(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記属性情報の各々は、電波の強度、照度、音圧、磁束密度、気圧、風速、温度、湿度、紫外線量、放射線量、及び特定の物質の濃度のうちの2つ以上の組み合わせである、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1を用いて実施形態に係る情報処理システム1について説明する。情報処理システム1は、情報処理装置100、位置測位ポイント(200A、200B、200C)、アクセスポイント(300A、300B、300C)、タグ400、及び端末500を有する。
【0012】
情報処理システム1内の装置の各々は、ネットワーク2を介して相互にデータの送受信を行う。ネットワーク2は、有線の部分と無線の部分とを含む。以降、同一の種類の装置等のうちの任意の装置等について記載する場合には、装置000A、装置000B等と記載せず、単に装置000と記載する。
【0013】
情報処理システム1は、領域10内に存在する作業者60の端末500が、領域10内のいずれの作業エリア(20A、20B、20C)に存在するかを管理するシステムである。領域10は、工場等の施設を含む領域であり、作業エリア20は、領域10に含まれている。作業エリア20は、作業者60が所定の作業を行うエリアである。
【0014】
アクセスポイント300から送信される電波により電波エリア30が、形成される。電波エリア30は、アクセスポイント300から送信される電波の強度(dB)が、所定の品質以上であるエリアである。電波の強度は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)等により表される。作業エリア20と電波エリア30とは、少なくとも一部が重複している。
【0015】
作業エリア20内には、大型の構造物(40A、40B、40C)が設置されている。大型の構造物40とは、例えば、船舶、航空機、及びこれらの一部分等である。大型の構造物40は、金属で形成されている場合が多い。アクセスポイント300からの送信される電波は、大型の構造物40の影響を受け、反射したり、遮蔽されたりするため、電波エリア30は、アクセスポイント300から所定の範囲に均一に形成されない。
【0016】
作業者60の端末500が領域10内のいずれの作業エリア20に存在するかを適切に特定するために、作業エリア20内の属性を測定する測定者50は、タグ400及び端末500を用いて作業エリア20内の測定位置の属性を予め測定する。
【0017】
測定された属性に関する情報(以下、属性情報)は、情報処理装置100に通知される。情報処理装置100は、通知された属性情報を作業エリア20と対応付けて記憶する。対応付けの方法については後述する。
【0018】
属性情報とは、例えば、アクセスポイント300からの電波の強度(例えば、ビーコン信号の強度)、作業エリア20内の明るさを示す照度(lux)、作業エリア20内の騒音の大きさを示す騒音レベル(dB)、作業エリア20内の気圧(Pa)、作業エリア20内に発生する磁気の強さを示す磁束密度(Gauss)、風速(m/s)、温度(℃)、湿度(g/m3)、紫外線量(mW/cm2)、放射線量(Bq)、及び特定の物質の濃度(ppm)等である。ここで、特定物質とは、例えば、人間に臭いを感知されるアンモニア、及び硫化水素等である。属性情報として騒音レベル(dB)に代えて、音圧(Pa)が測定されてもよい。なお、属性情報は、上述した属性情報に限定されないことは勿論である。
【0019】
情報処理装置100は、一般的なサーバ等により実現される。情報処理装置100は、作業者60に携帯されている端末500から属性情報を取得すると、記憶されている作業エリア20と属性情報との対応付けを基に、端末500の存在する作業エリア20を特定する。
【0020】
位置測位ポイント200は、UWB(Ultra WideBand)の基地局、又はLRF(Laser Range Finder)の基地局等により実現される。位置測位ポイント200と、タグ400との間で送受信される信号のタイミング差等を基に、タグ400の位置は特定される。作業エリア20内に複数の位置測位ポイントが設けられてもよい。この場合、タグ400と、位置測位ポイントの各々との間で送受信される信号のタイミング差等から、タグ400の作業エリア20内での位置は特定される。タグ400の位置の特定処理は、情報処理装置100で実行されてもよいし、位置測位ポイント200で実行されてもよい。位置測位ポイント200は、測定者50が端末500を用いて作業エリア20の属性を測定するときにのみ、作業エリア20内及びその周辺に設けられてもよい。これにより、位置測位ポイント200の設置コストを抑えることができる。
【0021】
なお、実施形態では、タグ400と記載するが、タグ400と同等の機能を有する機器を用いてもよいことは勿論である。
【0022】
