(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982393
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】真空発生デバイス
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20211206BHJP
F16K 11/052 20060101ALI20211206BHJP
F16K 31/36 20060101ALI20211206BHJP
F16K 17/04 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
B25J15/06 B
F16K11/052 Z
F16K31/36
F16K17/04 A
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-3987(P2017-3987)
(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公開番号】特開2017-164891(P2017-164891A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2020年1月6日
(31)【優先権主張番号】16151428.6
(32)【優先日】2016年1月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500258868
【氏名又は名称】ピアブ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】フレドリック リックハドソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナス 二ルソン
【審査官】
木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−110300(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
F16K 11/052
F16K 31/36
F16K 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気流によって駆動され、真空グリッパ手段に真空を供給するように配置される、真空発生器であって、
真空流れ接続部は、前記圧縮空気流によって前記真空グリッパ手段に真空を供給するために、前記真空発生器と関連付けられ、かつ前記真空グリッパ手段と流れ接続するように配置され、
前記流れ接続部は、さらに、前記真空グリッパ手段に圧縮空気流を供給するように配置される第2の接続部を備え、
前記流れ接続部に、下方位置においてばね力によって作動され、前記真空グリッパ手段への前記接続部を開放し、上方位置において、前記第2の接続部における圧縮空気流からの空気圧によって前記接続部を閉鎖するように配置される、弁を備え、
前記弁は、前記接続部における前記真空グリッパ手段に真空を供給するための通路の周りに配置されたシートに接触するために移動可能な弁本体を備え、前記弁本体は、前記弁の第1の位置において真空側に対する吸着側と、前記弁の前記第1の位置において前記第2の接続部を少なくとも部分的に閉鎖する圧力側と、を有し、
前記弁本体は、その真空側の領域内に前記弁本体の周囲を通る逃げ溝を有し、前記逃げ溝は、前記弁本体の第2の位置において、前記圧縮空気流によって前記シートの内側に対して密封するような寸法であり、
前記弁本体は、ヒンジ接合部を有する揺動可能なハッチであり、下方位置において、ばねによって作動され、前記真空グリッパ手段への前記接続部を開放し、上方位置において、前記第2の接続部における圧縮空気流からの空気圧によって前記接続部を閉鎖するように配置され、
前記弁は、フラップ弁であり、
前記ヒンジ接合部は、前記弁本体の遠位端とは反対側にある前記弁本体の近位端に配置され、
前記第2の接続部は、前記第2の接続部における圧縮空気流からの空気圧が前記弁本体の前記近位端に適用されるように、前記遠位端と比較して前記近位端の近くに配置されることを特徴とする、真空発生器。
【請求項2】
前記弁は、前記真空発生器に一体化されることを特徴とする、請求項1に記載される圧縮空気駆動型の真空発生器。
【請求項3】
