(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、別段の定めのない限り、当該技術の範囲内である従来の分子生物学的技術を採用する。別段の定めのない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者により共通して理解されるものと同じ意味を有する。
【0018】
本開示の全体にわたって、様々な実施形態は範囲形式で提示される。範囲形式での記載は単に利便性と簡潔さのためのものに過ぎず、任意の実施形態の範囲に対する確固たる限定として解釈されてはならないということを理解されたい。これに応じて、範囲の記載は、文脈で別段の定めのない限り、すべての可能性のある下位範囲と、下限の単位の小数第2位までのその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと考えられなければならない。例えば、1乃至6などの範囲の記載は、1乃至3、1乃至4、1乃至5、2乃至4、2乃至6、3乃至6などの下位範囲と、例えば、1.1、2、2.3、5、および5.9のその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと考えられなければならない。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。これらの介在する範囲の上限と下限は、より小さな範囲に独立して含まれることもあり、記載された範囲の任意の具体的に除外された限界に従って、本開示内にも包含される。記載された範囲が1つまたは両方の限界を含む場合、これらの含まれる限界の一方または両方を除外する範囲は、文脈に特段の定めのない限り、本開示にも含まれる。
【0019】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載するためにあり、任意の実施形態を制限することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形「1つ(a)、「1つ(an)」、および「その(the)」は、文脈上他の意味を明白に示すものでない限り、同様に複数形を含むことを意図している。用語「含む(comprises)」および/または「含むこと(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、明示される特徴、整数、工程、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素、そのおよび/またはその群の存在や添加を妨げない。本明細書で使用されるように、用語「および/または」は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる組み合わせを含む。
【0020】
別段の定めのない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用されるように、数あるいは数の範囲に関連して用語「約」とは、明示された数とその数+/−10%、あるいはある範囲の列挙された値について列挙された下限の10%以下と列挙された10%以上を意味する。
【0022】
本明細書に記載された方法は、少なくとも1つのあらかじめ決められた基準核酸配列のあらかじめ決められた変異体を各々コードするオリゴ核酸のライブラリーの合成をもたらす。場合によっては、あらかじめ決められた基準配列はタンパク質をコードする核酸配列であり、変異体ライブラリーは、合成された核酸によってコードされたその後のタンパク質中の単一の残基の複数の様々な変異体が標準的な翻訳プロセスによって生成されるように、少なくとも1つのコドンの変異をコードする配列を含む。核酸配列の合成された特異的な変化は、ヌクレオチド変化を、重複または平滑端のオリゴ核酸プライマーに組み入れることにより導入可能である。代替的に、オリゴ核酸の母集団は、長い拡散(例えば、遺伝子)とその変異体を集団的にコードすることもある。この配置では、長い核酸(例えば遺伝子)とその変異体を形成するために、オリゴ核酸の母集団をハイブリダイズさせ、標準的な分子生物学技術に晒すことができる。長い核酸(例えば遺伝子)とその変異体が細胞中で発現される場合、異なるタンパク質ライブラリーが生成される。同様に、RNA配列(例えば、miRNA、shRNA、およびmRNA)あるいはDNA配列(例えば、エンハンサー、プロモーター、UTR、およびターミネーター領域)をコードする変異体ライブラリーの合成のための方法が本明細書で提供される。さらに、本明細書に記載される方法を用いて合成されたライブラリーから選択された変異体の下流の処理が本明細書で提供される。下流の処理は、例えば、生化学的な親和性、酵素活性、細胞活性の変化、および病状の治療または予防のための生物学的に関連する機能を増強させた、変異体核酸あるいはタンパク質配列の同定を含む。
【0024】
オリゴ核酸の変異体ライブラリーの合成のための第1のプロセスは、PCR突然変異誘発方法のためのものである。このワークフローでは、複数のオリゴ核酸が合成され、各オリゴ核酸は、基準核酸配列のあらかじめ決められた変異体である、あらかじめ決められた配列をコードする。
図1A−
図1Dで描かれた典型的なワークフローである図を参照すると、オリゴ核酸は表面上で生成される。
図1Aは、121の遺伝子座を備えた表面の単一のクラスターの拡大図を描く。
図1Bで描かれるそれぞれのオリゴ核酸は、変異体の長い核酸のライブラリー(
図1C)を生成するために基準核酸配列からの増幅に使用することができるプライマーである。変異体の長い核酸のライブラリーは、変異体RNAあるいはタンパク質ライブラリー(
図1D)を生成するために、その後、随意に転写および/または翻訳に晒される。この典型的な図では、実質的に平面の表面を有する装置は、オリゴ核酸のデノボ合成に使用される(
図1A)。いくつかの例では、装置は、遺伝子座のクラスターを含み、それぞれの遺伝子座はオリゴ核酸伸長のための部位である。いくつかの例では、単一のクラスターは、所望の変異体配列ライブラリーを生成するために必要とされるオリゴ核酸変異体をすべて含む。代替的な配置では、プレートは、クラスターへ分離されない遺伝子座の領域(a field of loci)を含む。
【0025】
本明細書に記載されたデノボ合成されたオリゴ核酸ライブラリーはは複数のオリゴ核酸を含むことがあり、各々は第1の位置、位置「X」で少なくとも1つの変異体配列を有し、各変異体オリゴ核酸は第1の伸長生成物を生成するためにPCRの第一ラウンドでプライマーとして使用される。この例において、第1のオリゴ核酸(220)中の位置「x」は、変異体コドン配列、つまり、基準配列からの19の可能性のある変異体の1つをコードする。
図2のAを参照する。第1のオリゴ核酸の配列に重複する配列を含む第2のオリゴ核酸(225)は、第2の伸長生成物を生成するためにPCRの別のラウンドでプライマーとして使用される。さらに、外部のプライマー(215、230)は、長い核酸配列からのフラグメントの増幅に使用されてもよい。結果として生じた増幅産物は長い核酸配列(235、240)のフラグメントである。
図2のBを参照する。その後、長い核酸配列(235、240)のフラグメントはハイブリダイズされ、長い核酸(245)の変異体を形成するために伸長反応に晒される。
図2のCを参照する。第1と第2の伸長生成物の重複する末端は、PCRの第2のラウンドのプライマーとして役立つこともあり、それによって、変異体を含む第3の伸長生成物(
図2D)を生成する。収率を増加させるために、長い核酸の変異体は、DNAポリメラーゼ、増幅試薬、外部のプライマー(215、230)を含む反応で増幅される。いくつかの例では、第2のオリゴ核酸は、変異体部位に隣接するがこれを含まない配列を含む。代替的な配置では、第2のオリゴ核酸と重複する領域を有する第1のオリゴ核酸が生成される。このシナリオでは、第1のオリゴ核酸は最大で19の変異体向けの単一のコドンで変異により合成される。第2のオリゴ核酸は変異体配列を含まない。随意に、第1の母集団は第1のオリゴ核酸変異体と、異なるコドン部位の変異体をコードする追加のオリゴ核酸とを含む。代替的に、第1のオリゴ核酸と第2のオリゴ核酸は平滑末端ライゲーションのために設計されてもよい。
【0026】
代替的な突然変異誘発では、PCR方法が
図3のA−Fで描かれる。こうしたプロセスでは、第1、第2の鎖(305、310)を含む鋳型核酸分子(300)は、第1のプライマー(315)と第2のプライマー(320)(
図3A)を抑えるPCR反応で増幅される。増幅反応はヌクレオチド試薬としてウラシルを含む。ウラシルで標識された伸長生成物(325)(
図3のB)が生成され、随意に精製され、第1の伸長生成物(340と345)(
図3のC−D)を生成するために第1のオリゴ核酸335と複数の第2のオリゴ核酸(330)を使用する後のPCR反応のための鋳型として役立つ。このプロセスでは、複数の第2のオリゴ核酸(330)は、変異体配列(
図3のCではX、Y、およびZとして描かれる)をコードするオリゴ核酸を含む。ウラシルで標識された鋳型核酸は、ウラシルに特異的な切除試薬(例えば、New England Biolabsから市販されているUSER digest)により消化される。変異体335と、変異体X、Y、およびZを備える様々なコドン(330)が加えられ、
図3Dを生成するために限定的なPCR工程が行われる。ウラシルを含有する鋳型が消化された後、伸長生成物の重複する末端はPCR反応を刺激する役目を果たし、第1の伸長生成物(340と345)は第1の外部のプライマー(350)と第2の外部のプライマー(355)と組み合わされてプライマーとして作用し、それによって、変異体部位
図3Fで複数の変異体X、Y、およびZを含む核酸分子(360)のライブラリーを生成する。
【0027】
長い核酸の変異体と非変異体の部分を備えた母集団のデノボ合成
【0028】
変異体ライブラリーの合成のための第2のプロセスにおいて、表面は長い核酸の複数のフラグメントのデノボ合成に使用され、フラグメントの少なくとも1つは複数のバージョンで合成され、それぞれのバージョンは異なる変異体配列である。この配置では、変異体長距離(long range)核酸のライブラリーを組み立てるために必要とされるフラグメントのすべてが、デノボ合成される。合成されたフラグメントは重複する配列を有することがあり、合成後、フラグメントライブラリーはハイブリダイゼーションに晒される。ハイブリダイゼーションに続いて、伸長反応はどんな相補的なギャップも埋めるために行なわれることがある。
【0029】
代替的に、合成されたフラグメントはプライマーで増幅され、その後、平滑末端ライゲーションあるいは重複ハイブリダイゼーションのいずれかに晒されることもある。いくつかの例では、装置は、遺伝子座のクラスターを含み、それぞれの遺伝子座はオリゴ核酸伸長のための部位である。いくつかの例では、単一のクラスターは、所望の変異体核酸配列ライブラリーを生成するために、あらかじめ決められた長い核酸のすべてのオリゴ核酸変異体と他のフラグメント配列を含む。クラスターは約50〜500の遺伝子座を含むことがある。いくつかの配置では、クラスターは、500を超える遺伝子座を含む。
【0030】
第1のオリゴ核酸母集団中のそれぞれのオリゴ核酸は、クラスターの別々の個々にアドレス(addressable)可能な遺伝子座の上で生成されることがある。1つのオリゴ核酸変異体は複数の個々にアドレス可能な遺伝子座によって表されることがある。第1のオリゴ核酸母集団中のそれぞれの変異体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、あるいはそれ以上の回数で表されることもある。いくつかの例では、第1のオリゴ核酸母集団中のそれぞれの変異体は3つ以下の遺伝子座で表される。いくつかの例では、第1のオリゴ核酸母集団中のそれぞれの変異体は2つの遺伝子座で表される。いくつかの例では、第1のオリゴ核酸母集団中のそれぞれの変異体は単一の遺伝子座だけで表される。
【0031】
冗長性を減少させた核酸ライブラリーを生成する方法が本明細書で提供される。いくつかの例では、変異体オリゴヌクレオチドは、所望の変異体オリゴヌクレオチドを得るために、1回を超える回数、変異体オリゴヌクレオチドを合成する必要なく、生成されることがある。いくつかの例では、本開示は、所望の変異体オリゴヌクレオチドを生成するために、1、2、3、4、5回を超える回数、6、7、8、9、10、またはそれ以上の回数、変異体オリゴヌクレオチドを合成する必要なく、変異体オリゴヌクレオチドを生成する方法を提供する。
【0032】
変異体オリゴヌクレオチドは、所望の変異体オリゴヌクレオチドを得るために、1を超える別々の部位で変異体オリゴヌクレオチドを合成する必要なく、生成されることがある。本開示は、所望の変異体オリゴヌクレオチドを生成するために、1つの部位、2つの部位、3つの部位、4つの部位、5つの部位、6つの部位、7つの部位、8つの部位、9つの部位、あるいは10の部位を超える部位で変異体オリゴヌクレオチドを合成する必要なく、変異体オリゴヌクレオチドを生成する方法を提供する。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドは、せいぜい6、5、4、3、2、あるいは1つの別々の部位で合成される。同じオリゴヌクレオチドは、表面上の1、2、あるいは3つの別々の遺伝子座で合成されることがある。
【0033】
いくつかの例では、単一の変異体オリゴヌクレオチドを表す遺伝子座の量は、下流の処理(例えば増幅反応または細胞のアッセイ)に必要な核酸材料の量に応じる。いくつかの例では、単一の変異体オリゴヌクレオチドを表す遺伝子座の量は、単一のクラスター中の利用可能な遺伝子座に応じる。
【0034】
基準核酸中の複数の部位で異なる変異体オリゴ核酸を含むオリゴ核酸のライブラリーの生成のための方法が本明細書で提供される。そのような場合、それぞれの変異体ライブラリーは遺伝子座のクラスター内の個々にアドレス可能な遺伝子座で生成される。オリゴ核酸ライブラリーによって表される変異体部位の数は、クラスター中の個々にアドレス可能な遺伝子座の数と各部位における所望の変異体の数とによって決定されることが理解されよう。いくつかの例では、それぞれのクラスターは約50〜500の遺伝子座を含む。いくつかの例では、それぞれのクラスターは100〜150の遺伝子座を含む。
【0035】
典型的な配置では、19の変異体は、19の可能性のある変異体アミノ酸の各々をコードする変異体部位の対応するコドンで表される。別の典型的な場合では、61の変異体は、19の可能性のある変異体アミノ酸の各々をコードする変異体部位の対応するトリプレットで表される。非限定的な例において、クラスターは121の個々にアドレス可能な遺伝子座を含む。この例において、オリゴ核酸母集団は、6つの複製物(単一部位変異体の各々(6の複製物x1の変異体部位x19の変異体=114遺伝子座)、3つの複製物(二重部位変異体の各々(3の複製物x2変異体部位x19の変異体=114遺伝子座)、2つの複製物(三重部位変異体(2の複製物x3の変異体部位x19の変異体=114遺伝子座)を含む。いくつかの例では、オリゴ核酸母集団は、4、5、6、あるいは6を超える変異体部位で変異体を含む。
【0037】
本明細書に記載された変異体オリゴ核酸ライブラリーは複数のオリゴ核酸を含み、それぞれのオリゴ核酸は、基準核酸配列と比較して、変異体コドン配列をコードする。いくつかの例では、第1のオリゴ核酸母集団のそれぞれのオリゴ核酸は単一の変異体部位で変異体を含む。いくつかの例では、第1のオリゴ核酸母集団は、同じ変異体部位で1つを超える変異体を含むように、単一の変異体部位で複数の変異体を含む。第1のオリゴ核酸母集団は、同じ変異体部位で複数のコドン変異体を集団的にコードするオリゴ核酸を含むことがある。第1のオリゴ核酸母集団は、同じ位置で最大で19以上のコドンを集団的にコードするオリゴ核酸を含むことがある。第1のオリゴ核酸母集団は、同じ位置で最大で60変異体トリプレットを集団的にコードするオリゴ核酸を含むことがあり、あるいは、第1のオリゴ核酸母集団は、同じ位置で最大で61のコドンの異なるトリプレットを集団的にコードするオリゴ核酸を含むことがある。それぞれの変異体は翻訳中に異なるアミノ酸をもたらすコドンをコードすることがある。表1は、異なる部位にとって可能性のあるそれぞれのコドン(と代表的なアミノ酸)のリストを提供する。
【0039】
オリゴ核酸母集団は、複数の位置で最大で20のコドン変異を集団的にコードする様々なオリゴ核酸を含むことがある。このような場合、母集団中のそれぞれのオリゴ核酸は、同じオリゴ核酸中の1つを超える位置でのコドンの変異を含む。いくつかの例では、母集団中のオリゴ核酸はそれぞれ、単一のオリゴ核酸中の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のコドンでのコドンの変異を含む。いくつかの例では、それぞれの変異体の長い核酸は、単一の長い核酸中の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、またはそれ以上のコドンにおけるコドンの変異を含む。いくつかの例では、変異体オリゴ核酸母集団は、単一のオリゴ核酸中の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、またはそれ以上のコドンにおけるコドンの変異を含む。いくつかの例では、変異体オリゴ核酸母集団は、単一のオリゴ核酸中の少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上のコドンにおけるコドンの変異を含む。
【0040】
本明細書では、第2のオリゴ核酸母集団が複数の個々にアドレス可能な遺伝子座を含む第2のクラスター上で生成されるプロセスが提供される。第2のオリゴ核酸母集団は、各コドン位置には一定である(つまり、各位置で同じアミノ酸をコードする)、複数の第2のオリゴ核酸を含むことがある。第2のオリゴ核酸は第1のオリゴ核酸の少なくとも一部で重複することがある。いくつかの例では、第2のオリゴ核酸は、第1のオリゴ核酸上で表される変異体部位を含まない。代替的に、第2のオリゴ核酸母集団は1つ以上のコドン位置について異なる複数の第2のオリゴ核酸を含むことがある。
