特許第6982110号(P6982110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982110
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】電動ポンプの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/04 20060101AFI20211206BHJP
   F04D 13/06 20060101ALI20211206BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20211206BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20211206BHJP
   H02K 3/52 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H02K15/04 E
   F04D13/06 H
   F04D29/60 E
   H02K3/50 A
   H02K3/52 E
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-22039(P2020-22039)
(22)【出願日】2020年2月13日
(65)【公開番号】特開2021-129376(P2021-129376A)
(43)【公開日】2021年9月2日
【審査請求日】2020年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100135622
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 挙人
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 武
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−196754(JP,A)
【文献】 特開2019−210924(JP,A)
【文献】 特開2019−126142(JP,A)
【文献】 特開2006−166598(JP,A)
【文献】 特開2014−176211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/30− 3/52
H02K 15/00−15/02
H02K 15/04−15/16
F04D 13/06
F04D 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラ、前記インペラに連結されたロータ、前記ロータを収容したハウジング、前記ハウジングの外側を包囲した固定子、及びバスバーユニット、を備えた電動ポンプの製造方法であって、
前記バスバーユニットは、略C字状の第1リング部、前記第1リング部よりも径方向外側に位置し略C字状の第2リング部、前記第1リング部から径方向外側に延びて前記第2リング部に連結した複数の連結部、前記第1リング部の径方向外側の外周縁から径方向外側に延びて途中で湾曲して径方向内側に延びた第1フック部、及び前記第2リング部の径方向外側の外周縁から径方向外側に延びて途中で湾曲して径方向内側に延びた第2フック部、を含み、
前記固定子は、前記ハウジングを外側から包囲した複数の分割鉄心、前記複数の分割鉄心のそれぞれに取り付けられた複数の分割コイルボビン、及び前記複数の分割コイルボビンにそれぞれ巻回された複数の分割コイル、を含み、
前記複数の分割コイルからそれぞれ引き出した引出部をそれぞれ前記第1及び第2フック部に係合させて溶接する接続工程と、
前記接続工程の後に前記連結部を切断する切断工程と、を備えた電動ポンプの製造方法。
【請求項2】
前記接続工程では、前記第1フック部を露出する第1開口を有した絶縁シートで前記バスバーユニット上を覆った状態で、前記引出部が前記絶縁シートを介して前記第2リング部に直接接触しないようにしつつ前記第1フック部に導通接続する、請求項1の電動ポンプの製造方法。
【請求項3】
前記第1フック部は、前記第1リング部の周方向に離れて複数設けられており、
前記連結部の少なくとも一つは、前記第1リング部の周方向の第1端部に最も近くに設けられた前記第1フック部よりも前記第1端部に近い、請求項1又は2の電動ポンプの製造方法。
【請求項4】
前記第2フック部は、前記第2リング部の周方向に離れて複数設けられており、
前記連結部の少なくとも一つは、前記第2リング部の周方向の第2端部に最も近くに設けられた前記第2フック部よりも前記第2端部に近い、請求項1乃至3の何れかの電動ポンプの製造方法。
【請求項5】
前記連結部の少なくとも一つは、2つの前記第1フック部の間に設けられている、請求項1乃至4の何れかの電動ポンプの製造方法。
【請求項6】