アクセスポイント300は、無線LANのアクセスポイント、携帯電話機地局、又はビーコン信号の発信機等により実現される。アクセスポイント300が、無線LANのアクセスポイント、又は携帯電話基地局等の場合、端末500は、アクセスポイント300を介して情報処理装置100との間で信号の送受信を行う。
【0023】
タグ400は、UWB、又はLRF等の方式に対応しているタグであり、位置測位ポイント200からの信号を受信すると、応答の信号を位置測位ポイント200に送信する。
【0024】
端末500は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、又はウエアラブル端末等により実現される。端末500は、作業エリア20内の属性を測定し、属性情報を情報処理装置100に送信する。
【0025】
<作業エリアと電波エリアとの関係>
次に、
図2乃至
図4を用いて、作業エリア20と、電波エリア30との関係について説明する。
【0026】
図2は、理想的な環境の場合における作業エリア20と電波エリア30との関係を示している。理想的な環境とは、作業エリア20内に障害物が存在しない環境である。この場合、アクセスポイント300から送信される電波の反射、及び遮蔽等が発生しない。このため、
図2に示すように、作業エリア20と概ね重畳する電波エリア30を形成することが可能となる。
【0027】
図3は、大型の構造物40等の障害物が作業エリア20内に存在する場合の作業エリア20と電波エリア30との関係を示している。この場合、大型の構造物40等の影響により、アクセスポイント300から送信される電波の反射、及び遮蔽等が発生する。このため、作業エリア20と概ね同じエリアとなるように、電波エリア30を形成することが困難である。
【0028】
このため、実施形態に係る情報処理システム1では、電波の強度に加えて、測定者50に携帯されるタグ400、及び端末500による測定により得られる作業エリア20の属性情報を基に、作業者60に携帯される端末500の存在する作業エリア20を特定する。
【0029】
図4は、アクセスポイント300からの距離と、測定される電波のRSSIとの関係を示す図である。理想的な環境の場合、アクセスポイント300からの距離が離れるに従ってRSSIの値が小さくなることが分かる。一方、大型の構造物40等の障害物が作業エリア20内に存在する場合、RSSIの値はアクセスポイント300からの距離に従って、徐々に小さくならない。このため、電波の強度のみから作業エリア20に端末500が存在するか否かを判断することが難しい。
【0030】
<動作シーケンス>
図5及び
図6を用いて実施形態に係る動作シーケンスについて説明する。
【0031】
図5は、測定者50が、タグ400、及び端末500を用いて作業エリア20の属性を測定するときに動作シーケンスの一例を示している。
【0032】
ここで、情報処理装置100は、測定者50が携帯しているタグ400と、端末500とを対応付けて記憶しているものとする。
【0033】
ステップS501で、領域10内に配置されている位置測位ポイント200は、位置測位信号を送信する。位置測位信号には、位置測位ポイント200の識別子、及び位置測位信号の送信時刻が含まれる。
【0034】
ステップS502で、タグ400は、位置測位信号を受信する。
【0035】
ステップS503で、タグ400は、位置測位信号の応答信号を送信する。応答信号には、タグ400の識別子、位置測位ポイント200の識別子、位置測位信号の送信時刻、及び位置測位信号の受信時刻が含まれる。
【0036】
ステップS504で、位置測位ポイント200は、応答信号を情報処理装置100に送信する。
【0037】
図5のシーケンスでは、一つの位置測位ポイント200からタグ400が位置測位信号を受信する場合の手順を示しているが、タグ400が複数の位置測位ポイント200から位置測位信号を受信した場合には、ステップS501ないしステップS504と同じ手順が実行される。
【0038】
ステップS505で、応答信号を受信すると、情報処理装置100は、受信時刻におけるタグ400の存在する位置の座標を算出し、かかる位置がいずれの作業エリア20に存在するか判断し、当該作業エリア20を特定するエリア情報を取得する。なお、情報処理装置100は、位置測位ポイント200の位置の座標を記憶しているものとする。
【0039】
同一のタグ400から複数の応答信号を受信した場合、情報処理装置100は、複数の応答信号を基にタグ400の存在する位置の座標を算出してもよい。
【0040】
ステップS506で、アクセスポイント300は、電波を送信する。電波にはアクセスポイント300の識別子を含む。
【0041】
ステップS507で、端末500は、測定位置において電波を受信し、アクセスポイント300からの電波の強度を測定する。
【0042】
ステップS508で、端末500は、測定位置において電波の強度以外の属性を測定する。例えば、端末500は、照度、騒音レベル等を測定する。
【0043】
