特許第6982276号(P6982276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982276
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】撮像光学系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20211206BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   G02B13/00
   G02B13/18
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-3449(P2018-3449)
(22)【出願日】2018年1月12日
(65)【公開番号】特開2019-124744(P2019-124744A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雅文
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−102211(JP,A)
【文献】 特開平10−048514(JP,A)
【文献】 米国特許第08699150(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0107376(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107024759(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第107085283(CN,A)
【文献】 特開2017−090802(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/198943(WO,A1)
【文献】 国際公開第2019/031266(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より順に、
負のパワーを有する第1レンズと、
第2レンズと、
正のパワーを有する第3レンズと、
負のパワーを有する第4レンズと、
正のパワーを有する第5レンズと、
から実質的になり、
半画角は40度以上であり、
前記第2レンズの物体側の面の近軸曲率は負であり、
前記第2レンズの像側の面の近軸曲率は負であり、
前記第1レンズから前記第5レンズまでの全てのレンズは、ガラスで構成され、
以下の条件式を満たすことを特徴とする撮像光学系。
0.2<f/TTL<0.3 … (1)
4.5×10−6<dn/dT(L1)<5.0×10−6 … (2)
dn/dT(L3)>0.0×10−6 … (3)
−6.5×10−6<dn/dT(L5)<−5.0×10−6 … (4)
ここで、
f:撮像光学系全系の焦点距離
TTL:前記第1レンズの物体側面頂点から光軸に沿った像面までの距離
dn/dT(L1):前記第1レンズにおけるd線の屈折率の温度変化係数
dn/dT(L3):前記第3レンズにおけるd線の屈折率の温度変化係数
dn/dT(L5):前記第5レンズにおけるd線の屈折率の温度変化係数
【請求項2】
前記第3レンズは、前記第1レンズから第5レンズのうち最も強いパワーを有することを特徴とする請求項に記載の撮像光学系。
【請求項3】
以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1及び2のいずれか一項に記載の撮像光学系。
0.08<(R21/R22)/f<0.16 … (5)
ここで、
R21:前記第2レンズの物体側面の曲率半径
R22:前記第2レンズの像側面の曲率半径
f:撮像光学系全系の焦点距離
【請求項4】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の撮像光学系と、
前記撮像光学系の像を撮影する撮像素子と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5枚のレンズから実質的になる広角タイプの撮像光学系、及びこれを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に搭載されるミラーの電子化が進み、ルームミラーやドアミラーに適した比較的小型で広角な撮像光学系の需要が高まっている。特に、ルームミラーの場合、自動車の天井やリアウインドウ上部にカメラが取り付けられる可能性があり、過酷な環境温度にさらされることが想定される。