(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有料道路の各料金所に設置され、第1セキュリティ通信部が利用されている車線装置のそれぞれから、前記第1セキュリティ通信部とは異なる暗号化方式を用いる第2セキュリティ通信部を利用可能であるか否かを示す情報を受信する受信部と、
前記有料道路の全ての車線装置で前記第2セキュリティ通信部が利用可能となった場合に、前記車線装置に、前記第2セキュリティ通信部を有効化するための信号を送信する送信部と、
を備える管理装置。
有料道路の各料金所に設置され、第1セキュリティ通信部が利用されている車線装置のそれぞれから、前記第1セキュリティ通信部とは異なる暗号化方式を用いる第2セキュリティ通信部を利用可能であるか否かを示す情報を受信する受信部と、
一の料金所の流入車線に設置された車線装置である対象車線装置において前記第2セキュリティ通信部が利用可能であり、かつ、当該一の料金所の下流側の料金所の流出車線に設置された全ての車線装置において前記第2セキュリティ通信部が利用可能であった場合に、前記対象車線装置に、前記第2セキュリティ通信部を有効化するための信号を送信する送信部と、
を備える管理装置。
有料道路への流入車線に設置され、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う第1セキュリティ通信部および第2セキュリティ通信部を備える車線装置の制御方法であって、
前記流入車線を走行する車両から受信した被暗号化出口情報に対し、前記第1セキュリティ通信部による復号処理を施して出口情報を読み出すステップと、
前記車両に書き込むべき入口情報に対し、前記第2セキュリティ通信部による暗号化処理を施して被暗号化入口情報を生成し、当該生成した被暗号化入口情報を前記車両に送信するステップと、
を有する車線装置の制御方法。
有料道路からの流出車線に設置され、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う第1セキュリティ通信部および第2セキュリティ通信部を備える車線装置の制御方法であって、
前記流出車線を走行する車両から受信した被暗号化入口情報に対し、前記第2セキュリティ通信部による復号処理を施して入口情報を読み出すステップと、
前記車両に書き込むべき出口情報に対し、前記第1セキュリティ通信部による暗号化処理を施して被暗号化出口情報を生成し、当該生成した被暗号化出口情報を前記車両に送信するステップと、
を有する車線装置の制御方法。
有料道路への流入車線に設置され、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う第1セキュリティ通信部および第2セキュリティ通信部を備える車線装置のコンピュータに、
前記流入車線を走行する車両から受信した被暗号化出口情報に対し、前記第1セキュリティ通信部による復号処理を施して出口情報を読み出すステップと、
前記車両に書き込むべき入口情報に対し、前記第2セキュリティ通信部による暗号化処理を施して被暗号化入口情報を生成し、当該生成した被暗号化入口情報を前記車両に送信するステップと、
を実行させるプログラム。
有料道路からの流出車線に設置され、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う第1セキュリティ通信部および第2セキュリティ通信部を備える車線装置のコンピュータに、
前記流出車線を走行する車両から受信した被暗号化入口情報に対し、前記第2セキュリティ通信部による復号処理を施して入口情報を読み出すステップと、
前記車両に書き込むべき出口情報に対し、前記第1セキュリティ通信部による暗号化処理を施して被暗号化出口情報を生成し、当該生成した被暗号化出口情報を前記車両に送信するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る料金収受システムについて、
図1〜
図5を参照しながら説明する。
【0021】
(料金収受システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図1に示す料金収受システム1は、いわゆる電子式料金収受システムであって、道路事業者が管理する有料道路Uの料金収受に適用される。
【0022】
有料道路Uの構成について説明する。
図1に示すように、有料道路Uは、本線L1上に料金所G0〜G3を有する。料金所G0および料金所G3は、本線L1の終端に位置する。また、有料道路Uは、本線L1から分岐する別ルートL1’があり、当該別ルートL1’上にはバリアGbが設置されている。バリアGbは、本線上に設けられる料金所であり、主に走行ルートの特定のために設けられる料金所である。