ステップS509で、端末500は、測定した電波の強度、照度、騒音レベル等の測定位置にかかる属性情報を、属性の各々を測定した時刻と共にアクセスポイント300に通知する通知信号を送信する。通知信号には、端末500の識別子、及び電波の送信元のアクセスポイント300の識別子が含まれる。
【0044】
例えば、大型の構造物40により電波が遮蔽され、端末500がアクセスポイント300に通知信号を送信できない場合、大型の構造物40の影響を受けなくなった時に、端末500は、通知信号を送信してもよい。
【0045】
なお、測定者50の端末500により測定された測定情報は、第1の属性情報と呼ばれてもよい。
【0046】
ステップS510で、アクセスポイント300は、通知信号を情報処理装置100に送信する。なお、端末500は、電波の強度を測定したアクセスポイント300を介さないで、情報処理装置100に通知信号を送信してもよい。
【0047】
ステップS511で、通知信号を受信すると、情報処理装置100は、端末500の識別子を基に、測定者50の端末500に対応付けられているタグ400を特定する。
【0048】
ステップS512で、情報処理装置100は、タグ400に対応付けられた端末500が、タグ400の存在する作業エリア20に存在すると判断し、作業エリア20を特定するエリア情報と端末500から受信した属性情報とを対応付ける。換言すると、情報処理装置100は、タグ400と端末500との対応関係(即ち、同一の測定者50に携帯されている関係)を基に、端末500が、タグ400を通じて特定された一の作業エリア20に存在していると判断する。
【0049】
ここで、タグ400が存在することが特定された時刻(つまり、位置測位信号が受信された時刻)と、属性の測定された時刻とが、所定の期間以内の場合、例えば、3秒以内の場合に、情報処理装置100は、ステップS512の手順を実行してもよい。
【0050】
これにより、作業エリア20内の属性情報が特定される。なお、タグ400の位置を算出する手順と、端末500の属性情報を取得する手順とは、いずれの手順が先に実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0051】
次に、
図6を用いて作業者60の端末500の作業エリア20の特定に係る動作シーケンスについて説明する。
【0052】
ステップS601乃至ステップS605の手順については、ステップS506乃至ステップS510と同じであるため説明を省略する。
【0053】
なお、作業者60の端末500により測定された測定情報は、第2の属性情報と呼ばれてもよい。
【0054】
ステップS606で、情報処理装置100は、受信した属性情報を基に、端末500の在圏している作業エリア20を特定する。具体的には、情報処理装置100は、受信した属性情報と、作業エリア20の各々の属性情報との類似度を基に、作業エリア20を判定する。
【0055】
<ハードウエア構成>
(1)情報処理装置
実施形態に係る情報処理装置100、例えば一般的なコンピュータ600を用いて実現することができる。
図7は、コンピュータ600の構成の一例を示す図である。
【0056】
コンピュータ600は、CPU(Central Processing Unit)601、RAM(Random Access Memory)602、ROM(Read Only Memory)603、ストレージ装置604、外部I/F(Interface)605、入力装置606、出力装置607、及び通信I/F608等を有する。これらの装置はバスBを介して相互に信号の送受信を行う。
【0057】
CPU601は、ROM603やストレージ装置604等に格納されたプログラムやデータをRAM602上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ600の各機能を実現する演算装置である。RAM602は、CPU601のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM603は、電源を切ってもプログラムやデータを保持する不揮発性のメモリである。ストレージ装置604は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により実現され、OS(Operation System)、アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶する。
【0058】
外部I/F605は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、例えば、記録媒体609等がある。コンピュータ600は、外部I/F605を介して、記録媒体609の読取り、書き込みを行うことができる。記録媒体609には、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等が含まれる。
【0059】
入力装置606は、例えば、マウス、及びキーボード等で構成され、操作者の指示を受けてコンピュータ600に各種操作等を入力する。
【0060】
出力装置607は、例えば、液晶ディスプレイにより実現され、CPU601による処理結果を表示する。
