(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記視覚障害者モードであっても、前記スクロール領域に対してドラッグ操作がなされた場合に、前記ドラッグ操作が前記点字デバイスによるものでない場合に、前記アイコンを移動させる、請求項2に記載の制御システム。
前記モード切替部は、前記本体装置と前記点字デバイスとの間で、無線通信が確立されることに応じて、前記視覚障害者モードに切り替える、請求項2から請求項4のいずれかに記載の制御システム。
前記モード切替部は、前記本体装置と前記点字デバイスとの間で確立していた無線通信が切断されることに応じて、前記視覚障害者モードから前記通常モードに切り替える、請求項8に記載の制御システム。
前記モード切替部は、前記本体装置と前記点字デバイスとの間で、無線通信が確立されることに応じて、前記視覚障害者モードに切り替えた場合に、切り替えてから、または最後に前記点字デバイスによる操作が行われてから、所定時間以上、点字デバイスによる操作が行われない状態が継続した場合に、前記通常モードに切り替える、請求項8または請求項9に記載の制御システム。
前記モード切替部は、前記本体装置と前記点字デバイスとの間で、無線通信が確立されることに応じて、前記視覚障害者モードに切り替えた場合においても、ユーザーの入力指示に応じて、前記通常モード、または前記視覚障害者モードに切り替える、請求項8から請求項10のいずれかに記載の制御システム。
表示面に操作画面を表示するとともに、ユーザーによる前記表示面へのタッチを検出するタッチパネルと、視覚障害者へ情報を通知する通知部と、を備える制御システムを制御するコンピューターで実行される制御プログラムであって、
前記操作画面の表示内容を制御し、前記操作画面に表示した複数のアイコンのうちいずれかのアイコンへの選択操作に応じて、該アイコンに対応付けた処理を実行させるステップ(a)と、
前記通知部を介して前記タッチパネルへのタッチ位置にある操作画面の表示内容をユーザーに通知するとともに、前記タッチパネルとは異なる決定スイッチへの操作により前記タッチ位置にあるアイコンの前記選択操作を行う視覚障害者モードと、前記タッチパネルへの前記アイコンへのタッチによる該アイコンの前記選択操作を行う通常モードと、を切り替えるステップ(b)と、を含む処理であって、
前記ステップ(b)では、前記通常モードにおいて、前記操作画面内にスクロール領域を設け、前記スクロール領域内に、複数の前記アイコンを所定のスクロール方向に並べ、ユーザーによるドラッグ操作によりスクロール可能な態様で表示させ、
前記視覚障害者モードにおいて、前記操作画面に前記通常モードで表示した前記スクロール領域を表示させた場合に、前記スクロール領域に対してドラッグ操作がなされても前記スクロール領域内の前記アイコンを移動させない、処理を前記コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
情報機器の分野においては、対応する機能が年々増加しており、それぞれの機能に対する設定を行うためのアイコン(ボタン)の数も増加してきている。そのため、全機能に対応するすべてのアイコンを、設定するための操作画面に一度に表示することは困難である。これに対応する技術として、アイコンの並び順を決めておき、タッチパネルへのユーザーのドラッグ操作に応じてスクロール表示することで、一部のアイコンを表示画面に表示させるユーザーインターフェース(UI)が広く用いられている。
【0006】
しかしながら、引用文献1、2に開示された技術で、スクロール表示する操作画面において、操作画面を指でなぞると、アイコンは指の移動に合わせて移動するため、なぞり終わったときに、視聴覚障害者は、なぞり始めと終わりで1つのアイコンに触れているだけであり、その1つのアイコンの存在しか認識できず、適切な操作を行えない虞がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、健常者が用いるドラッグ操作可能な操作画面を、視覚障害者が操作で戸惑うことなく共用できる制御システム、および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)表示面に操作画面を表示するとともに、ユーザーによる前記表示面へのタッチを検出するタッチパネルと、
視覚障害者へ情報を通知する通知部と、
前記操作画面の表示内容を制御し、前記操作画面に表示した複数のアイコンのうちいずれかのアイコンへの選択操作に応じて、該アイコンに対応付けた処理を実行させる表示制御部と、
前記通知部を介して前記タッチパネルへのタッチ位置にある前記操作画面の表示内容をユーザーに通知するとともに、前記タッチパネルとは異なる決定スイッチへの操作により前記タッチ位置にあるアイコンの前記選択操作を行う視覚障害者モードと、前記タッチパネルへの前記アイコンへのタッチによる該アイコンの前記選択操作を行う通常モードと、を切り替えるモード切替部と
を備え、
前記表示制御部は、
前記通常モードにおいて、前記操作画面内にスクロール領域を設け、前記スクロール領域内に、複数の前記アイコンを所定のスクロール方向に並べ、ユーザーによるドラッグ操作によりスクロール可能な態様で表示させ、
前記視覚障害者モードにおいて、前記操作画面に前記通常モードで表示した前記スクロール領域を表示させた場合に、前記スクロール領域に対してドラッグ操作がなされても前記スクロール領域内の前記アイコンを移動させない、制御システム。
【0010】
(2)ユーザーが装着する点字デバイスを備え、
前記点字デバイスは、
ユーザーの指先を覆う指カバーと、
前記指カバーの内側に配置され、視覚障害者への触覚を通じた点字情報を通知可能な前記通知部と、
前記決定スイッチと、
前記タッチパネルが設けられた本体装置と無線通信する通信部と、を備え、
