特許第6982386号(P6982386)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982386
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】建築板
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20211206BHJP
   E04F 13/14 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   E04F13/08 E
   E04F13/14 102Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-198382(P2016-198382)
(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公開番号】特開2018-59347(P2018-59347A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年8月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田井 信博
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−196198(JP,A)
【文献】 実開昭52−088230(JP,U)
【文献】 特開2000−000808(JP,A)
【文献】 特開2012−246619(JP,A)
【文献】 特開2002−036378(JP,A)
【文献】 特開2013−040554(JP,A)
【文献】 特開平10−159308(JP,A)
【文献】 特開2000−034820(JP,A)
【文献】 特開2014−234641(JP,A)
【文献】 特開2000−257214(JP,A)
【文献】 特開平01−285344(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3196307(JP,U)
【文献】 特開昭48−050950(JP,A)
【文献】 特公昭47−030917(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00−13/30
B32B 1/00−43/00
E04C 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に、それぞれ立体的な形状を有する複数の立体形状部が集合してなる立体形状部群、及び表面が平坦に形成されている平面状凸部が形成された建築板であって、
前記各立体形状部は、
前記基材の表面に規定された基準面上に位置する多角形状の輪郭と、
前記輪郭に囲まれた領域内における前記基準面の法線上で、かつ前記基準面とは異なる高さに位置する一点と、
前記輪郭を構成する一辺の両端の点と前記一点との三つの点を結ぶ三角形で囲まれた面を複数有し、前記複数の面が前記輪郭を構成するすべての辺に対応して設けられた側周面と
を備え、
前記立体形状部群は、前記立体形状部として、前記基準面から突出した角錐状の凸部を含み、
前記角錐状の凸部は、前記複数の面が塗装により塗り分けられたものではなく、光が照射された際に前記立体形状部に現れる陰の濃淡は3段階以上であり、
前記平面状凸部は、前記基材の表面のうち前記立体形状部群を囲み、
前記角錐状の凸部は、前記平面状凸部の平坦な面よりも低く形成されている
ことを特徴とする建築板。
【請求項2】
前記基材の表面に複数の前記立体形状部群が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建築板。
【請求項3】
前記立体形状部群中の複数の前記輪郭が格子状をなしている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建築板。
【請求項4】
前記基材は、矩形板状をなしており、
前記基材の表面には、複数の前記立体形状部群が形成されており、
前記複数の立体形状部群は、前記輪郭が矩形状をなし且つ平行な二辺が前記基材の一辺と平行である立体形状部群、及び、前記輪郭が矩形状をなし且つ対角線が前記基材の一辺と平行である立体形状部群の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の建築板。
【請求項5】