【0041】
オリゴ核酸のライブラリーを合成する方法が本明細書で提供され、オリゴ核酸の単一の母集団は複数のコドン位置に変異体を含んで生成される。第1のオリゴ核酸母集団は複数の個々にアドレス可能な遺伝子座を含む第1のクラスター上で生成されることがある。そのような場合、第1のオリゴ核酸母集団は異なるコドン位置で変異体を含む。いくつかの例では、様々な部位は連続的である(つまり、連続するアミノ酸をコードする)。第1のオリゴヌクレオチド酸母集団は、同じまたは追加の変異体部位で最大で19のコドン変異体を集団的にコードする様々なオリゴ核酸を含んでもよい。第1のオリゴヌクレオチド酸母集団は、位置xで最大で19の変異体を、位置yで最大で19の変異体を、および位置zで最大で19の変異体を含む、複数の第1のオリゴ核酸を含んでもよい。このような配置では、最大で19のアミノ酸変異体が様々な変異体部位の各々でコードされるように、変異体はそれぞれ異なるアミノ酸をコードする。追加の例では、第2のオリゴ核酸母集団は複数の個々にアドレス可能な遺伝子座を含む第2のクラスター上で生成される。第2のオリゴ核酸母集団は、各コドン位置について一定である(つまり、各位置で同じアミノ酸をコードする)、複数の第2のオリゴ核酸を含むことがある。第2のオリゴ核酸は第1のオリゴ核酸の少なくとも一部と重複することがある。第2のオリゴ核酸は、第1のオリゴ核酸上で表された変異体部位を含まないことがある。
【0042】
本明細書に記載されたプロセスによって生成された変異体核酸ライブラリーは、変異体タンパク質ライブラリーの生成をもたらす。第1の典型的な配置では、鋳型オリゴ核酸は、転写および翻訳時に、単一の円によって示される多くのコドン位置を有する基準アミノ酸配列(
図4のA)をもたらす配列をコードする。鋳型のオリゴ核酸変異体は本明細書に記載された方法を用いて生成可能である。いくつかの例では、単一の変異体は単一のアミノ酸配列(
図4のB)をもたらすオリゴ核酸の中にある。いくつかの例では、1つを超える変異体はオリゴ核酸の中にあり、変異体は1つ以上のコドンによって分離され、変異体残基の間に間隔をおいたタンパク質をもたらす(
図4のC)。いくつかの例では、1つを超える変異体はオリゴ核酸の中にあり、変異体は連続し、かつ互いに対して隣接するか、連続的であり、残基の間隔をおいた変異体の伸長をもたらす(
図4のD)。いくつかの例では、2つの一続きの変異体はオリゴ核酸の中にあり、それぞれの一続きの変異体は連続し、隣接する、または連続的な変異体を含む(
図4のE)。
【0043】
オリゴ核酸変異体のライブラリーを生成する方法が本明細書で提供され、それぞれの変異体は単一の位置コドン変異体を含む。1つの例では、鋳型オリゴ核酸は多くのコドン位置を有し、典型的なアミノ酸残基はそれぞれの1文字のコードタンパク質コドンを用いて円によって示されている(
図5のA)。
図5のBは、変異体核酸のライブラリーによってコードされたアミノ酸変異体のライブラリーを描いており、各変異体は、異なる一つの部位に位置し、「X」によって示される、単一の位置変異体を含む。第1の位置変異体は、アラニンを交換するための任意のコドン、トリプトファンを交換するために変異体核酸のライブラリーによってコードされた任意のコドンを有する第2の変異体、イソロイシンを交換するために任意のコドンを有する第3の変異体、リジンを交換するために任意のコドンを有する第4の変異体、アルギニンを交換するために任意のコドンを有する第5の変異体、グルタミン酸を交換するために任意のコドンを有する第6の変異体、およびグルタミンを交換するために任意のコドンを有する第7の変異体を有する。すべての、あるいは、すべてよりも少ないコドン変異体が変異体核酸ライブラリーによってコードされ、結果として生じるアミノ酸配列変異体の対応する母集団は、タンパク質発現後(つまり、DNA転写の標準的な細胞的事象と、その後の翻訳と処理の事象)に生成される。
【0044】
いくつかの配置では、ライブラリーは単一の位置変異体の複数の部位で生成される。
図6のAで描かれるように、野生型の鋳型が提供される。
図6のBは、単一の位置コドン変異体の2つの部位を有する結果として生じたアミノ酸配列を描いており、異なるアミノ酸をコードする各コドン変異体は異なる模様のある円によって示されている。
【0045】
本明細書では、多くの部位、単一の位置変異体を有するライブラリーを生成する方法である。それぞれの一続きのオリゴ核酸は1、2、3、4、5、またはそれ以上の変異体を有することがある。それぞれの一続きのオリゴ核酸は少なくとも1つの変異体を有することがある。それぞれの一続きのオリゴ核酸は少なくとも2つの変異体を有することがある。それぞれの一続きのオリゴ核酸は少なくとも3つの変異体を有することがある。例えば、一続きの5つのオリゴ核酸は1つの変異体を有することがある。一続きの5つのオリゴ核酸は2つの変異体を有することがある。一続きの5つのオリゴ核酸は3つの変異体を有することがある。一続きの5つのオリゴ核酸は4つの変異体を有することがある。例えば、一続きの4つのオリゴ核酸は1つの変異体を有することがある。一続きの4つのオリゴ核酸は2つの変異体を有することがある。一続きの4つのオリゴ核酸は3つの変異体を有することがある。一続きの4つのオリゴ核酸は4つの変異体を有することがある。
【0046】
幾つかの事例では、単一の位置変異体はすべて、同じアミノ酸、例えばヒスチジンをコードし得る。
図7のAに示されるように、基準アミノ酸配列が提供される。この配置では、一続きのオリゴ核酸は、単一の位置変異体の複数の部位をコードし、発現されたときに、結果として、すべての単一の位置変異体を有するアミノ酸配列は、ヒスチジンをコードすることになる(
図7のB)。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される方法によって合成された変異体ライブラリーは、結果として生じたアミノ酸配列において4つを超えるヒスチジン残基をコードしない。
【0047】
幾つかの事例では、本明細書に記載される方法によって生成された核酸の変異体ライブラリーは、別々の一続きの変異を有するアミノ酸配列の発現を提供する。鋳型アミノ酸配列は
図8のAに示される。一続きのオリゴ核酸は、二続きでは1つのみの変異体コドンを有し得、発現されたときに、結果として、
図8のBに示されるアミノ酸配列をもたらす。アミノ酸における変異が、一続きでは異なる位置にあることを示すために、異なってパターン化する円によって
図8のBに変異体が示される。
【0048】
本明細書には、オリゴ核酸ライブラリーを1、2、3、またはそれ以上のコドン変異体と合成するための方法および装置が提供され、ここで各部位に対する変異体は選択的に制御される。単一の部位変異体に対する2つのアミノ酸の比率は、約1:100、1:50、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1であり得る。単一の部位変異体に対する3つのアミノ酸の比率は、約1:1:100、1:1:50、1:1:20、1:1:10、1:1:5、1:1:3、1:1:2、1:1:1、1:10:10、1:5:5、1:3:3、または1:2:2であり得る。
図9のAは、野生型の核酸配列によってコードされた野生型の基準アミノ酸配列を示す。
図9のBは、アミノ酸変異体のライブラリーを示し、ここで、各変異体は一続きの配列を含み(パターン化された円によって示される)、各位置は、結果として生じた変異体タンパク質ライブラリーにおいてアミノ酸の特定の比率を有し得る。結果として生じた変異体タンパク質ライブラリーは、本明細書に記載される方法によって生成された変異体核酸ライブラリーによってコードされる。この例証では、5つの位置が変えられる:第1の位置(900)は50/50のK/R比率を有し;第2の位置(910)は50/25/25のV/L/S比率を有し、第3の位置(920)は50/25/25のY/R/D比率を有し、第4の位置(930)は20のアミノ酸すべてに対する等しい比率を有し、および第5の位置(940)はG/Pに対する75/25の比率を有する。本明細書に記載される比率は単なる例である。
【0049】
幾つかの事例では、合成された変異体ライブラリーが生成され、これは、タンパク質のアミノ酸配列に最終的に翻訳される核酸配列をコードする。典型的に、アミノ酸配列は、含む、小さなペプチドの他に大きなペプチドの少なくとも一部もコードする配列、例えば抗体配列を含む。幾つかの事例では、各々が合成されたオリゴ核酸は、抗体配列の一部において変異体コドンをコードする。変異体により合成されたオリゴ核酸の一部がコードする典型的な抗体配列は、抗原結合領域またはその可変領域、またはそれらのフラグメントを含む。本明細書に記載されるオリゴ核酸が一部をコードする実例となる抗体フラグメントは、限定することなく、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvのフラグメント、二重特異性抗体、線状抗体、単鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含む。本明細書に記載されるオリゴ核酸が一部をコードする実例となる抗体領域は、限定することなく、Fc領域、Fab領域、Fab領域の可変領域、Fab領域の定常領域、重鎖または軽鎖の可変ドメイン(V
HまたはV
L)、あるいはV
HまたはV
Lの特異的な相補性決定領域(CDR)を含む。本明細書に開示される方法によって生成された変異体ライブラリーは、本明細書に記載される抗体領域の1つ以上の変異をもたらし得る。1つの典型的なプロセスでは、変異体ライブラリーは、幾つかのCDRをコードするする核酸のために生成される。
図10を参照。CDR1 1010、CDR2 1020、およびCDR3 1030の領域を有する抗体をコードする鋳型核酸は、本明細書に記載される方法によって修飾され、ここでCDR領域はそれぞれ、変異のための複数の部位を含む。重鎖または軽鎖の単一の可変ドメインにおける3つのCDR 1015、1025、および1035の各々に対する変異が生成される。☆によって示される各部位は、鋳型オリゴ核酸配列とは異なるコドン配列と交換可能である、単一の位置、一続きの複数の連続する位置、またはその両方を含んでもよい。変異体ライブラリーの多様性は、本明細書に提供される方法を使用して、〜10
10まで、またはそれ以上劇的に増大し得る。
【0050】
<発現カセットにおける変異>
幾つかの事例では、合成された変異体ライブラリーが生成され、これは、発現構築物の一部をコードする。発現構築物の典型的な部分は、プロモーター、オープンリーディングフレーム、および終端領域を含む。幾つかの事例では、発現構築物は、1、2、3またはそれ以上の発現カセットをコードする。オリゴヌクレオチドライブラリーが生成され、これは、
図11に示されるように、発現構築物カセットの部分を構成する、生成するかもしれない、単一の部位または複数の部位の別々の領域でコドン変異をコードする。2つの構築物を発現するカセットを生成するために、変異体オリゴ核酸は合成され、これは、第1のプロモーター(1110)、第1のオープンリーディングフレーム(1120)、第1のターミネーター(1130)、第2のプロモーター(1140)、第2のオープンリーディングフレーム(1150)、または第2のターミネーター配列(1160)の変異体配列の少なくとも一部をコードする。増幅のラウンド後に、前の例において記載されるように、1,024の発現構築物のライブラリーが生成された。
図11は一例の配置を提供する。幾つかの事例では、非翻訳制御領域(UTR)またはエンハンサー領域などの、追加の制御配列(regulator sequences)も、本明細書で言及される発現カセットに含まれる。発現カセットは、本明細書に記載される方法によって変異体配列が生成される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の構成要素を含んでもよい。幾つかの事例では、発現構築物は、マルチシストロン性(multicistronic)ベクターに1つを超える遺伝子を含む。一例では、合成されたDNAのオリゴ核酸は、ウイルスベクター(例えばレンチウイルス)へと挿入され、その後、細胞への形質導入のためにパッケージ化されるか、または細胞への移動のために非ウイルスベクターへと挿入され、その後、スクリーニングおよび分析される。
【0051】
本明細書に開示される核酸を挿入するための発現ベクターは、真核ベクター(eukaryotic)(例えば、細菌性および真菌性)および原核ベクター(prokaryotic)(例えば、哺乳動物、植物および昆虫の発現ベクター)を含む。典型的な発現ベクターは、限定することなく、哺乳動物の発現ベクター:pSF−CMV−NEO−NH2−PPT−3XFLAG、pSF−CMV−NEO−COOH−3XFLAG、pSF−CMV−PURO−NH2−GST−TEV、pSF−OXB20−COOH−TEV−FLAG(R)−6His、pCEP4 pDEST27、pSF−CMV−Ub−KrYFP、pSF−CMV−FMDV−daGFP、pEF1a−mCherry−N1 Vector、pEF1a−tdTomato Vector、pSF−CMV−FMDV−Hygro、pSF−CMV−PGK−Puro、pMCP−tag(m)、およびpSF−CMV−PURO−NH2−CMYC;細菌性の発現ベクター:pSF−OXB20−BetaGal、pSF−OXB20−Fluc、pSF−OXB20、およびpSF−Tac;植物の発現ベクター:pRI 101−AN DNAおよびpCambia2301;および酵母発現ベクター:pTYB21およびpKLAC2、および昆虫のベクター:pAc5.1/V5−His AおよびpDEST8を含む。典型的な細胞は、限定することなく、原核細胞および真核細胞を含む。典型的な真核細胞は、限定することなく、動物、植物および真菌の細胞を含む。典型的な動物細胞は、限定することなく、昆虫、魚および哺乳動物の細胞を含む。典型的な哺乳動物細胞は、マウス、ヒト、および霊長類の細胞を含む。本明細書に記載される方法によって合成された核酸は、細胞へと移され、これは、限定することなく、トランスフェクション、形質導入、およびエレクトロポレーションを含む、当該技術分野において既知の様々な方法によって行われる。試験される典型的な細胞機能は、限定することなく、細胞増殖における変化、遊走/接着、代謝活性、および細胞シグナル伝達活性を含む。
【0052】
<非常に並列な核酸合成>
本明細書には、革新的な合成プラットフォームを作るために、シリコン上のナノウェル内のオリゴ核酸合成から遺伝子アセンブリへの末端間プロセスの小型化、並列化、および垂直的統合を利用するプラットフォームアプローチが提供される。本明細書に記載される装置は、96ウェルのプレートと同じフットプリントを提供し、シリコン合成プラットフォームは、従来の合成方法と比較して、1,000倍まで又はそれ以上スループットを増加させることができ、単一の高度に並列されたラン(run)で、およそ1,000,000まで又はそれ以上のオリゴ核酸、または10,000またはそれ以上の遺伝子を産生することができる。
【0053】
次世代配列決定の出現で、高解像度のゲノムデータは、正常な生態および病因両方において様々な遺伝子の生物学的役割を深く探究する研究に対する重要な因子となった。この研究の中心となるのは、分子生物学のセントラルドグマおよび「順次情報の残基ごとの移動」の概念である。DNAにおいてコードされたゲノム情報は、メッセージへと転写され、これはその後、与えられた生物学的経路内の活性産物であるタンパク質へと翻訳される。
【0054】
研究の別の刺激的な領域は、高特異的な細胞標的に焦点を置いた治療用分子の発見、開発および製造に関するものである。高い多様性のDNA配列ライブラリーは、標的とされた治療薬のための開発パイプラインの中心にある。治療標的に対して高い親和性を有するタンパク質の高い発現のために理想的には遺伝子の最適化に達する、設計、構造および試験のタンパク質工学サイクルにおいてタンパク質を発現するために、遺伝子突然変異体が使用される。一例として、受容体の結合ポケットを考察されたい。結合ポケット内ですべての残基のすべての配列の並べ替えを同時に試験する能力によって、徹底的な診査が可能になり、成功の可能性が増大する。研究者が受容体内の特定部位であらゆる可能な突然変異を発生させる試みを行う、飽和突然変異誘発は、この開発課題に対する1つの手段を表わす。高価であり、時間および労働集約的ではあるが、これによって、各変異体を各位置へと導入することができる。対照的に、少数の選択位置または短い一続きのDNAが広範囲に修飾され得る、組み合わせの突然変異誘発は、偏った提示(biased representation)で変異体の不完全なレパートリーを発生させる。
【0055】
薬物開発のパイプラインを促進するために、試験に利用可能な正しい位置において意図した頻度で利用可能な望ましい変異体を有するライブラリー、言い換えれば、高精度ライブラリー(precision library)は、コストの削減に加えて、スクリーニングの所要移管の短縮も可能にする。本明細書には、望ましい頻度で各々の意図した変異体の正確な導入をもたらすオリゴ核酸合成の変異体ライブラリーを合成する方法が提供される。エンドユーザーにとって、これは、配列空間を徹底的にサンプリングするだけでなく、効率的な方法でこれらの仮説を問うことができる能力に翻訳され、コストおよびスクリーニング時間を削減する。ゲノム全体の編集は、重要な経路、各変異体および配列の並べ替えが最適な機能性に関して試験され得るライブラリーを解明することができ、全経路を再構築するために何千もの遺伝子を使用することができ、創薬のための生物系を再設計するためにゲノムを使用することができる。
【0056】