前記表示制御部は、前記通知部により、ユーザーへ、前記タッチパネルへのタッチ位置にある前記操作画面の表示内容に関する点字情報を通知する、上記(1)に記載の制御システム。
【0011】
(3)前記視覚障害者モードであっても、前記スクロール領域に対してドラッグ操作がなされた場合に、前記ドラッグ操作が前記点字デバイスによるものでない場合に、前記アイコンを移動させる、上記(2)に記載の制御システム。
【0012】
(4)前記点字デバイスは、前記指カバーの指の腹に対応する位置に配置され、前記指カバーの外側が物体に接触したことを検知するセンサー部を、さらに備え、
前記表示制御部は、前記点字デバイスから送信された前記センサー部の検知による接触タイミングと、前記タッチパネルが検出したタッチのタイミングにより、前記スクロール領域に対しての前記ドラッグ操作が前記点字デバイスによるものか否かを判定する、上記(3)に記載の制御システム。
【0013】
(5)前記操作画面には、前記スクロール領域以外の領域に、前記アイコンを移動させるためのボタンが配置されており、
前記表示制御部は、前記視覚障害者モードにおいて、前記ボタンへの選択操作に応じて、前記スクロール領域内の前記アイコンを移動させる、上記(1)から上記(4)のいずれかに記載の制御システム。
【0014】
(6)前記ボタンは、前記スクロール方向において、前記スクロール領域に隣接する位置に配置されており、
前記表示制御部は、前記視覚障害者モードにおいて、前記ボタンへのタッチ操作に応じて、前記ボタンの方向に隠れている前記アイコンの数、表示している前記アイコンの数、ならびに表示および隠れている前記アイコンの合計であるトータルの前記アイコンの数を、前記通知部により通知させる、上記(5)に記載の制御システム。
【0015】
(7)前記表示制御部は、前記視覚障害者モードにおいて、
前記スクロール領域内の隣接する2つの前記アイコンの境界部分に対してタッチ操作またはドラッグ操作がなされた場合に、前記通知部により、前記スクロール領域内の前記アイコンの配置状態に関する情報を通知する、上記(1)から上記(6)のいずれかに記載の制御システム。
【0016】
(8)前記モード切替部は、前記本体装置と前記点字デバイスとの間で、無線通信が確立されることに応じて、前記視覚障害者モードに切り替える、上記(2)から上記(4)のいずれかに記載の制御システム。
【0017】
(9)前記モード切替部は、前記本体装置と前記点字デバイスとの間で確立していた無線通信が切断されることに応じて、前記視覚障害者モードから前記通常モードに切り替える、上記(8)に記載の制御システム。
【0018】
(10)前記モード切替部は、前記本体装置と前記点字デバイスとの間で、無線通信が確立されることに応じて、前記視覚障害者モードに切り替えた場合に、切り替えてから、または最後に前記点字デバイスによる操作が行われてから、所定時間以上、点字デバイスによる操作が行われない状態が継続した場合に、前記通常モードに切り替える、上記(8)または上記(9)に記載の制御システム。
【0019】
(11)前記モード切替部は、前記本体装置と前記点字デバイスとの間で、無線通信が確立されることに応じて、前記視覚障害者モードに切り替えた場合においても、ユーザーの入力指示に応じて、前記通常モード、または前記視覚障害者モードに切り替える、上記(8)から上記(10)のいずれかに記載の制御システム。
【0020】
(12)前記通常モードと前記視覚障害者モードで、共通の操作画面を表示する、上記(1)から上記(11)のいずれかに記載の制御システム。
【0021】
(13)表示面に操作画面を表示するとともに、ユーザーによる前記表示面へのタッチを検出するタッチパネルと、視覚障害者へ情報を通知する通知部と、を備える制御システムを制御するコンピューターで実行される制御プログラムであって、
前記操作画面の表示内容を制御し、前記操作画面に表示した複数のアイコンのうちいずれかのアイコンへの選択操作に応じて、該アイコンに対応付けた処理を実行させるステップ(a)と、
前記通知部を介して前記タッチパネルへのタッチ位置にある操作画面の表示内容をユーザーに通知するとともに、前記タッチパネルとは異なる決定スイッチへの操作により前記タッチ位置にあるアイコンの前記選択操作を行う視覚障害者モードと、前記タッチパネルへの前記アイコンへのタッチによる該アイコンの前記選択操作を行う通常モードと、を切り替えるステップ(b)と、を含む処理であって、
前記ステップ(b)では、前記通常モードにおいて、前記操作画面内にスクロール領域を設け、前記スクロール領域内に、複数の前記アイコンを所定のスクロール方向に並べ、ユーザーによるドラッグ操作によりスクロール可能な態様で表示させ、
前記視覚障害者モードにおいて、前記操作画面に前記通常モードで表示した前記スクロール領域を表示させた場合に、前記スクロール領域に対してドラッグ操作がなされても前記スクロール領域内の前記アイコンを移動させない、処理を前記コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、通常モードにおいて、操作画面内にスクロール領域を設け、スクロール領域内に、複数のアイコンを所定のスクロール方向に並べ、ユーザーによるドラッグ操作によりスクロール可能な態様で表示させ、視覚障害者モードにおいて、操作画面に通常モードで表示したスクロール領域を表示させた場合に、スクロール領域に対してドラッグ操作がなされてもスクロール領域内のアイコンを移動させないように制御する。このようにすることで、健常者が用いるドラッグ操作ができる操作画面を、視覚障害者が操作で戸惑うことなく共用できる制御システム、および制御プログラムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
図1は、本体装置100のハードウェア構成を示すブロック図であり、
図2は、点字デバイス200のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3A、