前記連結部の少なくとも一つは、2つの前記第2フック部の間に設けられている、請求項1乃至5の何れかの電動ポンプの製造方法。
【請求項7】
前記第1リング部は、前記第1フック部が設けられており前記第2リング部から径方向内側に部分的に退避した第1退避部を有している、請求項1乃至6の何れかの電動ポンプの製造方法。
【請求項8】
前記第2リング部は、前記第1フック部に対向して前記第1フック部から径方向外側に退避した第2退避部を有している、請求項7の電動ポンプの製造方法。
【請求項9】
前記連結部は、前記第1退避部から周方向に離れている、請求項7又は8の電動ポンプの製造方法。
【請求項10】
前記連結部は、前記第2退避部から周方向に離れている、請求項8の電動ポンプの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の分割鉄心と、複数の分割鉄心のそれぞれに取り付けられた複数の分割コイルボビンと、複数の分割コイルボビンにそれぞれ巻回された複数の分割コイルと、複数のバスバーと、を備えた電動ポンプが知られている(例えば特許文献1参照)。複数のバスバーは、ハウジングの底壁部に設けられた溝に位置決めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−196754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、分割コイルが導通接続されるバスバーの端子部として、フック部を設けることが考えられる。この場合、分割コイルから引き出した引出部をフック部に係合させる必要があるが、この際に、バスバーに大きな力が作用して、バスバーの位置がずれたり、バスバーが撓んだりする可能性がある。このような位置ずれや撓みが発生しないように上記の作業を行うと、作業性が低下するおそれがある。例えば上記特許文献1では、バスバーを収容するための溝がハウジングに設けられているが、バスバーを溝に収めるためには溝幅や溝の長さをバスバーの幅や長さよりも大きく形成する必要があり、このためバスバーを溝に収容した後においても、バスバーの位置が僅かにずれる可能性がある。このため、バスバーの位置を溝内で調整し、バスバーが移動しないように治具等で固定する必要がある。更に、各バスバーはそれぞれ形状が異なることからそれぞれに打ち抜き金型が必要なため初期投資が大きくなる可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、作業性を向上しつつ製造コストの増大が抑制された電動ポンプの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、インペラ、前記インペラに連結されたロータ、前記ロータを収容したハウジング、前記ハウジングの外側を包囲した固定子、及びバスバーユニット、を備えた電動ポンプの製造方法であって、前記バスバーユニットは、略C字状の第1リング部、前記第1リング部よりも径方向外側に位置し略C字状の第2リング部、前記第1リング部から径方向外側に延びて前記第2リング部に連結した複数の連結部、前記第1リング部の径方向外側の外周縁から径方向外側に延びて途中で湾曲して径方向内側に延びた第1フック部、及び前記第2リング部の径方向外側の外周縁から径方向外側に延びて途中で湾曲して径方向内側に延びた第2フック部、を含み、前記固定子は、前記ハウジングを外側から包囲した複数の分割鉄心、前記複数の分割鉄心のそれぞれに取り付けられた複数の分割コイルボビン、及び前記複数の分割コイルボビンにそれぞれ巻回された複数の分割コイル、を含み、前記複数の分割コイルからそれぞれ引き出した引出部をそれぞれ前記第1及び第2フック部に係合させて溶接する接続工程と、前記接続工程の後に前記連結部を切断する切断工程と、を備えた電動ポンプの製造方法によって達成できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業性を向上しつつ製造コストの増大が抑制された電動ポンプの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは電動ポンプの斜視図、図1Bは電動ポンプの上面図である。
図2図2は、ケース内に収納されたモータの説明図である。
図3図3は、ケース内に収納されたモータの説明図である。
図4図4は、モータのハウジングの外観図である。
図5図5A及び図5Bは、バスバーユニットの説明図である。
図6図6A及び図6Bは、絶縁紙の説明図である。
図7図7A及び図7Bは、仮カシメと溶接を行う前のバスバーのフック部周辺の拡大図である。
図8図8A及び図8Bは、仮カシメと溶接を行う前の変形例のバスバーのフック部周辺の拡大図である。
図9図9は、プレス成型により製造された直後のバスバーユニットの説明図である。
図10図10は、プレス成形により製造されている途中の状態のバスバーユニットを示している。