【0023】
料金収受システム1の構成について説明する。
料金収受システム1は、車線装置10と、管理装置2とを有する。
車線装置10は、各料金所G0〜G3の流入車線および流出車線のそれぞれに設置される。また、車線装置10は、バリアGbにも設置される。
【0024】
車線装置10は、車線を走行する車両との間で無線通信を行う装置である。車線装置10には入口側車線装置10a、出口側車線装置10bおよびバリア用車線装置10cがある。
入口側車線装置10aは、有料道路Uへの流入車線L2に設置された車線装置である。入口側車線装置10aは、流入車線L2を走行する車両と無線通信を行う。
出口側車線装置10bは、有料道路Uからの流出車線L3に設置された車線装置である。出口側車線装置10bは、流出車線L3を走行する車両と無線通信を行う。
バリア用車線装置10cは、有料道路Uの別ルートL1’に設置された車線装置である。バリア用車線装置10cは、別ルートL1’を走行する車両と無線通信を行う。
入口側車線装置10a、出口側車線装置10bおよびバリア用車線装置10cの具体的な構成や処理の内容については後述する。
【0025】
なお、
図1では、料金所G1に設置された入口側車線装置10aおよび料金所G2に設置された出口側車線装置10bのみを図示しているが、実際には、各料金所G0〜G3のそれぞれの流入車線L2および流出車線L3に対応して、各料金所G0〜G3に入口側車線装置10aおよび出口側車線装置10bが設置されている。
【0026】
管理装置2は、各料金所G0〜G3の車線装置10の状態を集約して管理するサーバ装置である。具体的には、管理装置2は、広域ネットワークを介して、各車線装置10のセキュリティ機能のバージョン情報などを取得する。また、管理装置2は、例えばオペレータの操作等に応じて、特定の車線装置10に対し、(無効化されている)次世代セキュリティ機能を有効化するための指令信号を送信する。
【0027】
有料道路Uの料金所G1から流入し、料金所G2から流出する車両Aを例に説明する。
車両Aは、料金収受システム1(電子式料金収受システム)の利用に必要な車載器(図示せず)を搭載している。この車載器には決済処理の際に、情報のリード/ライトの対象となる専用カードC(いわゆるETCカード)がセットされている。
【0028】
車両Aは、料金所G1の流入車線L2を経て有料道路Uに流入する。このとき、車両Aは、料金所G1に設置された入口側車線装置10aと無線通信を行う。ここで、入口側車線装置10aは、専用カードCに対する各種情報のリード/ライトを行う。
【0029】
続いて、車両Aは、料金所G2の流出車線L3を経て一般道路に流出する。このとき、車両Aは、料金所G2に設置された出口側車線装置10bと無線通信を行う。ここで、出口側車線装置10bは、専用カードCに対する各種情報のリード/ライトを行う。
【0030】
なお、本実施形態において、専用カードCに対するリード/ライトの対象となる情報は、以下のとおりである。
「入口情報」・・・入口料金所を識別する情報であり、対距離課金による収受料金を決定するための情報である。入口料金所にて書き込まれ、出口料金所にて読み出される。
「出口情報」・・・出口料金所を識別する情報である。出口料金所にて書き込まれ、入口料金所にて読み出される。なお、出口情報には、所定区間で通行止めが発生した際などに行われる強制退出の有無を示す情報が含まれる。
「バリア情報」・・・バリアを識別する情報である。バリアにて書き込まれ、出口料金所にて読み出される。出口料金所は、バリア情報に基づいて車両の走行ルートを特定することで収受料金を決定する。
「通行履歴」・・・最後に通過した料金所又はバリアを示す情報である。入口料金所、出口料金所、バリアそれぞれで読み出し、および、書き込み(更新)が行われる。
【0031】
なお、後述するように、上記の各種情報は暗号化された状態で専用カードCに書き込まれる。以下の説明において、暗号化された「入口情報」、「出口情報」、「バリア情報」および「通行履歴」のそれぞれを、「被暗号化入口情報」、「被暗号化出口情報」、「被暗号化バリア情報」および「被暗号化通行履歴」と記載して区別する。
【0032】
(車線装置の機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る車線装置の機能構成を示す図である。
図2は、入口側車線装置10aの機能構成を図示している。出口側車線装置10bおよびバリア用車線装置10cの機能構成は、CPU100の機能以外で、入口側車線装置10aと共通であるため、ここでは入口側車線装置10aについて説明し、他の車線装置についてのCPU100以外の説明を省略する。
【0033】
