIgGを用いた陽性対照は、想定された通り、有効なビーズ結合を示した。666.6ng/mLのヒトDダイマーの実際のサンプルのプロットには、実際のサンプルでDダイマーが正常に検出されたことを示す約750ppmのピーク検出信号が表われている。2つの結合トロポニンI捕捉抗体との交差反応性は実質的に見られなかった(明確にするため、これらのラインは陰性対照のラインに非常に近いため、表示していない)。
【0120】
図17Bは、可変濃度、固定濃度のDダイマーでサンプルを実行した場合のDダイマーの検量線(ppmでのGMR信号対Dダイマー濃度)を示している。検量線により、分析対象の被検物質としてDダイマーを含有する未知のサンプルの濃度を計算できる。
図17Cに示す同様のプロットは、心臓バイオマーカ、トロポニンIについてのプロットであり、これらの結果を合わせて、被験者の血液または血漿サンプル中のD−ダイマーおよびトロポニンIの検出の実行可能性が確立される。
[金属検出への適用]
【0121】
図18は、上記の実施形態による、GMRセンサプラットフォームを使用した鉛検出スキームへの適用を例示している。二本鎖DNAがセンサの生体表面に印刷され、1本の鎖はビオチン化されている(B)。鉛が存在しない場合、ストレプトアビジンでタグ付けされた(またはコーティングされた)磁性ナノ粒子(MNP)は、DNA基質鎖の一部であるビオチン(B)に結合できる。鉛が存在する場合、Pb活性化DNAザイム(DNAzyme)はビオチン含有基質鎖を開裂する。開裂されると、ストレプトアビジンでタグ付けされたMNPは、鎖のビオチン化部分がもはや存在しないため、DNA鎖に結合できない。したがって、MNPは、サンプルに鉛が存在しない場合には、GMR表面にのみ結合する。存在する鉛が多いほど、生体表面のDNAに結合するMNPが少なくなる。このようなスキームを、水、血液または他の目的の液体中の鉛の検出に使用できる。
【0122】
図19は、上記の実施形態に係るGMRセンサプラットフォームを使用した水銀検出スキームへの適用を例示している。Hg−BSA基質が生体表面に固定される。水銀(Hg)イオン(IもしくはIIまたは両方)が存在しない場合、ビオチン化(B)Hg抗体は、生体表面に結合したHg−BSAに結合することができる。Hgイオンが存在する場合には、Hgイオンはビオチン化Hg抗体のHg−BSAへの結合部位をブロックし、Hg抗体がHg−BSAに結合するのを防ぐ。上記のように、ストレプトアビジンでタグ付けされた(またはコーティングされた)磁性ナノ粒子はビオチンに結合できる。したがって、水銀イオンが溶液中に多く存在するほど、水銀のビオチン化Hg抗体への結合が阻害されるため、最終的にセンサの生体表面に結合する磁気ビーズが少なくなる。
【0123】
図20は、上記の実施形態に係る、GMRセンサプラットフォームを使用したカドミウムまたはヒ素の検出スキームへの適用を示している。センサの生体表面には、検出タンパク質と結合可能な二本鎖DNAが印刷されている。検出対象の金属検体を含有し得るサンプルの存在下で、検出タンパク質arsR(ヒ酸塩III検出用)またはPcad(カドミウム検出用)が添加される。それぞれの重金属イオンが存在する場合には、検出タンパク質はDNA二本鎖に結合することができないため、サンプルに重金属イオンが存在しないことに比例してDNA−タンパク質の結合が起こる。これは、上記の水銀の検出と同様の競合的結合の事象である。次に、ビオチン化(B)レポータータンパク質を添加する。このタンパク質は検出タンパク質に結合できる。検出タンパク質がDNA二本鎖に結合している場合、ビオチン化レポータはDNAタンパク質複合体に固定される。ストレプトアビジンでタグ付けされた磁性ナノ粒子は、生体表面に結合しているビオチン化レポータータンパク質に結合する。したがって、カドミウムまたはヒ素の濃度が低いほど、より多くのビーズが生体表面に結合する。
【0124】
以下は、本明細書で詳述された原理に従って達成され得る被検物質検知の用途の非限定的なリストである。
【0125】
(1)血液サンプルは、タンパク質またはDNA等の他の物質を含有する被検物質を含み、GMRデバイスを使用した免疫測定法により被検物質を測定可能である。検出可能な被検物質に関連する例示的な病態は、以下に示す表1に要約されている。
【表1】
【0126】
(2)本書に記載されているGMRシステムは、尿における被検物質の検出にも使用可能である。尿中の任意のタンパク質、DNA、金属または他の物質を、本明細書に記載のGMRデバイスによって測定および/または検出することができる。尿関連タンパク質バイオマーカには、妊娠高血圧腎症、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、腎障害分子−1(KIM−1)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、インターロイキン(IL)−18および脂肪酸結合タンパク質(FABP)、核マトリックスタンパク質22(NMP22)、BLCA−4、ならびに、表皮成長因子受容体(EGFR)等が挙げられるが、これらに限定されない。薬物および/またはその主要な尿代謝産物には、アセトアミノフェン/パラセタモール(APAP)、アンフェタミン(AMP)、メタンフェタミン(mAMP)、バルビツール酸(BAR)、ベンゾジアゼピン(BZO)、コカイン(COC)、メタドン(MTD)、オピエート(OPI)、フェンシクリジン(PCP)、THC、三環系抗鬱薬(TCA)等が挙げられる。
【0127】
(3)本書に記載されているGMRシステムは、唾液における被検物質の検出にも使用可能である。唾液または口腔内上皮組織中の任意のタンパク質、DNA、金属または他の物質を、本明細書に記載のGMRデバイスによって測定および/または検出することができる。バイオマーカの例としては、マトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわち、MMP1、MMP3、MMP9)、サイトカイン(すなわち、インターロイキン−6、インターロイキン−8、血管内皮成長因子A(VEGF−A)、腫瘍壊死因子(TNF)、トランスフェリン、線維芽細胞成長因子、骨髄関連タンパク質14(MRP14)、プロフィリン、CD分類59(CD59)、カタラーゼおよびMac−2結合タンパク質(M2BP)等が挙げられるが、これらに限定されない。薬物には、アンフェタミン(AMP)、バルビツール酸塩(BAR)、ベンゾジアゼピン(BZO)、ブプレノルフィン(BUP)、コカイン(COC)、コチニン(COT)、フェンタニル(FYL)、K2/スパイス(K2)、ケタミン(KET)、メタンフェタミン(MET)、メタドン(MTD)、オピエート(OPI)、オキシコドン(OXY)、フェンシクリジン(PCP)、マリファナ(THC)およびトラマドール(TML)が挙げられる。
【0128】
(4)本書に記載されているGMRシステムは、眼液における被検物質の検出にも使用可能である。眼液中の任意のタンパク質、DNA、金属または他の物質を、本明細書に記載のGMRデバイスによって測定および/または検出することができる。眼液タンパク質バイオマーカには、α−エノラーゼ、α−1酸性糖タンパク質1、S100 A8/カルグラニュリンA、S100 A9/カルグラニュリンB、S100 A4およびS100 A11(カルギザリン)、プロラクチン誘導性タンパク質(PIP)、リポカリン−1(LCN−1)、ラクトフェリンおよびリゾチーム、b−アミロイド1−40、好中球デフェンシンNP−1およびNP−2等が挙げられ、これらはシステム内のサンドイッチ分析で測定可能である。
【0129】
(5)本明細書に開示される実施形態は、バイオマーカ等の対象の被検物質を検出するサンプルとしてリキッド・バイオプシー(液体生検)を利用してもよい。いくつかのそのような実施形態では、患者の血液中の癌を特定する方法が提供され得る。以下に説明する方法は、血液中に見られるDNAの「まれな」突然変異を検出するのに使用できる。癌細胞からのDNAが頻繁に血流に入り込むものの、血液由来のDNAのほとんど(>99%)は健康な細胞由来のものである。本明細書で開示される方法は、これらの「まれな」突然変異の検出および結果の検証を提供する。本明細書に開示される方法は、GMR検出プラットフォームを使用して一度の分析で捕捉される多段階プロセスを提供する。
【0130】
本明細書に開示される方法は、血液からDNAを抽出することを含み、本明細書の実施形態に従って、血液からのDNAの必要な抽出および精製をカートリッジで自動化される。幾つかの実施形態では、抽出プロセスの一部としてシリカ膜が使用されるが、本明細書の方法はこれに限定されない。本方法では、抽出および精製後、対象のバイオマーカが選択的に増幅される。幾つかの実施形態では、癌のDNAのみを増幅する方法は、ロックされた核酸を使用してブロッカーとして作用させ、正常なDNAが増幅されるのを阻むことを含む。その他の選択的増幅方法は、当該分野で公知である。本方法における次の工程では、対象の癌のDNAバイオマーカが患者のサンプルに存在するかどうかを検出する。幾つかの実施形態において、これは、二本鎖DNA(dsDNA)を一本鎖DNA(ssDNA)に変換するエキソヌクレアーゼを使用して行われる。dsDNAをssDNAに変換する他の方法は、当技術分野で知られている。方法では、次いで、生体表面に印刷されたDNAの相補的な部分を使用して、ssDNAを捕捉する。幾つかの実施形態では、ssDNAは末端に付着したビオチンを有し、このビオチンはストレプトアビジンでタグ付けされた磁気ビーズを捕捉する。幾つかの実施形態では、方法は、(患者からの)ssDNAが印刷されたプローブ(DNAの合成部分)に完全に相補的であるかどうかを検証することを含む。検証は、熱を利用して2つのDNA間の結合を変性させることで行える。不完全な結合では、完全な結合よりも低い温度で変性(または分離)する。これにより、信号の検証が可能になり、信号が真陽性か偽陽性かを判断できる。この検証工程により、より精度の高い患者の診断を達成できる。DNAを変性させるには、加熱以外にも他の方法が当技術分野で知られている。
【0131】
本明細書では、核酸を分析するための方法および組成物が提供される。幾つかの実施形態では、核酸断片を含有する混合物中における核酸断片の分析が行われる。核酸は、任意の種類の適切な生物学的標本またはサンプル(例、検査サンプル)から分離されてもよい。幾つかの実施形態では、サンプルは核酸を含む。サンプルまたは検査サンプルは、被験者(例えば、哺乳類、ヒト)から単離または取得された任意の検体であり得る。検体の非限定的な例には、血液、羊水、脳脊髄液、脊髄液、洗浄液(例えば、気管支肺胞、胃、腹膜、乳管、耳、関節鏡の洗浄液)、生検などが含まれるが、生検標本、尿、糞便、唾液、鼻粘液、前立腺液、洗浄液、精液、リンパ液、胆汁、涙、汗、母乳等の被験者からの液体もしくは組織、または、これらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態において、生体試料は、血液または血液製剤(例えば、血漿または血清)である。核酸は、1つまたは複数のサンプルまたはソースに由来する場合がある。
【0132】
いくつかの実施形態において、サンプルは、1つ以上の適切な細胞溶解試薬と接触させられる。溶解試薬は、多くの場合、細胞全体を溶解するように、および/または、汚染物質(例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪酸)から核酸を分離するように構成されている。細胞溶解試薬の非限定的な例として、界面活性剤、低張液、高塩濃度溶液、アルカリ溶液、有機溶媒(例えば、フェノール、クロロホルム)、カオトロピック塩、酵素またはこれらの組み合わせが含まれる。本明細書に記載の方法において、任意の適切な溶解手順を使用してもよい。
【0133】
「核酸(nucleic acid)」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA、例えば相補的DNA(cDNA)、ゲノムDNA(gDNA)等)および/またはリボ核酸(RNA、例えばmRNA、短い抑制性RNA(siRNA))、DNAまたはRNA類似体(例えば、塩基類似体、糖類似体および/または非天然骨格等を含む)、RNA/DNAハイブリッドおよびポリアミド核酸(PNA)等、および、これらの組み合わせを指す。核酸は一本鎖でも二本鎖でもよい。幾つかの実施形態では、核酸はプライマである。幾つかの実施形態では、核酸は標的核酸である。標的核酸は、多くの場合、検出対象の核酸である。
【0134】
特定の実施形態では、核酸を含有するサンプルを処理することなく、本明細書に記載の方法を実施するべく、核酸を提供してもよい。幾つかの実施形態では、核酸を含むサンプルの処理後に本明細書に記載の方法を実施するための核酸が提供される。例えば、核酸は、本明細書に記載の方法の前、最中または後にサンプルから抽出、単離、精製、部分精製または増幅することができる。
【0135】
いくつかの実施形態において、核酸は、核酸増幅を含むプロセスによって増幅され、核酸の一方または両方のストランドは、核酸のストランドのコピーまたは相補的コピーが生成されるように酵素的に複製される。増幅プロセスによって生成される核酸のコピーは、しばしばアンプリコン(複製配列)と称される。核酸増幅プロセスでは、テンプレートもしくは標的核酸またはこれらのセグメントと、同じまたは実質的に同じヌクレオチド配列を有するアンプリコンが一次関数的にまたは指数関数的に生成されてもよい。核酸は好適な核酸増幅プロセスによって増幅され、このような増幅プロセスの非制限的な例としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ネスト(n)PCR、定量(q)PCR、リアルタイムPCR、逆転写(RT)PCR、等温増幅(例えば、LAMP(loop mediated isothermal amplification)法)、定量的核酸配列ベース増幅(QT−NASBA)等、これらの変形およびこれらの組み合わせが含まれ得る。幾つかの実施形態では、増幅プロセスはポリメラーゼ連鎖反応を含む。幾つかの実施形態では、増幅プロセスは等温増幅プロセスを含む。
【0136】
幾つかの実施形態では、核酸増幅プロセスは、1つ以上のプライマ(例えば、特異的に核酸テンプレートまたは核酸標的にハイブリダイズ(hybridize)できる短いオリゴヌクレオチド)の使用を含む。ハイブリダイズしたプライマは、核酸増幅プロセス中にポリメラーゼによって伸長されることが多い。幾つかの実施形態において、核酸を含むサンプルは、一つまたは複数のプライマと接触する。幾つかの実施形態において、核酸は、一つまたは複数のプライマと接触する。プライマは、固体の基質に付着する、または、溶液中に遊離してもよい。
【0137】