前記立体形状部群は、前記立体形状部として、前記基準面から突出した角錐状の凸部、及び、前記基準面から凹んだ凹部の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の建築板。
【請求項6】
前記立体形状部群は、前記立体形状部として、
前記基準面から突出し、かつすべて同じ高さ寸法に形成された複数の角錐状の凸部と、
前記基準面から凹み、かつすべて同じ深さ寸法に形成された複数の凹部と
の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の建築板。
【請求項7】
前記立体形状部群は、前記立体形状部として、
前記基準面から突出した角錐状の凸部と、
前記基準面から凹んだ凹部と
を含んでおり、
前記立体形状部群内の前記凸部と前記凹部とは、それぞれの前記輪郭が一辺を共有した状態で隣接しており、
互いに隣接する前記凸部の面と前記凹部の面とが連続している
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の建築板。
【請求項8】
前記立体形状部群の領域内には、前記基準面と同一高さであって該基準面と平行な平坦面が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の建築板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の建築板が開示されている。この特許文献1記載の建築板は、基材表面に、複数の凹条部により区画された複数の凸条部が形成されている。この複数の凸条部の表面には、印刷またはインクジェットによる塗装がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−141942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の建築板は、塗装による多種多様なデザインにて、他の商品との差別化が図られるのが一般的である。
【0005】
しかしながら、従来の建築板では、基材表面が単純な形状に過ぎないため、塗装のみのデザインでは、他の商品と差別化を図ることが難しくなってきている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、建築板において、基材の表面の形状を利用して表現する新たなデザインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の建築板は、基材の表面に、それぞれ立体的な形状を有する複数の立体形状部が集合してなる立体形状部群、及び表面が平坦に形成されている平面状凸部が形成された建築板であって、前記各立体形状部は、前記基材の表面に規定された基準面上に位置する多角形状の輪郭と、前記輪郭に囲まれた領域内における前記基準面の法線上で、かつ前記基準面とは異なる高さに位置する一点と、前記輪郭を構成する一辺の両端の点と前記一点との三つの点を結ぶ三角形で囲まれた面を複数有し、前記複数の面が前記輪郭を構成するすべての辺に対応して設けられた側周面とを備え、前記立体形状部群は、前記立体形状部として、前記基準面から突出した角錐状の凸部を含み、前記角錐状の凸部は、前記複数の面が塗装により塗り分けられたものではなく、光が照射された際に前記立体形状部に現れる陰の濃淡は3段階以上であり、前記平面状凸部は、前記基材の表面のうち前記立体形状部群を囲み、前記角錐状の凸部は、前記平面状凸部の平坦な面よりも低く形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、この建築板において、前記基材の表面に複数の前記立体形状部群が形成されていることが好ましい。
【0009】
また、この建築板において、前記立体形状部群中の複数の前記輪郭が格子状をなしていることが好ましい。
【0010】
また、この建築板において、前記基材は、矩形板状をなしており、前記基材の表面には、複数の前記立体形状部群が形成されており、前記複数の立体形状部群は、前記輪郭が矩形状をなし且つ平行な二辺が前記基材の一辺と平行である立体形状部群、及び、前記輪郭が矩形状をなし且つ対角線が前記基材の一辺と平行である立体形状部群の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0011】
また、この建築板において、前記立体形状部群は、前記立体形状部として、前記基準面から突出した角錐状の凸部、及び、前記基準面から凹んだ凹部の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0012】