図2に示すように、入口側車線装置10aは、CPU100と、メモリ101と、通信インタフェース102と、セキュリティモジュール103とを備えている。
【0034】
CPU100は、事前に用意されたプログラムに従って動作することで、種々の機能を発揮するプロセッサである。CPU100の具体的な機能については後述する。
【0035】
メモリ101は、いわゆる主記憶装置であって、CPU100の動作に必要な記憶領域となる。
【0036】
通信インタフェース102は、広域通信ネットワークに接続し、管理装置2と情報をやり取りするためのインタフェースである。
【0037】
セキュリティモジュール103は、車両Aとの間で行う無線通信において、決済情報などの個人情報を保護すべく、暗号化処理および復号処理を行う。
図2に示すように、セキュリティモジュール103には、現行セキュリティ機能を有する現行セキュリティ通信部1031(第1セキュリティ通信部)と、次世代のセキュリティ機能を有する次世代セキュリティ通信部1032(第2セキュリティ通信部)とを有する。現行セキュリティ通信部1031および次世代セキュリティ通信部1032は、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う。
【0038】
現行セキュリティ通信部1031は、全国の有料道路の料金所にて利用可能なセキュリティ機能(現行のセキュリティ機能)を提供する。
次世代セキュリティ通信部1032は、現行のセキュリティ機能よりも保護性能が高いセキュリティ機能を有するが、現時点で、全国レベルでの配備が完了していないセキュリティ機能である。
なお、現行セキュリティ通信部1031を通じて暗号化された情報は、現行セキュリティ通信部1031による復号処理によってのみ解読可能となる。同様に、次世代セキュリティ通信部1032を通じて暗号化された情報は、次世代セキュリティ通信部1032による復号処理によってのみ解読可能となる。
【0039】
次に、CPU100の機能について説明する。CPU100の機能は、入口側車線装置10a、出口側車線装置10bおよびバリア用車線装置10cそれぞれで異なるので、個別に説明する。
【0040】
CPU100は、所定のプログラムに従って動作することで、書込処理部1001および読出処理部1002としての機能を発揮する。
【0041】
まず、入口側車線装置10aのCPU100の機能について説明する。
【0042】
入口側車線装置10aの読出処理部1002は、流入車線L2を走行する車両Aから受信した「被暗号化出口情報」および「被暗号化通行履歴」に対し、現行セキュリティ通信部1031による復号処理を施して「出口情報」および「通行履歴」を読み出す。
【0043】
入口側車線装置10aの書込処理部1001は、流入車線L2を走行する車両Aに書き込むべき「入口情報」および「通行履歴」に対し、次世代セキュリティ通信部1032による暗号化処理を施して「被暗号化入口情報」および「被暗号化通行履歴」を生成し、当該生成した「被暗号化入口情報」および「被暗号化通行履歴」を車両Aに送信する。
【0044】
次に、出口側車線装置10bのCPU100の機能について説明する。
【0045】
出口側車線装置10bの読出処理部1002は、流出車線L3を走行する車両Aから受信した「被暗号化入口情報」および「被暗号化通行履歴」に対し、次世代セキュリティ通信部1032による復号処理を施して「入口情報」および「出口履歴」を読み出す。
【0046】
出口側車線装置10bの書込処理部1001は、流出車線L3を走行する車両Aに書き込むべき「出口情報」および「通行履歴」に対し、現行セキュリティ通信部1031による暗号化処理を施して「被暗号化出口情報」および「被暗号化通行履歴」を生成し、当該生成した「被暗号化出口情報」および「被暗号化通行履歴」を車両Aに送信する。
【0047】
次に、バリア用車線装置10cのCPU100の機能について説明する。
【0048】
バリア用車線装置10cの読出処理部1002は、別ルートL1’を走行する車両Aから受信した「被暗号化通行履歴」に対し、次世代セキュリティ通信部1032による復号処理を施して「通行履歴」を読み出す。
【0049】
バリア用車線装置10cの書込処理部1001は、別ルートL1’を走行する車両Aに書き込むべき「バリア情報」および「通行履歴」に対し、次世代セキュリティ通信部1032による暗号化処理を施して「被暗号化バリア情報」および「被暗号化通行履歴」を生成し、当該生成した「被暗号化バリア情報」および「被暗号化通行履歴」を車両Aに送信する。
【0050】
(入口側車線装置の処理フロー)
図3は、第1の実施形態に係る入口側車線装置の処理フローを示す図である。
図3を参照しながら、入口側車線装置10aが車両Aに対して行う処理について詳しく説明する。
【0051】