図11図11は、絶縁紙の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1Aは電動ポンプ1の斜視図、図1Bは電動ポンプ1の上面図である。電動ポンプ1は、ケース10及び20を備える。ケース10は、インペラ48を収納した内部空間が形成されている。この内部空間には、液体である流体を導入するための導入管部14と、排出するための排出管部15とが連通している。導入管部14及び排出管部15は、略平行であって、インペラ48の回転中心軸に平行な軸心方向D1とは垂直な方向に延びている。また、ケース10内には、後述するプリント基板が設けられている。ケース20は、モータMを収納している。尚、図1には軸心方向D1に直交する直交方向D2を示している。
【0010】
図2及び図3は、ケース20内に収納されたモータMの説明図である。図4は、モータMのハウジング70の外観図である。モータMは、ロータR、ロータRを収納するハウジング70、ハウジング70周辺に配置された固定子S、バスバーユニット80等を含む。固定子Sは、複数の分割鉄心30、複数の分割鉄心30のそれぞれに取り付けられた複数の分割コイルボビン32、複数の分割コイルボビン32のそれぞれに巻回された複数の分割コイル34を含む。分割鉄心30、分割コイルボビン32、及び分割コイル34は、12対設けられており、詳しくは後述する。ロータRは、ハウジング70の円筒部75の内周面と対向する複数の永久磁石が設けられている。インペラ48が永久磁石と固定され、ロータRとインペラ48とが一体に回転する。インペラ48が回転することにより、流体が導入管部14からケース10内に導入されて排出管部15から排出される。
【0011】
図4に示すように、ハウジング70は、円筒部75、底壁部77、支持板78、及びフランジ部79を有している。ロータRは、円筒部75に包囲されるように収納されている。具体的には、ロータRはその回転軸が底壁部77に対して垂直となる姿勢で底壁部77に支持されている。そして回転軸とロータRとの間にすべり軸受けを設けることで、ロータRは回転可能に支持されている。円筒部75の内周面は、ロータRの外周面に固定された複数の永久磁石と対向している。フランジ部79は、底壁部77とは反対側の円筒部75の端部から径方向外側に延在している。支持板78は、フランジ部79から軸心方向D1に突出している。支持板78のフランジ部79からの軸心方向D1の突出高さは、底壁部77を越えない高さに設定されている。また、支持板78は、図2に示すように固定子Sには接触しない位置に設けられている。支持板78の、フランジ部79から円筒部75が形成されている側の先端には、ガイド溝781〜783が形成されている。図2及び図3に示すように、複数の分割鉄心30は、周方向に並ぶように配置されており、ハウジング70の円筒部75を外側から包囲している。ハウジング70は、合成樹脂製であるが、これに限定されず例えば非磁性金属製であってもよい。
【0012】
図2図3、及び図4に示すように、ハウジング70の底壁部77の外面には、バスバーユニット80と絶縁紙100とが配置される。底壁部77の外面は、平坦であって、例えばバスバーユニット80を位置決めするための溝や突起などは設けられていない。バスバーユニット80は、後述する分割コイル34から引き出された引出部36により複数の分割コイル34に導通接続されている。また、バスバーユニット80も、引出部36によりターミナルピン90u、90v、及び90wに導通接続されている。ターミナルピン90u、90v、及び90wは、モータMの駆動制御用のプリント基板と導通接続されている。ターミナルピン90u、90v、及び90wは、支持板78に支持されてフランジ部79に形成された挿入孔にそれぞれ挿入されて保持されている。支持板78は、支持部の一例である。
【0013】
図5A及び図5Bは、バスバーユニット80の説明図である。図5Aは、バスバーユニット80の正面を示し、図5Bは、バスバーユニット80の側面を示している。バスバーユニット80は、それぞれ略C字状に形成されたバスバー81n、81u、81v、及び81wを有している。バスバー81n、81u、81v、及び81wは、略同一平面上に略同心円状に配置されている。バスバー81n、81u、81v、及び81wは、銅等からなる平板状の金属板材をプレス加工等により打ち抜き、曲げ加工がなされたものである。コモン線であるバスバー81nが最も径方向外側に配置されており、バスバー81wが最も径方向内側に配置されている。バスバー81uは、バスバー81vよりも径方向外側に配置されている。従って、バスバー81n、81u、81v、81wの順に径が小さくなっている。バスバー81u、81v、及び81wは、それぞれU相、V相、及びW相用のバスバーである。
【0014】