第1の実施例では、薬物自体は、本明細書に記載される方法を使用して最適化され得る。例えば、抗体の指定された機能を改善するために、抗体の一部をコードする変異体オリゴ核酸ライブラリーが設計され、合成される。その後、抗体に対する変異体核酸ライブラリーが、本明細書に記載されるプロセス(例えば、PCR突然変異誘発に続くベクターへの挿入)によって生成され得る。その後、抗体は、生産細胞株(production cell line)において発現され、活性の増強のためにスクリーニングされる。スクリーニングの例は、抗原に対する結合親和性、安定性、またはエフェクター機能(例えば、ADCC、補体、またはアポトーシス)の調節を検査することを含む。抗体を最適化する典型的な領域は、限定することなく、Fc領域、Fab領域、Fab領域の可変領域、Fab領域の定常領域、重鎖または軽鎖の可変ドメイン(V
HまたはV
L)、およびV
HまたはV
Lの特異的な相補性決定領域(CDR)を含む。
【0057】
代替的に、最適化するための分子は、活性化剤または競合的阻害剤として使用される受容体結合エピトープである。核酸の変異体ライブラリーの合成に続いて、核酸の変異体ライブラリーは、ベクター配列へと挿入され、その後、細胞において発現され得る。受容体抗原は、細胞(例えば、昆虫細胞、哺乳動物細胞または細菌細胞)において発現され、その後、精製され得るか、または配列の変更からの機能的な結果を検査するために細胞(例えば哺乳動物細胞)において発現され得る。機能的な結果は、限定することなく、タンパク質発現、結合親和性および安定性の変化を含む。細胞の機能的な結果は、限定することなく、繁殖、成長、接着、死亡、遊走、エネルギー産生、酸素利用、代謝活性、細胞シグナル伝達、老化、遊離基損傷に対する反応、またはそれらの任意の組み合わせの変化を含む。幾つかの実施形態では、最適化のために選択されるタンパク質のタイプは、酵素、輸送タンパク質、Gタンパク質共役型受容体、電位型イオンチャネル、転写因子、ポリメラーゼ、アダプタータンパク質(酵素活性のないタンパク質、2つの他のタンパク質を一緒に集める働き)、および細胞骨格タンパク質である。酵素の典型的なタイプは、限定することなく、シグナル伝達酵素(タンパク質キナーゼ、タンパク質フォスファターゼ、ホスホジエステラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、およびGTPアーゼなど)を含む。
【0058】
本明細書には、全経路または全ゲノムに関与する分子のための変異体を含む変異体核酸ライブラリーが提供される。典型的な経路は、限定することなく、代謝、細胞死、細胞周期進行、免疫細胞活性化、炎症反応、血管新生、リンパ球新生、低酸素ストレス応答、酸化ストレス応答、または細胞接着/遊走の経路を含む。細胞死の経路における典型的なタンパク質は、限定することなく、Fas、Cadd、カスパーゼ(Caspase)3、カスパーゼ6、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、IAP、TNFR1、TNF、TNFR2、NF−kB、TRAF、ASK、BAD、およびAktを含む。細胞周期の経路における典型的なタンパク質は、限定することなく、NFkB、E2F、Rb、p53、p21、サイクリンA、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、およびcdc 25を含む。細胞遊走の経路における典型的なタンパク質は、限定することなく、Ras、Raf、PLC、コフィリン、MEK、ERK、MLP、LIMK、ROCK、RhoA、Src、Rac、Myosin II、ARP2/3、MAPK、PIP2、インテグリン、タリン、キンドリン(kindlin)、ミグフィリン(migfilin)およびフィラミンを含む。
【0059】
本明細書に記載される方法によって合成された核酸ライブラリーは、様々な細胞タイプにおいて発現され得る。典型的な細胞タイプは、原核細胞(例えば、細菌細胞および真菌細胞)および真核細胞(例えば、植物細胞および動物細胞)を含む。典型的な動物は、限定することなく、マウス、ウサギ、霊長類、魚、および昆虫を含む。典型的な植物は、限定することなく、単子葉植物および双子葉植物を含む。典型的な植物はまた、限定することなく、微細藻類、ケルプ、シアノバクテリア、および緑藻類、褐藻類、および紅藻類、小麦、タバコ、およびトウモロコシ、米、綿、野菜、および果実を含む。
【0060】
本明細書に記載される方法によって合成された核酸ライブラリーは、疾患状態に関連付けられた様々な細胞において発現され得る。疾患状態に関連付けられた細胞は、被験体からの細胞株、組織サンプル、初代細胞、被験体からの増殖された培養細胞、またはモデル系における細胞を含む。典型的なモデル系は、限定することなく、疾患状態の植物および動物のモデルを含む。
【0061】
本明細書に記載される方法によって合成された核酸ライブラリーは、様々な細胞タイプにおいて発現され得、細胞活性における変化が評価される。典型的な細胞活性は、限定することなく、増殖、周期進行、細胞死、接着、遊走、繁殖、細胞シグナル伝達、エネルギー産生、酸素利用、代謝活性、および老化、遊離基損傷に対する反応、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0062】
疾患状態の予防、低減または処置に関連付けられた変異体分子を特定するために、本明細書に記載される変異体核酸ライブラリーが、疾患状態に関連付けられた細胞または疾患状態が誘発され得る細胞において発現される。幾つかの事例では、細胞において疾患状態を誘発するために薬剤が使用される。疾患状態の誘発のための典型的なツールは、限定することなく、Cre/Lox組換え系、LPS炎症誘発、および低血糖症を誘発するストレプトゾトシンを含む。疾患状態に関連付けられた細胞は、モデル系からの細胞または培養細胞の他に、特定の病状を有する被験体からの細胞であり得る。典型的な病状は、細菌性、真菌性、ウイルス性、自己免疫性、増殖性の障害(例えば癌)を含む。幾つかの事例では、変異体核酸ライブラリーは、モデル系、細胞株、または被験体由来の初代細胞において発現され、少なくとも1つの細胞活性における変化のためにスクリーニングされる。典型的な細胞活性は、限定することなく、増殖、周期進行、細胞死、接着、遊走、繁殖、細胞シグナル伝達、エネルギー産生、酸素利用、代謝活性、および老化、遊離基損傷に対する反応、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0063】
<基質>
本明細書には、複数のクラスターを含む基質が提供され、ここでクラスターはそれぞれ、オリゴ核酸の付着および合成を支持する複数の遺伝子座を含む。本明細書で使用されるような用語「遺伝子座」は、表面から伸長する単一の予め決められた配列をコードするオリゴヌクレオチドに対する支持をする構造上の離散的領域を指す。幾つかの事例では、遺伝子座は、二次元表面、例えば、実質的に平らな表面上にある。幾つかの事例では、遺伝子座は、表面上の離散的な隆起した又は沈降した部位、例えば、ウェル、マイクロウェル、チャネル、またはポストを指す。幾つかの事例では、遺伝子座の表面は、オリゴ核酸合成のための少なくとも1つのヌクレオチド、または好ましくは、オリゴ核酸の集団の合成のための同一のヌクレオチドの集団に付着するために活発に官能基化される物質を含む。幾つかの事例では、オリゴ核酸は、同じ核酸配列をコードするするオリゴ核酸の集団を指す。幾つかの事例では、装置の表面は、基質の1つまたは複数の表面を包含する。
【0064】
提供されるシステムおよび方法を使用してライブラリー内で合成されたオリゴ核酸に対する平均エラー率は、1000で1未満、1250で1未満、1500で1未満、2000で1未満で、3000で1未満であるか、または頻度は低い。幾つかの事例では、提供されるシステムおよび方法を使用してライブラリー内で合成されたオリゴ核酸に対する平均エラー率は、1/500、1/600、1/700、1/800、1/900、1/1000、1/1100、1/1200、1/1250、1/1300、1/1400、1/1500、1/1600、1/1700、1/1800、1/1900、1/2000、1/3000未満であるか、またはそれより低い。幾つかの事例では、提供されるシステムおよび方法を使用してライブラリー内で合成されたオリゴ核酸に対する平均エラー率は、1/1000未満である。
【0065】
幾つかの事例では、提供されるシステムおよび方法を使用してライブラリー内で合成されたオリゴ核酸に対する総エラー率は、予め決められた配列と比較して、1/500、1/600、1/700、1/800、1/900、1/1000、1/1100、1/1200、1/1250、1/1300、1/1400、1/1500、1/1600、1/1700、1/1800、1/1900、1/2000、1/3000未満であるか、またはそれより低い。幾つかの事例では、提供されるシステムおよび方法を使用してライブラリー内で合成されたオリゴ核酸に対する総エラー率は、1/500、1/600、1/700、1/800、1/900、または1/1000未満である。幾つかの事例では、提供されるシステムおよび方法を使用してライブラリー内で合成されたオリゴ核酸に対する総エラー率は、1/1000未満である。
【0066】
幾つかの事例では、エラー補正酵素が、使用することができる提供される方法およびシステムを使用してライブラリー内で合成されたオリゴ核酸に使用され得る。幾つかの事例では、エラー補正を有するオリゴ核酸に対する総エラー率は、予め決められた配列と比較して、1/500、1/600、1/700、1/800、1/900、1/1000、1/1100、1/1200、1/1300、1/1400、1/1500、1/1600、1/1700、1/1800、1/1900、1/2000、1/3000未満、またはそれ以下であり得る。幾つかの事例では、提供されるシステムおよび方法を使用してライブラリー内で合成されたオリゴ核酸に対するエラー補正を有する総エラー率は、1/500、1/600、1/700、1/800、1/900、または1/1000未満であり得る。幾つかの事例では、提供されるシステムおよび方法を使用してライブラリー内で合成されたオリゴ核酸に対するエラー補正を有する総エラー率は、1/1000未満であり得る。
【0067】
エラー率は、遺伝子変異体のライブラリーの産生のための遺伝子合成の値を制限し得る。1/300のエラー率では、1500の塩基対遺伝子におけるクローンの約0.7%は正しくなる。オリゴヌクレオチド合成からのエラーのほとんどが、結果としてフレームシフト突然変異をもたらすため、そのようなライブラリーにおけるクローンの99%以上が、全長タンパク質を生成しない。エラー率を75%低下させることによって、正しいクローンの画分は40倍増加するだろう。本開示の方法および組成物は、超並列および時間効率の良い方法で可能になる合成の質の改善およびエラー補正方法の適用性の両方が要因で、一般に観察される遺伝子合成方法よりも低いエラー率での大規模なオリゴヌクレオチドおよび遺伝子のライブラリーの速いデノボ合成を可能にする。したがって、ライブラリーは、ライブラリー全体にわたって、またはライブラリーの80%、85%、90%、93%、95%、96%、97%、98% 99% 99.5% 99.8% 99.9% 99.95% 99.98% 99.99%、またはそれ以上にわたって、塩基の挿入、欠失、置換、あるいは1/300、1/400、1/500、1/600、1/700、1/800、1/900、1/1000、1/1250、1/1500、1/2000、1/2500、1/3000、1/4000、1/5000、1/6000、1/7000、1/8000、1/9000、1/10000、1/12000、1/15000、1/20000、1/25000、1/30000、1/40000、1/50000、1/60000、1/70000、1/80000、1/90000、1/100000、1/125000、1/150000、1/200000、1/300000、1/400000、1/500000、1/600000、1/700000、1/800000、1/900000、1/1000000未満、またはそれ以下である合計のエラー率で合成され得る。本開示の方法および組成物はさらに、予め決められた/予め選択された配列と比較して、エラーのない配列に関連するライブラリーの少なくともサブセットにおいて、オリゴヌクレオチドまたは遺伝子の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、99.95%、99.98%、99.99%、またはそれ以上に関連付けられた低いエラー率での大規模な合成オリゴヌクレオチドおよび遺伝子のライブラリーに関する。幾つかの事例では、ライブラリー内の単離した量でのオリゴヌクレオチドまたは遺伝子の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、99.95%、99.98%、99.99%、またはそれ以上は、同じ配列を有している。幾つかの事例では、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上の類似性または同一性に関連する、オリゴヌクレオチドまたは遺伝子の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、99.95%、99.98%、99.99%、またはそれ以上は、同じ配列を有している。幾つかの事例では、オリゴヌクレオチドまたは遺伝子上の指定された遺伝子座と関連するエラー率は、最適化される。したがって、大規模なライブラリーの一部としての1つ以上のオリゴヌクレオチドまたは遺伝子の複数の選択された遺伝子座の与えられた遺伝子座は各々、1/300、1/400、1/500、1/600、1/700、1/800、1/900、1/1000、1/1250、1/1500、1/2000、1/2500、1/3000、1/4000、1/5000、1/6000、1/7000、1/8000、1/9000、1/10000、1/12000、1/15000、1/20000、1/25000、1/30000、1/40000、1/50000、1/60000、1/70000、1/80000、1/90000、1/100000、1/125000、1/150000、1/200000、1/300000、1/400000、1/500000、1/600000、1/700000、1/800000、1/900000、1/1000000未満、またはそれより低いエラー率を有し得る。様々な事例では、そのようなエラーを最適化した遺伝子座は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、30000、50000、75000、100000、500000、1000000、2000000、3000000、またはそれ以上の遺伝子座を含み得る。エラーを最適化した遺伝子座は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、30000、75000、100000、500000の、1000000、2000000、3000000、またはそれ以上のオリゴヌクレオチドまたは遺伝子に分布され得る。
【0068】
エラー率は、エラー補正を用いて又はそれなしで達成され得る。エラー率は、ライブラリー全体にわたって、またはライブラリーの80%、85%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、99.95%、99.98%、99.99%、またはそれ以上にわたって達成され得る。
【0069】
本明細書には、共通の支持体上のアドレス可能位置で異なる予め決められた配列を有している複数のオリゴ核酸の合成を支持する表面を含み得る構造が提供される。幾つかの事例では、装置は、2,000;5,000;10,000;20,000;30,000;50,000;75,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,200,000;1,400,000;1,600,000;1,800,000;2,000,000;2,500,000;3,000,000;3,500,000;4,000,000;4,500,000;5,000,000;10,000,000、またはそれ以上の同一でないオリゴ核酸の合成のための支持を提供する。幾つかの事例では、装置は、2,000;5,000;10,000;20,000;30,000;50,000;75,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,200,000;1,400,000;1,600,000;1,800,000;2,000,000;2,500,000;3,000,000;3,500,000;4,000,000;4,500,000;5,000,000;10,000,000を超える、またはそれ以上のオリゴ核酸の合成のための支持を提供する。幾つかの事例では、オリゴ核酸の少なくとも一部は、同一の配列を有しているか、または同一の配列で合成されるように構成されている。
【0070】
本明細書には、約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000の塩基の長さであるオリゴ核酸の製造および成長のための方法および装置が提供された。幾つかの事例では、形成されるオリゴ核酸の長さは、約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、または225の塩基の長さである。オリゴ核酸は、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100の塩基の長さであり得る。オリゴ核酸は、10〜225の塩基の長さ、12〜100の塩基の長さ、20〜150の塩基の長さ、20〜130の塩基の長さ、または30〜100の塩基の長さであり得る。
【0071】