まず、入口側車線装置10aの読出処理部1002は、無線通信を介して、流入車線L2を走行する車両A(専用カードC)から「被暗号化出口情報」、「被暗号化通行履歴」を受信する(ステップS01)。ここで、次世代セキュリティ通信部1032の全国的な運用は開始されておらず、他の有料道路では依然として現行セキュリティ通信部1031で運用されている。したがって、有料道路Uの入口料金所で受信した「被暗号化出口情報」、「被暗号化通行履歴」は、現行セキュリティ通信部1031によって暗号化された情報である。
【0052】
次に、読出処理部1002は、受信した「被暗号化出口情報」、「被暗号化通行履歴」に対し、現行セキュリティ通信部1031を通じて復号し、「出口情報」および「通行履歴」を読み出す(ステップS02)。入口側車線装置10aは、ここで読み出した「出口情報」および「通行履歴」に基づいて専用カードCに書き込まれていた情報に異常がないかどうか(有料道路から正しく流出したかどうか、等)をチェックする。
【0053】
次に、入口側車線装置10aの書込処理部1001は、料金所に到来した車両Aの専用カードCに書き込むべき「入口情報」および新たな「通行履歴」を、次世代セキュリティ通信部1032を通じて暗号化し、「被暗号化入口情報」および「被暗号化通行履歴」を生成する(ステップS03)。
【0054】
そして、書込処理部1001は、次世代セキュリティ通信部1032をもって暗号化された「被暗号化入口情報」および「被暗号化通行履歴」を車両Aに向けて送信する(ステップS04)。「被暗号化入口情報」および「被暗号化通行履歴」は、車両Aの車載器によって受信され、暗号化されたまま専用カードCに書き込まれる。
【0055】
(出口側車線装置の処理フロー)
図4は、第1の実施形態に係る出口側車線装置の処理フローを示す図である。
図4を参照しながら、出口側車線装置10bが車両Aに対して行う処理について詳しく説明する。
【0056】
出口側車線装置10bの読出処理部1002は、無線通信を介して、流出車線L3を走行する車両A(専用カードC)から「被暗号化入口情報」、「被暗号化通行履歴」を受信する(ステップS11)。ここで受信した「被暗号化出口情報」、「被暗号化通行履歴」は、有料道路Uのいずれかの入口側車線装置10aで書き込まれたものであるから、次世代セキュリティ通信部1032によって暗号化された情報である。
【0057】
次に、読出処理部1002は、受信した「被暗号化入口情報」、「被暗号化通行履歴」に対し、次世代セキュリティ通信部1032を通じて復号し、「入口情報」および「通行履歴」を読み出す(ステップS12)。出口側車線装置10bは、ここで読み出した「入口情報」に基づいて収受料金を決定し、また、「通行履歴」に基づいて専用カードCに書き込まれていた情報に異常がないかどうかをチェックする。
【0058】
次に、出口側車線装置10bの書込処理部1001は、料金所に到来した車両Aの専用カードCに書き込むべき「出口情報」および新たな「通行履歴」を、現行セキュリティ通信部1031を通じて暗号化し、「被暗号化出口情報」および「被暗号化通行履歴」を生成する(ステップS03)。ここで、現行セキュリティ通信部1031を用いるのは、有料道路Uからの流出後において、現行のセキュリティ機能で運用されている通常の有料道路の入口料金所でこれらの情報を正しく復号できるようにするためである。
【0059】
そして、書込処理部1001は、現行セキュリティ通信部1031をもって暗号化された「被暗号化入口情報」および「被暗号化通行履歴」を車両Aに向けて送信する(ステップS04)。「被暗号化入口情報」および「被暗号化通行履歴」は、車両Aの車載器によって受信され、暗号化されたまま専用カードCに書き込まれる。
【0060】
(バリア用車線装置の処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係るバリア用車線装置の処理フローを示す図である。
図5を参照しながら、バリア用車線装置10cが車両Aに対して行う処理について詳しく説明する。
【0061】
まず、バリア用車線装置10cの読出処理部1002は、無線通信を介して、流入車線L2を走行する車両A(専用カードC)から「被暗号化通行履歴」を受信する(ステップS21)。ここで受信した「被暗号化通行履歴」は、有料道路Uのいずれかの入口側車線装置10aで書き込まれたものであるから、次世代セキュリティ通信部1032によって暗号化された情報である。
【0062】
次に、読出処理部1002は、受信した「被暗号化通行履歴」に対し、次世代セキュリティ通信部1032を通じて復号し、「通行履歴」を読み出す(ステップS22)。バリア用車線装置10cは、ここで読み出した「通行履歴」に基づいて専用カードCに書き込まれていた情報に異常がないかどうかをチェックする。
