特許第6982292号(P6982292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982292
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】インソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/00 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   A43B17/00 Z
   A43B17/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-128394(P2017-128394)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2019-10285(P2019-10285A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228866
【氏名又は名称】日本シグマックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 匡平
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−245029(JP,A)
【文献】 特開2014−226250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/00−21/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏全体を支持し、JIS K 6253-2006に準拠して測定される硬度がE20〜60の範囲である第1エリア部材と、その下面に配置された当該第1エリア部材より硬い第2エリア部材と、当該第2エリア部材より硬い第3エリア部材との3エリア体を有し、かつ少なくとも土踏まず領域における支持面積が第1エリア部材、第2エリア部材、第3エリア部材の順で狭小となっていることを特徴とするインソール。
【請求項2】
第1エリア部材より第2エリア部材の外形サイズが小さく、かつ第2エリア部材より第3エリア部材の外形サイズが小さいことを特徴とする請求項1記載のインソール。
【請求項3】
第3エリア部材又は第3エリア部材と第2エリア部材が、土踏まず部の踵骨の載距突起に対応する領域に存在しないことを特徴とする請求項1又は2記載のインソール。
【請求項4】
第1エリア部材の下面に、第2エリア部材次いで第3エリア部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインソール。
【請求項5】
第1エリア部材の下面に、第3エリア部材次いで第2エリア部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインソール。
【請求項6】
第1エリア部材、第2エリア部材、第3エリア部材が、それぞれ異なる材料からなる成形品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のインソール。
【請求項7】
第1エリア部材、第2エリア部材、第3エリア部材が、同一の材料からなる成形品で、部分的に異なる厚さを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のインソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インソールに関する。
【背景技術】
【0002】
インソール(靴の中敷)は、足の疲労の軽減、変形の予防、怪我の予防、歩行の補助、吸湿、防臭といった役割を担う。
インソールには、足裏全体に対応した形状の一層構造のものの他、硬さ等の異なる素材を重ねた多層構造のものが知られている。例えば、特許文献1では、下層である硬い弾性材料の第一層に、該第一層を覆い、第一層よりも上層である柔らかい弾性材料で央部は凸形状に構成されている第二層等を積層して成型してなる多層構造を有するインソールが報告されている。また、特許文献2では、柔軟部と、柔軟部の下部で踵部から中足部に存在する補強部とからなり、踵部から中足部の際部分は柔軟部のみから構成されるインソールが報告されている。
【0003】
しかしながら、斯かる従来のインソールは、何れも足裏が接する層とその下層との硬度差が大きいため、使用時に違和感を感じ、痛みが生じ易い、と云う問題があった。他方、これを避けるために下層の硬度を下げると、違和感は減るものの、足の支持固定力が弱まるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−28323号公報
【特許文献2】特開2003−38207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き従来の問題に鑑みてなされたもので、使用時の違和感と痛みの発生を防止しつつも、足を支持固定することができるインソールを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、硬さが異なり、かつ土踏まず領域における支持面積が異なるエリア部材を重ねた少なくとも3エリア体とすれば、極めて良い結果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、足裏全体を支持する第1エリア部材と、その下面に配置された当該第1エリア部材より硬い第2エリア部材と、当該第2エリア部材より硬い第3エリア部材との3エリア体を有し、かつ少なくとも土踏まず領域における支持面積が第1エリア部材、第2エリア部材、第3エリア部材の順で狭小となっていることを特徴とするインソールにより上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインソールを用いれば、硬さと土踏まず領域における支持面積が異なるエリア部材を3つ重ねたため、使用時に違和感と痛みを感じることなく足の支持固定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るインソールの底面図。