図3B、
図4は、点字デバイス200等の構成を示す図である。これらの図に示すように制御システム500は、本体装置100、および点字デバイス200を備える。
【0026】
(本体装置100)
本体装置100は、例えばMFP(Multifunction Peripheral)である。
図1に示すように本体装置100は、制御部110、操作パネル120、記憶部130、プリンター部140、スキャナー部150、ファクシミリ部160、無線通信部170、およびスピーカー180を備える。
【0027】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)を備える。記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびHDD(Hard Disk Drive)などの補助記憶装置を備える。ROMは、予め各種プログラムや各種データを格納しておき、RAMは、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。CPUは、プログラムにしたがって本体装置100全体の制御を行う。制御部110は、表示制御部111、およびモード切替部112として機能する。
【0028】
操作パネル120は、タッチスクリーンとも称されるものであり、液晶スクリーンで構成されるLCD121と、これに重畳され、ユーザーの指の操作を検出するタッチパネル122とを備える。
【0029】
タッチパネル122は、例えば、静電容量方式の検出部であり、ユーザーの指が、操作パネル120の表面に接触した場合に、静電容量の変化に基づき、指の接触の有無、およびその接触位置(座標)を検出する。また複数本の指による同時タッチ(マルチタッチ)の検出にも対応している。
【0030】
プリンター部140は、公知の電子写真方式またはインクジェット方式により、印刷データに基づいて用紙上に画像を形成する。
【0031】
スキャナー部150は、原稿を載置する原稿ガラス、原稿に光りを照射する光源と、レンズ等の光学系、および反射した光から画像データを生成するCCD等の光学素子を備える。スキャナー部150は、原稿ガラスに載置した原稿、または自動原稿搬送装置により搬送された原稿の画像を読み取って画像データを生成する。
【0032】
ファクシミリ部160は、モデム、データアクセス部を備える。モデムは、データアクセス部、および電話回線等の通信回線網に接続されている。データアクセス部は、相手先電話番号に応じたパルス信号を出力する機能を有する。ファクシミリ部160は通信回線網を通じて、相手先のファクシミリ装置と画像データの伝送を行う。
【0033】
無線通信部170は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11、IrDA等の無線通信インターフェースを備える。また、近距離無線通信として、FeliCa(登録商標)、ISO/IEC 14443(MIFARE(登録商標)の通信方式)、ISO/IEC 18092(NFC:Near Field Communication)等の通信方式を利用してもよい。なお、本体装置100が、これとは別に有線方式のインターフェースとして、イーサネット(登録商標)、FDDI等の規格によるLAN接続用インターフェースや、USB、IEEE1394等のシリアルインターフェースや、SCSI、IEEE1284等のパラレルインタフェース等のインターフェースを備えてもよい。
【0034】
スピーカー180は、音声を出力する。具体的には、操作パネル120に表示する操作画面12bの表示内容を、視覚障害者等のユーザーに音声で情報を通知する通知部として機能する。
【0035】
(点字デバイス200)
図2、
図3A、
図3B、
図4に示すように、点字デバイス200は、制御部210、点字表示部220、選択操作用の決定スイッチ230、接触センサー240、および無線通信部250を備える。
【0036】
図3A、
図3Bに示すように、点字デバイス200は、視覚障害者等のユーザーの手に装着されるものであり、手袋本体部291、装着した状態で人差し指を覆う指カバー292、この手袋本体部291の手の甲に相当する部分に設けられたユニットケース293で構成される。点字デバイス200は、手袋本体部291の手首バンド(図示せず)によりユーザーの手に装着される。
【0037】
指カバー292の先端部には、点字表示部220、決定スイッチ230、および接触センサー240が設けられ、ユニットケース293の内部には、制御部210および無線通信部250が設けられる。これらはユニットケース293内に設けられた二次電池(図示せず)により電力が供給される。
【0038】
(制御部210、無線通信部250)
制御部210は、CPU、RAM、およびROMを備える。無線通信部250は、無線通信により、無線通信部170と通信を行う。これらの機能は、それぞれ制御部110、無線通信部170と同様であり、説明を省略する。
【0039】
(点字表示部220)
点字表示部220は、指カバー292の内側に配置され、ユーザーに点字の感触を生じさせる立体的な点字模様を表示(具現)する。この点字表示部220は、視覚障害者へ情報を通知する通知部として機能する。
図4は、指カバー292周辺の断面模式図である。同図に示すように点字表示部220は、指先に触覚を感じさせる多数のピンが設けられており、このピンの高さ方向の突き出し量は、圧電素子により個別に変更できる。ピンの密度(解像度)は、一般的な点字のピッチ(2〜3mm)よりも高い密度で構成しており、点字模様以外にもテキスト情報や簡単な画像も表示可能である。
【0040】
以下、
図5、
図6を参照し、点字表示部220で表示する点字模様の例を説明する。
図5は、操作パネル120に表示される操作画面12aの例である。なお、実際の操作画面は後述するように多くのアイコン(操作キーともいう)が配置されているが、同図では説明のために簡易な画面例としている。複数のアイコンi11〜i14(以下、これらをまとめて「アイコンi」ともいう(後述のアイコンでも同様))が配置され視覚的に表示されている。