このような環境温度に対する安定性を考慮した撮像光学系が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1の撮像光学系は、水平画角が2ω=60度程度と狭く、かつレンズ枚数も7枚と比較的多いため、小型化には不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−142767号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、小型でありながら、広い画角が確保され、良好な光学性能を有し、かつ環境温度の変化に対して高い安定性を有する撮像光学系を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、上記撮像光学系を備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る撮像光学系は、物体側より順に、負のパワーを有する第1レンズと、第2レンズと、正のパワーを有する第3レンズと、負のパワーを有する第4レンズと、正のパワーを有する第5レンズと、から実質的になり、半画角は40度以上であり、第2レンズの物体側の面の近軸曲率は負であり、第2レンズの像側の面の近軸曲率は負であり、以下の条件式を満たす。
0.2<f/TTL<0.3 … (1)
ここで、値fは撮像光学系全系の焦点距離であり、値TTLは第1レンズの物体側面頂点から光軸に沿った像面までの距離である。
【0008】
上記撮像光学系によれば、第1レンズを負とし、第3レンズを正とすることで、第1レンズは広い画角の光を集める役割を有し、第3レンズは第1レンズで集めた光を適切に集光し、第4レンズ以降のレンズへ導く役割を有する。これにより、第2レンズについては、非点収差等の諸収差を補正する役割に絞ることができる。また、第4レンズと第5レンズとを負及び正の組み合わせとすることで、色収差の補正を行うことができ、半画角が40度以上と広角でありながらも、光学系全体としての高性能化を図ることができる。
【0009】
また、第2レンズの物体側面及び像側面における近軸曲率又は近軸曲率半径を負にすることにより、第2レンズは、第1レンズからの出射光に大きな屈折力を与えることなく光を受け取り、大きな屈折力を与えることなく第3レンズに光を出射することができる。これにより、第2レンズについては、収差を悪化させずに補正する役割を有する。
【0010】
また、条件式(1)の値f/TTLが上記上限を下回ることで、光学系が小さくなりすぎず、諸収差を補正するための十分なレンズ構成とすることができ、高性能な特性を得ることができる。一方、条件式(1)の値f/TTLが上記下限を上回ることで、光学系が大きくなりすぎず、光学系を小型化することができる。
【0011】
本発明に係る撮像光学系において、第1レンズから第5レンズまでの全てのレンズは、ガラスで構成され、以下の条件式を満たす。
4.5×10−6<dn/dT(L1)<5.0×10−6 … (2)
dn/dT(L3)>0.0×10−6 … (3)
−6.5×10−6<dn/dT(L5)<−5.0×10−6 … (4)
ここで、値dn/dT(L1)は第1レンズにおけるd線の屈折率の温度変化係数〔1/K〕であり、値dn/dT(L3)は第3レンズにおけるd線の屈折率の温度変化係数〔1/K〕であり、値dn/dT(L5)は第5レンズにおけるd線の屈折率の温度変化係数〔1/K〕である。
【0012】
値dn/dT(L1)及びdn/dT(L3)が条件式(2)及び(3)を満たすことにより、第1レンズが負であり、第3レンズが正であることから、温度変化による光学系全体の屈折力の変化をほぼ相殺することができる。また、値dn/dT(L5)が条件式(4)を満たすことにより、条件式(2)及び(3)で実施される相殺の結果をさらに調整し、良好な光学性能を維持することができる。
【0013】
1レンズから第5レンズまでの全てのレンズガラスで構成され場合、ガラスは樹脂材料よりも線膨張係数が小さいことにより、温度変化に対して安定性の高い光学系とすることができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、第3レンズは、第1レンズから第5レンズのうち最も強いパワーを有する。この場合、撮像光学系としての集光機能の大部分を第3レンズが担うこととなり、第1、第2、第4、及び第5レンズについては、集光以外の役割として配置することができる。これにより、高性能な光学特性を得ることができる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の撮像光学系。
0.08<(R21/R22)/f<0.16 … (5)
ここで、値R21は第2レンズの物体側面の曲率半径であり、値R22は第2レンズの像側面の曲率半径である。
【0016】
値(R21/R22)/fが条件式(5)を満たすことにより、第2レンズの入射光及び出射光に過度の屈折力がかからず、第1レンズからの光を収差を悪化させることなく第2レンズ内に導くことができ、第2レンズから第3レンズへも収差を悪化させることなく光を伝達することができる。これにより、不要な収差が発生することを低減することができ、光学性能を維持することができる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る撮像装置は、上述の撮像光学系と、撮像光学系の像を撮影する撮像素子と、を備える。
【0018】