図2図1のA−A線切断拡大端面図。
図3】本発明の他の実施の形態に係るインソールの底面図。
図4図3のB−B線切断拡大端面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0011】
本発明の実施の形態を示す図1において、10は右足用のインソール本体で、11は第1エリア部材、12は第2エリア部材、13は第3エリア部材である。
インソール本体10は、図2に示すように、足裏全体を支持する第1エリア部材11の下面に当該第1エリア部材より硬い第2エリア部材12が接合され、当該第2エリア部材12の下面に当該第2エリア部材より硬い第3エリア部材13が接合された3エリア体から成っていると共に、土踏まず領域10aにおける支持面積は、第1エリア部材11、第2エリア部材12、第3エリア部材13の順で狭小となっている。なお、当該各エリア部材は、接着剤等の適宜手段により接合されている。
足裏全体を支持する第1エリア部材11と、第3エリア部材13との間に、当該第1エリア部材より硬く、かつ当該第3エリア部材13よりも柔らかい第2エリア部材が接合されていることにより、使用時の違和感と痛みの発生をより確実に回避することができる。
【0012】
また、当該インソール本体10における各エリア部材の外形サイズは、第1エリア部材11、第2エリア部材12、第3エリア部材13の順で小さく構成され、土踏まず領域10a以外においても支持面積が順に狭小となっている。斯様に、硬さと共に外形サイズを第1エリア部材、第2エリア部材、第3エリア部材の順で小さくすることにより、足裏全体としてクッション性を高めつつ、足の支持固定力を高めることができる。
図1において、第2エリア部材12と第3エリア部材13は、踵骨から土踏まず領域までを支持する外形サイズとなっているが、例えば、踵骨から第1〜第5中足骨の遠位端に至る領域までを支持するサイズであっても構わない。
尚、左足用のインソールの場合は、図1に示すインソール本体10に対して線対称形に形成される。
【0013】
第1エリア部材11の材料は特に限定されないが、弾性を有するものがクッション性に優れ足の疲労を軽減する上で望ましい。第1エリア部材11には、例えば、ゴム、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂の1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
第1エリア部材11のJIS K 6253−2006に準拠して測定される硬度は、E20〜60の範囲であることが望ましい。
【0014】
第2エリア部材12には、第1エリア部材11より硬い材料が用いられる。例えば、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂の1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
第2エリア部材12のJIS K 6253−2006に準拠して測定される硬度は、E50〜90の範囲であることが望ましい。
第1エリア部材11と第2エリア部材12の硬度差は、10〜40の範囲であることが、使用時の違和感を減らす上で望ましい。
第1エリア部材と第2エリア部材の硬度は、例えば、「TECLOCK GS−721G Type E(株式会社テクロック社製)」によって測定することができる。
【0015】
第3エリア部材13には、第2エリア部材12より硬い材料が用いられる。例えば、ナイロン樹脂の1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
第3エリア部材13のJIS K 6253 Aに準拠して測定される硬度は、A60〜95の範囲であることが望ましい。
第3エリア部材の硬度は、例えば、「TECLOCK GS−719G Type A(株式会社テクロック社製)」によって測定することができる。
【0016】
第1エリア部材11、第2エリア部材12、第3エリア部材13の硬度は、上記のとおり所望の材料を用いて変化させることができるが、全エリアが同一の材料で、適宜厚みを部分的に変えることで変化させてもよい。例えば、部位によって厚みを変えて成形した樹脂製インソール本体10としてもよい。
【0017】
一般的に、インソールは、足裏を包み、足にフィットするように中足骨に対応する領域から踵骨に対応する領域にかけて土踏まずのアーチに沿う立ち上がり部が形成される。図2に示すように、本発明のインソール本体10においても立ち上がり部10bが形成されているが、当該立ち上がり部10bにおける土踏まず部の踵骨の載距突起に対応する領域12aに、第3エリア部材13が存在しない構成(図2)又は第3エリア部材13と第2エリア部材12が存在しない構成(図示省略)とすることが望ましい。これにより、第3エリア部材13より柔らかい第2エリア部材12と第1エリア部材11のみ又は第1エリア部材11のみが内甲側で当接する面積が広くなるので、使用時の違和感と痛みの発生をより防止することができる。
【0018】
図3は、本発明インソールの他の実施の形態を示すもので、基本的な構成は図1に示す実施の形態と同一であるが、図3に示す実施の形態においては、図4に示すように、足裏全体を支持する第1エリア部材11の下面に第3エリア部材13が接合され、当該第3エリア部材13の下面に第2エリア部材12が接合された3エリア体から成っている。硬さが異なり、かつ土踏まず領域における支持面積が異なる部材の3エリア体から成ることで、使用時の違和感と痛みの発生を防止しつつ、足のサポート性に優れる。
【0019】
図1図4では、3エリア体のインソール本体10を示しているが、インソール本体10は3エリア体以上であればよく、硬度が高いほど少なくとも土踏まず領域における支持面積が小さい部材から成れば、4エリア体や5エリア体とすることもできる。
【符号の説明】
【0020】
10:インソール本体
10a:土踏まず領域
10b:立ち上がり部
11:第1エリア部材
12:第2エリア部材
12a:踵骨の載距突起に対応する領域
13:第3エリア部材
図1
図2
図3
図4