(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フットレストが折畳み状態にあるときに、前記フットレストの前面の少なくとも一部は、前記側方フレーム部の前面よりも後方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
前記フットレストのヒンジは、前記左右の側方フレーム部同士が対向する前記左右の側方フレーム部における面のそれぞれに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は5に記載の乗物用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の側方フレーム部を備え、かつ特許文献1に記載のようなチップアップ状態にすることが可能な乗物用シートは、チップアップ状態においてシートクッションとシートバックが前後に重なることによってシートの前後の大きさが問題になることがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、折畳み可能でコンパクトな乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明に係る乗物用シートによれば、左右の側方フレーム部と、該左右の側方フレーム部の間に設けられ、着座者の背部を支持する背部支持部と、前記左右の側方フレーム部の間に設けられ、前記背部支持部から離間する展開状態と前記背部支持部側に折り畳まれた折畳み状態とに切り替わるように前記左右の側方フレーム部に回動可能に取り付けられたシートクッションと、を備え、
前記シートクッションから離間する展開状態と前記シートクッション側に折り畳まれた折畳み状態とに切り替わるように前記側方フレーム部に回動可能に取り付けられたフットレストを備えることにより解決される。
上記構成によれば、シートクッションが折畳み状態にあるときに、シートクッションの前面の少なくとも一部が側方フレーム部の前面よりも後方に配置されていることで、乗物用シートを薄くコンパクトにすることができる。
【0007】
また、前記課題は、本発明に係る乗物用シートによれば、左右の側方フレーム部と、該左右の側方フレーム部の間に設けられ、着座者の背部を支持する背部支持部と、前記左右の側方フレーム部の間に設けられ、前記背部支持部から離間する展開状態と前記背部支持部側に折り畳まれた折畳み状態とに切り替わるように前記左右の側方フレーム部に回動可能に取り付けられたシートクッションと、を備え、前記背部支持部は、支持本体と、該支持本体の背面側を覆うように取り付けられた背部側板状部材と、から構成されており、前記背部側板状部材は、前記側方フレーム部の前面に取り付けられていることにより解決される。
上記構成によれば、背部支持部において、支持本体の背面側を覆うように背部側板状部材が取り付けられていることで、乗物用シートの厚み増加を抑制しつつ、背部支持部の剛性を向上させることができる。
また、上記構成によれば、背部側板状部材が側方フレーム部の前面に取り付けられていることで、支持本体を介して板状部材に後方に加わる着座者からの荷重を側方フレーム部の前面で受けることができ、背部支持部の側方フレーム部への取付強度を向上させることができる。
また、前記課題は、本発明に係る乗物用シートによれば、左右の側方フレーム部と、該左右の側方フレーム部の間に設けられ、着座者の上半身を支持する上半身支持部と、前記上半身支持部のうち、前記着座者の背部を支持する背部支持部と、前記左右の側方フレーム部の間に設けられ、前記背部支持部から離間する展開状態と前記背部支持部側に折り畳まれた折畳み状態とに切り替わるように前記左右の側方フレーム部に回動可能に取り付けられたシートクッションと、を備え、該シートクッションが折畳み状態にあるときに、前記シートクッションの最前部は、前記上半身支持部の前記シートクッションよりも上方の部分の一部よりも後方に配置されていることにより解決される。
【0008】
また、前記背部支持部は、左右方向における中央部が窪んでおり、前記シートクッションの左右方向の幅は、前記背部支持部の左右方向の幅よりも短く形成されており、前記シートクッションの少なくとも一部は、前記シートクッションが折畳み状態にあるときに前記背部支持部の前記中央部の窪み内に位置
し、前記シートクッションが折畳み状態にあるとき、前記シートクッションの上端より下端の方が後方に位置すると好ましい。