幾つかの事例では、オリゴ核酸は、基質の別々の遺伝子座上で合成され、ここで遺伝子座はそれぞれ、オリゴ核酸の集団の合成を支持する。幾つかの事例では、遺伝子座はそれぞれ、別の遺伝子座上で成長させられたオリゴ核酸の集団とは異なる配列を有するオリゴ核酸の集団の合成を支持する。幾つかの事例では、装置の遺伝子座は複数のクラスター内に位置する。幾つかの事例では、装置は、少なくとも10、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000、15000、20000、30000、40000、50000またはそれ以上のクラスターを含む。幾つかの事例では、装置は、2,000;5,000;10,000;100,000;200,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,100,000;1,200,000;1,300,000;1,400,000;1,500,000;1,600,000;1,700,000;1,800,000;1,900,000;2,000,000;300,000;400,000;500,000;600,000;700,000;800,000;900,000;1,000,000;1,200,000;1,400,000;1,600,000;1,800,000;2,000,000;2,500,000;3,000,000;3,500,000;4,000,000;4,500,000;5,000,000;または10,000,000を超える、または以上の別々の遺伝子座を含む幾つかの事例では、装置は、約10,000の別々の遺伝子座を含む。単一のクラスター内の遺伝子座の量は、異なる事例では変更される。幾つかの事例では、クラスターはそれぞれ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、150、200、300、400、500または以上の遺伝子座を含む.幾つかの事例では、クラスターはそれぞれ、約50−500の遺伝子座を含む。幾つかの事例では、クラスターはそれぞれ、約100−200の遺伝子座を含む。幾つかの事例では、クラスターはそれぞれ、約100−150の遺伝子座を含む。幾つかの事例では、クラスターはそれぞれ、約109、121、130または137の遺伝子座を含む。幾つかの事例では、クラスターはそれぞれ、約19、20、61、64またはそれ以上の遺伝子座を含む。
【0072】
装置上で合成された別々のオリゴ核酸の数は、基質における利用可能な別々の遺伝子座の数に左右され得る。幾つかの事例では、装置のクラスター内の遺伝子座の密度は、1mm
2当たり少なくともまたは約1の遺伝子座、1mm
2当たり10の遺伝子座、1mm
2当たり25の遺伝子座、1mm
2当たり50遺伝子座、1mm
2当たり65の遺伝子座、1mm
2当たり75の遺伝子座、1mm
2当たり100の遺伝子座、1mm
2当たり130の遺伝子座、1mm
2当たり150の遺伝子座、1mm
2当たり175の遺伝子座、1mm
2当たり200の遺伝子座、1mm
2当たり300の遺伝子座、1mm
2当たり400の遺伝子座、1mm
2当たり500の遺伝子座、1mm
2当たり1,000の遺伝子座、またはそれ以上である。幾つかの事例では、装置は、1mm
2から約500mm
2当たり約10の遺伝子座、1mm
2から約400mm
2当たり約25の遺伝子座、1mm
2から約500mm
2当たり約50の遺伝子座、1mm
2から約500mm
2当たり約100の遺伝子座、1mm
2から約500mm
2当たり約150の遺伝子座、1mm
2から約250mm
2当たり約10の遺伝子座、1mm
2から約250mm
2当たり約50の遺伝子座、1mm
2から約200mm
2当たり約10の遺伝子座、1mm
2から約200mm
2当たり約50の遺伝子座を含む。幾つかの事例では、クラスター内の2つの隣接した遺伝子座の中心からの距離は、約10μmから約500μm、約10μmから約200μm、または約10μmから約100μmである。幾つかの事例では、隣接した遺伝子座の2つの中心からの距離は、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmより長い。幾つかの事例では、2つの隣接した遺伝子座の中心からの距離は、約200μm、150μm、100μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μmまたは10μm未満である。幾つかの事例では、遺伝子座それぞれの幅は、約0.5μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmである。幾つかの事例では、遺伝子座それぞれの幅は、約0.5μmから100μm、約0.5μmから50μm、約10μmから75μm、または約0.5μmから50μmである。
【0073】
幾つかの事例では、装置内のクラスターの密度は、100mm
2当たり少なくとも又は約1のクラスター、10mm
2当たり1のクラスター、5mm
2当たり1のクラスター、4mm
2当たり1のクラスター、3mm
2当たり1のクラスター、2mm
2当たり1のクラスター、1mm
2当たり1のクラスター、1mm
2当たり2のクラスター、1mm
2当たり3のクラスター、1mm
2当たり4のクラスター、1mm
2当たり5のクラスター、1mm
2当たり10のクラスター、1mm
2当たり50のクラスター、またはそれ以上である。幾つかの事例では、装置は、10mm
2当たり約1のクラスターから1mm
2当たり約10のクラスターを含む。幾つかの事例では、2つの隣接したクラスターの中心からの距離は、約50μm、100μm、200μm、500μm、1000μm、2000μm、または5000μm未満である。幾つかの事例では、2つの隣接したクラスターの中心からの距離は、約50μmから約100μm、約50μmから約200μmから、約50μmから約300μm、約50μmから約500μm、および約100μmから約2000μmである。幾つかの事例では、2つの隣接したクラスターの中心からの距離は、約0.05mmから約50mm、約0.05mmから約10mm、約0.05mmから約5mm、約0.05mmから約4mm、約0.05mmから約3mm、約0.05mmから約2mm、約0.1mmから10mm、約0.2mmから10mm、約0.3mmから約10mm、約0.4mmから約10mm、約0.5mmから10mm、約0.5mmから約5mm、または約0.5mmから約2mmである。幾つかの事例では、クラスターはそれぞれ、約0.5〜2mm、約0.5〜1mm、または約1〜2mmの1寸法に沿った直径または幅を有している。幾つかの事例では、クラスターはそれぞれ、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2mmの1寸法に沿った直径または幅を有している。幾つかの事例では、クラスターはそれぞれ、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.15、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2mmの1寸法のに沿った内部の直径または幅を有している。
【0074】
装置は、例えば、約100〜200mm×約50〜150mmの、およその標準の96ウェルプレートのサイズであり得る。幾つかの事例では、装置は、約1000mm、500mm、450mm、400mm、300mm、250nm、200mm、150mm、100mmまたは50mm以下の直径を有している。幾つかの事例では、装置の直径は、約25mmから1000mm、約25mmから約800mm、約25mmから約600mm、約25mmから約500mm、約25mmから約400mm、約25mmから約300mm、または約25mmから約200である。装置サイズの限定しない例は、約300mm、200mm、150mm、130mm、100mm、76mm、51mmおよび25mmを含む。幾つかの事例では、装置は、少なくとも約100mm
2;200mm
2;500mm
2;1,000mm
2;2,000mm
2;5,000mm
2;10,000mm
2;12,000mm
2;15,000mm
2;20,000mm
2;30,000mm
2;40,000mm
2;50,000mm
2またはそれ以上の平面の表面積を有している。幾つかの事例では、装置の厚さは、約50mmから約2000mm、約50mmから約1000mm、約100mmから約1000mm、約200mmから約1000mm、または約250mmから約1000mmである。装置の厚さの限定しない例は、275mm、375mm、525mm、625mm、675mm、725mm、775mmおよび925mmを含む。幾つかの事例では、装置の厚さは、直径によって変わり、基質の組成物に左右される。例えば、シリコン以外の物質を含む装置は、同じ直径のシリコン装置とは異なる厚さを有している。装置の厚さは、使用される物質の機械強度によって判定され、扱いの間に割れることなく、それ自体の重量を支えるのに十分でなければならない。幾つかの事例では、構造は、本明細書に記載される複数の装置を含む。
【0075】
<表面物質>
本明細書に提供される基質、装置およびリアクターは、本明細書に記載される方法および組成物に適したあらゆる様々な物質から作り上げられる。特定の事例では、低レベルのヌクレオチド結合を示すために、装置用の材料が作り上げられる。幾つかの事例では、装置用の材料は、高レベルのヌクレオチド結合を示す別々の表面を生成するために修正される。幾つかの事例では、装置用の材料は、可視光及び/又はUV光に対して透過性である。幾つかの事例では、装置用の材料は、十分に導電性である、例えば、基質のすべて又は一部にわたって均一な電場を形成することができる。幾つかの事例では、導電性材料は電気接地(electric ground)に接続される。幾つかの事例では、装置は、熱伝導性であるか又は断熱される。幾つかの事例では、材料は、化学的または生化学的な反応、例えばオリゴ核酸合成反応プロセスを支持するために耐薬品性および耐熱性である。幾つかの事例では、装置は可撓性材料を含む。可撓性材料は、限定することなく、改質ナイロン、非改質ナイロン、ニトロセルロース、ポリプロピレンなどを含む。幾つかの事例では、装置は剛性材料を含む。剛性材料は、限定することなく、ガラス、石英ガラス(fuse silica)、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、プラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、および混合物など)、および金属(例えば、金、白金など)を含む。幾つかの事例では、装置は、シリコン、ポリスチレン、アガロース、デキストラン、セルロース系ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ガラス、またはそれらの任意の組み合わせを含む材料から作り上げられる。幾つかの事例では、装置は、本明細書にリストされた材料または当該技術分野において既知の他の適切な材料の組み合わせで製造される。
【0076】
<表面のアーキテクチャ>
本明細書には、隆起した及び/又は沈降した特徴を含む装置が提供される。そのような特徴を有している1つの利点は、オリゴ核酸合成を支持する表面積の増大である。幾つかの事例では、隆起した及び/又は沈降した特徴を有する装置は、三次元基質と呼ばれる。幾つかの事例では、三次元装置は1つ以上のチャネルを含む。幾つかの事例では、1つ以上の遺伝子座はチャネルを含む。幾つかの事例では、チャネルは、オリゴ核酸シンセサイザーなどの堆積装置によって試薬の堆積に利用可能である。幾つかの事例では、試薬及び/又は流体は、1つ以上のチャネルと流体連通してより大きなウェルに集まる。例えば、装置は、クラスターを有する複数の遺伝子座に対応する複数のチャネルを含み、複数のチャネルは、クラスターの1つのウェルと流体連通している。幾つかの方法では、オリゴ核酸のライブラリーは、クラスターの複数の遺伝子座において合成される。
【0077】
幾つかの事例では、その構造は、表面上のオリゴ核酸合成に関する流れの制御および物質移動経路制御を可能にするように構成されている。幾つかの事例では、装置の構成は、オリゴ核酸合成の間の物質移動経路、化学暴露時間、及び/又は洗浄効果の制御およびその分布さえを可能にする。幾つかの事例では、装置の構成は、例えば、成長しているオリゴ核酸による排除体積が、オリゴ核酸の成長に利用可能な又は適した最初に利用可能な体積の50、45、40、35、30、25、20、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%を超えて、またはそれ以下を占めないほど十分な、オリゴ核酸の成長に対する体積を提供することによって、奏効率の増大を可能にする。幾つかの事例では、三次元構造は、化学暴露の急速な交換を可能にするために流体の流れの管理を可能にする。
【0078】
本明細書には、1fM、5fM、10fM、25fM、50fM、75fM、100fM、200fM、300fM、400fM、500fM、600fM、700fM、800fM、900fM、1pM、5pM、10pM、25pM、50pM、75pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM、900pM、またはそれ以上の量のDNAを合成する方法が提供される。幾つかの事例では、オリゴヌクレオチドライブラリーは、遺伝子の約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の長さに及び得る。遺伝子は、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、または100%まで変えられ得る。
【0079】
同一でないオリゴ核酸はまとめて、遺伝子の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、または100%に対する配列をコードし得る。幾つかの事例では、オリゴ核酸は、遺伝子の50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上の配列をコードし得る。幾つかの事例では、オリゴ核酸は、遺伝子の80%、85%、90%、95%、またはそれ以上の配列をコードし得る。
【0080】
幾つかの事例では、物理構造によって隔離が達成される。幾つかの事例では、オリゴ核酸合成に対する能動領域および受動領域を発生させる表面の差次的な官能基化によって、隔離が達成される。差次的な官能基化はまた、装置表面にわたる疎水性を交互にし、それによって、堆積した試薬の水滴(beading)または湿りを引き起こす水接触角の効果を作り出すことによって達成される。より大きな構造を利用することで、飛び散り(splashing)および隣接するスポットの試薬による別々のオリゴ核酸合成位置の相互汚染を減少させることができる。幾つかの事例では、オリゴ核酸シンセサイザーなどの装置は、別々のオリゴ核酸合成位置のための試薬を堆積させるために使用される。三次元の特徴を有する基質は、低いエラー率(例えば、約1:500、1:1000、1:1500、1:2,000、1:3,000、1:5,000、または1:10,000未満)で多数のオリゴ核酸(例えば約10,000を超える)の合成を可能にする方法で構成される。幾つかの事例では、装置は、1mm
2当たり約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400または500、またはそれらを超える特徴の密度で特徴を含む。
【0081】
装置のウェルは、基質の別のウェルと同じ又は異なる幅、高さ、及び/又は量を有し得る。装置のチャネルは、基質の別のチャネルと同じ又は異なる幅、高さ、及び/又は量を有し得る。幾つかの事例では、クラスターの幅は、約0.05mmから約50mm、約0.05mmから約10mm、約0.05mmから約5mm、約0.05mmから約4mm、約0.05mmから約3mm、約0.05mmから約2mm、約0.05mmから約1mm、約0.05mmから約0.5mm、約0.05mmおから0.1mm、約0.1mmから10mm、約0.2mmから10mm、約0.3mmから約10mm、約0.4mmから約10mm、約0.5mmから10mm、約0.5mmから約5mm、または約0.5mmから約2mmである。幾つかの事例では、クラスターを含むウェルの幅は、約0.05mmから約50mm、約0.05mmから約10mm、約0.05mmから約5mm、約0.05mmから約4mm、約0.05mmから約3mm、約0.05mmから約2mm、約0.05mmから約1mm、約0.05mmから約0.5mmから、約0.05mmから約0.1mm、約0.1mmから10mm、約0.2mmから10mm、約0.3mmから約10mm、約0.4mmから約10mm、約0.5mmからの10mm、約0.5mmから約5mm、または約0.5mmおよび約2mmである。幾つかの事例では、クラスターの幅は、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、0.5mm、0.1mm、0.09mm、0.08mm、0.07mm、0.06mmまたは0.05mm未満である。幾つかの事例では、クラスターの幅は、約1.0から1.3mmである。幾つかの事例では、クラスターの幅は約1.150mmである。幾つかの事例では、ウェルの幅は、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、0.5mm、0.1mm、0.09mm、0.08mm、0.07mm、0.06mmまたは0.05mm未満である。幾つかの事例では、ウェルの幅は、約1.0から1.3mmである。幾つかの事例では、ウェルの幅は約1.150mmである。幾つかの事例では、クラスターの幅は約0.08mmである。幾つかの事例では、ウェルの幅は約0.08mmである。クラスターの幅は、二次元または三次元の基質内のクラスターを指し得る。
【0082】
幾つかの事例では、ウェルの高さは、約20μmから約1000μm、約50μmから約1000μm、約100μmから約1000μm、約200μmから約1000μm、約300μmから約1000μm、約400μmから約1000μm、または約500μmから約1000μmである。幾つかの事例では、ウェルの高さは、約1000μm未満、約900μm未満、約800μm未満、約700μm未満、または約600μm未満である。
【0083】
幾つかの事例では、装置は、クラスター内の複数の遺伝子座に対応する複数のチャネルを含み、チャネルの高さまたは深さは、約5μmから約500μm、約5μmから約400μm、約5μmから約300μm、約5μmから約200μm、約5μmから約100μm、約5μmから約50μm、または約10μmから約50μmである。幾つかの事例では、チャネルの高さは、100μm未満、80μm未満、60μm未満、40μm未満または20μm未満である。