【0061】
通信I/F608は、有線通信又は無線通信により、コンピュータ600をネットワーク2に接続するインタフェースである。バスBは、上記各構成装置に接続され、制御装置間で各種制御信号等を送受信する。
【0062】
(2)端末、及びタグのハードウエア構成
図8を用いて、端末500及びタグ400のハードウエア構成について説明する。
【0063】
端末500は、CPU501、RAM502、ROM503、記憶装置504、外部I/F505、入出力装置506、通信I/F507、電波測定装置508、及びセンサ509等を有する。これらの装置はバスBを介して相互に信号の送受信を行う。
【0064】
CPU501は、ROM503や記憶装置504等に格納されたプログラムやデータをRAM602上に読み出し、処理を実行することで、端末500の各機能を実現する演算装置である。RAM502は、CPU501のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM503は、電源を切ってもプログラムやデータを保持する不揮発性のメモリである。記憶装置504は、例えば、SSD等により実現され、OS、アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶する。
【0065】
外部I/F505は、外部装置とのインタフェースである。
【0066】
入出力装置506は、例えば、タッチパネルで構成され、操作者の指示を受け付けると共に、各種情報を端末500のユーザに表示する。
【0067】
通信I/F507は、有線通信又は無線通信により、端末500をネットワーク2に接続するインタフェースである。
【0068】
電波測定装置508は、アクセスポイント300からの電波を受信するアンテナと、受信した電波強度を測定する装置とを有する。
【0069】
センサ509は、端末500の存在する位置における属性を測定する。例えば、センサ509は、照度を測定する照度センサ、騒音レベルを測定する騒音センサ、磁気の大きさを測定する磁気センサ、気圧を測定する気圧センサ、風力を測定する風力センサ、温度を測定する温度センサ、湿度を測定する湿度センサ、紫外線量を測定する紫外線センサ、放射線量を測定する放射線センサ、特定の物質の濃度を測定するセンサ等を含む。
【0070】
バスBは、上記各構成装置に接続され、制御装置間で各種制御信号等を送受信する。
【0071】
次に、タグ400のハードウエア構成について説明する。タグ400は、アンテナ401、及び信号検出装置402を有する。アンテナ401は、UWB信号、及びLRF信号等を送受信する。信号検出装置402は、アンテナ401が位置測位ポイント200から送信信号を受信した場合に応答信号を生成し、アンテナ401を介して、信号の送信元に応答信号を送信する。
【0072】
<機能構成>
図9を用いて情報処理システム1の各装置の機能構成について説明する。
情報処理装置100は、送受信部110、作業エリア特定部120、属性設定部130、及び判定部140を有する。これらの機能は、ROM603等に格納された1以上のプログラムを読み出して、CPU601が実行することにより実現される。情報処理装置100は、情報記憶部150を有する。情報記憶部150は、タグ−端末管理テーブル151、領域管理テーブル152、属性情報記憶テーブル153、及び作業エリア管理テーブル154を有する。情報記憶部150は、例えば、ストレージ装置604により実現される。
【0073】
送受信部110は、ネットワーク2を介して、位置測位ポイント200、及びアクセスポイント300等との間でデータの送受信を行う。
【0074】
作業エリア特定部120は、タグ400の在圏する作業エリア20を特定する。タグ400からの応答信号を、位置測位ポイント200を介して送受信部110が受信すると、作業エリア特定部120は、タグ400の存在する位置の座標を特定する。具体的には、応答信号に含まれる位置測位信号の送信時刻と受信時刻との差分、及び、かかる位置測位信号の送信元である位置測位ポイント200の位置の座標から、作業エリア特定部120はタグ400の位置の座標を特定する。同一のタグ400から、複数の応答信号を受信した場合、応答信号の各々に含まれる位置測位信号の送信時刻と受信時刻、及び、かかる位置測位信号の送信元である位置測位ポイント200の各々の位置の座標を基に、作業エリア特定部120は位置の座標を特定する。なお、位置測位ポイント200の各々の座標は、情報記憶部150に記憶されている。
【0075】
作業エリア特定部120は、領域管理テーブル152を参照し、タグ400の存在する作業エリア20を特定する。ここで、領域管理テーブル152は、領域10に含まれる作業エリア20の各々の範囲を管理するテーブルである。
【0076】
属性設定部130は、作業エリア20の各々に属性情報を対応付ける。送受信部110が、測定者50の端末500から属性情報を受信すると、属性設定部130は、タグ−端末管理テーブル151を参照し、端末500に対応付けられているタグ400を特定する。