また、この建築板において、前記立体形状部群は、前記立体形状部として、前記基準面から突出した角錐状の凸部を含み、前記凸部は、前記基材の表面のうち前記立体形状部群以外の領域よりも低く形成されていることが好ましい。
【0013】
また、この建築板において、前記立体形状部群は、前記立体形状部として、前記基準面から突出し、かつすべて同じ高さ寸法に形成された複数の角錐状の凸部と、前記基準面から凹み、かつすべて同じ深さ寸法に形成された複数の凹部との少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0014】
また、この建築板において、前記立体形状部群は、前記基準面から突出した角錐状の凸部と、前記基準面から凹んだ凹部とを含んでおり、前記立体形状部群内の前記凸部と前記凹部とは、それぞれの前記輪郭が一辺を共有した状態で隣接しており、互いに隣接する前記凸部の面と前記凹部の面とが連続していることが好ましい。
【0015】
また、この建築板において、前記立体形状部群の領域内には、前記基準面と同一高さであって該基準面と平行な平坦面が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の建築板によれば、複数の面が互いに異なる方向に臨んでいるため、この建築板を設置した状態では、各立体形状部に生じる陰の濃淡に変化を与えることができる。この結果、基材表面の形状により生じる陰によって、新たなデザインを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る実施形態1の建築板の正面図である。
図2】同上の第1の立体形状部群の拡大図である。
図3図3Aは、同上の第2の立体形状部群の拡大図である。図3Bは、図3Aに補助線および凸部に相当する箇所に網掛けを記入した説明図である。
図4図4Aは、図3AにおけるA−A線で断面した斜視図である。図4Bは、図4Aに補助線および凸部に相当する箇所に網掛けを記入した説明図である。
図5図5Aは、本発明に係る実施形態2の建築板の立体形状部群の斜視図である。図5Bは、図5Aに補助線および凸部に相当する箇所に網掛けを記入した説明図である。
図6図6Aは、他例の立体形状部群の拡大図である。図6Bは、さらに他例の立体形状部群の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0019】
〔実施形態1〕
本実施形態の建築板は、図1に示すように、外壁材であり、例えば、窯業系サイディング材により構成されている。本実施形態の建築板は、横張り(横長状態での設置)および縦張り(縦長状態での設置)のいずれにも対応可能であるが、以下においては、横張りされた状態に基づいて説明する。したがって、上下方向に平行な方向を幅方向とし、左右方向に平行な方向を長さ方向として定義し、幅方向および長さ方向に直交する方向を前後方向として定義する。また、建築板において前後方向に直交する平面を主面という場合がある。なお、図1等の基材1の表面に表れる濃淡は、塗装により塗り分けられたものではなく、表面に表れた陰影によるものである。
【0020】
建築板は、基材1により主体が構成されている。基材1は、塗装される前の成形体であり、例えば、窯業系の基材により構成される。基材1の表面には、図1に示すように、幅方向に延びた疑似目地(以下、縦目地11)と、長さ方向に延びた疑似目地(以下、横目地12)とにより区画された複数の矩形状凸部13が形成されている。これら複数の矩形状凸部13と目地11,12とは、例えば、プレス金型を用いて、基材1の表面に凹凸形状を形成することで構成されている。
【0021】
本実施形態の建築板は、複数の矩形状凸部13として、平面状凸部131と、立体形状部群132とを備えている。平面状凸部131は、前面が平坦に形成されている。立体形状部群132は、前面に複数の立体形状部22,31が集合して構成されている。本実施形態の建築板は、立体形状部群132として、2種類の立体形状部群132(第1の立体形状部群2,第2の立体形状部群3とする)を備えている。
【0022】
図2には第1の立体形状部群2の拡大図を示す。第1の立体形状部群2は、複数の平面部21と複数の立体形状部22とを備えている。これら平面部21と立体形状部22とは、基準面を基準に形成されている。ここで、基準面は、前後方向に直交する平面状の仮想面であり、本実施形態では、平面状凸部131の前面よりも後方で、かつ目地11,12の底面よりも前方の位置に規定されている。
【0023】