幾つかの実施形態では、核酸またはプライマは、1つまたは複数の識別可能な識別子(identifier)を含む。本明細書に記載の組成物または方法には、任意の適切な識別可能な識別子および/または検出可能な識別子を使用することができる。ある実施形態において、識別可能な識別子は、核酸に直接的または間接的に関連付けられ得る(例えば、結合される)。例えば、識別可能な識別子は、核酸に共有結合または非共有結合してもよい。幾つかの実施形態において、識別可能な識別子は、核酸に共有結合または非共有結合した結合対のうちの一つに付着している。幾つかの実施形態では、識別可能な識別子は、核酸と可逆的に関連付けられる。ある実施形態において、核酸と可逆的に関連する識別可能な識別子は、適切な方法を使用して核酸から除去することができる(例えば、塩濃度を上げる、変性、洗浄、適切な溶媒の添加および/または加熱を行う)。
【0138】
幾つかの実施形態では、識別可能な識別子は標識(labal)である。幾つかの実施形態では、核酸は検出可能な標識を含み、非限定的な例として、放射性標識(例えば、同位体)、金属標識、蛍光標識、発色団、化学発光標識、電気化学発光標識(例えば、Origen(商標))、リン光標識、消光剤(例、フルオロフォア消光剤)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)対(例えば、ドナーとアクセプタ)、色素、タンパク質(例、酵素(例えば、酵素(アルカリホスファターゼと西洋ワサビペルオキシダーゼ))、酵素基質、小分子、質量タグ、量子ドット等またはこれらの組み合わせが挙げられる。任意の好適なフルオロフォア(fluorophore)を標識として使用してもよい。発光標識は様々な方法によって検出および/または定量することができ、例えば、光電セル、デジタルカメラ、フローサイトメトリ、ゲル電気泳動、フィルムへの露光、質量分析、細胞蛍光分析、蛍光顕微鏡、共焦点レーザ走査顕微鏡法、レーザ走査サイトメトリ等、および、これらの組み合わせによって行うことができる。
【0139】
幾つかの実施形態では、識別可能な識別子はバーコードである。幾つかの実施形態では、核酸は、核酸バーコード(例えば、インデックス付きヌクレオチド、配列タグまたは「バーコード」ヌクレオチド)を含む。特定の実施形態において、核酸バーコードは、サンプル、方法または分析において1つまたは複数の核酸(例えば、核酸のサブセット)の明確な識別を可能にする識別子として使用可能な、ヌクレオチドの識別可能な配列を含む。ある実施形態では、核酸バーコードは、例えば、特定のサンプル、サンプル源、特定の核酸属または核酸種、染色体または遺伝子に特異的および/または固有のものである。
【0140】
幾つかの実施形態において、核酸またはプライマは1つまたは複数の結合対を含む。幾つかの実施形態では、核酸またはプライマは、結合対を構成する1つまたは複数の要素を含む。幾つかの実施形態では、結合対は、互いに非共有的に且つ特異的に互いに結合している少なくとも2つの要素(例えば、分子)を含む。結合対を構成する要素は、多くの場合、相互に可逆的に結合する。例えば、一の結合対を構成する2つの要素の結合を適切な方法で分離できる。本明細書に記載の組成物または方法には、任意の適切な結合対またはその要素を利用することができる。結合対の非限定的な例には、抗体/抗原、抗体/抗体受容体、抗体/プロテインAまたはプロテインG、ハプテン/抗ハプテン、スルフヒドリル/マレイミド、スルフヒドリル/ハロアセチル誘導体、アミン/イソトリシアネート、アミン/スクシンイミジルエステル、アミン/ハロゲン化スルホニル、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、葉酸/葉酸結合タンパク質、受容体/リガンド、ビタミンB12/内因子、その類似体、その誘導体、その結合部等、および、これらの組み合わせが挙げられる。結合対の要素の非限定的な例としては、抗体または抗体断片、抗体受容体、抗原、ハプテン、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、グリセリル部分(例えば、脂質)、ホスホリル部分、グリコシル部分、ユビキチン部分、レクチン、アプタマー、受容体、リガンド、金属イオン、アビジン、ニュートラアビジン、ビオチン、B12、内因子、その類似体、その誘導体、その結合部分等、および、これらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、核酸またはプライマは、ビオチンを含む。幾つかの実施形態では、核酸またはプライマは、ビオチンに共有結合している。
【0141】
幾つかの実施形態において、核酸またはプライマは、好適な固体基質に非共有結合または共有結合される。幾つかの態様において、捕捉オリゴヌクレオチドおよび/または結合対の要素は、固体基質に付着している。捕捉オリゴヌクレオチドは、多くの場合、標的核酸に特異的にハイブリダイズするように構成された核酸である。幾つかの実施形態では、捕捉核酸は、固体基質に付着したプライマである。固体基材の非限定的な例としては、マイクロアレイおよび粒子によって提供される表面が挙げられ、ビーズ(例えば、常磁性ビーズ、磁気ビーズ、マイクロビーズ、ナノビーズ)、微粒子およびナノ粒子等によって提供される表面が含まれる。固体基材には、例えば、チップ、カラム、光ファイバー、ワイプ、フィルタ(例えば、平面フィルタ)、1つまたは複数のキャピラリ、ガラス、修飾ガラスまたは機能化ガラス(たとえば、controlled−pore glass(CPG))、石英、雲母、ジアゾ化膜(紙またはナイロン)、ポリホルムアルデヒド、セルロース、酢酸セルロース、紙、セラミック、金属、半金属、半導体材料、量子ドット、コーティングされたビーズまたは粒子、その他のクロマトグラフィー材料、磁性粒子が挙げられる。また、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、スチレンの共重合体、他の材料の共重合体、ポリブチレン、ポリウレタン、TEFLON(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、多糖類、ナイロンまたはニトロセルロース、樹脂、シリコン、シリカゲルおよび変性シリコンを含むシリカまたはシリカベースの材料、Sephadex(商標)、Sepharose(商標)、カーボン、金属(例えば、スチール、金、銀、アルミニウム、シリコンおよび銅)、無機ガラス、導電性ポリマー(ポリピロールおよびポリインドール等のポリマーを含む)も固体基材として使用できる。核酸タイル配列、ナノチューブ、ナノワイヤもしくはナノ粒子装飾表面等のマイクロ構造表面またはナノ構造表面や、メタクリレート、アクリルアミド、糖ポリマー、セルロース、ケイ酸塩、またはその他の繊維ポリマー、鎖状ポリマーのような多孔性表面または多孔性ゲルも固体基材として使用できる。幾つかの実施形態において、固体基材は、デキストラン、アクリルアミド、ゼラチンまたはアガロース等のポリマーを含む任意の数の材料で受動的または化学的に誘導体化されたコーティングを使用して被覆される。ビーズおよび/または粒子は、互いに結合していないまたは互いに結合している(例えば、焼結されている)。幾つかの実施形態では、固体基材は粒子の集合体を指す。幾つかの実施形態では、粒子は、粒子に常磁性特性を付与する化学物質を含有する。幾つかの実施形態において、第1の固体基材(例えば、複数の磁性粒子)は、第2の固体基材(例えば、表面)に非共有的および/または可逆的に付着される。幾つかの実施形態では、第2の基板または表面は電子的に磁化されてもよく、例えば、表面が磁化されると磁性粒子が第2の基板に可逆的に付着し、第2の基板が消磁されるまたは磁気極性が変化すると磁性粒子が第2の基板から解離する。
【0142】
幾つかの実施形態では、核酸は捕捉オリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、固体基質に共有結合または非共有結合している核酸である。捕捉オリゴヌクレオチドは、典型的には、目的の核酸(例えば、標的核酸)またはその一部に特異的にハイブリダイズまたはアニーリング可能なヌクレオチド配列を含む。幾つかの実施形態では、捕捉核酸は、標的核酸またはその一部に実質的に相補的な核酸配列を含む。幾つかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、固体基質に付着したプライマである。捕捉オリゴヌクレオチドは、天然に存在するものでも合成のものでもよく、DNAベースまたはRNAベースのものでもよい。捕捉オリゴヌクレオチドは、例えば、サンプル中の他の核酸または汚染物質から標的核酸を特異的に分離することを可能にする。
【0143】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、複数の核酸(例えば、サンプル中の核酸)を、結合対を構成する要素を含む少なくとも1つのプライマと接触させることを含む。幾つかの実施形態では、結合対の要素として、ビオチンを含む。幾つかの実施形態において、複数の核酸は第1のプライマおよび第2のプライマと接触され、第1または第2のプライマのうちの一方がビオチンを含む。幾つかの実施形態において、複数の核酸は、標的核酸(例えば、標的RNAまたはDNA分子)を含む。標的核酸は、検査対象の核酸であることが多い(例えば、遺伝子、転写物またはその一部)。幾つかの実施形態では、標的核酸はRNAを含む。幾つかの実施形態では、標的核酸は核酸増幅プロセスにより増幅される。幾つかの実施形態では、核酸増幅プロセスは、核酸増幅を促進する適切な条件下(例えば、PCRまたは等温増幅を促進する条件)で、サンプル、サンプルの核酸および/または標的核酸を、第1プライマ、ビオチン化された第2プライマおよびポリメラーゼと接触させることを含む。幾つかの実施形態では、核酸増幅プロセスは、アンプリコンの産生をもたらす。幾つかの実施形態では、アンプリコンは、DNAアンプリコン、RNAアンプリコンまたはこれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、アンプリコンは、ビオチン化DNAアンプリコン、RNAアンプリコンまたはこれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、RNAおよびビオチン化DNA(例えば、RNA/DNA二重鎖)を含むアンプリコンは、ヌクレアーゼ(例えば、RNAエキソヌクレアーゼ)と接触される。幾つかの実施形態において、DNAアンプリコンは、捕捉オリゴヌクレオチドを含む固体基板に非共有結合的に付着し、DNAアンプリコンまたはその一部は、捕捉オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズされる。幾つかの実施形態では、ビオチン化アンプリコンは、ストレプトアビジンまたはその変異体を含有する磁気ビーズに接触および/または付着する。
【0144】
上記したように、幾つかの実施形態において、対象サンプル内の被検物質の存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備える。前記生体分子は前記生体分子に共有結合する開裂可能部分と、前記生体分子の前記開裂可能部分に関連付けられる受容体と、を有し、開裂は前記対象サンプル中の前記被検物質の存在により触媒作用を受け、前記受容体は磁性ナノ粒子と結合可能である。前記方法は更に、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることにより、前記被検物質が存在する場合に、前記関連付けられる受容体により前記開裂可能部分を前記生体分子から開裂および除去する工程と、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を備える。
【0145】
幾つかの実施形態において、方法は更に、前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記被検物質の濃度を計算する工程を備える。
【0146】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備える。
【0147】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程の後であって前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備える。
【0148】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の後に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備える。
【0149】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記被検物質は、金属イオンである。
【0150】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、水である。
【0151】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する。
【0152】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である。
【0153】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記受容体は、前記dsDNAの前記二本鎖のうちの1つに共有結合している。
【0154】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAはDNAザイムを含み、前記DNAザイムは前記金属イオンによって活性化される。
【0155】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0156】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で付着している。
【0157】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、検出の感度限界は、前記被検物質の約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である。
【0158】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程は、約1μL/分から約20μL/分の流量で前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることを含む。