【0084】
幾つかの事例では、チャネル、遺伝子座(例えば、実質的に平面の基板における)またはチャネルおよび遺伝子座の両方の直径(例えば、遺伝子座がチャネルに対応する三次元構造装置における)は、約1μmから約1000μm、約1μmから約500μm、約1μmから約200μm、約1μmから約100μm、約5μmから約100μm、または約10μmから約100μm、例えば、約90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μmまたは10μmである。幾つかの事例では、チャネル、遺伝子座、またはチャネルおよび遺伝子座の両方のの直径は、約100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μmまたは10μm未満である。幾つかの事例では、2つの隣接チャネル、遺伝子座、またはチャネルおよび遺伝子座の中心からの距離は、約1μmから約500μm、約1μmから約200μm、約1μmから約100μm、約5μmから約200μm、約5μmから約100μm、約5μmから約50μm、または約5μmから約30μm、例えば、約20μmである。
【0085】
<表面改質>
様々な事例では、装置表面あるいは装置表面の選択された部位または領域の1つ以上の化学的及び/又は物理的な物性を変更する付加または削除のプロセスによって、表面の化学的及び/又は物理的な変更のために、表面改質が利用される。例えば、表面改質は、限定することなく、(1)表面の湿潤性を変更すること、(2)表面を官能基化すること、つまり、表面官能基を提供する、修飾する、または置換すること、(3)表面を脱官能基化すること、つまり、表面官能基を除去すること、(4)そうでなければ、例えば、エッチングによって、表面の化学組成を変更すること、(5)表面粗さを増大させるか又は低減すること、(6)表面上にコーティング、例えば、表面の湿潤性とは異なる湿潤性を示すコーティングを提供すること、及び/又は(7)表面上に粒子を堆積させることを含む。
【0086】
幾つかの事例では、表面上の化学層(接着促進剤と呼ばれる)の追加は、基質の表面上の遺伝子座の構造化したパターン化を促進する。接着促進の適用のための典型的な表面は、限定することなく、ガラス、シリコン、二酸化ケイ素および窒化ケイ素を含む。幾つかの事例では、接着促進剤は、高い表面エネルギーを有する化学物質である。幾つかの事例では、基質の表面上に第2の化学層が堆積される。幾つかの事例では、第2の化学層は、低い表面エネルギーを有している。幾つかの事例では、表面上にコーティングされた化学層の表面エネルギーは、液滴の局在化を支持する。選択されるパターン化の配置によって、遺伝子座の接近及び/又は遺伝子座での流体接触の領域は変更可能である。
【0087】
幾つかの事例では、例えばオリゴ核酸合成のために、核酸または他の部分が堆積される、装置表面、または分解された遺伝子座は、滑らか又は実質的に平面である(例えば、二次元)か、あるいは隆起した又は沈降した特徴などの不規則性を有している(例えば三次元の特徴)。幾つかの事例では、装置表面は、化合物の1つ以上の異なる層で修飾される。対象のそのような修飾層は、限定することなく、金属、金属酸化物、ポリマー、小さな有機分子などの無機層および有機層を含む。限定しないポリマー層は、ペプチド、タンパク質、核酸またはそれらの模倣物(例えば、ペプチド核酸など)、多糖類、リン脂質、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンアミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアセテート、および本明細書に記載される又はそうでなければ当該技術分野に既知の他の適切な化合物を含む。幾つかの事例では、ポリマーは ヘテロポリマーである。幾つかの事例では、ポリマーはホモポリマーである。幾つかの事例では、ポリマーは、官能性部分を含むか又は結合される。
【0088】
幾つかの事例では、装置の分解された遺伝子座は、表面エネルギーを増大させる及び/又は低減する1つ以上の部分で官能基化される。幾つかの事例では、部分は化学的に不活性である。幾つかの事例では、部分は、オリゴ核酸合成反応における望ましい化学反応、例えば、1つ以上のプロセスを支持するように構成されている。表面の表面エネルギー、すなわち疎水性は、表面上へと付着するヌクレオチドの親和性を測定するための因子である。幾つかの事例では、装置の官能基化に対する方法は、(a)二酸化ケイ素を含む表面を有する装置を提供する工程;および(b)本明細書に記載される又はそうでなければ当該技術分野で既知の適切なシラン化剤、例えば、有機官能性アルコキシシラン分子を使用して、表面をシラン処理する工程を含む。
【0089】
幾つかの事例では、有機官能性アルコキシシラン分子は、ジメチルクロロ−オクトデシル−シラン、メチルジクロロ−オクトデシル−シラン、トリクロロ−オクトデシル−シラン、トリメチル−オクトデシル−シラン、トリエチル−オクトデシル−シラン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの事例では、装置の表面は、ポリエチレン/ポリプロピレン(ガンマ線照射またはクロム酸酸化、およびヒドロキシアルキル表面への還元によって官能基化された)、高度に架橋されたポリスチレン−ジビニルベンゼン(クロロメチル化によって誘導体化され、ベンジルアミン官能面にアミノ化された)、ナイロン(末端のアミノヘキシル基は直接反応性である)で官能基化されるか、または還元されたポリテトラフルオロエチレンでエッチングされる。他の方法および官能基化剤は、米国特許第5,474,796号に記載され、これは引用によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0090】
幾つかの事例では、装置の表面は、典型的に装置の表面上に存在する反応性の親水性部分を介して、装置の表面にシランを結合するのに有効な反応条件下で、シランの混合物を含有している誘導体化組成物との接触によって官能基化される。シラン処理は、一般に、自己組織化によって有機官能性アルコキシシラン分子で表面を覆う。
【0091】
当該技術分野において現在知られているように、例えば、表面エネルギーを低下させる又は増大させるのための様々なシロキサンを官能基化する試薬がさらに使用され得る。有機官能性アルコキシシランは、それらの有機官能に従って分類され得る。
【0092】
本明細書には、ヌクレオシドに結合することができる薬剤のパターン化を含み得る装置が提供される。幾つかの事例では、装置は、活性薬剤でコーティングされてもよい。幾つかの事例では、装置は、受動剤(passive agent)でコーティングされてもよい。本明細書に記載されるコーティング材に含有する典型的な活性薬剤は、限定することなく、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド(HAPS)、11−アセトキシウンデシルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GOPS)、3−ヨード−プロピルトリメトキシシラン、ブチル−アルデヒド−トリメトキシシラン(butyl−aldehydr−trimethoxysilane)、二量体二次アミノアルキルシロキサン、(3−アミノプロピル)−ジエトキシ−メチルシラン、(3−アミノプロピル)−ジメチル−エトキシシラン、および(3−アミノプロピル)−トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)−ジメチル−エトキシシラン、グリシドキシ−トリメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)−トリメトキシシラン、3−4エポキシシクロヘキシル−エチルトリメトキシシラン、および(3−メルカプトプロピル)−メチル−ジメトキシシラン、アリルトリクロロクロロシラン、7−オクタ−1−エニルトリクロロクロロシラン、またはビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンを含む。
【0093】
本明細書に記載されるコーティング材に含有する典型的な受動剤は、限定することなく、ペルフロオロオクチルトリクロロシラン;トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン;1H,1H,2H,2H−フルオロオクチルトリエトキシシラン(FOS);トリクロロ(1H,1H,2H,2H −ペルフロオロオクチル)シラン;tert−ブチル−[5−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)インドール−1−イル]−ジメチル−シラン;CYTOP(商標);Fluorinert(商標);ペルフロオロオクチルトリクロロシラン(PFOTCS);ペルフロオロオクチルジメチルクロロシラン(PFODCS);ペルフロオロデシルトリエトキシシラン(PFDTES);ペンタフルオロフェニル−ジメチルプロピルクロロ−シラン(PFPTES);ペルフロオロオクチルトリエトキシシラン;ペルフロオロオクチルトリメトキシシラン;オクチルクロロシラン;ジメチルクロロ−オクトデシル−シラン;メチルジクロロ−オクトデシル−シラン;トリクロロ−オクトデシル−シラン;トリメチル−オクトデシル−シラン;トリエチル−オクトデシル−シラン;またはオクタデシルトリクロロシランを含む。
【0094】
幾つかの事例では、官能基化剤は、オクタデシルトリクロロシランなどの炭化水素シランを含む。幾つかの事例では、官能基化剤は、11−アセトキシウンデシルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピル/トリメトキシシランおよびN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミドを含む。
【0095】
<オリゴヌクレオチド合成>
オリゴ核酸合成のための本開示の方法は、ホスホラミダイトの化学作用を含むプロセスを含み得る。幾つかの事例では、オリゴ核酸合成は、塩基をホスホラミダイトと結合することを含む。オリゴ核酸合成は、結合条件下でホスホラミダイトの堆積によって塩基を結合することを含んでもよく、ここで同じ塩基が、随意に、1回を超えて、即ち、二重の結合でホスホラミダイトとともに堆積される。オリゴ核酸合成は、未反応の部位のキャッピングを含んでもよい。幾つかの事例では、キャッピングは随意である。オリゴ核酸合成はまた、酸化または酸化工程を含んでもよい。オリゴ核酸合成は、非ブロック化、脱トリチル化、および硫化を含んでもよい。幾つかの事例では、オリゴ核酸合成は、酸化または硫化のいずれかを含む。幾つかの事例では、オリゴ核酸合成反応中の1つ又は各々の工程間で、装置は、例えば、テトラゾールまたはアセトニトリルを使用して洗浄される。ホスホラミダイト合成方法における任意の1工程に対する時間枠は、約2分、1分、50秒、40秒、30秒、20秒および10秒未満であり得る。
【0096】
ホスホラミダイト方法を使用するオリゴ核酸合成は、亜リン酸塩トリエステル結合の形成のために成長しているオリゴ核酸鎖へのホスホラミダイト建築ブロック(例えば、ヌクレオシドホスホラミダイト)の続く追加を含んでもよい。ホスホラミダイト オリゴ核酸合成は、3’方向から5’方向に進む。ホスホラミダイトオリゴ核酸合成は、1合成サイクル当たりの成長している核酸鎖への1つのヌクレオチドの追加の制御を可能にする。幾つかの事例では、各合成サイクルは結合工程を含む。ホスホラミダイト結合は、活性化されたヌクレオシドホスホラミダイトと、例えばリンカーによって基質に結合されたヌクレオシドとの間の亜リン酸塩トリエステル結合の形成を伴う。幾つかの事例では、ヌクレオシドホスホラミダイトは、起動された装置に提供される。幾つかの事例では、ヌクレオシドホスホラミダイトは、アクチベーター(activator)で装置に提供される。幾つかの事例では、ヌクレオシドホスホラミダイトは、基質に結合されたヌクレオシドよりも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100倍、またはそれ以上の過剰量で、装置に提供される。幾つかの事例では、ヌクレオシドホスホラミダイトの追加は、無水環境において、例えば、無水アセトニトリルにおいて実行される。ヌクレオシドホスホラミダイトの追加に続いて、装置は随意に洗浄される。幾つかの事例では、結合工程は、随意に、基質へのヌクレオシドホスホラミダイトの追加間の洗浄工程とともに、追加で1回以上繰り返される。幾つかの事例では、本明細書に使用されるオリゴ核酸合成方法は、1、2、3またはそれ以上の連続する結合工程を含む。結合前に、多くの場合において、装置に結合されたヌクレオシドは、保護基の除去によって脱保護され、ここで、保護基は重合を防ぐように機能する。一般的な保護基は、4,4’−ジメトキシトリチル(DMT)である。
【0097】
結合に続いて、ホスホラミダイトオリゴ核酸合成方法は、随意にキャッピング工程を含む。キャッピング工程では、成長しているオリゴ核酸は、キャッピング剤で処置される。キャッピング工程は、さらなる鎖伸長からの結合後に未反応の基質に結合した5’−OH基をブロックするのに有用であり、これによって、内部塩基欠失(internal base deletions)でのオリゴ核酸の形成を防ぐ。さらに、1H−テトラゾールで活性化されたホスホラミダイトは、小さい程度まで、グアノシンのO6位置と反応し得る。理論に縛られることなく、I
2/水での酸化で、この副産物は、恐らくO6−N7遊走を介して、脱プリン化を受け得る。脱プリン部位は、結局、オリゴヌクレオチドの最終的な脱保護の間に切断され、したがって、全長産物の収率が低下する。O6修飾は、I
2/水での酸化前にキャッピング試薬による処置によって除去され得る。幾つかの事例では、オリゴ核酸合成の間にキャッピング工程を含めることで、キャッピングなしでの合成と比較して、エラー率は低下する。一例として、キャッピング工程は、無水酢酸と1−メチルイミダゾールとの混合物で基質に結合したオリゴ核酸を処置することを含む。キャッピング工程に続いて、装置は随意に洗浄される。
【0098】
幾つかの事例では、ヌクレオシドホスホラミダイトの追加に続いて、および随意にキャッピングおよび1以上の洗浄工程後に、装置に結合した成長している核酸は酸化される。酸化工程は、亜リン酸塩トリエステルが、自然発生のリン酸ジエステルのヌクレオシド間の結合の保護された前駆体である、四配位リン酸塩トリエステルへと酸化される。幾つかの事例では、成長しているオリゴ核酸の酸化は、随意に弱塩基(例えば、ピリジン、ルチジン、コリジン)の存在下で、ヨウ素および水による処置によって達成される。酸化は、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシドまたは(1S)−(+)−(10−カンファースルホニル)−オキサジリジン(CSO)を使用して、無水条件下で実行され得る。
幾つかの方法では、キャッピング工程は、酸化に続いて実行される。持続し得る酸化からの残留水が続く結合を阻害することができるため、第2のキャッピング工程は装置の乾燥を可能にする。酸化に続いて、装置および成長しているオリゴ核酸は、随意に洗浄される。幾つかの事例では、酸化の工程は、オリゴヌクレオチドホスホロチオエートを得る硫化工程に置き換えられ、ここでキャッピング工程は硫化後に実行され得る。限定されないが、3−(ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−3−チオン、DDTT、Beaucage試薬としても知られている3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド、およびN,N,N’N’テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)を含む、多くの試薬が、効率的な硫黄移動を行うことができる。
【0099】
ヌクレオシド取り込みの続くサイクルを結合を介して生じさせるために、装置に結合した成長しているオリゴ核酸の保護された5’末端は、除去され、その結果、一次ヒドロキシル基が次のヌクレオシドホスホラミダイトと反応性となる。幾つかの事例では、保護基はDMTであり、非ブロック化が、ジクロロメタン中でトリクロロ酢酸とともに生じる。延長された時間の間または推奨された酸の溶液より強く脱トリチル化を行うことは、固形支持体に結合したオリゴヌクレオチドの脱プリン化の増大につながり得、したがって望ましい全長産物の収率が低下する。本明細書に記載される開示の方法および組成物は、望ましくない脱プリン化反応を制限する制御された非ブロック化条件を提供する。幾つかの事例では、装置に結合したオリゴ核酸は、非ブロック化後に洗浄される。幾つかの事例では、非ブロック化後の効率的な洗浄は、低いエラー率を有する合成されたオリゴ核酸に寄与する。
【0100】
オリゴ核酸の合成のための方法は、典型的に下記工程の一連の繰り返し(iterating sequence)が伴う:活性化された表面、リンカーまたは以前に脱保護された単量体と連結するための、保護された単量体の活発に官能基化された表面(例えば遺伝子座)への適用;適用された単量体の脱保護であって、それにより、続いて適用される保護された単量体と反応性である、脱保護;および連結のための別の保護された単量体の適用。1以上の中間の工程は、酸化または硫化を含む。幾つかの事例では、1以上の洗浄工程は、工程の1つ又はすべてに先行するか又はそれらに続く。
【0101】
ホスホラミダイトベースのオリゴ核酸合成のための方法は、一連の化学ステップを含む。幾つかの事例では、合成方法の1以上の工程は、試薬のサイクリングを伴い、ここで、方法の1以上の工程は、工程に有用な試薬の装置への適用を含む。例えば、試薬は、一連の液体堆積および真空乾燥の工程によって循環させられる。ウェル、マイクロウェル、チャネルなどの三次元の特徴を含む基質のために、試薬は、随意にウェル及び/又はチャネルを介して装置の1つ以上の領域に通される。
