(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982342
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ショッピングカート
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
B62B3/00 F
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-81196(P2020-81196)
(22)【出願日】2020年5月1日
(65)【公開番号】特開2021-175627(P2021-175627A)
(43)【公開日】2021年11月4日
【審査請求日】2020年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】591135761
【氏名又は名称】太陽ビルメン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】松山 龍央
【審査官】
久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−77970(JP,A)
【文献】
実開平6−83548(JP,U)
【文献】
実開平5−67573(JP,U)
【文献】
特開2020−50236(JP,A)
【文献】
特開平2−218313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00−5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行床面(20)に最も近い前方延伸状第1棚部(1)と、
該第1棚部(1)の後方へ延伸状に隣設された下から2番目の第2棚部(2)と、
前壁と左右側壁と後壁と底壁を有する上方開口状籠型であって、下から3番目の前方延伸状籠部(3)と、
上記籠部(3)の上記後壁を形成すると共に、下辺が枢支されて上辺が前後に揺動する傾動壁部(4)の中間高さ位置から前方へ延設された、下から4番目のかご載せ突部(4c)と、
を備えたことを特徴とするショッピングカート。
【請求項2】
上記傾動壁部(4)は、幼児シートに兼用可能であって、その中間高さから後方へ延設された座部(4b)を有し、前方へ揺動した傾斜状態で、後方へ顔を向けて座った幼児の背中を支持する背部(4a)に用いられる請求項1記載のショッピングカート。
【請求項3】
後キャスタ(6)を下端に有する略鉛直状第1パイプ部(11)と、前方上傾状第2パイプ部(12)と、後方上傾状であって後端にグリップ部(15)を有する第3パイプ部(13)と、を有するジグザグ形状の左右1対の側方支持杆体(10)(10)を、備え、
上記第1棚部(1)は、上記第1パイプ部(11)から前方延伸状に付設され、かつ、前端に前キャスタ(5)が付設され、
上記第2棚部(2)は、上記第2パイプ部(12)から前方及び後方に延伸状に付設され、
上記籠部(3)は、上記第3パイプ部(13)から前方延伸状に付設されている請求項1又は2記載のショッピングカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショッピングカートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、買い物かごを複数個載せることができるショッピングカートとして、上段と下段のそれぞれに買い物かごを載せることができるものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−91576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の、従来のショッピングカートは、全長が長く、取り回しが悪いため、スーパーマーケット内での接触事故が起こりやすい欠点があった。特に、買い物かごを4個載せている場合、その重量により、慣性モーメントが大きくなり、制御が一層困難になるという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は、コンパクトでありながら買い物かごを4個載せることができ、しかも、買い物かごを4個載せている場合でも、全体の重心が車体の中心近くに配分され、取り回しがよく、接触事故の虞が少なく、また、買い物かごを3個載せている場合には、幼児1名を乗せることができるショッピングカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るショッピングカートは、走行床面に最も近い前方延伸状第1棚部と、該第1棚部の後方へ延伸状に隣設された下から2番目の第2棚部と、前壁と左右側壁と後壁と底壁を有する上方開口状籠型であって、下から3番目の前方延伸状籠部と、上記籠部の上記後壁を形成すると共に、下辺が枢支されて上辺が前後に揺動する傾動壁部の中間高さ位置から前方へ延設された、下から4番目のかご載せ突部と、を備えたものである。