【0159】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の被検物質の存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備える。前記生体分子は抗原結合部位において抗体に結合する抗原部分を有し、前記抗体は、磁性ナノ粒子と結合するように構成された前記抗原結合部位とは別の部分を有する。前記方法は更に、前記対象サンプルと前記抗体との混合物を前記センサ上を通過させる工程を備え、前記対象サンプルに前記被検物質が存在する場合、前記抗体の前記抗原結合部位は前記被検物質と結合し、それにより前記生体分子の前記抗原部分への前記抗体の結合を妨げる。前記方法は更に、前記混合物を前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を備える。
【0160】
幾つかの実施形態において、方法は更に、前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記被検物質の濃度を計算する工程を備える。
【0161】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記混合物を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備えてもよい。
【0162】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記混合物を前記センサ上を通過させる工程の後であって前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備えてもよい。
【0163】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の後に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備えてもよい。
【0164】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記被検物質は、金属イオンである。
【0165】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、水である。
【0166】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する。
【0167】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、タンパク質である。
【0168】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記タンパク質は、ウシ血清アルブミンである。
【0169】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む、
【0170】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で付着している。
【0171】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、検出の感度限界は、前記金属イオンの約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である。
【0172】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記混合物を前記センサ上を通過させる工程は、約1μL/分から約20μL/分の流量で前記混合物質を前記センサ上を通過させることを含む。
【0173】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の被検物質の存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備える。前記生体分子は検出タンパク質と結合するように構成された結合領域を備え、前記検出タンパク質は前記被検物質とも結合可能である。前記検出タンパク質が前記被検物質に結合すると、前記生体分子の前記結合領域へ前記検出タンパク質が結合するのが妨げられる。前記方法は、前記検出タンパク質を前記センサ上を通過させる工程と、前記方法は更に、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程と、前記レポータータンパク質を前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、を更に備える。前記レポータータンパク質は、前記検出タンパク質に結合可能であり、且つ、磁気ナノ粒子と結合するように構成されている。前記方法は更に、前記レポータータンパク質を前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記金属イオンの存在を検出する工程と、を備える方法。
【0174】
幾つかの実施形態において、方法は更に、前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記被検物質の濃度を計算する工程を備えてもよい。
【0175】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、緩衝液洗浄を一回または複数回行う工程を更に備えてもよい。
【0176】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記検出タンパク質と前記対象サンプルとを前記センサ上を通過させる前に混合する。
【0177】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記検出タンパク質が前記センサ上を通過した後に、前記対象サンプルを前記センサ上を通過する。
【0178】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記被検物質は、金属イオンである。
【0179】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、水である。
【0180】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する。
【0181】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である。
【0182】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記検出タンパク質は、タグを有するヒ素結合調節タンパク質である。
【0183】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記検出タンパク質は、タグを有するカドミウム結合調節タンパク質である。
【0184】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記タグは、グルタチオンS−トランスフェラーゼである。
【0185】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記タグは、ポリヒスチジンである。
【0186】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記レポータータンパク質は、ビオチン化抗体である。
【0187】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記磁性粒子は、ストレプトアビジン結合ナノ粒子を含む。
【0188】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0189】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で付着している。
【0190】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、検出の感度限界は、前記金属イオンの約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である。
【0191】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程は、約1μL/分から約20μL/分の流量で前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることを含む。
【0192】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の被検物質の存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備える。前記生体分子は、関連付けられる磁気粒子を含む。前記方法は、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させて、前記被検物質が存在する場合、前記生体分子から前記関連付けられる磁性粒子を除去する工程と、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を備え、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0193】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の被検物質の存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された第1の生体分子を含むセンサを準備する工程を備える。前記第1の生体分子は、磁性粒子の結合部位を有する第2の生体分子のコンディショナル結合部位を有する。前記方法は更に、前記方法は更に、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程と、前記第2の生体分子を前記センサ上を通過させる工程と、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を備え、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0194】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記被検物質の存在により、前記第2の生体分子の結合が妨げられる。
【0195】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記被検物質の存在により、前記第2の生体分子と前記第1の生体分子との結合が可能となる。
【0196】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の被検物質の存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された第1の生体分子を含むセンサを準備する工程を備える。前記生体分子は、前記被検物質が存在する場合に磁性粒子が結合する結合部位を有する。前記方法は更に、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程と、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を備え、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0197】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記被検物質の濃度を計算する工程を更に備えてもよい。
【0198】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、DNAを含む。
【0199】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、タンパク質を含む。
【0200】
幾つかの実施形態において、上記に開示した方法を実行するように構成されたシステムを提供する。当該システムは、サンプル処理サブシステムと、a sensor subsystem comprisingポリマーコーティングされた表面に生体分子を有するGMRセンサを含むマイクロ流体ネットワークを備えるセンササブシステムと、信号をプロセッサへと伝播させるべく、複数の接点パッドに接続された複数の配線と、プロセッサと、前記サンプル処理サブシステムおよび前記センササブシステムにおいて、サンプル、試薬および溶媒を移動させるための空気圧制御サブシステムと、を備える。
【0201】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の金属イオンの存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備える。前記生体分子は、cleavage being catalyzed by the presence of the metal ion in the query sample,前記生体分子の前記開裂可能部分に関連付けられる受容体と、を有し、開裂は前記対象サンプル中の前記被検物質の存在により触媒作用を受け、前記受容体は磁性ナノ粒子と結合可能である。前記方法は更に、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることにより、前記金属イオンが存在する場合に、前記関連付けられる受容体により前記開裂可能部分を前記生体分子から開裂および除去する工程と、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、磁性粒子を通過させる前および後に前記GMRセンサの抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記金属イオンの存在を検出する工程と、を備える。
【0202】
ある実施形態において、上記の方法は更に、前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記金属イオンの濃度を計算する工程を備えてもよい。
【0203】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備えてもよい。
【0204】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程の後であって前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備えてもよい。
【0205】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の後に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備えてもよい。
【0206】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記金属イオンは鉛である。