前記弁は、前記真空発生器に着脱可能に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載される圧縮空気駆動型の真空発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、真空カップまたは同様のデバイスに適用可能な負圧を発生させるために圧縮空気によって駆動される真空発生デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して材料搬送システムに関し、より具体的には、真空デバイスに接続された真空源または空気圧デバイスの運転を介して対象物に係合させられ、かつそれらに実質的に密着させられる材料搬送システムの真空カップアセンブリのための真空発生器に関する。実質的に平坦な対象物またはパネル等の対象物に係合するように移動させられ、その対象物を吊り上げて所望の場所に移動するように適合される真空カップ等を含む材料搬送システムを提供することが知られている。そのような真空カップまたは吸着カップは、対象物と係合するように移動させることができ、標的領域に輸送されるときに対象物がカップに対して保持されるように、対象物とカップとの間に真空を作り出すために真空源を作動させることができる。
【0003】
工業生産ラインにおけるサイクル時間を短縮するために、真空グリッパから対象物を能動的に解放するための構成を有する真空発生器を提供することが知られており、グリッパは、対象物を保持および移動するために負圧または真空に依存する。実施されている解決法は、典型的には制御弁を介して、真空グリッパまたは真空グリッパに真空を供給するラインに圧縮空気を入れることであり、このようにして、真空グリッパ手段に対して対象物を保持する真空を遮断する。これは、概して、かつ具体的に、本開示においていわゆる「真空破壊」と称される。別の既知の解決法は、制御弁を介して、真空グリッパまたは供給ラインを大気圧と接続することである。後者の解決法は、本開示では検討されない。
【0004】
これらの解決法はどちらも、本開示において「真空カップに通気する」、すなわち、真空を停止すると称される。
【0005】
最初に述べた解決法は、典型的には合理的で迅速な解放を提供するが、この解決法は、壊れやすい対象物を考慮した場合、いくつかの用途においては乱暴すぎる場合がある。そのような用途において、当業者は、典型的には最後に述べた解決法を用いることを余儀なくされるが、それが必ずしも所望の迅速な応答を提供するとは限らず、したがって生産率の妨げとなり得る。
【0006】
従来技術のデバイスは、例えば、高圧空気によって駆動され、真空グリッパ内に保持された対象物を能動的に解放するために配置された手段を有する真空発生器が開示されている欧州特許第B1−2263011号明細書から既知である。
【0007】
現在使用されているシステムは、使用されているデバイスの多くの利点を有するが、真空カップに通気するための時間が長すぎると見なされる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第B1−2263011号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、使用者にとってより扱いやすいこと、またより短い停止時間を有することによって、上述の欠点を排除するかまたは少なくとも軽減する、改善された真空エジェクタデバイスを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的は、独立請求項に従う本発明によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に記載される。
【0011】
一態様によれば、本開示は、保持部材、例えば吸着カップに供給される、少なくとも部分真空を発生させるための真空エジェクタデバイスに関する。真空エジェクタデバイスは、「真空破壊」における圧縮空気流によって作動される弁を備える。真空破壊が起動されると、弁が閉鎖して真空チャネルを密封する。このようにして、真空エジェクタデバイスから空気流が出ないようにすることにより、真空破壊の効率が高められる。
【0012】
一実施形態によれば、圧縮空気流によって駆動され、真空グリッパ手段に真空を供給するように配置される真空発生器が提供され、真空流れ接続部は、圧縮空気流によって真空グリッパ手段に真空を供給するために、真空発生器と関連付けられ、かつ真空グリッパ手段と流れ接続するように配置される。流れ接続部は、さらに、真空グリッパ手段に圧縮空気流を供給するように配置される第2の接続部を備える。流れ接続部は、下方位置においてばね力によって作動され、真空グリッパ手段への流れ接続部の前記接続を開放し、上方位置において、第2の接続部における圧縮空気流からの空気圧によって接続部を閉鎖するように配置される、弁を備える。