【0077】
属性設定部130は、属性情報が測定された時に、端末500に対応付けられているタグ400が在圏している作業エリア20を特定する。そして、属性設定部130は、端末500に対応付けられているタグ400が在圏している作業エリア20を、端末500が在圏している作業エリア20と判断する。
【0078】
タグ−端末管理テーブル151は、測定者50が携帯するタグ400と端末500とを対応付けているテーブルである。なお、属性設定部130は、属性情報が測定された時の前後所定の期間においてタグ400が在圏している作業エリア20を、端末500の作業エリア20としてもよい。
【0079】
属性設定部130は、属性情報記憶テーブル153に、端末500の識別子と、端末500から受信した属性情報と、属性情報が測定された時刻とを記憶させる。ここで、属性情報記憶テーブル153は、端末500から受信した属性情報を記憶するテーブルである。
【0080】
次に、属性設定部130は、端末500から通知された属性情報を、端末500の作業エリア20の属性情報として、作業エリア管理テーブル154に記憶する。作業エリア管理テーブル154は、作業エリア内の所定の位置で測定された属性情報を記憶するテーブルである。ここで、所定の位置における属性情報は、アクセスポイント300のいずれかからの電波の強度、照度、騒音レベル等の少なくとも1つ以上であればよく、アクセスポイント300からの電波のポイントを記憶することは必須ではない。大型の構造物40の影響により、アクセスポイント300からの電波を測定できない場合であっても、作業エリア管理テーブル154は、照度、騒音レベル等の属性情報を作業エリア20の属性情報として記憶する。
【0081】
なお、属性設定部130は、タグ−端末管理テーブル151で管理されているユーザ種別を基に、測定者50の端末500から属性情報を受信したことを判断する。タグ−端末管理テーブル151で管理する情報については後述する。
【0082】
判定部140は、作業者60の端末500から属性情報を受信したときに、端末500が在圏している作業エリア20を判定する。
【0083】
端末500から属性情報を受信すると、判定部140は、受信した属性情報と属性情報記憶テーブル153に記憶されている属性情報との類似度を基に、端末500がいずれの作業エリア20に在圏しているかを判定する。
【0084】
より具体的には、判定部140は、作業者60の端末500が領域10内の位置で測定した属性を示す第2の属性情報の各々を、作業者60の端末500から受信すると、第2の属性情報の各々に含まれる2種類以上の属性情報と、測定者の端末500から受信した第1の属性情報の各々に含まれる属性情報であって、該2種類以上の属性情報に対応する属性情報との類似度を基に、第2の属性情報の各々が測定されたときに作業者60の端末500が存在していたエリアを判定する。
【0085】
例えば、属性情報として電波の強度、照度、及び騒音レベルを受信した場合、判定部140は、受信した電波の強度、照度、及び騒音レベルと、作業エリア管理テーブル154で記憶されている電波の強度、照度、及び騒音レベルとを比較し、各々の値の差が所定の範囲内(例えば10%以内)の位置の属する作業エリア20に、端末500が在圏していると判定してもよい。
【0086】
例えば、属性情報として電波の強度、照度、及び騒音レベルを受信した場合、判定部140は、受信した電波の強度、及び照度と、作業エリア管理テーブル154で記憶されている電波の強度、及び照度とを比較し、各々の値の差が所定の範囲内の位置の属する作業エリア20に、端末500が在圏していると判定してもよい。
【0087】
なお、電波の強度を比較する際には、判定部140は、同一のアクセスポイント300からの電波の強度を比較する。
【0088】
例えば、判定部140は、受信した属性情報と属性情報記憶テーブル153に記憶されている属性情報との類似度に関するベクトル評価を行う。ベクトル評価の結果、類似度が所定の範囲内にある位置が特定される。判定部140は、特定された位置の属する作業エリア20に、端末500が在圏していると判定する。ベクトル評価の際に、判定部140は、コサイン類似度を算出し、算出されたコサイン類似度を基に作業者60の在圏している作業エリア20を判定してもよい。なお、類似度の算出方法については、上述した形態に限定されない。
【0089】
情報記憶部150は、情報処理装置100の制御に必要な各種情報を記憶する。
図10を用いて、情報記憶部150が保持する各テーブルについて説明する。
【0090】
タグ−端末管理テーブル151は、測定者50及び作業者60に割り当てられているユーザ識別子と、ユーザ種別と、タグ400の識別子と、端末500の識別子とを対応付けて記憶するテーブルである。ここで、ユーザ種別には、測定者50、又は作業者60のいずれかが設定される。
【0091】