【0207】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、水である。
【0208】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する。
【0209】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である。
【0210】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記受容体は、前記dsDNAの前記二本鎖のうちの1つに共有結合している。
【0211】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAはDNAザイムを含み、前記DNAザイムは前記金属イオンによって活性化される。
【0212】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0213】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で付着している。
【0214】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、検出の感度限界は、前記金属イオンの約10ナノモルから約1マイクロモルの範囲である。
【0215】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程は、約0.5μL/分から約5μL/分の流量で前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることを含む。新鮮なサンプルを絶えず供給しながら、前記サンプルがセンサ上を流れる。これにより、サンプル溶液に存在する金属イオンにdsDNAが最大限に晒されることになる。例えば、鉛イオンの場合、センサ上にサンプルを30分間流す。
【0216】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の鉛イオンの存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された二本鎖DNA(dsDNA)を含むセンサを準備する工程を備える。前記dsDNAは、当該dsDNAの二本鎖のうちの一方に開裂部分と、cleavage being catalyzed by the presence of lead ion in the query sample,前記開裂可能部分に関連付けられる受容体と、を有し、開裂は、前記対象サンプル内の鉛イオンの存在によって触媒され、前記受容体は磁性ナノ粒子と結合可能である。前記方法は更に、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることにより、前記鉛イオンが存在する場合に、前記関連付けられる受容体により前記開裂可能部分を前記dsDNAから開裂および除去する工程と、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、磁性粒子を通過させる前および後に前記GMRセンサの抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記鉛イオンの存在を検出する工程と、を備える。
【0217】
このような実施形態において、方法は更に、前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記鉛イオンの濃度を計算する工程を備えてもよい。
【0218】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備えてもよい。
【0219】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程の後であって前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備えてもよい。
【0220】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の後に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備えてもよい。
【0221】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、水である。
【0222】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する。
【0223】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記受容体は共有結合している。
【0224】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAはDNAザイムを含み、前記DNAザイムは前記鉛イオンによって活性化される。
【0225】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0226】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記dsDNAが、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で付着している。
【0227】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、検出の感度限界は、前記鉛イオンの約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である。
【0228】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程は、約0.5μL/分から約5μL/分の流量で前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることを含む。
【0229】
幾つかの実施形態において、センサが提供される。センサは、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を備える。前記生体分子は、前記生体分子に共有結合した開裂可能部分と、開裂可能部分に関連付けられる受容体と、を備える。前記受容体は、磁性ナノ粒子と結合可能であり、開裂は金属イオンの存在によって触媒され、前記開裂可能部分が開裂すると、前記受容体を伴う前記開裂可能部分は前記生体分子とはもはや共有結合しない。
【0230】
このような実施形態において、前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である。
【0231】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記受容体は、前記dsDNAの前記二本鎖のうちの1つに共有結合している。
【0232】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAはDNAザイムを含み、前記DNAザイムは前記金属イオンによって活性化される。
【0233】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で付着している。
【0234】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサーの表面は、架橋PEG−PHEMAポリマーを含む。
【0235】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記ポリマーは界面活性剤でコーティングされている。
【0236】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記界面活性剤はセチルトリメチルアンモニウムブロマイドである。
【0237】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、センサは更に、信号を前記センサからプロセッサへと伝播させるべく、複数の接点パッドに接続された複数の配線を備えてもよい。
【0238】
幾つかの実施形態において、センサが提供される。前記センサは、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された二本鎖DNA(dsDNA)を備える。前記dsDNAは、開裂可能部分と、前記開裂可能部分と関連付けられる受容体と、を備え、開裂は、鉛イオンの存在によって触媒され、前記受容体は、磁気ナノ粒子と結合可能であり、前記開裂可能部分が開裂すると、前記受容体を伴う前記開裂可能部分は前記dsDNAとはもはや共有結合しない。
【0239】
このような実施形態において、前記受容体は、前記dsDNAの前記二本鎖のうちの1つに共有結合している。
【0240】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAはDNAザイムを含み、前記DNAザイムは前記鉛イオンによって活性化される。
【0241】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記dsDNAが、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で付着している。
【0242】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサーの表面は、架橋PEG−PHEMAポリマーを含む。
【0243】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記ポリマーは界面活性剤でコーティングされている。
【0244】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記界面活性剤はセチルトリメチルアンモニウムブロマイドである。
【0245】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記センサは更に、信号を前記センサからプロセッサへと伝播させるべく、複数の接点パッドに接続された複数の配線を備えてもよい。
【0246】
幾つかの実施形態において、対象サンプル中の金属イオンを検出するのに使用されるカートリッジを提供する。カートリッジは、(a)巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを備える。前記生体分子は、前記生体分子に共有結合する開裂可能部分と、前記開裂可能部分に関連付けられる受容体と、を有し、開裂は、前記対象サンプル内の金属イオンの存在によって触媒され、前記受容体は磁性ナノ粒子と結合可能である。前記開裂可能部分が開裂すると、前記受容体を伴う前記開裂可能部分は前記生体分子とはもはや共有結合しない。前記カートリッジは、(b)対象サンプル、磁気ナノ粒子および必要に応じて使用される洗浄緩衝液を前記カートリッジへと導入するための一つまたは複数のポートと、(c)前記対象サンプル、前記磁性ナノ粒子および前記必要に応じて使用される洗浄緩衝液を前記一つまたは複数のポートから前記センサへと移動するためのマイクロ流体システムと、を更に備える。
【0247】
このような実施形態において、前記カートリッジは、廃棄物収集エリアを更に備えてもよい。
【0248】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である。
【0249】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記受容体は、前記dsDNAの前記二本鎖のうちの1つに共有結合している。
【0250】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAはDNAザイムを含み、前記DNAザイムは前記金属イオンによって活性化される。
【0251】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で付着している。
【0252】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサーの表面は、架橋PEG−PHEMAポリマーを含む。
【0253】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記ポリマーは界面活性剤でコーティングされている。
【0254】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記界面活性剤はセチルトリメチルアンモニウムブロマイドである。
【0255】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは更に、信号を前記センサからプロセッサへと伝播させるべく、複数の接点パッドに接続された複数の配線を備えてもよい。
【0256】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記対象サンプルをろ過するための一つまたは複数のフィルタを備えてもよい。
【0257】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記金属イオンは、鉛イオンである。
【0258】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記マイクロ流体システムは、空気圧によって制御される。
【0259】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記マイクロ流体スシステムにおける流量を制御するための一つまたは複数のハードウェアチップを更に備える。
【0260】
幾つかの実施形態において、対象サンプル中の鉛イオンを検出するのに使用されるカートリッジを提供する。カートリッジは、(a)巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された二本鎖DNA(dsDNA)を含むセンサを備える。前記dsDNAは、当該dsDNAの二本鎖のうちの一方に開裂部分と、開裂可能部分に関連付けられる受容体と、を備える。前記受容体は、磁性ナノ粒子と結合可能であり、開裂は前記対象サンプル中の鉛イオンの存在によって触媒される。前記開裂可能部分が開裂すると、前記受容体を伴う前記開裂可能部分は前記dsDNAとはもはや共有結合しない。前記カートリッジは、(b)対象サンプル、磁気ナノ粒子および必要に応じて使用される洗浄緩衝液を前記カートリッジへと導入するための一つまたは複数のポートと、(c)前記対象サンプル、前記磁性ナノ粒子および前記必要に応じて使用される洗浄緩衝液を前記一つまたは複数のポートから前記センサへと移動するためのマイクロ流体システムと、を更に備える。
【0261】