バスバー81nは、リング部82nと、リング部82nに設けられた複数のフック部84nを有している。同様に、バスバー81uはリング部82uと複数のフック部84uとを有し、バスバー81vはリング部82vと複数のフック部84vとを有し、バスバー81wはリング部82wと複数のフック部84wとを有している。リング部82n、82u、82v、及び82wは、この順に周方向の長さが小さくなっている。リング部82n、82u、82v、及び82wはそれぞれ、両端部を有した略C字状であり、径方向の幅よりも軸心方向D1の厚みの方が薄く形成されている。尚、略C字状とは、図5Aに示すように完全な円弧を有したC字状に限定されず、複数の略直線状の部位から構成されて両端部が互いに対向した形状であってもよいし、略直線状の部位と略曲線状の部位とから構成されて両端部が互いに対向した形状であってもよい。
【0015】
フック部84n、84u、84v、及び84wは、それぞれ、リング部82n、82u、82v、及び82wの径方向外側の外周縁から径方向外側に延びて途中で湾曲して径方向内側に延びている。フック部84nは、略等しい角度間隔で、分割コイル34の数と等しい数だけ設けられており、具体的には12個設けられている。フック部84u、84v、及び84wはそれぞれ4個ずつ設けられている。尚、図5Bには、分割コイル34を示しているが詳しくは後述する。
【0016】
図6A及び図6Bは、絶縁紙100の説明図である。図6Aは、絶縁紙100の正面を示しており、図6Bは絶縁紙100の側面を示している。絶縁紙100は、略円形に形成されており、外周部にはフック部84nを露出するための切欠部104nが形成されている。また、絶縁紙100には、フック部84uを露出するための開口部104uが形成されている。また、絶縁紙100の中心には、4つのフック部84vと4つのフック部84wとを露出する開口部104vwが形成されている。絶縁紙100は、これらのフック部は露出するがリング部82n、82u、及び82vを覆っている。尚、絶縁紙100には、上述の用途以外の開口部も複数設けられている。
【0017】
図2及び図3に示すように、U相用の分割コイル34は、分割コイルボビン32に巻回された巻回部35と、巻回部35から引き出された引出部36u及び36nとを有している。引出部36nは分割コイル34の一端側から引き出されており、引出部36uは分割コイル34の他端側から引き出されている。同様に、V相用の分割コイル34は、巻回部35、引出部36v及び36nを有している。W相用の分割コイル34は、巻回部35、引出部36w及び36nを有している。各相の分割コイル34の引出部36nは、それぞれフック部84nに係合し、仮カシメで固定した後、溶接されている。引出部36u、36v、及び36wはそれぞれフック部84u、84v、及び84wに係合し、仮カシメで固定した後、溶接されている。このように係合して溶接されているため、分割コイルとバスバーとの導通不良が抑制される。
【0018】
バスバー81nの複数のフック部84nは、それぞれ複数の引出部36nに溶接されており、フック部84nは略等角度間隔で配置されている。バスバー81u、81v、及び81wについても同様である。このため、ハウジング70の底壁部77に、バスバー81n、81u、81v、及び81wのそれぞれの位置を規定するための位置決め部を設けていない場合であっても、これらの位置ずれを抑制できる。従って、例えばバスバー同士が位置ずれにより接触して短絡することを防止できる。
【0019】
また、図5B図2からわかるように、バスバーユニット80のバスバー81n、81u、81v、及び81wや絶縁紙100は、複数の分割コイル34に直交方向D2で重なる。このため、モータMの軸心方向D1での大型化が抑制され、ひいては電動ポンプ1の軸心方向D1での大型化が抑制されている。また、分割コイル34の引出部36n等をフック部84nに係合する作業が容易となる。
【0020】
図3及び図5Aからわかるように、引出部36uは、絶縁紙100を介してバスバー81nのリング部82nに軸心方向D1で重なっている。このため、引出部36uがリング部82nに接触して短絡することを防止できる。同様に、引出部36vは、絶縁紙100を介してバスバー81n及び81uのリング部82n及び82uに軸心方向D1で重なっているため、引出部36vがリング部82n及び82uの何れかに接触して短絡することを防止できる。引出部36wは、絶縁紙100を介してバスバー81n、81u、及び81vのリング部82n、82u、及び82vに軸心方向D1で重なっているため、引出部36wがリング部82n、82u、及び82vの何れかに接触して短絡することを防止できる。また、絶縁紙100によりバスバーユニット80を覆うことにより、上記のような短絡を防止しつつ、引出部36u、36v、及び36wをできるだけバスバーユニット80に接近して沿うように配置できる。このため、電動ポンプ1の軸心方向D1での大型化が抑制されている。
【0021】