上記撮像装置によれば、上述の撮像光学系を設けることにより、小型でありながら、広い画角が確保され、良好な光学性能を有し、かつ環境温度の変化に対して高い安定性を有するものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の撮像光学系を備えるレンズユニット及び撮像装置を説明する図である。
図2】(A)は、実施例1の撮像光学系等の断面図であり、(B)〜(D)は、収差図である。
図3】(A)は、実施例2の撮像光学系等の断面図であり、(B)〜(D)は、収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態である撮像装置100を説明する断面図である。撮像装置100は、画像信号を形成するカメラモジュール30と、カメラモジュール30を動作させることにより撮像装置100としての機能を発揮させる処理部60とを備える。
【0021】
カメラモジュール30は、撮像光学系10を内蔵するレンズユニット40と、撮像光学系10によって形成された被写体像を画像信号に変換するセンサー部50とを備える。
【0022】
レンズユニット40は、広角光学系である撮像光学系10と、撮像光学系10を支持する鏡筒41とを備える。撮像光学系10は、第1〜第5レンズL1〜L5で構成されている。鏡筒41は、樹脂、金属、樹脂にグラスファイバーを混合したもの等で形成され、レンズ等を内部に収納し保持している。鏡筒41を金属や、樹脂にグラスファイバーを混合したもので形成する場合、樹脂よりも熱膨張しにくく、撮像光学系10を安定して固定することができる。鏡筒41は、物体側からの光を入射させる開口OPを有する。
【0023】
撮像光学系10の全画角は、80°以上である。撮像光学系10を構成する第1〜第5レンズL1〜L5は、それらのフランジ部若しくは外周部において鏡筒41の内面側に直接的又は間接的に保持されており、光軸AX方向及び光軸AXに垂直な方向に関しての位置決めがなされている。鏡筒41は、絞りSTやフィルターF1といったレンズL1〜L5以外の光学要素も支持している。
【0024】
センサー部50は、撮像光学系(広角光学系)10によって形成された被写体像を光電変換する固体撮像素子51と、この固体撮像素子51を支持する基板52と、基板52を介して固体撮像素子51を保持するセンサーホルダー53とを備える。固体撮像素子51は、例えばCMOS型のイメージセンサーである。基板52は、固体撮像素子51を動作させるための配線、周辺回路等を備える。センサーホルダー53は、樹脂その他の材料で形成され、固体撮像素子51を光軸AXに対して位置決めする。レンズユニット40の鏡筒41はセンサーホルダー53に嵌合するように位置決めされた状態で固定されている。
【0025】
固体撮像素子(撮像素子)51は、撮像面Iとしての光電変換部51aを有し、その周辺には、不図示の信号処理回路が形成されている。光電変換部51aには、画素つまり光電変換素子が2次元的に配置されている。なお、固体撮像素子51は、上述のCMOS型のイメージセンサーに限るものでなく、CCD等の他の撮像素子を組み込んだものであってもよい。
【0026】
レンズユニット40を構成するレンズ間、又はレンズユニット40とセンサー部50との間には、フィルター等を配置することができる。図1の例では、フィルターF1は、撮像光学系10の第5レンズL5と固体撮像素子51との間に配置されている。フィルターF1は、光学的ローパスフィルター、IRカットフィルター、固体撮像素子51のシールガラス等を想定した平行平板である。フィルターF1は、別体のフィルター部材として配置することもできるが、別体として配置せず、撮像光学系10を構成するいずれかのレンズ面にその機能を付与することができる。例えば、赤外カットフィルターの場合、赤外カットコートを1枚又は複数枚のレンズの表面上に施してもよい。
【0027】
処理部60は、素子駆動部61と、入力部62と、記憶部63と、表示部64と、制御部68とを備える。素子駆動部61は、固体撮像素子51に付随する回路等に制御信号を出力することで固体撮像素子51を動作させる。素子駆動部61は、制御部68から固体撮像素子51を駆動するための電圧やクロック信号の供給を受けたり、固体撮像素子51の出力信号に対応するYUVその他のデジタル画素信号を外部回路に出力したりすることもできる。入力部62は、ユーザーの操作を受け付ける部分であり、記憶部63は、撮像装置100の動作に必要な情報、カメラモジュール30によって取得した画像データ等を保管する部分であり、表示部64は、ユーザーに提示すべき情報、撮影した画像等を表示する部分である。制御部68は、素子駆動部61、入力部62、記憶部63等の動作を統括的に制御しており、例えばカメラモジュール30によって得た画像データに対して種々の画像処理を行うことができる。撮像装置100を例えば車載カメラとして用いる場合、適切な画像処理を施してドライバーに対し画像を表示する。
【0028】
なお、詳細な説明を省略するが、処理部60の具体的な機能は、本撮像装置100が組み込まれる機器の用途に応じて適宜調整される。撮像装置100は、車載カメラ、監視カメラ等の各種用途の装置に搭載可能である。