上記構成によれば、シートクッションの少なくとも一部が、折畳み状態において背部支持部の中央部の窪み内に位置することで、乗物用シートを薄くコンパクトにすることができる。
【0009】
また、
前記フットレストが折畳み状態にあるときに、前記フットレストの前面の少なくとも一部は、前記側方フレーム部の前面よりも後方に配置されていると好ましい。
上記構成によれば、フットレストが折畳み状態にあるときに、フットレストの前面の少なくとも一部が側方フレーム部の前面よりも後方に配置されていることで、フットレストを備える乗物用シートを薄くコンパクトにすることができる。
【0010】
また、前記フットレストのヒンジは、前記左右の側方フレーム部同士が対向する前記左右の側方フレーム部における面のそれぞれに取り付けられていると好ましい。
上記構成によれば、フットレストのヒンジが、左右の側方フレーム部同士が対向する左右の側方フレーム部における面のそれぞれに取り付けられていることで、フットレストのヒンジが前後方向に張り出すことを抑制し、フットレストをコンパクトに収納できる。
【0011】
また、前記シートクッションと前記フットレストとを接続し、前記シートクッションと前記フットレストとを連動して回動させる接続部材を備え、前記シートクッション及び前記フットレストが折畳み状態にあるときに、前記接続部材の前面の少なくとも一部は、前記側方フレーム部の前面よりも後方に配置されていると好ましい。
上記構成によれば、シートクッションとフットレストとを連動して回動させる接続部材を備えることで、シートクッション又はフットレストの一方を回動させることで他方を回動させることができるので操作性が向上する。さらに、シートクッション及びフットレストが折畳み状態にあるときに、接続部材の前面の少なくとも一部が側方フレーム部の前面よりも後方に配置されていることで、接続部材を備える乗物用シートを薄くコンパクトにすることができる。
【0013】
また、前記乗物用シートは、前記背部支持部から上方に向かうにつれて前方に向かうように傾斜する傾斜部を備え、前記傾斜部の少なくとも一部は、前記側方フレーム部の前面よりも前方に配置されているとよい。
【0014】
また、
前記支持本体は、前記中央部の左右の外縁に沿って形成され、前記中央部よりも前方に突出した縁部を有し、前記背部側板状部材は、
前記中央部および前記縁部を
背面側から覆っていてもよい。
上記構成によれば、板状部材が支持本体の背面全体を覆っていることで、背部支持部の剛性をより向上させることができる。
【0015】
また、前記シートクッションは、クッション本体と、該クッション本体の裏面側
の中心を覆うクッション側板状部材と、から構成され、該クッション側板状部材が、前記側方フレーム部に取り付けられていると好ましい。
上記構成によれば、シートクッションにおいて、クッション本体の裏面側を覆うようにクッション側板状部材が取り付けられていることで、乗物用シートの厚み増加を抑制しつつ、シートクッションの剛性を向上させることができる。なお、本書において、裏面とは、シートに着座する着座者側の逆の面をいう。一方、シートクッションの裏面であって、背部支持部側に折り畳まれた状態のシートクッションの裏面を前面ともいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、乗物用シートを薄くコンパクトにすることができる。
また、本発明によれば、フットレストをコンパクトに収納できる。
また、本発明によれば、接続部材を備える乗物用シートを薄くコンパクトにすることができる。
また、本発明によれば、フットレストを備える乗物用シートを薄くコンパクトにすることができる。
また、本発明によれば、背部支持部の側方フレーム部への取付強度を向上させることができる。
さらに、本発明によれば、背部支持部の剛性を向上させることができる。
また、本発明によれば、乗物用シートの厚み増加を抑制しつつ、シートクッションの剛性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1乃至
図7を参照しながら、本発明の実施形態に係るシートについて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0019】
以下に説明する実施形態においては、本発明を宇宙船(乗物の一例)に搭載されるシートに適用した場合について説明する。また、以下の説明中における、上下、前後、左右の各方向は、特段ことわる場合を除き、シートに着座する乗員から見たときの各方向と一致することとする。