図2及び図3に示すように、U相用の分割コイル34の一つの引出部36u1は、フック部84uに係合して溶接されつつ、その先端が固定子Sの外側にまで引き出されて、支持板78のガイド溝781に挿入されてガイドされてターミナルピン90uに導通接続されている。同様に、V相用の分割コイル34の一つの引出部36v1も、その先端が支持板78に形成されたガイド溝782に挿入されてガイドされターミナルピン90vに導通接続されている。W相用の分割コイル34の一つの引出部36w1も、その先端が支持板78に形成されたガイド溝783に挿入されてガイドされターミナルピン90wに導通接続されている。ガイド溝781〜783は、ガイド部の一例でありこれに限定されない。ガイド部は、例えば支持板78に形成されて分割コイルの引出部を挿通可能なガイド開口であってもよい。
【0022】
これにより、例えばターミナルピンを、固定子Sの外側から固定子Sを越えてフック部84uにまで延ばしてフック部84uに導通接続する場合と比較して、ターミナルピン90uは小型化されている。ターミナルピン90v及び90wも同様である。このため、製造コストを削減できる。
【0023】
図7A及び図7Bは、仮カシメと溶接を行う前のバスバー81nのフック部84n周辺の拡大図である。なお、仮カシメを行うとフック部84nが軸心方向D1でバスバー81n側に屈曲し、引出部36nを包囲するように変形する。これによりフック部84nと引出部36nは固定される。また、溶接の一例としては抵抗溶接であるがこれに限定されない。図7A及び図7Bには、引出部36nの中心軸Aを点線で示している。引出部36nのフック部84nに係合する箇所での中心軸Aは、軸心方向D1から見てリング部82nに重ならない。図8A及び図8Bは、仮カシメと溶接を行う前の変形例のバスバー81naのフック部84na周辺の拡大図である。なお、仮カシメと溶接は図7A及び図7Bと同様である。図8A及び図8Bには、引出部36nの中心軸Aaを点線で示している。変形例のバスバー81naにおいて、引出部36nのフック部84naに係合する箇所での中心軸Aaは、軸心方向D1から見てリング部82nに重なっている。変形例のように、中心軸Aaがリング部82nに重なっていると、引出部36nのフック部84naに係合する箇所の周辺で引出部36nが軸心方向D1でリング部82nから離れるように浮き上がる可能性がある。これにより、電動ポンプが軸心方向D1で大型化する可能性がある。また、引出部36nをフック部84naに係合してから抵抗溶接により両者を溶接するが、その際に引出部36nのフック部84na周辺で浮き上がった部位に抵抗溶接の電極がフック部84naよりも早く接触して、引出部36nから分割コイル34に電流が流れて、適切に溶接できない可能性がある。本実施例のように、引出部36nのフック部84nに係合する箇所での中心軸Aは、軸心方向D1から見てリング部82nに重ならないことにより、このような引出部36nの浮き上がりが防止され、適切に溶接することができる。このため、図7A及び図7Bに示すように、引出部36nのフック部84nに係合する箇所での中心軸Aは、軸心方向D1から見てリング部82nに重ならない方が好ましい。
【0024】
次に、電動ポンプ1の製造方法、特にモータMの製造方法について説明する。最初に、プレス成型によりバスバーユニット80xを製造する。図9は、プレス成型により製造された直後のバスバーユニット80xの説明図である。リング部82u及び82nは、リング部82uから径方向外側に延びて周方向に略等角度間隔で設けられた5つの連結部88u1〜88u5により連結されている。同様に、リング部82v及び82uは、リング部82vから径方向外側に延びて周方向に略等角度間隔で設けられた4つの連結部88v1〜88v4により連結されている。リング部82w及び82vは、リング部82wから径方向外側に延びて周方向に略等角度間隔で設けられた4つの連結部88w1〜88w4により連結されている。即ち、バスバー81n、81u、81v、及び81wはプレス成型により一体に製造される。このため、バスバー81n、81u、81v、及び81wを個別に製造する場合と比較して製造コストの増大を抑制できる。尚、連結部の数は上記に限定されない。
【0025】
リング部82nは、一端85n及び他端86nを有している。同様に、リング部82uは、一端85u及び他端86uを有している。リング部82vは、一端85v及び他端86vを有している。リング部82wは、一端85w及び他端86wを有している。
【0026】
連結部88u1は、一端85uに最も近いフック部84uよりも一端85uの近くに形成されている。連結部88u5は、他端86uに最も近いフック部84uよりも他端86uの近くに形成されている。連結部88u1〜88u5はそれぞれ、リング部82nに形成された隣接する2つのフック部84nの間に形成されている。連結部88u2〜88u4はそれぞれ、リング部82uに形成された隣接する2つのフック部84uの間に形成されている。
【0027】
連結部88v1は、一端85vに最も近いフック部84vよりも一端85vの近くに形成されている。連結部88v2〜88v4はそれぞれ、リング部82uに形成された隣接する2つのフック部84uの間に形成され、リング部82vに生成された隣接する2つのフック部84vの間に形成されている。