【0029】
以下、図1を参照して、第1実施形態の撮像光学系(広角光学系)10等について説明する。なお、図1で例示した撮像光学系10は、後述する実施例1の撮像光学系10Aと略同一の構成となっている。
【0030】
図示の撮像光学系(広角光学系)10は、物体側より順に、負のパワーを有する第1レンズL1と、第2レンズL2と、正のパワーを有する第3レンズL3と、負のパワーを有する第4レンズL4と、正のパワーを有する第5レンズL5と、から実質的になる。ここで、負の第1レンズは広い画角の光を集める役割を有し、正の第3レンズL3は第1レンズL1で集めた光を適切に集光し、絞りSTを挟んだ後群、つまり第4レンズL4以降のレンズL4,L5等へ導く役割を有する。これにより、第2レンズL2については、非点収差等の諸収差を補正する役割に絞ることができる。また、第4レンズL4と第5レンズL5とを負及び正の組み合わせとすることで、色収差の補正を行うことができ、半画角が40度以上と広角でありながらも、光学系全体としての高性能化を図ることができる。さらに、第2レンズL2の物体側面の近軸曲率は負であり、第2レンズL2の像側面の近軸曲率も負である。第2レンズL2の物体側面及び像側面における近軸曲率又は近軸曲率半径を負にすることにより、第2レンズL2は、第1レンズL1からの出射光に大きな屈折力を与えることなく光を受け取り、大きな屈折力を与えることなく第3レンズL3に光を出射することができる。つまり、第2レンズL2については、収差を悪化させずに補正する役割を有する。
【0031】
本撮像光学系(広角光学系)10において、第3レンズL3は、第1レンズL1から第5レンズL5のうち最も強いパワーを有する。ここで、パワーの強さは、絶対値で比較する。この場合、撮像光学系10としての集光機能の大部分を第3レンズL3が担うこととなり、第1、第2、第4、及び第5レンズL1,L2,L4,L5については、集光以外の役割を持たせて配置することができる。これにより、高性能な光学特性を得ることができる。
【0032】
第1〜第5レンズL1〜L5は、ガラスで形成されている。ガラスは樹脂材料よりも線膨張係数が小さいので、撮像光学系10を温度変化に対して安定性の高い光学系とすることができる。特に、車載カメラや監視カメラ等の厳しい環境下における使用を想定した場合、第1レンズL1の物体側面には、強度、耐傷性、耐薬品性を高めるための処理を施すことが好ましく、撥水コートや親水コートを施すことが好ましい。実施形態の撮像光学系10では、第2レンズL2と第5レンズL5とにおいて、物体側面及び像側面を非球面としているが、非球面を配置する箇所は、上記に限るものではなく適宜増減することができる。
【0033】
撮像光学系10は、以下の条件式(1)を満たす。
0.2<f/TTL<0.3 … (1)
ここで、値fは、撮像光学系10全系の焦点距離であり、値TTLは、第1レンズL1の物体側面頂点から光軸AXに沿った像面又は撮像面Iまでの距離である。本明細書において、値TTLは、フィルタF1が存在してもこれを空気換算しない距離、すなわち実距離である。
【0034】
条件式(1)の値f/TTLが上記上限値を下回ることで、光学系が小さくなりすぎず、諸収差を補正するための十分なレンズ構成とすることができ、高性能な特性を得ることができる。一方、条件式(1)の値f/TTLが上記下限値を上回ることで、光学系が大きくなりすぎず、光学系を小型化することができる。
【0035】
撮像光学系10は、以下の条件式(2)〜(4)を満たす。
4.5×10−6<dn/dT(L1)<5.0×10−6 … (2)
dn/dT(L3)>0.0×10−6 … (3)
−6.5×10−6<dn/dT(L5)<−5.0×10−6 … (4)
ここで、値dn/dT(L1)は、温度20℃〜40℃を想定して、第1レンズL1におけるd線の屈折率の温度変化係数〔1/K〕であり、値dn/dT(L3)は、温度20℃〜40℃を想定して、第3レンズL3におけるd線の屈折率の温度変化係数〔1/K〕であり、温度20℃〜40℃を想定して、値dn/dT(L5)は、第5レンズL5におけるd線の屈折率の温度変化係数〔1/K〕である。
【0036】
値dn/dT(L1)及びdn/dT(L3)が条件式(2)及び(3)を満たす場合、第1レンズL1が負であり、第3レンズL3が正であることから、温度変化による光学系全体の屈折力の変化をほぼ相殺することができる。また、値dn/dT(L5)が条件式(4)を満たすことにより、条件式(2)及び(3)で実現される相殺の結果をさらに調整し、撮像光学系10として良好な光学性能を維持することができる。
【0037】
件式(3)の値dn/dT(L3)については、望ましくは5.5×10−6〔1/K〕以下とし、より望ましくは1.0×10−6〔1/K〕以上、かつ、5.0×10−6〔1/K〕以下とする

【0038】
撮像光学系10は、以下の条件式(5)を満たす。
0.08<(R21/R22)/f<0.16 … (5)
ここで、値R21は、第2レンズL2の物体側面の曲率半径であり、値R22は、第2レンズの像側面の曲率半径である。なお、値(R21/R22)/fの単位は、1/mmである。