【0020】
まず、各図の概要について説明する。
図1は本実施形態に係るシート1の斜視図、
図2はシート1の正面図、
図3はシート1の背面図であり、
図4は、シート1に乗員が着座した状態を示す図である。また、
図5は、折畳み状態のシート1を示す正面図、
図6は、折畳み状態のシート1を示す
図5のVI-VI断面矢視図、
図7は、折畳み状態のシート1を示す
図5のVII-VII断面矢視図である。
【0021】
図1に示されるように、乗物用シートとしてのシート1は、主な構成要素として、左右の固定フレーム2、ヘッドレスト10、背部支持部20、シートクッション30及びフットレスト40を備える。
【0022】
固定フレーム2は、乗物に固定され、シート1の両サイドの配設されたフレームである側方フレーム部であり、例えば鉄等の金属により構成されている。固定フレーム2は、断面がコの字状に形成されており、コの字の開放側が左右方向において外側に向くように、配置されている。ここで、左右方向とは、シート幅方向と同じ意味であり、左右方向において外側とは、左右方向において内側にある背部支持部20等に対する逆側を意味する。
【0023】
また、シート1において、固定フレーム2は平行に離間して2本設けられている。例えば、固定フレーム2は、宇宙船の乗員室における宇宙船が取り付けられたロケットの発射時に、下方にある略水平の壁に当たる部位に取り付けられる。この場合には、乗員である着座者100は、乗員室の壁に対して仰向けの状態でシート1に着座することとなる。
また、左右の固定フレーム2の下部におけるシート幅方向内側の側面であり、両固定フレーム2が対向する両固定フレーム2における面である対向面2bには、後述するストライカ33aと係合するフック装置23が取り付けられている。
【0024】
ヘッドレスト10は、着座者100の頭部を支持する頭部支持部である。ヘッドレスト10は、後述する背部支持部20と一体に形成されており、具体的には、背部支持部20と傾斜部12によって連結されている。以下において、一体とは、一部材によって形成されていることを意味することとする。また、一体的に形成されたヘッドレスト10、傾斜部12及び背部支持部20を、着座者100の上半身を背面側の周囲を支持する上半身支持部Xともいう。上半身支持部Xは、中央部Xaと、中央部Xaの左右の外縁に沿って形成され、中央部Xaよりも前方に突出した縁部Xbと、中央部Xa及び縁部Xbを背面側から覆う背部側板状部材である金属プレート21と、から構成されている。
【0025】
ヘッドレスト10は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の樹脂から成る支持本体10Xと、支持本体10Xの背面全体を覆うように取り付けられた金属プレート21の上部と、から構成されている。このように、ヘッドレスト10は、ヘッドレスト本体としての支持本体10Xと、支持本体10Xの背面全体を覆う金属プレート21の上部とによって構成されていることで、高い剛性を有することとなる。
【0026】
支持本体10Xは、頭部支持部本体であり、後述する背部支持部20の支持本体22と一体として形成されている。支持本体10Xは、支持本体10Xの中央にある中央部10aと、支持本体10Xの左右の外縁に沿って形成された縁部10bと、を一体として有する。
中央部10aは、上半身支持部Xの中央部Xaの一部を構成し、着座者100の後頭部を背面側から支持するように窪んで形成されており、縁部10bは、着座者100の側頭部を支持するように、中央部10aの前面である支持面よりも前方に突出するように形成されている。
【0027】
そして、縁部10bは、上半身支持部Xの縁部Xbの一部を構成し、背部支持部20の支持本体22と一体的に形成された支持本体10Xの左右の縁に沿って形成されており、ヘッドレスト10から傾斜部12及び背部支持部20に至るまで延在している。換言すると、縁部10bは、傾斜部12における左右の縁部12bと、支持本体22における左右の縁部22bと、に連続して形成されている。
【0028】
具体的には、上半身支持部Xの縁部Xbの一部を構成し、縁部10bから連続して上下に延在する縁部12bは、上半身支持部Xの中央部Xaの一部を構成する中央部12aの支持面よりも前方に突出している。同様に、上半身支持部Xの縁部Xbの一部を構成する縁部22bは、上半身支持部Xの中央部Xaの一部を構成する中央部22aの前面である支持面よりも前方に突出している。また、縁部22bは、固定フレーム2の前面2aよりも後方に配置されている。このように縁部22bが固定フレーム2の前面2aよりも後方に配置されていることで、前方への縁部22bの突出を抑制できることでシート1がコンパクトになる。