【0063】
次に、バリア用車線装置10cの書込処理部1001は、バリアに到来した車両Aの専用カードCに書き込むべき「バリア情報」および新たな「通行履歴」を、次世代セキュリティ通信部1032を通じて暗号化し、「被暗号化バリア情報」および「被暗号化通行履歴」を生成する(ステップS23)。
【0064】
そして、書込処理部1001は、次世代セキュリティ通信部1032をもって暗号化された「被暗号化バリア情報」および「被暗号化通行履歴」を車両Aに向けて送信する(ステップS04)。「被暗号化バリア情報」および「被暗号化通行履歴」は、車両Aの車載器によって受信され、暗号化されたまま専用カードCに書き込まれる。
【0065】
(作用、効果)
以上のとおり、第1の実施形態に係る入口側車線装置10aは、有料道路Uの外部から到来した車両Aから読み出す情報を、現行のセキュリティ機能によって解読(復号)する。また、有料道路Uの内部に流入しようとする車両Aに書き込むべき情報を、次世代のセキュリティ機能をもって暗号化する。
さらに、第1の実施形態に係る出口側車線装置10bは、有料道路Uの内部から到来した車両Aから読み出す情報を、次世代のセキュリティ機能によって解読(復号)する。また、有料道路Uの外部に流出しようとする車両Aに書き込むべき情報を、現行のセキュリティ機能をもって暗号化する。
【0066】
以上のような入口側車線装置10aおよび出口側車線装置10bによれば、外部の有料道路では現行のセキュリティ機能で運用されていたとしても、限られた有料道路Uの内部でのみ次世代セキュリティ機能を運用することができる。つまり、従来であれば全国での一斉運用が開始されるまで使用されない次世代セキュリティ機能を、特定の有料道路Uに限定して先駆けて使用することができる。
【0067】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態に係る料金収受システムについて、
図6〜
図8を参照しながら説明する。
【0068】
(管理装置の機能構成)
図6は、第2の実施形態に係る管理装置の機能構成を示す図である。
図6に示すように、第2の実施形態に係る管理装置2は、CPU200と、メモリ201と、通信インタフェース202と、記録媒体203とを備える。
【0069】
CPU200は、事前に用意されたプログラムに従って動作することで、種々の機能を発揮するプロセッサである。CPU200の具体的な機能については後述する。
【0070】
メモリ201は、いわゆる主記憶装置であって、CPU200の動作に必要な記憶領域となる。
【0071】
通信インタフェース202は、広域通信ネットワークに接続し、管理装置2と情報をやり取りするためのインタフェースである。
【0072】
記録媒体203は、いわゆる補助記憶装置である。記録媒体203には、後述するバージョン情報テーブルTが記録される。
【0073】
次に、CPU200の機能について説明する。CPU200は、所定のプログラムに従って動作することで、受信部2001および送信部2002としての機能を発揮する。
【0074】
受信部2001は、現行セキュリティ通信部1031で運用されている車線装置10のそれぞれから、次世代セキュリティ通信部1032を利用可能であるか否かを示す情報(バージョン情報)を受信する。
送信部2002は、有料道路Uの全ての車線装置10で次世代セキュリティ通信部1032が利用可能となった場合に、当該全ての車線装置10に、次世代セキュリティ通信部1032を有効化するための信号を送信する。
【0075】
(管理装置および車線装置の処理フロー)
図7は、第2の実施形態に係る管理装置および車線装置の処理フローを示す図である。
図8は、第2の実施形態に係るバージョン情報テーブルの例を示す図である。
以下、
図7、
図8を参照しながら、管理装置2と車線装置10との間で行われる処理の流れを詳しく説明する。
図7に示す車線装置10の処理フローは、有料道路Uに属する全ての車線装置10それぞれが実行する。
【0076】
車線装置10は、自己のセキュリティ機能のバージョン情報を管理装置2に向けて送信する(ステップS31a)。このステップS31aの処理は、各車線装置10で定期的に実行される処理であってもよいし、次世代セキュリティ通信部1032が実装されて利用可能となったことをトリガに実行される処理であってもよい。
【0077】
管理装置2の受信部2001は、各車線装置10からバージョン情報を受信して、バージョン情報テーブルを更新する(ステップS31)。ここで、バージョン情報テーブルについては、
図8を参照しながら説明する。