【0039】
値(R21/R22)/fが条件式(5)を満たすことにより、第2レンズL2の入射光及び出射光に過度の屈折力がかからず、第1レンズL1からの光を収差を悪化させることなく第2レンズL2内に導くことができ、第2レンズL2から第3レンズL3へも収差を悪化させることなく光を伝達することができる。これにより、不要な収差が発生することを低減することができ、撮像光学系10として光学性能を維持することができる。
【0040】
なお、撮像光学系10は、実質的にパワーを持たないその他の光学素子(例えばレンズ、フィルター部材等)をさらに有するものであってもよい。
【0041】
以上説明した撮像光学系10は、上述のようなレンズ構成を有することにより、小型でFナンバーも明るい光学系でありながら、広い画角が確保され、良好な光学性能や高い解像性を有し、かつ環境温度の変化に対して高い安定性を有する。
【0042】
〔実施例〕
以下、本発明の撮像光学系等の実施例を示す。各実施例に使用する記号は下記の通りである。
f :全系の焦点距離
F :Fナンバー
2w :最大全画角
TTL:光学全長
R :曲率半径
D :軸上面間隔
Nd :レンズ材料のd線に対する屈折率
vd :レンズ材料のアッベ数
各実施例において、各面番号の後に「*」が記載されている面が非球面形状を有する面であり、非球面の形状は、面の頂点を原点とし、光軸方向にX軸をとり、光軸と垂直方向の高さをhとして以下の「数1」で表す。
【数1】
ただし、
Ai:i次の非球面係数
R :曲率半径
K :円錐定数
【0043】
(実施例1)
実施例1の撮像光学系の全体諸元を以下に示す。
f=5.46mm
F=2.00
2w=90.5°
TTL=23.0
【0044】
実施例1の撮像光学系のレンズ面のデータを以下の表1に示す。なお、以下の表1等において、面番号を「Surf. N」で表し、開口絞りを「ST」で表し、無限大を「INF」で表している。
〔表1〕
Surf. N R(mm) D(mm) Nd vd
1 10.171 1.800 1.77250 49.62
2 3.236 2.641
3* -6.769 2.500 1.83441 37.28
4* -9.970 0.200
5 21.468 2.487 1.74400 44.72
6 -5.389 -0.640
7(ST) INF 2.525
8 26.947 0.600 1.94595 17.98
9 6.895 0.500
10* 12.869 2.353 1.49710 81.55
11* -6.053 0.500
12 INF 0.700 1.516798 64.19
13 INF 6.834
【0045】
実施例1のレンズ面の非球面係数を以下の表2に示す。なお、これ以降(表のレンズデータを含む)において、10のべき乗数(たとえば2.5×10−02)をE(たとえば2.5E−02)を用いて表すものとする。
〔表2〕
第3面
K=0.45406E+01, A4=0.14301E-02, A6=-0.61767E-04,
A8=0.12024E-03, A10=-0.28394E-04, A12=0.32997E-05,
A14=-1.24773E-07, A16=0.00000E+00
第4面
K=-0.15205E+02, A4=0.16527E-03, A6=-0.44815E-04,
A8=0.90563E-04, A10=-0.19032E-04, A12=0.18825E-05,
A14=-7.14977E-08, A16=0.00000E+00
第10面
K=0.68512E+01, A4=-0.59757E-03, A6=0.56013E-03,
A8=-0.15395E-03, A10=0.28412E-04, A12=-0.31270E-05,
A14=1.89402E-07, A16=-4.75915E-09
第11面
K=-0.33189E+02, A4=-0.15927E-01, A6=0.46538E-02,
A8=-0.10369E-02, A10=0.15702E-03, A12=-0.14550E-04,
A14=0.73934E-06, A16=-0.15535E-07
【0046】
実施例1の単レンズデータを以下の表3に示す。
〔表3〕
レンズ 始面 焦点距離(mm)
1 1 -6.898
2 3 -39.005
3 5 5.997
4 8 -9.813
5 10 8.614
【0047】
図2(A)は、実施例1の撮像光学系10A等の断面図である。撮像光学系10Aは、負のパワーを有し物体側に凸のメニスカスタイプの第1レンズL1と、負のパワーを有し像側に凸のメニスカスタイプの第2レンズL2と、正のパワーを有し両凸の第3レンズL3と、負のパワーを有し物体側に凸のメニスカスタイプの第4レンズL4と、正のパワーを有し両凸の第5レンズL5とを備える。第2及び第5レンズL2,L5は、光学面として非球面を有している。第1〜第5レンズL1〜L5は全てガラスで形成されている。第3レンズL3と第4レンズL4との間には、開口絞りSTが配置されている。第5レンズL5と固体撮像素子51との間には、適当な厚さのフィルターF1が配置されている。フィルターF1は、光学的ローパスフィルター、IRカットフィルター、固体撮像素子51のシールガラス等を想定した平行平板である。符号Iは、固体撮像素子51の被投影面である撮像面を示す。なお、符号F1,Iについては、以降の実施例でも同様である。