【0102】
本明細書に記載される方法およびシステムは、オリゴヌクレオチドの合成のためのオリゴヌクレオチド合成装置に関する。合成は平行して行われ得る。例えば、少なくとも又は少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、1000、10000、50000、75000、100000、またはそれ以上のオリゴヌクレオチドは、平行して合成され得る。平行して合成され得るオリゴ核酸の総数は、2−100000、3−50000、4−10000、5−1000、6−(900)、7−850、8−800、9−750、10−700、11−650、12−600、13−550、14−500、15−450、16−400、17−350、18−300、19−250、20−200、21−150、22−100、23−50、24−45、25−40、30−35の間であり得る。当業者は、平行して合成されたオリゴヌクレオチドの総数が、これらの値のいずれかに制約される任意の範囲内(例えば25−100)にあり得ることを認識する。平行して合成されたオリゴヌクレオチドの総数は、範囲のエンドポイントとして機能する値のいずれかによって定義された任意の範囲内にあり得る。装置内で合成されたオリゴヌクレオチドの総モル質量またはオリゴヌクレオチドの各々のモル質量は、少なくとも又は少なくとも約10、20、30、40、50、100、250、500、750、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000の、25000、50000、75000、100000ピコモル、またはそれ以上であり得る。装置内のオリゴヌクレオチドの各々の長さ又はその平均長は、少なくとも又は少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、300、400、500のヌクレオチド、またはそれ以上であり得る。装置内のオリゴヌクレオチドの各々の長さ又はその平均長は、長くて又は長くて約500、400、300、200、150、100、50、45、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10のヌクレオチド、またはそれ以下であり得る。装置内のオリゴヌクレオチドの各々の長さ又はその平均長は、10−500、9−400、11−300、12−200、13−150、14−100、15−50、16−45、17−40、18−35、19−25の間であり得る。当業者は、装置内のオリゴヌクレオチドの各々の長さ又はその平均長が、これらの値のいずれかに制約される任意の範囲内(例えば100−300)にあり得ることを認識する。装置内のオリゴヌクレオチドの各々の長さ又はその平均長は、範囲のエンドポイントとして機能する値のいずれかによって定義された任意の範囲内にあり得る。
【0103】
本明細書で提供される、表面上でのオリゴ核酸合成の方法は、高速での合成を可能にする。一例として、1時間につき少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、125、150、175、200のヌクレオチド、又はそれ以上が合成される。ヌクレオチドは、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウリジンの建築ブロック、又はそれらのアナログ/修飾されたバージョンを含む。幾つかの例において、オリゴ核酸のライブラリーは基質上で平行に合成される。例えば、約又は少なくとも約100;1,000;10,000;30,000;75,000;100,000;1,000,000;2,000,000;3,000,000;4,000,000;又は5,000,000の分解された遺伝子座を含む装置は、少なくとも同じ数の別個のオリゴ核酸の合成を支援することができ、ここで、別個の配列をコードするオリゴ核酸が分解された遺伝子座の上で合成される。幾つかの例において、オリゴ核酸のライブラリーは、約3か月、2か月、1か月、3週、15日、14日、13日、12日、11日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、24時間未満で、本明細書に記載される低いエラー率で装置上に合成される。幾つかの例において、本明細書に記載される基質及び方法を用いて低いエラー率で合成されるオリゴ核酸ライブラリーから組み立てられる、より大きな核酸は、約3か月、2か月、1か月、3週、15日、14日、13日、12日、11日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、24時間未満で調製される。
【0104】
幾つかの例において、本明細書に記載される方法は、複数のコドン部位にて異なる変異体オリゴ核酸を含む、オリゴ核酸のライブラリーの生成を提供する。幾つかの例において、オリゴ核酸は、1つの部位、2つの部位、3つの部位、4つの部位、5つの部位、6つの部位、7つの部位、8つの部位、9つの部位、10の部位、11の部位、12の部位、13の部位、14の部位、15の部位、16の部位、17の部位、18の部位、19の部位、20の部位、30の部位、40の部位、50の部位、又はそれ以上の部位の変異体コドン部位を有し得る。
【0105】
幾つかの例において、変異体コドン部位の1以上の部位が隣接し得る。変異体コドン部位の1以上の部位は、隣接せず、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上のコドンにより分離され得る。
【0106】
幾つかの例において、オリゴ核酸は変異体コドン部位の複数の部位を含み得、ここで、変異体コドン部位は互いに隣接しており、一続きのコドン部位を形成する。幾つかの例において、オリゴ核酸は変異体コドン部位の複数の部位を含み得、ここで、変異体コドン部位は互いに隣接していない。幾つかの例において、オリゴ核酸は変異体コドン部位の複数の部位を含み得、ここで、変異体コドン部位は互いに隣接しており、一続きの変異体コドン部位を形成し、変異体コドン部位の一部は互いに隣接していない。
【0107】
図面を参照すると、
図12は、より短いオリゴ核酸からの核酸(例えば遺伝子)の合成のための例示的なプロセスのワークフローを示す。ワークフローは、以下の段階に通常は分けられる:(1)一本鎖オリゴ核酸ライブラリーのデノボ合成、(2)より大きなフラグメントを形成するためのオリゴ核酸の結合、(3)エラー補正、(4)品質管理、及び(5)輸送。デノボ合成の前に、意図した核酸配列、又は核酸配列の群が、予め選択される。例えば、遺伝子の群が生成のために予め選択される。
【0108】
一旦、生成のためのより大きなオリゴ核酸が選択されると、オリゴ核酸の予め定められたライブラリーは、デノボ合成のために設計される。高密度のオリゴ核酸アレイを生成するための様々な適切な方法が知られている。ワークフローの例において、装置の表層(1201)が提供される。この例において、表面の化学的性質(chemistry)は、オリゴ核酸合成プロセスを改善するために変更される。低い表面エネルギーの領域が液体を弾くために生成され、一方で高い表面エネルギーの領域が液体を引き付けるために生成される。表面自体は、平坦な表面の形であり、又は、表面積を増大させる突起又はマイクロウェルなどの形状の変異を含み得る。ワークフローの例において、全体において引用により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開WO/2015/021080に開示されるように、選択された高い表面エネルギー分子は、DNAの化学的性質を支援する二元機能に役立つ。
【0109】
オリゴ核酸アレイのインサイツの調製は、固形支持体上で生成され、平行して複数のオリゴマーを伸長させるために単一のヌクレオチド伸長プロセスを利用する。オリゴ核酸シンセサイザーなどの材料堆積装置は、段階的な様式で試薬を放出するように設計され、その結果、複数のオリゴ核酸が平行して、一度に1つの残基を伸長させ、それにより予め定められた核酸配列(1202)を持つオリゴマーを生成する。幾つかの例において、オリゴ核酸はこの段階で表面から切断される。切断は、例えばアンモニア又はメチルアミンによる気相切断(gas cleavage)を含む。
【0110】
生成されたオリゴ核酸ライブラリーは反応チャンバに配される。この例示的なワークフローにおいて、反応チャンバ(「ナノリアクター」とも称される)は、シリコンで覆われたウェルであり、PCR試薬を含み、オリゴ核酸ライブラリー(1203)へと低下する。オリゴ核酸の密閉(1204)の前又は後に、試薬を加えて、基質からオリゴ核酸を放出させる。例示的なワークフローにおいて、オリゴ核酸は、ナノリアクター(1205)の密閉の後に放出される。一旦放出されると、一本鎖オリゴ核酸のフラグメントは、DNAの全体的に長い範囲の配列におよぶためにハイブリダイズする。合成されたオリゴ核酸が各々、少なくとも1つの他のオリゴ核酸がプールにある小部分の重なりを持つように設計されるため、部分的なハイブリダイゼーション(1205)が可能となる。
【0111】
ハイブリダイゼーション後、PCA反応が始まる。ポリメラーゼサイクル中、オリゴ核酸は相補的フラグメントにアニールされ、隙間はポリメラーゼにより満たされる。各サイクルは、どのオリゴ核酸が互いに見出されるかに無作為に依存して、様々なフラグメントの長さを増大させる。フラグメントの中の相補性は、二本鎖DNA(1206)の完全な大きな全長の形成を可能にする。
【0112】
PCAが完了した後、ナノリアクターは装置(1207)から分離され、PCR(1208)のためのプライマーを持つ装置との相互作用のために位置付けられる。密閉後、ナノリアクターはPCR(1209)にさらされ、より大きな核酸が増幅される。PCR(1210)の後、ナノチャンバが開放され(1211)、エラー補正試薬が加えられ(1212)、チャンバは密封され(1213)、エラー補正反応が生じて、二本鎖PCR増幅生成物(1214)からの相補性が乏しいミスマッチ塩基対及び/又は鎖を取り除く。ナノリアクターは開放され且つ分離される(1215)。エラーを補正した生成物は次に、PCR及び分子バーコーディングなどの付加的な処理工程にさらされ、その後輸送(1223)のために包装される(1222)。
【0113】
幾つかの例において、品質管理手段が取られる。エラー補正の後、品質管理工程は、例えば、エラーを補正した生成物(1216)の増幅のための配列決定プライマーを持つがあるウェーハとの相互作用、エラーを補正した増幅生成物(1217)を含むチャンバにウェーハを密封すること、及び、更なる回数の増幅(1218)を行なうことを含む。ナノリアクターは開放され(1219)、生成物はプールされ(1220)、配列決定される(1221)。許容可能な品質管理の決定が行われた後、包装された生成物(1222)は輸送(1223)を承認される。
【0114】
幾つかの例において、
図12のものなどのワークフローにより生成される核酸は、本明細書に開示される重複プライマーを使用した突然変異誘発にさらされる。幾つかの例において、プライマーのライブラリーは、固形支持体上でインサイツの調製により生成され、平行して複数のオリゴマーを伸長させるための単一のヌクレオチド伸長プロセスを利用する。オリゴ核酸シンセサイザーなどの堆積装置は、段階的な様式で試薬を放出するように設計され、その結果、複数のオリゴ核酸が平行して、一度に1つの残基を伸長させ、それにより予め定められた核酸配列(1202)を持つオリゴマーを生成する。
【0116】
本明細書に記載されるシステムの何れかが、コンピュータに操作可能に接続され、局所的に又は遠隔的にコンピュータを介して自動化され得る。様々な例において、開示の方法及びシステムは更に、コンピュータシステム上にソフトウェアプログラム、及びその使用を含み得る。従って、材料堆積装置の動作、分配行為、及び減圧の作動を編成及び同期するなど、機能の分配/減圧/再充填の同期のためのコンピュータ制御は、開示の範囲内にある。コンピュータシステムは、ユーザーに指定された塩基配列と材料堆積装置の位置との間に干渉するようにプログラムされ、基質の指定された領域に正確な試薬を送達する。
【0117】
図13に示されるコンピュータシステム(1300)は、媒体(1311)及び/又はネットワークポート(1305)(固定された媒体(1312)を持つサーバー(1309)に随意に接続され得る)から命令を読み出すことが可能な、論理的な装置として理解され得る。
図13に示されるものなどのシステムは、CPU(1301)、ディスクドライブ(1303)、キーボード(1315)及び/又はマウス(1316)などの随意の入力装置、及び随意のモニター(1307)を含み得る。データ通信は、局所又は遠隔の位置でサーバーに対して示された通信媒体を通じて達成され得る。通信媒体は、データを送信及び/又は受信する任意の手段を含み得る。例えば、通信媒体は、ネットワーク接続、無線接続、又はインターネット接続であり得る。そのような接続は、ワールド・ワイド・ウェブ上での通信を提供することができる。本開示に関するデータは、
図13に示されるようにパーティー(1322)による受理及び/又は検討のためにそのようなネットワーク又は接続によって伝達され得る。
【0118】
図14は、本開示の例と関連して使用され得るコンピュータシステム(1400)の第1の例のアーキテクチャを示すブロック図である。
図14に表されるように、例のコンピュータシステムは、命令を処理するためのプロセッサー(1402)を含み得る。プロセッサーの限定されない例は、以下を含む:Intel Xeon(商標)プロセッサー、AMD Opteron(商標)プロセッサー、Samsung 32−bit RISC ARM 1176JZ(F)−S v1.0(商標)プロセッサー、ARM Cortex−A8 Samsung S5PC100TMプロセッサー、ARM Cortex−A8 Apple A4(商標)プロセッサー、Marvell PXA 930(商標)プロセッサー、又は機能的に同等なプロセッサー。実行の複数のスレッドが並列処理のために使用され得る。幾つかの例において、複数のプロセッサー、又は複数のコアを持つプロセッサーはまた、単一のコンピュータシステム中でも、クラスターの中でも、又は、複数のコンピュータ、携帯電話、及び/又は個人用携帯情報端末装置を含むネットワーク上のシステムにわたって分布されても、使用され得る。
【0119】
図14に示されるように、高速キャッシュ(1404)は、プロセッサー(1402)に接続するか、又はその中に組み込まれることで、プロセッサー(1402)により近年使用されてきた又は頻繁に使用されている命令又はデータのための高速メモリを提供することができる。プロセッサー(1402)は、プロセッサーバス(1408)によりノースブリッジ(1406)に接続される。ノースブリッジ(1406)は、メモリバス(1412)によりランダムアクセスメモリ(RAM)(1410)に接続され、プロセッサー(1402)によりRAM(1410)へのアクセスを管理する。ノースブリッジ(1406)はまた、チップセットバス(1416)によりサウスブリッジ(1414)に接続される。サウスブリッジ(1414)は次に、周辺バス(1418)に接続される。周辺のバスは、例えばPCI、PCI−X、PCI Express、又は他の周辺バスであり得る。ノースブリッジ及びサウスブリッジは頻繁に、プロセッサーチップセットと称され、周辺バス(1418)上でプロセッサーと、RAMと、周辺コンポーネントとの間のデータ転送を管理する。幾つかの代替的なアーキテクチャにおいて、ノースブリッジの機能性は、別個のノースブリッジチップを使用する代わりにプロセッサーに組み込まれ得る。幾つかの例においては、システム(1400)は、周辺バス(1418)に付けられるアクセラレータカード(1422)を含み得る。アクセラレータは、特定の処理を促進するためのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のハードウェアを含み得る。例えば、アクセラレータは、適応性のあるデータの再構築のために、又は、拡張セット処理に使用される代数式を評価するために使用され得る。
【0120】
ソフトウェアとデータは、外部記憶装置(1424)に記憶され、プロセッサーにより使用のためにRAM(1410)及び/又はキャッシュ(1404)へとロードされ得る。システム(1400)は、システムリソースの管理のためのオペレーティングシステムを含み;オペレーティングシステムの限定されない例は、以下を含む:Linux(登録商標)、Windows(商標)、MACOS(商標)、BlackBerry OS(商標)、iOS(商標)、及び他の機能的に同等なOS、同様に、本開示の例に従ってデータの記憶と最適化を管理するためのオペレーティングシステム上で実行するアプリケーションソフトウェア。この例において、システム(1400)はまた、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、及び分配された並列処理に使用され得る他のコンピュータシステムなどの外部記憶装置にネットワークインターフェースを提供するために、周辺バスに接続されるネットワークインターフェースカード(NIC)(1420)及び(1421)を含む。
【0121】
図15は、複数のコンピュータシステム(1502a)及び(1502b)、複数の携帯電話及び個人用携帯情報端末(1502c)、並びにネットワーク接続ストレージ(NAS)(1504a)及び(1504b)を含むネットワーク(1500)を示す略図である。例において、システム(1502a)、(1502b)、及び(1502c)は、データ記憶を管理し、ネットワーク接続ストレージ(NAS)(1504a)及び(1504b)に記憶されたデータに対するデータアクセスを最適化することができる。数学モデルはこのデータに対して使用され、コンピュータシステム(1502a)及び(1502b)、並びに携帯電話及び個人用携帯情報端末システム(1502c)にわたって分配された並列処理を使用して評価され得る。コンピュータシステム(1502a)及び(1502b)、並びに携帯電話及び個人用携帯情報端末システム(1502c)はまた、ネットワーク接続ストレージ(NAS)(1504a)及び(1504b)に記憶されたデータの適応性のあるデータ再構築に対して並列処理を提供することができる。