【0007】
また、上記傾動壁部は、幼児シートに兼用可能であって、その中間高さから後方へ延設された座部を有し、前方へ揺動した傾斜状態で、後方へ顔を向けて座った幼児の背中を支持する背部に用いられるものである。
【0008】
また、後キャスタを下端に有する略鉛直状第1パイプ部と、前方上傾状第2パイプ部と、後方上傾状であって後端にグリップ部を有する第3パイプ部と、を有するジグザグ形状の左右1対の側方支持杆体を、備え、上記第1棚部は、上記第1パイプ部から前方延伸状に付設され、かつ、前端に前キャスタが付設され、上記第2棚部は、上記第2パイプ部から前方及び後方に延伸状に付設され、上記籠部は、上記第3パイプ部から前方延伸状に付設されているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のショッピングカートによれば、買い物かご4個をコンパクトに積載できる。そして、買い物かごを4個載せている場合でも、取り回しがよく、楽に走行でき、接触事故の虞を少なくできる。また、買い物かごを3個載せている場合には、幼児1名を乗せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のショッピングカートの実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明のショッピングカートの実施形態を示す側面図である。
【
図3】買い物かごを4個載せた状態を示す側面図である。
【
図4】買い物かごを4個載せた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1〜
図4は、本発明のショッピングカートの実施の一形態を示す。このショッピングカートは、走行床面20に最も近い前方延伸状第1棚部1と、該第1棚部1の後方へ延伸状に隣設された下から2番目の第2棚部2と、前壁と左右側壁と後壁と底壁を有する上方開口状籠型であって、下から3番目の前方延伸状籠部3と、上記籠部3の上記後壁を形成すると共に、下辺が枢支されて上辺が前後に揺動する傾動壁部4の中間高さ位置から前方へ延設された、下から4番目のかご載せ突部4cと、を備えている。
【0012】
本発明のショッピングカートは、ジグザグ形状の左右1対の側方支持杆体10,10を、備えている。
各側方支持杆体10は、後キャスタ6を下端に有する略鉛直状第1パイプ部11と、前方上傾状第2パイプ部12と、後方上傾状であって後端にグリップ部15を有する第3パイプ部13と、を有する。また、17は、前方延伸パイプ部であって、第1パイプ部11に連設される。また、この前方延伸パイプ部17は、平面視略コの字型であって、前端に2個の前キャスタ5,5が付設される。
【0013】
第1棚部1は、上記第1パイプ部11に連設された上記前方延伸パイプ部17と、そのパイプ部17に一体に設けた杆材18から、構成される。この杆材18は、前端に向かって緩やかに傾斜しており、前方延伸パイプ部17よりも、(側面視で)部分的に下方位置に在り、第1棚部1の上に置かれた買い物かごが横すべりすることを、前方延伸パイプ部17が阻止する役目をなしている。
第2棚部2は、上記第2パイプ部12から後方延伸状に付設される。第2パイプ部12が、第2棚部2上に置かれる買い物かごの横すべりを防止する。
籠部3は、第3パイプ部13から前方延伸状に付設される。籠部3は、金属フレームを格子状に組み合わせて構成され、その底部は後方下傾状であり、籠部3は全体的に籠型として、籠部3上に置かれる買い物かごの左右側方への移動を防止する。また、籠部3の上縁部3aは、走行床面20と平行に設定される。
【0014】
傾動壁部4は、幼児Pが座る幼児シートに兼用されるもので、座部4bと、かご載せ突部4cと、を有し、傾動壁部4自体が背部4aとして用いられる。
かご載せ突部4cは、背部4aから小寸法(籠部3の前方向に向かって)突出しており、折りたたんで4個目の買い物かごを乗せる際に使用する。