図6は、
図5に対応する点字用の点字画像データd1〜d4(以下、これらをまとめて「点字画像データd」ともいう)を表示する点字用の操作画面22a(点字画像)である。点字画像データd1〜d4に含まれる点字情報は、それぞれアイコンi11〜i14に示される文字データに一対一に対応している。これらの
図5、および後述する操作画面用の画像データならびに
図6のような点字用の点字データ(画像データ)は、ともに記憶部130に記憶されている。
【0041】
通常モードのときには、各アイコンiを指でタッチすることで、各アイコンiに対応した処理が実行される。例えばアイコンi11をタッチすることで、操作画面はコピーに関する設定画面に遷移する。後述する視覚障害者モードでは、点字デバイス200を装着したユーザーが指カバー292で、操作画面のアイコンiにタッチすることで、対応した点字画像データdが点字表示部220に表示される。具体的には、例えば指カバー292で操作パネル120表面のアイコンi11の枠内(四角枠)のいずれかの位置をタッチすることで、アイコンi11に対応した点字画像データd1が本体装置100から、点字デバイス200に無線通信により送信される。そして、点字デバイス200は、受信した点字画像データd1を点字表示部220に表示する。この制御については後述する。なお、
図6の例では、点字画像データd1は、6ピンを1組のデータとして6個のピンに対応するデータで構成されている。各データを、点字表示部220により所定時間間隔で順次表示するようにしてもよい。または、ユーザーによるアイコンi11内でのスライド操作により、6個のデータをスクロールさせながら表示してもよい。さらに、点字画像データd1には、点字情報だけでなく、これら全体を囲む枠線などの図形を含めるようにしてもよい。
【0042】
(決定スイッチ230)
決定スイッチ230は、点字表示部220に重畳して配置した圧力センサーである。ユーザーが指Fを下方に押し込むことで、圧力センサーにより所定以上の圧力が検知された場合に、制御部210は、ユーザーによって、決定スイッチ230がONされたと判定する。なお決定スイッチ230としては、これに限られず、空いている方の手で操作するタクトスイッチであってもよい。また、その場合、このタクトスイッチをユニットケース293の上部に配置してもよい。
【0043】
(接触センサー240)
接触センサー240は、「センサー部」として機能する。接触センサー240は、指カバー292の指の腹に対応する位置に配置され、指カバー292の外側が、操作パネル120の表面等の物体に接触したことを検知する。接触センサー240は、例えばマイクロスイッチまたは圧力センサーなどの機械的なセンサーであってもよく、光学的なセンサーであってもよい。また圧力センサーを用いた場合には、所定以上の圧力で物体に接触した場合に、接触したと判定するようにしてもよい。点字デバイス200を装着したユーザーが、指カバー292の先端で操作パネル120等の何らかの物体にタッチした場合には、接触センサー240はそのタッチを検知する。
【0044】
(制御方法)
以下、
図7〜
図8Cを参照し、制御システム500で実行される制御方法について説明する。
図7は、点字デバイス200側の制御を示すフローチャートである。
図8Aは、本体装置100側の制御を示すメインのフローチャートであり、
図8B、
図8Cは、サブルーチンのフローチャートである。
【0045】
(点字デバイス200側の制御)
図7は、点字デバイス200側の制御を示すフローチャートである。本体装置100との間で所定の通信規格の沿った手順で無線通信が確立することに応じて、
図7の制御が行われる。
【0046】
(ステップS11)
最初に、点字デバイス200の制御部210は、本体装置100と通信が確立した上で、視覚障害者モードに移行したか否かを判定する。本体装置100は、点字デバイス200と例えばBLEによる無線通信が確立できれば、視覚障害者モードへの移行を判断し、その判断結果を点字デバイス200側に送信する。点字デバイス200は、視覚障害者モードに移行した旨の結果を受けるまで待機し(NO)、移行結果を受信したならば(YES)、処理をステップS12に進める。
【0047】
(ステップS12)
ここでは、制御部210は、本体装置100から点字情報を受信したか否かを判断する。点字情報を受信した場合(YES)には、処理をステップS13に進める。
【0048】
(ステップS13)
点字表示部220に、受信した点字情報に対応する点字画像を表示する。後述するようにアイコンiへのタッチに応じた点字情報であれば、ユーザーはアイコンiの内容を認識できる。
【0049】
(ステップS14)
ユーザーは、点字表示部220の表示内容から、アイコンiの内容を認識する。所望のアイコンiであれば、決定スイッチ230をONする(押し下げる)。制御部210は、決定スイッチ230がONされた場合(YES)には、処理をステップS15に進める。ONされない場合(NO)には、処理を終了し、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0050】
(ステップS15)
点字デバイス200は、決定スイッチ230のON信号を本体装置100に送信して、終了する。
【0051】
(本体装置100側の制御)
(ステップS21)
本体装置100の制御部110は、点字デバイス200と通信可能であるか否かを判定する。点字デバイス200との無線通信が確立できなければ(NO)、ドラッグ操作を許可する通常モードへの切り替えを行うステップS22に処理を進める。通信が確立できれば(YES)、ドラッグ操作を禁止する視覚障害者モードへの切り替えを行うステップS23に処理を進める。なお、視聴覚障害者モードへの切り替えを、本体装置100と点字デバイス200間の通信が確立されてから、さらに、点字デバイス200により決定スイッチ230押し下げ、等によるユーザーの確認指示を受けてから行うようにしてもよい。また、ステップS21の判定を所定周期で逐次行い、確立された通信が切断することに応じて、視覚障害者モードから通常モードに切り替えるようにしてもよい。