平面部21は、基準面と高さが一致し且つ基準面に平行な平坦面により構成されており、基準面に正対する方向にみて(以下、正面視という)ひし形(基材1の長さ方向に対し45°傾いた正方形、言い換えると、一の対角線が基材1の長さ方向に平行な正方形)に形成されている。また、平面部21は、基準面に対して、同一平面上に位置している。平面部21は、第1の立体形状部群2の上下方向の中央部に配置されており、左右方向(基材1の長さ方向)に並んで複数配置されている。すなわち、平面部21は、第1の立体形状部群2の領域内に形成されている。
【0024】
立体形状部22は、基準面上に立体的に形成された形状をなす部分である。第1の立体形状部群2における立体形状部22は、基準面から前方に突出した角錐状の凸部23により構成されている。本実施形態の角錐状の凸部23は、具体的には四角錐状の凸部であり、平面部21と同様に、正面視ひし形(基材1の長さ方向に対し45°傾いた正方形)に形成されている。この凸部23は、基準面上に輪郭24を有している。
【0025】
輪郭24は、立体形状部22の外縁を規定する線であり、隣接する凸部23同士の間の谷線のみ、あるいは、平面部21と凸部23との間の境界線と、隣接する凸部23同士の間の谷線とで構成されており、つまり、角度の異なる複数の面の交線であって、基準面上に位置する線により構成されている。輪郭24は、ひし形をなしており、各辺が基材1の長さ方向に対して45°または135°傾斜している。正面視において、輪郭24に囲まれた領域には、凸部23の頂点251が位置している。
【0026】
頂点251は、基準面に対して凸部23上の最も離れた点であり、基準面の法線上の一点により構成される。言い換えると、頂点251は、輪郭24が形成する図形の中心を通り且つ基準面に直交する線分の端点25により構成される。頂点251は、平面視において、輪郭24により形成される図形の中心(図心)に位置し、且つ、基準面の前方に位置している。また、基準面に対する頂点251の高さ寸法(基準面と端点25との距離)は、基準面に対する平面状凸部131の前面の高さ寸法よりも低く形成されており、すなわち、凸部23は、第1の立体形状部群2以外の領域である平面状凸部131よりも低く形成されている。さらに、第1の立体形状部群2における凸部23は、すべてが同じ高さ寸法に形成されている。
【0027】
凸部23は、複数の傾斜面261を有しており(本実施形態では4つ)、該複数の傾斜面261により構成された側周面26を備えている。傾斜面261は、輪郭24の複数の辺のうちの一辺の両端の点と、頂点251との3つの端点を結ぶ三角形で囲まれた面であり、基準面に対して傾斜している。傾斜面261は、輪郭24のすべての辺に対応して形成されており、隣り合う傾斜面261同士が互いに異なる方向に臨んでいる。
【0028】
このような構成の複数の凸部23は、輪郭24の辺に平行な方向に並設されている。この複数の凸部23の並設方向は、基材1の長さ方向に対して45°傾いており、輪郭24の対角線が基材1の一辺と平行である。隣り合う凸部23同士は、輪郭24の一辺を共有した状態で隣接している。複数の凸部23と平面部21とは、複数の凸部23の並設方向に並んでおり、これにより、第1の立体形状部群2全体では、輪郭24が格子状をなしている。
【0029】
このように第1の立体形状部群2は、各立体形状部22が、互いに異なる方向に臨む複数の傾斜面261により構成されている。このため、建築板を設置した状態において、太陽光や照明光等の光源から光が照射されると、各凸部23に現れる陰の濃淡が、3段階以上となる。つまり、光源に臨む傾斜面261が最も明るくなり、次に光源に近い傾斜面261が2番目に明るくなる、というように、立体形状部22に複数の濃淡が現れる。したがって、陰による表現が複雑になり、従来にない新たなデザインを形成することが可能となる。それに併せて、立体形状部22により影も生じるため、より複雑な表現をすることができる。
【0030】
図1,2は、建築板に前方且つ左上から光が照射された状態を示している。凸部23の側周面は、左上に位置する第1傾斜面261aと、左下側に位置する第2傾斜面261bと、右上側に位置する第3傾斜面261cと、右下側に位置する第4傾斜面261dと、によって構成されている。
【0031】
そして、第1傾斜面261aは、右下側に向かって前方に傾斜しているため、その法線方向と光の入射方向とのなす角度が最も小さく、その受光量が最も大きくなる。したがって、反射光の強度が最も大きくなり、結果として、第1傾斜面261aが最も明るくなる。次いで、第2傾斜面261b及び第3傾斜面261cは、各法線方向と光の入射方向とのなす角度が第1傾斜面261aの次に小さく、結果として、第2傾斜面261b及び第3傾斜面261cが第1傾斜面261aの次に明るくなる。最後に、第4傾斜面261dは、左上側に向かって前方に傾斜しているため、その法線方向と光の入射方向とのなす角度が最も大きく、その受光量が最も小さくなる。したがって、反射光の強度が最も小さくなり、結果として、第4傾斜面261dが最も暗くなる。以上より、これら傾斜面261a〜261dは、この順番に不連続且つ段階的に陰が濃くなる。