【0015】
次に、
図2〜
図4は、本発明のショッピングカートに買い物かごEを載せた状態を示す。
図2、
図3では、買い物かごEを2点鎖線で示し、
図4では実線で示す。
第1棚部1、第2棚部2、籠部3、に1つずつ買い物かごEを載せた状態では、傾動壁部4を展開して、座部4bに幼児Pを座らせ、ショッピングカートを押しながら買い物中の幼児の保護者と対面した状態が維持できる。これにより、幼児Pは不安を感じることなく、幼児Pが不意に泣き出すことを防止でき、保護者は大きなストレスを感じることなく買い物を続けることが可能である。
【0016】
幼児を同伴しない場合、または買い物中の幼児の世話を同伴者に頼める場合には、傾動壁部4をたたんで、
図3,
図4に示すように4個目の買い物かごEを載せることができる。
この場合、かご載せ突部4cに買い物かごEの一端を掛けて、もう一端を、3個目の買い物かごE、すなわち籠部3に載せた買い物かごEの上面に載せる。籠部3の底面は後方に緩やかに傾斜しており、また籠部3の上縁部3aは、走行床面20と平行であるので、籠部3は後方に向かって深くなっている。このため、かご載せ突部4cに載せた4個目の買い物かごEは、籠部3によって十分に横ずれが防止される。
【0017】
図4に示すように、前方の2個の買い物かごEは、縦置き、すなわち、買い物かごEの長辺がショッピングカートの進行方向と平行になるように載置される。また、後方の2個の買い物かごEは、横置き、すなわち、買い物かごEの長辺がショッピングカートの進行方向と直角になるように載置される。
【0018】
カートの重心位置の前後に2つずつの買い物かごEが配置されるため、前後の重量バランスが良く、カートの操作、特に方向変換を小さな力で狭い場所でも行うことができ、衝突事故を回避できる。なお、使用時には、第1棚部1に1つめの買い物かごEを置き、買い物が進むにつれて第2棚部2、籠部3、かご載せ突部4cの順序で買い物かごEを追加していくこともでき、あるいは、使用者の好みに応じて順序を前後変更自在である。
【0019】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、例えば、第1棚部1、第2棚部2、籠部3の構造と形状は、変更自由であり、材質もプラスチック等を一部に利用可能である。
【0020】
本発明は上述のように、走行床面20に最も近い前方延伸状第1棚部1と、該第1棚部1の後方へ延伸状に隣設された下から2番目の第2棚部2と、前壁と左右側壁と後壁と底壁を有する上方開口状籠型であって、下から3番目の前方延伸状籠部3と、上記籠部3の上記後壁を形成すると共に、下辺が枢支されて上辺が前後に揺動する傾動壁部4の中間高さ位置から前方へ延設された、下から4番目のかご載せ突部4cと、を備えたので、買い物かごを4個載せることができ、しかもカート全体がコンパクトになり、取り回しが良いという利点がある。かつ、不使用状態で、多数のショッピングカートを狭い場所に集めることができる。
【0021】
また、上記傾動壁部4は、幼児シートに兼用可能であって、その中間高さから後方へ延設された座部4bを有し、前方へ揺動した傾斜状態で、後方へ顔を向けて座った幼児の背中を支持する背部4aに用いられるので、買い物かごを3個載せた状態では、傾動壁部4を展開して幼児を座らせ、ショッピングカートを押しながら買い物中の幼児の保護者と対面した状態が維持できる。
【0022】
また、後キャスタ6を下端に有する略鉛直状第1パイプ部11と、前方上傾状第2パイプ部12と、後方上傾状であって後端にグリップ部15を有する第3パイプ部13と、を有するジグザグ形状の左右1対の側方支持杆体10,10を、備え、上記第1棚部1は、上記第1パイプ部11から前方延伸状に付設され、かつ、前端に前キャスタ5が付設され、上記第2棚部2は、上記第2パイプ部12から前方及び後方に延伸状に付設され、上記籠部3は、上記第3パイプ部13から前方延伸状に付設されているので、買い物かごを4個載せることができ、カート全体がコンパクトになり、カートの操作、特に方向変換を小さな力で狭い場所でも行うことができ、衝突事故を回避できる。不使用状態の多数のショッピングカートを狭い空間にストックできる。
【符号の説明】
【0023】
1 第1棚部
2 第2棚部
3 籠部
4 傾動壁部
4a 背部
4b 座部
4c かご載せ突部
5 前キャスタ
6 後キャスタ
10 側方支持杆体
11 第1パイプ部
12 第2パイプ部
13 第3パイプ部
15 グリップ部
20 走行床面