領域管理テーブル152は、領域10内に存在する作業エリア20の各々の範囲を特定する情報を記憶するテーブルである。領域管理テーブル152には、領域10の識別子、作業エリア20の識別子、及び作業エリア20の特定情報が対応付けられて記憶される。作業エリア20の特定情報は、作業エリア20の各々の範囲を特定する情報である。作業エリア20の特定情報は、緯度経度、及び高度を用いて表されてもよい。
図10の例では、領域10#1内の作業エリア20#Aは、経度(XX11−XX12)、緯度(YY11−YY12)、及び高度(ZZ11−ZZ12)で特定されることを示している。
【0092】
属性情報記憶テーブル153は、端末500から受信した属性情報を記憶するテーブルである。属性情報記憶テーブル153には、属性情報の測定時刻、属性情報の種別である属性種別、及び測定結果が、測定情報を送信した端末500の識別子と共に記憶される。属性種別には、例えば、アクセスポイント300#Aからの電波の強度、照度、及び騒音レベル等が記憶される。測定結果には、属性種別に対応する属性の測定結果が記憶される。
【0093】
作業エリア管理テーブル154は、作業エリア20内の測定位置における属性情報を記憶するテーブルである。作業エリア管理テーブル154には、作業エリアの識別子と、測定位置と、測定位置における属性情報とが対応付けて記憶される。なお、属性設定部130は、測定時刻が所定の期間(例えば、5秒以内)に含まれる属性情報を、同一の測定位置における属性情報として、作業エリア管理テーブル154に記憶させてもよい。これにより、属性情報の種別毎の測定タイミングが一致しない場合でも、同一の測定位置における属性情報として扱うことが可能となる。
【0094】
また、情報記憶部150は、タグ400とタグ400の存在する位置の座標、及び作業エリアを、タグからの応答信号を受信した時刻と共に記憶する。
【0095】
上述した実施形態では、タグ400が作業エリア20に在圏した時刻と、端末500が属性情報を測定した時刻とが、所定の期間内の場合に、タグ400の存在する作業エリア20を端末500の在圏する作業エリア20として特定し、端末500により測定された属性情報を、かかる作業エリア20の属性情報として記憶していたが、作業エリアの属性情報はこれ以外の形態で予め記憶されてもよい。
【0096】
例えば、測定者50の端末500が、明らかに作業エリア20内において測定した属性情報を受信した場合、情報処理装置100は、受信した属性情報を、かかる作業エリア20における属性情報として記憶してもよい。
【0097】
具体的には、領域10内に存在する部屋が作業エリア20#Aとして設定され、端末500#Aがこの部屋の中の位置の属性情報を測定している場合、情報処理装置100は、端末500#Aから通知された属性情報を、作業エリア20#A内の位置における属性情報として記憶してもよい。
【0098】
この場合、端末500#Aが作業エリア20#Aに存在していることが情報処理装置100に予め設定され、情報処理装置100は、端末500#Aから通知される属性情報を、作業エリア20#Aの属性情報として記憶する。この場合、タグ400を用いて位置を特定する手順は省略可能である。
【0099】
また、測定者50が、端末500を携帯して作業エリア20内の属性を測定しないでもよい。例えば、端末500を載せたドローンを作業エリア20内で飛行させ、ドローンに載せられた端末500が、作業エリア20内の測定位置で、測定地点における属性情報を測定してもよい。
【0100】
属性設定部130は、測定者50の端末500から受信した作業エリア20#A内の複数の位置における属性情報を基に、これらの位置の中間位置における属性情報を算出し、作業エリア20#A内の属性情報として、作業エリア管理テーブル154に記憶させてもよい。この処理は、属性情報を補完する処理のため、補完処理と呼ばれてもよい。これにより、判定部140が、作業者60の端末500の在圏する作業エリア20を適切に判断できる。
【0101】
位置測位ポイント200の機能構成について説明する。位置測位ポイント200は、送受信部210、制御部220、及び情報記憶部230を有する。送受信部210は、タグ400に位置測位信号を送信し、タグ400から応答信号を受信する。タグ400は受信した応答信号を、情報処理装置100に転送する。制御部220は、位置測位ポイント200に対する各種制御を行う。情報記憶部230は、位置測位ポイント200の制御に必要な各種情報を記憶する。
【0102】
アクセスポイント300の機能構成について説明する。アクセスポイント300は、送受信部310、制御部320、及び情報記憶部330を有する。送受信部310は、端末500に電波を送信し、端末500から属性情報の通知信号を受信する。アクセスポイント300は受信した通知信号を、情報処理装置100に転送する。制御部320は、アクセスポイント300に対する各種制御を行う。情報記憶部330は、アクセスポイント300の制御に必要な各種情報を記憶する。
【0103】