【0029】
また、縁部10b、縁部12b及び縁部22bが、ヘッドレスト10だけでなく、傾斜部12及び背部支持部20まで形成されていることで、着座者100の頭部だけではなく、頸部及び背部を側方から好適に支持することができる。着座者100に対して水平方向から加わる衝撃だけではなく、上下斜め方向から加わる衝撃をも緩和することができる。
【0030】
なお、縁部10bは、支持本体10Xの上縁に沿って、前方に突出するように形成されていてもよい。このようにすれば、着座者100の頭頂部を支持することができる。一方で、縁部10bが支持本体10Xの左右の外縁にのみ形成されているものであれば、着座者100の頭の位置が異なる場合であっても、適用可能なる範囲が広くなるため好ましい。つまり、ヘッドレスト10にて、着座者100の後頭部を好適に支持できる範囲を広くすることができるため好ましい。
【0031】
また、本実施形態では、ヘッドレスト10は、左右に設けられたヘッドレスト支持部材11を介して左右の固定フレーム2に取り付けられている。
ヘッドレスト支持部材11は、ヘッドレスト10の剛性を高めて、着座者100の頭部をより効果的に保持する機能を有する。ヘッドレスト支持部材11は、左右両側の固定フレーム2からそれぞれ延出しており、一端が固定フレーム2に固定されているとともに、他端がヘッドレスト10の金属プレート21の上部に固定されている。つまり、ヘッドレスト支持部材11は、固定フレーム2とヘッドレスト10を構成する金属プレート21とを連結している。
このように、金属プレート21がヘッドレスト支持部材11に連結されて、間接的に固定フレーム2に支持されていることで、ヘッドレスト10に加わる衝撃に対するヘッドレスト10の剛性をさらに高めることができる。
【0032】
詳細には、左右のヘッドレスト支持部材11のそれぞれは、2本の支柱11aと、固定フレーム2に固定される板材である固定フレーム側ブラケット11bと、ヘッドレスト10に固定される板材であるヘッドレスト側ブラケット11cと、から構成されている。なお、ヘッドレスト支持部材11は、例えばアルミ等の金属により構成されるものである。
【0033】
本実施形態においては、ヘッドレスト10は、左右に2本ずつ、計4本の支柱11aによって支持されている。しかし、左右2本ずつに限定されず、さらに複数の支柱11aによってヘッドレスト10を支持するようにしてもよい。このように、複数の支柱11aによってヘッドレスト10が支持されていることで、着座者100の頭部を複数方向からの荷重に対して効果的に支えることができる。
【0034】
また、ヘッドレスト支持部材11の左右のそれぞれに設けられた2本の支柱11aにおける固定フレーム2に取り付けられる側の端部の間隔は、ヘッドレスト10に取り付けられる側の端部の間隔よりも大きい。換言すると、2本の支柱11aは、ヘッドレスト10から固定フレーム2に向かうにつれて、互いに離間するように形成されている。
ヘッドレスト支持部材11は、このように構成された支柱11aを有して、ヘッドレスト10を支持していることで、ヘッドレスト10の支持剛性を高めることができる。さらには、ヘッドレスト10がこのように構成されていることで、着座者100の頭部からヘッドレスト10に加わる荷重が分散され、ヘッドレスト10の衝撃吸収力が高まることとなる。
【0035】
固定フレーム側ブラケット11bは、上下に延在しており、左右の固定フレーム側ブラケット11bのそれぞれに、上下に2個ずつ設けられたリベット11dが貫通して固定フレーム2の内側の面に固定されている。なお、固定フレーム2の内側の面は、左右の固定フレーム2が互いに対向する左右の固定フレーム2における面である対向面2bである。
このように、固定フレーム側ブラケット11bが固定フレーム2の対向面2bに固定されていることで、固定フレーム側ブラケット11bが固定フレーム2の前面2aに固定されるものと比較して、支柱11aをより後方から延在させることができる。このため、ヘッドレスト10に後方に向かって加わる荷重を好適に支持することができる。