【0032】
そして、このように段階的な陰影を表現する凸部23が規則正しく並ぶことにより、濃度の異なる陰影が幾何学的に配列され、統一感のある陰影模様を表現することができる。
【0033】
しかも、第1の立体形状部群2の各凸部23は、平面状凸部131に囲まれている上に、平面状凸部131よりも低く形成されている。このため、運搬時や保管時等に、建築板を重ねても、凸部23が欠けてしまうのを抑制することができる。
【0034】
次に、第2の立体形状部群3について説明する。図3A,3Bには第2の立体形状部群3の拡大図を示し、図4A,4Bには、図3におけるA−B線断面の斜視図を示す。ここで、図3Bは、図3Aにおいて輪郭33や稜線に相当する箇所に補助線を記入し、凸部32に相当する箇所に網掛けを記入した図である。また、図4Bは、図4Aにおいて輪郭33や稜線に相当する箇所に補助線を記入し、凸部32に相当する箇所に網掛けを記入した図である。
【0035】
第2の立体形状部群3は、複数の立体形状部31として、複数の凸部32と、複数の凹部36とを備えている。複数の凸部32は、基材1の長さ方向に並んで形成されている。また、複数の凹部36も、基材1の長さ方向に並んで形成されている。凸部32と凹部36とは、基材1の幅方向に交互に並んで形成されている。
【0036】
凸部32は、第1の立体形状部群2と同様、輪郭33と、頂点341(端点34)と、複数の傾斜面351からなる側周面35とを備えている。輪郭33と頂点341との関係は、第1の立体形状部群2の凸部23と同じである。
【0037】
凸部32は、図4に示すように、基準面に対して前方に突出しており、平面視において、基材1の長さ方向に平行な方向に長手方向を有する長方形状に形成されている。凸部32は、基準面上に、矩形状の輪郭33を有している。凸部32の輪郭33は、平行な二辺が基材1の一辺と平行となるように形成されている。凸部32は、図3A,Bに示すように、頂点341が長方形状の輪郭33により形成される図形の中心に位置しており、四角錐状に形成されている。
【0038】
凹部36は、図4に示すように、基準面に対して後方に凹んだ空間を形成する。凹部36は、凸部32の輪郭33と同一の輪郭33を有しており、該輪郭33は、基材1の長さ方向に平行な方向を長辺とする矩形状に形成されている(つまり、凹部36の輪郭33のうちの平行な二辺は基材1の一辺に平行である)。凹部36の下端部371は、基準面に対して凹部36の表面の最も離れた点であり、凹部36の輪郭33により形成される図形の中心を通る基準面の法線上の一点により構成される。言い換えると、凹部36の下端部371は、輪郭33が形成する図形の中心を通りかつ基準面に直交する線分の端点37により構成される。凹部36の下端部371は、基準面の後方に位置している。
【0039】
凹部36は、複数の傾斜面381を有しており(本実施形態では4つ)、該複数の傾斜面381により構成された側周面38を備えている。凹部36を構成する傾斜面381は、輪郭33の複数の辺のうちの一辺の両端の点と、下端部371との3つの点を結ぶ三角形で囲まれた三角形状の面であり、基準面に対して傾斜している。傾斜面381は、輪郭33のすべての辺に対応して形成されており、水平方向に隣り合う傾斜面381同士が互いに異なる方向に臨んでいる。
【0040】
凸部32と凹部36は、輪郭33の一辺を共有した状態で、基材1の幅方向に隣接している。図4に示すように、凸部32の複数の傾斜面351のうちの凹部36に隣接する傾斜面351は、凹部36の複数の傾斜面381のうちの当該凸部32に隣接する傾斜面381と連続している。とりわけ、本実施形態において、凸部32の傾斜面351は、当該傾斜面351に隣接する凹部36の傾斜面381に対し、略同一の傾斜角度を有している。
【0041】
なお、ここでいう「連続」とは、段差無く接続されていることを意味しており、凸部32の傾斜面351と凹部36の傾斜面381との傾斜角度は必ずしも同一である必要はない。
【0042】
ここで、図3Aは、図1,2と同様に、建築板に前方且つ左上から光が照射された状態を示している。
【0043】