タグ400の機能構成について説明する。タグ400は、送受信部410、制御部420、及び情報記憶部430を有する。送受信部410は、位置測位ポイント200からの位置測位信号を受信する。また、送受信部410は、位置測位信号を受信すると、応答信号を位置測位ポイント200に送信する。制御部420は、タグ400に対する各種制御を行う。情報記憶部430は、タグ400の制御に必要な各種情報を記憶する。
【0104】
端末500の機能構成について説明する。端末500は、送受信部510、属性測定部520、制御部530、及び情報記憶部540を有する。送受信部510は、アクセスポイント300から送信される電波を受信する。また、送受信部510は、属性情報を通知する通知信号をアクセスポイント300に送信する。属性測定部520は、端末500が存在する位置における属性を測定する。制御部530は端末500に対する各種制御を実行する。情報記憶部540は、端末500を制御するための各種情報を記憶する。
【0105】
<動作フロー>
図11乃至
図13を用いて、実施形態に係る動作フローについて説明する。
【0106】
(1)タグの作業エリアの特定に係る動作フロー
図11を用いて、タグ400の存在する作業エリア20を特定するときの動作フローについて説明する。
【0107】
ステップS1101で、情報処理装置100の送受信部110は、タグ400からの応答信号を、位置測位ポイント200を介して受信する。
【0108】
ステップS1102で、作業エリア特定部120は、応答信号に含まれる、位置測位信号の送信時刻と位置測位信号の受信時刻との差分、及び位置測位ポイント200の座標を基に、タグ400の位置座標を特定する。ここで、タグ400が複数の位置測位ポイント200からの位置測位信号に係る応答信号を受信している場合、作業エリア特定部120は、応答信号の各々を基に、タグ400の位置を算出する。
【0109】
ステップS1103で、作業エリア特定部120は、領域管理テーブル152を参照し、タグ400の位置として特定された位置が領域10内のいずれの作業エリア20に存在するかを特定する。作業エリア特定部120は、特定されたタグ400の存在する作業エリア20と、タグ400が存在していた時刻とを情報記憶部150に記憶させる。
【0110】
(2)作業エリアの属性情報の記憶に係る動作フロー
図12を用いて、測定者50の端末500から通知された属性情報を作業エリア20の属性情報として記憶する動作手順について説明する。
【0111】
ステップS1201で、情報処理装置100の送受信部110は、端末500から属性情報の通知信号を受信する。
【0112】
ステップS1202で、作業エリア特定部120は、タグ−端末管理テーブル151を参照し、受信した通知信号が、測定者50の端末500からの通知信号か、作業者60の端末500からの通知信号かを判断する。通知信号が測定者50の端末500からの通知信号の場合(ステップS1202 Yes)、ステップS1203に進む。通知信号が作業者60の端末500からの通知信号の場合(ステップS1202 No)、ステップS1206に進む。
【0113】
ステップS1203で、作業エリア特定部120は、受信した属性情報を、属性情報が測定された時刻と共に、属性情報記憶テーブル153に記憶させる。
【0114】
また、作業エリア特定部120は、タグ−端末管理テーブル151を参照し、端末500に対応するタグ400を特定し、属性情報を測定した時刻においてタグ400が在圏していた作業エリア20を、端末500が存在していた作業エリア20として特定する。
【0115】
ステップS1204で、属性設定部130は、端末500から受信した属性情報を、特定された作業エリア20内の位置の属性情報として、作業エリア管理テーブル154に記憶させる。
【0116】
ステップS1205で、作業エリア特定部120は、受信した属性情報の各々を基に、これらの属性が測定された位置の間に存在する位置における属性情報の推定値を算出し、作業エリア管理テーブル154に記憶させる。例えば、属性が測定された位置における属性情報の平均値を基に、中間位置における属性情報の推定値を算出してもよい。推定値は、属性情報の測定時刻を基に重み付けされてもよい。なお、ステップS1205の手順は省略してもよい。
【0117】
ステップS1206で、情報処理装置100は、作業者60の端末500の存在する作業エリア20を特定する処理を実行する。詳細については
図13を用いて説明する。
【0118】
(3)作業者の端末の作業エリアの特定に係る動作フロー
図13を用いて、作業者60の端末500の在圏する作業エリア20を特定する処理について説明する。属性設定部130が、タグ−端末管理テーブル151を参照し、通知信号が作業者60からの通知信号と判断された場合に、ステップS1301以降の手順が実行される。
【0119】
ステップS1301で、判定部140は、端末500から受信した通知信号に含まれる属性情報の各々と、作業エリア管理テーブル154で記憶されている領域10に含まれる作業エリア20内の各位置の属性情報の各々とを比較する。具体的には、通知信号に含まれる属性情報の組み合わせと、作業エリア管理テーブル154で記憶されている属性情報の組み合わせとを比較する。例えば、判定部140は、測定された電波の強度、照度、及び騒音レベルの組み合わせと、作業エリア管理テーブル154で記憶されている電波の強度、照度、及び騒音レベルの組み合わせとを比較する。