さらに、固定フレーム側ブラケット11bが固定フレーム2の対向面2bに固定されていることで、固定フレーム2の前面2aに固定されるものと比較して、ヘッドレスト10の固定フレーム2からの前方への突出を抑えることができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、ヘッドレスト支持部材11を固定フレーム2に取り付ける手段としてリベット11dを用いる例を説明したが、これに限定されない。例えば、ボルト、ネジ等の締結部材、クランプ等の挟持部材その他の接合部材を用いるようにしてもよい。
【0037】
ヘッドレスト側ブラケット11cは、上記のようにヘッドレスト10から固定フレーム2に向かうにつれて互いに離間するように形成され支柱11aとの取付位置に合わせて、固定フレーム側ブラケット11bよりも上下に短く形成されている。
このように、支柱11aは、板状に上下に広がって形成された固定フレーム側ブラケット11b及びヘッドレスト側ブラケット11cによって、固定フレーム2及びヘッドレスト10に接続されている。このため、ヘッドレスト支持部材11は高い支持剛性を有している。
【0038】
傾斜部12は、背部支持部20から上方に向かうに連れて前方に向かうように傾斜している。この傾斜部12の少なくとも一部は、
図6に示すように、固定フレーム2の前面2aよりも前方に配置されている。換言すると、傾斜部12は、固定フレーム2の前面2aに前後位置において重なるように形成されている。このように、傾斜部12が形成されていることで、傾斜部12側から着座者100の頸部へ衝撃が加わるときに、傾斜部12をその前方にある頸部に早く当接させることができるため、頸部に加わる衝撃を緩和することができる。
【0039】
背部支持部20は、着座者100の背部及び腰部を支持する部材であり、例えばCFRP等の樹脂により構成される。背部支持部20は、上記のように、左右の固定フレーム2の間に設けられており、ヘッドレスト10と一体として形成されている。背部支持部20は、着座者100の背部及び腰部に直接触れてこれらを支持する支持本体22と、上記において説明した支持本体22の背面全体を覆うように取り付けられた金属プレート21の下部と、から構成されている。
【0040】
背部支持部20を構成する支持本体22は、上記のように、ヘッドレスト10の支持本体10Xと一体として形成されている。支持本体22は、左右方向中央にある中央部22aと、中央部22aの左右の縁である縁部22bと、を一体として有する。中央部22aは、着座者100の背部及び腰部の後面を支持するように窪んで形成されており、縁部22bは、着座者100の背部及び腰部の側面を支持するサイドサポートとして、中央部22aよりも前方に突出するように形成されている。
【0041】
本実施形態に係る金属プレート21は、チタン合金、ステンレス又はアルミ合金等から成るものであり、支持本体22の背面の全面を覆うように形成されて背部支持部20の背面の全面に亘って形成されている。このように、背部支持部20において、金属プレート21が支持本体22の背面の覆うように取り付けられていることで、シート1の厚み増加を抑制しつつ、背部支持部20の剛性をより向上させることができる。
なお、金属プレート21に相当する本発明に係る背部側板状部材は、支持本体10X又は後述する支持本体22よりも強度が高く、板状に薄く形成されていればよく、金属材料から成るものに限定されず、硬質樹脂その他の材料から成るものであってもよい。
【0042】
また、金属プレート21の左右の端部21aは、ヘッドレスト10ではなく支持本体22を支持する位置において、
図7に示すように、端部21aの背面が左右の固定フレーム2の前面2aに面合わせとなる位置にある。つまり、金属プレート21は、支持本体22の背面を中央部分において覆いつつ、端部21aが固定フレーム2の前面2aに重なるように、中央部分の端から前方向及び左右方向外側に湾曲して形成されている。
金属プレート21の端部21aがこのように固定フレーム2の前面2aに面合わせとなる位置まで延出して固定されていることで、着座者100から後方に向かう荷重が支持本体22を介して金属プレート21に加わったときに、左右の端部21aにおいて固定フレーム2によって後方から支持されることとなる。つまり、支持本体22を介して金属プレート21に後方に加わる着座者100からの荷重を固定フレーム2の前面2aで受けることができる。
【0043】
つまり、着座者100から加わる荷重を、金属プレート21の端部21aと固定フレーム2の前面2aとが取り付けられている部分において圧縮方向の荷重として受けることができる。