このような実施形態において、前記カートリッジは、廃棄物収集エリアを更に備えてもよい。
【0262】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAはDNAザイムを含み、前記DNAザイムは前記金属イオンによって活性化される。
【0263】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記dsDNAが、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で付着している。
【0264】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサーの表面は、架橋PEG−PHEMAポリマーを含む。
【0265】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記ポリマーは界面活性剤でコーティングされている。
【0266】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記界面活性剤はセチルトリメチルアンモニウムブロマイドである。
【0267】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは更に、信号を前記センサからプロセッサへと伝播させるべく、複数の接点パッドに接続された複数の配線を備えてもよい。
【0268】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記対象サンプルをろ過するための一つまたは複数のフィルタを備えてもよい。
【0269】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記マイクロ流体システムは、空気圧によって制御される。
【0270】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記マイクロ流体スシステムにおける流量を制御するための一つまたは複数のハードウェアチップを更に備える。
【0271】
幾つかの実施形態において、対象サンプル中の鉛イオンを検出するためのセンサを製造する方法を提供する。方法は、(a)巨大磁気抵抗(GMR)センサの表面に二本鎖DNA(dsDNA)を印刷する工程を備える。前記dsDNAは、当該dsDNAの二本鎖のうちの一方に開裂部分と、開裂可能部分に関連付けられる受容体と、を備える。前記受容体は、磁性ナノ粒子と結合可能であり、開裂は前記対象サンプル;中の鉛イオンの存在によって触媒される。前記開裂可能部分が開裂すると、前記受容体を伴う前記開裂可能部分は前記dsDNAとはもはや共有結合しない。前記GMRセンサは、前記dsDNAが印刷されたポリマーコーティングを備える。前記方法は更に、(b)前記印刷する工程の後に、前記ポリマーコーティングに一つまたは複数のブロッキング剤を添加することにより、ポリマーコーティングの表面を修飾(modify)する工程と、前記1つまたは複数のブロッキング剤を添加した後に、前記ポリマーコーティングに界面活性剤を添加する工程と、を備える。
【0272】
このような実施形態において、前記dsDNAはDNAザイムを含む。
【0273】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記ポリマーコーティングは、架橋PEG−PHEMAポリマーを含む。
【0274】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、緩衝液洗浄剤を使用した一つまたは複数の洗浄工程を更に備えてもよい。
【0275】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、緩衝液洗浄剤は、HEPES緩衝液である。
【0276】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、HEPES緩衝液の濃度は25mMである。
【0277】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記界面活性剤は、アセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)である。
【0278】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記CTABの濃度は、25mMのHEPESで1重量%である。
【0279】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の金属イオンの存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備える。前記生体分子は抗原結合部位において抗体に結合する抗原部分を有し、前記抗体は、磁性ナノ粒子と結合するように構成された前記抗原結合部位とは別の部分を有する。前記方法は更に、前記対象サンプルと前記抗体との混合物を前記センサ上を通過させる工程を備え、前記対象サンプルに前記金属イオンが存在する場合、前記抗体の前記抗原結合部位は前記被検物質と結合し、それにより前記生体分子の前記抗原部分への前記抗体の結合を妨げ、前記方法は更に、前記混合物を前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、磁性粒子を通過させる前および後に前記GMRセンサの抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記金属イオンの存在を検出する工程と、を備える。
【0280】
このような実施形態において、方法は更に、前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記金属イオンの濃度を計算する工程を備えてもよい。
【0281】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記混合物を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備えてもよい。
【0282】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記混合物を前記センサ上を通過させる工程の後であって前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備えてもよい。
【0283】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の後に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備えてもよい。
【0284】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記金属イオンは水銀である。
【0285】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、水である。
【0286】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する。
【0287】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、タンパク質である。
【0288】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記タンパク質は、変性ウシ血清アルブミンである。幾つかの実施形態において、前記変性ウシ血清アルブミンは、HgBSAであり、製品名は次の通りである。Hg
2+[BSA](Cat.No:DAGA−007B)クリエイティブダイアグノスティックス社、所在地、ラムジーロードシャーリー、ニューヨーク11967、米国。幾つかの実施形態において、HgBSAと組み合わせられる抗体はHgAbであり、製品名は次の通りである。RHA抗Hg
2+モノクローナル抗体、クローンHg2(Cat.No:HMABPY007)、クリエイティブダイアグノスティックス社製。
【0289】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0290】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、検出の感度限界は、前記金属イオンの約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である。
【0291】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記サンプルは、ループ状にセンサ上を流れる。上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、新鮮なサンプルを絶えず供給しながら、前記サンプルがセンサ上を流れる。上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、B−HgAb(検出抗体)は、約0.1μg/mLの作業濃度で、対象サンプルを含む水銀イオンに添加される。溶液中の水銀イオン(II)は、HgAbの結合部位に対して、HgBSA基質と競合する。高濃度のHgを含有する溶液では、HgBSAに結合できるHgAbはごく僅かである。培養は、GMRセンサに1μl/分〜5μl/分の流量で流しながら行う。Hgに結合していないHgAbが結合するのに十分な時間を確保するため、センサ上に新鮮なサンプルの供給が継続的に行われてもよい。上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルの反応は、約30分間であってもよい。
【0292】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の水銀イオンの存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置されたタンパク質を含むセンサを準備する工程を備える。前記タンパク質は、抗原結合部位において抗体に結合可能な抗原部分を含み、前記抗体は、磁性ナノ粒子と結合するように構成された前記抗原結合部位とは別の部分を有する。前記方法は更に、前記対象サンプルと前記抗体との混合物を前記センサ上を通過させる工程を備え、前記対象サンプルに前記水銀イオンが存在する場合、前記抗体の前記抗原結合部位は前記被検物質と結合し、それにより前記タンパク質の前記抗原部分への前記抗体の結合を妨げ、前記方法は更に、前記混合物を前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記水銀イオンの存在を検出する工程と、を備える。幾つかのこのような実施形態において、前記方法は、Hg
2+イオンを検出するのに使用される。
【0293】
このような実施形態において、方法は更に、前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記水銀イオンの濃度を計算する工程を備えてもよい。
【0294】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、方法は、前記混合物を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備えてもよい。
【0295】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記方法は、前記混合物を前記センサ上を通過させる工程の後であって前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備えてもよい。
【0296】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記方法は、前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の後に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を備えてもよい。
【0297】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、水である。
【0298】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する。
【0299】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記タンパク質は、変性ウシ血清アルブミンである。幾つかの実施形態において、前記変性ウシ血清アルブミンは、HgBSAであり、製品名は次の通りである。Hg
2+[BSA](Cat.No:DAGA−007B)クリエイティブダイアグノスティックス社、所在地、ラムジーロードシャーリー、ニューヨーク11967、米国。幾つかの実施形態において、HgBSAと組み合わせられる抗体はHgAbであり、製品名は次の通りである。RHA抗Hg
2+モノクローナル抗体、クローンHg2(Cat.No:HMABPY007)、クリエイティブダイアグノスティックス社製。
【0300】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0301】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記サンプルは、ループ状にセンサ上を流れる。上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、新鮮なサンプルを絶えず供給しながら、前記サンプルがセンサ上を流れる。上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、B−HgAb(検出抗体)は、約0.1μg/mLの作業濃度で、対象サンプルを含む水銀イオンに添加される。溶液中の水銀イオン(II)は、HgAbの結合部位に対して、HgBSA基質と競合する。高濃度のHgを含有する溶液では、HgBSAに結合できるHgAbはごく僅かである。培養は、GMRセンサに1μl/分〜5μl/分の流量で流しながら行う。Hgに結合していないHgAbが結合するのに十分な時間を確保するため、センサ上に新鮮なサンプルの供給が継続的に行われてもよい。上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルの反応は、約30分間であってもよい。
【0302】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、検出の感度限界は、前記水銀イオンの約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である。
【0303】
