(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記進行波発生手段は、前記搬送部を設けたフィーダ本体の周方向に対して、互いに所定の空間的位相差の下に第1加振領域および第2加振領域を設定し、これら第1加振領域および第2加振領域に所定の時間的位相差の下に2つの波を与えることで進行波を発生させるように構成されている請求項1に記載のらせん型ワーク搬送装置。
前記フィーダ本体はボウル状のものであり、当該フィーダ本体の底面に搬送部をたわみ変形させる駆動手段を設けるとともに、内周面に前記らせんトラックを形成している請求項2に記載のらせん型ワーク搬送装置。
前記フィーダ本体は円筒状のものであり、当該フィーダ本体の側壁の内周面、外周面又は底面に搬送部をたわみ変形させる駆動手段を設けるとともに、前記側壁の外周面又は内周面に前記らせんトラックを形成している請求項2に記載のらせん型ワーク搬送装置。
前記第1加振領域が少なくともらせんの中心を挟んだ対向位置に対をなして設けられるとともに、前記第2加振領域が少なくとも前記第1加振領域と異なる位置において前記らせんの中心を挟んだ対向位置に対をなして設けられている請求項2〜4の何れかに記載のらせん型ワーク搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年ワークの高速化および微細化が進んでおり、特許文献1に開示の構成でワークの搬送速度を上げるためには、ワークの供給元であるボウルフィーダの振動振幅を大きくすることが考えられる。しかしながら、ボウルフィーダの振幅を大きくすると、ボウルフィーダ外周部の水平振幅が大きくなるので、リニアフィーダとの間の隙間を広げる必要があり、近年ワークの微細化が進んでいることとあいまって、ボウルフィーダとリニアフィーダのインターフェース部間にワークが落下したり、ワークの詰まりが生じるおそれがある。
【0006】
そこで、板バネの共振で振動されるボウルフィーダの駆動部の周波数を上げ、変位振幅を小さくすることで、搬送速度を上げることが考えられる。しかしながら、一般的に300Hz程度である駆動部の周波数をこれ以上に上げると、人間の耳の感度が高い1kHz〜4kHzの周波数に近づき、騒音が発生する可能性がある。また、板バネで共振させる構造では、300Hzを超えて周波数を上げるには限界がある。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、騒音を発生させることなく、微細化されたワークであっても、供給された位置から順次整列させてリニアフィーダに的確に搬送させることが可能な、従来にはないらせん型搬送装置およびパーツフィーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のらせん型搬送装置は、ワークを収容可能なフィーダ本体と、弾性変形可能ならせんトラックを有する搬送部と、前記搬送部に進行波を発生させる進行波発生手段とを備え、前記進行波発生手段が発生させた進行波により、前記らせんトラック上のワークを搬送するように構成しており、前記フィーダ本体は
、当該フィーダ本体の一部であって支持基部に固定される被固定部位と
、当該フィーダ本体の他の一部であって前記被固定部位から外方に延在する部位において前記支持基部に固定されずに浮いた状態に設けられる前記搬送部とを有し、前記搬送部に前記進行波発生手段を設けてなることを特徴とする。
【0010】
このような構成であると、進行波発生手段が搬送部に進行波を発生させてワークを搬送することにより、搬送部の水平振幅が0に近くなり、らせん型搬送装置とリニアフィーダ等の次工程装置とを近接させることができるので、ワークが微細であっても、らせん型搬送装置と次工程装置とのインターフェース部間にワークが落下することや詰まることを抑制できる。また、進行波の周波数を例えば超音波領域にまで上げたとしても、従来の板バネの共振を利用する構成のように騒音が発生することがなく、進行波により、らせんトラック上でワークを高速で搬送させることができる。
【0011】