【0052】
(ステップS22(「通常モード」のサブルーチンフローチャート))
図8Bは、ステップS22の通常モードに関するサブルーチンフローチャートである。
【0053】
ここで、タッチパネル122の各種操作について説明する。以下においては「タッチ」とは、タッチパネル122がユーザーの指(指以外の身体部分またはユーザーが所持する点字デバイス200等の物体であってもよい)によって、触れられた場合を意味する。このタッチには、以下のドラッグ操作、クリック操作が含まれる。ドラッグ操作とは、指をタッチパネル122に軽くタッチさせた状態で所定の方向に指を滑らせる操作であり、スワイプ操作、または「なぞる」ともいう。なお「なぞる」には、指を滑らせながら移動方向を変化させる操作も含まれる点でドラッグ操作、およびスワイプ操作とは異なる。クリック操作とは、指をタッチパネル122の一点にタッチさせたあと、所定時間以内にタッチ位置を変えずにリリース(離隔)させる操作である。
【0054】
(ステップS31)
ここでは制御部110は、操作パネル120へのタッチが検出されたかを判定する。タッチが検出されれば処理を、ステップS32に進める。
【0055】
(ステップS32)
制御部110は、検出したタッチがスクロール領域でのドラッグ操作であるか否かを判定する。スクロール領域へのドラッグ操作であると判定すれば(YES)、処理をステップS33に進め、ドラッグ操作でなければ、処理をステップS34に進める。
【0056】
(ステップS33)
ここではスクロール領域のアイコンをスクロールさせて表示する。ここで「スクロール領域」、およびステップS33で行うスクロール表示について図を参照して説明する。
図9Aは、通常モードにおける操作パネルに表示する操作画面の例であり、
図9Bは、
図9Aでドラッグ操作された後の操作画面を示す図である。
【0057】
図9Aに示すように操作画面12bの下部にスクロール領域a1を設けている。スクロール領域a1内は、スクロール表示を行う領域であり、その領域内でドラッグ操作がなされた場合には、有効と判定し、アイコンiのスクロールを行うものである。ここで、以下に示す操作画面12bでは、スクロール領域a1には、一例として、トータルで8個のアイコンi1〜i8をスクロール方向(左右方向)に並べており、同図では全8個のうちの一部のアイコンi1〜i5を表示している。ユーザーは、スクロール領域a1内で左右いずれかの方向に向けてドラッグ操作をすることで、指を滑らせた方向へアイコンiをスクロールさせることができる。
図9Bでは、右方向に指を滑らせるドラッグ操作に応じて、スクロール領域a1のアイコンiが、
図9Aに対して右に3個分スクロールさせた状態を示している。
【0058】
(ステップS34)
ここでは、制御部110は、検出したタッチがいずれかのアイコンiへのタッチであるかを判定する。アイコンiへのタッチであれば(YES)、処理をステップS35に進め、そうでなければ処理をステップS31に戻し、以降の処理を繰り返す。
【0059】
(ステップS35)
アイコンiへの選択操作がなされたので、選択されたアイコンiに応じた処理を実行する。例えばアイコンi4への選択操作がなされた場合には、用紙のサイズを選択する操作画面に遷移する。
【0060】
(ステップS23(「視覚障害者モード」のサブルーチンフローチャート))
図8Cは、ステップS23の視覚障害者モードに関するサブルーチンフローチャートである。なお、視覚障害者モードに移行した際には、始めに、あるは定期的に、視覚障害者モードを実行中である旨の情報を点字デバイス200に送信するようにしてもよい(
図7のステップS11参照)。
【0061】
(ステップS41)
制御部110は、操作パネル120へのタッチが検出されたかを判定する。タッチが検出されれば処理を、ステップS42に進める。
【0062】
(ステップS42)
制御部110は、検出したタッチがスクロール領域でのドラッグ操作であるか否かを判定する。スクロール領域でのドラッグ操作であると判定すれば(YES)、処理をステップS43に進め、ドラッグ操作でなければ、処理をステップS44に進める。
【0063】
(ステップS43)
ここではスクロール領域のアイコンiを移動させない。ここで、ステップS43で行う処理について図を参照して説明する。
図10Aは、視覚障害者モードにおける操作パネルに表示する操作画面の例であり、同図に示すように
図10Aは、
図9Aと共通する操作画面である。すなわち、本実施形態においては、通常モード、および視覚障害者モードを相互に切り替えたとしても、操作パネル120に表示する内容は、何ら変化はなく、そのままである。通常モードと視覚障害者モードで操作画面の表示内容を共通にすることで、視覚障害者モード向けに新たに操作画面を準備する必要がないので、表示用のデータ作成に関する工数を削減できる。
【0064】
図10Bは、
図10Aでドラッグ操作された後の操作画面を示す図である。
図10Bに示すように、視覚障害者モードにおいては、スクロール領域a1に対してドラッグ操作がなされてもスクロール領域a1内のアイコンiを移動させない。なお、
図8Cにおいて、破線で示すステップS42、S43の処理については、何ら状態の変化を及ぼさないので処理を省略してもよい(後述する
図11の破線の処理においても同様)。
【0065】
(ステップS44)
ここでは、制御部110は、検出したタッチがいずれかのアイコンiへのタッチであるかを判定する。アイコンへのタッチであれば(YES)、処理をステップS45に進め、そうでなければ処理をステップS41に戻し、以降の処理を繰り返す。