例えば、固定フレーム2の対向面2bに金属プレート21の端部が取り付けられている場合には、この端部に、着座者100からせん断荷重が加わることとなり、金属プレート21を固定フレーム2から剥がす方向の荷重が加わることとなる。
したがって、金属プレート21の端部21aが固定フレーム2の前面2aに取り付けられていることで、背部支持部20の固定フレーム2への取付強度を高めることができる。
【0044】
また、ヘッドレスト10における中央部10aの前面である支持面は、着座者100の背部及び腰部を支持する背部支持部20における中央部22aの前面である支持面よりも前方、かつ固定フレーム2の前面2aよりも前方に配置されている。
このように、中央部10aの前面である支持面が、背部支持部20における中央部22aの前面である支持面よりも前方、かつ固定フレーム2の前面よりも前方に配置されていることで、人間の上半身の背中に沿った形でヘッドレスト10及び背部支持部20が形成されていることとなる。
【0045】
そして、人間の上半身の背中に沿った形でヘッドレスト10及び背部支持部20が形成されていることで、乗物に衝撃力が加わったときに、着座者100の頭部が大きく振れる前段階で好適に支持することができ、着座者100に大きな衝撃力が加わることを抑制できる。このような構成は、特に、シート1が宇宙船に用いられるときや、自動運転機能を有する車両に用いられるときに好適である。
【0046】
また、ヘッドレスト10及び背部支持部20が形成されていることで、背部支持部20に凭れ掛かる着座者100の頭部とヘッドレスト10との間に隙間が生じるのを抑制して、乗物に衝撃力が加わる状況においても、ヘッドレスト10側から着座者100の頭部へ大きな衝撃が加わることを抑制できる。
【0047】
また、ヘッドレスト10と背部支持部20とが、上方に向かうに連れて前方に向かうように傾斜した傾斜部12によって、一体として形成されていることで、着座者100の頸部とシート1の傾斜部12との間に隙間が生じることを抑制できる。このため、乗物に衝撃力が加わる状況においても、傾斜部12側から着座者100の頸部へ大きな衝撃が加わることを抑制できる。
【0048】
シートクッション30は、着座者100の臀部を支持する部材であり、クッション本体32と、クッション本体32の裏面を覆う金属プレート31と、金属プレート31の下面を支持するクッション支持フレーム33と、から主に構成されている。シートクッション30は、左右の固定フレーム2の間に位置するようにコンパクトに配置されている。また、シートクッション30は、背部支持部20から離間する展開状態と背部支持部20側に折り畳まれた折畳み状態とに切り替わるように左右の固定フレーム2に回動可能に取り付けられている。
【0049】
クッション本体32は、着座者100の着座面を構成する部材であり、例えばCFRP等の樹脂により構成される非金属部である。
金属プレート31は、チタン合金、ステンレス又はアルミ合金等から成るものであり、上面がクッション本体32の裏面に略一致するように形成されている。
【0050】
クッション支持フレーム33は、例えばアルミ等の金属から成り、
図5に示すシートクッション30の折畳み状態において上側にある前部33Xと、下側にある後部33Yと、から構成される板状の部材である。ここで、クッション支持フレーム33及び上記の金属プレート31は、本発明に係るクッション側板状部材を構成するものである。
クッション支持フレーム33の前部33Xは、
図5における上側に向かうにつれて先細りとなるように略三角形状に形成されている。
前部33Xの
図5における下側には、左右に延在する軸と、軸の両端を支持する一対の支持片を有して回動可能に接続部材50に接続された第1連結部35が取り付けられている。
【0051】
クッション支持フレーム33における
図5の下側にある後部33Yは、中央側が略矩形状に形成されており、左右両端側が
図1に示すように上方に向けて屈曲している。クッション支持フレーム33は、左右両端部において、左右の固定フレーム2同士のシート幅方向における内側の側面である対向面2bに、第1軸部材33bによって回動可能に取り付けられている。また、クッション支持フレーム33の下面(
図5における前面)の両側端部近傍には、ストライカ33aが下方(
図5における前方)に突出して取り付けられている。
このストライカ33aは、上記の固定フレーム2の対向面2bに取り付けられたフック装置23に係合することで、シートクッション30を着座可能状態に保持するためのものである。