幾つかの実施形態において、センサが提供される。センサは、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置されたタンパク質を備える。前記タンパク質は抗原部分を有する。このような実施形態において、前記タンパク質は、変性ウシ血清アルブミンである。幾つかの実施形態において、前記変性ウシ血清アルブミンは、HgBSAであり、製品名は次の通りである。Hg
2+[BSA](Cat.No:DAGA−007B)クリエイティブダイアグノスティックス社、所在地、ラムジーロードシャーリー、ニューヨーク11967、米国。幾つかの実施形態において、HgBSAと組み合わせられる抗体はHgAbであり、製品名は次の通りである。RHA抗Hg
2+モノクローナル抗体、クローンHg2(Cat.No:HMABPY007)、クリエイティブダイアグノスティックス社製。
【0304】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、界面活性剤を前記GMRセンサの前記ポリマーコーティングされた表面上に配置してもよい。このような実施形態において、前記界面活性剤はカチオン性である。このような実施形態において、前記界面活性剤はセチルトリメチルアンモニウムブロマイドである。
【0305】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記タンパク質は、印刷によりGMRセンサ上で空間的に整列されている。
【0306】
幾つかの実施形態において、センサが提供される。センサは、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された変性ウシ血清アルブミン(BSA)を備える。前記変性ウシ血清アルブミンは、抗原結合部位において抗体に結合する抗原部分を有する。幾つかの実施形態において、前記変性ウシ血清アルブミンは、HgBSAであり、製品名は次の通りである。Hg
2+[BSA](Cat.No:DAGA−007B)クリエイティブダイアグノスティックス社、所在地、ラムジーロードシャーリー、ニューヨーク11967、米国。幾つかの実施形態において、HgBSAと組み合わせられる抗体はHgAbであり、製品名は次の通りである。RHA抗Hg
2+モノクローナル抗体、クローンHg2(Cat.No:HMABPY007)、クリエイティブダイアグノスティックス社製。
【0307】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記センサは更に、前記GMRセンサの前記ポリマーコーティングされた表面上に配置された界面活性剤を備えてもよい。このような実施形態において、前記界面活性剤はカチオン性である。このような実施形態において、前記界面活性剤はセチルトリメチルアンモニウムブロマイドである。
【0308】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記変性ウシ血清アルブミンは、印刷によりGMRセンサ上で空間的に整列されている。
【0309】
幾つかの実施形態において、対象サンプル中の金属イオンを検出するのに使用されるカートリッジを提供する。カートリッジは、(a)巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置されたタンパク質を含むセンサを備える。前記タンパク質は抗原部分を有する。前記カートリッジは更に、(b)対象サンプルをどう有するためのポートと、(c)磁気ナノ粒子の貯蔵源と、(d)抗体の貯蔵源と、を備える。前記抗体は、前記抗原部分に結合することができる抗原結合部位と、前記磁性ナノ粒子に結合するように構成された前記抗原結合部位とは別の部分とを有する。前記カートリッジは、(e)前記対象サンプル、前記磁性ナノ粒子および前記抗体を移動させるための空気圧制御マイクロ流体システムを更に備える。
【0310】
このような実施形態において、前記カートリッジは、廃棄物収集エリアを更に備える。
【0311】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記タンパク質は、変性ウシ血清アルブミンである。幾つかの実施形態において、前記変性ウシ血清アルブミンは、HgBSAであり、製品名は次の通りである。Hg
2+[BSA](Cat.No:DAGA−007B)クリエイティブダイアグノスティックス社、所在地、ラムジーロードシャーリー、ニューヨーク11967、米国。幾つかの実施形態において、HgBSAと組み合わせられる抗体はHgAbであり、製品名は次の通りである。RHA抗Hg
2+モノクローナル抗体、クローンHg2(Cat.No:HMABPY007)、クリエイティブダイアグノスティックス社製。
【0312】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、界面活性剤が、ポリマーコーティングされたGMRセンサ上に配置されている。このような実施形態において、前記界面活性剤はセチルトリメチルアンモニウムブロマイドである。
【0313】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記センサは、前記センサからプロセッサに電子信号を伝えるための複数の接点ピンと電子通信するように構成されている。
【0314】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記対象サンプルをろ過するための一つまたは複数のフィルタを備えてもよい。
【0315】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記マイクロ流体スシステムにおける−制御するための一つまたは複数のハードウェアチップを更に備える。
【0316】
幾つかの実施形態において、対象サンプル中の水銀イオンを検出するのに使用されるカートリッジを提供する。カートリッジは、(a)巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された変性ウシ血清アルブミン(BSA)を有するセンサを備える。前記変性BSAは、抗原部分を有する。前記カートリッジは更に、(b)対象サンプルをどう有するためのポートと、(c)磁気ナノ粒子の貯蔵源と、(d)抗体の貯蔵源と、を備える。前記抗体は、前記抗原部分に結合することができる抗原結合部位と、前記磁性ナノ粒子に結合するように構成された前記抗原結合部位とは別の部分とを有する。前記カートリッジは、(e)前記対象サンプル、前記磁性ナノ粒子および前記抗体を移動させるための空気圧制御マイクロ流体システムを更に備える。幾つかの実施形態において、前記変性ウシ血清アルブミンは、HgBSAであり、製品名は次の通りである。Hg
2+[BSA](Cat.No:DAGA−007B)クリエイティブダイアグノスティックス社、所在地、ラムジーロードシャーリー、ニューヨーク11967、米国。幾つかの実施形態において、HgBSAと組み合わせられる抗体はHgAbであり、製品名は次の通りである。RHA抗Hg
2+モノクローナル抗体、クローンHg2(Cat.No:HMABPY007)、クリエイティブダイアグノスティックス社製。
【0317】
このような実施形態において、前記カートリッジは、廃棄物収集エリアを更に備えてもよい。
【0318】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、界面活性剤が、ポリマーコーティングされたGMRセンサ上に配置されてもよい。このような実施形態において、前記界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロミドであってもよい。
【0319】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記センサは、前記センサからプロセッサに電子信号を伝えるための複数の接点ピンと電子通信するように構成されている。
【0320】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記対象サンプルをろ過するための一つまたは複数のフィルタを備えてもよい。
【0321】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記空気圧制御されるマイクロ流体スシステムを制御するための一つまたは複数のハードウェアチップを更に備える。
【0322】
幾つかの実施形態において、対象サンプル中の水銀イオンを検出するためのセンサを製造する方法を提供する。方法は、ポリマーコーティングされたGMRセンサ上に、抗原部分を含むタンパク質を印刷する工程を備える。幾つかの実施形態において、前記タンパク質は、変性ウシ血清アルブミンである。幾つかの実施形態において、前記変性ウシ血清アルブミンは、HgBSAであり、製品名は次の通りである。Hg
2+[BSA](Cat.No:DAGA−007B)クリエイティブダイアグノスティックス社、所在地、ラムジーロードシャーリー、ニューヨーク11967、米国。幾つかの実施形態において、HgBSAと組み合わせられる抗体はHgAbであり、製品名は次の通りである。RHA抗Hg
2+モノクローナル抗体、クローンHg2(Cat.No:HMABPY007)、クリエイティブダイアグノスティックス社製。
【0323】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記ポリマーコーティングは、架橋PEG−PHEMAポリマーである。
【0324】
幾つかの実施形態において、対象サンプル内の金属イオンの存在を検出方法を提供する。方法は、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備える。前記生体分子は検出タンパク質と結合するように構成された結合領域を備え、前記検出タンパク質は前記金属イオンとも結合可能である。前記検出タンパク質が前記金属イオンに結合すると、前記生体分子の前記結合領域へ前記検出タンパク質が結合するのが妨げられる。前記方法は、前記検出タンパク質を前記センサ上を通過させる工程と、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程と、前記レポータータンパク質を前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、を更に備える。前記レポータータンパク質は、前記検出タンパク質に結合可能であり、且つ、磁気ナノ粒子と結合するように構成されている。前記方法は更に、前記レポータータンパク質を前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記金属イオンの存在を検出する工程と、を備える。
【0325】
このような実施形態において、方法は更に、前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記金属イオンの濃度を計算する工程を備えてもよい。
【0326】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記方法は、緩衝液洗浄を一回または複数回行う工程を更に備えてもよい。
【0327】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記検出タンパク質と前記対象サンプルとを前記センサ上を通過させる前に混合する。
【0328】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記検出タンパク質が前記センサ上を通過した後に、前記対象サンプルが前記センサ上を通過する。
【0329】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記金属イオンはヒ素である。
【0330】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記金属イオンはカドミニウムである。
【0331】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、水である。
【0332】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する。
【0333】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記検出タンパク質は、タグを有するヒ素結合調節タンパク質である。
【0334】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記検出タンパク質は、タグを有するカドミウム結合調節タンパク質である。
【0335】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記タグは、グルタチオンS−トランスフェラーゼである。
【0336】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記タグは、ポリヒスチジンである。
【0337】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である。
【0338】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのフォワードストランド(順方向鎖)の配列は、5’−CTT ACA CAT TCG TTA AGT CAT ATA TGT TTTATGA CTT ATC CGC TTC GAA GA/3AmMC6T/−3’(SEQ ID NO.1)である。
【0339】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのリバースストランド(逆方向鎖)の配列は、5’−TCT TCG AAG CGG ATA AGT CAA AAA CAT ATA TG ACTT AAC GAA TGT GTA AG−3’(SEQ ID NO.2)である。
【0340】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのフォワードストランド(順方向鎖)の配列は、5’−TGA GTC GAA AAT GGT TAT AAT ACA CTC AAA TAA ATA TTT GAA TGA AGA TG/3AmMC6T/−3’(SEQ ID NO.3)である。
【0341】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのリバースストランド(逆方向鎖)の配列は、5’−CAT CTT CAT TCA AAT ATT TAT TTG AGT GTA TTA TAA CCA TTT TCG ACT CA −3’(SEQ ID NO.4)である。
【0342】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記レポータータンパク質は、ビオチン化抗体である。