凸部32の側周面は、上側に位置する第1傾斜面351aと、左右両側に位置する第2傾斜面351b及び第3傾斜面351cと、下側に位置する第4傾斜面351dと、によって構成されている。第1傾斜面351aは、下側に向かって前方に傾斜しているため、その法線方向と光の入射方向とのなす角度が最も小さく、受光量が最も大きくなる。したがって、反射光の強度が最も大きくなり、結果として、第1傾斜面351aが最も明るくなる。次に、第2傾斜面351b及び第3傾斜面351cは、各法線方向と光の入射方向とのなす角度が第1傾斜面351aの次に小さく、結果として、第2傾斜面351b及び第3傾斜面351cが第1傾斜面351aの次に明るくなる。なお、これら第2傾斜面351b及び第3傾斜面351cは、傾斜角度が異なるため、陰の濃さが若干異なる。最後に、第4傾斜面351dは、上側に向かって前方に傾斜しているため、その法線方向と光の入射方向とのなす角度が最も大きく、その受光量が最も小さくなる。したがって、反射光の強度が最も小さくなり、結果として、第4傾斜面351dが最も暗くなる。以上より、これら傾斜面351a〜351dは、この順番に不連続且つ段階的に陰が濃くなる。
【0044】
凹部36の側周面は、下側に位置する第1傾斜面381aと、左右両側に位置する第2傾斜面381b及び第3傾斜面381cと、上側に位置する第4傾斜面381dと、によって構成されている。第1傾斜面381aは、下側に向かって前方に傾斜しているため、その法線方向と光の入射方向とのなす角度が最も小さく、受光量が最も大きくなる。したがって、反射光の強度が最も大きくなり、結果として、第1傾斜面381aが最も明るくなる。次に、第2傾斜面381b及び第3傾斜面381cは、各法線方向と光の入射方向とのなす角度が第1傾斜面381aの次に小さく、結果として、第2傾斜面381b及び第3傾斜面381cが第1傾斜面381aの次に明るくなる。なお、これら第2傾斜面381b及び第3傾斜面381cは、傾斜角度が異なるため、陰の濃さが若干異なる。最後に、第4傾斜面381dは、上側に向かって前方に傾斜しているため、その法線方向と光の入射方向とのなす角度が最も大きく、その受光量が最も小さくなる。したがって、反射光の強度が最も小さくなり、結果として、第4傾斜面381dが最も暗くなる。以上より、これら傾斜面381a〜381dは、この順番に不連続且つ段階的に陰が濃くなる。
【0045】
そして、凸部32の上下両側に凹部36が設けられ、凸部32の最も明るい第1傾斜面351aの上側に凹部36の最も明るい第1傾斜面381aが連続して隣接し、凸部32の最も暗い第4傾斜面351dの下側に凹部36の最も暗い第4傾斜面381dが連続して隣接している。第1傾斜面351a及び第1傾斜面381aは同一の二等辺三角形状をなし、長辺を共有している。したがって、これら2面により、最も明るいひし形が形成される。また、同様に、第4傾斜面351d及び第4傾斜面381dは同一の二等辺三角形状をなし、長辺を共有している。したがって、これら2面により、最も陰の濃いひし形が形成される。
【0046】
一方、凸部32は左右方向に並べられており、第2傾斜面351bと第3傾斜面351cとが隣り合っている。そして、これら傾斜面351b,351cは、上記の如く、陰の濃さが若干異なるため、二等辺三角形の面が左右に並ぶように認識される。同様に、凹部36も左右方向に並べられており、第2傾斜面381b及び第3傾斜面381cによって形成される二等辺三角形の面が左右に並ぶように認識される。
【0047】
このように第2の立体形状部群3も、第1の立体形状部群2と同様、各立体形状部31が、互いに異なる角度(基準面に対する角度)の複数の傾斜面351,381により構成されているため、陰の濃淡による表現を多様にすることができる。特に、第2の立体形状部群3は、凸部32と凹部36との隣り合う傾斜面351,381が連続しているため、この部分について、看者に対して、ひし形状の面として認識されることになる。したがって、第2の立体形状部群3は、図3に示すように、濃淡の異なる三角状の面が多数現れる上に、三角状の面と、ひし形状の面とが混在して認識され、したがって、単純な形状であるにもかかわらず、看者に対し複雑な形状として認識させることができる。
【0048】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2について図5A,Bに基づいて説明する。なお、本実施形態は、実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0049】