【0052】
上記のように、クッション本体32よりも高い強度を有する金属プレート31及びクッション支持フレーム33が、クッション本体32の裏面を覆い、クッション支持フレーム33が固定フレーム2に取り付けられていることで、シート1の厚み増加を抑制しつつ、シートクッション30の剛性を向上させることができる。
なお、本発明に係るクッション側板状部材を構成する金属プレート31及びクッション支持フレーム33は、板状に薄く形成されていればよく、金属材料から成るものに限定されず、硬質樹脂その他の材料から成るものであってもよい。
【0053】
上述したように、シートクッション30は、第1軸部材33bを回転軸として回動することで、固定フレーム2に対してシートクッション30の座面部が略垂直となり着座可能な展開状態から、固定フレーム2に対して略平行となる折畳み状態に移行する。また同様に、シートクッション30は、第1軸部材33bを回転軸として回動し、固定フレーム2に対してシートクッション30の座面部が略平行となる折畳み状態から、固定フレーム2に対して略垂直となる着座可能な展開状態に移行する。
【0054】
フットレスト40は、着座者100の足部を支持する部材であり、例えばCFRP等の樹脂により構成される。フットレスト40は、一対のレッグ部41と、一対のレッグ部41を連結するレッグ連結部44及びフット連結部45と、一対のレッグ部41の前側上部に取り付けられた一対の踵置き部42と、から主に構成されている。
【0055】
一対のレッグ部41は、展開状態において、左右の固定フレーム2から前方に延在しており、その左右の後端部に設けられたフットレストヒンジ43によって固定フレーム2の対向面2bに回動可能に取り付けられている。具体的には、レッグ部41は、フットレストヒンジ43が備える第2軸部材43aによって回動可能に支持されている。フットレスト40は、このように構成されたレッグ部41及びフットレストヒンジ43を備えることで、固定フレーム2の対向面2bに回動可能に取り付けられている。このため、フットレスト40は、シートクッション30から離間する展開状態とシートクッション30側に折り畳まれた折畳み状態とに切り替えられることとなる。
【0056】
そして、左右のフットレスト40を構成するフットレストヒンジ43が左右の固定フレーム2の対向面2bにそれぞれ取り付けられていることで、フットレストヒンジ43が前後方向に張り出すことを抑制し、フットレスト40をコンパクトに収納できることとなる。なお、本実施形態においては、フットレストヒンジ43は、フットレスト40において左右方向の最も外側に配置されており、フットレスト40は、全体として左右の固定フレーム2の間に配置されている。
【0057】
レッグ連結部44は、レッグ部41の後側の上面に固定され上方に開放側が向けられて断面コの字形に形成された両側部と、棒状に形成された中央部と、を有する。レッグ連結部44は、その中央部において、シートクッション30とフットレスト40とを接続する後述する接続部材50との間で回動可能に接続されている。
フット連結部45は、レッグ部41の前側であって踵置き部42の下方の部位を連結するとともに、乗物のボディにフットレスト40を固定可能とする角張ったU字状の棒材であるフット固定部材46が下面に取り付けられている。
【0058】
踵置き部42は、後端部及びシート外側の側端に壁部が形成され、踵置き部42からシート後方やシート外側にずれないように着座者100の踵部を支持可能となっている。なお、着座者100の踵部とは、着座者100が靴を履いている場合には、靴の踵に相当し、靴を履いていない場合には足裏の後端部に相当する。
【0059】
上述したように、フットレスト40は、レッグ部41が第2軸部材43aを回転軸として回動することで、固定フレーム2に対して踵置き部42の足置き面が略垂直となる展開状態から、固定フレーム2に対して略平行となる折畳み状態に移行する。また同様に、フットレスト40は、レッグ部41が第2軸部材43aを回転軸として回動することで、固定フレーム2に対して踵置き部42の足置き面が略平行となる折畳み状態から、固定フレーム2に対して略垂直となる展開状態に移行する。
【0060】
ここで、シートクッション30とフットレスト40の回動を連動させるための機構について説明する。
図1及び