図15は一例のみを示しており、様々な他のコンピュータのアーキテクチャ及びシステムは、本開示の様々な例と共に使用され得る。例えば、ブレードサーバーは並列処理を提供するために使用され得る。プロセッサーブレードは、並列処理を提供するためにバックプレーンを通じて接続され得る。ストレージはまた、別個のネットワークインターフェースを通ってバックプレーンに、又はネットワーク接続ストレージ(NAS)として接続され得る。幾つかの例において、プロセッサーは、別個のメモリ空間を維持し、ネットワークインターフェース、バックプレーン、又は他のプロセッサーによる並列処理のための他のコネクターを通じてデータを伝達することができる。他の例において、プロセッサーの幾つか又は全てが、共有仮想アドレスメモリ空間を使用することができる。
【0122】
図16は、例に従って共有仮想アドレスメモリ空間を使用するマルチプロセッサーコンピュータシステム(1600)のブロック図である。システムは、共有メモリサブシステム(1604)にアクセス可能な複数のプロセッサー(1602a−f)を含む。システムは、メモリサブシステム(1604)に複数のプログラマブルハードウェアのメモリアルゴリズムプロセッサー(MAP)(1606a−f)を組み込む。MAP(1606a−f)は各々、メモリ(1608a−f)及び1以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(1610a−f)を含み得る。MAPは設定可能な機能ユニットを提供し、特定のアルゴリズム又はその一部は、各プロセッサーと密接に協働して処理を行うためにFPGA(1610a−f)に提供され得る。例えば、MAPは、データモデルに関する代数式を評価し、且つ例における適応性のあるデータの再構築を行なうために使用され得る。この例において、MAPは各々、このような目的のためのプロセッサー全てにより世界的にアクセス可能である。1つの構成において、MAPは各々、関連するメモリ(1608a−f)にアクセスするためにダイレクトメモリアクセス(DMA)を使用することができ、それにより、各マイクロプロセッサー(1602a−f)とは別個に、且つこれらから非同期的にタスクを実行することが可能となる。この構成において、MAPは、アルゴリズムのパイプライン処理(pipelining)及び並列の実行のために別のMAPに直接結果を供給することができる。
【0123】
上述のコンピュータのアーキテクチャ及びシステムは単なる例であり、様々な他のコンピュータ、携帯電話、個人用携帯情報端末のアーキテクチャ及びシステムは、一般的なプロセッサー、コプロセッサー、FPGA、及び他のプログラム可能論理回路の任意の組み合わせを使用するシステム、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び他の処理要素と論理素子を含む例と共に使用され得る。幾つかの例において、コンピュータシステムの全て又は一部は、ソフトウェア又はハードウェアに実装され得る。様々なデータ記憶媒体が、例えばランダムアクセスメモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ、テープドライブ、ディスクアレイ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、及び他のローカル又は分散のデータ記憶装置及びシステムを含む例と共に使用され得る。
【0124】
例において、コンピュータシステムは、上述の又は他のコンピュータのアーキテクチャ及びシステムの何れかで実行するソフトウェアモジュールを使用して実施され得る。他の例において、システムの機能は、ファームウェア、
図13で言及されるようなフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラム可能論理回路、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の処理要素及び論理素子において部分的又は完全に実装され得る。例えば、セットプロセッサー及びオプティマイザは、
図13に示されるアクセラレータカード(1322)などのハードウェアアクセラレータカードの使用によるハードウェアアクセラレーションで実施され得る。
【0125】
以下の実施例は、当業者に対し本明細書に開示される実施形態の原理及び実践をより明白に示すために説明されるものであり、任意の請求された実施形態の範囲を制限するものとして解釈されるものではない。他に明示されない限り、全ての部分及びパーセンテージは重量基準である:
【実施例】
【0126】
以下の実施例は、開示の様々な実施形態を示すために与えられるものであり、任意の様式で本開示を制限することを目的としていない。実施例は、本明細書に記載される方法と共に、好ましい実施形態を現在表すものであり、例示的なものであり、及び開示の範囲に対する限定として意図されていない。その中での変更、及び、請求項の範囲により定義されるような開示の要旨内に包含される他の使用は、当業者に想到されるであろう。
【0127】
実施例1:装置表面の機能化
【0128】
装置を機能化し、オリゴ核酸のライブラリーの付着及び合成を支援した。装置表面を先ず、20分間、90%のH
2SO
4及び10%のH
2O
2を含むピラニア溶液を使用して湿式洗浄した。装置を、DI水を含む様々なビーカーの中ですすぎ、5分間DI水のグーズネック形状の蛇口の下で保持して、N
2で乾燥させた。装置を5分間、NH
4OH(1:100;3mL:300mL)に浸し、ハンドガン(handgun)を使用してDI水ですすぎ、DI水を含む3つの連続するビーカーの中で各々1分間浸し、その後ハンドガンを使用してDI水で再びすすいだ。その後、装置表面をO
2にさらすことにより装置をプラズマ洗浄した。SAMCO PC−300機器を使用して、下流モードで1分間、250ワットでO
2をプラズマエッチングした。
【0129】
以下のパラメータ:0.5〜1トール、60分、70℃、135℃の気化器を持つYES−1224P蒸着オーブンシステムを使用して、洗浄した装置表面を、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミドを含む溶液で活動的に機能化した。Brewer Science 200Xスピンコータを使用して、装置表面をレジストコートした(resist coated)。SPR(商標)3612フォトレジストを、40秒間2500rpmで装置上でスピンコートした。装置を予め、Brewerホットプレート上、90℃で30分間焼いた。Karl Suss MA6マスクアライナー機器を使用して、装置をフォトリソグラフィーにさらした。装置を2.2秒間さらし、MSF 26Aの中で1分間展開させた(developed)。残りの展開剤(developer)をハンドガンですすぎ、装置を5分間水に浸した。装置を100℃で30分間焼き、その後、Nikon L200を使用してリソグラフィーの欠損に対する目視検査を行った。デスカム処理を使用し、SAMCO PC−300機器を用いて残りのレジストを取り除き、1分間250ワットでO
2プラズマエッチングした。
【0130】
装置表面を、10μLの軽油と混合したパーフルオロオクチルトリクロロシランの100μLの溶液で受動的に機能化した。装置をチャンバに配し、10分間ポンプでくみ出し、その後、バルブを閉じてポンプを止め、10分間放置した。チャンバを通気した。最大パワー(Crestシステム上で9)での超音波処理による70℃で500mLのNMPにおける5分間の2回の浸漬を行なうことにより、装置をレジスト剥離した。その後、最大パワーでの超音波処理により室温で500mLのイソプロパノールの中で5分間、装置を浸した。装置を、300mLの200プルーフエタノール(200 proof ethanol)に漬けて、N
2で送風乾燥した。機能化した表面は活性化され、オリゴ核酸合成のための支持体として役立った。
【0131】
実施例2:オリゴヌクレオチド合成装置上での50merの配列の合成
【0132】
二次元オリゴヌクレオチド合成装置をフローセルに組み入れ、フローセル(Applied Biosystems (ABI394 DNA Synthesizer))に接続させた。N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド(Gelest)で二次元オリゴヌクレオチド合成装置を均一に機能化し、これを使用し、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド合成方法を用いて50bpの例示的なオリゴヌクレオチド(「50merのオリゴヌクレオチド」)を合成した。
【0133】
50merの配列は、SEQ ID NO:20に記載されている通りであった。5’AGACAATCAACCATTTGGGGTGGACAGCCTTGACCTCTAGACTTCGGCAT##TTTTTTTTTT3’(SEQ ID NO:20)、ここで、#は、チミジン−スクシニルヘキサミドCEDホスホラミダイト(ChemGenesのCLP−2244)を表わし、これは、脱保護中に表面からのオリゴの放出を可能にする切断可能なリンカーである。
【0134】
表2のプロトコル及びABIシンセサイザーに従い標準DNA合成化学(結合、キャッピング、酸化、及び非ブロック化)を使用して、合成を行った。
【0135】
【表2-1】
【0136】
【表2-2】
【0137】
【表2-3】
【0138】
ホスホラミダイト/活性化因子の組み合わせを、フローセルを通じたバルク試薬の送達と同様に送達した。環境が時間全体にわたり試薬により「湿った」ままであるとき、乾燥工程を行わなかった。
【0139】
フローリストリクターをABI 394シンセサイザーから取り除き、より速い流れを可能した。フローリストリクターなしで、アミダイト(ACN中で0.1M)、活性化因子(ACN中で0.25Mのベンゾイルチオテトラゾール(「BTT」;GlenResearchの30−3070−xx))、及びOx(20%のピリジン、10%の水、及び70%のTHF中の0.02MのI2)の流量は、およそ〜100uL/sec、アセトニトリル(「ACN」)及びキャッピング試薬(CapAとCapBの1:1の混合物、ここで、CapAはTHF/ピリジン中の無水酢酸であり、CapBはTHF中の16%の1−メチルイミダゾール(methylimidizole))についてはおよそ〜200uL/sec、及び、Deblock(トルエン中の3%のジクロロ酢酸)についてはおよそ〜300uL/sec(フローリストリクターで全ての試薬に対し〜50uL/secと比較して)であった。Oxidizerを完全に押し出す時間を観察し。化学フロー時間のタイミングを適宜調整し、余分なACN洗浄を異なる化学物質間に導入した。オリゴヌクレオチド合成の後、75psiで一晩、ガス状のアンモニア中でチップを脱保護した。表面に水を5滴加えて、オリゴ核酸を再生した。その後、再生したオリゴ核酸を、BioAnalyzerの小さなRNAチップ上で分析した(データは示さない)。
【0140】
実施例3:オリゴヌクレオチド合成装置上での100merの配列の合成
【0141】
50merの配列の合成について実施例2に記載されるのと同じプロセスを、2つの異なるシリコンチップ上で100merのオリゴヌクレオチド(「100merのオリゴヌクレオチド」;5’ CGGGATCCTTATCGTCATCGTCGTACAGATCCCGACCCATTTGCTGTCCACCAGTCATGCTAGCCATACCATGATGATGATGATGATGAGAACCCCGCAT##TTTTTTTTTT3’、ここで、#はチミジン−スクシニルヘキサミドCEDホスホラミダイト(ChemGenesのCLP−2244)を表わす;SEQ ID No:21)の合成に使用し、一方のシリコンチップはN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミドで均一に機能化され、他方のシリコンチップは11−アセトキシウンデシルトリエトキシシランとn−デシルトリエトキシシランの5/95の混合物で機能化されており、表面から抽出されたオリゴ核酸を、BioAnalyzer機器の上で分析した(データは示さない)。
【0142】
以下の熱サイクルプログラムを使用して、50uLのPCR混合物(25uLのNEB Q5 mastermix、2.5uLの10uMフォワードプライマー、2.5uLの10uMリバースプライマー、表面から抽出した1uLのオリゴ核酸、及び最大50uLの水)の中で、フォワードプライマー(5’ATGCGGGGTTCTCATCATC3’;SEQ ID NO:22)及びリバースプライマー(5’CGGGATCCTTATCGTCATCG3’;SEQ ID NO:23)を使用して、2つのチップからの10のサンプル全てを更に増幅した:
98C、30秒
98C、10秒;63C、10秒;72C、10秒;12のサイクルを繰り返す;
72C、2分。
【0143】
PCR生成物をBioAnalyzer上でも実行して(データは示さず)、100merの位置で急なピークを実証した。次に、PCR増幅サンプルをクローン化し、Sanger配列決定を行った(Sanger sequence)。表3は、チップ1からのスポット1−5から得たサンプル、及びチップ2からのスポット6−10から得たサンプルに対するSanger配列決定から生じる結果を要約する。
【0144】
【表3】
【0145】
故に、高品質及び高均一性の合成されたオリゴヌクレオチドを、異なる界面化学的性質を持つ2つのチップ上で繰り返した。配列決定された100merの262のうち233に対応している、全体の89%が、エラーのない完全な配列であった。
【0146】
最後に、表4は、スポット1−10からのオリゴヌクレオチドサンプルから得た配列に対するエラー特徴を要約する。
【0147】
【表4-1】
【0148】
【表4-2】
【0149】
実施例4:単一の部位、単一の位置の突然変異誘発によるオリゴ核酸ライブラリーの生成
【0150】
一連のPCR反応に使用するためにオリゴ核酸プライマーを新たに合成し、鋳型核酸のオリゴ核酸変異体のライブラリーを生成した(
図2A−2Dを参照)。4つのタイプのプライマーを
図2Aにおいて生成した:外側の5’プライマー(215)、外側の3’プライマー(230)、内側の5’プライマー(225)、及び内側の3’プライマー(220)。表2に全体的に概説されるようなオリゴ核酸の合成方法を使用して、内側の5’プライマー/第1のオリゴ核酸(220)及び内側の3’プライマー/第2のオリゴ核酸(225)を生成した。内側の5’プライマー/第1のオリゴ核酸(220)は、予め定めた配列の最大19のプライマーのセットを表し、セット中の各プライマーは、配列の1つの部位における1つのコドンにて互いに異なる。
【0151】
オリゴ核酸合成を、少なくとも2つのクラスターを持つ装置上で行い、各クラスターは121の個々にアドレス可能な(addressable)遺伝子座を持つ。
【0152】
内側の5’プライマー(225)及び内側の3’プライマー(220)を別個のクラスター中で合成した。内側の5’プライマー(225)は121回複製され、単一のクラスター内の121の遺伝子座の上に伸長する。内側の3’プライマー(220)について、様々な配列のうち19のプライマーの各々は、6つの異なる遺伝子座の上に伸長し、その結果、114の異なる遺伝子座上での114のオリゴ核酸の伸長が生じる。
【0153】
合成されたオリゴ核酸を、装置の表面から切断し、プラスチックバイアルに移した。
図2Bに示されるように、長い核酸配列(235)(240)のフラグメントを使用して第1のPCR反応を行い、鋳型核酸を増幅させた。
図2C−2Dに示されるように、鋳型としてプライマーの組み合わせと第1のPCR反応の生成物とを使用して、第2のPCR反応を行った。
図17の追跡に示されるように、第2のPCR生成物の分析をBioAnalyzer上で行った。
【0154】
実施例5:1つの位置変異体の96の異なるセットを含む、オリゴ核酸ライブラリーの生成
【0155】
4つのセットのプライマーを、
図2Aに全体的に示され且つ実施例2において対処されるように、新規なオリゴ核酸合成を使用して生成した。内側の5’プライマー(220)について、96の異なるセットのプライマーを生成し、プライマーの各セットは、鋳型オリゴ核酸の1つの部位の中に位置する異なる1つのコドンを標的とする。プライマーの各セットについて、19の異なる変異体を生成し、各変異体は、1つの部位にて異なるアミノ酸をコードするコドンを含む。
図2A−2Dに全体的に示され且つ実施例2に記載されるように、生成されたプライマーを使用して2回のPCRを行った。100%の増幅成功率を算出するために使用されたエレクトロフォレトグラムにおいて、96のセットの増幅産物を視覚化した(
図18)。
【0156】
実施例6:1つの位置変異体の500の異なるセットを含む、オリゴ核酸ライブラリーの生成
【0157】
4つのセットのプライマーを、
図2Aに全体的に示され且つ実施例2において対処されるように、新規なオリゴ核酸合成を使用して生成した。内側の5’プライマー(220)について、500の異なるセットのプライマーを生成し、プライマーの各セットは、鋳型オリゴ核酸の1つの部位の中に位置する異なる1つのコドンを標的とする。プライマーの各セットについて、19の異なる変異体を生成し、各変異体は、1つの部位にて異なるアミノ酸をコードするコドンを含む。
図2Aに全体的に示され且つ実施例2に記載されるように、生成されたプライマーを使用して2回のPCRを行った。エレクトロフォレトグラムは、異なる一つの部位に19の変異体を持つ核酸の集まりを有する、PCR生成物の500のセットの各々を表示する(データは示さず)。ライブラリーの包括的な配列決定の分析は、予め選ばれたコドンの突然変異にわたって99%より高い成功率を示した(配列追跡及び分析データは示さない)。
【0158】
実施例7:1つの位置に対する単一の部位突然変異誘発プライマー