本実施形態の建築板は、図5A,Bに示す立体形状部群132が基材1の表面の一部に形成された建築板である。この立体形状部群132は、1つの基材1に対して複数箇所に形成されている。本実施形態の建築板は、実施形態1と同様、窯業系の基材により構成されている。なお、図5Bには、図5Aに対して輪郭43および稜線を示す補助線と、凸部41に相当する箇所に網掛けを記入した図を示す。
【0050】
立体形状部群132は、複数の凸部41と、複数の凹部42とを備えている。凸部41の輪郭43、および、凹部42の輪郭43は、いずれも、ひし形状に形成されており、輪郭43の対角線が基材1の一辺と平行である。立体形状部群132全体に形成される輪郭43は格子状をなしている。
【0051】
複数の凸部41は、隣り合った状態で並設されている(この列を凸部列5という)。この凸部列5の並設方向は、基材1の長さ方向に対して45°傾いている。凸部列5には、凸部41と凹部42とが繰り返し形成された列(凹凸列6という)が隣接している。この凹凸列6は、凸部41と凹部42とが輪郭43の一辺を共有した状態で隣接している。凹凸列6は、基材1の長さ方向に対して45°傾いており、凹凸列6の長さ方向に直交し且つ基準面に沿う方向に、凸部列5が隣接して形成されている。
【0052】
このように、本実施形態の建築板は、実施形態1の建築板と同じように、立体形状部4として、四角錐状の凸部41と、四角錐状の凹部42とを備えているが、凸部41と凹部42の配置を、実施形態1の建築板とは異ならせている。
【0053】
これによれば、凸部41と凹部42との配置を異ならせるだけで、看者に対し、実施形態1の建築板とは別異のデザインとして認識させることができる。この結果、デザインバリエーションを多様に形成することができる。
【0054】
〔効果〕
以上、説明したように、上記実施形態1,2の建築板は、基材1の表面に複数の立体形状部4,22,31が集合してなる立体形状部群132が形成された建築板である。各立体形状部4,22,31は、基材1の表面に規定された基準面上に位置する多角形状の輪郭24,33,43と、輪郭24,33,43に囲まれた領域内における基準面の法線上で、かつ基準面とは異なる高さに位置する一つの端点25,34,37と、側周面26,35,38とを備えている。側周面26,35,38は、輪郭24,33,43の一辺の両端の点と、前記一点(端点25,34,37)との3つの点を結ぶ三角形で囲まれた面(傾斜面261,351,381)を複数有しており、この複数の面(傾斜面261,351,381)が輪郭24,33,43を構成する複数の辺に対応して設けられている。
【0055】
この構成によれば、複数の面(傾斜面261,351,381)が互いに異なる方向に臨んでいるため、設置した状態では、各立体形状部4,22,31に生じる陰の濃淡に変化を与えることができる。この結果、基材1の表面の形状により生じる陰によって、新たな外観を形成することができる。
【0056】
また、上記実施形態1,2の建築板は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の建築板は、基材1の表面に複数の立体形状部群132が形成されている。
【0057】
この構成によれば、1つの建築板において、多くの箇所で陰の濃淡による変化を与えることができる。
【0058】
また、上記実施形態1,2の建築板は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の建築板は、複数の立体形状部4,22,31の輪郭24,33,43が格子状をなしている。
【0059】
この構成によれば、規則性のある整然な印象を与えつつも、多様な陰影を利用したデザインを形成することができる。
【0060】
また、上記実施形態1,2の建築板は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の建築板において、基材1は、矩形板状をなしている。基材1の表面には、複数の立体形状部群132が形成されている。複数の立体形状部群132は、輪郭24,33,43が矩形状をなし且つ平行な二辺が基材1の一辺と平行である立体形状部群132、及び、輪郭24,33,43が矩形状をなし且つ対角線が基材1の一辺と平行である立体形状部群132の少なくとも一方を含む。
【0061】
この構成によれば、より一層、規則性のある整然な印象を与える建築板とすることができる。
【0062】
また、上記実施形態1,2の建築板は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の建築板は、立体形状部群132が、基準面から突出した角錐状の凸部23,32,41、及び、基準面から凹んだ凹部36,42の少なくとも一方を含む。
【0063】