【0120】
ステップS1302で、判定部140は、比較した属性情報の類似度が所定の閾値以上か否かを判断する。類似度が所定の閾値以上の場合(ステップS1302 Yes)、ステップS1303に進む。一方、類似度が所定の閾値より小さい場合(ステップS1302 No)、ステップS1304に進む。
【0121】
例えば、通知された属性情報の各々と、作業エリア管理テーブル154で記憶されている属性情報の各々との差が10%以下の場合に、判定部140は、類似度が所定の閾値以上と判断してもよい。また、作業エリア管理テーブル154で管理されている複数の位置の類似度が所定の閾値以上と判断された場合、判定部140は、最も類似度の高い位置を通知された属性情報に対応する位置と判断してもよい。
【0122】
なお、作業者60の端末500から一部の属性情報を受信した場合、判定部140は、受信した一部の属性情報と、対応する属性情報とを比較して類似度を算出する。例えば、金属の大型の構造物40の影響により、作業者60の端末500が、測定位置においてアクセスポイント300からの電波の強度を測定できなかった場合、端末500は、電波の強度以外の属性情報である、照度、及び騒音レベル等を含む通知信号を送信する。判定部140は、受信した照度及び騒音レベルと作業エリア管理テーブル154で記憶されている照度、及び騒音レベルとを比較して類似度を算出する。
【0123】
ステップS1303で、判定部140は、類似すると判断した位置の中で、最も類似度が高い位置が属する作業エリア20を、作業者60の端末500が属性情報を測定したときの作業エリア20と判定する。
【0124】
ステップS1304で、判定部140は、作業者60の存在する位置を特定できないと判定する。
【0125】
上述した実施形態によれば、測定者50の端末500が測定した属性を基に設定された複数の属性情報と、作業者60の端末500が測定した複数の属性情報との類似度を基に作業エリア20を判断することが可能となる。このため、大型の構造物40の影響により、電波の強度に係る属性情報が受信できない場合、及び電波エリア30と作業エリア20とが対応していない場合等においても、作業者60の端末500の存在する作業エリア20を適切に判定することが可能となる。
【0126】
また、上述した実施形態によれば、端末500がセンサ509を具備することにより、情報処理装置100は、測定地点において測定された様々な属性情報を基に、作業エリア20を特定することが可能になる。
【0127】
また、上述した実施形態によれば、情報処理装置100は、ユーザに携帯されるタグ400の存在する位置座標を算出するとともに、算出された位置座標を基に、タグ400が存在する一のエリアを特定する。そして、情報処理装置100は、タグ400と端末500との対応関係を基に、端末500が、特定された一のエリアに存在していると判断する。
このようにすることで、タグ400の位置座標を基に、端末500の存在する作業エリアを正確かつ簡単に取得できるので、第1の属性情報の各々と、作業エリアとを対応付けて作業エリア管理テーブル154を作成するのに要する労力を低減することができる。
【0128】
なお、他の実施形態に係る情報処理システム1は、上述の態様に限定されることはない。例えば、作業エリア管理テーブル154を作成する過程(
図12のステップS1202:YES以降のフロー)において、作業エリア20を特定する作業(ステップS1203)は、測定者50が、測定者50自身が存在する位置を、周囲の状況から把握して、逐次手入力する態様であってもよい。
この場合、情報処理システム1は、タグ400及び位置測位ポイント200の構成を要しないので、システム全体の構成を簡素化することができる。
【0129】
[その他]
上述した実施形態では、アクセスポイント300が電波エリア30を形成する場合について説明したが、アクセスポイント300が、赤外線信号、光信号、又は音波等を送信して、電波エリア30に相当するエリアを形成してもよい。この場合、端末500は、赤外線信号の受信強度等を属性情報として測定する。
【0130】
上述した実施形態に加えて、作業エリア管理テーブル154は、属性情報を、属性情報が測定された時刻と共に記憶してもよい。この場合、作業者60の端末500から受信した属性情報と、当該属性情報が測定された時刻に対応する時間帯(例えば、午前9時〜午前11時)に測定された作業エリア管理テーブル154に記憶されている属性情報との類似度を基に、判定部140は、作業エリアを判定してもよい。
【0131】
属性設定部130は、対応付け設定部の一例である。送受信部110は、受信部の一例である。作業エリア特定部120は算出部の一例である。
【0132】
上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能であることは勿論である。