【0066】
(ステップS45)
アイコンの内容に応じて、点字情報を点字デバイス200に送信する。例えば、
図10Bのように、アイコンi2の枠内へのタッチであれば、アイコンi2に対応する点字情報を点字デバイス200に送信する。なお、
図10Aから
図10Bに至るまでの間に、ユーザーが操作パネル120に指をタッチさせながらタッチ位置を右方向にアイコンi5からi2の位置まで滑らせた場合、制御部110は、アイコンi4、i3、i2の内容に対応する点字情報を順次、ユーザーが装着している点字デバイス200に送信する。
【0067】
(ステップS46)
ここでは、
図7の点字デバイス200のステップS15の処理に応じて、点字デバイス200からの決定スイッチ230のON信号を受信したか否かを判定する。ON信号を受信した場合(YES)には処理をステップS47に進め、そうでなければ(NO)処理をステップS41に戻し、以降の処理を繰り返す。
【0068】
(ステップS47)
ここでは、制御部110は、ステップS35と同様に、決定スイッチのON信号の受信を選択操作として取り扱い、現時点で、点字デバイス200によりタッチされているアイコンiに応じた機能の処理を実行する。
【0069】
このように本実施形態に係る点字デバイス200を用いた制御システム500においては、制御部110は、視覚障害者モードにおいて、操作画面に通常モードで表示したスクロール領域を表示させた場合に、スクロール領域に対してドラッグ操作がなされてもスクロール領域内のアイコンiを移動させないように制御する。これにより、スクロール領域がある操作画面を視覚障害者が操作する場合に、意図せずに、スクロール領域内のアイコンiが移動してしまい、スクロール領域内のアイコンiを正しく認識できないという問題を防ぐことができる。また、健常者が用いる操作画面を、視覚障害者が操作で戸惑うことなく共用できる。
【0070】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては、視覚障害者モードを実行中になされたタッチ(ドラッグ操作)が、点字デバイス200によるものか否かを判定し、その結果に応じて制御を切り替える。
【0071】
図11は、第2の実施形態に係る本体装置側の制御を示すサブルーチンフローチャートである。同図に示す以外の本体装置側のフローチャート、すなわち
図8A、
図8Bの処理については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。また
図8Cと共通する処理については一部説明を省略する。
【0072】
(ステップS41、S42)
図8Cと同様の処理を行い、視覚障害者モードにおいてスクロール領域a1へのドラッグ操作がなされたならば、処理をステップS421に進める。
【0073】
(ステップS421)
ここでは、制御部110は、点字デバイス200によるドラッグ操作であるか否かを判定する。点字デバイス200によるドラッグ操作であれば(YES)、処理をステップS43に進め、そうでなく(NO)、点字デバイス200以外によるドラッグ操作であれば(NO)、処理をステップS422に進める。この点字デバイス200によるものか否かの判定は、以下のように行う。
【0074】
(a)点字デバイス200が接触センサー240の出力をモニターし、センサー情報、すなわち何らかの物体への接触タイミングの情報をリアルタイムで、本体装置100に送信する。センサー情報の送信は、所定周期、例えば数十Hzの周期で行うことが好ましい。(b)本体装置100の制御部110は、自装置の操作パネル120へのタッチを検出する。このとき、点字デバイス200から送信されてくる(a)のセンサー情報の接触タイミングを示す波形と、操作パネル120へのタッチのタイミングを示す波形が同一であるか否かにより行う。より具体的には、センサー情報で非接触から接触に変化したタイミング、およびその後のタッチの継続を示す信号波形が、ステップS41において本体装置100でタッチの検出した信号波形と一致していれば、点字デバイス200によりタッチされたものであると判定する。例えば、点字デバイス200から、60Hz周期でセンサー情報を受信する場合、本体装置100は、非接触から接触に変化したタイミングが、同一周期あるいは1周期程度(約16msec)の差であれば、点字デバイス200によるタッチ、およびこれにともなうドラッグ操作であると判定する。
【0075】
(ステップS422)
点字デバイス200を装着した指以外の指、例えば、健常者の指、または右手の人差し指以外の指で行われたドラッグ操作に応じて、スクロール領域のアイコンiをスクロール表示する。この処理は、
図8BのステップS33と同様である、通常モードと同様の処理を行う。
【0076】
(ステップS43)
図8Cで説明した処理と同様に、ここではスクロール領域のアイコンを移動させない。
【0077】
(ステップS44〜S47)
図8Cと同じ処理であり、説明を省略する。
【0078】
このように第2の実施形態においては、スクロール領域に対するドラッグ操作が、点字デバイスによるドラッグ操作でない場合にはアイコンを移動させる。このようにすることで、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、例えば、視覚障害者モードにおいて、健常者が視覚障害者と一緒に操作パネルを使用する場合に、特別な操作を必要とせずに、視覚障害者と健常者で共用できる。
【0079】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について説明する。第1の実施形態においては、視覚障害者モードを実行中には、スクロール領域a1内のアイコンをスクロールすることはできなかった。第3の実施形態は、スクロールボタンを用いてスクロール領域a1内のアイコンをシフトさせるものである。
【0080】