図8に示すように、管理装置2は、各車線装置10の識別情報である車線装置IDと、その車線装置10で利用可能なセキュリティ機能のバージョンが記録されている。利用可能なバージョンの欄が「1」である車線装置10は、次世代セキュリティ通信部1032が実装されておらず、現行セキュリティ通信部1031のみが実装されている状態にある。利用可能なバージョンの欄が「2」である車線装置10は、次世代セキュリティ通信部1032が実装済みで、利用可能の状態にある。
【0078】
図7に戻り、管理装置2の送信部2002は、更新されたバージョン情報テーブルTを参照して、有料道路Uに属する全ての車線装置10で次世代セキュリティ通信部1032が利用可能か否かを判定する(ステップS32)。
そして、有料道路Uに属する全ての車線装置10で次世代セキュリティ通信部1032が利用可能であった場合(ステップS32;YES)、送信部2002は、全ての車線装置10に向けて、次世代セキュリティ通信部1032を有効化するための有効化信号を一斉送信する(ステップS33)。
【0079】
各車線装置10は、管理装置2からの有効化信号を受信する(ステップS32a)。車線装置10は、有効化信号を受信すると、次世代セキュリティ通信部1032を有効化する(ステップS33a)。次世代セキュリティ通信部1032が有効化されると、その車線装置10は、次世代セキュリティ通信部1032を用いた暗号化処理および復号処理を行うようになる。次世代セキュリティ通信部1032を用いた暗号化処理および復号処理については第1の実施形態で説明したとおりである。
【0080】
(作用、効果)
以上の通り、本実施形態に係る管理装置2は、有料道路Uに属する全ての車線装置10に対し次世代セキュリティ通信部1032が利用可能となったか否かを監視する。そして、管理装置2は、全ての車線装置10で次世代セキュリティ通信部1032が利用可能となった場合に、各車線装置10の次世代セキュリティ通信部1032を一斉に有効化する。
このようにすることで、有料道路U内の全ての車線装置において次世代セキュリティ機能への対応が完了したタイミングで、現行セキュリティ機能から次世代セキュリティ機能への切り替えを迅速に行うことができる。
【0081】
なお、上述した第2の実施形態では、管理装置2は、全ての車線装置10で次世代セキュリティ通信部1032が利用可能であることを検知した場合に、直ちに、各車線装置10に自動的に有効化信号を送信する(ステップS33)ものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態では、管理装置2は、全ての車線装置10で次世代セキュリティ通信部1032が利用可能であることを検知した場合に、一旦オペレータに向けてその旨を通知し、オペレータによる最終指示(入力操作)を受け付けてから有効化信号を一斉送信するものであってもよい。
【0082】
(第2の実施形態の変形例)
図9は、第2の実施形態の変形例に係る管理装置の処理の流れを示す図である。
第2の実施形態では有料道路Uに属する全ての車線装置10にて次世代セキュリティ通信部1032が利用可能となったことをトリガに、有効化信号を送信するものとして説明した。
これに対し、第2の実施形態の変形例に係る管理装置2は、有料道路Uに属する全ての車線装置10にて次世代セキュリティ通信部1032が利用可能となったことを待たずに、車線装置10に有効化信号を送信する。
【0083】
具体的に、
図9を参照しながら説明する。
図9に示すように、本変形例に係る有料道路Uは、一方の終端側に料金所G4〜G6が設置されている。この有料道路Uは、料金所G4から流入した車両Aは、必ず料金所G5、G6(終端の料金所)のいずれかで流出する構造であったとする。この走行ルートにおいて、流入する料金所である料金所G4が設置されている側を「上流側」と称し、車両Aの走行方向にある料金所G5、G6が設置されている側を「下流側」と称して説明する。
【0084】
ここで、本変形例に係る管理装置2は、現行セキュリティ通信部1031で運用されている車線装置10それぞれについて、逐次、次世代セキュリティ通信部1032への切り替えが可能か否かを判断する。具体的には、管理装置2は、判断の対象とする1つの車線装置10を「対象車線装置」として選択する。
以下、管理装置2が、料金所G4の入口側車線装置10aを「対象車線装置」として選択した例について説明する。
【0085】
管理装置2の受信部2001は、まず対象車線装置(料金所G4に設置された入口側車線装置10a)からバージョン情報(
図8)を受信し、次世代セキュリティ通信部1032を利用できるか否かを判定する(ステップS41)。
【0086】
次に、受信部2001は、料金所G4の下流側の全ての料金所に設置された出口側車線装置10bからバージョン情報を受信し、各出口側車線装置10bにて次世代セキュリティ通信部1032を利用できるか否かを判定する(ステップS42)。