【0013】
したがって、真空エジェクタデバイスは、真空破壊が起動されたときに生成される圧縮空気流によって作動される弁を備える。真空破壊が起動されると、弁が閉鎖し、真空グリッパ手段への流れ接続部における「真空チャネル」とも称される接続部を密封する。
【0014】
本発明は、上記問題を回避すること、および真空グリッパ手段によって保持された対象物を迅速に解放するために配置される真空発生器を提供することを目標とするが、これは、真空破壊空気が全くまたは実質的に全く無駄にならないためである。これにより、真空破壊流の一部がエジェクタを通って出ることに関する問題を排除するかまたは軽減し、ひいては、エジェクタから真空破壊空気が出ないようにすることにより真空破壊の効率を高める。
【0015】
本発明はまた、真空グリッパ手段によって保持された対象物を能動的に解放するために、真空発生器に迅速な空気の供給を提供することも目標とする。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、真空グリッパ手段における真空を遮断するために、空気に関する様々な要求に適合させることができる解放機能を備える真空発生器を提供することである。
【0017】
この実施形態を通して、真空グリッパ手段への流れ接続または非流れ接続である下方位置と上方位置の2つの位置の間で切り替わる2段階弁が提供され、この弁の制御のためにエネルギーが供給されることは必要ではない。
【0018】
好ましくは、弁は、可撓性材料から好適に作製されるフラップ弁として形成される。
【0019】
本発明の実施形態が概略的に示される添付の図面を参照して、以下に本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】弁を有する真空発生器を備える真空システム10における本発明の実装の概略図である。
【
図2】圧縮空気によって駆動される真空発生器と関連付けられたまたはその中に含まれる接続部の断面図であり、弁本体は、真空の流れのために第1の弁位置に配置されている。
【
図3】
図2に対応する断面図であり、弁本体は、真空破壊のために第2の弁位置に位置している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
真空システム10における本発明の実装の概要について、最初に
図1を参照する。
図1において、ラインP
空気源は、圧縮空気の供給源である空気源からライン2を介して真空発生器3までの圧縮空気流の方向と、いわゆる「真空破壊」のために提供される、同じ真空発生デバイス3への圧縮空気供給接続部6を表している。空気の供給源である空気源は、真空のための圧縮空気流であるP
空気源を供給する場合と、真空破壊のための圧縮空気である真空破壊を供給する場合の両方で典型的には同じであるが、異なる供給接続部を介しており、それぞれ、ライン2または圧縮空気供給接続部6を介している。真空発生器3は、吸着ライン5aを介して、真空グリッパ手段5に真空を供給する。真空流れ接続部1に配置された弁4は、典型的には、それぞれ開放位置Aと閉鎖位置Bとの間で切り替えられるが、真空流量の比例的制御のために調節可能でもあり得る。
【0022】
図1に概略的に示される真空発生器3は、典型的にはエジェクタとして実現される。真空グリッパ手段5は、真空発生器3から一般的に供給される吸着カップとしてまたは一連の吸着カップとして実現されてもよい。
【0023】
図1は、本発明を例示する目的で、真空システムの概略的な配置図を示しているに過ぎず、当業者には既知であるように、実際の真空システムは、真空システムを所望の機能に適合させるために、追加のバルブ、センサ、および流れ接続部を備えることができることに留意されたい。
【0024】
次に、
図2〜
図4を参照して本発明の一実施形態を説明するが、真空システムの上記説明に対応する実施形態の詳細は、
図1で以前に使用された対応する参照番号によって示される。
【0025】
次に、
図2を参照すると、圧縮空気P
空気源によって駆動される、
図1に示され、かつ
図1に関連して説明されるもの等の、真空発生器3に関連付けられたまたは含まれる真空流れ接続部1の一部の断面図であり、弁4は、真空の流れのために第1の弁位置Aに位置付けられ、真空流れ接続部1は、真空の流れVaCと流れ接続するように配置されている。弁4がこの位置にある場合、真空の流れは弁本体4aによって阻害または制限されない。
【0026】
真空発生器3は、圧縮空気流P