図12は、第3の実施形態に係る本体装置側の制御を示すサブルーチンフローチャートである。同図は、
図8CのステップS41(YES)に続いて行われる処理であり、同図に示す処理以外の処理については、第1の実施形態と同様であり説明を省略する。
図13A、
図13Bは、視覚障害者モードにおける操作パネルに表示する操作画面12bの例であり、これらの操作画面12bは、
図9A等と共通する操作画面である。
【0081】
(ステップS51)
制御部110は、右スクロールボタンb1への選択操作がなされたか否かを判定する。具体的には、選択操作として、ステップS41で、右スクロールボタンb1へタッチがなされている間に点字デバイス200から決定スイッチ230のON信号を受信した場合には(YES)、処理をステップS55へ進め、そうでなければ(NO)、処理をステップS52へ進める。
【0082】
(ステップS52)
次に制御部110は、ステップS51と同様の手順により、左スクロールボタンb2への選択操作がなされたか否かを判定する。左スクロールボタンb2への選択操作であれば(YES)、処理をステップS53へ進め、そうでなければ(NO)、処理をステップS57へ進める。
【0083】
(ステップS53)
制御部110は、現在の表示状態において、スクロール領域a1に表示しているアイコンiの左側に隠れたアイコンiがあるか否かを判定する。隠れたアイコンiがあれば(YES)、処理をステップS54に進め、アイコンiがなければ、処理をステップS57に進める。
【0084】
(ステップS54)
制御部110は、スクロール領域a1のアイコンiを右に1個分、スライド(移動)させる。
図13Bの操作画面12bは、
図13Aの操作画面12bに対して、ユーザーが左スクロールボタンb2を3回選択操作した後の状態を示す図である。
図13Aでは、アイコンi5の先に隠れたアイコンi6〜i8があったので、
図13Bでは選択操作の回数に応じて、左に隠れていた3個のアイコンiが表示されるように、スクロール領域a1内のアイコンiを右に3個分、スライドさせている。
【0085】
(ステップS55)
ここでは制御部110は、スクロール領域a1に表示しているアイコンiの右側に隠れたアイコンiがあるか否かを判定する。隠れたアイコンiがあれば(YES)、処理をステップS56に進め、アイコンiがなければ、処理をステップS57に進める。
【0086】
(ステップS56)
制御部110は、スクロール領域a1のアイコンiを左に1個分、スライドさせる。
【0087】
(ステップS57)
制御部110は、スクロール領域a1のアイコンiの移動はなく、そのままの表示状態を維持する。
【0088】
このように、第3の実施形態においては、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、さらに、スクロールボタンを用いてスクロール領域a1内のアイコンをシフトさせるようにすることで、視覚障害者モードにおいてもスクロール領域の隠れたアイコンiを表示させることができる。
【0089】
(第1の変形例)
図14は、点字用の操作画面22b(点字画像)を示す概念図であり、
図13Bの操作画面12b(視認用画像)に対応している。
図13Bの状態では、スクロール領域a1内には、アイコンi8〜i4を表示している。アイコンi8は、左端に位置することからアイコンi8の左側には隠れたアイコンiは存在しない。制御部110は、この状態に応じて、点字用の操作画面(点字画像)においてスクロールボタンb1(またはb2)を表示(点字表示)しない。具体的には、制御部110は、
図13Bのスクロールボタンb1(またはb2)の位置へタッチがなされたとしても、点字デバイス200に対して、点字情報を送信しない。このようにすることで、視覚障害者は、スクロール領域a1には、アイコンi8の先には、他のアイコンiがないことを認識することができる。
【0090】
(第4の実施形態)
第3の実施形態においては、スクロール領域a1内のアイコンiのスライドに、スクロールボタンb1、b2を用いた。第4の実施形態においては、さらにスクロールボタンb1、b2に別の機能を持たせるものである。
【0091】
図15は、操作画面12bのスクロールボタンb1、b2の機能を説明する図である。制御部110は、
図15の左スクロールボタンb2の位置へタッチを検出することで、左スクロールボタンb2に紐付けた点字情報を、点字デバイス200に対して送信する。具体的には、スクロール領域a1に現在表示している左端のアイコンi6の先に2個のアイコンiが隠れているので、点字情報として「2こ」を表す点字データを送信する。なお、このタッチ位置の先に、すなわち左スクロールボタンb2の方向(左方向)に隠れているアイコンiの数に換えて、またはこれとともに、現在表示しているアイコンiの数(5個)、もしくはトータルのアイコンの数(8個)を点字デバイス200に送信するようにしてもよい。また、タッチしている先に隠れているアイコンiがなければ、ない旨の情報を点字デバイス200に送信するようにしてもよい。これにより視覚障害者はスクロール領域a1の表示状態を正しく認識できる。
【0092】
(第2の変形例)
図16は、第2の変形例における、スクロール領域a1内で互いに隣接するアイコンi間の境界部分の機能を説明する図である。同図に示すように第2の変形例においては、スクロール領域a1に表示するアイコンi間の境界部分a21、a22、a23、a24にタッチ操作がなされた場合には、アイコンiの配置状態に関する情報を、点字デバイス200に点字情報として通知する。
【0093】
具体的には、
図16に示すようにユーザーが、左方向から指をすべらせながら(ドラッグ操作)境界部分a22をタッチした場合には、制御部110は、点字デバイス200に対して右側に2個アイコンiを表示していることを示す、「みぎ2こ」の点字データを点字デバイス200に送信する。なお、配置状態としては、これに限られず、左側に3個ある旨の点字情報を点字デバイス200に通知してもよく、右側2個、左側3個の旨の点字情報を通知するようにしてもよい。また、すぐ先(左から右に指を滑らせた場合にはすぐ右)のアイコンiのシリアル番号を示す点字情報を通知するようにしてもよい。