所定の基準に基づいて進行波を効率良く発生させるためには、前記進行波発生手段は、前記搬送部を設けたフィーダ本体の周方向に対し、互いに所定の空間的位相差の下に第1加振領域および第2加振領域を設定して、これら第1加振領域および第2加振領域に所定の時間的位相差の下に2つの波を与えることで進行波を発生させるように構成されることが望ましい。
【0012】
前記フィーダ本体がボウル状のものである場合には、フィーダ本体の底面に搬送部をたわみ変形させる駆動手段を設けるとともに、フィーダ本体の内周に前記らせんトラックを形成していることが望ましい。
【0013】
前記フィーダ本体が円筒状のものである場合には、フィーダ本体の側壁の内周面、外周面又は底面に搬送部をたわみ変形させる駆動手段を設けるとともに、前記側壁の外周面又は内周面に前記らせんトラックを形成していることが望ましい。
【0014】
安定して均質な搬送波を発生させるためには、前記第1加振領域が少なくともらせんの中心を挟んだ対向位置に対をなして設けられるとともに、前記第2加振領域が少なくとも前記第1加振領域と異なる位置において前記らせんの中心を挟んだ対向位置に対をなして設けられていることが望ましい。
【0015】
また本発明のらせん型ワーク搬送装置は、弾性変形可能ならせんトラックを有する搬送部と、前記搬送部に進行波を発生させる進行波発生手段とを備え、前記進行波発生手段が発生させた進行波により、前記らせんトラック上のワークを搬送するように構成したものであって、前記進行波発生手段は、前記搬送部を設けたフィーダ本体の周方向に対して、互いに所定の空間的位相差の下に第1加振領域および第2加振領域を設定し、これら第1加振領域および第2加振領域に所定の時間的位相差の下に2つの波を与えることで進行波を発生させるように構成されているものであり、前記時間的位相差が、第1加振領域と第2加振領域の間で構造的な対称性を崩すことによる固有振動数のずれに起因した機械的な位相差によって実現されており、これら第1加振領域および第2加振領域に設けた駆動手段に対して、共通の駆動源から同相で電気的駆動を行うように構成されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明した本発明によれば、搬送部を次工程装置に近接させて、ワークが微細であっても、搬送部と次工程装置とのインターフェース部間への落下や詰まりを抑制できるとともに、特に超音波振動により進行波を発生させることで、騒音を発生させることなく、らせんトラック上でワークを高速で搬送させることができる、新規有用ならせん型搬送装置およびパーツフィーダを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図8は、本発明の一実施形態に係る螺旋型ワーク搬送装置が適用されるパーツフィーダPFを示している。このパーツフィーダPFは、ボウルフィーダF1とリニアフィーダF2とから構成されており、ボウルフィーダF1に供給されたワークをらせんトラックに沿って登坂させて搬送した後、近接配置したリニアフィーダF2に受け渡して更に搬送させるものである。図示例のボウルフィーダF1は、フィーダ本体100が剛体で構成されて中央部を止着具100aで固定されるとともに、フィーダ本体100が図示しないバネを介して支持されており、電磁式の加振源Pによってフィーダ本体100の全体に振動を与えることでらせんトラック上のワークを搬送する従来方式のものである。
【0020】
図1はそのうちのボウルフィーダF1に代替される螺旋型ワーク搬送装置(以下、ボールフィーダ1と称する)を示している。
図8のボウルフィーダF1とは搬送方向が異なる図示となっているため、リニアフィーダF2と組み合わせるときには出入口が合致するように搬送方向を揃える。このボウルフィーダ1は、ワークWを収容可能なフィーダ本体10と、このフィーダ本体10の搬送部10aに進行波を発生させる
図3に示す進行波発生手段3とを含んで構成される。搬送部10aはたわみ進行波を生成する弾性部材で構成されており、進行波発生手段3は、圧電素子を用いた駆動手段31によって搬送部10aにたわみ変形を引き起こす。
【0021】
図1および