【0343】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記磁性粒子は、ストレプトアビジン結合ナノ粒子を含む。
【0344】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む。
【0345】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で前記バイオセンサに付着している。
【0346】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、Pcad−Ocad−F−Amineストランドが、10μM〜25μMの濃度で前記表面に印刷されてもよい。
【0347】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、検出の感度限界は、前記金属イオンの約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である。
【0348】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程は、約1μL/分および約5μL/分の流量で前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることを含む。このような実施形態において、反応時間は約30分であってもよい。ある実施形態において、印刷されたPcad−Ocad−Fを介したビオチン化Pcad−Ocad−Rの流れを検査することにより、この反応時間で十分であると判断された。ストレプトアビジン標識された磁性ナノ粒子が導入された時に信号が得られ、2つのPcad−Ocadストランドのハイブリダイゼーションが起こっていることが確認された。ある実施形態において、利用可能なFストランドの最高濃度に少なくとも等しい濃度において、Rストランドのハイブリダイゼーションが行われる。
【0349】
ある実施形態において、金属イオンを検出するためのセンサが提供される。前記センサは、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を備える。前記生体分子は検出タンパク質と結合するように構成された結合領域を備え、前記検出タンパク質は前記金属イオンとも結合可能である。前記検出タンパク質が前記金属イオンに結合すると、前記生体分子の前記結合領域へ前記検出タンパク質が結合するのが妨げられる。
【0350】
このような実施形態において、前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である。
【0351】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのフォワードストランドは、配列5’−CTT ACA CAT TCG TTA AGT CAT ATA TGT TTTATGA CTT ATC CGC TTC GAA GA/3AmMC6T/−3’(SEQ ID NO.1)を有する。
【0352】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのリバースストランドは、配列5’−TCT TCG AAG CGG ATA AGT CAA AAA CAT ATA TG ACTT AAC GAA TGT GTA AG −3’(SEQ ID NO.2)を有する。
【0353】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのフォワードストランドは、配列5’−TGA GTC GAA AAT GGT TAT AAT ACA CTC AAA TAA ATA TTT GAA TGA AGA TG/3AmMC6T/−3’(SEQ ID NO.3)を有する。
【0354】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのリバースストランドは、配列5’−CAT CTT CAT TCA AAT ATT TAT TTG AGT GTA TTA TAA CCA TTT TCG ACT CA −3’(SEQ ID NO.4)を有する。
【0355】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で前記バイオセンサに付着している。
【0356】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサーの表面は、架橋PEG−PHEMAを含むポリマーを備える。
【0357】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記ポリマーコーティングされた表面における前記ポリマーは、界面活性剤でオーバーコートされている。前記界面活性剤はセチルトリメチルアンモニウムブロマイドである。
【0358】
一のまたは複数の実施形態において、前記センサは更に、信号を前記センサからプロセッサへと伝播させるべく、複数の接点パッドに接続された複数の配線を備えてもよい。
【0359】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記金属イオンは、ヒ素またはカドミウムを含む。
【0360】
幾つかの実施形態において、対象サンプル中の金属イオンを検出するのに使用されるカートリッジを提供する。カートリッジはセンサを備える。センサは、巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を備える。前記生体分子は検出タンパク質と結合するように構成された結合領域を備え、前記検出タンパク質は前記金属イオンとも結合可能である。前記検出タンパク質が前記金属イオンに結合すると、前記生体分子の前記結合領域へ前記検出タンパク質が結合するのが妨げられる。前記カートリッジは、(b)対象サンプル、磁気ナノ粒子および必要に応じて使用される洗浄緩衝液を前記カートリッジへと導入するための一つまたは複数のポートと、(c)前記対象サンプル、前記磁性ナノ粒子および前記必要に応じて使用される洗浄緩衝液を前記一つまたは複数のポートから前記センサへと移動するためのマイクロ流体システムと、を更に備える。
【0361】
このような実施形態において、前記カートリッジは、廃棄物収集エリアを更に備えてもよい。
【0362】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である。
【0363】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのフォワードストランドは、配列5’−CTT ACA CAT TCG TTA AGT CAT ATA TGT TTTATGA CTT ATC CGC TTC GAA GA/3AmMC6T/−3’(SEQ ID NO.1)を有する。
【0364】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのリバースストランドは、配列5’−TCT TCG AAG CGG ATA AGT CAA AAA CAT ATA TG ACTT AAC GAA TGT GTA AG −3’(SEQ ID NO.2)を有する。
【0365】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのフォワードストランドは、配列5’−TGA GTC GAA AAT GGT TAT AAT ACA CTC AAA TAA ATA TTT GAA TGA AGA TG/3AmMC6T/−3’(SEQ ID NO.3)を有する。
【0366】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのリバースストランドは、配列5’−CAT CTT CAT TCA AAT ATT TAT TTG AGT GTA TTA TAA CCA TTT TCG ACT CA −3’(SEQ ID NO.4)を有する。
【0367】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で前記バイオセンサに付着している。
【0368】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記GMRセンサーの表面は、架橋PEG−PHEMAポリマーを含む。
【0369】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記ポリマーは界面活性剤でコーティングされている。このような実施形態において、前記界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロミドであってもよい。
【0370】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、カートリッジ内の前記センサは更に、信号を前記センサからプロセッサへと伝播させるべく、複数の接点パッドに接続された複数の配線を備えてもよい。
【0371】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記対象サンプルをろ過するための一つまたは複数のフィルタを備えてもよい。
【0372】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記金属イオンは、ヒ素またはカドミウムを含む。
【0373】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記マイクロ流体システムは、空気圧によって制御される。
【0374】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記カートリッジは、前記マイクロ流体スシステムにおける流量を制御するための一つまたは複数のハードウェアチップを更に備える。
【0375】
ある実施形態において、対象サンプル内のヒ素イオンまたはカドミウムイオンを検出するセンサの製造方法を提供する。方法は、(a)巨大磁気抵抗(GMR)センサの表面に二本鎖DNA(dsDNA)を印刷する工程を備える。前記dsDNAは検出タンパク質と結合するように構成された結合領域を備え、前記検出タンパク質は前記ヒ素イオンまたはカドミウムイオンとも結合可能である。前記検出タンパク質が前記金属イオンに結合すると、前記生体分子の前記結合領域へ前記検出タンパク質が結合するのが妨げられる。前記GMRセンサは、前記dsDNAが印刷されたポリマーコーティングを備える。前記方法は更に、(b)前記印刷する工程の後に、前記ポリマーコーティングに一つまたは複数のブロッキング剤を:添加することにより、ポリマーコーティングの表面を修飾(modify)する工程と、前記1つまたは複数のブロッキング剤を添加した後に、必要に応じて前記ポリマーコーティングに界面活性剤を添加する工程と、を備える。
【0376】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのフォワードストランドは、配列5’−CTT ACA CAT TCG TTA AGT CAT ATA TGT TTTATGA CTT ATC CGC TTC GAA GA/3AmMC6T/−3’(SEQ ID NO.1)を有する。
【0377】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのリバースストランドは、配列5’−TCT TCG AAG CGG ATA AGT CAA AAA CAT ATA TG ACTT AAC GAA TGT GTA AG−3’(SEQ ID NO.2)を有する。
【0378】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのフォワードストランドは、配列5’−TGA GTC GAA AAT GGT TAT AAT ACA CTC AAA TAA ATA TTT GAA TGA AGA TG/3AmMC6T/ − 3’(SEQ ID NO.3)を有する。
【0379】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記dsDNAのリバースストランドは、配列5’−CAT CTT CAT TCA AAT ATT TAT TTG AGT GTA TTA TAA CCA TTT TCG ACT CA −3’(SEQ ID NO.4)を有する。
【0380】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×10
9〜約5×10
10個/mm
2の密度で前記バイオセンサに付着している。
【0381】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、Pcad−Ocad−F−Amineストランドが、10μM〜25μMの濃度で前記表面に印刷されている。
【0382】
上記の幾つかの実施形態のうちの一つまたは複数において、前記ポリマーコーティングは、架橋PEG−PHEMAポリマーを含む。
【0383】
本明細書に開示される全ての実施形態について、被検物質を検出する方法を実行するために任意の態様で組み合わせることができ、このような方法は、様々なシステム構成要素を説明する本明細書に開示する実施形態の任意の組み合わせを使用して実行可能であることが理解されるであろう。
【0384】
上記の例示的な実施形態において本開示の原理が明確にされたが、本開示の実施に使用される構造、配置、比率、要素、材料および構成要素に対して様々な変形を加えることが可能であることは当業者であれば理解できる。
【0385】
従って、そのような変形例であっても本開示の特徴は完全におよび有効に達成されるだろう。上記の好ましい具体的な実施形態は、本開示の機能的および構造的な原理を例示することを目的として説明および図示したものであり、そのような原理の範囲内において変更され得る。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲に含まれる全ての変形例について包含する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
対象サンプル内の被検物質の存在を検出する方法であって、
巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備え、
前記生体分子は、
前記生体分子に共有結合する開裂可能部分と、
前記生体分子の前記開裂可能部分に関連付けられる受容体と、を有し、
開裂は前記対象サンプル中の前記被検物質の存在により触媒作用を受け、前記受容体は磁性ナノ粒子と結合可能であり、