【0094】
(第3の変形例)
本実施形態においては、上述のように点字情報の通知方法として、タッチパネル122へのタッチ位置のシフト量分だけ、点字表示部220の点字の表示内容をシフトさせるように表示している。具体的には、例えば、タッチ位置が1mm右にシフトした場合、点字表示部220の表示内容(ピンの突出位置)を1mm右にシフトさせるように表示している。このように表示する場合、境界部分a21〜a24の領域が狭い場合、点字表示できる文字数が限られ、十分な情報を通知できない虞がある。このような問題に対して、第3の変形例においては、境界部分の周辺(左右、上下、斜め)の他のアイコンiがない、空いている部分に点字画像を表示してもよい。
【0095】
図17は、第3の変形例における、アイコンi間の境界部分の機能を説明する図である。
図17の例では、境界部分a22においては、タッチ位置を所定領域にまで誘導するための「上」または上向き矢印を示す図形に関する点字画像を表示する。その点字画像を示す方向にある、表示内容がない空領域a32に第2の変形例のような、アイコンiの配置状態に関する情報を表示するようにする。このようにすることで、境界部分a22をタッチしたユーザーは、点字画像を読むことにより上方に誘導される。ユーザーは、タッチ位置を上方に滑らせることにより配置状態に関する情報を認識できる。このようにすることで、アイコンi間の境界部分a21〜a24が狭く、十分な文字数を点字データとして表示できない場合であっても、それぞれに対応する空領域a31〜a34に表示することで、十分な情報を点字デバイス200で表示できる。
【0096】
(第5の実施形態)
図18は、第5の実施形態に係る本体装置100側の制御を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、
図8Aのフローチャートに対応するものであり、ステップS61、S62、S64は、
図8AのステップS21、S23、S22にそれぞれ対応する。
【0097】
(ステップS61、S62)
制御部110は、点字デバイス200と通信可能となったことに応じて、視覚障害者モードに切り替えた後、処理をステップS63に進める。
【0098】
(ステップS63)
制御部110は、点字デバイス200による無操作によるタイムアウトとなったか否かを判定し続ける。タイムアウトとなった場合(YES)には、処理をステップS64に進める。具体的には、操作パネル120へのタッチ操作が所定時間以上(例えば数十秒または数分)、継続してなされなかった場合には、タイムアウトと判断する。
【0099】
(ステップS64)
制御部110は、視覚障害者モードから通常モードに切り替え、スクロール領域a1へのドラッグ操作を有効な状態にする。
【0100】
このようにすることで、不用意に視覚障害者モードが継続されてしまうことを防ぐことができる。
【0101】
(第6の実施形態)
図19は、第6の実施形態に係る本体装置100側の制御を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、
図8Aのフローチャートに対応するものであり、ステップS71、S73、S74は、
図8AのステップS21、S22、S23にそれぞれ対応する。
【0102】
(ステップS71)
制御部110は、点字デバイス200と通信可能でなければ(NO)、処理をステップS73に進める。通信可能であれば(YES)、処理をステップS72に進める。
【0103】
(ステップS72)
制御部110は、切り替えの指示の入力を待つ(NO)。通常モードへの切り替え指示の入力があれば、処理をステップS73に進め、視覚障害者モードへの切り替えの指示の入力があれば、処理をステップS74に進める。
【0104】
この切り替えの指示は、例えば、操作パネル120の周辺に設けられた本体装置100の選択ボタン(図示せず)への操作による行ってもよく、決定スイッチ230を切り替え指示用のボタンとして用いてもよい。後者であれば、例えば、視覚障害者モードを実行中に決定スイッチ230が押されたならば通常モードに切り替え、通常モードを実行中に同じ決定スイッチ230が押されたならば視覚障害者モードに切り替える。
【0105】
(ステップS73、S74)
図8AのステップS23、S22と同様に、制御部110は、ステップS73では通常モードへ切り替え、ステップS74では視覚障害者モードに切り替える。
【0106】
このようにすることで、任意のタイミングで視覚障害者モードと通常モードを相互に切り替えることができ、視覚障害者と健常者が共用して操作パネル120の操作ができるようになる。
【0107】
以上に説明した本体装置100、および点字デバイス200を備える制御システム500の構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、以下に説明するように種々改変することができる。また、一般的な本体装置100や点字デバイス200が備える構成を排除するものではない。
【0108】
上述の実施形態においては、点字デバイス200の点字表示部220を通知部として用いる例を示したが、これに換えて、またはこれとともにスピーカー180を通知部として用いてもよい。具体的には、各実施形態で表示した、操作画面の表示内容をスピーカーによって、音声で視覚障害者に通知する。
【0109】
上述した各実施形態および各変形例に係る制御システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、点字デバイス連携システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。