図2に示すようにフィーダ本体10は、平坦な中央部11と、この中央部から外周に向かって下り勾配で傾斜する円錐部12と、この円錐部12の外周側より外周に向かって登り勾配で傾斜する逆円錐部14と、円錐部12から逆円錐部14までの間に形成された平坦なワーク溜まり部13と、逆円錐部14の外側に位置する外縁部15とを、底面16の位置を揃えて一体に設けたもので、中央部11が
被固定部として押え板17を介して止着具18により支持基部である台座19に固定され、中央部11以外の部位が
外方に延在して接地面Fから浮いた状態に設けられている。
【0022】
そして、搬送部10aに搬送トラックの一形態であるらせんトラック10xを形成している。このらせんトラック10xは、一端10x1がワーク溜まり13の外周に接続され、そこから螺旋状に1回以上周回して他端10x2にまで延び、外縁部15に設けた出口10zに連なるようにフィーダ本体10の表面に溝を凹設することによって構成されている。出口10zはワークWが滑り落ちるように傾斜がつけてある。
【0023】
フィーダ本体10は、20kHz以上の超音波振動で、中心線mの回りに少なくとも2つ以上の上下方向のたわみ波を発生させることが可能な程度の弾性を有する部材で構成されている。
【0024】
図2に示すように、進行波発生手段3を構成すべく圧電素子を用いた駆動手段31は、らせんトラック10xが形成された逆円錐部14から外縁部15に亘る部分の底面16に張り付けられている。駆動手段31は、らせんトラック10xにほぼ沿う形で中心線mの周方向に伸縮することで搬送部10aにたわみを発生させる。複数の駆動手段31は、
図3に示すように、振動モードの腹の位置に1/2波長間隔で極性を交互に入れ替えて張り付けられている。また駆動手段31は、周波数を同じにしつつ、空間的に波の位相が90°ずれた2つのたわみ定在波モードで効率良く加振するために、加振する領域のうちフィーダ本体10の略半周を第1加振領域A、残り略半周を第2加振領域Bとして、第1加振領域Aと第2加振領域Bに駆動手段31を、進行波の波長の3/4波長分だけ空間的位相をずらして貼り付けるとともに、2相交流信号発信部30で発生させた90°位相の異なる交流信号を第1のアンプ32aおよび第2のアンプ32bを介して第1加振領域Aおよび第2加振領域Bの各駆動手段31に印加している。
【0025】
図4は駆動手段31として用いられる電極一体型構造の圧電素子Rの構造例を示している。図では直線状に表してあるが、本実施形態では円環状に成形して適用される。この圧電素子Rは、電極が一枚一枚貼り付けられる一般的な構造とは異なり、セラミック部分r1を一体化して、電極r2のみ別々にしている。これにより、貼り付け作業の軽減、貼り付け精度の向上を図ることができる。
【0026】
また、
図3に示す2相交流信号発信部30は、波形選択部30aで選択された波形の周波数を加振周波数調整手段30bで調整し、第1の振幅調整手段30cで振幅調整した後に第1のアンプ32aに、また電気的位相調整手段30dで位相を調整した上で第2の振幅調整手段30e振幅調整した後に第2のアンプ32bに、それぞれ入力している。なお、定在波とは、共振するとその場で単に上下に振動するものである。
図5は搬送部10aに0°定在波モードが生じた状態を示しており、この
図5から中心線の回りに円周方向へ90°ずれた位置に山と谷を有するもう一つの定在波モードである90°定在波モードが発生する。
【0027】
このような駆動手段31により、搬送部10aに、周方向に沿って2箇所に時間的に位相を90°ずらした超音波の正弦波振動を与えると、空間的かつ時間的に90°ずれた2つの定常波が重ね合わされ、搬送部10a自体が共振して弾性変形し、たわみ振動が進行波となる。進行波が発生した搬送部10aの一点Zでは、
図6に示すように、起算点t=0からt=3/4Tを経て楕円振動が生じる。また、搬送部10aに生成された進行波によって、波の頂点の一点ZでワークWに力が働き、ワークWと搬送部10aとの間に
図7に示すように摩擦力eが発生することで、楕円振動の水平成分(水平振幅)の推進力により、進行波の進む方向(
図7に示す矢符d)と逆方向(