【0087】
対象車線装置において次世代セキュリティ通信部1032が利用可能であり、かつ、料金所G4の下流側の料金所G5、G6に設置された全ての出口側車線装置10bにおいて次世代セキュリティ通信部1032が利用可能であった場合、管理装置2の送信部2002は、対象車線装置に向けて、次世代セキュリティ通信部1032を有効化するための信号を送信する(ステップS43)。
【0088】
このようにすることで、有料道路Uにおける全ての車線装置の置き換えを待たなくとも、次世代セキュリティ機能を利用することができる。
【0089】
なお、この変形例においては、料金所G4の入口側車線装置10aにて次世代セキュリティ通信部1032が有効化されたとしても、上流側の他の料金所では依然として現行セキュリティ通信部1031で運用されている場合がある。したがって、少なくとも、料金所G5、G6の出口側車線装置10bは、専用カードCから読み出した各種情報が、現行セキュリティ通信部1031によって暗号化されたものか、次世代セキュリティ通信部1032によって暗号化されたものかを判別可能な機能を有し、その判別結果に応じた複合処理を行う。
【0090】
上述の実施形態においては、車線装置10および管理装置2の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0091】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0092】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0093】
<付記>
各実施形態に記載の、車線装置、管理装置、料金収受システム、車線装置の制御方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0094】
(1)第1の態様に係る車線装置10は、有料道路Uへの流入車線L2に設置された車線装置であって、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う現行セキュリティ通信部1031(第1セキュリティ通信部)および次世代セキュリティ通信部1032(第2セキュリティ通信部)と、流入車線L2を走行する車両Aから受信した被暗号化出口情報に対し、現行セキュリティ通信部1031による復号処理を施して出口情報を読み出す読出処理部1002と、車両Aに書き込むべき入口情報に対し、次世代セキュリティ通信部1032による暗号化処理を施して被暗号化入口情報を生成し、当該生成した被暗号化入口情報を車両Aに送信する書込処理部1001と、を備える。
このようにすることで、閉じられた有料道路Uの内部でのみ次世代セキュリティ機能(第2セキュリティ通信部の機能)を運用することができる。
【0095】
(2)第2の態様に係る車線装置10によれば、読出処理部1002は、車両Aから受信した被暗号化通行履歴に対し、現行セキュリティ通信部1031による復号処理を施して通行履歴を読み出し、書込処理部1001は、車両Aに書き込むべき通行履歴に対し、次世代セキュリティ通信部1032による暗号化処理を施して被暗号化通行履歴を生成し、当該生成した被暗号化通行履歴を車両Aに送信する。
このようにすることで、入口情報に加えて通行履歴を含めて、次世代セキュリティ機能を利用した運用を実現することができる。
【0096】
(3)第3の態様に係る車線装置10は、有料道路Uからの流出車線L3に設置された車線装置であって、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う現行セキュリティ通信部1031(第1セキュリティ通信部)および次世代セキュリティ通信部1032(第2セキュリティ通信部)と、流出車線L3を走行する車両Aから受信した被暗号化入口情報に対し、次世代セキュリティ通信部1032による復号処理を施して入口情報を読み出す読出処理部1002と、車両Aに書き込むべき出口情報に対し、現行セキュリティ通信部1031による暗号化処理を施して被暗号化出口情報を生成し、当該生成した被暗号化出口情報を前記車両に送信する書込処理部1001と、を備える。
このようにすることで、閉じられた有料道路Uの内部でのみ次世代セキュリティ機能(第2セキュリティ通信部の機能)を運用することができる。
【0097】
(4)第4の態様に係る車線装置10によれば、読出処理部1002は、車両Aから受信した被暗号化通行履歴に対し、次世代セキュリティ通信部1032による復号処理を施して通行履歴を読み出し、書込処理部1001は、車両Aに書き込むべき通行履歴に対し、現行セキュリティ通信部1031による暗号化処理を施して被暗号化通行履歴を生成し、当該生成した被暗号化通行履歴を車両Aに送信する。