【0048】
図2(B)〜2(D)は、実施例1の撮像光学系10Aの収差図(球面収差、非点収差、及び歪曲収差)を示している。
【0049】
(実施例2)
実施例2の撮像光学系の全体諸元を以下に示す。
f=5.51mm
F=2.00
2w=90.5°
TTL=23.0
【0050】
実施例2の撮像光学系のレンズ面のデータを以下の表4に示す。
〔表4〕
Surf. N R(mm) D(mm) Nd vd
1 9.806 1.570 1.77250 49.62
2 3.332 2.871
3* -6.353 2.575 1.83441 37.28
4* -10.312 0.200
5 21.359 2.365 1.77250 49.62
6 -5.719 -0.622
7(ST) INF 2.988
8 25.137 0.600 1.94595 17.98
9 7.262 0.500
10* 12.244 2.250 1.49710 81.55
11* -6.775 0.500
12 INF 0.700 1.516798 64.19
13 INF 6.500
【0051】
実施例2のレンズ面の非球面係数を以下の表5に示す。
〔表5〕
第3面
K=0.76399E+00, A4=-0.34570E-03, A6=-0.61748E-04,
A8=0.23425E-04, A10=-0.41354E-05, A12=0.81764E-07,
A14=0.00000E+00, A16=0.00000E+00
第4面
K=-0.31129E+01, A4=0.10753E-02, A6=0.19749E-04,
A8=0.15197E-04, A10=-0.19415E-05, A12=0.97258E-07,
A14=0.00000E+00, A16=0.00000E+00
第10面
K=0.30518E+01, A4=0.17640E-03, A6=0.99106E-04,
A8=0.12277E-04, A10=-0.55739E-05, A12=0.78716E-06,
A14=-4.68843E-08, A16=1.01483E-09
第11面
K=0.39541E+00, A4=0.68150E-03, A6=0.26369E-03,
A8=-0.71120E-04, A10=0.15424E-04, A12=-0.18434E-05,
A14=0.11522E-06, A16=-0.28316E-08
【0052】
実施例2の単レンズデータを以下の表6に示す。
〔表6〕
レンズ 始面 焦点距離(mm)
1 1 -7.274
2 3 -28.023
3 5 6.042
4 9 -10.835
5 11 9.107
【0053】
図3(A)は、実施例2の撮像光学系10B等の断面図である。撮像光学系10Bは、負のパワーを有し物体側に凸のメニスカスタイプの第1レンズL1と、負のパワーを有し像側に凸のメニスカスタイプの第2レンズL2と、正のパワーを有し両凸の第3レンズL3と、負のパワーを有し物体側に凸のメニスカスタイプの第4レンズL4と、正のパワーを有し両凸の第5レンズL5とを備える。第2及び第5レンズL2,L5は、光学面として非球面を有している。第1〜第5レンズL1〜L5は全てガラスで形成されている。第3レンズL3と第4レンズL4との間には、開口絞りSTが配置されている。第5レンズL5と固体撮像素子51との間には、適当な厚さのフィルターF1が配置されている。
【0054】
図3(B)〜3(D)は、実施例2の撮像光学系10Bの収差図(球面収差、非点収差、及び歪曲収差)を示している。
【0055】
以下の表7は、参考のため、各条件式(1)〜(5)に対応する各実施例1,2の値をまとめたものである。
〔表7〕
【0056】
以上、実施形態に即して撮像光学系等について説明したが、本発明に係る撮像光学系は、上記実施形態又は実施例に限るものではなく様々な変形が可能である。例えば、上記実施例において、第2レンズL2は、負のパワーを有するものに限らず、正のパワーを有するものとできる。
【0057】
また、上記実施例において、フィルターF1は、車載カメラや監視カメラ等の用途における可視光又は近赤外光での撮像の際に、フィルターF1を2枚に分割してそれぞれ別の役割を持たせる等の構成をとることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
AX…光軸、 F1…フィルター、 I…撮像面、 L1〜L5…レンズ、 OP…開口、 10,10A,10B…撮像光学系、 30…カメラモジュール、 40…レンズユニット、 50…センサー部、 51…固体撮像素子、 60…処理部、 100…撮像装置
図1
図2
図3