【0159】
コドン変異設計の一例を、Yellow Fluorescent Proteinについての表3に提供する。この場合、50merの配列から1つのコドンは、19回変異する。様々な核酸配列を太字で示す。野生型プライマー配列は、ATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCAT(SEQ ID、No:1)である。この場合、野生型コドンは、SEQ ID NO:1における下線により示されるバリンをコードする。それ故、以下の19の変異体は、バリンをコードするコドンを除外する。代替的な実施例において、トリプレットが全て考慮される場合、その後、60の変異体は全て、野生型コドンに対する代替的配列を含んで生成されることになる。
【0160】
【表5】
【0161】
実施例8:単一の部位、二重の位置のオリゴ核酸変異体
【0162】
新たなオリゴ核酸合成を、実施例2に記載されるものと同様の条件下で行った。装置上の1つのクラスターを生成し、該クラスターは、1つの部位にある2つの連続するコドンの位置に対してオリゴ核酸の予め定められた合成変異体を含有し、各部位はアミノ酸をコードするコドンである。この配置において、1つの位置当たり19の変異体を、各オリゴ核酸の3つの複製を伴う2つの位置に対して生成し、合成された114のオリゴ核酸が結果としてもたらされた。
【0163】
実施例9:複数の部位、二重の位置のオリゴ核酸変異体
【0164】
新たなオリゴ核酸合成を、実施例2に記載されるものと同様の条件下で行った。装置上の1つのクラスターを生成し、該クラスターは、1つの部位にある2つの非連続コドンの位置に対してオリゴ核酸の予め定められた合成変異体を含有し、各位置はアミノ酸をコードするコドンである。この配置において、1つの位置につき19の変異体を2つの位置に対して生成した。
【0165】
実施例10:一続きの三重の位置のオリゴ核酸変異体
【0166】
新たなオリゴ核酸合成を、実施例2に記載されるものと同様の条件下で行った。装置上の1つのクラスターを生成し、該クラスターは、3つの連続するコドン位置に対して基準のオリゴ核酸の予め定められた合成変異体を含有していた。3つの連続するコドン位置の配置において、1つの位置当たり19の変異体を、各オリゴ核酸の2つの複製を伴う3つの位置に対して生成し、合成された114のオリゴ核酸が結果としてもたらされた。
【0167】
実施例11:複数の部位、三重の位置のオリゴ核酸変異体
【0168】
新たなオリゴ核酸合成を、実施例2に記載されるものと同様の条件下で行った。装置上の1つのクラスターを生成し、該クラスターは、少なくとも3つの非連続コドン位置に対して基準のオリゴ核酸の予め定められた合成変異体を含有している。予め定めた領域内で、3つのヒスチジン残基をコードするコドンの位置を変更した。
【0169】
実施例12:複数の部位、複数の位置のオリゴ核酸変異体
【0170】
新たなオリゴ核酸合成を、実施例2に記載されるものと同様の条件下で行った。装置上の1つのクラスターを生成し、該クラスターは、一続き以上のアミノ酸の伸長における1以上のコドン位置に対して基準のオリゴ核酸の予め定められた合成変異体を含有していた。5つの位置をライブラリーにおいて変更した。第1の位置は、発現されたタンパク質において結果として生ずる50/50 K/Rの比率についてコドンをコードし;第2の位置は、発現されたタンパク質において結果として生ずる50/25/25 V/L/Sの比率についてコドンをコードし、第3の位置は、発現されたタンパク質において結果として生ずる50/25/25 Y/R/Dの比率についてコドンをコードし、第4の位置は、発現されたタンパク質における結果として生ずる全てのアミノ酸に対する等しい比率についてコドンをコードし、及び第5の位置は、発現されたタンパク質において結果として生ずる75/25 G/Pの比率についてコドンをコードした。
【0171】
実施例13:複数の異なる部位を持つCDRにおける一続きのアミノ酸
【0172】
オリゴヌクレオチドライブラリーは、実施例4−6及び8−12におけるように生成され、1つの部位又は複数の部位でのコドンの変異をコードし、そこでは変異体が各位置において予め選択される。変異体の領域は、CDRの少なくとも一部をコードする。例えば、
図10を参照。合成されたオリゴ核酸を、装置表面から放出し、プライマーとして使用することで、核酸ライブラリーが生成され、これは異なるタンパク質ライブラリーを生成するために細胞中で発現される。変異した抗体を、エピトープに対する結合親和性の増大について評価する。
【0173】
実施例14:多様なペプチドを発現するためのモジュラープラスミド構成要素
【0174】
図11に表されるように、オリゴヌクレオチドライブラリーは実施例4−6及び8−12におけるように生成され、発現構成カセットの部分を構築する別個の領域の各々に対して、1つの部位又は複数の部位にてコドンの変異をコードする。2つの構成発現カセットを生成するために、変異したオリゴ核酸を合成し、第1のプロモーター(1110)、第1のオープンリーディングフレーム(1120)、第1のターミネーター(1130)、第2のプロモーター(1140)、第2のオープンリーディングフレーム(1150)、又は第2のターミネーター配列(1160)の変異体配列の少なくとも一部をコードする。増幅の繰り返しの後、先の実施例に記載したように、1,024の発現構成のライブラリーを生成する。
【0175】
実施例15:複数の部位、1つの位置変異体
【0176】
オリゴヌクレオチドライブラリーは、実施例4−6及び8−12におけるように生成され、核酸の少なくとも一部をコードする領域において1つの部位又は複数の部位でのコドンの変異をコードする。オリゴ核酸変異体のライブラリーを生成し、ライブラリーは複数の部位、1つの位置変異体から成る。例えば、
図6Bを参照。
【0177】
実施例16:変異体ライブラリーの合成
【0178】
新たなオリゴ核酸合成を、実施例2に記載されるものと同様の条件下で行う。少なくとも30,000の異なるオリゴ核酸を新たに合成し、ここで異なるオリゴ核酸の各々は、アミノ酸配列の異なるコドン変異体をコードする。少なくとも30,000の合成された異なるオリゴ核酸は、少なくとも30,000の異なるオリゴ核酸の各々に対して予め定めた配列と比較して、1:000の塩基において1未満の合計のエラー率を有している。ライブラリーを長い核酸のPCR突然変異誘発に対して使用し、少なくとも30,000の異なる変異体核酸を形成する。
【0179】
実施例17:ウェルにおける変異体ライブラリーの合成
【0180】
新たなオリゴ核酸合成を、実施例2に記載されるものと同様の条件下で行う。装置上の1つのクラスターを生成し、該クラスターは、2つのコドン位置に対して基準のオリゴ核酸の予め定められた合成変異体を含有していた。2つの連続するコドン位置の配置において、1つの位置当たり19の変異体を、各オリゴ核酸の2つの複製を伴う2つの位置に対して生成し、結果として合成された38のオリゴ核酸がもたらされた。変異体配列は各々、長さ40の塩基である。同じクラスターにおいて、追加の非変異体オリゴ核酸配列を生成し、そこでは、追加の非変異体オリゴ核酸及び変異体核酸が、遺伝子のコード配列の38の変異体を集合的にコードする。オリゴ核酸の各々は、別のオリゴ核酸に対して逆相補性である少なくとも1つの領域を持つ。クラスターにおけるオリゴ核酸を、ガス状のアンモニア切断により放出する。水を含むピンはクラスターに接触し、オリゴ核酸を拾い上げて、オリゴ核酸を小さなバイアルへと移動させる。バイアルはまた、ポリメラーゼサイクリングアセンブリ(PCA)反応のためのDNAポリメラーゼ試薬を含む。オリゴ核酸をアニールし、伸長反応により隙間を満たし、結果として生ずる二本鎖DNA分子を形成して、変異体核酸ライブラリーを形成する。変異体核酸ライブラリーは随意に、制限酵素にさらされ、その後、発現ベクターにライゲートされる。
【0181】
実施例18:タンパク結合親和性の変化に対する変異体核酸ライブラリーのスクリーニング
【0182】
実施例16又は17に記載されるように、複数の発現ベクターを生成する。この実施例において、発現ベクターは、HISタグを付けた細菌発現ベクターである。ベクターライブラリーを細菌細胞に電気穿孔し、その後、HISタグを付けた変異体タンパク質の発現と精製のためにクローンを選択する。変異体タンパク質を、標的分子への結合親和性の変化に対してスクリーニングする。
【0183】
金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)などを使用する方法により親和性を調べ、そこでは金属イオン被覆樹脂(例えば、IDAアガロース又はNTAアガロース)を使用して、HISタグを付けたタンパク質を単離させる。ヒスチジン残基のストリング(string)が、特定の緩衝条件下でニッケル、コバルト、及び銅を含む様々なタイプの固定された金属イオンに結合するため、発現されたHisタグを付けたタンパク質を精製且つ検出することができる。一例の結合/洗浄緩衝液は、10−25mMのイミダゾールを含む、pH7.2のトリス緩衝液食塩水(TBS)から成る。IMACカラムからの捕捉されたHisタグを付けたタンパク質の溶出及び回復を、高濃度のイミダゾール(少なくとも200mM)(溶出剤)、低pH(例えば0.1Mのグリシン−HCl、pH2.5)、又は過剰な強固なキレート化剤(例えばEDTA)により達成する。
【0184】
代替的に、抗−Hisタグ抗体は、Hisタグを付けたタンパク質を単離するためのプルダウンアッセイ、又はHisタグを付けたタンパク質を検出するためのイムノブロッティングアッセイなどの、Hisタグを付けたタンパク質に関するアッセイ方法での使用に商業上利用可能なものである。
【0185】
実施例19:細胞の接着と遊走のレギュレーターに対する活性の変化についての変異体核酸ライブラリーのスクリーニング
【0186】
実施例16又は17に記載されるように、複数の発現ベクターを生成する。この実施例において、発現ベクターは、GFPタグを付けた哺乳動物発現ベクターである。ライブラリーから単離されたクローンを、哺乳動物細胞へと一時的にトランスフェクトする。代替的に、タンパク質を発現し、発現構成物を含む細胞から単離し、その後、タンパク質を更なる測定のために細胞へ送達する。GFPタグを付けた変異体発現産物の細胞局在化の変化を評価するために、免疫蛍光アッセイを行う。GFPタグを付けた変異体タンパク質発現産物の非変異体のバージョンと相互に作用する、膜貫通型タンパク質の立体構造の変化を評価するために、FACSアッセイを行う。GFPタグを付けた変異体タンパク質を発現する細胞が、細胞培養皿上の削り跡により作られた空間に侵入する能力の変化を評価するために、創傷治癒アッセイを行う。GFPタグを付けたタンパク質を発現する細胞を識別し、蛍光ソース及びカメラを使用して追跡する。
【0187】
実施例20:ウイルスの進行を阻害するペプチドについての変異体核酸ライブラリーのスクリーニング
【0188】
実施例16又は17に記載されるように、複数の発現ベクターを生成する。この実施例において、発現ベクターは、FLAGタグを付けた哺乳動物発現ベクターであり、変異体核酸ライブラリーはペプチド配列をコードする。主な哺乳動物細胞を、ウイルス性障害に苦しむ被験体から得る。代替的に、健康な被験体から得た初代細胞をウイルスに感染させる。細胞を一連のマイクロウェル皿の上に播種する。変異体ライブラリーから単離されたクローンを、細胞へと一時的にトランスフェクトする。代替的に、タンパク質を発現し、発現構成物を含む細胞から単離し、その後、タンパク質を更なる測定のために細胞へ送達する。変異体ペプチドに関連した生存の増強に対して感染細胞を評価するために、細胞生存アッセイを行う。典型的なウイルスは、限定されないが、鳥インフルエンザ、ジカウイルス、ハンタウィルス、C型肝炎、天然痘を含む。
【0189】
一例のアッセイは、ニュートラルレッド染料(細胞に加えた時、原形質膜中に拡散し、ニュートラルレッドの軽度のカチオン特性により酸性のリソソームコンパートメントに蓄積する)を使用する、ニュートラルレッド細胞毒性アッセイである。ウイルスに誘発された細胞変性により、膜の断片化、及びリソソームATP駆動性のプロトンの転位置活性の損失が引き起こされる。細胞内のニュートラルレッドの結果として生ずる減少を、マルチウェルプレートのフォーマットにおいて分光測定で評価することができる。変異体ペプチドを発現する細胞を、信号利得カラーアッセイ(gain−of−signal color assay)における細胞内のニュートラルレッドの増加により採点する。ウイルスに誘発された細胞変性を阻害するペプチドに対して細胞を評価する。
【0190】
実施例21:細胞の代謝活性を増大又は減少させる変異体タンパク質に対するスクリーニング
【0191】
細胞の代謝活性の変化を結果としてもたらす発現産物を識別するために、実施例16又は17に記載されるように複数の発現ベクターを生成する。この実施例において、発現ベクターを、一連のマイクロウェル皿上に播種された細胞に移す(例えば、トランスフェクション又は形質導入を介して)。その後、細胞を、代謝活性の1以上の変化に対してスクリーニングする。代替的に、タンパク質を発現し、発現構成物を含む細胞から単離し、その後、代謝活性を測定するためにタンパク質を細胞へ送達する。随意に、代謝活性を測定するための細胞を毒素で処理し、その後、1以上の代謝活性の変化に対してスクリーニングを行う。投与される典型的な毒素は、限定されないが、ボツリヌス毒素(免疫学上のタイプ:A、B、C1、C2、D、E、F、及びGを含む)、ブドウ球菌エンテロトキシンB、エルシニアペスティス、C型肝炎、マスタード剤(Mustard agent)、重金属、シアニド、内毒素、バシラスアンスラシス、ジカウイルス、鳥インフルエンザ、除草剤、農薬、水銀、有機リン酸エステル、及びリシンを含む。
【0192】
基礎的なエネルギー必要量は、好気的トリカルボン酸(TCA)を含む酸化的リン酸化、又はKrebサイクル、或いは嫌気的解糖による、代謝基質(例えばグルコース)の酸化に由来する。解糖が主なエネルギー源であると、細胞の代謝活性を、細胞が酸性の代謝産物(例えば乳酸塩、CO2)を分泌する速度をモニタリングすることにより推定することができる。好気的代謝の場合、細胞外の酸素の消費及び酸化遊離基の産生は、細胞のエネルギー必要量を反映する。細胞内の酸化還元電位を、NADH及びNAD
+の自動蛍光測定により測定することができる。細胞により放出されるエネルギー量、例えば熱量は、標準の設定下で消費される酸素の量(例えば4.8kcal/lのO
2)から予測できる代謝中に生成及び/又は消費される物質に対する分析値に由来する。熱産生と酸素利用との間の結合を、毒素により妨害することができる。直接のマイクロカロリメトリーは、熱により単離されたサンプルの温度上昇を測定する。故に、酸素消費量の測定と組み合わせる時、カロリメトリーを使用して、毒素の脱共役活性を検出することができる。
【0193】
代謝活性の様々なマーカーにおける変化を測定するための様々な方法及び装置が、当該技術分野で知られている。例えば、そのような方法、装置、及びマーカーは、その全体において引用により本明細書に組み込まれる米国特許第7,704,745号で議論されている。簡潔に、以下の特徴の何れかの測定が、各細胞集団に対して記録される:グルコース、乳酸塩、CO
2、NADHとNAD
+の比率、熱、O
2消費、及び遊離基産生。スクリーニングされる細胞は、肝実質細胞、マクロファージ、又は神経芽腫細胞を含み得る。スクリーニングされる細胞は、細胞株、被験体からの初代細胞、又はモデル系(例えばマウスモデル)からの細胞であり得る。
【0194】
単細胞、又はマルチウェルプレートのチャンバ内にある細胞の集まりの酸素消費速度の測定のための様々な技術が、利用可能である。例えば、細胞を含むチャンバは、温度、電流、又は蛍光の変化を記録するためのセンサ、同様に、蛍光をモニタリングするために各チャンバに結合される光学系、例えばファイバー結合光学系を備え得る。この実施例において、各チャンバは、照明ソースがチャンバ内部の分子を刺激するための窓を持つ。ファイバー結合光学系は、細胞内のNADH/NAD比率及び電圧を測定するために自己蛍光を、及び、膜間電圧及び細胞内のカルシウムを判定するためにカルシウムに敏感な染料を検出することができる。加えて、CO
2及び/又はO
2に敏感な蛍光染料シグナルの変化が検出される。
【0195】
実施例22:癌細胞の選択的な標的化についての変異体核酸ライブラリーのスクリーニング
【0196】
実施例16又は17に記載されるように、複数の発現ベクターを生成する。この実施例において、発現ベクターは、FLAGタグを付けた哺乳動物発現ベクターであり、変異体核酸ライブラリーはペプチド配列をコードする。変異体ライブラリーから単離されたクローンを、癌細胞及び非癌細胞へと別個に、一時的にトランスフェクトする。細胞生存及び細胞死のアッセイを、癌細胞と非癌細胞の両方に対して行い、その各々が、変異体核酸(variant nucleic)によりコードされる変異体ペプチドを発現する。変異体ペプチドに関連する選択的な癌細胞の死滅に対して細胞を評価する。癌細胞は随意に、癌と診断された被験体からの癌細胞株又は原発性癌細胞である。癌と診断された被験体からの原発性癌細胞の場合、スクリーニングアッセイにおいて識別された変異体ペプチドが随意に、被験体への投与のために選択される。代替的に、タンパク質を発現し、タンパク質発現構成物を含む細胞から単離し、その後、タンパク質を更なる測定のために癌細胞及び非癌細胞へ送達する。
【0197】
本開示の好ましい実施形態が本明細書中で示され且つ記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。多数の変形、変更、及び置き換えは、本開示から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載される開示の実施形態の様々な代案が、本開示の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、これら特許請求の範囲及びその同等物の範囲内の方法及び構造は、それにより包含されることが、意図されている。