このようにすることで、出口情報に加えて通行履歴を含めて、次世代セキュリティ機能を利用した運用を実現することができる。
【0098】
(5)第5の態様に係る管理装置2は、有料道路Uの各料金所に設置され、現行セキュリティ通信部1031が利用されている車線装置10のそれぞれから、現行セキュリティ通信部1031とは異なる暗号化方式を用いる次世代セキュリティ通信部1032を利用可能であるか否かを示す情報を受信する受信部2001と、有料道路Uの全ての車線装置10で次世代セキュリティ通信部1032が利用可能となった場合に、車線装置10に、次世代セキュリティ通信部1032を有効化するための信号を送信する送信部2002と、を備える。
このようにすることで、有料道路U内の全ての車線装置において次世代セキュリティ機能への対応が完了したタイミングで、現行セキュリティ機能から次世代セキュリティ機能への切り替えを迅速に行うことができる。
【0099】
(6)第6の態様に係る管理装置2は、有料道路Uの各料金所に設置され、現行セキュリティ通信部1031が利用されている車線装置10のそれぞれから、現行セキュリティ通信部1031とは異なる暗号化方式を用いる次世代セキュリティ通信部1032を利用可能であるか否かを示す情報を受信する受信部2001と、一の料金所(料金所G4)の流入車線L2に設置された車線装置10(入口側車線装置10a)である対象車線装置において次世代セキュリティ通信部1032が利用可能であり、かつ、当該一の料金所(料金所G4)の下流側の料金所(料金所G5、G6)の流出車線L3に設置された全ての車線装置10(出口側車線装置10b)において次世代セキュリティ通信部1032が利用可能であった場合に、対象車線装置に、次世代セキュリティ通信部1032を有効化するための信号を送信する送信部2002と、を備える。
【0100】
(7)第7の態様に係る料金収受システムは、(1)または(2)に記載の入口側車線装置10aと、(3)または(4)に記載の出口側車線装置10bと、(5)または(6)に記載の管理装置2とを備える。
【0101】
(8)第8の態様に係る車線装置の制御方法は、有料道路への流入車線に設置され、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う第1セキュリティ通信部および第2セキュリティ通信部を備える車線装置の制御方法であって、前記流入車線を走行する車両から受信した被暗号化出口情報に対し、前記第1セキュリティ通信部による復号処理を施して出口情報を読み出すステップと、前記車両に書き込むべき入口情報に対し、前記第2セキュリティ通信部による暗号化処理を施して被暗号化入口情報を生成し、当該生成した被暗号化入口情報を前記車両に送信するステップと、を有する。
【0102】
(9)第9の態様に係る車線装置の制御方法は、有料道路からの流出車線に設置され、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う第1セキュリティ通信部および第2セキュリティ通信部を備える車線装置の制御方法であって、前記流出車線を走行する車両から受信した被暗号化入口情報に対し、前記第2セキュリティ通信部による復号処理を施して入口情報を読み出すステップと、前記車両に書き込むべき出口情報に対し、前記第1セキュリティ通信部による暗号化処理を施して被暗号化出口情報を生成し、当該生成した被暗号化出口情報を前記車両に送信するステップと、を有する。
【0103】
(10)第10の態様に係るプログラムは、有料道路への流入車線に設置され、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う第1セキュリティ通信部および第2セキュリティ通信部を備える車線装置のコンピュータに、前記流入車線を走行する車両から受信した被暗号化出口情報に対し、前記第1セキュリティ通信部による復号処理を施して出口情報を読み出すステップと、前記車両に書き込むべき入口情報に対し、前記第2セキュリティ通信部による暗号化処理を施して被暗号化入口情報を生成し、当該生成した被暗号化入口情報を前記車両に送信するステップと、を実行させる。
【0104】
(11)第11の態様に係るプログラムは、有料道路からの流出車線に設置され、互いに異なる暗号化方式を用いた通信を行う第1セキュリティ通信部および第2セキュリティ通信部を備える車線装置のコンピュータに、前記流出車線を走行する車両から受信した被暗号化入口情報に対し、前記第2セキュリティ通信部による復号処理を施して入口情報を読み出すステップと、前記車両に書き込むべき出口情報に対し、前記第1セキュリティ通信部による暗号化処理を施して被暗号化出口情報を生成し、当該生成した被暗号化出口情報を前記車両に送信するステップと、を実行させる。