空気源によって真空グリッパ手段5に真空を供給するために、圧縮空気流によって駆動され、吸着ライン5aに真空の流れVaCを供給するように配置される(
図1を参照)。真空流れ接続部1は、さらに、吸着ライン5aを介して真空グリッパ手段に圧縮空気流BPを供給するように配置される第2の空気供給接続部6を備える。真空流れ接続部1は、下方位置Aにおいて、ばね11からのばね力によって作動され、真空グリッパ手段に真空の流れVaCを供給するために真空流れ接続部1を開放する弁4を備える。
【0027】
次に、
図3を参照すると、第2の接続部6における圧縮空気流BPからの空気圧によって、弁4が真空流れ接続部1を閉鎖するように配置された場合を示している。弁4は、上方位置Bで閉鎖している。
【0028】
図3に示されるように、真空グリッパ手段5からの対象物の迅速な解放を考慮して、システム10は弁4に関連付けられ、弁4を閉鎖することにより真空グリッパ手段5への真空の流れVaCを能動的に遮断する。弁4は、吸着ライン5aを介した真空グリッパ手段5と、ライン5aを介して、流れ連通のために接続させることができる流れ接続部1に含まれる。弁4は、真空破壊のための圧縮空気BPが接続部6を介して真空発生器3に供給されたときに、真空グリッパ手段5への真空の流れVaCを閉鎖する2段階弁として配置される。
【0029】
弁4は、接続部6に蓄積された真空破壊空気圧によって作動される2方向弁として設計される。接続部6を介して真空発生器3に供給される真空破壊BPのための圧縮空気を閉鎖すると、弁4は、流れ接続部1がライン5aを介して真空グリッパ手段5と流れ連通されることによって、開放位置Aに切り替わる。
【0030】
図2を参照すると、弁4が位置Aに示されており、真空破壊のための圧縮空気BPが遮断されていると考えられる。同時に、弁本体4aの圧力側4cがもはや真空破壊BPのための圧縮空気の流れによる負荷を受けておらず、ばね力が弁本体4aに流れ接続部1を開放させ、位置Aに移動させる。
【0031】
弁4は、流れ接続部1に配置されたシート7において移動可能な弁本体4aを備え、弁本体4aは、弁4の第1の位置において真空側Vに対する吸着側4bと、弁4の第1の位置Aにおいて第2の接続部(6)を少なくとも部分的に閉鎖する圧力側4cとを有する。これは、
図2に示される。
【0032】
一実施形態によれば、
図4により詳細に示されるように、弁本体4aは、ヒンジ接合部12を有する揺動可能なハッチとして提供されるが、これは、下方位置A(
図2を参照)において、ばね11からのばね力によって作動され、真空グリッパ手段への前記流れ接続部1を開放し、ばね11からのばね力に打ち勝った場合、上方位置B(
図3を参照)において、第2の接続部6における圧縮空気流BPからの空気圧によって流れ接続部1を閉鎖するように配置される。
【0033】
典型的には、弁4は、フラップ弁である。
【0034】
対象物の解放を確実にするために必要とされる真空破壊のための空気量は、真空グリッパ手段ならびにその関連付けられたラインおよびチャネルの合計体積に依存し、圧力は真空グリッパにおけるものと同じである。
【0035】
図3に示す位置において、弁本体4aは、その圧力側4cとして見ることができる弁本体4aの端部に印加される真空破壊BPのための圧縮空気の負荷を受けている。弁本体4aの反対側4bは、その流れ方向における断面に見られるように、流れ接続部1を取り囲む密封面7aに対して密封接続されている。
【0036】
弁本体4aとシート7との間のいかなる漏れも、その真空側4aの領域内に弁本体4aの周囲を通る逃げ溝4dを有することにより効率的に防止され、逃げ溝4dは、弁本体4aの第2の位置Bにおいて、圧縮空気流BPによってシート7の内側7aに対して密着するような寸法である。
【0037】
弁4および関連付けられた弁要素を備える構成は、真空発生器に接続可能な別個のアセンブリを構成してもよいか(
図4を参照)、または代替として、真空発生器の構造に一体化されてもよい(
図1を参照)。
【0038】
保持された対象物を能動的に解放するために提示される解決法は、このようにして、解放シーケンスの時間を短縮することができ、また、真空グリッパ手段からの穏やかな解放を必要とする壊れやすい対象物に関連しても達成されるということを特徴とする。
【0039】
さらに、提示される解決法は、真空チャネルを密封するためにパイロット空気の供給が必要ではなく、解放シーケンスの間に過剰な圧縮空気が消費されないため、最もエネルギー効率に優れている。
【0040】
本発明は、上記の教示から当業者によって理解され得る本発明の上記および他の変更例を包含する添付の特許請求の範囲において定義される。