図7に示す矢符c)にワークWが搬送される。搬送部10aでこのようなたわみ波の進行波が循環することで、ワークWはらせんトラック10xを登坂する。このように搬送部10aをたわみ振動させるので、前述のようにフィーダ本体10の中央部11を固定しても搬送部10aのたわみ振動モードに影響を与えず、進行波が得られる。なお、第1の加振領域Aと第2の加振領域Bとで駆動手段31に与える正弦波の位相差を反転させることで(時間位相を反転(−90°))、逆方向にワークWを搬送させることができ、外縁部15からワーク溜まり部13に向かってワークWを搬送したい事情がある場合に有効となる。進行波を発生させる構成は上記のものに限定されず、従来既知の技術である両端加振方式により進行波を発生させてもよい。また、搬送部10aには、水平振幅を増大させるために搬送方向に沿って所定ピッチでスリットを入れても良い。
【0028】
以上のように、この実施形態のらせん型ワーク搬送装置であるボウルフィーダ1は、弾性変形可能ならせんトラック10xを有する搬送部10aと、この搬送部10aに進行波を発生させる進行波発生手段3とを備え、進行波発生手段3が発生させた進行波により、らせんトラック10x上のワークWを搬送するように構成したものである。
【0029】
このような構成であると、進行波発生手段3が搬送部10aに進行波を発生させてワークを搬送することにより、搬送部10aの水平振幅が0に近くなり、らせん型搬送装置であるボウルフィーダ1と
図8に示したリニアフィーダF2とを近接させることができるので、ワークWが微細であっても、ボウルフィーダ1(F1)とリニアフィーダF2とのインターフェース部間にワークWが落下することや詰まることを抑制できる。また、進行波の周波数を例えば超音波領域にまで上げたとしても、従来の板バネの共振を利用する構成のように騒音が発生することがなく、進行波により、らせんトラック10x上でワークWを高速で搬送させることができる。また、圧電素子による駆動手段31を用いて加振源を構成することで、電磁式のものに比べて装置全体の嵩を低く抑えることができる。さらに、らせん状のトラックとすることで、ワークの整列能力や貯蔵能力を高めることができる。
【0030】
具体的に進行波発生手段3は、搬送部10aを設けたフィーダ本体10の周方向に対して、互いに空間的位相差のある第1加振領域Aおよび第2加振領域Bに時間的位相差(3/4波長)で2つの波を与えることで進行波を発生させるように構成されているので、定在波の発生を抑えて効率良く進行波を発生させることができる。
【0031】
特に、フィーダ本体10がボウル状のものであり、このフィーダ本体10の底面16に圧電素子を用いて搬送部10aをたわみ変形させる駆動手段子31を設けるとともに、内周面にらせんトラック10xを形成しているので、駆動手段31によって搬送部10aに周方向の平面的な進行波を発生させ、その進行波を垂直方向成分を有するらせんトラック10xにも効率良く伝達することができる。
【0032】
そして、このようなボウルフィーダ1をリニアフィーダF2に接続してパーツフィーダPFを構成すれば、フィーダ1、F2間を近接配置して、微小ワークに対しても適切な搬送を行うことが可能となる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0034】
例えば、
図9に示すように、フィーダ本体10を中心線mの回りに偶数個に分割して、第1加振領域Aを中心線mを挟んだ対向位置に対をなして設けるとともに、第2加振領域Bを前記第1加振領域Aと異なる位置において中心線mを挟んだ対向位置に対をなして設けるようにしてもよい。この場合にも、第1加振領域Aと第2加振領域Bの間には3/4波長分だけ空間的位相差を設けておくようにする。
【0035】
また、上記実施形態ではフィーダ本体がボウル状のものであったが、
図10に示すようにフィーダ本体110は円筒状とすることもできる。この場合には、当該フィーダ本体110の底面中央部を押え板117によって固定し、側壁の外周面に圧電素子を用いて搬送部110aを撓み変形させる駆動手段131を設けるとともに、前記側壁の内周面にらせんトラック110xを形成したものである。
【0036】