前記方法は更に、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることにより、前記被検物質が存在する場合に、前記関連付けられる受容体により前記開裂可能部分を前記生体分子から開裂および除去する工程と、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、
前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を備える方法。
(項目2)
前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記被検物質の濃度を計算する工程を更に備える、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備える、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程の後であって前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備える、項目1から3の何れか一項に記載の方法。
(項目5)
前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の後に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備える、項目1から4の何れか一項に記載の方法。
(項目6)
前記被検物質は、金属イオンである、項目1から5の何れか一項に記載の方法。
(項目7)
前記対象サンプルは、水である、項目1から6の何れか一項に記載の方法。
(項目8)
前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する、項目1から6の何れか一項に記載の方法。
(項目9)
前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である、項目1から7の何れか一項に記載の方法。
(項目10)
前記受容体は、前記dsDNAの前記二本鎖のうちの1つに共有結合している、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記dsDNAはDNAザイムを含み、前記DNAザイムは前記金属イオンによって活性化される、項目9または項目10に記載の方法。
(項目12)
前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む、項目1から11の何れか一項に記載の方法。
(項目13)
複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×109〜約5×1010個/mm2の密度で付着している、項目1から12の何れか一項に記載の方法。
(項目14)
検出の感度限界は、前記被検物質の約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である、項目1から13の何れか一項に記載の方法。
(項目15)
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程は、約1μL/分から約20μL/分の流量で前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることを含む、項目1から14の何れか一項に記載の方法。
(項目16)
対象サンプル内の被検物質の存在を検出する方法であって、
巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備え、
前記生体分子は、
抗体の抗原結合部位に結合する抗原部分を有し、前記抗体は、磁性ナノ粒子と結合するように構成された前記抗原結合部位とは別の部分を有し、
前記方法は更に、前記対象サンプルと前記抗体との混合物を前記センサ上を通過させる工程を備え、
前記対象サンプルに前記被検物質が存在する場合、前記抗体の前記抗原結合部位は前記被検物質と結合することにより前記生体分子の前記抗原部分への前記抗体の結合を妨げ、
前記方法は更に、前記混合物を前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、
前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を備える方法。
(項目17)
前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記被検物質の濃度を計算する工程を更に備える、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記混合物を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備える、項目16または17に記載の方法。
(項目19)
前記混合物を前記センサ上を通過させる工程の後であって前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の前に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備える、項目16から18の何れか一項に記載の方法。
(項目20)
前記磁気粒子を前記センサ上を通過させる工程の後に、前記センサの緩衝液洗浄を行う工程を更に備える、項目16から19の何れか一項に記載の方法。
(項目21)
前記被検物質は、金属イオンである、項目16から20の何れか一項に記載の方法。
(項目22)
前記対象サンプルは、水である、項目16から21の何れか一項に記載の方法。
(項目23)
前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する、項目16から21の何れか一項に記載の方法。
(項目24)
前記生体分子は、タンパク質である、項目16から23の何れか一項に記載の方法。
(項目25)
前記タンパク質は、ウシ血清アルブミンである、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む、項目16から25の何れか一項に記載の方法。
(項目27)
複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×109〜約5×1010個/mm2の密度で付着している、項目16から26の何れか一項に記載の方法。
(項目28)
検出の感度限界は、前記金属イオンの約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である、項目16から27の何れか一項に記載の方法。
(項目29)
前記混合物を前記センサ上を通過させる工程は、約1μL/分から約20μL/分の流量で前記混合物を前記センサ上を通過させることを含む、項目16から28の何れか一項に記載の方法。
(項目30)
対象サンプル内の被検物質の存在を検出する方法であって、
巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備え、
前記生体分子は、
検出タンパク質と結合するように構成された結合領域を備え、前記検出タンパク質は前記被検物質とも結合可能であり、
前記検出タンパク質が前記被検物質に結合すると、前記生体分子の前記結合領域へ前記検出タンパク質が結合するのが妨げられ、
前記方法は更に、
前記検出タンパク質を前記センサ上を通過させる工程と、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程と、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させた後、レポータータンパク質を前記センサ上を通過させる工程と、を備え、
前記レポータータンパク質は前記検出タンパク質を結合可能であり、且つ、磁性ナノ粒子に結合するように構成されており、
前記方法は更に、
前記レポータータンパク質を前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、
前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記金属イオンの存在を検出する工程と、を備える方法。
(項目31)
前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記被検物質の濃度を計算する工程を更に備える、項目30に記載の方法。
(項目32)
緩衝液洗浄を一回または複数回行う工程を更に備える、項目30または31に記載の方法。
(項目33)
前記検出タンパク質と前記対象サンプルとを前記センサ上を通過させる前に混合する項目30から32の何れか一項に記載の方法。
(項目34)
前記検出タンパク質が前記センサ上を通過した後に、前記対象サンプルが前記センサ上を通過する、項目30から33の何れか一項に記載の方法。
(項目35)
前記被検物質は、金属イオンである、項目30から34の何れか一項に記載の方法。
(項目36)
前記対象サンプルは、水である、項目30から35の何れか一項に記載の方法。
(項目37)
前記対象サンプルは、被験者の血液に由来する、項目30から35の何れか一項に記載の方法。
(項目38)
前記生体分子は、二本鎖DNA(dsDNA)である、項目30から37の何れか一項に記載の方法。
(項目39)
前記検出タンパク質は、タグを有するヒ素結合調節タンパク質である、項目30から38の何れか一項に記載の方法。
(項目40)
前記検出タンパク質は、タグを有するカドミウム結合調節タンパク質である、項目30から38の何れか一項に記載の方法。
(項目41)
前記タグは、グルタチオンS−トランスフェラーゼである、項目39または項目40に記載の方法。
(項目42)
前記タグは、ポリヒスチジンである、項目39または項目40に記載の方法。
(項目43)
前記レポータータンパク質は、ビオチン化抗体である、項目30から42の何れか一項に記載の方法。
(項目44)
前記磁性粒子は、ストレプトアビジン結合ナノ粒子を含む、項目30から43の何れ
か一項に記載の方法。
(項目45)
前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む、項目30から44の何れか一項に記載の方法。
(項目46)
複数の前記生体分子が、前記センサの前記表面に約1×109〜約5×1010個/mm2の密度で付着している、項目30から45の何れか一項に記載の方法。
(項目47)
検出の感度限界は、前記金属イオンの約1ナノモルから約10ナノモルの範囲である、項目30から46の何れか一項に記載の方法。
(項目48)
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程は、約1μL/分から約20μL/分の流量で前記対象サンプルを前記センサ上を通過させることを含む、項目30から47の何れか一項に記載の方法。
(項目49)
対象サンプル内の被検物質の存在を検出する方法であって、
巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された生体分子を含むセンサを準備する工程を備え、
前記生体分子は、関連付けられる磁気粒子を含み、
前記方法は更に、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させて、前記被検物質が存在する場合、前記生体分子から前記関連付けられる磁性粒子を除去する工程と、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を備え、
前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む、方法。
(項目50)
対象サンプル内の被検物質の存在を検出する方法であって、
巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された第1の生体分子を含むセンサを準備する工程を備え、
前記第1の生体分子は、磁性粒子との結合部位を有する第2の生体分子のコンディショナル結合部位(conditional binding site)を有し、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程と、
前記第2の生体分子を前記センサ上を通過させる工程と、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、
前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を更に備え、
前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む、方法。
(項目51)
前記被検物質の存在により、前記第2の生体分子の結合が妨げられる、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記被検物質の存在により、前記第2の生体分子と前記第1の生体分子との結合が可能となる、項目50に記載の方法。
(項目53)
対象サンプル内の被検物質の存在を検出する方法であって、
巨大磁気抵抗(GMR)センサのポリマーコーティングされた表面に配置された第1の生体分子を含むセンサを準備する工程を備え、
前記生体分子は、前記被検物質が存在する場合に磁性粒子が結合する結合部位を有し、
前記方法は更に、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させる工程と、
前記対象サンプルを前記センサ上を通過させた後に、磁性粒子を前記センサ上を通過させる工程と、
前記磁性粒子を前記センサ上を通過させる前および後に抵抗値を読み取ることに基づいて、前記GMRセンサの抵抗変化を測定することにより、前記対象サンプル内の前記被検物質の存在を検出する工程と、を備え、
前記GMRセンサの抵抗変化を測定することは、少なくとも1つの基準抵抗器を使用して前記GMRセンサの抵抗変化の位相敏感解を求めることを含む、方法。
(項目54)
前記GMRセンサの前記抵抗変化に基づいて、前記対象サンプル内の前記被検物質の濃度を計算する工程を更に備える、項目49から53の何れか一項記載の方法。
(項目55)
前記生体分子は、DNAを含む、項目49から54の何れか一項記載の方法。
(項目56)
前記生体分子は、タンパク質を含む、項目49から54の何れか一項記載の方法。
(項目57)
項目1から56の何れか一項に記載の方法を実行するように構成されたシステムであって、
サンプル処理サブシステムと、
ポリマーコーティングされた表面に生体分子を有するGMRセンサを含むマイクロ流体ネットワークを備えるセンササブシステムと、
信号をプロセッサへと伝播させるべく、複数の接点パッドに接続された複数の配線と、
プロセッサと、
前記サンプル処理サブシステムおよび前記センササブシステムにおいて、サンプル、試薬および溶媒を移動させるための空気圧制御サブシステムと、を備えるシステム。