【0028】
連結部88w1は、一端85wに最も近いフック部84wよりも一端85wの近くに形成されている。連結部88w2は、リング部82vの他端86vに最も近いフック部84vよりも他端86vの近くに形成されている。連結部88w1、88w3、及び88w4のそれぞれは、隣接する2つのフック部84vの間に形成されている。連結部88w2〜88w4のそれぞれは、隣接する2つのフック部84wの間に形成されている。
【0029】
また、リング部82vは、フック部84wと径方向で対向した部位に、フック部84wから径方向外側から退避した退避部87vが形成されている。リング部82uは、フック部84vと径方向で対向した部位に、フック部84vから径方向外側から退避した退避部87uが形成されている。リング部82nは、フック部84uと径方向で対向した部位に、フック部84uから径方向外側から退避した退避部87nが形成されている。退避部87vは、連結部88w1〜88w4からリング部82vの周方向に離れている。退避部87uは、連結部88v1〜88v4からリング部82uの周方向に離れている。退避部87nは、連結部88u1〜88u4からリング部82nの周方向に離れている。尚、リング部82uは、退避部87nに対向して退避部87nから径方向内側に退避しフック部84uが形成された退避部89uが形成されている。以下に、退避部87n、87u、及び87vについて説明する。
【0030】
図10は、プレス成形により製造されている途中の状態のバスバーユニット80xの説明図である。バスバーユニット80xは、最初に薄い金属板を、打ち抜き加工をし、その後にリング部82n及び82uからそれぞれ径方向に突出した平板状の突出部84nx及び84uxを曲げ加工されることにより、フック部84n及び84uが形成される。詳細には、同じ金型装置により打ち抜き加工と、フック部84n等を形成するための曲げ加工が行われる。ここで、図9に示すように、退避部87nは、突出部84uxから退避するように形成されている。これにより、リング部82u及び82n間の径方向の隙間が小さい場合であっても、突出部84uxの長さを確保することができる。その他の退避部87u、87v、及び87wについても同様の役割を果たす。これにより、フック部84n、84u、84v、及び84wは、長さを確保することができ、図7A及び図7Bに示したように、引出部の中心軸が、その引出部が接合されるフック部が設けられたリング部よりも径方向外側に位置づけることができ、溶接時の作業性が向上する。尚、退避部89uは、退避部87nから径方向内側に退避しているため、これによっても突出部84uxの長さを確保することができている。退避部87n、87u、及び87vは、第2退避部の一例である。退避部89uは、第1退避部の一例である。
【0031】
このようにして製造されたバスバーユニット80xとターミナルピン90u、90v、及び90wを、図示しない治具に設置する。次に、バスバーユニット80xの上に絶縁紙100を配置する。ここで、再度絶縁紙100を示す。図11は、絶縁紙100の説明図である。絶縁紙100には、中心から所定の距離に、略等角度間隔で4つの開口部108vが形成されており、開口部108vよりも径方向外側に略等角度間隔で5つの開口部108uが形成されている。開口部108vは、それぞれ連結部88v1〜88v4に対応した位置に形成されている。開口部108uは、それぞれ連結部88u1〜88u5に対応した位置に形成されている。バスバーユニット80x上に絶縁紙100を配置する際には、フック部84n及び84uに切欠部104n及び開口部104uを対応させ、フック部84v及び84wに開口部104vwを対応させ、更に、連結部88u1〜88u5のそれぞれに開口部108uを対応させ、連結部88v1〜88v4のそれぞれに開口部108vを対応させ、連結部88w1〜88w4を開口部104vwに対応させる。これにより、連結部88u1〜88u5、88v1〜88v4、及び88w1〜88w4は、絶縁紙100から露出する。
【0032】
次に、接続工程を行う。具体的には、フック部84n、84u、84v、及び84wにそれぞれ、分割コイル34の引出部36n、36u、36v、及び36wを係合させて、仮カシメで固定する。次に、ターミナルピン90u、90v、及び90wにそれぞれ、分割コイル34の引出部36u1、36v1、及び36w1を係合させて、仮カシメで固定する。尚、仮カシメの順番はターミナルピンを最初に、次にフック部を行っても良いし、同時に行っても良い。次に、フック部84n及び引出部36n、フック部84u及び引出部36u、フック部84v及び引出部36v、フック部84w及び引出部36wを抵抗溶接により溶接する。次に、ターミナルピン90u及び引出部36u1、ターミナルピン90v及び引出部36v1、ターミナルピン及び90w及び引出部36w1を抵抗溶接により溶接する。尚、溶接の順番はターミナルピンを最初に、次にフック部を行っても良いし、同時に行っても良い。これにより、バスバーユニット80x及びターミナルピン90は、複数の分割コイル34と導通接続される。次に、引出部36n、36u、36v、36w、36u1、36v1、及び36w1の余長部分を、エアニッパなどの治具を用いて切断する。