このようにすると、半径方向を大きくせずにトラック長を確保することができるので、設置スペースが小さくて済み、上下方向にワークを搬送したいときに有効であるのは勿論のこと、ワークの整列能力やワークの貯蔵能力をより高めることができる利点がある。
【0037】
勿論、当該フィーダ本体110の底面に圧電素子を用いた駆動手段を設け、側壁の内周面にらせんトラックを形成したものであっても上記に準じた作用効果を奏する。また、当該フィーダ本体110の側壁の内周面又は底面に圧電素子を用いた駆動手段を設け、側壁の外周面にらせんトラックを形成した構成であっても上記に準じた作用効果を奏する。さらに、圧電素子を用いた駆動手段は側壁の内周面、外周面、底面の2箇所以上に設けて各々独立してたわみ変形を引き起こすように構成することもできる。
【0038】
なお、本発明に言う「らせん」は、必ずしも1周以上周回する構成のものに限らず、らせんの始点から終点まで1周に満たない構成も含まれる。
【0039】
らせんトラックは上記に限らず、底面に形成されていても良い。
【0040】
さらに、上記実施形態では、位相調整部によって第1加振領域と第2加振領域との間に時間的位相差を付与したが、時間的位相差は、第1加振領域Aと第2加振領域Bとで搬送部10aの対称構造を崩すことによって実現してもよい。すなわち、第1加振領域Aの固有振動数f1と第2加振領域Bの固有振動数f2とのずれ(f1<f2)に起因して、ほぼ90°の機械的位相差を実現し、この機械的な位相差を、進行波を発生させるための時間的位相差として利用することができる。機械的な対称性を崩すためには、第1加振領域Aと第2加振領域Bとで底面16(
図7参照)の高さ位置を変えることで搬送部10aの厚みを変えたり、一部に切り欠きや肉厚欠損部を設けたり、ウェイトを設けるなど、種々の対応が可能である。
【0041】
この場合、第1加振領域A及び第2加振領域Bを撓み変形させるための圧電素子を用いた駆動手段31には、
図11に示すように、正弦波を発生する共通の駆動源30´が第1のアンプ32aおよび第2のアンプ32bを介して接続されて、それぞれ同相で電気的駆動がなされるように構成し、位相調整部は設ける必要がない。
【0042】
図12に2つの定在波モードの加振力(発生力)に対するたわみ変位量の伝達特性、及び、位相特性を示す。加振周波数fを第1加振領域A(0°モード)の固有周波数f
1とすると、位相特性について、第1加振領域A(0°モード)では、共振駆動であるため、力に対する変位の位相差は90°になる。一方、第2加振領域B(90°モード)では、固有振動数がf2であるため共振からずれ、力に対する変位の位相差がほぼ0°になる(f
1<f
2)。その結果、第1加振領域A(0°モード領域)と第2加振領域B(90°モード領域)を同相で加振すると、両者の変位には時間的位相差90°が発生する。その結果、2つの定在波が合成され、たわみ進行波が生成される。すなわち、時間的位相差が、固有振動数のずれに起因した機械的な位相差によって実現される。
【0043】
一方、
図12の変位/力の特性をみると、第1加振領域A(0°モード)の波は、共振点f1で駆動されるが、第2加振領域B(90°モード)の波は、共振点から外れ、振幅が低減する。そこで、加振力調整手段として第1加振領域Aよりも第2加振領域B側に駆動手段31をより多く貼り付けることで振幅を揃える構成等を採用することが有効である。例えば、変位が1/2になれば駆動手段31の併設数を2倍にするといった具合に加振力のバランスをとり、第1加振領域A(0°モード)側と第2加振領域B(90°モード)側とで変位量を同じにすることで、均質な駆動を行うことができるようになる。
【0044】
さらにまた、
図13に示す圧電素子R´のように、電極r2´、r3´は別体とし、セラミック部r1´のみ一体化した圧電(セラミック)一体型としてもよい。このようにしても、貼り付け作業の軽減や貼り付け精度の向上を図れる点で、上記実施形態に準じた作用効果が奏される。
【0045】
その他、上記実施形態とは逆に搬送部の外側を固定したり、搬送部の外側と内側を固定したり、搬送部に搬送方向に沿って間欠的に水平方向振幅を増大させるためのスリットを設けるなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。