図5等に示されるように、シート1には、シートクッション30とフットレスト40とを接続し、シートクッション30とフットレスト40とを連動して回動させる接続部材50が設けられている。接続部材50は、上下方向に延出した部材であり、例えばアルミ等の金属により構成される。
【0061】
図5に示されるように、シートクッション30の金属プレート31の裏面側には第1連結部35が設けられており、第1連結部35には、接続部材50の上端部が回動可能に連結されている。接続部材50の下端部は、上記のように、レッグ連結部44の棒状の中央部に回動可能に連結されている。
【0062】
シート1においては、固定フレーム2、シートクッション30、フットレスト40及び接続部材50によりリンク機構を構成することにより、シートクッション30とフットレスト40の回動が連動するようになっている。つまり、シート1は、シートクッション30とフットレスト40とを連動して回動させるように接続する接続部材50を備えることで、シートクッション30又はフットレスト40の一方を回動させることで他方を回動させることができるので操作性が向上する。
【0063】
(シートクッション30を折り畳んだ状態の位置関係について)
次に、シートクッション30が背部支持部20に重なるように折り畳まれたとき、つまり、シート1がチップアップ状態にあるときの位置関係について、特に
図6及び
図7を参照して説明する。
【0064】
シートクッション30が折畳み状態にあるときには、
図6に示すように、シートクッション30を構成する金属プレート31の前側の面である前面31aのすべては、固定フレーム2の前面2aよりも後方に配置されている。このように構成されていることで、シート1を薄くコンパクトにすることができる。
特に、本実施形態においては、シートクッション30が折畳み状態にあるときには、シートクッション30を構成する金属プレート31の前側の面である前面31aのすべては、支持本体22の縁部22bの前面よりも後方に配置されている。
なお、シートクッション30の前面31aの少なくとも一部が、固定フレーム2の前面2aよりも後方に配置されていてもよい。
【0065】
図7に示すように、シートクッション30の左右方向の幅w2は、背部支持部20を構成する支持本体22における後方に窪んで形成された中央部22aの左右方向の幅w1よりも短く形成されている。このため、
図7に示すように、シートクッション30における、シートクッション30が折り畳まれた状態において背部支持部20と重なる部位である少なくとも一部は、背部支持部20の支持本体22において中央部22aの窪み内に位置するように構成されている。
このように構成されていることで、シートクッション30を折り畳んだ状態のシート1を前後方向に薄くコンパクトにすることができる。
【0066】
同様に、左右の踵置き部42における左右方向外側の最大幅w3は、背部支持部20を構成する支持本体22における後方に窪んで形成された中央部22aの左右方向の幅w1よりも短く形成されている。このため、
図7に示すように、フットレスト40における、フットレスト40が折り畳まれた状態において背部支持部20と重なる部位である左右の踵置き部42は、背部支持部20の支持本体22において中央部22aの窪み内に位置するように構成されている。
このように構成されていることで、フットレスト40を折り畳んだ状態のシート1を前後方向に薄くコンパクトにすることができる。
【0067】
さらに、
図7に示すように、フットレスト40を構成する踵置き部42の着座者100の足が置かれる側の面とは逆の裏面であって折畳み状態時に前側の面となる前面42aは、フットレスト40が折畳み状態にあるときに固定フレーム2の前面2aよりも後方に配置されている。このように構成されていることで、フットレスト40の前方への突出を抑制して、フットレスト40を備えるシート1を薄くコンパクトにすることができる。
【0068】
同様に、
図6に示すように、シート1が折畳み状態にあるときに、接続部材50の前面の少なくとも一部である本実施形態に係るクッション側端部50aは、固定フレーム2の前面2aよりも後方に配置されている。このように、接続部材50の大きさ・配置が定められていることで、接続部材50を備えるシート1を、その折畳み状態時において、薄くコンパクトにすることができる。
【0069】
また、上記の実施形態におけるシート1の各部の材料は一例であり、他の材料により構成してもよい。
また、シート1が搭載される乗物は宇宙船に限定されるものではなく、車両、飛行機、船舶、ローラーコースター等の多様な乗物に搭載してもよい。