【0033】
次に、連結部88の切断工程を実行する。具体的には、開口部108u、108v、及び104vwから露出した連結部88u1〜88u5、88v1〜88v4、及び88w1〜88w4を、例えばエアニッパ等の治具を用いて切断する。これにより、バスバー81n、81u、81v、及び81wは分離されたバスバーユニット80が製造される。尚、連結部88u1〜88u5、88v1〜88v4、及び88w1〜88w4を切断した後に、引出部36n、36u、36v、及び36wの余長部分を切断してもよい。
【0034】
次に、バスバーユニット80及び絶縁紙100をハウジング70の底壁部77上に配置し、固定子Sを円筒部75の周囲に配置する。次にフランジ部79にターミナルピン90u、90v、及び90wを配置する。次に、引出部36u1、36v1、及び36w1を、それぞれ支持板78のガイド溝781、782、及び783に係合させる。次に、図示しない型内に、バスバーユニット80、絶縁紙100、固定子S、及びハウジング70、ターミナルピン90u、90v、及び90wを設置し、型内に樹脂を注入することによりケース20を成形する。絶縁紙100には、このような樹脂の流れを許容する開口が複数設けられている。次に、ハウジング70内にロータRを配置する。このようにして製造されたモータMは、バスバーユニット80や固定子S、ターミナルピン90u、90v、及び90wが樹脂封止され、防水性や防塵性に優れている。尚、バスバーユニット80及び絶縁紙100と、分割コイル34がバスバーユニット80とターミナルピン90u、90v、及び90wに導通接続されている固定子Sとを、型内に配置して、樹脂を注入することにより、ハウジング70とケース20とを製造してもよい。
【0035】
以上のように、上述した接続工程が行われる際には、バスバー81n、81u、81v、及び81wは連結部により一体に形成されている。このため、係合や溶接作業の際に、バスバー81n、81u、81v、及び81w間の位置のずれや撓みの発生などが抑制される。また、上述した連結部や、フック部の間やリング部の端部に設けられているため、上述した接続工程において、フック部に大きな力が作用したとしても、バスバー81n、81u、81v、及び81w間の位置のずれや撓みの発生などが抑制される。このように、バスバー81n、81u、81v、及び81w間の位置のずれや撓みの発生などを考慮せずに接続できるため作業性が向上している。
【0036】
例えば、バスバー81n、81u、81v、及び81w間の位置のずれや撓みの発生を抑制するために、ハウジング70の底壁部77の外面上にこれらを位置決めする位置決め部を設けることも考えられる。しかしながら、底壁部77の外面上に位置決め部を設けると、底壁部77の厚みが増大して、ハウジング70の軸心方向D1の大きさが大型化し、ひいては電動ポンプ1が軸心方向D1で大型化する可能性がある。従って、底壁部77上に位置決め部を設けないことによっても、電動ポンプ1の大型化が抑制されている。
【0037】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【0038】
上記電動ポンプ1は、液体を導入及び排出するものであるが、流体として気体を導入及び排出する電動ポンプに本発明を適用してもよい。
【0039】
上記実施例では、底壁部77は、直交方向D2で全ての分割コイル34に重なっているが、これに限定されず、複数の分割コイル34のうちの少なくとも一部が直交方向D2で重なっていればよい。
【0040】
絶縁部材の一例として絶縁紙100を説明したが、これに限定されず、例えばゴム製の薄いシート状の部材であってもよい。
【0041】
上記実施例では、溶接は抵抗溶接としたがこれに限定されず、アーク溶接、電子ビーム溶接、ろう付、ガス溶接、爆発溶接、常温圧接、摩擦圧接、超音波圧接、拡散接合およびレーザー溶接であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 電動ポンプ
30 分割鉄心
32 分割コイルボビン
34 分割コイル
48 インペラ
70 ハウジング
77 底壁部
80 バスバーユニット
81n、81u、81v、81w バスバー
82n、82u、82v、82w リング部
84n、84u、84v、84w フック部
88u1〜88u5、88v1〜88v4、88w1〜88w4 連結部
87n、87u、87v 退避部(第2退避部)
89u 退避部(第1退避部)
100 絶縁紙
R ロータ
M モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11