この構成によれば、凸部23,32,41を含む建築板にあっては、凸部23,32,41に生じる陰の濃淡に加えて、凸部23,32,41により形成される影も相まって、基材1による陰影の表現に変化を与えることができる。凹部36,42を含む建築板にあっては、角錐状の凹部36,42によって模様を形成することができ、影を抑制しつつも陰の濃淡を強調した外観を形成することができる。
【0064】
また、上記実施形態1,2の建築板は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の建築板において、立体形状部群132は、基準面から突出した角錐状の凸部23,32,41を含む。凸部23,32,41は、基材1の表面のうち立体形状部群132以外の領域よりも低く形成されている。
【0065】
この構成によれば、運搬時や保管時等に、建築板を重ねても、凸部23,32,41が欠けてしまうのを抑制することができる。
【0066】
また、上記実施形態1,2の建築板は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の建築板において、立体形状部群132は、すべて同じ高さ寸法に形成された複数の角錐状の凸部23,32,41と、すべて同じ深さ寸法に形成された複数の凹部36,42との少なくとも一方を含む。
【0067】
この構成によれば、建築板に現れる陰影を均一なものとすることができ、統一感のある陰影を表現することができる。
【0068】
また、上記実施形態1,2の建築板は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の建築板は、凸部32,41と凹部36,42とは、輪郭33,43の一辺を共有した状態で隣接しており、凸部32,41と凹部36,42との互いに隣接する傾斜面351,381が連続している。
【0069】
この構成によれば、凸部32,41と凹部36,42との互いに隣接する傾斜面351,381が、同じような濃淡を有する陰を形成するため、看者に対し、他の傾斜面351,381とは異なる形状に認識させることができる。
【0070】
また、上記実施形態1,2の建築板は、次の付加的な構成を備える。すなわち、上記実施形態の建築板において、立体形状部群132の領域内には、基準面と同一高さであって該基準面と平行な平坦面が形成されている。
【0071】
この構成によれば、立体形状部4,22,31の立体感を目立たせることができる。
【0072】
〔応用〕
上記実施形態において各立体形状部4,22,31は、四角錐状の凸部23,32,41または凹部36,42により形成されたが、例えば、図6Aに示すような三角錐状の凸部71や、図6Bに示すような五角錐状の凸部72であってもよい。また、これらは凹部であってもよい。すなわち、立体形状部群132は、角錐状の凸部または凹部が集合して形成されていればよい。
【0073】
また、上記実施形態では、頂点251,341および下端部371が、輪郭24,33,43により形成される図形の中心を通る基準面の法線上に位置するが、これに限定されず、輪郭24,33,43に囲まれた領域内における基準面の法線上に位置すればよい。このとき、「輪郭24,33,43に囲まれた領域内」として、輪郭線上を含むものとする。
【0074】
上記実施形態は外壁であったが、それに限定されず、例えば、内壁材に適用してもよいし、室内の間仕切りに適用してもよい。また、屋根に適用してもよい。
【0075】
上記実施形態の建築板は、窯業系のサイディング材であったが、金属サイディング材であってもよい。また、塗装については、無くてもよく、塗装の有無は限定されない。
【0076】
上記実施形態では、立体形状部群132として、凸部23と平面部21とで構成された例、凸部32と凹部36とで構成された例を説明したが、例えば、複数の凸部のみで構成されてもよいし、複数の凹部のみで構成されてもよい。
【0077】
その他、上記実施形態の構成は、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、適宜設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0078】
1 基材
132 立体形状部群
22,31 立体形状部
23,32,41 凸部
24,33,43 輪郭
25,34,37 端点(一点)
26,35,38 側周面
261,351,381 傾斜面(三角形で囲まれた面)
36,42 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6